特表2016-530535(P2016-530535A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-530535磁性を有する粒子を用いる新規診断アッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-530535(P2016-530535A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(54)【発明の名称】磁性を有する粒子を用いる新規診断アッセイ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/553 20060101AFI20160902BHJP
   G01N 33/548 20060101ALI20160902BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20160902BHJP
【FI】
   G01N33/553
   G01N33/548 A
   G01N33/543 501F
   G01N33/543 525C
   G01N33/543 525U
   G01N33/543 525G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-540853(P2016-540853)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】SE2014051037
(87)【国際公開番号】WO2015034429
(87)【国際公開日】20150312
(31)【優先権主張番号】1351038-3
(32)【優先日】2013年9月9日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】513019151
【氏名又は名称】ラボ − オン − ア − ビード エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オスカルソン、スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン、クリストフェル
(72)【発明者】
【氏名】スヴェドリンダ、ペテル
(57)【要約】
粒子が、少なくとも1種のポリマーを含み、外表面、孔及び該孔によって規定される内表面を有する非磁性多孔性粒子を含む。該非磁性多孔性粒子は、その内及び外表面に官能基を有する。表面に結合した官能基も有する磁性粒子は、2つの粒子の官能基を反応させ、それらの間に共有結合を形成させることにより、該非磁性多孔性粒子に共有結合させる。該磁性粒子の最小平均直径は、該多孔性粒子の孔の平均直径より大きい。この点で、該磁性粒子は該非磁性多孔性粒子の孔を遮断しない。本出願は、該磁性粒子の分子及び細胞の分析のための新規のシステム及びアッセイにも関する。該非磁性粒子における該磁性粒子は、特徴的なパターン、フィンガープリント又はバーコードを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面、孔及び該孔によって規定される内表面を有する非磁性多孔性粒子を含む粒子であって、
該多孔性粒子が少なくとも1種のポリマーを含み、該粒子がその外側部分に共有結合した少なくとも1つの磁性粒子を有し、
全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、該多孔性粒子の孔の少なくとも95パーセントの最大直径より大きく、
該少なくとも1つの磁性粒子が、1つのグループの粒子を別のグループの粒子と区別し得る特徴を構成する、粒子。
【請求項2】
前記多孔性粒子は、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記多孔性粒子及び前記少なくとも1つの磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つは、分子相互作用に適する分子を含む、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
前記検出に適する分子は、有機分子、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、複合糖質、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
前記磁性粒子は、ポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の磁性材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスが官能基を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の粒子を用いてアッセイを行う方法であって、
− 該粒子を、分析される少なくとも1つの分析物を含む試料と接触させるステップであって、該粒子が該分析物に親和性を有する該ステップと、
− 該粒子を、粒子に固定化される該分析物に生体親和性を有する分子が固定化されている表面と接触させるステップと、
− 該粒子をi)磁場、ii)重力、及びiii)遠心分離の少なくとも1つに曝露し、次いで表面から非特異的結合粒子を洗い落とすステップと、
− 表面に固定化されている該粒子から、検出可能なシグナルを読み取るステップと
を含む該方法。
【請求項7】
前記アッセイが、診断目的のためのインビトロアッセイである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アッセイが、粒子のサブグループの使用を伴うマルチプレックスアッセイであり、各サブグループの前記多孔性粒子が、異なるサイズの磁性粒子を保持する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アッセイが、粒子のサブグループの使用を伴うマルチプレックスアッセイであり、各サブグループの前記多孔性粒子が、異なる色、異なる色及び/又はサイズの組合せの磁性粒子を保持する、請求項6から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粒子の製造のための方法であって、
a.
− 少なくとも1種のポリマーを含み且つ外表面及び内表面に官能基を含む多孔性粒子、並びに、
− 表面に官能基を含む磁性粒子(Mp)であって、全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、該多孔性粒子の孔の少なくとも95パーセントの最大直径より大きい該磁性粒子
を用意するステップと、
b.該非磁性多孔性粒子の表面の官能基を、該磁性粒子の表面の官能基と反応させて、共有結合を形成させて、該粒子の外表面部分に共有結合した磁性粒子(Mp)が補充された粒子(P)を得るステップと
を含む該方法。
【請求項11】
前記多孔性粒子が、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される材料を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記磁性粒子が、前記非磁性多孔性粒子の密度より高い密度を有する、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記多孔性粒子の外表面及び内表面の官能基が、−SH、−S−S−ピリジン、−COOH、−NH、−CHO、−OH、フェノール、無水物、エポキシ、S−Au、アミド、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、四級アミノエチル、カルボキシメチル、ホスホプロピル及びスルホプロピルからなる群から選択される、請求項10から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記多孔性粒子の外表面及び内表面の官能基が、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロルヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、ビスエポキシラン、カルボニルジイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果である、少なくとも1つの基を含む、請求項10から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記磁性粒子(Mp)上の官能基が、−SH、−S−S−ピリジン、−COOH、−NH、−CHO、−OH、フェノール、無水物、エポキシ、S−Au、並びにアミド、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、四級アミノエチル、カルボキシメチル、ホスホプロピル及びスルホプロピルからなる群から選択される、少なくとも1つを含む、請求項10から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記磁性粒子の表面の官能基が、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロルヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、ビスエポキシラン、カルボニルジイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果である、少なくとも1つを含む、請求項10から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
分子相互作用に適する分子が、多孔性粒子、磁性粒子、又は双方に導入される、請求項10から16までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記分子相互作用に適する分子が、有機分子、タンパク質、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、ビタミン、複合糖質、核酸、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10から17までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
検出に適する分子が、前記多孔性粒子及び前記磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つに導入される、請求項10から18までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記検出に適する分子が、有機分子、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質及びレクチンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項10から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記磁性粒子(Mp)が、ポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の磁性材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスが官能基を含む、請求項10から20までのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は一般に、分子及び細胞の分析のための新規システムであって、非磁性粒子に磁性粒子が補充されて特徴的なパターン又はバーコードを形成するクラスターを含む、システムに関する。このような粒子及びそれらの製造のための方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
体液中の生体分子及び細胞の分析に関する技術は、限定するものではないが、医学、生物薬学及びバイオテクノロジーなど、多くの技術分野において極めて重要である。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの伝統的な免疫学的な技術は、依然として有力である。しかし、世界中で行われる分析の数は常に増加しているので、迅速且つより効率的な分析方法の必要性は非常に重要になっている。マルチプレックス分析に依存するシステムは、より効率的な分析システムに対しての1つの解決策を提示する。マルチプレクシングを用いる幾つかの市販技術が、現在利用可能である。しかし、現存のマルチプレックス分析システムは、多くの不利な点を有している。これらの中でも、機器の使用に伴う高いコスト及び結果の評価に言及すべきである。
【0003】
ナノテクノロジー、診断、研究及び開発においては構成要素を小型化する必要性も存在する。多くの領域で、情報を保存する又は粒子に様々な分子を結合させる必要性が存在する。
【0004】
大きい粒子に情報を保存する及び大きい粒子を誘導体化する公知の技術が存在する。直径100μm未満の粒子などの比較的小さい粒子の部分的な誘導体化に関しては、技術的な問題が起こる。問題の1つは、粒子運動の制御である。したがって、部分的に誘導体化された比較的小さい粒子を製造するための方法が、当技術分野においてについて必要とされている。
【0005】
一例は、WO2009074692に開示されている、導電性溶媒中の粒子の曲面を部分的に誘導体化するための方法である。この方法は、a)力を用いることによって少なくとも1つの表面に粒子を密着させるステップと、b)該少なくとも1つの表面と導電性溶媒の間に電位を印加することによって粒子の少なくとも1つの部分において化学反応を誘導するステップと、c)上記ステップb)において化学反応が誘導された粒子の該少なくとも1つの部分をさらに反応させるステップとを含む。WO2009074692はまた、部分的に誘導体化された粒子並びに該粒子の使用を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書に記載する一般的概念及び実施形態の目的は、先行技術の少なくとも一部の不利な点を軽減すること、並びに分析のための改善された材料であって、該材料が多孔性粒子に該多孔性粒子の表面に磁性粒子が補充されている粒子を含み、該磁性粒子が、磁性要素及びそれらの磁力で寄与するだけでなく、特徴的なパターン又はバーコードをも創出し、該多孔性粒子の大多数の内空間を該磁性粒子によって影響されない状態にしながら、リガンドを固定化し、公知の磁性粒子及び粒子凝集物と比較して該粒子の能力を維持する又はさらに増加するのに使用できる、材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様は、粒子の製造のための方法であって、
a.
− 外表面(exterior surface)、孔及び該孔によって規定される接続した内表面(interior surface)を有する非磁性多孔性粒子であって、少なくとも1種のポリマーを含み、該外表面及び内表面に少なくとも1つのタイプの官能基を含む該非磁性多孔性粒子、並びに
− 表面に少なくとも1つのタイプの官能基を含む磁性粒子であって、該磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、該多孔性粒子の孔の平均直径より大きい該磁性粒子
を用意するステップと、
b.該非磁性多孔性粒子の該表面の該官能基を、該磁性粒子の該表面の該官能基と反応させて、共有結合を形成させて、該粒子の外側部分(outer part)に共有結合した磁性粒子が補充された粒子を得るステップと
を含む該方法に関する。
【0008】
異なるサイズ、色及び磁性を有する磁性粒子を選択することにより、粒子は、特徴的なパターン、フィンガープリント又はバーコードに匹敵する固有の識別子を与えられる。
【0009】
第一の態様の一実施形態では、多孔性粒子は、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される材料を含む。
【0010】
第一の態様の別の実施形態では、磁性粒子は、非磁性多孔性粒子の密度より高い密度を有する。
【0011】
一実施形態では、全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、多孔性粒子の全ての孔の少なくとも95パーセントの最大直径より大きい。
【0012】
全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径とは、全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子における全ての可能な直径のうちの最小値を表現する。数ではなく重量パーセンテージを使用して、非常に小さい粒子の相対重量を換算する。
【0013】
多孔性粒子の孔の平均直径は、Hagel, Ostberg, Andersson in Journal of Chromatography A, Volume 743, issue 1, 30 August 1996, pages 33−42にさらに詳細に説明される、見かけの孔サイズとして測定され、規定される。一部の市販のポリマーについてのデータも存在する。一例を挙げると、6%アガロースにおける平均又は見かけの孔直径は、24nmである。
【0014】
全ての磁性粒子の、ほとんど全て、好ましくは重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、多孔性粒子の孔の平均直径より大きい場合、磁性粒子は多孔性粒子にある程度入り込むことができるが、磁性粒子が多孔性粒子の結合能力を又はバーコードを識別する可能性を遮断する程度まで入り込むことはできない。磁性粒子は、それらの表面に官能基を提示し、これが直接的に又はさらに反応して他の分子に結合することによって結合能力を増加させるため又はバーコードを作製するため利用され得るので、磁性粒子を多孔性粒子にある程度入り込ませることにより、粒子全体の結合能力を実際に増加させることができる。一部の磁性粒子を粒子に入り込ませることにより、磁性材料の積載量が増加して、粒子を分離にとってより有用なものとする。何故なら、粒子がより多くの磁性材料をそれらの中に有すると、それらの分離がより容易になるからである。
【0015】
多くの応用のため、特に分離のため、高い磁気モーメントが、粒子に関して所望される。また、粒子の結合能力は、高くあるべきである。このことは、磁性粒子が官能基での誘導体化が可能であり、その結果、磁性粒子が粒子の総結合能力に寄与するようなやり方で解決される。粒子の結合能力及び磁気モーメントの両方は、多孔性粒子に一部の磁性粒子を入り込ませ、且つ粒子の総結合能力に寄与し、バーコードの作製を最適化する官能基で磁性粒子を誘導体化することにより最大化される。
【0016】
一実施形態では、磁性粒子は、20nm以上である。一実施形態では、磁性粒子は、4以下である。代替的実施形態では、磁性粒子は、100nm以下である。一実施形態では、磁性粒子の安定なコロイドは、製造プロセスにおいて利用される。個々の磁性粒子の直径が使用され、磁性粒子がクラスターを形成する場合には、クラスター全体の最大直径は非常に大きくなるかもしれない。
【0017】
製造プロセスが満足するものであっても、実際の製造プロセスにおいて意図されるサイズより小さい又は大きい少数の粒子が存在し得ることが想定される。
【0018】
代替的実施形態では、磁性粒子の最小直径は、多孔性粒子の孔の平均直径と同等かより小さい。この実施形態では、少なくとも一部の磁性粒子は、多孔性粒子の孔に入り込む。孔サイズと関連付けて磁性要素のサイズを選択することにより、磁性要素積載量を所望のとおり適合させることできる。
【0019】
磁性粒子の最小直径は、多孔性粒子の孔の平均直径(見かけの直径)より大きい。磁性粒子の最小直径は、基本的に磁性粒子の全て、又は好ましくは重量当たり少なくとも95パーセントの粒子、の最小直径を意味することが意図され、ここで、最小直径は、粒子のサイズが最小となる寸法において測定される。このような代替的実施形態では、基本的に全ての磁性粒子は、大きすぎて多孔性粒子の平均的な孔に入り込めない。孔サイズは、変動することができ、特定のサイズ分布を有し、このような実施形態においては、一部の孔は、磁性粒子にとってアクセス可能であることが想定される。
【0020】
さらなる代替的実施形態では、磁性粒子の最小直径は、多孔性粒子の全ての孔の直径より大きい。このような実施形態では、孔は、磁性粒子にとってアクセス可能ではない。
【0021】
一部の診断上の応用では、磁性粒子が多孔性粒子の外表面(exterior surface)にのみ存在することが所望される。
【0022】
第一の態様の別の実施形態では、多孔性粒子の外表面及び内表面の官能基は、−SH、−S−S−ピリジン、−COOH、−NH、−CHO、−OH、フェノール、無水物、エポキシ、S−Au、並びにアミド、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、四級アミノエチル、カルボキシメチル、ホスホプロピル及びスルホプロピルからなる群から選択される。
【0023】
第一の態様の別の実施形態では、多孔性粒子の外表面及び内表面の官能基は、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロルヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、ビスエポキシラン、カルボニルジイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果である、少なくとも1つの官能基を含む。
【0024】
第一の態様の別の実施形態では、磁性粒子上の官能基は、−SH、−S−S−ピリジン、−COOH、−NH、−CHO、−OH、フェノール、無水物、エポキシ、S−Au、並びにアミド、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、四級アミノエチル、カルボキシメチル、ホスホプロピル及びスルホプロピルからなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0025】
第一の態様の別の実施形態では、磁性粒子の表面の官能基は、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロルヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、ビスエポキシラン、カルボニルジイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果の少なくとも1つを含む。
【0026】
第一の態様の別の実施形態では、分子相互作用に適する分子は、多孔性粒子、磁性粒子、又は双方に導入される。
【0027】
第一の態様のさらなる実施形態では、分子相互作用に適する分子は、有機分子、タンパク質、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、ビタミン、複合糖質、核酸、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0028】
第一の態様の別の実施形態では、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、検出に適する分子は、多孔性粒子及び磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つに導入される。
【0029】
第一の態様の別の実施形態では、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、検出に適する分子は、有機分子、核酸、アミノ酸、ペプチド、タンパク質及びレクチンからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0030】
第一の態様の別の実施形態では、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、磁性粒子はポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の磁性材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスは官能基を含む。
【0031】
第二の態様は、粒子が、外表面、孔及び該孔によって規定される内表面を有する非磁性多孔性粒子を含む粒子であって、該多孔性粒子が少なくとも1種のポリマーを含み、該粒子がその外側部分に共有結合した少なくとも1つの磁性粒子を有し、該磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が該多孔性粒子の孔の平均直径より大きい、粒子に関する。
【0032】
第二の態様の一実施形態によると、多孔性粒子は、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む。
【0033】
第二の態様のさらなる実施形態によると、磁性粒子は、非磁性多孔性粒子の密度より高い密度を有する。
【0034】
第二の態様のさらなる実施形態によると、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、多孔性粒子及び少なくとも1つの磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つは、分子相互作用に適する分子を含む。
【0035】
第二の態様のさらなる実施形態によると、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、多孔性粒子及び少なくとも1つの磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つは、検出に適する分子を含む。
【0036】
第二の態様のさらなる実施形態によると、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、検出に適する分子は、有機分子、核酸、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、複合糖質、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0037】
第二の態様のさらなる実施形態によると、上記実施形態と自由に組合せ可能であり、磁性粒子はポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスは官能基を含む。
【0038】
粒子を用いてアッセイを行う方法は、
− 該粒子を、分析される少なくとも1つの分析物を含む試料と接触させるステップであって、該粒子が該分析物に親和性を有する該ステップと、
− 該粒子を、粒子に固定化されている該分析物に生体親和性を有する分子が固定化されている表面と接触させるステップと、
− 該粒子をi)磁場、ii)重力、及びiii)遠心分離の少なくとも1つに曝露し、続いて表面から非特異的結合粒子を洗い落すステップと、
− 表面に固定化されている該粒子から、検出可能なシグナルを読み取るステップと
を含む。
【0039】
アッセイが粒子のサブグループの使用を伴うマルチプレックスアッセイであって、各サブグループにおける多孔性粒子は異なるサイズの磁性粒子を保持する、前記方法。
【0040】
アッセイが粒子のサブグループの使用を伴うマルチプレックスアッセイであって、各サブグループにおける多孔性粒子は、異なる色及び/又はサイズの磁性粒子を保持する、前記方法。
【0041】
この方法の利点は、粒子の調製の間に全てのステップが、水溶液中で、例えば約20〜60℃の中等度の温度でさえ容易に行われることである。
【0042】
別の利点は、多孔性粒子の表面及び内側の基を伴う反応の間に形成される共有結合が、一点で結合する分子に対してでも安定なことである。
【0043】
さらに別の利点は、方法が、非常に少数のステップで行い得ることである。方法は、先行技術による方法と比較して容易に且つ単純な安価な設備で行われる。
【0044】
本明細書に記載された態様及び実施形態による粒子は、幾つかの利点を有する。特徴的なパターン、フィンガープリント又はバーコードによって、容易に同定可能な粒子を設計することが可能であるだけでなく、粒子は公知の磁性粒子と比較して増加した結合能力も有する。多孔性粒子の内部容積の主要部分が影響されず、分離される構成要素との吸着及び結合反応に利用可能なままとしながら、リガンドを固定化することもできる磁性粒子を補充された粒子の形成によって、結合能力が維持され及び/又はさらに改善される。多孔性粒子はその特定の表面領域のほとんどを内部に有するので、磁性粒子が小さすぎず、多孔性粒子の孔を遮断しない場合に反応及び/又は吸着能力が維持される。
【0045】
態様及び実施形態を、以下の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、多孔性非磁性粒子(Pp)とその表面に分布させた複数の磁性粒子(Mp)を含む、粒子(P)の断面を模式的に示す。
【0047】
図2図2は、非磁性多孔性粒子(Pp)を磁性粒子(Mp)と共に含み、この粒子が、該多孔性粒子における孔の直径に関連して、それらのサイズに応じて、小さい又は大きい程度で該粒子に入り込んでいる、類似する粒子(P)の断面を模式的に示す。
【0048】
図3図3は、エポキシド活性化アガロースと2μmのサイズを有するMicromer(登録商標)M NH粒子(Micromod Partikeltechnologie GmbH,Rostock,Germanyからの磁性ポリスチレン粒子)との反応からもたらされる、表面に結合した小さい磁性粒子を有する多孔性粒子としてのアガロースビーズの光学顕微鏡画像を示す。
【0049】
図4図4は、エポキシド活性化アガロースと10μm Micromer(登録商標)M NH粒子との反応からもたらされる、磁性アガロース粒子の光学顕微鏡画像を示す。
【0050】
図5図5は、エポキシド活性化アガロースと10μm Micromer(登録商標)M NH粒子との反応、次いで5μm Micromer(登録商標)M NH粒子との反応からもたらされる、2つの異なるサイズの磁性粒子を含む磁性アガロース粒子の光学顕微鏡画像を示す。
【0051】
図6図6は、エポキシド活性化アガロースと10μm Micromer(登録商標)M NH粒子との反応、次いで5μm Micromer(登録商標)M NH粒子との反応、さらに2μm Micromer(登録商標)M NH粒子との反応からもたらされる、3つの異なるサイズの磁性粒子を含む磁性アガロース粒子の光学顕微鏡画像を示す。
【0052】
図7図7は、どのようにして粒子(P)が、症例Aにおいて患者試料中に存在する又は症例Bにおいて患者試料中に存在しない分析物を捕捉するかの一例を示す。分析物が試料中に存在すると、特徴的な色及びサイズの磁性粒子(Mp)を有する粒子(P)は表面に固着しない。分析物が試料中に存在しないと、粒子(P)は固着する。これは一例にすぎず、他の結論がもたらされる他の組合せが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
様々な態様及び実施形態を詳細に説明する前に、化合物、構成、方法ステップ、基材、及び材料は若干変動し得るので、この説明が、本明細書に開示される特定の化合物、構成、方法ステップ、基材、及び材料に限定されないことを理解すべきである。本発明の実施態様の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることから、本明細書に用いられる用語は特定の実施態様を説明する目的のためだけに使用され、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0054】
本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈で他で明確に指示しない限り複数の指示対象が含まれることに注意すべきである。
【0055】
また、適用可能な場合、用語「約」は、数値の±10%、最も好ましくは±5%の偏差を示すために使用される。
【0056】
明細書及び特許請求の範囲全体を通じて使用される、球の直径は、球の中心を通過し、球の周縁部に終点を有する、任意の直線である。
【0057】
他に規定されない場合、本明細書で使用される任意の用語を含む科学用語は、本発明の開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味を有することが意図される。
【0058】
発明者は、広範に研究を実施し、特許請求の範囲に規定される粒子が容易に高収量で形成され、容易に分離されることを見出した。クラスターに生体分子が結合する及びクラスターから生体分子を単離する能力は、最新技術(the state of the art)による対応する粒子についての任意の公開データよりも高いことが見出された。
【0059】
実施形態による粒子は、磁性を帯びており、生体分子の検出のためのプロセスにおいて容易に使用される。固定化された分子及び/又は細胞と一緒の粒子は、外的な磁石を用いて容易に分離される。粒子はまた、異なるサイズ及び特性の磁性粒子の組合せによってそれらに与えられた特徴的なパターン、フィンガープリント又はバーコードのおかげで容易に同定可能である。さらに、磁性粒子は粒子に密度を付加するので、遠心分離によって又は重力を用いる静的な沈降による分離を援助することができる。密度ベース分離は、プレ分離ステップとして及び/又は磁力分離の一部として使用することができる。
【0060】
第一の態様は、粒子の製造のための方法であって、
a.
− 外表面(exterior surface)、孔及び該孔によって規定される接続した内表面(interior surface)を有する非磁性多孔性粒子であって、少なくとも1種のポリマーを含み、該外表面及び内表面に官能基を含む該非磁性多孔性粒子、並びに
− 表面に官能基を含む磁性粒子であって、該磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、該多孔性粒子の孔の平均直径より大きい該磁性粒子
を用意するステップと、
b.該非磁性多孔性粒子の表面の官能基を、該磁性粒子の表面の官能基と反応させて、共有結合を形成させ、該粒子の外側部分(outer part)に共有結合した磁性粒子が補充された粒子を得るステップと
を含む該方法に関する。
【0061】
好ましくは、磁性粒子の表面の少なくとも1つのタイプの官能基の全ては、多孔性粒子の外表面及び内表面の少なくとも1つのタイプの官能基と共有結合を形成するため反応せず、少なくとも1つのタイプの官能基の一部は、磁性粒子及び多孔性粒子から選択される少なくとも1つにおいて利用可能なままである。
【0062】
得られる粒子は、粒子の表面及び外側部分に磁性粒子が結合している、表面装飾多孔性粒子とみなすことができる。
【0063】
一実施形態によると、多孔性粒子は、基本的には球状であるが、他の形状も包含し、多孔性粒子は任意の特定の形状に限定されない。全ての形状は、本明細書に提示される実施形態の範囲内に包含される。同じ事は、磁性粒子にも適用される。
【0064】
全ての磁性粒子の、ほとんど全て、好ましくは重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、多孔性粒子の孔の平均直径より大きい場合、磁性粒子は多孔性粒子にある程度入り込むことができるが、磁性粒子が多孔性粒子の能力を遮断する又はバーコードを読むことを困難にするような大きい程度まで入り込むことはできない。磁性粒子は、それらの表面に利用可能な官能基を有し、これが直接的に又はさらに反応して他の分子に結合することによって結合能力を増加させるため利用され得るので、磁性粒子をある程度多孔性粒子に入り込ませることにより、粒子の総結合能力を実際に増加させることができる。一部の磁性粒子を入り込ませることにより、磁性材料の積載量が粒子中で増加して、分離に関して粒子をより有用にする。なぜなら、粒子がより多くの磁性材料をそれらの中に有すると、それらを分離することがより容易になるからである。
【0065】
多くの応用のため、特に分離のため、高い磁気モーメントが粒子について所望される。また、粒子Pの結合能力は、高くあるべきである。このことは、磁性粒子が官能基での誘導体化が可能であり、それらが粒子の総結合能力に寄与するようにすることで解決される。粒子の結合能力及び磁気モーメントの両方は、多孔性粒子に一部の磁性粒子を入り込ませ、且つ粒子の総結合能力に寄与する官能基で磁性粒子を誘導体化することにより最大化される。
【0066】
一実施形態では、磁性粒子は、20nm以上である。一実施形態では、磁性粒子は、4μm以下である。代替的実施形態では、磁性粒子は、100nm以下である。一実施形態では、磁性粒子の安定なコロイドは、製造プロセスにおいて利用される。個々の磁性粒子の直径が使用されるが、磁性粒子がクラスターを形成する場合には、クラスター全体の最大直径は非常に大きくてもよい。
【0067】
製造プロセスが満足するものであっても、実際の製造プロセスにおいて意図されるサイズより小さい又は大きい少数の粒子が存在し得ることが想定される。
【0068】
代替的実施形態では、磁性粒子の最小直径は、多孔性粒子の孔の平均直径と同等かより小さい。この実施形態では、少なくとも一部の磁性粒子は、多孔性粒子の孔に入り込む。孔サイズに関連付けて磁性要素のサイズを選択することにより、磁性積載量を所望のとおり適合させることできる。
【0069】
磁性粒子の最小直径は、多孔性粒子の孔の平均直径(見かけの直径)より大きい。磁性粒子の最小直径は、基本的に磁性粒子の全て、好ましくは重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径を意味することが意図され、ここで、最小直径は、粒子のサイズが最小である寸法において測定される。このような代替的実施形態では、基本的に全ての磁性粒子は、大きすぎて多孔性粒子の平均的な孔に入り込めない。孔サイズは、変動することがあり、特定のサイズ分布を有し、一部の孔は、このような実施形態において磁性粒子にとってアクセス可能であることが想定される。
【0070】
さらなる代替的実施形態では、磁性粒子の最小直径は、多孔性粒子の全ての孔の直径より大きい。このような実施形態では、孔は、磁性粒子にとってアクセス可能ではない。
【0071】
一部の診断上の応用では、磁性粒子が多孔性粒子の外表面にのみ存在することが所望される。
【0072】
一実施形態によると、多孔性粒子は、基本的には球状であるが、他の形状も包含し、多孔性粒子は任意の特定の形状に限定されない。全ての形状は、本明細書に提示される実施形態の範囲内に包含される。同じ事は、磁性粒子にも適用される。
【0073】
球状又は基本的に球状の粒子では、直径は、通常の定義により容易に決定される。完全に球状の粒子では、最小及び最大直径は、同じである。しかし、不規則に形作られた粒子(すなわち、非球状の粒子)では、直径は、表面の1つの点から重心を通って表面の別の点に到る多くの異なる方向で測定することができる。不規則な粒子では、このような直径の1つは最小であり、このような直径の1つは最大である。球では、球は均一であれば、重心は、球の中心である。球では、直径は、球の中心を通過しなければならない。
【0074】
第一の態様の一実施形態によると、多孔性粒子は、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む。粒子物質の特定の非限定的な例は、実施例中で述べられる。
【0075】
第一の態様の一実施形態によると、磁性粒子は、磁性金属、磁性金属合金及び磁性酸化物又はその組合せから選択される少なくとも1種の磁性材料を含む。非限定的な例には、鉄、ニッケル、コバルト、ガドリニウム、ネオジム及びサマリウム、並びにそれらの酸化物及び合金が含まれる。
【0076】
第一の態様の一実施形態では、磁性粒子は、非磁性多孔性粒子の密度より高い密度を有する。したがって、磁性粒子を使用して、粒子全体の密度を増加させることができる。これは、重力又は遠心分離が任意のプロセスにおいて粒子を分離するために使用される場合に有用であり得る。
【0077】
適切な磁性粒子は、おおよそ以下の三群に分けることができる:
− 固体磁性マイクロ粒子。これらは、頻繁に、低い磁力及び低い能力を有する。それらは、現在のところ、本明細書に開示されるプロセス及びシステムにおける使用のためには適切性に劣る。例には、Dynabeads(登録商標)(Dynal/Invitrogen Co.)及びMicromer(登録商標)M(Micromod Partikeltechnologie GmbH, Rostock, Germanyからの磁性ポリスチレン粒子)が含まれる。
− 多孔性磁性粒子。これらは、良好な磁性及び高い能力を有する。それらは、本明細書に開示されるプロセス及びシステムにおける使用のために適切である。例には、Mag Sepharose粒子(GE Healthcare Life Sciences, Biovision, Inc)、PureCube MagBeads(登録商標)(Cube Biotech)、並びに本願明細書の概説のように製造される及び2013年9月9日に出願されたSE1351038−3の優先権主張を伴う同時係属の国際出願において詳細に説明される粒子が含まれる。
− 固体磁性粒子、例えば、コバルト粒子(Turbobeads LLC, Zurich, CHからのTurboBeads(登録商標)製品範囲)及び高い磁力を有する類似物。
【0078】
一実施形態では、多孔性粒子の表面の官能基は、−SH、−S−S−ピリジン、−COOH、−NH、−CHO、−OH、フェノール、無水物、エポキシ、S−Au、アミド、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、四級アミノエチル、カルボキシメチル、ホスホプロピル及びスルホプロピルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0079】
一実施形態では、多孔性粒子の外表面及び内表面の少なくとも1つのタイプの官能基並びに磁性粒子の表面の少なくとも1つタイプの官能基から選択される少なくとも1つは、複合結合基を含む。一実施形態では、複合結合基は、IDA(イミノジアセタート)及びその誘導体、TED(トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン)及びその誘導体、CM−Asp(カルボキシメチル化アスパラギン酸)及びその誘導体、NTA(ニトリロ三酢酸)及びその誘導体、TREN(トリス(2−アミノエチル)アミン)及びその誘導体、DPA(ジピコリルアミン)及びその誘導体、C6−Sゲル(ヘキシルスルフィド基)及びその誘導体、EDTA(エチレンジアミンテトラアセタート)及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである。これらの複合結合構造は、例えば金属イオンに結合することができ、これが次にヒスチジンを含むペプチド鎖と相互作用することができる。ヒスチジン鎖又はタグを含む抗体を精製する場合、このような基は使用に適している。
【0080】
一実施形態では、多孔性粒子の外表面及び内表面の少なくとも1つのタイプの官能基並びに磁性粒子(Mp)の表面の少なくとも1つタイプの官能基から選択される少なくとも1つは、疎水性基を含む。一実施形態では、疎水性基は、CnHm(1≦n≦20 4≦m≦42)、フェノール及びその誘導体、チオフェノール及びその誘導体、並びにメルカプトピリジン及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1つである。粒子が疎水性クロマトグラフィーに類似する応用に使用される場合、このような疎水性基が適している。CnHm(1≦n≦20 4≦m≦42)は、限定するものではないが、アルカンCnH2n+2を含む、多くの異なる有機化合物に関する一般式である。
【0081】
一実施形態では、多孔性粒子(Pp)の表面の官能基は、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロロヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、カルボニルイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果の少なくとも1つである。
【0082】
一実施形態では、磁性粒子上の官能基は、−SH、−S−S−ピリジン、−COOH、−NH、−CHO、−OH、フェノール、無水物、エポキシ、S−Au、アミド、アミノエチル、ジエチルアミノエチル、四級アミノエチル、カルボキシメチル、ホスホプロピル及びスルホプロピルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0083】
一実施形態では、磁性粒子の表面の官能基は、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、塩化トシル、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、及びシランからなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果の少なくとも1つである。
【0084】
磁性粒子及び非磁性多孔性粒子における化学基は、反応が、磁性粒子における化学基と非磁性多孔性粒子における化学基との間で発生することができるように、適合される。したがって、別の官能基との反応のため適切な官能基は非磁性多孔性粒子に結合させることができ、適切な対応する官能基は磁性粒子に結合させることができる。1つの官能基は、他の粒子に反応できる適切な官能基が存在する限り、非磁性多孔性粒子に又は磁性粒子に結合することができる。一実施形態では、異なる幾つかの化学基は非磁性多孔性粒子に結合され、対応する異なるタイプの適切な官能基を有する異なるタイプの磁性粒子が該多孔性粒子における該異なる官能基に結合される。
【0085】
第一の態様の一実施形態では、分子相互作用に適する分子は、多孔性粒子及び磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つに導入される。第一の態様の一実施形態では、分子相互作用に適する分子は、有機分子、タンパク質、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、ビタミン、複合糖質、核酸、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0086】
第一の態様の一実施形態では、検出に適する分子は、多孔性粒子及び磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つに導入される。第一の態様の一実施形態では、検出に適する分子は、有機分子、タンパク質、核酸及びレクチンからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0087】
第一の態様の一実施形態では、磁性粒子は、ポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の磁性材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスは官能基を含む。
【0088】
第二の態様では、粒子が、非磁性多孔性粒子を含み、該多孔性粒子は孔を含み、該多孔性粒子は少なくとも1種のポリマーを含み、該多孔性粒子はその表面に共有結合した少なくとも1つの磁性粒子を有し、該磁性粒子の最小直径は該多孔性粒子の孔の平均直径より大きい、粒子が提供される。
【0089】
第二の態様の一実施形態では、多孔性粒子は、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0090】
磁性粒子は、限定するものではないが、磁性金属、磁性金属合金及び磁性酸化物又はその組合せなどの、少なくとも1種の磁性材料を含む。
【0091】
一実施形態では、磁性粒子は、非磁性多孔性粒子の密度より高い密度を有する。密度は、ISO 1183−1:2012に従って測定される。
【0092】
一実施形態では、多孔性粒子及び少なくとも1つの磁性粒子の少なくとも1つは、分子相互作用に適する分子を含む。相互作用に適する分子は、限定するものではないが、別の分子との結合を形成させることを含む手段によって別の分子と相互作用する能力を有する分子である。
【0093】
一実施形態では、多孔性粒子及び/又は少なくとも1つの磁性粒子の少なくとも1つは、検出に適する分子を含む。
【0094】
一実施形態では、検出に適する分子は、有機分子、核酸、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、複合糖質、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である。検出に適する分子は、任意の手段によって検出することができる分子である。例には、少なくとも1つの特定の波長の光を照射する分子が含まれる。
【0095】
一実施形態では、磁性粒子はポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスは官能基を含む。磁性粒子における材料の例には、限定するものではないが、鉄、コバルト、及びその酸化物などの、磁性金属、磁性金属合金及び磁性酸化物が含まれる。
【0096】
本明細書においては、第二の態様に記載されるような粒子の使用を含むアッセイを行う方法であって、a)該粒子を分析される少なくとも1つの分析物と接触させるステップと、b)該粒子をi)磁場、ii)重力、及びiii)遠心分離からなる群から選択される少なくとも1つに曝露するステップと、c)検出可能なシグナルを該粒子から読み取るステップとを含む該方法も提供される。
【0097】
一実施形態によると、アッセイは、インビトロでの診断目的のためである。本明細書に開示される粒子はまた、マルチプレックス反応及び/又は分析システムを構築することを可能にする。
【0098】
マルチプレックスアッセイは、本明細書に開示されるような多孔性粒子及び磁性粒子を用いて構築される。磁性粒子は、いくつかの異なるサイズで供給され、第一の直径を有する磁性粒子を多孔性粒子の第一のサブグループとカップリングし、該第一の直径と異なる第二の直径を有する磁性粒子を第二のサブグループとカップリングするステップによって、別個の特性を有する粒子の2つのバッチが得られる。
【0099】
アガロース粒子は、2つのバッチに分けられる。10μmの平均直径を有する磁性粒子は、本明細書に開示される方法によって第一のバッチにおけるアガロース粒子に共有結合され、粒子Aと呼ばれる第一のグループの粒子が製造される。第一の分析物Aに特異的に結合する抗体は、このグループにおける粒子に結合される。第二のバッチのアガロース粒子は、2μmの平均直径を有する磁性粒子と反応して、Bと名付けられる、磁性粒子が共有結合した第二のグループの粒子をもたらす。第二の分析物Bに特異的に結合する第二の抗体は、このBと名付けられる第二のグループにおける粒子に結合される。
【0100】
2つのグループの粒子は、抗体と分析物の間の結合に必要とされる条件下で試料と接触させられる。アガロース粒子に結合している異なるサイズの磁性粒子を利用して、2つのグループの粒子間をそれらに結合した分析物と一緒に識別することができる。2つのグループはまた、限定するものではないが、蛍光標識などの異なる色又は異なる色の組合せを提示する異なる標識で標識されてもよい。
【0101】
分析物Aが試料中に存在すると、この分析物は、第一のグループの粒子に結合する。分析物Bが試料中に存在しないと、この分析物は、粒子A又はBに結合しない。
【0102】
次のステップでは、粒子は、すすぎ洗いされて、分析物A又はBの過剰物が排除される。続くステップでは、粒子は、分析物A及びBが共有結合によって固定化されている表面に接触させられる。分析物Aは分析物Aに対する抗体が存在するグループAの粒子に結合しているので、これらの粒子は表面に固着しない。表面にグループAからの粒子が存在しないことは、分析物Aが試料中に存在することを示す。
【0103】
他方、分析物Bは試料中に存在しなく、抗B抗体は表面において分析物Bと反応するので、粒子Bは表面に固着する。
【0104】
代替例は、粒子A及び粒子Bを使用するが、ここでは、粒子Aは、例えば青色によって表される特定のバーコード及び抗A抗体を粒子の表面に有し、粒子Bは、表面が例えば黄色であり、表面に抗B抗体を有する。
【0105】
2つの粒子A及びBは、分析物Aを含有するが、分析物Bを含有しない試料に接触させられる。ビーズをすすぎ洗いした後(粒子が磁性を帯びているので、容易に行われる)、粒子は、ビオチンを備える抗A抗体及びビオチンを備える抗B抗体を含有する溶液に接触させられる。第二のすすぎ洗い後、ビーズは、緑色などの蛍光を備えるアビジンに接触させられる。第三のすすぎ洗いが行われ、次に粒子が検査される。緑色を有する粒子が青色粒子Aにおいて検出されると、分析物Aが試料中に存在することが決定される。
【0106】
特徴的なバーコードと一緒に緑色蛍光がない粒子は、どの分析物が試料中に存在しないかを示す。
【0107】
粒子A及びBは、磁性粒子の異なるサイズ又は異なる色又は蛍光色に基づいて、互いに容易に識別することができる。
【0108】
磁性粒子が異なるサイズ又はバーコードを有しさえすれば、上記は3つ以上のグループに等しく適用可能である。2、5及び10μmの平均直径を有する粒子が、使用され得る。磁性粒子はまた、異なる色又は色の組合せ及び他の区別できる特性を有し得る。
【0109】
本明細書に開示される態様及び実施形態は、別段の定めがない限り、自由に組合せ可能であることに注意されたい。
【実施例】
【0110】
(例1)エポキシド活性化アガロース粒子の調製
セファロース4B(GE Healthcare Life Sciences)を、ガラスフィルター上で蒸留水で洗浄し、吸引乾燥した。3gの乾燥ゲル粒子を2.4mlの1M水酸化ナトリウム溶液に懸濁し、エピクロルヒドリン0.45mlを室温で撹拌下で滴下添加した。温度を60℃に増大し、2時間維持した。エポキシド活性化セファロースゲルを、ガラスフィルター上で中性まで蒸留水で洗浄し、蒸留水中に50%ゲル濃度で最終的に再懸濁した。その産物は、本明細書に規定される多孔性粒子の一例を構成する、例えば、図1及び2における粒子Ppを参照されたい。
【0111】
(例2)1つのサイズの磁性粒子を含む磁性粒子で装飾されたアガロース粒子の製造
2μmから10μmのサイズにおいて、アミノ(NH)官能性を有する市販の磁性マイクロ粒子を、これらの調査において磁性材料として使用した。これらの粒子は、本明細書に規定される磁性粒子の例である、例えば、図1及び2における磁性粒子Mpを参照されたい。
【0112】
磁性粒子Micromer(登録商標)M−NH(2μm及び10μm)を、下記のように多孔性エポキシド活性化アガロース粒子に別々に共有結合により結合させた。Micromod Partikelteknologie GmbHからのMicromer(登録商標)M−NH(250μL、7×10粒子/ml)を、1000μL PBS(15mMリン酸塩、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、1000μL PBSに再懸濁させた。エポキシド活性化アガロース粒子(1mlを沈降させたゲル)を、10ml 0.01M NaOH溶液に再懸濁させ、磁性粒子懸濁液に添加し、ボルテックスで12時間2μm粒子と及び30分間10μm粒子と室温で反応させた。
【0113】
アミノ官能性を有する過剰な磁性粒子を、50ml 10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4で焼結フィルター漏斗により除去し、それぞれ図3及び図4に示すような、2μm又は10μm磁性粒子で装飾されたアガロース粒子を有する溶液をもたらした。これらの粒子は、本明細書に規定される粒子の例であり、図1及び2における粒子Pとして模式的に示される。
【0114】
(例3)2つのサイズの磁性粒子を含む磁性粒子で装飾されたアガロース粒子の製造
磁性粒子Micromer(登録商標)M−NH(5μm及び10μm)を、下記のように多孔性エポキシド活性化アガロース粒子に共有結合により結合させた。
【0115】
第一に、Micromod Partikelteknologie GmbHからの10μmのMicromer(登録商標)M−NH(250μL、7×10粒子/ml)を、1000μL PBS(15mMリン酸塩、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、1000μL PBSに再懸濁させた。エポキシド活性化アガロース粒子(1mlの沈降したゲル)を、10ml 0.01M NaOH溶液に再懸濁させ、10μm磁性粒子懸濁液に添加し、ボルテックスで30分間室温で反応させた。
【0116】
第二に、Micromod Partikelteknologie GmbHからの5μmのMicromer(登録商標)M−NH(250μL、7×10粒子/ml)を、1000μL PBS(15mMリン酸塩、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、1000μL PBSに再懸濁させた。次に5μm磁性粒子を、アガロース10μm磁性粒子懸濁液に添加し、ボルテックスで30分間室温で反応させた。
【0117】
過剰な磁性粒子を、50ml 10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4で焼結フィルター漏斗により除去し、図5に示すような、5μm及び10μm磁性粒子で装飾されたアガロース粒子を有する溶液をもたらした。
【0118】
(例4)3つのサイズの磁性粒子を含む磁性粒子で装飾されたアガロース粒子の製造
磁性粒子Micromer(登録商標)M−NH(2μm、5μm及び10μm)を、下記のように多孔性エポキシド活性化アガロース粒子に共有結合により結合させた。
【0119】
第一に、Micromod Partikelteknologie GmbHからの10μmのMicromer(登録商標)M−NH(250μL、7×10粒子/ml)を、1000μL PBS(15mMリン酸塩、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、1000μL PBSに再懸濁させた。エポキシド活性化アガロース粒子(1mlの沈降したゲル)を、10ml 0.01M NaOH溶液に再懸濁させ、10μm磁性粒子懸濁液に添加し、ボルテックスで30分間室温で反応させた。
【0120】
第二に、Micromod Partikelteknologie GmbHからの5μmのMicromer(登録商標)M−NH(250μL、7×10粒子/ml)を、1000μL PBS(15mMリン酸塩、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、1000μL PBSに再懸濁させた。次に5μm磁性粒子を、アガロース10μm磁性粒子懸濁液に添加し、ボルテックスで30分間室温で反応させた。
【0121】
第三に、Micromod Partikelteknologie GmbHからの2μmのMicromer(登録商標)M−NH(250μL、7×10粒子/ml)を、1000μL PBS(15mMリン酸塩、150mM NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、1000μL PBSに再懸濁させた。次に2μm磁性粒子を、アガロース10μm/5μm磁性粒子懸濁液に添加し、ボルテックスで30分間室温で反応させた。
【0122】
過剰な磁性粒子を、50ml 10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4で焼結フィルター漏斗に除去し、図6に示すような、2μm、5μm及び10μm磁性粒子で装飾されたアガロース粒子を有する溶液をもたらした。
【0123】
(例5)磁性アガロース粒子へのチオール化プロテインAの固定化
約60μlの沈降させた磁性アガロース粒子(2μm)を、1.5ml Eppendorfチューブにピペットで入れた。磁性アガロース粒子を永久磁石によってEppendorfチューブの壁に引き付け、溶液を除去し、粒子をチオール化プロテインAの1ml溶液(15mMリン酸緩衝液pH8中に1mg/ml)に再懸濁した。室温で1時間反応させ、穏やかに混合した後で、上清を、永久磁石による溶液からの粒子の分離により採取した。上清中のプロテインAの量を、280nm(A280nm)での吸光度を測定することによるUv/Vis分光法で評価した(表1を参照されたい)。
【表1】
【0124】
60μl粒子におけるプロテインAの量を、添加したプロテインA溶液(1mg/ml)中の量から上清中のプロテインAの量(0.6mg/ml)を減算することによって決定した。プロテインA標識の程度は、沈降させた磁性粒子1ml当たりおよそ6.5mgであると決定された。
【0125】
(例6)異なるサイズの磁性粒子を保持する多孔性粒子を用いるマルチプレックス分析
試料混合物中のヒト血清アルブミン(HSA)及び免疫グロブリンG(IgG)の存在並びにリゾチームの非存在の検出を、異なるサイズ有する磁性粒子で装飾された多孔性粒子を含む磁性粒子を用いることによって行った。磁性粒子を、異なる磁性粒子サイズで例2におけるように製造して、図3及び図4におけるような磁性粒子を製造した。2μm磁性粒子で装飾された粒子の内部空間(inner volume)を、共有結合により抗−HSAとカップリングして、抗−HSA−2μm磁性粒子を製造した。
【0126】
類似する様式で抗−IgG−5μm磁性粒子及び抗−リゾチーム−10μm磁性粒子を製造した。この固有の磁性修飾には異なるサイズを有する粒子が含まれるので、2μm磁性粒子、5μm磁性粒子及び10μm磁性粒子が光学顕微鏡で容易に区別される。
【0127】
粒子を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したIgG及びHSAの双方を含有するタンパク質混合物(1ml)に添加し、室温で緩やかに撹拌しながらインキュベートした。15分間後、磁性粒子を磁力分離の使用により5×1ml PBSで洗浄して、磁性粒子懸濁物から非結合性物質を除去した。磁性粒子を、250μl PBSに再懸濁し、蛍光顕微鏡下で視覚化した。FITCからの蛍光が2μm磁性粒子及び5μm磁性粒子で観察されたが、10μm磁性粒子はいかなる蛍光も示さなかった。試料混合物中にHSA及びIgGが存在し、リゾチームが存在しないことが示された。
【0128】
上記実験ではフルオロフォアが1つだけ使用されているように、上述した異なる磁性粒子サイズを含む磁性アガロース粒子の使用により、検出のための3つの異なるフルオロフォアの必要性が排除される。
【0129】
光学顕微鏡において各々の間が容易に区別される3つの異なるサイズの磁性粒子を用いることによって、アガロース粒子に以下の六(6)つの組合せで「装飾する」ことができる。これらを製造し、引き続いてマルチプレックス分析アッセイにおけるバーコードとして使用した:
【0130】
バーコード番号1、2μm磁性粒子を含むアガロース粒子、図3
【0131】
バーコード番号2、5μm磁性粒子を含むアガロース粒子。
【0132】
バーコード番号3、10μm磁性粒子を含むアガロース粒子、図4
【0133】
バーコード番号4、2μm及び10μm磁性粒子を含むアガロース粒子。
【0134】
バーコード番号5、2μm、5μm及び10μm磁性粒子を含むアガロース粒子、図6
【0135】
バーコード番号6、5μm及び10μm磁性粒子を含むアガロース粒子、図5
【0136】
このようにして、単純で、なお信頼のおける、容易に区別できるコード又はフィンガープリントが、本明細書に記載された方法を用いて達成され得る。
【0137】
前述の発明は理解を明確にする目的のために例示及び例の様式で、ある程度詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、特定の変化及び修飾を本発明に行い得ることは本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかになる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2016年5月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面、孔及び該孔によって規定される内表面を有する非磁性多孔性粒子を含む粒子であって、
該多孔性粒子が少なくとも1種のポリマーを含み、該粒子がその外側部分に共有結合した少なくとも1つの磁性粒子を有し、
全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、該多孔性粒子の孔の少なくとも95パーセントの最大直径より大きく、該磁性粒子の少なくとも一部は、該非磁性多孔性粒子の孔に入り込むような径を有し、
該少なくとも1つの磁性粒子が、1つのグループの粒子を別のグループの粒子と区別し得る特徴を構成する、粒子。
【請求項2】
前記多孔性粒子は、アガロース、シリカ、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記多孔性粒子及び前記少なくとも1つの磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つは、検出に適する分子を含む、請求項1又は2に記載の粒子。
【請求項4】
前記検出に適する分子は、有機分子、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸、抗原、酵素、酵素阻害剤、補因子、ホルモン、毒素、複合糖質、レクチン、及び炭水化物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の粒子。
【請求項5】
前記磁性粒子は、ポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の磁性材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスが官能基を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の粒子。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の粒子を用いてアッセイを行う方法であって、
− 該粒子を、分析される少なくとも1つの分析物を含む試料と接触させるステップであって、該粒子が該分析物に親和性を有する該ステップと、
− 該粒子を、粒子に固定化される該分析物に生体親和性を有する分子が固定化されている表面と接触させるステップと、
− 該粒子をi)磁場、ii)重力、及びiii)遠心分離の少なくとも1つに曝露し、次いで表面から非特異的結合粒子を洗い落とすステップと、
− 表面に固定化されている該粒子から、検出可能なシグナルを読み取るステップと
を含む該方法。
【請求項7】
前記アッセイが、診断目的のためのインビトロアッセイである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アッセイが、粒子のサブグループの使用を伴うマルチプレックスアッセイであり、各サブグループの前記多孔性粒子が、異なるサイズの磁性粒子を保持する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アッセイが、粒子のサブグループの使用を伴うマルチプレックスアッセイであり、各サブグループの前記多孔性粒子が、異なる色、異なる色及び/又はサイズの組合せの磁性粒子を保持する、請求項6から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粒子の製造のための方法であって、
a.
− 少なくとも1種のポリマーを含み且つ外表面及び内表面に官能基を含む非磁性多孔性粒子、並びに、
− 表面に官能基を含む磁性粒子(Mp)であって、全ての磁性粒子の重量当たり少なくとも95パーセントの粒子の最小直径が、該非磁性多孔性粒子の孔の少なくとも95パーセントの最大直径より大きく、該磁性粒子の少なくとも一部は、該非磁性多孔性粒子の孔に入り込むような径を有している、該磁性粒子
を用意するステップと、
b.該非磁性多孔性粒子の表面の官能基を、該磁性粒子の表面の官能基と反応させて、共有結合を形成させて、該粒子の外表面部分に共有結合した磁性粒子(Mp)が補充された粒子(P)を得るステップと
を含む該方法。
【請求項11】
前記磁性粒子が、前記非磁性多孔性粒子の密度より高い密度を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記多孔性粒子の外表面及び内表面の官能基が、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロルヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、ビスエポキシラン、カルボニルジイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果である、少なくとも1つの基を含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記磁性粒子の表面の官能基が、ジビニルスルホン、ベンゾキノン、イミダゾール、過ヨウ素酸塩、トリクロロ−S−トリアジン、トシラート、ジアゾニウム、イソ尿素塩、カルボジイミド、ヒドラジン、エピクロルヒドリン、グルタルアルデヒド、臭化シアン、ビスエポキシラン、カルボニルジイミダゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、シラン及びそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応の結果である、少なくとも1つを含む、請求項10から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
検出に適する分子が、前記多孔性粒子及び前記磁性粒子からなる群から選択される少なくとも1つに導入される、請求項10から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記磁性粒子(Mp)が、ポリマーマトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の磁性材料の粒子を含み、該ポリマーマトリックスが官能基を含む、請求項10から14までのいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】