(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-531214(P2016-531214A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】製紙プロセスにおいて歩留まりを増加させるためのナノ結晶セルロースおよびポリマグラフト化ナノ結晶セルロースの使用
(51)【国際特許分類】
D21H 17/25 20060101AFI20160909BHJP
D21H 21/10 20060101ALI20160909BHJP
D21H 21/18 20060101ALI20160909BHJP
C08F 251/02 20060101ALI20160909BHJP
【FI】
D21H17/25
D21H21/10
D21H21/18
C08F251/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-533363(P2016-533363)
(86)(22)【出願日】2014年8月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月4日
(86)【国際出願番号】US2014049619
(87)【国際公開番号】WO2015020965
(87)【国際公開日】20150212
(31)【優先権主張番号】13/962,569
(32)【優先日】2013年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カストロ デヴィッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】カーナティ ランガラニ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン ショウニー エム
(72)【発明者】
【氏名】チェン ウェイグォ
(72)【発明者】
【氏名】リウ メイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジーイー
【テーマコード(参考)】
4J026
4L055
【Fターム(参考)】
4J026AA02
4J026BA08
4J026BA20
4J026BA25
4J026BA27
4J026BA30
4J026BA31
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4J026GA08
4L055AA02
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4L055AH16
4L055AH17
4L055AH18
4L055FA10
4L055FA13
(57)【要約】
本発明は、紙基材の特性を改善するための方法および組成物を提供する。本方法は、紙基材にNCC−ポリマを添加することを含む。NCC−ポリマは特有の化学的性質を有し、これにより、紙基材の湿潤強度、乾燥強度および濾水歩留まり特性の改善が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製紙プロセスにおいて使用される紙基材を改善する方法であって、
NCC−ポリマを提供する工程および
前記NCC−ポリマを紙基材に、製紙プロセスのウェットエンドで添加する工程
を含み、
前記NCC−ポリマは、実質的に、前記紙基材全体に分配される、方法。
【請求項2】
前記NCC−ポリマは、NCCコアに結合されたポリマ鎖を含み、前記ポリマ鎖は、下記からなるリストより選択される1つ以上のモノマから構成される、請求項1に記載の方法:酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸メチル、アクリルアミド、アクリロニトリル、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウム、3−アクリルアミドプロピル−トリメチル−アンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第四級塩、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムメチルスルフェート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムメチルスルフェート、メタクリル酸、無水メタクリル酸、メチルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリルアミドプロピル−トリメチル−アンモニウムクロリド、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ドコシルアクリレート、n−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、エピクロロヒドリン、n−ビニルホルムアミド、n−ビニルアセトアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3−(アリルオキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート、2−(アリルオキシ)エタノール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、カプロラクタムおよびそれらの任意の組み合わせ。
【請求項3】
前記NCC−ポリマは、少なくとも一部がポリマ鎖により連結された少なくとも2つのNCCコアを有するグラフトポリマである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記NCC−ポリマは、NCCコアから延びる第1のポリマ鎖および前記第1のポリマ鎖から逸れていく少なくとも1つの分枝を有する分枝ポリマである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの分枝は、前記第1のポリマ鎖とは異なるモノマの選択から構成され、前記異なる選択は、モノマ種、モノマ比、または両方が異なる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記NCC−ポリマは、前記紙基材の湿潤強度を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記NCC−ポリマは、液体媒質の前記紙基材からの濾水中の固体の歩留まりを増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記NCC−ポリマは前記紙基材の乾燥強度を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記NCC−ポリマは、前記紙基材の湿紙強度を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
製紙プロセスにおいて使用される紙基材を改善する方法であって、
ポリマと混合されたNCCを含むブレンドを提供する工程、および
前記ブレンドを紙基材に、製紙プロセスのウェットエンドにおいて添加する工程
を含み、
前記ブレンドは、実質的に、前記紙基材全体に分配される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙プロセスにおける紙の濾水歩留まり、湿潤強度、および乾燥強度を改善するための組成物、方法、および装置に関する。
【0002】
典型的な製紙プロセスは、下記工程を含む:1)木材または製紙用繊維のいくつかの他の起源をパルプ化する工程、2)パルプから紙マットを生成させる工程であって、紙マットは、セルロース繊維の水性スラリーであり、これは無機鉱物フィラーまたは顔料などの添加剤を含んでもよい、工程、3)このスラリーを移動する製紙ワイヤまたは織物上で堆積させる工程、4)水を濾水することによりスラリーの固体成分からシートを形成する工程、5)シートをプレスし、乾燥させ、さらに水を除去する工程、ならびに6)乾燥シートを、サイズプレスに通すことにより潜在的に再湿潤化させ、さらに乾燥させ、紙製品を形成させる工程。
【背景技術】
【0003】
製紙プロセスを実施する場合、得られた紙製品の品質を確保するために、多くの懸念が考慮される必要がある。例えば水がスラリーから濾水されるときに、多くの繊維および化学添加剤は保持されるべきであり、水と共に流れ出るべきではない。同様に得られたシートは十分な湿潤強度および乾燥強度を有するべきである。
【0004】
例えば、米国特許第7,473,334号、第6,605,674号、第6,071,379号、第5,254,221号、第6,592,718号、第5,167,776号および第5,274,055号に記載されるように、ポリマ凝集剤、およびシリカ系微小粒子などの多くの歩留向上剤が、濾水歩留まりを促進するためにスラリーに添加され得る。歩留向上剤は、水がスラリーから濾水されるときに、固体物質をスラリー内に保持するように機能する。繊維を保持することに加えて、歩留向上剤はまた、蛍光増白剤、フィラー、および強度剤などの添加剤も保持するべきである。そのような歩留向上剤の選択は、水のスラリーからの自由な濾水を可能にしなければならず、かつ、得られる紙製品中の存在する他の添加剤の有効性を妨害する、または別様に、劣化させることがあってはならないという事実により複雑になる。
【0005】
例えば、米国特許第8,465,623号、第7,125,469号、第7,615,135号および第7,641,776号において記載されるように、多くの材料が有効な乾燥強度剤として機能する。これらの薬剤は、得られたシートの強度特性を増加させるために、スラリーに添加することができる。しかしながら、歩留向上剤のように、それらは、水のスラリーからの自由な濾水を可能にしなければならず、また、得られる紙製品中に存在する他の添加剤の有効性を妨害する、または別様に、劣化させることがあってはならない。
【0006】
例えば、米国特許第8,414,739号および第8,382,947号において記載されるように、表面強度剤は、得られる紙製品の研磨力に対する抵抗性を増加させる材料である。表面強度剤はしばしば、コーティングとして、形成された紙シート上にサイズプレスにて適用される。特に重要なのは、そのような薬剤がコーティング中に存在する、サイズ剤および蛍光増白剤などの他のアイテムと適合可能なことである。加えて、望ましい表面強度剤は、得られる紙製品の柔軟性を不当に損なうことがあってはならない。
【0007】
同時に、紙またはその中の添加剤の他の属性を阻害せずに乾燥強度、表面強度、および/または濾水歩留まりを増加させることは困難であるので、乾燥強度、表面強度、および/または濾水歩留まりを改善する、改善された方法が現在必要とされている。このセクションで記載されている技術は、そのようなものとして特定的に指定されない限り、本明細書で言及されるいずれかの特許、刊行物または他の情報がこの発明に関して、「先行技術」であるという承認を構築することを意図しない。加えて、このセクションは、調査がなされた、または37 CFR § 1.56(a)において規定される他の関連のある情報が存在することを意味すると解釈されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,473,334号明細書
【特許文献2】米国特許第6,605,674号明細書
【特許文献3】米国特許第6,071,379号明細書
【特許文献4】米国特許第5,254,221号明細書
【特許文献5】米国特許第6,592,718号明細書
【特許文献6】米国特許第5,167,776号明細書
【特許文献7】米国特許第5,274,055号明細書
【特許文献8】米国特許第8,465,623号明細書
【特許文献9】米国特許第7,125,469号明細書
【特許文献10】米国特許第7,615,135号明細書
【特許文献11】米国特許第7,641,776号明細書
【特許文献12】米国特許第8,414,739号明細書
【特許文献13】米国特許第8,382,947号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2011/0293932号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2011/0182990号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2011/0196094号明細書
【特許文献17】米国特許第8,398,901号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2011/0277947号明細書
【特許文献19】米国特許第8,172,983号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「乳化重合およびエマルジョンポリマ(Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers)」、ピーター A.ラヴェルら(Peter A. Lovell et al)著、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley and Sons)、1997年
【非特許文献2】「重合の原理(Principles of polymerization)」、ジョージ オーディアン(George Odian)著、第4版、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley and Sons)、2004年
【非特許文献3】「RAFT重合のハンドブック(Handbook of RAFT Polymerization)」、クリストファー バーナー−コヴォリック(Christopher Barner-Kowollik)著、ワイリー−VCH(Wiley-VCH)、2008年
【非特許文献4】「ラジカル重合のハンドブック(Handbook of Radical Polymerization)」、クリストフ マチャゼウスキーら(Krzysztof Matyjaszewski et al)著、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley and Sons)、2002年
【非特許文献5】「制御/リビングラジカル重合:ATRP、NMP、およびRAFTにおける進歩(Controlled/Living Radical Polymerization: Progress in ATRP, NMP, and RAFT)」、K.マチャゼウスキーら(K. Matyjaszewski et al)著:オックスフォード大学プレス(Oxford University Press)、2000年
【非特許文献6】「制御されたラジカル重合における進歩:メカニズムおよび技術(Progress in Controlled Radical Polymerization: Mechanisms and Techniques)」、クリストフ マチャゼウスキーら(Krzysztof Matyjaszewski et al)著、ACSシンポジウムシリーズ(ACS Symposium Series)第1023巻、2009年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上で確認される長年の、未解決の要求を満たすために、発明の少なくとも1つの実施形態は製紙プロセスにおいて使用される紙基材を改善する方法に向けられる。本方法はNCC−ポリマを提供する工程、およびNCC−ポリマを紙基材に、製紙プロセスのウェットエンドで添加する工程を含み、ここで、NCC−ポリマは、実質的に、紙基材全体に分配される。
【0011】
NCC−ポリマはNCCコアに結合されたポリマ鎖を含んでもよく、ポリマ鎖は、下記からなるリストより選択される1つ以上のモノマから構成される:酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウム、3−アクリルアミドプロピル−トリメチル−アンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第四級塩、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムメチルスルフェート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムメチルスルフェート、メタクリル酸、無水メタクリル酸、メチルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリルアミドプロピル−トリメチル−アンモニウムクロリド、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ドコシルアクリレート、n−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、エピクロロヒドリン、n−ビニルホルムアミド、n−ビニルアセトアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3−(アリルオキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート、2−(アリルオキシ)エタノール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、カプロラクタムおよびそれらの任意の組み合わせ。
【0012】
NCC−ポリマは、少なくとも一部がポリマ鎖により連結された少なくとも2つのNCCコアを有するグラフトポリマであってもよい。NCC−ポリマはNCCコアから延びる第1のポリマ鎖および第1のポリマ鎖から逸れていく少なくとも1つの分枝を有する分枝ポリマであってもよい。少なくとも1つの分枝は第1のポリマ鎖とは異なるモノマの選択から構成させることができ、異なる選択はモノマ種、モノマ比、または両方が異なる。NCC−ポリマは紙基材の湿潤強度を増加させることができる。NCC−ポリマは液体媒質の紙基材からの濾水中の固体の歩留まりを増加させることができる。
【0013】
追加の特徴および利点は本明細書で記載され、下記詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
本発明の詳細な説明は、図面に具体的に言及して、以下で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】NCC/AM/AA高分子電解質コポリマを形成する反応を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この開示のために、図面における同様の参照番号は、別記されない限り、同様の特徴を示す。図面は、発明の原理の例示にすぎず、発明を、図示される特定の実施形態に制限することは意図されない。
【0017】
下記定義は、本出願、特に特許請求の範囲で使用される用語がどのように解釈されるべきかを決定するために提供される。定義の組織は便宜上にすぎず、定義のいずれも任意の特定のカテゴリに限定されることは意図されない。
【0018】
「ウェットエンド」は、水などの液体媒質が典型的には基材の質量の45%超を占める、プレスセクションの前の製紙プロセスの部分を意味し、ウェットエンドにおいて添加される添加剤は典型的にはスラリー内に浸透し、分配される。
【0019】
「ドライエンド」は、プレスセクションを含み、これに続く製紙プロセスの部分を意味し、ここでは、水などの液体媒質は典型的には基材の質量の45%未満を占め、ドライエンドは、製紙プロセスのサイズプレス部分を含むが、これに限定されず、ドライエンドで添加される添加剤は典型的には、スラリーの外側の別のコーティング層中に残る。
【0020】
「本質的に、から構成される」は、方法および組成物は追加の工程、成分、材料成分などを含んでもよいが、追加の工程、成分および/または材料成分が特許請求される方法および組成物の基本的で新規な特性を実質的に変化させない場合のみであることを意味する。
【0021】
「凝集剤」は、その中である一定の粒子が熱力学的に分散する傾向がある液体キャリア相に添加されると、表面張力および吸着などの弱い物理力の結果としてそれらの粒子の凝集物が形成するように誘発する物質組成物を意味し、綿状沈殿(flocculation)はしばしば、凝集された小球間に介在する液体キャリアの膜と共に凝集された粒子の別個の小球の形成を含み、本明細書では、綿状沈殿は、ASTME20−85で列挙されるそれらの記載品ならびに、化学技術のカークオスマー辞典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第5版(2005年)、(ジョン・ワイリー&サンズ社(Wiley, John & Sons, Inc.)により出版)で列挙されるものを含む。
【0022】
「表面強度」は、研磨力によるダメージに抵抗する紙基材の傾向を意味する。
【0023】
「乾燥強度」は、せん断力(複数可)によるダメージに抵抗する紙基材の傾向を意味し、これは、表面強度を含むが、それに限定されない。
【0024】
「湿潤強度」は、再湿潤化されたときのせん断力(複数可)によるダメージに抵抗する紙基材の傾向を意味する。
【0025】
「湿紙強度」は、基材が依然として湿っている間のせん断力(複数可)に抵抗する紙基材の傾向を意味する。
【0026】
「基材」は、製紙プロセスを通過する、または通過した紙繊維を含む塊を意味し、基材は湿紙、紙マット、スラリー、紙シートおよび紙製品を含む。
【0027】
「紙製品」は、製紙プロセスの最終生成物を意味し、これは、筆記用紙、プリンター用紙、薄葉紙、ボール紙、板紙、および包装紙を含むが、それらに限定されない。
【0028】
「NCC」または「NCCコア」は、ナノ結晶セルロースを意味する。NCCコアはNCC結晶の別個の塊であり、その上にポリマがグラフト化されてもよい。NCCまたはNCCコアはセルロース繊維の酸加水分解により形成されてもよく、またはそうでなくてもよく、NCCまたはNCCコアは、この加水分解により、これに付着された官能基、例えば、限定はされないが、硫酸エステルを有するように修飾されてもよく、またはされなくてもよい。
【0029】
「NCC−ポリマ」は、少なくともNCCコアを、そこから延びる少なくとも1つのポリマ鎖と共に含む物質組成物を意味する。
【0030】
「NCCカップリング」は、少なくとも2つのNCCコアを含む物質組成物を意味し、カップリングは、少なくとも一部において、ポリマ鎖が2つのNCCコアを連結するポリマ結合とすることができ、または、2つ(またはそれ以上)のNCCコアがサブポリマ結合(例えばエポキシド)および/またはNCCコアの原子の1つ以上の直接結合により互いに直接連結されたNCC対となることができる。
【0031】
「本質的に、から構成される」は、方法および組成物は追加の工程、成分、材料成分などを含んでもよいが、追加の工程、成分および/または材料成分が特許請求される方法および組成物の基本的で新規な特性を実質的に変化させない場合のみであることを意味する。
【0032】
「スラリー」は、水などの液体媒質を含み、その中に繊維(例えば、セルロース繊維)および任意でフィラーなどの固体が、スラリーの>99質量%から45質量%が液体媒質となるように分散され、懸濁された混合物を意味する。
【0033】
「界面活性剤」は幅広い用語であり、これはアニオン性、非イオン性、カチオン性、および双性イオン性界面活性剤を含む。界面活性剤の権限のある説明が化学技術のカークオスマー辞典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第3版、第8巻、900−912頁、および、マカッチャンの乳化剤および洗浄剤(McCutcheon's Emulsifiers and Detergents)(どちらも参照により本明細書に組み込まれる)に述べられている。
【0034】
「サイズプレス」は、デンプン、サイズ剤および蛍光増白剤などの表面添加剤を含む水系製剤を塗布することにより、乾燥紙を再湿潤化させる、製紙機の一部を意味し、サイズプレスのより詳細な説明は、参考文献ゲイリー A.スムックによるパルプおよび紙技術者のためのハンドブック、第3版、アンガスウィルドパブリケーションズ社(2002年)(Handbook for Pulp and Paper Technologists, 3rd Edition, by Gary A. Smook, Angus Wilde Publications Inc., (2002))において記載される。
【0035】
万一、上記定義または本出願の他の部分で述べられた記載が、辞書において一般に使用される、または本出願に参照により組み込まれる情報源において述べられた意味(明確または暗黙)と矛盾するという場合には、出願および特許請求の用語は、特に、本出願における定義または記載に従い、一般定義、辞書定義、または参照により組み込まれた定義に従わずに、解釈されるものと理解される。以上を考慮すると、万一、用語が、辞書により解釈される場合、用語が化学技術のカークオスマー辞典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第5版、(2005年)(ジョン・ワイリー&サンズ社(Wiley, John & Sons, Inc.)により出版)により規定される場合にのみ理解できる場合、この定義が、その用語が特許請求の範囲においてどのように規定されるべきかを管理するであろう。
【0036】
発明の少なくとも1つの実施形態は、製紙プロセスにおいて、少なくとも1つのNCC−ポリマを紙基材に添加することに向けられる。NCC−ポリマは、ウェットエンドおよび/またはドライエンドにおいて添加されてもよい。NCC−ポリマは基材の外側にコーティングとして添加されてもよく、または基材内に分散されてもよい。コーティングは、部分的にまたは完全に基材を封入してもよい。NCC−ポリマはNCCコアから延びる直鎖、分枝、環状のポリマを含んでもよく、および/またはNCCグラフトポリマであってもよい。
【0037】
米国特許出願公開第2011/0293932号、第2011/0182990号、第2011/0196094号、および米国特許第8,398,901号に記載されるように、NCCは植物繊維中に存在する天然起源の結晶である。典型的なセルロース含有繊維は非晶質セルロースの領域および結晶セルロースの領域を含む。NCCは、結晶セルロース領域を植物繊維の非晶質セルロース領域から分離することにより得ることができる。それらの緻密な性質により、結晶セルロース領域は、酸加水分解に対して高い抵抗性を有するようになるので、NCCはしばしば、植物繊維を酸加水分解することにより得られる。NCC微結晶は5−10nmの直径および100−500nmの長さを有し得る。NCCは80%以上、しばしば85%と97%の間の結晶割合を有し得る。
【0038】
NCCは非常に強い材料であるが、紙製品におけるその添加剤としての使用は、その小さなサイズのために抑制されている。米国特許出願公開第2011/0277947号段落[0019]において記載されるように、NCCは繊維の非常に短いサブセットであるので、紙繊維の長い伸縮性に強度補助品質を付与するのに十分な長さを有さない。
【0039】
少なくとも1つの実施形態では、製紙基材に添加される組成物は、NCCコアをNCCコアから延びる少なくとも1つのポリマ鎖と共に含む。NCCは、多くのヒドロキシル基を含み、これらは可能なアンカー部位となり、そこからポリマ鎖が延びることができる。本発明、または特許請求の範囲を解釈するのに提供される範囲の特定の理論または設計により制限されないが、その特有のアスペクト比、密度、アンカー部位、剛性および支持強度のために、NCC−ポリマは、ポリマ鎖を特有の配列で配列させることができ、これにより、紙特性を増強させる多くの特有の性質が提供されると、考えられる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマは、製紙プロセスのウェットエンドにおいて添加される。少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマは、製紙プロセスのサイズプレスにおいて、コーティングとして添加される。製紙プロセスのウェットおよびドライエンドならびにその中の化学添加剤のための添加点の詳細な説明は、参考文献、ゲイリー A.スムックによるパルプおよび紙技術者のためのハンドブック、第3版、アンガスウィルドパブリケーションズ社(2002年)において記載される。NCC−ポリマは、製紙プロセスに、任意の他の化学添加剤のためにその中で記載される任意の添加点(複数可)で、その中で記載される方法に従い、装置のいずれかを用いて添加することができる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマは、縮合重合によるNCC結晶上の1つ以上のヒドロキシル基の誘導体化、またはラジカル重合を介するビニルモノマのグラフト化により形成され、所望のエンドユーザー要求が満たされる。
【0042】
少なくとも1つの実施形態ではNCCコアに付着されたポリマは多糖である。少なくとも1つの実施形態では、多糖NCC−ポリマは、石油増進回収における粘度調整剤として、廃水処理のための凝集剤として、および製紙プロセスにおけるフィラー強度剤として使用される。
【0043】
少なくとも1つの実施形態では、NCCコアに付着されたポリマはビニルポリマである。少なくとも1つの実施形態では、それは、少なくとも2つのビニルモノマ、例えば、限定はされないが、アクリルアミドおよびアクリル酸の構造単位を有するコポリマである。ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、および2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリドが水処理および様々な用途のための効率的な凝集剤である。しかしながら、ビニルポリマは制限された生分解性および不十分なせん断安定性を示し、一方、ナノ結晶セルロース(NCC)はせん断安定であるが、凝集剤として、効率が低い。非イオン性、アニオン性、および/またはカチオン性ビニルモノマをNCCコア上で連結させると、より良好に機能する高分子電解質凝集剤、およびフィラー材料が得られる。
【0044】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマは、製紙プロセスに2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリドと一緒に添加される。少なくとも1つの実施形態では、製紙プロセスに添加されるNCC−ポリマは、非NCC−ポリマが耐え、依然として機能することができるものを超えるせん断に曝露され、機能し続ける。
【0045】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマは分枝ポリマであり、この場合、ポリマ構造単位の第1の鎖がNCCコアから延び、1つ以上の別個の他の鎖が第1のポリマ鎖から、および/または他の別個の鎖分枝から分岐する。少なくとも1つの実施形態では、第1の鎖は、モノマ単位の構成の仕方が分枝鎖の1つ以上とは異なっている。鎖組成の違いにより、様々な官能基をポリマに付与する手段として、様々なポリマ配列が可能になる。これにより、2つ以上のポリマの最も良好な性質を1つの物理的単位で組み合わせることも可能になる。例えば、第1の鎖は、優れた効果を有する幾何学に従い、機能的に活性なポリマ分枝を支持または配置する能力のために選択することができる。
【0046】
少なくとも1つの実施形態では、ポリマ鎖/分枝は、グローツー(grow-to)法、グローフロム(grow-from)法、および/またはグロースルー(grow-through)法の1つ以上に従い成長する。グローツーアプローチでは、予め形成されたポリマの末端基がNCCコア上の官能基と結合される。グローフロムアプローチでは、ポリマ鎖の成長は、NCCコアに付着された開始部位から起こる。グロースルーアプローチでは、セルロースのビニルマクロモノマがNCCコアから、低分子量コモノマと共重合される。
【0047】
3つの成長アプローチのいずれかのために使用することができるビニルモノマの代表例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸アンモニウム、メチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−1−スルホン酸ナトリウム、3−アクリルアミドプロピル−トリメチル−アンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第四級塩、2−(アクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムメチルスルフェート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(メタクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムクロリド、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)−N,N,N−トリメチルエタンアミニウムメチルスルフェート、メタクリル酸、無水メタクリル酸、メチルメタクリレート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリルアミドプロピル−トリメチル−アンモニウムクロリド、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ドコシルアクリレート、n−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、エピクロロヒドリン、n−ビニルホルムアミド、n−ビニルアセトアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3−(アリルオキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート、2−(アリルオキシ)エタノール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、カプロラクタムおよびそれらの任意の組み合わせ。
【0048】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマの製紙完成紙料(furnish)またはスラリーへの添加は、濾水歩留まりを改善する。実施例で示されるように、デンプン、カチオン性凝集剤およびアクリル酸ポリマと一緒に使用されるNCC−ポリマは、NCC−ポリマを欠くそのような濾水プログラムより優れた歩留まり性能を有する。完成紙料の微粒子(fines)、フィラー、および他の成分の改善された歩留まりにより、白水へ損失されるそのような成分の量が減少し、よって、材料廃棄物の量、廃棄物投棄のコストおよび有害な環境影響が低減される。製紙プロセスにおいて使用される材料の量を低減させることは一般に望ましい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマを製紙完成紙料またはスラリーに添加すると、湿潤強度が改善される。米国特許第8,172,983号に記載されるように、より多くのフィラー(例えばPCCまたはGCC)の紙への添加を可能にするには、紙における高い程度の湿潤強度が望ましい。フィラー量を増加させると、優れた光学特性および経費節約(フィラーは繊維より安価である)が得られる。
【0050】
少なくとも1つの実施形態では、NCC−ポリマは、コーティングとしてまたはコーティングの一部として、製紙プロセスのサイズプレス中に添加される。NCC−ポリマは、サイズプレス動作中に塗布されるコーティングとして添加されてもよく、サイズプレス中に添加されるデンプン、サイズ剤または任意の他の添加剤と一緒に添加されてもよい。
【0051】
少なくとも1つの実施形態では、製紙プロセスに添加されるNCC−ポリマはNCCグラフトポリマである。グラフトポリマは2つ以上のNCCコアを含む。NCCグラフトポリマは、NCCコア間を架橋する単一のポリマ鎖を含んでもよい。NCCグラフトはまた、互いに架橋されている別個のポリマ鎖を有する2つ以上のNCCコアを含んでもよい。そのようなものとして、NCC−ポリマは、少なくとも1つの他のNCC−ポリマに架橋され、ここで、架橋はポリマの構造単位の1つに位置し、NCCコアには位置しない。架橋は、当技術分野で知られている1つ以上のポリマ架橋剤により達成され得る。NCCグラフトポリマは米国特許出願公開第2011/0182990号に記載されるように、ヒドロゲルの形態であってもよい。
【0052】
少なくとも1つの実施形態では、組成物が、商業的プロセスに添加される。組成物は下記を含む混合物である:a)NCC−ポリマでないポリマ添加剤と混合されたNCC、b)NCC−ポリマであるポリマ添加剤と混合されたNCC、および/またはc)NCC−ポリマであるポリマ添加剤。少なくとも1つの実施形態では、ポリマ添加剤は、NCC、非イオン性、水溶性モノマ、アニオン性モノマ、カチオン性モノマ、およびそれらの任意の組み合わせの1つ以上から構成されるポリマである。ポリマ添加剤は、参考文献において記載される任意のプロセスにより製造され得る:乳化重合およびエマルジョンポリマ(Emulsion Polymerization and Emulsion Polymers)、ピーター A.ラヴェルら(Peter A. Lovell et al)著、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley and Sons)、(1997年)、重合の原理(Principles of polymerization)、ジョージ オーディアン(George Odian)著、第4版、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley and Sons)、(2004年)、RAFT重合のハンドブック(Handbook of RAFT Polymerization)、クリストファー バーナー−コヴォリック(Christopher Barner-Kowollik)著、ワイリー−VCH(Wiley-VCH)、(2008年)、ラジカル重合のハンドブック(Handbook of Radical Polymerization)、クリストフ マチャゼウスキーら(Krzysztof Matyjaszewski et al)著、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley and Sons)、(2002年)、制御/リビングラジカル重合:ATRP、NMP、およびRAFTにおける進歩(Controlled/Living Radical Polymerization: Progress in ATRP, NMP, and RAFT)、K.マチャゼウスキーら(K. Matyjaszewski et al)著:オックスフォード大学プレス(Oxford University Press)、(2000年)、ならびに、制御されたラジカル重合における進歩:メカニズムおよび技術(Progress in Controlled Radical Polymerization: Mechanisms and Techniques)、クリストフ マチャゼウスキーら(Krzysztof Matyjaszewski et al)著、ACSシンポジウムシリーズ(ACS Symposium Series)第1023巻、(2009年)。ポリマ添加剤は、任意のプロセス、例えば、限定はされないが、溶液、乳化、逆相乳化、分散、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加−開裂連鎖移動重合(RAFT)、および開環重合により製造され得る。
【0053】
ポリマ添加剤は、下記などの商業的プロセスのいずれかにおける任意の公知の化学薬品供給点に添加してもよい:
・下記を含む産業廃水処理:浄化、溶存空気浮上法、導入空気浮上法、脱水、および原水処理における固体液体分離、
・油分離適用。濾過助剤、金属除去。
・下記を含む紙、板紙、薄葉紙、およびパルプ製造:製造プロセス改善、微小粒子歩留まりおよび脱水、コーティングおよび表面処理、機能性添加剤
・下記を含む冷却水処理:炭酸カルシウム抑制剤、リン酸カルシウム抑制剤、リン酸亜鉛安定剤、鉄および/またはシルト分散剤、生物分散剤(Biodispersant)、シリカスケール抑制剤、他の種のためのスケール抑制剤(例えば、フッ化カルシウム、硫酸カルシウム、など)、腐食およびスケール二重抑制剤
・下記を含む油井処理流体およびそれらの適用:掘削流体および作業、セメントおよびセメンチング作業、仕上げ流体および作業、刺激流体(酸性化および破砕)および作業、水適合性化学および適用、また石油増進回収(EOR)化学および作業
・下記を含む食器洗浄業務(Industrial warewash)適用:洗浄水の硬度の低減、硬水膜蓄積の防止、金属器の腐食の阻止、食器からの汚れ除去、再汚染の防止
・下記を含むクリーニング工場適用:洗浄水の硬度の低減、硬水膜蓄積の防止、織物の硬水外被(encrustation)の防止、織物の脱水、織物からの汚れ除去、織物上での汚れ蓄積の防止、洗浄における再汚染の防止、織物の色の保持、洗浄における染料移動の防止、柔軟剤の織物への送達、抗菌薬の織物への送達、香料の織物への送達
・下記を含む医療用途:クリーニング/処理加工中での金属機器の腐食の阻止
・下記を含む採掘および選鉱:鉱物基材の採掘または輸送、任意の鉱物選鉱プロセスまたは関連する廃棄物処理プロセスにおいて適用されるプロセス添加剤。採掘および選鉱は、限定はされないが、下記を含む:アルミナ、石炭、銅、貴金属ならびに砂および砂利。含められる用途としては、限定はされないが、下記が挙げられる:固体液体分離、浮選、スケール制御、防塵、金属除去および結晶成長調整剤
・下記を含むシリカ材料およびプロセス適用:強度改善のためのバインダ、スリップおよび焼き流し鋳造、触媒産業(テンプレート)、耐火物、剥離および研磨、消泡剤、印刷(インクジェット/オフセット)、濾水助剤。
・下記の1つ以上に記載される任意の商業的プロセス:US特許出願第13/416,272号および第13/730,087号、米国特許出願公開第2005/0025659号、第2011/0250341A1号、第2013/0146099号、第2013/0146102号、第2013/0146425号、第2013/0139856号、および/または米国特許第2,202,601号、第2,178,139号、第8,465,623号、第4,783,314号、第4,992,380号、第5,171,450号、第6,486,216号、第6,361,653号、第5,840,158号、第6,361,652号、第6,372,805号、第4,753,710号、第4,913,775号、第4,388,150号、第4,385,961号、第5,182,062号、第5,098,520号、第7,829,738号、第8,262,858号、第8,012,758号、第8,288,835号、第8,021,518号、第8,298,439号、第8,067,629号、第8,298,508号、第8,066,847号、第8,298,439号、第8,071,667号、第8,302,778号、第8,088,213号、第8,366,877号、第8,101,045号、第8,382,950号、第8,092,618号、第8,440,052号、第8,097,687号、第8,444,812号、第8,092,649号、第8,465,623号、第8,082,649号、第8,101,045号、第8,123,042号、第8,242,287号、第8,246,780号、第8,247,593号、第8,247,597号、第8,258,208号、および/または第8,262,852号。
【0054】
ポリマ添加剤において使用するのに好適な代表的な非イオン性、水溶性モノマとしては、下記の1つ以上が挙げられる:アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、エピクロロヒドリン、アクリロニトリル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、3−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、2−アリルオキシエタノール、ドコシルアクリレート、N−t−ブチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エピクロロヒドリン−ジメチルアミン、カプロラクタム、など。
【0055】
ポリマ添加剤において使用するのに好適な代表的なアニオン性モノマとしては、下記の1つ以上が挙げられる:アクリル酸、およびその塩、例えば、限定はされないがアクリル酸ナトリウム、およびアクリル酸アンモニウム、メタクリル酸、およびその塩、例えば、限定はされないがメタクリル酸ナトリウム、およびメタクリル酸アンモニウム、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、AMPSのナトリウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホネート、無水マレイン酸、マレイン酸、およびその塩、例えば、限定はされないが、ナトリウム塩、およびアンモニウム塩、スルホン酸塩イタコン酸塩、スルホプロピルアクリレートまたはメタクリレート、またはこれらまたは他の重合可能なカルボン酸またはスルホン酸の他の水溶性形態ならびにクロトン酸およびその塩。スルホメチル化アクリルアミド、アリルスルホネート、ビニルスルホン酸ナトリウム、イタコン酸、アクリルアミドメチルブタン酸、フマル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、アリルホスホン酸、3−(アリルオキシ)−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、スルホメチル化アクリルアミド、ホスホノ−メチル化アクリルアミド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなど。
【0056】
ポリマ添加剤において使用するのに好適な代表的なカチオン性モノマとしては、下記の1つ以上が挙げられる:ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびメタクリレートおよびそれらの第四級または酸塩、例えば、限定はされないが、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロリド第四級、ジメチルアミノエチルアクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルアクリレート塩酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロリド第四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート硫酸塩、ジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドまたはメタクリルアミドおよびそれらの第四級または酸塩、例えばアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドメチルスルフェート第四級塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド硫酸塩、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド塩酸塩、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアリルジエチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドおよび2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド。アルキル基は一般にC1−4アルキルである。
【実施例】
【0057】
前記は下記実施例を参照することにより、よりよく理解することができ、これらは、説明目的のために提示され、本発明の範囲を制限することは意図されない。特に、実施例は、発明の本質的な原理の代表例を示し、これらの原理は、これらの実施例において列挙される特定の条件に厳密に制限されない。その結果、発明は、本明細書で記載される実施例に対する様々な変更および改変を包含し、そのような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、かつその意図される利点を少なくすることなく実施可能であることが理解されるべきである。そのため、そのような変更および改変は添付の特許請求の範囲に含められることが意図される。
【0058】
実施例#1:
多くのNCC−ポリマをグローイング−フロム(growing-from)アプローチに従い製造した。4口の1.5L反応器に、a)金属シャフトおよび円錐スターラーに連結されたオーバーヘッドメカニカルスターラー、b)窒素入口およびスパージ管、c)還流冷却器が取り付けられたクライゼンアダプター、d)テフロン(登録商標)コネクタを介して挿入される温度プローブ(RTD)を取り付け、温度をアテナ(Athena)により制御した。反応器に562.5mLのpH調整したNCC(1.14×10
−6mol、2.81g、pH=2)分散物を添加し、N
2で30分間パージし、その後、硝酸セリウムアンモニウム(CAN、1.12×10
−3mol、6.17g)を、NCC骨格と15分間、N
2下、室温(R.T.)にて反応させた。反応器を70℃に設定し、その後、52.41gのアクリルアミド(7.38×10
−1mol)、17.08gのアクリル酸(3.16×10
−1mol)および水(84.67g)を反応器に42℃で添加した。反応混合物を、70℃まで加熱し、70℃で6時間維持した。45分で、160ppmの次亜リン酸ナトリウムを添加した。反応を、反応アリコート(500−1000ppmのヒドロキノンで反応停止させた)のHNMR分析によりモニタし、6時間で92%変換に到達した(表2)。後修飾(Post modification)を過硫酸カリウム(KPS、500μmol)およびメタ重亜硫酸ナトリウム(SBS、3500μmol)を用いて実施し、残留モノマを使い尽くした。窒素スパージを反応を通して維持した。ポリマの最終pHをNaOHを用いて3.5に調整し、適用試験に供した。全てのサンプルを残留アクリルアミドおよびアクリル酸分析に供した。結果を、表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
NCC−ポリマをその後、紙完成紙料に添加した。アルカリ性完成紙料は、8.1のpHを有し、80重量%セルロース繊維および、0.5重量%の稠度に希釈された20%沈降炭酸カルシウムから構成された。繊維は、2/3の広葉樹さらしクラフトおよび1/3の針葉樹さらしクラフトから構成された。NCCおよびポリマ−グラフト化NCCの歩留まり性能をブリットジャー(Britt Jar)試験法を使用して評価した。試験順序を以下に示す。
【表2】
【0061】
500mlの完成紙料をブリットジャーに入れ、1250rpmで混合した。その後、デンプンソルビトース(Solvitose)Nを10lb/トン乾燥重量で5秒に入れた。カチオン性凝集剤61067を20秒に入れた。その後、55秒に、NCCまたはNCC−ポリマを入れた。濾水を60秒に開始し、90秒に終了した。濾水液(濾液)を濁度測定のために収集した。濾液の濁度は、完成紙料歩留まり性能に反比例する。濁度低減%は歩留まりプログラムの歩留まり性能に比例する。濁度低減%が高いほど、微粒子/またはフィラーの歩留まりが高くなる。2つの市販製品、ナルコ(Nalco)8677プラス(Plus)(ポリアクリル酸ポリマ)およびナルコ8699(シリカ製品)を、参照として歩留まり性能に対して試験した。
【表3】
【0062】
データからわかるように、0.5lb/トンから2.0lb/トンの試験した投与範囲では、NCCは、ブランク実施例に比べ、さらに28.8%から39.1%の濁度低減を提供し、これは、2つの参照8677プラスおよび8699よりもうまく機能した。ナルコ8677プラスは1.0lb/トンでブランクよりも14.6%大きな濁度低減しか示さず、ナルコ8699は2.0lb/トンでブランクよりも16.2%大きな濁度低減しか示さなかった。アクリル酸を有するNCC−ポリマ(NCC/AA)およびアクリルアミド/アクリル酸を有するNCC−ポリマ(NCC/AM/AA)は、それぞれ、ブランクよりも25%大きな濁度低減および18%大きな濁度低減を示した。結果から、NCCおよびNCC−ポリマはどちらも試験した完成紙料の濁度低減を著しく改善し、これにより、紙生産においてより良好な歩留まり効率およびコスト低減が得られることが明らかになった。
【0063】
実施例#2:
実験は、従来のポリアクリルアミド系乾燥強度剤N−1044と比較して、NCCおよびNCC−ポリマの、シート乾燥強度を増加させる能力を対比した。この実施例で使用されるNCC−ポリマは、表1で列挙される6653−145である。完成紙料は60%の広葉樹および20%の針葉樹およびフィラーとして、20%の沈降炭酸カルシウム(PCC)を含んでいた。18lb/トンのカチオン性デンプンスタロック(Stalok)310を従来の乾燥強度剤として添加し、様々な投与量のNCC、NCC−ポリマおよびN−1044をカチオン性デンプン後に添加した。1lb/トンのN−61067を歩留向上剤として添加した。処理した完成紙料を使用して、ノーブル&ウッド(Noble & Wood)ハンドシートモールドを用いてハンドシートを製造した。紙を静的プレス(static press)を使用してプレスし、これを1回、約105℃のドラム乾燥機に通すことにより乾燥させた。得られたハンドシートを23℃および50%相対湿度で少なくとも12時間平衡化させ、その後、試験した。各条件に対し5つの2組のハンドシートを製造し平均値を記録した。
【0064】
ハンドシート結果の概要を下記表に列挙した。
【表4】
【0065】
乾燥強度剤N−1044およびNCC−ポリマの添加により、フィラー歩留まりおよびシート中へのフィラー量が変化した。しかし、シート強度(ZDTおよび比引張強さ(tensile index))は灰分量に対して直線的に減少すると仮定して、実施例1および2から導出した強度とフィラー量の関係に基づき、シート特性を固定した灰分量20%で比較した。表で示されるように、NCCはシート強度を著しくは増加させなかった。その一方、NCC−ポリマはZDTおよび引張強さを20%を超えて増加させた。NCC−ポリマは、とりわけ低い投与量2lb/トンで、N−1044より有効であった。
【0066】
実施例#3:
NCCおよびNCC−ポリマの、紙の表面強度を増加させる能力を測定するために、実験室内実験を実施した。16%の灰分を含み、サイズプレスを通過させていない原紙を、ドローダウン(drawdown)方法を使用して、所望の化学物質を含む溶液を用いてコートした。コーティング前後の紙の質量を使用して、特定の化学物質投与量を決定した。紙を、1回、約95℃のドラム乾燥機に通すことにより乾燥させ、23℃および50%相対湿度で少なくとも12時間平衡化させ、その後、試験した。
【0067】
表面強度をTAPPI(米国紙パルプ技術協会)方法T476om−01を使用して測定した。この測定では、表面強度は、ターンテーブル上で、2つの研磨ホイールにより、系統的に「擦った」後に紙の表面から損失された質量に反比例する。結果は、1000回転あたりの損失した材料のmg(mg/1000revs)で報告される:数が低いほど、表面は強い。
【0068】
第1の研究は、NCCの性能を、紙表面強度を増加させることが知られているAA/AMのコポリマと比較した。研究の一部として、NCCのコポリマとの2つのブレンドを試験した。下記表は、条件および結果を示す:
【表5】
【0069】
最初の3つの条件は、デンプン投与量の範囲に及んでおり、その中で、NCC、コポリマおよびブレンドを含む条件が投与される。デンプンの強化効果を説明した後、摩耗損失結果によりNCCおよびAA/AMコポリマは同様の性能レベルを有することが証明される。効果は添加剤を50:50および33:67のNCC:AA/AM比でブレンドすると、さらに増強される。
【0070】
次に、研究を、NCCの表面上にAA/AMコポリマを成長させると、紙表面強度が改善されるかどうかを決定し、その性能をNCCと比較するように設計した。この研究の一部として、AA/AMモノマ比が変動する3つのNCC−ポリマを試験した。下記表は、条件および結果を示す:
【表6】
【0071】
最初の3つの条件は、デンプン投与量の範囲に及んでおり、その中で、NCCおよびNCC−ポリマを含む条件が投与される。条件の各々において、デンプン投与を説明した後、摩耗損失結果により、NCCの表面上へのAA/AMコポリマのグラフト化はNCCを超える改善となることが証明される。しかしながら、30/70から70/30の範囲のAA/AMモノマ比によって、表面強度性能は影響されない。
【0072】
次に、研究を、表面強度性能を条件の全ての関数として同時に比較するように設計した(すなわち、未修飾、異なるモル比のアニオン性ポリマで修飾、および未修飾NCCのAA/AMコポリマとのブレンド)。下記表は、条件および結果を示す。
【表7】
【0073】
最初の2つの条件はデンプンを含むだけであり、一方、残りは約1または3lb/tの添加剤を含んでいた。条件15−18では、未修飾NCC:AAAMブレンドを10:90質量比で調製した。この研究における複数の変数の寄与は、結果の回帰分析を用いて、よりよく解明された。分析のためのモデルにより、モデルに統計学的に寄与する全ての変数(デンプン、AA/AMコポリマ、NCC、NCC−ポリマ、ならびにAA/AMコポリマおよびNCCのブレンド)を用いて0.80の相関係数が得られた。最高から最低まで、紙表面の強化に対するそれらの寄与の大きさは下記の通りである:
1.AA/AMコポリマおよびNCCのブレンド
2.AA/AM コポリマ
3.NCC−ポリマ
4.NCC
【0074】
この発明は多くの異なる形態で具体化され得るが、本明細書で詳細に記載されるのは発明の特定の好ましい実施形態である。本開示は本発明の原理の例示であり、発明を、説明された特定の実施形態に制限することを意図しない。本明細書で言及される全ての特許、特許出願、科学論文、および任意の他の参照資料は、その全体が参照により組み込まれる。さらに、本発明は、本明細書で言及される、本明細書で記載されるおよび/または本明細書で組み込まれる様々な実施形態のいくつかまたは全ての任意の可能な組み合わせを包含する。加えて、本発明は、本明細書で言及される、本明細書で記載されるおよび/または本明細書で組み込まれる様々な実施形態の任意の1つまたはいくつかを特定的に排除する任意の可能な組み合わせを包含する。
【0075】
上記開示は例示であり、包括的ではないことが意図される。この記載は、多くの変更および代替を当業者に示唆するであろう。これらの変更および代替は、特許請求の範囲に含まれることが意図され、ここで、「含む」という用語は、「含むが、限定はされない」を意味する。当技術分野に精通したものは本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、これらの等価物もまた、特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【0076】
本明細書で開示される全ての範囲およびパラメータは、その中に包含される任意のおよび全てのサブレンジならびに端点間の全ての数を含むことが理解される。例えば、「1から10」の言明された範囲は、1の最小値と10の最大値(それらを含む)の間の任意のおよび全てのサブレンジを含むと考えられるべきであり、すなわち、1以上の最小値(例えば1から6.1)から始まり、10以下の最大値(例えば2.3から9.4、3から8、4から7)で終わる全てのサブレンジ、ならびに最終的には、その範囲内に含まれる各数1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10である。本明細書における全てのパーセンテージ、比および割合は、他に特に規定がなければ、重量による。
【0077】
これで、発明の好ましい別の実施形態の記載を終わる。当業者であれば、本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、それらの等価物は、これに添付された特許請求の範囲により包含されることが意図される。
【国際調査報告】