特表2016-531294(P2016-531294A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-531294レーザー計測器及び保持部材にレーザー計測器を取り付けるための保持固定具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-531294(P2016-531294A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(54)【発明の名称】レーザー計測器及び保持部材にレーザー計測器を取り付けるための保持固定具
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20160909BHJP
【FI】
   G01C15/00 105R
   G01C15/00 103C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-535457(P2016-535457)
(86)(22)【出願日】2014年8月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2014067620
(87)【国際公開番号】WO2015024923
(87)【国際公開日】20150226
(31)【優先権主張番号】13181172.1
(32)【優先日】2013年8月21日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー センガー
(57)【要約】
レーザー計測器101は、レーザーハウジング116と、レーザー計測器のハウジング116内に少なくとも部分的に配置される計測機器117と、レーザー計測器のハウジング116と接続され、レーザー計測器101を保持固定具102に接続する第1接続手段106とを備える。第1接続手段106は、第1磁気接続要素127、128と、第1差込要素129とを有する。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー計測器のハウジング(29、63、116、143、173)と、
前記レーザー計測器のハウジング(29、63、116、143、173)内に少なくとも部分的に配置された計測機器(19、117、144、174)と、
前記レーザー計測器のハウジング(29、63、116、143、173)に接続され、前記レーザー計測器(11、61、101、141、171)を保持固定具(12、62、102、142、172)に接続する第1接続手段(28、64、106、145、175、201)とを備え、
前記第1接続手段(28、64、106、145、175、201)は、第1磁気接続要素(45、46、81、82、127、128、156、157、191、203)と、第1差込要素(47、48、83、84、129、158、192、204)とを有する、
ことを特徴とするレーザー計測器(11、61、101、141、171)。
【請求項2】
前記第1差込要素がソケット(47、48、83、84、129、158、192、204)として形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー計測器。
【請求項3】
前記第1磁気接続要素が永久磁石(45、46、81、82、156、157、191、212)として形成されるか、永久磁石(207)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー計測器。
【請求項4】
前記永久磁石が柱体永久磁石(45、46、81、82、156、157、191、207、212)又は球形永久磁石として形成されることによって、前記永久磁石の極が前記第1差込要素(47、48、83、84、129、158、192、204)の差込方向と平行に配置される、ことを特徴とする請求項3に記載のレーザー計測器。
【請求項5】
前記第1磁気接続要素(203)が強磁性又はフェリ磁性体要素(208)を有する、ことを特徴とする請求項3又は4に記載のレーザー計測器。
【請求項6】
前記第1磁気接続要素が強磁性又はフェリ磁性体接合素子(127、128)として形成される、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー計測器。
【請求項7】
前記第1接続手段(28、64、106、145)が2つの第1磁気接続要素(45、46、81、82、127、128、156、157)及び/又は2つの第1差込要素(47、48、83、84)を有する、ことを特徴とする請求項1乃至6の少なくとも1つに記載のレーザー計測器。
【請求項8】
前記レーザー計測器のハウジング(29)が基部ハウジング(14)と前記基部ハウジング(14)を囲む保護ハウジング(27)との2つの部分から成り、よって前記第1接続手段(28)が前記保護ハウジング(27)に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー計測器。
【請求項9】
前記レーザー計測器のハウジング(63、116、143、173)が一体として構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザー計測器。
【請求項10】
レーザー計測器(11、61、101、141、171)を保持部材(13、103)に取り付けるための保持固定具(12、62、102、142、172)であって、
基部要素(41、73、102、153、176)と、
前記基部要素(41、73、102、153、176)に接続され、前記保持固定具(12、62、102、142、172)を前記保持部材(13、103)に接続する取付手段(42、74、109、154、177)と、
前記基部要素(41、73、102、153、176)に取り付けられ、前記保持固定具(12、62、102、142、172)を前記レーザー計測器(11、61、101、141、171)に取り付ける第2接続手段(43、75、107、155、178、202)とを備え、
前記第2接続手段(43、75、107、155、178、202)は、第2磁気接続要素(51、52、85、86、131、132、161、162、193、205)と、第2差込要素(53、54、88、89、133、163、194、206)とを有する、
ことを特徴とする保持固定具(12、62、102、142、172)。
【請求項11】
前記第2差込要素がプラグ(53、54、88、89、133、164、193、206)として形成される、ことを特徴とする請求項10に記載の保持固定具。
【請求項12】
前記第2磁気接続要素(203)が強磁性又はフェリ磁性体接合素子(217)として形成される、ことを特徴とする請求項10に記載の保持固定具。
【請求項13】
前記第2磁気接続要素が永久磁石(131、132、161、162)として形成されるか、永久磁石(213、218)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の保持固定具。
【請求項14】
前記第2磁気接続要素(205)が強磁性又はフェリ磁性体要素(214、219)をさらに有する、ことを特徴とする請求項13に記載の保持固定具。
【請求項15】
前記第2接続手段(43、75、107、155)が2つの第2磁気接続要素(51、52、85、86、131、132、161、162)及び/又は2つの第2差込要素(53、54、88、89)を有する、ことを特徴とする請求項10乃至14の少なくとも1つに記載の保持固定具。
【請求項16】
ハウジング(29、63、116、143、173)と、計測機器(19、117、144、174)と、第1接続手段(28、64、106、145、175、201)とを有するレーザー計測器(11、61、101、141、171)と、
基部要素(41、73、102、153、176)と、前記保持固定具(12、62、102、142、172)を保持部材(13、103)に取り付けるための取付手段(42、74、109、154、177)と、第2接続手段(43、75、107、155、178、202)とを備え、前記レーザー計測器(11、61、101、141、171)を前記保持部材(13、103)に取り付けるための保持固定具(12、62、102、142、172)とを備え、
前記第1接続手段(28、64、106、145、175、201)は、第1磁気接続要素(45、46、81、82、127、128、156、157、191、203)と、第1差込要素(51、52、83、84、129、158、192、204)とを有し、前記第2接続手段(43、75、107、155、178、202)は、第2磁気接続要素(47、48、85、86、131、132、161、162、193、205)と、第2差込要素(53、54、88、89、133、163、194、206)とを有し、よって前記第1差込要素と前記第2差込要素(51、52、53、54、83、84、88、89、129、133、158、163、192、194、204、206)が接続されている場合、該要素がプラグ−アンド−ソケット接続を構成する一方、前記第1磁気接続要素と前記第2磁気接続要素(45、46、47、48、81、82、85、86、127、128、131、132、156、157、161、162、191、193、203、205)は磁気接続を形成する、
ことを特徴とするデバイスシステム(10、60、100、140、170)。
【請求項17】
前記磁気接続要素(45、46、47、48、81、82、85、86、127、128、131、132、156、157、161、162、191、193、203、205)間の前記磁気接続の力が最大となるのは、前記差込要素(51、52、53、54、83、84、88、89、129、133、158、163、192、194、204、206)間で前記プラグ−アンド−ソケット接続が確立されている時である、ことを特徴とする請求項16に記載のデバイスシステム。
【請求項18】
前記プラグ−アンド−ソケット接続が確立されると、前記第1接続手段及び前記第2接続手段(28、43、64、75、106、107、145、155、175、178、201、202)が前記回転レーザー(11、61、101、141、171)の第1接触面(36、72、126、147、181)を前記保持固定具(12、62、102、142、172)の第2接触面(57、58、93、112、167、197)に接続する、ことを特徴とする請求項17に記載のデバイスシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1が総称的に記載するレーザー計測器(レーザー墨出器)、請求項10が総称的に記載する保持部材にレーザー計測器を取り付けるための保持固定具、及び請求項16が総称的に記載するレーザー計測器と保持固定具から成るデバイスシステムに関する。
【0002】
本発明に言う「レーザー計測器」には、光学又は電子光学部品を備えた計測機器を用いた全ての装置が含まれる。レーザー計測器の例としては、レーザー受光器、距離測定用レーザー、ポイントレーザー、及び/又はラインレーザー並びに回転レーザーが含まれる。
【背景技術】
【0003】
レーザー計測器が落下した時の丈夫さ(耐衝撃性能)は、新しい材料の使用、様々な種類の材料の組み合わせ、及び構造対策により改善される。目標点又は目標領域にレーザー光を定めるには、レーザー計測器を保持部材に取り付けることが必要となることが多い。保持部材は、三脚、可動保持部材、及び固定保持部材に分けられる。可動保持部材は、ユーザーが手で持つことができ、持ち運んで移動できる。可動保持部材の例としては、調査員の機材、レベリングロッド、吊り下げロッド、及び伸縮ロッドがある。固定保持部材は、測定が行われる場所に配置されるそれぞれ機能の異なる部材であって、保持部材としてユーザーに用いられる。固定保持部材の例としては、壁のレール、ドア、又は窓枠及びパイプがある。三脚又は可動保持部材にレーザー計測器が取り付けられたような保持部材は、レーザー計測器の丈夫さに関しては不都合があることがわかっている。
【0004】
特許文献1には、レーザー計測器を管状の保持部材に取り付けるために、回転が可能な3本の脚を有する三脚を保持固定具にすることが開示されている。保持固定具は、基部要素と、保持部材に保持固定具を取り付ける取付手段と、レーザー計測器に保持固定具を接続する接続手段とを備える。三脚の脚は、回転軸の周りを回転可能に構成され、角度のついた基部要素とすることができる。よって、1つの脚は垂直、2つの脚は水平になる。取付手段は、取付け帯と、V字型の接触面とを有するアダプターとを備える。アダプターは、V字型の接触面により管状の保持部材上に置かれ、その後に取付け帯により保持部材に取り付けられる。アダプターは、管状の保持部材への取付にのみ必要となることから、アダプターと三脚の脚の接続は脱着が可能な磁力接続とされる。三脚の垂直脚は、接続時にはアダプターの強磁性領域と向かい側に位置する永久磁石を少なくとも1つ有する。保持固定具をレーザー計測器に接続するために、三脚の脚の中で一番上の水平脚にあるねじ付きボルトは、回転レーザーの下側のねじ穴とともにねじ接続を構成する。
【0005】
保持固定具は、回転レーザーの丈夫さ(耐衝撃性能)を低下させる。レーザー計測器を落とした際にアダプターと角度のついた基部要素の磁力接続が切断されても、突き出た角度のついた要素に働く力はねじ接続を通じてレーザー計測器のハウジングに伝播する。これが意味するのは、実際にレーザー計測器を落とした場合に、ねじが接続されている領域において、レーザー計測器のハウジングでひび割れ又はその他の損傷が発生するということである。
【0006】
特許文献2は、レーザー計測器と、レーザー計測器を磁力による保持部材に取り付けるための保持固定具から成るレーザー計測器のシステムを開示している。レーザー計測器は、ハウジングと、レーザー計測器のハウジング内に少なくとも部分的に配置された計測機器と、レーザー計測器を保持固定具に接続する第1接続手段とを備える。保持固定具は、L字型の基部要素と、保持固定具を保持部材に取り付ける取付手段と、保持固定具を回転レーザーに接続する第2の接続手段とを有する。第1接続手段及び第2接続手段は、接続状態においてねじ接続を構成するねじ付きボルトとねじ穴として構成される。代わりに、基部をレーザー計測器のハウジングに常時接続することもできる。取付手段は、基部に配置された磁石を少なくとも1つ備えるが、2つ備えることが好ましい。
【0007】
保持固定具は、落下の際のレーザー計測器の丈夫さ(耐衝撃性能)を低下させる。レーザー計測器が落下して保持部材と保持固定具の磁力接続が切断されたとしても、L字型の基部に働く力がねじ接続を通じてレーザー計測器ハウジングに伝播する。ねじ接続の領域でひび割れ又はその他の損傷が起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第102007007041号明細書
【特許文献2】米国特許第7310886号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、落下の際にレーザー計測器の損傷が発生する危険性を低減するために改良されたレーザー計測器及びレーザー計測器を保持部材に取り付ける保持固定具を提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1が記載する上記レーザー計測器の構成、請求項10が記載する上記保持固定具の構成、及び請求項16が記載する上記レーザー計測器のデバイスシステムの構成により達成される。優位性を有する改良技術は従属項に記載されている。
【0011】
本発明において、レーザー計測器は第1磁気接続要素と第1差込要素とを有する第1接続手段を備える。第1磁気接続要素は、保持固定具の第2磁気要素とともに、磁気接続を構成する。第1差込要素は、嵌合する保持固定具の差込要素とともに、プラグ−アンド−ソケット接続を構成する。プラグ−アンド−ソケット接続は、レーザー計測器と保持固定具が接続された状態にある際に、お互いが規定の位置関係にあり、レーザー計測器が磁気接続で脱着可能に保持固定具に接続されていることを保証する。この場合、磁気接続の強さの設定は、通常の動作状況下でレーザー計測器が保持部材に安全に取り付けられ、レーザー計測器が強い力にさらされた際に磁気接続が切断されるように行われる。
【0012】
プラグ−アンド−ソケット接続は、第1差込要素と第2差込要素の嵌め合いによる接続を構成する。よって、差込要素は差込方向に沿って伸び、差込方向とは垂直な面に嵌め合いによる接続を構成する。差込要素は、所望の断面と嵌合するソケットを有する柱体プラグとして構成される。差込方向は、差込要素の柱体軸と平行である。磁気接続は、第1差込要素と第2磁気接続要素の力による接続である。ここで、2つの永久磁石間の磁気接続又は1つの永久磁石と接合素子の磁気接続は、強磁性材料又はフェリ磁性材料で構成することができる。
【0013】
物質が磁界にさらされると、磁化が発生する。磁化は、外部の磁界に重畳されるさらなる磁界を物質内で発生させる。ここでは、反磁性、常磁性、及び強磁性を有する物質を区別している。反磁性物質では磁化が外部磁界と反対向きに発生する一方、常磁性物質では磁化が外部磁界と同じ方向に発生する。強磁性物質でも同様に磁化が外部磁界と同じ方向に発生するが、特別な交互作用、具体的には交換相互作用のため常磁性物質よりもはるかに安定度が高い。フェリ磁性物資は、強磁性が低い物質に似た挙動を示し、向きが異なる2つの強磁性物質を重畳することで形成される。よって、磁性がお互いに完全に補完することはない。
【0014】
第1差込要素は、レーザー計測器のハウジングに組み込むソケットとして形成すると好ましい。第1差込要素は、特に保持固定具なしで使用するレーザー計測器において、ソケットとして形成すると優位性がある。ソケットをレーザー計測器のハウジングに組み込むと、第1差込要素がレーザー計測器のハウジングから突出することがないため、ユーザーがレーザ計測器を操作する際に支障をきたすことはない。
【0015】
第1の好ましい態様において、第1磁気接続要素は永久磁石として形成されるか、永久磁石を有する。永久磁石は、保持固定具の第2磁気接続要素とともに磁気接続を構成する。よって、第2磁気接続要素は、永久磁石として又は強磁性素子若しくはフェリ磁性接合素子として形成される。ネオジム材料又はフェライト材料は、永久磁石の材料として用いることができる。フェライト磁石とは対照的に、ネオジム磁石は、単位体積当たりの磁着力が高く、どの磁着力の値でも体積が小さくなるため、必要となるスペースが小さくなる優位性がある。フェライト磁石は費用効率が高く、約250°C[482°F]までの温度に耐えることができ、防錆性を有する。スペースに限界がある及び/又はレーザ計測器ーができるだけ軽量でなければならない場合は、ネオジム磁石が適している。
【0016】
永久磁石は、柱体又は球形の永久磁石となるよう特別に形成される。よって、永久磁石の極が第1差込要素の差込方向に平行になるように配置される。柱体永久磁石は、所望の断面と所定の高さを有する柱体の形態で形成される。柱体永久磁石の例としては、正方形の基部を有する直方体又は立方体及び円形の基部を有するディスク又はロッドがある。永久磁石は、湾曲したロッド状の馬蹄形磁石として形成することもできる。永久磁石の形状は、レーザー計測器の状態と使用可能なスペースに合わせることができる。
【0017】
柱体永久磁石は、極が柱体の上面と底面に配置され、垂直方向に磁化可能となる(軸方向着磁)。球形永久磁石は、極が水平方向でお互い反対になるように配置される。永久磁石の極が差込方向と平行な配置は、磁気接続要素間の磁着力が距離に応じて変わり、距離が短いほど磁着力が大きくなるという優位性がある。磁気接続の構造により、レーザー計測器を定位置で保持固定具に接続することができる。プラグ接続の確立時には磁気接続の力が最大に達し、レーザー計測器及び保持固定具を所望の位置に固定する。
【0018】
第1磁気接続要素がさらに強磁性又はフェリ磁性体要素を有することが特に好ましい。強磁性又はフェリ磁性体要素は、永久磁石を囲み、永久磁石の磁界に変化を加える。この場合、磁力線が第2磁気接続要素の方向を向き、磁着力が強化されるように、強磁性又はフェリ磁性体要素が配置される。一例としては、鋼製のポットに囲まれて軸方向に磁化した円盤状磁石があり、よってその円盤状磁石は接触領域から接合素子まで遮断されていない。
【0019】
第2の好ましい態様において、第1磁気接続要素は強磁性又はフェリ磁性体接合素子として形成される。保持固定具の第2磁気接続要素とともに、接合素子は磁気接続を構成する。よって、第2磁気接続要素は永久磁石として形成されるか、永久磁石を有する。
【0020】
第1接続手段が2つの第1磁気接続要素及び/又は2つの第1差込要素を有することが特に好ましい。2つの第1磁気接続要素を有する第1接続手段には、磁気接続要素の配置をレーザー計測器の重心に合わせて最適化することができるという優位性がある。レーザー計測器を保持固定具に所望の向きでのみ確実に接続することができるようにすると、2つの第1差込要素を、大きさ又は断面形状が異なるように形成することができる。
【0021】
好ましい変形態様において、レーザー計測器のハウジングは、基部ハウジングと基部ハウジングを囲む保護ハウジングの2つの部分から成るよう形成され、よって第1接続手段は保護ハウジングに配置される。基部ハウジングと保護ハウジングから成る2部構造のレーザー計測器のハウジングには、レーザー計測器を保持固定具に接続するために必要な第1接続手段を従来のレーザー計測器に追加導入することができるという優位性がある。さらに保護ハウジングは、落下の際の強度を高めるように最適化することができる。保護ハウジングは、好ましくは保護ハウジングの表面の変り目となる端部又は角部で、突出した緩衝要素を有することができる。保護ハウジングは、保持固定具がなくてもレーザー計測器が保護ハウジングとともに使用できるように形成されている。レーザー受光器及び距離測定用レーザーは、2部構造のハウジングを有する。
【0022】
代替の変形態様において、レーザー計測器のハウジングは1体構造として形成される。1体構造のレーザーハウジングには、必要な構成要素が少なく、レーザー計測器と保持固定具の接続の構成が簡素であるという優位性がある。
【0023】
本発明では、レーザー計測器を取り付けるための保持固定具において、第2接続手段が第2磁気接続要素と第2差込要素とを有している。第2磁気接続要素は、レーザー計測器の第1磁気接続要素とともに磁気接続を構成する。さらに、第2差込要素は、嵌合するレーザー計測器の第1差込要素とともに、プラグ−アンド−ソケット接続を構成する。
【0024】
第2接続手段の第2差込要素は、プラグとして形成されることが好ましい。保持固定具の第2差込要素をプラグとして形成し、レーザー計測器の第1差込要素を保持固定具なしでも用いることができるレーザー計測器の嵌合ソケットとして形成すると優位性がある。保持固定具は、接続されたレーザー計測器とのみ使用されるため、保持装置上で突出するプラグは問題にはならない。
【0025】
第1の好ましい実施例において、第2磁気接続要素は、強磁性又はフェリ磁性体の接合素子として形成される。接合素子は、レーザー計測器の第1磁気接続要素とともに、磁気接続を構成する。よって、第1磁気接続要素は、永久磁石として形成されるか、少なくとも1つ永久磁石を有する。
【0026】
第2の好ましい実施例において、第2磁気接続要素は、永久磁石として形成されるか、永久磁石を有する。永久磁石は、レーザー計測器の第1磁気接続要素とともに、磁気接続を構成する。よって、第1磁気接続要素は、永久磁石として又は強磁性若しくはフェリ磁性体の接合素子として形成される。
【0027】
第2磁気接続要素がさらに強磁性要素又はフェリ磁性体要素を有することが特に好ましい。強磁性要素又はフェリ磁性体要素は、永久磁石を囲み、永久磁石の磁界に変化を加える。この追加要素により、永久磁石の磁着力を増加させることができる。
【0028】
第2接続手段は、2つの第2磁気接続要素及び/又は2つの第2差込要素を有することが好ましい。2つの第2磁気接続要素を有する第2接続手段には、磁気接続要素の配置をレーザー計測器の重心に合わせて最適化することができるという優位性がある。2つの第2差込要素を有する第2接続手段の場合、保持固定具をレーザー計測器に所望の向きで接続するために、2つの差込要素を、大きさ又は断面形状が異なるように形成することができる。
【0029】
本発明では、デバイスシステムにおいて、第1接続手段は第1磁気接続要素と第1差込要素とを有し、第2接続手段は第2磁気接続要素と第2差込要素とを有する。よって、レーザー計測器と保持固定具が接続された状態では、第1差込要素と第2差込要素がプラグ−アンド−ソケット接続を構成する一方で、第1磁気接続要素と第2磁気接続要素は磁気接続を構成する。レーザー計測器は、プラグ−アンド−ソケット接続及び磁気接続により、保持固定具に脱着可能に接続されている。プラグ−アンド−ソケット接続は嵌め合いによる接合を形成し、レーザー計測器が保持固定具に対して確実に規定の方向に向くようにする。磁気接続の強さの設定は、通常の状況下でレーザー計測器が保持部材に安全に取り付けられ、レーザー計測器に過剰な力が作用した際に磁気接続が切断されるように行われる。外力の作用により臨界値を超えて磁気接続が切断されると、レーザーの落下に対する丈夫さ(耐衝撃性能)が増加する。
【0030】
本発明のデバイスシステムのプラグ−アンド−ソケット接続及び磁気接続の組み合わせは、新しい材料の使用、様々な種類の材料の混合、又は構造対策によって、強度が大きく増加したハウジングを有するレーザー計測器において好ましく使用することができる。レーザー計測器が落下し、弾性変形が可能なレーザー計測器のハウジングが衝撃エネルギーを消散させてから変形前の形状に戻ると、レーザー計測器と保持固定具の接続が切断される。
【0031】
磁気接続要素間の磁気接続による力が最大になるのは、差込要素間のプラグ−アンド−ソケット接続が確立される時であることが好ましい。第1接続手段及び第2接続手段の磁気接続要素は、プラグ−アンド−ソケット接続が確立された際に、最大の力が働くように配置されている。この配置には、磁気接続要素によって、レーザー計測器と保持固定具が正確に定位置に固定されるという優位性がある。プラグ−アンド−ソケット接続確立の際には、レーザー計測器と保持固定具が磁力により定位置へと引かれる。
【0032】
プラグ−アンド−ソケット接続が確立した際には、第1接続手段及び第2接続手段がレーザー計測器の第1接触面を保持固定具の第2接触面に接続することが特に好ましい。プラグ−アンド−ソケット接続を確立すると、レーザー計測器の第1接触面が保持固定具の第2接触面に着座する状態になるため、レーザー計測器と保持固定具の接続状態が正確に定められる。プラグ−アンド−ソケット接続の確立時に最大の力を発揮する磁気接続は、接触面がお互いに着座する状態になる領域でレーザー計測器と保持固定具を固定する。
【0033】
本発明の実施例を図面に基づき以下に記載する。これらの図面は必ずしも実施例と同じ縮尺になるわけではないが、図面には説明がしやすいように概略的及び/又は若干の変更を加えてある。先行技術文献については、図面から直接認識できる教示を拡張することにより述べている。実施例の形態及び詳細に影響する変更を多数加えたとしても、広義の本発明の概念から逸脱することはない。発明の詳細な説明、図面、及び請求項に開示された本発明の特徴は、単独又は所望の組み合わせで、本発明の改良に不可欠である。さらに、本発明の技術的範囲には、発明の詳細な説明、図面、及び/又は請求項に開示された少なくとも2つの特徴の組み合わせのすべてが含まれる。広義の本発明の概念は以下で記載する好ましい実施例の具体的な形態又は詳細に限定されることもなければ、請求項の要旨との比較において限定されるであろう要旨に限られることもない。示された数値の範囲については、境界内にあると記載されている数値は限定値であり、任意に適用可能及び請求可能とすべきである。明確化のため、同一若しくは類似の要素、または同一若しくは類似の機能を有する要素には同じ参照番号を用いている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1A】レーザー受光器と、調査員の機材にレーザー計測器を取り付けるための保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第1の実施例を示す図。
図1B】レーザー受光器と、調査員の機材にレーザー計測器を取り付けるための保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第1の実施例を示す図。
図2】レーザー受光器と、レーザー計測器を保持部材に取り付けるための保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第2の実施例を示す図。
図3】レーザー距離測定用レーザーと、距離測定用レーザーを三脚に取り付けるための三脚アダプターとして形成される保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第3の実施例を示す図。
図4A図3が示す三脚アダプターの詳細を示す図。
図4B図3が示す距離測定用レーザーの詳細を示す図。
図5A】自己平準化ポイントレーザーと、ポイントレーザーを保持部材に取り付けるための保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第4の実施例を示す図。
図5B】自己平準化ポイントレーザーと、ポイントレーザーを保持部材取り付ける保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第4の実施例を示す図。
図6】回転レーザーと、回転レーザーを三脚に取り付けるための保持固定具とを備えた本発明のデバイスシステムの第5の実施例を示す図。
図7A】プラグ−アンド−ソケット接続及び磁気接続の変形実施例を示す図。
図7B】プラグ−アンド−ソケット接続及び磁気接続の変形実施例を示す図。
図7C】プラグ−アンド−ソケット接続及び磁気接続の変形実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1A及び図1Bは、レーザー受光器11である本発明のレーザー計測器と、レーザー受光器11を調査員の機材13である長尺の保持部材に取り付けるための本発明の保持固定具12から成る本発明のデバイスシステム10の第1の実施例を示す。図1Aは、レーザー受光器11と保持固定具12が接続されていない状態を示す。一方、図1Bは、保持固定具12によって調査員の機材13に取り付けられたレーザー受光器11を示す。
【0036】
レーザー受光器11は、見づらいレーザービームの可視性を改善するために、レーザービームとともに用いるポイントレーザー、ラインレーザー、又は回転レーザーの付属品として用いられる。この場合、ユーザーがレーザー受光器11を保持してレーザービームに直接向けるか、でなければレーザー受光器11は保持部材に取り付けられる。保持部材は、三脚と、可動保持部材と、固定保持部材とに分類されている。固定保持部材は、測定が行われる場所で使用される部材であり、それぞれが異なる機能を有し、例えば、ユーザーにより壁レール、ドア、又は窓の枠及びパイプ等が保持部材として使用される。可動保持部材は、ユーザーが手で持つことができ、持ち運びができる部材であり、例えば調査員の所有する機材、レベリングロッド、吊り下げロッド等である。この場合、可動保持部材は、長尺の保持部材として形成され、可動保持部材の断面は長さ方向においてその寸法よりはるかに小さくなる。
【0037】
レーザー受光器11は、基部ハウジング14と、レーザー受光器11の操作のための操作部15と、レーザービームを検出する検出部16と、表示部17と、音響インジケーター18とを備える。レーザー受光器11の電子機器は、計測機器19とも言う。計測機器19は、少なくとも部分的に基部ハウジング14に囲まれているか、基部ハウジング14に組み込まれている。基部ハウジング14は、前面21と、前面21とは反対側に位置する背面22と、上面23と、上面とは反対側に位置する底面24と、2つの側面25、26とを有する。
【0038】
操作部15、検出部16、表示部17、及び音響インジケーター18は、基部ハウジング14の前面21に配置されている。レーザー受光器11を操作するユーザーにとって非常に便利なのは、前面21と背面22が、長辺(長さ)と短辺(幅)を有するレーザー計測器のハウジング14の最も大きな2つの表面であることである。2つの側面25、26は、前面21の長辺に隣接し、基部ハウジング14の長さと奥行きにより画定される。
【0039】
レーザー受光器11は、接続状態で基部ハウジング14を囲む保護ハウジング27(図1B)と、レーザー受光器11を保持固定具12に接続する第1接続手段28とをさらに備える。基部ハウジング14と保護ハウジング27の両方を、レーザー受光器11のレーザー計測器のハウジング29とする。基部ハウジング14と保護ハウジング27から成る2部構造のレーザーハウジング29には、本発明の保持固定具12を従来のレーザー受光器に追加導入することができるので都合がよい。
【0040】
基部ハウジング14と同様に、保護ハウジング27は正面31と、正面31とは反対側に位置する背面32と、上面33と、上面とは反対側の底面34と、2つの側面35、36とを有する。接続状態において、保護ハウジング27の正面31、背面32、上面33、底面34、及び側面35、36は、対応する基部ハウジング14の表面21〜26の向かい側に位置している。保護ハウジング27は、弾性プラスチック又は熱可塑性弾性プラスチックで製作することができる。レーザー受光器11が落下しても、保護ハウジング27は、レーザー受光器11を損傷から保護する。レーザー計測器が落下しても保護ハウジング27が弾性変形し、その後に変形前の形状に戻るような特性を有するプラスチック材料が選択されている。
【0041】
保護ハウジング27は、好ましくは保護ハウジング27の表面31〜36の変り目となる箇所で、端部又は角部のような突出した緩衝要素を持つことができる。基部ハウジング14には保護要素を設けることもできるうえ、保護ハウジング27又は保持固定具12なしでユーザがレーザービームに向けレーザー受光器11を持つと、この保護要素がレーザー受光器11を保護する。この場合、保持固定具12がなくてもレーザー受光器11を保護ハウジング27とともに使用できるように保護ハウジング27が形成される。
【0042】
保持固定具12は、基部要素41と、基部要素41に接続され、保持固定具12を調査員の機材13に取り付ける取付手段42と、基部要素41に接続され、保持固定具12をレーザー受光器11に接続する第2接続手段43とを備える。保持固定具12は、レーザー受光器11を調査員の機材13に強固に接続する。換言すると、接続状態でレーザー受光器11は、調査員の機材13に対して移動可能ではないということである。取付手段42は、例えば、締付顎部を備えた締付手段として形成されている。その締付手段は、締付顎部が調査員の機材13の側面に接触し、保持固定具12が調査員の機材13に締め付けられるまで、調整要素44により調整される。
【0043】
レーザー受光器11と保持固定具12は、第1及び第2接続手段28、43により、お互い脱着可能に接続される。レーザー受光器11と保持固定具12の接続は、磁気接続及びプラグ−アンド−ソケット接続の組み合わせとして形成される。換言すると、レーザー受光器11と保持固定具12が磁気接続に加え、プラグ−アンド−ソケット接続によりお互いに接続されているということである。プラグ−アンド−ソケット接続により、レーザー受光器11と保持固定具12が接続状態にある場合、両者が確実にお互いに定位置に配置される。レーザー受光器11と保持固定具12は、磁気接続によりお互い脱着可能に接続されている。この場合、磁気接続の強さの設定は、動作中に保持固定具12によりレーザー受光器11が調査員の機材13に安全に取り付けられ、レーザー受光器11に強い力が働いた場合には磁気接続が切断(解放)されるように行われる。
【0044】
レーザー受光器11の第1接続手段28は、2つの第1磁気接続要素45、46と、2つの第1差込要素47、48とを備える。保持固定具12の第2接続手段43は、2つの第2磁気接続要素51、52と、2つの第2差込要素53、54とを備える。第1差込要素及び第2差込要素47、48、53、54が接続状態にある場合は、両者がプラグ−アンド−ソケット接続を構成する一方で、第1磁気接続要素及び第2磁気接続要素45、46、51、52は磁気接続を構成する。差込要素47、48、53、54により、レーザー受光器11と保持固定具12がお互いに定位置に配置され、磁気接続要素45、46、51、52によりレーザー受光器11と保持固定具12が脱着可能にこの位置で確実に固定される。ここで、磁気接続の磁着力の設定は、通常の動作において、レーザー受光器11が調査員の機材13に安全に取り付けられる一方、レーザー受光器11に強い力が働いた場合には磁気接続が切断(解放)されるように行われる。
【0045】
レーザー受光器11の第1磁気接続要素が保護ハウジング27の側面36に配置される永久磁石45、46として形成される一方、保持固定具12の第2磁気接続要素は、接続状態で永久磁石45、46の向かい側に位置する強磁性要素51、52として構成される。図1A及び図1Bが示す実施例の代替として、永久磁石45、46を保持固定具12に配置し、強磁性要素51、52をレーザー受光器11に配置することもできる。代わりに、レーザー受光器11と保持固定具12がそれぞれ、永久磁石45、46及び強磁性接合素子51、52を有するようにすることもできる。
【0046】
永久磁石45、46は、円形の基面、カバー面、及び所与の高さを有する柱体として形成される。永久磁石45、46のN極及びS極は、基面及びカバー面に配置されている。換言すると、永久磁石45、46は、長手方向軸に平行な磁化方向55と垂直に磁化される。永久磁石45、46の高さは直径よりも小さく、直径の約50%であることが好ましい。接続状態において、強磁性接合素子51、52は永久磁石45、46の向かい側に位置し、磁気接続要素45、46、51、52間の磁着力は永久磁石45、46と接合素子51、52との距離が小さいほど大きくなる。
【0047】
レーザー受光器11の第1差込要素は、保護ハウジング27の側面36に組み込まれる柱体ソケット47、48として形成される。一方、保持固定具12の第2差込要素は、ソケット47、48と嵌合する柱体プラグ53、54として形成される。差込要素47、48、53、54は、差込要素の長手方向軸又は柱体軸に平行な差込方向56に沿って動かされ、差込方向56に垂直な平面で嵌め合いによる接続を構成する。レーザー受光器11と保持固定具12が所望の向きにのみお互い確実に接続できるようにするため、2つのプラグ53、54は異なる大きさ及び/又は異なる形状の断面を有してよい。図1Aは、大きさが異なる2つプラグ53、54が同じ十字型の断面を有することを示す。
【0048】
保持固定具12は、保護ハウジング27の側面36が強磁性接合素子51、52に着座するまで、レーザー受光器11のソケット47、48に差し込まれる差込方向56に沿ってプラグ53、54とともに動く。保護ハウジング27の側面36は、強磁性接合素子51、52の表面57、58に適合される。確実に規定の接触状態にするために、プラグ53、54をソケット47、48よりも短かく形成する。加えて、レーザー受光器11と保持固定具12が接続状態、換言すると、差込要素47、48、53、54のプラグ−アンド−ソケット接続が確立された状態において、狭い間隔が軸方向(差込方向56沿い)に形成される。プラグ−アンド−ソケット接続が確立したということは、差込要素47、48、53、54が差込方向56と垂直に嵌め合いによる接続を構成し、レーザー受光器11と保持固定具12が接触するまで、お互いに向かって差込方向56に沿って動かされたということである。
【0049】
磁気接続による最大の力が働くのは、第1差込要素と第2差込要素47、48、53、54のプラグ−アンド−ソケット接続が確立された時である。プラグ−アンド−ソケット接続が確立されると、永久磁石45、46と接合素子51、52との距離が最小になる一方で、磁気接続要素45、46、51、52間の磁着力は最大となる。永久磁石45、46に機械的応力が加わらないようにするために、永久磁石45、46は保護ハウジング27に設置され、強磁性接合素子51、52と直接接触しないようにしている。従来の永久磁石は機械的応力に敏感なため、物理的な分離により永久磁石45、46の寿命を長くすると、磁気接合力の再現性が改善される。さらに永久磁石45、46は、腐食から守られている。
【0050】
保護ハウジング27の側面36に配置された永久磁石45、46は、レーザー受光器11の重心の外側に配置される。この場合、1つの永久磁石45が重心の上に配置される一方で、もう1つの永久磁石が重心の下に配置される。このように永久磁石45の1つが重心上に配置されると、レーザー受光器11が傾く危険性が低下する。レーザー受光器11が調査員の機材13に取り付けられ、調査員の機材13の先端が基板に当たると、典型的な誤作動が実際に発生する。レーザー受光器11が調査員の機材13の側面に取り付けられるため、下部接合素子58に向かって保持固定具12の下端を傾かせるトルクを発生する。上部永久磁石45と下部接合素子58の下端が形成するレバーが長いほど、レーザー受光器11が傾くまでにトルクの超えなければならない臨界値が大きくなる。2つの永久磁石45、46の使用は、例えば、レーザー受光器11を調査員の機材13とともに水平に動かす際には都合がよい。
【0051】
レーザー受光器11は、保持固定具12により調査員の機材13に取り付けられている。調査員の機材13のみならず、保持固定具12も、全ての長尺の保持要素に取り付けることができる。長尺の保持部材の直径はその長さより短く、ロッド、管、又は押し出しによる輪郭形状として形成する。ロッド状の保持要素の断面は埋っており、管状の保持部材は中空の断面を、押し出しによる輪郭形状を持つ保持部材は開放部分のある断面を有する。接触面は、平坦又はV字で形成することができる。平坦な接触面は長方形の断面を有する保持部材に適し、V字型の接触面は丸型又は角を丸めた断面を有する保持部材に特に適している。
【0052】
図2は、本発明のレーザー受光器61と、レーザー受光器61を管等の長尺の保持部材に取り付けるための本発明の保持固定具62から成る本発明のデバイスシステム60の第2の実施例を示す。
【0053】
レーザー受光器61は、レーザー計測器ハウジング63と、計測機器19と、レーザー受光器61を保持固定具62に接続する、レーザー計測器ハウジング63と接続される第1接続手段64とを備える。レーザー受光器61とデバイスシステム10におけるレーザー受光器11との違いは、レーザー受光器61のレーザー計測器ハウジング29の2部構造とは対照的に、レーザー計測器ハウジング63は1部構造であることである。レーザー計測器ハウジング63は、正面66と、正面66とは反対側に位置する背面67と、上面68と、上面とは反対側に位置する底面69と、2つの側面71、72とを有する。
【0054】
保持固定具62は、基部要素73と、保持固定具62を保持部材に取り付ける取付手段74と、保持固定具62をレーザー受光器61に接続する第2接続手段75とを備える。さらに保持固定具62は、保持固定具62の向きを変えて垂直とすることができるレベリングセンサー76を備える。レーザー受光器61は、保持固定具62により保持部材に強固に接続される。換言すると、レーザー受光器61が接続状態にある場合、保持部材に対して可動ではないということである。
【0055】
保持固定具62の取付手段74は、接触面77と、基部要素73においてベルト取付具78を通して引くことができるベルトとを有する。その代わり又は追加として、接触面77を介して磁気を帯びた保持部材に保持固定具62を取り付けることができるように、磁石を基部要素73に配置することができる。図2が示す通り、接触面77は平面として形成することも、V字型で形成することもできる。平坦な接触面は長方形の断面を有する保持要素に適し、V字型の接触面は丸型又は角を丸めた断面を有する保持部材に特に適している。
【0056】
レーザー受光器61の第1接続手段64は、永久磁石81、82として形成される2つの第1磁気接続要素と、ソケット83、84として形成される第2差込要素とを有する。保持固定具62の第2接続手段75は、強磁性接合素子87に組み込まれる2つの第2磁気接続要素85、86と、プラグとして形成される2つの第2差込要素88、89とを有する。第1差込要素及び第2差込要素83、84、88、89が接続状態の場合、両者がプラグ−アンド−ソケット接続を構成する一方、第1差込要素及び第2差込要素81、82、85、86は磁気接続を構成する。レーザー計測器のハウジング63の側面72が強磁性接合素子87に着座するまで、保持固定具62はプラグ88、89とともに動かされ、差込要素の長手軸と平行な差込方向91沿いにレーザー受光器11のソケット83、84に挿入される。
【0057】
レーザー受光器11の永久磁石45、46と同様に、永久磁石81、82は円柱状に形成されるとともに、両者は柱体軸と平行な磁化方向92に沿って垂直な軸方向に磁化される。レーザー計測器のハウジング63の側面72は、強磁性接合素子87の表面93に適応している。第1接続手段64の接続要素81−84は、永久磁石81、82の磁化方向92が差込要素83、84の差込方向91に平行になるように配置されている。
【0058】
永久磁石81、82が接続状態の場合、両者は強磁性接合素子87の向かい側に位置する。永久磁石45、46と接合素子87の距離が短かくなると、磁気接続要素間の磁着力が増加する。プラグ−アンド−ソケット接続が確立されると磁気接続の力が最大に達し、第1接続手段及び第2接続手段64、75は、レーザー計測器のハウジング63の側面72を強磁性平板87の表面93に接続する。レーザー計測器のハウジング63の側面72がレーザー計測器61の第1接触面と定義される一方、表面93は保持固定具62の第2接触面と定義される。
【0059】
代わりに、強磁性接合素子87をレーザー受光器61に設けたうえで、永久磁石81、82を保持固定具62に設けることもでき、又はレーザー受光器61と保持固定具62のそれぞれが永久磁石81、82及び強磁性接合素子87を有することができる。永久磁石81、82を保持固定具62に設けると、デバイスシステム60を磁気的保持要素に取り付けることができる。永久磁石81、82が必要な磁着力を生成するだけで、レーザー受光器61と保持固定具62を安全に取り付けることができる。図2が示す通り、プラグ88、89は保持固定具62に配置することも、レーザー受光器61に配置することもできる。レーザー受光器61は保持固定具62がなくても使用することができるため、図2が示す機種は、プラグ88、89がレーザー受光器61のレーザー計測器のハウジング63から突出することがなく、ユーザーの妨げにはならないので都合がよい。
【0060】
図3は、距離測定用レーザー101として形成される本発明のレーザー計測器と、三脚103に距離測定用レーザー101を取り付けるための三脚アダプターとして形成される本発明の保持固定具102から成る、本発明のデバイスシステム100の第3の実施例を示す。
【0061】
距離測定用レーザー101は、三脚アダプター102によって三脚103に配置される。図3が示す実施例において、三脚アダプター102は、垂直回転軸104と水平傾斜軸105というお互いに垂直な2つの軸の周りを回転することができる。距離測定用レーザー101は、三脚アダプター102を通じて三脚103に接続され、−三脚103に対して−垂直回転軸104の回りの回転移動及び傾斜軸105の回りの枢動移動を可能とする。例えば、高さの調節が可能な三脚103等の手段によりさらなる調節も可能である。この場合、距離測定のためにユーザーがレーザービームの焦点を如何なる目標点にも合わせることができるように、距離測定用レーザー101を所望の位置に配置することもできる。
【0062】
図4A及び図4Bは、本発明の保持固定具102の構造(図4A)及び本発明の距離測定用レーザー101の構造(図4B)を詳細に示す。距離測定用レーザー101は、第1接続手段106及び第2接続手段107により保持固定具102に接続されている。
【0063】
デバイスシステム100の保持固定具102は、距離測定用レーザー101等のレーザー計測器を三脚103に取り付けることができる三脚アダプター(図4A)として形成される。三脚アダプター102は、三脚ヘッド108として形成される基部要素と、三脚103に三脚アダプター102を取り付ける取付手段109と、三脚アダプター102を距離測定用レーザー101に接続する第2接続手段107とを備える。取付手段109は、三脚103のねじボルトとともにねじ接続を構成するねじ穴として形成される。
【0064】
距離測定用レーザー101は、三脚アダプター102を通じて三脚103に接続され、三脚に対して水平傾斜軸105及び垂直回転軸104の回りを移動することができるように形成されている。三脚ヘッド108は、第1受光面及び第2受光面112、113を備えた受光要素111を有する。受光要素111は、ハンドル114により傾斜軸105の回りで調整することができる。
【0065】
本発明に係るデバイスシステム100のレーザー計測器は、目標点までの距離を測る距離測定用レーザー101(図4B)として形成される。距離測定用レーザー101は、レーザー計測器のハウジング116と、レーザー計測器のハウジング116に配置する計測機器117と、レーザー計測器のハウジング116に接続され、距離測定用レーザー101を三脚アダプター102に接続する第1接続手段106とを備える。さらに距離測定用レーザー101は、表示部118と操作部119とを備える。レーザー計測器のハウジング116は、正面121と、該正面とは反対側に位置する背面122と、上面123と、該上面とは反対側に位置する底面124と、2つの側面125、126とを有する。
【0066】
表示部及び操作部118、119は、レーザー計測器のハウジング116の正面121に埋め込まれている。ユーザーが距離測定用レーザー101を操作して距離の値を確実に表示させる際に便利になるように、長辺(長さ)と短辺(幅)を有するレーザー計測器のハウジング116の最も大きな2つの表面が正面121と背面122とされている。レーザー計測器のハウジング116の正面121及び側面125、126に隣接する上面及び底面123、124は、距離測定用レーザー101の使用が便利になるようにできるだけ小さく形成される。2つの側面125、126は、正面121の長辺に隣接し、レーザー計測器のハウジング116の長さと奥行きにより画定される。
【0067】
距離測定用レーザー101と保持固定具102は、第1及び第2接続手段106、107によって接続される。距離測定用レーザー101の第1接続手段106は、強磁性接合素子127、128として形成される2つの第1磁気接続要素と、ソケットとして形成される第1差込要素129とを備える。三脚アダプター102の第2接続手段107は、永久磁石131、132として形成される2つの第2磁気接続要素と、プラグ133として形成される第2差込要素とを有する。第1差込要素と第2差込要素129、133が接続状態の場合、両者がプラグ−アンド−ソケット接続を形成する一方、第1磁気接続要素と第2磁気接続要素127、128、131、132は磁気接続を構成する。
【0068】
側面126が受光面112に着座するまで、距離測定用レーザー101は、ソケット129とともに、差込方向134に沿ってソケット129と嵌合するよう形成されたプラグ133上を動く。永久磁石131、132は正方形の基底と任意の高さを有する直方体で、磁化方向135に沿って垂直に軸方向の磁力を発生させる。第2接続手段107の接続要素131−133は、永久磁石131、132の磁化方向135が差込要素の差込方向134と平行になるように配置される。プラグ−アンド−ソケット接続が確立され、受光要素111の受光面112にレーザー計測器のハウジング116の側面126が着座している場合、磁気接続要素127、128、131、132間の磁気接続が最大になる。側面126及び受光面112は、レーザー101の第1接触面及び保持固定具102の第2接触面と定義される。
【0069】
図4Bが詳細に示す通り、第1接続手段106は、レーザー計測器のハウジング116の側面126又はレーザー計測器のハウジング116の背面122に配置される。第2接続手段107は、第1接続手段106と同様に、側面126の向かい側に位置する第1受光面112又は背面122の向かい側に位置する第2の受光面113に配置される。
【0070】
図4Aが詳細に示す本発明の保持固定具102は、三脚アダプターとして形成される。基部要素108の調整が傾斜軸105の回りの枢動運動に限定され、例えば図1の取付手段26等の従来の締付手段が取付手段として用いられる場合、レーザー計測器を取り付けるための吊り下げロッドアダプターとして保持固定具が形成される。
【0071】
図5A及び図5Bは、本発明のポイントレーザー141と、例えば図1が示す調査員の機材13等の長尺の保持要素にポイントレーザー141を取り付けるための本発明の保持固定具142から成る、本発明のデバイスシステム140の第4の実施例を示す。これに関連して、図5Aはポイントレーザー141の3次元図であり、図5Bは接続状態にないポイントレーザー141及び保持固定具142の概略図である。
【0072】
本発明に係るデバイスシステム140のレーザー計測器は、ポイントビームを発する自己平準化ポイントレーザー141として形成される(図5A)。ポイントレーザー141は、レーザー計測器のハウジング143と、計測機器144と、レーザー計測器のハウジング143に接続され、ポイントレーザー141を保持固定具142に接続する第1接続手段145とを備える。計測機器144は、レーザー計測器のハウジング143内に配置される。レーザー計測器のハウジング143は、正面146と、正面146とは反対側に位置する背面147と、上面148と、上面148とは反対側に位置する底面149と、2つの側面151、152とを有する。
【0073】
保持固定具142は、基部要素153と、保持固定具142を保持部材に取り付けるための取付手段154と、保持固定具142をポイントレーザー141に接続するための第2接続手段155とを備える。取付手段154は、保持固定具12の取付手段42と同様に、平坦又はV字型の締付顎部を装備した締付手段として形成され、締付顎部は保持要素の側面に接触するまで調整要素44により調整される。又は、保持固定具を保持要素に取り付けるのに適した既知の取付手段であればどのようなものでも使用が可能である。
【0074】
ポイントレーザー141と保持固定具142は、第1接続手段及び第2接続手段145、155により接続される。ポイントレーザー141の第1接続手段145は、永久磁石156、157として形成される2つの第1磁気接続要素と、ソケット158として形成される第1差込要素とを備える。保持固定具142の第2接続手段155は、永久磁石161、162として形成される2つの第2磁気接続要素と、プラグとして形成される第2差込要素163とを有する。第1磁気接続要素及び第2磁気接続要素156、157、161、162が接続状態の場合、これらの接続要素が磁気接続を構成する一方、第1差込要素及び第2差込要素158、163はプラグ−アンド−ソケット接続を構成する。
【0075】
第1差込要素は円形の断面を有する柱体プラグ163及び嵌合ソケット158として形成され、差込方向164は差込要素の柱体軸と平行である。ポイントレーザー141は、基部要素153の前面165にレーザー計測器のハウジング143の背面147が着座するまで、ソケット158とともに差込方向164に沿ってプラグ163上を動く。レーザー計測器のハウジング143の背面147は、基部要素153の前面165に適合する。レーザー計測器のハウジング143の背面147及び基部要素153の前面165は、レーザー計測器141の第1接触面及び保持固定具142の第2接触面と定義されている。
【0076】
第1接続手段145の永久磁石156、157及び第2接続手段155の永久磁石161、162は、それぞれ軸方向着磁の柱体永久磁石として形成される。換言すると、永久磁石の極は、底面及び上面に配置される。ポイントレーザー141を保持固定具142に取り付けるため、対極はお互いに反対に位置する必要がある。永久磁石156、162が第1磁化方向166を有する一方、永久磁石157、161は第2の磁化方向167を有し、よって第2磁化方向167は第1磁化方向166と反対である。
【0077】
永久磁石156、157、161、162の磁化方向166、167は、差込方向165と平行である。永久磁石156、157、161、162間の磁気接続の力が最大となるのは、レーザー計測器のハウジング143の背面147が基部要素153の正面165に着座し、プラグ−アンド−ソケット接続が確立された時である。図5Bが示す永久磁石156、157、161、162の配置には、永久磁石が所望の向きでのみ引き合うという優位性がある。保持固定具142が180°回転するようにソケットに挿入されると、同じ極がお互い向かい合い、ポイントレーザー141の永久磁石156、157が保持固定具142の永久磁石161、162に反発する。
【0078】
図6は、回転レーザー171と、回転レーザー171を三脚に取り付けるための保持固定具172とを備えた本発明のデバイスシステム170の第5の実施例を示す。
【0079】
本願発明に係るデバイスシステム170の回転レーザーは、ラインビームを生成することができる回転レーザー171として形成される。回転レーザー171は、ハウジング173と、ハウジング173内に配置される計測機器174と、ハウジング173に接続され、回転レーザー171を保持固定具172に接続する第1接続手段175とを備える。
【0080】
保持固定具172は、基部要素176と、三脚に保持固定具172を取り付けるための取付手段177と、保持固定具172を回転レーザー171に接続する第2接続手段178とを備える。取付手段177は、三脚のねじボルト21とともにねじ接続を構成するねじ穴として形成される。従来のどのような三脚でも追加導入することができるように、保持固定具172は、どのようなねじボルト付きの従来の三脚にでも取り付けることができるようになっている。代わりに、保持固定具172を三脚に組み込むことができ、この場合は基部要素176が三脚の平板に対応する。
【0081】
回転レーザー171のハウジング173は、基部ハウジング181と、回転ヘッド182と、複数のハンドル183とを備える。基部ハウジング181は、基底面184と、基底面184とは反対側に位置する上面185と、基底面184と上面185を接続する側面186とを有する。回転ヘッド182は上面182で基部ハウジング181に接続され、ハンドル183は基部ハウジング181に取り付けられる。ハンドル183は、上面182に面する上端に上部緩衝要素187を、基底面181に面する下端に下部緩衝要素188を有する。回転レーザー171が落下するか、衝突された場合は、緩衝要素187、188がハンドル183のエネルギー吸収と消散を改善する。
【0082】
回転レーザー171と保持固定具172は、第1接続手段及び第2接続手段175、178により接続される。回転レーザー171の第1接続手段175は、永久磁石として形成される第1磁気接続要素191と、ソケットとして形成される第1差込要素192とを備える。保持固定具172の第2接続手段178は、第2磁気接続要素193と、プラグとして形成される第2差込要素194とを備える。永久磁石191は、所与の半径及び高さを有するディスク状の柱体形で、磁化方向195に沿った軸方向磁力が発生する。プラグ194は、強磁性材料でできた円形の柱体として形成されるとともに、第2磁気接続要素193を形成する。
【0083】
回転レーザー171は、基部ハウジング181の基底面181が基部要素176の上部197に着座するまで、ソケット192とともに、差込面196に沿ってプラグ194上を動く。プラグ−アンド−ソケット接続が確立していると、磁気接続要素191、193間の軸方向距離が最小で、永久磁石191が磁化方向195に沿って軸方向に磁化されるため、差込要素192、194間のプラグ−アンド−ソケット接続が確立され、回転レーザー171の基底面181が基部要素176に寄りかかるときに磁気接続の力は最大となる。接続状態において、磁気接続要素191、193間の磁気接続は、確立されたプラグ−アンド−ソケット接続における差込要素192、194の配置を固定させる。永久磁石191の磁化方向195は、プラグ−アンド−ソケット接続の差込方向196と平行である。プラグ−アンド−ソケット接続が確立されたときに磁気接続の力が最大になるため、回転レーザー171と保持固定具172が接続状態にある場合、両者は再現可能な規定通りの配置となる。
【0084】
差込要素194は強磁性材料でできたプラグとして形成され、第2磁気接続要素193はプラグ194に組み込まれ、円盤磁石191はソケット192の後方に配置される。永久磁石191をソケット192から物理的に切り離した構成にすると、プラグ−アンド−ソケット接続の切断時及び確立時に永久磁石191に機械的な応力が作用しないという利点がある。永久磁石191には腐食保護が施してあるが、これはネオジム磁石を使用する際には特に重要である。
【0085】
第1接続手段及び第2接続手段175、178は、それぞれ差込要素192、194を有する。回転レーザー171が接続状態の場合に差込方向196と同軸の回転軸の回りを回ることができるようにするため、ソケット192及びプラグ194は柱体状である。回転することが望ましくなければ、差込方向196と垂直な非回転−非対称断面を差込要素192、194に持たせることができる。さらに、第2磁気接続要素193と第2差込要素194は別の要素として形成することができる。柱体永久磁石191の代わりに、例えば、球形永久磁石又は馬蹄形磁石を使用することができる。永久磁石191の形状は、回転レーザー171の状態及び利用可能な空間に適合させることができる。
【0086】
図7A図7Cは、回転レーザー171と保持固定具172とを有するデバイスシステム170の例における、プラグ−アンド−ソケット接続及び磁気接続の3つの異なる変形実施例を示す。
【0087】
回転レーザー171は、第1接続手段201及び第2接続手段202により保持固定具172に接続される。回転レーザー171の第1接続手段201は、第1磁気接続要素203と、ソケット204として形成される第1差込要素とを有する。保持固定具172の第2接続手段202は、第2磁気接続要素205と、プラグ206として形成される第2差込要素とを有する。プラグ206及び嵌合ソケット204は、差込要素194、192と同様に形成される。
【0088】
図7Aは、第1と第2接続手段201、202の磁気接続及びプラグ−アンド−ソケット接続の変形実施例を示す。第1磁気接続要素203は、永久磁石207と、永久磁石を囲む追加の強磁性要素208とを有する。第2磁気接続要素205は、強磁性保持要素209として形成され、プラグ206に組み込まれる。強磁性要素は、永久磁石207の磁界を変化させる鋼製のポット208として形成される。磁力線は接合素子209の方向を向いており、磁気接続の磁着力が向上する。強磁性要素208の形状は、永久磁石207の形状に対応する。
【0089】
図7Bは、第1接続手段と第2接続手段201、202の磁気接続及びプラグ−アンド−ソケット接続の第2の変形実施例を示す。第1磁気接続要素203は永久磁石212として形成され、第2磁気接続要素205は、永久磁石213と、永久磁石213を囲む追加の強磁性要素214とを有する。
【0090】
図7Cは、第1接続手段と第2接続手段201、202の磁気接続及びプラグ−アンド−ソケット接続の第3の変形実施例を示す。第1磁気接続要素203は強磁性接合素子217として形成され、第2磁気接続要素205は、永久磁石218と、永久磁石218を囲む追加の強磁性要素219とを有する。
【0091】
図7A図7Cが示す接続手段201、202は、回転レーザー171と、保持固定具172とを有するデバイスシステム170のみならず、デバイスシステム10、60、100、140でも使用することができる。永久磁石として形成される第1磁気接続要素又は第2磁気接続要素は、永久磁石以外であれば、例えば、追加の強磁性要素を有する磁気接続要素に代えることができる。さらに、全ての回転レーザーシステムで、磁気接続要素及び/又は差込要素は交換が可能である。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
【国際調査報告】