特表2016-531835(P2016-531835A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-531835多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤及びその使用方法
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  • 特表2016531835-多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤及びその使用方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-531835(P2016-531835A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(54)【発明の名称】多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20160916BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20160916BHJP
   H01L 31/0236 20060101ALN20160916BHJP
【FI】
   C01B33/02 E
   H01L21/308 B
   H01L31/04 280
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-539393(P2016-539393)
(86)(22)【出願日】2013年12月17日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】CN2013089693
(87)【国際公開番号】WO2015032154
(87)【国際公開日】20150312
(31)【優先権主張番号】201310394703.2
(32)【優先日】2013年9月4日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514205436
【氏名又は名称】常州時創能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changzhou Shichuang Energy Technology Limited Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】符黎明
(72)【発明者】
【氏名】章圓圓
【テーマコード(参考)】
4G072
5F043
5F151
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072BB02
4G072BB12
4G072GG03
4G072HH01
4G072QQ06
4G072QQ20
4G072UU02
5F043AA10
5F043BB03
5F043GG10
5F151AA03
5F151BA14
5F151GA15
(57)【要約】
【課題】電池性能をより安定的にすることができる多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤を提供する。
【解決手段】本発明は、酸溶液と多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤を含有する、多結晶シリコンウェハのテクスチャリングのためのテクスチャリング液を提供する。本発明は、更に、上記テクスチャリング液を利用して多結晶シリコンウェハの表面をテクスチャリングする多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法を提供する。該多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤を多結晶シリコンウェハのテクスチャリング面の製作に使用する場合に、均一性に優れ、結晶粒子間に著しい色差がない微孔型の微細構造テクスチャリング面を得ることができ、それにより反射率が低くなり、黒線発生数量が効果的に少なくなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クエン酸トリアミン、ポリビニールピロリドン、ポリビニールアルコール、クエン酸の各成分を含み、残部が水である
ことを特徴とする多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤。
【請求項2】
前記各成分の含有量の質量百分率が、クエン酸トリアミンが0.2%〜0.5%、ポリビニールピロリドンが0.1%〜1%、ポリビニールアルコールが0.1%〜0.2%、クエン酸が2%〜2.5%、残部が水である
ことを特徴とする請求項1に記載の多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤。
【請求項3】
前記水が脱イオン水である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤。
【請求項4】
49%のHFを含有する7%〜14%のHF水溶液及び69%のHNOを含有する25%〜50%のHNO水溶液が配合される酸溶液と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤とを含有し、
前記多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤と酸溶液の質量比が0.1〜0.6:100である
ことを特徴とする多結晶シリコンウェハのテクスチャリングのためのテクスチャリング液。
【請求項5】
請求項4に記載のテクスチャリング液を利用して、多結晶シリコンウェハの表面をテクスチャリングする
ことを特徴とする多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法。
【請求項6】
前記表面テクスチャリングのテクスチャリング温度が、5〜25℃であり、テクスチャリング時間が45〜180sである
ことを特徴とする請求項5に記載の多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法。
【請求項7】
(A)質量百分率が0.2%〜0.5%のクエン酸トリアミン、0.1%〜1%のポリビニールピロリドン、0.1%〜0.2%のポリビニールアルコール、2%〜2.5%のクエン酸を残部の水に加え、均一に混合し、テクスチャリング添加剤を調製するステップと、
(B)ステップ(A)で製作されたテクスチャリング添加剤を、49%のHFを含有する7%〜14%のHF水溶液及び69%のHNOを含有する25%〜50%のHNO水溶液が配合された酸溶液に、前記テクスチャリング添加剤と酸溶液の質量比が0.1〜0.6:100であるように加え、均一に混合し、テクスチャリング液を調製するステップと、
(C)多結晶シリコンウェハをステップ(B)で製作されたテクスチャリング液にディッピングして、テクスチャリング温度を5〜25℃で、テクスチャリング時間が45〜180sで、表面をテクスチャリングするステップと、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン太陽電池の製造過程において、シリコンウェハの表面をテクスチャリングすることは肝心なステップとなっている。テクスチャリング効果は、直接最終的な電池ウェハの変換効率及び歩留まりを影響する。多結晶シリコンウェハは、異なる結晶方向の結晶粒子からなり、且つ各結晶粒子の結晶方向がランダムに分布しているので、一般のテクスチャリングプロセスにおいて酸性溶液を用いた湿式化学エッチング法によって多結晶シリコンウェハの表面をテクスチャリングする場合が多い。該テクスチャリングプロセスは、酸性溶液によるシリコンへの等方性のエッチングの原理に基づいて、テクスチャリング面の見かけが結晶粒子の配向性に関連しないようにシリコンウェハの異なる結晶粒子表面に似ているピット状のテクスチャリング面を形成する。
【0003】
現在、工業生産によく用いられている酸溶液は硝酸、フッ化水素酸及び脱イオン水等からなるものである。このような酸溶液は、テクスチャリング効果が十分に好ましくなくて、テクスチャリング面のサイズが大きくて均一性が良くなく、異なる結晶粒子の間の色差が比較的著しく、マクロ見かけに例えば黒線状の深くエッチングしたピットが存在し、表面反射率が高く、テクスチャリングの安定性が良くないという問題が存在している。そのため、上記問題を解決するために酸溶液にテクスチャリング添加剤を加えることができれば、重要な意義を有するようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、多結晶シリコンウェハのテクスチャリング面の製作に使用する場合に、均一性に優れ、結晶粒子間に著しい色差がない微孔型の微細構造テクスチャリング面を得ることができ、それにより反射率が低くなり、黒線発生数量が効果的に少なくなり、また、反応メカニズムを変え、反応速度を制御し、それによりテクスチャリングを室温に近い条件下で行えるようになり、温度制御コストが大幅に低減し、また、ローラの跡を効果的に除去してシリコンウェハをより清潔にして、後続の製造工程と更にマッチングするようにし、電池性能をより安定的にすることができる多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤及びその使用方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明は、その成分として、クエン酸トリアミン、ポリビニールピロリドン、ポリビニールアルコール、クエン酸及び残部の水を含む多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤を提供する。
【0006】
好ましくは、前記多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤における各成分の含有量の質量百分率については、クエン酸トリアミンが0.2%〜0.5%、ポリビニールピロリドンが0.1%〜1%、ポリビニールアルコールが0.1%〜0.2%、クエン酸が2%〜2.5%、残部が水である。
【0007】
好ましくは、前記水が脱イオン水である。
【0008】
本発明は、更に、49%のHFを含有する7%〜14%のHF水溶液及び69%のHNOを含有する25%〜50%のHNO水溶液が配合された酸溶液と上記多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤を含有し、前記多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤と酸溶液の質量比が0.1〜0.6:100である、多結晶シリコンウェハのテクスチャリングのためのテクスチャリング液を提供する。
【0009】
本発明は、更に、上記テクスチャリング液を利用して多結晶シリコンウェハの表面をテクスチャリングする多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法を提供する。
【0010】
好ましくは、前記表面テクスチャリングのテクスチャリング温度を5〜25℃とし、テクスチャリング時間を45〜180sとする。
【0011】
上記多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法は、具体的なステップとして、
(A)質量百分率が0.2%〜0.5%のクエン酸トリアミン、0.1%〜1%のポリビニールピロリドン、0.1%〜0.2%のポリビニールアルコール、2%〜2.5%のクエン酸を残部の水に加え、均一に混合し、テクスチャリング添加剤を調製し、ただし、水が好ましくは脱イオン水であるステップと、
(B)ステップ(A)で製作されたテクスチャリング添加剤を、49%のHFを含有する7%〜14%のHF水溶液及び69%のHNOを含有する25%〜50%のHNO水溶液が配合された酸溶液に加え、均一に混合し、テクスチャリング液を調製し、前記テクスチャリング添加剤と酸溶液の質量比が0.1〜0.6:100でるステップと、
(C)多結晶シリコンウェハをステップ(B)で製作されたテクスチャリング液にディッピングして表面をテクスチャリングし、テクスチャリング温度を5〜25℃とし、テクスチャリング時間を45〜180sとするステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の利点と有用な効果は、多結晶シリコンウェハのテクスチャリング面の製作に使用する場合に、均一性に優れ、結晶粒子間に著しい色差がない微孔型の微細構造テクスチャリング面を得ることができ、それにより反射率が低くなり、黒線発生数量が効果的に少なくなり、また、反応メカニズムを変え、反応速度を制御し、それによりテクスチャリングを室温に近い条件下で行えるようになり、温度制御コストが大幅に低減し、また、ローラの跡を効果的に除去してシリコンウェハをより清潔にして、後続の製造工程と更にマッチングするようにし、電池性能をより安定的にすることができる多結晶シリコンウェハのテクスチャリング添加剤及びその使用方法を提供することにある
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施例3における多結晶シリコンウェハ表面のテクスチャリング面の走査型電子顕微鏡平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面と実施例を参照しながら、本発明の具体的な実施形態を更に説明する。以下の実施例は本発明の技術的解決手段をより明らかに説明するためのものに過ぎず、それによって本発明の保護範囲を限定するわけではない。
【0015】
本発明の具体的な実施形態は以下のとおりである。
実施例1
【0016】
(A)0.2gのクエン酸トリアミン、0.1gのポリビニールピロリドン、0.1gのポリビニールアルコール、2gのクエン酸を脱イオン水に溶解し、100gのテクスチャリング添加剤を調製するステップと、
(B)7kgのHF水溶液(HF水溶液におけるHFの含有量の質量百分率が49%)及び25kgのHNO水溶液(HNO水溶液におけるHNOの含有量の質量百分率が69%)を脱イオン水に溶解し、100kgの酸溶液を得、次に該酸溶液にステップ(A)で製作された100gのテクスチャリング添加剤を加え、テクスチャリング液を調製するステップと、
(C)多結晶シリコン電池ウェハをテクスチャリング液にディッピングして表面をテクスチャリングし、テクスチャリング温度を5℃とし、テクスチャリング時間を180sとするステップと、
を利用した多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法である。
実施例2
【0017】
(A)脱イオン水を溶媒とし、3gのクエン酸トリアミン、6gのポリビニールピロリドン、1.2gのポリビニールアルコール、15gのクエン酸を脱イオン水に溶解し、600gのテクスチャリング添加剤を調製するステップと、
(B)14kgのHF水溶液(HF水溶液におけるHFの含有量の質量百分率が49%)及び50kgのHNO水溶液(HNO水溶液におけるHNOの含有量の質量百分率が69%)を混合し、100kgの酸溶液を得、次に該酸溶液にステップ(A)で製作された600gのテクスチャリング添加剤を加え、テクスチャリング液を調製するステップと、
(C)多結晶シリコン電池ウェハをテクスチャリング液にディッピングして表面をテクスチャリングし、テクスチャリング温度を25℃とし、テクスチャリング時間を45sとするステップと、
を利用した多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法である。
【0018】
実施例3
(A)脱イオン水を溶媒とし、1.2gのクエン酸トリアミン、1.5gのポリビニールピロリドン、0.45gのポリビニールアルコール、6.9gのクエン酸を脱イオン水に溶解し、300gのテクスチャリング添加剤を調製するステップと、
(B)10kgのHF水溶液(HF水溶液におけるHFの含有量の質量百分率が49%)及び40kgのHNO水溶液(HNO水溶液におけるHNOの含有量の質量百分率が69%)を脱イオン水に溶解し、100kgの酸溶液を得、次に該酸溶液にステップ(A)で製作された300gのテクスチャリング添加剤を加え、テクスチャリング液を調製するステップと、
(C)多結晶シリコン電池ウェハをテクスチャリング液にディッピングして表面をテクスチャリングし、テクスチャリング温度を12℃とし、テクスチャリング時間を100sとするステップと、
を利用した多結晶シリコンウェハのテクスチャリング方法である。
【0019】
図1は、本実施例3で得られた多結晶シリコンウェハ表面のテクスチャリング面の走査型電子顕微鏡平面写真を示しており、図から分かるように、テクスチャリングした後多結晶シリコンウェハの表面に微孔型の微細構造テクスチャリング面が形成されており、テクスチャリング面の分布が比較的均一である。
【0020】
以上に述べたのは本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者にとって、本発明の技術原理から逸脱しない限り、多数の変形可能であるが、これら変形も本発明の保護範囲に含まれる。前記百分率は特に断りが無い限り質量百分率である。
図1
【国際調査報告】