【実施例】
【0166】
本明細書の実施例は、本発明がより十分に理解され得るように提供されるものであり、決して限定的であることを意味するものではない。
【0167】
一般的な合成スキーム
【0168】
【化20】
【0169】
スキーム1は、市販のコルチゾールから式1−Eの化合物を合成するための一般的な合成スキームを提供し、R
1、R
4およびR
3aは、上記に定義される。過ヨウ素酸などの試薬でコルチゾールを酸化して式1−Aのカルボン酸を得、これを、合成における後の段階でさらに官能化し得る。塩基およびアルデヒド試薬、例えばNaH/ギ酸メチル条件で1−Aを処理して、式1−Bの化合物を得る。ヒドラジン試薬、例えばフェニルヒドラジンまたはN−ベンジル−3−ヒドラジニルベンズアミドで1−Bを処理して、式1−Cの化合物を得る。式NH
2−R
1のアミン試薬で式1−Cの化合物のカルボン酸部分を官能化して、式1−Dの化合物を得る。構造
【化21】
のアシルクロライドで17αヒドロキシル置換基を官能化して、式1−Eの化合物を得る。
【0170】
【化22】
【0171】
上記スキーム2にしたがって、2−Aなどの出発化合物から、式2−Iの化合物を合成し得る。使用する反応工程、これらの工程の手順および試薬は例示的なものであり、決して本発明を限定するものではない。
【0172】
2−Bを得るための、2−Aのα−ヒドロキシアセチル基のヒドロキシルメチル基の酸化開裂は、過ヨウ素酸を使用して達成し得る。例えば、水素ガスおよびPd/C触媒を使用して、2−Bのオレフィン部分を還元して、飽和生成物2−Cを得る。続いて、例えば、分子臭素を使用して、臭素化して、ビス−α,α’ブロミド化合物2−Dを得る。塩基、例えば炭酸カルシウムおよび触媒、例えば臭化リチウムを使用して、臭化物置換基を二重脱離して、2−Eを得る。塩基、例えば水素化ナトリウムを用いて、2−Eのエノラートの生成を達成し得、続いて、ギ酸メチルの求核付加により、化合物2−Fを得ることができる。
【0173】
フェニルヒドラジンを使用して2−Fをアミノ化して、ピラジン化合物2−Gを得ることができる。続いて、式R
3−C(O)−Xの活性化カルボニル化合物(式中、Xは、塩化物などの脱離基である)を使用して、2−Gの遊離ヒドロキシル基をエステル化して、式2−Hの化合物を得ることができる。式R
2−NH
2のアミンを使用して、式2−Hの化合物のカルボン酸部分をアミド化して、式2−Iの化合物を得ることができる。
【0174】
材料および方法
【0175】
タンパク質の発現および精製。突然変異F602A、C622Y、T668V、S674T、V675I、K699AおよびK703A(フランカルボン酸モメタゾンの場合)ならびに突然変異F602A、C622Y、T668V、S674T、V675I、E684AおよびE688A(コルチゾールの場合)を含有するGR LBD(残基525−777)を、発現ベクターpET24a(Novagen)から6xHis−GST融合タンパク質として発現させた。この修飾融合タンパク質は、N末端にHis6タグ(MKKGHHHHHHG)を含有し、GSTとGR LBDとの間にトロンビンプロテアーゼ部位を含有する。発現プラスミドで形質転換したBL21DE3細胞を、16℃のLBブロス中で約1のOD600まで成長させ、0.1mM IPTGおよび50μMフランカルボン酸モメタゾンまたはコルチゾールで誘導した。細胞を回収し、細胞12リットル当たり200mlの抽出緩衝液(50mM Tris[pH8]、150mM NaCl、2M尿素、10%グリセロール+1μMリガンド)に再懸濁し、1000Paに圧力を設定したフレンチプレスに3回通した。溶解物を20,000rpmで30分間遠心分離し、上清を25mlニッケルカラムにロードした。700mlの抽出緩衝液でカラムを洗浄し、300mlの50%緩衝液B(25mM Tris[pH8]、500mMイミダゾール(Imizadole)、10%グリセロール、1μMリガンド)で溶出した。低温室において、20mM Tris[pH8]、500mM NaCl、10%グリセロール、1μMリガンドに対して透析しながら、1:1000のプロテアーゼ/タンパク質比で、GR LBDをトロンビンで一晩切断した。Ni−NTAニッケルカラムに結合することによって、H6GSTタグを除去した。ゲルろ過(20mM Tris[pH8]、500mM NaCl、1mM DTT、1mM EDTA、10%グリセロール、1μMリガンド)によって、フロースルーをさらに精製した。フランカルボン酸モメタゾン結合タンパク質をより長いバージョンのSRC2−3ペプチド:SPKKKENALLRYLLDKDDTKDと複合体形成させ、6mg/mlにろ過濃縮した。コルチゾールGR LBDをより短いバージョンのSRC2−3:KENALLRYLLDKDDおよび0.2%B−オクチルグルコシドと複合体形成させ、7mg/mlにろ過濃縮した。
【0176】
結晶化。GP2ペプチドと複合体形成した1μlのタンパク質を含有する懸滴、ならびに0.1Mクエン酸ナトリウム[pH6]および2.2M塩化ナトリウムを含有する2μlのウェル溶液中で、フランカルボン酸モメタゾンGR結晶を室温で成長させた。1μlのタンパク質複合体を含有する懸滴、ならびに0.1Mイミダゾール(pH6.5)、1M酢酸ナトリウム三水和物を含有する1μlのウェル溶液中で、コルチゾールGR結晶を室温で成長させた。両方とも、30%スクロースのウェル緩衝液を抗凍結剤として使用した。
【0177】
構造決定。CCP4プログラムPHASERを分子置換(36)に使用し、検索モデルとしてGR LBD/デキサメタゾン構造(PDBコード:1M2Z)(27)を用いた。初期モデルを手動で再構築し、CNS(37)およびCCP4プログラムREFMAC5(38)を使用して微調整した。PyMOL(The PyMOL Molecular Graphics System,Version 1.3,Schroedinger LLC)を使用して、すべての構造図を作成した。
【0178】
細胞トランスフェクションおよびレポーターアッセイ。トランスフェクションの前日に、24ウェルプレートにおいて、AD293細胞を20,000/ウェルで分けた。転写促進の場合、X−tremeGENE 9(Roche)によって、5ngのphRGtkRenillaと共に100ngのpHHLuc(MMTV−Luc)プラスミド、0.1ngのpRShGRを1ウェル当たりのAD293細胞にトランスフェクトした。転写抑制の場合、10ngのAP1−Luc、100ngのpRShGRおよび5ngのphRGtkRenillaを1ウェル当たりのAD293細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの翌日、異なる処理(ステロイドまたはビヒクル)によって、細胞を一晩16時間誘導した。1xPassive lysis buffer(Promega)によって細胞を回収し、Dual−Glo Luciferase system(Promega)によってルシフェラーゼ活性をアッセイした。Luciferase Value/Renilla Valueによって、相対ルシフェラーゼ単位(RLU)としてデータをプロットした。
【0179】
インビトロGRリガンド結合アッセイ。インビトロGR結合アッセイは、以前に記載されているもの(39)と同様である。基本的には、ホットリガンド[3H]Dexを25nMで固定し、TAPS緩衝液(ph8.8)中で5%GR細胞質ゾル+20mMモリブデン酸ナトリウムと共にインキュベートし、コールドリガンド(0.1nM〜10μMで変化)を追加して、ホットリガンド結合と競合させた。GraphPad Prism5によって、標準競合曲線としてデータをプロットした。
【0180】
生物学的実施例
【0181】
実施例1:コルチゾール結合GR LBDおよびMF結合GR LBDの全体構造
【0182】
GR LBDの結晶化は常に、その溶解度の問題により難題であった。タンパク質の溶解性を改善するF602S突然変異を有するGR LBDに結合した高親和性リガンドDEX(27)を用いて、元のGR LBD構造を決定した。しかしながら、コルチゾールは、DEXよりもはるかに弱いリガンドであるため、F602S突然変異は、内因性ホルモンであるコルチゾールに結合したGR LBDを安定化するために十分ではない(
図8、レーン1)。全体構造に影響を与えずにGR LBD溶解度を増加させ得るアミノ酸を同定するために、本発明者らは、GRと、GRよりもはるかに可溶性であるステロイドホルモンファミリーの最も近縁なメンバー(MR、アンドロゲン受容体(AR)およびプロゲステロン受容体(PR))とをアライメントした。F602の他に、残基C622、T668、S674およびV675も、前記ファミリーの保存されている配列と異なるので、本発明者らは、これらのアミノ酸を突然変異させて、保存されている残基に戻した(F602A、C622Y、T668V、S674TおよびV675I。AYVTIと称する)。これらの残基のほとんどは、PR LBD構造中で上手くパッキングされるPR残基を有するタンパク質の内部に見られる(28)。実際、AVYTI GR LBDは、コルチゾールに結合すると、F602S LBDよりもはるかに優れた溶解度を有する(
図8、レーン2)。突然変異GR LBDを発現させ、1リットル当たり5mg超の収量で精製し得る。しかしながら、本発明者らは、コルチゾールまたはMFに結合したこの突然変異GR LBDの結晶を得ることができなかった。GR LBDは、そのヘリックスH9においていくつかのリジンおよびグルタミン酸残基を有し、その長い側鎖は、結晶化に影響を与え得る。表面エントロピー低減突然変異として、これらの残基のアラニン突然変異(MFの場合はK669A/K703Aおよびコルチゾールの場合はE684A/E688A)を有するGR LBDは依然として可溶性であったので(
図8、レーン3および4)、本発明者らは、MFおよびコルチゾールに結合したGR LBDの結晶を得ることができた(
図9)。これらの突然変異はすべて、リガンド結合ポケットからかなり離れており、リガンドによって媒介されるGR転写促進および転写抑制機能を変化させない(
図10)。
【0183】
MF結合GR LBDおよびコルチゾール結合GR LBDの全体構造(
図1A)は、DEX結合GR LBDに類似しており、11個のヘリックスが3層のヘリカルサンドイッチバンドルにパッキングされ、リガンド結合空洞が前記バンドルの下部に埋め込まれている。データ収集の統計および微調整を表S1に要約する。コルチゾール結合GR LBDの全体構造は、DEX結合GR LBDとほぼ同一であるのに対して、MF結合GR LBDとDEX結合GR LBDとの間には、ヘリックス1の前のループの方向(
図1Bでは「1」と表記されている);ヘリックス5と6との間のループ領域の拡大(
図1Bでは「2」と表記されている);およびAF−2ヘリックスのC末端方向の変化(
図1Bでは「3」と表記されている)を含め、いくつかの顕著な差異がある。コルチゾールおよびMFのリガンド結合様式は、結合したリガンドおよびその周囲のポケットの残基の明確な電子密度マップによって明確に定義される(
図1C)。
【表1】
【0184】
実施例2:コルチゾール、DEXおよびMFの効力、親和性
【0185】
コルチゾール、DEXおよびMFの化学構造の変化(
図2A)は、グルココルチコイドの進化(単純から複雑へ、および一レベルから複数レベルへ)を映し出している。コルチゾールの構造は、基本的な4環ステロイド骨格を提供し;次いで、DEXは、1,2−ダブルボーン、16メチル化および9αハロゲン化を追加し(
図2A);さらに、MFは22位をクロル化し、より重要なことには、DEXおよびコルチゾールのヒドロキシル基を置換して、17α位に親油性フロエステル基を追加する(
図2A)。GRの効力に対するこれらの化学変化の効果を試験するために、本発明者らは、完全用量反応曲線の形式で、GR転写促進および転写抑制の両方に対するMF、DEXおよびコルチゾールの活性を対照比較した。転写促進の場合、本発明者らは、MMTV駆動ルシフェラーゼレポーター系を使用した(
図2B)。MFおよびDEXは、飽和濃度(1μM)においてほぼ同じ有効性(最大活性)を示したのに対して、コルチゾールは、その飽和濃度(10μM)においてDEXの有効性のわずか80%であった。DEXと比べて、MFの用量反応曲線は、左方向へのシフトが大きかったが、これは、MFがDEXよりも20倍を超えて高効力であることを示している。一方、コルチゾールの曲線は、右方向へのシフトは大きかったが、これは、コルチゾールがDEXよりも10倍未満の低効力であることを示している。転写促進におけるMF、DEXおよびコルチゾールのEC50値は、それぞれ0.33nM、6.7nMおよび70nMであった。
【0186】
転写抑制の場合、AP1駆動のルシフェラーゼレポーターを使用した(
図2C)。MF、DEXおよびコルチゾールは、それらの飽和濃度において同様の有効性を示した。この場合もやはり、MFは、DEXよりもはるかに高い(60倍)効力を示し、コルチゾールは、DEXよりもはるかに弱かった;転写抑制におけるMF、DEXおよびコルチゾールのEC50値は、それぞれ0.005nM、0.32nMおよび2.7nMであった。より高濃度のステロイドが誘導に必要であるという頻繁な観察結果と一致して、誘導効力は、各化合物の抑制効力よりも少なくとも10倍低かった。この差異は、非常に低用量のグルココルチコイドを使用することによって、転写促進と転写抑制とを分ける機会を提供する。例えば、0.1nMでは、MFが達成する転写抑制効果は95%であるが、転写促進効果はわずか25%である(
図2Bおよび2C)。
【0187】
一般に、高い効力は、高い受容体親和性によって決定されるが、細胞補助因子も重要な役割を果たす(29、30)。MFのGR親和性を試験するために、本発明者らは、MF、DEXおよびコルチゾールについて、インビトロGRリガンド結合競合アッセイを実施したところ(
図2D)、GR結合親和性の順序はMF>DEX>コルチゾールであることが示された。MF、DEXおよびコルチゾールのKi値は、それぞれ0.7nM、8nMおよび91nMであった。この結果は、本発明者らの効力の結果と一致していた。しかしながら、MFとDEXとの間のインビトロ結合IC50の差はわずか約10倍であったが、効力の差ははるかに大きかった(誘導の場合は20倍、および抑制の場合は60倍)(
図2Bおよび2C)。効力の差に関する他の要素は、異なるリガンドの結合によって引き起こされる表面立体構造の変化を認識する細胞因子との相互作用が寄与しているはずである。
【0188】
実施例3:コルチゾールの低いGR親和性に起因する1,2単結合の柔軟性
【0189】
コルチゾールの低親和性の基本的機構を理解するために、本発明者らは、コルチゾール結合GR LBDおよびDEX結合GR LBDの構造比較を行った。コルチゾール結合GR LBDの全体構造は、DEX結合GR LBDとほとんど全く同じであり、顕著な立体構造の変化はない。次いで、本発明者らは、リガンド結合の詳細を調査した。上述のように、1,2二重結合、9αハロゲン化および16メチル化の点においてのみ、DEXはコルチゾールと異なる(
図2A)。DEXのC1−C2二重結合は、ステロイドA環およびC−3ケトン基の平面化を引き起こして、C3−ケトンがR611およびQ570と容易に相互作用することを可能にする(
図3A)。対照的に、コルチゾールのC1−C2単結合の柔軟性により、ステロイドA環は、R611およびQ570と水素結合を形成するためには曲がる必要がある。また、未結合のコルチゾールのC1−C2単結合は、2つの立体構造(A環平面の上および下)間で変動するので、水素結合ネットワークを形成してリガンドをその位置に保持するためには、水分子が必要である。これらの観察結果により、コルチゾールの比較的低いGR親和性が説明された。C1−C2二重結合の重要性を確認するために、本発明者らは、転写促進アッセイにおいて、C1−C2二重結合(
図3B、茶色)の付加の点においてのみコルチゾールと異なるプレドニゾロンの効力を測定した。実際、プレドニゾロンのC1−C2二重結合は、コルチゾールの用量反応曲線の約5倍の左方向へのシフトを引き起こしたので(
図3B)、DEXによって引き起こされる左方向へのシフト全体の半分以上を説明することができる。効力の残りの増加は、C−9αハロゲン化およびC−16メチル化に起因する可能性があり、これらは両方とも、受容体ポケット内の相互作用面を増加させる(
図11)。
【0190】
実施例4:17αフロエートは、MFの高親和性を決定した
【0191】
DEXの化学構造は、ほぼ平面の二次元表面を形成するが(
図4A)、MFでは、17αフロエートエステルは、環平面に対してほぼ90°でその表面から突出しており、リガンドを三次元の物体にしている(
図4B)。DEX結合GR LBDでは、ステロイドD環の上に空間(ヘリックス3、ヘリックス5、β3〜β4ターンおよびヘリックス6〜7によって形成された疎水性空洞)がある(
図4C)。MF結合GR LBDの構造では、突出している17αフロエートがリガンド結合ポケットをわずかに拡大し、その空洞のほとんどのスペースを占めている。親油性17αフロエートは、疎水性空洞によくフィットしており、関節内にしっかりと固定された球のように、周囲のF623、I629、M639、C643、I559およびL563アミノ酸と大規模な疎水性相互作用を形成しているが(
図4D)、これにより、MFがDEXよりも10倍高いGR親和性を有する理由が説明される。
【0192】
実施例5:Q642は、異なる効力のグルココルチコイドの認識において重要な役割を果たす
【0193】
GR LBDによるグルココルチコイドの基本的な認識について説明されている(27、31、32)。DEX結合GR LBDのように、Q570およびR611は、ステロイドA環のC−3ケト基と相互作用し、N564は、ステロイドC環のC−11ヒドロキシル基と相互作用し、T739は、側鎖のC−21カルボニル基と相互作用する(
図3A)。これら4組の重要な水素結合は、ステロイド骨格をその位置にしっかりと固定する。DEX結合GR LBDおよびコルチゾール結合GR LBDと比べて、MFのC−17αフロエート基の導入は、リガンド結合ポケット内に唯一の大きな変化(これは、ヘリックス7のQ642の移動である)を引き起こす(
図5A)。DEX結合GR LBDの構造では、Q642はヘリックス7の軸に対して垂直であり、DEXのC−17αヒドロキシル基と水素結合を形成する。MFが結合すると、C−17αフロエート基はQ642を押し出して、それを、ヘリックス7の軸に対して平行な位置へ約90°折り曲げる(
図5A)。
【0194】
Q642の方向は、MFの結合時のリガンド結合ポケット内の唯一の大きな変化であるので、本発明者らは、Q642を突然変異させて、それをより小型(Q642A)、より大型(Q642F)、疎水性(Q642L)もしくは帯電性(Q642E、Q642K)にし、またはごくわずかな変化を作った(Q642N)。本発明者らは、準飽和濃度(MF、1nM;DEX、10nM)のMFまたはDEXのいずれかを使用して、これらの突然変異を試験した。興味深いことに、ある突然変異(Q642N)の場合、DEXの活性はほぼ抑制されたが、MFの活性は依然として最大であった(
図5B)。したがって、単一の突然変異は、MFの活性とDEXの活性とを完全に区別することができる。他の突然変異は、DEXおよびMFの両方の活性のほとんどを喪失させた。例外的に、Q642Lでは、MFの場合には活性が半分であり、DEXの場合には活性が全くないかまたは非常に低かった。MFの17αフロエートもまた、M560およびM639の周囲の立体構造をわずかに変化させたが、これらの残基の突然変異は、Q642N突然変異と同じ効果を有していなかった(
図12)。
【0195】
異なる効力のリガンドの認識におけるQ642の重要な役割を分析するために、本発明者らは、GR転写促進アッセイにおいて、Q642Nに対する結合に関するMF、DEXおよびコルチゾールの完全用量反応曲線(これは、それぞれ高効力、中効力および低効力を表す)を決定した(
図5C)。MFの場合、Q642Nの用量反応曲線は、野生型のものと区別不可能であった。DEXの場合、野生型と比べて、Q642Nは曲線を右方向に大きくシフトさせ、EC50は7.5nM〜40nMで変化し、効力は5倍減少した。コルチゾールの場合、Q642N受容体変異体は、飽和濃度においてさえ不活性であった。したがって、単一突然変異Q642Nは、高効力、中効力および低効力のリガンドを完全に区別する能力を有しており、このことは、Q642が、異なる効力のリガンドを認識するセンサーとして機能することを示唆している。中効力または低効力のグルココルチコイド(例えば、DEXまたはコルチゾール)に結合すると、Q642は、17αヒドロキシル基と水素結合を形成して、結合したリガンドをリガンド結合ポケット内の位置にテザリングする。MFなどの非常に強力なリガンドに結合すると、Q642は、17α親油性基によって押し出される。この変化は、リガンド結合によって引き起こされる他の小さな変化と協調して、ヘリックス6、6および7を不安定化し、ヘリックス5とヘリックス6との間のループを拡大させ、AF2ヘリックスのC末端の方向を変化させ(
図1B)、高効力の特性をもたらす。
【0196】
異なるリガンドの結合におけるQ642の正確な役割を調査するために、本発明者らは、GR Q642Aのリガンド結合能を試験したところ、DEXは、単一不飽和濃度において転写促進活性をほとんど有していなかった(
図5B)。野生型GRまたはGR Q642Aのいずれかを発現するAD293細胞由来の細胞質ゾルを使用したインビトロ結合アッセイでは、Q642A突然変異体は、野生型GRと比較して、DEXに対する結合親和性の実質的な喪失を示したが(Kd(Q642A)=22.3nM対Kd(WT)=5.2nM)、高いリガンド濃度では、いくらかの親和性を依然として保持していた(
図13A)。一方、レポーターアッセイでは、Q642Aは、飽和DEX濃度においてさえ転写促進活性をほとんど示さなかった(
図13B)。これらのデータは、GR Q642AのDEX転写促進の欠如が、リガンド親和性の減少と、GRの活性化を阻害する立体構造変化との両方によるものであることを示している。DEXおよびコルチゾールとは異なり、Q642は、MFと水素結合を形成しない。Q642AがMF結合能を依然として有するかを決定するために、本発明者らは、GR Q642A突然変異体タンパク質を使用して、競合結合実験を実施した(
図13C)。MFおよびコルチゾールは両方とも、GR Q642Aに対する
3H−DEXの結合と競合することができたが、親和性は大きく減少した(野生型GRに対するKiが0.7nMおよび91nMであったのと比較して、MFおよびコルチゾールのKiは、それぞれ9nMおよび250nMであった)。総合すると、これらの結果は、Q642が、C−17αフロエート基を有するリガンドを押し出しながら、C−17αヒドロキシル基含有リガンドと水素結合を形成することによって、ヘリックス7のリッジを支持するための支柱として作用することを示唆している。アラニンのような小さな残基でQ642を置換することにより、ヘリックス7のリッジを崩壊させて、すべての転写促進の喪失をもたらし得る。
【0197】
実施例6:新規なグルココルチコイドの分子設計
【0198】
以下は、本明細書で議論される化合物の指定番号と相関する:
【化23】
【0199】
MF結合GR LBDの構造により、MFの高い効力は、リガンド結合ポケット残基を有する17αフロエート基の親和性増強相互作用によって主に達成されることが明らかになった。さらに非常に強力なグルココルチコイドを得るために、本発明者らは、これらの構造的な知見を新規なグルココルチコイドの設計に適用した。以前に、本発明者らは、デアシルコルチバゾール(DAC)(ステロイドA環のC−3ケトンに巨大なフェニルピラゾール基を有する合成グルココルチコイド(
図6A))に結合したGR LBDの結晶構造を決定した(32)。DACは、グルココルチコイド耐性小児急性白血病の処置に使用されている高親和性グルココルチコイドである(22)。しかしながら、DACは、高濃度で使用した場合に強力な細胞毒性を有し、癌細胞が薬剤耐性を徐々に生じる(33)。DACは、C−17α位にヒドロキシル基を有する。MF結合GR LBDにより、DACの17αヒドロキシル基を17αフロエート基で置換することによる、超強力なグルココルチコイドの開発の可能性が示唆された。本発明者らは、出発点としてDAC部分VSG24を選択した(
図6A)。MMTVレポーターアッセイでは、VSG24それ自体は、活性をほとんど有しない。フロ酸エステル(VSG22)による17αヒドロキシル基の置換は、効力および有効性の両方を大きく増加させて、EC50の1000倍を超える変化をもたらす。VSG24Fの効力は、DEXおよびDACのものよりも優れていた(
図6A)。これらのデータは、C17α位の親油基がグルココルチコイドの効力を増加させる力を実証している。VSG22はMFよりも依然としてわずかに弱いが、C17αにおける単純な変化による効力の劇的な変化は、この戦略がグルココルチコイドの効力を増強する力を示している。プロピオン酸フルチカゾンの効力を増強して、非常に強力な化合物フロ酸フルチカゾン(広く使用されている喘息薬)を得るために、同様の戦略が使用されている(34)。
【0200】
DAC結合GR LBDの構造により、DACのフェニルピラゾール基によって開かれたこれまでに発見されていないチャンネルが明らかになった(32)。本発明者らは、より大きな基をC−3ケトンに導入することによって、いくつかのこのようなグルココルチコイドを設計および合成した(VSG02、VSG03、VSG15;
図5B)。これらの化合物はすべて、比較的低いGR効力を示した。MF結合GR LBDの構造に基づいて、本発明者らは、フロエート基をC−17α位に導入して、それぞれ対応する化合物VSG10、VSG11およびVSG14を生産した。全3つの化合物のうち、17αフロエートは、GRの効力および有効性の両方を大きく増加させたが(
図6B;
図14)、これは、17αフロエートが、設計グルココルチコイドの効力を増大させる一般的な戦略であり得ることをさらに示唆している。
【0201】
合成例
【化24】
【0202】
化合物1−Aの合成:
【0203】
コルチゾール(3.6g、10mmol)をメタノール(60ml)に溶解し、次いで、過ヨウ素酸(60mlの水に4.5g、20mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、メタノールを濃縮し、H
2O(100ml)を追加すると、沈殿が形成された。沈殿物をろ過し、水(15×3ml)で洗浄し、空気乾燥して、白色の固体として化合物1−A(2.8g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 12.22 (s, 1H), 5.55 (s, 1H), 4.77 (s, 1H), 4.40 − 4.08 (m, 2H), 1.37 (s, 3H), 0.88 (s, 3H).
【化25】
【0204】
化合物1−Bの合成:
【0205】
化合物1−A(1.7g、5mmol)を無水トルエン(15ml)に溶解し、ギ酸メチル(2ml)を追加した。次いで、NaH(900mg、20mmol、鉱油中60%分散液)を追加し、反応物を室温で4時間撹拌した。次いで、1N HCl(120ml)を追加し、EtOAcで混合物を数回抽出した。溶媒を乾燥および除去して、黄色の泡状物質として1.8gの化合物1−Bを得、これを精製せずに次の工程で使用した。LR−Mass(ESI)m/z:375.3[M−H]
+。
【化26】
【0206】
化合物1−Caの合成:
【0207】
化合物1−B(1.8g、5mmol)をAcOH(15ml)およびH
2O(3ml)に溶解し、N−ベンジル−3−ヒドラジニルベンズアミド(1.1g、5mmol)を追加した。混合物を室温で4時間撹拌した。冷水(100ml)を追加し、沈殿物をろ過し、H
2O(10×3ml)で洗浄し、空気乾燥して、黄色の固体として化合物1−Ca(1.9g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 9.24 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.01 (s, 0H), 7.90 (dt, J = 7.3, 1.6 Hz, 1H), 7.67 − 7.58 (m, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.37 − 7.20 (m, 4H), 6.15 (s, 1H), 4.49 (d, J = 5.9 Hz, 2H), 4.30 (m, 1H), 1.23 (s, 3H), 0.90 (s, 2H).
【化27】
化合物1−Daの合成:
【0208】
化合物1−Caの調製について記載されているものと同一の手順を使用して、N−ベンジル−3−ヒドラジニルベンズアミドに代えてフェニルヒドラジンを使用して、白色の固体として化合物1−Daを得た。LR−Mass(ESI)m/z:447.3[M−H]
+。
【化28】
【0209】
化合物1の合成:
【0210】
化合物1−Ca(290mg、0.5mmol)を無水DMF(4ml)に溶解し、DMAP(183mg、1.5mmol)、Bop(265mg、0.6mmol)およびエチルアミンヒドロクロリド(50mg、0.6mmol)を追加した。室温で一晩撹拌した後、H
2O(20ml)を追加し、EtOAcで混合物を抽出し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。DCM:MeOH(20:1)を用いてクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、白色の固体として化合物1を得た(75%)。
1H−NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.98 (s, 1H, Ph−H), 7.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.60−7.52 (m, 2H), 7.40 (s, 1H), 7.38−7.29 (m, 5H, Ph−H), 6.68 (t, 1H, NH), 6.41 (t, 1H, NH), 6.11 (s, 1H, CH=C), 5.34 (s, 1H, OH), 4.66 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.48 (brs 1H, OH), 3.50−3.45 (m, 1H), 3.26−3.23 (m, 2H), 2.98 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.67 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.51−1.19 (m, 20H), 1.05 (s, 3H, CH
3); LR−Mass (ESI) m/z: 609.3 [M + H]
+.
【化29】
【0211】
化合物2の合成:
【0212】
化合物1(120mg、0.2mmol)、TEA(0.056mL、0.4mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、α−フロイルクロリド(29mg、0.22mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として化合物2を得た(82%)。
1H−NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.99 (s, 1H, Ph−H), 7.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.64−7.52 (m, 3H), 7.43 (s, 1H), 7.34−7.28 (m, 5H, Ph−H), 7.17 (d, 1H), 6.73 (t, 1H, NH), 6.51−6.50 (m, 1H), 6.14 (s, 1H, CH=C), 5.60 (t, 1H, NH), 4.64 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 4.57 (brs 1H, OH), 4.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 3.50−3.48 (m, 1H), 3.27−3.24 (m, 2H), 3.01 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.73 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.51−1.15 (m, 20H), 1.03 (s, 3H, CH
3); LR−Mass (ESI) m/z: 703.3 [M + H]
+.
【化30】
【0213】
化合物3の合成:
【0214】
化合物1の調製について記載されている手順と同じ手順を使用して、エチルアミンヒドロクロリドに代えて1−アミノプロパンヒドロクロリドを使用して、白色の固体として化合物3を得た(68%)。
1H−NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.99 (s, 1H, Ph−H), 7.79 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.60−7.52 (m, 2H), 7.41 (s, 1H), 7.38−7.29 (m, 5H, Ph−H), 6.64 (t, 1H, NH), 6.17 (t, 1H, NH), 6.11 (s, 1H, CH=C), 4.66 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 4.49 (brs 1H, OH), 3.50−3.45 (m, 1H), 3.26−3.23 (m, 2H), 2.98 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.67 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.51−1.19 (m, 19H), 1.01 (s, 3H, CH
3), 0.89 (t, 3H); LR−Mass (ESI) m/z: 623.3 [M + H]
+.
【化31】
【0215】
化合物4の合成:
【0216】
化合物2の調製について記載されているものと同一の手順を使用して、化合物1に代えて化合物3を使用して、白色の固体として化合物4を得た(75%)。
1H−NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.95 (s, 1H, Ph−H), 7.82 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.58−7.50 (m, 3H), 7.43 (s, 1H), 7.34−7.28 (m, 5H, Ph−H), 7.18 (d, 1H), 6.91 (t, 1H, NH), 6.51−6.50 (m, 1H), 6.12 (s, 1H, CH=C), 5.63 (t, 1H, NH), 4.65 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 4.57 (brs 1H, OH), 3.50−3.48 (m, 1H), 3.25−3.20 (m, 2H), 3.02 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.75 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.51−1.15 (m, 19H), 1.05 (s, 3H, CH
3), 0.87 (t, 3H); LR−Mass (ESI) m/z: 717.4 [M + H]
+.
【化32】
化合物6の合成:
【0217】
化合物1について記載されているものと同一の手順を使用して、エチルアミンヒドロクロリドに代えてベンジルアミンを使用して、続いて、化合物2について記載されているものと同一の手順を使用して、白色の固体として化合物6を得た(61%)。
1H−NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.99 (s, 1H, Ph−H), 7.58 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.57−7.50 (m, 3H), 7.42 (s, 1H), 7.36−7.26 (m, 10H, Ph−H), 7.13 (d, 1H), 6.54 (t, 1H, NH), 6.51−6.49 (m, 1H), 6.14 (s, 1H, CH=C), 5.83 (t, 1H, NH), 4.65 (d, J = 4.0 Hz, 2H), 4.54 (brs 1H, OH), 4.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 3.50−3.45 (m, 1H), 3.01 (d, J = 12 Hz, 1H), 2.74 (d, J = 12 Hz, 1H), 1.97−1.15 (m, 17H), 1.06 (s, 3H, CH
3); LR−Mass (ESI) m/z: 765.4 [M + H]
+; 787.4 [M + Na]
+.
【化33】
【0218】
化合物5の合成:
【0219】
化合物6について記載されているものと同一の手順を使用して、α−フロイルクロリドに代えてプロパノイルクロリドを使用して、白色の固体として化合物5を得た(55%)。
1H−NMR (CDCl
3, 400 MHz) δ: 7.96 (s, 1H, Ph−H), 7.78 (d, J = 6.6 Hz, 1H), 7.56−7.50 (m, 2H), 7.35 (s, 1H), 7.34−7.28 (m, 10H, Ph−H), 6.52−6.55 (t, 1H, NH), 6.13 (s, 1H, CH=C), 5.67−5.64 (t, 1H, NH), 4.65 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 4.44−4.33(m, 2H), 3.50−3.45 (m, 1H), 2.99 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 2. 69 (d, J = 15.7 Hz, 1H), 2.25 (t, 2H), 1.97−1.07 (m, 20H), 1.05 (s, 3H, CH
3); LR−Mass (ESI) m/z: 727.4 [M + H]
+.
【化34】
【0220】
化合物7の合成:
【0221】
化合物1の調製について記載されているものと同一の手順を使用して、エチルアミンヒドロクロリドに代えてN,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリドを使用し、化合物1−Caに代えて化合物1−Daを使用して、白色の固体として化合物7を得た(46%)。
1H−NMR (d
6−DMSO, 400 MHz) δ: 7.53−7.48 (m, 4H, Ph−H), 7.45 (s, 1H), 7.39−7.35 (m, 1H, Ph−H), 6.13 (s, 1H, CH=C), 4.78 (s, 1H, OH), 3.67 (s, 3H, OCH
3), 3.58 (s, 1H, OH), 3.16 (m, 1H), 3.0 (d, J = 16 Hz, 1H), 2.74 (d, J = 16 Hz, 1H), 2.71(s, 3H, NCH
3), 2.36−1.29 (m, 13H) 1.25 (s, 3H, CH
3), 1.04 (s, 3H, CH
3); LR−Mass (ESI): m/z 492.3 [M + H]
+.
【化35】
【0222】
化合物8の合成:
【0223】
化合物2の調製について記載されているものと同一の手順を使用して、化合物1に代えて化合物7を使用して、白色の固体として化合物8を得た(71%)。
1H−NMR (d
6−DMSO, 400 MHz) δ: 8.18 (d, J = 8 Hz, 1H) 7.75−7.50 (m, 7H), 6.79 (s, 1H), 6.20 (s, 1H, CH=C), 4.75 (s, 1H, OH), 3.35 (s, 3H, OCH
3), 3.0 (d, J = 16 Hz, 1H), 2.97 (m, 1H), 2.74 (d, J = 16 Hz, 1H), 2.73 (s, 3H, NCH
3), 2.38−1.29 (m, 13H), 1.27 (s, 3H, CH
3), 1.09 (s, 3H, CH
3); LR−Mass (ESI): m/z 586.2 [M + H]
+.
【化36】
【0224】
化合物2−Bの合成:
【0225】
市販の化合物2−A(4.1g、10mmol)をメタノール(60ml)に溶解し、次いで、過ヨウ素酸(60mlの水に4.5g、20mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。メタノールを濃縮し、H
2O(100ml)を追加した。沈殿物をろ過し、水(15×3ml)で洗浄し、空気乾燥して、白色の固体として化合物2−B(3.2g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 12.47 (s, 1H), 7.26 (dd, J = 10.2, 1.2 Hz, 1H), 6.28 (dd, J = 10.2, 1.9 Hz, 1H), 6.09 (s, 1H), 5.63 (ddd, J = 48.5, 9.6, 6.7 Hz, 1H), 5.33 (dd, J = 3.8, 1.7 Hz, 1H), 4.71 (s, 1H), 4.17 − 4.09 (m, 1H), 3.34 (s, 1H), 2.84 (ddd, J = 11.1, 7.1, 4.1 Hz, 1H), 2.26 − 2.16 (m, 1H), 1.49 (s, 3H), 0.99 (s, 3H), 0.86 (d, J = 7.1 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 397.1 [M + H]
+.
【化37】
【0226】
化合物2−Cの合成:
【0227】
化合物2−B(1.9g、5mmol)をメタノール(200ml)に溶解し、Pb/C(200mg)を追加した。その後、H
2下、室温で1日間撹拌した。この溶液をセライトパッドに通してろ過し、次いで、減圧下で濃縮して、精製せずにさらに使用するための2−C(1.8g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 5.20 − 4.99 (m, 1H), 4.93 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 4.21 (m, 1H), 2.89 − 2.77 (m, 1H), 2.56 (m, J = 15.9 Hz, 1H), 1.24 (s, 3H), 0.93 (s, 3H), 0.86 (d, J = 7.1 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 401.2 [M + H]
+ .
【化38】
【0228】
化合物2−Dの合成:
【0229】
化合物2−C(1.6g)の酢酸(40ml.)溶液を、6.6M臭化水素の酢酸(1.6ml)溶液および臭素の酢酸(4.5ml.)溶液で逐次処理した。その後、室温で40分間撹拌した。水で希釈して、未精製の2−D(2.1g)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ: 5.32 − 4.96 (m, 3H), 4.69 (m, 2H), 4.18 (m, 1H), 3.07 (m, 1H), 2.95 (m, 1H), 2.81 (s, 1H), 1.31 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.84 (d, J = 7.1 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 559.1 [M + H]
+.
【化39】
【0230】
化合物2−Eの合成:
【0231】
窒素下で100℃に維持した炭酸カルシウム(1.1g)および無水臭化リチウム(0.8g)の激しく撹拌したジメチルアセトアミド(17ml)懸濁液に、化合物2−D(2.0g)を追加した。3時間後、冷却した混合物を過剰な希塩酸に注ぎ、EtOAcで混合物を抽出し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。クロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、白色の固体として化合物2−Eを得た(0.6g、43%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 5.85 (s, 1H), 5.62 (d, J = 14.8 Hz, 1H), 5.27 − 5.19 (m, 1H), 4.74 (m, 1H), 4.11 (m, 1H), 3.07 − 2.78 (m, 3H), 2.70 − 2.58 (m, 1H), 2.42 − 2.03 (m, 6H), 1.45 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.89 (d, J = 7.1 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 397.1 [M + H]
+.
【化40】
【0232】
化合物2−Fの合成:
【0233】
化合物2−E(0.5g)を無水トルエン(15ml)およびギ酸メチル(2ml)に溶解した。次いで、NaH(900mg、20mmol、鉱油中60%分散液)を追加した。室温で4時間撹拌した後、1N HCl(120ml)を追加し、EtOAcで混合物を数回抽出した。溶媒を乾燥および除去して、精製せずにさらに使用するための黄色の泡状物質として0.6gの2−Fを得た。LR−Mass(ESI)m/z:425.3[M+H]
+。
【化41】
【0234】
化合物2−Gの合成:
【0235】
化合物2−F(0.50g)をAcOH(15ml)およびH
2O(3ml)に溶解し、フェニルヒドラジン(0.14g)を追加した。混合物を室温で4時間撹拌した。冷水(100ml)を追加した。沈殿物をろ過し、H
2O(10×3ml)で洗浄し、空気乾燥して、黄色の固体として化合物2−G(0.44g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 7.61 (s, 1H), 7.58 − 7.49 (m, 4H), 7.42 (m, 1H), 6.54 (s, 1H), 5.33 − 5.20 (m, 2H), 4.16 (s, 1H), 2.38 − 2.29 (m, 1H), 2.10 (d, J = 14.1 Hz, 1H), 1.71 (q, J = 11.5 Hz, 1H), 1.53 (d, J = 13.7 Hz, 1H), 1.26 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 0.87 (d, J = 7.1 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 497.3 [M + H]
+.
【化42】
【0236】
化合物2−Haの合成:
【0237】
化合物2−G(400mg、TEA(300mL)の無水DCM(10mL)溶液に、α−フロイルクロリド(200mg)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として2−Haを得た(82%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.01 − 7.98 (m, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.60 − 7.51 (m, 5H), 7.45 (m, 1H), 7.16 (dd, J = 3.5, 0.6 Hz, 1H), 6.70 (dd, J = 3.5, 1.7 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 5.38 (dd, J = 21.7, 8.8 Hz, 2H), 4.26 (s, 1H), 1.29 (s, 3H), 1.23 (s, 2H), 1.11 (s, 3H), 0.92 (d, J = 7.1 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 591.2 [M + H]
+.
【化43】
【0238】
化合物9の合成:
【0239】
化合物2−Ha(58mg)のCH
2Cl
2(1mL)溶液を(COCl)
2(20μL)で処理した。1時間撹拌した後、この溶液を真空中で蒸発させ、次いで、無水DCM(1mL)に溶解し、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(20mg)をN
2下、0℃で追加し、続いて、Et
3N(50μL)を追加した。混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として化合物9を得た(42%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 7.99 (s, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.61 − 7.51 (m, 4H), 7.45 (m, 1H), 7.16 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 6.70 (dd, J = 3.4, 1.7 Hz, 1H), 6.59 (s, 1H), 5.47 − 5.28 (m, 2H), 4.27 (s, 1H), 3.52 (s, 3H), 3.11 (s, 3H), 1.29 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 0.86 (d, J = 6.4 Hz, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 634.3 [M + H]
+.
図6(C)は、誘導レポーターアッセイにおける化合物9とVSG22との比較を示す。
【0240】
化合物1−Aの代替合成:
【0241】
コルチゾール(3.6g、10mmol)をEtOH(60ml)に溶解し、次いで、過ヨウ素酸(60mlの水に3.0g、20mmol)を0℃で滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。EtOHを濃縮し、H
2O(100ml)を追加した。沈殿物をろ過し、冷水(15×3ml)で洗浄し、空気乾燥して、白色の固体として化合物1−A(3.0g)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO−d
6) δ 12.22 (s, 1H), 5.55 (s, 1H), 4.77 (s, 1H), 4.40 − 4.08 (m, 2H), 1.37 (s, 3H), 0.88 (s, 3H).
【0242】
化合物1−Bの代替合成:
【0243】
化合物1−A(1.7g、5mmol)を無水THF(15ml)およびギ酸メチル(2ml)に溶解した。次いで、NaH(900mg、20mmol、鉱油中60%分散液)を追加した。室温で4時間撹拌した後、1N HCl(120ml)を追加し、EtOAcで混合物を数回抽出した。溶媒を乾燥および除去して、精製せずにさらに使用するための黄色の泡状物質として1.8gの化合物1−Bを得た。LR−Mass(ESI)m/z:375.3[M+H]
+。
【化44】
【0244】
化合物1−Cbの合成:
【0245】
化合物1−B(1.8g、5mmol)をAcOH(15ml)に溶解し、(3−ニトロフェニル)ヒドラジン(0.75g、5mmol)を追加した。混合物を室温で4時間撹拌した。冷水(100ml)を追加し、沈殿物をろ過し、H
2O(10×3ml)で洗浄し、空気乾燥して、黄色の固体として化合物1−Cb(1.1g)を得た。LR−Mass(ESI)m/z:494.3[M+H]
+。
【化45】
【0246】
化合物1−Ccの合成:
【0247】
(4−ニトロフェニル)ヒドラジン、および1−Cbの調製について記載されているものと同一の手順を使用して、黄色の固体として1−Ccを得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.36 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.82 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.61 (s, 1H), 6.32 (s, 1H), 4.28 (m, 3H), 1.26 (s, 3H), 0.90 (d, J = 5.7 Hz, 4H). LR−Mass (ESI) m/z: 494.3 [M + H]
+.
【化46】
【0248】
化合物13の合成:
【0249】
化合物1−Cb(100mg、0.2mmol)、TEA(0.056mL、0.4mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、α−フロイルクロリド(29mg、0.22mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として化合物13を得た(68%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.27 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 8.25 − 8.19 (m, 1H), 7.99 (m, 2H), 7.81 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.37 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 6.69 (dd, J = 3.5, 1.7 Hz, 1H), 6.29 (s, 1H), 4.41 (m, 3H), 1.27 (s, 3H), 1.01 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 588.2 [M + H]
+.
【化47】
【0250】
化合物14の合成:
【0251】
化合物1−Cc(100mg、0.2mmol)、TEA(0.056mL、0.4mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、α−フロイルクロリド(29mg、0.22mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で30分間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として化合物14を得た(71%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.37 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 7.98 (m, 1H), 7.82 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 7.63 (s, 1H), 7.37 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 6.69 (dd, J = 3.6, 1.7 Hz, 1H), 6.34 (s, 1H), 4.40 (m, 3H), 1.26 (s, 3H), 1.01 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 588.2 [M + H]
+.
【化48】
【0252】
化合物15の合成:
【0253】
化合物13(290mg、0.5mmol)を無水DMF(4ml)に溶解し、DMAP(183mg、1.5mmol)、Bop(265mg、0.6mmol)、エチルアミンヒドロクロリド(50mg、0.6mmol)を追加した。室温で一晩撹拌した後、H
2O(20ml)を追加し、EtOAcで混合物を抽出し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。DCM−MeOH(20:1)を用いてクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、黄色の固体として化合物15を得た(75%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.29 − 8.10 (m, 3H), 7.97 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 7.81 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.33 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 7.8, 5.6 Hz, 4H), 7.23 − 7.17 (m, 1H), 6.68 (dd, J = 3.5, 1.7 Hz, 1H), 6.28 (s, 1H), 4.52 − 4.24 (m, 4H), 1.26 (s, 3H), 0.92 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 677.3 [M + H]
+.
【化49】
【0254】
化合物16の合成:
【0255】
化合物14(290mg、0.5mmol)を無水DMF(4ml)に溶解し、DMAP(183mg、1.5mmol)、Bop(265mg、0.6mmol)、エチルアミンヒドロクロリド(50mg、0.6mmol)を追加した。室温で一晩撹拌した後、H
2O(20ml)を追加し、EtOAcで混合物を抽出し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水した。DCM−MeOH(20:1)を用いてクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、黄色の固体として化合物16を得た(67%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.36 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 8.13 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.81 (d, J = 9.1 Hz, 2H), 7.63 (s, 1H), 7.35 − 7.17 (m, 6H), 6.67 (dd, J = 3.5, 1.7 Hz, 1H), 6.33 (s, 1H), 4.50 − 4.23 (m, 4H), 1.26 (s, 3H), 0.92 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 677.3 [M + H]
+.
【化50】
【0256】
化合物17の合成:
【0257】
化合物15(68mg、0.1mmol)をMeOH(4ml)に溶解し、H
2O(1ml)、Fe(56mg、1.0mmol)、NH
4Cl(53mg、1.0mmol)を追加した。6時間還流撹拌した後、混合物をろ過し、EtOAcで洗浄し、減圧下で濃縮した。DCM−MeOH(20:1)を用いてクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、白色の固体として化合物17を得た(75%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.19 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.42 − 7.22 (m, 6H), 7.17 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 6.73 (dd, J = 3.7, 1.6 Hz, 2H), 6.65 − 6.56 (m, 2H), 6.21 (s, 1H), 5.43 (s, 2H), 4.55 − 4.31 (m, 4H), 1.30 (s, 3H), 0.98 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 647.3 [M + H]
+.
【化51】
【0258】
化合物18の合成:
【0259】
化合物16(68mg、0.1mmol)をMeOH(4ml)に溶解し、H
2O(1ml)、Fe(56mg、1.0mmol)、NH
4Cl(53mg、1.0mmol)を追加した。6時間還流撹拌した後、混合物をろ過し、EtOAcで洗浄し、減圧下で濃縮した。DCM−MeOH(20:1)を用いてクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、白色の固体として化合物18を得た(79%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.19 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 8.02 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.42 − 7.22 (m, 7H), 7.12 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.79 − 6.61 (m, 3H), 6.05 (s, 1H), 5.35 (s, 2H), 4.52 − 4.31 (m, 4H), 1.30 (s, 3H), 0.98 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 647.3 [M + H]
+.
【化52】
【0260】
化合物19の合成:
【0261】
化合物17(65mg、0.1mmol)、TEA(0.028mL、0.2mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、シクロプロパンカルボニルクロリド(13mg、0.12mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として化合物19を得た(88%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 10.40 (s, 1H), 8.14 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.56 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.41 (t, J = 8.1 Hz, 1H), 7.34 (d, J = 3.1 Hz, 1H), 7.31 − 7.11 (m, 6H), 6.67 (dd, J = 3.5, 1.7 Hz, 1H), 6.20 (s, 1H), 4.48 − 4.26 (m, 4H), 1.25 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 0.83 − 0.80 (m, 4H). LR−Mass (ESI) m/z: 715.3 [M + H]
+.
【化53】
【0262】
化合物10の合成:
【0263】
化合物18(65mg、0.1mmol)、TEA(0.028mL、0.2mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、シクロプロパンカルボニルクロリド(13mg、0.12mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として化合物10を得た(82%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 10.36 (s, 1H), 8.14 (t, J = 5.9 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.72 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.43 (s, 1H), 7.39 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 7.33 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 7.29 − 7.19 (m, 4H), 6.67 (dd, J = 3.4, 1.7 Hz, 1H), 6.12 (s, 1H), 4.49 − 4.24 (m, 4H), 1.24 (s, 3H), 0.92 (s, 3H), 0.84 − 0.79 (m, 4H). LR−Mass (ESI) m/z: 715.3 [M + H]
+.
【化54】
【0264】
化合物11の合成:
【0265】
化合物17(65mg、0.1mmol)、TEA(0.028mL、0.2mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、イソシアネートエタン(14mg、0.2mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として化合物11を得た(85%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.68 (s, 1H), 8.14 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.38 − 7.17 (m, 8H), 6.99 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 13.2, 7.8 Hz, 2H), 5.76 (s, 1H), 4.49 − 4.27 (m, 4H), 3.11 (m, 2H), 1.25 (s, 3H), 1.06 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 718.3 [M + H]
+.
【化55】
【0266】
化合物12の合成:
【0267】
化合物18(65mg、0.1mmol)、TEA(0.028mL、0.2mmol)の無水DCM(1mL)溶液に、イソシアネートエタン(14mg、0.2mmol)をN
2下、0℃で追加した。混合物を室温で12時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて粗生成物を得、これを、DCM:MeOH(50:1)を用いてクロマトグラフィーによって精製して、黄色の固体として化合物12を得た(84%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ: 8.68 (s, 1H), 8.14 (t, J = 5.6 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.66 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.38 − 7.17 (m, 8H), 6.99 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.17 (dd, J = 13.2, 7.8 Hz, 2H), 5.76 (s, 1H), 4.49 − 4.27 (m, 4H), 3.11 (m, 2H), 1.25 (s, 3H), 1.06 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.93 (s, 3H). LR−Mass (ESI) m/z: 718.3 [M + H]
+.
【0268】
図15および16は、化合物VSG111、VSG112およびVSG113(また、それぞれ化合物10、11および12)に関する活性データを示す。グルココルチコイドVSG111、VSG112およびVSG113の活性を示す
図15(DEXに対するパーセントとしてプロットされているデータ;ステロイド濃度10nM)、ならびにVSG111とZK 216348(Schacke,Hら、Proc Natl Acad Sci USA,Jan 6;101(1):227−32 at http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14694204を参照のこと)およびAL438(Coghlan,M.Jら、Mol Endocrinol.,2003 May;17(5):860−9 at http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12586843)との比較を示す
図16(DEXに対するパーセントとしてプロットされているデータ)を参照のこと。
【0269】
他の実施形態
【0270】
本発明をその詳細な説明と共に説明したが、上記説明は例示であり、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点および改変は、特許請求の範囲の範囲内である。
【0271】
参考文献
【化56-1】
【化56-2】
【化56-3】