【実施例】
【0099】
実施例に記載される化学反応は、多くのその他の本発明の脂質キナーゼ阻害剤を調製するために容易に適応させることができ、本発明の化合物を調製するための代替的な方法は、本発明の範囲内にあると考えられる。例えば、本発明による例示されていない化合物の合成は、当業者には明らかな変更によって、例えば、適切に干渉基を保護すること、記載されているもの以外の当該技術分野において知られているその他の適した試薬を利用すること及び/又は反応条件を通常どおり変更することによって首尾よく実施されてもよい。あるいは、本明細書中で開示されているか、又は当該技術分野において既知の他の反応は、本発明の他の化合物の調製に対して応用性があると認識されるであろう。
【0100】
以下に示される実施例において、別途指示がない限り、すべての温度を摂氏温度(℃)で記載している。Aldrich Chemical Company、Fluorochem、Acros、Lancaster、TCI又はMaybridgeなどの商業的供給業者から試薬を購入し、別途指示がない限り、さらなる精製を行わずに使用した。下に記載する反応を、一般に窒素若しくはアルゴンの陽圧下において、又は乾燥管(別途指定のない限り)を用いて無水溶媒中で行い、反応フラスコには、一般にシリンジによる基質及び試薬の導入のためのゴムセプタムを装着した。ガラス製品は、オーブン乾燥及び/又は加熱乾燥した。Merckシリカゲルを使用してカラムクロマトグラフィーを行った。
1H NMRスペクトルを400MHz、500MHz及び600MHzで操作するBruker計器で記録した。重水素化CDCl
3、D
6−DMSO、CD
3OD又はD
6−アセトン溶液(ppmで報告している)中で参照標準としてクロロホルム(7.25ppm)又はTMS(0ppm)を使用して
1H NMRスペクトルを得た。ピークが多数報告される場合、以下の略語を使用している:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(広幅)、dd(ダブルダブレット)、dt(ダブルトリプレット)。結合定数は、提供される場合、ヘルツ(Hz)で報告している。
【0101】
略語:h(時間)、min(分)、s(秒)、FC(フラッシュクロマトグラフィー)、rt(室温)、DCM(ジクロロメタン)、ACN(アセトニトリル)、DMF(ジメチルホルムアミド)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、Cycl(シクロヘキサン)、MeOH(メタノール)、THF(テトラヒドロフラン)、DIPEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)。
【0102】
実施例1: 4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イル)モルホリン及び4−(2,6−ジクロロピリミジン−4−イル)モルホリン
モルホリン(22.4mL、512.4mmol、4.2eq)のEtOH(100mL)溶液を、冷却した(0℃)2,4,6−トリクロロピリミジン(14mL、122mmol、1当量)のEtOH(200mL)溶液に滴加する。その混合物を室温で一晩撹拌する。粗製混合物をNaHSO
4の飽和溶液(1L)に注ぎ、結果として生じた沈殿物をろ過によって回収する。その固体を最低限の量のDCMに再溶解させ、シリカゲルに吸着させる。FC(AcOEt/Cycl 1:3→1:1)により、所望の化合物、4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イル)モルホリン(20%収率)及び4−(2,6−ジクロロピリミジン−4−イル)モルホリン(65%収率)を得る。
4−(4,6−ジクロロピリミジン−2−イル)モルホリン:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.53 (s, 1H), 3.77 (m, 4H), 3.71 (m, 4H).
13C NMR (100.6 MHz, CDCl
3): δ 161.6, 160.4, 108.2, 66.5, 44.3.
4−(2,6−ジクロロピリミジン−4−イル)モルホリン:
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 6.34 (s, 1H), 3.70 (m, 4H), 3.58 (m, 4H).
13C NMR (100.6 MHz, CDCl
3): δ 162.9, 160.3, 159.5, 99.6, 66.9, 44.3.
【0103】
実施例2: (R)−テトラヒドロ−3H−[1,2,3]オキサチアゾロ[4,3−c][1,4]オキサジン 1,1−ジオキシド
SOCl
2(0.82mL、11.3mmol)のDCM(0.8mL)溶液を、冷却した(−5℃)イミダゾール(2.38g、34.9mmol)のDCM(15mL)溶液に滴加し、温度を−5℃に維持する。冷浴を取り除き、その反応混合物を、室温に温めながら、45分にわたって撹拌する。その混合物を−10℃にまで冷却する。(S)−モルホリン−3−イルメタノール(0.68g、5.8mmol)のDCM(5.8mL)溶液を、温度をおよそ−10℃に維持しながら滴加する。その混合物を−5℃で2時間撹拌し、その後、+5℃で1時間撹拌する。水(15mL)を添加し、層が分離する。その有機層を半濃縮ブライン(15mL)で洗浄し、0℃に冷却する。NaIO
4(3.73g、17.4mmol)の水(40mL)溶液を添加し、続いてRu
2O−H
2O(8mg)を添加する。15分後に浴を取り除き、色の濃い反応混合物を一晩撹拌する。層が分離し、その有機層を、TLCによってそれ以上生成物が観察されなくなるまで、過剰なDCMで溶出するシリカゲルカラムによりろ過する。
【0104】
対応する(S)エナンチオマーを同じやり方で合成する。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.71 - 4.51 (m, 1H), 4.30 (m, 1H), 4.02 (dd, J = 11.6, 3.4 Hz, 1H), 3.94 - 3.68 (m, 3H), 3.61 (dd, J = 11.6, 7.8 Hz, 1H), 3.37 (dt, J = 12.1, 3.6 Hz, 1H), 3.24 - 3.07 (m, 1H).
Rエナンチオマー:[α
D]=−42.8(CHCl
3、c=0.65)
Sエナンチオマー:[α
D]=+53.8(CHCl
3、c=0.75)
【0105】
実施例3: (S)−2−クロロ−4−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン
1.6Mのn−BuLi溶液(1.4mL)を−78℃に冷却し、4−(2,6−ジクロロピリミジン−4−イル)モルホリン(435mg、1.86mmol)のTHF(5mL)溶液を滴加する。その混合物を、−78℃で35分撹拌する。CuI(14mg、0.07mmol)と、(R)−テトラヒドロ−3H−[1,2,3]オキサチアゾロ[4,3−c][1,4]オキサジン 1,1−ジオキシド(333mg、1.86mmol)のTHF(3mL)溶液とを添加する。その混合物を−78℃で撹拌し、その後、室温に温めた後16時間撹拌する。その反応を水(1mL)の添加によってクエンチする。15%のHCl(10mL)及びメタノール(5mL)を添加し、その混合物を60℃に5時間加熱する。有機溶媒を回転蒸発によって除去し、その残った水層を2MのNaOH(5mL)で希釈する。pHを11に調節するためにNaOHペレットを使用する。AcOEt(10mL)を添加し、その混合物を30分間撹拌する。層が分離し、その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出する。その混合した有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮する。その生成物を褐色の固体(530mg、96%)として沈殿させ、いかなるさらなる精製を行うことなく使用する。
【0106】
対応する(R)エナンチオマーを同じやり方で合成する。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.01 (dd, J = 13.6, 2.8 Hz, 1H), 3.97 - 3.85 (m, 1H), 3.75 (m, 2H), 3.66 (m, 4H), 3.61 - 3.47 (m, 4H), 3.38 (td, J = 11.7, 2.9 Hz, 1H), 3.23 (t, J = 11.0 Hz, 1H), 3.19 - 3.04 (m, 2H), 2.50 (dd, J = 15.0, 5.1 Hz, 1H).
Rエナンチオマー:[α
D]=−3.3(CHCl
3、c=1.5)
Sエナンチオマー:[α
D]=+4.0(CHCl
3、c=1.2)
【0107】
実施例4: (R)−5−(4−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン
ピリミジン(147mg、0.495mmol)、ボロネート(255mg、0.74mmol)、K
3PO
4(250mg、1.18mmol)、SPHOS(25mg、0.06mmol)及びPd(OAc)
2(7mg、0.03mmol)を、窒素下において丸底フラスコに入れる。DMF(3mL)を添加し、その混合物に窒素を15分間バブリングする。その反応混合物を100℃に18時間加熱し、室温に冷まし、AcOEt(10mL)で希釈し、飽和NH
4Cl(10mL)に注ぐ。層が分離し、その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出する。その混合した有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮する。粗製混合物をカラムクロマトグラフィー(1:1→1:3→0:1 Cycl:AcOEt)によって精製する。生成物を固体(77mg、37%)として得る。
【0108】
対応する(S)エナンチオマーを同じやり方で合成する。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.63 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 4.76 (s, 2H), 4.17 - 4.05 (m, 1H), 4.03 - 3.89 (m, 1H), 3.87 - 3.72 (m, 6H), 3.72 - 3.56 (m, 6H), 3.47 (td, J = 11.7, 2.9 Hz, 1H), 3.35 (t, J = 11.0 Hz, 1H), 3.31 - 3.11 (m, 2H), 2.62 (dd, J = 15.0, 4.9 Hz, 1H).
Rエナンチオマー:[α
D]=+13.5(CHCl
3、c=1.6)
Sエナンチオマー:[α
D]=−13.2(CHCl
3、c=2.0)
【0109】
実施例5: (S)−4−クロロ−2−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン
n−BuLi(1.6M、1mL)及びTHF(1mL)を、窒素下において乾燥した丸底フラスコに入れ、−78℃に冷却する。ピリミジン(298mg、1.27mmol)のTHF(3.5mL)溶液をゆっくりと添加し、その反応混合物を−78℃で30分撹拌する。CuI(12mg、0.06mmol)と、スルファミデート(228mg、1.27mmol)のTHF(2mL)溶液とを添加する。その混合物を−78℃で15分撹拌した後、室温に温め、16時間にわたって撹拌する。その反応混合物を水(0.5mL)の添加によってクエンチする。12MのHCl(5mL)及びEtOH(5mL)の溶液を添加し、その混合物を70℃に1.5時間加熱する。有機溶媒を除去し、残留物を2MのNaOHで希釈し、pHを11に調節するために固体NaOHを添加する。その混合物を酢酸エチルで希釈し、室温で1.5時間にわたって撹拌する。溶媒を除去し、残留物をEtOH(7mL)に再溶解させ、pH1になるまで12MのHClで酸性化した後、室温で18時間にわたって撹拌する。その混合物を冷やし、pH11になるまでNaOHをゆっくりと添加した後、2時間にわたって撹拌し、AcOEtで希釈する。層が分離し、その水層をAcOEt(2×15mL)で抽出する。その混合した有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、FC(2:1→1:1 Cycl:AcOEt)によって精製する。所望の生成物を白色の固体(286mg、76%)として得る。
【0110】
対応する(R)エナンチオマーを同じやり方で合成する。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 4.04 - 3.90 (m, 2H), 3.87 (dt, J = 11.3, 4.4 Hz, 2H), 3.79 - 3.65 (m, 8H), 3.44 (td, J = 11.7, 2.9 Hz, 1H), 3.32 - 3.14 (m, 2H), 2.99 (dd, J = 16.1, 9.4 Hz, 1H), 2.42 (dd, J = 16.1, 5.0 Hz, 1H).
Rエナンチオマー:[α
D]=+56.2(CHCl
3、c=1.4)
Sエナンチオマー:[α
D]=−61.0(CHCl
3、c=1.1)
【0111】
実施例6: (R)−5−(2−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−4−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−アミン
ピリミジン(94mg、0.32mmol)、ボロネート(141mg、0.41mmol)、K
3PO
4(134mg、0.64mmol)、SPHOS(14mg、0.035mmol)及びPd(OAc)
2(4mg、0.016mmol)を丸底フラスコに入れる。DMF(2mL)を添加し、その溶液に窒素を10分流した後、窒素下において100℃に3時間加熱する。その混合物を室温に冷まし、AcOEtで希釈する。飽和NH
4Cl(10mL)を添加し、層が分離する。その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮し、FC(1:1→1:3 Cycl:AcOEt→100% AcOEt→2% MeOH/AcOEt)によって精製する。所望の生成物を固体(70mg、52%収率)として得る。
【0112】
対応する(S)エナンチオマーを同じやり方で合成する。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 8.11 (s, 1H), 6.79 (s, 1H), 4.77 (s, 2H), 4.04 (dd, J = 13.3, 2.9 Hz, 1H), 4.00 - 3.78 (m, 2H), 3.78 - 3.63 (m, 9H), 3.50 (td, J = 11.6, 3.0 Hz, 1H), 3.36 - 3.12 (m, 2H), 2.91 (dd, J = 15.8, 9.1 Hz, 1H), 2.32 (dd, J = 15.8, 5.2 Hz, 1H).
Rエナンチオマー:[α
D]=+20.5(CHCl
3、c=1.5)
Sエナンチオマー:[α
D]=−18.9(CHCl
3、c=1.1)
【0113】
実施例7: (R)−5−(2−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−4−イル)ピリミジン−2−アミン
(R)−4−クロロ−2−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン(40mg、0.135mmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2−アミン(45mg、0.2mmol)、K
3PO
4(57mg、0.27mmol)、XPhos−Pd−G2(クロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II))(5.3mg、0.007mmol)を、窒素下において丸底フラスコに入れる。ジオキサン(3mL)を添加し、続いて水(1.5mL)を添加し、その混合物に窒素を15分間バブリングする。その反応混合物を95℃に2時間加熱し、室温に冷まし、AcOEt(10mL)で希釈し、飽和NH
4Cl(10mL)に注ぐ。層が分離し、その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出する。その混合した有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮する。粗製混合物をカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH 20:1)によって精製する。表題の化合物を固体(44mg、92%)として得る。
1H NMR (400 MHz, D
6-DMSO) δ 8.73 (s, 2H), 7.01 (s, 2H), 3.97-3.90 (m, 2H), 3.81-3.75 (m, 2H), 3.66 - 3.63 (m, 8H), 3.31 - 3.11 (m, 4H), 2.67-2.62 (dd, J = 16.0, 4.5 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, D
6-DMSO) δ 166.8, 163.3, 161.2, 157.3, 150.7, 120.3, 102.9, 70.2, 66.1, 65.6, 57.0, 44.3, 41.3, 27.3. MS(MALDI):356(M+H)。
【0114】
実施例8: (S)−5−(2−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−4−イル)ピリミジン−2−アミン
(S)−4−クロロ−2−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン(40mg、0.135mmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2−アミン(45mg、0.2mmol)、K
3PO
4(57mg、0.27mmol)、XPhos−Pd−G2(クロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II))(5.3mg、0.007mmol)を、窒素下において丸底フラスコに入れる。ジオキサン(3mL)を添加し、続いて水(1.5mL)を添加し、その混合物に窒素を15分間バブリングする。その反応混合物を95℃に2時間加熱し、室温に冷まし、AcOEt(10mL)で希釈し、飽和NH
4Cl(10mL)に注ぐ。層が分離し、その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出する。その混合した有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮する。粗製混合物をカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH 20:1)によって精製する。表題の化合物を固体(42mg、88%)として得る。
1H NMR (400 MHz, D
6-DMSO) δ 8.73 (s, 2H), 7.01 (s, 2H), 3.97-3.90 (m, 2H), 3.81-3.75 (m, 2H), 3.66 - 3.63 (m, 8H), 3.31 - 3.11 (m, 4H), 2.67-2.62 (dd, J = 16.0, 4.5 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, D
6-DMSO) δ 166.8, 163.3, 161.2, 157.3, 150.7, 120.3, 102.9, 70.2, 66.1, 65.6, 57.0, 44.3, 41.3, 27.3. MS(MALDI):356(M+H)。
【0115】
実施例9: (R)−5−(4−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−2−イル)ピリミジン−2−アミン
(R)−2−クロロ−4−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン(40mg、0.135mmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2−アミン(45mg、0.2mmol)、K
3PO
4(57mg、0.27mmol)、XPhos−Pd−G2(クロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II))(5.3mg、0.007mmol)を、窒素下において丸底フラスコに入れる。ジオキサン(3mL)を添加し、続いて水(1.5mL)を添加し、その混合物に窒素を15分間バブリングする。その反応混合物を95℃に2時間加熱し、室温に冷まし、AcOEt(10mL)で希釈し、飽和NH
4Cl(10mL)に注ぐ。層が分離し、その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出する。その混合した有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮する。粗製混合物をカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH 20:1)によって精製する。表題の化合物を固体(46mg、96%)として得る。
1H NMR (400 MHz, D
6-DMSO) δ 9.0 (s, 2H), 7.01 (s, 2H), 4.06-4.02 (dd, J = 13.4, 2.6Hz, 1H), 3.91-3.84 (m, 1H), 3.78 - 3.70 (m, 2H),3.67 - 3.55 (m, 8H), 3.31 - 3.09 (m, 4H), 2.66-2.61 (dd, J = 15.4, 4.6 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, D
6-DMSO) δ167.1, 164.0, 158.8, 158.0, 157.7, 120.2, 93.5, 70.2, 69.6, 66.2, 65.7, 56.4, 45.4, 41.6, 28.7. MS(MALDI):356(M+H)。
【0116】
実施例10: (S)−5−(4−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−2−イル)ピリミジン−2−アミン
(S)−2−クロロ−4−モルホリノ−5a,6,8,9−テトラヒドロ−5H−ピリミド[5’,4’:4,5]ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン(40mg、0.135mmol)、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン−2−アミン(45mg、0.2mmol)、K
3PO
4(57mg、0.27mmol)、XPhos−Pd−G2(クロロ(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル)[2−(2’−アミノ−1,1’−ビフェニル)]パラジウム(II))(5.3mg、0.007mmol)を、窒素下において丸底フラスコに入れる。ジオキサン(3mL)を添加し、続いて水(1.5mL)を添加し、その混合物に窒素を15分間バブリングする。その反応混合物を95℃に2時間加熱し、室温に冷まし、AcOEt(10mL)で希釈し、飽和NH
4Cl(10mL)に注ぐ。層が分離し、その水層をAcOEt(2×10mL)で抽出する。その混合した有機層を、硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、濃縮する。粗製混合物をカラムクロマトグラフィー(CH
2Cl
2/MeOH 20:1)によって精製する。表題の化合物を固体(32mg、67%)として得る。
1H NMR (400 MHz, D
6-DMSO) δ 9.0 (s, 2H), 7.01 (s, 2H), 4.06-4.02 (dd, J = 13.4, 2.6Hz, 1H), 3.91-3.84 (m, 1H), 3.78 - 3.70 (m, 2H),3.67 - 3.55 (m, 8H), 3.31 - 3.09 (m, 4H), 2.66-2.61 (dd, J = 15.4, 4.6 Hz, 1H).
13C NMR (100 MHz, D
6-DMSO) δ167.1, 164.0, 158.8, 158.0, 157.7, 120.2, 93.5, 70.2, 69.6, 66.2, 65.7, 56.4, 45.4, 41.6, 28.7. MS(MALDI):356(M+H)。
【0117】
In−cell Westernブロット
A2058細胞を96ウェルプレート(Perkin Elmer、カタログNo.6005558)に20,000細胞/ウェルでプレーティングし、24時間後にさまざまな化合物により1時間処理した。各化合物に対して、7つの異なる濃度を細胞に適用した(5μM、1.25μM、0.625μM、0.3125μM、0.155μM、0.08μM及び0.04μM)。細胞を4%のパラホルムアルデヒドで室温において30分固定し、PBS中の1%のBSAで2回洗浄し、PBS/1%のBSA中の0.1%のTriton X−100で30分、室温において透過処理し、PBS/1%のBSA/0.1%のTriton X−100中の5%のヤギ血清で30分、室温においてブロッキングした。一次抗体、マウス抗α−チューブリン(1:2000;標準化に使用される;Sigma、カタログNo.T9026)と組み合わせてウサギ抗pPKB S473(1:500;Cell Signalling Technology、カタログNo.4058)又はマウス抗α−チューブリン(1:2000;標準化に使用される)と組み合わせてウサギ抗−pS6 S235/S236(1:500;Cell Signalling Technology、カタログNo.4856)のいずれかで細胞を4℃で一晩染色した。PBS/1%のBSA/0.1%のTritonによる3回の5分間の洗浄後に、暗所において振盪しながら二次抗体ヤギ抗マウスIRDye680(LICOR、カタログNo.926−68070)及びヤギ抗ウサギIRDye800(LICOR、926−32211)(PBS/1%のBSA/0.1%のTriton中において1:500にそれぞれが希釈される)で細胞を1時間処理した。細胞をPBS/1%のBSA/0.1%のTritonで5分間、3回洗浄し、700及び800nmの両チャネルを使用したOdyssey Infrared Scanningシステムでプレートをスキャンした。0%阻害のコントロールとしてビヒクル(0.2%のDMSO)を細胞に添加した。データ分析においてバックグラウンド染色を補正するために、ウェルを二次抗体でのみ処理した。
【0118】
データ分析のために、それぞれチャネル700nm及び800nmの各シグナルからチャネル700nm及び800nmの平均バックグラウンドシグナルを引いた。各チャネルのシグナルを0%阻害に対して標準化した後、シグナル比800nm対700nmを調べて、α−チューブリンに対して標準化したpPBK S473又はpS6 S235/S236のいずれかに関する値を得た。
【0119】
化合物濃度(対数目盛)に対してそれぞれ標準化したpPBK S473及びpS6 S235/S236シグナルをプロットし、その後、GraphPad(商標)Prismを使用して傾きが変化するシグモイド用量反応曲線をデータに当てはめることによって各化合物のIC
50値を決定した。
【0120】
インビトロにおけるPI3Kアルファ結合アッセイ
N末端にHis−タグが付けられたPI3Kアルファ(カタログNo.PV4789;0.49mg/ml)、Alexa Fluor(登録商標)647標識化キナーゼTracer 314(カタログNo.PV6087)、Biotin anti−His Tag抗体(カタログNo.PV6089)及びLanthaScreen(登録商標)Eu−Streptavidin(カタログNo.PV5899)をLife Technologiesから購入した。1×キナーゼ緩衝液Aは、50mMのHEPES pH7.5、10mMのMgCl
2、1mMのEGTA及び0.01%(v/v)のBrij−35(Sigma カタログNo.B4184−100ML)からなる。
【0121】
96ウェルポリスチレンプレート(FalconカタログNo.353072、平底)において試験対象の各化合物の4段階希釈液をDMSO中で調製し(元となる希釈液)、最高濃度を1000μM及び最低濃度を0.004μMとした。各濃度の希釈化合物のうちの5μlを新しい96ウェルプレート中の162μlのキナーゼ緩衝液Aに移すことによって、元となる希釈系列をさらにキナーゼ緩衝液Aに33.3倍希釈して、結果として化合物の3段階希釈液を得た。Tracer314滴定実験に基づいて、20nMの作用濃度を選択した。したがって、キナーゼ緩衝液A中の60nMのTracer314溶液を調製して、結果として3倍濃縮溶液を得た。15nMのキナーゼ、6nMの抗体及び6nMのEu−ストレプトアビジンの3倍濃縮キナーゼ/抗体溶液をキナーゼ緩衝液A中で調製した。5μlの各3段階希釈化合物を二組、384ウェルプレートに分注した。その後、各ウェルに、5μlの3×キナーゼ/抗体混合物を添加し、続いて5μlの3×Tracer314溶液を添加した。室温において1時間インキュベートした後、以下の設定を使用したSynergy4マルチモードマイクロプレートリーダー(Biotek Instruments)により時間分解FRETを測定した:100μs データ収集前遅延、200μs データ収集時間、データポイント当たり10測定。蛍光フィルター:665nm/8nm、感度を163に設定及び620nm/10nm、感度を135に設定;励起フィルター:340nm/30nm;ダイクロイックミラー 400nm。
【0122】
データ分析のために、665nmにおけるアクセプタ(Alexa Fluor(登録商標)647標識化Tracer314)からの発光シグナルを、620nmにおけるドナー(Eu標識抗体)からの発光シグナルで割ることによって発光比を算出した。化合物濃度(対数目盛)に対して発光比をプロットし、その後、GraphPad(商標)Prismを使用して傾きが変化するシグモイド用量反応曲線をデータに当てはめることによって各化合物のIC
50値を決定した。
【0123】