特表2016-532015(P2016-532015A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パク,チャン−オの特許一覧

特表2016-532015セルロースを用いた生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品
<>
  • 特表2016532015-セルロースを用いた生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品 図000008
  • 特表2016532015-セルロースを用いた生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-532015(P2016-532015A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(54)【発明の名称】セルロースを用いた生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品
(51)【国際特許分類】
   D21J 7/00 20060101AFI20160916BHJP
   C08B 15/08 20060101ALI20160916BHJP
   C08B 37/06 20060101ALI20160916BHJP
   C08B 37/04 20060101ALI20160916BHJP
   C08B 37/12 20060101ALI20160916BHJP
   C08B 37/14 20060101ALI20160916BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20160916BHJP
   C08L 5/00 20060101ALI20160916BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20160916BHJP
【FI】
   D21J7/00ZBP
   C08B15/08
   C08B37/06
   C08B37/04
   C08B37/12
   C08B37/14
   C08L1/02
   C08L5/00
   C08L101/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-529715(P2016-529715)
(86)(22)【出願日】2014年7月25日
(85)【翻訳文提出日】2016年1月26日
(86)【国際出願番号】KR2014006777
(87)【国際公開番号】WO2015012626
(87)【国際公開日】20150129
(31)【優先権主張番号】10-2013-0088411
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0089206
(32)【優先日】2013年7月27日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0084093
(32)【優先日】2014年7月5日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0093536
(32)【優先日】2014年7月23日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516026088
【氏名又は名称】パク,チャン−オ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,チャン−オ
【テーマコード(参考)】
4C090
4J002
4J200
4L055
【Fターム(参考)】
4C090AA08
4C090BA24
4C090BA50
4C090BA72
4C090BA81
4C090BD19
4C090CA01
4J002AB01W
4J002AB01X
4J002AB05Y
4J002FA04W
4J002FA04X
4J002GG01
4J002HA06
4J200AA04
4J200BA36
4J200BA38
4J200DA17
4J200EA11
4J200EA21
4L055AC00
4L055AF09
4L055AG44
4L055AG46
4L055AG52
4L055EA16
4L055EA25
4L055EA32
4L055FA21
4L055FA30
(57)【要約】
本発明は300μm〜1nmサイズの直径を有する粉砕(分離)されたセルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)および水(WATER)を含む生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた成型品に関するものであって、本発明の生分解性組成物を用いて製造された成型品は、一定時間防水機能と優れた強度を有し、廃棄時に生分解され、自然環境に影響を与えない長所を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)および水(WATER)を含み、前記セルロースとパルプの含量比は、セルロース:パルプの重量比で1:99〜99:1であり、前記水(WATER)の含量は全体組成物の重量を基準として50〜99重量%であることを特徴とする生分解性組成物。
【請求項2】
前記セルロース(CELLULOSE)は300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロースのうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合できることを特徴とする請求項1記載の生分解性組成物。
【請求項3】
さらにペクチン、アルギン酸、グアーガムおよび寒天から選ばれる他の水溶性繊維質または植物性繊維質をセルロース(CELLULOSE)に追加できることを特徴とする請求項1記載の生分解性組成物。
【請求項4】
前記セルロース(CELLULOSE)およびパルプ(PULP)は漂白または染色できるものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性組成物。
【請求項5】
次の段階を含む、請求項1による生分解性組成物の製造方法:
粉砕(分離)されたセルロース(CELLULOSE)を準備する第1段階;
パルプ(PULP)を準備する第2段階;
水(WATER)を準備する第3段階;および
前記第1段階ないし第3段階を通じて準備されたセルロースとパルプおよび水を併せて混合して組成物を製造する第4段階。
【請求項6】
前記第1段階において、セルロース(CELLULOSE)を300μm〜1nmサイズの直径を有するように粉砕して準備することを特徴とする請求項5記載の生分解性組成物の製造方法。
【請求項7】
300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロース(CELLULOSE)のうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合できることを特徴とする請求項6記載の生分解性組成物の製造方法。
【請求項8】
前記第1段階および第2段階において、セルロース(CELLULOSE)およびパルプ(PULP)をそれぞれ漂白または染色できることを特徴とする請求項5記載の生分解性組成物の製造方法。
【請求項9】
前記第1段階において、さらにペクチン、アルギン酸、グアーガムおよび寒天から選ばれる他の水溶性繊維質または植物性繊維質をセルロース(CELLULOSE)に追加できることを特徴とする請求項5記載の生分解性組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項4のいずれかによる生分解性組成物を含む防水剤。
【請求項11】
請求項1ないし請求項4のいずれかによる生分解性組成物を用いて製造される成型品。
【請求項12】
前記成型品は、紙、使い捨て製品またはプラスチック代替成型品であることを特徴とする請求項11記載の成型品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセルロース(CELLULOSE)を含む生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いて製造される防水性と強度に優れた防水剤および成型品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業やサービス会社にて多様な方法で使い捨て製品(例えば、紙コップ、オムツ、ビニール袋、弁当箱など)を製造して使用してきたが、このような使い捨て製品は主に化学的化合物であるプラスチック(Plastic)を原料として用いるため、使用後の廃棄処理に環境汚染など、多くの問題が生じた。
このような問題を解決すべく、とうもろこし澱粉のような天然材料を用いて、使用後に生分解される生分解性物質(例えば、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)を開発したが、このような生分解性物質は製造に過多な費用が所要され、産業上、大量生産に適切でない問題点があり、一部の制限された分野に適用されているのみで、活性化されていない実情である。
これに、生分解性を有するだけでなく、一定期間優れた防水性を保持し、強度の強い代替物質の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するためのものであって、地球上、最も多い量の有機物であるセルロース(CELLULOSE)を用いて原料費を節減し、使用後の廃棄時に生分解され、自然環境を傷つけず、かつ、優れた防水性と強度を有することで、防水剤として有用であるだけでなく、紙やプラスチックなどの既存の原材料を代替できる生分解性組成物とその製造方法および前記組成物を用いた防水剤および成型品を提供するのにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するための本発明の生分解性組成物は、300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)および水(WATER)を含み、前記セルロースとパルプの含量比は、セルロース:パルプの重量比で1:99〜99:1であり、前記水(WATER)の含量は全体組成物の重量を基準として50〜99重量%であることを特徴とするセルロースを用いた生分解性組成物が完成される。
【0005】
ここで、前記セルロース(CELLULOSE)は300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロースのうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合できることを特徴とする。
【0006】
また、さらにペクチン、アルギン酸、グアーガムおよび寒天から選ばれる他の水溶性繊維質または植物性繊維質をセルロース(CELLULOSE)に追加できることを特徴とする。
【0007】
前記セルロース(CELLULOSE)およびパルプ(PULP)は漂白または染色できるものであることを特徴とする。
【0008】
前記方法による生分解性組成物の製造方法は
粉砕(分離)されたセルロース(CELLULOSE)を準備する第1段階;
パルプ(PULP)を準備する第2段階;
水(WATER)を準備する第3段階;および
前記第1段階ないし第3段階を通じて準備されたセルロースとパルプおよび水を併せて混合して組成物を製造する方法が完成される。
【0009】
ここで、前記第1段階は、セルロース(CELLULOSE)を300μm〜1nmサイズの直径を有するように粉砕して準備することを特徴とする。
【0010】
前記第1段階は、300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロース(CELLULOSE)のうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合できることを特徴とする。
【0011】
前記第1段階および第2段階は、セルロース(CELLULOSE)およびパルプ(PULP)をそれぞれ漂白または染色できることを特徴とする。
【0012】
前記第1段階は、さらにペクチン、アルギン酸、グアーガムおよび寒天から選ばれる他の水溶性繊維質または植物性繊維質をセルロース(CELLULOSE)に追加できることを特徴とする。
【0013】
前記第1段階ないし第4段階を通じて混合された組成物[ナノ(Nano)サイズに分離されたセルロースとパルプ、水を混合した組成物]は、対象物体上に塗布またはコーティングした後、乾燥させる場合(一回以上)、防水効果に優れたコーティング膜を形成できる防水剤として用いられることを特徴とする。
【0014】
前記第1段階ないし第4段階を通じて混合された組成物を成型、乾燥すれば、紙、使い捨て製品またはプラスチック代替品を製造することができ、セルロース(CELLULOSE)のサイズが小さいものを用いて組成物を製造するほど、組成された混合物を密度高く成型するほど、完成された製品の防水時間と強度が増進することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の生分解性組成物は接着剤を使用せず、天然素材であるセルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)を用いて製造されるので、人体に無害であり、製品製造後、一定時間防水効果を有することができるため実生活に多様に用いることができ、再活用が可能であり、廃棄時に生分解されて自然還元が容易であり、粉砕されたセルロースサイズと完成された製品の密度によって防水時間と、強度および生分解される時間を調整して製造できる長所がある。
また、本発明の組成物は防水効果に優れるため、防水剤として有用に用いられるだけでなく、本発明の組成物から製造される成型品は地球上に最も多い有機物質であるセルロースを用いて製造されるため、プラスチックや、とうもろこし澱粉を用いたPLAより低コストで製造できる長所もある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の組成物から製造された試片の引張強度試験結果である。
図2】既存のプラスチック[高密度ポリエチレン(HDPE)]から製造された試片の引張強度試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の生分解性組成物はセルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)および水(WATER)を含んでなる。
【0018】
本発明の生分解性組成物には、さらにペクチン(PECTIN)、アルギン酸(ALGINIC ACID)、グアーガム(GUAR GUM)、寒天(AGAR)などのような他の水溶性繊維質または植物性繊維質を一つ以上含むことができる。
【0019】
本発明の生分解性組成物において、前記セルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)は最終製品の用途によって、漂白して用いたり、または染色して用いることができる。
【0020】
本発明の生分解性組成物において、前記セルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)との含量比は、セルロース(またはセルロースと他の繊維質との合計):パルプの重量比で1:99〜99:1、好ましくは10:90〜90:10、さらに好ましくは30:70〜70:30、最も好ましくは50:50であり、前記水(WATER)の含量は全体組成物の重量を基準として50〜99重量%、好ましくは60〜90重量%である。
【0021】
本発明において、前記セルロース(CELLULOSE)は植物や海藻類などの光合成する生物の体を構成する主な物質であって、本発明においては、最終製品の用途によって組成物製造時に用いられるセルロース(CELLULOSE)のサイズを調節して用いることができるが、例えば、セルロースのサイズは直径が300μm〜1nm、または100μm〜5nmであるものが好ましい。
【0022】
本発明の生分解性組成物において、前記300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロース(CELLULOSE)のうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合することができる。
【0023】
前記のような本発明の生分解性組成物を製造する方法は、次の段階を含むことを特徴とする:
粉砕(分離)されたセルロース(CELLULOSE)を準備する第1段階;
パルプ(PULP)を準備する第2段階;
水(WATER)を準備する第3段階;および
前記第1ないし第3段階を通じて準備されたセルロースとパルプおよび水を併せて混合して組成物を製造する第4段階。
【0024】
以下、本発明の生分解性プラスチック代替材組成物の製造方法を段階別に詳細に説明する。
【0025】
第1段階:粉砕(分離)されたセルロース(CELLULOSE)準備段階
本発明の生分解性プラスチック代替材組成物の製造方法において、前記第1段階では、粉砕(分離)されたセルロースを準備するが、好ましくは300μm〜1nmサイズの直径を有するようにセルロースを粉砕(分離)して準備する。
【0026】
前記セルロース(CELLULOSE)は最終製品の用途によって、漂白して用いたり、または染色して用いることもできる。
【0027】
また、セルロース(CELLULOSE)にさらにペクチン、アルギン酸、グアーガム、寒天などのような他の水溶性繊維質を一つ以上混合して準備することもできる。
【0028】
前記300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロース(CELLULOSE)のうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合することができる。
【0029】
本段階においてセルロース(CELLULOSE)の粉砕方法には特に制限がなく、例えば、粉砕機やホモジナイジャー(HOMOGENIZER)のような機械を用いる機械的方法、または、硫酸、塩酸、リン酸などのような酸を用いる酸加水分解などの化学的方法を適用することができる。
【0030】
本発明の組成物に用いられる300μm〜1nmサイズに分離されたセルロース(CELLULOSE)を適切に調節したり、互いに異なるサイズのセルロースを適切に混合して用いることで、セルロースが水に分散する時間および前記組成物を用いて製造される完成製品の防水時間、強度などを容易に調節することができるが、セルロースのサイズが小さいものを用いるほど、完成された製品の防水時間と強度が増進する。
【0031】
したがって、完成製品の使用用途によって、組成物の製造時に用いられるセルロースのサイズを調節して用いることが可能である。
【0032】
例えば、防水用製品や軽量構造材料などの半永久的製品を製造する際にはナノ(100nm〜1nm)サイズに粉砕されたセルロース(CELLULOSE)を用いるのが好ましく、比較的早い時間内に分解されなければならない製品を製造する際には300μm〜1nmサイズのセルロース(CELLULOSE)を用いるのが適合であり、300μm〜1nmサイズの直径を有するセルロースのうち、サイズが互いに異なるものを一つ以上混合して必要な防水時間と強度を適切に調節して製品を製造することができる。
【0033】
第2段階:パルプ(PULP)準備段階
パルプ(PULP)は木材やその他の繊維植物から機械的および/または化学的方法によって得られるセルロース集合体であって、紙を製紙する際に用いる主原料をいい、主に針葉樹や広葉樹のような木材を用いて製造され、非木材パルプもあるが、本発明において用いられるパルプの種類に特に制限がなく、すべての種類のパルプを用いることができるが、製品の弾性や引張強度が必要な製品を製造する際にはパルプの長さが長く、引張力の強いものを用いるのが好ましく、成型が難しい製品を製造する際にはパルプの長さが短いものを用いるのが好ましい。
【0034】
また、前記パルプ(PULP)は最終製品の用途によって、漂白して用いたり、または染色して用いることもできる。
【0035】
第3段階:水(WATER)準備段階
本発明において、水(WATER)はセルロース(CELLULOSE)繊維分子間の水素結合(HYDROGEN BOND)をなすのに必須要素であるが、製品製造時に必ず排水[脱水]や乾燥をしなければならないので、水素結合をなすことのできる限度内で、または最終製品の成型のために要求される限度内で最小量を用いることが、製品の製造時間を減らすことができて好ましい。
【0036】
また、前記セルロース(CELLULOSE)は粉砕(分離)段階にて方法によっては水懸濁液状態で存在することもできるが、このように粉砕されたセルロースが水懸濁液状態である場合には、本第3段階にて水を追加で混合しなかったり、または製造する最終製品の用途に合う濃度に水の量を調節して混合することもできる。
【0037】
第4段階:混合段階
本混合段階においては、前記第1段階ないし第3段階を通じて準備されたセルロース(CELLULOSE)、パルプ(PULP)、および水(WATER)を併せて混合して組成物を組成するが、混合は特別な方法を要せず、既存のミキサー、混合機、ニーダなどの機械を用いて容易に混合することができる。
【0038】
このとき、セルロース(CELLULOSE)とパルプ(PULP)の混合比率は限定されるものではなく、製造する製品の用途や、生分解される時間などを考慮して混合比率を自由に調整して用いることができるが、生分解性、防水性および強度などを考慮するとき、重量比で1:99〜99:1、または30:70〜70:30、特に50:50であることが好ましく、水(WATER)の含量は全体組成物の重量を基準として50〜99重量%を用いることができる。
【0039】
前記の本発明の生分解性組成物[ナノ(Nano)サイズに分離されたセルロース、パルプ、水を混合した組成物]は、対象物体上に塗布またはコーティングした後、乾燥させる場合(一回以上)、セルロース(CELLULOSE)繊維分子間の水素結合(HYDROGEN BOND)力により、防水効果に優れたコーティング膜を形成することができる。したがって、本発明の生分解性組成物は防水剤として有用に用いることができる。
【0040】
本発明は、前記の本発明の生分解性組成物を用いて製造される成型品を提供する。
【0041】
本発明の成型品は、セルロース(CELLULOSE)繊維分子間の水素結合(HYDROGEN BOND)力を用いて製品を製造することであって、本発明の生分解性組成物を用いて製造される製品であれば、その種類に制限がなく、例えば紙、使い捨て製品、プラスチック代替成型品などがすべて含まれ、各製品の製造方法は特別な制限なく、該当製品の通常の製造方法をそのまま適用することができ、通常の製造方法を応用して用途の異なる成型機を製作すれば、多様な製品を製造することもできる。
【0042】
本発明の組成物を用いて紙を製造する場合、紙を製紙する際に適用される抄紙法と同一の方法を用いることができ、抄紙法には水抄紙法と機械抄紙法(長網抄紙法、丸網抄紙法など)があるが、これらの方法がすべて使用可能である。
【0043】
具体的には、本発明の組成物(セルロース+パルプ+水)を排水性鉄網上に移して水が抜けるようにし、セルロースとパルプの混合物を絡まるようにして層を形成した後、圧着、乾燥して混合物層を均一にする工程を通じて生分解性紙、防水紙(耐油性及び耐水性の強いビニール代替紙)などを製造することができる。
【0044】
本発明の組成物を用いて使い捨て製品を製造する場合には、一般的にパルプ(PULP)を用いて使い捨て製品を製造する方法と同一の方法を用いることができる。
【0045】
具体的な例としては、製造しようとする模様の成型モールド(例えば雌状に小さな排水口を開け、排水機能があるようにしたもの)に、同様の排水性鉄網を入れ、本発明の組成物を排水性鉄網上に移して水が抜けるようにし、セルロースとパルプの混合物を絡まるようにして層を形成した後、成型モールドと同じ模様の雄(雌成型モールドに比べて製品の層厚を引いたほどにサイズが小さいもの)に圧縮、乾燥する方法で製品を製造することができる。
【0046】
ここで、前記成型モールドは、前記例とは反対に排水口雌雄が逆のものを用いることもでき、このときには同様の排水性鉄網を雄に嵌めて使用すればよい。
【0047】
また、前記方法において、排水と圧縮を同時に行うこともでき、圧縮する段階を一回以上繰り返して製品を製造することもでき、圧縮した状態で乾燥してこそ、完成した製品の変形を最小化できて好ましい。
【0048】
本発明の組成物を用いてプラスチック代替成型品を製造する場合、具体的な例としては、本発明の組成物をドウ状に混合して排水口のある成型モールド内に入れ、圧縮して強制的に排水(脱水)させる方法と、圧縮が進められる状態で圧縮が完了する時点まで成型モールド内にて成型物を乾燥して次第に成型物の体積が減るようにして(すなわち、熱を加えて水気は排出し、密度の高い繊維質のみ残るようにして)、所望の模様とサイズに成型物を製造することができる成型機(成型モールド)を製作して製品を製造することもできる。
【0049】
このとき、前記圧縮時に発生する水や、乾燥時に発生する蒸気は、排水性鉄網やフィルタ(好ましい例として、繊維やパルプを用いて製造したフィルタ)を介して排出する方式を用いることができ、排水性鉄網とフィルタをともに用いて排出する方式を用いることもできる。
【0050】
また、フィルタを用いる場合、完成した成型物と分離が容易にできるように、排水用不織布やその他の副資材をフィルタと成型物との間に付着して用いるのが好ましい。
【0051】
本発明の組成物を用いて製造される成型製品の密度は、製品の生分解時間と、防水時間および強度を決定する重要な要素であるが、製造する製品の用途に合せてセルロースの含量や製品の製造過程における圧縮時の圧力調節などを通じて、製品の密度を調整して製造することができ、完成した製品の体積や質量は、成型前の混合物から水の量を引いたものであるので、成型前に混合物の量を調節して調製することができる。
【実施例】
【0052】
実施例を通じて本発明を詳細に説明するが、これら実施例は例示的な目的であるのみで、本発明がこれら実施例に制限されるものではない。
【0053】
下記表1ないし表5に示したとおり、セルロースとパルプの含量比およびセルロースのサイズを異にして製造した生分解性組成物を用いて、それぞれの紙(平均坪量76.47g/)を水抄紙法で製紙した後、製造された各紙に対して、防水性と強度の試験を実施し、その結果を表1ないし表5にあわせて示した。
【0054】
防水性試験は製造された紙に水を掛け、水が裏面に染み出た時間を測定し、強度はKS M ISO 1924−2紙および板紙引張強度試験方法で、引張強度は平均(MD):5.29KN/m、(CD):2.18KN/mの基準下で定速荷重法で比較実験した。
参考までに、一般紙(白上質紙)は防水時間が通常10〜30秒範囲内である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
前記表1ないし表5の結果から、本発明の生分解性組成物は優れた防水性を有することを確認することができ、強度もまた既存に比べてはるかに強いことを確認することができる。したがって、本発明の生分解性組成物は防水剤または防水性が求められる製品の原料として用いられるのに適合であるということが分かる。
【0061】
また、前記表1ないし表5の結果は水抄紙法で製紙した場合であって、機械抄紙法を用いて密度を高く製紙すれば、防水時間と強度をさらに増大させることができる。
【0062】
前記実施例3−3の組成物を用いて試片を製造し、既存のプラスチック(高密度ポリエチレン:HDPE)試片を対照区として用いて、KS B 0802(金属材料引張試験方法)にしたがって、各試片の引張強度を測定した。その結果を図1(本発明の実施例3−3の組成物を用いて製造した試片)と図2(対照区であるプラスチック試片)に示した。
【0063】
図1図2から分かるように、本発明の組成物から製造された試片の場合、引張強度に優れ、既存のプラスチックの代替材として有用に用いることができることを確認することができる。
【0064】
また、本発明の組成物を用いて成型物の密度を高くし、製品を製造すれば、より引張強度の高い製品を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
米国とヨーロッパなどにて澱粉を活用したバイオ−プラスチック開発に集中してきているが、食料不足による穀物価額の上昇に伴い、代替原料開発に注力している。
本発明の組成物で製造される成型品は、地球上最も多い有機物質であるセルロースを用いて製造されるので、プラスチックや、とうもろこし澱粉を用いたPLAより低コストで製造できる長所がある。
【0066】
強度面ではプラスチックやセラミックほど強く、高温(150〜200)で耐えられ、使い捨て製品や軽量構造物などの半永久的な製品(建築用底材、内外装材、家具材、家電製品、子供用玩具など)の製造が可能である。
資源の枯渇と気候協約などの施行により、原油とサゴヤシ(Sago Palm)などを原料として使用できなくなる時代が到来するために、未来資源の確保と活用という面で、主原料が草本植物を用いて、原料の確保が容易で、かつ資源(原油、澱粉)の節約はもちろん、今後未来新産業として発展する可能性が高い。
図1
図2
【国際調査報告】