(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-532022(P2016-532022A)
(43)【公表日】2016年10月13日
(54)【発明の名称】固定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/32 20060101AFI20160916BHJP
E02D 27/00 20060101ALI20160916BHJP
【FI】
E02D27/32 Z
E02D27/00 A
E02D27/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-515941(P2016-515941)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(85)【翻訳文提出日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】FR2014000126
(87)【国際公開番号】WO2015044534
(87)【国際公開日】20150402
(31)【優先権主張番号】1302239
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】マクシム、ル、パジュ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ラビル
(72)【発明者】
【氏名】エドワール、ドビレール
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046AA01
2D046AA17
2D046DA05
(57)【要約】
スキー・リフト構造物(2)、特に架空索道スキー・リフトの基礎用固定装置であって、当該構造物(2)を支持するように設計されたブロック(3)を備える固定装置において、ブロック(3)が、構造物(2)を受容するように構成された固定手段(6)と、ハウジング(11)を備えて固定手段(6)を受容する金属ケージ(7)と、金属ケージ(7)の側面(14、15、17)周りに組み立てられ、金属ケージ(7)の内側にコンクリート打設物を保持する可撓性型枠と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキー・リフト構造物(2)、特に架空索道スキー・リフトの基礎用固定装置であって、当該構造物(2)を支持するように設計されたブロック(3)を備える固定装置において、
前記ブロック(3)が、
前記構造物(2)を受容するように構成された固定手段(6)と、
ハウジング(11)を備え、前記固定手段(6)を受容する金属ケージ(7)と、
前記金属ケージ(7)の側面(14、15、17)周りに組み立てられ、前記金属ケージ(7)の内側にコンクリート打設物を保持する可撓性型枠と、
を備えることを特徴とする、固定装置。
【請求項2】
前記可撓性型枠が、プラスチック被膜(24)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可撓性型枠が、少なくとも1つのハニカム板(40)を備える、請求項1ないし2に記載の装置。
【請求項4】
前記可撓性型枠が、金属メッシュ(27)をさらに備える、請求項2ないし3に記載の装置。
【請求項5】
前記可撓性型枠が、前記金属ケージ(7)の外側に配置される、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記金属ケージ(7)が、前記固定手段(6)を受容する前記ハウジング(11)が設けられた第1の面(12)と、前記第1の面(12)と反対側の第2の面(13)とを備え、前記第1の面(12)が、前記第2の面(13)に対して、非ゼロ勾配で傾斜された、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の固定装置を少なくとも1つ備えるスキー・リフト・ケーブル塔。
【請求項8】
スキー・リフト構造物、特に架空索道スキー・リフトの基礎の固定方法であって、当該構造物を支持するように設計されたブロックを備える、固定方法において、
ハウジングを備える金属ケージが作製され、
前記構造物を受容するように構成された固定手段が前記金属ケージの前記ハウジングに組み付けられ、
可撓性型枠が前記金属ケージの側面周りに組み立てられ、前記金属ケージにコンクリート打設物を保持する、
前記ブロックの製造ステップを備えることを特徴とする、固定方法。
【請求項9】
前記可撓性型枠が、プラスチック被膜で構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記可撓性型枠が、少なくとも1つのハニカム板を備える、請求項8ないし9に記載の方法。
【請求項11】
前記可撓性型枠の前記組み立てステップが、前記金属ケージの外側における前記可撓性型枠の配置を備える、請求項8ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属ケージの前記作製ステップが、前記固定手段を受容する前記ハウジングが設けられた前記金属ケージの第1の面であって、当該第1の面と反対側の前記金属ケージの第2の面に対して、非ゼロ勾配で傾斜された、第1の面の製造を備える、請求項8ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ブロックが製造された後、前記固定手段、前記金属ケージ、及び前記可撓性型枠の一体性を維持する前記ブロックの輸送ステップを備える、請求項8ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記基礎の基底部に実行される前記ブロックの組み立てステップと、
前記ブロックの前記金属ケージの内側にコンクリートが打設されるステップと、
をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ブロックの前記組み立てステップが実行された後、前記第1の面の傾斜の調整ステップを備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキー・リフト構造物、特にドラッグ・リフト、チェア・リフト、又はゴンドラ・リフト等の架空索道スキー・リフトの基礎の固定に関し、特に、スキー・リフトのケーブル塔の固定に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、搭乗ターミナル、降機ターミナル、又はケーブル塔といったスキー・リフト構造物の建設は、一般的に長くて複雑である。さらに、建設は、戸外で行われるため、高所作業を律則する安全要件、様々な要素の組み立て及び調整に伴う要件、並びに特に冬季中、構造物の組み立てを遅らせ得る苛酷な気象条件等といった外的制約を受ける。一般的に、構造物の組み立てには、溝が掘削され、構造物を支持するように設計された1つ又は複数のコンクリート固定装置を備える基礎が構成される。構造物がターミナルの場合、運搬具を輸送する牽引ケーブルの駆動輪を特に備える。構造物がケーブル塔の場合、他の構成要素の間に、滑車アセンブリが支持された塔本体を特に備える。
【0003】
駆動輪が懸架された金属骨格を備えるチェア・リフト・ターミナルを開示するフランス特許出願第FR2255200号が引用されてもよい。金属骨格は、逆V字状に組み立てられた2つの鉄脚をそれぞれ有する2つの三角形支柱を備える。脚の基部は、コンクリート・ブロックから成る固定基底部に固定されている。コンクリート固定装置は、木製吸収型枠によって、ターミナル組み立て場所に打設される。また、固定装置が構成される「捨てコンクリート」と呼ばれるコンクリート・スラブを事前に打設する必要がある。ただし、コンクリート・スラブ及び固定装置は、かなりの長期間(少なくとも7日間)にわたり放置して乾燥させる必要があるため、ターミナルの建設速度が遅くなる。さらに、乾燥は、気象条件の影響を大きく受けるため、ターミナル組み立てプロセスの速度がさらに遅くなる。
【0004】
特に、ケーブル塔の固定装置の構成の場合、塔本体を受容するように設計された固定装置の表面は、塔の傾斜によって架空索道の方向転換が可能となるように、地面に対して非ゼロ勾配で傾斜されてもよい。ただし、現場でコンクリートが打設されることによって、傾斜表面を有するこのような固定装置を構成する場合、所要の傾斜を迅速に得るのは困難である。
【0005】
さらに、現場が道路から遠かったり、現場が急勾配であったりして、アクセスが困難な現場で特定の架空索道リフト構造物が組み立てられる場合もある。例えば、このようなリフトのケーブル塔は、最大45%もあり得る傾斜地に組み立てられており、降機ターミナルのほとんどは、スキー・ゲレンデの頂上にあって、トラックでのアクセスが不可能である。したがって、固定装置の構成に要求される様々な要素が輸送された後、固定装置が現場で組み立てられる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、上記欠点を軽減することにあり、特に、輸送可能且つ現場での組み立てが容易であると同時に、十分に堅牢で所要の安全基準に準拠するスキー・リフト構造物の基礎用固定装置を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、このような固定装置が設けられたスキー・リフトのケーブル塔を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、迅速に実行可能なスキー・リフト構造物の基礎を固定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの特徴によれば、スキー・リフト構造物、特に架空索道スキー・リフトの基礎用固定装置であって、当該構造物を支持するように設計されたブロックを備える固定装置が提供される。
【0010】
ブロックは、
上記構造物を受容するように構成された固定手段と、
ハウジングを備え、固定手段を受容する金属ケージと、
金属ケージの側面周りに組み立てられ、金属ケージの内側にコンクリート打設物を保持する可撓性型枠と、
を備える。
【0011】
これにより、特にヘリコプターで容易に輸送可能な固定装置が提供される。実際、ブロックは、輸送可能であるとともに、固定手段、金属ケージ、及び可撓性型枠の一体性を維持する。したがって、ブロックは、互いに固定された要素の単一アセンブリの形態で輸送されてもよい。このような固定装置は、現場で迅速に組み立てられる。さらに、ブロックは、工場で製造されてもよく、これによって、ブロックの製造ステップが苛酷な気象条件の影響を受けないようにすることができる。さらに、固定装置の製造の精度を高めることによって、スキー・リフトの堅牢性の向上を保証することができる。さらに、このようなブロックは、製造工場からスキー・リフト構造物の組み立て現場までより容易に輸送可能な固定装置の提供を可能にする。
【0012】
可撓性型枠は、プラスチック被膜を備えることができる。
【0013】
可撓性型枠は、少なくとも1つのハニカム板を備えることができる。
【0014】
可撓性型枠は、金属メッシュをさらに備えることができる。
【0015】
可撓性型枠は、金属ケージの外側に配置されてもよい。
【0016】
金属ケージは、固定手段を受容するハウジングが設けられた第1の面と、当該第1の面と反対側の第2の面とを備えることができ、第1の面が、第2の面に対して、非ゼロ勾配で傾斜されてもよい。
【0017】
これにより、傾斜角が熟慮された傾斜面を有することにより、上記構造物を傾斜させる固定装置が提供される。したがって、このような固定装置は、標準化され、かつ、スキー・リフト設置業者の様々な要件が満たされ得る。
【0018】
本発明の別の特徴によれば、上記規定の少なくとも1つの固定装置を備えるスキー・リフトのケーブル塔が提案される。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、スキー・リフト構造物、特に架空索道スキー・リフトの基礎の固定方法であって、当該構造物を支持するように設計されたブロックを備える、固定方法が提案される。
【0020】
この方法は、
ハウジングを備える金属ケージが作製され、
上記構造物を受容するように構成された固定手段が金属ケージのハウジングに組み付けられ、
可撓性型枠が金属ケージの側面周りに組み立てられ、金属ケージにコンクリート打設物を保持する、
ブロックの製造ステップを備える。
【0021】
可撓性型枠の組み立てステップは、金属ケージの外側における可撓性型枠の配置を備えることができる。
【0022】
金属ケージの作製ステップは、固定手段を受容するハウジングが設けられた金属ケージの第1の面であって、当該第1の面と反対側の第2の面に対して、非ゼロ勾配で傾斜された、第1の面の製造を備えることができる。
【0023】
この方法は、ブロックが製造された後、固定手段、金属ケージ、及び可撓性型枠の一体性を維持するブロックの輸送ステップを備えることができる。
【0024】
この方法は、基礎の基底部に実行されるブロックの組み立てステップと、ブロックの金属ケージの内側にコンクリートが打設されるステップと、をさらに備えることができる。
【0025】
この方法は、ブロックの組み立てステップが実行された後、第1の面の傾斜の調整ステップをさらに備えることができる。
【0026】
ブロックの傾斜は、コンクリートが打設される前に、現場で微調整されてもよい。
【0027】
他の利点及び特徴については、非限定的な例示のみを目的として与えられ、添付の図面に描かれる本発明の特定の実施形態及び実施態様に関する以下の説明から、より明確に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る、固定装置の一実施形態を模式的に示した側面図である。
【
図2】
図1の固定装置のブロックを模式的に示した上面図である。
【
図3】金属ケージに対する固定手段の固定の一実施形態を模式的に示した図である。
【
図4】本発明に係る、固定装置の別の実施形態を模式的に示した側面図である。
【
図5】金属ケージに対する可撓性型枠の固定の一実施形態を模式的に示した図である。
【
図5a】別の実施形態に係る、ブロックを模式的に示した上面図である。
【
図6】本発明に係る、固定方法の主要なステップを模式的に示した図である。
【
図7】本発明に係る、固定方法の主要なステップを模式的に示した図である。
【
図8】本発明に係る、固定方法の主要なステップを模式的に示した図である。
【
図9】本発明に係る、固定方法の主要なステップを模式的に示した図である。
【
図10】本発明に係る、固定方法の主要なステップを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1及び
図2には、スキー・リフト構造物2、特に、架空索道スキー・リフトの基礎用固定装置1が模式的に描かれている。構造物2は、ターミナル支持部、例えばターミナルの上部構造物を支持するターミナル塔であってもよい。例えば、構造物2は、
図1に示されるように、ケーブル塔であってもよい。ケーブル塔には一般的に、滑車アセンブリが設けられ(簡素化のため、ここでは描かれていない)、輸送運搬具が取り付けられたスキー・リフトの架空索道を支持している。固定装置1は、構造物2を支持するように設計されたブロック3を備える。固定装置1は、基底部4を備えることができる。基底部4は、ブロック3を受容して、固定装置1の安定性を向上するように設計されている。特に、基底部4は、地面、好ましくは地面に掘削された穴の底部へ直接的に配置されてもよい。基底部4は、コンクリートで構成され、コンクリート・スラブ5上にあるのが好都合である。
【0030】
ブロック3は、固定手段6、金属ケージ7、及び可撓性型枠8(簡素化のため、
図1及び
図2には描かれていない)を備える。可撓性型枠8は、
図4、
図5、及び
図7〜
図9に示されている。
【0031】
固定手段6は、スキー・リフト構造物2を受容するように構成されている。言い換えると、固定手段6は、機械的に構造物2をブロック3に固定する。固定手段6は、複数の固定ロッド9を備えることができる。固定ロッド9は、ブロック3に対し塔2の本体が固定されるのを可能にする。例えば、固定ロッド9は、円形状に配置され、少なくとも1つの中空ディスク10によって互いに平行に保たれる。固定ロッド9及び(1つ又は複数の)中空ディスク10は、金属で構成されるのが好ましい。
【0032】
金属ケージ7は、十字型金属ロッド、例えば鋼又は銅若しくは鉄で構成されている。ケージ7は、ハウジング11を備え、固定手段6を受容する。一般的に、ケージ7は、六面体の形状であり、6つの面12〜17を備える。特に、ケージ7は、真っ直ぐな角柱の形態である。例えば、ケージ7は、直角台形である2つの平行な対向面14、16を有する。一般的に、ケージ7は、固定手段6を受容するハウジング11が設けられた第1の面12と、当該第1の面12と反対側の第2の面13と、これらに接合された4つの側面14〜17とを備える。
【0033】
さらに、ケージ7は、アングル・バー又はT字状金属バーで構成された支持ベルト18〜20を備えることができる。ケージ7は、固定手段6を当該ケージ7に固定するように設計された少なくとも2つの支持ベルト18、19を備えるのが好ましい。アングル・バー18〜20は、ケージ7の金属ロッドに溶接されるのが好ましい。一実施形態によれば、ケージ7は、第1の面12周りで、当該ケージの一端に位置決めされた第1の支持ベルト18と、第1のベルト18に平行で、ケージ7のほぼ中間高さに位置決めされた第2の支持ベルト19と、第2の面13周りで、ケージ7の他端に位置決めされた第3のベルト20とを備える。特に、第3のベルト20は、ブロック3の基底部4への良好な備え付けを可能にする。第1及び第2の支持ベルト18、19は、固定手段6の固定ロッド9が固定される横架バー21を備える。例えば、
図3に示されているように、固定ロッド9は、当該固定ロッド9を横架バー21に対してブロック固定する固定フランジ22及び2つのボルト23によって、横架バー21へ固定されてもよい。このように、一連の固定ロッド9の第1の端部は、第1のベルト18に固定されている。ケージ7に対する固定手段6の固定を強化するためには、また、他の固定フランジが使用されて、このアセンブリの固定ロッド9の他端を第2の支持ベルト19に固定してもよい。例えば、固定手段6は、8つの固定フランジ22によって固定され、4つが第1の支持ベルト18と協働し、その他の4つが第2の支持ベルト19と協働する。
【0034】
特に、金属ケージ7は、第1の面12が第2の面13に対して非ゼロ勾配で傾斜されるように製造される。例えば、この傾きは、5%〜35%に含まれてもよい。特に、この傾きは、5%、20%、又は35%と等しくされることにより、工場で傾きが調整される様々な標準化ブロックを提供することができる。工場でのブロック3の製造は、ブロック3の金属構造物の設計が熟慮されるのを可能にするため、現場で作製されて外的制約を受ける固定ブロックと比較して、高品質の固定装置1を提供する。
【0035】
さらに、提案される固定装置1のブロック3は、コンクリートで構成されるように設計されている。コンクリートは、現場で打設されるのが好ましいため、輸送可能であってもよいブロック3が提案される。本発明によれば、ブロック3は、輸送可能であるとともに、固定手段6、金属ケージ7、及び可撓性型枠8の一体性を維持する。例えば、ブロックは、900Kg〜3500Kgに含まれた重量を有することができる。ブロック3の重量は、ヘリコプターで容易に輸送可能となるように、優先的に、900Kg〜1000Kgに含まれる。
【0036】
図4には、可撓性型枠8の一実施形態が描かれている。可撓性型枠8は、従来技術において使用されている木製型枠と比較して、特に軽量且つ変形可能である。さらに、可撓性型枠8は、金属ケージ7の側面14〜17の周上へ配置されることが可能となるように変形可能であると同時に、ケージ7にコンクリート打設物を保持する強度である。可撓性型枠8は、プラスチック被膜24、好ましくはポリエチレンで構成された熱可塑性被膜24を備えることができる。このような被膜24は、主として炭素及び水素を含むため、地下水に対して有毒でも有害でもない。このような型枠は、およそ3Kg/m
2の面積密度(すなわち、単位面積当たりの質量)をさらに有するが、一般的に3.5〜11Kg/m
2に含まれる型枠に使用されている木材の面積密度よりも低い。
【0037】
より詳細に、可撓性型枠8は、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む共重合体ベースの材料で構成されてもよい。この材料は、打設コンクリートを保持する強度であると同時に、容易に折り曲げられ且つ切断される変形特性を有する。この共重合体材料は、250〜2000g/m
2に含まれる面積密度を有することができるが、この場合、特に軽量である。
【0038】
例えば、被膜24は、互いに重ね合わされた2つのフィルム25、26を備えることができる。被膜24は、当該被膜24を堅固にしてケージ7の内側での打設コンクリートの保持を容易化する金属メッシュ27をさらに備えることができる。例えば、被膜24が単一のフィルム25を備える場合、このフィルム25は、ケージ7の十字型金属ロッドと金属メッシュ27との間に配置される。別の実施形態によれば、被膜24が2つのフィルム25、26を備え、金属メッシュ27は、これら2つのフィルム25、26間に挿入されるのが好ましい。このように形成された被膜24は、ケージ7の十字型金属ロッドに対して、ケージ7の外側に配置されるのが好ましい。このような可撓性型枠8は、容易に切断されて2次元テンプレートを構成することにより、ケージ7の側面14〜17を適切に覆うことができる。さらに、可撓性型枠8は、ケージ7の形状に従って、容易に折り曲げられる。したがって、可撓性型枠8は、ケージ7の周りでの組み立てが容易であり、ケージ7の周りに配置するための吊上げ装置を一切必要としない。
【0039】
可撓性型枠8は、金属ケージ7の側面14〜17周りに組み立てられる。可撓性型枠8を形成するため、被膜24は、ケージ7の側面14〜17を覆う。また、被膜24は、ケージ7の内側に配置されてもよい。優先的には、ケージ7への固定を容易化するために、被膜24は、金属ケージ7の外側に配置される。例えば、
図5に示されているように、被膜24は、締結具28によって、ケージ7の金属ロッドに固定されてもよい。さらに、2つのフィルム25、26が設けられた被膜24は、当該被膜24の外側フィルム26に対して配置された好ましくは金属製の付加的なメッシュ29を備えることができる。さらに、ブロック3は、金属ケージ7の第1の面12の高さに位置決めされた端部型枠30を備えることができる。端部型枠30は、被膜24で構成されてもよく、又は木材で構成されてもよい。木材で構成された端部型枠30は、ブロック3の輸送ステップ及びケージ7の第1の面12の方向の調整ステップにおいて、可撓性型枠8が保護されるのを可能にするため都合が良い。
【0040】
図5aに示されている別の実施形態によれば、可撓性型枠8は、少なくとも1つのハニカム板40を備える。ハニカム板40は、ポリプロピレン及びポリエチレンを含む共重合体で構成されるのが好ましい。このような可撓性型枠8は、容易に切断され得、2次元テンプレートを構成することにより、ケージ7の側面14〜17を適切に覆うことができる。変形例として、可撓性型枠8は、切断されて金属ケージ7の側面14〜17をそれぞれ覆う4つのハニカム板を備える。
図5aに示されているように、少なくとも1つのハニカム板40が設けられた可撓性型枠8は、側面14〜17周りで金属ケージ7の外側に組み立てられる。さらに、金属メッシュ27は、ハニカム板に対して位置決めされ得、金属ケージ7に対してハニカム板を保持することができる。別の例によれば、可撓性型枠は、金属ケージ7の十字型金属ロッドに対して、当該ケージ7の内側に組み立てられる。別の実施形態によれば、可撓性型枠8は、互いに対向して配置され、側面周りで金属ケージ7の外側に組み立てられた一連の板を構成する複数のハニカム板を備える。例えば、各ハニカム板は、金属メッシュ27のバーがハニカム凹部内側へ挿入されるのを可能にする。さらに、ハニカム板40の凹部は、これらを互いに接合する側面14〜17の縁部と平行に配向されてもよい。凹部は、長手方向であってもよく、すなわち、ケージ7の第1の面12から第2の面13まで延びる。変形例として、ハニカム板の凹部は、側面14〜17の縁部と垂直に配向されてもよい。この場合、凹部は、1つの側面から、これと反対側の側面まで延びる。
【0041】
図6〜
図10には、スキー・リフト構造物の基礎の固定方法の主要なステップが描かれている。この固定方法は、
図6に示されているように、基底部4を組み立てる初期ステップS0を備えることができる。初期ステップS0においては、コンクリート・スラブ5中の埋設ケーブル31によってスラブ5が打設された後、基底部4の金属構造物32がコンクリート・スラブ5上に形成される。ケーブル31は、引っ張りに耐えるものであり、鋼で構成されるのが好ましい。金属構造物32は、金属ロッドのメッシュを備えるとともに、ブロック3を基底部4に組み込む受容空間33をさらに備える。また、打設コンクリートを保持してコンクリート基底部4を形成することを目的として、基底部4の金属構造物32の周りに、木製型枠34が配置される。この方法は、ブロック3の製造ステップをさらに含み、このステップにおいては、固定手段6を受容するハウジング11が設けられた金属ケージ7が製造され、固定手段6がハウジング11に組み付けられ、特に、固定手段6が金属ケージ7に固定された後、可撓性型枠8がケージ7の側面14〜17周りに配置される。特に、ブロック3の製造ステップは、固定装置1の組み立て現場の外側のエリア、例えば遮蔽エリアで行われる。ブロック3の製造ステップの後、この方法は、ブロック3の一体性を保ちつつ、ブロック3の輸送ステップを備える。ブロック3は、製造されたエリアから、固定装置1が組み立てられる現場まで輸送される。そして、
図7に示されているように、製造されたブロック3は、ステップS1において、基底部4上に組み立てられる。より詳細に、ブロック3は、基底部4の受容空間33に配置される。ブロック3の組み立てステップS1の後、この方法は、基底部4の金属構造物32及びケージ7の十字型金属ロッドに対して付加的な金属バーが溶接されるステップを備えることができる。この任意選択としての溶接ステップは、基底部4及びブロック3の金属構造物が接合されることによる固定装置1の強化を可能にする。組み立てステップS1の後、この方法は、
図8に示されているように、ケージ7の第1の面12の傾斜の調整ステップS2を備えることができる。調整ステップS2において、コンクリート・スラブ5に一部が埋設されたケーブル31は、例えばストラップによって、ブロック3に接続される。ストラップには、その張力を調整する調整手段が設けられている。これにより、ユーザは、基底部4に対するブロック3の位置を微調整することができる。したがって、ユーザは、地面に対するケージ7の第1の面12の方向を調整することができる。このように、ストラップが張られた状態によって、コンクリート打設ステップにおいてブロック3が安定化されることが可能である。金属ケージ7に固定された木製の端部型枠30をブロック3が備える場合、ストラップは、張られた状態でケージ7を変形させることのないように、端部型枠30に取り付けられるのが好ましい。そして、調整ステップS2の後は、
図9に示されているように、コンクリートが打設され(S3)、基底部4を形成する。
図10に示されているように、この方法は、金属ケージ7の内側でコンクリートが打設されることによって、コンクリート・ブロック3を形成するステップS4をさらに備える。一実施形態によれば、コンクリート基底部4の製造ステップS3及びコンクリートが打設されることによってコンクリート・ブロック3を形成するステップS4は、基底部4の乾燥を待つことなく、連続して実行される。変形例として、ケージ7にコンクリートを打設してコンクリート・ブロック3を形成する前に、コンクリート基底部4が乾燥するのを待つこともできる。固定装置1の製造を終了するため、ストラップが切断されると、固定装置1は、いつでも構造物2を受容できる。そして、コンクリート・スラブ5が打設された穴が充填され、組み立てを終了とする。
【0042】
別の変形例によれば、ブロック3の金属ケージ7にコンクリートを打設するステップS4の後、金属ケージ7及び可撓性型枠8の上部すなわち第1の面12の高さに位置決めされた部分が切断されることで、ブロック3の上部でコンクリートが見えるようにする。これは、見えるコンクリートの上部の最下層まで穴が充填されるのを可能にし、充填材料の上側にて見えたままのケージ7及び可撓性型枠8の金属及びプラスチック部が除去されるのを可能にする。これにより、ケージ7及び可撓性型枠8の金属部が充填後に見えたままとなって人に害を及ぼす可能性が回避される。
【0043】
上記説明された固定装置及び方法は、堅牢且つ現場で迅速に組み立てられる固定装置が提供されるのを可能にする。特に、このような固定装置は、支持する構造物を、十分に熟慮された値を有する傾斜で傾斜させる可能性を提供するために標準化される。
【国際調査報告】