(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-532432(P2016-532432A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基質およびエアロゾル送達システム
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20060101AFI20160926BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20160926BHJP
【FI】
A24F47/00
A61M15/06 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-563019(P2015-563019)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(11)【特許番号】特許第6001201号(P6001201)
(45)【特許公報発行日】2016年10月5日
(85)【翻訳文提出日】2015年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2015061218
(87)【国際公開番号】WO2015177264
(87)【国際公開日】20151126
(31)【優先権主張番号】14169193.1
(32)【優先日】2014年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィッチ
(57)【要約】
誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基質が説明されている。エアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料と、エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料とを含む。第一のサセプタ材料は第一のキュリー温度を持ち、固体材料に熱的に近接して配列される。エアロゾル形成基質は少なくとも、第二のキュリー温度を持ち固体材料と熱的に近接して配列される第二のサセプタ材料を持つ。第一および第二のサセプタ材料は相互に異なる特定の比吸収率(SAR)出力を持つ。別の方法としてまたはそれに加えて、第一のサセプタ材料の第一のキュリー温度は第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度よりも低く、第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度は第一および第二のサセプタ材料の最大加熱温度を画定する。エアロゾル送達システムについての説明もある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基質であって、前記エアロゾル形成基質が、前記エアロゾル形成基質の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料と、前記エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料とを含み、前記第一のサセプタ材料が第一のキュリー温度を持ちかつ前記固体材料と熱的に近接して配列されており、前記エアロゾル形成基質が第二のキュリー温度を持ちかつ前記固体材料と熱的に近接して配列される少なくとも第二のサセプタ材料を含み、前記第一および第二のサセプタ材料が相互に異なる比吸収率(SAR)出力を持ち、および/または前記第一のサセプタ材料の前記第一のキュリー温度が前記第二のサセプタ材料の前記第二のキュリー温度よりも低く、また前記第二のサセプタ材料の前記第二のキュリー温度が前記第一および第二のサセプタ材料の最大加熱温度を画定する、エアロゾル形成基質。
【請求項2】
前記第一および第二のサセプタ材料の前記第一および第二のキュリー温度が、誘導加熱される際に、前記エアロゾル形成基質の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択される、請求項1に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項3】
前記第二のサセプタ材料の前記第二のキュリー温度が370℃を超えない、請求項1または2に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項4】
前記第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つが、粒子、またはフィラメント、またはメッシュ様の構成のどれか一つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項5】
前記第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つが粒子の構成であり、等価直径10 μm〜100 μmを持ち、前記エアロゾル形成基質内に分布されている、請求項4に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項6】
前記第一および前記第二のサセプタ材料が粒子の構成であり、かつ前記エアロゾル形成基質内に一般的に均一に分布している、請求項4または5に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項7】
前記第一および第二のサセプタ材料が粒子の構成であり、かつ前記エアロゾル形成基質内の異なる場所で積み重なった形で配列され、前記第一のサセプタ材料が前記エアロゾル形成基質の中央領域内に、好ましくはその軸方向延長部分に沿って配列され、前記第二のサセプタ材料が前記エアロゾル形成基質の周辺領域に配列されている、請求項4または5に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項8】
前記第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つがフィラメントの構成であり、前記エアロゾル形成基質内に配列される、請求項4に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項9】
フィラメントの構成である前記第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つが前記エアロゾル形成基質内の中央領域内に配列され、好ましくはその軸方向延長部に沿って延びる、請求項8に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項10】
前記第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つがメッシュ様の構成でありかつ前記エアロゾル形成基質内に配列されているか、または少なくとも部分的に前記固体材料の枠を形成する、請求項4に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項11】
前記第一および第二のサセプタ材料が、エアロゾル形成基質内に配列されているか、または少なくとも部分的に前記固体材料の枠を形成する、メッシュ様構造実体を形成するよう組み立てられる、請求項4に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項12】
前記エアロゾル形成基質がマウスピースに取り付けられ、これが随意にフィルタープラグを備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエアロゾル形成基質。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の誘導加熱装置およびエアロゾル形成基質を備える、エアロゾル送達システム。
【請求項14】
前記誘導加熱装置に電子制御回路が提供され、これが前記エアロゾル形成基質の前記第一および第二のサセプタ材料を連続的または交互に加熱するように適応される、請求項13に記載のエアロゾル送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基質に関連する。本発明はまた、エアロゾル送達システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術から、エアロゾル送達システムは公知であり、エアロゾル形成基質および誘導加熱装置を備える。誘導加熱装置は誘導源を備え、これがサセプタ材料内に熱を発生させる渦電流を誘導する交流電磁場を発生する。サセプタ材料はエアロゾル形成基質と熱的に近接している。加熱されたサセプタ材料は次に、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力のある材料を含むエアロゾル形成基質を加熱する。適切なエアロゾル形成基質の加熱を確実にするためにサセプタ材料用の多様な構成を提供する、エアロゾル形成基質のための多数の実施形態が当該技術分野において説明されてきた。こうして、エアロゾルを形成できる揮発性化合物の放出を満足できるようなエアロゾル形成基質の使用温度が目指される。
【0003】
ただし、加熱によってさらに良質でかつより効率の高いエアロゾルの生成が許容されるエアロゾル形成基質が提供されることが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、誘導加熱装置と組み合わせて使用するためのエアロゾル形成基質が提供されている。エアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料と、エアロゾル形成基質を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料とを含む。第一のサセプタ材料は第一のキュリー温度を持ち、固体材料に熱的に近接して配列される。エアロゾル形成基質は少なくとも、第二のキュリー温度を持ち固体材料と熱的に近接して配列される第二のサセプタ材料を持つ。第一および第二のサセプタ材料は相互に異なる特定の比吸収率(SAR)出力を持つ。別の方法としてまたはそれに加えて、第一のサセプタ材料の第一のキュリー温度は第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度よりも低く、第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度は第一および第二のサセプタ材料の最大加熱温度を画定する。
【0005】
第一および第二のキュリー温度が相互に異なる少なくとも第一および第二のサセプタ材料を持つことにより、エアロゾル形成基質の加熱をより効率的で制御された方法で行うための前提条件、およびこうして、より効率的なエアロゾル生成が提供される。第一および第二のサセプタ材料は異なる特定の比吸収率(SAR)出力を持ちうる。ここでのSAR出力は、所定の周波数での、および所定の電磁誘導場強度での1サイクル当たりのサセプタ材料1Kg当たりのジュール出力として定義される。明確に異なるSAR出力のため、第一および第二のサセプタ材料は、その熱損失に関して異なる効率を有する。別の方法として、またはこのサセプタ材料の特定の性質に加えて、第一および第二のサセプタ材料はそれぞれその固有の第一または第二のキュリー温度を持ち、別個に活性化させうる。これは例えば、交流誘導電流の異なる周波数によって、および/または磁場の異なる周波数によって、第一および第二のサセプタ材料の誘導加熱を起こすことで達成しうる。これにより、そのカスタマイズされた枯渇を達成するための、エアロゾル形成基質内での第一および第二のサセプタ材料のより効率的な分布が許容される。こうして、例えばエアロゾル形成基質の周辺領域への熱の蓄積を増加させることが望ましい場合には、より高い第二のキュリー温度を持つ第二のサセプタ材料を好ましくはエアロゾル形成基質の周辺領域に配列しうる一方、第一のサセプタ材料は優先的にその中央領域に配列しうる。適切と見なされる場合、エアロゾル形成基質の第一および第二のサセプタ材料は逆にすることもでき、こうして第一のサセプタ材料が周辺領域に配列され、第二のサセプタ材料が例えばエアロゾル形成基質の中央部分に配列されうるということにも注目すべきである。本発明によるエアロゾル形成基質は特定の要件に従って、そのカスタマイズされた組成を許容する。エアロゾル形成基質の過熱は、第一および第二のサセプタ材料の最大加熱温度を画定するように、より高い第二のキュリー温度を持つ第二のサセプタ材料の選択によって防止しうる。第二のサセプタ材料がその第二のキュリー温度に達した時、その磁性は強磁性から常磁性に変化する。その結果、第二のサセプタ材料のヒステリシス損失が消滅する。エアロゾル形成基質の誘導加熱中、この相変化はオンラインで検出して加熱を自動的に停止することもできる。こうして、エアロゾル形成基質の過熱が回避されうる。誘導加熱が止まった後、第二のサセプタ材料はその第二のキュリー温度よりも低い温度に達するまで冷め、その温度でその強磁性属性を回復し、そのヒステリシス損失が再び現れる。この相変化はオンラインで検出することができ、誘導加熱が再び有効化される。こうして、エアロゾル形成基質の誘導加熱は、誘導加熱装置の有効化および無効化の繰り返しに対応する。第一のサセプタ材料は、その第一のキュリー温度が第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度よりも既に低いため、この過熱防止についてのさらなる懸念とはならない。
【0006】
エアロゾル形成基質はエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ固体材料であることが好ましい。「固体」という用語は本明細書で使用される時、担体材料上に提供されうる固体材料、半固体材料、および液体構成要素さえも含む。揮発性化合物はエアロゾル形成基質の加熱により放出される。エアロゾル形成基質はニコチンを含む場合がある。ニコチンを含有するエアロゾル形成基質はニコチン塩マトリクスとしうる。エアロゾル形成基質は植物由来材料を含みうる。エアロゾル形成基質はたばこを含みうるが、たばこ含有材料は揮発性のたばこ風味化合物を含むことが好ましく、これが加熱に伴いエアロゾル形成基質から放出される。エアロゾル形成基質は均質なたばこ材料を含みうる。均質化されたたばこ材料は、粒子のたばこを凝集することによって形成されうる。別の方法として、エアロゾル形成基質は非たばこ含有材料を含みうる。エアロゾル形成基質は均質な植物由来材料を含みうる。
【0007】
エアロゾル形成基質は少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含んでもよい。エアロゾル形成剤は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、誘導加熱装置の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成剤は本技術で公知であり、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成剤は多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリン(最も好ましい)など)である。
【0008】
エアロゾル形成基質は、その他の添加物および成分(芳香成分など)を含みうる。エアロゾル形成基質はニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成剤を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態で、エアロゾル形成剤はグリセリンである。エアロゾル形成基質と熱的に近接しているサセプタ材料により、さらに効率的な加熱が許容され、こうして、より高い使用温度を達成しうる。より高い使用温度により、公知のシステムで使用されるエアロゾル形成剤と比較して改良されたエアロゾルを提供するエアロゾル形成剤としてグリセリンを使用できるようになる。
【0009】
本発明のエアロゾル形成基質による実施形態で、第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度は誘導加熱される際にエアロゾル形成基質の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択されうる。ここで、エアロゾル形成基質の全体的な平均温度は、エアロゾル形成基質の中央部分および周辺部分での多数の温度測定値の算術平均として定義される。全体的な平均温度についての最大値を予め定義することにより、エアロゾルが最適に生成されるようにエアロゾル形成基質が調整されうる。
【0010】
エアロゾル形成基質の別の実施形態で、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料を含むエアロゾル形成基質の局所的な過熱を回避するために、第二のサセプタ材料の第二のキュリー温度は370℃を超えないように選択される。
【0011】
本発明の別の態様によれば、エアロゾル形成基質に含まれる第一および第二のサセプタ材料は異なる幾何学構成としうる。こうして、第一および第二のサセプタ材料のそれぞれのうち少なくとも一つは、粒子の構成、フィラメントの構成、メッシュ様の構成のどれか一つとしうる。異なる幾何学的構成を持つことにより、第一および第二のサセプタ材料は、それらの特定のタスクに合わせることができ、またエアロゾル生成を最適化するために特定の方法でエアロゾル形成基質内に配列しうる。
【0012】
こうして、本発明によるエアロゾル形成基質の一つの実施形態で、第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つは粒子の構成としうる。粒子は等価直径10 μm〜100 μmを持ち、エアロゾル形成基質内部に分布されることが好ましい。等価球体直径は不規則な形状の粒子と組み合わせて用いられ、等価体積の球の直径として定義される。選択したサイズで、粒子の第一および/または第二のサセプタ材料は、必要に応じてエアロゾル形成基質内部に分布してもよく、またエアロゾル形成基質内に確実に保持されてもよい。粒子の第一および/または第二のサセプタ材料は、ほぼ均一に分布してもよく、エアロゾル形成基質全体に局所的な集中ピークのある積み上げた形で分布してもよい。こうして、本発明によるエアロゾル形成基質の一つの実施形態で、第一のサセプタ材料は、エアロゾル形成基質の中央領域に配列しうるが、その軸方向延長部分に沿うことが好ましく、また第二のサセプタ材料はエアロゾル形成基質の周辺領域に配列しうる。エアロゾル形成基質のこの実施形態では、加熱は、その中央領域のその軸方向延長部分に沿って集中するだけでなく、周辺領域でも達成されうる。エアロゾル形成基質の加熱に伴いエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を備える固体材料への熱の蓄積度はまた、それぞれの位置での第一および第二のサセプタ材料の集中度にも依存する。
【0013】
エアロゾル形成基質の別の実施形態で、第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つは、エアロゾル形成基質内部に配列されたフィラメントの構成としうる。フィラメントの構成の第一または第二のサセプタ材料のそれぞれは例えば、粒子の構成の第二または第一のサセプタ材料のそれぞれと組み合わせうる。本発明の別の実施形態で、第一および第二のサセプタ材料はどちらもフィラメントの構成としうる。本発明によるエアロゾル形成基質のなおも別の実施形態で、フィラメントの構成の第一または第二のサセプタ材料のそれぞれはエアロゾル形成基質全体でほぼ軸方向に延びるように配列しうる。フィラメントの構成の第一および/または第二のサセプタ材料のそれぞれは、その製造、およびそれらの幾何学的規則性および再現性に関連して利点を有しうる。幾何学的な規則性および再現性はまた、それぞれの位置での固体材料の局所的な加熱の制御でも有利となりうる。
【0014】
本発明によるエアロゾル形成基質のなおも別の実施形態で、第一および第二のサセプタ材料のうち少なくとも一つはメッシュ様の構成としうる。メッシュ様の構成の第一または第二のサセプタ材料のそれぞれは、エアロゾル形成基質の内側に配列することもでき、また少なくとも部分的に固体材料の枠を形成することもできる。メッシュ様の構成の第一または第二のサセプタ材料のそれぞれは、粒子の構成を持つ第二または第一のサセプタ材料のそれぞれと組み合わせてもよく、フィラメントの構成を持つ第二または第一のサセプタ材料のそれぞれと組み合わせてもよい。「メッシュ様の構成」という用語には、それを通じて不連続性を有する層を含む。例えば層はスクリーン、メッシュ、格子または穿孔のある箔としうる。
【0015】
エアロゾル形成基質のなおもさらなる実施形態で、第一および第二のサセプタ材料はメッシュ様構造実体を形成するように組み立てられてもよい。メッシュ様構造実体は例えば、エアロゾル形成基質全体で軸方向に延びうる。エアロゾル形成基質の別の実施形態で、第一および第二のサセプタ材料のメッシュ様構造実体は少なくとも部分的に固体材料の枠を形成しうる。「メッシュ様構造実体」という用語は、第一および第二のサセプタ材料から組み立てることができ、かつスクリーン、格子またはメッシュを含めて、それを通じた不連続性を有するすべての構造を示す。
【0016】
エアロゾル形成基質の一部の実施形態で、第一および第二のサセプタ材料は相互に異なる幾何学的構成であることが望ましい場合があることが注目されるべきである。エアロゾル形成基質のその他の実施形態では、例えばエアロゾル形成基質の製造目的で、第一および第二のサセプタ材料は類似した幾何学的構成であることが望ましい場合がある。
【0017】
エアロゾル形成基質は一般的な円筒の形状であり、管状ケーシング(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。例えば、オーバーラップなどの管状ケーシングは、エアロゾル形成基質の形状の安定化や、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する偶発的な固体材料および第一および第二のサセプタ材料の分裂の防止に役立ちうる。
【0018】
別の実施形態で、エアロゾル形成基質はマウスピースに取り付けうるが、これは随意にフィルタープラグを備えうる。エアロゾル形成基質の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料ならびに第一および第二のサセプタ材料を含むエアロゾル形成基質と、マウスピースとを組み立てて構造実体を形成する。新しいエアロゾル形成基質を誘導加熱装置と組み合わせて使用するたびに、ユーザーには新しいマウスピースが自動的に供給され、これは衛生の面から望ましいかもしれない。マウスピースには随意にフィルタープラグが供給されうるが、これはエアロゾル形成基質の組成に従い選択されうる。
【0019】
本発明によるエアロゾル送達システムは、上述の実施形態のいずれか一つによる誘導加熱装置およびエアロゾル形成基質を備える。こうしたエアロゾル送達システムを用いて、エアロゾル発生の改善が達成されうる。第一および第二のサセプタ材料の配列を制御することにより、エアロゾル形成基質の加熱が最適化され、こうしてエアロゾルの発生の改善が達成されうる。
【0020】
エアロゾル送達システムの一つの実施形態で、誘導加熱装置には、エアロゾル形成基質の第一および第二のサセプタ材料を連続的または交互に加熱するように適応された電子制御回路が提供される。こうして、エアロゾル形成基質全体での第一および第二のサセプタ材料の分布によっても、エアロゾル形成基質の誘導加熱の制御のカスタム化を達成することができ、その結果、エアロゾルを形成可能な揮発性化合物のエアロゾル形成基質内に含まれる固体材料の枯渇のカスタム化を達成することができる。
【0021】
エアロゾル形成基質の上述の実施形態、およびエアロゾル送達システムの上述の実施形態は、下記の詳細な説明によって一層明白となり、正確な縮尺ではないが添付の概略図への参照がなされている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は誘導加熱装置と、装置に挿入されたエアロゾル形成基質とを備えたエアロゾル送達システムの概略図である。
【
図2】
図2はエアロゾル形成基質内にほぼ均一に分布した粒子の構成の第一および第二のサセプタ材料を含む、エアロゾル形成基質の第一の実施形態を示す。
【
図3】
図3はエアロゾル形成基質の中央および周辺の領域に積み重ねて分布した粒子の構成の第一および第二のサセプタ材料を含む、エアロゾル形成基質の第二の実施形態を示す。
【
図4】
図4は粒子の構成の第二のサセプタ材料と、フィラメントの構成の第一のサセプタ材料とを含む、エアロゾル形成基質の第三の実施形態を示す。
【
図5】
図5は粒子の構成の第一のサセプタ材料と、メッシュ様の構成の第二のサセプタ材料とを含む、エアロゾル形成基質の第四の実施形態を示す。
【
図6】
図6はメッシュ様構造実体を形成するように組み立てられた第一および第二のサセプタ材料を含む、エアロゾル形成基質の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
誘導加熱はファラデーの電磁誘導の法則およびオームの法則により説明される公知の現象である。さらに具体的に言えば、ファラデーの電磁誘導の法則は、導体内の磁気誘導が変化する場合に導体内に変化する電場が作り出されると述べている。この電場が導体内に作り出されるため、電流(渦電流として知られる)はオームの法則に従って導体内を流れる。渦電流は電流密度および導体抵抗率に比例した熱を発生させる。誘導加熱される能力のある導体はサセプタ材料として公知である。本発明はLC回路などのAC源から交流電磁場を生成する能力のある誘導加熱源(例えば、誘導コイルなど)を備えた誘導加熱装置を採用する。熱を発生する渦電流は、エアロゾル形成基質の加熱に伴いエアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を有し、エアロゾル形成基質内に含まれる、固体材料と熱的に近接したサセプタ材料内で生成される。「固体」という用語は本明細書で使用される時、担体材料上に提供されうる固体材料、半固体材料、および液体構成要素さえも含む。サセプタ材料から固体材料への主要な熱伝達メカニズムは伝導、放射および場合によっては対流である。
【0024】
概略的な
図1では、本発明によるエアロゾル送達システムの模範的実施形態は一般的に参照番号100で示されている。エアロゾル送達システム100は、誘導加熱装置2およびそれに関連付けられたエアロゾル形成基質1を備える。誘導加熱装置2は、蓄熱器22または電池を収容するための蓄熱チャンバー21と、加熱チャンバー23とを持つ、細長い管状ハウジング20を備えうる。加熱チャンバー23には、図示した模範的実施形態に示す通り、電子回路32と電気的に接続される誘導コイル31により構成されうる誘導加熱源を提供しうる。電子回路32は例えば、加熱チャンバー23の軸方向の延長を画定するプリント基板33上に提供しうる。誘導加熱に必要な電力は、蓄熱チャンバー21内に収容され、電子回路32と電気的に接続される、蓄熱器22または電池によって供給される。加熱チャンバー23は、エアロゾル形成基質1がその内部に放出できるように保持されうる、かつ簡単に取り外せて、望む時に別のエアロゾル形成基質1と交換しうるように、内側断面を持つ。
【0025】
エアロゾル形成基質1は一般的な円筒の形状であり、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)は、エアロゾル形成基質1の形状の安定化や、エアロゾル形成基質1の内容物の偶発的損失の回避に役立ちうる。本発明によるエアロゾル送達システム100の模範的実施形態に示す通り、エアロゾル形成基質1はマウスピース16と接続しうるが、ここで加熱チャンバー23に挿入されたエアロゾル形成基質1は、少なくとも部分的に加熱チャンバー23から突き出る。マウスピース16はフィルタープラグ17を備えうるが、これはエアロゾル形成基質1の組成に従い選択されうる。エアロゾル形成基質1およびマウスピース16は、構造実体を形成するように組み立てられうる。新しいエアロゾル形成基質1を誘導加熱装置2と組み合わせて使用するたびに、ユーザーには新しいマウスピース16が自動的に供給され、これは衛生の面から高く評価されるかもしれない。
【0026】
図1に示す通り、誘導コイル31は加熱チャンバー23の周辺部の、誘導加熱装置2のハウジング20付近に配列しうる。誘導コイル31の巻線はエアロゾル形成基質1を収容する能力を有する加熱チャンバー23の自由空間を囲む。エアロゾル形成基質1は加熱チャンバー23のこの自由空間に、加熱チャンバー23の内側に提供されうる誘導加熱装置2の管状ハウジング20の開放端から、止め具に達するまで挿入されうる。止め具は管状ハウジング20の内側壁から突き出ている少なくとも一つの突起で構成されてもよく、または
図1に示す模範的実施形態に示す通り、軸方向に加熱チャンバー23を画定するプリント基板33により構成されてもよい。挿入されたエアロゾル形成基質1は、例えば管状ハウジング20の開放端の付近に提供されうる環状のシーリングガスケット26により、加熱チャンバー23内に放出できるように保持されうる。
【0027】
エアロゾル形成基質1、および随意的なフィルタープラグ17付きの随意的なマウスピース16は、空気に対する透過性がある。誘導加熱装置2は管状ハウジング20に沿って分布されうる多数の通気孔24を持ちうる。プリント基板33に提供されうる空気通路34は、通気孔24からエアロゾル形成基質1への気流を可能にする。注目すべきことは、誘導加熱装置2の代替的な実施形態で、管状ハウジング20の通気孔24からの空気が、事実上妨げられずにエアロゾル形成基質1に達しうるように、プリント基板33は省略しうることである。誘導加熱装置2は入ってくる空気が検出された時に電子回路32および誘導コイル31を有効化するための空気流センサー(
図1には図示せず)を備えうる。空気流センサーは例えば、通気孔24のどれか一つ付近、またはプリント基板33の空気通路34のどれか一つ付近に提供しうる。こうしてユーザーはエアロゾル形成基質1の誘導加熱を開始するために、マウスピース16を吸うことができる。加熱されると、エアロゾル形成基質1内に含まれる固体材料により放出されるエアロゾルが、エアロゾル形成基質1を通過して吸い込まれた空気とともに吸入されうる。
【0028】
図2は一般的に参照番号1で示されているエアロゾル形成基質の第一の実施形態を概略的に示す。エアロゾル形成基質1は、一般的に管状のケーシング15(例えば、オーバーラップなど)を備えうる。管状ケーシング15は、エアロゾル形成基質1の内容物に達する電磁場を著しく妨害しない材料で製造しうる。例えば、管状ケーシング15は紙製のオーバーラップとしうる。紙は高い透磁率を持ち、交流電磁場では渦電流によって加熱されない。エアロゾル形成基質1は、エアロゾル形成基質1の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、エアロゾル形成基質1を加熱するための少なくとも第一のサセプタ材料11とを含む。第一のサセプタ材料11は第一のキュリー温度を持ち、固体材料10に熱的に近接して配列される。「固体」という用語は本明細書で使用される時、担体材料上に提供されうる固体材料、半固体材料、および液体構成要素さえも含む。エアロゾル形成基質1はさらに少なくとも、第二のキュリー温度を持ち、これもまた固体材料と熱的に近接して配列される第二のサセプタ材料を持つ。第一のサセプタ材料11の第一のキュリー温度は第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度よりも低い。第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度は第一および第二のサセプタ材料11、12の最大加熱温度を画定する。
【0029】
固有の第一および第二のキュリー温度が相互に異なる少なくとも第一および第二のサセプタ材料11、12を持つことにより、エアロゾル形成基質1の誘導加熱をより効率的で制御された方法で行うため前提条件、およびこうして、より効率的なエアロゾル生成が提供される。第一および第二のサセプタ材料11、12はそれぞれその固有の第一または第二のキュリー温度を持つが、別個に活性化させうる。これは例えば、交流誘導電流の異なる周波数によって、および/または磁場の異なる周波数によって、第一および第二のサセプタ材料11、12の誘導加熱を起こすことで達成しうる。これにより、そのカスタマイズされた枯渇を達成するための、エアロゾル形成基質1内での第一および第二のサセプタ材料11、12のより効率的な分布が許容される。こうして、例えばエアロゾル形成基質1の周辺領域への熱の蓄積を増加させることが望ましい場合には、より高い第二のキュリー温度を持つ第二のサセプタ材料12を好ましくはエアロゾル形成基質1の周辺領域に配列しうる一方、第一のサセプタ材料11は優先的にエアロゾル形成基質1の中央領域に配列しうる。適切と見なされる場合、エアロゾル形成基質の第一および第二のサセプタ材料11、12は逆にすることもでき、こうして第一のサセプタ材料11が周辺領域に配列され、第二のサセプタ材料12が例えばエアロゾル形成基質1の中央部分に配列されうるということにも注目すべきである。本発明によるエアロゾル形成基質1は、特定の要件に従って、そのカスタマイズされた組成を許容する。エアロゾル形成基質1の過熱は、第一および第二のサセプタ材料11、12の最大加熱温度を画定するようにより高い第二のキュリー温度を持つ、第二のサセプタ材料12の選択によって防止しうる。第二のサセプタ材料12がその第二のキュリー温度に達した時、その磁性は強磁性から常磁性に変化する。その結果、第二のサセプタ材料12のヒステリシス損失が消滅する。エアロゾル形成基質1の誘導加熱中、この相変化はオンラインで検出することができ、加熱を自動的に停止することもできる。こうして、エアロゾル形成基質1の過熱が回避されうる。誘導加熱が止まった後、第二のサセプタ材料12はその第二のキュリー温度よりも低い温度に達するまで冷め、その温度でその強磁性属性を回復し、そのヒステリシス損失が再び現れる。この相変化は、オンラインで検出することができ、誘導加熱が再び有効化されうる。こうして、エアロゾル形成基質1の誘導加熱は、誘導加熱装置の有効化および無効化の繰り返しに対応する。第一のサセプタ材料11は、その第一のキュリー温度が第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度よりも既に低いため、この過熱防止についてのさらなる懸念とはならない。
【0030】
第一および第二のサセプタ材料11、12は、熱損失について、従って加熱の効率について最適化されうる。こうして、第一および第二のサセプタ材料11、12は、所定の強度の交流電磁場により発生した表面渦電流を最適化するために、低い磁気抵抗と、それに対応して高い相対浸透性とを持つべきである。第一および第二のサセプタ材料11、12はまた、ジュール熱放散を、従って熱損失を増やすために、比較的低い電気抵抗率を持つべきである。
【0031】
第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度は、誘導加熱される際にエアロゾル形成基質1の全体的な平均温度が240℃を超えないように選択されうる。ここで、エアロゾル形成基質1の全体的な平均温度は、エアロゾル形成基質の中央部分および周辺部分での多数の温度測定値の算術平均として定義される。エアロゾル形成基質1の別の実施形態で、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10を含むエアロゾル形成基質1の局所的な過熱を回避するために、第二のサセプタ材料12の第二のキュリー温度は370℃を超えないように選択されうる。
【0032】
図2の模範的実施形態について上述したエアロゾル形成基質1の基本的組成は、これ以降に説明するエアロゾル形成基質1のさらなる実施形態のすべてで共通である。
【0033】
図2に示す通り、エアロゾル形成基質1は第一および第二のサセプタ材料11、12を含み、どちらも粒子の構成としうる。第一および第二のサセプタ材料11、12は等価球体直径10 μm〜100 μmを持ち、またエアロゾル形成基質全体に分布されることが好ましい。等価球体直径は不規則な形状の粒子と組み合わせて用いられ、等価体積の球の直径として定義される。選択したサイズで、粒子の第一および第二のサセプタ材料11、12は、必要に応じてエアロゾル形成基質1全体に分布してもよく、またエアロゾル形成基質1内に確実に保持されてもよい。粒子のサセプタ材料11、12は、
図2によるエアロゾル形成基質1の模範的実施形態に示す通り、固体材料10全体にほぼ均一に分布されうる。
【0034】
図3は一般的に参照番号1で示されているエアロゾル形成基質1の別の実施形態を示す。エアロゾル形成基質1は一般的な円筒の形状であり、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。エアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質1の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一および第二のサセプタ材料11、12とを含む。第一および第二のサセプタ材料11、12はどちらもまた粒子の構成とすることができ、等価球体直径10 μm〜100 μmを持つことが好ましい。粒子の第一および第二のサセプタ材料11、12は、例えばエアロゾル形成基質1の中央軸からその周辺への分布の勾配を持たせてもよく、または
図3に示す通り、粒子の第一のサセプタ材料11はエアロゾル形成基質1の中央に沿って集中させ、一方で粒子の第二のサセプタ材料12はエアロゾル形成基質1の周辺領域に局所的な集中度のピークを持たせて、またはその逆に分布させてもよい。
【0035】
図4はエアロゾル形成基質のさらなる実施形態を示し、これも参照番号1である。エアロゾル形成基質1は一般的な円筒の形状であり、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。エアロゾル形成基質1は、エアロゾル形成基質1の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一および第二のサセプタ材料11、12とを含む。第一のサセプタ材料11はフィラメントの構成としうる。フィラメントの構成の第一のサセプタ材料は、異なる長さおよび直径を持つことができ、固体材料全体に分布させてもよい。
図4に模範的に示す通り、フィラメントの構成の第一のサセプタ材料11は、ワイヤー様の形状でもよく、またエアロゾル形成基質1の長軸方向の延長部分を通してほぼ軸方向に延長しうる。第二のサセプタ材料12は粒子の構成とすることができ、固体材料10全体に局所的集中度ピークを持たせて分布させうる。別の方法として、第二のサセプタ材料はまた、固体材料10全体に均一に分布しうる。しかし注目すべきことは、必要となる場合には、第一および第二のサセプタ材料11、12の幾何学構成は置き換えうることである。こうして、第二のサセプタ材料12はフィラメントの構成でもよく、また第一のサセプタ材料11は粒子の構成でもよい。
【0036】
図5はエアロゾル形成基質のなおも別の模範的な実施形態を示し、これも一般に参照番号1で示される。エアロゾル形成基質1はここでも一般的な円筒の形状であり、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。エアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質1の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一および第二のサセプタ材料11、12とを含む。第一のサセプタ材料11は、エアロゾル形成基質1の内側に配列されうるメッシュ様の構成とすることができ、また別の方法として、少なくとも部分的に固体材料10の枠を形成することもできる。「メッシュ様の構成」という用語には、それを通じて不連続性を有する層を含む。例えば層はスクリーン、メッシュ、格子または穿孔のある箔としうる。第二のサセプタ材料12は粒子の構成とすることができ、固体材料10全体に分布させうる。ここでも注目すべきことに、必要となる場合には、第一および第二のサセプタ材料11、12の幾何学構成は置き換えうる。こうして、第二のサセプタ材料12はメッシュ様の構成でもよく、また第一のサセプタ材料11は粒子の構成でもよい。
【0037】
図6はエアロゾル形成基質のなおも別の模範的な実施形態を示し、これも一般に参照番号1で示される。エアロゾル形成基質1はここでも一般的な円筒の形状であり、管状ケーシング15(例えば、オーバーラップなど)によって囲まれうる。エアロゾル形成基質は、エアロゾル形成基質1の加熱に伴いエアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する固体材料10と、少なくとも第一および第二のサセプタ材料11、12とを含む。第一および第二のサセプタ材料11、12はメッシュ様構造実体を形成するように組み立てられてもよい。メッシュ様構造実体は例えばエアロゾル形成基質1内で軸方向に延びうる。別の方法として、第一および第二のサセプタ材料11、12のメッシュ様構造実体は少なくとも部分的に固体材料10用の枠を形成しうる。「メッシュ様構造」という用語は、第一および第二のサセプタ材料から組み立てることができ、かつスクリーン、メッシュ、格子または穿孔のある箔を含めて、それを通じた不連続性を有するすべての構造を示す。メッシュ様構造実体は、第一のサセプタ材料11の水平に延びるフィラメントと、第二のサセプタ材料12の垂直に延びるフィラメントとで構成、またはその逆で構成しうる。
【0038】
本発明の異なる実施形態について添付図面を参照しながら記述してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。種々の変更および改変が本発明の全体的教示から逸脱しない範囲で想定される。従って、保護の範囲は添付の請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】