【実施例】
【0143】
本発明の化合物は、以下に記載の方法、ならびに、化学業界でよく知られている工程に類似した工程を含む合成経路、または当業者によく知られている修飾および変換によって、特に、本明細書に含まれている記述を踏まえて、合成することができる。出発原料は、一般に、Aldrich Chemicals(ウィスコンシン州ミルウォーキー)などの市販品供給元から入手可能であり、または当業者によく知られている方法を使用して容易に調製される(たとえば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、1〜19巻、Wiley、ニューヨーク(1967〜1999年版)、または付録を含めたBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、第4版、Springer−Verlag、ベルリン(Beilsteinオンラインデータベースからも入手可能)に一般に記載されている方法によって調製される)。本明細書で使用する化合物の多くは、科学的関心および商業的ニーズが大きい化合物に関連または由来しており、したがって、多くのそうした化合物は、市販品として入手可能であり、または文献に報告されており、または一般に入手可能な他の物質から、文献に報告されている方法によって容易に調製される。
【0144】
以下の合成順序のいずれかの際に、問題の分子のいずれかに付いている高感度または反応性の基を保護することが必要および/または望ましい場合もある。これは、参照により本明細書に援用される、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1981;T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1991;ならびにT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Chemistry、John Wiley&Sons、1999に記載のものなどの、従来の保護基によって実現することができる。
【0145】
式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩は、本明細書で論じる反応実施例に従って調製することができる。生成物の単離および精製は、通常の化学者に知られている標準手順によって実現される。当業者には、合成変換のすべてが、材料が鏡像異性体富化されていようと、ラセミ体であろうと、全く同様にして実施できることは言うまでもない。さらに、所望の光学活性材料への分割は、順序の中の所望のいずれかの時点において、本明細書および化学文献に記載のものなどの、よく知られている方法を使用して行うことができる。
【0146】
以下に、本文書で使用する化学物質、溶媒、および試薬の略語を示す。
「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DCE」は、ジクロロエタンを指し、「DMF」は、ジメチルホルムアミドを指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指し、「EtOH」は、エタノールを指し、「MeOH」は、メタノールを指し、「MeCN」は、アセトニトリルを指し、「CH
2Cl
2」は、塩化メチレンを指し、「DCM」は、塩化メチレン(ジクロロメタン)を指し、「NMP」は、N−メチル−2−ピロリドンを指し、「PE」は、石油エーテルを指し、「MTBE」は、メチルtert−ブチルエーテルを指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「KOAc」は、酢酸カリウムを指し、「KHMDS」は、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドを指し、「LiHMDS」は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドを指し、「MeI」は、ヨウ化メチルを指し、「NaOtBu」は、ナトリウムtert−ブトキシドを指し、「PtO
2」は、酸化白金を指し、「Pd(dppf)Cl
2」は、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1:1)を指し、「tert−BuLi」は、tert−ブチルリチウムを指し、「TsOH・H2O」は、p−トルエンスルホン酸一水和物を指し、「TMSCl」は、塩化トリメチルシリルを指し、「BSA」は、ウシ血清アルブミンを指し、「aq.」は、水性を指す。
【0147】
以下の略語には、単位が含まれる。用語「室温」および/または「r.t.」は、18℃〜25℃の間の温度を指し、「℃」は、セルシウス度を指し、「nm」は、ナノメートルを指し、「mm」は、ミリメートルを指し、「μm」は、マイクロメートルを指し、「pM」は、ピコモル濃度を指し、「μM」は、マイクロモル濃度を指し、「mM」は、ミリモル濃度を指し、「M」は、モル濃度を指し、「mmol」は、ミリモルを指し、「μg」は、マイクログラムを指し、「mg」は、ミリグラムを指し、「g」は、グラムを指し、「μL」は、マイクロリットルを指し、「mL」は、ミリリットルを指し、「Psi」は、重量ポンド毎平方インチを指し、「h」は、時間を指し、「min.」は、分を指し、「w/v」は、質量濃度(質量/体積)を指す。
【0148】
以下の略語は、分光法に対処する。「NMR」は、核磁気共鳴分光法を指し、「CDCl
3」は、重水素化クロロホルムを指し、「MHz」は、メガヘルツを指し、「s」は、一重線を指し、「d」は、二重線を指し、「t」は、三重線を指し、「q」は、四重線を指し、「dd」は、二重線の二重線を指し、「ddd」は、二重線の二重線の二重線を指し、「td」は、二重線の三重線を指し、「dt」は、三重線の二重線を指し、「br.s.」は、ブロード一重線を指し、「m」は、多重線を指し、「H」は、プロトンを指し、「MS」は、質量分析を指し、「ES」」は、電子散乱を指し、「AP」は、大気圧を指し、「SFC」は、超臨界クロマトグラフィーを指し、「CO
2」は、二酸化炭素を指し、「HPLC」は、高圧液体クロマトグラフィーを指し、「MPLC」は、中圧液体クロマトグラフィーを指し、「TLC」は、薄層クロマトグラフィーを指し、「ORTEP」は、オークリッジ熱楕円体プロットを指す。
【0149】
他の略語として、以下のものが挙げられる。「K
d」は、解離定数を指し、「K
i」は、酵素阻害定数を指し、「IC
50」は、半最大阻害濃度を指す。「SPA」は、シンチレーション近接アッセイを指す。「WGA」は、小麦胚芽凝集素を指す。「PVT」は、ポリビニルトルエンを指す。
【0150】
実験は、一般には空気中で、または、特に、酸素もしくは水分に敏感な試薬もしくは中間体を用いた場合では、不活性雰囲気(窒素もしくはアルゴン)中で実施した。真空中での濃縮とは、ロータリーエバポレーターを使用したことを意味する。別段指摘しない限り、化学反応は、室温(18〜25℃)で実施された。
【0151】
市販の溶媒および試薬は、一般に、適切な場合では無水溶媒を含めて、それ以上精製せずに使用した(一般に、Aldrich Chemical Company(ウィスコンシン州ミルウォーキー)のSure−Seal(商標)製品)。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および/またはガスクロマトグラフィー−質量分析(GCMS)分析を使用してモニターした。生成物は、一般に、真空中で乾燥させた後、さらなる反応に進め、または生物学的試験にかけた。プロトン核磁気分光法(
1H NMR)は、400、500、または600MHzの分光計で記録した。化学シフトは、用いた重水素化溶媒からの残留ピークを基準とした百万分率(ppm、δ)で示す。ピーク形状は、次のように表示する:s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、br.s:ブロード一重線、br.m:ブロード多重線。質量分析(MS)データは、大気圧化学イオン化(APCI)または電子散乱(ES)イオン化源による液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)またはガスクロマトグラフィー−質量分析(GCMS)計測のいずれかから報告する。シリカゲルクロマトグラフィーは、種々の市販品購入先で予め充填されたカラムを使用して、主として中圧系を使用して実施した。微量分析は、Quantitative Technologies Inc.が実施し、計算値の0.4%以内であった。
【0152】
用語「濃縮」および「蒸発」とは、浴温度を60℃未満としたロータリーエバポレーターにおいて減圧下で溶媒を除去することを指す。別段指摘しない限り、パーセントは、組成物の成分および合計重量だとすると、重量パーセントであり、温度は、℃であり、または周囲温度であり、圧力は、大気圧またはその前後である。室温または周囲温度とは、18〜25℃を指す。
【0153】
以下で述べる化合物および中間体は、ChemBioDraw Ultra、Version 12.0(CambridgeSoft Corp.、マサチューセッツ州ケンブリッジ)に備えられた命名規則を使用して命名した。ChemBioDraw Ultra、Version 12.0に備えられた命名規則は、当業者によく知られており、ChemBioDraw Ultra、Version 12.0に備えられた命名規則は、Nomenclature of Organic ChemistryおよびCAS Index規定に関するIUPAC(国際純正・応用化学連合)勧告と一般に適合すると考えられている。
【0154】
他の実施例または方法における手順を参考とする合成について、反応条件(反応の長さおよび温度)は、様々となりうる。精製は、実験によって様々となる場合があり、一般に、溶離液/勾配に使用する溶媒および溶媒比は、適切なRfまたは保持時間が得られるように選択した。
【0155】
中間体
(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0156】
【化17】
ステップ1:2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパンニトリル
【0157】
【化18】
3−ブロモ−6−クロロ−2−メトキシピリジン(99.9g、449mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(2.76g、3.38mmol)、およびNaOtBu(105g、1090mmol)のジオキサン(805mL)懸濁液に、窒素中でシアノ酢酸tert−ブチル(64.8mL、454mmol)を加えた。反応混合物は、内部反応温度を75℃に保ちながら、窒素中で235分間加熱した。20℃に冷却した後、反応混合物にMeI(55.9mL、898mmol)を1回で加え、得られる混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物にCelite(登録商標)(24g)を加え、得られる混合物を、370gのシリカ栓で濾過した。栓をEtOAc/ヘプタン(1/3、2.0L)で溶離し、合わせた濾液を濃縮した。粗残留物(133.9g)をDMSO(330mL)および水(67mL)に溶かした溶液を、130℃で15.8時間加熱した。反応混合物をCelite(登録商標)栓で濾過し、濾過ケークをMTBEおよび水ですすいだ。濾液を再びCelite(登録商標)栓で濾過し、濾過ケークをMTBEおよび水で洗浄した。濾液をMTBE(合計体積=2.0L)と水(合計体積=1.0L)とブライン(100mL)とに分配した。層を分離し、有機層を水(1.0L)およびブライン(750mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、粗製2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパンニトリル(87.6g、99%)を濃褐色の油状物として得、これをそれ以上精製せずに次のステップに使用した。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 1.58 (d, 3H), 4.01 (s, 3H), 4.11 (q, 1H), 6.97 (d, 1H), 7.66 (d,
1H). MS (ES+)(M+H) 197.
【0158】
ステップ2:(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
窒素中にある、粗製2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパンニトリル(25.9g、132mmol)およびtert−ブチル2,2−ジオキソオキサチアジナン−3−カルボキシレート(45.8g、193mmol)のTHF(440mL)溶液を、氷/水浴で10分間冷却した。この溶液に、内部反応温度を20℃以下に保ちながら、KHMDSのTHF溶液(1.0M、255mL、260mmol)を25分かけて加えた。撹拌を15分間続けた後、冷浴がまだ存在した状態で、濃HCl水溶液(91mL)を1回で慎重に加え、得られる混合物を10分間撹拌した。次いで、反応混合物を2.3時間加熱還流した。氷/水浴での冷却を開始し、内部温度が24℃に達したとき、アンモニアの飽和水溶液(70mL)を少量ずつ加えて反応を失活させた。減圧下で揮発性成分を除去し、残留物をEtOAc(1.0L)と5%(w/v)炭酸ナトリウム水溶液(600mL)とに分配した。水層をEtOAc(500mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗残留物を濃赤褐色の油状物(33.84g)として得た。残留物(33.3g)のMeOH(310mL)溶液に、4.5M KOH水溶液を加えた。次いで、反応液を8.5時間加熱還流した。この時点で、蒸留ヘッドを付けて、加熱を2.2時間続けて、合計約175mLの留出物を集めた。次いで、還流をさらに1.5時間再開し、その後室温に冷却し、減圧下で濃縮して、その低沸点成分を除去した。得られる懸濁液にリン酸(85%、24mL)を加え、十分に混合した後、吸引濾過によって固体を集めた。この材料を少量ずつの水で数回洗浄し、MeCNから蒸発させることにより共沸乾燥して、粗製3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オンを黄褐色の固体(15.3g、46%)として得、純度約90%であった。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 1.58-1.64 (m, 1 H), 1.66 (s, 3 H), 1.76-1.82 (m, 1 H), 1.92-2.01
(m, 1H), 2.26 (td, 1 H), 3.35-3.42 (m, 1 H), 3.47 (td, 1 H), 3.97 (s, 3 H),
5.91 (br. s., 1 H), 6.91 (d, 1 H), 7.53 (d, 1 H).
【0159】
3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オンの2つの鏡像異性体を、キラル分取SFCによって分離した。
【0160】
ピーク1
5.679分の分析キラルSFC保持時間(方法:カラム:Phenomenex Lux Amylose−2、4.6mm×250mm、5μm;移動相A:CO
2、移動相B:メタノール+0.2%アンモニア;勾配:95%のAで1.5分間保持、次いで9分かけて95%Aから40%Aへの線形勾配、40%のAで1.0分間保持、次いで95%のAで1.0分間カラムを平衡化。流量:3mL/分、背圧120バール、カラム温度:40℃、UV検出210nm)。
【0161】
分取条件は次のとおり:カラム:Phenomenex Lux Amylose−2 21.2mm×500mm、5μm;定組成移動相:80%のCO
2:20%のメタノール+0.2%アンモニア、背圧:120バール、流量:80mL/分、系内温度40℃、UV検出210nm。
【0162】
この鏡像異性体の絶対立体配置は、X線結晶学によって割り当てた。X線結晶学に使用した結晶は、次の蒸気拡散手順を使用して、DCE/ヘプタンから取得した。1ドラムのバイアルに、20mgの6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(ピーク1)を装入し、この材料を最小限のジクロロエタン(約400μL)に溶解させて、均質な溶液を得た。この開いた1ドラムバイアルを、装入量のヘプタン(約3mL)を含有する20mLのシンチレーションバイアルの内部に入れた。外側のバイアルを密閉し、5日間にわたって蒸気拡散を起こさせた。内側のバイアルからスパチュラで単結晶を取り出し、ヘプタンですすぎ、X線結晶学によって分析した。
図1は、(S)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オンのORTEP図である。(S)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オンの単結晶X線分析:データ収集は、Bruker APEX回折計において室温で行った。
【0163】
構造は、空間群P2
1においてSHELXソフトウェア一式を使用する直接法によって解明した。引き続いて、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。異方性変位パラメータを使用して、すべての非水素原子を見出し、精密化した。非対称単位に5つの分子を有する構造が、半分を占める不規則な溶媒和物と共に解明された。すべての水素原子を計算された位置に置き、その担体原子上に乗せた。最終精密化には、すべての水素原子についての等方性変位パラメータを含めた。尤度法を使用する絶対構造の分析(R.W.W.Hooftら、J.Appl.Cryst.(2008)、41、96〜103)は、PLATONを使用して行った(A.L.Spek、J.Appl.Cryst.(2003)、36、7〜13)。最終R指数は、5.5%であった。最終差フーリエによって、半分を占める溶媒和物の近くの通常より高いいくつかの残余を除いて、見つかっていないまたは置き違えられた電子密度は存在しないことが明らかになった。(S)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オンの該当する結晶、データ収集、および精密化を、表1に要約し、
図1に図示する。
【0164】
【表1】
【0165】
ピーク2
(S)鏡像異性体として割り当てられたピーク1のX線分析に基づき、ピーク2を(R)鏡像異性体として割り当てた。分析SFC保持時間6.478分(上記ピーク1と同じ分取および分析方法)。
1H NMR (600MHz,
CDCl
3)
δ 1.61-1.63 (m, 1H), 1.67 (s, 3H), 1.77-1.83 (m, 1H),
1.95-2.01 (m, 1H), 2.26 (td, 1H), 3.39-3.41 (m, 1H), 3.48 (td, 1H), 3.88 (s,
3H), 6.06 (brs, 1H), 6.92 (d, 1H), 7.54 (d, 1H). MS (AP+)(M+H) 255.
【0166】
3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オンの代替合成
ステップ1:メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート
【0167】
【化19】
2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパンニトリル(1850g、9439mmol)をMeOH(20L)に溶かした撹拌した溶液に、室温でMeOH/HCl(約2M)を加えた。加えた後、得られる混合物を還流下で12時間加熱した。反応混合物を蒸発にかけてMeOHの大部分を除去し、残留物をH
2O(6L)で希釈し、固体NaHCO
3でpH=9〜10に塩基性化した。水層をCH
2Cl
2(15L)で抽出した。有機層を水(10L)およびブライン(10L)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮乾燥した。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=100:0〜80:20)によって精製して、メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート(1450g、67%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 1.44 (d, 3H), 3.67 (s, 3H), 3.91 (q, 1H), 3.95 (s, 3H), 6.89 (d,
1H), 7.45 (d, 1H).
【0168】
ステップ2:メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−4−シアノ−2−メチルブタノエート
【0169】
【化20】
この反応は、22バッチで実施した。
【0170】
メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート(100g、435mmol)のTHF(1.5L)溶液に、−60℃でLiHMDS(609mL、609mmol)を60分間かけて滴加し、その間反応温度は−50℃未満に保った。加えた後、反応混合物を−50℃未満で30分間撹拌した。次いで、上記溶液に、−50℃未満で3−ブロモプロパンニトリル(92g、697mmol)のTHF(0.4L)溶液を90分間かけて滴加した。得られる混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を25℃未満の飽和NH
4Cl水溶液(500mL)で失活させた。22バッチを合わせて一緒に後処理した。混合物をH
2O(15L)で希釈し、EtOAc(15L)で抽出した。合わせた有機層を水(15L)およびブライン(15L)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮乾燥した。粗残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/EtOAc=100:0〜80:20)によって精製して、メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−4−シアノ−2−メチルブタノエート(1100g、41%)を無色の油状物として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 1.56 (s, 3H), 2.16-2.33 (m, 3H), 2.35-2.47 (m, 1H), 3.65 (s, 3H),
3.93 (s, 3H), 6.96 (d, 1H), 7.44 (d, 1H).
【0171】
ステップ3:3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
この反応は、12バッチで実施した。
【0172】
メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−4−シアノ−2−メチルブタノエート(110g、390mmol)および濃HCl(60mL)をMeOH(1L)に溶かした撹拌した溶液に、N
2中でPtO
2(11g)を加えた。懸濁液を脱気し、数回H
2を補充した。次いで、得られる混合物を、50PsiのH
2中にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、合わせた濾液を蒸発乾燥した。MeOH(12L)中の上記残留物に、室温で固体K
2CO
3(2158g、15.6mol)を加えた。反応混合物を還流下で16時間加熱した。反応混合物を濾過し、濾過ケークをMeOH(5L)で洗浄した。合わせた濾液を蒸発乾燥し、粗残留物をCH
2Cl
2(10L)と水(5L)とに分配した。水層をCH
2Cl
2(5L)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5L)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮乾燥した。粗残留物をMTBEで摩砕して、3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(770g、64%)を白色の固体として得た。
1H NMRは、他方の合成経路において記載したデータと一致した。
【0173】
(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
【0174】
【化21】
ステップ1:エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシプロパノエート
【0175】
【化22】
反応は、4バッチで並行して実施し、一緒に後処理した。
【0176】
2−クロロ−6−メトキシピリジン(100g、696mmol)の無水THF(1.0L)溶液に、−68℃でtert−BuLiのペンタン溶液(1.3M、640mL、836mmol)を滴加した。反応混合物をこの温度で30分間撹拌した。反応混合物に、−60℃未満でグリオキサル酸エチル(109g、940mmol)のTHF(400mL)溶液を1.5時間かけて滴加し、得られる混合物をこの温度で1時間撹拌した。反応混合物を氷水(10L)中に注ぎ、EtOAc(10L)で抽出し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→石油エーテル:EtOAc=5:1)によって精製して、エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシプロパノエート(360g、50%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 1.20 (t, 3H), 1.75 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 4.20 (q, 2H), 6.95 (d,
1H), 7.67 (d, 1H).
【0177】
ステップ2:エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)アクリレート
【0178】
【化23】
反応は、2バッチで並行して実施し、一緒に後処理した。
【0179】
エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−2−ヒドロキシプロパノエート(220g、847mmol)およびTsOH・H
2O(80.5g、423mmol)を無水トルエン(1.5L)に混ぜた混合物を、Dean−Starkトラップを用いて還流下で5時間共沸加熱した。反応溶液すべてを合わせて一緒に後処理した。冷却した後、合わせた反応混合物を10%Na
2CO
3水溶液で洗浄し、水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)アクリレート(368g 90%)を黒色の油状物として得、これをそれ以上精製せずに次のステップに使用した。
【0180】
ステップ3:エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート
【0181】
【化24】
粗製エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)アクリレート(203g、0.84mol)のMeOH(2L)溶液に、0℃でNaBH
4(63.8g、1.68mol)を少量ずつ加えた。加えた後、反応混合物を2時間かけて室温に温めた。減圧下で反応溶媒を除去した。残留物を水で処理し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル→石油エーテル:EtOAc=10:1)によって精製して、エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート(126.5g 62%)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ 1.21 (t, 3H), 1.44 (d, 3H), 3.88 (q, 1H), 3.95 (s, 3H), 4.13 (q,
2H), 6.89 (d, 1H), 7.46 (d, 1H).
【0182】
ステップ4:エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−シアノ−2−メチルプロパノエート
【0183】
【化25】
次の反応は、2回繰り返し、合わせて以下の収率を得た。粗製エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート(69g、0.28mol)を無水THF(1.0L)に溶かした−78℃の溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド/THF(1.0M、400mL、0.40mol)を滴加し、40分間撹拌した。次いで、2−ブロモアセトニトリル(54.5g、0.45mol)のTHF(70mL)溶液を、−70℃で1時間かけて滴加した。次いで、反応液を室温に温め、終夜撹拌した。飽和NH
4Cl水溶液で反応を失活させ、EtOAcで抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2〜8%のEtOAc/PE)によって精製すると、エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−シアノ−2−メチルプロパノエート(100g、62%)が油状物として得られ、これを数日かけて凝固させた。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 1.19 (t, 3H), 1.76 (s, 3H), 3.13 (q, 2H), 3.96 (s, 3H), 4.14-4.24
(m, 2H), 7.02 (d, 1H), 7.60 (d, 1H).
【0184】
ステップ5:(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
次の反応は、2回繰り返しており、合わせた収率を以下に示す。エチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−シアノ−2−メチルプロパノエート(47g、0.17mol)および酸化白金(6g)をMeOH(900mL)および濃塩酸(25mL)に混ぜた混合物を、水素中(50psi)にて室温で48時間水素化した。触媒を濾別し、濾液を濃縮した。2つのバッチからの粗残留物を合わせ、それ以上精製せずに次の反応に使用した。
【0185】
上記粗残留物(100g、0.33mmol)および炭酸カリウム(70g、0.51mol)をMeOH(1.6L)に混ぜた混合物を、20時間還流させた。固体を濾別し、MeOHで洗浄した。濾液を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(20〜50%のEtOAc/PE)によって精製すると、3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン(45g、56%)が固体として得られた。ラセミ体を分取SFCによって分離した。
【0186】
ピーク1:(S)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
5.392分の分析キラルSFC保持時間(方法:カラム:Phenomenex Lux Amylose−2、4.6mm×250mm、5μm;移動相A:CO
2、移動相B:メタノール、勾配:95%のAで1.5分間保持、次いで9分かけて95%のAから40%のAへの線形勾配、40%のAで1.0分間保持、次いで95%のAで1.0分間カラムを平衡化。流量:3mL/分、背圧120バール、カラム温度:40℃、UV検出210nm)。
【0187】
分取条件は次のとおり:カラム:Phenomenex Lux Amylose−2 21.2mm×500mm、5μm;定組成移動相:80%のCO
2:20%のメタノール、背圧:120バール、流量:80mL/分、系内温度40℃、UV検出210nm。
【0188】
(R)鏡像異性体として割り当てられたピーク2を使用している、実施例6ステップ1におけるX線分析に基づき、ピーク1を(S)鏡像異性体として割り当てた。
【0189】
ピーク2:(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
キラルSFC保持時間5.94分(上記ピーク1と同じ方法)。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜2%のMeOH/DCM)によってさらに精製すると、不純物を含有する5.2gの(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オンが得られた。不純な材料(15.7g)を分取HPLC保持時間:2.597分(方法:カラム:Luna(2) C18 150mm×21.2mm、5μm、移動相A:0.1%の水中ギ酸、移動相B:0.1%のメタノール中ギ酸、流量:27.0mL/分、勾配:0〜1.5分は初期条件:A−95%、B−5%を保持;1.5〜10分はB−100%へと傾斜;10〜11分は保持;11〜12.5分は初期条件:A−95%、B−5%に戻す)によってさらに精製した。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ : 1.56 (s, 3H), 2.07 (ddd, 1H), 2.58 (ddd, 1H), 3.37 (td, 1H),
3.39-3.45 (m, 1H), 3.97 (s, 3H), 5.88 (br. s., 1H), 6.89 (d, 1H), 7.61 (d, 1H);
MS (ES+)(M+H) 241.ピーク2を使用して実施例6を合成し、X線結晶学分析によって絶対立体配置を確認した(実施例6ステップ1)。
【0190】
代替経路:3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
ステップ1:メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート
【0191】
【化26】
乾燥したフラスコに、3−ブロモ−6−クロロ−2−メトキシピリジン(9.7g、43.7mmol)、パラジウム(0)ビス(ジベンジリデンアセトン)(1.3g、2.2mmol)、およびフッ化亜鉛(3.4g、32.7mmol)を加えた。混合物を窒素で脱気した。次いで、脱気した混合物に、トリ−tert−ブチルホスフィン/トルエン(1.0M、4.4mL、4.4mmol)のDMF(146mL)溶液を加えた。撹拌した後、(E)−(1−メトキシプロパ−1−エニルオキシ)トリメチルシラン(15.2mL、65mmol)を加え、反応液を85℃で18時間加熱した。混合物をMTBEとブラインとに分配した。水層をMTBEで抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(330g RediSep Gold カラム、30〜65%のDCM/ヘプタン)によって精製すると、メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート(6.4g、64%)が得られた。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ:
1.44 (d, 3H), 3.67 (s, 3H), 3.91 (q, 1H), 3.95 (s, 3H),
6.89 (d, 1H), 7.45 (d, 1H).
【0192】
ステップ2:メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−シアノ−2−メチルプロパノエート
【0193】
【化27】
−78℃のリチウムビス(トリメチルシリル)アミド/トルエン(1.0M、13.1mL、13.1mmol)およびTHF(18mL)を含有する乾燥したフラスコにおいて、メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)プロパノエート(2.39g、10.4mmol)を12分かけてシリンジで滴加すると、鮮黄色の溶液となった。40分後、得られる溶液を、2−ブロモアセトニトリル(1.38mL、20.8mmol)のTHF(18mL)溶液を含有する乾燥したフラスコに、0℃で15分かけて滴加すると、無色から、黄色〜濃赤褐色へと色が変化した。引き続いて、THF(2×1.5mL)でのすすぎを、カニューレから行った。50分後、飽和塩化アンモニウム水溶液(18mL)で反応を失活させた。混合物をヘプタン(反応体積の4倍)で希釈した。水層を1:1のEtOAc/ヘプタン(200mL)で2回抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(220g RediSep Goldカラム、5〜18%のEtOAc/ヘプタン)で精製すると、メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−シアノ−2−メチルプロパノエート(2.35g、84%)が白色の固体として得られた。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ:
1.74 (s, 3H), 3.07 (d, 1H), 3.14 (d, 1H), 3.67 (s, 3H),
3.95 (s, 3H), 7.00 (d, 1H), 7.57 (d, 1H); MS (AP+)(M+H) 269.
【0194】
ステップ3:3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
【0195】
【化28】
Parrボトルに、メチル2−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−シアノ−2−メチルプロパノエート(2.35g、8.73mmol)を7MアンモニアMeOH溶液に溶かした溶液およびRaneyニッケル(5.82g、67.9mmol、水で2回、MeOHで4回洗浄したもの)を7MアンモニアMeOH溶液(両方の試薬に加えるのに合計99mL、690mmol)にスラリー化したスラリーを装入した。反応液を水素(30psi)と共に6時間振盪した。触媒を窒素中にてEtOHですすぎながらCelite(登録商標)パッドで濾過した。次いで濾液を濃縮して、淡緑色の油状物/泡沫を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(80g RediSep Goldカラム、30〜100%の酢酸エチル/ヘプタン)によって精製すると、3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン(1.9g、90%)が白色の固体として得られた。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ:
1.56 (s, 3H), 2.08 (ddd, 1H), 2.58 (dt, 1H), 3.37 (td,
1H), 3.40-3.46 (m, 1H), 3.97 (s, 3H), 5.86 (br. s., 1H), 6.89 (d, 1H), 7.61 (d,
1H); MS (ES+)(M+H) 241.
【0196】
6−ブロモ−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール
【0197】
【化29】
ステップ1:6−ブロモ−4−フルオロ−1H−インダゾール
【0198】
【化30】
4−ブロモ−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド(50g、226mmol)およびN
2H
4−H
2O(100mL)を1,4−ジオキサン(100mL)に混ぜた混合物を95℃に加熱し、この温度で1.5時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を氷水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮して、6−ブロモ−4−フルオロ−1H−インダゾール(35g、163mmol、71%)を黄色の固体として得、これをそれ以上精製せずに次のステップに使用した。
【0199】
ステップ2:6−ブロモ−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール
6−ブロモ−4−フルオロ−1H−インダゾール(1000g、4.65mol)のDMSO(5.0L)溶液に、K
2CO
3(900g、6.51mol)を加えた後、ヨウ化エチル(900g、5.77mol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷水中に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜10%のヘキサン中EtOAc)によって精製して、6−ブロモ−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール(595g、2.45mol、52%)を黄色の油状物として、6−ブロモ−2−エチル−4−フルオロ−2H−インダゾール(278g、1.14mol、収率17%)を橙色の固体として得た。
1H NMR (600MHz,
CDCl
3)
δ 1.52 (t, 3H), 4.39 (q, 2H), 6.95 (dd, 1H), 7.40 (s, 1H),
8.02 (s, 1H). MS (ES+)(M+H) 243.
【0200】
6−ブロモ−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾールの代替合成
4−ブロモ−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド(1000mg、4.5mmol)のNMP(10mL)溶液に、エチルヒドラジンオキサレート(747mg、5.0mmol)を加えた。反応混合物を室温で72時間撹拌した。反応混合物を還流下で15時間加熱した。室温で冷却した後、反応混合物をヘプタンと水とに分配した。水層をヘプタンで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜20%のヘプタン中EtOAc)によって精製して、6−ブロモ−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾールを淡黄色の油状物(902mg、84%)として得た。
【0201】
6−ブロモ−4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール
【0202】
【化31】
6−ブロモ−4−クロロ−1H−インダゾール(4.0g、17.4mmol)、水酸化セシウム一水和物(23.3g、139mmol)、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(1.36g、3.99mmol)を無水THF(80mL)に混ぜた混合物に、ヨウ化メチル(9.86g、69.4mmol)のTHF(10mL)溶液を室温で滴加した。反応混合物を室温で15分間撹拌した。反応混合物に水を加え、水層をEtOAcで抽出した。有機層を濃縮し、粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてEtOAc/ヘプタン 0〜100%の勾配)によって精製して、6−ブロモ−4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール(2.65g、62%)を得た。
1H NMR (600MHz, メタノール-d
4) δ 4.05 (s, 3H), 7.32 (d,
1H), 7.79 (s, 1H), 8.03 (s, 1H).
【0203】
6−ブロモ−1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール
【0204】
【化32】
6−ブロモ−4−メチル−1H−インダゾール(1000mg、4.7mmol)のTHF(15mL)溶液に、水酸化ナトリウム(474mg、11.8mmol)およびテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(80.5mg、0.24mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いでヨウ化エチル(887mg、5.7mmol)を滴下して処理した。得られる混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜100%のヘプタン中EtOAc)によって精製して、6−ブロモ−1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール(476mg、42%)を得た。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ
1.51 (t, 3H), 2.57 (s, 3H), 4.38 (q, 2H), 7.04-7.06 (m, 1H),
7.43 (s, 1H), 7.97 (d, 1H). MS (AP+)(M+H) 239.
【0205】
(実施例1)
(R)−6−(1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール−6−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(6−(1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0206】
【化33】
ステップ1:(R)−3−(6−(1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0207】
【化34】
オーブン乾燥したバイアルに、6−ブロモ−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール(900mg、3.7mmol)、5,5,5’,5’−テトラメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボリナン)(1000mg、4.4mmol)、オーブン乾燥したKOAc(1450mg、14.8mmol)、無水ジオキサン(5mL)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(75.9mg、0.093mmol)を装入した。混合物を窒素ガスで5分間パージした。反応バイアルを密閉し、110℃で1.5時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(943mg、3.7mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2M、4.6mL、9.3mmol)、および追加の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]−ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(75.9mg、0.093mmol)を加えた。反応混合物を窒素で脱気し、100℃で3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、有機層をブラインおよび水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜20%のEtOH/DCM)によって精製して、(R)−3−(6−(1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(1140mg、81%)を得た。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 1.57 (t, 3H), 1.67-1.71 (m, 1H), 1.74 (s, 3H), 1.84 (d, 1H),
1.97-2.07 (m, 1H), 2.35-2.44 (m, 1H), 3.44 (br. s., 1H), 3.55 (br. s., 1H),
4.12 (s, 3H), 4.50 (q, 2H), 5.92 (br. s., 1H), 7.41 (d, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.69
(d, 1H), 7.84 (s, 1H), 8.06 (s, 1H). MS (AP+)(M+H) 383.
【0208】
ステップ2:
(R)−3−(6−(1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(1140mg、2.98mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に、ヨウ化ナトリウム(894mg、5.96mmol)を加えた後、0℃でTMSCl(760uL、5.96mmol)を滴加した。反応混合物を室温まで温め、20時間撹拌した。0.5Mチオ硫酸ナトリウム水溶液(約30mL)を加えて反応を失活させ、得られる混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を水で希釈し、水層をDCMで3回抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜25%のDCM中EtOH)によって精製して、実施例1(803mg、73%)をオフホワイト色の粉末として得た。
1H NMR (600MHz, メタノール-d
4) δ 1.52 (t, 3H), 1.57 (dd,
1H), 1.63 (s, 3H), 1.82-1.85 (m, 1H), 2.00-2.07 (m, 1H), 2.41 (td, 1H),
3.33-3.36 (m, 1H), 3.53 (td, 1H), 4.54 (q, 2H), 6.73 (d, 1H), 7.17 (d, 1H) ,
7.64 (d, 1H), 7.77 (s, 1H), 8.13 (s, 1H). MS (ES+)(M+H) 369.
【0209】
別法として、実施例1は、次のように調製される。丸底フラスコに、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(48g、189mmol)、パラジウムXPhos(第二世代プレ触媒)(2.97g、3.8mmol、2mol%)、および6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)−1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール(66.6g、210mmol、1.1当量)を装入した。フラスコを窒素で3回排気および再充填した。次いで、窒素ガスでスパージングしたテトラヒドロフラン(500mL)を加えた後、2M炭酸ナトリウム水溶液(236mL、472mmol、2.50当量)を加えた。混合物を60℃で90分間加熱し、室温に冷却し、次いで水(250mL)および酢酸エチル(250mL)で希釈した。混合物を酢酸エチル(3×250mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮すると、褐色の固体が得られ、これをジクロロメタン(250mL)に溶解させた。チオールキャップされたシリカゲル(Silacycle)(55g、使用量=4.28mmol/g)を加え、懸濁液を30分間撹拌した後、薄いCelite(登録商標)パッドを薄いシリカゲルパッドに重ねたもので濾過した。濾過ケークを5%のエタノール:ジクロロメタン(3×50mL)ですすぎ、濾液を濃縮乾燥して、淡褐色の固体を得た。この材料を50℃で1時間酢酸エチル(200mL)に懸濁させ、次いで室温で72時間撹拌した。濾過および真空乾燥によって固体を集めて、オフホワイト色の粉末(62.5g、86%)を得た。この材料をそれ以上精製せずに次のステップに進めた。
【0210】
(R)−3−(6−(1−エチル−4−フルオロ−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(62.0g、160mmol)の室温のアセトニトリル(3.2L)懸濁液に、ヨウ化ナトリウム(72.9g、486mmol、3当量)を加えた後、クロロトリメチルシラン(171mL、486mmol、3.0当量)を15分かけて滴加した。得られる薄紫色の懸濁液を室温で16時間撹拌し、次いで40℃でもう16時間加熱して仕上げた。混合物が室温になるようにし、次いでCelite(登録商標)パッドで濾過し、濃縮して、赤みがかった褐色の固体を得た。この残留物をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、水(2×200mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して褐色の固体を得、これをメチルtert−ブチルエーテル(275mL)に懸濁させ、40℃でもう16時間撹拌した。次いで、懸濁液を濾過し、追加のメチルtert−ブチルエーテルですすぎ、真空乾燥して、実施例1を淡い黄褐色の固体(57.2g、96%)として得た。
【0211】
(実施例2)
(R)−6−(4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(6−(4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0212】
【化35】
ステップ1:(R)−3−(6−(4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0213】
【化36】
オーブン乾燥したバイアルに、6−ブロモ−4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール(507mg、2.1mmol)、5,5,5’,5’−テトラメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボリナン)(649mg、1.9mmol)、オーブン乾燥したKOAc(604mg、6.2mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(54mg、0.066mmol)、およびジオキサン(10mL)を装入し、20分間窒素パージした。反応液を100℃で1時間加熱した。混合物をCelite(登録商標)パッドで濾過し、濾過ケークをジオキサンですすいだ。濾液を減圧下で濃縮して、粗残留物(530mg)を得た。この粗残留物(370mg)を脱気したジオキサン(2mL)に溶かした溶液に、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(300mg、1.2mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2M、1.5mL、2.9mmol)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(54mg、0.066mmol)を加えた。反応混合物を窒素で脱気し、100℃で1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、無水Na
2SO
4を加えた。混合物をCelite(登録商標)パッドで濾過し、濾過ケークをジオキサンですすいだ。濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜100%のヘプタン中EtOAcから0〜30%のEtOH/DCM)によって精製して、(R)−3−(6−(4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(358mg、79%)を得た。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 1.68 (d, 1H), 1.74 (s, 3H), 1.88 (d, 1H), 1.97-2.07 (m, 1H), 2.39
(td, 1H), 3.37-3.47 (m, 1H), 3.50-3.60 (m, 1H), 4.12 (s, 3H), 4.15 (s, 3H),
5.81 (brs, 1H), 7.42 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.94 (s, 1H), 8.06 (s,
1H). MS (AP+)(M+H) 385.
【0214】
ステップ2:
(R)−3−(6−(4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(51mg、0.13mmol)のアセトニトリル(0.5mL)溶液に、46%HBr水溶液(0.5mL)を加え、反応混合物を90℃で15分間加熱した。反応混合物をDCMと水とに分配し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物を減圧下で濃縮した。粗残留物をアセトニトリル(1mL)中で摩砕した後、得られる固体を濾過して、実施例2(41mg、84%)を得た。
1H NMR (600MHz, メタノール-d
4) δ 1.62-1.70 (m, 1H), 1.66
(s, 3H),1.84-1.92 (m, 1H), 2.00-2.10 (m, 1H), 2.41 (td, 1H), 3.37-3.44 (m, 1H),
3.53 (td, 1H), 4.15 (s, 3H), 6.82 (dd, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.73 (dd, 1H), 7.89
(s, 1H), 8.11 (s, 1H). MS (ES+)(M+H) 371.
【0215】
(実施例3)
(R)−6−(1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(6−(1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0216】
【化37】
ステップ1:(R)−3−(6−(1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0217】
【化38】
オーブン乾燥した20mLバイアルに、6−ブロモ−1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール(345mg、1.4mmol)、5,5,5’,5’−テトラメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボリナン)(591mg、1.7mmol)、オーブン乾燥したKOAc(566mg、5.8mmol)、無水ジオキサン(5mL)、および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(56.8mg、0.072mmol)を装入した。混合物に窒素ガスを5分間通気し、反応バイアルを密閉し、110℃で1時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物に、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(294mg、1.2mmol)、炭酸ナトリウム水溶液(2M、1.8mL、3.6mmol)、および追加の[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(56.8mg、0.072mmol)を加えた。反応混合物を窒素で脱気し、100℃で75分間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAcで希釈し、Celite(登録商標)で濾過し、濾液を濃縮した。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0〜10%のEtOH/DCM、40gカラム)によって精製して、(R)−3−(6−(1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(429mg、79%)をオフホワイト色の固体として得た。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ 1.56 (t, 3H), 1.64-1.91 (m, 2H), 1.74 (s, 3H), 1.97-2.08 (m, 1H),
2.35-2.44 (m, 1H), 2.66 (s, 3H), 3.39-3.50 (m, 1H), 3.51-3.62 (m, 1H), 4.13 (s,
3H), 4.51 (q, 2H), 6.07 (brs, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.68 (d, 1H),
7.89 (s, 1H), 8.01 (s, 1H). MS (AP+)(M+H) 379.
【0218】
ステップ2:
(R)−3−(6−(1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(420mg、1.1mmol)のDMF(5mL)溶液に、ナトリウムn−プロパンチオレート(1090mg、11.1mmol)を加えた。バイアルを密閉し、反応液を110℃で1時間加熱した。反応液を終夜室温に冷ました。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を15%EtOH/DCMとpH7リン酸緩衝液とに分配した。水層を15%EtOH/DCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残留物をMPLC(0〜20%のEtOH/DCM、40グラムISCOカラム)によって精製して、実施例3(230mg、57%)を白色の粉末として得た。
1H NMR (600MHz, メタノール-d
4) δ 1.50 (t, 3H), 1.56-1.59
(m, 1H), 1.63 (s, 3H),1.82-1.85 (m, 1H), 2.01-2.05 (m, 1H), 2.42 (td, 1H), 2.66
(s, 3H), 3.33-3.36 (m, 1H), 3.54 (td, 1H), 4.52 (q, 2H), 6.71 (d, 1H), 7.23 (s,
1H), 7.64 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 8.11 (s, 1H). MS (ES+)(M+H) 365.
【0219】
(実施例4)
(R)−6−(1−メチル−1H−インドール−6−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(2−ヒドロキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−6−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0220】
【化39】
ステップ1:(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−6−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0221】
【化40】
(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(80mg、0.31mmol)、1−メチル−6−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−インドール(105mg、0.41mmol)、ジオキサン(3mL)、および2M Na
2CO
3(0.31mL、0.63mmol)を含有する容器に、Pd(dppf)Cl
2(23mg、0.031mmol)を加えた。反応液を110℃で18時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、ブライン(15mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。分取TLC(100%酢酸エチル)によって精製すると、表題化合物(80mg、76%)が得られた。
1H NMR (400MHz, CDCl
3) δ: 1.65-1.70 (m, 1H); 1.72 (s, 3H), 1.78-1.84 (m, 1H), 1.95-2.05 (m,
1H), 2.40 (td, 1H), 3.35-3.41 (m, 1H), 3.52 (td, 1H), 3.87 (s, 3H), 4.11 (s,
3H), 5.83 (br. s., 1H), 6.49 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.41 (d, 1H), 7.64-7.67 (m,
2H), 7.77 (dd, 1H), 8.03 (s, 1H).
【0222】
ステップ2:
DMF(4mL)中に(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−6−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(70mg、0.21mmol)を含有する容器に、室温でナトリウム1−プロパンチオレート(410mg、4.2mmol)を加えた。反応液を110℃で16時間撹拌した。混合物を濾過し、HPLC精製(HPLC保持時間:10.0分(方法:カラム:Agela Durashell C18 250×21.2mm、8μm、移動相A:0.225%の水中ギ酸、移動相B:アセトニトリル、流量:30.0mL/分、勾配:初期条件:傾斜 11分にかけてはA−79%:B−21%、11〜13分はA−0%:B−100%を保持;検出220nm)に送った。溶液を凍結乾燥して、実施例4(30mg、43%)を黄色の固体として得た。
1H NMR (400MHz, メタノール-d
4) δ:
1.53-1.61 (m,
1H), 1.62 (s, 3H), 1.78-1.88 (m, 1H), 1.98-2.06 (m, 1H), 2.43 (td, 1H),
3.34-3.38 (m, 1H), 3.53 (td, 1H), 3.88 (s, 3H), 6.49 (d, 1H), 6.68 (d, 1H),
7.29 (d, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.60-7.68 (m, 2H), 7.73 (s, 1H); MS (ES+)(M+H)
336.
【0223】
(実施例5)
(R)−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(2−ヒドロキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0224】
【化41】
ステップ1:(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0225】
【化42】
大きいマイクロ波対応バイアルに、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(1.20g、4.7mmol)、1−メチル−1H−インドール−5−イルボロン酸(0.82g、4.7mmol)、ジオキサン(10mL)、2M Na
2CO
3(5.9mL、11.8mmol)、およびPdCl
2(dppf)CH
2Cl
2(193mg、0.236mmol)を加えた。反応混合物に窒素ガスを5分間通気してから、容器を密閉した。反応液を105℃で18時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、Celite(登録商標)で濾過した。濾液を濃縮して褐色のペーストとした。0〜10%のEtOH/DCMの勾配を用いたカラムクロマトグラフィー(80g RediSep Goldカラム)によって精製すると、(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(1.54g、94%)が淡い橙色の固体として得られた。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ:
1.62-1.69 (m, 1H), 1.72 (s, 3H), 1.77-1.86 (m, 1H),
1.93-2.03 (m, 1H), 2.39 (td, 1H), 3.36-3.44 (m, 1H), 3.52 (td, 1H), 3.82 (s,
3H), 4.11 (s, 3H), 6.16 (br s., 1H), 6.56 (d, 1H), 7.07 (d, 1H), 7.36 (d, 1H),
7.38 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.93 (dd, 1H), 8.29 (s, 1H); MS (ES+)(M+H) 350.
【0226】
ステップ2:
フラスコに、(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(1.37g、3.9mmol)、DMF(30mL)、およびナトリウムn−プロパンチオレート(4.41g、39.3mmol)を加えた。混合物を115℃で15時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮して褐色のペーストを得、次いでそれを15%EtOH/DCMと水性pH7緩衝液とに分配した。水相を2回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させて、粗生成物を得た。0〜25%のEtOH/DCMの勾配を用いたカラムクロマトグラフィー(80g RediSep Goldカラム)によって精製すると、実施例5(632mg、48%)が白色の固体として得られた。
1H NMR (400MHz, メタノール-d
4) δ:
1.53-1.60 (m,
1H), 1.62 (s, 3H), 1.78-1.87 (m, 1H), 1.94-2.08 (m, 1H), 2.42 (td, 1H),
3.34-3.37 (m, 1H), 3.53 (td, 1H), 3.85 (s, 3H), 6.55 (dd, 1H), 6.62 (d, 1H),
7.25 (d, 1H), 7.46 (dd, 1H), 7.50 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.85-7.91 (m, 1H); MS
(ES+)(M+H) 336.
【0227】
別法として、実施例5は、次のとおりに調製される。丸底フラスコに、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(60.0g、240mmol)および1−メチル−1H−インドール−5−イルボロン酸(47.7g、259mmol、1.1当量)を装入した。フラスコを窒素で排気および再充填した。次いで、反応容器に、ジオキサン(700mL)および2M炭酸ナトリウム水溶液(295mL、590mmol、2.50当量)を加えた。混合物を窒素ガスで60分間スパージングした後、触媒である二塩化パラジウムジフェニルホスフィノフェロセンジクロロメタン付加物(PdCl
2dppf−CH
2Cl
2)(5.77g、7.07mmol、3mol%)を加えた。混合物を60分間加熱して内部温度を90℃とし、次いで室温に冷却し、酢酸エチル(500mL)で希釈した。混合物を薄いCelite(登録商標)およびシリカパッドで濾過し、濾液が無色になるまで濾過ケークを酢酸エチル(1L)ですすいだ。溶媒を除去し、ジクロロメタンで差し替え、これを1N水酸化ナトリウム水溶液(2×800mL)、次いでブライン(1×500mL)で洗浄した。合わせた有機材料を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮すると、粗生成物が黄褐色の泡沫として得られた。酢酸エチル(400mL)を加え、混合物を80℃で1時間加熱し、次いで室温に冷却して、懸濁液を得た。もう3時間撹拌した後、混合物を濾過し、集めた固体を真空乾燥して、オフホワイト色の固体を得、次いでこれをアセトニトリルに懸濁させ、90℃で1時間加熱し、次いで室温で16時間撹拌した。固体を濾過によって集め、次いでメチルtert−ブチルエーテル(400mL)に懸濁させた。ジクロロメタン(900mL)を加えて、均質な透明の溶液を得た。合わせた溶媒の体積を約50%に減らして、濃厚な懸濁液を得、これを60分間スラリーとして撹拌された状態にした。次いで、濾過し、固体を真空乾燥すると、オフホワイト色の粉末(59.3g、72%)が得られた。この材料をそれ以上精製せずに次のステップに進めた。
【0228】
(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(59.7g、171mmol)のジメチルホルムアミド(520mL)溶液に、エチルナトリウムチオレート(116.6g、1386mmol、8.11当量)を加えた。フラスコに、インラインバブラーに通じる排出ホースを頂部に有する還流冷却器を取り付け、インラインバブラーは、(揮発性物質チオールを捕捉するための)1:1の漂白剤:炭酸水素ナトリウムからなるチオール洗気溶液を含有するものとした。反応混合物を110℃で14時間加熱し、次いで室温に冷却した。冷却器を取り外し、ロータリーエバポレーターを使用して、フラスコを高真空状態にした。真空中でジメチルホルムアミドを除去し、水(250mL)を加えて濃厚な懸濁液を得た。リン酸(2.25M、76mL)を加えてpHを約6に調整した。懸濁した固体を濾過によって集め、真空乾燥して、黄褐色の固体を得た。この残留物をアセトニトリル(200mL)で摩砕し、混合物を3時間加熱還流し、次いで室温に冷まし、15時間撹拌した。濾過によって固体を集めた。残留物を室温で10:1のジクロロメタン:エタノール(3.4L)に懸濁させ、混合物をCelite(登録商標)パッドで濾過した。濾過ケークを追加の溶媒440mLですすぎ、濾液を濃縮乾燥して、淡い黄褐色の固体を得た。最後に、材料を2−プロパノール(250mL)に懸濁させ、50℃で15時間加熱した。懸濁液を濾過し、固体を集め、真空乾燥して、実施例5の生成物をオフホワイト色の粉末(56.17g、98%)として得た。
【0229】
(実施例6)
(R)−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(2−ヒドロキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
【0230】
【化43】
ステップ1:(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン
【0231】
【化44】
バイアルに(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン(56.6mg、0.24mmol)を加え、ジオキサン(2.0mL)と共に蒸発にかけた。次に、1−メチル−1H−インドール−5−イルボロン酸(63.4mg、0.36mmol)に続いてPd(dppf)Cl
2(7.5mg、0.01mmol)を加えた。混合物を密閉し、窒素で脱気した。次いで、固体混合物に、脱気したジオキサン(1.9mL)および脱気した2M Na
2CO
3(0.27mL、2.3当量)を加えた。反応液を110℃で16時間撹拌した。反応液を濃縮し、EtOAcと10%(w/v)Na
2CO
3水溶液とに分配した。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮して、褐色の粗製ガラス質を得た。40〜100%のEtOAc/ヘプタンの勾配を用いたカラムクロマトグラフィー(4g RediSep Goldカラム)によって精製すると、表題化合物(78mg、99%)が淡黄色のガラス質として得られた。
1H NMR (600MHz, CDCl
3) δ:
1.62 (s, 3H), 2.10 (ddd, 1H), 2.67-2.76 (m, 1H),
3.37-3.47 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 4.10-4.12 (m, 3H), 5.59 (br. s., 1H), 6.56 (d,
1H), 7.07 (d, 1H), 7.34-7.39 (m, 2H), 7.67 (d, 1H), 7.92-7.96 (m, 1H), 8.30 (s,
1H); MS (AP+)(M+H) 336. 絶対立体化学は、DCMとEtOHの混合物から結晶化することで取得した単結晶のX線結晶学分析によって求めた。
図2は、(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オンのORTEP図である。
【0232】
(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オンの単結晶X線分析:
データ収集は、Bruker APEX回折計において室温で行った。
【0233】
構造は、空間群P2
12
12
1においてSHELXソフトウェア一式を使用する直接法によって解明した。引き続いて、完全行列最小二乗法によって構造を精密化した。窒素上に位置する水素原子を、差フーリエマップから見つけ、距離を制限して精密化した。残りの水素原子を計算された位置に置き、その担体原子上に乗せた。最終精密化には、すべての水素原子についての等方性変位パラメータを含めた。
【0234】
尤度法を使用する絶対構造の分析(R.W.W.Hooftら、J.Appl.Cryst.(2008)、41、96〜103)は、PLATONを使用して行った(A.L.Spek、J.Appl.Cryst.(2003)、36、7〜13)。最終R指数は、3.1%であった。最終差フーリエによって、見つかっていないまたは置き違えられた電子密度は存在しないことが明らかになった。(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチル−ピロリジン−2−オンの該当する結晶、データ収集、および精密化を、表2に要約し、
図2に図示する。
【0235】
【表2】
【0236】
ステップ2:(R)−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン
フラスコに、(R)−3−(2−メトキシ−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)ピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン(534mg、1.59mmol)、ナトリウムn−プロパンチオレート(1287mg、13.11mmol)、およびDMF(9.5mL)を加えた。混合物を110℃で17時間撹拌した。反応が不十分なため、追加のナトリウムn−プロパンチオレート(667mg)を加えた。反応液を110℃で30時間撹拌した。混合物をEtOHで希釈し、濃縮し、15%EtOH/DCMとpH7リン酸緩衝液とに分配した。水相を2回抽出し、合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させて、粗生成物を得た。室温で終夜スラリー化(3.3mLのEtOAc/0.33mLのEtOH)した後、濾過し、EtOAcで数回洗浄し、減圧下にて60〜80℃で3日間乾燥させることにより精製すると、(R)−6−(1−メチル−1H−インドール−5−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン(495mg、97%)が黄色の固体として得られた。
1H NMR (600MHz, メタノール-d
4) δ: 1.54 (s, 3H), 1.91-1.98
(m, 1H), 2.68-2.79 (m, 1H), 3.48 (dd, 2H), 3.85 (s, 3H), 6.55 (d, 1H), 6.62 (d,
1H), 7.26 (d, 1H), 7.47 (dd, 1H), 7.49-7.51 (m, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.89 (d,
1H); MS (ES+)(M+H) 322.
【0237】
(実施例7)
(R)−6−(7−クロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン、互変異性体(R)−3−(6−(7−クロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
【0238】
【化45】
ステップ1:(R)−3−(6−(7−クロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン
5−ブロモ−7−クロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(1100mg、4.48mmol)の脱気ジオキサン(2mL)溶液に、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(1710mg、7.72mmol)、PdCl
2(dppf)CH
2Cl
2(183mg、0.224mmol)、および酢酸カリウム(1760mg、17.9mmol)を加えた。容器を窒素パージし、次いで密閉し、110℃で1時間加熱した。次いで、混合物を室温に冷却し、(R)−3−(6−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(1140mg、4.48mmol)を加えた後、PdCl
2(dppf)CH
2Cl
2(100mg)を新たに装入した。混合物を110℃で6時間加熱し、次いで室温に冷まし、酢酸エチル(20mL)で希釈した。混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を水およびブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させた。シリカ栓で濾過し、濾液を濃縮すると、粗表題生成物が得られ、精製せずに脱メチル化ステップに進めた。
【0239】
ステップ2:
(R)−3−(6−(7−クロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−5−イル)−2−メトキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン(630mg、1.64mmol)を5mLのアセトニトリルに溶かした室温の溶液に、ヨウ化ナトリウム(491mg、3.27mmol)に続いてクロロトリメチルシラン(0.41mL、3.27mmol)を加えた。混合物を15時間撹拌し、次いで減圧下で溶媒を除去した。残留物を15%EtOH:DCM(v/v)と飽和塩化アンモニウム水溶液とに分配した。水相を3回抽出し、合わせた有機層を1Mアスコルビン酸ナトリウム水溶液に続いてブラインで洗浄した。濾過し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(0〜25%のEtOH:DCM)によって精製して、実施例7を白色の粉末(211mg、35%)として得た。
1H NMR
(400MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.41-1.45 (m, 2H)
1.46 (s, 3 H) 2.22-2.45 (m, 2 H) 3.18 (d, 2 H) 4.11 (s, 3 H) 7.23-7.27 (m, 2 H)
7.38 (d, 1 H) 8.02 (br. s., 1 H) 8.32 (s, 2 H) 11.70 (br. s., 1 H). MS
(ES+)(M+H) 371.
【0240】
以下で表3に挙げる化合物は、適切な出発原料を使用しながら、実施例1〜7の調製について上述したものと類似した条件を使用して調製した。
【0241】
【表3-1】
【0242】
【表3-2】
【0243】
実施例8〜13の互変異性体は、それぞれ、以下のとおりである。
実施例8:(R)−3−(6−(4−クロロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン。
実施例9:(R)−3−(6−(7−フルオロ−1−メチル−1H−インドール−5−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン。
実施例10:(R)−3−(6−(1−エチル−1H−インドール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン。
実施例11:(R)−3−(6−(4−フルオロ−1−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン。
実施例12:(R)−3−(6−(1,4−ジメチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン。
実施例13:(R)−3−(6−(1−エチル−4−メチル−1H−インダゾール−6−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピロリジン−2−オン。
実施例14には互変異性体が3種ある:
(R)−6−(3−シクロプロピル−7−フルオロ−2H−インダゾール−5−イル)−3−(3−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)ピリジン−2(1H)−オン
(R)−3−(6−(3−シクロプロピル−7−フルオロ−1H−インダゾール−5−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン。
(R)−3−(6−(3−シクロプロピル−7−フルオロ−2H−インダゾール−5−イル)−2−ヒドロキシピリジン−3−イル)−3−メチルピペリジン−2−オン。
【0244】
EP3放射リガンドSPA結合アッセイ
本発明における試験化合物がヒトEP3受容体に結合しうる、したがってPGE2活性と拮抗する潜在的可能性を備えうる能力を測定するために、放射リガンド置換アッセイを実施した。化合物親和性は、所与の放射リガンド濃度で、特定の膜バッチに対する[
3H]PGE2結合を50%減少させるのに必要となる化合物の濃度と定義されるK
i値として示した。
【0245】
試験化合物は、100%DMSO(J.T.Baker#922401)中に半対数連続希釈した。384ウェルプレート(Matrixカタログ番号4322)の適切なウェルに、1μLの各化合物を加えた。最終濃度1μMの非標識PGE2(Tocrisカタログ番号2296)を使用して、非特異的結合を割り出した。1μLの100%DMSO(J.T.Baker#922401)を使用して、全結合を割り出した。Millipore EP3 Chem1膜(Millipore ChemiSCREEN(商標)Human Recombinant EP3 Prostanoid Receptor Calcium−Optimized Stable Cell Line(Milliporeカタログ番号HTS092C、http://www.millipore.com/catalogue/item/hts092c)から得た細胞ペーストから社内で調製したもの)を解凍し、結合緩衝液(50mMのHepes pH7.4(Lonzaカタログ番号17−737)、5mMのMgCl
2(Sigma−M1028)、および0.1%のBSA(Sigma A−7409))に希釈して、最終濃度を1μg/25μLとした。希釈した膜25μLを、準備した化合物プレートに加えた。WGA coated PVT SPA Beads(Perkin Elmerカタログ番号RPNQ0060)を結合緩衝液に希釈して、濃度を4μg/ulとし、次いで、25μLのSPAビーズ混合物を各ウェルに加えて、最終アッセイ濃度を100μg/ウェルとした。[
3H]−PGE2(Perkin Elmerカタログ番号NET428)を結合緩衝液に希釈して、濃度を3.375pMとし、25μLをすべてのウェルに加えて、最終アッセイ濃度を1.125nMとした。プレートを室温(およそ25℃)で30分間振盪しながらインキュベートした。10時間インキュベートした後、Wallac Trilux MicroBetaプレート系シンチレーションカウンター、および標準化されたプロトコールを使用して、各ウェルと関連した放射活性を、1分の読み/ウェルで測定した。[
3H]−PGE2のK
dは、飽和結合の実施によって、非線形回帰によるデータ解析を用いて割り出し、一部位双曲線に適合させた(Graph Pad Prism)。IC
50の割り出しは、競合曲線から行い、独自に開発した曲線適合プログラム(SIGHTS)および4パラメータロジスティック用量反応式を用いて分析した。Ki値は、Cheng−Prusoff式を使用して、IC
50値から算出した。
【0246】
以下の表4に、上述のアッセイに従う、ヒトEP3に対する結合親和性についての、実施例のKi値を示す。結果は幾何平均Ki値として報告する。
【0247】
【表4】
【0248】
本発明の他の特色および利点は、本発明を記載する本明細書および特許請求の範囲から明らかとなろう。詳細な説明が実例にすぎないこと、および請求項に係る本発明を限定しないことを共に理解されたい。
【0249】
本明細書で言及するすべての特許、特許出願、および参考文献は、その全体が参照により本明細書に援用される。