(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-533165(P2016-533165A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】ウイルス関連腫瘍のためのシステム、方法および組成物
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20060101AFI20160930BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20160930BHJP
C12N 15/00 20060101ALI20160930BHJP
【FI】
C12Q1/68 Z
C12N15/00 A
C12N15/00ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-517526(P2016-517526)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014057859
(87)【国際公開番号】WO2015048546
(87)【国際公開日】20150402
(31)【優先権主張番号】61/883,153
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】514145338
【氏名又は名称】ファイヴ3 ゲノミクス,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】513253467
【氏名又は名称】ナント ホールディングス アイピー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】サンボーン,ジョン ザキャリー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァスク,チャールズ ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ベンズ,ステファン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ラビザド,シャールーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンスリー,ニコール
(72)【発明者】
【氏名】ソン‐シオン,パトリック
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QX02
(57)【要約】
企図されるシステムおよび方法は、複数のウイルスゲノム配列を含むキメラ参照配列を用いて組込みおよび共増幅事象を確認/定量化する。最も典型的には、ウイルスゲノム配列は単一の染色体としてキメラ参照配列にまとめられ、このキメラ参照配列はBAM形式である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析エンジンを、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階であって;前記キメラ参照核酸配列が少なくとも1つのウイルス核酸配列と哺乳動物核酸配列とを含む段階と、
前記解析エンジンにより、前記キメラ参照核酸配列内の前記ウイルス核酸配列の少なくとも一部の、前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列内の対立遺伝子との組込みを確認する段階と、
前記解析エンジンにより、前記対立遺伝子と前記ウイルス核酸配列の前記少なくとも一部の共増幅を確認する段階と、
共増幅が閾値に達すれば前記ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する段階と
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列が少なくとも前記ウイルス関連腫瘍の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列が前記ウイルス関連腫瘍のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列が前記ウイルス関連腫瘍のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウイルス関連腫瘍がHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)からなる群より選択されるウイルスに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウイルス関連腫瘍が16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記キメラ参照核酸配列が複数の異なるウイルスに由来する複数のウイルス核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記キメラ参照核酸配列内の前記哺乳動物核酸配列が対応する正常な哺乳動物核酸配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列および前記キメラ参照核酸配列がBAM形式、SAM形式、FASTA形式、またはFASTAインデックス形式である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列内の前記対立遺伝子が発癌遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組込みを確認する段階が組込みの位置の特定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
共増幅した前記配列を含むゲノム配列の解を求める段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記閾値が10増幅より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
解析エンジンを、哺乳動物組織由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階であって;前記キメラ参照核酸配列が少なくとも1つのウイルス核酸配列と任意選択で哺乳動物核酸配列とを含む段階と、
前記解析エンジンにより、前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列の少なくとも一部の前記ウイルス核酸配列内への組み込みを確認する段階と、
前記解析エンジンにより、前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列の対立遺伝子と前記ウイルス核酸配列の少なくとも一部の共増幅を確認する段階と、
共増幅が閾値に達すれば前記哺乳動物の治療推奨記録を更新する段階と
を含む、方法。
【請求項15】
前記キメラ組織が患部組織である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が少なくとも前記哺乳動物組織の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記哺乳動物組織がウイルス関連腫瘍の腫瘍組織である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記キメラ参照核酸配列が複数の異なるウイルスの核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記キメラ参照核酸配列が腫瘍関連ウイルスの核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍関連ウイルスがHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)からなる群より選択されるウイルスである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍関連ウイルスが16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記キメラ参照核酸配列が前記哺乳動物核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記哺乳動物核酸配列が対応する正常な哺乳動物核酸配列である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
共増幅した前記配列を含むゲノム配列の解を求める段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記ゲノム配列が環状の解または縦列重複である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記閾値が10増幅より大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
解析エンジンを、患者の子宮頸部腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階であって;前記キメラ参照核酸配列が前記患者由来の対応する正常な核酸配列とHPVウイルスのウイルス核酸配列とを含む段階と、
前記解析エンジンにより、前記キメラ参照核酸配列内の前記ウイルス核酸配列の少なくとも一部の、前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列内の発癌遺伝子の対立遺伝子との組込みを確認する段階と、
前記解析エンジンにより、前記対立遺伝子と前記ウイルス核酸配列の前記少なくとも一部の共増幅を確認する段階と、
共増幅が閾値に達すれば前記ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する段階と
を含む、方法。
【請求項30】
前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列が少なくとも前記子宮頸部腫瘍の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項29に記載の方法
【請求項31】
前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列が前記子宮頸部腫瘍のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列が前記子宮頸部腫瘍のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記キメラ参照核酸配列が16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスの少なくとも2つの核酸配列を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記HPVウイルスの前記少なくとも2つの核酸配列が前記HPVウイルスの前記ゲノム全体に及ぶ、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記発癌遺伝子が増殖因子受容体をコードする遺伝子である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記発癌遺伝子がERBB2である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記対立遺伝子がホモ接合型対立遺伝子である、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
共増幅した前記配列を含むゲノム配列の解を求める段階をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記ゲノム配列が環状の解または縦列重複である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記治療推奨記録が前記発癌遺伝子を標的とする薬物の投与を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
編集エンジンを、哺乳動物組織由来の核酸配列および複数の異なるウイルス由来の複数のウイルス核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階と、
前記編集エンジンにより、前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列を前記複数のウイルス核酸配列と単一のキメラ核酸配列ファイルに統合する段階であって;前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が染色体構造に従って前記キメラ核酸配列ファイルにまとめられ、かつ前記複数のウイルス核酸配列のそれぞれが単一の染色体として前記キメラ核酸配列ファイルにまとめられる段階と、
前記単一のキメラゲノムファイルで前記配列データベースを更新する段階と
を含む、方法。
【請求項42】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が少なくとも前記哺乳動物組織の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記異なるウイルスが腫瘍関連ウイルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記腫瘍関連ウイルスがHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)からなる群より選択されるウイルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記腫瘍関連ウイルスが16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記統合する段階が前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列に前記複数のウイルス核酸配列を付加することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列、前記複数のウイルス核酸配列、および前記単一のキメラ核酸配列ファイルのうちの少なくとも1つがBAM形式、SAM形式、FASTA形式、またはFASTAインデックス形式である、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列、前記複数のウイルス核酸配列、および前記単一のキメラ核酸配列ファイルがBAM形式である、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物の対応する正常配列である、請求項41に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2013年9月26日に出願された米国特許仮出願第61/883153号の優先権を主張するものであり、出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、組織検体およびウイルスゲノム、特にウイルス関連腫瘍および腫瘍関連ウイルスの組織検体およびウイルスゲノムから得られた遺伝情報のコンピュータ解析である。
【背景技術】
【0003】
背景に関する記述には本発明の理解に有用であると思われる情報が含まれる。本明細書に記載される情報がいずれも本願で特許請求される発明の先行技術であるかこれに関連するものであり、あるいは明示的または黙示的に参照される任意の刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
子宮頸癌は2008年現在、世界で3番目に女性に最もよくみられる癌であり、その1年間の診断例数は約530,000例、死亡例数は275,000例である。ほとんどの子宮頸癌は、その発生起源から、予防可能な疾患であると広く考えられている。米国だけでも、2004年から2008年にかけて子宮頸癌が平均11,967例報告されており、そのうち11,500例がHPV感染に起因するとされている(Gillison MLら,Cancer.2008;113:3036−3046)。本明細書で特定される刊行物はいずれも、個々の刊行物または特許出願がそれぞれ明示的かつ個別的に参照により組み込まれることが示された場合と同様に、参照により組み込まれる。組み込まれる参考文献における用語の定義および使用法が、本明細書に記載される用語の定義と一致しないか、これに反する場合、本明細書に記載されるその用語の定義が適用され、参考文献中でのその用語の定義は適用されない。早期診断、ひいては良好な治療転帰を可能にするパパニコロースミアに加えて、発癌性のあるHPV株の大部分に対する予防接種(GardasilおよびCervarix)がより利用可能になりつつある。
【0005】
現在知られているヒトパピローマウイルス(HPV)サブタイプは120種類を超え、これらのサブタイプはさらに低リスク型と高リスク型とに分類される。高リスクタイプは現時点で15種類あり、そのうちHPV16、18、45、31、33、52、および58が最も感染率が高い。高悪性度の上皮内新生物および浸潤子宮頸癌の70%超がHPV16
+またはHPV18
+のいずれかである(Schiller JTら,Gynecol Oncol.2010 Jun;118(1 Suppl):S12−17)。1件の試験では、12か月の間に女性の75%がその高リスクHPV感染を自然に消失させることができ、その後6か月間経過すると、さらに22%の女性が感染を自然に消失させることができた(Steben,Mら,Gynecologic Oncology 107(2):S2−S5)。しかし、自然に感染を消失させることができない女性(例えば、免疫不全状態にあるため、または不明の原因により)は子宮頸癌を発症することが多い。ワクチン(例えば、GardasilおよびCervarix)により新たな感染を予防することは可能であるが、それらは既に感染している患者には効果がない。子宮頸癌が認められる患者に現在用いられている標準治療は、シスプラチンを主体とする化学放射線療法であり、この治療法では、IB期〜IIIB期の巨大子宮頸癌の患者のうち少なくとも15%〜45%を治療できない(Duenas−Gonzalez Aら,Cancer Treat Rev 2003,29:389−399)。残念ながら、新しくより効果的なHPV治療法は市場には登場していない。
【0006】
注目すべきことに、HPVはそのDNAを宿主ゲノム内に組み込むことが知られており、HPV組込み部位には選択性があることが報告されている(例えば、Popescuら,Cancer Genet Cytogenet 42:157−171.1989)。これ以外の文献にも報告されているように、HPVはN−Myc遺伝子(2p24)およびc−Myc遺伝子(8q24.1)の隣に組み込まれることが明らかにされており(Couturierら,J Virol 65:4534−4538.1991)、これによりMycタンパク質が無秩序に発現し得る。新たに確立された子宮頸癌系ではHPVとc−Mycの共増幅も観察されている(Gotohら,Jpn.J.Cancer Res.82:1252−1257.1991)。さらなる研究で、定量的蛍光免疫組織化学法により子宮頸部の生検標本中のc−Mycタンパク質レベルが明らかにされ、そのデータから、c−Mycタンパク質レベルが早期および晩期の子宮頸部病変に何らかの役割を演じていることが示唆された。初期病変での長期間にわたるc−Mycの過剰発現がDHFRを安定に増幅させると考えられており、これは経時的な遺伝子増幅を示し、依然として腫瘍進行の指標である。別の報告では、高リスク型HPVにおける腫瘍性タンパク質E6およびE7の発現が、それぞれTP53およびRB1を不活性化し、ひいては細胞周期およびアポトーシスの両方を制御すると考えられたのに対し、MDM2は扁平上皮内病変でアップレギュレートされた(Arvanitisら,Oncol Rep.2008 Octa;20(4):751−60)。
【0007】
子宮頸癌での頻度はより低いが、より治療に関連するのは、HER2/neuとしてより一般的に知られる、ERBB2(赤芽球性白血病ウイルス発癌遺伝子ホモログ2)の増幅または過剰発現である。ERBB2は染色体17q12上にある癌原遺伝子である。ERBB2の過剰発現は侵襲性乳癌と最も一般的に関連付けられてきたが、近年になって他の癌のバイオマーカーとして注目され始めた。ERBB2はほとんどの場合、子宮頸癌での発現量が相対的に低く、研究施設および癌の重症度の両方によって結果に大きな幅があり、子宮頸癌におけるERBB2発現量の範囲は1%〜42%である(Rosty Cら,Int J Gynecol Pathol 2004;23:13−7)。ERBB2発現は、広汎性とは関係なく、侵襲性が最も高く生存率が低くなることが多い癌のいくつかと相関しており(Berchuck Aら,Cancer Res.1990 Jul 1;50(13):4087−91)、かつERBB2を過剰発現する子宮頸部腺癌はまれであることが他の文献に記載されている(Fadareら,International Journal of Gynecological Pathology Volume 23,Issue 4 Oct 2004)。現在、ヒト化モノクローナル抗体トラスツズマブによる子宮頸癌患者の治療がERBB2
+子宮頸癌患者を対象に検討されている。
【0008】
したがって、様々な癌に対して利用可能な治療選択肢が多数存在し、かつ患者および病原体のゲノムの分子的特性化がますます日常的なものになっているものの、ウイルス関連疾患で、特にウイルス関連子宮頸癌で病原体および患者両方のゲノムに起こる分子事象に関する理解を深めて個々の疾患に応じた治療法に役立てることが必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の主題は、病原体ゲノムと患者ゲノムの間の相互作用および/またはこの2つのゲノムの変化のよりよい理解を助けるウイルス関連腫瘍のためのシステム、方法、および装置に関する。とりわけ、ゲノム交換の指標となる相互作用の確認および特性化が特に企図され、これは特異的な種類のゲノム交換に基づく固有の治療選択肢を提供し得る。
【0010】
例えば、本発明の主題の一態様では、解析エンジンを、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接続する段階を含む、方法が企図される。最も典型的には、キメラ参照核酸配列は、哺乳動物核酸配列とともに1つまたは複数のウイルス核酸配列を含む。企図される方法のもう1つの段階では、解析エンジンを用いて、キメラ参照核酸内列内の少なくとも一部のウイルス核酸配列の、ウイルス関連腫瘍由来の核酸内列内の対立遺伝子(例えば、発癌遺伝子)との組み込みを確認する。さらにもう1つの段階では、解析エンジンを用いて対立遺伝子とウイルス核酸配列(1つまたは複数)の共増幅を確認し、またさらにもう1つの段階では、共増幅が閾値(例えば、10増幅超)に達すれば、ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する。
【0011】
ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列に関して、このような配列は、少なくともウイルス関連腫瘍の1つまたは複数の染色体の核酸配列、ウイルス関連腫瘍のエクソームの少なくとも50%、および/またはウイルス関連腫瘍のゲノム全体の少なくとも50%を含むことが企図される。
【0012】
企図されるさらなる態様では、ウイルス関連腫瘍は、HTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、および/またはTTV(トルクテノウイルス)に関連する。当然のことながら、このようなウイルスのリスク型、遺伝子型および/または血清型が異なる場合、さらに下位の分類も考慮される。例えば、ウイルス関連腫瘍は、16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型の高リスクHPVウイルスに関連し得る。したがって、キメラ参照核酸配列は複数の異なるウイルスに由来する複数のウイルス核酸配列を含み得ることが企図される。
【0013】
必ずというわけではないが、最も典型的には、キメラ参照核酸内列内の哺乳動物核酸配列は対応する正常な哺乳動物核酸配列である。ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列は、BAM/SAM/FASTA形式またはFASTAインデックス形式であるのがさらに好ましい。
【0014】
本発明の主題の他の態様では、組込みを確認する段階は組込みの位置の特定を含むことが企図され、企図される方法は、共増幅した配列を含むゲノム配列の解(例えば、環状または縦列反復)を求める段階をさらに含み得る。
【0015】
したがって、異なる観点からみると、本発明者らはまた、解析エンジンを、哺乳動物組織(1つまたは複数)由来の核酸配列(1つまたは複数)およびキメラ参照核酸配列(1つまたは複数)を格納した配列データベースへ情報的に接続する、方法を企図する。最も典型的には、キメラ参照核酸配列は、少なくとも1つのウイルス核酸配列と、任意選択で哺乳動物核酸配列とを含む。もう1つの段階では、解析エンジンにより、哺乳動物組織由来の核酸配列の少なくとも一部がウイルス核酸配列内に組み込まれていること、ならびに哺乳動物組織由来の核酸配列の対立遺伝子(例えば、発癌遺伝子)と少なくとも一部のウイルス核酸配列の共増幅を確認する。さらにもう1つの段階では、共増幅が閾値(例えば、10増幅超)に達すれば、哺乳動物の治療推奨記録を更新する。
【0016】
最も典型的には、キメラ組織は患部組織であり、最も典型的には腫瘍性癌組織(例えば、ウイルス関連腫瘍の腫瘍組織)である。哺乳動物組織由来の核酸配列が、少なくとも哺乳動物組織の1つの染色体の核酸配列、哺乳動物組織のエクソームの少なくとも50%、および/または哺乳動物組織のゲノム全体の少なくとも50%を含むこともまた企図される。
【0017】
同様に、キメラ参照核酸配列は複数の異なるウイルスの核酸配列、最も典型的には1つまたは複数の腫瘍関連ウイルスの核酸配列を含むことが典型的に好ましい。例えば、企図される腫瘍関連ウイルスは、HTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)を含む。このようなウイルスは、既に上で述べたように、さらに下位に分類され得る。例えば、腫瘍関連ウイルスは、16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型の高リスクHPVウイルスであり得る。本発明の主題をこのような方法に限定するわけではないが、キメラ参照核酸配列は哺乳動物核酸配列を含むことが一般に好ましい。
【0018】
本発明の主題のさらに他の態様では、哺乳動物核酸配列は正常な哺乳動物核酸配列と一致し、本明細書に提供される方法が、共増幅した配列を含むゲノム配列の解(例えば、環状の解または縦列重複)を求める段階を含み得ることが一般に企図される。
【0019】
したがって、本発明者らはまた、解析エンジンを、患者の子宮頸部腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接続する段階を含む、方法を企図する。のように、このような方法では、キメラ参照核酸配列が患者由来の対応する正常な核酸配列と、HPVウイルスのウイルス核酸配列とを含むことが一般に好ましい。企図される方法のさらなる段階では、解析エンジンを用いて、キメラ参照核酸配列内の少なくとも一部のウイルス核酸配列の、子宮頸部腫瘍由来の核酸配列内の発癌遺伝子の対立遺伝子との組込みを確認し、この解析エンジンをさらに用いて、対立遺伝子とウイルス核酸配列(1つまたは複数)の共増幅を確認する。所定の閾値に達したとき、ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新または作成する(例えば、発癌遺伝子を標的とする薬物の投与)。
【0020】
企図される方法の1つの典型的な態様では、子宮頸部腫瘍由来の核酸配列は、少なくとも子宮頸部腫瘍の1つの染色体の核酸配列、子宮頸部腫瘍のエクソームの少なくとも50%、および/または子宮頸部腫瘍のゲノム全体の少なくとも50%を含む。さらに、キメラ参照核酸配列に関して、このような配列が、16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、および82型のHPVウイルスのうちの少なくとも2つの核酸配列を含むことが企図される。このような配列は、HPVウイルスのゲノム全体をカバーするのが好ましい。
【0021】
企図されるさらなる態様では、発癌遺伝子は増殖因子受容体をコードする遺伝子、特にERBB2であり得、対立遺伝子がホモ接合型対立遺伝子であることがさらに企図される。のように、このような方法が、共増幅した配列を含むゲノム配列の解(例えば、環状の解また縦列重複)を求める段階をさらに含むことも企図される。
【0022】
本発明の主題のさらなる態様では、編集エンジンを、哺乳動物組織由来の核酸配列(例えば、哺乳動物の対応する正常配列)および複数の異なるウイルス由来の複数のウイルス核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接続する段階を含む、方法が企図される。次いで、編集エンジンを用いて、哺乳動物組織由来の核酸配列を複数のウイルス核酸配列と単一のキメラ核酸配列ファイルへと統合し、ここでは、哺乳動物組織由来の核酸配列を染色体構造に従って単一のキメラ核酸配列ファイルにまとめ、複数のウイルス核酸配列のそれぞれを単一の染色体として単一のキメラ核酸配列ファイルにまとめる。企図される方法のさらなる段階では、次いで、単一のキメラゲノムファイルで配列データベースを更新する。
【0023】
のように、哺乳動物組織由来の核酸配列が、少なくとも哺乳動物組織の1つの染色体の核酸配列、哺乳動物組織のエクソームの少なくとも50%、および/または哺乳動物組織のゲノム全体の少なくとも50%を含むことが企図される。さらに、異なるウイルスが腫瘍関連ウイルスであり、HTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)を含み得ることが企図される。ウイルスがHPVウイルスである場合、特に企図されるウイルスとしては、16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスが挙げられる。
【0024】
本発明の主題を限定するわけではないが、一般には、統合する段階は、哺乳動物組織由来の核酸配列に複数のウイルス核酸配列を付加することを含み、かつ/または哺乳動物組織由来の核酸配列、複数のウイルス核酸配列、および単一のキメラ核酸配列ファイルのうちの少なくとも1つ(最も典型的には全部)は、BAM/SAM/FASTA形式またはFASTAインデックス形式であるのが好ましい。
【0025】
同じ数字が同じ構成要素を表す添付図面とともに、以下の好ましい実施形態の詳細な説明から本発明の主題の様々な目的、特徴、態様および利点がさらに明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】腫瘍DNA解析の例示的な結果の詳細図であり、ヒト17番染色体への腫瘍関連HPV−18DNA(NC_001357.1)の組込みおよび共増幅が示されている。17番染色体の一部分のみが示されている。
【図2】キメラ参照DNA解析の例示的な結果の詳細図であり、HPV−18ゲノムへのヒトDNA(17)の組込みおよび共増幅が示されている。HPV−18ウイルスのウイルスゲノムのみが示されている。
【図3】図1および2に示される共増幅されたHPV−18配列(v1、v2、v4)とヒト配列(h1、h2、h4)との間のゲノム配列に対する環状の解を示した例示的図式である。
【図4】図3に示される環状の解をHPV−18のキメラ組換えウイルスゲノムとして示した例示的図式プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(詳細な説明)
本発明者らは、ある腫瘍が、特にその腫瘍が先行するウイルス感染に関連する(すなわち、ウイルス関連腫瘍である)と知られている場合、ウイルス核酸の宿主になり得ることを発見した。本発明者らはまた、ウイルスが逆に宿主ゲノムの一部分を獲得し得ることも発見した。本発明者らはさらに、獲得されると、腫瘍関連ウイルスの核酸配列と宿主の核酸配列とがウイルス複製時に共増幅されることを発見した。複製されるウイルス核酸が宿主由来の発癌遺伝子を含む場合、共増幅は有害な影響のみならず宿主の新たな治療選択肢も示し得る。したがって、本発明者らは、ゲノム内容の(典型的には相互の)交換および/または共増幅の確認を含む、患者および/または患者由来のウイルス試料のゲノム解析によって、診断法、治療法、および他の治療選択肢を知ることができることを企図する。
【0028】
例えば、のちにさらに詳述するように、本発明者らは、子宮頸部の低分化腺癌の患者試料のゲノム解析により、患者ゲノムとHPV−18ウイルスのウイルスゲノムとの間のゲノム交換/融合を発見した。宿主ゲノムへのHPV−18の組込みが既に報告されており、また、宿主の癌が宿主ゲノム上のウイルスE6/E7遺伝子の調節作用に起因することが既に示唆されているが、本発明者らは新たに、全く異なる作用機序が存在し得ることを発見した。より具体的には、本発明者らは、宿主ゲノムとのHPVのウイルス組込みは、宿主の発癌遺伝子(ここでは、ERBB2遺伝子)と大部分のウイルスゲノムの実質的な共増幅を伴うことを発見した。本明細書で使用されるように、第一の遺伝子と第二の遺伝子の「共増幅」という用語は、第一の遺伝子と第二の遺伝子がともに同じコピー数で増幅することを指す。ほとんどの場合、のちにさらに詳述するように、共増幅は単一の対立遺伝子に対してのみ起こることが観察された。このようなゲノム融合は、患者のゲノムとのウイルスの配列の組み込みとして(典型的には、縦列反復配列として)および/または染色体外構造として(例えば、環状ウイルスゲノムとして)もしくは場合によってはウイルス粒子として存在し得る。ただし、例えば、第一の対立遺伝子が独立して増幅した後に共増幅が起こる場合、共増幅の結果は、第一の対立遺伝子と第二の対立遺伝子のコピー数が不均衡になり得る。
【0029】
したがって、共増幅した宿主核酸が発癌遺伝子、癌抑制遺伝子、細胞周期調節に関与する遺伝子、および/または細胞分裂に関与する遺伝子を含む場合、このような宿主核酸(例えば、ERBB2)のウイルス関連の増幅の検出は、その宿主核酸を標的とする薬物によるウイルス関連腫瘍の薬物治療に影響を及ぼすか、その指針となり得る。別の観点からみると、増幅される宿主核酸の機能を標的とすることがウイルス関連腫瘍の新たな治療法となり得ることが理解されるべきである。
【0030】
企図されるシステムおよび方法は患者がウイルス関連癌を有すると診断されるか疑われる場合に特に有利であることが、特に理解されるべきである。このような患者集団において、ウイルスゲノムと宿主ゲノムとの間の潜在的な相互作用の理解は治療選択肢に関する重要な情報を与え得るため、本明細書で企図されるシステムおよび方法は、ウイルスと宿主のゲノム配列のゲノム組込みおよび/またはウイルスと宿主のゲノム配列の共増幅の迅速な確認および特性化に基づくであろう。本発明者らは、コンピュータで1つまたは複数のウイルスゲノム配列(最も好ましくは、ウイルスゲノム全体)を参照ゲノムと統合して1つのキメラ参照核酸配列を形成し、参照ゲノム(健常な宿主組織から得られるものであっても、宿主以外の組織から得られるものであってもよい)を改変することによって、このような迅速な解析を実施できることを発見した。
【0031】
キメラ参照核酸配列に使用するのに適切した参照ゲノムは、同一患者の全ゲノムの核酸配列を含み、典型的には非患部組織から得られるものである。例えば、参照ゲノム核酸は、全血から、癌組織に隣接した組織から、または頬粘膜のスワブもしくは生検標本から得られてよい。あるいは、参照ゲノムは、患者から以前に採取した試料から、または以前に試行した全ゲノムシーケンシングから得られてもよい。さらに別の態様では、参照ゲノムは同一種(例えば、ヒトをはじめとする哺乳動物)由来のゲノム配列、好ましくは同一種の性別、または平均的な配列もしくはコンセンサス配列によって分類したゲノム配列であってもよい。最も典型的には、参照ゲノムはゲノム全体であるかゲノム全体を包含する。ただし、ゲノムのより小さい部分も企図され、少なくとも1個の染色体、2〜5個の染色体、5〜10個の染色体、または10個を超える染色体を含む。あるいは、参照ゲノムは、エクソーム全体またはトランスクリプトーム全体の一部分(例えば、1〜10%、10〜30%、30〜60%、または60〜90%)の代表的なものだけであってもよい。したがって、また別の観点からみると、参照ゲノムは、ヒト(またはその他の種)のゲノム全体の少なくとも10%、または少なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも70%を典型的に含む。
【0032】
キメラ参照核酸配列に使用するのに適したウイルスゲノムは、少なくとも1つのウイルス、より典型的には疾患との関連が知られている一群のウイルス、特に一群の腫瘍関連ウイルス(すなわち、癌性疾患と関連することが知られているウイルス)の全ゲノムの核酸配列を含む。例えば、本明細書での使用に適すると考えられるウイルスのゲノム配列としては、HTLV−1(成人T細胞白血病に関連する)、HPVウイルス(子宮頸癌、皮膚癌、頭頸部癌、および肛門性器癌に関連する)、HHV−8(カポジ肉腫、原発性体液性リンパ腫、キャッスルマン病に関連する)、EBV(バーキットリンパ腫、鼻咽腔癌、移植後リンパ腫、およびホジキン病に関連する)、HBVおよびHCV(肝細胞癌に関連する)、SV40(脳腫瘍、骨癌、中皮腫に関連する)、BKV(前立腺癌に関連する)、JCV(脳腫瘍に関連する)、HERV(胚細胞腫瘍、乳癌、卵巣癌およびメラノーマに関連する)、HMTV(乳癌に関連する)、KSHV(カポジ肉腫に関連する)、ならびにTTV(消化管癌、肺癌、乳癌、および骨髄腫に関連する)に由来するゲノム配列が挙げられる。ただし、適切なウイルスとして、現時点で特定の疾患との関連が知られていないウイルスも挙げられることが理解されるべきである。
【0033】
一方、本明細書での使用に適したウイルス配列は1つまたは複数の共通の分類基準によって分類されてもよく、これは1群のウイルス内での臓器特異性(例えば、HBV、HCV)、癌の種類の特異性、またはリスク型を含み得る。例えば、ウイルスがHPVウイルスである場合、適切なウイルスゲノム配列は、16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、および/または82型HPVを含む、子宮頸癌をはじめとする泌尿生殖器癌の高リスクと関連する配列を含み得る。最も典型的には、ウイルスゲノムはゲノム全体であるかゲノム全体を包含する。ただし、ゲノムのより小さい部分も企図され、ウイルスのゲノムの一部分、例えば、1つもしくは複数の単一ウイルス遺伝子もしくは転写単位、またはウイルスのゲノム全体の少なくとも10%、または少なくとも30%、または少なくとも50%、もしくは少なくとも70%を含む。
【0034】
キメラ参照核酸配列は、ウイルス核酸配列(1つまたは複数)を参照ゲノム核酸配列に付加された1つまたは複数の個々の単位として含むことが特に好ましい。最も典型的には、それぞれのウイルス核酸配列の個々の単位は、個々の染色体としてまとめられ/標識化される。いくつかある利点のなかでもとりわけ、このような配置を用いることにより(特に漸増同期アライメントを用いて配列比較を実施する場合)、ゲノム組込みの位置の特定、コピー数の決定、および罹患対立遺伝子の同定を迅速に実施することが可能になることに留意するべきである。したがって、ウイルス核酸配列を参照ゲノム核酸配列として同じ形式(例えば、BAM、SAM、FASTAまたはFASTAインデックス)でまとめることも企図されるが、別の形式も特には除外されない。したがって、のことを考慮すると、哺乳動物のキメラ参照核酸配列の染色体計数がウイルス関連腫瘍由来の核酸配列の染色体計数を大幅に上回ることが認識されるべきである。例えば、キメラ参照核酸配列の染色体計数は、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列の染色体計数を少なくとも1、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、およびそれを超えて上回り得る。実際には、正確な染色体計数は含まれるウイルスゲノム配列の数によって決まる。
【0035】
そのために本発明者らは、編集エンジンを、哺乳動物組織由来の1つまたは複数の核酸配列および異なるウイルスそれぞれに由来する1つまたは複数のウイルス核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接続することによって、ゲノム解析のための参照配列を改変する方法を企図する。次いで、編集エンジンを用いて、哺乳動物組織由来の核酸配列(1つまたは複数)を複数のウイルス核酸配列と単一のキメラ核酸配列ファイルへと統合する。当然のことながら、このような編集は、比較的少数の選択したウイルスゲノム配列を用いて手作業で実施することも、あるいはウイルスの収集物が比較的大きい場合は自動で実施することも可能であることが理解されるべきである。さらに、編集エンジンにより、任意の形式のウイルス配列を(例えば、哺乳動物/ヒト)参照配列に統合し得ること、また、ウイルス配列を任意の時点で所望の最終形式(例えば、BAM、SAM、FASTA、またはFASTAインデックス形式)に変換し得ることが理解されるべきである。しかし、ウイルス配列は既に所望の形式(例えば、BAM、SAM、FASTA、またはFASTAインデックス形式)であることが一般には好ましい。例えば、1つまたは複数の参照配列を関連するFASTAインデックスでFASTAファイルに格納し、次いで、そのファイルをのように1つまたは複数のウイルスゲノム配列と統合し得る。所望/必要に応じて、さらにBAM形式への変換を実施してもよい。さらに、ウイルス配列を含む患者の腫瘍から得られたシーケンシングデータもBAMファイルに格納してもよい。
【0036】
さらに、キメラ核酸配列の構造に関して、哺乳動物組織由来の核酸配列は染色体構造に従って(例えば、BAM形式の場合と同様に)単一のキメラ核酸配列ファイルにまとめ、一方でウイルス核酸配列はそれぞれの単一の染色体として単一のキメラ核酸配列ファイルにまとめることが特に好ましい。キメラ核酸配列ファイルを組立てた後、そのようして作製されたキメラ核酸配列ファイルで配列データベースを更新することが好ましい。当然のことながら、編集エンジンはまた、のちにさらに述べるように漸増同期アライメントを実施できるように、ウイルスゲノム配列ライブラリー由来の1つまたは複数のウイルス核酸配列との哺乳動物組織由来の核酸配列のオンザフライでの統合に用いてもよいことが認識されるべきである。適切な配列およびその一部分に関しては、上で既に記載したものと同じ考慮事項が当てはまる。
【0037】
キメラ核酸配列との比較に適した患者試料に関して、患者試料は癌、特にウイルス関連癌を有すると診断されるか疑われる患者から採取することが一般に好ましい。このような試料を得る方法は多数存在し、試料は癌組織を含むことが一般に好ましい。次いで、その試料を周知の方法で処理して患部組織(例えば、ウイルス関連腫瘍)から核酸配列を得る。本発明の主題の特に好ましい態様では、ゲノム全体のカバレッジは少なくとも20倍、さらには少なくとも30倍である。したがって、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列は腫瘍のゲノム全体をカバーすることが一般に好ましい。ただし、特に組込み事象の位置の見当が既についている場合、ウイルス関連腫瘍のより小さい核酸部分も適切であると考えられることも理解されるべきである。したがって、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列が、ウイルス関連腫瘍の1個の染色体、3個の染色体、5個の染色体、または10個の染色体の核酸配列を少なくとも含むことが企図される。別の観点からみると、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列がエクソームの少なくとも一部(例えば、ウイルス関連腫瘍の少なくとも10%または10〜30%、少なくとも13%または30〜50%、少なくとも50%または50〜80%)を含むことも企図される。したがって、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列は、ウイルス関連腫瘍のゲノム全体の少なくとも10%(例えば、10〜30%、またはそれを超える)、少なくとも30%(例えば、30〜50%、またはそれを超える)、少なくとも50%(例えば、50〜80%、またはそれを超える)を含み得る。
【0038】
それに関連して、患部組織から採取した試料はいずれも、その組織が癌組織であるか場合によっては前癌組織であるかに関係なく、本明細書での使用に適すると考えられることに留意するべきである。実際には、患部組織および罹患していることが疑われる組織はいずれも本明細書での使用に適すると考えられる。しかし、特に好ましい組織としては、ウイルス関連腫瘍から得られる組織が挙げられる。例えば、例示的なウイルス関連腫瘍のウイルスとしては、HTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス、特に、高リスク型である16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、および/または82型)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、および/またはTTV(トルクテノウイルス)に関連するウイルスが挙げられる。
【0039】
上で既に述べた通り、本明細書での使用に適したデータ形式は多数あるが、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列に特に好ましいデータ形式としては、BAM、SAM、FASTA、またはFASTAインデックス形式が挙げられる。さらに、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列の形式は、迅速な漸増同期アライメントを可能にするため同じであることに留意するべきである。
【0040】
本発明の主題の特に好ましいさらなる態様では、漸増同期アライメントを用いてキメラ参照核酸配列とウイルス関連腫瘍由来の核酸配列を処理し、組込み、共増幅、およびゲノム交換の位置の迅速な確認を可能にする。例えば、本発明の主題を限定するわけではないが、ゲノム解析は、キメラ参照核酸配列(正常組織または参照組織由来のゲノム核酸配列を含む)とウイルス関連腫瘍(またはその他の患部組織)由来の核酸配列を同期させて漸増的に比較するソフトウェアツールを用いて実施することが一般に好ましい。特に好ましいツールの1つとしては、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2013/074058A1号に既に記載されているBAMBAMが挙げられる。
【0041】
このような方法を用いれば、各試料(例えば、ウイルスと患者)中の異種間で組み込まれた配列の存在のみならず、その位置、コピー数、変異など、疾患の存在、進行、および/または転帰の点で大きな影響を及ぼし得るものをすべて見つけることが可能であることが特に理解されるべきである。したがって、本発明者らは、1つまたは複数の異種間の組込み事象を検出する方法のみならず、のちに治療および予後の評価の土台として用いるそのような事象の特性化を企図する。
【0042】
企図される解析は、患者の腫瘍試料がゲノム解析に供されるものに限定される必要はなく、患者試料(例えば、採血をはじめとする体液(例えば、尿、涙液、唾液、髄液など)の入手)をそのまま用いるか、患者試料を処理して試料のウイルス核酸含有量を増大させる検査および方法が企図されることにも留意するべきである。次いで、このようにして入手した試料を解析し、ウイルスゲノムの少なくとも一部分であって、宿主ゲノムの少なくとも一部分も含まれる部分の存在を確認できる。したがって、企図されるシステムおよび方法はまた、上で既に記載したように試料から得られたウイルスゲノム核酸配列とキメラ参照核酸配列であるかどうかを問わないヒト(またはその他の哺乳動物)参照ゲノムとの間で漸増同期アライメントを用いる分析にまで及ぶ。
【0043】
したがって、企図されるシステムおよび方法はまた、患者がウイルス、特に腫瘍関連ウイルスに現在感染していること、または以前感染していたことを確認または除外するための診断検査法を含む。したがって、企図される診断法はまた、腫瘍が以前の(または同時に存在する)ウイルス感染に関連することを確認する段階を含む。このようなウイルスの存在の検討は、ウイルス抗原の検出、ウイルス抗原に対する抗体の存在、ウイルスの核酸、エピトープ、および/または酵素を検出する分子生物学的方法などによって実施できる。ウイルスの存在が確認されるか、疑われれば、しかるべきウイルスゲノム配列の選択は、検出されたウイルスに基づくであろう(例えば、肝炎ウイルス、またはHPVの型を含む、ウイルスのクラスまたは型を選択する)。
【0044】
具体的な配列の性質を問わず、核酸配列は解析エンジンおよび/または編集エンジンによって検索するためのデータベースに格納し、このようなデータベースは、単一のデータベースであっても分散型データベースであってもよいことが一般に企図される。したがって、「データベース」という用語は、単一の物理的装置に限定されず、互いに情報的に接続された多数の異なる記憶装置を包含するものとして理解されるべきである。さらに、コンピュータに関する言葉はいずれも、サーバ、インターフェース、システム、データベース、エージェント、ピア、エンジン、コントローラ、または他の個別にまたは共同で作動するタイプの計算装置を含む計算装置の任意の適切な組合せを包含することに留意するべきである。計算装置は、有形の、一時的でないコンピュータで読取り可能な記憶媒体(例えば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュ、ROMなど)に格納されているソフトウェア命令を実行するよう設定された処理機構を含むことが理解されるべきである。ソフトウェア命令は、のちに本開示の装置に関して述べるように、計算装置が役割、責任、または他の機能を提供するよう設定するのが好ましい。特に好ましい実施形態では、様々なサーバ、システム、データベース、またはインターフェースは、HTTP、HTTPS、AES、官民キー交換、ウェブサービスAPI、既知の金融取引プロトコル、または他の電子情報交換法に基づくと思われる標準化プロトコルまたはアルゴリズムを用いてデータを交換する。データ交換は、パケット交換網、インターネット、LAN、WAN、VPN、またはその他のタイプのパケット交換網上で実施するのが好ましい。
【0045】
したがって、本発明者らは、解析エンジンを、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接続する、方法を企図し、ここでは、キメラ参照核酸配列は、少なくとも1つのウイルス核酸配列と哺乳動物核酸配列とを含む。次いで、解析エンジンを用いて、(a)ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列内の対立遺伝子とのキメラ参照核酸配列内の少なくとも一部のウイルス核酸配列の組込みを確認し、(b)対立遺伝子と少なくとも一部のウイルス核酸配列の共増幅を確認する。解析が完了した後、共増幅が閾値(閾値は例えば、少なくとも2倍の増幅、少なくとも3倍の増幅、少なくとも5倍の増幅、または少なくとも10倍の増幅、それを超える増幅)に達すれば、ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する。最も典型的には、このような記録は電子的形態であり、解析エンジンへ情報的に接続されている任意の装置(例えば、患者または医療専門家のモバイル機器、医療行為者または医療提供者のローカルサーバなど)に格納し得る。
【0046】
異なる観点から見れば、本発明者らはまた、解析エンジンを、哺乳動物組織由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接する、方法を企図する。このような方法では、キメラ参照核酸配列は、少なくとも1つ(より典型的には、少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個、およびそれを超える)のウイルス核酸配列を含み、かつ哺乳動物(例えば、ヒト)核酸配列もさらに含み得る。次いで、解析エンジンを用いて、哺乳動物組織由来の核酸配列の少なくとも一部がウイルス核酸配列内に組み込まれていることを確認し、解析エンジンをさらに用いて、哺乳動物組織由来の核酸配列の対立遺伝子と少なくとも一部のウイルス核酸配列の共増幅を確認する。上の場合と同様に、次いで、共増幅が閾値に達すれば哺乳動物の治療推奨記録を更新し、このような記録は電子的形態であり、解析エンジンへ情報的に接続されている任意の装置に格納し得る。
【0047】
同様に、のちの実施例にさらに関連して、本発明者らは、解析エンジンを、患者の子宮頸部腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納した配列データベースへ情報的に接続する、方法を企図し、ここでは、キメラ参照核酸配列は、患者由来の参照配列(好ましくは、対応する正常な核酸配列)と、HPVウイルスの1つまたは複数のウイルス核酸配列とを含む。次いで、解析エンジンを用いて、キメラ参照核酸配列内の少なくとも一部のウイルス核酸配列の、子宮頸部腫瘍由来の核酸配列内の発癌遺伝子(例えば、ERBB2を含む、増殖因子受容体をコードする遺伝子、もしくは癌抑制遺伝子、細胞周期調節に関与する遺伝子、および/または細胞分裂に関与する遺伝子)の少なくとも1つの対立遺伝子との組込みを確認する。もう1つの段階では、解析エンジンを用いて、対立遺伝子と少なくとも一部のウイルス核酸配列の共増幅も確認し、共増幅が閾値に達すれば、ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する。
【0048】
同期させた漸増的な解析および配列ファイルの膨大なサイズは、1日当たり数万ベースを解析したとしても、そのようなファイル解析はヒトの寿命を容易に上回ると思われるため、このような方法をヒトでの実施に全く適さなくすることが認識されるべきである。さらに、ゲノム配列の解の計算はさらに、ヒトによる対処が不可能になるのを助長する。加えて、キメラ参照核酸(例えば、ウイルス配列を個々の染色体としてまとめ/インデックス化し、ウイルス核酸配列および哺乳動物核酸配列を統合したもの)の特定のファイル構造は、(a)全配列をメモリにロードする場合ほど多くのメモリを必要とせずに迅速に処理でき、また(b)このような方法では、ウイルスの数に左右される他の方法のように3つ以上の配列ファイルを解析するのではなく、2つの配列ファイルのみを解析すれば済むため、ゲノム組込みの解析および共増幅の確認を迅速に実施できることから、解析時間を劇的に改善する技術的効果があることを指摘しておくべきである。
【0049】
さらに、本明細書に記載される方法はいずれも、本明細書に別途明記されるか、文脈で明らかに矛盾することがない限り、任意の適切な順序で実施できる。本明細書で特定の実施形態に関して記載される具体例または例示的な言葉(例えば、「など」)を用いる場合はいずれも、単に本発明をより明確にさせることを意図するものであって、別途特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の言葉はいずれも、本発明の実施に不可欠で特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0050】
企図されるさらなる方法では、ウイルスの宿主に由来する遺伝子(例えば、発癌遺伝子、癌抑制遺伝子、細胞周期調節に関与する遺伝子、および/または細胞分裂に関与する遺伝子)の共増幅を確認する際に、そのようにして得られた結果を用いて宿主ゲノムの増幅された部分による潜在的な影響をコンピュータでモデル化して、したがって追加の治療選択肢および標的を明らかにし得ることが認識されるべきである。モデル化システムのなかでも特に好ましいモデル化システムとしては、経路分析モデル、特に国際公開第2011/139345号および同第2013/062505号(ともに参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているPARADIGMが挙げられる。例えば、ERBB2が増幅しているとわかった場合、そのような情報を経路認識アルゴリズムに用いて、ERBB2の遺伝子産物の阻害以外に、またはこれに加えて、治療法を調べることができる。
(実施例)
【0051】
患者病歴:2012年3月、44歳の女性に子宮頸部ポリープがあることがわかった。このポリープに生検を実施し、子宮頸部の低分化腺癌であることがわかった。この患者のそれまでのパパニコロースミアの結果はすべて正常であり、最後の検査は2011年9月に実施された。2012年4月、両側卵管摘除術およびリンパ節郭清術を含む根治的子宮摘出術を施行した。患者は卵巣を温存することを選択した。外科病理学的検査では、子宮頸部の外側3分の1まで壁の浸潤が認められた。水平方向の拡散は2.7cmに及んだ。リンパ浸潤、血管浸潤、または子宮傍浸潤は全く認められなかった。リンパ節は陰性であった。術後に化学療法も放射線療法も実施しなかった。術後の経過で骨盤膿瘍および敗血症が合併したが、回復した。患者は8週間以内に職場に復帰することができ、別段異常は認められなかった。
【0052】
2012年7月、患者に骨盤の不快感および排尿障害が認められた。超音波検査、CTスキャン、およびPETスキャンを含む精密検査で多発性骨盤内腫瘤が明らかになり、最大SUVは43.9であった。針生検では、最初の生検と同じく低分化腺癌が確認された。カルボプラチンおよびゲムシタビンを開始したが、他所で実施されたin vitro検査の結果を受け、2012年8月、ビノレルビン、タモキシフェン、およびゲフィチニブに切り替えた。週1回の投与を4回実施した後、CT/PETによる再検査で腫瘍が進行していることが明らかになり、再びカルボプラチンおよびゲムシタビンに切り替えて1回投与した。患者はその後、「代替療法」を受けることを選択した。疾患は進行し続け、2012年9月下旬、閉塞性腎不全が発症し、尿管ステントによりこれを治療した。
【0053】
2012年11月下旬、患者に転移腫瘍の腹腔鏡下生検を実施して、全ゲノムシーケンシング;癌遺伝子パネルシーケンシング;RNA発現プロファイリング,免疫組織学、およびFISH、ならびに免疫不全マウスへの異種移植を含む各種検査に用いた。のいずれの検査でも、HER2(ERBB2)遺伝子が増幅し、そのタンパク質が過剰発現していることが確認された。2012年12月、患者をトラスツズマブおよびラパチニブで治療し、優れた応答が認められた。腹痛が解消され;腹水が30ポンド(約13.6kg)減少し、左下肢リンパ浮腫が3週間以内にすべて解消された。2013年2月のCT/PETスキャンでは腫瘍の著しい応答が確認された。
【0054】
患者は経過が良好であったが、2013年4月に労作時の呼吸困難と疼痛を訴えた。CT/PETスキャンでは疾患の進行と、胸水および重度の水腎症が認められた。腎瘻チューブを留置した。トラスツズマブを中止し、3週毎のado−トラスツズマブエムタンシンおよびペルツズマブをラパチニブとともに開始した。2013年6月、CT/PETスキャンを再び実施したところ、進行の継続が認められた。針生検を実施して、腫瘍が依然としてHER陽性であるかどうかを検査した。遺伝子解析およびFFPE切片のFISH検査では、HER2の増幅および過剰発現が確認され、前回の2012年11月の生検以来、遺伝子変化は最小限に抑えられていた。患者をトラスツズマブ、ラパチニブ、ビノレルビン、および高用量タモキシフェンで4週間にわたって治療したが、骨盤痛、嘔気、および腹部膨満感の症状が悪化し、マウス異種移植試験の結果に基づいて、ビノレルビンおよびタモキシフェンをカルボプラチンに代えた。患者は現在、このカルボプラチン、トラスツズマブおよびラパチニブのレジメンを継続中である。9月3日現在、CT/PETスキャンで疾患の進行が認められる。
【0055】
カルボプラチン/ゲムシタビン、ビノレルビン/タモキシフェン/ゲフィチニブによる治療の後に再発し、カルボプラチン/ゲムシタビンでのさらなる治療も無効であったため、患者の全ゲノムシーケンシングおよび定量的プロテオーム解析を実施した。全ゲノム配列の解析から、患者の腫瘍試料には、多数の体細胞変異、いくつかの体細胞再編成および22番染色体のヘテロ接合性喪失が含まれていることに加えて、HPV18型にマップされるリードが相当数含まれていることがわかった(データ不掲載)。ERBB2、CDH1、CLTCL1、およびPTPRKにおける変異が認められたが、これらはいずれも乳癌によくみられるものである。患者の腫瘍ゲノムの解析から患者の腫瘍試料中に、ERBB2遺伝子の顕著な増幅を生じるゲノム組込みを含む、HPV−18の存在を示す証拠が明らかになった。質量分光測定法によるホルマリン固定組織のプロテオーム解析によって、ERBB2増幅により生じた患者の腫瘍細胞中のHER2タンパク質の過剰発現を確認し定量化した。この患者にみられたレベルの過剰発現は、FISH陽性の増幅およびトラスツズマブの臨床効果と関係がある。
【0056】
以上の包括的なオミックス(ゲノミクスおよびプロテオミクス)の所見に基づき、トラスツザマブ(trastuzamab)(乳癌および胃癌に承認されている治療剤)を投与し、4次に及ぶ化学療法後のこれまでの再発の後で、患者の疾患が数か月間安定するという著明な応答が得られた。次いで、CT/PETスキャンにより、トラスツズマブに応答した腫瘍の大幅な退縮が確認された。したがって、異なる観点からみれば、癌患者の分子署名は解剖学的な腫瘍タイプとは無関係であり得るため、全ゲノムシーケンシングを用いて生存転帰と直接関係があると思われる染色体再編成を明らかにする必要があることが理解されるべきである。
【0057】
方法:Illumina Clinical Services Laboratoryにて生検組織およびマッチする正常組織に全ゲノムシーケンシングを実施して約25億のリードが得られ、シーケンシング深度はそれぞれ45.85×および30.69×であった。BWA(Burrows−Wheeler Aligner、例えば、http://bio−bwa.sourceforge.net/を参照されたい)を用いて、2013年3月5日の時点でNCBIで入手可能な既知のウイルス配列をすべて含むよう改変した改変UCSCヒト参照HG19に対して全リードを整列させ、ここではウイルス配列をそれぞれ参照ファイルで別個の染色体として扱った。例えば、国際公開第2013/074058(A1)号、同第2011/149534(A2)号、および同第2013/086424(A1)号(いずれも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている通りに、Five3ゲノミクス配列処理プラットフォームを用いて推定コピー数、体細胞変異型、および再編成を得た。
【0058】
結果:ゲノム配列解析では、患者の腫瘍試料は体細胞変異48個、体細胞再編成4個および22番染色体のヘテロ接合性喪失(LOH)を含んでいることに加えて、HPV18型にマップされる相当数のリードを含むことが明らかになり;HPV−18
+状態に加えて、これらの変化のうちの2つ(ERBB2およびCDH1)は癌との相関があることが知られていた(Sanger Cancer Gene Censusに記載されている)ため、患者の子宮頸癌の診断結果と関係があると考えた。文献の再検討によりXAB2でのミスセンス変異がゲノムの安定性およびPARP阻害剤に対する感度に果たす役割が明らかになったことから、この変異も臨床的に重要であると考えた。さらに、22番染色体で、既知の癌遺伝子CLTCL1、SMARCB1、EP300およびNF2の単一コピーの欠失を含んだヘテロ接合性喪失(LOH)事象が起こった。
【0059】
ERBB2はタンパク質ErbB2増殖因子受容体(HER−2/neu)をコードする癌原遺伝子受容体チロシンキナーゼであり;HER2は他のEGF受容体に結合してヘテロ二量体を形成し、この二量体がリガンド結合を安定化して、キナーゼが仲介する下流経路を促進し、この下流経路の一部は細胞増殖を促進し、アポトーシスを阻害する。HER2の過剰発現は乳癌、卵巣癌、胃癌、および侵攻型の子宮癌に生じることが知られており、通常、低い生存率と関連する。図1に示されるように、この患者ではERBB2は増幅しているとともに、HPV18型の配列に直接マップされる再編成に隣接しているように思われる。より具体的には、図1は、グラフ最上部に示されるように約37.85mbの位置および下流領域での患者の17番染色体の一部分をグラフで表したものである。グラフ下部にある矢印および矢印内の四角は遺伝子を模式的に示しており、ERBB2遺伝子全体が示され、四角はそれぞれの遺伝子のエキソンを表している。遺伝子上方の囲み部分は、配列の特定の領域のコピー数を線グラフの形で示している。線グラフから容易にわかる通り、17番染色体上のヒト配列の広範囲にわたる部分が実質的に同じコピー数で増幅しており、その途中に小さい谷が1つある。この谷の上方にある半円のアイコンは、互いに面する増幅配列のそれぞれの端を接続するゲノム再編成を示しており、その上の区分にある4分の1円のアイコンは、17番染色体のヒト配列の、17番染色体外部の別の配列への接続を示している。この場合、その別の配列はNC_001357.1であり、これはHPV−18である。したがって、17番染色体とHPV−18配列のゲノム再編成が起こったことが容易にわかるはずである。参照を容易にするため、17番染色体由来の連続するヒト配列は、h1、h2、h3、およびh3を付したブロックで模式的に示されている。
【0060】
図2は、同じ患者の結果をキメラ参照核酸配列内のHPV−18ウイルスゲノム配列(ここではHPV−18の「染色体」のみが示されている)に着目して示したものである。ここでは、増幅は同じく線グラフで示されており、対応するウイルス遺伝子E1、E2、E4、E5〜7、L1およびL2は線グラフの下に四角で示されている。線グラフ上方に引き伸ばされた半円があることからわかるように、ウイルスゲノムの末端同士を接続するリードが存在し、このことは環状ゲノムであることを示している。また、半円上方にある4分の1円から容易にわかる通り、HPV−18配列をヒト17番染色体にある配列と接続するリードが存在する。注目すべきことに、HPV−18ではウイルスL1遺伝子の一部分が欠失している。同じく参照を容易にするため、連続するウイルス配列にはv1、v2、v3、およびv4が付されている。
【0061】
以上のことを考え合わせると、ウイルスHPV−18ゲノムとヒト17番染色体の一部分は連続するリードを共有しており、これらは互いのゲノム再編成を代表し、このゲノム編成ではHPV−18ゲノムの一部分がヒトゲノムに組み込まれているだけでなく、ヒトゲノムの一部分もウイルスゲノムに組み込まれていることが容易にわかるはずである。図3は、図1および図2の両方からわかる情報に一致する配列を図式で示したものである。図3からわかるように、増幅したヒトセグメントh1の左端が、増幅したウイルスセグメントv4に接続されており(図1左側の最初の4分の1円および図2右側の最後の4分の1円も参照されたい)、次いでヒトセグメントh1の右端が、増幅したウイルスセグメントv1n左端に接続されている(図2の引き伸ばされた半円の両端も参照されたい)。再編成の地点の解析を実施して、図4に模式的に示されるような環状の解に辿り着くことができ、この模式図は、ERBB2の広範囲の部分を含む環状HPV−18ウイルスゲノムを示している(h3の欠失がERBB2のエキソンには全く影響を及ぼさないことに留意されたい)。
【0062】
増幅によって合計18前後のコピーが生じたと思われ、少数の対立遺伝子計数は1であった。このことは、増幅が起こったのはERBB2の2つの対立遺伝子のうち1つのみであることを示している。ごく一部のリードにはエキソン16を効率的に欠失させる再編成が存在すると思われるが、この深度はそれが後期の事象である可能性を示している。この後期の再編成の機能的意味は明らかではない。この患者由来の生検組織の免疫組織化学では、患者の腫瘍細胞でHER2の過剰発現が確認された。
【0063】
患者のゲノムにHPV−18由来のシグネチャーゲノムが発見されたこと、および生検試料の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)の両方から、この患者はHPV−18
+であることがわかった。データ(コピー数が大幅に変化した患者の染色体17q12、およびL1が欠失したHPV18型を示す図1〜4を参照されたい)は、HPV−18ゲノムから17番染色体上のHER2に隣接する領域への明白な再編成を明らかに示しており、HER2とHPV−18のコピー数が等しいことがコピー数から直接裏付けられる。このことは、HPVゲノムがその配列内にL1(キャプシドタンパク質)の代わりにHER2を直接組み込んだか、あるいはHPV−18が患者のゲノムに組み込まれることによってHER2を含む配列の縦列重複が可能になり、17番染色体内に何度もコピーされたことを示している。組み込み方はともかく、ERBB2の増幅は、患者にHer2が過剰発現しているという観察結果がERBB2遺伝子のゲノム組込みおよび共増幅によるものであり、したがってHer2阻害剤の投与によって効果的であることが観察された新たな治療標的を示すことを強く示唆したと理解されるはずである。
【0064】
患者は子宮頸癌であるが、シーケンシングを主体とする検査は、子宮頸癌よりも乳癌によくみられる変異というユニークな提示を示している。つまり、この患者にはERBB2、CDH1、CLTCL1が認められるが、これらはいずれも乳癌にみられるものである。また注目するべき点は、患者がHPV−18
+状態であり、そのL1キャプシド遺伝子が消失しており、これは腫瘍の進行を示している。
【0065】
HPV−16およびHPV−18は最もリスクが高いHPV株であると考えられている。図4からもわかるように、この患者では欠失していることが明らかになったL1として知られるHPVキャプシドタンパク質は、初期の感染および増殖段階では存在することが多いが、前癌形質転換時には欠失しているか、発現しない。L1発現の減少が子宮頸部上皮内病変から浸潤子宮頸癌への進行に関連することがわかっている。癌で注目するべき2つのさらなるHPVタンパク質はE6およびE7であり、これらはそれぞれ、腫瘍抑制因子P53およびpRbに結合して不活性化する(WHO/ICOのヒトパピローマウイルス(HPV)および子宮頸癌に関する情報センター、www.who.int/hpvcentre)。
【0066】
L1キャプシド遺伝子がないHPV−18ゲノムの存在およびCLTCL1クラスリン遺伝子の欠失は、注目を集める可能性のある偶然の発見である。HPV L1は、上皮細胞表面のヘパリン硫酸プロテオグリカンに結合することによって、クラスリン依存性細胞侵入を仲介する。クラスリン非依存性エンドサイトーシスは、アネキシンA2を介してマイナーなキャプシドタンパク質L2により仲介されと思われる。CLTCL1は、デングウイルスおよびヒトエンテロウイルス71型によるクラスリンを介する感染性に必要な構成要素である。
【0067】
当業者には、既に記載されているもの以外にも、本明細書の本発明の趣旨を逸脱することなく、さらに多くの修正が可能であることが明らかなはずである。したがって、本発明の主題には、添付の特許請求の範囲の趣旨以外、制限がない。さらに、明細書および特許請求の範囲の両方を解釈するうえで、いずれの用語も文脈と矛盾しない範囲で可能な限り広義に解釈されるべきである。特に「含む(compriseおよびcomprising)」という用語は、要素、成分または段階に非排他的に言及しているものとして解釈されるべきであり、これは、言及される要素、成分または段階が、明確に言及されていない他の要素、成分または段階とともに存在しても、用いられても、組み合わさってもよいことを意味する。本明細書の請求項において、A、B、C…およびNからなる群より選択されるもののうちの少なくとも1つに言及する場合、この文章は、必要とされる要素がそのグループのうちの1つのみであって、AとNまたはBとNなどではないと解釈されるべきである。さらに、本明細書の説明において、およびのちの特許請求の範囲全体を通して使用される「a」、「an」および「the」の意味は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、複数の指示対象を包含する。また、本明細書の説明で使用される「in」の意味は、文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、「in」および「on」を包含する。
【手続補正書】
【提出日】2015年7月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析エンジンを、ウイルス関連腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階であって;前記キメラ参照核酸配列が少なくとも1つのウイルス核酸配列と哺乳動物核酸配列とを含み、かつ前記少なくとも1つのウイルス核酸配列が染色体として前記キメラ参照核酸配列内にまとめられかつ/または認識される段階と、
前記解析エンジンにより、前記キメラ参照核酸配列内の前記ウイルス核酸配列の少なくとも一部の、前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列内の対立遺伝子との組込みを確認する段階と、
前記解析エンジンにより、前記対立遺伝子と前記ウイルス核酸配列の前記少なくとも一部の共増幅を確認する段階と、
共増幅が閾値に達すれば前記ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する段階と
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列が少なくとも前記ウイルス関連腫瘍の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列が前記ウイルス関連腫瘍のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列が前記ウイルス関連腫瘍のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウイルス関連腫瘍がHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)からなる群より選択されるウイルスに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ウイルス関連腫瘍が16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記キメラ参照核酸配列が複数の異なるウイルスに由来する複数のウイルス核酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記キメラ参照核酸配列内の前記哺乳動物核酸配列が対応する正常な哺乳動物核酸配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列および前記キメラ参照核酸配列がBAM形式、SAM形式、FASTA形式、またはFASTAインデックス形式である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ウイルス関連腫瘍由来の前記核酸配列内の前記対立遺伝子が発癌遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組込みを確認する段階が組込みの位置の特定を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
共増幅した前記配列を含むゲノム配列の解を求める段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記閾値が10増幅より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
解析エンジンを、哺乳動物組織由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階であって;前記キメラ参照核酸配列が少なくとも1つのウイルス核酸配列と任意選択で哺乳動物核酸配列とを含み、前記少なくとも1つのウイルス核酸配列が染色体として前記キメラ参照核酸配列内にまとめられかつ/または認識される段階と、
前記解析エンジンにより、前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列の少なくとも一部の前記ウイルス核酸配列内への組み込みを確認する段階と、
前記解析エンジンにより、前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列の対立遺伝子と前記ウイルス核酸配列の少なくとも一部の共増幅を確認する段階と、
共増幅が閾値に達すれば前記哺乳動物の治療推奨記録を更新する段階と
を含む、方法。
【請求項15】
前記キメラ組織が患部組織である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が少なくとも前記哺乳動物組織の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記哺乳動物組織がウイルス関連腫瘍の腫瘍組織である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記キメラ参照核酸配列が複数の異なるウイルスの核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記キメラ参照核酸配列が腫瘍関連ウイルスの核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍関連ウイルスがHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)からなる群より選択されるウイルスである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記腫瘍関連ウイルスが16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記キメラ参照核酸配列が前記哺乳動物核酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記哺乳動物核酸配列が対応する正常な哺乳動物核酸配列である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
共増幅した前記配列を含むゲノム配列の解を求める段階をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記ゲノム配列が環状の解または縦列重複である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記閾値が10増幅より大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
解析エンジンを、患者の子宮頸部腫瘍由来の核酸配列およびキメラ参照核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階であって;前記キメラ参照核酸配列が前記患者由来の対応する正常な核酸配列とHPVウイルスのウイルス核酸配列とを含み、かつ前記HPVウイルスの前記ウイルス核酸配列が染色体として前記キメラ参照核酸配列内にまとめられかつ/または認識される段階と、
前記解析エンジンにより、前記キメラ参照核酸配列内の前記ウイルス核酸配列の少なくとも一部の、前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列内の発癌遺伝子の対立遺伝子との組込みを確認する段階と、
前記解析エンジンにより、前記対立遺伝子と前記ウイルス核酸配列の前記少なくとも一部の共増幅を確認する段階と、
共増幅が閾値に達すれば前記ウイルス関連腫瘍の治療推奨記録を更新する段階と
を含む、方法。
【請求項30】
前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列が少なくとも前記子宮頸部腫瘍の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項29に記載の方法
【請求項31】
前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列が前記子宮頸部腫瘍のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記子宮頸部腫瘍由来の前記核酸配列が前記子宮頸部腫瘍のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記キメラ参照核酸配列が16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスの少なくとも2つの核酸配列を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記HPVウイルスの前記少なくとも2つの核酸配列が前記HPVウイルスの前記ゲノム全体に及ぶ、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記発癌遺伝子が増殖因子受容体をコードする遺伝子である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記発癌遺伝子がERBB2である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記対立遺伝子がホモ接合型対立遺伝子である、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
共増幅した前記配列を含むゲノム配列の解を求める段階をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記ゲノム配列が環状の解または縦列重複である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記治療推奨記録が前記発癌遺伝子を標的とする薬物の投与を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
編集エンジンを、哺乳動物組織由来の核酸配列および複数の異なるウイルス由来の複数のウイルス核酸配列を格納する配列データベースへ情報的に接続する段階と、
前記編集エンジンにより、前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列を前記複数のウイルス核酸配列と単一のキメラ核酸配列ファイルに統合する段階であって;前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が染色体構造に従って前記キメラ核酸配列ファイルにまとめられ、かつ前記複数のウイルス核酸配列のそれぞれが単一の染色体として前記キメラ核酸配列ファイルにまとめられる段階と、
前記単一のキメラゲノムファイルで前記配列データベースを更新する段階と
を含む、方法。
【請求項42】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が少なくとも前記哺乳動物組織の1つの染色体の核酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のエクソームの少なくとも50%を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物組織のゲノム全体の少なくとも50%を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記異なるウイルスが腫瘍関連ウイルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記腫瘍関連ウイルスがHTLV−1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPVウイルス(ヒトパピローマウイルス)、HHV−8(ヒトヘルペスウイルス8型)、EBV(エプスタイン・バーウイルス)、HBV(B型肝炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、SV40(サル空胞化ウイルス40)、BKV(BKウイルス)、JCV(JCウイルス)、HERV(ヒト内在性レトロウイルス)、HMTV(ヒト乳腺腫瘍ウイルス)、KSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)、およびTTV(トルクテノウイルス)からなる群より選択されるウイルスである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記腫瘍関連ウイルスが16型、18型、31型、33型、35型、39型、45型、51型、52型、56型、58型、59型、68型、69型、73型、または82型のHPVウイルスである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記統合する段階が前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列に前記複数のウイルス核酸配列を付加することを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項49】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列、前記複数のウイルス核酸配列、および前記単一のキメラ核酸配列ファイルのうちの少なくとも1つがBAM形式、SAM形式、FASTA形式、またはFASTAインデックス形式である、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列、前記複数のウイルス核酸配列、および前記単一のキメラ核酸配列ファイルがBAM形式である、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記哺乳動物組織由来の前記核酸配列が前記哺乳動物の対応する正常配列である、請求項41に記載の方法。
【国際調査報告】