(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-533286(P2016-533286A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】電気部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/01 20060101AFI20160930BHJP
C23C 28/02 20060101ALI20160930BHJP
H01H 1/04 20060101ALI20160930BHJP
【FI】
B32B15/01 E
C23C28/02
H01H1/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-544346(P2016-544346)
(86)(22)【出願日】2014年9月3日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月11日
(86)【国際出願番号】US2014053802
(87)【国際公開番号】WO2015041843
(87)【国際公開日】20150326
(31)【優先権主張番号】14/031,917
(32)【優先日】2013年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
(71)【出願人】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マージョリー ケイ マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ シュミット
【テーマコード(参考)】
4F100
4K044
5G050
【Fターム(参考)】
4F100AB16A
4F100AB17D
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4F100AT00A
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4F100GB41
4K044AA02
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4K044BA06
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4K044CA15
4K044CA18
5G050AA01
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5G050FA01
(57)【要約】
電気部品(10)は、外表面(28)を含む内側層(20)を含む。電気部品(10)は、少なくとも1つの白金族金属(PGM)を含む中間層(22)を含む。中間層は、内側層の外表面上に延在する。中間層は、外側PGM表面(30)を有する。電気部品は、銀を含む銀層(24)を含む。銀層は、中間層が内側層と銀層との間に延在するように外側PGM表面上に延在する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面(28)を有する内側層(20)と、
少なくとも1つの白金族金属(PGM)を含む中間層(22)であって、前記内側層の前記外表面上に延在し、外側PGM表面(30)を有する中間層(22)と、
銀を含む銀層(24)であって、前記中間層が前記内側層と当該銀層との間に延在するように前記外側PGM層上に延在する銀層(24)とを備える電気部品(10)。
【請求項2】
前記内側層(20)は、少なくとも部分的にニッケルから製造されるニッケル層であり、
前記外表面(28)は、外側ニッケル表面である、
請求項1の電気部品(10)。
【請求項3】
前記中間層(22)および前記ニッケル層(20)は互いに結合され、
前記中間層および前記銀層(24)は互いに結合される、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのPGMは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、又は白金のうちの少なくとも一つを含む、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項5】
前記中間層(22)は、酸化物層が前記外側ニッケル表面(28)上に生じることを防止する、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項6】
前記中間層(22)は酸化しない請求項2の電気部品(10)。
【請求項7】
前記銀層(24)は、当該電気部品が約150℃以上の温度に曝されるときに剥離しない、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項8】
前記中間層(22)は、前記ニッケル層(20)と前記銀層(24)との間に約2ナノメートルから約501ナノメートルの厚みを有する、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項9】
前記中間層(22)の前記少なくとも1つのPGMは単一のPGMであり、前記中間層のほぼ全体が前記単一のPGMから製造される、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項10】
前記ニッケル層(20)のほぼ全体が、ニッケルから製造され、
前記中間層(22)のほぼ全体が、前記少なくとも1つのPGMから製造され、又は
前記銀層(24)のほぼ全体が、銀から製造される、
請求項2の電気部品(10)。
【請求項11】
電気部品を製造する方法であって、
前記電気部品の内側層の外表面上に中間層を堆積(deposit)することであって、前記中間層は、少なくとも1つの白金族金属(PGM)を含み、外側PGM表面を有することと、
前記中間層が前記内側層と銀層との間に延在するように前記中間層の前記外側PGM表面上に前記銀層を堆積(deposit)することであって、前記銀層は、少なくとも部分的に銀から製造されることとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明および/又は例示される主題は、一般的に電気部品に関し、特に、ニッケル層および銀層を有する電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品は、様々な用途の様々な部品の間に電気路を提供するために使用される。電気コンタクト、電気トレース、電気バイア、電線等は、電気路を提供する電気部品の例である。少なくとも一部の既知の電気部品は、ニッケルの内側層と、このニッケル層上に延在する銀の層とを含む。しかしながら、銀およびニッケルは、互いに対してほとんど又は全く相溶性即ち反応が無く、ニッケル層および銀層は、容易には相互拡散せず、比較的強い結合を形成することがない。さらに、酸素は容易に銀に拡散する。十分な酸素がニッケル層と銀層との間の界面に達する場合、ニッケル/銀界面に生じる結果的な酸化物層によって、ニッケル層と銀層との間の結合が弱まる可能性があり、銀層がニッケル層から剥離する可能性がある。銀層の剥離は、ニッケルの内側層を有する電気部品に限定されない(即ち、銀およびニッケルの界面に限定されない)。むしろ、酸化物は、銀層をその他の材料から製造された内側層(例えば、銀層と銅やその他の材料の内側層との間の界面)から剥離させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ニッケル層と銀層との間の接着を強めるために、ニッケル層と銀層との間に最小限のストライク層(例えば、酸性銀ストライク)を使用することが知られている。かかるストライク層は、銀層が約150℃を下回る温度で剥離することを防止することを促進することができる。しかしながら、少なくとも一部の既知の電気部品は、電気部品は約150℃よりも高い温度に曝される用途において使用される。例えば、電気部品は、電気部品の環境(例えば、エンジンルーム)が約150℃よりも高い温度に曝される自動車用途や航空宇宙用途において使用される可能性がある。しかしながら、銀層は、電気部品が約150℃よりも高い温度に曝されるとニッケル層から剥離する可能性がある。例えば、約150℃よりも高い温度では、ニッケル層と銀層との間の接着は、銀層とニッケル層との間の界面におけるニッケル酸化層の形成によって生じる剥離に繋がるほど低下する可能性がある。従って、少なくとも一部の既知の電気部品の銀層は、電気部品が約150℃よりも高い温度に曝されるときに剥離する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題は、本明細書に記述される電気部品およびその電気部品を製造する方法によって解決される。当該電気部品は、外表面を含む内側層と、少なくとも1つの白金族金属(PGM)を含む中間層とを含む。前記中間層は、前記内側層の前記外表面上に延在する。前記中間層は、外側PGM表面を有する。前記電気部品は、銀を含む銀層を含む。前記銀層は、前記中間層が前記内側層と前記銀層との間に延在するように前記外側PGM表面上に延在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、これから、添付の図面を参照して、一例として説明される。
【0006】
【
図1】電気コンタクトの一実施形態の斜視図である。
【0007】
【
図2】
図1の2−2線に沿う
図1に示す電気コンタクトの断面図である。
【0008】
【
図3】電気コンタクトの他の実施形態の断面図である。
【0009】
【
図4】電気コンタクトを製造する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、電気部品10の一実施形態の斜視図である。図示の実施形態では、電気部品10は、相補的な電気コンタクト(図示せず)と嵌合するように構成された電気コンタクト(即ち、電気端子)である。しかしながら、電気部品10は、電気コンタクトに限定されない。むしろ、電気部品10は、限定ではないが、電気トレース、電気バイア、電線、電気コンタクトパッド(即ち、表面実装電気コンタクト)等の電気路を提供する任意の他の種類の電気部品でもよい。電気部品10は、本説明を通して「電気コンタクト」10と呼ばれる。
【0011】
電気コンタクト10は、嵌合部分12から取付け部分14まで延出する。電気コンタクト10は、嵌合部分12にて相補的な電気コンタクトと嵌合するように構成される。電気コンタクト10の取付け部分14は、基板(図示せず、例えば、回路基板等)に取り付けられるように、および/又は電線(図示せず、電線が1つ以上のその他の電線を備えるケーブルにまとめられているか否かは問わない)に接続されるように、および/又は他の構造体に取り付けられるように構成される。
【0012】
図1に示す実施形態では、嵌合部分12は、相補的な電気コンタクトのソケット内に受容されるように構成されるピンである。しかしながら、電気コンタクト10は、本明細書において説明および/又は例示される嵌合部分12の具体的な実施形態に限定されない。むしろ、嵌合部分12のピンは一例に過ぎない。例えば、その他の実施形態では、嵌合部分12は、本明細書における相補的な電気コンタクト10のピンを受容するように構成されるソケットでもよい。さらに別の実施形態では、例えば、電気コンタクト10の嵌合面12は、限定ではないが、ブレード構造体、ばねフィンガ構造体、他のばね構造体等の他の構造体を含んでもよい。
【0013】
電気コンタクト10の取付け部分14は、
図1の例示の実施形態では圧着バレルである。取付け部分14の圧着バレルは、電線(図示せず)の端部の周囲に圧着されるように構成される。しかしながら、電気コンタクト10は、本明細書にて説明および/又は例示される取付け部分14の具体的な実施形態に限定されない。むしろ、取付け部分14の圧着バレルは一例に過ぎない。例えば、他の実施形態では、取付け部分14は、圧着バレルとは異なる圧着構造体を有してもよい。さらに、例えば、取付け部分14は、半田テール、表面実装構造体、ばね構造体、圧入ピン(例えば、ニードルアイ型ピン等)半田界面、溶接界面等を含んでもよい。
【0014】
嵌合部分12と取付け部分14との間でほぼ真っ直ぐな経路に沿って延出するように図示されているが、電気コンタクト10は他の形状を有してもよい。例えば、電気コンタクト10は、嵌合部分12と取付け部分14それぞれとの間の電気コンタクトの経路がほぼ真っ直ぐにならないように1つ以上の屈曲部(図示せず)を含んでもよい。電気コンタクト10の別の形状の具体的な一例は、電気コンタクト10が直角コンタクトになるように嵌合部分12と取付け部分14との間に約90°の屈曲部を有する電気コンタクトである。
【0015】
電気コンタクト10は、電気データ信号、電力、又は電気接地を導くように構成されてもよい。さらに、電気コンタクト10は、任意の種類の電気コネクタ(図示せず)等の範囲内で、任意の用途において使用されてもよい。電気コンタクト10の適した用途の例は、自動車用途、航空宇宙用途、発電および/又は配電用途、通信用途等である。一部の実施形態では、電気コンタクト10は、電気コンタクト10が約150℃よりも高い温度に曝される用途において使用される。例えば、電気コンタクト10は、電気コンタクト10の環境(例えば、エンジンルーム等)が約150℃よりも高い温度に曝される自動車用途および/又は航空宇宙用途において使用されてもよい。
【0016】
図2は、
図1の2−2線に沿う電気コンタクト10の断面図である。電気コンタクト10の少なくとも一部は、基部18と、内側層20と、中間層22と、銀(Ag)層24とを有する層構造体16を含む。以下に記述されるように、中間層22は、内側層20と銀層24との間に延在し、中間層22は、反応層(例えば、酸化物層)が内側層20上に生じるのを防止するように、酸化しない少なくとも1つの材料から製造される。
【0017】
図1の2−2線から明らかであるように、
図1および
図2の例示の実施形態では、電気コンタクト10の層構造体16は、電気コンタクト10の嵌合部分12の少なくとも一部を区画する。層構造体16は、任意の量の嵌合部分12を区画してもよいし、嵌合部分12に沿って任意の箇所(1つ又は複数)を区画してもよい。
図1および
図2の例示の実施形態では、層構造体16は、嵌合部分12のほぼ全体を区画している。
【0018】
一部の実施形態では、嵌合部分12の少なくとも一部を層構造体16によって区画することに加えて、又はその代わりに、電気コンタクト10の1つ以上のその他の部分(例えば、取付け部分14)が、層構造体16によって少なくとも部分的に区画される。電気コンタクト10のこのようなその他の部分(1つ又は複数)は、任意の量および任意の箇所が層構造体16によって区画されてよい。
【0019】
本明細書では円形の断面形状を有するように示されているが、層構造体16は、限定ではないが、矩形の断面形状、正方形の断面形状、4つの辺を有する断面形状、楕円形の断面形状、三角形の断面形状、4つ以上の辺を有する断面形状等の任意の他の断面形状を含んでもよい。
【0020】
ここで、
図2に示す層構造体16の構造を参照すると、基部18は、基部18の断面周囲長を区画する外側基部表面26を含む。以下に記述されるように、
図1および
図2の例示の実施形態では、内側層20は、基部18の外側基部表面26上に延在する。基部18は、任意の断面サイズ(例えば、
図1および
図2の例示の実施形態における任意の直径)を有してもよい。
【0021】
基部18は、任意の材料から製造されてよい。幾つかの実施形態では、基部18は、銅(Cu)を含む。例えば、基部18は、ほぼ全て銅から製造されてもよいし、部分的にのみ銅から製造されてもよい。基部18が部分的にのみ銅から製造される実施形態の例としては、限定ではないが、基部18を銅合金から製造すること、基部18を銅クラッド鋼から製造すること、基部18の大部分(しかしながらほぼ全てではない)を銅から製造すること、基部18の約90%以下を銅から製造すること、基部18の約95%以下を銅から製造すること、および基部18の約95%から約99%を銅から製造することが挙げられる。基部18を製造することができる銅合金の例としては、限定ではないが、真鍮、リン青銅、アルミニウム(Al)青銅、ケイ素(Si)青銅、銅ニッケル(Ni)等が挙げられる。銅に加えて又は銅の代わりに基部18を製造することができるその他の材料の例としては、限定ではないが、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム、鉄(Fe)、ケイ素、ニッケル、金(Au)、銀等が挙げられる。
【0022】
図2に示すように、内側層20は、基部18の外側基部表面26上に延在する。内側層20は、内側層20の断面周囲長を区画する外表面28を含む。以下に記述されるように、中間層22は、内側層20の外表面28上に延在する。内側層20は、任意の断面厚みTを有してよい。
【0023】
内側層20は、酸化物が外表面28上に生じることを可能にする任意の材料から製造されてよい。幾つかの実施形態では、内側層20は銅(Cu)を含む。例えば、内側層20は、ほぼ全体的に銅から製造されてもよいし、部分的にのみ銅から製造されてもよい。内側層20が部分的にのみ銅から製造される実施形態の例としては、限定ではないが、内側層20を銅合金から製造すること、内側層20を銅クラッド鋼から製造すること、内側層20の大部分(しかしながらほぼ全てではない)を銅から製造すること、内側層20の約90%以下を銅から製造すること、内側層20の約95%以下を銅から製造すること、および内側層20の約95%から約99%を銅から製造することが挙げられる。内側層20を製造することができる銅合金の例としては、限定ではないが、真鍮、リン青銅、アルミニウム(Al)青銅、ケイ素(Si)青銅、銅ニッケル(Ni)等が挙げられる。銅に加えて又は銅の代わりに内側層20を製造することができるその他の材料の例としては、限定ではないが、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、アルミニウム、鉄(Fe)、ケイ素、ニッケル、金(Au)、銀等が挙げられる。
【0024】
図示の実施形態では、内側層20はニッケルを含む。内側層20は、場合によっては以下で、且つ場合によっては本明細書における言い換えとして、「ニッケル層」20と呼ばれ、外表面28は、場合によっては以下で「外側ニッケル層」28と呼ばれる。図示の実施形態では、ニッケル層20の少なくとも大部分がニッケルから製造されている。幾つかの実施形態では、ニッケル層20のほぼ全体がニッケルから製造される。大部分ではあるがほぼ全体ではないニッケル層20がニッケルから製造される実施形態の例としては、限定ではないが、ニッケル層20がニッケル合金から製造されること、ニッケル層20の約90%以下がニッケルから製造されること、ニッケル層20の約95%以下がニッケルから製造されること、およびニッケル層20の約95%から約99%がニッケルから製造されることが挙げられる。ニッケル層20を製造することができるニッケル合金の例としては、限定ではないが、アルニコ、アルメル、クロメル、キュプロニッケル、フェロニッケル、洋銀、ハステロイ、インコネル、モネルメタル、ニクロム、ニッケルカーボン、ナイクロシル、ニシル、ニチノール、ミューメタル、パーマロイ、スーパーマロイ等が挙げられる。
【0025】
幾つかの実施形態では、層構造体の基部18および内側層20は同一の層である(即ち、層構造体の単一の層を区画する)。例えば、上述のように、層構造体16の基部18は、ニッケルから製造されてもよく(例えば、基部18の大部分又はほぼ全体がニッケルから製造されてもよい)、および/又は銅(例えば、基部18の大部分又はほぼ全体が銅から製造されてもよい)から製造されてもよい。基部18の大部分又はほぼ全体が内側層20と同じ材料(1つ又は複数)から製造されるこのような実施形態では、基部18は、外側基部表面26が外表面28と同じ表面であるように内側層20を区画する。言い換えれば、一部の実施形態では、基部18および内側層20は、層構造体16の別々の層を区画するのではなく、層構造体16の単一の連続的な層を区画する。
【0026】
例えば、
図3は、別の実施形態の電気コンタクト110の断面図である。電気コンタクト110の少なくとも一部は、基部118と、中間層122と、銀層124とを有する層構造体116を含む。基部118は、外表面128を含む層構造体の内側層120を区画する。中間層122は、内側層20の外表面128上に延在し、外側白金族金属(PGM)表面130を含み、この表面130上に銀層124が延在する。中間層122の構造および機能は、中間層22(
図2)とほぼ同様であり、従って、本明細書では詳細に説明されない。中間層22の構造および機能は、以下においてより詳細に説明される。
【0027】
図2を再度参照すると、中間層22は、ニッケル層20の外側ニッケル表面28上に延在する。中間層22は、少なくとも1つのPGMを含む。「PGM」という用語は、周期表において群を成す6つの金属元素を指す。PGMは、周期表のdブロック(8,9および10族、第5および6周期)にある遷移金属である。6つの白金族金属とは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、および白金(Pt)である。PGMは、プラチノイド、プラチダイス(platidises),白金族(platinum group)、白金金属、白金族(platinum family)、又は白金族元素(PGE)と呼ばれる場合もある。
【0028】
中間層22は、中間層22の断面周囲長を区画する外側PGM表面30を含む。以下に記述されるように、銀層24は、中間層22の外側PGM表面30上に延在する。
図2に示すように、中間層は、ニッケル層20と銀層24との間で断面厚みT1だけ延在する。中間層22の断面厚みT1は、任意の値を有してよい。中間層22の断面厚みT1の例としては、限定ではないが、約500ナノメートル(nm)未満、約2nmから約501nm、約50nm以下、および約1nm以上が挙げられる。幾つかの実施形態では、中間層22の断面厚みT1は、約500nmよりも大きい。
【0029】
上述のように、中間層22は、1つ以上のPGMを含む。中間層22の少なくとも大部分は、1つ以上のPGMから製造される。例えば、中間層22は、ほぼ全体が前記1つ以上のPGMから製造されてもよい。大部分ではあるがほぼ全体ではない中間層22が前記1つ以上のPGMから製造される実施形態の例としては、限定ではないが、中間層22をPGM合金から製造すること、中間層22の約90%以下を前記1つ以上のPGMから製造すること、中間層22の約95%以下を前記1つ以上のPGMから製造すること、および中間層22の約95%から約99%を前記1つ以上のPGMから製造することが挙げられる。幾つかの実施形態では、中間層22は単一のPGMのみを含み、中間層22が任意の非PGM材料も含むか否かは問わない。中間層22を単一のPGMから製造することは、中間層22を2つ以上のPGMから製造することよりも容易および/又はコストが低くなる可能性がある。例えば、中間層22が単一のPGMのみを含む場合と比較して、中間層22が2つ以上のPGMを含む場合、ニッケル層20の外側ニッケル表面28上に中間層22を堆積(deposit)する(例えば、めっき法等を用いて)ことはより困難および/又はコストが掛かる可能性がある。さらに、例えば、単一のPGMのみを含む物質と比較して2つ以上のPGMを含む物質を購入、取得、形成等することはよりコストが掛かる可能性がある。ある具体的な例示の実施形態において、中間層22の少なくとも95%がパラジウムから製造され、中間層はその他のPGMを含まない。
【0030】
銀層24は、中間層22の外側PGM表面30上に延在する。
図2に示し且つ上述したように、中間層22は、ニッケル層20と銀層24との間、即ち、電気コンタクト10の層構造体16内のニッケル層20と銀層24との間に延在する。銀層24は、外側銀表面32を含み、外側銀表面32は、銀層24の外側銀表面32上にその他の層が延在しているか否かによって、電気コンタクト10の嵌合部分12の断面周囲長を区画してもよい。銀層24は、電気コンタクト10に所定の導電性を付与するように選択することができる任意の断面厚みT2を有してもよい。
【0031】
銀層24は銀を含む。銀層24の少なくとも大部分は銀から製造される。一部の実施形態では、銀層24のほぼ全体が銀から製造される。大部分ではあるがほぼ全体ではない銀層24が銀から製造される実施形態の例としては、限定ではないが、銀層24を銀合金から製造すること、銀層24の約90%以下を銀から製造すること、銀層24の約95%以下を銀から製造すること、および銀層24の約95%から約99%を銀から製造することが挙げられる。銀層24を製造することができる銀合金の例としては、限定ではないが、アルゲンティウムスターリング銀、ビロン、ブリタニア銀、青金、エレクトラム、ゴロイド(goloid)、白金スターリング、四分一、スターリング銀、チベット銀等が挙げられる。銀層24に含有される銀の量は、電気コンタクト10の嵌合部分12に所定の導電性を付与するために選択されてよい。
【0032】
中間層22のPGM(1つ又は複数)は、中間層22がニッケルおよび銀の両方と少なくともある程度の相溶性を有するようにニッケルおよび銀の両方に混和性がある(例えば、中間層22のPGM(1つ又は複数)は、ニッケルおよび銀の両方と連続的な面心立方(FCC)固溶体を形成する)。従って、中間層22の結晶構造体は、層20と層22の間の界面においてニッケル層20の結晶構造体と結合し、中間層22の結晶構造体は、層22と層24の間の界面において銀層24の結晶構造体と結合する。層20と層22との間および層22と層24との間の相互結合により、例えば、銀とニッケルとの間の直接的な接着と比較して、層20と層22の間、層22と層24の間、およびそれによってニッケル層20と銀層24との間の比較的強固且つ比較的安定した接着がもたらされる。幾つかの他の実施形態では、中間層22のPGM(1つ又は複数)は、中間層22が、ニッケル層20と中間層22との間の界面にてニッケル層20と化合物を形成する(例えば、金属間化合物を形成する)ようにニッケルによって生じる化合物である(例えば、金属間化合物を形成する)。
【0033】
中間層22は、酸化物層がニッケル層20と銀層24との間に生じることを防止することによって剥離を防止するバリアを提供する。具体的には、中間層22のPGM(1つ又は複数)が酸化しないので、中間層22は酸化しない。従って、酸素は銀層24に容易に拡散するが、中間層22は、有害な酸化層がニッケル層20と中間層22との間に(例えば、外側ニッケル表面28上に)生じることを防止するバリアを提供する。酸化物層が外側ニッケル表面28上に生じることを防止することによって、中間層22によって提供されるバリアは、銀層24がニッケル層20から剥離することを防止する。例えば、酸化物層が層22と層20との間の界面に生じることを防止することによって、中間層22は、層22と層20および24との間の結合が弱まることを防止する。本明細書にて使用されるように、酸化物および/又は酸化物層が生じることを「防止する」ことは、銀層24の剥離を引き起こすのに十分な酸化物層の形成を防止することを意味することを意図している。言い換えれば、酸化物および/又は酸化物層が生じることを「防止する」ことは、本明細書にて使用されるように、ニッケル層20と銀層24との間の界面に全く酸化物が形成されないということを必ずしも意味するものではない。むしろ、酸化物および/又は酸化物層が生じることを「防止する」ことは、本明細書にて使用されるように、銀層24の剥離を引き起こすには不十分な(例えば、互いに連続していない)酸化物の局所的で断続的な「堆積体(lands)」の形成を含んでもよい。例えば、中間層22は多孔質でもよく、酸化物のこのような局所的で断続的な堆積体が中間層22の孔に生じてもよい。一部の実施形態では、中間層22の孔の各々は、銀層24の剥離を引き起こすのに十分な酸化物の局所的で断続的な堆積体の形成を防止するために、約0.5マイクロメートル以下でなくてはならない。さらに、一部の実施形態では、中間層22の多孔性は、中間層22が、銀層24の剥離を引き起こすのに十分な酸化物の局所的で断続的な堆積体の形成を防止するために、外側ニッケル表面28の少なくとも約50%を被覆するようなものでなければならない。
【0034】
中間層22は、銀層24が150℃よりも高い温度にてニッケル層20から剥離することを防止するように構成される。具体的には、中間層22は、酸化物が層22と層20の間の界面に生じることを防止し、中間層22は、銀層24がニッケル層20から剥離することを防止するために、中間層22と層20および24の間の結合が、150℃よりも高い温度にて十分に強固に留まるように、層20および層24と結合する。
【0035】
さらに、中間層22は、酸化物が生じることを防止するので、ニッケル層20と中間層22との間の界面にて、又は中間層22と銀層24との間の界面にて、金属間化合物を形成する層を使用する必要がない。例えば、ニッケル層と銀層との間に十分に強固な接着をもたらし、それによって酸化物層の形成によって生じる接着の脆弱化を軽減するために、金属間化合物形成層を含み、それによってニッケル層と銀層との間の界面にて金属間化合物を形成することが知られている。しかしながら、金属間化合物を形成することは困難および/又はコストが掛かる可能性がある。例えば、ストライク層とニッケル層および銀層の間に金属間化合物を十分に形成するために電気コンタクトを熱処理する必要がある可能性がある。かかる熱処理によって、比較的時間が掛かり且つ/又はコストが掛かる可能性がある製造ステップが追加される。従って、中間層22のPGM(1つ又は複数)は、例えば、ニッケル層および銀層を含む少なくとも一部の既知の電気コンタクトと比較して、電気コンタクトを製造するコスト、困難性、および/又は時間を減少することができる。
【0036】
さらに、中間層22は酸化を防止するので、中間層22は、ニッケル層及び銀層を含む少なくとも一部の既知の電気コンタクトのストライク層よりも薄くてよい。例えば、少なくとも一部の既知のストライク層は、酸化を防止しない場合があり、従って、酸化物層の形成によって生じるニッケル層と銀層の間の接着の脆弱化を十分に軽減するために、十分に強固な接着を伴う十分な金属間化合物形成をもたらす十分な厚みを有する必要がある可能性がある。酸化物層が層22と層20および層24との間の界面に生じることを防止することによって、中間層22は、層22と層20および24との間の結合が、このような酸化物層によって弱められることを防止する。従って、中間層22の厚みT1は、ニッケル層および銀層を含む少なくとも一部の既知の電気コンタクトのストライク層と比較して減少してよい。中間層22の厚みT1は、銀層24が150℃よりも高い所定の温度でニッケル層20から剥離することを防止するために、層22と層20および24との間の結合に十分な強度を付与するように選択されてよい。
【0037】
図4は、電気コンタクト、例えば、電気コンタクト10(
図1および
図2)又は電気コンタクト110(
図3)を製造する方法200を示すフローチャートである。402では、方法400は、電気コンタクトの内側層(例えば、
図2に示すニッケル層20又は
図3に示すニッケル層120)の外表面(例えば、
図2に示す外側ニッケル表面28又は
図3に示す外表面128)上に中間層(例えば、
図2に示す中間層22又は
図3に示す中間層122)を堆積(deposit)することを含む。402にて内側層の外表面上に中間層を堆積することは、402aにて、中間層の結晶構造体を内側層の結晶構造体と結合することを含んでもよい。
【0038】
中間層は、402にて、限定ではないが、めっき法、吹付け法、スパッタリング法、化学蒸着(CVD)法等の任意の方法を使用して、内側層の外表面上に堆積されてよい。内側層の外表面上に中間層を堆積するために、限定ではないが、電気めっき、無電解めっき等の任意の種類のめっき法を使用してよい。従って、402にて内側層の外表面上に中間層を堆積することは、任意ではあるが、402bにてめっき法を使用して内側層の外表面上に中間層を堆積することを含む。
【0039】
404にて、方法400は、中間層が内側層と銀層との間に延在するように、中間層の外側PGM表面(例えば、
図2に示す外側PGM表面30又は
図3に示す外側PGM表面130)上に銀層(例えば、
図2に示す銀層24又は
図3に示す銀層124)を堆積(deposit)することを含む。404にて中間層の外側PGM表面上に銀層を堆積することは、404aにて銀層の結晶構造体を中間層の結晶構造体と結合することを含んでもよい。
【0040】
銀層は、404にて、限定ではないが、めっき法、吹付け法、スパッタリング法、化学蒸着(CVD)法等の任意の方法を使用して、中間層の外側PGM表面上に堆積されてよい。中間層の外側PGM表面上に銀層を堆積するために、限定ではないが、電気めっき、無電解めっき等の任意の種類のめっき法を使用してよい。従って、404にて中間層の外側PGM表面上に銀層を堆積することは、任意ではあるが、404bにてめっき法を使用して中間層の外側PGM表面上に銀層を堆積することを含む。
【0041】
上記の説明は一例であって、限定することを意図しないことは理解されるべきである。例えば、上述の実施形態(および/又はその態様)は、互いに組み合わせて用いられてよい。さらに、本発明の範囲から逸脱することなく本発明の教示に特定の状況又は材料を適応させるために多くの修正がなされてよい。本明細書に記述された寸法、材料の種類、様々な部品の向き、および様々な部品の数および位置は、特定の実施形態のパラメータを定義することを意図しており、決して限定的なものではなく、例示的な実施形態に過ぎない。本特許請求の精神および範囲内の多くのその他の実施形態および変形は、上記の説明を再検討すれば当業者には明らかになる。従って、本発明の範囲は、添付の請求の範囲を、当該請求の範囲に認められる均等物の全範囲と共に参照して決定されるべきである。
【国際調査報告】