特表2016-533462(P2016-533462A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-533462炭化水素坑井を掘削し稼働するためのねじ接続を形成するアセンブリ、および得られるねじ接続
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-533462(P2016-533462A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】炭化水素坑井を掘削し稼働するためのねじ接続を形成するアセンブリ、および得られるねじ接続
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/04 20060101AFI20160930BHJP
   E21B 17/042 20060101ALI20160930BHJP
   F16B 33/02 20060101ALI20160930BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20160930BHJP
【FI】
   F16L15/04 A
   E21B17/042
   F16B33/02 B
   F16B7/18 A
   F16B33/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-526529(P2016-526529)
(86)(22)【出願日】2014年7月8日
(85)【翻訳文提出日】2016年3月14日
(86)【国際出願番号】EP2014064636
(87)【国際公開番号】WO2015007579
(87)【国際公開日】20150122
(31)【優先権主張番号】1357082
(32)【優先日】2013年7月18日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ルグラン,ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】モロー,レジス
【テーマコード(参考)】
2D129
3H013
3J039
【Fターム(参考)】
2D129AA00
2D129AB01
2D129EC06
3H013JA02
3H013JA03
3J039AA03
3J039AB04
3J039BB01
3J039GA01
3J039GA07
3J039GA09
(57)【要約】
本発明は、ねじ接続を形成するアセンブリに関し、このアッセンブリは、回転軸(10)を有する第1,第2の管状コンポーネントを備え、各コンポーネントは、夫々前記コンポーネントのねじ端部が雄型であるか雌型であるかに応じて前記コンポーネントの内周表面または外周表面に第1の螺旋に従う少なくとも第1の連続ねじ領域(3、4)を前記第1および第2のコンポーネントの一方の端部(1、2)に備え、且つ組立時に協働し、前記端部(1、2)の前記第1のねじ領域(3、4)が、可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有し、前記端部(1、2)が夫々端子表面(7、8)で終端し、前記端部(1、2)の少なくとも一方が前記ねじ領域と前記端子表面との間に設けられるリップを有し、前記リップは、前記接続が組立状態にあるとき、他方の端部に向くように配置された対応する封止表面(6)との封止締まりばめに協働することができる封止表面(5)を有し、前記リップ(12)は、一方では前記ねじ領域に隣接し、他方では前記封止表面に隣接する溝(11)によって中空にされ、前記溝の長さ(GL)は(I)で計算される。


【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ接続を形成するアセンブリであって、回転軸(10)を有する第1,第2の管状コンポーネントを備え、各コンポーネントは、夫々前記コンポーネントのねじ端部が雄型であるか雌型であるかに応じて前記コンポーネントの内周表面または外周表面に第1の螺旋に従う少なくとも第1の連続ねじ領域(3、4)を前記第1および第2のコンポーネントの一方の端部(1、2)に備え、且つ組立時に協働し、前記端部(1、2)の前記第1のねじ領域(3、4)が、前記回転軸(10)が通る縦断面にみられるように、可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有し、前記端部(1、2)が夫々端子表面(7、8)で終端し、前記端部(1、2)の少なくとも一方が前記ねじ領域と前記端子表面との間に設けられるリップを有し、前記リップは、前記接続が組立られた状態にあるとき、他方の端部に向くように配置された対応する封止表面(6)との封止締まりばめに協働することができる封止表面(5)を有し、前記リップ(12)は、一方では前記ねじ領域に隣接し、他方では前記封止表面に隣接する溝(11)によって中空にされ、前記溝の長さ(GL)は以下のように計算され、
LFLはロードフランクのピッチの値であり、
SFLはスタビングフランクのピッチの値であり、
TLはねじ長であり、
RLPは基準位置長さであり、
nはねじの螺旋の数である、ことを特徴とするねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項2】
パラメータLFL,SFL,TL,RPLおよびnの値が、
4mm<LFL<20mm、
4mm<SFL<20mm、
20mm<TL<300mm、
10mm<RLP<150mm、
1<n<4、によって制限されることを特徴とする請求項1に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項3】
パラメータLFL,SFL,TL,RPLおよびnの値が、
10mm<LFL<17mm、
10mm<SFL<17mm、
40mm<TL<160mm、
20mm<RLP<80mm、
n=2、によって制限されることを特徴とする請求項2に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項4】
前記端部(1、2)の前記第1のねじ領域(3、4)が、可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有し、且つ自動ロック式であることを特徴とする請求項1に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項5】
前記端部(1、2)の前記第1のねじ領域(3、4)が、LFL=SFL=P(ねじのピッチ)であるように、略ゼロの可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有することを特徴とする請求項1に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項6】
前記回転軸(10)が通る縦断面に見られるように、前記溝(11)が、第1の傾斜部(11a)を介して前記ねじ領域にリンクされ、且つ第2の傾斜部(11c)を介して前記封止表面を備える前記領域にリンクされた環状部分(11b)によって構成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項7】
前記溝(11)の厚みが0.2〜2.5mmの量(p)だけ前記リップ(12)の厚みより少ないことを特徴とする請求項6記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の傾斜部(11a)が前記接続の前記回転軸(10)に対して20°〜75°の範囲の角度αを形成することを特徴とする請求項6記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項9】
前記第2の傾斜部(11c)が前記接続の前記回転軸(10)に対して5°〜90°の範囲の角度βを形成することを特徴とする請求項6記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項10】
前記リップの前記封止表面が30〜100mmの範囲の半径を有するドーム状表面であり、前記対応する封止表面の頂点半角に対する接線が0.025〜0.25の範囲にあるテーパー状表面、すなわち5%〜50%の範囲のテーパーであることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項11】
0.05〜0.5mmの範囲の半径ギャップTRGが前記雄型ねじのクレストと前記雌型ねじのルートとの間に設けられることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項12】
前記ねじ領域が、1〜15°の範囲、好ましくは5〜8°の範囲の負のスタビングフランク角度SFAを有することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項13】
前記ねじ領域が、1〜15°の範囲、好ましくは5〜8°の範囲の負のロードフランク角度LFAを有することを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項14】
各端部(1、2)のねじ領域が、5%〜25%の範囲、好ましくは10%〜18%の範囲の傾斜を有する同じテーパー母線(9)に沿って延在することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項15】
前記管状コンポーネントの端部(1、2)の各々は、マルチスタートタイプの、もう一方の螺旋に生成された少なくとも第2の連続ねじ領域を備えることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のねじ接続を形成するアセンブリ。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項に係るアセンブリを組立てることによるねじ接続。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素坑井を掘削および/または稼働するためのねじ接続に関し、より正確には、この接続が圧縮/引っ張り状態で働くとき、効率と封止(efficiency and seal)に関してその接続全体の性能を最適化することに関する。
【背景技術】
【0002】
「ねじ接続」とは、炭化水素坑井を掘削するためのステム、または維持管理するための(ワークオーバーライザとしても知られた)ライザ、井戸の稼働に使用されるケーシングまたは管状ストリングの何れかを構成する目的で、組立てによって一体接続が可能な、実質的に管状で、金属の要素によって構成される任意のアセンブリを意味している。
【0003】
各管状要素は、類似の要素の対応する端部と組み立てられるための雄型ねじ領域または雌型ねじ領域を設けた一端部を有している。組み立てられたとき、これらの要素は接続として知られるものを形成する。
【0004】
接続用のそのような管状ねじコンポーネントは、稼働条件によって課される締まりばめおよびシーリング要件に応じるために、事前設定された負荷下で組み立てられる。また、管状ねじコンポーネントは、特に稼働中に幾つかの組立‐分解サイクルを受ける可能性があることに留意すべきである。
【0005】
そのような管状ねじコンポーネントが使用される条件は、ねじ領域、当接領域または封止表面のような、これらのコンポーネントの傷付きやすい部分に働く機械的負荷の範囲拡張をもたらしている。
【0006】
このため、接続の設計仕様は複雑であり、多数のパラメータを同時に考慮する必要がある。このように、接続の性能と、封止表面を支持する管状コンポーネントの領域の厚みが保たれ、且つ接続が圧縮/引っ張り状態で稼働するときに封止接触点が変位するリスクを最小することが望ましい。
【0007】
一つの解決策が、WO2008/110494号の書類に記述された接続を通して開発された。そのような接続の雄型および/または雌型端部は、封止表面の丁度前方のねじ切り解除部に配置される溝が設けられたリップを有している。その溝は、前記端部の厚みを減少するためと、同時にその溝の近傍の領域がその領域に対して発揮される圧力によって半径方向に変形されやすいように半径剛性を減少するために使用することができる。そして、これは封止表面間の接触が維持されることを意味している。
【0008】
しかしながら、試験では、このタイプの溝の軸長は長すぎて、溝近傍の領域の半径変形が弾性領域をしばしば超えることを意味している。その領域の可塑化がかなりの頻度で生じ、リップの座屈となり、且つ封止表面での接触の喪失となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このため、本発明の目的は、接続が湾曲下で稼働するとき、または管状コンポーネントの端部が半径方向の圧力を受けるとき、端部近傍で座屈するリスクを防止することである。より詳細には、本発明は、半径方向の締まりばめねじを有する接続および蟻継ぎねじプロファイル(dovetail thread profile)を有する接続の場合に、溝の最大軸長を制限することに適用可能である。
【0010】
更に詳しくは、本発明は、ねじ接続を形成するアセンブリであって、回転軸を有する第1,第2の管状コンポーネントを備え、各コンポーネントは、夫々前記コンポーネントのねじ端部が雄型であるか雌型であるかに応じて前記コンポーネントの内周表面または外周表面に第1の螺旋に従う少なくとも第1の連続ねじ領域を前記第1および第2のコンポーネントの一方の端部に備え、且つ組立時に協働し、前記端部の前記第1のねじ領域が、前記回転軸を通る縦断面に見られるように、可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有し、前記端部が夫々端子表面で終端し、前記端部の少なくとも一方が前記ねじ領域と前記端子表面との間に設けられるリップを有し、前記リップは、前記接続が組立られた状態にあるとき、他方の端部に向くように配置された対応する封止表面との封止締まりばめに協働することができる封止表面を有し、前記リップは、一方では前記ねじ領域に隣接し他方では前記封止表面に隣接する溝によって中空にされ、前記溝の長さ(GL)は以下のように計算され、
LFLはロードフランクのピッチの値であり、
SFLはスタビングフランクのピッチの値であり、
TLはねじ長であり、
RLPは基準位置長さであり、
nはねじの螺旋の数である。
【0011】
本発明の選択的、補足的または実質的特徴は以下に設定される。
【0012】
パラメータLFL,SFL,TL,RPLおよびnの値が、
4mm<LFL<20mm、
4mm<SFL<20mm、
20mm<TL<300mm、
10mm<RLP<150mm、
1<n<4、によって制限される。
【0013】
パラメータLFL,SFL,TL,RPLおよびnの値が、
10mm<LFL<17mm、
10mm<SFL<17mm、
40mm<TL<160mm、
20mm<RLP<80mm、
n=2、によって制限される。
【0014】
前記端部の前記第1のねじ領域が、可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有し、且つ自動ロック式であってもよい。
【0015】
前記端部の前記第1のねじ領域が、LFL=SFL=P(ねじのピッチ)であるように、略ゼロの可変幅の蟻継ぎねじプロファイルを有してもよい。
【0016】
前記回転軸を通る縦断面に見られるように、前記溝が、第1の傾斜部を介して前記ねじ領域にリンクされ、且つ第2の傾斜部を介して前記封止表面を備える前記領域にリンクされた環状部分によって構成されてもよい。
【0017】
前記溝の厚みが0.2〜2.5mmの量(p)だけ前記リップの厚みより少なくてもよい。
【0018】
前記第1の傾斜部が前記接続の前記回転軸に対して20°〜75°の範囲の角度αを形成してもよい。
【0019】
前記第2の傾斜部が前記接続の前記回転軸に対して5°〜90°の範囲の角度βを形成してもよい。
【0020】
前記リップの前記封止表面が30〜100mmの範囲の半径を有するドーム状表面であり、前記対応する封止表面の点半角に対する接線が0.025〜0.25の範囲にあるテーパー状表面、すなわち5%〜50%の範囲のテーパーであってもよい。
【0021】
0.05〜0.5mmの範囲の半径ギャップTRGが前記雄型ねじのクレストと前記雌型ねじのルートとの間に設けられてもよい。
【0022】
前記ねじ領域が、1〜15°の範囲、好ましくは5〜8°の範囲の負のスタビングフランク角度SFAを有してもよい。
【0023】
前記ねじ領域が、1〜15°の範囲、好ましくは5〜8°の範囲の負のロードフランク角度LFAを有してもよい。
【0024】
各端部のねじ領域が、5%〜25%の範囲、好ましくは10%〜18%の範囲の傾斜を有する同じテーパー母線に沿って延在してもよい。
【0025】
前記管状コンポーネントの端部の各々は、マルチスタートタイプの、もう一方の螺旋に生成された少なくとも第2の連続ねじ領域を備えてもよい。
【0026】
また、本発明は、本発明に係るアセンブリを組立てることによるねじ接続に関する。
【0027】
本発明の徴長と利点が、添付図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、組立によって二つの管状コンポーネントを接続することから得られる本発明の一実施の形態に係る接続の縦断面図である。
図2A図2Aは、組立によって二つの管状コンポーネントを接続することから得られる本発明の一実施の形態に係る接続のねじ領域の細部の縦断面図である。
図2B図2Bは、組立によって二つの管状コンポーネントを接続することから得られる本発明の一実施の形態に係る接続のねじ領域の細部の縦断面図である。
図3A図3Aは、組立によって二つの管状コンポーネントを接続することから得られる本発明の他の一実施の形態に係る接続のねじ領域の細部の縦断面図である。
図3B図3Bは、組立によって二つの管状コンポーネントを接続することから得られる本発明の他の一実施の形態に係る接続のねじ領域の細部の縦断面図である。
図4図4は、本発明の詳細説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、回転軸10を有する第1,第2の管状コンポーネントを備えたねじ接続を形成するアセンブリを示している。これらのコンポーネントの内、一方のコンポーネントは、外周表面に作り出された第1の螺旋に従う第1の連続ねじ領域3を備えた雄型端部1として知られる端部を備えている。「連続ねじ領域」とは、そのねじ中にねじ領域の中断がないことを意味している。
【0030】
一変形例では、端部1に、第2の螺旋に従う第2のねじ領域を設けることが可能であり、勿論、第1と第2のねじ領域が組立可能なように同位相であることを考慮している。
【0031】
他方のコンポーネントは、そのコンポーネントの内周表面に生成され、且つ第1の螺旋に従う第1の連続ねじ領域4を設けた雌型端部2と呼ばれる端部を備えている。「連続ねじ領域」は、そのねじ中にねじ領域4の中断がないことを意味している。
【0032】
一変形例では、端部2に、第2の螺旋に従う第2のねじ領域を設けることが可能であり、勿論、第1,第2のねじ領域が組立可能なように同位相であることを考慮している。
【0033】
連続ねじ領域3,4は夫々組立において協働できる。
【0034】
端部1,2は、端子表面7,8で夫々終端する。端子表面の各々は、組立中に他方の管状コンポーネントの端部に設けられる対応する当接表面に当接しても、当接しなくてもよい。
【0035】
封止表面5は、リップ12の雄型端部1に設けられ、前記リップは、一方ではねじ領域3によって、他方では端子表面7によって範囲が画定される端部1の周外表面の一部として画定される。封止表面5は、接続が組立られた状態にあるとき、雌型端部2に設けられる対応する封止表面6と封止締まりばめで協働できる。
【0036】
図1は、前記端部の外径ODpと内径IDpの間の差によって画定されず、ねじ領域3の基部で、すなわち最後のねじで画定される、雄型端部1の臨界部(critical section)呼ばれる、雄型端部1の厚みepも示している。同様に、雌型端部1の臨界部とも呼ばれる雌型端部2の厚みebは、雌型端部の外径ODbと内径IDbの間の差によって画定されず、ねじ領域4の基部で、すなわち最後のねじで画定される。
【0037】
このように、雄型端部の臨界部は、雄型端部1の厚みepから画定され、且つ雌型端部の臨界部は、雌型端部2の厚みebから画定され、実際に、前記臨界部は、厚みep,ebを有する領域での雄型または雌型端部の断面によって作られる表面である。
【0038】
このように、接続の性能は、雄型端部の臨界部と雌型端部の臨界部の間の最小値と管の通常セクションの間の比率に等しいように画定される。当然、管の通常セクションは、ねじ領域からある距離で測定されたねじコンポーネントの厚みから取られなければならない。したがって、この厚みは、雄型コンポーネントに対してと雌型コンポーネントに対して一定である。この厚みは、ODpとIDpの間の差からのように、ODb,IDbの間の差から等しく計算できる。接続の性能の概念は、接続の疲労強度にリンクされる。
【0039】
本発明に従って且つ図2A,2B,3A,3Bに示されるように、ねじ領域3,4は、回転軸10が通る縦断面で見られるように、「蟻継ぎ」ねじプロファイルを有している。これは、雄型ねじ領域3のねじ34のスタビングフランク35とロードフランク36が負であることを暗示している。
【0040】
同様に、雌型ねじ領域4のねじ44のスタビングフランク45とロードフランク46もまた負である。この蟻継ぎプロファイルは、組み立てられた接続に負荷が加えられた状態にあるとき、またはそれが湾曲した状態で稼働するとき、ねじの飛び出しが回避できることを意味している。
【0041】
本発明に従って且つ図3A,3Bに示されるように、ねじ領域3,4は、「可変幅」のねじプロファイルを有している。このことは、雌型ねじフランク(または歯)44と同様に、雄型ねじフランク(または歯)34が同じピッチを有し、ねじの幅が夫々の端子表面の方向に減少することを意味している。
【0042】
より正確には、雌型ねじ領域のロードフランク46間のピッチLFLは、雌型ねじ領域のスタビングフランク45間のピッチSFLの様に、一定であり、ロードフランク間のピッチがスタビングフランク間のピッチよりも大きい特定の特徴を有している。
【0043】
同様に、雄型スタビングフランク35間のピッチSFLは、雌型ロードフランク36間のピッチLFLのように一定である。加えて、雄型スタビングフランク35および雌型スタビングフランク45の夫々のピッチSFLは互いに等しく、且つ相互に等しい雄型ロードフランク36と雌型ロードフランク46の夫々のピッチLFLよりも小さい。
【0044】
従来通り、ねじの幅、例えばフランク間のピッチは、ねじの半分の高さで測定される。
【0045】
変形例では、ねじ領域3,4が自動ロック式であっても、自動ロック式でなくてもよい。自動ロック式ねじの場合、雄型ねじ(または歯)と雌型ねじ(または歯)は、所定の位置で互いに組み合わさった端部でロックされることによって終わる。
【0046】
自動ロック式でないねじの場合、接続は、ロードフランクおよび/またはスタビングフランクが接触状態にないように内部および/または外部当接部を備えてもよい。
【0047】
本発明に従って、ねじ領域3と封止表面5の間のリップ12に、短い長さGLを有する溝11がある。「短い長さ」とは、溝11が、以下のように決定される最大値を有するように、従来の技術に対して減少した長さで延在することを意味している。
ここで、
LFLは、ロードフランクのピッチの値であり、
SFLは、スタビングフランクのピッチの値であり、
TLは、ねじ長であり、
RLPは、基準位置長さであり、
nは、ねじ中の螺旋の数である。
定義によって、基準長さ位置RLPは、端子表面に最も近いねじとねじの谷がねじのクレストの幅と等しい、ねじの領域の間の距離である。
【0048】
ねじ領域が機械加工できるように、溝11は、以下のように決定される最小値を有している。
【0049】
図2A,2Bに記述された本発明の特定の実施の形態において、ねじの幅のバラツキは略ゼロであり、それによってLFL,SFLは等しく、且つねじのピッチPに対応している。したがって、溝11の短い長さGLに対する関係は0.2P/n<GL<P/nに単純化される。
【0050】
有利には、パラメータLFL,SFL,TL,RPLおよびnの値が以下のように限定される。
4mm<LFL<20mm、
4mm<SFL<20mm、
20mm<TL<300mm、
10mm<RLP<150mm、および
1<n<4である。
【0051】
有利には、ねじ領域3,4が自動ロック式の場合、パラメータLFL,SFL,TL,RPLおよびnの値は、以下のように限定される。
10mm<LFL<17mm、
10mm<SFL<17mm、
40mm<TL<160mm、
20mm<RLP<80mm、および
n=2である。
【0052】
有利には、回転軸10が通る縦断面の図4に見られるように、溝11は、第1の傾斜部11aを介してねじ領域にリンクされ、且つ第2の傾斜部11cを介して封止表面を有する領域にリンクされた環状部11bによって構成されている。この設計は、機械加工が比較的に単純であることを意味している。明らかなことは、種々の部分が一緒に、且つ例えば曲率半径を介して従来のようにねじ領域3と封止領域5にリンクされている。
【0053】
リップ12の塑性変形を回避するために、溝11の厚みは0.2〜2.5mmの厚みpだけリップ12の厚み未満である。
【0054】
組立開始時に、雄型要素と雌型要素の係合を促進するために、第1の傾斜部11aは、接続の回転軸10に対して20°〜75°の範囲の角度αを形成している。
【0055】
溝11の機械加工を促進するために、第2の傾斜部11cは、接続の回転軸10に対して5°〜90°の範囲の角度βを形成している。
【0056】
有利には、締まりばめで封止するために協働する封止表面は、トーラスオンコーン(円錐体上の環状体)接触を形成している。実際、「点」接触として知られているこのタイプの接触はより安定している。
【0057】
有利には、トロイド表面は、好ましくは30〜100mmの範囲の半径Rのドーム状トロイド凸表面である。半径が大きすぎる場合、すなわち100mmを越える場合には、トロイド表面に対してコーンオンコーン接触の場合と同一の不利益を引き起こす。半径が小さすぎる場合、すなわち30mm未満の場合には、接触幅が不十分となる。
【0058】
トロイド封止表面に向かって、テーパー状封止表面は、接続の回転軸10に関して角度を形成するテーパー母線によって支持され、その角度の頂点半角に対する接線が5%〜50%の範囲のテーパーに対応する0.025〜0.25の範囲にある。
【0059】
有利には、図3A,3Bに示されるように、蟻継ぎとして形成された可変幅のねじプロファイルを有する連続ねじ領域は、0.05〜0.5mmの範囲でねじクレスト(ねじ頂部)とねじルート(ねじ底)との間の半径ギャップTRGを有することができる。このように、このギャップは、雄型ねじクレスト37と雌型ねじルート47との間に設けられる。そのギャップは、雌型ねじクレストと雄型ねじルートとの間であってもよい。このように、組立中にグリースを集めることができ、且つ過剰な圧力の領域を回避できる自由容量が提供される。
【0060】
また、ねじクレストとねじルートとの間の半径ギャップTRGは、図2A,2Bに示されるように、ねじが一定幅を有する場合にも適用可能であることに留意すべきである。
【0061】
ねじクレストとねじルートとの間の半径ギャップは、0.1〜0.3mmの範囲にあることが好ましい。この値は、接続性能に影響を及ぼすことなくグリースを格納するのに十分な自由容量があることを意味している。
【0062】
有利には、圧力負荷中にねじ領域で半径ギャップを最小にするために、ねじ領域は、1〜15°の範囲、好ましくは5〜8°の範囲で負のスタビングフランク角度SFAを有している。
【0063】
有利には、圧力負荷中にねじ領域で半径ギャップを最小にするために、ねじ領域は、1〜15°の範囲、好ましくは5〜8°の範囲で負のロードフランク角度LFAを有している。
【0064】
有利には、組立開始時に雄型要素と雌型要素の係合を促進するために、各端部1,2のねじ領域が5%〜25%の範囲、好ましくは10%〜18%の範囲の傾斜を有する同じテーパー母線9に沿って延在している。
【0065】
本発明は、連結タイプ、面一タイプまたは半面一タイプのものである接続の任意のタイプにも適する。
【0066】
明らかに、本発明は、雌型端部のみが本発明に係る溝を有する封止表面を有するリップを有し、且つ雄型端部がそれを備えない構成を有している。
【0067】
明らかに、本発明は、雄型および雌型端部のみが同じ螺旋に配置された複数の連続ねじ領域を備え、且つ単独の連続ねじ領域を備えない構成を有している。
【0068】
また、本発明は、雄型端部に加えて雌型端部も、本発明に係る溝を有する封止表面を設けたリップを備える構成を有している。
【0069】
このタイプのねじは、蟻継ぎねじプロファイルを有する接続のリップを補強し、且つそのリップの半径剛性のより良好な制御を確保するために使用できる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】