(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-533699(P2016-533699A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(54)【発明の名称】環境発電デバイス
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20160930BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20160930BHJP
【FI】
H02N11/00 Z
H02J7/35 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-515498(P2016-515498)
(86)(22)【出願日】2014年9月15日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】DK2014000047
(87)【国際公開番号】WO2015039664
(87)【国際公開日】20150326
(31)【優先権主張番号】PA201300534
(32)【優先日】2013年9月19日
(33)【優先権主張国】DK
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515295924
【氏名又は名称】リモニ エイピーエス
【氏名又は名称原語表記】REMONI APS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】ボ エスケロディ マデセン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB03
(57)【要約】
環境発電デバイス(2)を開示する。環境発電デバイス(2)は電気ケーブル(4)の一部を包囲するよう構成する。環境発電デバイス(2)は電気的に互いに分離しかつ導電性である複数のパッチ部材(22,22’,24,24’,26,26’)であって、第1出口ポイント(B)と第2出口ポイント(A)との間に電位差(V)を生ずるよう配列し得る、該パッチ部材を備える。パッチ部材(22,22’,24,24’,26,26’)は、第1出口ポイント(B)及び第2出口ポイント(A)電気的に接続する。パッチ部材(22,22’,24,24’,26,26’)は、非侵襲的に電気ケーブル(4)に直接取り付けるよう構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ケーブル(4)の一部を包囲するよう構成した環境発電デバイス(2)であり、第1出口ポイント(B)と第2出口ポイント(A)との間に電位差(V)を生ずるよう配列する構成とし、互いに電気的に分離しまた導電性である複数個のパッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)を備え、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)は、前記第1出口ポイント(B)及び/又は第2出口ポイント(A)に電気的に接続し、かつ前記電気ケーブル(4)の外側及び/又は前記電気ケーブル(4)の近傍に取り付けるよう構成した、該環境発電デバイス(2)であって、前記パッチ部材の第1グループ(22′,22,24)からの電流を整流器(38,38′)によって第1方向に流れるよう整流し、また残りのパッチ部材(24′,26,26′)からの電流を整流器(39,39′)によって他の方向に流れるよう整流する構成としたことを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の環境発電デバイス(2)において、分離部材(28,30)によって互いに電気的に分離する複数個のパッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)を備えることを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)は、多数の接続部材(32,32′,34,34′,36,36′)によって整流ユニット(62)に電気的に接続し、また前記整流ユニット(62)は、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)からの電流を所定方向の流れに整流するよう構成した複数個の整流器(38,38′,39,39′)を有することを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)からのすべての電流を整流し、この整流は、電流が同一の第1出口ポイント(B)に向かって流れ、またこれにより第1出口ポイント(B)と第2出口ポイント(A)との間の電位差を増大するよう構成することを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項5】
請求項4記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)は、多数の接続部材(例えば、ワイヤ)(32,32′,34,34′,36,36′)によって整流ユニット(62)に電気的に接続することを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項6】
請求項4又は5記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)のそれぞれは、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)からの電流を一方の方向に整流するよう構成した第1整流器(38,39)に電気的に(直接)接続し、また前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)からの電流を他方の方向に整流するよう構成した第2整流器(38′,39′)に電気的に(直接)接続することを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項7】
請求項4記載の環境発電デバイス(2)において、前記整流ユニット(62)には、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)からの交流電流を一方の所定方向に整流し得る複数個の整流器(38,38′)を設けることを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項8】
請求項4〜7のうちいずれか一項記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)それぞれからの電流は、接続部材(ワイヤ40′)を介して、またさらに第1主コネクタ(44)を介して第1出口ポイント(A)に電気的に導通させることを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項9】
請求項4〜8のうちいずれか一項記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)それぞれからの電流は、接続部材(ワイヤ40)を介して、またさらに第2主コネクタ(46)を介して第2出口ポイント(B)に電気的に導通させることを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項10】
請求項5〜9のうちいずれか一項記載の環境発電デバイス(2)において、前記整流ユニット(62)はエネルギー貯蔵部(C)を有することを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の環境発電デバイス(2)において、前記エネルギー貯蔵部(C)はキャパシタ及び/又はバッテリとすることを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか一項記載の環境発電デバイス(2)において、前記パッチ部材(22′,22,24,24′,26,26′)は、前記ケーブル(4)の周りを多重層にして包むよう構成することを特徴とする、環境発電デバイス。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一項記載の環境発電デバイス(2)において、数個の個別モジュール(48,50,52)を備え、各モジュールは、電気エネルギーを採取する構成とし、前記モジュール(48,50,52)は、前記モジュール(48,50,52)を互いに電気的に接続するための手段(54,56,62,64)を有することを特徴とする、環境発電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電気ケーブルからエネルギーを採取(ハーベスト)するための環境発電(エナジーハーベスティング:energy harvesting)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
分散型センサシステムの使用及び台数は近年絶えず増大しており、またこれに応じて、センサに給電すること及びそれに付随する無線通信に対する必要性も増大してきた。
【0003】
これらシステムにおける大きな課題の1つは、しばしば不適切な場所にあり得る多数のバッテリをメンテナンスする問題がなく、システムにエネルギーを供給する必要がある点である。この課題を解決する1つの方法は、環境エネルギーを多かれ少なかれ連続的に採取してデバイスに供給するエナジーハーベストである。
【0004】
エナジーハーベスティングに使用される一般的なエネルギー源は、光、振動又は温度差である。残念なことに、センサがしばしば設置される場所での技術的設置状況において、これらエネルギー源は存在しない。
【0005】
しかし、電気ケーブル(例えば、電気的導体)は技術的設置状況において不足しておらず、またひいては電気ケーブルからエネルギーを採取する簡単なシステムがエネルギーに対する必要性をカバーするよい解決法であり得る。
【0006】
電気的導体からエネルギーを採取(エナジーハーベスト)する利用可能な解決法は、2つの異なる主要原理、すなわち、
1) 例えば、ビュイヤン(Bhuiyan)氏らによる論文である非特許文献1に記載のような誘導による単線からの電磁ハーベスト、及び
2) 例えば、チャンK(Chang, K)氏らによる論文である非特許文献2に記載のような電気的導体とアース端子との間における電界差からのエナジーハーベスト
を活用する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】A Miniature Energy Harvesting Device for Wireless, Sensors in Electric Power System, IEEE SENSORS JOURNAL, VOL.10, NO.7, JULY 2010.
【非特許文献2】Electric Field Energy Harvesting Powered Wireless Sensors for Smart Grid Journal of Electrical Engineering & Technology Vol.7, No.7, pp.75-80, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
双方の原理には深刻な問題が付随する。誘導による単線からの電磁ハーベストは単一導体に対する接続を必要とする。したがって、電気ケーブルの外側絶縁を剥いでエナジーハーベスタ(ハーベスト装置)に設置する必要がある。
【0009】
外側絶縁を除去することによって、電気的な設置の安全性が損なわれ、また絶縁を復旧するため外側遮蔽の設置をしなければならない。さらに、誘導エナジーハーベスタは製造が比較的高額であり、また導体を流れる電流に依存する。
【0010】
電気的導体とアース端子との間の電界差からのエナジーハーベストは、誘導による単線からの電磁ハーベストよりも安価であり、また多芯ケーブルの外側に設置することができる。他方、この原理は、電気的アース端子に対して物理的に接続する必要がある。したがって、これらタイプのエナジーハーベスタは多くの用途には適用できない。
【0011】
したがって、設置がより容易な環境発電(エナジーハーベスティング)デバイスに対する必要性がある。
【0012】
本発明の目的は、エネルギーを採取する電気ケーブルの単一導体に対する接続が不要な環境発電デバイスを得るにある。
【0013】
本発明の他の目的は、エネルギーを採取する電気的アース端子に対する接続が不要なスタンドアロンの環境発電デバイスを得るにある。
【0014】
本発明の目的は、さらに、電圧を昇圧するコンバータを使用することなく1〜10ボルトの範囲における電圧を供給できる環境発電デバイスを得るにある。
【0015】
本発明の目的は、さらに、ケーブルを流れる電流に左右されない環境発電デバイスを得るにある。
【0016】
さらに、大電流が必要な場合、数個のパッチを当てることができる。しかし、上述の非特許文献1及び2は、この課題については重視しておらず、又はこの課題を解決する方法を示唆していない。
【0017】
したがって、本発明の目的は、複数個のパッチを当てる環境発電デバイスを得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、特許請求の範囲の請求項1に定義した環境発電デバイスによって達成することができる。好適な実施形態は、特許請求の範囲の従属項に定義し、また以下に添付図面につき説明及び図示する。
【0019】
本明細書において、「環境発電デバイス(energy harvesting device)」は、電気エネルギーを採取(ハーベスト)するデバイスを意味する。
【0020】
本発明による環境発電デバイスは、電気ケーブルの一部を包囲するよう構成した環境発電デバイスである。環境発電デバイスは、第1出口(第1アウトレット)ポイントと第2出口(第2アウトレット)ポイントとの間に電位差を生ずるよう配列する構成とし、互いに電気的に分離しまた導電性である複数個のパッチ部材を備え、前記パッチ部材は、前記第1出口ポイント及び/又は第2出口ポイントに電気的に接続する。パッチ部材は、前記電気ケーブルに直接又は前記電気ケーブルの近傍に取り付けるよう構成する。
【0021】
これにより、エネルギーを採取する電気ケーブルの導体に電気的に接続する必要がない環境発電デバイスを得ることができる。
【0022】
環境発電デバイスのケーブルに対する設置は簡単、容易かつ安全である。
【0023】
さらに、環境発電デバイスは電気的アース端子に接続する必要はない。
【0024】
従来の電磁的環境発電デバイスは標準的な電気デバイスでエネルギーを使用するのに電圧の変換を必要とするが、本発明による環境発電デバイスは、電圧を昇圧するコンバータ(例えば、DC−DCコンバータ)を使用することなく、1〜10ボルトの領域における電圧を供給することができる。
【0025】
ケーブルの電圧及びエナジーハーベスタのサイズに基づいて、本発明による環境発電デバイスは、マイクロワット又はミリワットの領域における電力を採取することができる。
【0026】
本発明による環境発電デバイスは、ケーブルを電位差源に電気的に接続する限り、電気エネルギーを採取することができる。ケーブルは「通電している」必要はない。このことは大きな利点であり、これはすなわち、電気装置がスイッチオフ状態であっても電気装置を主電源に接続している場合、電気エネルギーを連続的に採取することができるからである。したがって、電気装置が電流を引き込むときにのみ電気装置のケーブルから電気エネルギーを採取できる環境発電デバイスと比べると、採取すべき電力はより少なくて済む。
【0027】
パッチ部材は、板状、例えば長方形形状にすると有利である。
【0028】
パッチ部材は、長方形であり、また例えば5×25mm、2×10mm、又は8×40mmの寸法を有すると好適である。
【0029】
環境発電デバイスは、分離部材によって互いに電気的に分離する複数個のパッチ部材を備えると有利である。
【0030】
電気的な分離部材はプラスチックのような非導電材料で生産することができる。
【0031】
分離部材は接着又は機械的取付け方法によってケーブルに取り付けるよう構成することができる。
【0032】
前記パッチ部材は、多数の接続部材によって整流ユニットに電気的に接続し、また前記整流ユニットは、前記パッチ部材からの電流を所定方向の流れに整流するよう構成した複数個の整流器を有するものとすると有利である。
【0033】
これにより、交流電流(AC)又は直流電流(DC)が流れるケーブルから最適電力採取を行うことができる。
【0034】
有利には、環境発電デバイスは、前記パッチ部材の第1グループからの電流を整流器によって第1方向に流れるよう整流し、また残りの前記パッチ部材からの電流を整流器によって他の方向に流れるよう整流する構成とする。
【0035】
環境発電デバイスは、第1出口ポイントと第2出口ポイントとの間の
電位差を増大するよう構成すると有利である。
【0036】
環境発電デバイスは、前記パッチ部材からのすべての電流を整流し、またこれにより第1出口ポイントと第2出口ポイントとの間の電位差を増大するよう構成すると有利である。
【0037】
パッチ部材は可撓プリント基板、好適には、封止材料内に封止した可撓プリント基板から形成すると有利である。
【0038】
前記パッチ部材は、多数の接続部材(例えば、ワイヤ)によって整流ユニットに電気的に接続すると有利である。
【0039】
この構造は信頼性の高い様態で得るのが容易である。さらに、容易に生産することができる。
【0040】
パッチ部材のそれぞれは、前記パッチ部材からの電流を一方の方向に整流するよう構成した第1整流器に電気的に(直接)接続し、また前記パッチ部材からの電流を他方の方向に整流するよう構成した第2整流器に電気的に(直接)接続すると有利である。
【0041】
これにより、各パッチ部材からの電流を容易かつ効率的に整流するのが容易である。
【0042】
前記整流ユニットには、前記パッチ部材からの交流電流を一方の所定方向に整流し得る複数個の整流器を設けると有利である。
【0043】
したがって、整流ユニットは、全てのパッチ部材からの電流を一方の所定方向に整流するのに使用することができる。
【0044】
前記パッチ部材それぞれからの電流は、接続部材(ワイヤ)を介して、またさらに第1主コネクタを介して第1出口ポイントに電気的に導通させると有利である。
【0045】
前記パッチ部材それぞれからの電流は、接続部材(ワイヤ)を介して、またさらに第2主コネクタを介して第2出口ポイントに電気的に導通させると有利である。
【0046】
このようにして、第1出口ポイントと第2出口ポイントとの間に電位差を生ずることができる。
【0047】
前記整流ユニットはエネルギー貯蔵部を有するものとすると有利である。
【0048】
これにより、後で使用するため採取したエネルギーを貯蔵できる。
【0049】
エネルギー貯蔵部はキャパシタ及び/又はバッテリとすると有利である。
【0050】
前記パッチ部材は、前記ケーブルの周りを多重層にして包むよう構成すると有利である。
【0051】
環境発電デバイスは、数個の個別モジュールを備え、各モジュールは、電気エネルギーを採取する構成とし、前記モジュールは、前記モジュールを互いに電気的に接続するための手段を有するものとすると有利である。
【0052】
これにより多量のエネルギーを採取し、また異なるサイズ及び容量の環境発電デバイスを構築することができる。
【0053】
本発明による環境発電デバイスを組み込んだ電気デバイスを設けると有利である。
【0054】
これにより、エナジーハーベスタ(環境発電)デバイスを組み込んだ電気デバイスをケーブルに取り付けることができる。この場合、エナジーハーベスタデバイスを組み込んだ電気デバイスには、エナジーハーベスタデバイスによって採取したエネルギーを供給する。
【0055】
本発明によるエナジーハーベスタデバイスを組み込んだセンサを設けると有利である。
【0056】
本発明は以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。添付図面は単に図示しただけで、したがって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明による環境発電デバイスが取り付けられるケーブルを有する電気装置を示す。
【
図2】電気ケーブルの取り付けた本発明による環境発電デバイスの拡大図を示す。
【
図3】本発明による環境発電デバイスの第1実施形態の概略図を示す。
【
図4】本発明による環境発電デバイスの第2実施形態の概略図を示す。
【
図5a】本発明による環境発電デバイスの概略的断面図を示す。
【
図5b】本発明による他の環境発電デバイスの概略的断面図を示す。
【
図6a】本発明によるモジュール式環境発電デバイスの離脱状態における概略的断面図を示す。
【
図6b】本発明によるモジュール式環境発電デバイスの組付け状態における概略的断面図を示す。
【
図7】高電圧ケーブルに取り付けた本発明による環境発電デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明の好適な実施形態を説明目的の図面につき詳細に説明すると、本発明による環境発電デバイス2は電気装置6のケーブル4に取り付ける。
【0059】
図1は電気装置6の斜視図及び壁12の断面を示す。電気装置6は壁12に通した主電源に電気的に接続する。
【0060】
電気装置6は、壁12を介して主電源に接続したケーブル4を有する。
【0061】
本発明による環境発電デバイス2はケーブル4の外側面に取り付ける。環境発電デバイス2はケーブルを取り囲む。
【0062】
環境発電デバイス2は、ケーブル4からエネルギーを採取し、また電力消費電気デバイス(図示せず)に電力を供給するよう構成する。この電力消費電気デバイスは、センサ及び/又はトランスミッタとすることができる。しかし、電力消費電気デバイスは低エネルギー要求量(例えば、ナノワット又はマイクロワット領域)を有するのが好ましい。
【0063】
図2は、電気ケーブル4に取り付けた本発明による環境発電デバイス2の拡大斜視図を示す。ケーブル4は、円形断面を有し、また絶縁体20によって包囲された3つの導体14,16,18を備える。
【0064】
環境発電デバイス2はケーブル4の一部を包囲する。環境発電デバイス2は、分離部材28,30によって電気的に分離した複数個のパッチ部材22,24,26を備える。
【0065】
環境発電デバイス2はケーブル4に対して接着する又は機械的に連結することができる。
【0066】
環境発電デバイス2は、ケーブル4から電気エネルギーを採取し、また電力消費電気デバイス(図示せず)に電力を供給するよう構成する。
【0067】
環境発電デバイス2は、環境発電デバイス2をケーブル4に迅速非侵襲性取付けを行うことができる接着剤又は他の取付け手段によってケーブル4に取り付けるよう構成すると有利である。
【0068】
図3は本発明による環境発電デバイス2の第1実施形態の概略図を示す。環境発電デバイス2は6個のパッチ部材22,22′、24,24′、26,26′を備える。
【0069】
パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は互いに電気的に分離する。パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は、複数のワイヤ32,32′、34,34′、36,36′によって整流ユニット62に電気的に接続する及び/又は整流器をパッチ部材に直接接続する。整流ユニット62は、各パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′からの電流を所定方向に整流するよう構成した複数個の整流器38,38′を有する。このことは、ケーブルからの電気エネルギーを交流電流で採取するとき重要である。
【0070】
パッチ部材22′,22,24からの電流は整流器38,38′によって整流する。パッチ部材22′,22,24からの電流は、ワイヤ40を介して、さらに主コネクタ46を介して、またさらにワイヤ40,40′を介して主コネクタ44に導通される。
【0071】
他方で、パッチ部材24′,26,26′からの電流は整流器39,39′によって整流する。パッチ部材24′,26,26′からの電流は、ワイヤ40′を介して、またさらに主コネクタ44を介して導通される。
【0072】
これにより、第1出口ポイント(第1アウトレット)Aに電気的に接続される主コネクタ42と、第2出口ポイント(第2アウトレット)Bに電気的に接続される主コネクタ44との間に電位差を生ずる。
【0073】
パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は導電性であり、電気ケーブル4の表面に取り付けるよう構成する。島状パッチ部材それぞれは、例えば、5×25mm、2×10mm又は8×40mmとすることができる。パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は整流ユニット62に接続し、この整流ユニット62は、バッテリ及び/又は大キャパシタンス(電気容量)を有するキャパシタを備えるエネルギー貯蔵ユニットとしても機能することができる。
【0074】
整流ユニット62は、ダイオードとして形成した整流器38,38′,39,39′を有する。整流ユニット62は、出口ポイントA、B間に設けたキャパシタCとして形成したエネルギー貯蔵部を有する。整流ユニット62は、例えば、そこからエネルギーが分配されるバッテリのようなエネルギー貯蔵部を有することができる。
【0075】
図示の整流器は交流電流及直流電流の双方に対応できる。
【0076】
各パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′からの整流器38,38′,39,39′は、環境発電デバイス2を交流電流用途に取り付ける場合、並列接続する(
図4参照)。
【0077】
個別のパッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は、例えば、FET(電界効果トランジスタ)を用いて結合することができる。
【0078】
整流器38,38′,39,39′は、システムにおけるエネルギー損失を回避するため低漏洩電流(例えば、1nA)を有し、また整流ユニット62のエネルギー貯蔵部(キャパシタC)への高い入力を確実にするため比較的低い順電圧(例えば、1V)を有することができる。より濃密な環境発電デバイス2が望まれる場合、パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は、多層にしてケーブルの周りを包むことができる。この手法によれば、複数の異なるケーブル直径に対して同一環境発電デバイス2を分布させることもできる。
【0079】
図4は本発明による環境発電デバイス2の他の実施形態における概略図を示す。環境発電デバイス2は6個のパッチ部材22,22′、24,24′、26,26′を備える。
【0080】
図3に示したのと同様に、パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は互いに電気的に分離する。パッチ部材22,22′、24,24′、26,26′は、複数のワイヤ32,32′、34,34′、36,36′によって整流ユニット62に電気的に接続する及び/又は整流器をパッチ部材に直接接続する。
【0081】
整流ユニット62はパッチ部材22,22′、24,24′、26,26′からの交流電流を所望方向に整流し得る複数個の整流器38,38′を有する。
【0082】
パッチ部材22′,22,24,24′,26,26′からの電流は整流器38,38′によって整流する。パッチ部材22′,22,24,24′,26,26′からの電流はワイヤ40′を介して、またさらに出口ポイントAに電気的に接続した主コネクタ44を介して導通される。第2出口ポイントBは主コネクタ46に電気的に接続し、この主コネクタ46は、ワイヤ40、整流器38を介して、またさらにワイヤ32,32′,34,34′,36,36′を介してパッチ部材22′,22,24,24′,26,26′に電気的に接続する。
【0083】
パッチ部材22′,22,24,24′,26,26′間に電位差が存在するとき、主コネクタ44,46間に電位差を生ずる。したがって、出口ポイントA,B間に電位差を生ずる。出口ポイントA,B間にキャパシタCを設ける。整流ユニット62はエネルギー貯蔵部としてのバッテリを有することができる。
【0084】
図5a)は、本発明による環境発電デバイス2の概略的断面図を示す。環境発電デバイス2は、捻じった3つの導体14,16,18を有する電気ケーブル4に取り付けるよう構成する。これら導体14,16,18は、絶縁体20によって包囲する。
【0085】
環境発電デバイス2は、第1パッチ部材22及び第2パッチ部材22′を備え、これらパッチ部材22及び22′は、例えば、接着によって通電ケーブル4の外側表面に配置又は取り付けるよう構成する。通電ケーブル4を包囲する電界に起因して、第1パッチ部材22と第2パッチ部材22′との間に電位差を生ずることができる。したがって、第1パッチ部材22と第2パッチ部材22′との間に電位差Vを生ずることができる。
【0086】
第1パッチ部材22と第2パッチ部材22′との間の電位差Vは極めて小さいので、本発明による環境発電デバイス2は多数のパッチ部材を備えるのが好ましい。
【0087】
図5b)は、本発明による他の環境発電デバイス2の概略的断面図を示す。環境発電デバイス2は、絶縁体20によって包囲した2つの導体14,16を有する通電ケーブル4に取り付けるよう構成する。環境発電デバイス2は、第1パッチ部材22及び第2パッチ部材22′を有する。
【0088】
通電ケーブル4を包囲する電界に起因して、第1パッチ部材22と第2パッチ部材22′との間に電位差を生ずることができる。したがって、第1出口ポイントAと第2出口ポイントBとの間に電位差を生ずることができる。
【0089】
第1出口ポイントAと第2出口ポイントBとの間の電位差Vは極めて小さい。したがって、本発明による環境発電デバイス2は、好適には、多数のパッチ部材22,22′を備える。
【0090】
図6a)は、モジュール式の環境発電デバイス2の概略的正面図を示す。この環境発電デバイス2は離脱状態で示す。
【0091】
環境発電デバイス2は、ソケット54を設けた第1モジュール48を備える。環境発電デバイス2は、さらに、ソケット54及びプラグ56を設けた第2モジュール50を備え、プラグ56は第1モジュール48のソケット54が受け入れるよう構成し、これにより第1モジュール48と第2モジュール50との間に電気的接続を生ずる。
【0092】
数個のモジュール48,50を電気的に接続することによって、より少ないモジュールによるよりも一層多い電力を採取することができる。
【0093】
図6b)は、組付け状態にあるモジュール式の環境発電デバイス2の概略的正面図を示す。
【0094】
環境発電デバイス2は
図6a)に示したのと同様の第1モジュール48を備える。第2モジュール50を第1モジュール48に取り付け、この取り付けは、
図6a)に示したのと同様のプラグ及びソケット間電気的接続によって行う。同様に、第3モジュール52を第2モジュール50に対して電気的接続部によって取り付ける。
【0095】
環境発電デバイス2は、第1電力消費電気デバイス58及び第2電力消費電気デバイス60に対して電気的「プラグ−ソケット」接続部によって電気的に接続する。
【0096】
したがって、電力消費電気デバイス58,60は環境発電デバイス2によって付勢することができる。
【0097】
図7は、高電圧ケーブル4に取り付けた本発明による環境発電デバイス2を示す。ケーブル4は円形断面を有し、また絶縁体20によって包囲した3つの導体14,16,18を有する。環境発電デバイス2は、ケーブル4の中央部分を包囲し、また分離部材28,30によって互いに電気的に分離した複数個のパッチ部材22,24,26を備える。
【0098】
環境発電デバイス2はセンサ60に電気的に接続し、このセンサ60は無線信号66をレシーバ(図示せず)に伝送するよう構成する。センサ66は環境発電デバイス2によって採取した電力によって動作する。環境発電デバイス2によって採取した電力は、ケーブル4の電圧及びエナジーハーベスタのサイズに基づいてミリワット範囲内のものとすることができる。
【符号の説明】
【0099】
2 環境発電デバイス
4 電気ケーブル
6 電気装置
8 プラグ
12 壁
14,16,18 導体
20 絶縁体
22,24,26 パッチ部材
22′,24′,26′ パッチ部材
28,30 分離部材
32,32′,34,34′ ワイヤ
36,36′,40,40′ ワイヤ
38,38′,39,39′ 整流器
42,44,46 主コネクタ
48,50,52 モジュール
54 ソケット
56 プラグ
58,60 電気デバイス
62,64 ピン
66 信号
A,B 出口ポイント(アウトレット)
V 電位差
C キャパシタ/エネルギー貯蔵部
【国際調査報告】