特表2016-534730(P2016-534730A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-534730(P2016-534730A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20161014BHJP
【FI】
   A24F47/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-527295(P2016-527295)
(86)(22)【出願日】2014年10月24日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月31日
(86)【国際出願番号】EP2014072828
(87)【国際公開番号】WO2015062983
(87)【国際公開日】20150507
(31)【優先権主張番号】61/897,193
(32)【優先日】2013年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】パプロッキ、ベンジャミン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルケ、アンドリュー ポール
(72)【発明者】
【氏名】ロービー、レイモンド ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、ジェシー ユージン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、フォン
(57)【要約】
喫煙材(5)を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置(1)。1つの典型的な実施態様では装置(1)はハウジング(2)およびハウジング(2)内で長手方向に配置され、装置(1)に収容された喫煙材(5)を加熱するための複数のヒーターセグメント(20)を有する。少なくとも1つのヒーターセグメント(20)がそのヒーターセグメント(20)内に含まれる喫煙材(5)を少なくとも1つの他のヒーターセグメント(20)がそのヒーターセグメント(20)内に含まれる喫煙材(5)を加熱するより速く加熱するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置であって、この装置は、
ハウジングと、
ハウジング内で長手方向に配置され、装置に収容された喫煙材を加熱するための複数のヒーターセグメントとを含み、
少なくとも1つのヒーターセグメントがそのヒーターセグメント内に含まれる喫煙材を少なくとも1つの他のヒーターセグメントがそのヒーターセグメント内に含まれる喫煙材を加熱するより速く加熱するように構成されている装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのヒーターセグメントは、前記少なくとも1つの他のヒーターセグメントより小さい容積を画定することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのヒーターセグメントは前記少なくとも1つの他のヒーターセグメントよりハウジングの長手方向に短いことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのヒーターセグメントは前記少なくとも1つの他のヒーターセグメントより熱容量が小さいことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
ヒーターセグメントはその中で加熱される喫煙材を収容するためほぼ中空の円筒であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
ヒーターセグメントが選択的に互いに独立して給電されるように構成され、配置された電力回路を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置であって、この装置は、
ハウジングと、
ハウジング内で長手方向に配置され、装置に収容された喫煙材を加熱するための複数のヒーターセグメントと、
少なくとも1つの機械的絶縁器とを含み、
この少なくとも1つの機械的絶縁器は2つの隣接するヒーターセグメントの間に配され、これら隣接するヒーターセグメントを支持し、これら隣接するヒーターセグメント間の長手方向の間隔を維持するように構成され、配置されている装置。
【請求項8】
前記ヒーターセグメントはその中で加熱される喫煙材を収容するためにほぼ中空の円筒であり、前記少なくとも1つの機械的絶縁器はそれに対応して環状であることを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
機械的絶縁器の端壁は複数の接触突起を有し、これはこの端壁に隣接するヒーターセグメントと接触することを特徴とする請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
機械的絶縁器はヒーターセグメントの内の少なくとも1つの上を通過する電線を案内するように支持するための少なくとも1つの電線案内突起を有することを特徴とする請求項7乃至9いずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの電線案内突起は、間に電線を配置することができる2つの耳部を有することを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの電線案内突起は、隣接するヒーターセグメントと接触してこの隣接するヒーターセグメントを支持するように配置されていることを特徴とする請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
機械的絶縁器は機械的絶縁器上を通過する電線を支持するための外方に向いて円周方向に延びたリブを有することを特徴とする請求項7乃至12いずれか1項記載の装置。
【請求項14】
ハウジングに含まれるスリーブを含み、ヒーターセグメントは少なくとも1つの機械的絶縁器によってスリーブ内で支持されることを特徴とする請求項7乃至13いずれか1項記載の装置。
【請求項15】
スリーブは壁が二重になっているスリーブであり、その2つの壁の間に低圧力領域を設けていることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
ハウジング内でスリーブを支持する複数の環状の支持体を含み、スリーブは環状の支持体内に装着され、環状の支持体はハウジング内に装着されていることを特徴とする請求項14または15記載の装置。
【請求項17】
喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させる装置であって、この装置は
外方ハウジングと、
外方ハウジングに収容されたスリーブと、
スリーブ内に配された装置に収容された喫煙材を加熱するための少なくとも1つのヒーターセグメントと、
外方ハウジング内のスリーブを支持する複数の環状の支持体とを含み、スリーブは環状の支持体内に装着され、環状の支持体はハウジング内に装着されている装置。
【請求項18】
環状の支持体はハウジング内でスリーブだけを支持することを特徴とする請求項17記載の装置。
【請求項19】
環状の支持体はそれぞれスリーブと接触する複数の内方に向いた接触突起を有することを特徴とする請求項17または18記載の装置。
【請求項20】
スリーブの外方に向いた面は少なくとも1つの環状の溝およびスリーブに環状の支持体を配置するために環状の支持体の1つの一部を収容する少なくとも1つの凹部を有することを特徴とする請求項17乃至19いずれか1項記載の装置。
【請求項21】
環状の支持体はスリーブの端部から離れて位置することを特徴とする請求項17乃至20いずれか1項記載の装置。
【請求項22】
環状の支持体はスリーブの全長に沿って実質的に等間隔に配置されることを特徴とする請求項17乃至21いずれか1項記載の装置。
【請求項23】
環状の支持体はそれぞれヒーター支持スリーブの両端部から離れてヒーター支持スリーブの全長の実質的に1/3の箇所に位置し、最外部の環状の支持体の間に位置する少なくとも1つのさらなる環状の支持体を含むことを特徴とする請求項17乃至21いずれか1項記載の装置。
【請求項24】
スリーブは壁が二重になっているスリーブであり、その2つの壁の間に低圧力領域を設けていることを特徴とする請求項17乃至23いずれか1項記載の装置。
【請求項25】
ハウジングは比較的熱伝導性の低い熱導体であり、ハウジングの内部面には比較的良好な熱伝導性のコーティングが少なくとも部分的に設けられており、環状支持体がハウジングの内部面と接触する位置から離れるように熱を伝えることを特徴とする請求項17乃至24いずれか1項記載の装置。
【請求項26】
外方ハウジングは少なくとも1つの空気入り口を有し、ヒーターセグメントは少なくとも1つの空気入り口を有し、外方ハウジングの空気入り口からヒーターセグメントの空気入り口への流体連通を供する空気入り口管を含み、空気が外方ハウジングの空気入り口を介して、そして空気入り口管を通って、そしてヒーターセグメントの空気入り口を通って装置に収容された喫煙材を通過するように構成されていることを特徴とする請求項17乃至25いずれか1項記載の装置。
【請求項27】
外方ハウジングの1つの空気入り口または複数の空気入り口が使用の際装置内に引き込まれる唯一の空気の入り口ポイントになるように構成され、配置されていることを特徴とする請求項26記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つのヒーターセグメントへの電力の供給を制御するための外方ハウジング内に収容された制御回路を含み、外方ハウジングの空気入り口を介して引き込まれる空気が制御回路を通過しないように構成されていることを特徴とする請求項26または27記載の装置。
【請求項29】
外方ハウジングは外方ハウジングの対向側部に第1および第2空気入り口を有し、空気入り口管はほぼT字状またはY字状の断面を有し、第1および第2外方ハウジング空気入り口に接続するするT字またはY字の第1および第2腕部およびヒーターセグメントの空気入り口と流体連通するT字またはY字の脚部を供することを特徴とする請求項26乃至28いずれか1項記載の装置。
【請求項30】
喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させる装置であって、この装置は、
少なくとも1つの空気入り口を有する外方ハウジングと、
装置内に収容された喫煙材を加熱するための外方ハウジングに収容され、少なくとも1つの空気入り口を有する少なくとも1つのヒーターセグメントと、
外方ハウジングの空気入り口からヒーターセグメントの空気入り口へ流体連通させる空気入り口管とを含み、
空気が外方ハウジングの空気入り口を介して、そして空気入り口管を通って、そしてヒーターセグメントの空気入り口を通って装置に収容された喫煙材を通過するように構成されている装置。
【請求項31】
外方ハウジングの1つの空気入り口または複数の空気入り口が使用の際装置内に引き込まれる唯一の空気の入り口地点になるように構成され、配置されていることを特徴とする請求項30記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つのヒーターセグメントへの電力の供給を制御するための外方ハウジング内に収容された制御回路を含み、外方ハウジングの空気入り口を介して引き込まれる空気が制御回路を通過しないように構成されていることを特徴とする請求項30または31記載の装置。
【請求項33】
外方ハウジングは外方ハウジングの対向側部に第1および第2空気入り口を有し、空気入り口管はほぼT字状またはY字状の断面を有し、第1および第2外方ハウジング空気入り口に接続するT字またはY字の第1および第2腕部およびヒーターセグメントの空気入り口と流体連通するT字またはY字の脚部を供することを特徴とする請求項30乃至32いずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2013年10月2日に出願された米国仮特許出願第61/897,193号の利益を主張するものであり、この特許の開示内容は、参照することによって本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は喫煙材を加熱するように構成された装置に関する。
【背景技術】
【0003】
紙巻きタバコ、シガー等などの喫煙品は、使用中タバコを燃やし、タバコ煙を発生させる。タバコを燃やすこれらの喫煙品に代わるものをタバコを燃やさずに化合物を放出する製品を作製することによって提供する試みがなされている。そのような製品としては材料を燃やさずに加熱して化合物を放出する加熱装置が挙げられる。材料は、例えばニコチンを含むまたは含まないタバコまたは他の非タバコ製品であってもよい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様では喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置が提供され、この装置は、
ハウジングと、
ハウジング内で長手方向に配置され、装置に収容された喫煙材を加熱するための複数のヒーターセグメントとを含み、
少なくとも1つのヒーターセグメントがそのヒーターセグメント内に含まれる喫煙材を少なくとも1つの他のヒーターセグメントがそのヒーターセグメント内に含まれる喫煙材を加熱するより速く加熱するように構成されている。
【0005】
この少なくとも1つのヒーターセグメントをこのように構成することによってそのヒーターセグメント内の喫煙材は使用の際により速く揮発し、装置を最初に使用したらすぐにユーザーは吸入することができる。
【0006】
典型的な実施態様では上記少なくとも1つのヒーターセグメントは、上記少なくとも1つの他のヒーターセグメントより小さい容積を画定する。典型的な実施態様では上記少なくとも1つのヒーターセグメントは上記少なくとも1つの他のヒーターセグメントよりハウジングの長手方向に短い。
【0007】
典型的な実施態様では上記少なくとも1つのヒーターセグメントは上記少なくとも1つの他のヒーターセグメントより熱容量が小さい。
【0008】
典型的な実施態様ではヒーターセグメントはその中で加熱される喫煙材を収容するためほぼ中空の円筒である。
【0009】
典型的な実施態様では本発明の装置は、ヒーターセグメントが選択的に互いに独立して給電されるように構成され、配置された電力回路を含む。
【0010】
本発明の第2の態様では喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させるように構成された装置が提供され、この装置は、
ハウジングと、
ハウジング内で長手方向に配置され、装置に収容された喫煙材を加熱するための複数のヒーターセグメントと、
少なくとも1つの機械的絶縁器とを含み、
この少なくとも1つの機械的絶縁器は2つの隣接するヒーターセグメントの間に配され、これら隣接するヒーターセグメントを支持し、これら隣接するヒーターセグメント間の長手方向の間隔を維持するように構成され、配置されている。
【0011】
典型的な実施態様の機械的絶縁器はヒーターセグメントを機械的、構造的に支持するために硬質である。典型的な実施態様では機械的絶縁器はヒーターセグメントと他の部材間の隙間または空隙を維持する役割を果たし、これはヒーターセグメントからの熱損失を少なくするまたは最小限にする。
【0012】
典型的な実施態様ではヒーターセグメントはその中で加熱される喫煙材を収容するためにほぼ中空の円筒であり、上記少なくとも1つの機械的絶縁器はそれに対応して環状である。
【0013】
典型的な実施態様では機械的絶縁器の端壁は複数の接触突起を有し、これはこの端壁に隣接するヒーターセグメントと接触する。典型的な実施態様では接触突起は、ヒーターセグメントと機械的絶縁器との間の接触面積が小さく、そしてまたヒーターセグメントからの熱損失を最小限にするのに役立つ空隙を接触突起間に効果的に形成するように構成することができる。
【0014】
典型的な実施態様では機械的絶縁器はヒーターセグメントの内の少なくとも1つの上を通過する電線を案内するように支持するための少なくとも1つの電線案内突起を有する。一例では電線案内突起は電線を機械的絶縁器の主外方面から離れてそしてヒーターセグメントの外方面から離れて保持する。典型的な実施態様では上記少なくとも1つの電線案内突起は、間に電線を配置することができる2つの耳部を有する。
【0015】
典型的な実施態様では少なくとも1つの電線案内突起は、隣接するヒーターセグメントと接触してこの隣接するヒーターセグメントを支持するように配置されている。少なくとも1つの電線案内突起の接触は、一例としてこの隣接するヒーターセグメントの外方面との接触であってもよい。
【0016】
典型的な実施態様では機械的絶縁器は機械的絶縁器上を通過する電線を支持するための外方に向いて円周方向に延びたリブを有する。
【0017】
典型的な実施態様では本発明の装置はハウジングに含まれるスリーブを含み、ヒーターセグメントは少なくとも1つの機械的絶縁器によってスリーブ内で支持される。典型的な実施態様ではスリーブは壁が二重になっているスリーブであり、これはスリーブのその2つの壁の間に低圧力領域を設けている。このような例はさらに絶縁し、ヒーターセグメントからの熱損失を最小限にする役割を果たす。
【0018】
典型的な実施態様では本発明の装置はハウジング内でスリーブを支持する複数の環状の支持体を含み、スリーブは環状の支持体内に装着され、環状の支持体はハウジング内に装着されている。
【0019】
本発明の第3の態様では喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させる装置が提供され、この装置は
外方ハウジングと、
外方ハウジングに収容されたスリーブと、
スリーブ内に配された装置に収容された喫煙材を加熱するための少なくとも1つのヒーターセグメントと、
外方ハウジング内のスリーブを支持する複数の環状の支持体とを含み、スリーブは環状の支持体内に装着され、環状の支持体はハウジング内に装着されている。
【0020】
一例では環状の支持体は外方ハウジングから離れてスリーブを保持し、スリーブから外方ハウジングへの熱の伝導を最小限にするように構成することができる。
【0021】
典型的な実施態様では環状の支持体はハウジング内でスリーブを支持するだけのものである。
【0022】
典型的な実施態様では環状の支持体はそれぞれスリーブと接触する複数の内方に向いた接触突起を有する。これはスリーブから環状の支持体への熱伝導を最小限にするのに役立つ。
【0023】
典型的な実施態様ではスリーブの外方に向いた面は少なくとも1つの環状の溝およびスリーブに環状の支持体を配置するために環状の支持体の1つの一部を収容する少なくとも1つの凹部を有する。
【0024】
典型的な実施態様では環状の支持体はスリーブの端部から離れて位置する。
【0025】
典型的な実施態様では環状の支持体はスリーブの全長に沿って実質的に等間隔に配置される。
【0026】
典型的な実施態様では環状の支持体はそれぞれヒーター支持スリーブの両端部から離れてヒーター支持スリーブの全長の実質的に1/3の箇所に位置し、最外部の環状の支持体の間に位置する少なくとも1つのさらなる環状の支持体を含む。
【0027】
典型的な実施態様ではスリーブは壁が二重になっているスリーブであり、これはスリーブのその2つの壁の間に低圧力領域を設けている。
【0028】
典型的な実施態様ではハウジングは比較的熱伝導性の低い熱導体であり、ハウジングの内部面には比較的良好な熱伝導性のコーティングが少なくとも部分的に設けられており、環状支持体がハウジングの内部面と接触する位置から離れるように熱を伝える。
【0029】
典型的な実施態様では外方ハウジングは少なくとも1つの空気入り口を有し、ヒーターセグメントは少なくとも1つの空気入り口を有し、外方ハウジングの空気入り口からヒーターセグメントの空気入り口への流体連通を供する空気入り口管を含み、空気が外方ハウジングの空気入り口を介して、そして空気入り口管を通って、そしてヒーターセグメントの空気入り口を通って装置に収容された喫煙材を通過するように構成されている。典型的な実施態様では本発明の装置は、外方ハウジングの1つの空気入り口または複数の空気入り口が使用の際装置内に引き込まれる唯一の空気の入り口ポイントになるように構成され、配置されている。
【0030】
典型的な実施態様では本発明の装置は少なくとも1つのヒーターセグメントへの電力の供給を制御するための外方ハウジング内に収容された制御回路を含み、外方ハウジングの空気入り口を介して引き込まれる空気が制御回路を通過しないように構成されている。
【0031】
典型的な実施態様では外方ハウジングは外方ハウジングの対向側部に第1および第2空気入り口を有し、空気入り口管はほぼT字状またはY字状の断面を有し、第1および第2外方ハウジング空気入り口に接続するするT字またはY字の第1および第2腕部およびヒーターセグメントの空気入り口と流体連通するT字またはY字の脚部を供する。
【0032】
本発明の第4の態様では喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させる装置が提供され、この装置は、
少なくとも1つの空気入り口を有する外方ハウジングと、
装置内に収容された喫煙材を加熱するための外方ハウジングに収容され、少なくとも1つの空気入り口を有する少なくとも1つのヒーターセグメントと、
外方ハウジングの空気入り口からヒーターセグメントの空気入り口へ流体連通させる空気入り口管とを含み、
この構成により空気が外方ハウジングの空気入り口を介して、そして空気入り口管を通って、そしてヒーターセグメントの空気入り口を通って装置に収容された喫煙材を通過する。
【0033】
典型的な実施態様では空気入り口管を使用することによって装置を通る空気流をより良好に制御することができる。
【0034】
典型的な実施態様では本発明の装置は、外方ハウジングの1つの空気入り口または複数の空気入り口だけが、使用の際装置内に引き込まれる空気の入り口地点になるように構成され、配置されている。
【0035】
典型的な実施態様では本発明の装置は少なくとも1つのヒーターセグメントへの電力の供給を制御するための外方ハウジング内に収容された制御回路を含み、外方ハウジングの空気入り口を介して引き込まれる空気が制御回路を通過しないように構成されている。
【0036】
典型的な実施態様では外方ハウジングは外方ハウジングの対向側部に第1および第2空気入り口を有し、空気入り口管はほぼT字状またはY字状の断面を有し、第1および第2外方ハウジング空気入り口に接続するするT字またはY字の第1および第2腕部およびヒーターセグメントの空気入り口と流体連通するT字またはY字の脚部を供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明の実施態様をあくまで例示を目的として添付図面を参照して説明する。
図1】喫煙材を加熱するための装置の一例の斜視図である。
図2図1の装置の断面斜視図である。
図3図1の装置に使用に適したヒーター支持スリーブと加熱チェンバーの例の断面斜視図である。
図4図1の装置での使用に適したヒーター支持スリーブと加熱チェンバーの例の一部の長手方向断面図である。
図5図1の装置での使用に適した機械的絶縁器の一例の斜視図である。
図6図1の装置での使用に適した2つのヒーターセグメント間にある機械的絶縁器の一例の詳細斜視図である。
図7図1の装置での使用に適したヒーターセグメントへの結線の詳細斜視図である。
図8図1の装置での使用に適したヒーターセグメントへの電気制御電気回路および/または電源へのそしてから通過する電線の略式斜視図である。
図9図1の装置での使用に適したヒーター支持スリーブおよび支持体の一例の斜視図である。
図10】喫煙材を加熱するための装置の最前部分の一例の長手方向断面図である。
図11図1の装置での使用に適したヒーター支持スリーブの別の例の長手方向断面図である。
図12】喫煙材を加熱するための装置の最後部分の一例の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本明細書中で使用する「喫煙材」なる用語は加熱の際に揮発成分を典型的にはエアロゾルの形体で供する材料を含む。「喫煙材」はあらゆるタバコ含有材含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品のうちの1つ以上を含んでもよい。また「喫煙材」は他の非タバコ製品を含んでもよく、製品によってはニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【0039】
図1を参照すると喫煙材を加熱してその少なくとも1つの成分を揮発させる、典型的には吸い込み可能なエアロゾルを形成するように構成された装置1の一例を斜視図で示している。装置1は加熱装置1であり、これは喫煙材燃焼せずに加熱によって化合物を放出する。この例の装置1はほぼ長尺形状であり、断面が円形のほぼ長尺の円筒状の外方ハウジング2を有する。外方ハウジング2は開口端部3を有し、ここでは吸い口端と言う場合もある。
【0040】
特に図2の断面を参照すると装置1は使用の際加熱され、気化される喫煙材5を含む加熱チェンバー4を有する。喫煙材5は装置1内に挿入することができるカートリッジまたはカセットまたはロッドの形体であってもよい。喫煙材5の一端はハウジング2の開口端3を介して典型的には喫煙材5とは別個の部材であるまたは喫煙材に設けられたフィルター等への接続のために装置1から突出し、ユーザーはフィルターを介して吸引する。さらに装置1は電子/電力チェンバー6を有し、この例ではこれは電子制御回路7および電源8を含む。この例では加熱チェンバー4および電子/電力チェンバー6は装置1の長手方向軸X−Xに沿って互いに隣接している。図示の例では電子/電力チェンバー6は吸い口端3から離れているが、他の位置に配置してもよい。電気制御回路7は以下にさらに説明するように喫煙材の加熱を制御するために構成され、配置されたマイクロプロセッサー装置などのコントローラーを含んでもよい。
【0041】
電源8はバッテリーであってもよく、それは充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例としては、例えばリチウムイオンバッテリー、ニッケルバッテリー(ニッケルカドミウムバッテリーなどの)、アルカリバッテリーおよび/または類似のものが挙げられる。特に好ましい種類のバッテリーはLiFePO4バッテリー。バッテリー8は加熱チェンバー4の1つ以上の加熱エレメント(以下でさらに詳しく説明する)に電気的に接続され、必要に応じて電力を供給し、電気制御回路7の制御下で喫煙材を加熱する(上述したように喫煙材を燃やさずに喫煙材を揮発させる)。この例ではバッテリー8は電気制御回路7のプリント基板内に収容されている。他の例ではバッテリー8および電気制御回路7は、これとは異なって、例えば装置1の長手方向軸X−Xに沿って互いに隣接して配置されてもよい。
【0042】
加熱チェンバー4は外方ハウジング2内に収容されたヒーター支持スリーブ10内に収容されている。この例ではヒーター支持スリーブ10は断面が円形のほぼ長尺の円筒である。さらに図3および4を参照すると、一例ではヒーター支持スリーブ10は壁が二重になっているスリーブである。従って、ヒーター支持スリーブ10は小さい間隔dを開けて離れている外方円筒状壁11と内方円筒状壁12を有する。ほんの一例としてそして比率を示すために、ヒーター支持スリーブ10は長さが約50mmであってもよく、外径が9mmで、間隔dが約0.1mm〜0.12mm程度であってもよい。外方および内方円筒状壁11、12は各端部13、14で接合されている。1つの例ではこの接合はろう着によって行われる。一例においてヒーター支持スリーブ10の機能の1つは、外方ハウジング2が熱くならない、または少なくとも使用中に触れても熱くなりすぎないように加熱チェンバー4から外方ハウジング2を断熱するのを補助することである。外方および内方円筒状壁11、12間のスペースは空気を含んでもよい。しかしながら、外方および内方円筒状壁11、12間のスペースは真空にして、ヒーター支持スリーブ10の断熱性を向上させるのが好ましい。別例として、外方および内方円筒状壁11、12間のスペースを例えば好適な発泡体型材料を含む何か別の断熱材で満たしてもよい。ヒーター支持スリーブ10の材料は、ヒーター支持スリーブ10がそれに装着される部材を構造的に安定させるために硬質となるようなものであるのが好ましい。好適な材料の一例はステンレス鋼である。他の好適な材料としてはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、セラミック、ガラス、鋼、アルミニウムなどが挙げられる。さらにヒーター支持スリーブ10の外方および内方壁11、12のそれぞれの内部面および外部面の1つ以上は、ヒーター支持スリーブ19から赤外線放射による熱の損失を最小限にするために赤外線放射に反射性であってもよい。例えば、外方および内方壁11、12それぞれの内部面および外部面の1つ以上を特に少なくとも赤外線放射に対して反射性である材料でコーティングして、ヒーター支持スリーブ10の熱−反射、従って断熱性を向上させてもよい。好適なコーティングの一例としては金の薄層または他の反射性金属層が挙げられる。
【0043】
装置1の一例において、ヒーター支持スリーブ10は少なくとも1つの加熱エレメントを含む。図に示した例ではヒーター支持スリーブ10は複数の加熱エレメントまたはヒーターセグメント20を含む。少なくとも2つのヒーターセグメント20があるのが好ましいが、その他の数のヒーターセグメント20を有する構成も可能である。特に図示の例では4つのヒーターセグメント20が設けられている。この例ではヒーターセグメント20はヒーター支持スリーブ10の長手方向軸X−Xに沿ってまたはこれに平行に並ぶ。電気制御回路7およびヒーターセグメント20との電力接続部は、少なくとも2つ、より好ましくは全てのヒーターセグメント20が互いに独立して給電され、喫煙材5の選択された領域を必要に応じて独立して例えば順に(徐々に)または一緒に(同時に)加熱できるように配置されるのが好ましい。この特定の例ではヒーターセグメント20は使用の際に喫煙材5を収容する中空の内部を有するほぼ円形または円筒状である。
【0044】
一例ではヒーターセグメント20をセラミック材で作製してもよい。その例としてはアルミナおよび窒化アルミニウムおよび窒化ケイ素セラミックが挙げられ、これらは積層および焼成されてもよい。例えば赤外線放射によって加熱する赤外線ヒーターセグメント20または例えばヒーターセグメント20周囲の抵抗性電気巻線によって形成された抵抗加熱エレメントなどの他の加熱構成も可能である。
【0045】
一例ではヒーターセグメント20の内の1つ20’は、熱容量または熱質量が低いものであってもよい、または画定してもよく、および/またはそれ自体その他の1つ以上のセグメント20より熱容量または熱質量が低くてもよい。このことは少なくとも同じまたは同様な供給電力の場合、低い熱容量を有するおよび/または低い熱容量容積を画定するヒーターセグメント20’の内部は、他のヒーターセグメント20の内部より速く加熱することを意味する。このことはそのヒーターセグメント20’の喫煙材5は、より速く揮発し、装置1が最初に使用されるとユーザーがより速く吸入できるということを意味する。このヒーターセグメント20’は吸い口端3の近くであることが好ましく、従ってそれはマウスピース3から一番目または二番目に離れているヒーターセグメント20であってもよい。図3に示す例ではこのヒーターセグメント20’はマウスピース3に2番目に近い。
【0046】
1つの例では喫煙材の局所領域のこのより素早い加熱は、小さい容量を有するまたは画定する低い熱容量を有するまたは画定するヒーターセグメント20’によって行うことができる。図3に示す例ではこのヒーターセグメント20’の容量は、各ヒーターセグメント20、20’の内半径が同じであるが、ヒーターセグメント20’の長手方向軸の長さが他のヒーターセグメント20の長手方向軸の長さより短いことによって小さくなっている。これとは別にまたはこれに加えてこのヒーターセグメント20’の容量をこのヒーターセグメント20’の内半径を他のヒーターセグメント20の内半径より小さくすることによって小さくする。別のまたは追加の構成として低い比熱容量を有する異なる材料をこのヒーターセグメント20’用に使用して、このヒーターセグメント20’が全体として小さい熱容量を有し、従ってより速く加熱するようにしてもよい。また別のまたは追加の構成としてこのヒーターセグメント20’は、他のヒーターセグメント20と比較して壁を薄くしてこのヒーターセグメント20’が従って より速く加熱するようにしてもよい。
【0047】
一例ではヒーターセグメント20は機械的絶縁器30によってヒーター支持スリーブ10内に装着され、支持される。機械的絶縁器30は、ヒーターセグメント20を機械的、構造的に支持するために硬質である。機械的絶縁器30はヒーターセグメント20とヒーター支持スリーブ10との間に隙間または空隙を維持する役目を果たし、ヒーターセグメント20からヒーター支持スリーブ10への熱損失を減少させるまたは最小限にする。機械的絶縁器30はヒーター支持スリーブ10内でヒーターセグメント20を懸架する懸架部材としてみなすことができる。機械的絶縁器30は、隣接するヒーターセグメント20間の所望の間隔を維持する役目も果たす。この間隔はヒーターセグメント20間の熱伝導を最小限にするのに役立つ。機械的絶縁器30は断熱材で形成されるのが好ましい。特に好適な材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり、これは半結晶の熱可塑性物質であり、高温に保持される良好な機械的化学的抵抗性を有する。しかしながら、他のプラスチックまたは他の断熱材を使用してもよい。
【0048】
1つの例の機械的絶縁器30はほぼ環状である。例えば図4および5に最も分かりやすく示されているようにこの例の機械的絶縁器30の端面には組み立てられた装置1において軸方向外方に隣接するヒーターセグメント20の方に突出した複数の小さい接触突起または星形またはポスト31が形成されている。この例では機械的絶縁器30の半径は、接触突起31が隣接するヒーターセグメント20の対向する端面に触れるようにヒーターセグメント20の半径と実質的に同じである。従って、これにより接触突起31が機械的絶縁器30とヒーターセグメント20の隣接する端面間だけで接触するのでこれら端面間の接触領域を最小限にする。また、絶縁空隙が隣接する接触突起31の間に効果的に形成される。接触突起31は、従ってヒーターセグメント20から隣接する機械的絶縁器30への熱伝導を最小限にすることに役立つ。このことは順にヒーターセグメント20内の喫煙材5への熱移動を最小限にし、従って喫煙材5の加熱に必要な時間を最小限にし、使用電力を最小限にする。
【0049】
電線が電源8からヒーターセグメント20それぞれに電力を供給するために設けられている。一例では各ヒーターセグメント20は、ヒーターセグメント20から互いに独立して給電でき、従ってこのような場合には各ヒーターセグメント20用に2本の電線が設けられる。例えば図6および7に示すようにこの例の電線40は絶縁スリーブ42によって囲まれた金属製または他の導電性の芯41を有し、芯41は電線40の端部で露出している。スリーブ42は例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で形成してもよいが、他のプラスチックまたは他の断熱材を使用してもよい。芯41の露出した端部は対応するヒーターセグメント20に接続されている。図6および7に示す例ではヒーターセグメント20はヒーターセグメント20の半径方向外方に向いた接続タブまたはポスト21を有する。図示の例では接続ポスト21は凹部22を設けるために切れ込みが入れられ、その凹部内に電線芯41の露出した端部が嵌る。(図7では電線40の接続を明確に示すために隣接するヒーターセグメント20間の機械的絶縁器30が省略されている。)接続ポスト21はヒーターセグメント20と一体に形成されてもよく、またはヒーターセグメント20に取り付けられる別個の部材として設けてもよい。別個の部材として設けられる場合、接続ポスト21の特に好適な材料はKovar、ニッケル−コバルト鉄合金である。凹んだ接続ポスト21を使用する代わりに芯41の露出した端部を例えばはんだ付けなどによってヒーターセグメント20に直接固定してもよい。
【0050】
一部の例では各ヒーターセグメント20は2本の電力線40用に2つの接続ポスト21を有する。一部の例ではヒーターセグメントの少なくとも1つ、そして任意にヒーターセグメント20の全てはさらなる電線40を受けるためのさらなる対の接続ポスト21を有してもよい。これらのさらなる電線40はそれらが接続されるヒーターセグメント20用に抵抗性温度検出を行うようにしてもよい。即ちさらなる電線40は電気制御回路7に送り戻される対応するヒーターセグメント20の温度を測定し、ヒーターセグメント20に供給される電力を制御し、温度を所望の高さまたは所望の範囲内になるように制御する。なお、全てのヒーターセグメント20に独立した温度検出構成を設ける必要はない。例えばヒーターセグメント20の一部または1つだけが温度検出構成を有すれば充分である。勿論、全ての場合において温度検出を特定のヒーターセグメント20に関して行う必要はなく、代わりに装置1内のいくつかの他の箇所で温度を測定してもよい。抵抗性温度検出の別例として1つ以上のサーミスタを使用して、1つ以上の加熱セグメント20内のまたは装置1全体としての温度を検出してもよい。図8は電気制御回路7および電源8からヒーターセグメント20へと通過する電線40を略式に示している。この例では各ヒーターセグメント20に電力を供する2本の電線40が示されている。
【0051】
一例では機械的絶縁器30にはヒーターセグメント20を保持し、支持するための突起32が設けられている。1つの例では突起32は機械的絶縁器30の半径方向外方に起立し、装置1の長手方向軸X−Xに平行に配された1つ以上のポストまたは耳部33として形成されている。突起32の1つ以上のポスト33はヒーターセグメント20の効果的な受け台となり、ここでも機械的絶縁器30とヒーターセグメント20との接触を最小限にし、絶縁空隙を最大にする。
【0052】
一例では突起32の1つ以上は電線40が嵌る短い溝を画定する一組のポストまたは耳部33として形成されている。この例ではその1つ以上の突起32もまたは電線40を支持し、案内する電線案内部として機能する。1つの構成において案内突起耳部33の対向端部34は互いの方に向かって角度が付けられ、内方に向いたポストとなり、これにより電線40を把持する狭い部分を設けている。案内突起32の底部は電線40を収容する凹部35を有してもよい。電線40が絶縁器30の表面から離れてそしてヒーターセグメント20の外方面から離れて保持され、電線40が加熱されるのを妨げるまたは最小限にするように凹部35は機械的絶縁器30の主最外方面の半径方向外方に位置している。同様の理由で機械的絶縁器30は半径方向外方に突出し、円周方向に延びたリブ36を有してもよく、これも電線40を機械的絶縁器30とヒーターセグメントから離れて維持するのに役立つ。従って、電線40の特定の配置および数そして案内突起32の数に応じて、典型的には一部の例では特定のヒーターセグメント20のための電線40(それらが電源線または温度センサー電線であるかに拘わらず)は、その隣接する機械的絶縁器30の案内突起32によって保持され、他のヒーターセグメント用の他の電線40はその機械的絶縁器30上を単に通過するが、その機械的絶縁器30の円周方向に延びたリブ36によって支持されている。その例は図6に示されている。
【0053】
なお、突起32の電線案内機能はヒーターセグメント20を支持する機能とは別個に設けてもよく、例えばヒーターセグメント20だけを支持する突起32、電線40を案内するだけの突起32および選択的にヒーターセグメント20を支持し、電線40を案内するいくつかの突起32があってもよい。
【0054】
例えば図4に最も判りやすく示されているように二重壁ヒーター支持スリーブ10の最前部分に半径方向内方に向いた環状のリップ部15を設けて、ヒーター支持スリーブ10内に最前の機械的絶縁器30を保持してもよい。図示の例ではこのリップ部15は最前の機械的絶縁器30の前方に向いた案内突起32と係合する。これは最前の機械的絶縁器30とヒーター支持スリーブ10のリップ部15の間の接触領域を最小限にする利点を有する。なお、しかしながらこの最前の機械的絶縁器30のその最前部をこれとは異なる形状であってもよい。例えば、この最前の機械的絶縁器30の最前面をさらに接触領域を最小限にするためにリップ部15に触れる単純な小さい星形または突起で形成してもよい。別例として最前の機械的絶縁器30とヒーター支持スリーブ10のリップ部15間の接触領域最小限にすることが重要でなければこの最前の機械的絶縁器30の最前面を突起で形成しなくてもよい。これとは別に二重壁ヒーター支持スリーブ10の最後部の環状のリップ部の同様の構成をヒーター支持スリーブ10内で最後部の機械的絶縁器30を保持するように設けてもよい。さらに別の例として機械的絶縁器30を1つ以上の例えば1つ以上の保持リングの形体別個の保持器を使用してヒーター支持スリーブ10内でヒーター支持スリーブ10の前方および/または後方に留めてもよい。さらに別の例として機械的絶縁器30を外方ハウジング2に設けられたまたは一体に形成された1つ以上の保持器、溝、刻み目などによってヒーター支持スリーブ10内に保持してもよい。これとは別にまたはこれに加えてヒーター支持スリーブ10および機械的絶縁器30を機械的絶縁器30がヒーター支持スリーブ10内で滑り嵌めされるような寸法にしてもよい。
【0055】
上述したように一例においてヒーター支持スリーブ10の機能の1つは外方ハウジング2を加熱チェンバー4から断熱するのを補助して、外方ハウジング2が熱くならない、または少なくとも使用中に触れても熱くなりすぎないようにする。これを補助するためにヒーター支持スリーブ10は外方ハウジング2から離れている。図9および10に示す例においてこれは1つ以上の環状の支持体50の使用によって達成される。1つ以上の環状の支持体50はヒーター支持スリーブ10から環状の支持体50への熱伝導を最小限にするために配置されてもよい。図示の例ではこれは複数の内方に向いた接触突起51を有する環状の支持体50によって行われ、これら接触突起によってのみ環状の支持体50がヒーター支持スリーブ10と接触する。図示の例では環状の支持体50の接触突起51は中央へとテーパーし、接触する領域を小さくしている。さらに一例ではヒーター支持スリーブ10は該または各環状の支持体50用の対応する環状の支持体50が当接する外部の円周方向に延びたリブ16を有する。同様に一例では装置1の外方ハウジング2は対応する環状の支持体50が当接する該または各 環状の支持体50用の内部の円周方向に延びたリブ23を有する。ヒーター支持スリーブ10および外方ハウジング2の対応する円周方向に延びたリブ16、23は、対応する環状の支持体50が対応する円周方向に延びたリブ16、23の間に挟まれるように位置してもよい。
【0056】
該または各環状の支持体50はヒーター支持スリーブ10の両端部から離れて位置してもよい。これはヒーター支持スリーブ10が上述したように二重壁真空スリーブである場合に特に有利である。これは二重壁ヒーター支持スリーブ10の断熱性は一般に2つの壁11、12が合わさる所の両端部13、14を除いて良好であるからである。1つの例では2つの環状の支持体50が設けられる。これは装置1内でヒーター支持スリーブ10を適切に支持することおよびヒーター支持スリーブ10との接触を最小限にすることが両立し、これによりヒーター支持スリーブ10からの熱伝導損失を最小限にする。このような構成により環状の支持体50をスリーブ10の各端部または各端部からヒーター支持スリーブ10の長さに沿って約1/3の所に配置してもよい。しかしながら、他の位置も可能である。1つの構成において環状の支持体50は装置1内でヒーター支持スリーブ10と接触するだけでこれを支持しているので、伝導熱損失を最小限にするのに役立っている。(当然のことながらヒーター支持スリーブ10と接続する他の部材を設けてもよいが、通常装置1内でヒーター支持スリーブ10を機械的に支持しない。)環状の支持体50に特に好適な材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であるが、他のプラスチックまたは他の断熱材を使用してもよい。
【0057】
図11を参照するとヒーター支持スリーブ10の別の例が示されている。ヒーター支持スリーブ10のこの例は複数の特徴を有し、そのうちの1つ以上を上述の第1の例に組み込んでもよい。
【0058】
図11に示したヒーター支持スリーブ10の例では環状の支持体50の1つ以上がヒーター支持スリーブ10と接触する位置で環状の溝55をヒーター支持スリーブ10の外壁11に設けてもよい。これとは別にまたはこれに加えて連続した環状の溝ではなくヒーター支持スリーブ10の外壁11の円周の周囲を延びた複数の刻み目または凹部55であってもよい。これらの刻み目または凹部55は環状の支持体50とヒーター支持スリーブ10の外壁11が接触する箇所に設けてもよい。例えば、該または各環状の溝55または個々の凹部55は環状の支持体の複数の内方に向いた接触突起51の先端を収容してもよい。ヒーター支持スリーブ10の外壁11の該または各環状の溝55または個々の凹部55は環状の支持体50を正確に配置するのを補助し、環状の支持体50を正しい位置に留めるのに役立つ。このような環状の溝55および/または刻み目または凹部55を上述のヒーター支持スリーブ10の第1の例に設けてもよい。
【0059】
図11に示す別の例ではヒーター支持スリーブ10の内壁12内に1つ以上の環状の溝58があってもよい。ヒーターセグメント20に設けられたまたはこれと関連する保持クリップまたは他の特徴と組み合わせてヒーター支持スリーブ10の内壁12のこのような凹部58はヒーター支持スリーブ10内にヒーター集合体を確実かつ安定して留めるのを補助することができる。このような環状の溝58および/または刻み目を上述のヒーター支持スリーブ10の第1の例に設けてもよい。
【0060】
ヒーター支持スリーブ10の一端にある開口部17は外に向かって広がっていてもよい。これにより特に例えば製造時にヒーター支持スリーブ10内に含まれるヒーターセグメント20および機械的絶縁器30などの部材を入れ易くする。このような広がった開口部17を上述のヒーター支持スリーブ10の第1の例に設けてもよい。
【0061】
外方ハウジング2は断熱材で形成してもよい。特に好適な材料はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であるが、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの他のプラスチックまたは他の断熱材を使用してもよい。外方ハウジング2の最外方面に金属仕上げなどの装飾的コーティングを施してもよい。外方ハウジング2の最内方面を良好な熱導体である材料で部分的にまたは完全にコーティングしてもよい。例えば約0.05mmの厚さの銅などからなる金属コーティングをこの目的のために使用してもよい。ヒーター支持スリーブ10が前述の通り環状の支持体50によって支持されている場合、外方ハウジング2は特に少なくとも環状の支持体50が外方ハウジング2と接触する領域の周囲の内面に熱伝導性コーティング24を有してもよい。これは熱スプレッダとして作用し、環状の支持体50によってヒーター支持スリーブ10から外方ハウジング2に伝わった全ての熱を分散するのに役立ち、外方ハウジング2にホットスポットができないようにするのに役立つ。
【0062】
機械的絶縁器30は全て同一であってもよい。これとは別に最後部および最前部の機械的絶縁器30の内の少なくとも1つは、その最後部/最前部面で異なる形であってもよい。最前の機械的絶縁器30が異なる例は上記で示されている。加熱チェンバー4内へ空気流入り口を収容しやすくする、または設けやすくするために最後部の機械的絶縁器30はその最後部面で異なる形をしている。例えば、図10に示した例を参照すると最後部の機械的絶縁器30の最後部面37を最後部の機械的絶縁器30の端壁37の中央に位置する空気入り口オリフィス38を有する端壁37として形成してもよい。この例では外方ハウジング2は最後部の機械的絶縁器30の空気入り口オリフィス38の近くに位置する少なくとも1つの空気入り口オリフィス60を有し、装置1そして最後部の機械的絶縁器30内に空気を入らせる。
【0063】
1つの例では装置1内に流れる空気が電子/電力チェンバー6を通過しない、そして特に電気制御回路7および電源8を通過しないように構成されている。どのようにしてそのように通過しないようにするかの一例を図12に示す。空気入り口管70が外方ハウジング2の空気入り口オリフィス60を最後部の機械的絶縁器30の空気入り口オリフィス38に接続し、これにより空気が外方ハウジング2の空気入り口オリフィス60、空気入り口管70および最後部の機械的絶縁器30の空気入り口オリフィス38を介してのみ加熱チェンバー4を通って装置1に入ることができるようになっている。空気入り口オリフィス38は最後部の機械的絶縁器30の端壁37の後方に突出し、空気入り口管70のためのコネクタマウントになる円形または類似の形状の壁39によって画定されてもよい。
【0064】
外方ハウジング2に複数の空気入り口オリフィス60があってもよく、空気入り口管70が空気の最後部の機械的絶縁器30への搬送に適するように配置される。1つの構成において外方ハウジング2に2つの空気入り口オリフィス60が外方ハウジング2の対向側部に設けられている。このような場合の空気入り口管70は第1および第2外方ハウジング空気入り口60それぞれに接続する第1および第2腕部71および最後部の機械的絶縁器30の空気入り口オリフィス38に接続する脚部72を有するほぼT字状またはY字状の断面を有し(選択的に空気入り口オリフィス38を画定する壁39に装着されることによって)、隣接する最後部のヒーターセグメント20内に空気が流れるようにしている。
【0065】
どのような形状であっても空気入り口管60は、それが設けられる場合最後部の機械的絶縁器30と一体に形成してもよい。別例として、もし設けられるのなら空気入り口管60は、どのような形状であっても外方ハウジング2と一体に形成してもよい。しかしながら、空気入り口管60はどのような形状であっても別個の部材として提供されるとより都合がよい。製造時の装置1の組み立てを簡単にするため、および空気入り口管60用の取り付け部を設けるために、最後部の機械的絶縁器30の空気入り口オリフィス38を最後部の機械的絶縁器30の最後部面37から離れるように突出する後方に向いたカラー39によって設けてもよい。空気入り口管70は最後部の機械的絶縁器30のこのカラー39に取り付けてもよい。空気入り口管70が上述のほぼT字状またはY字状の断面を有する特定の例において、空気入り口管70の脚部72は最後部の機械的絶縁器30のカラー39に滑り嵌めするような大きさであってもよい。別の構成(図示せず)では空気入り口管70の脚部72は最後部の機械的絶縁器30のカラー39内に滑り嵌めしてもよい。
【0066】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践され、喫煙材を燃やさず加熱するように構成された優れた装置を提供することができる。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
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図4
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【国際調査報告】