特表2016-534752(P2016-534752A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-534752酸化ストレス、およびDNAに対する損傷によって引き起こされる疾患を処置するための、GSE24.2に由来するペプチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-534752(P2016-534752A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】酸化ストレス、およびDNAに対する損傷によって引き起こされる疾患を処置するための、GSE24.2に由来するペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20161014BHJP
   C12N 9/12 20060101ALI20161014BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20161014BHJP
   C07K 5/11 20060101ALI20161014BHJP
   C07K 14/44 20060101ALI20161014BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20161014BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20161014BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
   C12N15/00 A
   C12N9/12ZNA
   C07K19/00
   C07K5/11
   C07K14/44
   A61K37/02
   A61K48/00
   A61K35/76
   A61K31/7088
   A61P39/06
   A61P43/00 105
   A61P17/00
   A61P25/00
   A61P25/14
   A61P9/10
   A61P21/00
   A61P7/06
   A61P1/04
   A61P9/00
   A61P9/10 101
   A61P21/04
   A61P43/00
   A61P11/00
   A61P19/02
   A61P29/00 101
   A61P29/00
   A61P25/28
   A61P25/16
   A61P43/00 101
   A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-549641(P2016-549641)
(86)(22)【出願日】2014年10月24日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月27日
(86)【国際出願番号】ES2014070803
(87)【国際公開番号】WO2015059338
(87)【国際公開日】20150430
(31)【優先権主張番号】P201331573
(32)【優先日】2013年10月25日
(33)【優先権主張国】ES
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】508014327
【氏名又は名称】コンセホ スペリオール デ インヴェスティガシオネス シエンティフィカス(シーエスアイシー)
(71)【出願人】
【識別番号】506255603
【氏名又は名称】ウニベルシダッド アウトノマ デ マドリッド
(71)【出願人】
【識別番号】516124476
【氏名又は名称】アドバンスド メディカル プロジェクツ
(71)【出願人】
【識別番号】516124487
【氏名又は名称】セントロ デ インベスティガシオン バイオメディカ エン レド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ペローナ アベロン,ロザリオ
(72)【発明者】
【氏名】サストレ ガルソン,レアンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ピンタド ベルニンチェス,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】カルリーリョ ガルシア,ハイメ
(72)【発明者】
【氏名】モリーナ パチョン,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】イラディクシオ シルバ,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】マンガン ガルシア,クリスティーナ
【テーマコード(参考)】
4B050
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050CC07
4B050DD07
4B050LL01
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA20
4C084CA53
4C084MA01
4C084NA14
4C084ZA012
4C084ZA022
4C084ZA162
4C084ZA222
4C084ZA362
4C084ZA452
4C084ZA552
4C084ZA592
4C084ZA662
4C084ZA892
4C084ZA942
4C084ZA962
4C084ZB112
4C084ZB152
4C084ZB212
4C084ZB262
4C084ZC212
4C084ZC412
4C084ZC512
4C084ZC522
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC41
4C086ZC51
4C086ZC52
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA01
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA02
4C087ZA16
4C087ZA22
4C087ZA36
4C087ZA45
4C087ZA55
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA89
4C087ZA94
4C087ZA96
4C087ZB11
4C087ZB15
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZC21
4C087ZC41
4C087ZC51
4C087ZC52
4H045AA30
4H045BA13
4H045BA15
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA89
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の断片(配列番号2)を含んでおり、フリーラジカルの生成および/または細胞のDNAの構造に対する損傷を低減させ得るポリペプチドに関し、当該ポリペプチドは必要に応じて核局在化配列を含んでいる。本発明はまた、上記ポリペプチドをコードしている配列を含んでいるポリヌクレオチドおよびベクター、ならびに上記ポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび/またはベクターを含んでいる薬学的組成物に関する。本発明はさらに、上記ポリペプチドの用途(例えば、細胞内DNAに対する酸化ストレスおよび/または損傷の増大によって引き起こされる疾患(例えば、血管拡張性運動失調症または先天性角化不全症)を処置するか、および/または予防するための、上記ポリペプチドの使用、または細胞の生存度を向上させるための、組織工学および細胞培養における上記ポリペプチドの使用)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリペプチドであって、
上記ポリペプチドは、フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減可能な配列番号2を有している、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の配列の断片を含んでおり、
上記ポリペプチドがペプチドGSE24.2(配列番号1)または配列番号4を有しているその断片からなる場合を除くことを特徴とする、ポリペプチド。
【請求項2】
配列番号2、配列番号3、配列番号5および配列番号6からなる群のうち少なくとも1つから選択されるペプチドGSE24.2の断片を少なくとも含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
上記断片のアミノ酸配列のカルボキシル末端またはアミノ末端の少なくとも一方に結合されている少なくとも1つの核局在化配列を、上記断片に加えて含んでいることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
上記核局在化配列が、上記断片の上記カルボキシル末端に対して結合されていることを特徴とする、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
上記核局在化配列が、KRKR配列および/またはKKEKKKSK配列であることを特徴とする、請求項3または4に記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14からなる群から選択される1つの配列からなることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードしていることを特徴とする、ポリヌクレオチド。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列を含んでいることを特徴とする、発現ベクター。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド、および/または請求項7に記載のポリヌクレオチド、および/または請求項8に記載の発現ベクターを少なくとも含んでいることを特徴とする、薬学的組成物。
【請求項10】
薬学的に許容可能な補助剤および/またはビヒクルのうち少なくとも1つをさらに含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減可能な配列番号2を有している、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の配列の断片を含んでいるポリペプチドの、酸化ストレスおよび/または細胞内DNAに対する損傷の増大によって引き起こされる疾患および/または障害の処置および/または予防のための薬学的組成物または薬剤の調製のための、使用。
【請求項12】
上記ポリペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14からなる群の少なくとも1つから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
酸化ストレスおよび/または細胞内DNAに対する損傷の増大によって引き起こされる疾患および/または障害の処置および/または予防のための薬学的組成物または薬剤の調製に用いられる、請求項7に記載のポリヌクレオチドの、使用。
【請求項14】
酸化ストレスおよび/または細胞内DNAに対する損傷の増大によって引き起こされる疾患および/または障害の処置および/または予防のための薬学的組成物または薬剤の調製に用いられる、請求項8に記載の発現ベクターの、使用。
【請求項15】
上記疾患または障害が、先天性異角化症、神経変性疾患、猫鳴き症候群、血管拡張性運動失調症、ナイミーヘン染色体不安定症、ブルーム症候群、ウェルナー症候群、ファンコニー貧血、潰瘍性大腸炎、血管老化、動脈硬化、好ましくはアテローム性動脈硬化、がん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、早老症、光過敏症、突然変異または外因性作用物質によって引き起こされる遺伝的不安定性、ハッチンソン−ギルフォード症候群、色素性乾皮症、ロトムンド−トムソン症候群、肺線維症、リウマチ様関節炎、および慢性炎症をともっている疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
上記神経変性疾患が、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、小脳性運動失調症および骨髄変性からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減可能な配列番号2を有している、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の配列の断片を含んでいるポリペプチド、または当該ポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドもしくはベクターの、組織工学および細胞培養における細胞の生存度を向上させるための、使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
GSE24.2に由来するペプチドは、酸化ストレスおよび/またはDNAに対する損傷によって引き起こされるか、および/または当該酸化ストレスおよび/または損傷に関連している疾患および/または症状(例えば、炎症または細胞の老化)を処置するための、生物工学分野および薬学分野における用途を有する。
【0002】
〔背景技術〕
GSE24.2は、テロメラーゼ複合体の一部であるタンパク質ジスケリンに対応しているペプチドである。GSE24.2は、病理的な状態および生理学的な状態においてテロメラーゼを再活性化可能であり;テロメラーゼ異常をともなっている疾患において、GSE24.2活性は、患者由来の細胞の生存度を向上させる。
【0003】
国際特許出願:WO2007/090911 A1「SEQUENCE OF NUCLEOTIDES AND PEPTIDES GSE24.2 OF DYSKERIN, WHICH CAN INDUCE TELOMERASE ACTIVITY, METHOD FOR OBTAINING SAME, THERAPEUTIC COMPOSITIONS AND APPLICATIONS THEREOF」は、薬剤または薬学的組成物のいずれかにおいて、テロメラーゼ活性を再活性化するための、GSE24.2の使用を示している。この国際特許出願は、本来の機能的な構成単位として、55アミノ酸の配列を特定している。本発明は、本来の配列に由来するサイズのより小さい新規ペプチド、ならびにその使用および用途(例えば、いずれも炎症性および細胞老化の過程に関与する、酸化ストレスおよびDNAに対する損傷)を説明している。
【0004】
さらに、本発明は、GSE24.2に由来するこれらのペプチドのバリアントを提供し、ここで、当該バリアントは、当該ペプチドが生物学的活性を発揮するはずの核への、より高率かつ良好な進入を可能にする核局在化配列を含んでいる。当該核局在化配列は、当該それらの効率を向上させ、55アミノ酸の本来の配列を封入する必要性を低下させる。
【0005】
〔発明の概要〕
(発明の簡単な説明)
本発明は、フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減させるか、または減少させる化合物を提供し、この化合物は、ジスケリンのペプチドGSE24.2のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の断片に基づいており、当該断片は、正常細胞の酸化還元バランスに戻すことおよび/または細胞DNAに対する損傷を校正可能である。したがって、本発明は、細胞内の酸化ストレスおよび/またはDNAの構造に対する損傷の増大をともなう疾患(例えば、動脈硬化、パーキンソン病、筋痛性脳症、アルツハイマー病、血管拡張性運動失調症、先天性異常角化および老化)の処置のための新たな治療手段を提供するという課題に対処する。
【0006】
本特許は、完全配列およびすでに公知の断片より高い生物学的な活性を有している、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の内部配列を説明しており;さらに、それらの活性を向上させるために、細胞によるそれらの内部移行を向上させること、および細胞核におけるそれらの存在を促進することによって、上記ペプチドの活性をさらに向上させる核輸送配列が、追加されている。
【0007】
ペプチドGSE24.2(配列番号1の配列を有している)および由来ペプチドは、これまで説明されていない生物学的な活性(例えば、細胞によるフリーラジカル含有量の低下)を有しており、したがって、酸化ストレス、および認識機構における変異によって引き起こされるDNAに対する構造的な損傷を低減させる活性を有しており;これはすべて、上述の影響を引き起こす種々の作用因子に曝された細胞の生存度を向上させる。この活性は、いくつかの病状(例えば、血管拡張性運動失調症および先天性異常角化)において、調べられているが;これはまた、神経変性疾患、筋肉退化(デュシェンヌ型ジストロフィー)、プロジェロイド症候群、光過敏症、または変異もしくは外来性の作用因子によって引き起こされる遺伝的不安定性におけるその適用に可能性をもたらしており;すべての用途は、このペプチドについてこれまで説明されていない。
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明の基礎は、本発明者らが、ヒトの種々の疾患に存在しているか、または作用因子(例えば、放射線または遺伝毒性物質)に対する曝露から生じる、フリーラジカルのレベルおよびDNAに対する損傷を低減させるための、GSEに24.2由来するペプチドの能力を調べていることにある。したがって、GSEに24.2由来する本発明のペプチドおよびGSE24.2自体は、DNAに対する損傷の蓄積もしくはフリーラジカルの増加を原因とするか、またはDNAに対する損傷の蓄積もしくはフリーラジカルの増加をともなう、これらのすべて疾患(例えば、促進老化の疾患(例えば、ウェルナー症候群、ハッチンソン−ギルフォード症候群);認識機構およびプロセッシング機構における変異によって引き起こされるDNAに対する損傷がある疾患(例えば、血管拡張性運動失調症、色素性乾皮症、ロトムンド−トムソン症候群、ナイミーヘン染色体不安定症候群);神経変性疾患(例えば、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病など);筋肉退化をともなう疾患(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー);心血管疾患または肺疾患(例えば、肺線維症、動脈硬化);それらの病態に主要な炎症性の成分をともなっている疾患(例えば、リウマチ様関節炎))に適用され得る。また、これらのペプチドの用途は、組織工学および細胞培養に関する用途、ならびに他の生物工学的な用途を包含している。また、これらのペプチドは、化粧品産業(例えば、皮膚における老化によって引き起こされる損傷の処置など)における用途を有し得る。
【0009】
本発明者らは、細胞に進入する能力および本来のペプチドより高い生物学的な活性を有している、GSE24.2(配列番号1)に由来する小さいサイズのペプチドを生成しており、GSE24.2の完全配列を発現している細菌の細菌溶解物においてそれらを同定している。これらの溶解物は、これらの配列の同定に先立って、HPLCによって分析された。GSE24.2の他に5つのペプチドが、溶解物において同定され、これらの配列は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6に一致していた。
【0010】
表1は、配列および本発明に記載されているペプチドとの対応の一覧を示す。
【0011】
【表1】
【0012】
細菌溶解物において同定されたペプチドの生物学的な活性は、DNAの損傷修復試験において詳細に調べられた。これらのうち、TRUBLドメインに含まれているペプチドGSE4(配列番号2)は、完全なドメイン(配列番号4、GSE2)の活性およびGSE24.2の活性を大きく向上させ;この活性は、カルボキシル末端位置(N末端位置ではない)における核局在化のための配列の挿入によって、よりいっそう向上された。本発明において同定された、小さなサイズのペプチドであれば、細胞内にこれらを導入するために細胞捕捉システム(例えばリポソーム)を使用する必要がなく;これは、リポソームが必要とされる完全なペプチドGSE24.2(配列番号1)またはTRUBLドメイン(GSE2、配列番号4)に使用されることに比べて、重要な改良である。したがって、これらの新規ペプチドは、現状より再現性のある安定な、治療目的のシステムをもたらす。さらに、これらのペプチドは、これらのペプチドを入手する過程を簡略化する化学合成によって入手され得る。これらのペプチドは、GSE24.2の機能と類似の機能を果たし、したがって、同等の用途において、これらを用いることができる。
【0013】
本発明は、(1)配列番号1の配列のGSE24.2ペプチドに含まれている、(2)配列番号1の、11アミノ酸の断片からなる、(3)配列番号2を少なくとも含んでいる、活性を有している最小単位または最小のポリペプチドを規定している。このペプチドは、フリーラジカル生成、および/または細胞におけるDNAの構造に対する損傷を低減させるGSE24.2活性を担っている最小単位を構成している。
【0014】
したがって、本発明の第一の側面は、配列番号1を有しているペプチドGSE24.2配列の断片を含んでいるポリペプチドに言及しており、当該断片は、フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減可能であり、当該断片は、ペプチドGSE24.2(配列番号1)または配列番号4を有しているその断片からなる場合を除いて、配列番号2を少なくとも含んでいる。
【0015】
好ましい実施形態において、上記ポリペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号5および配列番号6によって形成されている群のうちの少なくとも1つから選択される、ペプチドGSE24.2の断片を少なくとも含んでいるアミノ酸配列を有している。
【0016】
ここまでに規定されているポリペプチドのうち少なくとも1つが、導入されているとき、またはその発現が、細胞の内部、好ましくは真核細胞(例えばヒト細胞)の内部に誘導されているとき、この細胞の、フリーラジカルの生成および/またはDNAに対する損傷の減少を生じさせることができる。このため、公知の方法(例えば、化合物ジヒドロエチジウム(DHE、ヒドロエチジン)など)のいずれかによって生細胞におけるフリーラジカルのレベルを定量化することによって、細胞におけるフリーラジカルの生成は、上記ポリペプチドが導入されていないか、またはその発現が誘導されていない細胞と同種の細胞について、生理学的レベルに至るまで、このポリペプチドの配列に依存して、減少し得る。同様に、細胞内DNAに対する損傷が、既存の方法(例えば、Ser139位におけるリン酸化ヒストンH2AX(γ−Η2ΑΧ)に対する抗体を用いた、細胞のハイブリダイゼーションシグナルの試験など)によって定量化されるとき、DNAに対するこの損傷は、上記ポリペプチドが導入されているか、または当該ポリペプチドの発現が誘導されている細胞と同種の細胞について、上記ポリペプチドの配列に依存して50%まで低下すると認められ得る。
【0017】
本発明のこの側面に規定されている上記ポリペプチド作用が、細胞核において生じ得ることを考慮すると、核におけるこれらの発現または局在を促進するため、および/または上記ポリペプチドの活性を向上させるために、このポリペプチドは、活性を有しているGSE24.2ペプチドの断片に加えて、この断片のカルボキシル末端およびアミノ末端の少なくとも一方、好ましくはカルボキシル末端に連結されている核局在化配列(NLS)を少なくとも含み得る。
【0018】
本発明の範囲において、上記核局在化配列は、結合させられるペプチドの、細胞核への局在化を導くことが可能なアミノ酸の集団であるとみなされ;細胞核に結合されるための、当該ペプチドの局在化を導くことができるアミノ酸基である、と考えられる;この配列は、核への輸送のための配列、または核小体への輸送のための配列であり得る。好ましくは、核局在化配列は、GSE24.2の配列が由来している遺伝子DKC1に見られる核局在化配列(例えば、核輸送配列KRKR(NLS1)または核小体輸送配列KKEKKKSK(NLS2))であり、より好ましくは核輸送配列KRKR(NLS1)である。
【0019】
したがって、本発明のこの側面のポリペプチドの好ましい実施形態において、当該ポリペプチドがGSE24.2の活性な断片に連結されている核局在化配列を含んでいるとき、このポリペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。より好ましい実施形態において、このポリペプチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。さらなるより好ましい実施形態において、本ポリペプチドは、配列番号7および配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0020】
本書の全体を通して、本発明の第一の側面に規定されている上記ポリペプチドのうちのいずれも、「本発明のポリペプチド」または「本発明のペプチド」と、等しく呼ばれ得る。
【0021】
本発明のポリペプチドは、ペプチド合成に技術において公知の通常の手法:発現ベクターへの挿入または化学合成によって入手され得る。ペプチドの化学合成手順は、液体もしくは液相における合成、および固相ペプチド合成(SPPS)の両方を包含している。好ましくは、固相ペプチド合成が、Fmocおよびt−Bocといった、最新技術において知られている方法のいずれかを用いて、利用される。
【0022】
本発明の他の側面は、本発明のポリペプチドのうちの少なくとも1つ(例えば、これまでに規定されているポリペプチドのいずれか)をコードしている配列を含んでいるポリヌクレオチドに言及している。このポリヌクレオチド(本書において、本発明のポリヌクレオチドとも呼ばれる)は、真核細胞、好ましくはヒト細胞における、フリーラジカルの生成および/またはDNAの構造に対する損傷を低減可能なポリペプチドの発現を可能であり、DNA、cDNAまたはRNAのポリヌクレオチドを指し得る。好ましくは、このポリヌクレオチドは、配列番号1を有しているペプチドGSE24.2の配列の、少なくとも1つの活性な断片をコードしている配列を含んでおり、ここで、この断片は、このポリヌクレオチドがペプチドGSE24.2(配列番号1)または配列番号4を有しているその断片をコードしている場合を除いて、少なくとも配列番号2を含んでいる。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号5および配列番号6によって形成されている群のうち少なくとも1つから選択される、ペプチドGSE24.2の断片をコードしている配列を含んでいる。
【0024】
本発明のポリペプチドについて示されている場合と同様に、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの作用が、細胞核において生じ得ることを考慮すると、本発明のポリヌクレオチド配列はまた、ペプチドGSE24.2の断片の配列の3´末端または5´末端のうち少なくとも一方、より好ましくは、3´末端に結合されている少なくとも1つの核局在化配列(NLS)を含んでいる。
【0025】
好ましくは、本発明のポリペプチドのために選択される核局在化配列は、核または核小体中に方向付けられている核局在化配列であり、より好ましくは、GSE24.2の配列が由来している遺伝子DKC1にある。遺伝子DKC1の核輸送配列の好ましい例は、ペプチド配列KRKR(NLS1)をコードしている核輸送配列、またはペプチド配列KKEKKKSK(NLS2)をコードしている核輸送配列であり、好ましくはペプチド配列KRKR(NLS1)をコードしている核輸送配列である。
【0026】
好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドが、GSE24.2の活性な断片をコードしている配列に連結されている核局在化配列を含んでいるとき、このポリヌクレオチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドをコードしている配列からなる。より好ましい実施形態において、当該ポリヌクレオチドは、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号13および配列番号14からなる群から選択されるポリペプチドをコードしている配列からなる。さらなるより好ましい実施形態において、当該ポリヌクレオチドは、配列番号7および配列番号8からなる群から選択されるポリペプチドをコードしている配列からなる。
【0027】
以上に説明されているポリヌクレオチドのいずれかとしての、本発明のポリヌクレオチドは、最新技術において広く知られている手法(Sambrook et al. "Molecular cloning, a Laboratory Manual" 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y., 1989 vol 1-3)の使用を通して、当業者によって入手され得る。これらのポリヌクレオチドの配列は、細胞内部の好適な条件における発現の制御を可能にする遺伝子発現ベクターに組み込まれ得る。
【0028】
したがって、本発明の他の側面は、(1)本発明のポリヌクレオチド、または(2)真核細胞、好ましくはヒト細胞におけるフリーラジカルの生成および/またはDNAの構造に対する損傷を低減可能なポリペプチドの発現を可能にする、本発明のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチド配列を含んでいるベクター(以下、本発明のベクター)に言及している。
【0029】
一般的に、本発明によれば、上記発現ベクターは、作動可能に連結されている、転写を導くプロモータ(例えば、pT7、plac、ptrc、ptac、pBAD、retなど)、ならびにこの転写および必要に応じて所望の産物の翻訳を制御しかつ調節する、必要もしくは適切な他の配列(例えば、転写開始シグナル、転写終結シグナル(tlt2など)、ポリアデニル化シグナル、複製開始点、リボソーム結合配列(RBS)、転写制御因子(エンハンサ)をコードしている配列、転写サイレンサ(サイレンサ)、リプレッサーなど)を、本発明に説明されているポリヌクレオチドに加えて、さらに含んでいる。適切な発現ベクターの例は、特定の場合のそれぞれの条件および必要性にしたがって、単一または複数の所望の遺伝子を用いて導入されているか、または形質転換されている細胞を選択するために用いられる標識を付加的に含んでいる、発現プラスミド、ウイルスベクター(DNAまたはRNA)、コスミド、人工染色体などから選択され得る。ベクターの選択は、宿主細胞、および実施されるそれの利用の種類に依存する。したがって、本発明の特定の実施形態によれば、このベクターは、プラスミドまたはウイルスベクターであり得る。このベクターは、微生物および真核細胞の形質転換のために、広く知られている種々の方法が使用され得るように、種々の手引書(Sambrook et al. "Molecular cloning, a Laboratory Manual" 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, N.Y., 1989 vol 1-3)に説明されている当業者に知られている従来の方法:化学的な形質転換、エレクトロポレーション、マイクロインジェクションなどによって入手され得る。
【0030】
本発明において規定されている本発明のポリペプチド、本発明のポリヌクレオチドおよび/または遺伝子発現ベクターは、酸化ストレスおよび/または細胞内DNAに対する損傷の増加によって(好ましくは、フリーラジカルレベルおよび/またはそれらのDNAの構造に対する損傷の増加によって影響される、細胞(好ましくはヒト細胞)におけるその生物学的作用を介して)引き起こされる疾患にかかっているヒトのための、処置方法および/または予防方法における薬剤として使用され得;また、それは、細胞培養系またはインビトロにおける生物工学的なツールとして、細胞の生存度を向上させるために使用され得る。しかし、本発明はまた、ペプチドGSE24.2の完全配列(配列番号1)および/または配列番号4の18アミノ酸の断片(GSE2)が、この目的のために使用され得るとみなされる。本発明において説明されている治療方法と同様に、生物工学的なツールおよび薬学的なツールは、そのようなツールが過剰な努力なしに構築され得るように、当該当業者によって十分に知られているとみなされる。
【0031】
したがって、本発明の他の側面は、ポリペプチド、またはこのポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドの使用に言及しており、ここで、このポリペプチドは、フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減させ得る、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の断片である配列番号2(GSE4)を、酸化ストレスおよび/または細胞内DNAに対する損傷の変化(好ましくは増大)によって引き起こされる少なくとも1つの疾患の処置のための、薬剤調製物または薬学的組成物に、少なくとも含んでいる。例示を目的として、本発明の範囲を限定することなく、この疾患は、以下の群:先天性異角化症、神経変性疾患、猫鳴き症候群、血管拡張性運動失調症、ナイミーヘン染色体不安定症、ブルーム症候群、ウェルナー症候群、ファンコニー貧血、潰瘍性大腸炎、血管老化、動脈硬化、好ましくはアテローム性動脈硬化、がん、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、早老症、光過敏症、突然変異または外来性の作用因子によって引き起こされる遺伝的不安定性、ハッチンソン−ギルフォード症候群、色素性乾皮症、ロトムンド−トムソン症候群、肺線維症、ならびに慢性的な炎症をともなっている疾患(リウマチ様関節炎など)に属し得る。
【0032】
本発明のこの側面の好ましい実施形態において、上記疾患は、先天性異角化症、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、血管拡張性運動失調症または骨髄変性などが挙げられる)、猫鳴き症候群、血管拡張性運動失調症、ナイミーヘン染色体不安定症、ブルーム症候群、ウェルナー症候群、ファンコニー貧血、潰瘍性大腸炎、血管老化、動脈硬化、好ましくは動脈硬化およびがんによって構成されている群から少なくとも選択される。
【0033】
本発明のある側面によれば、上記薬剤または薬学的組成物は、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、またはそれをコードしている発現ベクターを含んでおり、ここで、このポリペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号5および配列番号6によって構成されている群のうち少なくとも1つから選択される配列を含んでいる。しかし、さらなるより好ましい実施形態は、上記ポリペプチドが、配列番号2、配列番号3、配列番号5および配列番号6によって構成されている群のうち少なくとも1つから好ましくは選択される、25アミノ酸以下の配列からなるポリペプチドである。
【0034】
本発明の他の側面において、上記薬剤または薬学的組成物は、ポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチド、またはそれをコードしている発現ベクターを含んでおり、ここで、このポリペプチドは、少なくとも1つの核局在化配列を付加的に含んでおり、当該核局在化配列は、(1)カルボキシル末端に好ましく結合されており、(2)配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14によって構成されている群のうち少なくとも1つから好ましく選択される。よりいっそう好ましくは、上記ポリペプチド配列は、配列番号7および配列番号8によって構成されている群から選択される。
【0035】
本発明の他の対象は、好ましくは細胞内DNAの構造に対する損傷に関連するか、または当該損傷によって引き起こされる酸化ストレスに起因する細胞内部にあるフリーラジカル含有量の変化によって引き起こされる疾患、障害または病態の処置のための、薬学的組成物または薬剤(以下において、フリーラジカルの生成および/または細胞なDNAの構造に対する損傷を低減可能なポリペプチド、ポリヌクレオチドおよび/または発現ベクターの少なくとも1つを治療上の有効量において含んでおり、必要に応じて酸化還元バランスを調節可能および維持可能な、DNAに対する損傷を校正可能な、補助剤および/または薬学的に許容可能なビヒクルとともに含んでいる、本発明の上記薬学的組成物)である。本発明の範囲において、この薬学的組成物または薬剤は、「本発明の薬学的組成物または薬剤」と等しく呼ばれ得る。
【0036】
これらの組成物に使用され得る薬学的に許容可能な補助剤および/またはビヒクルは、当業者によって知られている補助剤およびビヒクルであり、薬剤組成物の調製に広く使用されている。一例として、これらは、分子の吸収および内部移行を補助するナノ粒子またはリポソームであり得る。
【0037】
本書に使用されている意味において、治療上の有効量という表現は、本発明のポリペプチド、または分子もしくは化合物の量を指し、当該量は、(1)他の要素(年齢、患者の状態、変性または場外の重篤度、ならびに投与の経路および頻度)のなかでも化合物の特性によって一般的に決定される、(2)フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減可能な、(3)所望される作用をもたらすために計算されている量である。
【0038】
特定の実施形態において、この治療組成物は、薬学的に許容可能な希釈剤における固体懸濁物または水性懸濁物の形態において調製されている。本発明によって提供される治療組成物は、適切な任意の投与経路によって投与され得、したがって、当該組成物は、選択される投与経路によって好適な、薬学的に許容可能な任意の形態によって製剤化される。特定の実施形態において、本発明によって提供される上記治療組成物の投与は、非経口経路、経口経路、腹膜内経路、皮下経路による。薬剤の投与の、種々の薬学的形態、およびそれらを入手するために必要な賦形剤の概説は、例えば、Tratado de Farmacia Galenica, C. Fauli i Trillo, 1993, Luzan 5, S.A. Ediciones, Madridに見出され得る。
【0039】
好ましい実施形態において、上記薬剤組成物または薬剤は、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14によって構成されている群のうち少なくとも1つから選択される本発明のポリペプチド;またはこのポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドもしくはベクターを含んでいる。より好ましくは、含んでいるか、またはコードしているポリペプチドは、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号13および配列番号14からなる群のうち少なくとも1つから選択され;配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8からなる群のうち少なくとも1つからより好ましく選択される。
【0040】
好ましい他の実施形態において、上記薬学的組成物または薬剤は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6によって構成されている群のうち少なくとも1つから選択されるペプチドGSE24.2の活性な断片を含んでいる本発明のポリペプチド;またはこのポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドもしくはベクターを含んでいる。
【0041】
好ましい他の実施形態において、上記薬学的組成物または薬剤は、核局在化配列に結合されているペプチドGEE24.2の活性な断片を含んでおり、好ましくはカルボキシル末端に結合されており、配列番号7および配列番号8によって構成されている群のうち少なくとも1つから選択されるポリペプチド;またはこのポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドもしくはベクターを含んでいる。
【0042】
本発明の薬学的組成物は、単独または他の薬学的な化合物ともなって、処置方法に使用され得る。
【0043】
したがって、本発明の他の側面は、本発明の薬学的組成物の使用(以下において、酸化ストレスに起因するか、および/またはDNAの構造に対する損傷によって引き起こされる疾患、障害または病態にかかっている個体(好ましくはヒト)における処置または予防の方法における、本発明の薬学的組成物の使用)である。好ましくは、処置される上記疾患または病態は、上述の組成物の使用において規定されている疾患または病態の1つである。
【0044】
本発明の他の側面は、フリーラジカルの生成および/または細胞内DNAの構造に対する損傷を低減可能な、ペプチドGSE24.2(配列番号1)の断片(配列番号2)を含んでいるポリペプチド、またはそれをコードしているポリヌクレオチドもしくはベクターの、細胞の生存度を向上させるための、組織工学または細胞培における使用に言及している。好ましくは、このポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13および配列番号14によって構成されている群から選択される少なくとも1つからなる。
【0045】
この記載および特許請求の範囲の全体を通じて、単語「含んでいる」およびその変化形は、他の技術的特徴点、付加物、構成要素または工程を排除していない。当業者にとって、本発明の他の目的、利点および特性は、この説明から部分的に、かつ本発明の実施から部分的に、明らかになる。以下の実施例および図面は、例証の目的のみのために与えられており、本発明を限定するとはみなされるべきではない。
【0046】
(図面の簡単な説明)
図1)AT細胞におけるDNAに対する損傷の決定:AT3784 AT細胞を、GSE24.2を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、処理後の24時間に固定し、リン酸化ヒストンH2AX(Ser139)に対する抗体とハイブリダイズさせた。対照C−1787細胞を、陰性対照として用いた。次に、それらを、フルオレセイン標識した抗体とハイブリダイズさせ、核の位置を示すためにDAPIを用いて染色した。凝集体(foci)は、細胞種ごとに200細胞において、リン酸化ヒストンH2AXに対する染色によって評価し、その結果を、凝集体を示さない細胞、5〜20の凝集体の細胞、および20を超える凝集体の細胞に分類した。
【0047】
図2)AT細胞におけるDNAに対する損傷の決定:AT3784 AT細胞を、GSE24.2を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、処理後の24時間に固定し、キナーゼpCHK2thr68に対する抗体とハイブリダイズさせた。対照C−1787細胞を、陰性対照として用いた。次に、それらを、フルオレセイン標識した抗体とハイブリダイズさせ、核の位置を示すためにDAPIを用いて染色した。凝集体を、細胞種ごとに200細胞において、pCHK2thr68に対する染色によって評価し、その結果を、凝集体を示さない細胞、5〜20の凝集体の細胞、および20を超える凝集体の細胞に分類した。
【0048】
図3)AT細胞におけるROSレベルの決定:AT3189−P AT細胞を、GSE24.2を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、3週間後に、活性酸素種(ROS)のレベルを検出するDHE試薬を取り込ませた。AT736C細胞を、対照として用いた。3つの細胞株の相対蛍光および最大強度を有している細胞の比率は、518nm吸収および605nm発光の波長を用いて、フローサイトメトリーを介して決定した。そのデータは、上記波長において発光している細胞の相対的なパーセンテージとして示されている。
【0049】
図4)AT細胞におけるp38のリン酸化のレベルの決定:AT719−P AT細胞を、GSE24.2を発現するレンチウイルスベクターまたはGFPの空ベクターによって感染させ、3週間後に、タンパク質抽出物を得た。また、GSE24.2によって感染させたAT719−P AT細胞を、使用し、最大蛍光を有している細胞群を、ソータ(AT AT719−P GSE24.2ソータ)を用いて選択した。AT736C細胞を、対照として用いた。タンパク質を、ポリアクリルアミドゲルによって分離させ、ニトロセルロース膜に転写した。膜を、Thr180/Try182においてリン酸化されているタンパク質p38に対するポリクローナル抗体、およびローディング対照としての非リン酸化タンパク質に対するポリクローナル抗体とハイブリダイズさせた。
対照の細胞株について得られた(NIHイメージプログラムを用いて)、リン酸化タンパク質および上記非リン酸化タンパク質の間における相対値を1とみなし、他は、それを基準にされている。
【0050】
図5)AT細胞におけるブレオマイシンに対する生存度の決定:AT719−P AT細胞を、GSE24.2を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、3週間後に、異なる用量のブレオマイシンを用いて処理した。AT736C細胞を、対照として用いた。細胞、処理の72時間後に固定し、生存度を、MTS試薬を用いて決定した。値は、3つ1組において実施された試験の結果を表しており、処理されていない細胞に対する生存度を示している。
【0051】
図6)GSE24.2に由来する化学合成ペプチドを用いたトランスフェクションの24時間後におけるF9細胞およびF9A353V細胞のウエスタンブロット。ゲルの各ラインに示されたペプチドを、30mmプレート上においてトランスフェクションした(15μgの各ペプチド)。ポリアクリルアミドゲルにおいてタンパク質抽出物を分離し、かつニトロセルロース膜にそれらを転写した後に、膜を、ヒストンH2AX(Ser139)に対する抗体とハイブリダイズさせ、そのとき、ローディング対照としてα−チューブリンに対する抗体とハイブリダイズさせた。
【0052】
図7図6のウェスタンブロットの定量化。NIHイメージプログラム用いて、ヒストンH2AX(Ser139)を用いて得られたシグナルを、α−チューブリンのシグナルを用いて補正し、ベータ−ガラクトシダーゼを用いてトランスフェクションしたF9細胞を用いて得られたシグナル(対照として)を1とみなした。
【0053】
図8)漸増する濃度のGSE4ペプチドを用いたトランスフェクションの24時間後における、F9細胞およびF9A353V細胞のウェスタンブロット。GSE4合成ペプチドを、ゲルの各ラインに示されている濃度においてトランスフェクションした。膜を、ヒストンH2AX(Ser139)に対する抗体、およびローディング対照としてのα−チューブリンに対する抗体とハイブリダイズさせた。
【0054】
図9図8のウェスタンブロットの定量化。ヒストンH2AX(Ser139)を用いて得られたシグナルを、α−チューブリンのシグナルを用いて補正し、ベータ−ガラクトシダーゼを用いてトランスフェクションしたF9細胞を用いて得られたシグナルを1とみなしした。
【0055】
図10)ペプチドGSE4およびGSE5のトランスフェクション後における、VA13細胞におけるテロメラーゼ活性の決定。ペプチドGSE4およびペプチドGSE5の発現の作用を決定するため、VA13細胞を、リポフェクションを介してトランスフェクションし、24時間後に、テロメラーゼ活性についてTRAPアッセイを実行した。
【0056】
図11)ペプチドGSE24.2およびGSE4を発現させた後における、血管拡張性運動失調症の細胞における、酸化ストレスレベルの決定。AT719−P細胞を、GSE24.2もしくはGSE4を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、3週間後に、活性酸素種(ROS)のレベルを検出するDHE試薬を取り込ませた。AT736C細胞を、対照として用いた。4つの細胞株の相対蛍光および最大強度を有している細胞の比率を、518nmの吸収および605nmの発光の波長におけるフローサイトメトリーによって決定した。そのデータを、上記波長において発光する細胞の相対的なパーセンテージとして示されている。
【0057】
図12)ペプチドGSE24.2およびGSE4を発現させた後における、血管拡張性運動失調症の細胞における、炎症性サイトカインの発現のレベル。AT719−P AT細胞を、GSE24.2もしくはGSE4を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、3週間後にRNAを抽出し、対応するcDNAを得た後に、炎症誘発性サイトカインIL6およびIL8の発現のレベルを決定した。AT736C細胞を、対照として用いた。遺伝子β−アクチンの発現のレベルを、発現の対照として測定した。その結果を、β−アクチンと比べた各遺伝子の発現の倍数の、相対的な増加として示し、AT736C細胞の発現レベルを1とみなした。
【0058】
図13)ペプチドGSE24.2およびGSE4を発現せさた後における、AT細胞の老化の決定:AT2078 AT細胞を、GSE24.2もしくはGSE4を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、3日後または8日後に、老化に関連する酵素β−ガラクトシダーゼ酸(老化関連β−ガラクトシダーゼ)の発現を決定するために、細胞を固定した。対照C−1787細胞を、陰性対照として用いた。視野ごとの全体の細胞から、β−ガラクトシダーゼを発現している細胞のパーセンテージを決定した。細胞種ごとの200細胞を評価し、その結果を、活性を示さない細胞(β−gal−、分裂中)および老化細胞(β−gal+)に分類した。
【0059】
図14)ペプチドGSE4およびSGSE4をトランスフェクションした後における、AT細胞におけるDNAに対する損傷の決定:AT2078 AT細胞を、GSE24.2もしくはGSE4を発現するレンチウイルスベクター、またはGFPの空ベクターによって感染させ、24時間後に処理のために固定し、リン酸化ヒストンH2AX(Ser139)に対する抗体とハイブリダイズさせた。対照C−1787細胞を、陰性対照として用いた。次に、それらを、フルオレセイン標識した抗体とハイブリダイズさせ、核の位置を示すためにDAPIを用いて染色した。凝集体を、細胞種ごとに200細胞におけるリン酸化ヒストンH2AXの染色によって評価し、その結果を、凝集体を示さない細胞、5〜20の凝集体の細胞、20を超える凝集体の細胞に分類した。
【0060】
図15)ジスケリンの配列の、配列NLS1および配列NLS2。核局在化配列(NLS1)および核小体局在化配列(NLS2)は、遺伝子DKC1に含まれていた。
【0061】
図16)GSE24.2の配列における5´位または3´位に核局在化シグナルNLS1またはNLS2を配置するために使用されたコンストラクトの模式図。発現ベクターpCDNA3mycにおいてmycに対するタグを含んでいる、GSE24.2の5´位または3´位にNLS1およびNLS2配列を配置している、4つのコンストラクトを得た。
【0062】
図17)Hela細胞における、コンストラクトNLS1−3 GSE24.2、NLS1−5 GSE24.2、NLS2−3 GSE24.2ならびにNLS2−5 GSE24.2およびGSE24.2の発現。プラスミドをトランスフェクトした(リポフェクタミンを用いて)24時間後に、ペプチドの細胞内発現および細胞内局在を、コンストラクト(図16を参照)にあるc−mycタグに対する抗体を用いた免疫蛍光法、検出した。
【0063】
図18)Hela細胞における、コンストラクトNLS1−3 GSE24.2およびGSE24.2の発現。プラスミドをトランスフェクトした(リポフェクタミンを用いて)24時間後に、ペプチドの細胞内発現および細胞内局在を、コンストラクトにあるc−mycタグに対する抗体を用いた免疫蛍光法、検出した。
【0064】
図19)Hela細胞における、コンストラクトNLS2−3 GSE24.2およびGSE24.2の発現。プラスミドをトランスフェクトした(リポフェクタミンを用いて)24時間後に、ペプチドの細胞内発現および細胞内局在を、コンストラクトにあるc−mycタグに対する抗体を用いた免疫蛍光法、検出した。
【0065】
図20)c−mycプロモータによる、コンストラクトGSE24.2NLS1−3およびコンストラクトGSE24.2NLS2−3の活性。コンストラクトGSE24.2、GSE24.2NLS1−3およびGSE24.2NLS2−3用の発現ベクターを、c−mycのプロモータのレポータ遺伝子、pXP1とともに、293T細胞にトランスフェクションし、24時間後に、ルシフェラーゼ活性を。市販のキットを用いて測定した。値は、相対活性として表されており、空の発現ベクターpCDNA3mycによるシフェラーゼの値を1とみなした。
【0066】
図21)Hela細胞におけるペプチドGSE4およびGSE4NLS1のトランスフェクション。フルオレセインで標識され、化学合成によって得られた、ペプチドGSE4、およびペプチドGSE4NLS1(配列番号7)を、プロテオジュース試薬を用いてHela細胞にトランスフェクションし、トランスフェクション後の9時間、24時間および48時間に、共焦点蛍光顕微鏡において観察した。
【0067】
図22)Hela細胞におけるペプチドGSE4およびGSE4NLS1の内部移行。フルオレセインを用いて標識し、化学合成によって得られたペプチドGSE4およびGSE4NLS1(配列番号7)を、Hela細胞の培養培地に加え、トランスフェクション後の9時間、24時間および48時間に、共焦点蛍光顕微鏡において観察した。
【0068】
(実施例)
実施例1.血管拡張性運動失調症の患者の細胞内のDNAに対する損傷を戻すGSE24.2の能力。
【0069】
当該検定を実行するため、遺伝子ATM中に突然変異を有している、血管拡張性運動失調症の患者からの細胞系統(AT、コリエルレポジトリーより)であって、AT3487と称される細胞系統を用いた。細胞系統C−1787は、対照細胞系統として用いた。上記細胞に、バイシストロニックなレンチウイルスベクターpCMV−GFP−GSE24.2を感染させた。感染の48時間後、上記細胞をホルムアルデヒドで固定し、その後、トライトンX−100でこれらを処理することによって、浸透させた。DNAに対する損傷は、ヒストンH2AX Ser139に対する抗体で、上記細胞をハイブリダイゼーションし、続いて、フルオレセインに結合されている抗体でハイブリダイゼーションした後の、シグナルを検討することで、推定した。ヒストンH2AXに対する染色を有している凝集体の数(核あたりの数)は、総数200個の細胞において、共焦点顕微鏡を用いて決定され、そのデータは、特定数の凝集体を有している細胞の割合を表した。
【0070】
図1は、GSE24.2の発現は、AT細胞の20%において、DNAに対する全体的な損傷を完全に校正し、AT細胞の25%において、DNAに対する損傷のレベルを下げることを示している。従って、40%のDNAに対する全体的な損傷の校正が見られた。
【0071】
次に、Thr68においてリン酸化された、タンパク質pCHK2を認識する抗体のハイブリダイゼーションによって、DNAに対する損傷を決定している以外は、同様の実験を行い、この場合、当該実験のデータは、GSE24.2を発現した後に、25%より少ないAT細胞が、基礎損傷を示し、DNAに対する高いレベルの損傷は、13%減ったことを示した(図2)。従って、GSE24.2の発現は、28%の細胞において、DNAに対する損傷を校正することができ、リン酸化ヒストンH2AXを用いて取得されたデータを支持している。
【0072】
実施例2.血管拡張性運動失調症の患者の細胞内におけるフリーラジカルのレベルを下げる、GSE24.2の能力。
【0073】
AT細胞の特徴の1つは、フリーラジカル含有量の増加である。これは、細胞が、生体外の培養等の環境的ストレスに曝された際に、正常細胞内において、レドックスバランスを維持することができるという、タンパク質ATMの機能の破綻によるものである。GSE24.2の発現が、フリーラジカルレベルの制御において、効果を有するかどうかを確かめるため、生細胞において、フリーラジカルレベルを定量化することができる、化合物であるジヒドロエチジウム(ヒドロエチジン)を用いた。この実験のため、対照リンパ芽球AT763Cおよび、ATリンパ芽球AT3189−Pの系統を用いた。後者は、GSE24.2を発現するレンチウイルスベクターpCMV−GFP−GSE24.2、またはGFPのみを発現する空ベクター(GFP)を感染させた。感染の3週間後、上記細胞を30分間、DHE試薬でロードし、異なるフリーラジカル含有量を有している細胞の比率を、フローサイトメトリーによって決定した。その結果は、AT763C細胞内のフリーラジカルのレベルは、空ベクター(GFP)を発現しているAT3189−P細胞内よりも少ないことを示した(図3)。逆に、ROSレベルは、AT3189−P GSE24.2細胞内において、AT763C対照細胞内で検出された値と同等の値にまで下がった。
【0074】
実施例3.血管拡張性運動失調症の患者の細胞内のリン酸化p38キナーゼレベルを低下させる、GSE24.2の能力。
【0075】
AT患者の細胞の特徴の1つは、ATMタンパク質の機能の破綻による、p38MAPキナーゼのより高い活性化である。このp38の活性化の増大は、AT細胞内の細胞死の進行、および、従って、ニューロン細胞の数の減少を引き起こす。従って、AT患者からの細胞系統において、GSE24.2の発現が、p38の活性化を低下させることができるか、を確認した。
AT719細胞に、GSE24.2、pを発現するレンチウイルスベクターCMV−GFP−GSE24.2、またはGFPのみを発現する空ベクター(GFP)を感染させ、感染から3週間後に、タンパク質抽出物を、両方の細胞系統から取得した。正常なリンパ芽球細胞系統AT736は、陰性対照として用いた。上記抽出物をポリアクリルアミドゲル上に溶解し、タンパク質をニトロセルロースフィルターへとトランスファーし、続いて、抗体とハイブリダイゼーションさせた。リン酸化p38タンパク質を検出する抗体を使用し、その後、ローディング対照として、非リン酸化p38タンパク質に対する抗体で、再度ハイブリダイゼーションした。両方のハイブリダイゼーションにおいて取得したシグナルは、NIH−イメージプログラムを用いて定量化し、対照細胞系統として取得された、リン酸化タンパク質と非リン酸化タンパク質との間の相対値を、1とみなした。図4は、当該値は、GFPウイルスを感染させたAT719細胞の場合において増加したが、GSE24.2ウイルスを感染させた際には、対照細胞と同様のレベルにまで著しく低下した、ことを示している。これらのデータは、ATMの活性化の破綻および関連した酸化ストレスの結果の1つとしてのp38の活性化が、GSE24.2の発現後に戻ったことを示している。
【0076】
実施例4.血管拡張性運動失調症の患者からの細胞内における、放射線様作用薬での処理後の生存能を増大させる、GSE24.2の能力。
【0077】
遺伝子ATMにおける突然変異は、電離放射線、またはブレオマイシンのような放射線様作用薬を用いた処理に対して、AT患者の細胞を敏感にする。AT患者の細胞内におけるGSE24.2によって誘導された保護的効果が、放射線様作用薬に対して拡大適用できるかを確かめるため、pCMV−GFP−GSE24.2を発現しているか、GFPのみを発現する空ベクター(GFP)を発現しているAT719患者細胞を、72時間、漸増する複数の濃度のブレオマイシンで処理した。この時間の後、細胞の生存能を、MTS試薬を用いて評価した。AT736C細胞は、対照として用いた。結果は、GSE24.2の発現は、対照細胞と同様のレベルにまで、AT719細胞の生存能を増大させることができたが、一方で、AT719細胞またはAT719GFP細胞は、対照よりも敏感であった、ことを示した(図5)。これらの結果は、GSE24.2の発現は、放射線様作用薬によって誘導される細胞死から保護することができることを示している。
【0078】
実施例5.記載のペプチドの活性の検定。DNAに対する損傷の修復。
【0079】
細菌ベクターpGATEVGSE24−2を発現している細菌である、ロゼッタガミツー(RosettaGami2)から細菌溶解物を取得した。上記検定を行うため、上記細菌をプロテアーゼインヒビターを含有する生理食塩水溶媒中で超音波照射し、上記細菌プラスミドによって発現させた融合タンパク質を、グルタチオンセファロースカラムにおいて、精製した。上記溶解物は、サイズおよび電荷によって分離するカラムを用いて、他の細胞内タンパク質から該当のペプチドを分離するため、HPLCにかけた。生じた分画は、エドマン法由来でかつ商業的利用における方法を用いている、シークエンサーを用いて、シークエンスした。GSE24.2を発現している細菌の細菌溶解物中に検出された、種々のペプチドは、化学合成によって取得され、先天性異角化症の患者において最も高頻度な突然変異(A353V)を有している、F9A353V細胞を用いて、DNAに対する損傷を修復する活性を検定した。上記検定を行うため、プロテオジュース試薬を用いて、種々のペプチドをF9A353V細胞にリポフェクトし、F9対照細胞(損傷なしの細胞)を、損傷の対照として用いた。関係のないペプチドを陰性対照として用い、完全なGSE24.2を陽性対照として用いた。ウェスタンブロット(図6)を定量化すると、GSE4は、ヒストンH2AX Ser139のリン酸化の量によって測定された、DNAに対する損傷を修復することができる、A353V細胞中に現れた最も小さなサイズのペプチドであることがわかった(図7)。
【0080】
ペプチドGSE4の作用条件の最適化を行うため、異なる量のペプチドGSE4をF9A353V細胞へとトランスフェクションし、図6中で実施したような、特定の抗体を用いて、DNAに対する損傷の量を決定した(図8)。ウェスタンブロットを定量化すると(図9)、DNAに対する損傷の最大の阻害は、8μgのペプチドGSE4をトランスフェクションすることで得られた。
【0081】
実施例6.ペプチドGSE4を用いた処置後の、テロメラーゼ活性の増大の測定。
【0082】
ペプチドGSE4の活性を定量化する他の方法は、VA13細胞において、テロメラーゼ活性を増大する性能を評価することであった。この評価を行うため、これらの細胞に、8μgの2種のペプチドGSE4およびGSE5をトランスフェクションした。48時間後に、TRAP法によってテロメラーゼ活性を検定するために、上記細胞を処理した。
【0083】
図10(AおよびB)は、ペプチドGSE5は、GSE4と同様に、DNAに対する損傷の修復能を有しているものの、後者は、テロメラーゼ活性を再活性する点において、より高い活性を有している。従って、ペプチドGSE4の活性は、テロメラーゼ活性を再活性化するために、より効果的である。
【0084】
実施例7.ペプチドGSE4を用いた処置後の、酸化ストレス、炎症および老化の減少の測定。
【0085】
GSE4と称されたペプチドは、テロメラーゼ活性を修復するための性能を有しているペプチドよりも小さいため、血管拡張性運動失調症の細胞において、炎症性サイトカインの発現ならびに酸化ストレスを弱めること、および老化を修復すること、といったペプチドGSE24.2と同じ活性を有しているか、検討した。図11は、ペプチドGSE4は、AT719−P細胞内において、GSE24.2と同様に、フリーラジカルレベルを50%程度低下することができたことを示している。加えて、これらの細胞内では、IL6およびIL8の発現レベルを、それぞれ80%および90%程度低下でき(図12)、これらの値は、ペプチドGSE24.2の場合と同じ程度内であった。最後に、血管拡張性運動失調症において、インターロイキンIL6およびIL8の発現の増加が、老化に関連した、分泌性表現型に関連があるとの想定の下、老化関連β−ガラクトシダーゼ(SA−ベータ−ギャル)を評価することによって、老化を低減するための、ペプチドGSE24.2およびペプチドGSE4の両方の性能を評価した(図13)。得られたデータは、何れのペプチドの発現も、時間の経過に従って、ベータ−ガラクトシダーゼ活性に関して陽性な細胞の割合を減少させたことを示した。これらの実験の結果は、ペプチドGSE4の配列は、DNAに対する損傷を低減すること、およびテロメラーゼ活性を増大することに加えて、酸化ストレス、炎症性インターロイキンレベルおよび老化を低減することに対して必要な領域を保存していることを示している。
【0086】
実施例8.ペプチドGSE4、および、同様の配列を有している、ジスケリンのTRUBIIドメイン中に局在するSGSE4と称されたペプチドを用いた、DNAに対する損傷の測定。
【0087】
GSE4と称されたペプチドは、DNAに対する損傷を阻害する性能を有しているペプチドの中で最も小さなサイズであるため、我々は、ペプチドGSE24.2の配列内に存在する、同様の配列を有している他のペプチドが同じ活性を有しているか、または、当該活性は、GSE4に特異的であるか、を調べた。ペプチドSGSE4(配列番号15)は、配列(プセイドウリジン合成酵素のコンセンサス配列を構成している、アミノ酸LDPK/LDKP)およびサイズにおいて、GSE4と類似であり、ジスケリンのTRUBIIドメイン中に見られる。血管拡張性運動失調症の患者の細胞系統AT2078を、上記測定のために用いた。細胞系統C‐1787を対照細胞系統として用いた。上記細胞に、バイシストロニックなレンチウイルスベクターpCMV−GFP−GSE24.2、SGSE4またはGFPを感染させた。感染の48時間後、上記細胞をホルムアルデヒドで固定し、その後、トライトンX−100でこれらを処理することによって、浸透させた。DNAに対する損傷は、ヒストンH2AX Ser139に対する抗体で、上記細胞をハイブリダイゼーションし、続いて、フルオレセインに結合されている抗体でハイブリダイゼーションした後の、シグナルを検討することで、推定した。ヒストンH2AXに対する染色を有している、凝集体の数(核あたりの数)は、総数200個の細胞において、共焦点顕微鏡を用いて決定され、そのデータは、特定数の凝集体を有している細胞の割合を表した。
【0088】
図14は、GSE4の発現が、AT細胞の38%において、DNAに対する全体的な損傷を校正し、そして、DNAに対する損傷の全体的な校正は、AT細胞の60%である、ことを示している。ペプチドSGSE4は、同じ条件において、DNAに対する損傷を校正することができなかった。従って、GSE4の配列だけが、AT細胞においてDNAに対する損傷を修復することができ、他の類似の配列は、AT細胞においてDNAに対する損傷を修復することができない。
【0089】
実施例9.核局在化シグナルがある場合とない場合とにおける、ペプチドGSE24.2の、細胞に入る能力の検定。
【0090】
ペプチドGSE24.2に関して、考慮すべき重要な側面は、それが発現したのちの、細胞内局在化である。従って、GSE24.2の5´位置および3´位置において、2種の核局在化シグナルNLS1およびNLS2を挿入している、種々のコンストラクトが得られた。NLS1は、遺伝子DKC1の配列中に存在している、タンパク質を核へと運ぶシグナルであり、配列NLS2は、核への輸送を仲介する。図15は、両方の核局在化配列の配列を示している。
【0091】
配列GSE24.2とマージされた、遺伝子c−mycのタグを5´位置に含んでいる、真核細胞内の発現プラスミドであるpCDNA3mycを使用した。GSE24.2の配列中、5´位置および3´位置の両方に、配列NLS1およびNLS2を挿入している、図16中に示された、種々のコンストラクトが得られた。GSE24.2のNLS1−3、GSE24.2のNLS1−5、GSE24.2のNLS2−3およびGSE24.2のNLS2−5と称されたコンストラクトを、Hela細胞中にトランスフェクションした。これらのコンストラクトは、コンストラクトの発現を位置特定するため、抗体9E10によって認識される、c−mycのタグ配列を有している。
【0092】
図17は、GSE24.2の3´位置に局在化シグナルNLS1またはNLS2を有しているコンストラクトは、GSE24.2の核内での発現を優先的に促進した、コンストラクトであった、ことを示している。図18および図19は、コンストラクトNLS1−3およびコンストラクトNLS2−3の細胞内局在化の詳細を示している。
【0093】
実施例10.c−mycの発現を活性化するための、コンストラクトGSE24.2NLS1−3およびコンストラクトGSE24.2NLS2−3の活性。
【0094】
シグナルNLS1−3およびシグナルNLS2−3を含んでいるコンストラクトの生物学的な活性を評価する目的で、c−mycのプロモーターのレポーター遺伝子と共に、293T細胞に、上記コンストラクトをトランスフェクションし、コンストラクトGSE24.2NLS1−3およびコンストラクトGSE24.2NLS2−3の両方によって活性化された、ルシフェラーゼ活性を、GSE24.2との関連において評価した。図20は、ベクターGSE24.2NLS1−3およびベクターGSE24.2NLS2−3は、GSE24.2よりも効果的に、c−mycのプロモーターの発現を活性化したことを示している。これらのデータは、両方のコンストラクトが有する、細胞核内で発現されるより高い能力と一致している。上記2つのコンストラクトの他に、最も効果的なのは、3´位置においてNLS1シグナルを有しているコンストラクトである。
【0095】
実施例11.細胞に入るためのGSE4の能力。
【0096】
GSE24.2の活性に寄与する、配列NLS1の能力を考慮し、ペプチドGSE4が最大のテロメラーゼの活性化を得るためのペプチドであったことから、この配列NLS1を、ペプチドGSE4の3´位置へ配置した合成ペプチドを構築した。蛍光顕微鏡下での視覚化を容易にするために、化学合成によって取得されたこのペプチドをフルオレセインで標識した。2つの実験を並列に行い、一方では、上記ペプチドを、プロテオジュースを用いてトランスフェクションし、他方では、上記ペプチドを培地中に直接添加した。その結果は、GSE4、およびGSE4NLS1(配列番号7)が、プロテオジュース試薬を用いたこと(図21)、または培地に単に加えたこと(図22)によって、細胞に入ったことを示している。観察された重要な違いは、ペプチドを直接培地へと加えた際、プロテオジュースを使用したときよりも、多くの数の細胞へとそのペプチドが入った、ということであった。上記試薬は、少ない数の細胞に対してではあるが、内在化に対してより優れた効果をもたらした。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1】AT細胞におけるDNAに対する損傷の決定を示す図である。
図2】AT細胞におけるDNAに対する損傷の決定を示す図である。
図3】AT細胞におけるROSレベルの決定を示す図である。
図4】AT細胞におけるp38のリン酸化のレベルの決定を示す図である。
図5】AT細胞におけるブレオマイシンに対する生存度の決定を示す図である。
図6】GSE24.2に由来する化学合成ペプチドを用いたトランスフェクションの24時間後におけるF9細胞およびF9A353V細胞のウエスタンブロットを示す図である。
図7図6のウェスタンブロットの定量化を示す図である。
図8】漸増する濃度のGSE4ペプチドを用いたトランスフェクションの24時間後における、F9細胞およびF9A353V細胞のウェスタンブロットを示す図である。
図9図8のウェスタンブロットの定量化を示す図である。
図10】ペプチドGSE4およびGSE5のトランスフェクション後における、VA13細胞におけるテロメラーゼ活性の決定を示す図である。
図11】ペプチドGSE24.2およびGSE4を発現した後における、血管拡張性運動失調症の細胞における、酸化ストレスレベルの決定を示す図である。
図12】ペプチドGSE24.2およびGSE4を発現させた後における、血管拡張性運動失調症の細胞における、炎症性サイトカインの発現のレベルを示す図である。
図13】ペプチドGSE24.2およびGSE4を発現せさた後における、AT細胞の老化の決定を示す図である。
図14】ペプチドGSE4およびGSE4をトランスフェクションした後における、AT細胞におけるDNAに対する損傷の決定を示す図である。
図15】ジスケリンの配列の、配列NLS1および配列NLS2を示す図である。
図16】GSE24.2の配列における5´位または3´位に核局在化シグナルNLS1またはNLS2を配置するために使用されたコンストラクトの模式図を示す。
図17】Hela細胞における、コンストラクトNLS1−3 GSE24.2、NLS1−5 GSE24.2、NLS2−3 GSE24.2ならびにNLS2−5 GSE24.2およびGSE24.2の発現
図18】Hela細胞における、コンストラクトNLS1−3 GSE24.2およびGSE24.2の発現を示す図である。
図19】Hela細胞における、コンストラクトNLS2−3 GSE24.2およびGSE24.2の発現を示す図である。
図20】c−mycプロモータによる、コンストラクトGSE24.2NLS1−3およびコンストラクトGSE24.2NLS2−3の活性を示す図である。
図21】Hela細胞におけるペプチドGSE4およびGSE4NLS1のトランスフェクションを示す図である。
図22】Hela細胞におけるペプチドGSE4およびGSE4NLS1の内部移行を示す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【配列表】
2016534752000001.app
【国際調査報告】