特表2016-534891(P2016-534891A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-534891手持ち又は準固定の機械工具又は作業工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-534891(P2016-534891A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(54)【発明の名称】手持ち又は準固定の機械工具又は作業工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20161014BHJP
   B25C 7/00 20060101ALI20161014BHJP
【FI】
   B25F5/00 Z
   B25F5/00 C
   B25C7/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-550972(P2016-550972)
(86)(22)【出願日】2014年10月21日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2014072496
(87)【国際公開番号】WO2015062906
(87)【国際公開日】20150507
(31)【優先権主張番号】13190634.9
(32)【優先日】2013年10月29日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ウヴェ ゲロルド
(72)【発明者】
【氏名】マーク バラフォン ゴメーズ
(72)【発明者】
【氏名】ノアベルト ヴェルテ
(72)【発明者】
【氏名】マリオ グラツィオリ
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC03
3C068CC07
3C068HH09
(57)【要約】
本発明は、ハウジングを有する手持ち又は準固定の機械工具又は作業工具に関する。該ハウジングには、機械工具又は作業工具の動作中に構造伝搬音型のノイズを発する少なくとも1つの機械的作動装置が備えられている。手持ち又は準固定の機械工具又は作業工具の動作のさらなる簡素化及び/又はその使用期間若しくは寿命の延長のために、機械工具又は作業工具1は、動作中に発生するノイズを感知する少なくとも1つの装置20を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(5)を有し、当該ハウジング(5)には動作中に構造伝搬音型のノイズを発する、少なくとも1つの機械的作動装置(8)が配置された手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具(1)において、
動作中に発生する前記ノイズを検出するための少なくとも1つの装置(20)を備える、ことを特徴とする手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具(1)。
【請求項2】
動作中に発生する前記ノイズを検出するための前記装置(20)は少なくとも1つの力センサー及び/又は振動センサー及び/又は歪センサーを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具。
【請求項3】
動作中に発生する前記ノイズを検出するための前記装置(20)は少なくとも1つのマイクロフォン(21、22)を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具。
【請求項4】
前記ハウジング(5)上又は内の複数の箇所に、動作中に発生する前記ノイズを検出するための複数の装置(20)が配置される、ことを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具。
【請求項5】
動作中に発生する前記ノイズを検出するための装置(20)は前記手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具(1)の前部/後部領域(11、12)に配置される、ことを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具。
【請求項6】
前記電動工具又は作業工具(1)は釘打ち機、手持ちの打込み工具、又は留め具打込み工具として構成される、ことを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具。
【請求項7】
請求項1乃至6の1つに記載の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具(1)を操作する方法であって、動作中に前記装置(20)で検出した前記ノイズが、工具の構成要素への損傷を特定するために評価及び使用されることを特徴とする方法。
【請求項8】
複数の工具の構成要素が同時に監視される、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
動作中の誤動作についての情報が動作中に直ちにユーザーに表示される、ことを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
動作中に重大な誤作動が発見されると、前記手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具(1)の動作が停止する、ことを特徴とする請求項7乃至9の1つに記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングを有する手持ち又は準固定の機械工具又は作業工具に関し、そのハウジングには少なくとも1つの機械的作動装置が配置され、それが機械工具又は作業工具の動作中に構造伝搬音型のノイズを発する。本発明は、かかる電動工具又は作業工具を作動させる方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち工具は、例えば特許文献1及び特許文献2に開示された手持ちの打込み工具でもよい。電動工具又は作業工具は、特許文献3に記載された手持ち工具でもよい。
【0003】
特許文献4は、手持ち又は準固定の電動工具を開示している。該電動工具は、機械関連のデータを記憶するための装置と、電動工具の動作中の荷重の状態を検出し、検出された荷重の状態を記憶装置に保存することができる荷重データに変換するための装置とを備え、内部又は外部プロセッサ制御の装置を用いて荷重データを処理することで、保守についての予測に加え、故障が発生しない残りの期間の予測又は故障メッセージの出力のどちらかを実行することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006000517号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102006035460号明細書
【特許文献3】独国特許第3310371号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10156218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具の動作の簡素化及び/又はその使用期間若しくは寿命の延長である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ハウジングを有する手持ち又は準固定の機械工具又は作業工具であって、その動作中に構造伝搬音型等のノイズを発する少なくとも1つの機械的作動装置がそのハウジングに配置されていることを特徴とする機械工具又は作業工具についての課題は、電動工具又は作業工具の動作中に発生するノイズを検出するための装置を少なくとも1つ電動工具に備えることにより解決され得る。本発明の不可欠な態様では、一カ所又はそれ以上の指定箇所でのノイズ、具体的には音声信号の検出により、手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具の音響による監視が可能になる。ユーザーと関係なく、工具の構成要素への初期の損傷が高精度で検出される。
【0007】
手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具の1つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具の動作中に発生するノイズを検出するための装置が、少なくとも1つのマイクロフォンを備えていることを特徴とする。マイクロフォンは、手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具の既存のハウジングに問題なく収納することができる、小さな構成要素であることが好ましい。
【0008】
手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具のもう1つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具の動作中に発生するノイズを検出するための装置が少なくとも1つの力センサー及び/又は振動センサー及び/又は歪センサーを備えることを特徴とする。力センサー及び/又は振動センサー及び/又は歪センサーは、ノイズ、より具体的には音声信号が発生個所又はその近くで直接検出されるように、ハウジング内又はハウジング上に配置されることが好ましい。このようにして、小さな変化、特に動作ノイズの変化であっても迅速かつ正確に検出することが可能である。
【0009】
手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具のもう1つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具の動作中に発生するノイズを検出するための複数の装置を異なる箇所又はハウジング上に設置することを特徴とする。これらの異なる箇所は、手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具の動作中に行われる比較的簡素な測定により決定することができる。
【0010】
手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具のもう1つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具の動作中に発生するノイズを検出するための装置が電動工具又は作業工具の前部/後部領域に配置されることを特徴とする。例としては、留め具打込み工具がある。留め具打込み工具は、例えば、留め具打込み工具の後端領域において突然比較的大きな力が作用する機械タペットを備える。タペットは、留め具打込み工具の前部領域において、力又は加速度を釘又は鋲に出力する。釘又は鋲は、タペットにより留め具打込み工具のボルト設置端から排出され、下面(被打ち込み面)に打ち込まれる。
【0011】
手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具のもう1つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具が釘打ち機、ハンドヘルトの打込み工具、又は留め具打込み工具として設計されることを特徴とする。留め具打込み工具は、燃料、空気圧、又は電気駆動の留め具打込み工具でよい。
【0012】
前述の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具を操作する方法においては、上記の課題は、例えば、代替的又は追加的に、工具の構成要素への損傷を特定するため、電動工具又は作業工具の動作中に装置により検出されるノイズが評価され、その結果が使用される。結果的に望ましくない損傷がこのようにして防止される。
【0013】
本発明に係る方法の好ましい態様は、複数の工具の構成要素が同時に監視されることを特徴する。電動工具又は作業工具の動作中に異なるノイズを発生する複数の工具の構成要素を、1つのマイクロフォンで有利に監視することができる。
【0014】
本発明に係る方法のもう一つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具の誤動作(故障)についての情報が、電動工具又は作業工具の動作中にユーザーに直接表示されることを特徴とする。関係のある情報は、視覚的に表示されるという優位性がある。例えば、対応の表示器が、電動工具又は作業工具の外側に装着される。
【0015】
本発明に係る方法のもう一つの好ましい態様は、電動工具又は作業工具の動作中に重大な誤動作(故障)があると、電動工具の動作が停止することを特徴とする。誤動作発生後の電動工具又は作業工具のさらなる使用を容易に防ぐことができる。
【0016】
その他の本発明の優位性、機能、および詳細は、様々な態様を図面に基づき詳細に記載した発明の詳細な説明から推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の手持ち又は準固定の電動工具又は作業工具の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面は、ハウジング5と、ハンドル6とを有する電動工具又は作業工具1の長手方向の概略断面図である。電動工具又は作業工具1は、電気駆動の留め具打込み工具3である。但し、本発明は、燃料又は空気圧駆動の留め具打込み工具にも応用が可能である。さらに、本発明は、ドリル等、その他の電動工具又は作業工具でも利用が可能である。
【0019】
留め具打込み工具3は、留付け要素を下面(被打ち込み面、図示せず)に打ち込むために用いる。機械的作動装置8により、留付け要素は、ハウジング5内で比較的大きな力に晒され、加速される。こうして力に晒され、加速される留付け要素は、設置端10でハウジング5から排出される。
【0020】
使用される留付け要素は、電動工具又は作業工具1の設置端10の近くに装着された内部マガジン14を介して設置される。留付け要素は、自動的且つ個別にマガジン14から取り外し、設置端10に設置することが好ましい。
【0021】
留付け要素を下面に打ち込むために必要なエネルギーは、機械的作動装置8を通じて、ハウジング5の前端11で各留付け要素に対して出力される。留付け要素を下面に打ち込むために必要なエネルギーは、例えばハウジング5の後部領域12に電気的に供給される。
【0022】
又は、留付け要素を下面に打ち込むために必要なエネルギーを後部領域12の燃料容器に供給することができる。さらに、留付け要素を下面に打ち込むために必要なエネルギーは、空気圧により供給することができる。
【0023】
本発明の電動工具又は作業工具1は、例えば電動工具又は作業工具1の作動中に発生する構造伝搬音型のノイズを検出するための装置20を備える。ノイズ検出装置20は、マイクロフォン21と、マイクロフォン22とを備える。
【0024】
マイクロフォン21は、留め具打込み工具3の前部領域11に配置される。マイクロフォン21は、機械的作動装置8のタペットの前端の近くに配置される。マイクロフォン22は、留め具打込み工具3の後部領域12に配置される。マイクロフォン22は、機械的作動装置8のタペットの後端の近くに配置される。
【0025】
マイクロフォン21は、配線23を通じて評価装置25に接続される。マイクロフォン22は、配線24を通じて評価装置25に接続される。留め具打込み工具3の前部領域11及び後部領域12の音声信号は、マイクロフォン21、22で検出する。これらの音声信号は、中央評価装置25で評価される。
【0026】
中央評価装置25は、コントローラー30とともに、留め具打込み工具3のハンドル6の下端に収納されている。評価装置25は、継続的にツールによって特定されるソフトウェアで動作する。ソフトウェアは、特定の種類の工具の動作に必要なパラメータの定義付けに用いられる。これには、工具の種類別の訓練工程が不要になるという優位性がある。
【0027】
マイクロフォン21、22の支援により、留め具打込み工具3の誤動作(故障)を評価装置25で評価する。検出された誤動作(故障)は、留め具打込み工具3のユーザーを対象に表示器26に直接表示される。誤動作(故障)発生の情報は、代替的又は追加的に、例えば適切な警告音としてユーザーに音響で伝達される。表示器26は、配線を介して中央評価装置25に接続される。
【0028】
さらに、コントローラー30は信号線32を通じて評価装置25に接続される。留め具打込み工具3は、重大な誤動作(故障)発生に際し、信号線32及びコントローラー30を介して自動的に動作を停止することができる。これにより、重大な誤動作(故障)が発生した際には、簡素な手法で留め具打込み工具3のさらなる使用を防ぐことができる。
【0029】
本発明の優位性としては、回路の費用が比較的低廉であること等が挙げられる。よって、中央評価装置25は、非常にコンパクトに作られている。評価装置25の寸法は小さく、ハウジング5に容易に組み込むことが可能である。さらに、外部モジュール又は接続ケーブルが不要であるという優位性もある。適正な評価プログラムにより、留め具打込み工具3の動作中に、一般の誤動作と重大な誤動作を正確に区別することができる。

【国際調査報告】