特表2016-535877IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-535877(P2016-535877A)
(43)【公表日】2016年11月17日
(54)【発明の名称】積層体、これを用いる薄型偏光子の製造方法、薄型偏光子および偏光板
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20161021BHJP
   B29C 55/06 20060101ALI20161021BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20161021BHJP
   B29K 29/00 20060101ALN20161021BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20161021BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20161021BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20161021BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20161021BHJP
【FI】
   G02B5/30
   B29C55/06
   B32B27/30 102
   B29K29:00
   B29K75:00
   B29L7:00
   B29L9:00
   B29L11:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-550441(P2016-550441)
(86)(22)【出願日】2014年10月21日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月26日
(86)【国際出願番号】KR2014009903
(87)【国際公開番号】WO2015064946
(87)【国際公開日】20150507
(31)【優先権主張番号】10-2013-0131592
(32)【優先日】2013年10月31日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヘ−ミン
(72)【発明者】
【氏名】ナム、ソン−ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ナ、キュン―イル
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チョンヒョン
【テーマコード(参考)】
2H149
4F100
4F210
【Fターム(参考)】
2H149AB23
2H149AB26
2H149BA02
2H149BA13
2H149BA14
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2H149FD02
2H149FD09
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2H149FD47
4F100AK01A
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4F210QD13
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4F210QW21
(57)【要約】
本発明は、未延伸高分子フィルムと、前記高分子フィルムの少なくとも一面に付着した未延伸ポリビニルアルコール系フィルムとを含む積層体と、前記積層体を用いる薄型偏光子の製造方法に関するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未延伸高分子フィルムと、
前記高分子フィルムの少なくとも一面に付着した未延伸ポリビニルアルコール系フィルムとを含み、
下記式(1)および(2)を満足する積層体:
【数5】

式(1)および(2)において、Esub'は高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は高分子フィルムの厚さであり、EPVAはポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAはポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【請求項2】
前記高分子フィルムのモジュラスは50MPa〜4000MPaであり、厚さは20μm〜100μmである、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスは50MPa〜4000MPaであり、厚さは10μm〜60μmである、請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
前記未延伸高分子フィルムが熱可塑性ポリウレタン系樹脂を含むものである、請求項1に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1に記載の積層体を、20℃〜85℃の温度で、5倍〜15倍延伸して製造される延伸積層体。
【請求項6】
未延伸高分子フィルムの少なくとも一面に未延伸ポリビニルアルコール系フィルムを付着させて、下記式(1)および(2)を満足する積層体を形成するステップと、
前記積層体を延伸して延伸積層体を形成するステップとを含む薄型偏光子の製造方法:
【数6】

式(1)および(2)において、Esub'は高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は高分子フィルムの厚さであり、EPVAはポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAはポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【請求項7】
前記高分子フィルムと前記ポリビニルアルコール系フィルムは、前記フィルムの表面の弱い引力、または接着剤を用いて付着するものである、請求項6に記載の薄型偏光子の製造方法。
【請求項8】
前記延伸は、20℃〜85℃の温度で、5倍〜15倍の延伸倍率で行われるものである、請求項6に記載の薄型偏光子の製造方法。
【請求項9】
前記延伸は、ホウ酸濃度が1重量%〜5重量%のホウ酸水溶液内で行われるものである、請求項6に記載の薄型偏光子の製造方法。
【請求項10】
前記延伸積層体を形成するステップの前に、前記積層体にヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つを染着させるステップをさらに含む、請求項6に記載の薄型偏光子の製造方法。
【請求項11】
前記延伸積層体を形成するステップの後に、ポリビニルアルコール系フィルムを高分子フィルムから分離するステップをさらに含む、請求項6に記載の薄型偏光子の製造方法。
【請求項12】
前記ポリビニルアルコール系フィルムを高分子フィルムから分離するステップは、2N/2cm以下の剥離力を加えて行われるものである、請求項11に記載の薄型偏光子の製造方法。
【請求項13】
厚さが10μm以下であり、下記式(3)を満足する薄型偏光子:
式(3):DOP>−0.3179Ts2+26.012Ts−432.12
式(3)において、DOPは偏光度であり、Tsは単体透過度であり、この時、Tsは0.400<Ts<0.427である。
【請求項14】
請求項13に記載の薄型偏光子を含む偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2013年10月31日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0131592号の出願日の利益を主張し、その内容はすべて本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、積層体、これを用いる薄型偏光子の製造方法、これを用いて製造された薄型偏光子および偏光板に関するものであって、より具体的には、基材から剥離が容易であり、光学物性に優れた薄型偏光子を製造するために用いられる積層体と、前記積層体を用いる薄型偏光子の製造方法、薄型偏光子および偏光板に関するものである。
【背景技術】
【0003】
偏光板に使用される偏光子は、自然光または任意の偏光を特定方向の偏光にするための光学素子であり、液晶表示素子、有機発光素子(OLED)のようなディスプレイ装置に広く用いられている。現在、前記ディスプレイ装置に使用される偏光子としては、ヨウ素系化合物または二色性染料を含有する、分子鎖が一定方向に配向されたポリビニルアルコール系偏光フィルムが一般的に使用されている。
【0004】
前記ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素または二色性染料を染着させた後、一定方向に延伸して架橋する方法によって製造されており、この時、前記延伸工程は、ホウ酸水溶液またはヨウ素水溶液のような溶液上で行われる湿式延伸、または大気中で行われる乾式延伸などで行われてもよく、延伸倍率は一般的に5倍以上である。
【0005】
しかし、このような従来の製造工程において、破断の発生なしに延伸が行われるためには、未延伸ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが60μmを超えることが要求される。未延伸ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが60μm以下の場合、ポリビニルアルコール系フィルムの膨潤度が高くなり、薄い厚さによって延伸工程で単位面積あたりに作用するモジュラスが大きくなって、破断が発生しやすいからである。
【0006】
一方、最近、ディスプレイ装置の薄型化傾向に伴い、偏光板もより薄い厚さを有することが要求されている。しかし、従来のように未延伸厚さが60μmを超えるポリビニルアルコール系フィルムを用いる場合、偏光子の厚さを低減するのに限界がある。したがって、より薄い厚さの偏光子を製造するための研究が試みられている。
【0007】
例えば、韓国公開特許第2010−0071998号(特許文献1)には、基材層上に親水性高分子層をコーティングするか、基材層形成材と親水性高分子層形成材を共押出して製造される積層体を用いて薄型の偏光板を製造する方法が開示されている。しかし、コーティングや共押出法の場合、延伸後にポリビニルアルコール層と基材層との分離が容易でなく、分離のために高い剥離力が要求されることから、分離過程でポリビニルアルコール層が損傷したり変形するなどの問題が発生しやすく、その結果、ポリビニルアルコールフィルムの偏光度などの光学物性に劣る問題があり、また、押出条件、コーティング条件または製膜条件によって、製造されるポリビニルアルコールフィルムの物性が変化しやすく、最終的に製造されたポリビニルアルコールの物性が低下するだけでなく、均一な物性を実現することも難しい問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−0071998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、の問題を解決するためのものであって、基材から剥離が容易であり、光学物性に優れ、厚さが10μm以下と薄いポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造するために使用される積層体と、前記積層体を用いる薄型偏光子の製造方法、薄型偏光子および偏光板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面において、本発明は、未延伸高分子フィルムと、前記高分子フィルムの少なくとも一面に付着した未延伸ポリビニルアルコール系フィルムとを含み、下記式(1)および(2)を満足する積層体を提供する。
【0011】
【数1】
【0012】
式(1)および(2)において、Esub'は高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は高分子フィルムの厚さであり、EPVAはポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAはポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【0013】
この時、前記高分子フィルムのモジュラスは50MPa〜4000MPaであり、厚さは20〜100μmであることが好ましい。
【0014】
また、前記ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスは50MPa〜4000MPaであり、厚さは10〜60μmであることが好ましい。
【0015】
一方、本発明は、前記積層体を、20℃〜85℃の温度で、5倍〜15倍延伸して製造される延伸積層体も提供する。
【0016】
他の側面において、本発明は、未延伸高分子フィルムの少なくとも一面に未延伸ポリビニルアルコール系フィルムを付着させて、下記式(1)および(2)を満足する積層体を形成するステップと、前記積層体を延伸して延伸積層体を形成するステップとを含む薄型偏光子の製造方法を提供する。
【0017】
【数2】
【0018】
式(1)および(2)において、Esub'は高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は高分子フィルムの厚さであり、EPVAはポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAはポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【0019】
一方、前記高分子フィルムと前記ポリビニルアルコール系フィルムは、前記フィルムの表面の弱い引力、または接着剤を用いて付着することが好ましい。
【0020】
一方、前記延伸は、20℃〜85℃の温度で、5倍〜15倍の延伸倍率で行われることが好ましい。
【0021】
また、前記延伸は、ホウ酸濃度が1重量%〜5重量%のホウ酸水溶液内で行われることが好ましい。
【0022】
一方、本発明の薄型偏光子の製造方法は、前記延伸積層体を形成するステップの前に、前記積層体にヨウ素および二色性染料のうちの少なくとも1つを染着させるステップをさらに含むことができる。
【0023】
また、本発明の薄型偏光子の製造方法は、前記延伸積層体を形成するステップの後に、ポリビニルアルコール系フィルムを高分子フィルムから分離するステップをさらに含むことができる。
【0024】
この時、前記ポリビニルアルコール系フィルムを高分子フィルムから分離するステップは、2N/2cm以下の剥離力を加えて行われることが好ましい。
【0025】
一方、本発明は、厚さが10μm以下であり、下記式(3)を満足する薄型偏光子を提供する。
【0026】
式(3):DOP>−0.3179Ts2+26.012Ts−432.12
式(3)において、DOPは偏光度であり、Tsは単体透過度であり、この時、Tsは0.400<Ts<0.427である。
【0027】
また、本発明は、前記薄型偏光子を含む偏光板を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、厚さが10μm以下と非常に薄いながらも、光学物性に優れたポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造することができる。特に、一般的に、薄型偏光子は、単体透過度が減少すれば偏光度が増加し、単体透過度が増加すれば偏光度が減少する光学物性を有するが、本発明に係る薄型偏光子は、このような従来の薄型偏光子に比べて偏光度および単体透過度とも高い、優れた光学物性を有することができるという利点がある。
【0029】
一方、本発明の場合、延伸過程で高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムが分離されず、延伸後の分離過程で表面の損傷を最小化することができるなど、延伸過程での工程安定性にも非常に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】テクスチャーアナライザー(Texture Analyzer)を用いて付着力(Peeling Strenghth)を測定する方法を示す模式図である。
【図2】実施例1〜3および比較例1〜6で製造された薄型偏光子の単体透過度(Ts)と偏光度(DOP)との間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、当該技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0032】
まず、本発明の薄型偏光子の製造に用いられる積層体について説明する。
【0033】
本発明の積層体は、未延伸高分子フィルムと、前記高分子フィルムの少なくとも一面に付着した未延伸ポリビニルアルコール系フィルムとを含み、下記式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
【0034】
【数3】
【0035】
式(1)および(2)において、Esub'は高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は高分子フィルムの厚さであり、EPVAはポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAはポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【0036】
まず、式(1)は、未延伸高分子フィルムのモジュラスと厚さの比を意味し、このような未延伸高分子フィルムのモジュラスと厚さの比は5〜70程度であることが好ましく、10〜60程度であることがより好ましい。また、式(2)は、未延伸高分子フィルムのモジュラスと厚さの比に対する、未延伸ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスと厚さの比の比を意味し、このような未延伸高分子フィルムのモジュラスと厚さの比に対する、未延伸ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスと厚さの比の比は0.7〜1.3程度であることが好ましく、0.8〜1.2程度であることがより好ましい。
【0037】
本発明の場合、式(1)および(2)を満足することを特徴とし、式(1)および(2)を満足する積層体を用いて薄型偏光子を製造する場合には、これを満足しない場合より工程安定性に優れ、ひいては偏光度および単体透過度がいずれも高い、優れた光学物性を有する薄型偏光子の製造が可能である。より具体的には、積層体が式(1)および(2)を満足することができない場合には、高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムの延伸挙動が異なるため、製造過程で高分子フィルムによってポリビニルアルコール系フィルムの一軸延伸が阻害され、平面延伸が誘導されるなどの問題が発生することがあり、その結果、偏光子内部のヨウ素の配向が妨げられて光学物性に劣る問題が発生することがある。また、実際にパイロットスケールで延伸工程を進行させる場合、フィルムの破断が発生する確率が高くなる。
【0038】
一方、本発明において、前記モジュラス(Young’s Modulus)は、JIS−K6251−1規格によって用意したサンプルの両末端を固定させた後、フィルムの厚さ方向に垂直な方向に力を加えて、引張率(Strain)に応じた単位面積あたりの応力(Stress)を測定して得られた値をいい、この時、測定機器としては、例えば、引張強度計(Zwick/Roell Z010UTM)などを用いることができる。
【0039】
また、本発明において、前記厚さは、当該技術分野でよく知られている方法によって測定することができ、例えば、厚さ測定器(TESA Mu−hite Electronic Height Gauge100mm)を用いて測定することができる。
【0040】
次に、本発明の前記積層体に含まれる前記高分子フィルムは、延伸過程でポリビニルアルコール系フィルムが破断するのを防止するためのもので、本発明の高分子フィルムは、式(1)および(2)を満足できるものであれば特別な制限なく使用が可能である。例えば、式(1)および(2)を満足する高分子フィルムとして、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、低密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレンにエチレンビニルアセテートが含有された共重合体樹脂、ポリプロピレン系樹脂、イソフタル酸を含有したポリエチレンテレフタレート系樹脂、アクリル系樹脂、および水溶性セルロース系樹脂からなる群より選択された1種以上を含む高分子フィルムを使用することができる。
【0041】
一方、これに限定されるものではないが、前記高分子フィルムは、なかでも特に熱可塑性ポリウレタン系樹脂を含むことがより好ましい。熱可塑性ポリウレタン系樹脂を含む場合、熱収縮特性がポリビニルアルコール系フィルムと類似していて、乾燥過程で延伸されたポリビニルアルコール系フィルムの幅収縮を阻害せず、円滑な幅収縮を誘導することができて、ポリビニルアルコール−ヨウ素錯体の配向性をより増大させられるからである。本発明の一実施態様によれば、前記高分子フィルムは、熱可塑性ポリウレタン系樹脂を含む。
【0042】
一方、前記高分子フィルムのモジュラスは50MPa〜4000MPa程度、好ましくは100MPa〜3000MPa程度であるのが良い。高分子フィルムのモジュラスが50MPa未満であれば、フィルムの剛性が低下して、破断などの工程の不安定性が引き起こされることがあり、4000MPaを超えると、延伸時に多くの力を必要として延伸性が低下するため、高倍率の延伸が難しいことがある。
【0043】
また、前記高分子フィルムは、厚さが20μm〜100μm程度、好ましくは30μm〜80μm程度であるのが良い。高分子フィルムの厚さが20μm未満であれば、積層体構造をなして、延伸工程を進行させる時、ポリビニルアルコール系フィルムを十分に支持することができず、工程上の破断などの問題が引き起こされることがあり、100μmを超えると、モジュラスが増加して延伸性が低下し、また、ポリビニルアルコール系フィルムの乾燥区間における自由な幅収縮を妨げて、最終的に得られた偏光子の光学物性を阻害することがある。
【0044】
次に、前記高分子フィルムの少なくとも一面に付着するポリビニルアルコール系フィルムは、延伸および染着工程などを経た後、ポリビニルアルコール系薄型偏光子として使用されるもので、式(2)を満足することができ、ポリビニルアルコール樹脂またはその誘導体を含むものであれば特別な制限なく使用が可能である。この時、前記ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、これに限定されるものではないが、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。あるいは、前記ポリビニルアルコール系フィルムは、当該技術分野において偏光子の製造に使用される市販のポリビニルアルコール系フィルムとして、式(2)を満足することのできる、例えば、日本合成社のM2001、M2005、Kurary社のPE20などを使用してもよい。
【0045】
一方、前記ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスは50MPa〜4000MPa程度、好ましくは100MPa〜3000MPa程度であるのが良い。ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスが50MPa未満であれば、フィルムの剛性が低下して、破断などの工程の不安定性が引き起こされることがあり、4000MPaを超えると、延伸時に多くの力を必要として延伸性が低下するため、高倍率の延伸が難しいことがある。
【0046】
また、前記ポリビニルアルコール系フィルムは、厚さが10μm〜60μm程度、好ましくは10μm〜40μm程度であるのが良い。ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが10μm未満であれば、積層体構造をなして、延伸工程を進行させる時に破断が生じやすいなどの問題が引き起こされることがあり、60μmを超えると、最終的に得られる偏光子の厚さが厚くなって、厚さが10μm以下の薄型偏光子の製造に適合しない。
【0047】
一方、前記ポリビニルアルコール系フィルムは、これに限定されるものではないが、重合度が1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度であるのが良い。重合度が前記範囲を満足する時、分子の動きが自由で、ヨウ素または二色性染料などと柔軟に混合できるからである。
【0048】
以下、本発明の薄型偏光子の製造方法について説明する。
【0049】
本発明の薄型偏光子の製造方法は、未延伸高分子フィルムの少なくとも一面に未延伸ポリビニルアルコール系フィルムを付着させて、下記式(1)および(2)を満足する積層体を形成するステップと、前記積層体を延伸して延伸積層体を形成するステップとを含むことを特徴とする。
【0050】
【数4】
【0051】
式(1)および(2)において、Esub'は高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は高分子フィルムの厚さであり、EPVAはポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAはポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【0052】
まず、本発明において、前記高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムは、別の媒介物なしに弱い引力によって付着することができ、この時、前記付着力は2N/2cm以下、好ましくは0.1N/2cm〜1N/2cm程度であってもよい。付着力が前記範囲を満足する場合、延伸過程で高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムが分離されず、延伸後の分離過程で表面の損傷を最小化することができるからである。
【0053】
一方、前記付着力は、2cmの幅のサンプルフィルムを付着させた時に測定される付着力であり、より具体的には、前記付着力は、下記図1に示すように、積層体のポリビニルアルコール系フィルム(A)をサンプルホルダ(H)に固定した後、積層体の面方向に対して垂直な方向に力を加えて、高分子フィルム(B)からポリビニルアルコール系フィルム(A)を剥離しながら測定した剥離力(Peel Strength)をいい、この時、測定機器としては、例えば、Stable Micro Systems社のTexture Analyzer(モデル名:TA−XT Plus)を用いることができる。
【0054】
一方、前記高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムの付着力を向上させるために、高分子フィルムやポリビニルアルコール系フィルムの一面または両面に表面処理を行うことができる。この時、前記表面処理は、当該技術分野でよく知られている多様な表面処理方法、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、またはNaOHやKOHのような強塩基水溶液を用いた表面改質処理などによって行われてもよい。
【0055】
あるいは、本発明において、前記高分子フィルムと前記ポリビニルアルコール系フィルムは、接着剤を用いて付着してもよい。接着剤を用いて前記基材フィルムと前記ポリビニルアルコール系フィルムを付着させる場合、接着剤層の厚さは20nm〜4000nm程度であることが好ましい。接着剤層の厚さが前記範囲を満足する時、延伸および乾燥工程の後に、ポリビニルアルコール系フィルムを損傷なく剥離するのに有利である。
【0056】
一方、前記接着剤は、付着力(接着力)が2N/2cm以下、好ましくは0.1N/2cm〜1N/2cm程度であればよいし、その材質が特に限定されるものではなく、当該技術分野で知られている多様な接着剤が制限なく使用可能である。例えば、前記接着剤層は、水系接着剤または紫外線硬化型接着剤で形成されてもよい。
【0057】
より具体的には、前記接着剤層は、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂、およびビニルアセテート系樹脂からなる群より選択された1種以上を含む水系接着剤によって形成されてもよい。あるいは、前記接着剤層は、アクリル基およびヒドロキシ基を有するポリビニルアルコール系樹脂を含む水系接着剤によって形成されてもよい。この時、前記アクリル基およびヒドロキシ基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、重合度が500〜1800程度であってもよい。前記のような水系接着剤を用いる場合、接着剤層の厚さは20nm〜1,000nm程度であることが好ましい。
【0058】
一方、前記接着剤層は、紫外線硬化型接着剤で形成されてもよく、例えば、ホモポリマーのガラス転移温度が120℃以上の第1エポキシ化合物、ホモポリマーのガラス転移温度が60℃以下の第2エポキシ化合物、および陽イオン性光重合開始剤を含む紫外線硬化型接着剤で形成されてもよい。具体的には、前記紫外線硬化型接着剤は、ホモポリマーのガラス転移温度が120℃以上の第1エポキシ化合物100重量部、ホモポリマーのガラス転移温度が60℃以下の第2エポキシ化合物30〜100重量部、および陽イオン性光重合開始剤0.5〜20重量部を含むことができる。
【0059】
本明細書において、エポキシ化合物は、分子内に1個以上のエポキシ基を有する化合物を意味するもので、好ましくは、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、単量体(monomer)、重合体(polymer)、または樹脂(resin)の形態の化合物をすべて含む概念である。好ましくは、本発明のエポキシ化合物は、樹脂形態であってもよい。
【0060】
一方、前記第1エポキシ化合物としては、ホモポリマーのガラス転移温度が120℃以上のエポキシ化合物であれば特別な制限なく使用可能であり、例えば、ホモポリマーのガラス転移温度が120℃以上の脂環族エポキシ化合物および/または芳香族エポキシが、本発明の第1エポキシ化合物として使用可能である。ホモポリマーのガラス転移温度が120℃以上のエポキシ化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビスエポキシシクロペンチルエーテル、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物などが挙げられる。一方、前記第1エポキシ化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が120℃〜200℃程度であることがより好ましい。
【0061】
また、前記第2エポキシ化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が60℃以下のエポキシ化合物であれば特別な制限なく使用できる。例えば、前記第2エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物などが使用できる。一方、前記第2エポキシ化合物は、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃〜60℃程度であることがより好ましい。
【0062】
この時、前記脂環族エポキシ化合物としては、2官能型エポキシ化合物、すなわち、2個のエポキシを有する化合物を使用することが好ましく、前記2個のエポキシ基がすべて脂環式エポキシ基の化合物を使用することがより好ましいが、これに制限されるものではない。
【0063】
また、脂肪族エポキシ化合物としては、脂環族エポキシ基でない脂肪族エポキシ基を有するエポキシ化合物が例示される。例えば、脂肪族多価アルコールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸のポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;脂肪族多価カルボン酸のポリグリシジルエーテル;脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸のポリエステルポリカルボン酸のポリグリシジルエーテル;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合によって得られるダイマー、オリゴマーまたはポリマー;またはグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートと異なるビニル系単量体のビニル重合によって得られるオリゴマーまたはポリマーが例示され、好ましくは、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテルが使用できるが、これらに制限されるものではない。
【0064】
前記脂肪族多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8、または炭素数2〜4の脂肪族多価アルコールが例示され、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールFなどの脂環式ジオール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキシトール類、ペンチトール類、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパンなどが例示される。
【0065】
また、前記アルキレンオキシドとしては、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8、または炭素数1〜4のアルキレンオキシドが例示され、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはブチレンオキシドなどが使用できる。
【0066】
さらに、前記脂肪族多価カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、1,20−エイコサメチレンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−ジカルボキシルメチレンシクロヘキサン、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸などが例示されるが、これらに制限されるものではない。
【0067】
好ましくは、本発明の前記第2エポキシ化合物は、グリシジルエーテル基を1つ以上含むものであってもよく、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、およびo−クレシル(Cresyl)グリシジルエーテルからなるグループより選択された1種以上が、本発明の第2エポキシ化合物として使用できる。
【0068】
一方、これに限定されるものではないが、本発明の場合、前記エポキシ化合物として、エポキシ化脂肪族環基を1つ以上含む第1エポキシ化合物、およびグリシジルエーテル基を1つ以上含む第2エポキシ化合物の組み合わせを使用することが特に好ましい。
【0069】
高分子フィルム上にポリビニルアルコール系フィルムを付着させて積層体が形成されると、前記積層体を延伸する。この時、前記延伸は、湿式延伸で行われてもよい。この場合、乾式延伸に比べて高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムの表面付着力が強くなって、別の接着手段なしに高分子フィルム上にポリビニルアルコール系フィルムを付着させても安定的に延伸を行うことができる。
【0070】
前記延伸ステップは、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素および/または二色性染料を染着させるステップ、および/または前記染着されたヨウ素および/または二色性染料をポリビニルアルコール系フィルムに架橋させるステップのうちの少なくとも1つ以上のステップとともに行われてもよい。あるいは、前記延伸ステップの前に、前記積層体にヨウ素および/または二色性染料を染着させるステップを行うことができる。
【0071】
また、前記延伸ステップをホウ酸水溶液内で実施することにより、前記延伸ステップと、前記ヨウ素および/または二色性染料をポリビニルアルコールフィルムに架橋させるステップを同時に行うことができる。
【0072】
例えば、前記延伸をヨウ素および/または二色性染料とホウ酸を含む水溶液内で行うことにより、染着、架橋および延伸工程を同時に行うことができる。あるいは、前記延伸ステップの前に、積層体をヨウ素および/または二色性染料を含む水溶液に浸漬させて染着ステップを行った後に、前記染着が完了した積層体をホウ酸水溶液に浸漬させ、ホウ酸水溶液内で延伸を行うことにより、架橋ステップと延伸ステップをともに行ってもよい。
【0073】
一方、一般的に、偏光素子の製造工程は、水洗、膨潤、染着、洗浄、延伸、補色、乾燥などの過程で行われるが、本発明の場合、洗浄および延伸工程がホウ酸水溶液で行われることが好ましい。より好ましくは、洗浄工程の場合、ホウ酸濃度が0.1重量%〜2.5重量%程度、好ましくは0.5重量%〜2.0重量%程度であってもよく、延伸工程の場合、ホウ酸濃度は1.0重量%〜5.0重量%程度、好ましくは1.0重量%〜4.0重量%程度、より好ましくは1.5重量%〜3.5重量%程度であってもよい。このようなホウ酸水溶液で延伸が行われる場合、ホウ酸架橋によってポリビニルアルコール系フィルムの破断発生率が低下して工程安定性が増大し、湿式工程中に発生しやすいポリビニルアルコール系フィルムのシワの発生を制御することができる。また、乾式延伸に比べて低温でも延伸が可能であるという利点がある。
【0074】
一方、前記延伸は、偏光子の薄型化のために、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが10μm以下となるように行われることが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムの厚さが1μm〜10μm、または3μm〜10μm程度となるように行うことが好ましい。
【0075】
また、前記延伸は、これに限定されるものではないが、20℃〜85℃の温度で、5倍〜15倍の延伸倍率で行われてもよく、好ましくは40℃〜80℃の温度で、より好ましくは45℃〜55℃の温度で、5倍〜10倍の延伸倍率で行うことが、光学物性を考慮する時、特に好ましい。
【0076】
さらに、延伸方法は特に限定されず、例えば、前記積層体を縦方向(MD)に対して一軸延伸を実施してもよく、または、前記積層体を横方向(TD)に対して一軸延伸を実施してもよい。また、前記積層体を横方向(TD)延伸時、同時二軸で縦方向(MD)の収縮を誘発することもできる。一方、前記積層体の横方向(TD)延伸方法としては、例えば、テンターによって一端を固定させた固定端一軸延伸方法などが挙げられ、前記積層体の縦方向(MD)延伸方式としては、ロール間延伸方法、圧縮延伸方法、自由端一軸延伸方法などが挙げられる。一方、延伸処理は、多段で実施してもよく、または、二軸延伸、傾斜延伸などを実施することにより行われてもよい。
【0077】
一方、前記延伸は、乾式延伸でも実施できる。すなわち、本発明の式(1)および(2)を満足する積層体は、乾式延伸でも延伸が可能であり、より具体的には、20℃〜80℃の低温で、5倍〜15倍程度の延伸倍率で乾式延伸が可能である。
【0078】
一方、前記延伸ステップの後に、必要に応じて、前記延伸積層体を乾燥するステップを行うことができる。この時、前記乾燥は、これに限定されるものではないが、偏光子の光学特性を考慮する時、20℃〜100℃、より好ましくは40℃〜90℃程度の温度で行われることが好ましく、前記乾燥時間は、1分〜10分程度であることが好ましい。乾燥工程は、ポリビニルアルコールの表面および内部の水分除去によって、偏光板の製造工程中において水分によるポリビニルアルコール系偏光子の物性の低下を防止し、乾燥過程で延伸されたポリビニルアルコール系フィルムの幅収縮を円滑に誘導して、ポリビニルアルコールおよびヨウ素で構成された錯体の配向性を増大させて、偏光子の偏光度を向上させる役割を果たす。
【0079】
の過程を経て積層体が延伸処理された後、ポリビニルアルコール系フィルムを高分子フィルムから分離するステップを追加的に行うことができる。前記分離ステップは、ポリビニルアルコール系フィルムに弱い剥離力を加えて高分子フィルムから離脱させる方法で行われてもよい。この時、前記剥離力は2N/2cm以下であることが好ましく、例えば、0.1N/2cm〜2N/2cm、0.1N/2cm〜1N/2cm程度であってもよい。このように、本発明の場合、コーティングや共押出を利用して積層された場合に比べて、ポリビニルアルコール系フィルムと高分子フィルムを分離するのに要求される剥離力が非常に弱いため、特別な工程や装備なくても2つのフィルムを容易に分離できるだけでなく、分離工程においてポリビニルアルコール系フィルムの損傷が少なく、非常に優れた光学性能を示す。
【0080】
このように、本発明の場合、コーティングや共押出を利用して積層された場合に比べて、ポリビニルアルコール系フィルムと高分子フィルムを分離するのに要求される剥離力が非常に弱いため、特別な工程や装備なくても2つのフィルムを容易に分離できるだけでなく、分離工程においてポリビニルアルコール系フィルムの損傷が少なく、非常に優れた光学性能を示す。
【0081】
このような方法によって製造された本発明の薄型偏光子は、その厚さが10μm以下、好ましくは1μm〜10μm程度、より好ましくは3μm〜10μm程度と非常に薄い。したがって、これを含む偏光板などの薄型軽量化が可能である。
【0082】
また、このような方法によって製造された本発明の薄型偏光子は、このように薄い厚さでも、単体透過度が40%〜43%程度、好ましくは41.5%〜42%程度であり、偏光度が99.0%以上、好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.8%以上と非常に優れた光学物性を示す。
【0083】
特に、このような方法によって製造された本発明の薄型偏光子は、下記式(3)を満足する。一般的に、薄型偏光子は、単体透過度が減少すれば偏光度が増加し、単体透過度が増加すれば偏光度が減少する光学物性を有する。したがって、偏光度と単体透過度がいずれも高い光学物性を有することができない問題があった。しかし、本発明に係る薄型偏光子は、下記式(3)を満足することにより、偏光度および単体透過度とも高い光学物性を有することができる。
【0084】
式(3):DOP>−0.3179Ts2+26.012Ts−432.12
式(3)において、DOPは偏光度であり、Tsは単体透過度であり、この時、Tsは0.400<Ts<0.427である。
【0085】
一方、このような本発明の偏光子の一面または両面に透明フィルムを積層して偏光板を形成することができる。この時、偏光板の構造は、本発明の前記偏光子を含むものであれば特に制限されず、例えば、偏光子/保護フィルム、保護フィルム/偏光子、または保護フィルム/偏光子/保護フィルムなどであってもよい。
【0086】
この時、前記保護フィルムとしては、前記保護フィルムは、偏光子を支持および保護するためのもので、当該技術分野で一般的に知られている多様な材質の保護フィルム、例えば、セルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)フィルム、アクリル系フィルムなどが制限なく使用可能である。なかでも、光学特性、耐久性、経済性などを考慮する時、アクリル系フィルムを使用することが特に好ましい。
【0087】
偏光子と保護フィルムの積層方法は特に制限されず、当該技術分野でよく知られている接着剤または粘着剤などを用いて行われてもよい。この時、前記粘着剤または接着剤は、使用される保護フィルムの材質などを考慮して適切に選択可能であり、例えば、保護フィルムとしてTACを使用する場合には、ポリビニルアルコール系接着剤のような水系接着剤を用いることができ、保護フィルムとしてアクリルフィルムやCOPフィルムなどを使用する場合には、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤のような光硬化または熱硬化性接着剤を用いることができる。
【0088】
一方、前記偏光板には、光学位相差を補償させるための位相差フィルムが含まれてもよい。この時、本発明に使用可能な位相差フィルムは特に制限されず、多様な液晶モードに応じて当該技術分野で一般的に使用されている位相差フィルムが使用できる。
【0089】
一方、本発明に係る前記偏光板は、多様なディスプレイ装置に含まれてもよい。例えば、前記偏光板は、液晶表示装置(LCD)、有機発光素子(OLED)のような多様なディスプレイ装置に適用可能である。
【実施例】
【0090】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。
【0091】
実施例1
厚さが40μm、モジュラスが908MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが407MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2001grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成した。一方、前記熱可塑性ポリウレタンフィルムは、メチレンジフェニルジイソシアネート、1,4−ブタンジオール、およびアジピン酸を反応させて製造した熱可塑性ポリウレタン樹脂からなっている。
【0092】
前記積層体に対して、0.25wt%の濃度および25℃のヨウ素溶液で20秒間染着工程を進行させた。以後、25℃のホウ酸1.0wt%溶液で15秒間洗浄工程を経た後、52℃のホウ酸2.0wt%溶液で6.0倍の延伸倍率で前記積層体をMD方向に一軸延伸して延伸積層体を製造した。
【0093】
延伸後、5wt%のヨウ化カリウム(KI)溶液で補色工程を経た後、80℃のオーブンで5分間乾燥工程を進行させた。乾燥工程後、高分子フィルムからポリビニルアルコール系フィルムを剥離させることにより、最終的に厚さ6.2μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0094】
実施例2
厚さが40μm、モジュラスが956MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが407MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2001grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ6.8μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0095】
実施例3
厚さが60μm、モジュラスが1064MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが407MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2001grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ6.1μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0096】
比較例1
厚さが40μm、モジュラスが908MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが1781MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2000grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成し、染着液に積層体を15秒間浸漬して染着したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ5.3μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0097】
比較例2
厚さが40μm、モジュラスが908MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが1781MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2000grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ5.3μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0098】
比較例3
厚さが40μm、モジュラスが908MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが1781MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2000grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成し、染着液に積層体を25秒間浸漬して染着したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ5.3μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0099】
比較例4
厚さが40μm、モジュラスが908MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが1781MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2000grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成し、染着液に積層体を30秒間浸漬して染着したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ5.3μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0100】
比較例5
厚さが60μm、モジュラスが1064MPaの未延伸熱可塑性ポリウレタンフィルムの両面に、厚さが20μm、モジュラスが1781MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2000grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ4.9μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0101】
比較例6
厚さが50μm、モジュラスが200MPaの未延伸ポリプロピレンフィルム(R&F社、MPL)の両面に、厚さが20μm、モジュラスが407MPaの未延伸ポリビニルアルコール系フィルム(日本合成社、M2001grade20μmのPVAフィルム)を付着させて積層体を形成したことを除いては、前記実施例1と同様の方法で厚さ5.8μmのポリビニルアルコール系薄型偏光子を製造した。
【0102】
実験例1−未延伸高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムの物性の測定
前記実施例1〜2および比較例1〜6で使用された未延伸高分子フィルムとポリビニルアルコール系フィルムが、本発明の式(1)および(2)を満足するか否かを測定して、下記表1に示した。この時、モジュラスは引張強度計(Zwick/Roell Z010UTM)を用いて測定し、厚さは厚さ測定器(TESA Mu−hite Electronic Height Gauge100mm)を用いて測定した。
【0103】
【表1】
【0104】
前記表1において、Esub'は未延伸高分子フィルムのモジュラスであり、dsub'は未延伸高分子フィルムの厚さであり、EPVAは未延伸ポリビニルアルコール系フィルムのモジュラスであり、dPVAは未延伸ポリビニルアルコール系フィルムの厚さである。
【0105】
前記表1から明らかなように、実施例1〜3の場合、本発明の式(1)および(2)をすべて満足するが、比較例1〜5の場合、式(2)を満足することができず、比較例6の場合、式(1)および(2)をすべて満足することができないことが分かる。
【0106】
実験例2−光学特性の測定
前記実施例1〜3および比較例1〜6において、製造された薄型偏光子の光学特性をJASCO V−7100Spectrophotometerで測定して、下記表2に示した。また、前記実施例1〜3および比較例1〜6において、製造された薄型偏光子の単体透過度と偏光度との間の関係を示すグラフを、下記図2に示した。
【0107】
【表2】
【0108】
前記表2において、単体透過度は単一偏光子の透過率を意味する。偏光度は[(Tp−Tc)/(Tp+Tc)]0.5であり、Tpは偏光板2枚の平行透過率、Tcは偏光板2枚の直交透過率を意味する。
【0109】
また、単体色相a、bおよび直交色相a、b値において、単体色相とは、単一の偏光子の色相を色差計を用いて測定したものを示し、直交色相とは、一対の偏光子を吸収軸が直交する状態で配置した時の色相を色差計を用いて測定したものを示す。
【0110】
さらに、前記色相aおよび色相bは、CIE色座標において色相を表現する値をいうもので、より具体的には、前記色相a値はa=500[(X/Xn)1/3−(Y/Yn)1/3]で計算され、+aは赤色、−aは緑色を意味する。また、前記色相b値はb=200[(Y/Yn)1/3−(Z/Zn)1/3]で計算され、+bは黄色、−bは青色を意味する。(ここで、Xn、Yn、Znは、基準となるホワイト色相のX、Y、Zに相当する。)
すなわち、単体色相a、b値は、単一の偏光子の色相を色差計を用いて測定したCIE色座標における色相a、b値を意味し、直交色相a、b値は、一対の偏光子を吸収軸が直交する状態で配置した時の色相を色差計を用いて測定したCIE色座標における色相a、b値を意味する。
【0111】
前記表2および下記図2から明らかなように、実施例1〜3の製造方法によって製造される薄型偏光子は、比較例1〜6の製造方法によって製造される薄型偏光子とは異なり、単体透過度が41.5%〜42.0%程度に高い場合にも、偏光度が99.8%以上と優れており、これによって、本発明によれば、単体透過度と偏光度がいずれも優れた薄型偏光子を製造できることが分かる。
【0112】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、請求の範囲に記載の本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な修正および変形が可能であることは、当技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明である。
【符号の説明】
【0113】
H:ホルダ
A:ポリビニルアルコール系フィルム
B:高分子フィルム
MD:縦延伸方向
DOP:偏光度
Ts:単体透過度
【図1】
【図2】
【国際調査報告】

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