特表2016-536291(P2016-536291A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-536291(P2016-536291A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】ポリエステルを解重合する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/03 20060101AFI20161028BHJP
   C07C 69/82 20060101ALI20161028BHJP
   C08J 11/24 20060101ALI20161028BHJP
   C08J 11/28 20060101ALI20161028BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20161028BHJP
   C08G 63/183 20060101ALN20161028BHJP
【FI】
   C07C67/03
   C07C69/82 B
   C08J11/24ZAB
   C08J11/28
   C07B61/00 300
   C08G63/183
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-522115(P2016-522115)
(86)(22)【出願日】2014年8月1日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月12日
(86)【国際出願番号】JP2014004047
(87)【国際公開番号】WO2015056377
(87)【国際公開日】20150423
(31)【優先権主張番号】14/054,425
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】アレン、ロバート、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バジュリ、クリシュナ、モーハン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイタ、グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘドリック、ジェームス、ラプトン
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン、カール、エリック
【テーマコード(参考)】
4F401
4H006
4H039
4J029
【Fターム(参考)】
4F401AA12
4F401AA22
4F401AA24
4F401AA40
4F401AB07
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4F401CA14
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4F401CA88
4F401CA91
4F401CB14
4F401EA59
4F401EA67
4F401EA77
4F401FA01Z
4H006AA02
4H006AC48
4H006AC91
4H006AD11
4H006AD15
4H006AD17
4H006BA51
4H006BB14
4H006BB70
4H006BC10
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4H006BC34
4H006BD36
4H006BD40
4H006BD52
4H006BD84
4H006BJ50
4H006BN10
4H006KA03
4H039CA66
4H039CD10
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4J029AB07
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4J029BA03
4J029CB06A
4J029HA02
4J029HB02
4J029KE13
4J029KG02
4J029KG03
(57)【要約】
【課題】ポリエステルを解重合する方法を提供する。
【解決手段】飲料用ボトルなどの使用済みの製品からポリエステルを解重合して、高純度の反応生成物を生成する方法が提供される。解重合反応に関して、ポリエステルを、炭素を2〜5個を有するアルコールおよびアミン有機触媒と、約150℃〜約250℃の温度で反応させる。一用途では、反応物アルコールの沸点よりもかなり低い沸点を有する有機触媒の使用により、アミン有機触媒の敏速なリサイクルが可能となる。別の用途では、圧力下で、アルコールの温度を超える温度で解重合反応を実施することにより、さらなる熱注入を伴わずに、解重合速度の加速および有機触媒の回収が可能となる。さらなる用途では、使用済みの飲料用ボトルからのポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の解糖解重合は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)の純粋な反応生成物を生成し、これは次に、最小限の排出および廃棄物を伴う閉ループプロセスで、高純度の飲料用ボトル等級のPETを生成するのに使用され得る。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アルコールおよび(ii)アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を用いてポリエステルを解重合することを含む方法であって、前記アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、構造1、2および3
【化1】
(式中、
R1、R2、R3は独立して、C〜C10アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリールからなる群から選択され、
R4、R5、R6およびR7は独立して、C〜C10アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリールからなる群から選択され、
R8は、C〜C10アルキル、分岐状アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択され、
R9は、低級アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択される)
からなる群から選択される構造を有する方法。
【請求項2】
R2およびR3が、飽和もしくは不飽和脂環式環または芳香環を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1、R2およびR3が、1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択に含む二環式環を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヘテロ原子が、窒素、酸素、硫黄およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R4、R5、R6およびR7が、飽和もしくは不飽和脂環式環または芳香環を形成し、R8が、C〜Cアルキル、シクロアルキル、アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構造3が、ピリジンおよびピリミジンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アミン有機触媒が、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリメチルトリアザシクロノナン(TACN)、トリエチルアミン(TEA)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(DABCO)、N−メチルイミダゾール(NMI)およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエステルが、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンフラノエート(PEF)およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アルコールが、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)および1,5−ペンタンジオール(ペンチレングリコール)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、前記アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アミン有機触媒が第三級アミンであり、前記アルコールがエチレングリコールであり、前記解重合が、約150℃〜約198℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アミン有機触媒が第三級アミンであり、前記アルコールがエチレングリコールであり、前記解重合が、約200℃〜約250℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記解重合が、単量体ジエステル、前記アルコールおよび前記アミン有機触媒を含む反応生成物を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記アミン有機触媒が、蒸留反応によって前記反応生成物からリサイクルされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記単量体ジエステルが、第2のジエステルまたは二塩基酸あるいはその両方と再重合または共重合されて、前記ポリエステルをリサイクル製品として再生する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記単量体ジエステルが、第2のジエステルまたは二塩基酸あるいはその両方およびテレフタレート、二酸、ジオール、イソフタレートおよびそれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数のさらなるコモノマーと、再重合または共重合されて、前記ポリエステルをリサイクル製品として再生する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記さらなるコモノマーが、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記解重合が、反応容器中で連続フロープロセスとして実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
(i)アルコールおよび(ii)アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を用いて、圧力反応器中で前記アルコールの沸点よりも高い温度で、ポリエステルを解重合することを含む方法であって、前記アミン有機触媒が、前記アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有する、方法。
【請求項20】
前記圧力反応器が、約68.9kPa(10psi)〜約137.9kPa(20psi)の圧力を有し、前記温度が、前記アルコールの沸点よりも約10℃〜約30℃高い、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アミン有機触媒が、前記アルコールの沸点よりも少なくとも約100℃低い沸点を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記アミン有機触媒が、トリエチルアミン(TEA)を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)(PET)であり、前記アルコールがエチレングリコール(EG)であり、前記アミン有機触媒がトリエチルアミン(TEA)であり、反応生成物が、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびEGを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記BHETが、濾過、イオン交換クロマトグラフィ、脱色、蒸留およびそれらの組合せからなる群から選択される方法により精製される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
BHETの反応生成物が、第2のジエステルまたは二塩基酸あるいはその両方と再重合または共重合されて、PETを形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
BHETの反応生成物が、第2のジエステルまたは二塩基酸あるいはその両方並びにテレフタレート、二酸、ジオール、イソフタレートおよびそれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数のさらなるコモノマーと、再重合または共重合されて、PETを形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記さらなるコモノマーが、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記解重合反応が、前記圧力反応器中で連続フロープロセスとして実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
(i)炭素数2〜5のアルコールおよび(ii)アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を含む反応混合物中で、ポリエステルを解重合することを含む方法であって、
(a)前記解重合が、0〜約344.8kPa(50psi)の範囲の圧力で、約150℃〜約250℃の温度で実施され、
(b)前記アルコールが、前記反応混合物中で唯一の溶媒として作用し、
(c)前記アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、前記アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有し、
(d)前記アミン有機触媒が、前記反応混合物中の前記ポリエステルの総モルに対して約0.1mol%〜約5mol%の範囲で前記反応混合物中に存在する方法。
【請求項30】
前記解重合反応が、反応容器中で連続フロープロセスとして実行される、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、プラスチックリサイクルに関し、より詳細には、リサイクルプラスチックを製造するのに使用され得る精製テレフタレートジエステルモノマーを生成するための、使用済みのポリ(エチレンテレフタレート)(PET)の解重合などのポリエステルを解重合する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境への意識、法的措置および環境維持に対する市民の要望は、プラスチックリサイクルへの関心の増加につながっている。プラスチック材料のリサイクルは、石油資源の使用の減少、環境汚染の低減、埋立て用地の保護、エネルギーの保存および使用済みの再利用の強化を含む幅広い理由で重要である。
【0003】
衣料繊維および生地、カーペット類、包装フィルム、食品容器および飲料用ボトルで使用される熱可塑性ポリエステルであるポリ(エチレンテレフタレート)(PET)は、埋立て地に存在する最も一般的な使用済みの材料の1つである。使用済みのPETを加工処理するのに2つの従来法:機械的リサイクルおよび化学的リサイクルが存在する。
【0004】
最も一般的に実践されるリサイクル法である機械的リサイクルは、いくらか不純物を含むリサイクル材料を生成する。このため、飲料用ボトル以外の製品を形成するのに使用される場合が多い。機械的リサイクルは、使用済みのPETの溶融加工および再成形を伴う。機械的リサイクルでは、入ってくるPET製品の厳密な分類および浄化がないため、元のPET製品の所望の機械特性および光学特性の多くを欠如するリサイクルPET製品が生成される。例えば、機械的リサイクルの溶融プロセスは、PETの固有粘度を悪化させる。さらに、PET中に存在する任意の金属、色素および有色混入物質が、リサイクル製品へと持ち越され得る。一方、PETの化学的リサイクルは、PETの化学的分解、続く形成されたモノマーの再重合を介して高品質のPETを生じ得る。混合された使用済みのPETの化学的リサイクルから生成されるPETの品質により、このリサイクル方法は、消費者廃棄物PET製品の高価値の使用済みのPET製品への変換に適したものとなっている。
【0005】
PETの化学的リサイクルは、生成物モノマーおよびオリゴマーへの使用済みのPETの解重合を含む。解重合反応を実施するのに使用される触媒として、NaOH、KOH、ゼオライト、金属および有機強塩基(グアニジンおよびアミジンなどの)が挙げられる。金属触媒は、生分解性ではないため、汚染物質とみなされ、得られたモノマーまたはオリゴマーあるいはその両方から金属を除去するのに、さらなる加工処理ステップが必要とされる。さらに、金属がリサイクルモノマーまたはオリゴマーあるいはその両方中に残存した場合、それらの存在は、PETへと戻すモノマーまたはオリゴマーあるいはその両方の再重合中に潜在的な問題を引き起こすであろう。有機強塩基は、ポリエステル解重合を触媒するのに有効である一方で、それらは、比較的高価であり、リサイクルが容易ではなく、生成物モノマー中に着色を引き起こす可能性があり、空気酸化、および、塩形成による中和にさらされるなど、強塩基性有機触媒がポリエステル解重合には不適とされる特徴をもつ。金属含有触媒または強塩基性有機触媒の使用の別の欠点は、それらが、反応後の精製において残留する微量のPET重合触媒を除去するのに使用されるイオン交換樹脂を飽和させて、したがって樹脂が、さらなる精製手順に使用不可能となり、再生サイクルの頻度を増加させることである。
【0006】
今日まで、PETの有効かつ経済的なリサイクルを可能にする解重合触媒は存在しない。PETの化学的リサイクルにおける現在の構想は、下記要因:環境上の安全性、経済的実現可能性、容易なリサイクル性および産業上の適用可能性に焦点を当てている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
飲料用ボトルなど使用済みPET製品などからポリエステルを解重合して、高純度の反応性生物を得る、有効かつ経済的なリサイクルを可能にする方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アルコール、および、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を用いてポリエステルを解重合することを含む方法であって、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、構造1、2および3:
【化1】
(式中、R1、R2、R3は独立して、C〜C10アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリールからなる群から選択され、R4、R5、R6およびR7は独立して、C〜C10アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリールからなる群から選択され、R8は、C〜C10アルキル、分岐状アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択され、R9は、低級アルキル、アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択される)
からなる群から選択される構造を有する方法を提供することにより、従来技術における必要性を克服する。
【0009】
一実施形態では、R2およびR3は、飽和もしくは不飽和脂環式環または芳香環を形成する。
【0010】
別の実施形態では、R1、R2およびR3は、1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択に含む二環式環を形成し、ヘテロ原子は、窒素、酸素、硫黄およびそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0011】
さらなる実施形態では、R4、R5、R6およびR7は、飽和もしくは不飽和脂環式環または芳香環を形成し、R8は、C〜Cアルキル、分岐状アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0012】
別の実施形態では、構造3は、ピリジンおよびピリミジンから選択される。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、アミン有機触媒は、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリメチルトリアザシクロノナン(TACN)、トリエチルアミン(TEA)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(DABCO)、N−メチルイミダゾール(NMI)およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0014】
別の実施形態では、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有する。
【0015】
本発明はまた、アルコールおよびアミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を用いて、圧力反応器中でアルコールの沸点よりも高い温度で、ポリエステルを解重合することを含む方法であって、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有する(例えば、トリエチルアミン、TEAなどの)方法を提供する。
【0016】
一実施形態では、反応器の圧力は、約68.9kPa(10psi)〜約137.9kPa(20psi)であり、温度は、アルコールの沸点よりも約10℃〜約30℃高い。
【0017】
別の実施形態では、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方は、アルコールの沸点よりも少なくとも約100℃低い沸点を有する。
【0018】
本発明はさらに、炭素数2〜5のアルコールおよびアミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を含む反応混合物中で、ポリエステルを解重合することを含む方法であって、(i)解重合が、0〜約344.8kPa(50psi)の範囲の圧力および約150℃〜約250℃の温度で実施され、(ii)アルコールが、反応混合物中で唯一の溶媒として作用し、(iii)アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有し、(iv)アミン有機触媒が、反応混合物中のポリエステルの総モルに対して約0.1mol%〜約5mol%の範囲で反応混合物中に存在する方法を提供する。
【0019】
一実施形態では、解重合は、0〜約206.8kPa(30psi)の範囲の圧力で、約180℃〜約250℃の温度で実施される。
【0020】
別の実施形態では、アミン有機触媒は第三級アミンであり、アルコールはエチレングリコールであり、解重合は、約150℃〜約198℃の温度で実施される。
【0021】
さらなる実施形態では、アミン有機触媒は第三級アミンであり、アルコールはエチレングリコールであり、解重合は、約190℃〜約198℃の温度で実施される。
【0022】
別の実施形態では、アミン有機触媒は第三級アミンであり、アルコールはエチレングリコールであり、解重合は、約200℃〜約250℃の温度で実施される。
【0023】
本発明のさらなる実施形態では、ポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンフラノエート(PEF)およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0024】
本発明の別の実施形態では、アルコールは、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、1,5−ペンタンジオール(ペンチレングリコール)からなる群から選択される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態では、解重合は、単量体ジエステル、アルコールおよびアミン有機触媒を含む反応生成物を生成する。
【0026】
本発明の別の実施形態では、アミン有機触媒は、蒸留反応によって反応生成物からリサイクルされる。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、単量体ジエステルは、別のジエステルまたは二塩基酸(diacid)あるいはその両方と再重合または共重合されて、ポリエステルをリサイクル製品として再生する。
【0028】
本発明の別の実施形態では、ポリエステルはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)であり、アルコールはエチレングリコール(EG)であり、アミン有機触媒はトリエチルアミン(TEA)であり、反応生成物は、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびEGを含む。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、BHETは、濾過、イオン交換クロマトグラフィ、脱色、蒸留およびそれらの組合せからなる群から選択される方法により精製される。
【0030】
本発明の別の実施形態では、精製されたBHET反応生成物は、第2のジエステルまたは二塩基酸あるいはその両方と再重合または共重合されて、PETを形成する。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、精製されたBHET反応生成物は、第2のジエステルまたは二塩基酸あるいはその両方およびテレフタレート、二塩基酸、ジオール、イソフタレートおよびそれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数のさらなるコモノマーと再重合または共重合される。好ましい実施形態では、テレフタレートはテレフタル酸ジメチルであり、二塩基酸は、テレフタル酸などのフタル酸であり、ジオールはシクロヘキサンジメタノールである。
【0032】
本発明の別の実施形態では、(a)(i)PET、(ii)PET繰り返し単位に対して約4〜約20モル当量の量のEG、および(iii)解重合用アミン有機触媒またはそのアミン塩あるいはその両方を含む反応混合物を形成するステップと、(b)反応混合物を約150℃〜約250℃の温度で加熱して、PETを解重合し、BHETを含むテレフタレート反応生成物を形成するステップとを含む方法が提供される。
【0033】
本発明のさらなる実施形態では、上述する解重合反応は、連続フロー反応容器中で連続プロセスで実施される。
【0034】
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下に記載する発明の詳細な説明において、限定されずに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】緑色の汚れたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フレークの写真である。
図2】透明な汚れたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フレークの写真である。
図3】実施例2の反応装置の写真である。写真の容器には、解重合前の未溶解PETの混合物が入っている。
図4】解糖反応の完了後に実施例に記載する80℃の反応混合物から濾過された不溶性PET残渣の写真である。
図5】実施例に記載するPET解重合反応から単離されたビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)の写真である。反応混合物の冷却により、BHETの結晶化が起き、これを直接的な濾過により単離した。
図6】エチレングリコール(EG)およびトリエチルアミン(TEA)有機触媒を用いたPETの解糖反応で形成される粗製BHET生成物のGPCクロマトグラムのグラフである。
図7】EGおよびTEA有機触媒を用いたPETの解糖反応で形成される粗製BHET生成物のHPLC−UVクロマトグラムのグラフである。
図8】5mol%のTEA有機触媒を用いて緑色の汚れたPETフレークから作製されたBHET生成物の400MHz H NMRスペクトルである。
図9】本明細書中に記載する有機触媒リサイクルおよび閉ループ解重合/再重合法に関連したステップを示すフローチャートである。
図10】低圧解重合反応(触媒として5モル%のTEAを使用したBHETへのPETの解糖)の完了時に回収される蒸留物の400MHz H NMRスペクトルである。NMRは、蒸留物中のTEA触媒の回収を示す。
図11】蒸留によるTEA触媒の回収後の低圧解重合反応(触媒として5モル%のTEAを使用したBHETへのPETの解糖)から得られる粗製BHETスラリーの400MHz H NMRスペクトルである。NMRは、スラリーが、BHET、少量のオリゴマー、およびEGを含むことを示す。
図12】脱色または金属除去などの任意のさらなる精製前のBHET生成物スラリー中のTEAの非存在、ならびにTEA触媒の高い回収を実証するために図11上に図10を重ね合わせたものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特許請求される本発明の好ましい実施形態であると現在考えられるものの説明を以下に記載する。機能、目的または構造におけるいかなる代替物または変更も本出願の特許請求の範囲により網羅されると意図される。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他の状況を指さない限り、複数形の指示対象を含む。「を含む」という用語または「を含んでいる」という用語あるいはその両方は、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、提示される特質、整数、ステップ、操作、要素、または構成成分、あるいはこれらの組合せの存在を明記するが、1つまたは複数の他の特質、整数、ステップ、操作、要素、構成成分、またはそれらの群、あるいはこれらの組合せの存在または追加を除外しない。
【0037】
本明細書中で使用する場合、「透明なPETフレーク」という用語は、透明な飲料用ボトルから得られるPETを指し、「緑色のPETフレーク」という用語は、緑色の飲料用ボトルから得られるPETを指す。当業者から理解されるように、使用済みのPETは通常、透明なPET、青色のPET、緑色のPETおよび琥珀色のPETを含む種々の色のフラクションに分類される。使用済みのPETに由来するフレークは、その供給源と同じ色を共有する。「汚れた」PETフレークに対する言及は、PETフレークが得られる飲料用ボトルが、洗浄に付されなかったか、または最小限の洗浄にのみ付されたことを意味する。図1は、緑色の汚れたPETフレークの写真であり、図2は、透明な汚れたPETフレークの写真を示す。本明細書中で使用する場合、「清浄な洗浄されたPETフレーク」という用語は、汚れたPETフレークが洗浄および浄化されたことを意味し、PETフレークを得たボトルが洗浄されたことは意味しない。
【0038】
本発明の文脈内で、「約」という用語は、数値範囲が、指定した範囲を超えて変動し得ることを示すためのその通常のおよび慣用的な方法で使用される。例えば、約0.1〜約5mol%の範囲は、例えば0.09mol%(またはわずかに低い)などの0.1mol%未満である下端、および例えば5.1mol%(またはわずかに高い)などの5mol%を上回る上限範囲を網羅すると予測され得る。「少なくとも約」という用語は、用語に続く数字が上限値を指定するが、かかる上限値が固定されないことを強調するのに使用される。例えば、「有機触媒が、アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い沸点を有する」という語句は、有機触媒が、アルコールの沸点よりも少なくとも50℃低い温度で沸騰するが、50℃は固定された数字ではなく、必要に応じて、50℃をわずかに超えるか、または50℃をわずかに下回る範囲を含み得ることを意味する。
【0039】
本発明の文脈内で、「アミン有機触媒」および「有機触媒」という用語は、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を指す。アミン有機触媒カルボン酸塩の例は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの安息香酸塩である。本発明の文脈内で、アミン有機触媒、有機触媒および本明細書中に記載する触媒は、解重合反応、重合反応、またはその両方に使用され得ることが理解されるべきである。
【0040】
本発明の文脈内で、実施例では、実験は、圧力反応器および非加圧反応器中で行われたことが理解されるべきである。圧力反応器が使用された場合、反応器は、「圧力反応器」として指定される。対比して、非加圧反応器(例えば、三口丸底フラスコなどの)が「反応器」として指定されてもよい(実施例10および実施例11を比較)。「反応容器」という用語は、圧力反応器または非加圧反応器のいずれかを指し得る。本明細書中に記載する反応(加圧または非加圧のいずれか)は、連続フローおよびバッチプロセス配置の両方を含み得ることが理解されるべきである。本明細書中で使用する場合、「連続フロー反応器」という用語は、連続フロープロセスで反応を加工処理する反応容器を指す。連続フロー反応器は、加圧反応器または非加圧反応器のいずれかであり得る。
【0041】
炭素を2〜5個を含むアルコールおよびアミン有機触媒(またはそのカルボン酸塩あるいはその両方)を用いてポリエステルを解重合する方法が開示される。
【0042】
本発明のポリエステル出発製品は、飲料用ボトル、非飲料容器、食品容器、包装材料、カーペット類、衣類、ラッピング材料および合成繊維などの使用済みの物品を含むが、これらに限定されない任意の適切な供給源から得られる。
【0043】
ポリエステル解重合反応に備えて、使用済みの物品は通常、フレークまたは他の断片へ刻まれるか、または粉砕されて、これらは、そのまま浄化せずに使用され得る。場合によっては、下記プロセス:予洗;乱切り;フィルム、紙ラベル、またはキャップ材料、あるいはこれらの組合せの除去;湿式または乾式粉砕あるいはその両方;湯洗浄;苛性洗浄;すすぎ;上水洗浄;およびフレーク分類の1つまたは複数で、消費物品を処理することが必要である場合ある。先述のプロセスは、解重合反応用にポリエステルを準備するために、単独で、または任意の順序で組み合わせて使用され得る。
【0044】
解重合用のポリエステル出発材料は、単独重合体または共重合体であり得る。ポリエステル単独重合体は、線状、分岐状、超分岐状、樹状、環状および星状単独重合体からなる群から選択され得る。ポリエステル共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体マルチブロック共重合体、および交互またはランダム共重合体からなる群から選択され得る。ポリエステルは、チップ、フレーク、顆粒粉末、粒子、繊維、フィルムまたは生地(例えば、衣類およびカーペット)の形態で存在し得る。ポリエステルはまた、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロンまたは他の繊維(例えば、綿)などの他のポリマーを含有し得る。
【0045】
最も一般的な使用済みのポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)(テレフタル酸およびEGの重合から生成される)である。PET繰り返し単位の構造を以下に示す。
【0046】
【化2】
【0047】
本発明の方法を使用して解重合され得る他のポリエステルとしては、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)(テレフタル酸および1,4−ブタンジオールのポリマー)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)(テレフタル酸および1,3−プロパンジオールのポリマー)、ポリエチレンナフタレート(PEN)(少なくとも1つのナフタレンジカルボン酸とEGとのポリマー)およびポリエチレンフラノエート(PEF)(フランジカルボン酸とEGとのポリマー)が挙げられるが、限定されない。テレフタレートポリエステルへ組み込まれ得る他のポリマーの例としては、ポリ(塩化ビニル)(PVC)、ナイロン、またはポリラクチド(PLA)、あるいはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
解重合反応で使用される炭素数2〜5のアルコールは、分岐状または非分岐状であり得る。好ましい実施形態では、アルコールは、1,2−エタンジオール(エチレングリコール、EG)、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)、および1,5−ペンタンジオール(ペンチレングリコールまたはペンタメチレングリコール)からなる群から選択される線状グリコールである。
【0049】
本発明の方法で使用され得る解重合用アミン有機触媒は、金属を含まず、構造1〜構造3の一般式を有する:
【0050】
【化3】
【0051】
本発明の一実施形態では、構造1のR1、R2およびR3は独立して、C〜C10アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルキルアミノおよびアリールからなる群から選択される。
【0052】
本発明の別の実施形態では、構造1のR2およびR3は、飽和もしくは不飽和脂環式環または芳香環を形成する。
【0053】
本発明のさらなる実施形態では、構造1のR1、R2、R3は、窒素、酸素、硫黄およびそれらの組合せなどの1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択に含む二環式環を形成する。
【0054】
本発明の別の実施形態では、構造2のR4、R5、R6およびR7は独立して、C〜C10アルキル、分岐状アルキル、シクロアルキル、アルコキシおよびアルキルアミノからなる群から選択され、構造2のR8は、C〜C10アルキル、分岐状アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0055】
本発明のさらなる実施形態では、構造2のR4、R5、R6およびR7は、飽和もしくは不飽和脂環式環または芳香環を形成し、構造2のR8は、C〜Cアルキル、分岐状アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される。
【0056】
本発明の別の実施形態では、構造3は、ピリジンまたはピリミジンなどの窒素含有複素環式芳香族化合物であり、式中、R9は、低級アルキル、アルコキシまたはアルキルアミノからなる群から選択される。
【0057】
ポリエステルを解重合するための本発明の方法で使用され得る構造1〜構造3に従うアミン有機触媒の例として、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリメチルトリアザシクロノナン(TACN)、トリエチルアミン(TEA)、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン(DABCO)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)およびN−メチルイミダゾール(NMI)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の方法で使用され得るアミン有機触媒は、好ましくはアルコールの沸点よりも低い沸点を有する。一実施形態では、アミン有機触媒は、アルコールの沸点よりも少なくとも約10℃低い沸点を有する。別の実施形態では、有機触媒は、アルコールの沸点よりも少なくとも約25℃低い沸点を有する。さらなる実施形態では、有機触媒の沸点は、アルコールの沸点よりも少なくとも約50℃低い。別の実施形態では、有機触媒は、アルコールの沸点よりも少なくとも約100℃低い沸点を有する。一例では、アルコールは、およそ198℃の沸点を有するエチレングリコールであり、有機触媒は、89℃の沸点を有する第三級アミン有機触媒であるTEAであり、これは、エチレングリコールの沸点よりも100℃以上、下回る(実施例1〜実施例8、実施例10および実施例11を参照)。
【0059】
アミン有機触媒は、ポリエステル繰り返し単位の総モルに対して最大約0.3モル当量(30mol%)の範囲で、解重合反応混合物中に存在し得る。一実施形態では、アミン有機触媒は、約0.001〜約0.1モル当量(0.1〜10mol%)の範囲で、解重合反応混合物中に存在する。別の実施形態では、アミン有機触媒は、約0.001〜約0.05モル当量(0.1〜5mol%)の範囲で、解重合反応混合物中に存在する。さらなる実施形態では、アミン有機触媒は、約0.001〜約0.01モル当量(0.1〜0.5mol%)の範囲で、解重合反応混合物中に存在する。実施例1〜実施例6は、PETの総モルに対して0.5mol%〜5mol%の種々の有機触媒を使用するPET解糖解重合反応について記載する。
【0060】
本発明のポリエステル解重合反応は、好ましくは約150℃〜約250℃の範囲の温度、および0〜約344.8kPa(50psi)の範囲の圧力で、不活性雰囲気で実施される。約180℃〜約250℃の範囲の温度、および0〜約206.8kPa(30psi)の範囲の圧力で実行される反応は、状況によっては好ましい場合がある。アルコールが溶媒として作用するため、解重合ステップはさらなる溶媒を必要としない。反応混合物は通常、かき混ぜられる(例えば、実施例で見られるように攪拌される)が、必ずしも必要ではない。不溶性材料(例えば、ごみまたは非ポリエステル繊維)による混入の程度に応じて、透き通った反応混合物または残留ポリエステル媒体(例えば、フレーク)の欠如あるいはその両方により、全ての固体ポリエステル材料が溶解されたこと、したがって反応したことが示される限り、反応の進行は一般的に、目視検査によりモニタリングされ得る。反応の進行はまた、標準的な技法(例えば、NMR、GPC、HPLCおよびIRまたはUV分光法)により、解重合生成物(例えば、BHET)の濃度をモニタリングすることによりモニタリングされ得る。得られた解重合生成物の質もまた、同じ標準的な分析技法を使用して決定することができる。
【0061】
一実施形態では、本発明は、炭素を2〜5個含むアルコールおよびアミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を含む反応混合物中で、ポリエステルを解重合することを含む方法であって、(i)解重合が、0〜約344.8kPa(50psi)の範囲の圧力および約150℃〜約250℃の温度で実施され、(ii)アルコールが、反応混合物中で唯一の溶媒として作用し、(iii)アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、アルコールの沸点よりも約50℃低い沸点を有し、(iv)アミン有機触媒は、反応混合物中のポリエステルの総モルに対して約0.1mol%〜約5mol%の範囲で反応混合物中に存在する方法を提供する。別の実施形態では、解重合反応は、0〜約206.8kPa(30psi)の範囲の圧力および約180℃〜約250℃の温度で実施される。さらなる実施形態では、アミン有機触媒は第三級アミンであり、アルコールはエチレングリコールであり、解重合は、約150℃〜約198℃の温度で実施される。さらなる実施形態では、アミン有機触媒は第三級アミンであり、アルコールはエチレングリコールであり、解重合は、約190℃〜約198℃の温度で実施される。さらなる実施形態では、アミン有機触媒は第三級アミンであり、アルコールはエチレングリコールであり、解重合は、約200℃〜約250℃の温度で実施される。
【0062】
本発明の単量体ジエステル解重合反応生成物は、構造4:
【化4】

(式中、Aはそれぞれ、炭素を2〜5個含む独立した二価基であり、Bは、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびフラニル(例えば、テレフタレート、ナフタレンジカルボキシレートおよびフランジカルボキシレート)からなる群から選択される)
の一般式を有する。A部分に関する例示的な二価基としては、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルおよびイソペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
一実施形態では、単量体ジエステルは、構造5:
【化5】

(式中、A’はそれぞれ、炭素を2〜5個を含む独立した二価基である)
の式を有する単量体ジヒドロキシテレフタレートジエステルである。A’部分に関する例示的な二価基としては、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチルおよびイソペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
別の実施形態では、ジヒドロキシテレフタレートジエステルは、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)であり、その後者は、下記構造を有する:
【0065】
【化6】
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、テレフタレートポリエステルはポリ(エチレンテレフタレート)(PET)であり、グリコールはエチレングリコール(EG)であり、単量体ジエステルはBHETである。BHETを生成するのに使用されるPET+EG+アミン有機触媒の解糖解重合反応は、下記の通りに概略的に示される:
【0067】
【化7】
【0068】
上記に示される反応は、(a)(i)PET、(ii)PET繰り返し単位に対して約4〜約20モル当量の量のEG、および(iii)解重合用アミン有機触媒またはアミン塩有機触媒あるいはその両方を含む反応混合物を形成するステップと、(b)反応混合物を約150℃〜約250℃の温度で加熱して、PETを解重合し、BHETを含むテレフタレートジエステル反応生成物を形成するステップとを含む方法を表す。本発明の文脈内で、反応生成物は、アルコール(上記反応ではEG)ならびに単量体ジエステル(上記反応反応ではBHET)を含むことが理解されるべきである。さらに、少量のオリゴマー(例えば、二量体または三量体あるいはその両方)もまた、反応生成物中に存在し得るが、反応生成物中のオリゴマーの量は、反応で使用されるPET対アルコールの比を調節することにより制御され得る。一実施形態では、反応混合物は、約180℃〜約250℃の範囲の温度で加熱される。
【0069】
実施例1、実施例2、実施例6および実施例11は、周囲圧力下で三口丸底フラスコ中での、それぞれ有機触媒PMDETA、TACN、DMAPおよびTEAを用いた解糖解重合、続く直接的な濾過による透明な汚れたPETフレークからのBHETの単離について記載している。図3は、実施例2の解糖解重合ステップに関する装置について記載している。実施例3および実施例10は、圧力反応器中でTEAを用いた解糖解重合、続く直接的な濾過による、それぞれ汚れた緑色のPETおよび透明の汚れたPETからのBHETの単離について記載している。実施例4、実施例5および実施例7は、圧力下で三口丸底フラスコ中でのDABCO(実施例4および実施例7)およびNMI(実施例5)を用いた解糖解重合、続く直接的な濾過による清浄な洗浄PETフレークからのBHETの単離について記載している。図4は、直接的な濾過によりPETから単離された不溶性PET残渣を示し、図5は、固化および濾過時に、BHETケークを形成する解重合されたPET濾液を示す。実施例に記載するように、PETの解重合後に、反応混合物を周囲温度まで冷却して、BHETを結晶性固体として沈殿させて、固体を直接的な濾過により単離する。
【0070】
本明細書中に記載する方法は、粗製解重合反応生成物からの、高収率の単量体ジエステルの回収を可能にする。ポリエステルがテレフタレートである場合、粗製反応生成物中の単量体ジエステル(即ち、単量体ジヒドロキシテレフタレートジエステル)の量は、粗製ポリエステル反応精製物の重量に基づいて、約90wt%〜100wt%、詳細には94wt%〜100wt%、またはより詳細には96wt%〜100wt%の範囲であり得る。オリゴマー(例えば、二量体)の量は、反応物アルコール中の反応物ポリエステルの濃度により幾分制御され得る。ジエステルモノマーおよびオリゴマー生成物への反応物ポリエステルの解重合は通常、定量的である。本明細書中に記載する単量体ジエステルへのテレフタレートの解重合反応では、粗製生成物中に存在するテレフタレートオリゴマーの量は、テレフタレート反応生成物の重量に基づいて、0wt%〜10wt%未満、詳細には0wt%〜6wt%未満、またはより詳細には0wt%〜4wt%未満の範囲であり得る。実施例1〜実施例6はそれぞれ、98.5:1.5w/wで粗製BHET対PETオリゴマーを測定した。
【0071】
本発明の一実施形態では、解重合反応の速度は、圧力反応器中で反応を実行することにより加速される。当業者に公知であるように、圧力反応器は、溶媒の沸点を超える化学反応を実行することが可能である。概して、化学反応の速度は、反応の温度の10℃増加毎におおむね2倍になり、したがって、解重合反応に関する反応温度を、溶媒の沸点を約10℃超える温度に上げる利点は、反応時間を約半分にまで短縮することである。本発明者らは、驚くべきことに、かつ予期せぬことに、かかる加速反応の圧力および温度の両方におけるさらなる穏やか〜中程度の増加が、上述の予測2倍速度よりもはるかに勝る解重合反応速度のさらなる加速をもたらすことを見出した。実施例10は、圧力反応器で行われた増加された圧力(96.5kPa(14psi)〜137.9kPa(20psi))/温度(220℃)のPETからBHETへの解重合反応について記載している。そこで記載するように、反応は1.5時間で完了させた。対比して、反応容器中で、周囲圧力および低減された温度(177℃〜179℃)で行われた実施例11に記載するPETからBHETへの反応は、完了までに11時間かかった。
【0072】
本発明の別の実施形態では、解重合反応は、連続フロー反応器中で連続フロープロセスとして実行され得る。温度および流速などの変数の適切な組合せを使用して、本明細書中に記載する解重合反応は、連続フロー反応器で行われる場合に滞留時間中のポリエステル投入の完了に近い解重合を提供し得る。例えば、本明細書中に記載するPETからBHETへの解重合反応では、トリエチルアミンなどの有機触媒と一緒のエチレングリコール中の粉砕したPETのスラリーを、PETの解重合を引き起こすのに十分な滞留時間で、加熱された連続フロー反応器へ導入する。反応容器の排出は本質的には、エチレングリコール中に溶解され、かつ有機触媒を含有する粗製BHETである。続いて、加熱されたBHET溶液は、本明細書中に記載するようにさらに加工処理または精製されて、リサイクル目的に十分な純度のBHETを提供し得る。
【0073】
重要なことに、反応物ポリエステルの投入の粒子サイズは、反応速度および反応容器中での所要の滞留時間に対してかなりの影響を有し得る。例えば、より微細な粒子サイズのポリエステル反応物(高表面積を有する)は通常、粗粒子またはフレーク(低表面積を有する)あるいはその両方であるポリエステル反応物よりも迅速に反応する。PETなどの反応にわたって結晶性状態を形成し得るポリエステルの場合、より短い反応時間が好適であり得る。ポリエステルの小粒子サイズおよび連続フロープロセスの迅速な反応時間の組合せは、ポリエステル中の結晶性相形成を回避する場合があり、このようにしてより効率的な解重合反応をもたらす。あるいは、ポリエステル反応物は、アルコールおよび有機触媒共反応物と混合されて反応させるその溶融状態で、連続フロー反応器または圧力反応器へ導入されてもよい。ポリエステルの溶融状態および連続フロープロセスの迅速な反応時間の組合せは、ポリエステルの結晶形成を回避する場合があり、このようにしてより効率的な解重合反応をもたらす。
【0074】
本発明の別の実施形態では、アミン有機触媒は、単量体ジエステル反応生成物を蒸留して、有機触媒を含む蒸留物を生成することによりリサイクルされ得る(図9を参照)。好ましい実施形態では、解重合/蒸留手順は、圧力化学反応器またはオートクレーブ中で実施される(実施例10を参照)が、圧力反応器は、蒸留反応を実行するために必要というわけではない(実施例9および実施例11を参照)。一実施形態では、解重合反応用の溶媒は、198℃の沸点を有するエチレングリコールであり、反応は、圧力下で、約200℃〜約230℃の範囲の温度で実行され、したがって、解重合反応が非加圧反応を上回る加速反応時間を有するようになる。アルコール共反応物に対するアミン有機触媒の揮発度における大きな差により、ポリエステルの解重合後に有機触媒の敏速なリサイクルが可能となる。アルコールのより高い沸点に対するアミン有機触媒のより低い沸点は、冷却器を通じて高温での反応の圧力を徐々に放出することにより有機触媒を留去するために反応器またはオートクレーブからの残留潜熱の使用を可能にする。次に、蒸留した有機触媒は、続く解重合反応に再利用され得る。本明細書中に記載する有機触媒リサイクル法のコスト削減および環境的利益は自明である。実施例10は、圧力反応器中で高温(220℃)でEGおよびトリエチルアミン(TEA)を用いたPETの解重合、続くリサイクルされたTEAを生じるための反応生成物の蒸留について記載している。実施例9は、圧力反応器中でPET/EG/TEAから生成されて、続いて活性炭による脱色および陽イオン交換樹脂による金属除去に付された、短経路蒸留によるBHETの精製について記載している(実施例3および実施例8に記載するような)。実施例11は、周囲圧力下で非加圧反応器中で低減した温度(177〜179℃)で実施されるEGおよびTEAを用いたPETの解重合、続くリサイクルされたTEAを生じるためのBHET反応生成物の短経路蒸留について記載している。
【0075】
さらなる実施形態では、本発明は、アルコールおよびアミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方を用いて、圧力反応器中、約68.9kPa(10psi)〜約137.9kPa(20psi)の圧力で、アルコールの沸点よりも約10℃〜約30℃高い温度で、ポリエステルを解重合することを含む方法であって、アミン有機触媒またはそのカルボン酸塩あるいはその両方が、アルコールの沸点よりも約100℃低い沸点を有する方法を提供する。ポリエステルがテレフタレート(PETなど)であり、アルコールがグリコール(EGなど)であり、アミン有機触媒が第三級アミン(TEAなど)である場合、解重合反応は、約200℃〜約250℃の温度で実施される。
【0076】
PET解糖の場合、PETポリマーのTg(ガラス転移温度)70℃とTm(融点)260℃との間の領域にある反応温度は、増加された結晶化度の相変態をもたらし得る。実施例では、本発明の反応が、極めて完了に近くなるまで二相性であること(例えば、液体グリコール反応物および触媒中の固体PETフレーク)が実証される。実施例11に記載するように、解重合反応に関してより長い反応時間は、解重合反応中に反応容器中に残存するEPTフレークの結晶化度の増加をもたらした。実施例11は、解重合反応がより低温(177℃〜179℃)で起こり得ることを示す一方で、解重合反応中に反応器中に残存するフレーク(より高温の反応で見られるフレークよりもサイズがより小さい一方で)が、より高温の反応に付されたフレークよりも、EGおよびTEAとよりゆっくりと反応する傾向にあり、フレークのよりゆっくりとした反応時間の結果は、解重合反応時間の延長である。
【0077】
解重合反応の完了時に、単量体ジエステル反応生成物は、下記のさらなる(および任意選択の)精製ステップ:外来材料を除去するための直接的な濾過(実施例1、実施例3、実施例8および実施例11を参照);着色剤および色素などのさらなる不純物を除去するための活性炭による処理(実施例8を参照)および金属などの触媒残渣を除去するためのイオン交換処理(実施例8を参照)のいずれかに付され得る。さらなる任意選択の蒸留および結晶化ステップは、先述のいずれかと組み合わせて使用され得る。図9は、先述の任意選択の手順がどのように本発明の方法に適合し得るかを示すフローチャートを提供する。
【0078】
解重合反応後に色が残存する場合、単量体ジエステルは、例えば活性炭粉末などの活性炭でさらに脱色され得る(実施例8を参照)。単量体ジエステルの脱色は、解重合反応が完了した直後に、モノマーが依然として溶液中に存在し、溶液の温度が約80℃〜約90℃である際に最良に実施される。脱色手順は、好ましくは、活性炭のカラム床等に通して流すことにより大規模に実施されるが、バッチプロセスとして実施することもでき、その場合、続いて、活性炭または脱色剤あるいはその両方は、溶液から濾過される。
【0079】
ポリエステルの解重合後、得られた単量体ジエステルは、ポリエステルを元々形成する反応由来の残留重合触媒を含む様々な量の不純物を含有し得る。単量体ジエステル解重合生成物中に存在し得る重合触媒の例としては、三酸化または酢酸アンチモン、酸化チタンなどの酸化金属および誘導体、アルコキシドまたは塩、および二塩基酸化ゲルマニウムが挙げられるが、これらに限定されない。単量体ジエステルが、使用可能なリサイクルポリエステル製品へ変換されることが可能であるためには、重合触媒残渣は、除去される必要があり得る。陽イオン、陰イオン、キレートまたは混合床イオン交換樹脂の使用は、金属含有触媒などの不純物の除去に関して従来技術に記載されているが、樹脂の有効性は、解重合反応生成物中のアミン有機触媒の存在により減少され得る。アミン有機触媒が塩基性特性を有するため、それは、陽イオン交換樹脂を不用意に結合、飽和、または汚染し得る。上述するように蒸留によってアミン有機触媒を除去することにより、単量体ジエステル反応生成物を除染するのに使用される陽イオン交換樹脂の再生寿命は、大きく延長される可能性があり、したがって本明細書中に記載するポリエステルリサイクル法に対してさらなるコスト削減を付加する。概して、イオン交換媒体は、プロセスの操作温度よりもはるかに高くても熱的に安定であるべきであり、したがって本発明の単量体ジエステル反応生成物に使用されるイオン交換樹脂は、好ましくは、少なくとも100℃の温度で安定であるべきである。効率的なイオン交換樹脂を維持することは、有効なリサイクルに使用され得る有用な解重合反応最終生成物を有するのに重要な必須条件である。実施例8は、単量体ジエステルBHETに関するバッチ処理脱色およびイオン交換処理について記載する。
【0080】
解重合反応生成物からの残留重合触媒の除去はまた、さらなる蒸留ステップが精製に必要とされる場合、反応生成物中に残存する残留重合触媒が、蒸留プロセスを損ない得るため重要である。
【0081】
本発明の別の実施形態では、ポリエステル出発製品および単量体ジエステル反応生成物は、閉ループリサイクルプロセスで使用される。このプロセス下では、ポリエステルは解重合されて、精製単量体ジエステルを生成し、これは次に、最小限の投入および廃棄産物生成を伴って、再重合または共重合されて、精製ポリエステルを生成する。これまでに記載するように、解重合反応が完了した際に、アミン有機触媒は、蒸留により除去されて、続く解重合反応における使用にリサイクルされる。解重合反応により生成される単量体ジエステルは、直接的な濾過、活性炭による処理、イオン交換、蒸留および結晶化を含む、これまでに記載する方法の1つまたは複数により精製される。精製後、単量体ジエステル反応生成物は、1当量のアルコールの除去により、再重合または共重合されてポリエステルを再形成してもよく、アルコールは、続く解重合反応用の原材料として使用され得る。換言すると、再重合反応からのアルコールは、さらなる解重合反応を実行するためにリサイクルされてもよい。図9のフローチャートは、有機触媒リサイクル手順を含む、本発明の閉ループ解重合/再重合(または解重合/共重合あるいはその両方)法に関する本明細書中に記載する各種ステップを示す。閉ループリサイクル法はまた、それぞれ、PET/BHETの解重合/再重合に関して以下で概略的に示される。
【0082】
【化8】
【0083】
本発明のさらなる実施形態では、単量体ジエステルからポリエステルへの再重合反応は、ハイブリッド反応であり、ここで、単量体ジエステルは、テレフタル酸ジメチル(DMT)などのテレフタレート、フタル酸を含む二塩基酸、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール、イソフタレートおよびそれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数のさらなる他のコモノマーと再重合または共重合される。下記は、コモノマーDMTおよびテレフタル酸(TPA)を使用したBHETからPETへの再重合反応を示す概略図である。
【0084】
【化9】
【0085】
ポリマーの特徴(その結晶化度または融点)を変更するのに使用される他のコモノマー添加剤は、当該技術分野で公知である。PETの場合、コモノマーは、イソフタレートなどの他のジエステルモノマー、またはシクロヘキサンジメタノールもしくはより長鎖のジオールなどの他のアルコールを含み得る。
【0086】
本明細書中に記載する生成物および方法は、使用済みの製品の効率的なリサイクルを促進することが可能である。特に、本明細書中に記載する解重合反応は、廃棄物ポリエステルから高純度の単量体ジエステルを効率的かつ経済的に生成することが可能である。次に、精製単量体ジエステルは、再重合または共重合、あるいはその両方がされて、高級のリサイクル製品としてポリエステルを再形成し得る。さらに、上述するように解重合反応を実行するのに使用される有機触媒、および再重合反応から生成されるアルコールはともに、続く解重合反応における使用のために個々にリサイクルされ得る。本明細書中に記載する解重合/再重合(または解重合/共重合あるいはその両方)反応は、閉ループプロセスで実施され得るため、反応は、最小限の排出および廃棄物で、リサイクル製品を生成することが可能である。
【0087】
本発明は、上述の実施形態と併せて記載されてきたが、先述の説明ならびに下記の実施例は、説明するためであると意図され、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。さらに、本明細書中に記載する実施形態および実施例は包括的ではなく、本発明の変更および変動は、本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者にとって明らかであることが理解されるべきである。
【0088】
本明細書中で言及する特許および刊行物は全て、それらの全体が参照により組み込まれている。
【実施例】
【0089】
下記実施例は、本明細書中に記載するような本発明の態様および実施形態をどのように作製および使用するかの完全な開示を当業者に提供するために記載される。量、温度等などの変数に関して精度を保証するために努力が行われきたが、実験誤差および偏差は考慮されるべきである。別記しない限り、部は重量部であり、温度はセ氏温度であり、圧力は、大気圧であるか、またはそれに近い。構成成分は全て、別記しない限り市販のものを用いた。
【0090】
下記実施例は、PETとEGおよび様々なアミン有機触媒との解糖(即ち、解糖解重合)反応について記載する。
【0091】
下記実施例で購入または調製される材料を表1に列挙する。購入した材料は、受け取った状態のまま使用した。使用済みのPETは、機械的PETリサイクルで使用される典型的な浄化および洗浄プロセスに付されていない飲料用ボトルから入手した。
【0092】
【表1】
【実施例1】
【0093】
EGおよび1mol%のペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)を用いたPETの解糖反応
500mLの三口丸底フラスコに下記:メカニカルオーバーヘッドスターラー、空冷冷却器、熱電対、窒素を冷却器へ供給する圧力均等ガス添加チューブおよび温度制御された加熱マントルを装備した。フラスコに、使用済みの透明な汚れたPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)およびPMDETA(0.45g、0.0026mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して1mol%)を入れた。図1は、透明な汚れたPETフレークの写真を示す。フラスコを窒素ガスでパージした後、内部温度約190℃に加熱し、目に見えるPETフレークの消失により、反応が完了したと思われるまで、190〜198℃で攪拌した。次に、加熱マントルを取り外し、混合物を80〜90℃に冷却し、その時点で、混合物を熱いままでWhatman#2定性等級濾紙に通して濾過して、不溶性材料を除去した。図4は、反応混合物から濾過された不溶性PET残渣の写真である。図4に示されるように、不溶性PET残渣は、主に溶融ラベル、種々雑多なプラスチック、紙片、繊維および粒子(「ごみ」)から構成されていた。図5は、PET解重合混合物から単離されたBHET/EG濾液を示す。濾液を一晩で室温に冷却させて、その時点で、その濾液は、BHET/EGの塊に固化していた。固化した濾液を、フリットガラスフィルターに通して、固体を2×25mL分のEGで洗浄した。次に、得られたBHETフィルターケークを真空下で乾燥させた。加工処理後、内容物を評価するために、分取量の粗製生成物をHNMRおよびGPC分析用に採取した。
【実施例2】
【0094】
EGおよび0.5mol%のトリメチルトリアザシクロノナン(TACN)を用いたPETの解糖反応
実施例1に記載するのと同じ手順を使用して、下記材料:使用済みの透明な汚れたPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)およびTACN(0.22g、0.0013mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して0.5mol%)を加工処理した。加工処理後、内容物を評価するために、分取量の粗製生成物をHNMRおよびGPC分析用に採取した。BHET:PETオリゴマー 98.5:1.5 w/w。図2は、透明な汚れたPETフレークの写真を示し、図3は、この実施例に関する反応装置の写真を示す。
【実施例3】
【0095】
圧力反応器中でのEGおよび5mol%のトリエチルアミン(TEA)を用いたPETの解糖反応
使用済みの緑色の汚れたPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)および5mol%のTEA(1.3グラム、0.0013mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して5mol%)を、Parr圧力反応器中に置いて、窒素でパージした。次に、反応器を密封し、反応混合物を攪拌しながら内部温度約220℃へ加熱した。この温度で、内部圧力は約137.9kPa(20psi)と観察され、反応物をこの温度および圧力に1時間置き、その時点で、加熱マントルを取り外し、混合物を80〜90℃へ冷却させた。続いて、Parr圧量反応器を開け、混合物を熱いままでWhatman#2定性等級濾紙に通して濾過して、不溶性材料を除去した。実施例1および実施例2と同様に、不溶性PET材料は、主に溶融ラベル、種々雑多なプラスチック、紙片、繊維および粒子(「ごみ」)であると思われるものから構成されていた。回収した材料の重量は、約4〜6グラムであった。PET解重合反応からのBHET/EG濾液を一晩で室温に冷却させ、その時点で、濾液は、BHET/EGの塊に固化していた。固化した濾液を、フリットガラスフィルターに通して、固体を2×25mL分のEGで洗浄した。次に、フィルターケークを真空下で乾燥させた。加工処理後、内容物を評価するために、分取量の粗製生成物をHNMRおよびGPC分析用に採取した。BHET:PETオリゴマー 98.5:1.5 w/w。図6は、解重合反応から形成される粗製BHET生成物のGPCクロマトグラムを示し、図7は、解重合反応から形成される粗製BHET生成物のHPLC−UVクロマトグラムを示し、図8は、解重合反応から形成される粗製BHET生成物のNMRスペクトルを示す。
【実施例4】
【0096】
EGおよび2mol%の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を用いたPETの解糖反応
実施例1に記載するのと同じ手順を使用して、下記材料:洗浄した清浄なPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)およびDABCO(0.58g、0.0052mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して2mol%)を加工処理した。加工処理後、内容物を評価するために、分取量の粗製生成物をHNMRおよびGPC分析用に採取した。BHET:PETオリゴマー 98.5:1.5 w/w。
【実施例5】
【0097】
EGおよび2mol%のN−メチルイミダゾール(NMI)を用いたPETの解糖反応
実施例1に記載するのと同じ手順を使用して、下記材料:洗浄した清浄なPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)およびNMI(0.42g、0.0052mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して2mol%)を加工処理した。加工処理後、内容物を評価するために、分取量の粗製生成物をHNMRおよびGPC分析用に採取した。BHET:PETオリゴマー 98.5:1.5 w/w。
【実施例6】
【0098】
EGおよび1mol%の4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)を用いたPETの解糖反応
実施例1に記載するのと同じ手順を使用して、下記材料:使用済みの透明な汚れたPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)およびDMAP(0.32g、0.0026mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して1mol%)を加工処理した。加工処理後、内容物を評価するために、分取量の粗製生成物をHNMRおよびGPC分析用に採取した。BHET:PETオリゴマー 98.5:1.5 w/w。
【実施例7】
【0099】
EGおよび2mol%の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)ジベンゾエートを用いたPETの解糖反応
下記材料:洗浄した清浄で透明のPETフレーク(50.0g、0.26mol)、EG(250g、4.03mol)、DABCO(0.58g、0.0052mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して2mol%)および安息香酸(1.27g、0.0104mol)(PETの総モルに対して4モル%)を使用して、実施例4に類似した手順を実施した。EG、DABCOおよび安息香酸をまず、500mLの三口フラスコ中で一緒に混合し、窒素でパージし、80℃に加熱して、DABCOジベンゾエートを形成した。30分間攪拌した後、PETを添加し、反応を198℃に加熱した。およそ3.5時間後に反応を停止させて、およそ90℃で濾過して、さらに冷却して、白色固体としてBHETを回収した。
【実施例8】
【0100】
BHETのバッチプロセス脱色およびイオン交換処理
実施例3の手順を8回繰り返して、総解重合PET100gの当量を生じた。合わせた反応溶液を80〜90℃で濾過し、次に活性炭(20g)を溶液に添加して、80〜90℃で30分間攪拌した。続いて、加熱溶液を、フリット漏斗上の珪藻土のパッドに通して濾過して、穏やかに攪拌しながら、湿ったAmberlyst15(20g、不純物を除去するためにEGで予洗)で30分間処理した。次に、この得られた溶液を、80〜90℃でさらに10gの予め浄化したAmberlyst 15に通してゆっくりと濾過した。続いて、溶液を冷却して、濾過して、乾燥させて、BHETの白色結晶を回収した。
【実施例9】
【0101】
BHETの蒸留
Kugelrohr型蒸留器を使用して、200℃および100ミクロンHgで、実施例8から得られた大量のBHET(50g)の短経路蒸留を実施して、純粋な白色BHET42グラムを得た。続いて、BHETをPETへ首尾よく再重合させた。
【実施例10】
【0102】
TEA有機触媒の回収を伴う、圧力反応器中での、EGおよび5mol%のトリエチルアミン(TEA)を用いたPETの解糖反応
使用済みの透明な汚れたPETフレーク(900g、4.68mol)およびEG(4500g、72.5mol)を、2ガロンのParr圧力反応器中に入れて、窒素でパージした。反応器にスターラー、還流、圧力調整器を取り付けた冷却器、300mLの取り出し(takeoff)、レシーバーを備えたサンプリングバルブ、触媒添加容器および反応器内容物を排出するための底部取り出しバルブを装備した。反応器を密封して、反応混合物を、攪拌しながら内部温度約220℃へ加熱し(二翼インペラーシャフトを使用して200rpm)、その時点で、内部圧力は約68.9kPa(10psi)であると観察された。次に、触媒上のヘッドスペースを約137.9kPa(20psi)に加圧して、バルブが閉じられた反応器中で、圧力が上昇し始めるまで、バルブを一時的に開放することにより、5モル%のTEA(23.6g、0.23mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して5mol%)を、触媒添加容器を通じて添加した。反応をこの温度で、約96.5kPa(14psi)〜約137.9kPa(20psi)の圧力で1.5時間攪拌して、その時点で、分取量の反応混合物を分析用に抽出した。
【0103】
NMRおよびHPLCにより測定される場合、反応生成物の低オリゴマー含有量に起因して、反応が完了していることがわかった。反応の完了後、周囲圧力に達するまで、反応器の圧力を、還流冷却器調整器によってゆっくりと低下させた。反応器を220℃でさらに30分間保持して、蒸留物を収集した。H−NMR分析により、蒸留物が、いくらかの水およびわずかなEGを伴って大部分がTEAであることが示された(図10)。次に、反応器の熱を低減させて、反応を90℃に冷却して、その時点で、低圧(およそ34.5kPa(5psi)〜68.9kPa(10psi))を使用して、反応溶液を、蒸気ジャケット付きの焼結ガラス漏斗へ供給して、灰色がかった部分的にスラリーの溶液を、珪藻土のパッドに通して真空濾過した。濾液を冷却した後、BHETをエチレングリコール中の濃い固化白色スラリーとして回収した。スラリーのH−NMR分析により、低オリゴマー含有量およびなんの痕跡もないTEAが示された(図11)。図12は、単純な蒸留によるBHET解重合生成物スラリーからのTEAの排除(脱色または金属除去などの任意のさらなる精製前の)、ならびにTEA触媒の高い回収を実証するために図11上に図10を重ね合わせたものを示す。
【実施例11】
【0104】
TEA有機触媒の回収を伴う、周囲圧力での、EGおよび5mol%のトリエチルアミン(TEA)を用いたPETの解糖反応
250mLの三口丸底フラスコに下記:磁気スターラー、水冷冷却器、熱電対、窒素を冷却器の最上部へ供給する圧力均等ガス添加チューブおよび温度制御された加熱マントルを装備した。フラスコに、使用済みの透明な汚れたPETフレーク(40.0g、0.208mol)、EG(200g、3.2mol)およびTEA(1.05g、0.01mol)(反応混合物中のPETの総モルに対して5mol%)を入れた。フラスコを窒素ガスでパージした後、内部温度約177℃〜約179℃で穏やかな還流へと加熱して、目に見えるPETフレークの消失に起因して、反応が完了したと思われるまで攪拌した。反応器中のPETフレークは、量およびサイズを減少させながら、反応が進行するにつれ白色になり、おそらく結晶化を示し、これが、反応速度を減速させる傾向にあることが示された(経時的な目に見えるPETフレークのサイズおよび量の減少により視覚的に決定される場合)。
【0105】
11時間後、残存するPETフレークの消失により決定される場合、反応速度は非常にゆっくりとなり、ほんの少量の未反応PETが残存した。次に、反応器に短経路蒸留ヘッドを装着させて、反応器の熱注入をわずかに増加させて、TEA触媒を留去した。蒸留が完了したら(即ち、蒸気温度が、主にEGを示す198℃に達した後に、少量の蒸留物が収集されたら)、反応を80〜90℃に冷却させて、その時点で、反応混合物を熱いままでWhatman#2定性等級濾紙に通して濾過して、不溶性材料を除去したが、これは少量の未反応PETを含んでいた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】