(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
末端マレイミド基を有する、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、及び硫黄含有ポリホルマールなどの硫黄含有ポリマー付加体、特に末端1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド基を有する、硫黄含有ポリマー及び硫黄含有付加体が開示される。この付加体は、改善された引張り強度及び伸びを有する硬化シーラントを与え、航空宇宙用シーラントとして有用である。
付加体が、(a)硫黄含有ポリマー;並びに(b)末端マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である基を有する化合物を含む反応物質の反応生成物を含む、請求項1に記載の付加体。
末端マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である基を有する化合物が、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドを含む、請求項5に記載の付加体。
硬化剤が、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硫黄含有ポリマー、単量体チオール、ポリチオール又は前述の任意の組合せを含む、請求項12に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
以下の説明のために、本開示により提供される実施形態は、明示的に反対に特定される場合を除いて、様々な代替の変化及び工程順序を想定してもよいことが理解されるべきである。さらに、実施例において以外、又は別に示される場合、例えば、本明細書及び特許請求の範囲で使用される原料の量を表すすべての数字は、すべての場合に用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される数値パラメータは、得られるべき所望の特性に応じて変わってもよい近似値である。最低限でも、また特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、示される有効数字の数字を考慮し、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0010】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例で示される数値は、可能な限り正確に示される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値で見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本来的に含む。
【0011】
また、本明細書で記載される任意の数値範囲は、本明細書に包含されるすべての下位範囲を含むことが意図されることが理解されるべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、記載された約1の最小値と記載された約10の最大値の間(両端を含む)の、すなわち、約1に等しいか又はそれより大きい最小値及び約10に等しいか又はそれより小さい最大値を有するすべての下位範囲を含むことが意図される。また、本出願において、「又は」の使用は、特に別に明記されない限り、「及び/又は」がある特定の場合に明示的に使用されることがあるとしても、「及び/又は」を意味する。
【0012】
2つの文字間又は記号間でないダッシュ(「−」)は、置換基又は2個の原子間の結合点を示すために使用される。例えば、基−CONH
2は、炭素原子を介して別の化学的部分に共有結合している。
【0013】
「アルカンジイル」は、例えば、1〜18個の炭素原子(C
1〜18)、1〜14個の炭素原子(C
1〜14)、1〜6個の炭素原子(C
1〜6)、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭化水素原子(C
1〜3)を有する、飽和の分岐又は直鎖非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分岐アルカンジイルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解される。ある特定の実施形態において、アルカンジイルは、C
2〜14アルカンジイル、C
2〜10アルカンジイル、C
2〜8アルカンジイル、C
2〜6アルカンジイル、C
2〜4アルカンジイル、ある特定の実施形態において、C
2〜3アルカンジイルである。アルカンジイル基の例には、メタン−ジイル(−CH
2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH
2CH
2−)、プロパン−1,3−ジイル及びイソ−プロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH
2CH
2CH
2−及び−CH(CH
3)CH
2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが含まれる。
【0014】
「アルカンシクロアルカン」は、1個又は複数のシクロアルキル及び/又はシクロアルカンジイル基並びに1個又は複数のアルキル及び/又はアルカンジイル基を有する飽和炭化水素基を指し、ここで、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書で定義されている。ある特定の実施形態において、各シクロアルキル及び/又はシクロアルカンジイル基(単数又は複数)は、C
3〜6、C
5〜6、ある特定の実施形態において、シクロヘキシル又はシクロヘキサンジイルである。ある特定の実施形態において、各アルキル及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)は、C
1〜6、C
1〜4、C
1〜3、ある特定の実施形態において、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルである。ある特定の実施形態において、アルカンシクロアルカン基は、C
4〜18アルカンシクロアルカン、C
4〜16アルカンシクロアルカン、C
4〜12アルカンシクロアルカン、C
4〜8アルカンシクロアルカン、C
6〜12アルカンシクロアルカン、C
6〜10アルカンシクロアルカン、ある特定の実施形態において、C
6〜9アルカンシクロアルカンである。アルカンシクロアルカン基の例には、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン及びシクロヘキシルメタンが含まれる。
【0015】
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。ある特定の実施形態において、アルカンシクロアルカンジイル基は、C
4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、ある特定の実施形態において、C
6〜9アルカンシクロアルカンジイルである。アルカンシクロアルカンジイル基の例には、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル及びシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが含まれる。
【0016】
「アルカンアレーン」は、1個又は複数のアリール及び/又はアレーンジイル基並びに1個又は複数のアルキル及び/又はアルカンジイル基を有する炭化水素基を指し、ここで、アリール、アレーンジイル、アルキル、及びアルカンジイルは、本明細書で定義されている。ある特定の実施形態において、各アリール及び/又はアレーンジイル基(単数又は複数)は、C
6〜12、C
6〜10、ある特定の実施形態において、フェニル又はベンゼンジイルである。ある特定の実施形態において、各アルキル及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)は、C
1〜6、C
1〜4、C
1〜3、ある特定の実施形態において、メチル、メタンジイル、エチル、又はエタン−1,2−ジイルである。ある特定の実施形態において、アルカンアレーン基は、C
4〜18アルカンアレーン、C
4〜16アルカンアレーン、C
4〜12アルカンアレーン、C
4〜8アルカンアレーン、C
6〜12アルカンアレーン、C
6〜10アルカンアレーン、ある特定の実施形態において、C
6〜9アルカンアレーンである。アルカンアレーン基の例には、ジフェニルメタンが含まれる。
【0017】
「アルカンアレーンジイル」は、アルカンアレーン基のジラジカルを指す。ある特定の実施形態において、アルカンアレーンジイル基は、C
4〜18アルカンアレーンジイル、C
4〜16アルカンアレーンジイル、C
4〜12アルカンアレーンジイル、C
4〜8アルカンアレーンジイル、C
6〜12アルカンアレーンジイル、C
6〜10アルカンアレーンジイル、ある特定の実施形態において、C
6〜9アルカンアレーンジイルである。アルカンアレーンジイル基の例には、ジフェニルメタン−4,4’−ジイルが含まれる。
【0018】
「アルケニル」基は、構造−RC=C(R)
2を有する基を指し、ここで、アルケニル基は末端基であり、より大きな分子に結合している。このような実施形態において、各Rは、例えば、水素及びC
1〜3アルキルから選択されてもよい。ある特定の実施形態において、各Rは水素であり、アルケニル基は構造−CH=CH
2を有する。
【0019】
「アルコキシ」は、−OR基を指し、ここで、Rは、本明細書で定義される通りのアルキルである。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、及びn−ブトキシが含まれる。ある特定の実施形態において、アルコキシ基は、C
1〜8アルコキシ、C
1〜6アルコキシ、C
1〜4アルコキシ、ある特定の実施形態において、C
1〜3アルコキシである。
【0020】
「アルキル」は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する、飽和の分岐又は直鎖非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。分岐アルキルは、最小で3個の炭素原子を有することが理解される。ある特定の実施形態において、アルキル基は、C
1〜6アルキル、C
1〜4アルキル、ある特定の実施形態において、C
1〜3アルキルである。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが含まれる。ある特定の実施形態において、アルキル基は、C
1〜6アルキル、C
1〜4アルキル、ある特定の実施形態において、C
1〜3アルキルである。分岐アルキルは、少なくとも3個の炭素原子を有することが理解される。
【0021】
「アレーンジイル」は、ジラジカルの単環式又は多環式芳香族基を指す。アレーンジイル基の例には、ベンゼン−ジイル及びナフタレン−ジイルが含まれる。ある特定の実施形態において、アレーンジイル基は、C
6〜12アレーンジイル、C
6〜10アレーンジイル、C
6〜9アレーンジイルである。
【0022】
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカルの、飽和の単環式又は多環式炭化水素基を指す。ある特定の実施形態において、シクロアルカンジイル基は、C
3〜12シクロアルカンジイル、C
3〜8シクロアルカンジイル、C
3〜6シクロアルカンジイル、ある特定の実施形態において、C
5〜6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例には、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、及びシクロヘキサン−1,2−ジイルが含まれる。
【0023】
「シクロアルキル」は、飽和の単環式又は多環式炭化水素のモノラジカル基を指す。ある特定の実施形態において、シクロアルキル基は、C
3〜12シクロアルキル、C
3〜8シクロアルキル、C
3〜6シクロアルキル、ある特定の実施形態において、C
5〜6シクロアルキルである。
【0024】
「ヘテロアルカンジイル」は、炭素原子のうち1個又は複数がヘテロ原子、例えば、N、O、S、又はPで置き換えられているアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルのある特定の実施形態において、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0025】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、炭素原子のうち1個又は複数がヘテロ原子、例えば、N、O、S、又はPで置き換えられているシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルのある特定の実施形態において、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0026】
「ヘテロアレーンジイル」は、炭素原子のうち1個又は複数がヘテロ原子、例えば、N、O、S、又はPで置き換えられているアレーンジイル基を指す。ヘテロアレーンジイルのある特定の実施形態において、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0027】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、炭素原子のうち1個又は複数がヘテロ原子、例えば、N、O、S、又はPで置き換えられているシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルのある特定の実施形態において、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0028】
「マイケル受容体」は、少なくとも1個のアルケン/アルキン基が、1個又は複数の電子吸引基、例えば、カルボニル(−CO)、ニトロ(−NO
2)、ニトリル(−CN)、アルコキシカルボニル(−COOR)、ホスホネート(−PO(OR)
2)、トリフルオロメチル(−CF
3)、スルホニル(−SO
2−)、トリフルオロメタンスルホニル(−SO
2CF
3)、p−トルエンスルホニル(−SO
2−C
6H
4−CH
3)などに直接結合している置換アルケン/アルキン化合物を指す。マイケル受容体として機能する化合物の種類は、ビニルケトン、キノン、ニトロアルケン、アクリロニトリル、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、アクリルアミド、マレイミド、ジアルキルビニルホスホネート、及びビニルスルホンである。マイケル受容体の他の例は、Matherら、Prog.Polym.Sci.2006年、31、487〜531頁に開示されている。2個以上のマイケル受容体基を有するマイケル受容体化合物も周知である。例には、ジアクリレート、例えば、エチレングリコールジアクリレート及びジエチレングリコールジアクリレート、ジメタクリレート、例えば、エチレングリコールメタクリレート及びジエチレングリコールメタクリレート、ビスマレイミド、例えば、N,N’−(1,3−フェニレン)ジマレイミド及び1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド、ビニルスルホン、例えば、ジビニルスルホン及び1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールなどが含まれる。ある特定の実施形態において、マイケル受容体基は、式(1a)又は式(1b):
−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH=CH
2 (1a)
−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH=CH
2 (1b)
(式中、各R
15は、C
1〜3アルカンジイル及び置換C
1〜3アルカンジイルから独立して選択され、ここで、1個又は複数の置換基は、−OHである)
の構造を有する。
【0029】
「マイケル受容体化合物」は、少なくとも1個の末端マイケル受容体基を含む化合物を指す。ある特定の実施形態において、マイケル受容体化合物は、ジビニルスルホンであり、マイケル受容体基は、ビニルスルホニル、すなわち、−S(O)
2−CH=CH
2である。ある特定の実施形態において、マイケル受容体化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールであり、マイケル受容体基は、1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール、すなわち、−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−CH=CH
2、ある特定の実施形態において、1−(エチレンスルホニル)−3−(ビニルスルホニル)プロパン−2−オール(−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH=CH
2)である。ある特定の実施形態において、マイケル受容体基は、マレイミド、ある特定の実施形態において、1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基である。
【0030】
「マレイミド」は、マレイミド基:
【化1】
を有する化合物を指す。
ビスマレイミドは、2個のマレイミド基を有する化合物を指し、ここで、2個のマレイミド基は、リンカーを介して窒素原子により結合されている。
【0031】
「ポリアルコキシシリル基」は、式(2):
−Si(−R
3)
p(−OR
3)
3−p (2)
(式中、pは、0、1、及び2から選択され;各R
3は、C
1〜4アルキルから独立して選択される)
の構造を有する基を指す。ポリアルコキシシリル基のある特定の実施形態において、pは0であり、pは1であり、ある特定の実施形態において、pは2である。ポリアルコキシシリル基のある特定の実施形態において、各R
3はエチル及びメチルから独立して選択される。ポリアルコキシシリル基のある特定の実施形態において、各R
3はエチルであり、ある特定の実施形態において、各R
3はメチルである。ポリアルコキシシリル基のある特定の実施形態において、基は、−Si(−OCH
2CH
3)
3、−Si(−OCH
3)
3、−Si(−CH
3)(−OCH
3)
2、−Si(−CH
3)
2(−OCH
3)、−Si(−CH
3)(−OCH
2CH
3)
2、−Si(−CH
3)
2(−OCH
2CH
3)、−Si(−CH
2CH
3)(−OCH
3)、及び−Si(−CH
2CH
3)
2(−OCH
3)から選択される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー、及びコポリマーを指す。別に明記されない限り、分子量は、例えば、当技術分野で認識されている方法でポリスチレン標準を使用してゲル浸透クロマトグラフィーにより決定して、「Mn」と示される、ポリマー材料についての数平均分子量である。
【0033】
「置換された」は、1個又は複数の水素原子が、同じ又は異なる置換基(単数又は複数)でそれぞれ独立して置き換えられている基を指す。ある特定の実施形態において、置換基は、ハロゲン、−S(O)
2OH、−S(O)
2、−SH、−SRから選択され、ここで、Rは、C
1〜6アルキル、−COOH、−NO
2、−NR
2(式中、各Rは、水素、並びにC
1〜3アルキル、−CN、=O、C
1〜6アルキル、−CF
3、−OH、フェニル、C
2〜6ヘテロアルキル、C
5〜6ヘテロアリール、C
1〜6アルコキシ、及び−COR(式中、Rは、C
1〜6アルキルである)から独立して選択される。ある特定の実施形態において、置換基は、−OH、−NH
2、及びC
1〜3アルキルから選択される。ある特定の実施形態において、置換基は、−OH及びC
1〜3アルキルから選択され、ある特定の実施形態において、1個又は複数の置換基は、−OHである。
【0034】
これから、末端マレイミド基を有する硫黄含有付加体、プレポリマー、ポリマー、組成物、及び方法のある特定の実施形態について言及される。開示される実施形態は、特許請求の範囲の限定的なものであることは意図されない。逆に、特許請求の範囲は、代替、変更、及び均等物のすべてに及ぶことが意図される。
【0035】
硫黄含有マレイミド付加体
本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体は、少なくとも2個の末端マレイミド基を含む。硫黄含有プレポリマー及び付加体には、例えば、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、及びそれらの組合せが含まれる。好適なポリチオエーテルの例は、例えば、米国特許第6,123,179号に開示されている。好適なポリスルフィドの例は、例えば、米国特許第4,623,711号に開示されている。ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、二官能性であってもよく、ある特定の実施形態において、2を超える、例えば、3、4、5、又は6の官能性を有してもよい。硫黄含有マレイミド付加体は、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、ある特定の実施形態において、2.4〜2.6の平均官能性により特徴付けられる異なる官能性を有する硫黄含有マレイミド付加体の混合物を含んでもよい。硫黄含有マレイミド付加体は、少なくとも2個の末端マレイミド基を有し、ある特定の実施形態において、2個の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を有し、ある特定の実施形態において、3個以上の末端基、例えば、3、4、5、又は6個の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を有する。硫黄含有マレイミド付加体は、例えば、2.05〜6、2.1〜4、2.1〜3、2.2〜2.8、ある特定の実施形態において、2.4〜2.6の平均1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン官能性により特徴付けられる、異なる数の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を有する付加体の組合せを含んでもよい。
【0036】
マレイミドの二重結合は、チオール基とpH6.5〜7.5で反応し得、(メタ)アクリレートよりも反応性である。中性pHで、マレイミドとチオールとの反応は、マレイミドとアミンとの反応よりも約1,000倍速い。マレイミド樹脂から調製された改良組成物は、優れた熱機械的安定性及び抗燃焼性を示す。
【0037】
ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、例えば、少なくとも2個の末端1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基などの少なくとも2個の末端マレイミド基を有するポリチオエーテルにより特徴付けられるポリチオエーテルマレイミド付加体を含む。
【0038】
ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、
(a)式(3):
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n− (3)
[式中、(i)各R
1は、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分岐アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、−[(−CHR
3−)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−基(式中、各R
3は、水素及びメチルから独立して選択される)から独立して選択され;(ii)各R
2は、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分岐アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、及び−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基から独立して選択され;(iii)各Xは、O、S、及び−NR
6基(式中、R
6は、H及びメチル基から選択される)から独立して選択され;(iv)mは、0〜50の範囲であり;(v)nは、1〜60の範囲の整数であり;(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり;(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり;(viii)rは、2〜10の範囲の整数である]
の構造を含む主鎖;並びに
(b)少なくとも2個の末端マレイミド基
を含むポリチオエーテルマレイミド付加体を含む。
【0039】
式(3)の化合物のある特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
rであり、ここで各Xは、−O−及び−S−から独立して選択される。R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、ある特定の実施形態において、各Xは、−O−であり、ある特定の実施形態において、各Xは、−S−である。
【0040】
式(3)の化合物のある特定の実施形態において、R
1は、−[−(CH
2)
s−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、各Xは、−O−及び−S−から独立して選択される。R
1が−[−(CH
2)
s−X−]
q−(CH
2)
r−である、ある特定の実施形態において、各Xは、−O−であり、ある特定の実施形態において、各Xは、−S−である。
【0041】
ある特定の実施形態において、式(3)中のR
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pは2であり、XはOであり、qは2であり、rは2であり、R
2はエタンジイルであり、mは2であり、nは9である。
【0042】
末端マレイミド基は、式(4):
【化2】
の構造を有する。
【0043】
末端ビスマレイミド部分は、末端マレイミド基を有する部分を指す。ある特定の実施形態において、末端マレイミド基は、ビスマレイミド、例えば、式(5a):
【化3】
(式中、R
10は、2価の有機部分である)
の構造を有する化合物に由来し、末端基は、式(5b):
【化4】
の構造を有し、本明細書で1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基と称される。ある特定の実施形態において、末端マレイミド基は、やはり1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)と称される、式(7a)の1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドに由来し、末端基は、式(7b):
【化5】
の構造を有する。
【0044】
ある特定の実施形態において、マレイミド基は、1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン基を含む。ある特定の実施形態において、末端マレイミド基のそれぞれは、同じであってもよく、ある特定の実施形態において、末端マレイミド基の少なくとも一部は、異なる。
【0045】
2個以上のマレイミド基を有する化合物の他の例には、エチレンビスマレイミド;1,6−ビスマレイミドヘキサン;2,4−ジマレイミドトルエン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド;1,4−ビス(マレイミド)ブタントリメチレンビスマレイミド;p,p’−ジマレイミドジフェニルメタン;ペンタメチレンビスマレイミド1H−ピロール−2,5−ジオン;1,1’−(1,8−オクタンジイル)ビス−,1H−ピロール−2,5−ジオン,1,1’−(1,7−ヘプタンジイル)ビス−,4,4’−ジチオビス(フェニルマレイミド);メチレンビス(N−カルバミルマレイミド),1,9−ビス(マレイミド)ノナン;1,1’−デカン−1,10−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);O−フェニレンジマレイミド,ビス(N−マレイミドメチル)エーテル;1,5−ビス(マレイミド)−2−メチル−ペンタン;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド;1,1’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);Kerimid601樹脂;テトラキス(N−2−アミノエチルマレイミド);1−(2,5−ジメチルフェニル)ピロール−2,5−ジオン;SureCN331305、SureCN349749;又は1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)が含まれる。これらの名称を念のために再確認されたい。
【0046】
硫黄含有マレイミド付加体がポリチオエーテルマレイミド付加体を含む、ある特定の実施形態において、ポリチオエーテルマレイミド付加体は、式(8a)のポリチオエーテルマレイミド付加体、式(8b)のポリチオエーテルマレイミド付加体、及びそれらの組合せから選択される:
R
6−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−R
6 (8a)
{R
6−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB (8b)
{式中、
各R
1は独立して、C
2〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−[式中、
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数であり;
各R
3は、水素及びメチルから独立して選択され;
各Xは、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され;
各R
2は、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(式中、s、q、r、R
3、及びXは、R
1について定義された通りである)から独立して選択され;
mは、0〜50の整数であり;
nは、1〜60の整数であり;
pは、2〜6の整数であり;
Bは、z価のビニル末端多官能基化剤B(−V)z(式中、
zは、3〜6の整数であり;
各Vは、チオール基と反応性の末端基を含む基である)
のコア(core:核)を表し;
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来し;
各R
6は、独立して、末端マレイミド基を含む部分である}。
【0047】
式(8a)及び式(8b)のある特定の実施形態において、R
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pは2であり、Xは−O−であり、qは2であり、rは2であり、R
2はエタンジイルであり、mは2であり、nは9である。
【0048】
式(8a)及び式(8b)のある特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0049】
式(8a)及び式(8b)のある特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、ある特定の実施形態において、Xは、−O−であり、ある特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0050】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、式(8a)及び式(8b)のある特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり;ある特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり;ある特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0051】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、式(8a)及び式(8b)のある特定の実施形態において、各R
3は、水素であり、ある特定の実施形態において、少なくとも1個のR
3は、メチルである。
【0052】
式(8a)及び式(8b)の付加体のある特定の実施形態において、各R
1は、同じであり、ある特定の実施形態において、少なくとも1個のR
1は、異なる。
【0053】
ある特定の実施形態において、各−Vは、末端アルケニル基を含む。
【0054】
式(8a)及び式(8b)の付加体のある特定の実施形態において、各R
6は、独立してビスマレイミドに由来する基である。ある特定の実施形態において、末端マレイミド部分のそれぞれは、同じであってもよく、ある特定の実施形態において、末端マレイミド部分の少なくとも一部は、異なる。
【0055】
ある特定の実施形態において、各R
6は、1−(4−(4−(3−イル−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)ベンジル)フェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオンである。
【0056】
式(8a)及び式(8b)の付加体のある特定の実施形態において、各R
6は、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)などのビスマレイミドに由来する基である。ある特定の実施形態において、各R
6は、エチレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミドヘキサン、2,4−ジマレイミドトルエン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド;1,4−ビス(マレイミド)ブタントリメチレンビスマレイミド;p,p’−ジマレイミドジフェニルメタン;ペンタメチレンビスマレイミド1H−ピロール−2,5−ジオン;1,1’−(1,8−オクタンジイル)ビス−,1H−ピロール−2,5−ジオン、1,1’−(1,7−ヘプタンジイル)ビス−,4,4’−ジチオビス(フェニルマレイミド);メチレンビス(N−カルバミルマレイミド)、1,9−ビス(マレイミド)ノナン;1,1’−デカン−1,10−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);O−フェニレンジマレイミド、ビス(N−マレイミドメチル)エーテル;1,5−ビス(マレイミド)−2−メチル−ペンタン;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド;1,1’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);Kerimid601樹脂;テトラキス(N−2−アミノエチルマレアミド);1−(2,5−ジメチルフェニル)ピロール−2,5−ジオン;SureCN331305;SureCN349749;又は、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)に由来する基である。
【0057】
ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、少なくとも2個の末端マレイミド基を含むポリスルフィド付加体を含む。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語ポリスルフィドは、ポリマー主鎖に、及び/又はポリマー鎖上のペンダント位置に、1つ又は複数のポリスルフィド結合、すなわち、−S
x−結合(式中、xは、2〜4である)を含有するポリマーを指す。ある特定の実施形態において、ポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄結合を有する。好適なポリスルフィドは、例えば、Thiokol−LP及びThioplast(登録商標)の名称の下でAkzo Nobel及びToray Fine Chemicalsから市販されている。Thioplast(登録商標)製品は、例えば、1,100ダルトン未満から8,000ダルトン超の範囲の広範囲の分子量で入手可能であり、分子量は、1モル当たりグラム数での平均分子量である。一部の場合に、ポリスルフィドは、1,000ダルトン〜4,000ダルトンの数平均分子量を有する。これらの製品の架橋密度も、使用される架橋剤の量に依存して変わる。これらの製品の−SH含有量、すなわち、チオール又はメルカプタン含有量も、変わり得る。ポリスルフィドのメルカプタン含有量及び分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を与えることができ、硬化速度は分子量とともに増加する。
【0059】
ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、少なくとも2個の末端マレイミド基を含むポリチオエーテルマレイミド、少なくとも2個の末端マレイミド基を含むポリスルフィド付加体、少なくとも2個の末端マレイミド基を含む硫黄含有ポリホルマール付加体、又は前述の任意の組合せを含む。
【0060】
航空宇宙用シーラント用途で有用な硫黄含有ポリホーマルプレポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2012/0234205号及び米国特許出願公開第2012/0238707号に開示されており、これら文献のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体は、(a)硫黄含有ポリマー;並びに(b)末端マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である基を有する化合物を含む反応物質の反応生成物を含む。
【0062】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテル、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、及びそれらの組合せから選択される。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテルを含み、ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィドを含む。硫黄含有ポリマーは、異なるポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドの混合物を含んでもよく、ポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドは、同じ又は異なる官能性を有してもよい。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、2〜6、2〜4、2〜3、ある特定の実施形態において、2.05〜2.5の平均官能性を有する。例えば、硫黄含有ポリマーは、二官能性硫黄含有ポリマー、三官能性硫黄含有ポリマー、及び前述の任意の組合せから選択され得る。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、硫黄含有ポリホルマールから選択され得る。
【0063】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、末端マレイミド基を有する化合物の末端反応性基と反応性である2個以上の末端基を含む。ある特定の実施形態において、末端マレイミド基を有する化合物は、2個のマレイミド基を有し、硫黄含有ポリマーの末端基は、マレイミド基と反応性である。硫黄含有ポリマーは、末端チオール基又は末端エポキシ基を含んでもよい。
【0064】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、チオール末端化されている。チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示されている。ある特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから入手可能なPermapol(登録商標)P3.1Eを含む。
【0065】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、式(3):
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n− (3)
[式中、
(i)各R
1は、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分岐アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、−[(−CHR
3−)
p−X−]
q−(CHR
3)
r−基(式中、各R
3は、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され;
(ii)各R
2は、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分岐アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、ヘテロ環式基、及び−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基から独立して選択され;
(iii)各Xは、O、S、及び−NR−基(式中、Rは、H及びメチル基から選択される)から独立して選択され;
(iv)mは、0〜50の範囲であり;
(v)nは、1〜60の範囲の整数であり;
(vi)pは、2〜6の範囲の整数であり;
(vii)qは、1〜5の範囲の整数であり;
(viii)rは、2〜10の範囲の整数である]
の構造を含む主鎖を含む、ポリチオエーテルを含む。
【0066】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、式(9a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(9b)のチオール末端ポリチオエーテル、又はそれらの組合せから選択されるチオール末端ポリチオエーテルを含む:
HS−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−SH (9a)
{HS−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB (9b)
{式中、
各R
1は独立して、C
2〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−[式中、
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数であり;
各R
3は、水素及びメチルから独立して選択され;
各Xは、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され;
各R
2は、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(式中、s、q、r、R
3、及びXは、R
1について定義された通りである)から独立して選択され;
mは、0〜50の整数であり;
nは、1〜60の整数であり;
pは、2〜6の整数であり;
Bは、z価のビニル末端多官能基化剤B(−V)
z(式中、
zは、3〜6の整数であり;
各Vは、チオール基と反応性の末端基を含む基である)
のコアを表し;
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来する基である}。
【0067】
式(9a)及び式(9b)のある特定の実施形態において、R
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pは2であり、Xは−O−であり、qは2であり、rは2であり、R
2はエタンジイルであり、mは2であり、nは9である。
【0068】
式(9a)及び式(9b)のある特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0069】
式(9a)及び式(9b)のある特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、ある特定の実施形態において、Xは、−O−であり、ある特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0070】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、式(9a)及び式(9b)のある特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり;ある特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり;ある特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0071】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、式(9a)及び式(9b)のある特定の実施形態において、各R
3は、水素であり、ある特定の実施形態において、少なくとも1個のR
3は、メチルである。
【0072】
式(9a)及び式(9b)のある特定の実施形態において、各R
1は、同じであり、ある特定の実施形態において、少なくとも1個のR
1は、異なる。
【0073】
このようなポリチオエーテルを調製するために様々な方法が使用され得る。好適なチオール官能性ポリチオエーテル、及びそれらの生成方法の例は、米国特許第6,172,179号中、第2欄、29行〜第4欄、22行;第6欄、39行〜第10欄、50行;及び第11欄、65行〜第12欄、22行に記載されており、これらの引用部分は、参照により組み込まれる。このようなチオール官能性ポリチオエーテルは、二官能性、すなわち、2個のチオール末端基を有する線状ポリマー、又は多官能性、すなわち、3個以上のチオール末端基を有する分岐ポリマーであってもよい。好適なチオール官能性ポリチオエーテルは、例えば、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAからPermapol(登録商標)P3.1Eとして市販されている。
【0074】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ビス(スルホニル)アルカノールなどの金属キレート剤がポリマー主鎖中に組み込まれているポリチオエーテルを含む。金属キレート剤がポリマー主鎖中に組み込まれている硫黄含有ポリマーは、2013年6月21日に出願された米国特許出願第13/923,903号、及び米国出願第(94348−882348(005110US))に開示されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。
【0075】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、式(10):
−A−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH
2−CH
2−A− (10)
{式中、
各R
15は、C
1〜3アルカンジイル及び置換C
1〜3アルカンジイルから独立して選択され、ここで、1個又は複数の置換基は、−OHであり;
各Aは、独立して、式(3):
−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S− (3)
{式中、
各R
1は、C
2〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−[式中、
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数であり;
各R
3は、水素又はメチルを独立して含み;
各Xは、−O−、−S−、及び−NR
5−(式中、R
5は、水素又はメチルを含む)を独立して含む]
を独立して含み;
各R
2は、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、又は−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(式中、s、q、r、R
3、及びXは、R
1について定義された通りである)を独立して含み;
mは、0〜50の整数であり;
nは、1〜60の整数であり;
pは、2〜6の整数である}
の構造を有する部分である}
の主鎖構造を有するポリチオエーテルを含む。
【0076】
主鎖内にビス(スルホニル)アルカノール部分を含む、これらのポリチオエーテルは、2013年6月21に出願された米国特許出願第13/923,903号に開示されており、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0077】
好適なチオール官能性ポリチオエーテルは、ジビニルエーテル又はジビニルエーテルの混合物を、過剰のジチオール又はジチオールの混合物と反応させることによって生成されてもよい。例えば、チオール官能性ポリチオエーテルを調製する際の使用に適したジチオールには、式(11)を有するもの、本明細書で開示される他のジチオール、又は本明細書で開示されるジチオールの任意の組合せが含まれる。
【0078】
ある特定の実施形態において、ジチオールは、式(11):
HS−R
1−SH (11)
{式中;
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−[式中、
各R
3は、水素及びメチルから独立して選択され;
各Xは、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され;
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
の構造を有する。
【0079】
式(11)のジチオールのある特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である。
【0080】
式(11)の化合物のある特定の実施形態において、Xは、−O−及び−S−から選択され、したがって、式(11)中の−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−は、−[(−CHR
3−)
p−O−]
q−(CHR
3)
r−又は−[(−CHR
32−)
p−S−]
q−(CHR
3)
r−である。ある特定の実施形態において、p及びrは、等しく、ここで、例えば、p及びrは、両方とも2である。
【0081】
式(11)のジチオールのある特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル及び−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0082】
ある特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、ある特定の実施形態において、Xは、−O−であり、ある特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0083】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、ある特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり;ある特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり;ある特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0084】
R
1が−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−である、ある特定の実施形態において、各R
3は、水素であり、ある特定の実施形態において、少なくとも1個のR
3は、メチルである。
【0085】
好適なジチオールの例には、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び前述の任意の組合せが含まれる。ポリチオールは、低級(例えば、C
1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基、及びヒドロキシル基から選択される1個又は複数のペンダント基を有してもよい。好適なアルキルペンダント基には、例えば、C
1〜6直鎖アルキル、C
3〜6分岐アルキル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。
【0086】
好適なジチオールの他の例には、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(11)中、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−である);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(11)中、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−である)及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(11)中、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である)が含まれる。炭素主鎖におけるヘテロ原子とペンダントアルキル基、例えば、メチル基との両方ともを含むジチオールを使用することも可能である。このような化合物には、例えば、メチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SH並びにジメチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SH及びHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHが含まれる。
【0087】
ポリチオエーテル及びポリチオエーテル付加体を調製するための好適なジビニルエーテルには、例えば、式(12):
CH
2=CH−O−(−R
2−O−)
m−CH=CH
2 (12)
のジビニルエーテルが含まれ、ここで、式(12)中のR
2は、C
2〜6n−アルカンジイル基、C
3〜6分岐アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、及び−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−(式中、pは、2〜6の範囲の整数であり、qは、1〜5の整数であり、rは、2〜10の整数である)から選択される。式(12)のジビニルエーテルのある特定の実施形態において、R
2は、C
2〜6n−アルカンジイル基、C
3〜6分岐アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、ある特定の実施形態において、−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−である。
【0088】
好適なジビニルエーテルには、例えば、少なくとも1個のオキシアルカンジイル基、例えば、1〜4個のオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(12)中のmが1〜4の範囲の整数である化合物が含まれる。ある特定の実施形態において、式(12)中のmは、2〜4の範囲の整数である。1分子当たりオキシアルカンジイル単位の数についての非整数平均値によって特徴付けられる市販のジビニルエーテル混合物を用いることも可能である。したがって、式(12)中の1は、0〜10.0、例えば、1.0〜10.0、1.0〜4.0、又は2.0〜4.0の範囲の有理数の値を取ることもできる。
【0089】
好適なジビニルエーテルの例には、例えば、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(12)中のR
2がエタンジイルであり、mが1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(12)中のR
2がブタンジイルであり、mが1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(12)中のR
2がヘキサンジイルであり、mが1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(12)中のR
2がエタンジイルであり、mが2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(12)中のR
2がエタンジイルであり、mが3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(12)中のR
2がエタンジイルであり、mが4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル;トリビニルエーテルモノマー、例えば、トリメチロールプロパントリビニルエーテル;四官能性エーテルモノマー、例えば、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル;及び2つ以上のこのようなポリビニルエーテルモノマーの組合せが含まれる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びアミン基から選択される1個又は複数のペンダント基を有してもよい。
【0090】
ある特定の実施形態において、式(12)中のR
2がC
3〜6分岐アルカンジイルであるジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製されてもよい。このタイプのジビニルエーテルの例には、式(12)中のR
2が、−CH(CH
3)−などのアルキル置換メタンジイル基である化合物(例えば、Pluriol(登録商標)E−200ジビニルエーテルなどのPluriol(登録商標)ブレンド(BASF Corp.、Parsippany、NJ)、この場合、式(12)中のR
2は、エタンジイルであり、mは、3.8である)又はアルキル置換エタンジイル(例えば、DPE−2及びDPE−3(International Specialty Products、Wayne、NJ)を含むDPEポリマーブレンドなどの−CH
2CH(CH
3)−)が含まれる。
【0091】
他の有用なジビニルエーテルには、式(12)中のR
2がポリテトラヒドロフリル(ポリ−THF)又はポリオキシアルカンジイル、例えば、平均約3つのモノマー単位を有するもの、である化合物が含まれる。
【0092】
式(12)のポリビニルエーテルモノマーの2個以上のタイプが使用されてもよい。したがって、ある特定の実施形態において、式(11)の2種のジチオール及び式(12)の1種のポリビニルエーテルモノマー、式(11)の1種のジチオール及び式(12)の2種のポリビニルエーテルモノマー、式(11)の2種のジチオール及び式(12)の2種のジビニルエーテルモノマー、並びに式(11)及び式(12)の一方又は両方の3つ以上の化合物が、種々のチオール官能性ポリチオエーテルを生成するために使用されてもよい。
【0093】
ある特定の実施形態において、ポリビニルエーテルモノマーは、チオール官能性ポリチオエーテルを調製するために使用される反応物質を20〜50モルパーセント未満、ある特定の実施形態において、30〜50モルパーセント未満含む。
【0094】
本開示により提供されるある特定の実施形態において、ジチオールとジビニルエーテルの相対量は、末端チオール基を有するポリチオエーテルを生じさせるように選択される。したがって、式(11)のジチオール又は式(11)の少なくとも2種の異なるジチオールの混合物は、チオール基とビニル基とのモル比が1:1を超える、例えば、1.1〜2.0:1.0であるような相対量で式(12)のジビニルエーテル又は式(12)の少なくとも2種の異なるジビニルエーテルの混合物と反応させる。
【0095】
ジチオール及びジビニルエーテルの化合物間の反応は、フリーラジカル触媒によって触媒されてもよい。好適なフリーラジカル触媒には、例えば、アゾ化合物、例えば、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN)などのアゾビスニトリル;ベンゾイル過酸化物及びt−ブチル過酸化物などの有機過酸化物;並びに過酸化水素などの無機過酸化物が含まれる。触媒は、フリーラジカル触媒、イオン触媒、又は紫外放射であってもよい。ある特定の実施形態において、触媒は、酸性又は塩基性化合物を含まず、分解後に酸性又は塩基性化合物を生成しない。フリーラジカル触媒の例には、アゾ型触媒、例えば、Vazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)、及びV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)が含まれる。他のフリーラジカル触媒の例は、アルキル過酸化物、例えば、t−ブチル過酸化物である。反応はまた、カチオン性光開始部分とともに、又はそれなしでのいずれかで、紫外線による照射によって引き起こされてもよい。
【0096】
本開示により提供されるチオール官能性ポリチオエーテルは、式(11)の少なくとも1種の化合物及び式(12)の少なくとも1種の化合物を組み合わせ、続いて、適当な触媒を添加し、30℃〜120℃、例えば、70℃〜90℃の温度で、2〜24時間、例えば、2〜6時間反応を行うことによって調製されてもよい。
【0097】
本明細書で開示されるように、チオール末端ポリチオエーテルは、多官能性ポリチオエーテルを含んでもよく、すなわち、2.0を超える平均官能性を有してもよい。好適な多官能性チオール末端ポリチオエーテルには、例えば、式(13):
B(−A−SH)
z (13)
(式中、(i)Aは、例えば、式(3)の構造を含み、(ii)Bは、多官能基化剤のz価残基を示し;(iii)zは、2.0を超える平均値、ある特定の実施形態において、2〜3の値、2〜4の値、3〜6の値を有し、ある特定の実施形態において、3〜6の整数である)
の構造を有するものが含まれる。
【0098】
このような多官能性チオール官能性ポリマーを調製する際の使用に適した多官能基化剤には、三官能基化剤、すなわち、zが3である化合物が含まれる。好適な三官能基化剤には、例えば、その引用部分が参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0010133号段落[0102]〜[0105」に開示された通りの、トリアリルシアヌレート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌレート含有トリチオール、及びそれらの組合せが含まれる。他の有用な多官能基化剤には、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、並びに米国特許第4,366,307号;同第4,609,762号;及び同第5,225,472号に記載されたポリチオールが含まれる。多官能基化剤の混合物も、使用されてもよい。
【0099】
結果として、本開示により提供される実施形態における使用に適したチオール官能性ポリチオエーテルは、広範な平均官能性を有してもよい。例えば、三官能基化剤は、2.05〜3.0、例えば、2.1〜2.6の平均官能性を与えてもよい。より広範な平均官能性が、四官能性又はより高い官能性の多官能基化剤を使用することにより達成されてもよい。官能性はまた、当業者によって理解されるように、化学量論などの要因によって影響されることもあり得る。
【0100】
2.0を超える官能性を有するチオール官能性ポリチオエーテルは、米国特許出願公開第2010/0010133号に記載された二官能性チオール官能性ポリチオエーテルと同様な仕方で調製されてもよい。ある特定の実施形態において、ポリチオエーテルは、(i)本明細書で記載される1種又は複数のジチオールを、(ii)本明細書で記載される1種又は複数のジビニルエーテル、及び(iii)1種又は複数の多官能基化剤と組み合わせることによって調製されてもよい。次いで、この混合物は、任意選択で適切な触媒の存在下で反応させて、2.0を超える官能性を有するチオール官能性ポリチオエーテルを生じることができる。
【0101】
したがって、ある特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、
(a)式(11):
HS−R
1−SH (11)
{式中、
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r;[式中、
各R
3は、水素及びメチルから独立して選択され;
各Xは、−O−、−S−、−NH−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択され;
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数である]
から選択される}
のジチオール;並びに
(b)式(12):
CH
2=CH−O−[−R
2−O−]
m−CH=CH
2 (12)
[式中、
各R
2は、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(式中、s、q、r、R
3、及びXは、上で定義された通りである)から独立して選択され;
mは、0〜50の整数であり;
nは、1〜60の整数であり;
pは、2〜6の整数である]
のジビニルエーテル
を含む反応物質の反応生成物を含む。さらに、特定の実施形態において、反応物質は、(c)多官能性化合物、例えば、多官能性化合物B(−V)
z(式中、B、−V及びzは、本明細書で定義された通りである)を含む。
【0102】
本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、ある分子量分布を有するチオール末端ポリチオエーテルを表す。ある特定の実施形態において、有用なチオール末端ポリチオエーテルは、500ダルトン〜20,000ダルトン、ある特定の実施形態において、2,000ダルトン〜5,000ダルトン、ある特定の実施形態において、3,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を示し得る。ある特定の実施形態において、有用なチオール末端ポリチオエーテルは、1〜20、ある特定の実施形態において、1〜5の範囲の多分散性(M
w/M
n;重量平均分子量/数平均分子量)を示す。チオール末端ポリチオエーテルの分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより特徴付けられてもよい。
【0103】
硫黄含有マレイミド付加体を調製するために、本明細書で開示されるものなどの硫黄含有ポリマーは、マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である基を有する化合物と反応させてもよい。ある特定の実施形態において、マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である基を有する化合物は、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)である。ある特定の実施形態において、マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である基を有する化合物は、残りの1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)リストから選択される。ある特定の実施形態において、各R
6は、エチレンビスマレイミド;1,6−ビスマレイミドヘキサン、2,4−ジマレイミドトルエン;N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド;1,4−ビス(マレイミド)ブタン;トリメチレンビスマレイミド;p,p’−ジマレイミドジフェニルメタン;ペンタメチレンビスマレイミド1H−ピロール−2,5−ジオン;1,1’−(1,8−オクタンジイル)ビス−,1H−ピロール−2,5−ジオン、1,1’−(1,7−ヘプタンジイル)ビス−,4,4’−ジチオビス(フェニルマレイミド);メチレンビス(N−カルバミルマレイミド)、1,9−ビス(マレイミド)ノナン;1,1’−デカン−1,10−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);O−フェニレンジマレイミド,ビス(N−マレイミドメチル)エーテル;1,5−ビス(マレイミド)−2−メチル−ペンタン;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド;1,1’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン);Kerimid601樹脂;テトラキス(N−2−アミノエチルマレイミド);1−(2,5−ジメチルフェニル)ピロール−2,5−ジオン;SureCN331305;SureCN349749;又は1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイルビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)に由来する基である。例えば、R
6が、構造:
【化6】
を有するエチレンビスマレイミドに由来する基である場合、R
6は、構造:
【化7】
を有する。
【0104】
硫黄含有ポリマーと、マレイミド基、及び硫黄含有ポリマーの末端基に対して反応性である基を有する化合物との間の反応は、適当な触媒の存在下で行われ得る。
【0105】
組成物
末端マレイミド基は、マイケル受容体である。マイケル付加化学は、硫黄含有ポリマー及び硫黄含有マレイミド付加体に関連して様々な方法で用いられて、硬化性組成物を与え得る。例えば、本開示により提供される硬化性組成物は、(a)硫黄含有ポリマー及びマレイミド硬化剤;(b)硫黄含有マレイミド付加体、及びマレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硬化剤;又は(c)硫黄含有ポリマー、及び単量体マレイミドと硫黄含有マレイミド付加体との組合せを含む硬化剤を含んでもよい。
【0106】
硫黄含有ポリマー及びマレイミド硬化剤
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、硫黄含有ポリマー及びマレイミド硬化剤を含む。硫黄含有ポリマーは、マレイミド硬化剤と反応性の末端基を有するポリチオエーテル若しくはポリチオエーテル群の組合せ;マレイミド硬化剤と反応性の末端基を有するポリスルフィド若しくはポリスルフィド群の組合せ;マレイミド硬化剤と反応性の末端基を有する硫黄含有ポリホルマール若しくは硫黄含有ポリホルマール群の組合せ;又は前述の任意の組合せであってもよい。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーはチオール末端化されている。このような実施形態において、マレイミド硬化剤は、多官能性であり、硫黄含有ポリマーの末端基と反応性のマレイミド基を有する。マレイミド硬化剤は、単量体であってよく、本明細書で開示される硫黄含有ポリマーの任意のマレイミド末端プレポリマー付加体などのマレイミド末端プレポリマー付加体、又はそれらの組合せであってもよい。
【0107】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、本明細書で開示されるチオール末端ポリチオエーテル、例えば、式(3)の主鎖を含むチオール末端ポリチオエーテル、式(9a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(9b)のチオール末端ポリチオエーテル、又は前述の任意の組合せのいずれをも含めて、チオール末端ポリチオエーテルを含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、チオール末端ポリチオエーテル、例えば、式(9a)、式(9b)、又はそれらの組合せのチオール末端ポリチオエーテルを含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、二官能性硫黄含有ポリマー、三官能性含有ポリマー、及びそれらの組合せから選択される。ある特定の実施形態において、チオール末端ポリマーは、2〜3、ある特定の実施形態において、2.2〜2.8の平均官能性を有するチオール末端硫黄含有ポリマーの混合物を含む。ある特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto Internationalから入手可能な、Permapol(登録商標)3.1Eを含む。
【0108】
多官能性マレイミドは、少なくとも2個のマレイミド基を有する。多官能性マレイミドは、2〜6、2〜4、2〜3、ある特定の実施形態において、2.05〜2.5の平均マイケル受容体官能性を有してもよい。ある特定の実施形態において、多官能性マレイミドは、二官能性、例えば、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)である。2を超える官能性を有するマレイミドは、適当な反応条件を使用して、マレイミド基、及び本明細書で開示されるものなどの多官能基化剤の末端基と反応性の基を有する化合物を反応させることによって調製されてもよい。
【0109】
ある特定の実施形態において、マレイミド硬化剤は、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)である。マレイミド硬化剤はまた、本明細書で開示される多官能性マレイミドのいずれかを含んでもよい。
【0110】
マレイミドが硬化剤として使用される、ある特定の実施形態において、マレイミド硬化剤の分子量は、600ダルトン未満、400ダルトン未満、ある特定の実施形態において、200ダルトン未満である。
【0111】
ある特定の実施形態において、マレイミド硬化剤は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、ある特定の実施形態において、約3重量%〜約5重量%を占め、ここで、重量%は、組成物の全乾燥固体重量に基づく。
【0112】
多官能性マレイミドは、マレイミドを多官能基化剤と反応させることによって調製されてもよい。例えば、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)などのビスマレイミドは、末端チオール基を有する多官能基化剤と反応させて、多官能性マレイミドを生じ得る。チオール官能性多官能基化剤は、例えば、2012年6月21日に出願された米国出願第13/529,183号に開示されており、これはその全体が参照により組み込まれる。
【0113】
硫黄含有マレイミド付加体及び硬化剤
ある特定の実施形態において、組成物は、本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体、及び硫黄含有ポリマー硬化剤を含む。ある特定の実施形態において、組成物は、本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体、単量体マレイミド、及び硫黄含有ポリマー硬化剤を含む。このような組成物において、硫黄含有マレイミド付加体は、本明細書で開示されるもののいずれかを含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、ポリチオエーテルマレイミド付加体を含み、ある特定の実施形態において、ポリチオエーテルマレイミド付加体は、2〜3、2.2〜2.8、ある特定の実施形態において、2.4〜2.6の平均官能性を有する。ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、2の平均官能性を有する。
【0114】
ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、式(8a)、式(8b)、又はそれらの組合せの付加体を含み、硫黄含有ポリマー硬化剤は、式(9a)、式(9b)、又はそれらの組合せのポリチオエーテルを含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、Permapol(登録商標)3.1Eのマレイミド付加体を含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー硬化剤は、Permapol(登録商標)3.1Eを含む。
【0115】
ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、式(8a)、式(8b)、又はそれらの組合せの付加体を含み、硫黄含有ポリマー硬化剤は、ポリスルフィドを含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、Permapol(登録商標)3.1Eのマレイミド付加体を含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー硬化剤は、Thiokol−LP(登録商標)ポリスルフィド、Thioplast(登録商標)ポリスルフィド、及びそれらの組合せから選択されるポリスルフィドを含む。
【0116】
このような組成物において、付加体のマレイミド基は、硫黄含有ポリマーの末端基と反応性である。例えば、ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、末端チオール基を含む。
【0117】
硬化剤として使用される硫黄含有ポリマーは、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む。このような組成物中で硬化剤として使用される硫黄含有ポリマーは、本明細書で開示されるもののいずれかを含むポリチオエーテル、本明細書で開示されるもののいずれかを含むポリスルフィド、又はそれらの組合せを含んでもよい。硫黄含有ポリマーは、約2の平均官能性、又は約2〜約6、例えば、約2〜約4、若しくは約2〜約3の任意の官能性を有してもよい。
【0118】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー硬化剤は、例えば、Permapol(登録商標)3.1Eなどのチオール末端ポリチオエーテルを含む。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、例えば、Thiokol−LP(登録商標)ポリスルフィド、Thioplast(登録商標)ポリスルフィド、又はそれらの組合せなどのチオール末端ポリスルフィドを含む。
【0119】
このような実施形態において、硬化剤として使用される場合、硫黄含有ポリマーは、組成物の約20重量%〜約90重量%、約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約60重量%、ある特定の実施形態において、約50重量%を占め、ここで、重量%は、組成物の全乾燥重量に基づく。
【0120】
このような実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、組成物の約20重量%〜約90重量%、約30重量%〜約80重量%、約40重量%〜約60重量%、ある特定の実施形態において、約50重量%を占め、ここで、重量%は、組成物の全乾燥重量に基づく。
【0121】
硫黄含有マレイミド付加体及び硫黄含有ポリマー硬化剤を含む組成物は、本明細書で開示されるもののいずれかを含むアミン触媒などの触媒を含んでもよい。
【0122】
ある特定の実施形態において、組成物は、ポリチオエーテルマレイミド付加体及び硬化剤を含む。ポリチオエーテル付加体には、式(8a)、式(8b)、及びそれらの組合せのポリチオエーテルマレイミド付加体などの、本明細書で開示されるもののいずれかが含まれる。
【0123】
このような組成物のある特定の実施形態において、組成物は、本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体、並びにマレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硫黄含有ポリマー、単量体チオール、ポリチオール、ポリアミン、ブロック化ポリアミン、及び前述の任意の組合せから選択される硬化剤を含む。ある特定の実施形態において、硬化剤は、単量体チオール、ポリチオール、ポリアミン、特定の実施形態において、ブロック化ポリアミンなどの、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硫黄含有ポリマーを含む。このような組成物のある特定の実施形態において、硬化剤は、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硫黄含有ポリマー、並びに単量体チオール、ポリチオール、ポリアミン、ブロック化ポリアミン、チオール末端プレポリマー、アミン末端プレポリマー、及び前述の任意の組合せから選択される、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を有する化合物を含む。
【0124】
ある特定の実施形態において、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硫黄含有ポリマーは、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含むポリチオエーテルポリマー、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含むポリスルフィドポリマー、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む硫黄含有ポリホルマールポリマー、及びそれらの組合せから選択される。ある特定の実施形態において、マレイミド基と反応性の末端基は、チオール基である。このような実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、式(9a)のポリチオエーテル、式(9b)のポリチオエーテル、及びそれらの組合せから選択されてもよい。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー硬化剤は、例えば、Thiokol−LP(登録商標)ポリスルフィドポリマー及びThioplast(登録商標)ポリスルフィドポリマーなどのチオール末端ポリスルフィドを含む。
【0125】
ある特定の組成物において、硬化剤は、単量体ポリチオールを含む。単量体ポリチオールは、少なくとも2個の末端チオール基を有する化合物を指す。単量体ポリチオールの例には、式(11)のジチオールが含まれる。
【0126】
硫黄含有マレイミド付加体、硫黄含有ポリマー、及び少なくとも2個のマレイミド基を有する化合物
ある特定の実施形態において、組成物は、マレイミドと反応性の末端基を有する硫黄含有ポリマー、及び硫黄含有マレイミド付加体を含む。ある特定の実施形態において、組成物は、マレイミドと反応性の末端基を有する硫黄含有ポリマー、多官能性マレイミド、及び硫黄含有マレイミド付加体を含む。
【0127】
このような組成物において、硫黄含有ポリマーは、マレイミド基と反応性の少なくとも2個の末端基を含む。このような組成物において、硫黄含有ポリマーは、本開示により提供される適切なポリチオエーテルポリマー、ポリスルフィドポリマー又は硫黄含有ポリホルマールポリマーを含めて、ポリチオエーテルポリマー、ポリスルフィドポリマー、硫黄含有ポリホルマールポリマー、又はそれらの組合せから選択されてもよい。
【0128】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、その末端基が、多官能性マレイミドと反応性であり、かつ硫黄含有マレイミド付加体と反応性であるように選択される。ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、本明細書で開示される通りの、チオール末端ポリチオエーテル、チオール末端ポリスルフィド、チオール末端硫黄含有ポリホルマール、及び前述の任意の組合せを含めて、末端チオール基を含む。
【0129】
このような組成物のある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、本開示により提供されるポリチオエーテルマレイミド付加体、本開示により提供されるポリスルフィドマレイミド付加体、本開示により提供される硫黄含有ポリホルマールマレイミド付加体、又は前述の任意の組合せを含む。
【0130】
組成物が多官能性単量体マレイミドを含む場合、例えば、本明細書で開示されるもののいずれかを含めて、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)、又は他のマレイミド、及びそれらの組合せなどの、少なくとも2個のマレイミド基を有するいずれかの好適な単量体マレイミドが使用されてもよい。ある特定の実施形態において、組成物は、1種又は複数の多官能性マイケル受容体をさらに含む。
【0131】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、式(9a)、式(9b)、及びそれらの組合せのチオール末端ポリチオエーテルから選択され;多官能性マレイミド付加体は、式(8a)、式(8b)、及びそれらの組合せのポリチオエーテルマレイミド付加体から選択され;多官能性単量体マレイミドは、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)などの、2個以上のマレイミド基を有する化合物から選択される。
【0132】
このような実施形態において、多官能性マレイミド及び硫黄含有マレイミド付加体は、組成物の10重量%〜90重量%、20重量%〜80重量%、30重量%〜70重量%、ある特定の実施形態において、40重量%〜60重量%を占め、ここで、重量%は、組成物の全乾燥固体重量に基づく。
【0133】
硫黄含有ポリマー、多官能性マレイミド、及び硫黄含有マレイミド付加体を含む組成物は、第三級アミン触媒を含めて、ポリアミン触媒を含むアミン触媒などの触媒を含んでもよい。
【0134】
ポリアミンの例には、例えば、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン及びそれらの混合物が含まれる。ある特定の実施形態において、ポリアミンは、第一級アミン(−NH
2)、第二級アミン(−NH−)及びそれらの組合せから独立して選択される少なくとも2個の官能基を有するポリアミンを含み得る。ある特定の実施形態において、ポリアミンは、少なくとも2個の第一級アミン基を有する。
【0135】
ある特定の実施形態において、ポリアミンは、硫黄含有ポリアミンを含む。好適な硫黄含有ポリアミンの例には、構造:
【化8】
を有する、1,3−ベンゼンジアミン−4−メチル−2,6−ビス(メチルチオ)−及び1,3−ベンゼンジアミン−2−メチル−4,6−ビス(メチルチオ)−などの、ベンゼンジアミン−ビス(メチルチオ)−の異性体が含まれる。
【0136】
このような硫黄含有ポリアミンは、例えば、Ethacure(登録商標)300の商品名の下でAlbemarle Corporationから市販されている。
【0137】
好適なポリアミンには、例えば、以下の構造:
【化9】
(式中、各R
11及び各R
12は、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピル基から独立して選択され、各R
13は、水素及び塩素から独立して選択される)
を有するポリアミンも含まれる。好適なアミン含有硬化剤の例には、Lonza Ltd.(Basel、Switzerland)から入手可能な以下の化合物:Lonzacure(登録商標)M−DIPA、Lonzacure(登録商標)M−DMA、Lonzacure(登録商標)M−MEA、Lonzacure(登録商標)M−DEA、Lonzacure(登録商標)M−MIPA、Lonzacure(登録商標)M−CDEAが含まれる。
【0138】
ある特定の実施形態において、ポリアミンは、ジアミン、例えば、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(Lonzacure(登録商標)M−CDEA)、2,4−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン、2,6−ジアミノ−3,5−ジエチル−トルエン及びそれらの混合物(集合的にジエチルトルエンジアミン又はDETDA)、硫黄含有ジアミン、例えば、Ethacure(登録商標)300、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)及びそれらの混合物を含む。他の好適なジアミンには、4,4’−メチレン−ビス−(ジアルキルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチル−3−クロロアニリン)、及び前述の任意の組合せが含まれる。
【0139】
さらに、好適なポリアミンの例には、エチレンアミン類、例えば、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ピペラジン、ピペリジン、置換ピペリジン、ジエチレンジアミン(DEDA)、2−アミノ−1−エチルピペラジン、及びそれらの組合せが含まれる。ある特定の実施形態において、ポリアミンは、C
1〜3ジアルキルトルエンジアミン、例えば、3,5−ジメチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジイソプロピル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジイソプロピル−2,6−トルエンジアミン、及びそれらの組合せの1種又は複数の異性体から選択されてもよい。ある特定の実施形態において、ポリアミンは、メチレンジアニリン、トリメチレングリコールジ(パラ−アミノベンゾアート)、及びそれらの組合せから選択されてもよい。
【0140】
ある特定の実施形態において、ポリアミンには、構造:
【化10】
を有する化合物が含まれる。
【0141】
ある特定の実施形態において、ポリアミンには、1種若しくは複数のメチレンビスアニリン、1種若しくは複数のアニリンスルフィド、及び/又は例えば、参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2011/0092639号の段落[0072]に開示された一般構造により表すことができる1種若しくは複数のビアニリンが含まれる。
【0142】
ある特定の実施形態において、ポリアミンには、一般構造:
【化11】
(式中、R
20、R
21、R
22、及びR
23は、C
1〜3アルキル、CH
3−S−及びハロゲン、例えば、限定されないが、塩素又は臭素から独立して選択される)により表される化合物が含まれる。ある特定の実施形態において、直上の構造により表されるポリアミンは、R
23がメチル、R
20及びR
21がそれぞれエチル、R
22が水素である、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)であり得る。ある特定の実施形態において、ポリアミンは、4,4’−メチレンジアニリンである。
【0143】
ブロック化ポリアミンの例には、ケチミン、エナミン、オキサゾリジン、アルジミン、及びイミダゾリジンが含まれる。ある特定の実施形態において、ブロック化ポリアミンは、Vestamin(登録商標)A139(Evonik)である。
【0144】
好適なポリアミンには、アミン末端硫黄含有ポリホルマール付加体、アミン末端ポリスルフィド付加体、及び/又はアミン末端ポリチオエーテル付加体も含まれる。ポリチオエーテル、ポリスルフィド、又は硫黄含有ポリホルマールの付加体などのアミン末端プレポリマー付加体は、例えば、活性化アルケニル末端プレポリマー又はマイケル受容体末端プレポリマーを、4−(アミノメチル)アニリンなどのアミン置換アニリン、アルキルアミン、又はn−ブチルアミンなどの任意の他のジアミンと、任意選択で有機溶媒中1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などの触媒の存在下で反応させて、対応するアミン末端プレポリマーを与えることによって調製されてもよい。代わりに、アミン末端硫黄含有プレポリマーは、イソシアネート末端プレポリマーと4−(アミノメチル)アニリンなどのジアミンとを反応させて、対応するアミン末端プレポリマーを与えることによって得られうる。アミン末端プレポリマーはまた、ヒドロキシル末端プレポリマーとエチル−4−アミノベンゾアートなどのアミノ置換ベゾアートとを、Bu
2SnO又はNaOMeの存在下で高められた温度にて反応させて、対応するアミン末端プレポリマーを与えることによって得られうる。
【0145】
エポキシブレンド
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、エポキシ硬化剤を含む。したがって、マレイミド硬化剤、硫黄含有ポリマー硬化剤、及び/又は硫黄含有マレイミド付加体硬化剤に加えて、組成物は、1種又は複数のポリエポキシ硬化剤を含んでもよい。好適なエポキシの例には、例えば、ポリエポキシド樹脂、例えば、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、Novolac(登録商標)型エポキシド、例えば、DEN(商標)438(Dowから入手可能)、ある種のエポキシ化不飽和樹脂、及び前述の任意の組合せが含まれる。ポリエポキシドは、2個以上の反応性エポキシ基を有する化合物を指す。
【0146】
ある特定の実施形態において、ポリエポキシ硬化剤は、エポキシ官能性ポリマーを含む。好適なエポキシ官能性ポリマーの例には、米国特許出願公開第2012/0238707号に開示されたエポキシ官能性硫黄含有ポリホルマールポリマー及び米国特許第7,671,145号に開示されたエポキシ官能性ポリチオエーテルポリマーが含まれる。一般的に、硬化剤として使用される場合、エポキシ官能性ポリマーは、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、ある特定の実施形態において、約500ダルトン未満の分子量を有する。エポキシ官能性硫黄含有ポリマーは、例えば、チオール官能性硫黄含有ポリマーをジエポキシド又はエポキシオレフィンと反応させることによって形成されてもよい。
【0147】
このような組成物において、エポキシ硬化剤は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、ある特定の実施形態において、約3重量%〜約5重量%を占めてもよく、ここで、重量%は、組成物の全固体重量に基づく。
【0148】
イソシアナートブレンド
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、イソシアナート硬化剤を含む。したがって、マレイミド硬化剤、硫黄含有ポリマー硬化剤、及び/又は硫黄含有マレイミド付加体硬化剤に加えて、組成物は、チオール基と反応性であるが、マレイミド基とは反応性でない1種又は複数のポリイソシアナート硬化剤を含んでもよい。好適なイソシアナート硬化剤の例には、トルエンジイソシアナート、及び前述の任意の組合せが含まれる。イソシアナート硬化剤は、市販されており、例えば、Baydur(登録商標)(Bayer MaterialScience)、Desmodur(登録商標)(Bayer MaterialScience)、Solubond(登録商標)(DSM)、ECCO(ECCO)、Vestanat(登録商標)(Evonik)、Irodur(登録商標)(Huntsman)、Rhodocoat(商標)(Perstop)、及びVanchem(登録商標)(V.T.Vanderbilt)などがある。ある特定の実施形態において、イソシアナート硬化剤は、イソシアナート官能性ポリマーを含む。好適なイソシアナート官能性ポリマーの例には、米国特許出願公開第2012/0238708号に開示されたイソシアナート官能性硫黄含有ポリホルマールポリマーが含まれる。一般的に、硬化剤として使用される場合、イソシアナート官能性ポリマーは、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、ある特定の実施形態において、約500ダルトン未満の分子量を有する。
【0149】
ある特定の実施形態において、好適なジイソシアナートには、TDI、Isonate(商標)143L(ポリカルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアナート)、Desmodur(登録商標)N3400(1,3−ジアゼチジン−2,4−ジオン、1,3−ビス(6−イソシアナトヘキシル)−)、IPDI(イソホロンジイソシアナート)、及び/又はDesmodur(登録商標)W(H
12MDI)が含まれる。
【0150】
好適な脂肪族ジイソシアナートの例には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、メチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノアート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアナート、2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)シクロ[2.2.1.]ヘプタン、1,3,3−トリメチル−1−(イソシアナトメチル)−5−イソシアナトシクロヘキサン、1,8−ジイソシアナト−2,4−ジメチルオクタン、オクタヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンジメチルジイソシアナート、及び1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)、並びに4,4−メチレンジシクロヘキシルジイソシアナート(H
12MD)が含まれる。芳香族ジイソシアナートの例には、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、2,6−トルエンジイソシアナート(2,6−TDI)、2,4−トルエンジイソシアナート(2,4−TDI)、2,4−TDI及び2,6−TDIのブレンド、1,5−ジイソシアナトナフタレン、ジフェニルオキシド4,4’−ジイソシアナート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(4,4−MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアナート(2,4−MDI)、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン(2,2−MDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、1−[(2,4−ジイソシアナトフェニル)メチル]−3−イソシアナト−2−メチルベンゼン、及び2,4,6−トリイソプロピル−m−フェニレンジイソシアナートが含まれる。
【0151】
イソシアナート基が芳香族環に直接は結合していない好適な芳香族ジイソシアナートの例には、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアナート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、及び2,5−ジ(イソシアナトメチル)フランが含まれる。芳香族環に直接結合しているイソシアナート基を有する芳香族ジイソシアナートには、フェニレンジイソシアナート、エチルフェニレンジイソシアナート、イソプロピルフェニレンジイソシアナート、ジメチルフェニレンジイソシアナート、ジエチルフェニレンジイソシアナート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、メチルナフタレンジイソシアナート、ビフェニルジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルエーテルジイソシアナート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアナート、カルバゾールジイシソアナート、エチルカルバゾールジイソシアナート、ジクロロカルバゾールジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイシソシアナート、p−フェニレンジイソシアナート、2,4−トルエンジイソシアナート、及び2,6−トルエンジイソシアナートが含まれる。
【0152】
好適な脂環式ジイソシアナートの例には、イソホロンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、及び2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンが含まれる。
【0153】
このような組成物において、イソシアナート硬化剤は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、ある特定の実施形態において、組成物の約3重量%〜約5重量%を占めてもよく、ここで、重量%は、組成物の全固体重量に基づく。
【0154】
ヒドロキシル及びアミン硬化
本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体はまた、特定の用途及び硬化化学における使用のために変性されてもよい。例えば、スプレーシール用途は、加熱なしで急速硬化を必要とする。エポキシ硬化剤を使用するアミン系システムは、このような用途によく適している。したがって、硫黄含有マレイミド付加体は、末端マレイミド基を、例えば、ヒドロキシル基又はアミン基で変性又はキャッピングすることによって他の硬化化学に適合されてもよい。
【0155】
ヒドロキシル末端硫黄含有マレイミド付加体は、式(8a)又は式(8b)の付加体などの本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体を、末端チオール基及び末端ヒドロキシル基を有する化合物と反応させることによって調製されてもよい。ある特定の実施形態において、末端チオール基及び末端ヒドロキシル基を有する化合物は、構造HS−R
11−OHを有し、ここで、R
11は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、C
6〜8アレーンジイル、C
6〜10アルカンアレーンジイル、C
5〜8ヘテロアレーンジイル、及び、−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−(式中、q、r、s、X、及びR
3は、式(21)について定義されている)から選択される。ある特定の実施形態において、硫黄含有マレイミド付加体は、Permapol(登録商標)3.1Eに由来するものである。反応は、触媒の存在下で約25℃〜約50℃の温度で行なわれてもよい。
【0156】
ある特定の実施形態において、ヒドロキシル末端硫黄含有マレイミド付加体は、式(14a)のヒドロキシル末端ポリチオエーテルマレイミド付加体、式(14b)のヒドロキシル末端ポリチオエーテルマレイミド付加体、又はそれらの組合せを含む:
R
9−R
6’−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−R
6’−R
9 (14a)
{R
9−R
6’−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB (14b)
{式中、
各R
1は独立して、C
2〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−[式中、
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数であり;
各R
3は、水素及びメチルから独立して選択され;
各Xは、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され;
各R
2は、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(式中、s、q、r、R
3、及びXは、R
1について定義された通りである)から独立して選択され;
mは、0〜50の整数であり;
nは、1〜60の整数であり;
pは、2〜6の整数であり;
Bは、z価のビニル末端多官能基化剤B(−V)
z(式中、
zは、3〜6の整数であり;
各Vは、チオール基と反応性の末端基を含む基である)
のコアを表し;
各−V’−は、−Vとチオールとの反応に由来する基であり;
各−R
6’−は、末端マレイミド基、及びチオール基と反応性の基を有する化合物に由来する基であり;
各R
9−は、末端ヒドロキシル基を有する部分である}。
【0157】
式(14a)及び式(14b)のある特定の実施形態において、各R
9は、−S−R
11−OHであり、ここで、R
11は、本明細書で定義されている。
【0158】
式(14a)及び式(14b)のヒドロキシル末端硫黄含有マレイミド付加体のある特定の実施形態において、各R
6’は、ビスマレイミド、例えば1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)に由来する基である。したがって、ある特定の実施形態において、R
6’は、構造:
【化12】
を有する。
【0159】
ある特定の実施形態において、組成物は、1種又は複数のヒドロキシル末端硫黄含有マレイミド付加体及び1種又は複数のポリイソシアナート硬化剤を含む。好適なイソシアナート硬化剤の例には、トルエンジイソシアナート、及び前述の任意の組合せが含まれる。イソシアナート硬化剤は、市販されており、例えば、Baydur(登録商標)(Bayer MaterialScience)、Desmodur(登録商標)(Bayer MaterialScience)、Solubond(登録商標)(DSM)、ECCO(ECCO)、Vestanat(登録商標)(Evonik)、Irodur(登録商標)(Huntsman)、Rhodocoat(商標)(Perstorp)、及びVanchem(登録商標)(V.T.Vanderbilt)の商品名の下での製品がある。
【0160】
アミン末端硫黄含有マレイミド付加体は、式(8a)又は式(8b)の付加体などの本開示により提供される硫黄含有マレイミド付加体を、末端チオール基及び末端アミン基を有する化合物と反応させることによって調製されてもよい。ある特定の実施形態において、末端チオール基及び末端アミン基を有する化合物は、構造HS−R
11−N(R
12)Hを有し、ここで、R
11は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、C
6〜8アレーンジイル、C
6〜10アルカンアレーンジイル、C
5〜8ヘテロアレーンジイル、及び−[−(CHR
3)
s−X−]
q−(CHR
3)
r−(式中、q、r、s、X、及びR
3は、式(11)について定義されている)から選択される。ある特定の実施形態において、R
12は、水素及びC
1〜3アルキルから選択され、特定の実施形態において、R
12は水素である。ある特定の実施形態において、アミン末端硫黄含有マレイミド付加体は、Permapol(登録商標)3.1E、チオール末端ポリチオエーテルブレンドに由来するものである。反応は、触媒の存在下で約25℃〜約50℃の温度で行なわれてもよい。
【0161】
ある特定の実施形態において、アミン末端硫黄含有マレイミド付加体は、式(14a)のアミン末端ポリチオエーテル付加体、式(14b)のアミン末端ポリチオエーテル付加体、又はそれらの組合せを含む:
R
9−R
6’−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−R
6’−R
9 (14a)
{R
9−R
6’−S−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−(R
2−O)
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n−S−V’−}
zB (14b)
{式中、
各R
1は独立して、C
2〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−[式中、
sは、2〜6の整数であり;
qは、1〜5の整数であり;
rは、2〜10の整数であり;
各R
3は、水素及びメチルから独立して選択され;
各Xは、−O−、−S−、及び−NR−(式中、Rは、水素及びメチルから選択される)から独立して選択される]
から選択され;
各R
2は、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3−)
s−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(式中、s、q、r、R
3、及びXは、R
1について定義された通りである)から独立して選択され;
mは、0〜50の整数であり;
nは、1〜60の整数であり;
pは、2〜6の整数であり;
Bは、z価のビニル末端多官能基化剤B(−V)
z(式中、
zは、3〜6の整数であり;
各Vは、チオール基と反応性の末端基を含む基である)
のコアを表し;
各−V’は、−Vとチオールとの反応に由来する基であり;
各−R
6’−は、末端マレイミド基、及びチオール基と反応性の基を有する化合物に由来する基であり;
各R
9−は、末端アミン基を有する部分である}。
【0162】
ある特定の実施形態において、R
9は、−S−R
11−N(R
12)Hであり、式(14a)及び式(14b)の特定の実施形態において、R
9は、−S−R
11−NH
2である。
【0163】
式(14a)及び式(14b)のアミン末端硫黄含有マレイミド付加体のある特定の実施形態において、各R
6’は、ビスマレイミド、例えば、1,1’−(メチレンビス(4,1−フェニレン)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)に由来する基である。したがって、ある特定の実施形態において、R
6’は、構造:
【化13】
を有する。ある特定の実施形態において、組成物は、本明細書で開示されるもののいずれかなどの、1種又は複数のアミン末端硫黄含有マレイミド付加体及び1種又は複数のポリイソシアナート硬化剤を含む。
【0164】
追加の成分
本開示により提供される組成物は、1種又は複数の触媒を含んでもよい。活性化アルケニル基などのマイケル受容体とチオール基との間の反応における使用のために適当な触媒には、アミンなどの塩基性触媒、特に第三級アミンが含まれる。好適なアミン触媒の例には、例えば、トリエチレンジアミン(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO)、ジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、ビス−(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、N,N,N’−トリメチル−N’−ヒドロキシエチル−ビス(アミノエチル)エーテル、及びN’−(3−ジメチルアミノ)プロピル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンが含まれる。
【0165】
エポキシを含む組成物において、組成物は、本明細書で開示されるもののいずれかのなどのアミン触媒を含む、塩基性触媒を含んでもよい。
【0166】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、1種又は複数の接着促進剤を含む。接着促進剤は、組成物の全乾燥重量に対して、組成物の0.1重量%〜15重量%、5重量%未満、2重量%未満、ある特定の実施形態において、1重量%未満の量で存在してもよい。接着促進剤の例には、フェノール樹脂(phenolics)、例えば、Methylon(登録商標)フェノール樹脂、及び有機シラン類、例えば、エポキシ、メルカプト又はアミノ官能性シラン、例えば、Silquest(登録商標)A−187及びSilquest(登録商標)A−1100が含まれる。他の有用な接着促進剤は、当技術分野で公知である。
【0167】
本開示により提供される組成物は、1種又は複数の種々のタイプの充填剤を含んでもよい。好適な充填剤には、無機充填剤、例えば、カーボンブラック及び炭酸カルシウム(CaCO
3)、シリカ、ポリマー粉末、及び軽量充填剤を含めて、当技術分野で一般的に公知のものが含まれる。好適な軽量充填剤には、例えば、米国特許第6,525,168号に記載されたものが含まれる。ある特定の実施形態において、組成物は、組成物の全乾燥重量に対して、5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、ある特定の実施形態において、20重量%〜40重量%の充填剤又は充填剤の組合せを含む。本開示により提供される組成物は、1種又は複数の着色剤、チキソトロープ剤(thixotropic agent)、促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶媒、マスキング剤、又は前述の任意の組合せをさらに含んでもよい。理解され得るように、組成物中で用いられる充填剤及び添加剤は、ポリマー成分、硬化剤、及び又は触媒と同様に、互いに適合性であるように選択されてもよい。
【0168】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、組成物の比重を低下させる際に有効である少なくとも1種の充填剤を含む。ある特定の実施形態において、組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85、ある特定の実施形態において、0.8である。ある特定の実施形態において、組成物の比重は、約0.9未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、ある特定の実施形態において、約0.55未満である。
【0169】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、低密度充填剤粒子を含む。本明細書で使用される場合、低密度は、このような粒子に関連して使用される場合、粒子が0.7以下、ある特定の実施形態において、0.25以下、ある特定の実施形態において、0.1以下の比重を有することを意味する。好適な軽量充填剤粒子は、しばしば2つのカテゴリ−ミクロスフェア及び非晶質粒子の範囲内に入る。ミクロスフェアの比重は、0.1〜0.7の範囲であってもよく、例えば、ポリスチレンフォーム、ポリアクレート及びポリオレフィンのミクロスフェア、並びに5〜100ミクロンの範囲の粒径及び0.25の比重を有するシリカミクロスフェア(Eccospheres(登録商標))がある。他の例には、5〜300ミクロンの範囲の粒径及び0.7の比重を有するアルミナ/シリカミクロスフェア(Fillite(登録商標))、約0.45〜約0.7の比重を有するケイ酸アルミニウムミクロスフェア(Z−Light(登録商標))、0.13の比重を有する炭酸カルシウム被覆ポリビニリデンコポリマーミクロスフェア(Dualite(登録商標)6001AE)、並びに約40μmの平均粒径及び0.135g/ccの密度を有する、Dualite(登録商標)E135などの炭酸カルシウム被覆アクリロニトリルコポリマーミクロスフェア(Henkel)が含まれる。組成物の比重を低下させるための好適な充填剤には、例えば、Expancel(登録商標)ミクロスフェア(AkzoNobelから入手可能)、又はDualite(登録商標)低密度ポリマーミクロスフェア(Henkelから入手可能)などの中空ミクロスフェアが含まれる。ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、その引用部分が参照により組み込まれる、米国特許出願公開第2010/0041839号の段落[0016]〜[0052]に記載されたものなどの、薄いコーティングで被覆された外面を含む軽量充填剤粒子を含む。
【0170】
ある特定の実施形態において、低密度充填剤は、組成物の2重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、ある特定の実施形態において、組成物の0.5重量%未満を含み、ここで、重量%は、組成物の全乾燥固体重量に基づく。
【0171】
ある特定の実施形態において、本開示によって提供される組成物は、導電性充填剤を含む。導電率及びEMI/RFIシールド効果は、ポリマー内に導電性材料を取り入れることによって組成物に付与され得る。導電性要素は、例えば、金属又は金属めっき粒子、ファブリック、メッシュ、繊維、及びそれらの組合せが含まれ得る。金属は、例えば、フィラメント、粒子、フレーク、又は球状物の形態であり得る。金属の例には、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、及び鋼が含まれる。ポリマー組成物にEMI/RFIシールド効果を付与するために使用され得る他の導電性材料には、カーボン又は黒鉛を含む導電性粒子又は繊維が含まれる。導電性ポリマー、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、及びポリアセチレンも使用され得る。
【0172】
導電性充填剤には、高バンドギャップ材料、例えば、硫化亜鉛及び無機バリウム化合物も含まれる。
【0173】
導電性充填剤の他の例には、導電性貴金属系充填剤、例えば、純銀;貴金属めっき貴金属、例えば、銀めっき金;貴金属めっき非貴金属、例えば、銀めっき銅、ニッケル又はアルミニウム、例えば、銀めっきアルミニウムコア粒子又は白金めっき銅粒子;貴金属メッキガラス、プラスチック又はセラミックス、例えば、銀めっきガラスミクロスフェア、貴金属めっきアルミニウム又は貴金属めっきプラスチックミクロスフェア;貴金属めっきマイカ;及び他のこのような貴金属導電性充填剤が含まれる。非貴金属系材料も使用することができ、例えば、非貴金属めっき非貴金属、例えば、銅被覆鉄粒子又はニッケルめっき銅;非貴金属、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト;非貴金属めっき非金属、例えば、ニッケルめっき黒鉛並びに非金属材料、例えば、カーボンブラック及び黒鉛などがある。導電性充填剤の組合せも、所望の導電率、EMI/RFIシールド効果、硬度、及び特定の用途に適した他の特性を満たすために使用され得る。
【0174】
本開示の組成物で使用される導電性充填剤の形状及びサイズは、硬化組成物に導電率及び/又はEMI/RFIシールド効果を与えるために任意の適当な形状及びサイズであり得る。例えば、充填剤は、球形、薄片、小板、粒子、粉末、不定形、繊維などを含めて、導電性充填剤の製造に一般的に使用される任意の形状のものであり得る。本開示のある特定のシーラント組成物において、ベース組成物は、粒子、粉末又は薄片としてNi被覆黒鉛を含み得る。ある特定の実施形態において、ベース組成物中のNi被覆黒鉛の量は、ベース組成物の全重量に対して、40重量%〜80重量%、ある特定の実施形態において、50重量%〜70重量%の範囲であり得る。ある特定の実施形態において、導電性充填剤は、Ni繊維を含み得、Ni繊維は、10μm〜50μmの範囲の直径を有し、250μm〜750μmの範囲の長さを有し得る。ベース組成物は、例えば、ベース組成物の全重量に対して、2重量%〜10重量%、ある特定の実施形態において、4重量%〜8重量%の範囲のNi繊維の量を含み得る。
【0175】
炭素繊維、特に黒鉛化カーボン繊維も、本開示の組成物に導電率を付与するために使用され得る。気相熱分解法により形成され、熱処理により黒鉛化され、0.1ミクロン〜数ミクロンの範囲の繊維直径を有する中空又は中実である炭素繊維は、高導電率を有する。米国特許第6,184,280号に開示されたように、0.1μm未満〜数十ナノメートルの外径を有する炭素ミクロ繊維、ナノチューブ又は炭素フィブリルは、導電性充填剤として使用され得る。本開示の導電性組成物に適した黒鉛化炭素繊維の一例には、0.00055Ω−cmの電気抵抗率を有する0.921μm直径円形繊維である、Panex(登録商標)3OMF(Zoltek Companies,Inc.、St.Louis、Mo)が含まれる。
【0176】
導電性充填剤の平均粒径は、ポリマーベース組成物に導電率を付与するために有用な範囲内であり得る。例えば、ある特定の実施形態において、1種又は複数の充填剤の粒径は、0.25μm〜250μmの範囲であり得、特定の実施形態において、0.25μm〜75μmの範囲であり得、ある特定の実施形態において、0.25μm〜60μmの範囲であり得る。ある特定の実施形態において、本開示の組成物は、1000〜11500mg/gのヨウ素吸収度(J0/84−5試験法)、及び480〜510cm
3/100グラムの細孔容積(DBP吸収、KTM81−3504)を特徴とする導電性カーボンブラックである、Ketjen Black EC−600JD(Akzo Nobel,Inc.、Chicago、Ill.)を含み得る。ある特定の実施形態において、導電性カーボンブラック充填剤は、Black Pearls 2000(Cabot Corporation、Boston、Mass.)である。
【0177】
ある特定の実施形態において、導電性ポリマーは、本開示の組成物の導電率を付与又は改良するために使用され得る。ポリフェニレンスルフィド、及びポリチオフェンにおけるように、芳香族基に組み込まれた又は二重結合に隣接する硫黄原子を有するポリマーは、導電性であることが公知である。他の導電性ポリマーには、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、及びポリアセチレンが含まれる。ある特定の実施形態において、ベース組成物を形成する硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィド、硫黄含有ポリホルマール、及び/又はポリチオエーテルであり得る。したがって、硫黄含有ポリマーは、本開示の組成物の導電率を増強するために芳香族硫黄基、及び共役二重結合に隣接する硫黄原子を含み得る。
【0178】
本開示の組成物は、2種以上の導電性充填剤を含み得、2種以上の導電性充填剤は、同じ又は異なる物質及び/又は形状のものであり得る。例えば、シーラント組成物は、導電性Ni繊維、及び粉末、粒子又は薄片の形態の導電性Ni被覆黒鉛を含み得る。導電性充填剤の量及びタイプは、硬化される場合に、0.50Ω/cm
2未満のシート抵抗(4点抵抗)、ある特定の実施形態において、0.15Ω/cm
2未満のシート抵抗を示すシーラント組成物をもたらすように選択され得る。充填剤の量及びタイプも、本開示のシーラント組成物を使用してシールされた開口部(aperture:隙間)に対して1MHz〜18GHzの周波数範囲にわたる有効EMI/RFIシールドを与えるように選択され得る。
【0179】
ある特定の実施形態において、導電性ベース組成物は、ベース組成物の全重量に基対して、2重量%〜10重量%の範囲の非導電性充填剤の量を含み得、ある特定の実施形態において、3重量%〜7重量%であり得る。ある特定の実施形態において、硬化剤組成物は、硬化剤組成物の全重量に対して、6重量%未満の範囲、ある特定の実施形態において、0.5重量%〜4重量%の範囲の非導電性充填剤の量を含み得る。
【0180】
異種金属表面のガルバニック腐食は、本開示の導電性組成物に腐食防止剤を添加することによって、及び/又は適当な導電性充填剤を選択することによって最小限にされ又は防止され得る。ある特定の実施形態において、腐食防止剤には、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム及びそれらの組合せが含まれる。米国特許第5,284,888号及び米国特許第5,270,364号には、アルミニウム及び鋼表面の腐食を防止するための芳香族トリアゾールの使用が開示されている。ある特定の実施形態において、Znなどの犠牲酸素捕捉剤(sacrificial oxygen scavenger)が、腐食防止剤として使用され得る。ある特定の実施形態において、腐食防止剤は、導電性組成物の全重量の10重量%未満を含み得る。ある特定の実施形態において、腐食防止剤は、導電性組成物の全重量の2重量%〜8重量%の範囲の量を含み得る。異種金属表面間の腐食も、組成物を含む導電性充填剤のタイプ、量、及び特性の選択により最小限にされ又は防止され得る。
【0181】
ある特定の実施形態において、硫黄含有ポリマー及び/又は硫黄含有ポリマーマイケル受容体付加体は、組成物の約50重量%〜90重量%、約60重量%〜約90重量%、約70重量%〜約90重量%、ある特定の実施形態において、組成物の約80重量%〜約90重量%を占め、ここで、重量%は、組成物の全乾燥固体重量に基づく。
【0182】
組成物はまた、要望通りにいくつでも添加剤を含んでもよい。好適な添加剤の例には、可塑剤、顔料、界面活性剤、接着促進剤、チキソトロープ剤、難燃剤、マスキング剤、及び促進剤(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO(登録商標)を含めて、アミンなど)、及び前述の任意の組合せが含まれる。使用される場合、添加剤は、例えば、約0重量%〜60重量%の範囲の量で組成物中に存在してもよい。ある特定の実施形態において、添加剤は、約25重量%〜60重量%の範囲の量で組成物中に存在していてもよい。
【0183】
用途
本開示により提供される組成物は、例えば、シーラント、コーティング、封入剤(カプセル化剤)、及びポッティング組成物(potting composition:注封用組成物)中で使用されてもよい。シーラントは、湿度及び温度などの操作条件に耐え、水、燃料、並びに他の液体及び気体などの物質の透過を少なくとも部分的に阻止する能力を有するフィルムを生成することができる組成物を含む。コーティング組成物には、基材の特性、例えば、外観、接着性、濡れ性、耐食性、耐磨耗性(wear resistance)、耐燃料性、及び/又は磨耗抵抗(abrasion resistance)を改善するために、基材の表面に適用されるカバーリングが含まれる。ポッティング組成物には、衝撃及び振動に耐性を与え、湿度及び腐食剤を排除するのに電子アセンブリで有用な材料が含まれる。ある特定の実施形態において、本開示によって提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙用シーラント及び燃料タンク用ライニングとして有用である。
【0184】
ある特定の実施形態において、シーラントなどの組成物は、多液型組成物(マルチパック組成物)、例えば、2液型組成物として提供されてもよく、ここで、1つのパッケージは本開示により提供される1種又は複数のチオール末端ポリチオエーテルを含み、第2のパッケージは本開示により提供される1種又は複数の多官能性硫黄含有エポキシドを含む。添加剤及び/又は他の材料が、要望又は必要に応じて、いずれかのパッケージに添加されてもよい。2つのパッケージは、使用前に組み合わせ及び混合されてもよい。ある特定の実施形態において、1種又は複数の混合されたチオール末端ポリチオエーテル及びエポキシドのポットライフは、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、ある特定の実施形態において、2時間超であり、ここで、ポットライフは、混合された組成物が混合後のシーラントとしての使用に適したままである期間を指す。
【0185】
本開示により提供される、シーラントを含めた組成物は、様々な基材のいずれに適用されてもよい。組成物が適用されてもよい基材の例には、金属、例えば、チタン、ステンレス鋼、及びアルミニウム(これらのいずれも、陽極酸化、下地処理、有機被覆又はクロム酸塩被覆されてもよい);エポキシ;ウレタン;黒鉛;ガラス繊維複合材;Kevlar(登録商標);アクリル樹脂;及びポリカーボナートが含まれる。ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、基材上のコーティング、例えば、ポリウレタンコーティングに適用されてもよい。
【0186】
本開示により提供される組成物は、当業者に公知の任意の適切なコーティングプロセスによって基材の表面上に直接又は下層の上に適用されてもよい。
【0187】
さらに、本開示により提供される組成物を用いて開口部をシールするための方法が提供される。これらの方法は、例えば、開口部をシールするために本開示により提供される組成物を表面に適用し、組成物を硬化させることを含む。ある特定の実施形態において、開口部をシールするための方法は、(a)開口部を画定する1つ又は複数の表面に本開示により提供されるシーラント組成物を適用し、(b)開口部を画定する複数の表面を組み合わせ、(c)シーラントを硬化させて、シールされた開口部を与えることを含む。ある特定の実施形態において、開口部をシールする方法は、(a)開口部を画定する1つ又は複数の表面に本開示により提供されるシーラント組成物を適用し、(b)シーラントを硬化させて、シールされた開口部を与えることを含む。
【0188】
ある特定の実施形態において、組成物は、周囲条件下で硬化されてもよく、ここで、周囲条件は、20℃〜25℃の温度、及び大気湿度を指す。ある特定の実施形態において、組成物は、0℃〜100℃の温度及び0%相対湿度〜100%相対湿度を包含する条件下で硬化されてもよい。ある特定の実施形態において、組成物は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、ある特定の実施形態において、少なくとも50℃などの比較的高い温度で硬化されてもよい。ある特定の実施形態において、組成物は、室温、例えば、25℃で硬化されてもよい。ある特定の実施形態において、組成物は、化学線、例えば、紫外線への曝露の手段により硬化されてもよい。やはり理解されるように、この方法は、航空機及び航空宇宙機を含めた航空宇宙機上の開口部をシールするために使用されてもよい。
【0189】
ある特定の実施形態において、組成物は、約200°F未満の温度で、約2時間未満、約4時間未満、約6時間未満、約8時間未満、ある特定の実施形態において、約10時間未満でタックフリー硬化(tack−free cure)を達成する。
【0190】
本開示の硬化性組成物を使用して実行可能なシールを形成する時間は、当業者によって理解され得るように、また適用可能な規格及び仕様書の要件により規定されるように、いくつかの要因に依存し得る。一般的に、本開示の硬化性組成物は、混合及び表面への適用に続いて、接着強度を24時間〜30時間以内に発現させ、完全接着強度の90%が2日〜3日で得られる。一般的に、本開示の硬化組成物(硬化済み組成物)の完全接着強度及び他の特性は、混合及び表面への硬化性組成物の適用に続いて7日以内に充分に発現するに至る。
【0191】
本明細書で開示される硬化組成物、例えば硬化シーラント(硬化済みシーラント)は、航空宇宙用途における使用に許容される特性を示す。一般的に、航空及び航空宇宙用途で使用されるシーラントは、以下の特性、すなわち、JRFタイプIへの7日間の浸漬後、及び航空宇宙材料仕様書(Aerospace Material Specification)(AMS)3265B試験仕様書に従う3%NaClの溶液中浸漬後、乾燥条件下で決定されたAMS3265B基材上で直線1インチ当たり20ポンド(pli)超の剥離強度;1平方インチ当たり300ポンド(psi)〜400psiの引張り強度;直線1インチ当たり50ポンド(pli)を超える引裂き強度;250%〜300%の伸び;及び40デュロメータAを超える硬度を示すことが望ましい。航空及び航空宇宙用途に適当なこれらの及び他の硬化シーラント特性は、AMS3265Bに開示されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。硬化される場合、航空及び航空宇宙用途に使用される本開示の組成物は、JRFタイプI中60℃(140°F)及び周囲圧力で1週間浸漬後、25%を超えない体積膨潤パーセントを示す。他の特性、範囲、及び/又は閾値は、他のシーラント用途に適切であり得る。
【0192】
したがって、ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、耐燃料性である。本明細書で使用される場合、用語「耐燃料性」は、組成物が、基材に適用され、硬化される場合、ASTM D792(米国材料試験協会)又はAMS3269(航空宇宙材料仕様書)に記載されるものと同様の方法に従って、ジェット基準流体(Jet Reference Fluid)(JRF)タイプIにおいて、140°F(60℃)及び周囲圧力で1週間浸漬後、40%を超えない、一部の場合に25%を超えない、一部の場合に20%を超えない、なお他の場合に10%を超えない体積膨潤パーセントを示す硬化生成物、例えば、硬化シーラントを与え得ることを意味する。耐燃料性の決定に用いられる、ジェット基準流体(JRF)タイプIは、以下の組成、すなわち、トルエン:28±1体積%;シクロヘキサン(工業グレード):34±1体積%;イソオクタン:38±1体積%;及び第三級ジブチルジスルフィド:1%±0.005体積%を有する(SAE(自動車技術者協会)から入手可能な、1989年7月1日に発行された、AMS2629、§3.1.1などを参照されたい)。
【0193】
ある特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1、§7.7に記載された手順に従って測定された場合、少なくとも100%の引張り伸び及び少なくとも400psiの引張り強度を示す硬化生成物、例えば、硬化シーラントを与える。
【0194】
ある特定の実施形態において、組成物は、SAE AS5127/1段落7.8に記載された手順に従って測定された場合、200psiを超える、例えば、少なくとも220psi、少なくとも250psi、一部の場合に、少なくとも400psiのラップ剪断強度を示す硬化生成物、例えば、硬化シーラントを与える。
【0195】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物を含む硬化シーラントは、AMS3277で示される通りの航空宇宙用シーラントのための要件を満たし、又はそれを超える。
【0196】
本開示により提供される組成物でシールされた、航空宇宙機の開口部を含めた開口部も開示される。
【0197】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される硬化シーラントは、室温で2日間、140°Fで1日間及び200°Fで1日間硬化される場合に、以下の特性、すなわち、49の乾燥硬度、428psiの引張り強度、及び266%の伸び;並びに、JRFタイプI中7日後に、36の硬度、312psiの引張り強度、及び247%の伸びを示す。
【0198】
ある特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、10を超える、20を超える、30を超える、ある特定の実施形態においては40を超えるショアA硬度(7日間硬化後);10psiを超える、100psiを超える、200psiを超える、ある特定の実施形態においては500psiを超える引張り強度;100%を超える、200%を超える、500%を超える、ある特定の実施形態においては1,000%を超える伸び;並びに20%未満のJFRタイプIに曝露(7日間)後の膨潤を示す。
【実施例】
【0199】
本開示により提供される実施形態は、以下の諸例を参照することによって、更に例証され、それにより、特定の硫黄含有ポリマー、マレイミド付加体、並びに、硫黄含有ポリマー、マレイミド付加体、及びマレイミドを含む組成物についての合成、特性及び使用を説明する。本開示の範囲を逸脱することなく、材料及び方法の両方について、多くの変更形態が実施され得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0200】
例1
チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーの合成
50ガロン反応器中にて、128ポンドのジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)及び173ポンドのジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)を、6ポンドのトリアリルシアヌレート(TAC)と混合し、77℃に加熱した。加熱された混合物に、0.2ポンドのアゾビスニトリル・フリーラジカル触媒(Vazo(登録商標)67、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、DuPont社)を加えた。反応は、24時間後に実質的に完了するまで進行し、メルカプタン当量重量1,522を有する液体チオール末端樹脂が得られた。
【0201】
例2
マレイミド末端ポリチオエーテルプレポリマーの合成
1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)−ビスマレイミド(MDPBM、8.96グラム、0.05当量)を、500mlの3つ口丸底フラスコに入れ、続いてテトラヒドロフラン(THF、81g)を加えた。フラスコに、メカニカルスターラー、窒素導入口に接続された還流冷却器、及び温度プローブを装着した。攪拌しつつTHFの沸点にて加熱することで、明澄な溶液が得られた。この温かい溶液に、エタノール(41.34グラム)をゆっくりと導入した。2.21の官能性を有するメルカプタンキャップのポリチオエーテル(39.68g、0.0025当量)のTHF(約42g)溶液を、1時間15分の期間にわたり、42℃〜23℃の温度で滴下した。内容物を22時間68℃で加熱した。メルカプタン当量の高い値(532,200)は、反応の完了を示した。常圧蒸留及び減圧蒸留(7−8mmHg)により溶液を除いた。トルエン及びメチルエチルケトン(16.2g)の混合物(1:1v/v)を攪拌しながら導入し、残留物を溶解させ、75%濃度;オレフィン当量重量:2594(計算値);粘度:121P(ブルックフィールドキャップ2000;スピンドルナンバー:6;rpm:100)の溶液を得た。生成物は、マレイミド末端ポリチオエーテルであった。
【0202】
例3
シーラント組成物
例2のマレイミド末端プレポリマー(18.68グラム、0.0072当量)を、混合カップ(サイズ:60g;Hauschildミキサー;モデル:DAC 600FVZ)に入れた。炭酸カルシウム(Socal(登録商標)N2R;16.53グラム)を3回に分け、それぞれにつき30秒間Hauschildミキサー中で混合することで添加した。内容物を、Hauschildミキサー中で混合し(4分間2回)、次いで手動で混合し、さらにHauschildミキサー中で4分間混合した。混合物を開放状態で1.5時間放置し、溶媒を蒸発させた。2.21の官能性を有するメルカプタンキャップのポリチオエーテル(10.28g、0.0065当量)及びもう一つの2.8の官能性を有するメルカプタンキャップのポリチオエーテル(1.14g、0.0007当量;両方のポリマーはPPG Aerospace社から入手できる)を加えた。内容物を手動で混合し、次いでHauschildミキサー中で30秒間混合し、試験片をおおよそ3インチ×5インチの寸法で作製した。この試験片を、室温で20時間、60℃で9時間および93℃で16時間の硬化サイクルに供した。硬化シーラントは、次の特性を有していた;硬度:57(ショアA);引張強さ:693psi;伸び:413パーセント。
【0203】
例4
シーラント組成物
例2のマレイミド末端プレポリマー(11.63グラム)を、混合カップ(サイズ:60g;Hauschildミキサー;モデル:DAC 600FVZ)に入れた。炭酸カルシウム(Socal(登録商標)N2R;19.27グラム)を3回に分け、それぞれにつき30秒間Hauschildミキサー中で混合することで添加した。内容物を、Hauschildミキサー中で混合し(4分間2回)、次いで手動で混合し、さらにHauschildミキサー中で4分間混合した。混合物を開放状態で1.5時間放置し、溶媒を蒸発させた。メルカプタンキャップのポリチオエーテル(20.18g、PPG Aerospace社から入手可能なPermapol(登録商標)3.1E)を加えた。内容物を手動で混合し、次いでHauschildミキサー中で30秒間混合し、試験片をおおよそ3インチ×5インチの寸法で作製した。この試験片を、室温で2日間および60℃で1日間の硬化サイクルに供した。硬化シーラントは、次の特性を有していた;硬度:62(ショアA);引張強さ:682psi;伸び:420パーセント。
【0204】
比較例1
チオール末端ポリチオエーテルによるシーラント組成物
比較用のシーラント組成物を、その全体が参照により組み込まれる米国特許第6,172,179号明細書の例14に記載された手順を用いて調製した。
【0205】
2Lフラスコ中にて、524.8グラム(3.32モル)のジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)及び706.7グラム(3.87モル)のジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)を、19.7グラム(0.08モル)のトリアリルシアヌレート(TAC)と混合し、77℃に加熱した。加熱混合物に、4.6グラム(0.024モル)のアゾビスニトリル・フリーラジカル触媒(Vazo(登録商標)67、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、DuPont社から市販)を加えた。反応は2時間後に実質的に完了するまで進行し、T
g−68℃及び粘度65ポアズを有する液体ポリチオエーテル樹脂1250g(0.39モル、収率100%)を得た。樹脂は、かすかに黄色であり、臭気が低かった。
【0206】
DMDO/DEG−DVEポリチオエーテルポリマーを含むシーラント組成物を、以下の配合(重量部pbwによる量)により調合した:前の段落にて調製されたポリチオエーテル100重量部;炭酸カルシウム60重量部;酸化マグネシウム1重量部;フェノール樹脂1重量部;DMP−30、1重量部;イソプロピルアルコール3重量部。
【0207】
調合されたポリチオエーテルポリマー組成物を、22重量%のエポキシノボラック、34重量%のヒダントイン型エポキシ、34重量%の炭酸カルシウム、5重量%のカーボンブラック、および5重量%のシラン接着促進剤からなるエポキシ樹脂硬化剤と、10:1の重量比で混合し、周囲温度及び湿度で硬化させた。硬化組成物につき、以下の物性が得られた:25℃での硬化硬度60ショアA;引張破断強度550psi;破断伸び600%;ノッチ引裂強度(notched tear strength)100p/I;低温柔軟性についてAMS3267§4.5.4.7低温柔軟性試験に合格。
【0208】
最後に、本明細書に開示された実施形態を実施するための代替的方法群が存在することに注目すべきである。従って、本実施形態は、例証として把握されるべきであり、限定的なものとして把握されるべきではない。さらに、本特許請求の範囲は、本明細書に記載された詳細な事項に限定されるべきではなく、その範囲の全体及びその等価物に権利が与えられるべきである。