(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-537034(P2016-537034A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】磁束照射装置および構成要素
(51)【国際特許分類】
A61N 2/02 20060101AFI20161104BHJP
【FI】
A61N2/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-515559(P2016-515559)
(86)(22)【出願日】2014年9月22日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月26日
(86)【国際出願番号】JP2014075767
(87)【国際公開番号】WO2015041374
(87)【国際公開日】20150326
(31)【優先権主張番号】特願2013-196117(P2013-196117)
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000208695
【氏名又は名称】第一高周波工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505077264
【氏名又は名称】株式会社ナノセラピー研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】平山 鋼太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮田 周一郎
【テーマコード(参考)】
4C106
【Fターム(参考)】
4C106AA03
4C106BB21
4C106CC03
4C106FF04
(57)【要約】
本開示は、電流がコイルに供給されたときに該コイルの一端部から磁束を照射するように構成されたコイル内に位置決めされた磁心を有する磁束照射装置に関する。筒状のコイルと、光透過路を含む磁心とを含む、磁束照射装置が提供される。磁心もまた提供される。このような装置を用いる方法およびシステムもまた提供される。この光透過路は、被照射部に入射する光または被照射部から放射された熱放射を透過させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束照射装置であって、
筒状のコイルと、
前記筒状のコイル内に配置され、かつ前記コイルの軸線に平行である磁心であって、前記磁心は、前記磁心内に形成され、かつ前記磁心の第1の端部から前記磁心の第2の端部まで横断する、光透過路を有する、磁心と
を含み、
前記磁束照射装置は、前記筒状のコイルに供給された電流に応答して、前記磁心の前記第1の端部から磁束を照射するように構成されており、
前記光透過路は、前記磁心の前記第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部に入射する光、または前記磁心の前記第1の端部に対向するように位置決めされた前記被照射部から放射された熱放射、または両方を透過させるように構成されている、装置。
【請求項2】
前記磁心は、前記磁心の前記第1の端部を規定する小断面の柱状部に隣接する大断面の柱状部を含み、
前記光透過路は、前記小断面積の柱状部および前記大断面積の柱状部を通過するように構成されている、請求項1に記載の磁束照射装置。
【請求項3】
前記筒状のコイルは、内部空洞を規定し、
前記磁心は、前記筒状のコイルの前記内部空洞内の周囲に均等に配置された複数の柱状磁心要素を含み、
前記光透過路は、前記複数の磁心要素の周配向内の中心領域を通過するように構成されている、請求項1に記載の磁束照射装置。
【請求項4】
前記磁心の前記第2の端部に位置決めされたレーザ構成要素をさらに含み、
前記レーザ構成要素は、前記磁心の前記第2の端部から前記磁心の前記第1の端部まで前記光透過路をレーザ光に透過させるように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁束照射装置。
【請求項5】
前記磁心の前記第2の端部に位置決めされた放射温度計をさらに含み、前記放射温度計は、前記被照射部から放射されて前記磁心の前記第1の端部から前記磁心の前記第2の端部まで前記光透過路を透過させられた熱放射を検出し、かつ前記検出された熱放射に基づいて前記被照射部の表面温度を計測するように構成されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁束照射装置。
【請求項6】
前記大断面の柱状部および前記小断面の柱状部は、単一の磁心構成要素である、請求項2に記載の磁束照射装置。
【請求項7】
前記大断面の柱状部および前記小断面の柱状部は、2つの隣接する磁心構成要素である、請求項2に記載の磁束照射装置。
【請求項8】
前記光透過路は、前記筒状のコイルの前記軸線に平行に形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁束照射装置。
【請求項9】
前記光透過路は、前記筒状のコイルの中心に形成されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁束照射装置。
【請求項10】
システムであって、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁束照射装置と、
前記磁束照射装置の前記筒状のコイルに電流を供給するように構成されている電力供給部と、
前記磁束照射装置の動作を制御すること、またはその上で前記磁束照射装置が用いられている被照射部を監視することから得られたデータを処理すること、または両方を行うように構成されている、コンピュータと
を含む、システム。
【請求項11】
前記電力供給部は、交流電流を供給するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピュータは、前記被照射部を監視することから得られたビジュアルデータまたは温度データを処理するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
磁束によって被照射部を照射するための方法であって、
前記方法は、
(a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁束照射装置を提供することと、
(b)前記光透過路を用いて前記磁心の前記第1の端部に対向するように被照射部を位置決めして、被照射部の位置を決定することと、
(c)前記筒状のコイルに電流を供給して、前記磁心の前記第1の端部から前記被照射部まで放射される前記磁心上の磁束を生成することにより、磁束によって前記被照射部を照射することと
を含む、方法。
【請求項14】
前記被照射部は、前記筒状のコイルの前記軸線上に位置決めされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記被照射部は、前記磁心の前記第2の端部から前記磁心の前記第1の端部までの前記光透過路を通してレーザ光を前記被照射部へと透過させる前記レーザ構成要素を用いて位置決めされる、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記被照射部の表面の温度は、前記被照射部の照射の以前、最中、または以後に、前記放射温度計を用いて監視され、
前記放射温度計は、前記被照射部から放射されて前記磁心の前記第1の端部から前記磁心の前記第2の端部まで前記光透過路を透過させられた熱放射を検出し、かつ前記検出された熱放射に基づいて前記被照射部の表面温度を計測する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記被照射部は、前記磁心の前記第1の端部から5mm〜15cmに位置決めされている、請求項13〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記磁心の前記第1の端部から放射された前記磁束は、約0.1mT〜30mTの磁束密度を有する、請求項13〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記被照射部は、磁束に曝されたときに熱する感磁発熱体微粒子を含む、請求項13〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記被照射部は、照射対象物の腫瘍部位である、請求項13〜19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電流がコイルに供給されたときに該コイルの一端部から磁束を照射するように構成されたコイル内に位置決めされた磁心を有する磁束照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、局部温熱療法(例えば、ハイパーサーミア治療法)において、患部を局所的に熱するために、磁束照射装置が用いられている。具体的には、磁束照射装置は、筒状のコイルと、当該コイルの内部に当該コイルの軸線に平行に挿入された磁心とを有する。磁心の一端部が患部に対向して配置された場合に交流電流がコイルに供給されたとき、磁心の一端部から患部に対して交番磁束が照射される。患部に提供された感磁発熱体微粒子が発熱し、患部が加熱されて、治療を達成する。
【0003】
このような磁束照射装置において、磁心の一端部から軸方向に放射される磁束密度は、コイルの軸線から離れるにつれて大きく減衰する。そのため、磁心の一端部から放射される磁束を患部に効果的に照射するためには、患部に対してコイルを正確に位置決めすることが必要である。しかしながら、従来の磁束照射装置では、コイルの軸線位置を外部から正確に把握することが容易でなく、患部に対してコイルを正確に位置決めすることが困難である。
【0004】
さらに、患部に対する磁束の照射の間、従来の磁束照射装置は、患部に対して十分に近くなるように配置されるため、患部から放射された熱放射は、装置によって遮られてしまう。そのため、患部から放射された熱放射を用いることにより患部の温度を計測することはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、磁束照射装置を提供する。いくつかの局面において、磁束照射装置は、筒状のコイルと、筒状のコイル内に配置され、かつ筒状のコイルの軸線に平行である磁心とを含み、該磁心は、該磁心内に形成され、かつ該磁心の第1の端部から該磁心の第2の端部まで横断する、光透過路を有する。いくつかの局面において、磁束照射装置は、筒状のコイルに供給された電流に応答して磁心の第1の端部から磁束を照射するように構成されている。いくつかの局面において、光透過路は、磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部に入射する光、または磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部から放射された熱放射、または両方を透過させるように構成されている。
【0006】
別の局面において、本開示は、上述のような磁束照射装置と、磁束照射装置の筒状のコイルに電流を供給するように構成された電力供給部と、磁束照射装置の動作を制御すること、またはその上で磁束照射装置が用いられている被照射部を監視することから得られたデータを処理すること、または両方を行うように構成されている、コンピュータとを含む。
【0007】
別の実施形態において、本開示は、磁束照射によって被照射部部位を照射する方法を提供し、該方法は、上述のような磁束照射装置を提供することと、光透過路を用いて磁心の第1の端部に対向するように被照射部を位置決めして、被照射部の位置を決定することと、筒状のコイルに電流を供給して、磁心の第1の端部から被照射部に放射される磁心上の磁束を生成することにより、磁束照射によって被照射部を照射することとを含む。
【0008】
1つの局面において、本開示は、上述のような磁心を受け取るように構成された磁束照射装置を提供する。
【0009】
別の局面において、本開示は、磁心を提供し、該磁心は、上述のように、該磁心内に形成され、かつ該磁心の第1の端部から該磁心の第2の端部まで横断する、光透過路を有する。
【0010】
磁束照射装置によって達成される目的は、被照射部に対して装置を正確かつ容易に位置決めすることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1(a)】
図1(a)は、第1の実施例にしたがう、磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
【0012】
【
図1(b)】
図1(b)は、
図1(a)の磁束照射装置を例証する概略上面視断面図である。
【0013】
【
図2】
図2(a)は、
図1(a)の磁束照射装置の改変された実施例を例証する概略側面視断面図である。
図2(b)は、
図1(a)の磁束照射装置の改変された実施例を例証する概略側面視断面図である。
【0014】
【
図3】
図3は、第2の実施例にしたがう、磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
【0015】
【
図4】
図4は、第3の実施例にしたがう、磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
【0016】
【
図5】
図5(a)は、第4の実施例にしたがう、磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
図5(b)は、
図5(a)の磁束照射装置を例証する概略上面視断面図である。
【0017】
【
図6】
図6は、
図5(a)および5(b)の磁束照射装置の磁心から照射された磁束密度を例証するグラフである。
【0018】
【
図7】
図7は、第4の実施例にしたがう、磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
【0019】
【
図8】
図8は、様々な実施例にしたがう、磁束照射装置を含むシステムの概略図である。
【0020】
【
図9】
図9は、様々な実施例にしたがう、磁束照射装置を用いて照射対象物の被照射部を照射するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の特定の実施形態および特徴は、光透過路を有する磁束照射装置に関する。特定の実施形態および特徴は、このような磁気装置を含むシステムに関する。特定の実施形態および特徴は、このような装置を用いて被照射部を照射するための方法に関する。特定の実施形態および特徴は、光透過路を有する磁心を受け取るように構成された磁束照射装置に関する。特定の実施形態および特徴は、光透過路を有する磁心に関する。
【0022】
例えば、一局面にしたがう磁束照射装置は、筒状のコイルおよび磁心を含むように作製される。磁心は、筒状のコイルの軸線に平行になるように筒状のコイル内に位置決めされる。光透過路は、磁心内に形成され、該磁心は、該磁心の一方から他方に光または熱放射が通過することを可能にする。電流がコアに供給されるとき、磁束が、磁心上に生成され、かつ一端部から放射される。被照射部が磁心の一端部に対向して位置決めされたとき、該被照射部は、磁束によって照射される。
【0023】
磁束照射装置はまた、レーザ構成要素(例えば、レーザ)を含み得る。筒状のコイルの内部の光透過路は、被照射部に対向するように位置決めされ得る端部に向けた、磁心の一端部から他端部までの光(例えば、レーザ光)の透過を可能にする。これは、ユーザが、光透過路を介して被照射部を目視で査定することを可能にし、これにより、被照射部に対する装置の正確かつ容易な位置決めを可能にする。また、磁束照射装置は、温度計(例えば、放射温度計)を含み得る。また、光透過路は、被照射部から放射された熱放射を磁心の一端部から他端部まで透過させ、これにより、被照射部が磁束によって照射されている間に、該被照射部の温度の計測を可能にするために用いられ得る。本開示に記載されている磁束照射装置は、局部温熱療法(例えば、ハイパーサーミア)のために用いられ得る。
【0024】
光透過路が光または熱放射が磁心の一方から他端部まで通過することを可能にする磁心内に形成される限りにおいて、様々な構成を有する磁心が企図される。磁心の寸法(サイズ)は、装置のための所望の周波数および用途に基づいて選択され得る。例えば、コアの長さは、コイルまたはコイル用ハウジングと同じ長さであり得るか、またはより短い長さを有し得るか、またはより長い長さを有し得る。いくつかの場合において、磁心の長さは、コイルの長さとほぼ同じであり得る。一局面において、磁心の直径は、コイル内に規定された中心空洞(特に、コイルを収容するコイル用ハウジング内に規定された中心空洞)の直径内にフィットするように選択され得る。
【0025】
磁心は、均等な断面積を有し得るか、または小断面の柱状部に隣接する大断面の柱状部を有し得る。磁心が小断面の柱状部に隣接する大断面の柱状部を有する場合、大断面積の柱状部の寸法に対する小断面積の柱状部の寸法の比は、約1:2〜約1:3であり得る。例えば、小柱状部の直径は、大柱状部の直径よりも約2.5倍小さくあり得る。磁心が複数の柱状磁心要素を有する場合、柱状磁心要素の寸法は、コイル内に規定された中心空洞の寸法内に(特に、コイル用ハウジング内に規定された中心空洞内に)フィットするように選択され得る。
【0026】
上述のような例証実施例は、本開示の主題を導入するために提供されたものであり、本開示の範囲を限定するように意図されてはいない。これ以後、いくつかの実施例が、添付図面を参照して以下に詳細に記載されるが、その他の実施例が、本開示の範囲内にある。本開示の全体を通して、さらなる実施形態および特徴も記載される。図面および以下の記載の全体を通して同じまたは同様のアイテムを参照するために、同じ参照標識が用いられ得る。
【0027】
一実施例にしたがう磁束照射装置が、
図1aおよび
図1bに示されている。
図1(a)は、第1の実施例にしたがう磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
図1(b)は、
図1(a)の磁束照射装置を例証する概略上面視断面図である。
【0028】
図1(a)および1(b)に例証されているように、一局面にしたがう磁束照射装置101は、筒状のコイル10と、当該コイル10の内部に挿入された磁心11とを含み、磁心10は、コイル10の軸線に平行に位置決めされている。
【0029】
一局面において、
図1(a)に例証されているように、コイル10は、筒状のソレノイドコイルであり得る。あるいは、その他の実施例において、小断面積の柱状部11bおよび大断面積の柱状部11cは、角柱形状を有し得る。コイル10のサイズは、所望の磁束密度、コイルに提供されるべき周波数(電力)、および放散され得る最大温度を含む、様々なファクターに基づいて選択され得る。例えば、コイル10および装置101の所望の特性に基づいて、コイル10の直径は、約35mm〜約140mmであり得る。別の局面において、コイル10および装置101の所望の特性に基づいて、コイル10の長さは、約60mm〜約240mmであり得る。一実施例において、コイル10の直径は、約70mmであり得、コイル10の軸方向長さは、約120mmであり得る。別の実施例において、コイル10の直径は、約35mmであり得、コイル10の軸方向長さは、約60mmであり得る。別の実施例において、コイル10の直径は、約140mmであり得、コイル10の軸方向長さは、約240mmであり得る。いくつかの実施例において、コイルの長さは、コイルの直径よりも約1.5倍〜約2.0倍大きい。例えば、コイルの直径に対する長さの比は、約1.65、約1.71、約1.88、または約1.5〜約2.0の間の何らかのその他の比であり得る。一実施例において、コイル10の直径に対する長さの比は、約1.71である。
【0030】
一局面において、磁心11の寸法(サイズ)は、装置101のための所望の周波数および用途に基づいて選択され得る。例えば、磁心11の長さは、コイル10またはコイル用ハウジング10hと同じ長さであり得るか、またはより短い長さを有し得るか、またはより長い長さを有し得る。一局面において、磁心11の直径は、コイル10内に規定された中心空洞(特に、コイル10を収容するコイル用ハウジング10h内に規定された中心空洞)の直径内にフィットするように選択され得る。
【0031】
別の局面において、磁心11は、様々な構成を有し得る。例えば、
図1(a)に例証されているように、磁心11は、磁心11の第1の端部11aを規定する小断面の柱状部11bに隣接する大断面の柱状部11cと、小断面積の柱状部11bおよび大断面積の柱状部11cを通過するように構成され得る光透過路15とを含み得る。この第1の実施例において、磁心11は、磁心11の第1の端部11aを規定する小断面積の柱状部11bと、磁心11の第2の端部を規定する小断面積の柱状部11bに隣接する大断面積の柱状部11cとを有する。いくつかの場合において、磁心11の大断面の柱状部11cおよび小断面の柱状部11bは、単一の磁心構成要素である。いくつかの場合において、磁心11の大断面の柱状部11cおよび小断面の柱状部11bは、2つの隣接する磁心構成要素である。しかしながら、磁心は、例えば、
図5および7に例証されているような、その他の構成を有し得る。
【0032】
別の局面において、磁心11は、様々な形状を有し得る。一実施例において、
図1aに示されているように、磁気コイル11は、筒形状を有し得る。その他の実施例において、磁気コイル11は、角柱形状を有し得る。いくつかの実施例において、コイル11が、小断面の柱状部11bに隣接する大断面の柱状部11cを含む場合、柱状部11bおよび柱状部11cは、筒状または角柱状であり得る。
【0033】
例えば、装置101が、直径70mmおよび長さ120mmを有するコイルを有する場合、小断面積の柱状部11bは、直径20mmおよび軸方向長さ20mmを有し得、大面積の柱状部11cは、直径50mmおよび軸方向長さ100mmを有し得る。いくつかの場合において、小断面積の柱状部11bは、直径20mmおよび軸方向長さ20mmを有する筒形状であり得、大面積の柱状部11cは、直径50mmおよび軸方向長さ100mmを有する筒形状を有し得る。一局面において、大面積の柱状部11cの直径に対する小断面積の柱状部11bの直径の比は、約1:2〜1:3であり得る。例えば、柱状部11bの直径は、柱状部11cよりも約2.5倍小さくあり得る。
【0034】
一局面において、磁心11は、磁気渦電流場を制約し、チャネル形成する磁性材料を含む。例えば、一局面において、磁心11の材料は、Mn−Znフェライト材、Ni−Zn材、鉄粉、高流束(high−flux)粉末、パーマロイ(permalloy)粉末、またはアモルファス合金を含み得る。一実施例において、磁心11の材料は、Mn−Znフェライト材である。その他の磁性材料もまた、磁心11を作製する際に用いるために企図される。
【0035】
いくつかの場合において、磁心11の材料は、装置101のための所望の周波数範囲に基づいて選択され得る。例えば、Mn−Znフェライト材は、10kHz〜2MHzの所望の周波数のために選択され得る。別の実施例において、Ni−Zn材が、200kHz〜100Mhzの所望の周波数範囲のために選択され得る。別の実施例において、鉄粉が、100kHz〜100MHzの所望の周波数のために選択され得る。別の実施例において、高流束粉末またはパーマロイ粉末が、10kHz〜1Mhzの所望の周波数範囲のために選択され得る。別の実施例において、アモルファス合金が、500Hz〜250kHzの所望の周波数範囲のために選択され得る。
【0036】
一実施例において、
図1(a)に例証されているように、内周側に空洞を有するコイル用ハウジング10h内に、コイル10が同軸に収容される。別の局面において、磁心11は、コイル用ハウジング10hの空洞内に位置決めされた磁心用ハウジング11h内に同軸に収容され得る。別の局面において、磁心11は、磁心用ハウジング内(不図示)に収容されず、その代わりに、コイル10内に直接的にフィットするように構成されている。
【0037】
一局面において、コイル10の第1の端部10aに対する磁心11の第1の端部11aの位置は、所望の磁束および装置101の構成に基づいて変動し得る。例えば、磁心11の第1の端部11aは、コイル10の第1の端部10aと同じ平面上に位置決めされ得るか、またはコイル10の第1の端部10aから軸方向外向きに突出し得るか、またはコイル10の第1の端部10aから軸方向に後退し得る。
【0038】
一実施例において、磁心11の第1の端部11aは、コイル10の第1の端部10aと同じ平面上に位置決めされるように適合されている。本開示において、「コイル10の第1の端部10aと同じ平面」は、コイル10の第1の端部10aから軸方向に1mm〜5mm内のコイル10の内部に配置された平面を含む。その他の局面において、本明細書中に記載されているその他の実施例において議論されているように、磁心11の第1の端部11aは、コイル10の第1の端部10aとは異なる平面上に位置決めされるように適合されている。
【0039】
一局面において、電源(不図示)は、コイル10に電気的に接続され得る。一局面において、交流電流が、所定の周波数(例えば、50kHz〜400kHz)において、電源からコイル10に供給され得、軸方向に平行な交番磁束が、当該コイル10の内部に挿入される磁心11内に形成される。一局面において、交番磁束は、小断面積の柱状部11bにおいて集束され、第1の端部11aから放射される。一局面において、磁心11の第1の端部11aから放射された交番磁束は、第1の端部11aに対向するように配置された被照射部31を照射し得る。
【0040】
別の局面において、
図1(a)および1(b)に例証されているように、光透過路15は、コイル10の内部に形成され得る。一局面において、光透過路15は、被照射部31に入射する光または被照射部31から放射された熱放射を透過させ得る。本開示の文脈において、「透過」は、材料を通過することのみならず、空気を通過することも含む。一局面において、光透過路15は、コイル10の軸線上に形成され得る。一局面において、光透過路は、コイル中心に形成され得る。別の局面において、光透過路は、コイルの軸線に平行に形成され得る。
【0041】
一実施例において、光透過路15は、磁心11の第1の端部11aから第2の端部まで、コイル10の軸線上に、小断面積の柱状部11bおよび大面積の柱状部11cを通して連続的に形成される。光透過路15の直径は、約2mm〜50mmであり得る。磁心11の直径が増大するにつれて、光透過路15の直径が増大し得る。例えば、光透過路15の直径は、約2mm、約5mm、約8mm、約10mm、約15mm、約25mm、約35mm、または約50mm、または約2mm〜約50mm内の任意のその他の直径であり得る。一実施例において、光透過路15の直径は、約5mmである。いくつかの場合において、光透過路15の直径は、光(例えば、可視光またはレーザ光)または熱放射が通過し得る、一端部から他端部まで軸方向に磁心11を通る経路を提供するために十分である。しかしながら、光透過路の直径は、(磁心11の構成とは無関係に)磁心11上に生成された所望の磁束を損なう程度まで大きくはない。いくつかの実施例において、
図1aおよび1bに例証されているように、磁心11の第2の端部における光透過路15に軸方向に対応する位置において、磁心用ハウジング11h内に開口が形成されている。
【0042】
一局面において、装置101の磁心11から放射される磁束密度は、コイル10のサイズ、磁心11のサイズ、磁心11の構成、およびコイル10に供給される電力の周波数のうちの1つ以上に基づいている。異なる照射パターンが、コイル内に挿入された交換可能な磁心の構成に基づいて、磁束照射装置から放射され得る。照射パターンは、少なくとも、磁束密度または拡散(減衰)の程度を含み得る。例えば、磁心の構成に依存して、磁心から放射される磁束密度は、約0.5mT〜約30mT、または約5mT〜約20mT、または約10mT〜約30mT、または約8mT〜約25mTであり得る。例えば、磁束密度は、約10mT、約12mT、約15mT、約18mT、約20mT、約23mT、約25mT、約28mT、または約30mTであり得る。例えば、コイル10および磁心11のサイズが小さい場合、磁束密度は、約0.5mT〜約15mTの範囲であり得る。別の実施例において、コイル10および磁心11のサイズが大きい場合、磁束密度は、約10mT〜約30mTの範囲であり得る。
【0043】
一実施例において、
図1(a)および1(b)に例証されているように、磁束11の第1の端部11aは、コイル10の第1の端部10aと同じ平面上に配置され得る。しかしながら、上述のように、コイル10の第1の端部10aに対する磁心11の第1の端部11aの位置は、この構成に限定されない。例えば、
図2(a)に例証されているように、磁心11の小断面積の柱状部11bは、コイル10の第1の端部から軸方向外向きに突出するように構成され得る。この場合、磁心11の内部に形成される磁束は、小断面積の柱状部11bがコイル10の第1の端部10aに対して突出している分だけ長い距離にわたって軸方向に対して平行になった後、第1の端部11aから軸方向に放射され得る。そのため、磁心11の第1の端部から放射される磁束の拡散開始位置は、コイル10の第1の端部の平面(から外向きに)下方に延伸され得る。別の実施例において、
図2(b)に例証されているように、磁心11の小断面積の柱状部11bは、コイル10の第1の端部から軸方向内向きに陥凹するように構成され得る。この場合、磁束11の内部に形成された磁束は、磁心11aの第1の端部11aと磁気コイルの第1の端部10aとの間でコイル10内に形成された陥凹の内部に第1の端部11aから軸方向に放射され、大きな磁束密度(例えば、約0.5mT〜約30mT)のものである。一実施例において、磁束密度は、約10mTである。例えば、小断面積の柱状部11bが、直径20mmおよび軸方向長さ20mmを有する筒形状であり、大面積の柱状部11cが、直径50mmおよび軸方向の長さ100mmを有する筒形状を有する場合、磁束密度は、約10mTであり得る。
【0044】
次に、
図1(a)および
図1(b)に示され、上述されたような実施例の装置101の動作が、被照射部31が凸形状を有する照射対象物30の外面上に配置され、かつ磁束によって照射される場合の実施例として記載される。
【0045】
一局面において、磁心11の第1の端部11aは、照射対象物30の表面に対向するように配置される。照射対象物30の表面に対向するように磁心11の第1の端部11aを位置決めすることにより、照射対象物30の表面から放射された可視光は、光透過路15を透過させられ、磁心11の第2の端部において、光透過路15の他方の側(照射対象物30の表面に対して反対の側)から外部に放射され得る。そのため、一局面において、照射対象物30の表面は、光透過路15を介して磁心11の他方の側から(磁心11の第2の端部において)目視で確認され得る。
【0046】
一局面において、照射対象物30の表面は、光透過路15を介して目視で確認され得るが、磁束照射装置101および照射対象物30は、光透過路15を介する目視の確認によって、被照射部31および装置101が所望の通りに位置決めされ、その結果、被照射部31が、コイル10の軸線と位置合わせされたことが決定されるまで、相対的に移動させられ得る。これにより、いくつかの局面において、被照射部31は、磁心11の第1の端部11aに隣接するコイル10の軸線上に正確に位置決めされ得る。いくつかの場合において、被照射部31に対応する照射対象物30の表面の位置において、位置合わせマーク(不図示)が予め付され得る。
【0047】
一局面において、磁心11の第1の端部11aは、例えば、被照射部31が光透過路15を通して視認されている間に、被照射部31に十分に近くなるように位置決めされて、被照射部31の効果的な照射を可能にする。例えば、第1の端部11aは、磁心11から放射された磁束密度の強さに依存して、被照射部31の5mm〜15cm内に位置決めされ得る。例えば、第1の端部11aは、被照射部31から約5mm、10mm、20mm、30mm、50mm、100mm、または最大約15cmまでの何らかのその他の距離に位置決めされ得る。一実施例において、第1の端部12aは、被照射部41から約30mm〜約100mm、または約25mm〜約70mm、または約60mm〜約150mmに位置決めされ得る。被照射部が磁心の内部に挿入される場合、当該被照射部は、磁心または装置の任意のその他の部分と接触しないように位置決めされ得る。
【0048】
一局面において、一旦被照射部が磁心11の第1の端部11aに対向するように位置決めされると、所定の周波数において交流電流が電源(不図示)からコイル10に供給され得る。例えば、交流電流の周波数は、50kHz〜400kHzであり得る。一実施例において、周波数は100kHzである。一局面において、軸方向に平行な交番磁束が、コイル10内の磁心11上に形成される。一実施例において、
図1(a)および1(b)に例証されているような装置101に対し、交番磁束は、小断面積の柱状部11bにおいて集束され、かつ磁心11の第1の端部11aから放射されて、被照射部31を照射し得る。一局面において、被照射部31は、コイル10の軸線上に磁心11の第1の端部11aの十分に近くに位置決めされて、磁束による被照射部31の効果的な照射を可能にし得る。いくつかの場合において、磁心11の第1の端部11aから放射された磁束密度は、約0.5mT〜約30mTである。例えば、磁心の構成に依存して、磁心から放射された磁束密度は、約0.5mT〜約30mT、または約5mT〜約20mT、または約10mT〜約30mT、または約8mT〜約25mTであり得る。例えば、磁束密度は、約10mT、約12mT、約15mT、約18mT、約20mT、約23mT、約25mT、約28mT、または約30mTであり得る。いくつかの場合において、被照射部を照射する磁束密度は、コイルの一端部に対する磁心の一端部の軸方向位置に依存する。磁心から放射された磁束密度は、コイルおよび磁心のサイズ、磁心の構成、および/またはコイルに供給される周波数に基づき得る。一実施例において、磁束密度は約10mTである。一局面において、感磁発熱体微粒子が、照射よりも以前に被照射部31に提供され得る。この局面において、被照射部31内の感磁発熱体微粒子は、磁束に曝されたときに、磁束によって磁気的に加熱され得、被照射部31は、感磁発熱体の発熱によって加熱され得る。
【0049】
上述のような実施例にしたがうと、光透過路15は、コイル10の内部に提供されるため、被照射部31から放射された熱放射は、光透過路15を透過させられ、外部(磁心の他方の側)に放射されることができる。そのため、いくつかの実施例において、光透過路15を介して被照射部31から放射された(反射された)光を目視で査定することが可能であり、これにより、被照射部31に対するコイル10の正確かつ容易な位置決めを可能にする。
【0050】
磁束照射装置の第2の実施例が、
図3に示されている。
図3は、第2の実施例にしたがう磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
【0051】
一局面において、
図3に例証されているように、磁束照射装置102は、磁心11の第1の端部11aから光透過路15の他方の側にあるレーザ構成要素16(例えば、レーザポインタ)を含み得る。一局面において、レーザ構成要素16は、光透過路15を通してレーザ光を透過させ、その結果、レーザ光は、磁心11の第1の端部11aにおいて光透過路15から放射され得る。例えば、被照射部が磁心11の第1の端部11aに対向するように位置決めされる場合、光透過路を透過するレーザ光は、被照射部31に入射し得る。
【0052】
いくつかの局面において、
図3に対するその他の構成は、
図1(a)および1(b)に例証された第1の実施例のそれと実質的に同じである。
図3において、
図1(a)および1(b)のものと同じ部分には、同じ参照番号が付されており、その詳細な説明は提供されない。
【0053】
次に、
図3に例証され、上述されたような磁束照射装置102の動作が、凸形状を有する照射対象物30の内部に配置された被照射部31に磁束を照射する場合の実施例として記載される。
【0054】
一局面において、
図3に例証されているように、磁心11の第1の端部11aは、照射対象物30の表面に対向するように配置され、レーザ構成要素16は、レーザ光がレーザ構成要素16から放射されるように活性化される。一局面において、放射されたレーザ光は、光透過路15を透過させられ、照射対象物30の表面上に入射する。
【0055】
一局面において、照射対象物30の表面上のレーザ光の入射位置が、外部から目視で確認され、磁束照射装置102および照射対象物30の位置は、被照射部31をコイル10の軸線上に位置合わせするように調整される。例えば、磁束照射装置102および照射対象物30は、相対的に移動させられ得、レーザビームの入射位置が所定の位置合わせマークと重なる場合に、磁束照射装置102および照明対象物30は、相対的に静止される。一局面において、レーザ構成要素16から放射されたレーザビームは、被照射部31がコイル10の軸線上に正確に位置決めされることを可能にする。
【0056】
別の局面において、被照射部31が、レーザビームの入射位置が被照射部31上の位置合わせマークと重なるように、磁心11に対して位置決めされる場合、磁心11の第1の端部11aは、被照射部31に十分に近くなるように位置決めされて、被照射部31の効果的な照射を可能にし得る。例えば、第1の端部11aは、上述のように被照射部31の約5mm〜約15cm内に位置決めされ得る。一実施例において、第1の端部11aは、被照射部31から約5mmに位置決めされ得る。特定の場合において、第1の端部11aは、被照射部31の数ミリメートル内に位置決めされ得るが、被照射部31に接触しない。
【0057】
この例において、磁束照射装置102のそれと同じ動作により、被照射部31は、磁束によって照射され、被照射部31は、(例えば、本明細書中に提供されている感磁微粒子によって)加熱される。
【0058】
上述の第2の実施例にしたがうと、第1の実施例におけるものと同じ有利な効果が得られることに加え、レーザポインタ16から放射されたレーザ光が、光透過路15を透過させられ、被照射部31上に入射するため、コイル10を被照射部31に対してより正確に位置決めすることが可能である。
【0059】
磁束照射装置の第3の実施例が
図4に示されている。
図4は、第3の実施例にしたがう磁束照射装置を例証している概略側面視断面図である。
【0060】
一実施例において、
図4に例証されているように、磁束照射装置103は、磁心11の第1の端部11aから光透過路15の反対側に放射温度計17を含み得る。一局面において、放射温度計17は、磁心11の第1の端部11aに対向するように位置決めされた被照射部31から放射され、かつ磁心11の第1の端部11aから磁心の第2の端部まで光透過路15を透過させられた熱放射を検出し得る。一局面において、放射温度計17は、検出結果(熱放射)に基づいて、被照射部31の温度を計測し得る。
【0061】
その他の構成は、
図1(a)および1(b)に例証されている第1の実施例と実質的に同じである。
図4において、
図1(a)および1(b)の実施例と同じ部分に同じ参照番号が付されており、詳細な説明は提供されない。
【0062】
次に、上述のこの実施例の動作が、被照射部31が凸形状を有する照射対象物30の内部に配置され、かつ磁束によって照射される場合の実施例として記載される。
【0063】
第1に、第1の実施例の動作と同じ動作により、被照射部31がコイル10の軸線上に磁心11の第1の端部11aの十分に近くになるように位置決めされた後、被照射部31が、磁束によって照射され、被照射部31が、加熱される。
【0064】
一局面において、被照射部31から放射された赤外線は、放射温度計17において検出され得、被照射部31の温度は、検出結果に基づいて計測される。被照射部31の加熱の間、被照射部31から放射された赤外線は、光透過路15を透過させられ、放射温度計17上に入射し得る。
【0065】
上述の第3の実施例にしたがうと、第1の実施例におけるものと同じ有利な効果が得られることに加え、被照射部31から放射され、かつ光透過路15を透過させられた熱放射が、放射温度計17によって検出されるため、被照射部31が磁心11からの磁束によって照射される場合に、それの温度を計測することが可能である。
【0066】
磁束照射装置の第4の実施例が、
図5(a)および5(b)に示されている。
図5(a)は、第4の実施例にしたがう磁束照射装置を例証する概略側面視断面図である。
図5(b)は、
図5(a)の磁束照射装置を例証する概略上面視断面図である。
【0067】
いくつかの局面において、筒状のコイル10は、先述の実施例に関して上述されたような特性を有するが、磁心の構成は変動し得る。一実施例において、磁心は、コイル内に形成された空洞内に周方向に均等に配置された複数の柱状磁心要素を含み得、光透過路は、複数の磁心要素の周方向内の中心領域を通過するように構成され得る。
図5(a)および5(b)に例証されているように、第4の実施例にしたがう磁束照射装置104は、第1の実施例にしたがう磁束照射装置101の磁心11の代わりに、分散タイプの磁心12を有し得る。一局面において、磁心は、複数の磁心要素12eを含み得る。例えば、磁心は、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の磁心要素12eを含み得る。例えば、磁心は、4つの柱状磁心要素12eを含み得る。この第4の実施例においては、
図5aおよび5bに示されているように、磁心12は、筒形状を有し、かつコイル10の周方向に均等に配置されている、4つの柱状磁心要素12eを有し得る。一局面において、磁心要素12eは、例えば
図5aおよび5bに示されているように、互いに半径方向に整列する。別の局面において、磁心要素12eは、いくつかの磁心要素12eが他のものよりもコイルの中心に近い状態で、互いに半径方向にオフセットしている。
【0068】
一局面において、磁心要素12eは、様々な異なる形状を有し得る。例えば、磁心要素12eは、筒形状または角柱形状を有し得る。一局面において、磁心要素12eの寸法は、装置104のための所望の磁束密度または用途に基づいて選択され得る。いくつかの場合において、磁心要素12eの寸法は、コイル10内に規定された中心空洞の直径内に(特に、コイル用ハウジング10h内に規定された中心空洞内に)フィットし、かつ磁気コイル12を通してコイル10の軸線に沿って形成された光透過路15に適応するために十分な余地を依然として有し得るように、選択され得る。いくつかの実施例において、磁心要素12eは、コイル10またはコイル用ハウジング10hとほぼ同じ長さを有し得る。例えば、磁心要素12eは、直径約5mm〜約20mmおよび軸方向長さ約60mm〜約240mmを有し得る。一実施例において、磁心要素12eは、直径10mmおよび軸方向長さ120mmを有し得る。別の実施例において、磁心要素12eは、直径20mmおよび軸方向長さ240mmを有し得る。別の実施例において、磁心要素12eは、直径5mmおよび軸方向長さ60mmを有し得る。特定の実施例において、磁心要素12eの軸方向長さに対する直径の比は、約1:2、約1:5、約1:8、約1:10、約1:12、約1:15、または約1:20であり得る。
【0069】
一局面において、磁心要素12eの材料は、磁気渦電流場を制約し、チャネル形成する磁性材料を含む。例えば、磁心要素12eの材料は、Mn−Znフェライト材、Ni−Zn材、鉄粉、高流束(high−flux)粉末、パーマロイ(permalloy)粉末、またはアモルファス合金を含み得る。一実施例において、磁心12eの材料は、Mn−Znフェライト材である。その他の磁性材料もまた、磁心11を作製する際に用いるために企図される。
【0070】
一局面において、磁心要素12eの材料は、装置101のための所望の周波数に基づいて選択される。例えば、Mn−Znフェライト材は、10kHz〜2MHzの所望の周波数のために選択され得る。別の実施例において、Ni−Zn材が、200kHz〜100Mhzの所望の周波数範囲のために選択され得る。別の実施例において、鉄粉が、100kHz〜100MHzの所望の周波数のために選択され得る。別の実施例において、高流束粉末またはパーマロイ粉末が、10kHz〜1Mhzの所望の周波数範囲のために選択され得る。別の実施例において、アモルファス合金が、500Hz〜250kHzの所望の周波数範囲のために選択され得る。
【0071】
いくつかの実施例において、磁心要素12eは、それらが互いに離間されるように構成され得る。例えば、磁心要素12eの少なくともいくつかは、互いからほぼ等しい距離に配置され得る。いくつかの場合において、磁心要素12eの全ては、互いからほぼ等しい距離に配置される。いくつかの場合において、磁心要素12eは、互いに対して接するように配置され得る。
図5(a)および5(b)に例証されている実施例において、磁束照射装置104の磁心要素12eは、互いに離間される。磁心要素の数が増大すると、磁心断面積が増大し、これは、磁心12aの第1の端部から放射された磁束密度の分散(低下)につながる。
【0072】
一実施例においては、
図5(a)に例証されているように、コイル10は、内周側に空洞を有するコイル用ハウジング10h内に同軸に収容されており、磁心12は、空洞内部に挿入された磁心用ハウジング12h内に同軸に収容されている。別の局面において、磁心12は、磁心用ハウジング(不図示)内に収容されず、その代わりに、コイル10内に直接的にフィットするように構成されている。例えば、磁心要素12eは、所望の配向にあり、かつ互いに対して固定されるように構成され得る。
【0073】
一局面において、分散タイプの磁心12の第1の端部12aは、各磁心要素12eの第1の端部を含む。
図5(a)に例証されているように、磁心12がコイル10の軸線に平行であるようにコイル10とともに挿入される場合、磁心12の第1の端部12aは、コイル10の第1の端部10aと同じ平面上に位置決めされるように構成され得る。
【0074】
一局面において、交流電流が、所定の周波数において、電源からコイル10に供給され得る。例えば、交流電流は、約50kHz〜約400kHzの周波数で供給され得る。交流電流が供給され、磁心12の第1の端部12aから放射される場合、軸方向に平行な交番磁束が、コイル10内の磁心12の磁心要素12eの各々上に形成される。一局面において、交番磁束は、磁心12の第1の端部12aから放射され得、かつ第1の端部12aに対向するように配置された被照射部41を照射し得る。
【0075】
図6は、本実施例にしたがう、磁束照射装置104の磁心12から照射された磁束密度を例証するグラフである。
図6において、横軸は、コイル10の一端部10aを始点とする軸方向距離を表し、L2は、本実施例にしたがう、磁束照射装置104の磁心12から照射される磁束密度を表す。L1は、第1の実施例にしたがう、磁束照射装置101の磁心11から照射される磁束密度を表す。
【0076】
一実施例において、
図6に例証されているように、本実施例にしたがう磁束照射装置104の磁心12から放射された磁束密度は、第1の実施例にしたがう磁束照射装置101の磁心11から照射される磁束密度と比べて、減衰される可能性がより低い(換言すると、磁束密度の拡散が抑制される)。一局面において、分散された磁心を有する磁束照射装置104は、分散されない磁心を有する磁束照射装置(例えば、第1〜第3の実施例において上述されたようなもの)と比べて、磁束密度のより低減された拡散を有し得る。
【0077】
一局面において、分散された磁心12は、コイル10の半径方向において磁心要素12eの内部に規定された領域内に(該領域を通過するように構成された)光透過路を有し得る。別の局面において、光透過路は、コイル10の軸線上に形成され得る。一局面において、磁心12が磁心用ハウジング12hを有する場合、光透過路15が通過する磁心用ハウジング12h内に、開口が形成され得る。例えば、
図5(b)および5(a)に例証されているように、光透過路15は、コイル10の半径方向において4つの磁心要素12eの内部の領域に提供される。例えば、
図5(a)および5(b)に例証されているように、光透過路15は、コイル10の軸線上に磁心用ハウジング12hを通して軸方向に透過するように提供されている。
【0078】
その他の構成は、
図1(a)および1(b)に例証されている第1の実施例のものと実質的に同じである。
図5(a)および5(b)において、
図1(a)および1(b)に例証されている第1の実施例と同じ部分には、同じ参照番号が付されており、詳細な説明は提供されない。
【0079】
次に、上述された本実施例の動作が、凸形状を有する照射対象物40の底部に配置される被照射部41が磁束によって照射される場合の実施例として記載される。
【0080】
一局面において、
図5(a)および5(b)に例証されているように、磁心12の第1の端部12aは、照射対象物40の表面に対向するように配置され得る。別の局面において、照射対象物40の表面から放射された可視光が、光透過路15を透過させられ、磁心12の第2の端部において、光透過路15の他方の側(照射対象物30の表面に対して反対の側)から外部に放射され得る。別の局面において、照射対象物40の表面は、光透過路15を介して磁心12の他方の側から目視で確認され得る。
【0081】
一局面において、照射対象物40の表面は、光透過路15を介して目視で確認され得るが、磁束照射装置102および照射対象物40は、光透過路15を介する目視の確認によって、被照射部41および磁束照射装置102が所望の通りに位置決めされ、その結果、被照射部41が、コイル10の軸線と位置合わせされたことが決定されるまで、相対的に移動させられ得る。位置合わせマーク(不図示)が、照射対象物40の被照射部41に対応する位置に予め付され得る。
【0082】
これにより、いくつかの局面において、被照射部41は、光透過路15を用いて磁心12の第1の端部12aに対向するようにコイル10の軸線上に正確に位置決めされ得る。一局面において、磁心12の第1の端部12aは、被照射部41の効果的な照射を可能にするように、被照射部41に十分に近くなるように位置決めされる。いくつかの場合において、コイル10は、被照射部41の周囲構造と物理的に干渉し得、磁心12の第1の端部12aを被照射部41に接近させる能力は損なわれる。いくつかの場合において、第1の端部12aは、非分散磁心(上述の第3の実施例に記載されているようなもの)を有する磁束照射装置のために十分な程度よりも、被照射部41からより遠い距離において、被照射部41から離間されるように位置決めされ得る。例えば、第1の端部12aは、被照射部41の約5mm〜約15cm内に位置決めされ得る。例えば、第1の端部12aは、被照射部31から約5mm、10mm、20mm、30mm、50mm、100mm、または約15cmまでの何らかのその他の距離に位置決めされ得る。一実施例において、第1の端部12aは、被照射部41から約30mm〜約100mm、または約25mm〜約70mm、または約60mm〜約150mmに位置決めされ得る。別の実施例において、第1の端部12aは、被照射部41から約30mmよりも接近しないように位置決めされ得る。一実施例において、距離は、約30mmであり得る。いくつかの場合において、第1の端部12aは、被照射部41から約30mm〜約15cmに位置決めされ得る。
【0083】
一局面において、一旦被照射部が磁心12の第1の端部12aに対向するように所望の通りに位置決めされると、交流電流が所定の周波数において電源(不図示)からコイル10に供給され得る。例えば、交流電流の周波数は、50kHz〜400kHzであり得る。一実施例において、周波数は、100kHzである。一局面において、コイル10内の磁心12の各磁心要素12e上に形成される軸方向に平行な交番磁束が、磁心12の第1の端部12aから被照射部41に照射し得る。
【0084】
一局面において、
図6に例証されているように、磁心12の第1の端部12aから照射された磁束密度は、減衰される可能性がより低い(磁束は拡散される可能性がより低い)。これにより、一局面において、仮に磁心12の一端部12aが被照射部41から5mm〜15cm(例えば、30mm)だけ間隔を開けて位置決めされた場合であっても、被照射部41は、磁束によって効果的に照射され得る。いくつかの場合において、磁束12の第1の端部12aから放射された磁束密度は、上述のように、約0.5mT〜約30mTである。一実施例において、磁束密度は、約10mTである。いくつかの場合において、感磁発熱体微粒子は、照射の以前に被照射部41に提供され得る。被照射部41内の感磁発熱体微粒子は、磁束に曝されたときに、磁束によって磁気的に加熱され得、被照射部41は、感磁発熱体の発熱によって加熱され得る。
【0085】
上述の第4の実施例にしたがうと、光透過路15は、コイル10の内部に提供されるため、被照射部41から放射された熱放射は、光透過路15を透過させられ、磁心12の他方の側で外部に放射され得る。そのため、一局面において、光透過路15を介して被照射部41から放射された光を目視で確認することが可能であり、これにより、被照射部41に対してコイル10を正確かつ容易に位置決めすることが可能である。
【0086】
いくつかの場合において、磁心12の一端部12aから軸方向に放射された磁束の拡散は抑制される(磁束密度が、減衰される可能性がより低い)ので、磁心12の第1の端部12eが被照射部41に対して非常に近い距離(たとえば、約5mm)内に導くことができない場合であっても、磁束によって被照射部41を効果的に照射することが可能である。
【0087】
いくつかの実施例において、分散された磁心(たとえば、
図5aおよび5bに例証されているようなもの)を有する磁束照射装置は、磁心12の第1の端部12aから光透過路15の反対側に(磁心の第2の側に)レーザポインタ16または放射温度計(それぞれ、第2の実施例および第3の実施例に関連して議論されたようなもの)を含み得る。
【0088】
いくつかの場合において、光透過路15の内部は、中空であり得る。別の局面において、光透過路15の内部は、光透過性物質を含み得る。いくつかの場合において、磁心用ハウジング11hおよび12hが、磁心11、12を収容する場合、磁心用ハウジング11hおよび12hは、該ハウジング内に形成された開口を有し得、該開口を通して光透過路15が通過し得る。いくつかの場合において、磁心用ハウジング11hおよび12hは、光透過路15が磁心11および12内に形成される位置において光透過性物質を含み得る。いくつかの場合において、磁心用ハウジング11hおよび12hは、光透過性物質で作製され得る。
【0089】
本発明の第5の実施例が、
図7を参照して記載される。
図7は、第5の実施例にしたがう磁束照射装置を例証している概略側面視断面図である。第5の実施例の特徴は、磁心13が均等な断面を有する形状を有することを除き、第1の実施例〜第3の実施例に関して上述したものとほぼ同じである。
【0090】
いくつかの局面において、筒状のコイル10は、先述の実施例に関して上述されたような特性を有するが、磁心の構成は変動し得る。一実施例において、磁束照射装置105は、均等な断面積を有する磁心13を有し得る。磁心13は、筒形状または角柱形状を有し得る。磁心13の直径は、装置105のための所望の周波数および用途に基づいて選択され得る。一実施例において、磁心13の寸法は、約35mm〜約140mmであり得る。別の実施例において、磁心13の軸方向長さは、約60mm〜約240mmであり得る。例えば、磁心13は、直径約35mmおよび軸方向長さ約60mmを有し得る。別の実施例において、磁心13は、直径約70mmおよび軸方向長さ約120mmを有し得る。別の実施例において、磁心13は、直径約140mmおよび軸方向長さ約240mmを有し得る。いくつかの場合において、磁心の直径に対する磁心の長さの比は、約1:2〜1:5である。例えば、磁心の長さは、磁心の直径よりも約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍大きくあり得る。1つの場合において、磁心の長さは、磁心の直径よりも約4倍大きくあり得る。一局面において、光透過路15は、磁心13の第1の端部13aから第2の端部まで、コイル10の軸線上に、磁心13を通して連続的に形成される。いくつかの場合において、磁心13の第2の端部における光透過路15に軸方向に対応する位置において、磁心用ハウジング13h内に開口が形成されている。いくつかの場合において、磁心13は、磁心用ハウジング13h内に収容されない。
【0091】
図7に示され、かつ上述された実施例の装置104の動作は、例えば、被照射部31が凸形状を有する照射対象物30の外面上に配置されている
図1(a)および1(b)に示されているような、または、被照射部31が凸形状を有する照射対象物30の内部に配置され、かつ磁束によって照射される
図3または
図4に示されているような、装置101に対して上述された動作とほぼ同じである。
【0092】
図1〜7に例証され、上述された装置は、特定の実施例であり、限定的ではない。例えば、特定の構成の磁心が記載されているが、その内部に光透過路が形成されるその他の磁心が企図される。
【0093】
別の局面において、磁束照射装置は、コイルの軸線に平行な磁心を受け取るように構成された中心空洞を規定する筒状のコイルを含み得、磁心は、該磁心内に形成され、かつ該磁心の第1の端部から該磁心の第2の端部まで横断する、光透過路を有し、磁束照射装置は、筒状のコイルに供給された電流に応答して、磁心の第1の端部から磁束を照射するように構成されており、光透過路は、磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部に入射する光、または磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部から放射された熱放射、または両方を透過させるように構成されている。これらの局面にしたがう磁束照射装置は、磁気コイルが含まれていないことを除き、上述(例えば、第1の実施例〜第5の実施例等)のように構成されている。
【0094】
別の局面において、光透過路を有する磁心であって、該光透過路が、磁心の内部に形成され、かつ該磁心の第1の端部から該磁心の第2の端部まで横断する、磁心が提供される。一局面において、磁心は、中心空洞を規定する筒状のコイルを含む磁束照射装置内にフィットするように構成されており、磁心は、筒状のコイルの中心空洞内にフィットするように構成されており、磁束照射装置は、筒状のコイルに供給された電流に応答して、磁心の第1の端部から磁束を照射するように構成されている。一局面において、磁心内の光透過路は、磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部上に入射する光、または磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた被照射部から放射された熱放射、または両方を透過させるように構成されている。これらの局面にしたがう磁心は、例えば第1の実施例〜第5の実施例等、上述のように構成されている。
【0095】
図8は、特定の実施形態にしたがう、磁束照射装置を用いるシステムを例証するブロック図である。例えば、システム80は、コイル10および磁心を有する磁束照射装置81を含み、該磁心は、コイル10の軸線上において、該磁心内に形成された光透過路15を有する。装置81は、
図1〜7において先述された実施例の装置のいずれかであり得、その任意のバリエーションは、本開示の範囲内にある。また、システム80は、磁束照射装置81のコイル10に電流を供給するように構成された電力供給部82を含む。いくつかの場合において、電力供給部82は、コイル10に交流電流を供給するように構成されている。また、システム80は、磁束照射装置81の動作を制御すること、またはその上で磁束照射装置81が用いられている被照射部31を監視することから得られたデータを処理することを行うように構成されたコンピュータ83を含む。被照射部31は、
図8において例証目的のために用いられているが、代わりに、被照射部41または51もまた、システム80を用いて照射され得る。
【0096】
一局面において、電力供給部82が活性化され、コイル10に交流電流を供給する場合、交番磁束が磁心上に生成される。一局面において、交番磁束は、磁心の第1の端部から放射され、かつ磁心の第1の端部に対向するように位置決めされた照射対象物30(例えば、主要を有する対象物)の被照射部31(例えば、腫瘍)を照射し得る。
【0097】
一局面において、光透過路15は、磁束照射装置81および被照射部31を互いに対して位置決めするように用いられ得る。いくつかの局面において、磁束照射装置81は、本明細書中に記載されているようなレーザ構成要素16または放射温度計17をさらに含み、該レーザ構成要素16または該放射温度計17は、磁心の第1の端部の反対にある磁心の第2の端部において光透過路15に位置決めされる。
【0098】
いくつかの場合において、コンピュータ83は、電力供給部82を制御するように構成され得る。その他の場合において、コンピュータ83は、電力供給部82によってコイル10に供給された交流電流を監視するように構成され得る。いくつかの場合において、コンピュータ83は、照射対象物30または被照射部31に関するデータを受け取り、かつ処理するように構成され得る。例えば、コンピュータ83は、被照射部31を監視することから得られたビジュアルデータまたは温度データを処理するように構成され得る。別の実施例において、コンピュータ83は、光透過路15を通して受け取られた光データを受け取るように構成され得る。別の実施例において、磁束照射装置81がレーザ構成要素16を含む場合、コンピュータ83は、レーザ構成要素16の動作を制御するように構成され得る。別の実施例において、コンピュータ83は、被照射部31または照射対象物30に入射するレーザビームの位置に関するデータを受け取り、磁束照射装置81および被照射部31を互いに対して位置決めする際にオペレータを支援するように構成され得る。例えば、コンピュータは、被照射部31(例えば、被照射部31の表面上の予め作成されたマーク上)とレーザビームを位置合わせすることを(例えば、カメラおよびモニタを含むことにより)補助するように構成され得る。別の実施例において、磁束照射装置81が放射温度計17を含む場合、コンピュータ83は、放射温度計17の動作を制御するように構成され得る。例えば、コンピュータ83は、磁束を照射する以前、最中、または以後に、被照射部31から放射された熱放射の量に関するデータを受け取るように構成され得る。いくつかの場合において、コンピュータ83は、本段落に記載された機能のうちの1つよりも多くのもの、または装置81の用途に関係して記載された機能および何らかのその他の機能のうちの1つよりも多くのものを実行するように構成されている。
【0099】
コンピュータ83は、データを格納し処理するための様々な異なるコンピューティング装置であり得る。コンピュータ83は、例えば、スマートフォン、タブレット、電子リーダ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、またはゲーム装置を含み得る。いくつかの場合において、コンピューティング装置は、バスを介してその他のハードウェアとインターフェース接続されたプロセッサを含み得る。任意の適切な有形(かつ不揮発性)コンピュータ読み取り可能媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM等)を含み得るメモリが、コンピュータ83の動作を構成するプログラム構成要素を具現化し得る。また、コンピューティング装置は、入力/出力インターフェース構成要素(例えば、ディスプレイ、キーボード、タッチ感知表面、およびマウス)と、さらなる格納装置とを含み得る。
【0100】
いくつかの場合において、コンピュータ83は、通信装置を含み得る。通信装置は、ネットワーク接続を促進する任意の構成要素のうちの1つ以上を含み得る。例えば、通信装置は、ワイヤレスであり得、かつIEEE802.11、Bluetooth(登録商標)等のワイヤレスインターフェースを含み得るか、またはセルラー電話ネットワークにアクセスするための無線インターフェース(例えば、CDMA、GSM(登録商標)、UMTS、またはその他のモバイル通信ネットワークにアクセスするための送受信器/アンテナ)を含み得る。いくつかの場合において、通信装置は、有線接続され得、かつEthernet(登録商標)、USB、またはIEEE1394等のインターフェースを含み得る。
【0101】
システム80は、さらなるコンピュータを含み得、該さらなるコンピュータの各々は、上述された機能、または被照射部31を照射するためにシステム80の使用のために有用なその他の機能等の異なる機能を実行する。
【0102】
図9は、様々な実施形態にしたがう、磁束照射装置を用いる方法を例証するブロック図である。一局面において、方法90は、磁束によって被照射部を照射する方法である。本明細書中に記載されているような磁束によって被照射部を照射する方法は、腫瘍を有する対象物を治療するために有用であり得る。
【0103】
ブロック91において、磁束照射装置が提供される。磁束照射装置は、本明細書中に提供されている実施例に具体的に記載されている装置のうちの1つであり得るか、または本開示の範囲内にあるそのバリエーションであり得る。ブロック92において、被照射部が提供される。一局面において、被照射部は、照射対象物の表面上にあるかまたは照射対象物内にある。例えば、被照射部は、照射対象物の腫瘍であり得る。
【0104】
ブロック93において、被照射部は、磁束照射装置のコイルの軸線上に位置決めされる。一局面において、被照射部は、被照射部の位置を決定するために、光透過路を用いて装置の磁心の第1の端部に対向するように位置決めされる。例えば、被照射部部位の表面上にマークが作成され得、該マークは、被照射部が磁心の第1の端部に対向して位置決めされ、かつコイルの軸線と位置合わせされた場合に、磁心の第2の端部から光透過路を介して観察され得る。別の局面において、被照射部は、磁心の第1の端部の特定の近傍内に位置決めされ得る。例えば、被照射部は、磁心の第1の端部から約5mm〜約15cmに位置決めされ得る。
【0105】
一局面において、磁束照射装置は、それが含有する磁心のタイプおよび照射されるべき被照射部の性質に基づいて、方法90において用いるために選択される。例えば、被照射部は、照射対象物の表面上に存在し得るか、または照射対象物の表面の真下に存在し得、照射対象物の表面は、比較的平坦であり得るか、または凸状であり得る。この場合において、磁心の第1の端部がコイルの第1の端部と同じ平面上にある磁束照射装置が、提供され得る(例えば、
図1aおよび1bに示されているようなもの)。あるいは、磁心の第1の端部がコイルの第1の端部に対して軸方向に陥凹している磁束照射装置が、提供され得る(例えば、
図2bに示されているようなもの)。
【0106】
別の実施例において、被照射部は、照射対象物の表面上に存在し得るか、または照射対象物の表面の真下に存在し得るが、照射対象物の構造は、被照射部に対するアクセスを妨害し得る。この例において、磁心の第1の端部がコイルの第1の端部に対して軸方向に突出している磁束照射装置が、提供され得る(例えば、
図2aに示されているようなもの)。この場合において、コイルの直径と比較してより小さな磁心の断面が、所望の磁束密度によって照射されるべき被照射部に対して十分に近くの範囲内に磁心が導かれることを可能にする。あるいは、分散された磁心を含む磁束照射装置が、提供され得(例えば、
図5aおよび5bに示されているようなもの)、かつ被照射部からより遠い距離に位置決めされ得る。この場合において、磁束密度は、磁心の第1の端部から放射され、その結果、仮に磁心の第1の端部と被照射部との間により大きな距離がある場合であっても、被照射部が所望の磁束密度によって依然として照射され得るので、低減された減衰(放散)を有し得る。
【0107】
一実施例において、方法90を実施する場合、レーザ構成要素16(例えば、
図3に示されているようなもの)が、磁心(例えば、本明細書中に記載されているもののいずれか)の軸線上に被照射部を位置決めすることを助けるために用いられ得る。例えば、被照射部は、磁心の第2の端部から磁心の第1の端部までの光透過路を通して被照射部にレーザビームを透過させるレーザ構成要素を用いて位置決めされ得る。いくつかの場合において、所定のマークが、被照射部31上に配置され得、レーザ構成要素16によって放射されたレーザビームが、光透過路15を通して、該所定のマークと位置合わせされ得る。
【0108】
ブロック94において、電流が磁束照射装置に供給される。ブロック95において、被照射部が磁束によって照射される。一局面において、電流が(例えば、電力供給部から)コイルに供給されて、磁心上に磁束を生成し、それが磁心の第1の端部から放射され、被照射部に照射される場合に、被照射部が磁束によって照射され得る。別の局面において、被照射部は、所望の磁束密度を受け取るように、磁心の第1の端部の十分に近くに位置決めされ得る。一局面において、被照射部は、上述のように、約0.5mT〜約30mTの磁束密度によって照射される。例えば、磁束密度は、約10mTであり得る。
【0109】
いくつかの場合において、感磁発熱体微粒子は、照射の以前に、被照射部に提供され得る。いくつかの場合において、被照射部は、磁束に曝されたときに熱する感磁発熱体微粒子を含有し得る。一局面において、感磁発熱体微粒子は、被照射部の内部に注入され得る。例えば、被照射部内の感磁発熱体微粒子は、磁束に曝されたときに、磁束によって磁気的に加熱され得、被照射部は、感磁発熱体の発熱によって加熱され得る。一実施例において、感磁発熱体微粒子は、磁性粒子を含み得る。別の実施例において、感磁発熱体微粒子は、磁性カチオン性リポソームであり得る。しかしながら、種々の材料が、感磁発熱体微粒子を調製するために用いられ得、本開示は、記載されているものに限定されない。
【0110】
一実施例において、方法90を実行する場合、放射温度計17(例えば、
図4に示されているようなもの)が、被照射部の温度を計測するために用いられ得る。例えば、被照射部の表面の温度は、被照射部の照射の以前、最中、または以後に、放射温度計を用いて監視され得る。放射温度計は、被照射部から放射され、かつ磁心の第1の端部から磁心の第2の端部までの光透過路を通して放射温度計が位置決めされた場所に透過させられる熱放射を検出し得る。いくつかの場合において、放射温度計は、検出された熱放射に基づいて被照射部の表面温度を計測し得る。
【0111】
例証された実施形態を含む特定の実施形態についての以上の記載は、例証および記載を目的として提示されたものにすぎず、包括的であること、または本開示を開示されたままの形態に限定することを意図されていない。その多くの改変、適合、および使用が、本開示の範囲から逸脱することなしに、当業者に理解され得る。別個の実施形態の文脈で本明細書中に記載されている特定の特徴は、単一の実現手段に組み合わされて実現され得る。逆に、単一の実現手段の文脈で記載されている様々な特徴は、複数の方法で別個に実現され得るか、または任意の適切なサブコンビネーションで実現され得る。さらに、特徴は、特定の組み合わせにおいて作用するように上述されているが、いくつかの場合においては、該組み合せからの1つ以上の特徴が、該組み合わせから取り出され、該組み合わせが、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションに関するものとなり得る。これにより、特定の実施形態が記載されてきた。その他の実施形態は、本開示の範囲内にある。
【0112】
本願において参照されている全ての公開された特許および公報は、それらの全体が参照により本明細書中に援用される。
【0113】
(符号の説明)
101 磁束照射装置
102 磁束照射装置
103 磁束照射装置
104 磁束照射装置
10 コイル
10a コイルの一端部
10h コイル用ハウジング
11 磁心
11a 磁心11の一端部
11b 小断面積の柱状部
11c 大断面積の柱状部
11h 磁心用ハウジング
12 磁心
12a 磁心12の一端部
12e 磁心要素
12h 磁心用ハウジング
15 光透過路
16 レーザポインタ
17 放射温度計
30 照射対象物
31 被照射部
40 照射対象物
41 被照射部
【国際調査報告】