(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-537047(P2016-537047A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(54)【発明の名称】治療器具又は補綴具とともに用いることを含む創傷ケアのための医療用凸型パッド、すなわち、手当て材
(51)【国際特許分類】
A61F 13/00 20060101AFI20161104BHJP
【FI】
A61F13/00 355Z
A61F13/00 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-520752(P2016-520752)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(85)【翻訳文提出日】2016年2月19日
(86)【国際出願番号】IB2014000444
(87)【国際公開番号】WO2014203049
(87)【国際公開日】20141224
(31)【優先権主張番号】13/970,940
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/958,758
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/956,970
(32)【優先日】2013年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515354807
【氏名又は名称】バーベリオ、アレッサンドロ
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(72)【発明者】
【氏名】バーベリオ、アレッサンドロ
(57)【要約】
創傷を手当てするための方法及び手当て材が示されている。そのような手当て材の1つは、間隔をおいて設けられた凸部102の層と、層の中で画定される複数の穴108を具え、各凸部102は、創傷を治療するための薬を受入れるように形作られており、穴108は、創傷からの滲出液が蒸発できるように形成される。第2層104は、第1層106の上に設けられ、圧縮バンドを具える。他のそのような手当て材は、複数の層を具え、各層は、挟まれ、間隔をおいて設けられた凸部を具え、吸収性素材からなる層を交互に有する。吸収性素材からなる交互の層が、非吸収層にある穴を介して連通することで、吸収層の間を滲出液が移動することができ、滲出液を創傷から遠ざけることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて設けられた凸部を有する第1層を具え、前記各凸部が創傷を治療するための薬を受入れるように形作られており、
前記第1層に画定され、創傷からの滲出液が蒸発できるように形成された複数の穴と、
前記第1層の上部に設けられ、圧縮バンドを有する第2層を具えることを特徴とする、
創傷用手当て材。
【請求項2】
前記間隔をおいて設けられた凸部の外面が圧縮に抗するように硬化されている、請求項1の手当て材。
【請求項3】
前記各間隔をおいて設けられた凸部の内壁から延びる環を具え、該環が創傷からの滲出液を集めるように形成されている、請求項1の手当て材。
【請求項4】
複数の前記穴が前記間隔をおいて設けられた凸部の間に位置する、請求項1の手当て材。
【請求項5】
複数の前記穴が前記間隔をおいて設けられた凸部上に位置する、請求項1の手当て材。
【請求項6】
創傷に最も近い第1層の下に設けられた第3層を具え、該第3層が創傷からの滲出液を集める吸収性素材からなる、請求項1の手当て材。
【請求項7】
前記第1層の上に設けられた第4層を具え、該第4層が疎水性のカバー、又はシートからなる、請求項6の手当て材。
【請求項8】
前記第1層が医療用シリコーンからなる、請求項1の手当て材。
【請求項9】
創傷の最も近くにあてがうための吸収性素材からなる第1層と、
前記第1層の上に設けられた不透液性素材からなる第2層と、
前記第2層の上に設けられた吸収性素材からなる第3層と、
前記第3層の上に設けられた不透液性素材からなる第4層とを具え、
前記層のそれぞれが間隔をおいて設けられた凸部を有し、
前記第2層の間隔をおいて設けられた凸部の内壁から延びる複数の間隔をおいて設けられた環を具え、該間隔をおいて設けられた環が滲出液を集めるように形成され、
前記第2層の間隔をおいて設けられた凸部に画定される複数の穴を具え、該穴が前記第1層から第3層に滲出液を移動させるように形成されていることを特徴とする、
多層創傷手当て材。
【請求項10】
少なくともいくつかの前記穴が前記間隔をおいて設けられた環の根本に設けられている、請求項9の手当て材。
【請求項11】
前記第4層の上に設けられた第5層を具え、該第5層が圧縮バンドからなる、請求項9の手当て材。
【請求項12】
前記第4層の間隔をおいて設けられた凸部に画定された複数の穴を具え、該穴が創傷からの滲出液が蒸発できるように形成されている、請求項9の手当て材。
【請求項13】
前記第4層の間隔をおいて設けられた凸部の外面が圧縮に抗するように硬化されている、請求項9の手当て材。
【請求項14】
前記第2層及び第4層が医療用シリコーンからなる、請求項9の手当て材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2013年8月20日に出願された米国特許出願第13/970,940号、2013年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/956,970号、及び2013年8月6日に出願された米国仮特許出願第61/958,578の利益を主張する。当該出願は、その内容全体が引用により本明細書に一体化される。
【0002】
本発明は、全体として、創傷治療及びその治療器具の医療用途の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、創傷には念入りな治療が施されるが、皮膚科医は常に創傷治療の処置に賛成しているわけではない。酸素及び湿った環境にさらして、創傷に呼吸をさせる必要がある。しかしながら、創傷治療のための現在の処置及び既存の創傷ケアでは、創傷を治すための必要な酸素又は十分な水分が創傷に行き届いていない。新しい手当て材及び薬を頻繁に使用することが必要であり、それは高くつくことがある。
【0004】
創傷に水分を与える処置の例としてハイドロゲル・パッドで創傷を覆うものがある。このパッドによって創傷は湿った状態を保つことができるが、しかし、パッドには吸収力がないため、ハイドロゲル・パッドは開放性創傷を治すために十分な湿気を必ずしも与えないので、ハイドロゲル・パッドは適度に液体がしみ出る創傷にとって適切な選択でない場合がある。
【0005】
本明細書中の実施例は、凸がある、又は凸層からなる小さな穴が開いているシートについて説明する欧州特許出願番号08706194.1の第2部分を改良し、その範囲を広げたものである。前記特許出願は、異なる硬さの異なる素材の組合わせの医療用の滅菌処理されたシリコーンから作られたエチレン・ビニル・アセテート(EVA)からなる層について説明する。
【発明の概要】
【0006】
開示した1つの実施形態は創傷手当て材(wound dressing)である。創傷手当て材は間隔をおいて設けられた凸部を具える層を有する。各凸部は創傷を治療するための薬を受入れるように形作られている。創傷手当て材はまた、層中に画定される複数の穴を具える。各穴は滲出液が創傷から蒸発できるように形成される。当該層は第1層であってよく、創傷手当て材は第1層の上に設けられた第2層を具え、第2層は圧縮バンドを具える。
【0007】
開示したもう1つの実施形態は多層創傷手当て材である。多層創傷手当て材は創傷の最も近くにあてがうための吸収性素材からなる第1層、及び第1層の上に設けられた不透液性素材からなる第2層を具える。多層創傷手当て材はまた、第2層の上に設けられた吸収性素材からなる第3層、及び第3層の上に設けられた不透液性素材からなる第4層を具える。各層は間隔をおいて設けられた凸部を具える。多層創傷手当て材はまた、第2層の間隔をおいて設けられた凸部の内壁からそれぞれ延びる間隔をおいて設けられた複数の環を具え、間隔をおいて設けられた環は滲出液を集めるように形成される。さらに、多層創傷手当て材はまた第2層の間隔をおいて設けられた凸部の中に画定される複数の穴を具え、穴は、滲出液が第1層から第3層を通過できるように形成される。
【0008】
本発明の利点、特徴及び特性は以下の詳細な説明、及び以下図面の簡単な説明を参照して添付の請求項を考慮することにより、より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本説明は、添付の図面を参照するものであり、各図面にわたって類似の参照番号は類似の部品を示す。
【0010】
図1は創傷を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材の1つの実施例である。
【0011】
図2は
図1に示された創傷を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材の他の実施例である。
【0012】
図3は創傷を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材のもう1つの実施例である。
【0013】
図4は
図3に示された創傷を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材の他の実施例である。
【0014】
図5は
図1乃至4のパッド、すなわち、手当て材のいずれかとともに用いるために形成された凸部の1つの実施例である。
【0015】
図6は
図5の凸部の他の実施例である。
【0016】
図7は
図5の凸部内で移動する蒸気と液体の経路を示す。
【0017】
図8は
図5の凸部と同様な凸部を組込む圧縮治療に用いるための手当て材の1つの実施例である。
【0018】
図9は
図8の手当て材の凸部の間隔をおいて設けられた環に沿って堆積する滲出液を示す。
【0019】
図10は多層パッド、すなわち、手当て材とともに用いられるように形成された凸部の1つの実施例である。
【0020】
図11は
図10の凸部を組込む多層手当て材の1つの実施例である。
【0021】
図12は
図10の凸部を組込む包まれた多層手当て材の1つの実施例である。
【0022】
図13A及びBは
図5、6及び10の凸部と同様な凸部のセグメントを組込むラップ・スタイルの手当て材の1つの実施例である。
【0023】
図14A乃至Fはラップ・スタイルの手当て材をあてがう一連の状態を示し、層は
図5、6及び10の凸部と同様な肢に当てられた凸部セグメントを具える。
【0024】
図15A乃至Eは
図12に示される多層手当て材のような多層手当て材の一連の構造を示す。
【0025】
図16A乃至Dは歩行用ブーツ、すなわち、ギプスで用いられるように形成された
図12及び
図15のA乃至Eで説明された手当て材と同様な多層手当て材を示す。
【0026】
図17は
図13A乃至B及び
図14A乃至Fのラップ・スタイルの手当て材とともに用いるために形成された靴下スタイルの手当て材を示す。
【0027】
足又は脚を覆う既存の創傷手当て材及び治療は、非常に高温で、不快になり易く、患者に、必要以上に汗をかかせることになる。本開示は、例えば、部分的に医療用シリコーンでできている、改良された多穴式パッド、すなわち、手当て材の種々の実施例を説明する。パッド、すなわち、手当て材は、空気がパッド、すなわち、手当て材を通過し、創傷部分に届くことができるように設計されている。また、パッド、すなわち、手当て材は、可撓性で、人間や動物の体の不規則な形を覆うことができるように設計されている。
【0028】
以下の実施例で説明されるパッド、すなわち、手当て材(dressing)は、バクテリアを患部から遠ざけ、患者の肌がふやけるリスクを減らしつつ、薬剤を投与し、通気性をもたらし、並びに急速に分泌物を吸収及び取込むことができる。さらに、改良されたパッド、すなわち、手当て材は、患部に治療を施すために必要な手当て材の交換回数が減るため、全体として低コストである。
【0029】
図1は創傷を治療及び手当するためのパッド、すなわち、手当て材100の1つの実施例である。創傷の多くのタイプは、本実施例及び以下の他の実施例で説明されるパッド、すなわち、手当て材100で治療することができる。例えば、水ぶくれ、火傷、病変、床ずれ、静脈性潰瘍、動脈の潰瘍、手術後の創傷、ギプスを付けた肢の中の浮腫、滲出液が出る表面又は深部の創傷、慢性的又は突発的な創傷を治療することができる。パッド、すなわち、手当て材100は、手首固定具の一部として、又は補綴具の内壁として、歩行用固定具の内壁の通気及び投薬に用いられ、治療用の発泡材(foam)の替わりとなる。
【0030】
パッド、すなわち、手当て材100は、凸部、すなわち、バンプ102とともに設計されてもよい。パッド、すなわち、手当て材100は、EVA、すなわち、医療用シリコーンからなる層104、又は医療用の滅菌されたシリコーンからなる層106で構成される。層104、106はまた、例えば、ポリビニルアルコール、キトサン、カルボキシメチルセルロース・ゼラチン、コラーゲン、ヒアルロン酸、又はポリウレタンのような1つ以上のナノファイバで形成されてもよい。層104、106は、単一片、又は独立して製造されてもよく、パッド、すなわち、手当て材100の裏材としても知られている。凸部、すなわち、バンプ102はほぼ1cmの等間隔で配置されもよい。一連の穴108は、凸部、すなわち、バンプ102の最も近くに設けられる。これらの穴108の直径は、例えば、0.5から1.0mmの範囲である。
【0031】
図1に示されるように、創傷110は、抗生物質、すなわち、アクアフォー(Aquafor
TM)のような同等の殺菌剤112によって覆われてもよい。殺菌剤112の上に、高湿な環境を維持することを促すためのハイドロゲルシート114を当ててもよい。ハイドロゲルシート114は架橋ポリマーゲルである。いくつかのハイドロゲルシート114は接着境界で利用することができる。この場合、ハイドロゲルシート114を1cmの等間隔で隔てられた細長い布きれとして当ててもよい。ハイドロゲルシート114を細長い布きれとして用いることによって、ハイドロゲルシート114で覆われていない部分の創傷110は、一連の穴108を介して外部から浸透する酸素を受取ることができる。
【0032】
凸部、すなわち、バンプ102の下の空間により、酸素及び水分のための場所が残っている。本実施例の多数ある利点のうちの1つは、凸部、すなわち、バンプ102及び穴108の両方のおかげで、創傷110はより多くの水分及び酸素を有することができ、パッド、すなわち、手当て材100がにおいのするバクテリアを含む嫌気性細菌に対処できることである。一連の穴108を介して創傷110に酸素を加えることによって、糖尿病の潰瘍のような創傷110は高気圧酸素治療による不利益を避けることができる。穴108を通る空気の流れは、外側カバー、すなわち、疎水性のシート116を当てることによって調整され得る。シート116は、医療用の発泡材、又はシリコーンで作られてもよい。
【0033】
パッド、すなわち、手当て材100の大きさはその用途に応じて調整することができ、例えば、全体的により大きく、又はより小さく作ることができる。パッド、すなわち、手当て材100は、人間及び動物の両方の創傷を手当て及び治療する用途に適している。パッド、すなわち、手当て材100はまた、浮腫を防止するために四肢の有酸素換気装置又は減圧のための固定ギプスとしても使用されてもよい。パッド、すなわち、手当て材100はまた、多くの補綴用器具又はウォーキングシューズの中敷きとして使用されてもよい。最も重要なことは、それがどのような歩行用固定具の中敷きでも使用され、それ故、患者の足又は脚を取り囲む発泡材に取って替わるということである。パッド、すなわち、手当て材100はまた、洗濯可能であってもよい。
【0034】
図2は
図1に示された創傷を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材100の他の実施例である。本実施例では、深創傷200が示されている。創傷200は傷が深いので、穴108は、傷の換気目的のためには重要ではない。実際、本実施例で示されるパッド、すなわち、手当て材100は穴108を伴って、又は伴わずに用いられてもよい。凸部、すなわち、バンプ102は、創傷の大きさに応じて必要となる水分を提供するハイドロゲルペースト202で満たされてもよい。凸部、すなわち、バンプ102の間の領域にはハイドロゲルペースト202は不要である。凸部、すなわち、バンプ102の間の領域にハイドロゲルペースト202を用いないことで、一連の穴108によって、空気は、自由にパッド、すなわち、手当て材100に入ることができ、そして、皮膚204及び創傷200に確実に届く。このように、パッド、すなわち、手当て材100によって、創傷200は、各凸部、すなわちバンプ102の中に蓄えられたハイドロゲルペースト202を受入れることができ、そのため、治癒が促進され、及びパッド、すなわち、手当て材100の交換頻度を減らすことができる。
【0035】
パッド、すなわち、手当て材100は医療用滅菌済みシリコーンで作られてもよい。パッド、すなわち、手当て材100は、それぞれ硬さの異なる2層のシリコーンで作られてもよい。いくつかの実施例においては、より硬い層が上に位置する。EVA素材からなる第2層もまた、パッド、すなわち、手当て材100に加えられてもよい。EVA素材はまた、万一患者が外部物体に接触したとしても、パッド、すなわち、手当て材100が外圧に耐える助けとなり得る。さらに、綿からなる付着した細長いきれが、突出物、すなわち、バンプ102の間に用いられてもよい。これらの綿きれを用いることによって、医療専門家が混乱せずに容易に取り扱いつつ、より簡単に、パッド、すなわち、手当て材100に薬を付着させることができる。
【0036】
パッド、すなわち、手当て材100の内で用いられる薬もまた一様でなくてよい。例えば、ハイドロコロイド・ペーストが浅い創傷にもちいられてもよく、又は綿からなるいくつもの層が創傷200のような深い創傷に用いられてもよい。創傷のひどさに応じて異なる、又は更なる手当て材が凸部、すなわち、バンプ102に用いられてもよい。パッド、すなわち、手当て材100はまた、各凸部、すなわち、バンプ102の中に異なる薬がある構成であってもよく、その薬とは、医療専門家に知られている現存する薬でも、まだ開発途中の薬でもよい。
【0037】
図2に示されるパッド、すなわち、手当て材100はまたそれぞれ医療用シリコーン及びEVAで構成されたバッキング層104及び106を具える。また、層104及び106は、通気可能なTPUフィルムで構成されてもよい。TPUフィルムによって創傷200は空気中の水蒸気及び酸素を取込むことができるだけでなく、細菌及びバクテリアから創傷200を護ることができる。この代替構造においては、穴108はパッド、すなわち、手当て材100の外側からの空気の伝達にとって重要である。バッキング層104及び106構造に対して可能な他の素材には、例えば、小さな創傷に用いられるペレタン(Pellethane
TM)、又はサラン(Saran
TM)が含まれる。さらに、本実施例における外側カバー、すなわち、シート116は、ガーゼ、筒状のストッキネット、又はサージラスト(Sargilast
TM)のような筒状のネットでもよい。カバー、すなわち、シート116は平坦な又は小さな領域を手当てする場合には、除かれてもよい。
【0038】
図3は創傷302を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材300の別の実施例である。本実施例では、パッド、すなわち、手当て材300は多数の密接した凸部304及び306を具える。例えば、凸部304の頂は、凸部306の頂と同じ大きさであるが、パッド、すなわち、手当て材300の長さ方向に沿った形が反転しており、凹凸の交互パターンを造り出している。パッド、すなわち、手当て材300の本実施例は、創傷302のような深創傷の手当て及び治療のために形成され、パッド、すなわち、手当て材300は、創傷302の穴の中に容易に順応、すなわち、沈み込む。
図1で示したパッド、すなわち、手当て材100と同様に、このパッド、すなわち、手当て材300は、1以上の層で作られてもよいし、薬は、凸部304及び306の中に予め内包されていてもよい。薬は、ペースト状でも、包帯状でも、網目状でもよい。凸部304及び306の中に薬が入っていない場合は、パッド、すなわち、手当て材300は、凸、すなわち、凸部304及び306の周りに穴308を具えてもよい。
【0039】
図4は
図3に示された創傷を治療及び手当てするためのパッド、すなわち、手当て材300の他の実施例である。この代替実施例では、パッド、すなわち、手当て材300は、浅く、平坦な創傷400を覆っている。浅く、平坦な創傷400は多くの薬を必要とし、それ故、凸部304及び306のそれぞれは、適切な種類の薬で満たされてもよい。凸部304及び306の高さは一様でなくてよく、より多くの練薬には、より大きくて高い凸部が必要である。より大きな凸部によって、患者の皮膚402はより濃度の高い薬を受取ることができる。当該デザインのパッド、すなわち、手当て材300を使用することによって、パッド、すなわち、手当て材300は交換頻度が少なく済むため、費用を抑えることができる。当該デザインはまた、凸部の空洞内部の距離Zが薬のない場所の距離Nよりも大きいことから、大きな創傷領域を覆うという利点を有する。
【0040】
図5は
図1乃至4のパッド、すなわち、手当て材のいずれかを用いるために形成された凸部500の実施例である。凸部500は断面が示されている。本実施例では、凸部500は内部空洞502、並びに内部空洞502の壁の周りを一周する一対の間隔をおいて設けられた環504、及び506を具える。環504、及び506のそれぞれは、例えば、凸部500の頂に向かって延びるように、内部空洞502の壁に対して30度の角度が付けられている。環504、及び506の機能については、以下に詳しく示す。凸部500は一連の穴508を具えてもよいが、これは必須ではない。パッド、すなわち、手当て材を形成する下位層510は、吸収性素材であってもよい。
【0041】
図6は
図5の凸部500の他の実施例である。本実施例では、パッド、すなわち、手当て材を形成する下位層510は凸部500の内部空洞502の壁に沿って拡がっており、環504、及び506を覆っている。この場合もまた、下位層510は、吸収性素材で形成されてもよい。
【0042】
図7は
図5の凸部500の内部を移動する蒸気及び液体の経路を示す。傷が癒える間に発生する蒸気には、蒸発する滲出液が含まれてもよく、発生する液体には、下位層510の吸収性素材に浸み込ませることができる創傷から出る液体分子が含まれていてもよい。仮に、創傷からの滲出液又は液体分子が、パッド、すなわち、手当て材の下位層510に過剰にたまったら、下位層510は、不要な有機物で満たされ、液体又は蒸気は、パッド、すなわち、手当て材の端部の周りに集まり、その結果、不要なにおいの発生、及び患者の皮膚の浸軟に至る。さらに、一旦多量の液体が下位層510にたまると、それは創傷に滲み戻る。この実施例に示される凸部500は、過剰な滲出液が創傷に戻るのを避けるように設計されている。
【0043】
凸部500の間隔をおいて設けられた環504、及び506は、空洞、すなわち、創傷の表面からでる滲出液及び液体を取込む。創傷から環504及び506へ移動する滲出液及び液体の経路は、1乃至10の番号が付けられた矢印で示される。進路は矢印1から始まり、矢印10まで続き、本実施例では凸部500の壁に対して略30°の角度である環504及び506の上向き方向に基づき、環504及び506の内側に過剰な物質を堆積させる。過剰な物質が一旦環504及び506の内側に蓄えられると、それは創傷に戻ることはない。凸部500、環504及び506は、シリコーン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、EVA、ゲル、プラスタゾート、プラスティック、コルク、発泡材、又は他の低アレルギー性物質の単独構造でもよい。さらに、凸部500、環504及び506は、異なる物質からなる別々の層であってもよい。
【0044】
図7に示されるスタイルの凸部500の使用は、凸部500が創傷を保護するので、外圧がかかる創傷のパッド、手当て材、又はカバーにとって有益である。凸部500は硬い外面及び軟らかい外面を有してよく、このことにより、外圧による凸部500の圧縮が防がれ、患者が、圧力が凸部500に加えられるという場面に直面した際には緩衝材のような役割を果たす。さらに、凸部500の湾曲面上の表面積が大きいので、創傷用パッド、手当て材、又はカバーとともに凸部500を使用することによって、平坦面スタイルの手当て材と比べてより多くの滲出液及び液体を捉えることができる。パッド、すなわち、手当て材が滲出液及び液体をさらに捉えられるとしたら、パッド、すなわち、手当て材は少しで足り、患者又は医療介護者の出費を抑えることができる。
【0045】
図8は、
図5の凸部500と同様な凸部800を組込む圧縮治療に使用する手当て材の実施例である。圧縮治療は、均一な圧力を手当て材に加えるため、例えば、下肢潰瘍をコントロールする、すなわち、患者の足の裏に圧力を加えるために用いられる。創傷を圧縮治療するために使用される従来の手当て材は、滲出液が手当て材を通過し、創傷の外側の健康な組織に作用し、浸軟及び不要なにおいをもたらす。
図8の手当て材は、弾性トラップ804によって、潰瘍のような創傷802に圧力を加えるために用いられ得る。
【0046】
図8の凸部800は、
図5乃至7の凸部500と同様であり、その中に滲出液を集め、滲出液が創傷802に逆流しないようにする間隔をおいて設けられた環806を具える。本実施例において、環806は凸部800の壁から15°の角度で延びている。凸部800及び環806は、外圧の影響によりつぶれないよう、及び平坦な手当て材で可能な吸収性素材の大きな層をもたらさないようにデザインされる。圧縮用の手当て材に沿う複数の凸部800の形状は、緩衝材として機能し、創傷802を圧縮から護る。
【0047】
図9は
図8の手当て材の凸部800の間隔をおいて設けられた環806に沿う浸出液900の堆積を示す。浸出液900は異なる割合でたまっていき、その割合は、滲出液900の成分の種類、手当て材を使用する患者の健康、及び手当て材等を通過するガスの交換メカニズムによる。環806の含有物は他の手当て材で可能となるよりも多量の滲出液900を集め、滲出液が漏れるリスクを最小限にする。さらに、創傷802から出る滲出液900は吸収性のある層をふくれさせ、これにより、手当て材は不要なバクテリア及びにおいのキャリアとなる。しかしながら、手当て材の裏材が多孔性であるため、それは本来抗菌性で、湿気及び空気を通すことができ、創傷802からの滲出液900を一旦集めて蒸発させる。
【0048】
図8及び9で示される手当て材は、薬とともに、又は薬を伴わずに用いられてよく、薬は、患者の創傷に最も近い側上の手当て材に沿って連続的に広がっていても、非連続的に広がっていてもよい。手当て材の少なくともいくつかの層はコバン(Coban
TM)であってもよく、手当て材を患者の皮膚に押付けておくと同時に、手当て材の可撓性を維持する。手当て材の形状は、四肢の覆う範囲が大部分は均一な直径を有することができるため、筒状、又は長方形、正方形、楕円、円、凹面、又は所定の創傷に一致するように形成された如何なる他の形状でもよい。手当て材はまた、接着剤を担う裏材とともに作られてもよく、これにより、医療専門家は、創傷に手当て材を接着させることができる。接着剤は、二つの小さなタブ・スタイルの領域を除いては、裏材の周囲の長さの全長又は大部分に沿って拡がっていてもよい。非接着のタブ・スタイル領域は皮膚にダメージを与えることなく、例えば、医療提供者が手当て材を取除くために、手当て材の角を掘ろうと試みた際に、医療提供者の爪によって起こり得る皮膚へのダメージを与えることなく、手当て材を取り除くために使用されてよい。
【0049】
図10は多層パッド、すなわち、手当て材とともに用いられるために形成された凸部1000の実施例である。凸部1000は創傷1002から滲み出る過剰な滲出液を扱うためにデザインされている。凸部1000を具えるパッド、すなわち、手当て材は第1外層1004及び第2外層1006を有し、これにより、滲出液が、第1外層1004の下、並びに第1外層1004及び第2外層1006の間の両方に集められ得る。第1外層1004及び第2外層1006は、通常滲出液に対して非浸透性の素材から作られる。凸部1000は、前述した実施例で示された凸部と同様な方法で、凸部1000の内壁に対してある角度で延びる間隔をおいて設けられた環1008を具える。しかしながら、第1外層1004によって形成される壁の接合点では、開口部が存在するため、滲出液は、第1外層1004の中の凹部だけでなく、第1外層1004及び第2外層1006の間にも流れる。
【0050】
滲出液はまず、第1外層1004の下にある吸収層1011に創傷1002から直接吸収される。凸部1000に引き入れられた浸出液は、吸収路1010によって示されるように、さらに第1外層1004及び第2外層1006の間にある貯留空間に引き入れられる。凸部1000の非圧縮性、及び第1外層1004及び第2外層1006の間にあるもう一つの吸収層1012の存在により、この滲出液が創傷1002に排出、すなわち、漏れ戻ることはない。滲出液の吸収の動向は、このように吸収層1011で始まり、環1008の端に沿って、環1008の根本にある穴を通って、吸収層1012に吸収され、凸部1000の中を流れる。凸部1000は穴1014を具え、第2外層1006もまた穴1016を具える。これにより、滲出液は凸部1000及び吸収層1012の中に集められ、水分がなくなる。
【0051】
従来の手当て材、すなわち、パッドもまた滲出液を集めるために吸収性素材からなる複数の層を用いてもよいが、従来の手当て材は圧縮されると、滲出液が創傷に排出、すなわち、漏れ戻る危険がある。凸部1000の形状及び圧縮不可能な性質がこの問題を軽減する。間隔をおいて設けられた環1008に沿う開口部によって滲出液は効果的に収集されるため、パッド、すなわち、手当て材は圧縮されても、創傷1002に滲出液を戻すことなく、中層吸収層1012に滲出液を移動させることができる。
【0052】
図11は
図10の凸部1000を組込む多層手当て材の実施例である。吸収層1011、第1外層1004、間隔をおいて設けられた環1008、吸収層1012、及び第2外層1006は全て
図10で示したものとしての機能を果たす。
図11では手当て材の組合わせ及び当て方が説明されている。接合部1100又は他の接合部によって、第1外層1004は第2外層1006に取付けられ、吸収層1012に滲出液を閉じ込めておく。接着層1102もまた患者の皮膚に手当て材を貼りつけるために第2外層1006に取付けられる。前述した手当て材の場合と同様に、多層手当て材の寸法は創傷1002の大きさに合わせて調整されてよく、接着層1102は、手当て材の大きさに合わせて調整される。
【0053】
図12は
図10の凸部1000を組込む包まれた多層手当て材の実施例である。本実施例では、シース1200は、手当て材が潰瘍圧縮治療に相応しいように、例えば、チュービネット、すなわち、伸縮性のある筒状のガーゼであってよい。シース1200の中の凸部1000の種々のセクションは独立した区画を形成するためにスティッチ1202を用いて分離されてもよい。チュービネット、すなわち、筒状のガーゼのセクションの中で綴じられた1つの凸部1000しか本実施例では示されていないが、完全な手当て材を構成するために、チュービネット、すなわち、筒状のガーゼの最も近いセクションの中に、さらなる凸部1000が綴じられてもよい。シース1200は、例えば、コバン(Coban
TM)の圧縮層のような、圧縮層1204を用いることで圧縮される。任意の第2圧縮層1205は圧縮治療のために用いられてもよい。圧縮層1204、及び1205は、例えば、或る種のゴム又は綿のような通気性素材で作られてもよいし、接着、溶接、裁縫、熱形成、又はこれら若しくは他の技術の組合わせを用いることによって一緒に貼り合わせられてもよい。
【0054】
吸収層1011、第1外層1004、間隔をおいて設けられた環1008、吸収層1012、第2外層1006、及び穴1014は
図10及び11に示されたものと同様な方法で機能し得る。しかしながら、手当て材の周囲の長さは
図11に示されたものと異なる。
図11に示された接着層1102の替わりに、広がったらせん状の端を有する層1206が第1外層1004及び第2外層1006に取付けられてもよい。吸収層1011はらせん状の端を有する層1206の全長に沿って拡がっており、これにより包まれた手当て材の端で集められた滲出液の量が増える。滲出液が一旦らせん状の端を有する層に閉じ込められると、滲出液が創傷部に戻るためには重力に逆らう必要があるため、創傷部に戻ることはもはやできない。らせん状の端を有する層1206はまた、一旦滲出液を吸収すると、包まれた多層手当て材の凸部1000部分よりも重くなる。さらに、吸収層1011は、創傷から滲出液又は液体を遠ざけるために役に立ち、著しい横からの吐き出しを避ける粉末状の高吸収性ポリマー(SAP)が混ぜられた綿からできていてもよい。吸収層1011は、低アレルギー性の基材で織られた又は織られていない発泡材からできていてもよい。
【0055】
図13A及び13Bは
図5、6及び10の凸部と同様な凸部のセグメント1300を組込むラップ・スタイル手当て材の実施例を示す。本実施例では、凸部の複数セグメント1300はラップ・スタイル手当て材の第1表面1302に沿って、例えば、腕、脚、手首、及び足首のような体のパーツを包むのに適する、例えば、伸縮性のあるガーゼ物質に沿って分布する。ラップ・スタイル手当て材は、手当て材のほぼ半分の幅が体のパーツの周りの各回転とともに重ねられると効果的な圧縮がなされるように形成されるので、本実施例の凸部のセグメント1300は第1表面1302の半分の幅に沿って取付けられる。ラップ・スタイル手当て材の第2表面1304は他の素材、例えば、適切な蒸発を確保するための通気性綿であってよい。
【0056】
図13Aは患者に当てる前のまっすぐな形状のラップ・スタイル手当て材を示す。
図13Bは、医療提供者が患者にラップ・スタイル手当て材を当て始める際に経験上あり得る仕方で曲がるラップ・スタイル手当て材の可撓性を示す。凸部のセグメント1300の間の間隔は、様々な形状の体のパーツにあてがわれるラップ・スタイル手当て材に必要な可撓性を可能にすると同時に、治療すべき種々のタイプの創傷が与えられたとしても、液体又は滲出液の適切な吸収及び効果的な圧縮が可能であるよう構成されるべきである。
【0057】
図14A乃至Fはラップ・スタイル手当て材を肢1402に当てる一連の状態が示されており、手当て材の層には、
図5、6及び10の凸部と同様な凸部1400のセグメントが具えられている。
図14Aは、何も身に付けていない肢であり、本実施例では、患者の脚と足である。創傷は見られないが、創傷が存在し得ると理解し得る。
図14Bはアンダー・ラップ1404、例えば、綿が示されている。
図14Cには筒状ラップ1406、例えば、アンダー・ラップ1404の上から当てるストッキネットが示されている。
図14Dは、本明細書の先の実施例で詳細に示した凸部1400を具えるラップ・スタイル手当て材を当てている様子を示す。更なる支え無しに凸部1400の上を患者が歩くことによって生じる圧縮により凸部1400はつぶれるため、ラップ・スタイル手当て材は足ではなく、脚に当てられる。
図14Eは凸部1400のラップ・スタイル手当て材の上に圧縮バンド1408を重ねた様子を示す。
図14Fは例えば、コバン(COBAM
TM)層のような、第2の圧縮バンド1410を重ねた様子を示す。完全なラップ・スタイル手当て材を適切に当てることによって、例えば、潰瘍のような傷の効果的な圧縮治療が可能となる。
【0058】
図15A乃至Eは
図12に示された多層手当て材のような多層手当て材の一連の構造が示されている。
図15Aには、例えば、綿からなる筒状チュービネット1500が示されており、これは、多層手当て材の外装として用いられる。チュービネット1500は伸縮可能である。
図15Bは低アレルギー性素材1502からなる有孔層を示す。
図15Cは
図12に示された凸部スタイルにおける複数の凸部1506で形成される、区切られた、すなわち、キルト風多層手当て材1504を示す。
図15Dは、
図15A乃至Cの3つの構成要素がどのように組立てられるかを、例えば、ポケット・サンドウィッチのスタイルで示す。低アレルギー性素材1502は多層創傷手当て材1504の上に設けられ、これらの構成要素の組合わせがチュービネット1500に挿入されてもよい。
図15Eは複数のチュービネット1500が結合された構造を示し、それぞれが低アレルギー性素材1502及び多層創傷手当て材1504の一定の長さ及び幅を具える。それぞれの独立した組立体は、例えば、スティッチ1508の線を用いて連結させてもよい。
図15Eに示される多層手当て材は、可撓性が増すので、例えば、
図14A乃至Fに示された肢のような、足を覆うために用いられてもよい。
【0059】
図16A乃至Dは、歩行用ブーツ、すなわち、固定具に用いられるために形成された
図12及び15A乃至Eに示されたものと同様な、歩行用ブーツ、すなわち、固定具に用いられるために形成された多層手当て材を示す。
図16Aは2つの部品で構成された混成ブーツ型手当て材を示し、1つの部品は患者の脚と足の下側の位置用で、もう1つの部品は患者の脚と足の上側の位置用の部品である。ブーツ型は、筒状の連結されたセクション、囲まれた多層手当て材、縫合、溶接、接着によって形成された接続、又は他の如何なる方法によっても形成され得る。
図16Bは、凸部の独立したセクションを含む連結されたチュービネットで形成されたブーツ型手当て材の底の内側の上面図を示す。
図16Cは患者の足に当てられたブーツ型手当て材の正面視断面図を示す。
図16Bの底の内側は足の下に設けられ、圧縮スタイルの手当て材は足の上に設けられ、両方の手当て材ともに、前述した実施例に示された凸部を具える。
図16Dは患者の下肢全体に当てられたブーツ型手当て材の側面視断面図を示し、種々の層は、例えば、潰瘍性創傷のような創傷に圧縮治療を施すのと同じ方法で包まれる。
【0060】
図17は
図13A乃至B、及び
図14A乃至Fの包むスタイルの手当て材とともに用いられるために形成された靴下スタイルの手当て材を示す。包むスタイルの手当て材が一旦部分的に当てられると、靴下スタイルの手当て材は、例えば、靴下をはくのと同様な方法で、患者の足に引き上げることができる。例えば、歩行用ギプスを用いて患者は足に圧力をかけることができるが、包むスタイル及び靴下スタイルの手当て材は、このように、患者の下肢に圧縮治療を施すために組合わせて用いられてもよい。
【0061】
靴下スタイルの手当て材は、例えば、サージラスト(Surgilast
TM)素材からなる伸縮性層1700を具えてもよい。伸縮性層1700の可撓性によって手当て材を足のような一定の動きをする体の領域に当てることができる。例えば、上記実施例で示された凸部に類似するような間隔をおいて配置された凸部1702は、創傷手当て及び圧縮治療に使用するため、伸縮性層1700の下で患者の足に近接して設けられる。また、支えとなるスペーサ1704は間隔をおいて配置された凸部1702の間の伸縮性層1700に結合され得る。スペーサ1704は、各スペーサの半部が伸縮性層1700を介して残り半分と結合している状態の球形であってもよい。患者が歩行する際の力によって凸部1702が押しつぶされないように、スペーサ1704は、靴下スタイルの手当て材をはいて歩行する患者を支えるのに十分な強度の、例えば、金属合金又はコルクのような丈夫な素材で形成されてもよい。
【0062】
靴下スタイルの手当て材は上述した通り患者の脚を包むスタイルの手当て材と組合わせて用いられても、患者が足に傷を負っている場合は歩行用ギプスの下で用いられても、義肢とともに用いる際には力を受けた創傷を治療するために補綴具とともに用いられても、又は圧縮治療のために、例えばコバン(Coban
TM)のような弾力のあるラップの下で用いられてもよい。前述した実施例と同様に、綿又はストッキネットからなる層は、靴下スタイルの手当て材を引き上げる前に創傷に当てられてもよい。
【0063】
本発明は特定の実施例との組合わせで説明されたが、本発明は、開示された実施例にのみ限定されるものではなく、反対に、添付の請求項の趣旨及び範囲に含まれる様々な改良及び均等な構成に及ぶものであることを理解されたい。また、請求項は、法の下に許容される全ての改変及び均等な構造を含むように、最も広く解釈されるべきである。
【国際調査報告】