(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-538146(P2016-538146A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】温度センサを有する打込装置
(51)【国際特許分類】
B25C 1/08 20060101AFI20161111BHJP
【FI】
B25C1/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-534229(P2016-534229)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014075466
(87)【国際公開番号】WO2015078834
(87)【国際公開日】20150604
(31)【優先権主張番号】13194420.9
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ディトリッヒ, ティロ
(72)【発明者】
【氏名】ヘープ, ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュタウス−ライナー, ペーター
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC03
(57)【要約】
本発明は、ハウジングと、点火装置を有する燃焼室と、燃料を貯蔵するための容器壁部を有する貯蔵容器と、当該燃焼室に所定の量の燃料を供給するための供給量調整装置と、打込対象物に打込素子を取り付けるための打撃棒のような装置であって、燃焼室内のガスの圧力によってこの装置への打込力我印加され、こうしてこの装置が内燃機関によって駆動可能となっている装置と、制御ユニットと、当該貯蔵容器内の燃料の温度を検知するための温度センサと、を備えた打込装置に関する。この打込装置においては、燃焼室への燃料の所定の量の正確な供給のために、燃料容器内の燃料の温度を僅かな技術的コストで検知されなければならない。この課題は、この打込装置が、上記の温度センサがこの貯蔵容器内の燃料の温度を検出するために、この燃料の温度の間接的検出のための、上記の容器壁部の外表面へ機械的に接触するように構成されていることによって解決される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打込装置(1)であって、
ハウジング(3)と、
点火装置(5)を有する燃焼室(4)と、
好ましくは燃料を貯蔵するための容器壁部(9)を有する貯蔵容器(7)と 、
所定の量の燃料を前記燃焼室(4)に供給するための供給量調整装置(14 )と
打込素子(19)を打込対象物(2)に取り付けるための装置(17)、た とえば打撃棒(18)であって、前記燃焼室(4)におけるガスの圧力によって、 当該装置(17)に打込力が印加可能であることにより、当該装置(19)が内燃 機関によって駆動可能である装置と、
制御ユニット(25)と、
前記貯蔵容器(7)における燃料の温度を検知するための温度センサ(26) と、
を備え、
前記打込装置(1)は、当該打込装置(1)と結合された貯蔵容器(7)で は、前記温度センサ(26)が当該貯蔵容器(7)内の燃料の温度を検出するため に、当該燃料の温度の間接的検出のための、前記容器壁部(9)の外表面(13) へ機械的に接触しするように構成されていることを特徴とする打込装置。
【請求項2】
前記打込装置(1)は、1つの弾性素子(33)、具体的には1つのばね(34)を備え、当該弾性素子(33)は、前記温度センサ(26)と機械的結合機能部において結合されており、前記温度センサ(26)は前記打込装置(1)の他の部分に可動に支持されており、これより前記打込装置(1)と結合されている貯蔵容器(7)では、前記温度センサ(26)は、前記弾性素子(33)によって前記温度センサ(26)にもたらされる力によって前記容器壁部(9)の外表面(13)、具体的には当該貯蔵容器(7)の前壁部(10)または底壁部(12)に押圧されていることを特徴とする、請求項1に記載の打込装置。
【請求項3】
前記弾性素子(33)は、前記打込装置(1)の他の部分と結合された不動の第1の端部(35)と、可動に結合された第2の端部(36)とを備え、特に、前記温度センサ(26)は、前記弾性素子(33)の前記第2の可動な端部(36)と機械的に結合されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の打込装置。
【請求項4】
前記温度センサ(26)は、前記弾性素子(33)との機械的結合、特に前記弾性素子(33)の前記第2の端部(36)との機械的結合によって、可動であり、特に可動に支持されていることを特徴とする、請求項2または3に記載の打込装置。
【請求項5】
前記貯蔵容器(7)は、容器壁部(9)として全面壁部(10)、底部壁部(12)、および少なくとも1つの側壁部(11)を備え、前記貯蔵容器(7)から前記燃料を取り出すための取出装置(37)が当該前壁部(10)に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の打込装置。
【請求項6】
前記打込装置(1)と結合している貯蔵容器(7)では、前記貯蔵容器(7)における前記燃料の温度を検知するための前記温度センサ(26)が、前記燃料の温度の間接的検出のための、前記前壁部(10)または前記底壁部(12)の外表面(13)と機械的に接触していることを特徴とする、請求項5に記載の打込装置。
【請求項7】
前記打込装置(1)は、前記貯蔵容器(7)の内部空間(8)の、前記供給量調整装置(14)との液密な結合のための受側取出装置(39)を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の打込装置。
【請求項8】
前記打込装置(1)と結合されている貯蔵容器(7)では、前記取出装置(37)は前記貯蔵容器(7)と機械的な結合され、かつ流体的に通流して結合されている受側取出装置を備えることを特徴とする、請求項7に記載の打込装置。
【請求項9】
前記貯蔵容器(7)での前記取出装置(37)の、前記貯蔵容器(7)の前記受側取出装置(39)との結合のために、前記受側取出装置(39)への結合方向(40)に移動するように、かつ前記受側取出装置(39)の幾何形状によって、好ましくは前記取出装置(37)の幾何形状によって、当該結合方向(40)は、前記弾性素子(33)の移動方向に対しほぼ平行となっており、および/または前記弾性素子(33)の第1および第2の端部(35,36)を通る仮想的な直線に対してほぼ平行となっていることを特徴とする、請求項7または8に記載の打込装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の打込装置において、
前記打込装置(1)を用いて、請求項11乃至15のいずれか1項に記載の方法が実行可能であり、
および/または前記貯蔵容器(7)における前記燃料は液状の物質状態またはガス状の物質状態で保管されており、
および/または前記打込素子(1)は、釘(20)またはボルトとして形成されており、
および/または前記打込装置(1)は、複数の打込素子(19)を貯蔵するためのマガジン(21)を備え、
および/または前記打込装置(1)は、制御ユニット(25)を備え、
および/または前記打込装置(1)は、前記打込装置(1)での周囲の温度を検知するための温度センサ(31)を備え、
および/または前記打込装置(1)は前記貯蔵容器(7)における前記燃料の圧力を検知するための圧力センサ(32)を備え、
および/または前記供給量調整装置(14)は、好ましくは当該供給量調整装置(14)の開放時間が、具体的には前記貯蔵容器(7)内の前記燃料の温度に依存し、好ましくはその周囲の温度に依存し、好ましくは前記貯蔵容器(7)内の前記燃料の圧力に依存し、好ましくはその周囲の圧力に依存して、前記制御ユニット(25)によって制御可能および/または調整可能であり、
および/または前記燃焼室(4)は、移動可能なピストン(6)によって境界が画定されかつ当該ピストン(6)を用いて打込力を上記の装置(17)に印加可能であり、
および/または前記貯蔵容器(7)内の燃料の温度を検知するための前記温度センサ(26)は異なる熱伝導率を有する2つの材質から構成され、かつ大きい方の熱伝導率、たとえば2倍,5倍,または10倍大きな熱伝導率を有する材質は前記貯蔵容器(7)に向いた前記温度センサ(26)の第1の部分(28)に、具体的には前記温度センサ(26)の測定素子(27)と前記貯蔵容器(7)の前記容器壁部(9)の前記外表面(13)との間に配設されており、かつ小さい方の熱伝導率を有する材質は前記貯蔵容器(7)に向いていない前記温度センサ(26)の第2の部分(29)に、具体的には前記測定素子(27)と前記弾性素子(33)との間に配設されており、
および/または前記打込装置(1)は貯蔵容器ポケット(24)を備え、好ましくは当該貯蔵容器ポケット(24)の大きさは前記結合方向(40)において前記結合方向(40)に垂直な方向よりも大きいことを特徴とする、打込装置。
【請求項11】
打込対象物(20)に打込素子(19)を打込む方法であって、具体的には請求項1乃至10のいずれか1項の記載の打込装置(1)を用いる方法であって、
打込対象物(2)、たとえばコンクリート面に打込素子(19)を打込むステップであって、当該ステップでは燃料が燃焼室(4)で点火され、当該燃料の当該燃焼室(4)における燃焼行程によって、当該燃焼室(4)におけるガスの温度および圧力が高くなり、当該燃焼室(4)におけるガスによる打込力が、当該打込対象物(2)への前記打込素子(19)の取り付けのために、1つの装置(17)、たとえば打撃棒(18)に直接または間接的に印加され、この打込力は当該装置(17)から当該打込素子(19)に伝達され、こうしてこの打込力によって当該打込素子(19)は当該打込対象物(2)に取り付けられるステップと、
温度センサ(26)を用いて貯蔵容器(7)内の前記燃料の温度が検知されるステップと、
前記貯蔵容器(7)から前記燃焼室(4)へ前記燃料として所定の量の燃料が導入され、かつ当該量の供給は制御および/または調整され、ここで当該貯蔵容器(7)内の燃料の前記温度に依存して前記供給量調整装置(14)、具体的には前記供給量調整装置(14)の開放時間が制御および/または調整されるステップと、
を備え
前記貯蔵容器(7)内の前記燃料の前記温度は間接的に検知され、この際前記貯蔵容器(7)の容器壁部の前記外表面(13)の温度が検知されることを特徴とする方法。
【請求項12】
前記温度センサ(26)は、前記貯蔵容器(7)の容器壁部(9)の外表面(13)に機械的に接触され、
および/または前記燃料の温度の検知の際に、前記温度センサ(26)は前記貯蔵容器(7)の容器壁部(9)の外表面に接触していることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記温度センサ(26)は弾性素子(33)、具体的には、たとえば圧縮ばね等のばね(34)によって、前記貯蔵容器(7)の容器壁(9)の外表面(13)に押圧され、これにより前記温度センサ(26)と当該外表面(13)との間には押圧力が存在していることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記貯蔵容器(7)での取出装置(37)の、前記打込装置(1)での受側取出装置(39)との機械的な結合であって、かつ流体が通流する結合の際に、前記温度センサ(26)は、前記貯蔵容器(7)の前記容器壁部の外表面(13)と接触するようになることを特徴とする、請求項11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記貯蔵容器(7)での前記取出装置(37)の、前記打込装置(1)での前記受側取出装置(39)との機械的な結合であって、かつ流体が通流する結合の際に、前記貯蔵容器(7)は前記受側取出装置(39)への結合方向(40)で動き、かつ同時に前記弾性素子(33)、具体的には前記弾性素子(33)の可動な第2の端部(36)は、前記結合方向(40)に対しほぼ平行に動き、および/または同時に前記温度センサ(26)は、前記結合方向(40)に対しほぼ平行に動くことを特徴とする、請求項11乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の上位概念による打込装置、および請求項11に記載の上位概念による打込対象物における打込ボルトを打ち込むための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば釘やボルト等の打込素子は、この打込素子を用いて打込対象物に固定部品を固定できるようにするため、打込装置を用いてこの打込対象物に取り付けられる。この際この打込素子は、さらなる打込対象物としての、たとえば木製の小幅板のような固定部品にも、この固定部品を、たとえば木の梁等の他の打込対象物に固定するために、追加的に取り付けられてよい。
【0003】
内燃機関を用いて駆動される打込装置は、点火装置を有する燃焼室を備える。この燃焼室内に空気と燃料の混合物が存在するように、一般的にこの燃焼室には、ガス状の燃料が導入される。理想的な燃焼のために、この燃焼室内での燃料と酸素量との比が互いに調整されることになる。このため様々なパラメータを考慮することになり、またこのため所定の量の燃料を燃焼工程用にこの燃焼室に導入することが必要である。燃焼室への燃料の供給のために、内燃機関駆動の打込装置は、供給量調整装置として1つの電磁バルブを備える。制御ユニットは、この供給量調整装置、たとえば電磁バルブの開放時間を制御し、これにより所定の量の燃料が燃焼室に導入されるようにする。この燃料は、この打込装置では、貯蔵容器内に保管される。この貯蔵容器、たとえばガスカートリッジまたはガス缶は、この貯蔵容器内の燃料の消費後に交換され、すなわち消耗品となっており、この打込装置の使用者によって常に交換あるいは切替えられなければならない。この際上記の供給量調整装置の開放時間は、燃料の温度に依存して制御ユニットによって制御および/または調整される。このため、温度センサを用いて燃料容器内の燃料の温度を検知する必要がある。
【0004】
特許文献1には、内燃機関駆動の打込装置が開示されている。この打込装置は、内燃機関を用いて打込対象物に打込素子を取り付けるために、1つの燃焼室を備える。温度センサを用いて燃焼室の温度が検知される。この燃焼室の温度および燃料の温度は、管理モジュールに伝送され、この管理モジュールによって供給量調整装置の開放時間が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2368669A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、打込装置、および打込対象物への打込ボルトの打込のための方法を提供することであり、この際、燃焼室への燃料の所定の量の正確な供給のために、燃料容器内の燃料の温度を僅かな技術的コストで検知することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの課題は、ハウジングと、点火装置を有する燃焼室と、好ましくは燃料を貯蔵するための容器壁部を有する貯蔵容器と、当該燃焼室に所定の量の燃料供給するための供給量調整装置と、たとえば打込対象物に打込素子を取り付けるための打撃棒のような装置であって、燃焼室内のガスの圧力によってこの装置への打込力の印加が可能であり、こうしてこの装置が内燃機関によって駆動可能となっている装置と、制御ユニットと、当該貯蔵容器内の燃料の温度を検知するための温度センサと、を備えた打込装置によって解決され、ここで当該打込装置は、当該打込装置と結合されている貯蔵容器において、当該貯蔵容器内の燃料の温度を検知するための温度センサが、当該燃料の間接的な温度の検知のために当該容器の外壁部表面と機械的に接続されるように構成されている。この外壁部表面、すなわち上記の貯蔵容器の容器壁部の外面の温度の検知によって、当該貯蔵容器内の燃料の温度を極めて正確に間接的に検知することができる。この容器壁部は、熱伝導率の良い材料、具体的には金属から成っており、これによってこの容器壁部の外面での温度が実質的にこの貯蔵容器内の燃料の温度に相当するものとなる。
【0008】
もう1つの実施形態においては、本発明による打込装置は、1つの弾性素子、具体的には1つのばねを備え、この弾性素子は、上記の温度センサと機械的結合機能部において結合されており、またこの温度センサはこの打込装置の他の部分に可動に支持されており、こうしてこの打込装置と結合されている貯蔵容器では、この温度センサは、上記の弾性素子によってこの温度センサにもたらされる力によって上記容器壁部の外表面、具体的にはこの貯蔵容器の前壁部または底壁部に押圧されている。上記の打込装置の他の部分への温度センサ配置と上記の容器壁部の外表面との間には、この貯蔵容器とこの打込装置の他の部分との間の結合の際に、特に温度変化のために隙間が発生し得る。上記の弾性素子およびこの弾性素子の弾性変形性によって、上記の温度センサと上記の貯蔵容器の外表面との間の充分な接触が常に得られることが保証される。上記の温度センサと上記の貯蔵容器の外表面との間には、貯蔵容器の外表面から温度センサへの熱伝導を改善するために、熱伝導ペーストが配設されていてもよい。
【0009】
1つの補充的な実施形態においては、上記の弾性素子は、上記の打込装置の他の部分と結合された不動の第1の端部と、この弾性素子と機械的に可動に結合された第2の端部とを備え、そして特に上記の温度センサは、この弾性素子の可動な第2の端部と機械的に結合されている。
【0010】
1つの補充的な変形例においては、上記の弾性素子との機械的結合、具体的には上記の弾性素子の第2の端部との機械的結合によって、上記の温度センサは可動となっており、具体的には可動に支持されている。この温度センサは、上記の弾性素子の可動な第2の端部と結合されており、こうしてこの弾性素子の可動な第2の端部および上記の温度センサは1つの移動方向に一緒に移動する。
【0011】
好適には上記の貯蔵容器は、容器壁部として、前壁部、底壁部、および少なくとも1つの側壁部とを備え、燃料をこの貯蔵容器から取り出すための取出装置(Entnahmevorrichtung)がこの前壁部に形成されている。この貯蔵容器は、通常はその側壁部にのみ印字または塗装を有し、これよりこの貯蔵容器の金属からの形成の際に、上記の底壁部および/または上記の側壁部にこの貯蔵容器の外表面が金属の表面によって形成される。これによって上記の前壁部または上記の底壁部の金属の外表面への温度センサの接触の際には、貯蔵容器からこの温度センサへのとりわけ良好な熱伝導が保証される。
【0012】
1つの補充的な実施形態においては、本発明による打込装置と結合された貯蔵容器では、上記の温度センサはこの貯蔵容器内の燃料の温度を検出するために、この燃料の温度の間接的検出のための、前壁部または底壁部の外表面と機械的に接触している。
【0013】
もう1つの実施形態においては、本発明による打込装置は、上記の貯蔵容器の内部空間の、上記の供給量調整装置との液密な結合のための受側取出装置(Gegenentnahmevorrichtung)を備える。ここでこの受側取出装置は、燃料導管と結合されており、これによりこの受側取出装置によってこの供給量調整装置への燃料を上記の燃焼室へ導くことができる。
【0014】
もう1つの実施形態においては、本発明による打込装置と結合されている貯蔵容器では、この貯蔵容器の取出装置は、本発明による打込装置で受側取出装置と機械的な結合であって、かつ流体が通流するように結合されている。この貯蔵容器での取出装置は、さらに1つのバルブを備え、上記の受側取出装置と上記の取出装置のバルブとの間の機械的結合機能部によって、このバルブはこの打込装置との結合の際に開放あるいは開放可能であり、この取出装置の取出管を通って、燃料は受側取出装置へ導かれあるいは導くことができる。
【0015】
もう1つの実施形態においては、上記の貯蔵容器での取出装置の、この貯蔵容器の受側取出装置との結合のために、この受側取出装置への結合方向に移動するように、かつ受側取出装置の幾何形状によって、好ましくはこの取出装置の幾何形状によって、この結合方向は、上記の弾性素子の移動方向に対しほぼ平行となっており、および/またはこの弾性素子の第1および第2の端部を通る仮想的な直線に対してほぼ平行となっている。この結合方向は、弾性素子の移動方向および/または温度センサの移動方向に対しほぼ平行であり、すなわちこの結合方向は、この移動方向に対し30°,20°,10°または5°より小さなずれを有している。同様に、上記の仮想的な直線は、上記の結合方向に対しし30°,20°,10°または5°より小さなずれの方向となっている。
【0016】
もう1つの実施形態においては、本発明による打込装置を用いて、本出願に記載された方法が実施可能であり、および/または上記の貯蔵容器における燃料は液状の物質状態またはガス状の物質状態で保管され、および/または上記の打込素子は、釘またはボルトとして形成されており、および/または当該打込装置は複数の打込素子を貯蔵するためのマガジンを備え、および/または当該打込装置は制御ユニットを備え、および/または当該打込装置は当該打込装置での周囲の温度を検知するための温度センサを備え、および/または当該打込装置は上記の貯蔵容器における燃料の圧力を検知するための圧力センサを備え、および/または当該打込装置は当該打込装置の周囲の圧力を検知するための圧力センサを備え、および/または上記の供給量調整装置は、好ましくは当該供給量調整装置の開放時間が、具体的には当該貯蔵容器内の燃料の温度に依存し、好ましくはその周囲の温度に依存し、好ましくは当該貯蔵容器内の燃料の圧力に依存し、好ましくはその周囲の圧力に依存して、上記の制御ユニットによって制御可能および/または調整可能であり、および/または上記燃焼室は移動可能なピストンによって境界が画定されかつ当該ピストンを用いて打込力を上記の装置に印加可能であり、および/または当該貯蔵容器内の燃料の温度を検知するための温度センサは異なる熱伝導率を有する2つの材質から構成され、かつ大きい方の熱伝導率、たとえば2倍,5倍,または10倍大きな熱伝導率を有する材質は当該貯蔵容器に向いた当該温度センサの第1の部分に、具体的には当該温度センサの測定素子と当該貯蔵容器の容器壁部の外表面との間に配設されており、かつ小さい方の熱伝導率を有する材質は当該貯蔵容器に向いていない当該温度センサの第2の部分に、具体的には当該温度センサの測定素子と上記弾性素子との間に配設されており、および/または当該打込装置は貯蔵容器ポケットを備え、好ましくは当該貯蔵容器ポケットの大きさは上記の結合方向においてこの結合方向に垂直な方向よりも大きい。上記の温度センサの第1および第2の部分の異なる熱伝導率によって、上記の測定素子を有するこの温度センサの第1の部分は、特に速く上記の容器壁部の外表面の温度に適応し、また上記の貯蔵容器内の燃料の温度あるいは上記の打込装置の周囲に向いた当該容器壁部の外表面の温度が当該打込装置での周囲に対し大きな差がある場合、この温度センサの第2の部分の小さな熱伝導率によって非常に僅かな熱量のみが上記の第1の部分から上記の第2の部分へ、すなわち当該打込装置の他の部分へ逃がされる。上記の貯蔵容器ポケットの大きさは、上記の結合方向において、この結合方向に対し垂直な方向より1.5,2,3,4,または5倍大きくなっている。
【0017】
本発明による、打込対象物への打込素子の打込みのための方法は、特に本願に記載された打込装置を用いて、以下のステップで行われる。打込対象物、たとえばコンクリート面に打込素子を打込むステップであって、このステップでは燃料が燃焼室で点火され、この燃料の燃焼室における燃焼行程によって、この燃焼室におけるガスの温度および圧力が高くなり、この燃焼室におけるガスによる打込力が、打込対象物への打込素子の取り付けのために、1つの装置、たとえば打撃棒に直接または間接的に印加され、この打込力は当該装置から当該打込素子に伝達され、こうしてこの打込力によって当該打込素子は当該打込対象物に取り付けられるステップと、温度センサを用いて貯蔵容器内の燃料の温度が検知されるステップと、この貯蔵容器から上記の燃焼室へ上記の燃料として所定の量の燃料が導入され、かつこの量の供給は制御および/または調整されるステップとを備え、ここで当該貯蔵容器内の燃料の温度に依存して供給量調整装置、具体的にはこの供給量調整装置の開放時間が制御および/または調整され、ここで当該貯蔵容器内の燃料の温度は間接的に検知され、この際当該貯蔵容器の容器壁部の外表面の温度が検知される。
【0018】
もう1つの実施形態においては、上記の温度センサは上記の貯蔵容器の容器壁部の外表面に機械的に接触され、および/または上記の燃料の温度の検知の際にこの温度センサが当該貯蔵容器の外表面に接触される。
【0019】
もう1つの実施形態においては、上記の貯蔵容器内の燃料の温度を検知するための温度センサは光学的センサである、具体的にはパイロメーターまたは熱画像カメラであり、こうしてこの貯蔵容器の容器壁部の外表面の温度が非接触あるいは接続すること無しに検知される。
【0020】
もう1つの実施形態においては、上記の温度センサは弾性素子、具体的には、たとえば圧縮ばね等のばねによって、上記の貯蔵容器の容器壁の外表面に押圧され、こうしてこの温度センサとこの外表面との間には押圧力が存在している。
【0021】
もう1つの変形例においては、上記の貯蔵容器での取出装置の、上記の打込装置での受側取出装置との機械的な結合であって、かつ流体が通流する結合の際に、上記の温度センサは、当該貯蔵容器の容器壁部の外表面と接触するようになる。
【0022】
もう1つの実施形態においては、上記の貯蔵容器での取出装置の、上記の打込装置での受側取出装置との機械的な結合であって、かつ流体が通流する結合の際に、上記の貯蔵容器は当該受側取出装置への結合方向で動き、かつ同時に上記の弾性素子、具体的には当該弾性素子の可動な第2の端部は、この結合方向に対しほぼ平行に動き、および/または同時に上記の温度センサは、この結合方向に対しほぼ平行に動く。
【0023】
もう1つの実施形態においては、上記の測定素子はNTCサーミスタ(Heisleiter)またはPTCサーミスタ(Kaltleiter)である。
【0024】
以下で添付した図面を参照して本発明の1つの実施形態例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】打込装置の非常に簡略化した横断面図である。
【
図2】
図1に示す打込装置の、貯蔵容器内の燃料の温度センサの領域の部分断面図である。
【0026】
図1に示す、内燃機関によって駆動される打込装置1は、打込素子19、たとえば釘20またはボルトの、打込対象物2、たとえばコンクリート面または木製の小幅板への取り付けあるいは打込みに用いられる。この打込装置1は、金属および/またはプラスチックから成るハウジング3を備える。点火装置5を有する燃焼室4には、貯蔵容器7から燃料導管16を通ってガス状または液状の燃料が導入される。空気あるいは酸素と燃料とから成る混合物の燃焼室4内での点火の際には、この燃焼室4における温度が急速に上昇し、かつこれによってこの燃焼室内のガスの圧力が急速に上昇し、こうしてこの燃焼室4内の上昇したガスの圧力はピストン6に打込力を与える。この打込力は、打込素子19を取り付けるための装置17、すなわち打撃棒18を用いて釘20に伝達される。この際マガジン21内には複数の釘20が蓄えられており、自動送り機構(不図示)を用いて1つの釘20のを打込み後、自発的に次の釘20が打撃棒18の左側の領域に送られる。この際これらは、把持部23でトリガー22をオン操作することによって自発的かつ自動的に行われる。この際トリガー22は、不図示の電気的制御ケーブルによって制御ユニット25と接続されている。点火装置5も不図示の電気的制御ケーブルによってこの制御ユニット25と接続されており、この制御ユニットは、この点火装置5の起動を制御する。さらに燃焼室4では、点火および燃焼行程の後のこの燃焼室4内の排ガスをこの燃焼室4から除去するために、不図示のベントバルブおよびブロワが配設されている。ここに示されていない実施形態例では、この燃焼室にブロワが全く配設されておらず、その代りこの燃焼室は打込工程の後、規則的に収縮する。
【0027】
貯蔵容器7は、ハウジング3によって境界が画定されている貯蔵容器ポケット24内に配設されている。ここでこの貯蔵容器7は、ガスカートリッジまたはガス缶として形成されており、ここでは1つの消耗品となっており、すなわちこの貯蔵容器7内の燃料の消費後、この貯蔵容器はこの打込装置の使用者によって交換され、燃料の入った新しい貯蔵容器7と入れ替えられる。この貯蔵容器7は、たとえばアルミニウムまたはスチール等の金属から成る容器壁部9を備え、前壁部10,側壁部11,および底壁部12を有する。側壁部11には塗装あるいは印字がなされており、側壁部10および底壁部12には、この貯蔵容器9の外表面は、塗装あるいは印字を全く有しておらず、こうして外表面13ではこの容器壁部9の金属が剥き出しで存在している。ここでこの容器壁部9は、液状の燃料を収容するための貯蔵容器7の内部空間8の境界となっている。ここでこの燃料はこの貯蔵容器内での圧力下にあり、こうしてこの圧力によってこの燃料は液状の物質状態で存在している。この貯蔵容器7の打込装置1との機械的な結合および流体が通流する結合のために、この貯蔵容器7は、結合方向40において前壁部10で打込装置1の受側取出装置39への方向に移動する。この貯蔵容器7には、取出管38および不図示のバルブを有する取出装置37が存在している。ここでこの取出管38は受側取出装置39に導かれており、こうしてこの取出管38と受側取出装置39との間で流体が通流する結合が存在している。この受側取出装置39と取出装置37の不図示のバルブとの間の機械的結合機能部によって、取出管38が受側取出装置39と流体的に通流する結合の後、このバルブが開放され、こうして貯蔵容器7の内部空間8から燃料がこの受側取出装置39を通り、燃料導管16を通って供給量調整装置14、すなわち電磁バルブ15または圧電バルブに導かれ、続いて電磁バルブ15が開放された際に燃料導管16を通ってさらに燃焼室4へ導かれ得る。
【0028】
打込装置1は、さらにこの打込装置1の周囲の温度あるいはこの打込装置1の温度を検知するための温度センサ31、および貯蔵容器7における燃料の圧力を検知するための圧力センサ32を備える。これとは異なり、この打込装置31は、この圧力センサ32無しに構成されていてもよい。ここでこの圧力センサ32は、燃料導管16と流体的に通流して結合されており、こうして貯蔵容器7の内部空間8と燃料導管16との間の通流した結合の際に、この貯蔵容器内の燃料の圧力を検知することができる。
【0029】
打込装置1は、さらに貯蔵容器7内の燃料の温度検知するための温度センサ26を備える。ここで、上記のセンサ26,31,および32は不図示の制御ケーブルで制御ユニット25と接続されており、これによりこれらのセンサ26,31,および32のデータはこの制御ユニット25に伝送することができる。温度センサ26は、ばね34である弾性素子33に固定されている。ここでこのばね34は不動の第1の端部35でハウジング3にしっかりと結合されており、可動な第2の端部36で温度センサ26と結合している。ここでこの温度センサ26は、貯蔵容器7に向いた第1の部分28と、この貯蔵容器7に向いていない第2の部分29とから成っている。この温度センサ26の第1の部分28内には、この温度センサ26の測定素子27が配設されている。この測定素子27を機械的な損傷から保護するために、この測定素子27を第1の部分28によって覆うことが必要である。この温度センサ26の第2の部分29は、複数のブリッジ42から構成されている。ここでこの温度センサ26の第1の部分28の熱伝導率は、この温度センサ26の第2の部分29の熱伝導率より大幅に大きい。このためたとえば第1の部分28は銅から形成され、第2の部分29はプラスチックから形成されている。この温度センサ29の第1の部分28の接触面30は、容器壁部9の金属の外表面13、すなわち前壁部10と常に接触している。
【0030】
ここで弾性素子33と温度センサ26、および貯蔵容器7の幾何形状は、貯蔵容器7のこの打込装置1との結合の際に、すなわち取出装置37の受側取出装置39との結合の際には、既にその完全な結合の前に、この温度センサ26、すなわちその接触面30は、容器壁部9の外表面13との間で接触している。貯蔵容器7の打込装置1との結合のために、この貯蔵容器7は、結合方向40において、受側取出装置39への方向に移動されることになり、こうして温度センサ26の接触面30と容器壁部9の外表面13との間の接触の後、弾性素子33の弾性変形が発生し、これによって打込装置1の貯蔵容器7との完全な結合の後、温度センサ26の接触面30は、弾性素子33からこの温度センサ26に印加される押圧力によって、接触面30と外表面13との間には常に押圧力が存在している。ここで温度センサ26の移動方向41および弾性素子33の可動な第2の端部36の移動方向41は、結合方向40に対してほぼ平行となっている。
【0031】
温度センサ26によって検知された貯蔵容器7内の燃料の温度は、制御ユニット25によって評価され、設定されている曲線に基づいて、温度センサ26によって検知された貯蔵容器7内の燃料の温度に依存し、また温度センサ31によって検知される周囲の温度に依存し、また圧力センサ32によって検知される貯蔵容器内の燃料の圧力に依存して、電磁バルブ15の開放時間の制御および/または調整が行われる。
【0032】
全体として本発明による打込装置1は重要な利点を有している。 安価な温度センサ26は、容器壁部9の外表面13の温度を検知することによって、貯蔵容器7内の燃料の温度を非常に容易に検知する。この際弾性素子33によって、この温度センサ26と外表面13との間は常に機械的に接触している。以上により、僅かな技術的費用で、すなわち安価に製造された打込装置1で、貯蔵容器7内の燃料の温度の十分に正確な検知が保証される。
【国際調査報告】