特表2016-538166IP Force 特許公報全文掲載

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-538166(P2016-538166A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】伝導性高分子膜
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20161111BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20161111BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161111BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20161111BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20161111BHJP
   H01B 1/12 20060101ALI20161111BHJP
   H01B 1/20 20060101ALI20161111BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20161111BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20161111BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
   B32B27/00 Z
   H05B33/28
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H01B5/16
   H01B1/12 F
   H01B1/20 A
   H01B5/14 A
   B05D5/12 B
   H01L31/04 130
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-544302(P2016-544302)
(86)(22)【出願日】2014年12月23日
(85)【翻訳文提出日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】KR2014012725
(87)【国際公開番号】WO2015099411
(87)【国際公開日】20150702
(31)【優先権主張番号】10-2013-0161746
(32)【優先日】2013年12月23日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミ キョウン
【テーマコード(参考)】
3K107
4D075
4F100
5F151
5G301
5G307
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC11
3K107CC21
3K107CC42
3K107CC45
3K107DD17
3K107DD22
3K107DD27
3K107DD43X
3K107DD43Y
3K107FF09
3K107FF14
3K107FF15
3K107FF17
3K107GG06
3K107GG21
3K107GG26
3K107GG28
4D075AE03
4D075BB21Z
4D075BB69Z
4D075BB76Z
4D075BB93Z
4D075CA22
4D075CA35
4D075CB06
4D075DB13
4D075DC21
4D075DC24
4D075EB37
4D075EC35
4D075EC37
4F100AG00
4F100AK01A
4F100AK54B
4F100BA02
4F100CA18B
4F100CC00B
4F100EH46
4F100EJ42
4F100EJ64
4F100GB41
4F100JB04
4F100JG01A
4F100JK17
5F151AA11
5F151FA02
5G301DA28
5G301DA42
5G301DD02
5G301DE01
5G307FA02
5G307FB03
5G307FC10
5G307HA01
5G307HB06
5G307HC05
(57)【要約】
【課題】疎水性有機物に対するコーティング性及び電気伝導性に優れる伝導性高分子膜を提供する。
【解決手段】伝導性高分子層と、前記伝導性高分子層上に形成され、親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤、ポリエチレングリコールまたはこれらの組み合わせを含むコーティング層と、を含む伝導性高分子膜に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性高分子層と、
前記伝導性高分子層上に形成され、親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1つ以上を含むコーティング層を有する伝導性高分子膜。
【請求項2】
前記伝導性高分子膜は、表面エネルギーが50mN/m以上である請求項1に記載の伝導性高分子膜。
【請求項3】
前記伝導性高分子膜は、水接触角が30度以下である請求項1または2に記載の伝導性高分子膜。
【請求項4】
前記伝導性高分子膜は、o−ジクロロベンゼンに対する接触角が30度以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜。
【請求項5】
前記伝導性高分子層は、酸溶液または有機溶媒を塗布した後に熱を加えて表面処理されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜。
【請求項6】
前記酸溶液は、p−トルエンスルホン酸溶液、硫酸溶液、クエン酸溶液またはこれらの組み合わせである請求項5に記載の伝導性高分子膜。
【請求項7】
前記有機溶媒は、アセトニトリル、メタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシドまたはこれらの組み合わせである請求項5又は6に記載の伝導性高分子膜。
【請求項8】
前記表面処理は、100〜170℃の温度で行われる請求項5〜7のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜。
【請求項9】
前記コーティング層は、界面活性剤及びポリエチレングリコールの少なくとも1つ以上及びアルコール溶媒を含むコーティング液で形成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜。
【請求項10】
前記コーティング液は、前記界面活性剤及びポリエチレングリコールの少なくとも1つ以上を0.2〜10重量%の含量で含む請求項9に記載の伝導性高分子膜。
【請求項11】
前記親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上である界面活性剤は、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのランダム共重合体、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロック共重合体、アルキルポリグリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、アセチレングリコール及びポリオキシエチレンからなる群から選択された1種以上の構造を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜。
【請求項12】
前記アセチレングリコールの構造を含む界面活性剤は、下記化学式1で表される化合物を含み、
【化1】
前記化学式1において、
Ra及びRbは、それぞれ独立的に水素またはアルキル基であり、
Aは、−[OCH2CH2]m−OHであり、
A'は、−[OCH2CH2]n−OHであり、
前記m及びnは、それぞれ1〜80の間の整数である、請求項11に記載の伝導性高分子膜。
【請求項13】
前記ポリオキシエチレンの構造を含む界面活性剤は、下記化学式2で表される化合物を含み
【化2】
前記化学式2において、
R1及びR2は、それぞれ独立的に水素またはアルキル基であり、
R1及びR2の少なくとも1つは、アルキル基であり、
pは1〜200の間の整数である、請求項11又は12に記載の伝導性高分子膜。
【請求項14】
前記コーティング層は、その厚さが1nm〜1μmである請求項1〜13のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜。
【請求項15】
少なくとも一面に請求項1〜14のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜が形成されている透明電極基板。
【請求項16】
前記透明電極基板は、フレキシブル基板である請求項15に記載の透明電極基板。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の伝導性高分子膜を含むデバイス。
【請求項18】
前記デバイスは、有機発光装置または有機太陽電池である請求項17に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明伝導性高分子膜(CONDUCTIVE POLYMER FILM)、これを含む透明電極基板及びデバイスに関し、特に、高伝導性を有し、且つ疎水性有機物に対するコーティング性に優れる伝導性高分子膜、これを含む透明電極基板及びデバイス
【背景技術】
【0002】
透明であり、且つ伝導性のある透明電極は、液晶表示装置、有機発光装置などのようなディスプレイ装置や太陽電池などに広く適用されている。現在、最も普遍的に使用する透明電極の素材はITO(Indium Tin Oxide)膜である。しかし、ITOの場合、高温の真空蒸着を介して成膜されるので、ガラス基板のように耐熱性が高い基板上に形成されなければならず、成膜面積及び厚さなども制限される。また、ITO膜自体が脆い(brittle)性質を有していて、曲げた際に容易に剥離するためにフレキシブル基板への適用には適切でなかった。
【0003】
したがって、最近ではITO膜の代わりに伝導性高分子を用いて透明電極を製造するための研究が活発に行われている。伝導性高分子は低い温度で膜形成が可能であるため、基板に対する制約が相対的に少なく、溶液工程を介して一度に大面積の膜を成膜することができるという長所がある。現在、伝導性高分子を用いた透明電極は、一般に伝導性高分子を水溶液上に分散させて製造された伝導性高分子インク組成物を基板上にコーティングするか、または印刷する方式で製造されている。
【0004】
一方、透明電極形成用伝導性高分子としては、主に、PEDOT(poly(3、4−ethylenedioxythiophene))が使用されているが、前記PEDOT単独では溶媒に溶けにくい。よって、大部分の伝導性高分子インク組成物は、PEDOTにPSS(polystyrene sulfonate)をドーパントして水溶液上に分散させて使用している。このような従来の伝導性高分子インク組成物の場合、高い親水性を示すことになる。また、最近では伝導性を向上させるために伝導性高分子インク組成物にDMSO(dimethyl sulfoxide)やDMF(dimethyl formamide)のような極性溶剤を添加するか、または基板に対するコーティング性を向上させるために界面活性剤などを添加する場合が多いが、この場合に伝導性高分子インク組成物の親水性はさらに高くなることになる。しかし、有機太陽電池や有機発光素子などのような装置では、透明電極の上に光活性層、バッファ層、絶縁層のような疎水性有機物からなる層が形成されなければならないが、にように、親水性が高いインク組成物により形成された膜上には疎水性有機層がコーティングされにくいという問題点があった。
【0005】
のような問題点を解決するため、伝導性高分子インク組成物に界面活性剤を添加してインク膜の表面エネルギーを高めることで、疎水性有機層に対するコーティング性を向上させる方案が提案された。しかしこのように伝導性インク組成物に界面活性剤を添加する場合、添加された界面活性剤によって伝導性が低下し高い電気伝導度を実現しにくく、特に、インクの保存安定性が阻害されて長期間保存時には電気伝導度に悪影響を及ぼす。また、表面エネルギー向上効果を得るためには、相当量の界面活性剤が添加されなければならないが、この場合、膜形成後に界面活性剤が電導膜表面だけに分布されるのではなく、インク膜全般にわたって存在し、その結果、界面活性剤が電子移動を妨害して伝導度を低下させる要因として作用することになる。
【0006】
したがって、高い伝導性を実現しながら疎水性有機物に対するコーティング性に優れる伝導性高分子膜に対する開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、高い伝導性を有し、且つ疎水性有機物に対するコーティング性に優れる透明伝導性高分子膜、これを含む透明電極基板及びデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、伝導性高分子層と、前記伝導性高分子層上に形成され、親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤、ポリエチレングリコールまたはこれらの組み合わせを含むコーティング層を含む伝導性高分子膜を提供する。
【0009】
他の態様において、本発明は、少なくとも一面に前記本発明の伝導性高分子膜が形成された透明電極基板を提供する。このとき、前記電極基板はフレキシブル基板を含むことができる。
【0010】
また他の態様において、前記本発明の伝導性高分子膜を含むデバイスを提供する。このとき、前記デバイスは、例えば、有機発光装置または有機太陽電池とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、伝導性高分子膜は、表面エネルギーが高く、疎水性有機物に対するコーティング性が高いため、発光層や光活性層のような疎水性有機物層の形成が要求される有機発光装置または有機太陽電池の透明電極基板に有効に適用される。
【0012】
また、本発明の伝導性高分子膜は、伝導性インク層を表面処理することで、高い伝導性を実現することができ、高伝導性が要求される製品に有効に適用される。
【0013】
また、本発明の伝導性高分子膜は、低い温度で大面積に形成されるので、フレキシブル基板などに有効に適用される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は多様な異なった形態に変形することができ、本発明の範囲が以下の説明の実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0015】
本発明者らは伝導性を低下させず、疎水性有機物に対するコーティング性を向上させることができる伝導性高分子膜を開発するために研究を繰り返した結果、伝導性高分子インク層上に特定化合物を含むコーティング層を形成することで、のような目的を達成するものとして本発明を完成した。
【0016】
より具体的には、本発明の伝導性高分子膜は、伝導性高分子層及び該伝導性高分子層上に形成され、親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤、ポリエチレングリコールまたはこれらの組み合わせを含むコーティング層を含む。
【0017】
このとき、前記伝導性高分子層は、当該技術分野で一般的に製造され、流通する伝導性高分子インクなどで形成することができ、その組成は特に限定されない。例えば、前記伝導性高分子インクは、伝導性高分子を含む水系分散液及び溶媒などを含むものとすることができる。
【0018】
一方、前記伝導性高分子を含む水系分散液は、当該技術分野で公知のものを制限なく使用することができ、前記水系分散液の具体的な例としては、市販のHeraous社のPH−1000(登録商標)などが挙げられる。
【0019】
一方、前記水系分散液に含まれる伝導性高分子は、当該技術分野で公知の通常的な伝導性高分子とすることができ、例えば、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリチオフェンビニレン類などの伝導性高分子からなる群から選択された1種以上とすることができる。伝導性及び熱安定性を考慮する場合、前記伝導性高分子は、PEDOT:PSS(ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(Poly(3、4−ethylenedioxythiophene):poly(styrenesulfonate)))またはその誘導体であることが特に好ましい。
【0020】
一方、前記溶媒は、伝導性高分子インクの粘度及び物性などを調節するためのものであって、前記伝導性高分子とよく混合するものであれば制限なく使用することができ、例えば水及び有機溶媒の混合物とすることができる。前記水と有機溶媒との混合割合は特に限定されないが、伝導性高分子の分散性及び伝導性を考慮した場合、前記水と有機溶媒は、水100重量部に対して10〜150重量部の有機溶媒が存在する割合、または水100重量部に対して25〜100重量部の有機溶媒が存在する割合で混合することができる。本明細書において単位重量部は特に他に規定しない限り、重量の割合を意味することができる。前記で水と有機溶媒との混合割合(水:有機溶媒)は、他の例において、重量を基準として、40:60〜90:10または50:50〜80:20とすることができる。
【0021】
一方、前記伝導性高分子インクには、必要に応じて、伝導性増進剤、界面活性剤、または耐湿性や耐スクラッチ性の向上のための高分子樹脂などのような添加剤がさらに含まれ得る。
【0022】
前記伝導性増進剤としては、当該技術分野で公知の伝導性増進剤を制限なく使用することができ、例えばジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、N、N−ジメチルホルムアミド(N、N−dimethylformamide、DMF)またはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)などが単独で、または混合して使用できる。
【0023】
前記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤またはその他の非イオン性界面活性剤が使用できる。
【0024】
のような伝導性高分子インクをコーティングまたは印刷して伝導性高分子層を形成する。このとき、前記コーティングは、当該技術分野で一般に使用されるコーティング法、例えば、スピンコーティング、バーコーティング、スプレーコーティングなどの方法で行うことができ、前記印刷は、当該技術分野で一般に使用される印刷法、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷などで行うことができる。
【0025】
一方、前記伝導性高分子インクをコーティングまたは印刷した後に、必要に応じて乾燥を行うことができ、このとき、前記乾燥は、使用される伝導性高分子インクの種類及び伝導性高分子層の厚さなどによって異なるが、例えば、60〜180℃で5〜40分程度行うことができる。
【0026】
一方、のような方法で伝導性高分子層を形成した後、必要に応じて、伝導性高分子層の伝導性を向上させるために表面処理を行うことができる。このとき、前記表面処理は、伝導性高分子層上に酸溶液または有機溶媒を塗布した後に熱処理を実施する方法で行うことができる。
【0027】
前記酸溶液としては、これに制限されるものではないが、例えば、p−トルエンスルホン酸溶液、硫酸溶液、クエン酸溶液またはこれらの組み合わせなどが用いられ、前記酸溶液の濃度は0.01〜3モル濃度程度であることが好ましい。一方、前記有機溶媒としては、これに制限されるものではないが、例えば、アセトニトリル、メタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルスルホキシドまたはこれらの組み合わせなどが使用され得る。
【0028】
一方、前記酸溶液または有機溶媒を塗布する方法は、特に制限されず、当該技術分野で公知の多様な塗布方法、ペイントブラッシング、スプレーコーティング、ドクターブレード、浸漬引上法、スピンコーティング、インクジェットプリンティング、スロットダイコーティングなどが制限なく使用され得る。
【0029】
一方、前記熱処理は、100〜170℃程度の温度で30秒〜15分程度行うことが好ましい。
【0030】
一方、前記熱処理後に、高分子伝導層上に残存している酸溶液を除去するための段階を行うことができ、より具体的には、前記酸溶液除去段階は、熱処理された高分子伝導層をメタノール、エチルアルコール、イソプロパノールなどのアルコール溶媒に浸漬させた後、乾燥させる方法で行うことができる。このとき、前記乾燥は、40〜170℃程度の温度で30秒〜20分程度行うことができる。
【0031】
のように表面処理を行う場合、伝導性高分子膜の伝導性を著しく向上させることができる。
【0032】
のような方法を介して伝導性高分子層が形成されると、前記伝導性高分子層上に親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤、ポリエチレングリコールまたはこれらの組み合わせを含むコーティング層が形成される。前記親水性−親油性比は、他の例において、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上または18以上とすることができる。また、前記親水性−親油性比は、他の例において、40以下、35以下、30以下、25以下または20以下とすることができる。
【0033】
このとき、前記親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance、HLB)は、界面活性剤の親水性部分と親油性部分との比を示す。このような親水性−親油性比は化合物によって決定され、化合物別の割合は公知されている。前記親水性−親油性比は、当該技術分野で公知の方式として、例えば下記数式1〜4のいずれか1つを用いて計算することができる。一般に、HLB値はその値が大きいほど親水性が大きく、その値が小さいほど親油性が大きいことを意味する。
【0034】
[数式1]
HLB=20×(親水基部分の分子量/界面活性剤の分子量)
【0035】
前記数式1は、グリフィン(Griffin)によって定義されたものであって、一般的な非イオン性界面活性剤の親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance、HLB)を求めることができる式である。
【0036】
[数式2]
HLB=(親水基の重量%)/5
【0037】
前記数式2は、ポリオキシエチレングリコール系界面活性剤のHLBを計算することができる式であり、親水基の重量%にポリオキシエチレングリコール部分の重量%を代入して計算する。
【0038】
[数式3]
HLB=20×{1−(多価アルコールエステルのけん化価)/(脂肪酸の酸価)}
【0039】
前記数式3は、多価アルコール脂肪酸エステル系界面活性剤のHLBを求める際に適用することができる。
【0040】
[数式4]
HLB=(オキシエチレンチェーンの重量%+多価アルコールの重量%)/5
【0041】
加水分解されない物質のHLBは、前記数式4を用いて求めることができる。
【0042】
前記親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance、HLB)が10以上である界面活性剤は、例えば、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのランダム共重合体、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドのブロック共重合体、アルキルポリグリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、アセチレングリコール及びポリオキシエチレンからなる群から選択された1種以上の構造を含む界面活性剤であることが好ましいが、これに制限されない。
【0043】
特に、本発明において、前記親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance、HLB)が10以上である界面活性剤は、アセチレングリコール及び/またはポリオキシエチレン構造を含むことがより好ましい。
【0044】
より具体的に、前記アセチレングリコール構造を含む界面活性剤は、例えば下記化学式1で表され、前記ポリオキシエチレン構造を含む界面活性剤は、例えば下記化学式2で表され得る。
【0045】
【化1】
【0046】
ここで、Ra及びRbは、それぞれ独立的に水素またはアルキル基であり、Aは、−[OCH2CH2]m−OHであり、A'は、−[OCH2CH2]n−OHであり、m及びnはそれぞれ1〜80の間の整数である。
【0047】
本明細書において、アルキル基なる用語は、特に他に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味し、前記アルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状とすることができ、任意に1つ以上の置換基によって置換され得る。
【0048】
【化2】
【0049】
ここで、R1及びR2は、それぞれ独立的に水素またはアルキル基であり、このとき、前記R1及びR2の少なくとも1つはアルキル基であり、pは1〜200の間の整数である。
【0050】
一方、本発明において、前記アセチレングリコール構造を含む界面活性剤は市販品を用いることができ、例えば、air products社のSurfynol 420(登録商標)、Surfynol 465(登録商標)、Surfynol 485(登録商標)、Surfynol 104E(登録商標)及びDynol 604(登録商標)からなる群から選択された1種以上とすることができるが、これに制限されない。
【0051】
また、前記ポリオキシエチレン構造を含む界面活性剤は、市販品を用いることができ、例えば、Aldrich社のIGEPAL CO−630(登録商標)、IGEPAL CO−890(登録商標)、及びIGEPAL DM−970(登録商標)からなる群から選択された1種以上とすることができるが、これに制限されない。
【0052】
一方、前記ポリエチレングリコールは、水平均分子量が20,000以下のオリゴマーまたはポリマーであることが好ましく、より好ましくは、水平均分子量が200〜10,000程度、最も好ましくは水平均分子量が200〜2,000程度であるオリゴマーまたはポリマーとすることができる。
【0053】
一方、本発明において、前記コーティング層は、前記親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤やポリエチレングリコールのうちの1つだけ含むことができ、HLB 10以上の界面活性剤とポリエチレングリコールを一緒に含むことができる。
【0054】
ポリエチレングリコールと界面活性剤を一緒に使用する場合、有機溶液に対するコーティング性がより向上するという長所があるが、ポリエチレングリコールと界面活性剤のうち1種類のみを使用する場合より電気伝導性が多少低下する。よって、伝導性高分子膜の用途などを考慮してコーティング層の組成を適切に選択して使用することが好ましい。
【0055】
一方、ポリエチレングリコールとHLB 10以上の界面活性剤を混合して使用する場合、前記コーティング層に含まれるポリエチレングリコールと界面活性剤の重量割合は前記ポリエチレングリコール100重量部に対して前記界面活性剤が5〜100重量部の割合で含まれ得る。
【0056】
一方、前記コーティング層は、HLBが10以上の界面活性剤及び/またはポリエチレングリコールを有機溶媒に溶解させて製造されたコーティング液で形成され得る。このとき、前記有機溶媒は、前記界面活性剤またはポリエチレングリコールを溶かせるものであればよく、特に限定されず、例えば、メタノール、エチルアルコール、イソプロパノールのようなアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;またはこれらの混合溶媒などとすることができる。
【0057】
一方、前記コーティング液は、前記界面活性剤またはポリエチレングリコールの少なくとも1つ以上を0.2〜10重量%程度、例えば、0.3〜8重量%程度、または0.5〜5重量%程度の含量で含むことができる。コーティング液の濃度が前記数値範囲を満たす場合、適用される素子の物性を損害せず、有機物に対するコーティング性の改善効果が得られる。
【0058】
一方、前記コーティング層は、当該技術分野で公知のコーティング層形成方法、例えば、ペイントブラッシング、スプレーコーティング、ドクターブレード、浸漬−引上法(Dip−Drawing)、スピンコーティング、インクジェットプリンティング、スロットダイコーティングなどを用いて形成することができる。のような方法を介してコーティング層を形成した後、溶媒を除去するために乾燥を行うことができ、このとき、前記乾燥温度は使用する溶媒により異なるが、例えば60〜80℃程度とすることができる。
【0059】
また、前記コーティング層の厚さは、これに限定されるものではないが、1μm以下、例えば、1nm〜1μm程度、1〜800nm程度または1〜500nm程度とすることができる。コーティング層の厚さが1μmを超える場合、絶縁層として作用して電導膜の電気伝導度に悪影響を及ぼすからである。
【0060】
本発明者の研究によれば、前記のように、伝導性高分子層上に親水性−親油性比(hydrophile−lipophile balance;HLB)が10以上の界面活性剤、ポリエチレングリコールまたはこれらの組み合わせを含むコーティング層を形成する場合、疎水性有機物に対するコーティング性を向上させながら高い水準の伝導性を実現するものとして示された。
【0061】
より具体的には、本発明の伝導性高分子膜は、表面エネルギーが50mN/m以上、より具体的には、55〜85mN/m程度であって、o−ジクロロベンゼンに対する接触角が30度以下、より具体的には、1〜25度程度であった。このように、本発明の伝導性高分子膜は表面エネルギーが高く、有機溶媒に対する接触角が小さいため、疎水性有機層に対するコーティング性に優れる。
【0062】
また、本発明の伝導性高分子膜は、水接触角が30度以下、より具体的には、10〜26度程度であった。
【0063】
前記表面エネルギー及び接触角は常温で測定した数値とすることができ、よって、例えば、約23℃または約25℃のいずれかの温度で測定した数値とすることができる。
【0064】
このように、本発明の伝導性高分子膜は、疎水性有機物に対するコーティング性及び電気伝導度が非常に優れるため、疎水性有機層を積層すべき有機発光素子や有機太陽電池のような装置に透明電極やバッファ層などとして有効に使用され得る。
【0065】
また、本発明の伝導性高分子膜は、基板上に適用されて透明電極基板として有効に使用され得る。このとき、前記基板の種類は特に限定されず、ガラス基板や高分子基板にすべて適合に適用することができる。のように、少なくとも一面に本発明の伝導性高分子膜を含む透明電極基板は多様なデバイスに適用され得、特に有機発光装置及び有機太陽電池などに有効に使用され得る。
【0066】
また、本発明の伝導性高分子膜を高分子基板や薄型ガラス基板上に適用した透明電極基板の場合、フレキシブル基板として有効に使用され得る。
【0067】
以下に、具体的な実施例を介して本発明をより具体的に説明する。
【0068】
製造例1−伝導性高分子インクA
PEDOT:PSS水分散液(Clevios PH−1000)5gに脱イオン水2.5g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル1g及びプロピレングリコール1.5gを添加した後、フッ素系界面活性剤F−555を0.018g添加した後に2時間撹拌して伝導性高分子インクAを製造した。
【0069】
製造例2−伝導性高分子インクB
PEDOT:PSS水分散液(Heraus社のPH−1000)5gに脱イオン水2.5g、ジエチレングリコールモノブチルエーテル1g、プロピレングリコール1.5gを添加した後、フッ素系界面活性剤F−555を0.018gとIgepal DM−970 0.1gを添加した後に2時間撹拌して伝導性高分子インクBを製造した。
【0070】
実施例1
前記製造例1により製造された伝導性高分子インクAを横及び縦の長さが5cmのガラス基板上に800rpmで9秒間スピンコーティングした後、120℃のホットプレートの上で30分間乾燥させて伝導性高分子層を形成した。
【0071】
前記伝導性高分子層上に、0.16M濃度のp−トルエンスルホン酸水溶液を塗布した後、160℃で5分間熱処理した。その後、前記伝導性高分子層を常温でIgepal DM−970 1重量%を含むメタノール溶液に浸漬させた後に取り出して80℃のホットプレートの上で10分間乾燥させて伝導性高分子層上にコーティング層が形成された伝導性高分子膜を製造した。
【0072】
実施例2
表面処理された伝導性高分子層が形成されたガラス基板をIgepal DM−970 0.5重量%及びポリエチレングリコール1重量%を含むメタノール溶液に浸漬させたこと以外は、実施例1と同じ方法で伝導性高分子膜を製造した。
【0073】
実施例3
表面処理された伝導性高分子層が形成されたガラス基板をポリエチレングリコール5重量%を含むメタノール溶液に浸漬させたこと以外は、実施例1と同じ方法で伝導性高分子膜を製造した。
【0074】
実施例4
表面処理された伝導性高分子層が形成されたガラス基板をIgepal DM−970 0.5重量%及びポリエチレングリコール5重量%を含むメタノール溶液に浸漬させたこと以外は、実施例1と同じ方法で伝導性高分子膜を製造した。
【0075】
比較例1
表面処理された伝導性高分子層上に、コーティング層を形成しないこと以外は、実施例1と同じ方法で伝導性高分子膜を製造した。
【0076】
比較例2
表面処理された伝導性高分子層が形成されたガラス基板をメタノールに浸漬させたこと以外は、実施例1と同じ方法で伝導性高分子膜を製造した。
【0077】
比較例3
前記製造例2により製造された伝導性高分子インクBを横及び縦の長さが5cmであるガラス基板上に800rpmで9秒間スピンコーティングした後、120℃のホットプレートの上で30分間乾燥させて伝導性高分子膜を製造した。
【0078】
比較例4
比較例3により製造された伝導性高分子膜上に、0.16M濃度のp−トルエンスルホン酸水溶液を塗布した後、160℃で5分間熱処理した。その後、前記伝導性高分子層を常温で5分間メタノールに浸漬させて表面に残っているp−トルエンスルホン酸水溶液を除去し、さらに160℃で5分間乾燥させてメタノール溶媒を除去することで、表面処理された伝導性高分子膜を製造した。
【0079】
実験例
前記実施例1〜4及び比較例1〜4により製造された伝導性高分子膜表面の有機溶媒に対する接触角及び面抵抗を測定した。前記接触角と面抵抗は公知の方式で行った。
【0080】
有機溶媒に対する接触角は、伝導性高分子膜の表面に有機溶媒であるo−ジクロロベンゼン溶液を滴下して測定し、測定装備としては、KRUSS社のDSA100を使用した。
【0081】
面抵抗は、4−ポイントプローブで測定し、測定装備としては、三菱ケミカル社のMCP−T600を使用した。
【0082】
測定結果は下記表1に示した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、実施例1〜4により製造された本発明の伝導性高分子膜の場合、有機溶媒に対する接触角が6.3〜16.3度と非常に小さく、面抵抗も199〜232Ω/sq.程度と非常に小さくて有機層に対するコーティング性及び電気伝導度が両方とも優れていることがわかる。
【0085】
これに比べて、比較例1、2の場合、電気伝導度は優れるが、有機溶媒に対する接触角が大きくて有機層に対するコーティング性が悪いことがわかる。また、伝導性インク組成物に、HLBが10以上の界面活性剤を添加した比較例3の場合、有機層に対するコーティング性はよいが、電気伝導度が非常によくないことがわかる。また、比較例3の伝導性高分子膜を表面処理した比較例4の場合、表面処理により伝記伝導度は向上したが、有機溶媒に対する接触角が大きくなって有機層に対するコーティング性が悪くなったことがわかる。
【国際調査報告】

[広告欄]

ログインすれば広告は減ります

ログインすれば広告は減ります