特表2016-538348(P2016-538348A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-538348(P2016-538348A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】ポリマー粒子
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20161111BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20161111BHJP
   C08F 2/14 20060101ALI20161111BHJP
   A61L 33/00 20060101ALI20161111BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20161111BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20161111BHJP
【FI】
   C08J3/12 ZCEY
   A61B17/12ZBP
   C08F2/14
   A61L33/00 P
   A61L27/00 W
   C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-515406(P2016-515406)
(86)(22)【出願日】2014年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】US2014056644
(87)【国際公開番号】WO2015042461
(87)【国際公開日】20150326
(31)【優先権主張番号】61/880,036
(32)【優先日】2013年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】クルーズ、グレゴリー エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒンカピー、グロリア
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、クレイトン
【テーマコード(参考)】
4C081
4C160
4F070
4J011
4J200
【Fターム(参考)】
4C081AA14
4C081AB11
4C081AB13
4C081AC16
4C081BA16
4C081CA091
4C081CA101
4C081CC05
4C081DA11
4C160DD53
4C160DD54
4C160DD62
4F070AA36
4F070AC31
4F070AE08
4F070DA40
4F070DB09
4F070DC07
4F070DC16
4J011AA05
4J011LA04
4J011LB09
4J200AA06
4J200BA27
4J200BA31
4J200DA22
4J200EA11
(57)【要約】
生分解性の架橋ポリマー粒子塞栓、およびその製造方法を記載する。当該粒子塞栓は、塞栓形成剤として使用することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つのモノマー、および、
少なくとも1つの架橋剤、を含み、
約40μmと約1200μmとの間の直径を有しており、加水分解または酵素作用による分解を受け易い、
ポリマー粒子。
【請求項2】
前記ポリマー粒子は、約75μmと約1200μmとの間の直径を有する、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項3】
前記少なくとも1つの官能基は、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートまたはメタクリルアミドである、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項4】
前記少なくとも1つのモノマーは、イオン化可能な官能基を含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項5】
前記イオン化可能な官能基は、塩基性である、請求項4に記載のポリマー粒子。
【請求項6】
前記イオン化可能な官能基は、酸性である、請求項4に記載のポリマー粒子。
【請求項7】
前記少なくとも1つの架橋剤は、少なくとも2つの官能基を含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項8】
前記架橋剤は、加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの結合を含む、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項9】
前記架橋剤は、ビス−グリシジルアミノアルコールである、請求項8に記載のポリマー粒子。
【請求項10】
前記架橋剤は、
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】
、または、
【化8】
、であり、
式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から20である、請求項8に記載のポリマー粒子。
【請求項11】
前記少なくとも1つの結合は、エステル、チオエステル、カーボネート、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断可能なペプチド、マトリクスカテプシンにより切断可能なペプチド、または、それらの組み合わせである、請求項8に記載のポリマー粒子。
【請求項12】
エステル、チオエステル、カーボネート、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断可能なペプチド、および、マトリクスカテプシンにより切断可能なペプチドから選択される第2の結合を含む第2の架橋剤を含む、請求項11に記載のポリマー粒子。
【請求項13】
前記ポリマー粒子は、生分解性である、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項14】
前記ポリマー粒子は、移植後約1ヶ月以内に、実質的に分解される、請求項1に記載のポリマー粒子。
【請求項15】
前記少なくとも1つのモノマーはジメチルアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤はビス−グリシジルアミノアルコールである、請求項11に記載のポリマー粒子。
【請求項16】
前記少なくとも1つのモノマーはアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤は二官能性メタクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−メタクリレートである、請求項11に記載のポリマー粒子。
【請求項17】
少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つのモノマーと、加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの架橋剤と、開始剤とを含むプレポリマー溶液を油中において反応させること、および、
約40μmと約1200μmとの間の直径を有するポリマー粒子を形成させること、を含む、ポリマー粒子を製造する方法。
【請求項18】
前記油は、鉱油である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー粒子は、少なくとも約0.90の真円度を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの官能基は、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートまたはメタクリルアミドである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの架橋剤は、ビス−グリシジルアミノアルコールである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの架橋剤は、
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】
、または、
【化16】
、であり、
式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から20である、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー粒子は、生分解性である、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマー粒子は、移植後約6ヶ月以内に、実質的に分解される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのモノマーはアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤はビス−グリシジルアミノアルコールである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つのモノマーはアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤は二官能性メタクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−メタクリレートである、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多血性腫瘍または動静脈奇形の塞栓等の血管部位および体内の空洞の閉塞のための生分解性ポリマー粒子について記載する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
ここでは、一般的に、生分解性の架橋ポリマー粒子を記載する。ある実施の形態では、粒子は、球形状または実質的に球形状を有し得る。従って、ここに記載する粒子は、マイクロスフィアまたはポリマー球体と称され得る。このようなポリマーは、塞栓のため/塞栓中で、使用することができる。ポリマー粒子は、1または複数のモノマーおよび化学的加水分解または酵素作用を受け易い架橋剤を含み得るか、および/または、それらから形成され得る。
【0003】
ここに記載する生分解性ポリマー粒子は、血管部位、身体の内腔および体内の他の空洞の塞栓のために利用され得る。ある実施の形態では、ポリマー粒子は、多血性腫瘍または動静脈奇形の塞栓のような目的のために使用することができる。
【0004】
ポリマー粒子は、少なくとも1つのモノマーおよび少なくとも1つの架橋剤を含み得る。ある実施の形態では、ポリマー粒子は、化学的加水分解または酵素作用による分解を受け易くすることができる。ここに記載する粒子は、粒子の用途に応じて種々の大きさを有することができるが、一般的に、約40μmと約1200μmとの間または約75μmと約1200μmとの間の直径を有することができる。
【0005】
ここに記されるポリマー粒子を製造する方法についても記載する。これらの方法は、少なくとも1つのモノマーと、化学的加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの架橋剤と、開始剤とを含む水性プレポリマー溶液を調製すること、水性プレポリマー溶液を鉱油中に分散させること、および、モノマーの重合によりポリマー粒子を形成することを含む。
【0006】
ポリマー粒子を形成するための他の方法では、油中においてプレポリマー溶液を反応させて、ポリマー粒子を形成することを含み得る。プレポリマー溶液は、少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つのモノマーと、化学的加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの架橋剤と、開始剤とを含み得る。
【0007】
ポリマー粒子形成に使用される架橋剤は、粒子に生分解性を付与することができる。例えば、架橋剤は、化学的加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの結合を含み得る。架橋剤は、グリシジル系(グリシジルをベース)、グリシジルアミノ系(グリシジルアミノをベース)、チオエステル系(チオエステルをベース)、またはタンパク質系(タンパク質をベース)とすることができる。グリシジル系の架橋剤は、ビス−グリシジルアミノアルコールであってもよい。タンパク質系の架橋剤は、二官能性メタクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−メタクリレートであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】異なるポリマー粒子についての分解の段階を示す図である。
図2】異なるポリマー粒子についての完全分解までの時間を示す図である。
図3】ポリマー粒子分解についての得点を示すさらなる図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、概して、ポリマー材料で製造される粒子を記載する。ポリマー材料は、1または複数のモノマーと架橋剤との反応生成物であり得る。ある実施の形態では、ポリマー粒子は加水分解または酵素作用を受け易くすることができる。ポリマー粒子は、ここでは、微粒子、マイクロスフィア等と称され得る。粒子は、約40μmと約1200μmとの間または約75μmと約1200μmとの間の直径を有し得る。粒子はまた、針またはカテーテル等の医療機器を介する送達を容易にするために、圧縮性および/または耐久性とすることができる。粒子はまた、いったん送達されると生分解性となることができる。
【0010】
粒子は、プレポリマー溶液のような混合物から形成され得る。プレポリマー溶液は、(i)重合に適している単一の官能基を含有する1または複数のモノマーと、(ii)1または複数の架橋剤と、を含むことができる。ある実施の形態では、重合開始剤を使用してもよい。
【0011】
ある実施の形態では、モノマー(1または複数)および/または架橋剤(1または複数)のいずれかが固体である場合、塞栓として使用されるための粒子の調製において溶媒が使用され得る。液体のモノマーおよび架橋剤を使用する場合、溶媒を必要としなくてもよい。ある実施の形態では、液体のモノマーおよび架橋剤を使用する場合であっても、溶媒がさらに使用されていてもよい。溶媒は、モノマー、モノマー混合物および/または架橋剤を溶解し得る、または実質的に溶解し得る任意の液体を含んでいてもよい。所望のモノマー(1または複数)、架橋剤(1または複数)および/または重合開始剤を溶解する、任意の水性または有機溶媒を使用することができる。有機溶媒が使用される場合、分散のための水性媒体を必要としてもよい。1つの実施の形態では、溶媒を水とすることができる。さらに、例えば塩化ナトリウム等の溶質を、重合速度を増加するために溶媒に加えてもよい。溶媒濃度は、溶液の約10%w/w(重量%)、約20%w/w、約30%w/w、約40%w/w、約50%w/w、約60%w/w、約70%w/w、約80%w/w、約90%w/w、約20%w/wと約80%w/wとの間、約50%w/wと約80%w/wとの間、または、約30%w/wと約60%w/wとの間とすることができる。
【0012】
ここに記載されるポリマー粒子を調製するために、任意の種類の化学的架橋結合を利用することができる。ある実施の形態では、例えば、限定されないが、求核剤/N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、求核剤/ハロゲン化物、ビニルスルホン/アクリレートまたはマレイミド/アクリレート等の、化学的架橋結合を利用することができる。1つの実施の形態の例では、フリーラジカル重合を使用することができる。または、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレート、メタクリアミドおよびビニル等の単一のエチレン性不飽和基を有するモノマーが、フリーラジカル重合を用いる場合に使用することができる。
【0013】
所望の粒子を可能とする任意の量のモノマーが使用され得る。溶媒中のモノマー濃度は、約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約30%w/w、約40%w/w、約50%w/w、約60%w/w、約70%w/w、約80%w/w、約90%w/w、約100%w/w、約1%w/wと約100%w/wとの間、約40%w/wと約60%w/wとの間、約50%w/wと約60%w/wとの間、または、約40%w/wと約60%w/wとの間、とすることができる。
【0014】
モノマーは、ポリマー粒子または粒子塞栓に与えられる所望の化学的および/または機械的特性に基づいて選択され得る。所望する場合には、非荷電の反応性の基を粒子塞栓中に導入することができる。例えば、ヒドロキシル基は、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、それらの誘導体またはそれらの組み合わせを加えることで、粒子塞栓中に導入することができる。あるいは、非荷電の相対的に非反応性の基を粒子塞栓中に導入することもできる。例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルメタクリレート、それらの誘導体またはそれらの組み合わせが加えられ得る。
【0015】
1つの実施の形態では、ポリマー粒子は、重合に適した単一の官能基を有するモノマーから調製することができる。官能基は、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートおよびメタクリルアミド等のフリーラジカル重合に適したものを含むことができる。他の重合スキームは、限定されないが、求核剤/N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、求核剤/ハロゲン化物、ビニルスルホン/アクリレートまたはマレイミド/アクリレートを含むことができる。モノマーの選択は、得られる粒子に所望される機械的特性により、および分解生成物による生物学的効果を最小化することにより、決定される。
【0016】
ある実施の形態では、モノマーは、さらに、塩基性のイオン化可能な官能基(例えば、アミン、それらの誘導体またはそれらの組み合わせ)を含有することができる。アミノ基は、アミンのpKaよりも低いpHでプロトン化され、アミンのpKaよりも高いpHで脱プロトン化され得る。他の実施の形態では、モノマーは、さらに、酸性のイオン化可能な官能基(例えば、カルボン酸、スルホン酸、それらの誘導体またはそれらの組み合わせ)を含有する。酸性基は、酸のpKaよりも高いpHで脱プロトン化され、酸のpKaよりも低いpHでプロトン化され得る。
【0017】
正に荷電した薬物の結合が所望される場合、例えばカルボン酸等の負に荷電した基または他の酸性基を有するモノマーを粒子塞栓中に重合させ得る。酸性のイオン化可能なエチレン性不飽和モノマーは、限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、それらの誘導体、それらの組み合わせ、およびそれらの塩を含み得る。一方、負に荷電した薬物の結合が所望される場合、例えばアミン等の正に荷電した基または他の塩基性基を有するモノマーを含み得る。塩基性のイオン化可能なエチレン性不飽和モノマーは、限定されないが、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレート、それらの誘導体、それらの組み合わせ、およびそれらの塩を含み得る。
【0018】
粒子塞栓の分解生成物により、ホスト(host、被移植者)からごくわずかな応答しか誘発しないように、モノマー選択においてさらなる要因が望まれ得る。他の実施の形態では、ホストからの応答を実質的に誘発しない粒子の分解生成物が望まれ得る。
【0019】
架橋剤は、1または複数の重合性基を含むことができ、モノマー鎖を互いに結合することができ、固体粒子の形成を可能とする。生理学的環境で分解を受け易い結合を有する架橋剤を使用することによって、生分解性を粒子塞栓に付与することができる。in vivoで経時的に結合を壊すことができ、ポリマー鎖をもはや互いに結合し得なくすることができる。モノマーを適切に選択することで、離れて拡散し、ホストによって取り除かれる、水溶性分解生成物の形成を可能にする。エステル、チオエステル、カルバメートおよびカーボネート等の加水分解を受け易い結合、または酵素により分解されるペプチドが、生分解性生成物において使用され得る。
【0020】
1つの実施の形態では、1または複数の架橋剤は、重合に適した少なくとも2つの官能基、およびポリマー粒子に生分解性を付与するために破損を受け易い少なくとも1つの結合を含有することができる。生理学的環境で破損を受け易い結合は、限定されないが、エステル、チオエステル、カルバメートおよびカーボネートを含む加水分解を受け易いもの、ならびに、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断されるペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断されるペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断されるペプチドおよびマトリクスカテプシンにより切断されるペプチドを含む酵素作用を受け易いものを含み得る。ある実施の形態では、1つの架橋剤だけでは分解速度を制御することが不可能な場合に、複数の架橋剤を使用することができる。1つの実施の形態では、少なくとも1つの架橋剤は加水分解を受け易く、少なくとも1つの架橋剤は酵素分解を受け易い。
【0021】
ある実施の形態では、少なくとも1つの結合は、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断可能なペプチド、マトリクスカテプシンにより切断可能なペプチド、または、それらの組み合わせである。
【0022】
他の実施の形態では、ポリマーは、エステル、チオエステル、カーボネート、カルバメート、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断可能なペプチド、および、マトリクスカテプシンにより切断可能なペプチドから選択される第2の結合を含む第2の架橋剤を含み得る。
【0023】
さらに他の実施の形態では、ポリマーは、第3の架橋剤、第4の架橋剤、第5の架橋剤またはそれ以上の架橋剤を含むことができ、それぞれが同様または異なる結合を含む。
【0024】
架橋剤は、ペプチド系の架橋剤、カーボネート系の架橋剤、ビスグリシジルアミン架橋剤、TMP glyエステル架橋剤、ジチオエステル架橋剤、または、ジェファーミングリシジルアミン架橋剤を含み得る。最終生成物中の架橋剤の好ましい濃度は、約0.05%w/w、約0.1%w/w、約0.5%w/w、約1.0%w/w、約2.0%w/w、約3.0%w/w、約4.0%w/w、約0.1%w/wと約4.0%w/wとの間、約0.5%w/wと約2%w/wとの間、または、約1%w/wと約1.5%w/wとの間、とすることができる。当業者であれば、上述した溶媒中の量に基づく最終濃度の算出方法は理解できる。
【0025】
1つの実施の形態では、架橋剤は、ペプチド系の化合物とすることができる。1つの実施の形態では、ペプチド系の架橋剤は、
【化1】

、またはその誘導体とすることができる。
【0026】
別の実施の形態では、ペプチド系の架橋剤は、
【化2】

、またはその誘導体とすることができる。
【0027】
別の実施の形態では、ペプチド系の架橋剤は、二官能性メタクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−メタクリレートとすることができる。
【0028】
別の実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有することができ、
【化3】

式中、nは、1から20であり、
mは、1から20であり、
Xは、OまたはSである。
【0029】
別の実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有することができ、
【化4】

式中、nは、1から20であり、
mは、1から20である。
【0030】
別の実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有することができる。
【化5】
【0031】
架橋剤はまた、次の構造式を有することができ、
【化6】

式中、oは、1から20であり、
pは、1から20である。
【0032】
1つの実施の形態では、構造式は、次のようにすることができる。
【化7】
【0033】
架橋剤は、さらに、次の構造式を有することができ、
【化8】

式中、qは、1から10である。1つの実施の形態では、qは、1である。
【0034】
架橋剤はまた、次の構造式を有することができ、
【化9】

式中、rは、1から20であり、
YおよびZは、それぞれ独立して、O、SおよびNHから選択される。
【0035】
1つの実施の形態では、架橋剤は、次の構造式、
【化10】

、または、
【化11】

、を有することができ、式中、rは、1から20である。
【0036】
さらに、別の実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有することができ、
【化12】

式中、G、HおよびJは、それぞれ独立して、CH、O、S、NHまたは存在せず、
a、bおよびcは、それぞれ独立して、1から20であり、
gは、1から20である。
【0037】
別の実施の形態では、a、bおよびcは、それぞれ独立して、1から10である。さらに別の実施の形態では、G、HおよびJは、それぞれ独立して、OまたはNHである。
【0038】
1つの実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有することができ、
【化13】

式中、a、bおよびcは、それぞれ独立して、1から20である。
【0039】
さらに、別の実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有することができ、
【化14】

式中、L、MおよびNは、それぞれ独立して、CH、O、S、NHまたは存在せず、
d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から20であり、
hは、1から20である。
【0040】
別の実施の形態では、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から10である。さらに別の実施の形態では、L、MおよびNは、それぞれ独立して、OまたはNHである。
【0041】
1つの実施の形態では、架橋剤は、次の構造式を有して、
【化15】

式中、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から20である。
【0042】
架橋剤はまた、次の構造式を有することができ、
【化16】

式中、sは、1から20であり、
tは、1から20であり、
、X、XおよびXは、それぞれ独立して、OまたはSである。
【0043】
1つの実施の形態では、次の構造式とすることができる。
【化17】
【0044】
架橋剤はまた、次の構造式を有することができる。
【化18】
【0045】
ある実施の形態では、架橋剤は、テトラエステル、テトラチオエステルまたはジチオエステルとすることができる。他の実施の形態では、架橋剤は、ペプチド架橋剤またはカーボネート架橋剤とすることができる。グリシジル系の架橋剤は、ビス−グリシジルアミノアルコールとしてもよい。
【0046】
プレポリマー溶液の重合は、還元酸化、放射線、熱または当該技術分野で公知である任意の他の方法によって行われ得る。プレポリマー溶液の放射線架橋は、適切な開始剤を用いた紫外光もしくは可視光、または、開始剤無しでの電離放射線(例えば、電子ビームまたはガンマ線)を用いて達成することができる。架橋は、ヒーティングウェル等の熱源を用いて溶液を従来的に加熱すること、または、モノマー溶液に赤外光を適用することのいずれかによる加熱によって達成され得る。モノマー(1または複数)および架橋剤(1または複数)のフリーラジカル重合が好ましく、反応を開始するために開始剤を必要とする。好ましい実施の形態では、架橋方法は、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、または、2,2’アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド等の別の水溶性AIBN誘導体を使用する。他の架橋剤は、限定されないが、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、および、アゾビスイソブチロニトリルも含めたそれらの組み合わせを含み得る。好ましい開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンおよび過硫酸アンモニウムの組み合わせとすることができる。
【0047】
ポリマー粒子は、少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つのモノマーと、化学的加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの架橋剤と、開始剤とを含むプレポリマー溶液を油中において反応させることを含む方法によって、製造または形成することができる。
【0048】
プレポリマー溶液は、モノマー(1または複数)と、架橋剤(1または複数)と、任意で開始剤(1または複数)とを溶媒中に溶解させることによって調製することができる。粒子塞栓は、乳化重合により調製することができる。モノマー溶媒が水である場合では、典型的に鉱油である、モノマー溶液についての非溶媒が、混入した酸素を除去するために超音波処理される。鉱油および界面活性剤は、反応容器に添加される。オーバーヘッドスターラーが反応容器内に配置される。その後、反応容器を密封し、真空下で脱気して、アルゴン等の不活性ガスでスパージングする。開始剤成分のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを反応容器に添加して、攪拌を開始する。過硫酸アンモニウムが重合溶液に添加され、その後両方を反応容器に添加し、そこで攪拌によって鉱油中のプレポリマー溶液の液滴が懸濁される。
【0049】
攪拌速度は粒子の大きさに影響を与えることができ、より速い攪拌ではより小さい粒子を作り出す。攪拌速度は、所望の直径を有する粒子を作るために、約100rpm、約200rpm、約300rpm、約400rpm、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1000rpm、約1100rpm、約1200rpm、約1300rpm、約200rpmと約1200rpmとの間、約400rpmと約1000rpmとの間、遅くとも約100rpm、遅くとも約200rpm、速くとも約1300rpm、または、速くとも約1200rpm、とすることができる。
【0050】
ここに記載するポリマー粒子は、一般的または実質的に球形状を有し得る。実質的に球形状の粒子または球形状の粒子は、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm、約75μm、約100μm、約200μm、約300μm、約400μm、約500μm、約600μm、約700μm、約800μm、約900μm、約1000μm、約1100μm、約1200μm、約1300μm、約1400μm、約1500μm、約1600μm、約50μmと約1500μmとの間、約100μmと約1000μmとの間、約75μmと約1200との間、小さくとも約50μm、小さくとも約80μm、大きくとも約1500μm、または、大きくとも約1200μm、の直径を有することができる。ある実施の形態では、直径は、約40μmと約1200μmとの間、約40μmと約60μmとの間、または約75μmと約1200μmとの間、とすることができる。
【0051】
ポリマー粒子は、カテーテルまたは他の送達装置を介した注入後でさえも、その直径を維持することができる。言い換えれば、ポリマー粒子は、送達の間に離れ離れになったり、あるいは破損しないようにすることができる。ある実施の形態では、ポリマー粒子は、送達後において、元のそれらの直径の、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約99%より大きい値、約98%より大きい値、約97%より大きい値、約96%より大きい値、約95%より大きい値、約90%より大きい値、約90%と約100%との間の値を維持し得る。
【0052】
ポリマー粒子はまた、特徴的な真円度を有するか、または実質的に円形である相対的な形状を有し得る。この特徴は、その真円度に基づく領域の形状で記載されるか、または定義される。ここに記載するポリマー粒子は、約0.8、0.9、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、約0.8より大きい、約0.9より大きい、または約0.95より大きい真円度の割合を有し得る。1つの実施の形態では、ポリマー粒子の真円度は約0.9より大きい。
【0053】
ポリマー粒子は、カテーテルまたは他の送達装置を介した注入後でさえも、その真円度を維持することができる。ある実施の形態では、ポリマー粒子は、送達後においてそれらの真円度の、約99%、約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約99%より大きい値、約98%より大きい値、約97%より大きい値、約96%より大きい値、約95%より大きい値、約90%より大きい値、約90%と約100%との間の値を維持し得る。
【0054】
重合は、所望の弾力性を持つ粒子を製造するために、必要な限り継続させることができる。重合は、約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、18時間、24時間、48時間、72時間、96時間、約1時間と約12時間との間、約1時間と約6時間との間、約4時間と約12時間との間、約6時間と約24時間との間、約1時間と約96時間との間、約12時間と約72時間との間、または、少なくとも約6時間、継続させることができる。
【0055】
重合は、所望の弾力性および/または反応時間を持つ粒子を製造されるために、任意の温度で行われ得る。重合は、約10℃、約20℃、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、約90℃、約100℃、約10℃と約100℃との間、約10℃と約30℃との間、低くとも約20℃、高くとも約100℃の温度、または、大凡室温で実行することができる。1つの実施の形態では、重合は室温で起こる。
【0056】
重合が完了した後、ポリマー粒子は、任意の溶質、鉱油、未反応のモノマー(1または複数)および/または未結合のオリゴマーを除去するために洗浄される。任意の溶媒を使用してもよいが、加水分解を受け易い結合を有する粒子を洗浄するため、水溶液が使用される場合は注意するべきである。好ましい洗浄溶液は、限定されないが、アセトン、アルコール、水と界面活性剤、水、生理食塩水、緩衝食塩水、および、生理食塩水と界面活性剤、を含み得る。
【0057】
任意に、その後、洗浄したポリマー粒子は、マイクロカテーテルへの注入前に可視化するために染色することができる。染浴は、水中に炭酸ナトリウムと所望の染料とを溶解することにより作ることができる。粒子塞栓を染浴に加えて、攪拌する。染色工程の後、任意の未結合の染料を洗浄によって除去する。染色および洗浄の後、粒子をバイアルまたはシリンジ中に包装して、滅菌することができる。
【0058】
粒子塞栓の調製後、それらを医師による調製の間において可視化するために、任意に染色(着色)することができる。粒子塞栓に共有結合する反応性染料(着色料、色素)の種類から任意の染料を使用することができる。染料は、限定されないが、reactive blue 21、reactive orange 78、reactive yellow 15、reactive blue No.19、reactive blue No.4、C.I.reactive red 11、C.I.reactive yellow 86、C.I.reactive blue 163、C.I.reactive red 180、C.I.reactive black 5、C.I.reactive orange 78、C.I.reactive yellow 15、C.I.reactive blue No.19、C.I.reactive blue 21、または、任意の着色添加物を含むことができる。いくつかの着色添加物は、FDA part 73、subpart Dによって使用が承認されている。他の実施の形態では、粒子塞栓のポリマーマトリクスに不可逆的に結合できる染料を使用してもよい。
【0059】
ここに記載するポリマー粒子またはマイクロスフィアが上記の任意の反応性染料と十分に結合しない場合、アミンを含有するモノマーを、所望の着色を達成するための量でモノマー溶液へ添加することができる。ポリマー粒子またはマイクロスフィアが上述の反応性染料に十分に結合する場合であっても、アミンを含有するモノマーをモノマー溶液へ添加することができる。アミンを含有する適切なモノマーの例としては、アミノプロピルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート、アミノエチルアクリレート、それらの誘導体、それらの組み合わせ、およびそれらの塩を含む。最終生成物中のアミン含有モノマーの好ましい濃度は、約1%w/w以下とされ得る。
【0060】
ここに記載する粒子は、実質的にポリマーが分解されることなく滅菌されることができる。滅菌後、ポリマーの少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%または約100%が、元の(損なわれていない)状態のままであり得る。1つの実施の形態では、滅菌方法は、オートクレーブで処理することができ、投入前に利用することができる。
【0061】
最終的なポリマー粒子調製物は、カテーテル、マイクロカテーテル、針または他の同様の送達装置を介して、塞栓すべき部位に送達され得る。インターベンショナルイメージング技術によって血流が当該部位から閉塞されたと判定されるまで、放射線不透過性造影剤をシリンジ中で粒子調製物と十分に混合して、カテーテルを介して注入することができる。
【0062】
ある実施の形態では、経時的に分解する粒子が望ましいかもしれない。言い換えると、粒子は、分解性および/または生分解性とされ得る。そのような実施の形態では、粒子は、約2日後、3日後、5日後、約2週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約6ヶ月後、約9ヶ月後、約1年後、約2年後、約5年後または約10年後において、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満または約1%未満が元の状態を保つように分解し得る。1つの実施の形態では、粒子は約1ヶ月未満に実質的に分解し得る。別の実施の形態では、粒子は約6ヶ月未満に実質的に分解し得る。
【0063】
ある実施の形態では、分解は、適切および/または適当な酵素を用いて促進させることができる。ある実施の形態では、ポリマー粒子は、粒子の分解を促進することができる酵素と一緒に注入され得る。他の実施の形態では、酵素は時を隔てて移植された粒子の部位に送達され、その時点で分解を促進することができる。
【0064】
ある実施の形態では、最終的なポリマー粒子中の架橋剤の割合をより大きくすると、分解により長い時間がかかる。さらに、粒子の直径をより大きくすると、分解により長い時間がかかる。従って、最も長い分解時間を有する粒子は、架橋剤の最大濃度および最大直径を有するものである。このような2つの特性は、必要に応じて分解時間を調整するために変化され得る。
【0065】
ここに記載するポリマー粒子は、破損して離れたりまたは断片化しない程の十分な圧縮性と耐久性を有することができる。実質的には、マイクロカテーテルを介して送達される間に粒子の真円度または直径に変化は起こらない。言い換えると、マイクロカテーテルを介して送達された後、ここに記載するポリマー粒子は、元の状態の約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、約99%または約100%より大きい割合で保たれている。
【0066】
さらに、ある実施の形態では、粒子は組織に付着することができ、および/または組織との摩擦によって所定位置に残ることができる。他の実施の形態では、粒子は、血液自体の流れおよび圧力によって脈管中で所定位置に保持される栓(plug)として機能することができる。さらに他の実施の形態では、特定の作用部位での粒子の凝集を補助するために、粒子を互いに付着するのに十分な粘着性を有するものとすることができる。
【0067】
記載されるポリマー粒子は、マイクロカテーテルまたは他の適切な送達装置を介して遠隔組織へ送達することができ、または針を通して局所組織へ注入することができる。ポリマー粒子は、血管部位および体内の空洞の閉塞のために使用することができる。
【0068】
ある実施の形態では、ポリマー粒子は、多血性腫瘍および/または動静脈奇形の塞栓のために構成され得る。ある実施の形態では、多血性腫瘍または動静脈奇形を示す患者が選択され得る。マイクロカテーテルは腫瘍または奇形の部位に移動させることができる。ここに記載するポリマー粒子は、当該部位を安定化させるために、その中へ注入されることができ、それによって患者の状態を治療する。
【実施例】
【0069】
実施例1:グリシジル系の架橋剤の調製
【化19】
【0070】
2,2−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)10g(67.6mmol)の一定分量を、グリシジルメタクリレート10g(70.4mmol)およびシリカゲル3g(Aldrich社 645524、60オングストローム、200−425メッシュ)と混合した。1時間の攪拌後、さらにグリシジルメタクリレート9g(63.4mmol)を加えて、懸濁液をさらに1.5時間攪拌した。混合液をクロロホルム200mLで希釈して、600mLのフリットガラスブフナー漏斗で濾過して、シリカゲルを除去した。得られたクロロホルム溶液のLC−MS分析では、モノ−グリシジルアミノアルコールは示されず、主に、433.2m/zでの[M+H]において、ビス−グリシジルアミノアルコールが示された。溶液を真空中で約50gに濃縮した。得られた重いシロップを、アセトニトリルで100mLに希釈して、−80℃で保存した。
【0071】
実施例2:ペプチド系の架橋剤の調製
【化20】
【0072】
ヘテロ二官能性のテトラペプチド(アクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−N−ヒドロキシスクシンイミド)を準備した(Bachem社、カリフォルニア州トーランス)。ペプチド(653mg、1mmol)を、5mLのDMFおよびN−(3−アミノプロピル)メタクリルアミドヒドロクロリド(190mg、1.1mmol)中に溶解させて、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(174μL、1mmol)を加えた。2時間後、ブチル化ヒドロキシトルエン20mgを加えて、反応混合物を空気に曝した。反応混合物をエチルエーテル200mLで沈殿させ、遠心分離で固体を回収した。ペレットを、クロロホルム/メタノール/メタノール+5%アンモニア水の、90/5/5(の割合)の溶液中に再度溶解させて、5×20cmカラム(Aldrich社、60オングストローム、200−425メッシュ)中のシリカゲル50gに適用した。クロロホルム/メタノール/メタノール+5%アンモニア水の90/5/5(の割合)の溶液500mLを用いてシリカゲルカラムで展開させて、ペプチド含有溶離液を真空中で濃縮すると、淡黄色油状物110gが得られた。淡黄色油状物を、メタノール10mL中に溶解させて、−80℃で保存した。生成物のLC−MS分析では、所望の680m/zでの[M+H]および702m/zでの[M+Na]を示した。
【0073】
実施例3:MA−AEEAc−ALAL−AEEAc−MA、ALALテトラペプチド架橋剤
【化21】
【0074】
清潔な乾燥させた15mLフラスコ中において、乾燥させた攪拌棒および乾燥させたセプタム(septum)を使用して、NHSエステル、MA−AEEAc−ALAL−AEEAc−NHSの841mg(1mmol)に、3−アミノプロピルメタクリレート−HCl179mgを加えて、続けて乾燥ジメチルホルムアミド5mLを加えた。攪拌中に、透明な溶液を得て、ジイソプロピルエチルアミン200μl(1mmol)を一度に全て加えた。1時間後、反応混合物を、3×5mLのメタノールを使用して、250mLの梨型フラスコに移して、真空(vac)ラインに一晩置いた。次の日に、反応混合物を、メタノール2mLと共にシンチレーションバイアルに移して、約35%の固体を得て、−80℃で保存した。このような粗製の架橋剤では、869.9m/zでの[M+H]において単一のHPLCピークが得られ、C417212に関して計算される分子量は868.5である。
【0075】
実施例4:カーボネート架橋剤
【0076】
1:1の割合のアセトニトリル:メタノールの500mL中に懸濁されている炭酸セシウム33g(100mmol)に、1時間以上よく攪拌しながら、メタクリル酸17.2g(200mmol)を加えた。さらに2時間攪拌した後、反応混合物から溶媒を取り除き、残留物を乾燥エーテル500mL中に懸濁して、媒体(medium)フリットを備える、乾燥させた600mLのブフナー漏斗上での濾過により回収した。注意して乾燥エーテルで数回漏斗上で固体を洗い流した後、固体を真空オーブン中で一晩乾燥させて、吸湿性のベージュ色の粉末(化合物A)45gを得た。この粉末は、直ぐに乾燥環境中に置いておく必要がある。
【0077】
HEMA−1−クロロエチルカーボネート
乾燥エーテル1000mL中のHEMA24mL(200mmol)に、アルゴン下で4−10℃において、ピリジン16.8mL(213mmol)を加えた。この溶液に、1−クロロエチルクロロカーボネート21.3mL(200mmol)を、30分以上攪拌しながら滴下して加えた。4−10℃での30分の攪拌後、重い沈殿物(化合物B)を濾過により取り除き、濾液を真空下で油状物へ濃縮して、44g(100%)を得た。
【0078】
無水ジメチルホルムアミド40mL中の化合物B4.4g(20mmol)に、化合物A0.9g(4.0mmol)を、よく攪拌しながらアルゴン下で100℃において加えた。15分後、さらに化合物A1.2g(5.4mmol)を、よく攪拌しながらアルゴン下で100℃において加えて、続けて同様の条件下で最後に0.9g(4.0mmol)添加して、合計で化合物Aを2.9g(13.4mmol)とした。黄褐色の反応混合物を、さらに3時間100℃で加熱して、室温に冷却した後、溶媒を真空中で除去して、残留物を一晩真空ライン上に残した。残留物を、1:1のクロロホルム:ヘキサン50mL中に入れて、750gの金のカラムに適用して、ヘキサンとその次に0−20%のヘキサン中の酢酸エチルを用いて溶出させた。27分で、次の構造式のカーボネートがまず出てきて
【化22】

、32分で、次の構造式のカーボネートが最終的に出てきた。
【化23】
【0079】
実施例5:TMP Glyエステル
【化24】
【0080】
TMP−クロロアセトアミド
乾燥テトラヒドロフラン(THF)250mL中のトリアミノトリメチロールプロパンエトキシレート13.2gに、ピリジン6.32g(80mmol)を加えて、この溶液をよく攪拌しながらアルゴン(Ar)下で4−10℃においてTHF250mL中のクロロアセチルクロリド6.44gに加えた。15分間攪拌した後、反応混合物を室温まで温めて、THFおよび他の揮発性物質を真空下で除去した。得られた固体を、クロロホルム200mL中に溶解させて、次に、当該クロロホルムを飽和重炭酸ナトリウム水溶液100mLで洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させて、溶媒を真空中で除去した。
【0081】
TMP−NH−Gly−メタクリレート
無水ジメチルホルムアミド75mL中に溶解させた約15gの上記物質に、セシウムメタクリレート18gを加えて、得られた懸濁液を40−50℃で2時間加熱した。
【0082】
クロロホルム500mLで沈殿させた後、無機塩を濾過により回収して、濾液を真空下で油状物に濃縮し、赤褐色油状物18gを得た。この油状物は、80℃でAIBNを用いて重合させると、IPA中で硬いペレットとなった。2−20%のクロロホルム中のメタノール1200mLを用いた上記シリカの栓(plug)でのこの物質6gのクロマトグラフィーでは、明るい赤色の物質6gが得られた。
【0083】
実施例6:ジチオエステル
【化25】
【0084】
テトラヒドロフラン(THF)200mL中の2,2’−(エチレンジオキシ)エタンジチオール6.6mL(40mmol)に、ジイソプロピルエチルアミン20.9mLを加えて、得られた乾燥溶液を1時間以上よく攪拌しながら−5℃で乾燥THF200mL中のメタクリロイルクロリド11.5mL(120mmol)に添加した。反応混合物を0℃で1時間攪拌して、20℃で1時間攪拌した時点でイソプロピルアルコール10mLを添加して、溶媒を真空中で除去した。
【0085】
残留物を最小量のクロロホルム中で330gのシリカ(金)カラムに適用して、塩化メチレン中0−5%イソプロピルアルコールを用いて、200mL/分でカラムから溶出させた。単一のピークとして13−14分において溶出された留分を、黄色油状物1.3gとして単離した。この物質50mgに対するAIBNによる開始反応によって、硬いペレットが現れた。
【0086】
実施例7:ジチオエステル
【化26】
【0087】
メタクリロイルクロリド0.4mL(4mmol)を含有する乾燥テトラヒドロフラン(THF)40mLに、2.0g(1.33mmol)のポリ(エチレングリコール)ジチオール1500mwおよび0.7mL(4.0mmol)のジイソプロピルエチルアミンを含有する乾燥THF20mLを、0℃において迅速に攪拌しながら5分間以上滴下しながら加えた。2時間攪拌した後、反応混合物を室温まで温めて、溶媒を真空中で除去した。その後、クロロホルム100mLが反応混合物を溶解するために使用され、メタクリロイルクロリドを飛沫同伴するように真空中で除去された。
【0088】
反応混合物を、約30ミクロンでの真空ラインに一晩置くと、黄色の固体が形成された。イソプロピルアルコール50μL中におけるこの物質50mgに対するAIBNによる開始反応によって、スポンジ状黄色のゲルが生成された。
【0089】
実施例8:ジェファーミングリシジルアミン
【化27】
【0090】
ジェファーミン11g(25mmol)に、グリシジルメタクリレート10.5g(75mmol)を加え、続けて4gのシリカゲルおよび100mgのブチル化ヒドロキシトルエンを加えた。反応混合物を20℃で攪拌した。2時間後、クロロホルム50mLを、増粘性の反応混合物に添加して、撹拌を続けた。さらに18時間後、クロロホルム200mLをさらに添加して、シリカゲルを除去するために反応混合物を濾過して、ほとんどの溶媒を真空中で取り除いた。残留物をイソプロピルアルコール20mL中に溶解させて、約50%のジェファーミングリシジルアミン40mLを得た。
【0091】
実施例9:グリシジル系の架橋剤で調製された粒子
【0092】
アクリルアミド6.2gと、3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩14.6gと、実施例1のように調製したグリシジル系の架橋剤0.3gとを蒸留水20.0g中で溶解させて、プレポリマー溶液を調製した。この溶液を濾過して、その後5分間真空脱気してアルゴンでフラッシングした。鉱油1リットルを1時間超音波処理して、その後オーバーヘッド攪拌具を備えた密閉反応容器へ加えた。容器を少なくとも1時間真空脱気して、その後真空をアルゴンで置き換えた。N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン約3mLを反応容器に添加して、300rpmでオーバーヘッド攪拌を開始した。過硫酸アンモニウム1.0gを蒸留水2.0g中に溶解させて、開始剤溶液を調製した。この溶液を濾過して、約550μLをプレポリマー溶液に添加した。混合後、溶液を反応容器に加えた。5から10分後、鉱油10mL中のSPAN(登録商標)80の0.35mLの溶液を添加して、得られた懸濁液を少なくとも4時間重合させた。
【0093】
実施例10:ペプチド架橋剤で調製された粒子
【0094】
アクリルアミド3.8gと、3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩5.4gと、実施例2のように調製したペプチド系の架橋剤0.05gとを蒸留水10.0g中で溶解させて、プレポリマー溶液を調製した。この溶液を濾過して、その後5分間真空脱気してアルゴンでフラッシングした。鉱油(300mL)を1時間超音波処理して、その後オーバーヘッド攪拌具を備えた密閉反応容器へ加えた。容器を1時間真空脱気して、その後真空をアルゴンで置き換えた。N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(2mL)を反応容器に添加して、300rpmでオーバーヘッド攪拌を開始した。過硫酸アンモニウム1.0gを蒸留水2.0g中に溶解させて、開始剤溶液を調製した。この溶液を濾過して、約300μLをプレポリマー溶液に添加した。混合後、溶液を反応容器に加えた。5から10分後、鉱油10mL中のSPAN(登録商標)80の0.5mLの溶液を添加して、得られた懸濁液を5時間重合させた。
【0095】
実施例11:粒子の精製
【0096】
重合が完了した後、鉱油を反応容器からデカントして、ポリマー粒子を新鮮なヘキサンで4回洗浄し、鉱油を除去した。その後、粒子をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)と共に分液漏斗に移して、残留鉱油およびヘキサンから分離した。得られた混合物をPBSで2回洗浄した。
【0097】
粒子をふるいを用いてサイズで分けた。ふるいは、(上部の)大きいサイズから(下部の)小さいサイズへと積層している。ふるい分け工程を補助するために、ふるい振とう機を利用した。PBSと共に、上部のふるい上に粒子を置いた。全ての粒子を仕分けた後、それらのサイズに応じて回収して、ボトル中に入れた。
【0098】
ふるい分け後、粒子をその貯蔵期限を延ばすために脱水した。撹拌しながら、粒子を溶媒/水混合物の一連の勾配中に置いた。アセトンおよびエタノールの両方を、粒子を首尾よく脱水するために使用した。少なくとも4時間、粒子を、75%の溶媒、85%の溶媒、95%の溶媒、97%の溶媒および100%の溶媒中に懸濁した。その後、粒子を凍結乾燥し、包装して滅菌した。
【0099】
実施例12:粒子の送達特性の判定
【0100】
送達特性を評価するために、実施例9と同様の手法で調製した粒子を、4.5×1.5cmのフィギュア・エイト・ノット(figure−eight knot)を備えるヘッドウェイ17マイクロカテーテル(0.017’’、432μm内腔)を介して注入した。2から3mLの粒子、3から4mLの生理食塩水および4から5mLの比較対照を混合することにより、試験サンプルを調製した。サンプルは、マイクロカテーテルを介して1mLシリンジを使用して皿の中へ注入された。マイクロカテーテルを介する注入前後の粒子の写真を撮影した。Axiovision画像分析ソフトウェアを用いて、粒子の直径および真円度を判定した。以下の表は、結果をまとめたものである。
【0101】
ある実施の形態では、領域の形状要素は、その真円度に基づく領域の形状で記載される。完全な円では値は1となる。その領域がより細長くなれば、形状要素がより小さくなる。計算は、領域充填および周囲のクロフトン(Area filled and Perimeter Crofton)パラメータに基づき行われる。
【0102】
【表1】
【0103】
粒子の真円度または直径において変化は観察されず、これは、粒子がマイクロカテーテルを介する送達の間に破損して離れたり断片化しなかったことを示している。即ち、粒子はカテーテルを介する送達の時には実質的に元の状態を維持していた。
【0104】
実施例13:in vitroでの加水分解性の判定
【0105】
異なる量の架橋剤を用いて調製した粒子のサンプルをPBS中に入れて37℃で保存し、分解時間を判定した。視覚分析には、粒子の色および透明性、粒子の輪郭の可視性、ならびに、可視粒子の数、を含ませた。サンプルについての評価尺度には、(5)実験開始から粒子数、輪郭または量に変化が無い、(3)十分な粒子数でぼやけた粒子輪郭がまだ見える、(1)殆ど粒子が見えない、および、(0)サンプル中で粒子が観察されない、を含ませた。結果を図1に示す。結果は、分解が架橋剤の濃度に依存し得ることを示している。例えば、最長の分解時間は最大の架橋剤の濃度で起こっていた。
【0106】
図2は、架橋剤の量の関数として37℃での分解時間を図式的に示している。図示されるように、架橋剤の割合がより大きいと分解がより長くかかる。さらに、より大きい粒子の直径では(マイクロメートル単位における、グラフの右の数)、分解により長い時間がかかる。このように、最大の分解時間を有する粒子は、最大の架橋剤の濃度および最大の直径を有するものである。これら2つの特性は、必要に応じて分解時間を調整するために変化させることができる。
【0107】
実施例14:テトラエステル架橋剤
【化28】
【0108】
200mLのナス型フラスコに、コハク酸10g(84.8mmol)と、アリルアルコール40g(0.689mol)と、98%のHSO30μLとを加えた。反応混合物を6時間還流して、次いで1M炭酸ナトリウム溶液25mLの添加によりクエンチした。溶媒を真空下で除去して、粗製物質を水25mL中で再構成させて、生成物であるコハク酸ジアリルを4×50mLの酢酸エチルで抽出した。有機相を回収して、MgSOで乾燥させ、その後溶媒を真空下で除去して、コハク酸ジアリル9.26gを得た。
【0109】
1Lの丸底フラスコにおいて、コハク酸ジアリル5.2g(26.3mmol)と、メタ−クロロ過酸化安息香酸(mCPBA)20g(0.116mol)とをジクロロメタン400mL中に溶解させた。反応混合物を40℃で一晩還流した。その後、副生成物のm−クロロ安息香酸を除去するために、反応混合物をアンバーリスト遊離塩基カラムに通した。溶媒を真空下で除去して、粗製物質を得た。210nmでの5%から20%のヘキサン中の酢酸エチルを使用したクロマトグラフィーで、純粋なコハク酸ジグリシジルを得た。
【0110】
20mLのバイアルに、コハク酸ジグリシジル1.15g(5mmol)と、メタクリル酸950mg(11mmol)と、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド([bmim]Br)1.5g(7mmol)とを加えた。反応混合物を75℃で攪拌した。1時間後、TLCではエポキシドが無いことを示していた。反応混合物を1M炭酸ナトリウム溶液50mL中に懸濁して、3×50mLの酢酸エチルを用いて生成物を抽出した。有機相を回収して、MgSOで乾燥させて、その後真空下で濃縮した。50:50の酢酸エチル:ジクロロメタンを用いてTLCで展開させると、1つのスポットのみを示していた。2gの表題のテトラエステル架橋剤が、99%の収率で回収された。
【0111】
実施例15:テトラチオエステル架橋剤
【化29】
【0112】
0℃で冷却されたアルゴン下で、500mLの三つ口丸底フラスコに、100mLの乾燥THFを加えた。攪拌しながら、2,2’−(エチレンジオキシ)エタンチオール20g(0.11mol)と、ジイソプロピルエチルアミン16mL(0.09mol)を加えた。40mLの乾燥THFにスクシニルクロリド5mL(0.045mol)を溶解させた。アルゴン下で激しく攪拌しながら添加漏斗を介して、溶液を0℃で反応混合物中に滴下して加えた。添加後、反応混合物を0℃で1時間攪拌して、その後室温まで温めて一晩攪拌した。その後、反応混合物を氷上で冷却してアミン塩を沈殿させた。媒体フリットガラスフィルターで濾過することにより白色沈殿物を除去して、氷冷THFで洗浄した。濾液を回収して、真空下で濃縮した。254nmでの0%から15%のDCM中の酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーで、ジチオールエステル中間体が得られた。
【0113】
0℃に冷却されたアルゴン下で、250mLの三つ口丸底フラスコに50mLの乾燥THFを加えた。攪拌しながら、ジチオールエステル中間体3.17g(7.1mmol)と、ジイソプロピルエチルアミン3.6mL(20mmol)を加えた。50mLの乾燥THFにメタクリロイルクロリド2mL(20mmol)を溶解させた。アルゴン下で激しく攪拌しながら添加漏斗を介して、溶液を0℃で反応混合物中に滴下して加えた。添加後、反応混合物を1時間以上0℃で攪拌して、その後室温まで温めて一晩攪拌した。その後、反応混合物を氷上で冷却してアミン塩を沈殿させた。媒体フリットガラスフィルターで濾過することにより白色沈殿物を除去して、氷冷THFを用いて洗浄した。濾液を回収して、真空下で濃縮した。254nmでの0%から10%のジクロロメタン中の酢酸エチルを用いたフラッシュクロマトグラフィーで、4分から12分において、所望のテトラチオールエステル架橋剤が溶出された。質量分析では、C2438の計算された質量の[M+Na]に対応する605.1が得られた。
【0114】
実施例16:ペプチド架橋剤で調製された粒子
【0115】
アクリルアミド3.1gと、3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩7.3gと、実施例3のように調製したペプチド系の架橋剤0.2gとを蒸留水10.0g中で溶解させて、プレポリマー溶液を調製した。この溶液を濾過して、その後5分間真空脱気してアルゴンでフラッシングした。鉱油(500mL)を1時間超音波処理して、その後オーバーヘッド攪拌具を備えた密閉反応容器へ加えた。容器を少なくとも1時間真空脱気して、その後真空をアルゴンで置き換えた。N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン約2mLを反応容器に添加して、300rpmでオーバーヘッド攪拌を開始した。過硫酸アンモニウム1.0gを蒸留水2.0g中に溶解させて、開始剤溶液を調製した。この溶液を濾過して、約250μLをプレポリマー溶液に添加した。混合した後、溶液を反応容器に加えた。次いで、鉱油10mL中のSPAN(登録商標)80の0.35mLの溶液を添加して、得られた懸濁液を少なくとも4時間にわたって重合させた。
【0116】
実施例17:in vitroでの酵素分解性の判定
【0117】
ペプチドの架橋剤を用いて調製した粒子のサンプルを、酵素存在下および酵素不在下のPBS中に入れて、37℃または55℃でインキュベートして、分解時間を判定した。サンプルには、高濃度酵素および低濃度酵素を含ませている。
【0118】
視覚分析には、粒子の色および透明性、粒子の輪郭の可視性、ならびに、可視粒子の数、を含ませた。サンプルについての評価尺度には、(5)実験開始から粒子数、輪郭または量に変化が無い、(3)十分な粒子数でぼやけた粒子輪郭がまだ見える、(1)殆ど粒子が見えない、および、(0)サンプル中で粒子が観察されない、を含ませた。結果を図3に示す。結果は、粒子はゆっくりと加水分解されるが、適当な酵素の存在下では分解速度が増加し得ることを示している。例えば、最短の分解時間はPBS溶液中の酵素の最高濃度存在下で起こっていた。
【0119】
前述の開示は例示的な実施の形態である。ここに記載された機器、技術および方法は、本開示の実践においてよく機能する代表的な実施の形態を明らかにしているものであることは当業者によって理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、記載された具体的な実施の形態において多くの変形を作ることが可能であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく類似または同様の産物も得ることができることを理解すべきである。
【0120】
別段の指示がない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、分子量等の性質、反応条件を表現する全ての数字は、全ての場合において「約(about)」の用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。従って、逆の指示がない限り、明細書および添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本発明により得ようとする所望の特性によって変わり得る近似値である。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲の範囲に限定しようとする試みとしてではなく、それぞれの数値パラメータは、少なくとも、報告された重要な数字の数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を示す数値範囲およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体例に示される数値はできるだけ正確に報告される。しかしながら、どんな数値もそれぞれの試験測定で見られる標準偏差に必然的に由来する特定の誤差を本質的に含む。
【0121】
本発明を説明する文脈(特に以下に示す特許請求の範囲の文脈)で使用される「a」、「an」、「the」の用語および類似の指示対象は、ここで別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を包含するものと解釈される。ここでの数値範囲の記載は、その範囲内にある個々の値を別々に指している簡単な方法としての役割を果たすことを目的としているにすぎない。ここで別段の指示がない限り、個々の値は、ここで個々に記載されるかのように、明細書中に組み込まれる。ここに記載される全ての方法は、ここで別段の指示がないか、またはそうでなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、適切な任意の順番で行うことができる。あらゆる全ての実施例、またはここに提供される例示的な文言(例えば「such as」)の使用は、本発明を十分に説明することだけを目的とするものであり、他の形で請求される本発明の範囲に限定を課すものではない。明細書中の用語は、本発明の実践に必須の任意の請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0122】
本開示では代替物のみと「および/または(and/or)」とを示す定義がサポートされているが、特許請求の範囲における「または(or)」の使用は、明示的に代替物のみを示していたり、または代替物が相互排他的でない限り、「および/または(and/or)」を意味するように使用される。
【0123】
ここに記載される本発明の代替の要素または実施の形態のグループ化は限定されるものとして解釈されない。各グループのメンバーは、個々において、または当該グループの他のメンバーもしくはここで見られる他の要素との任意の組み合わせにおいて示してもよく、特許請求の範囲としてもよい。グループの1または複数のメンバーを、利便性および/または特許性の理由でグループに含めてもよいし、グループから削除してもよいことは認識され得ることである。このような包含または削除が起こる場合、明細書は、修正されたグループを包含するものとみなされ、従って、添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュグループの記載を満たす。
【0124】
本発明の好ましい実施の形態は、本発明者が知っている本発明を行うための最良の形態を含めてここに記載される。当然、これらの好ましい実施の形態の変形は、前述の記載を読むことで、当業者にとって明らかになるだろう。本発明者は当業者が適切にこのような変形を用いることを予測しており、本発明者は本発明についてここに具体的に記載される以外の方法で実践される発明についても意図している。従って、本発明は適用法で認められるように、ここに添付された特許請求の範囲に記載される主題の全ての変形および同等物を含む。さらに、その全ての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせが、ここで別段の指示がないか、またはそうでなければ文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0125】
ここに記載される具体的な実施の形態は、特許請求の範囲において、「〜からなる」または「本質的に〜からなる」との用語を使用することで、さらに限定してもよい。特許請求の範囲で使用された場合、補正毎での作成または追加で、「〜からなる」との移行用語は、特許請求の範囲において特定されていない、任意の要素、工程または成分を除外する。「本質的に〜からなる」との移行用語は、特定された材料または工程について請求項の範囲を限定するが、それは基本的なものおよび新規特徴(1または複数)に実質的に影響を与えないものである。そのように請求項での本発明の実施の形態は、本質的または明示的にここに記載されており、対応している。
【0126】
さらに、ここに開示される本発明の実施の形態は本発明の原則を例示していると理解されるべきである。採用できる他の変更は本発明の範囲内にある。そのため、例として、限定されることはないが、本発明の代わりの構成をここでの教示に従って利用してもよい。従って、本発明は、正確に示され記載されているものに限定されない。
【0127】
(関連する出願)
本出願は、2013年9月19日に提出された米国仮特許出願第61/880036号の利益を主張しており、その全体の記載は参照によりここに組み込まれる。
【0128】
(付記)
(付記1)
少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つのモノマー、および、
少なくとも1つの架橋剤、を含み、
約40μmと約1200μmとの間の直径を有しており、加水分解または酵素作用による分解を受け易い、
ポリマー粒子。
【0129】
(付記2)
前記ポリマー粒子は、約75μmと約1200μmとの間の直径を有する、付記1に記載のポリマー粒子。
【0130】
(付記3)
前記少なくとも1つの官能基は、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートまたはメタクリルアミドである、付記1に記載のポリマー粒子。
【0131】
(付記4)
前記少なくとも1つのモノマーは、イオン化可能な官能基を含む、付記1に記載のポリマー粒子。
【0132】
(付記5)
前記イオン化可能な官能基は、塩基性である、付記4に記載のポリマー粒子。
【0133】
(付記6)
前記イオン化可能な官能基は、酸性である、付記4に記載のポリマー粒子。
【0134】
(付記7)
前記少なくとも1つの架橋剤は、少なくとも2つの官能基を含む、付記1に記載のポリマー粒子。
【0135】
(付記8)
前記架橋剤は、加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの結合を含む、付記1に記載のポリマー粒子。
【0136】
(付記9)
前記架橋剤は、ビス−グリシジルアミノアルコールである、付記8に記載のポリマー粒子。
【0137】
(付記10)
前記架橋剤は、
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】
、または、
【化37】
、であり、
式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から20である、付記8に記載のポリマー粒子。
【0138】
(付記11)
前記少なくとも1つの結合は、エステル、チオエステル、カーボネート、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断可能なペプチド、マトリクスカテプシンにより切断可能なペプチド、または、それらの組み合わせである、付記8に記載のポリマー粒子。
【0139】
(付記12)
エステル、チオエステル、カーボネート、マトリクスメタロプロテイナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスコラゲナーゼにより切断可能なペプチド、マトリクスエラスターゼにより切断可能なペプチド、および、マトリクスカテプシンにより切断可能なペプチドから選択される第2の結合を含む第2の架橋剤を含む、付記11に記載のポリマー粒子。
【0140】
(付記13)
前記ポリマー粒子は、生分解性である、付記1に記載のポリマー粒子。
【0141】
(付記14)
前記ポリマー粒子は、移植後約1ヶ月以内に、実質的に分解される、付記1に記載のポリマー粒子。
【0142】
(付記15)
前記少なくとも1つのモノマーはジメチルアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤はビス−グリシジルアミノアルコールである、付記11に記載のポリマー粒子。
【0143】
(付記16)
前記少なくとも1つのモノマーはアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤は二官能性メタクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−メタクリレートである、付記11に記載のポリマー粒子。
【0144】
(付記17)
少なくとも1つの官能基を含む少なくとも1つのモノマーと、加水分解または酵素作用による分解を受け易い少なくとも1つの架橋剤と、開始剤とを含むプレポリマー溶液を油中において反応させること、および、
約40μmと約1200μmとの間の直径を有するポリマー粒子を形成させること、を含む、ポリマー粒子を製造する方法。
【0145】
(付記18)
前記油は、鉱油である、付記17に記載の方法。
【0146】
(付記19)
前記開始剤は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンである、付記17に記載の方法。
【0147】
(付記20)
前記ポリマー粒子は、少なくとも約0.90の真円度を有する、付記17に記載の方法。
【0148】
(付記21)
前記少なくとも1つの官能基は、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレートまたはメタクリルアミドである、付記17に記載の方法。
【0149】
(付記22)
前記少なくとも1つの架橋剤は、ビス−グリシジルアミノアルコールである、付記17に記載の方法。
【0150】
(付記23)
前記少なくとも1つの架橋剤は、
【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】
、または、
【化45】
、であり、
式中、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、1から20である、付記17に記載の方法。
【0151】
(付記24)
前記ポリマー粒子は、生分解性である、付記17に記載の方法。
【0152】
(付記25)
前記ポリマー粒子は、移植後約6ヶ月以内に、実質的に分解される、付記24に記載の方法。
【0153】
(付記26)
前記少なくとも1つのモノマーはアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤はビス−グリシジルアミノアルコールである、付記24に記載の方法。
【0154】
(付記27)
前記少なくとも1つのモノマーはアクリルアミドであり、前記少なくとも1つの架橋剤は二官能性メタクリロイル−Ala−Pro−Gly−Leu−AEE−メタクリレートである、付記24に記載の方法。
図1
図2
図3
【国際調査報告】