(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-538499(P2016-538499A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】アンカ装置の設置方法およびかかる方法を実行するための装置
(51)【国際特許分類】
F16B 13/08 20060101AFI20161111BHJP
E01B 9/14 20060101ALI20161111BHJP
E04B 1/41 20060101ALI20161111BHJP
B25B 27/02 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
F16B13/08 A
E01B9/14
E04B1/41 503G
B25B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-530672(P2016-530672)
(86)(22)【出願日】2013年7月30日
(85)【翻訳文提出日】2016年3月28日
(86)【国際出願番号】IT2013000209
(87)【国際公開番号】WO2015015520
(87)【国際公開日】20150205
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】516033525
【氏名又は名称】グアルコ マリオ
【氏名又は名称原語表記】GUALCO, Mario
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グアルコ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】コンティシーニ パリス
【テーマコード(参考)】
2E125
3C031
3J025
【Fターム(参考)】
2E125AA68
2E125BA17
2E125CA74
2E125EB12
3C031DD46
3J025AA07
3J025BA04
3J025CA03
(57)【要約】
本発明は、部品を構造支持部材(M)の表面に固定するために使用される拡張アンカ装置の設置方法に関する。アンカ装置は、拡張可能なスリーブ(1)を有しており、拡張可能なスリーブ(1)は、基端(2)と先端(3)とを有するとともに、主として縦軸(X−X)に沿って延び、前記構造部材(M)に形成された穴(F)であって、それにアンカが嵌め込まれるように設計された穴(F)の中に設置される。方法において、穴が支持部材に形成され、アンカ装置が穴の中に設置されると、構造支持部材(M)の最大抵抗方向に沿ってスリーブが拡張する、スリーブを方向付けるステップが実行される。本発明は、さらに、その方法を実行するための器具に関する。器具は、円筒形ブッシュ(26)であって、軸方向の貫通穴(27)と、前記ブッシュの端(29)に設けられ、前記アンカ装置の前記スリーブ(1)に面する前方連結手段(28)であって、前記アンカ装置の前記スリーブ(1)の前記基端(2)に設置された前方相手方連結手段(30)と係合するようになされた前方連結手段(28)と、を有する円筒形ブッシュ(26)と、ブッシュ(26)に接続されるハンドル(31)と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を構造支持部材(M)の表面に固定するために使用される拡張アンカ装置の設置方法であって、
前記装置は、拡張可能なスリーブ(1)と、拡張体(9)と、を有しており、
前記拡張可能なスリーブ(1)は、基端(2)と先端(3)とを有するとともに、主として縦軸(X−X)に沿って延び、前記構造部材(M)に形成された穴(F)であって、それにアンカが嵌め込まれるように設計された穴(F)の中に設置され、
前記スリーブ(1)は、少なくとも1対の凹状のハーフスリーブ(5、6)を対向する状態で結合することにより画定される軸方向の空洞(4)を有し、
前記ハーフスリーブ(5、6)は、その中にそれぞれの平坦摺動面(7、8)を有し、
前記ハーフスリーブの前記平坦摺動面(7、8)は、前記空洞(4)の前記軸(X−X)に向かって、前記拡張可能スリーブ(1)の前記基端(2)の方向に収束し、
前記拡張体(9)は、前記スリーブの前記軸方向の空洞(4)の中に設置されており、雌ねじ穴(10)と、前記拡張体が前記スリーブの前記空洞(4)の前記平坦摺動面(7、8)に沿って軸方向に移動できるが、前記軸(X−X)の周りを回転できないようにする輪郭形状(11、12)と、を有しており、
前記穴が前記支持部材に形成され、前記アンカ装置が前記穴の中に設置されると、前記スリーブの前記空洞(4)内での前記拡張体(9)の前記移動によって、前記構造支持部材(M)の最大抵抗方向に沿って前記スリーブが拡張する、前記スリーブを方向付けるステップが実行されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記スリーブ(1)を方向付けるステップの後に、前記スリーブ(1)にプレロードを加えて、前記スリーブを事前に拡張させ、前記穴(F)の中で前記スリーブの方向付けられた位置を安定させるステップを備えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置の前記拡張可能スリーブ(1)により実現された前記方向付けを安定させる前記ステップの後に、前記アンカ装置は、前記構造支持部材(M)の前記穴(F)の中に最終的に固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の拡張可能なアンカ装置の設置方法を実行するための器具において、
円筒形ブッシュ(26)であって、
軸方向の貫通穴(27)と、
前記ブッシュの端(29)に設けられ、前記アンカ装置の前記スリーブ(1)に面する前方連結手段(28)であって、前記アンカ装置の前記スリーブ(1)の前記基端(2)に設置された前方相手方連結手段(30)と係合するように構成された前方連結手段(28)と、を有する円筒形ブッシュ(26)と、
前記ブッシュ(26)に接続されるハンドル(31)と、を備えることを特徴とする器具。
【請求項5】
前記前方連結手段(28)および相手方連結手段(30)は押込み固定型であり、
前記前方連結手段(28)および相手方連結手段(30)はスリーブ(1)が前記穴(F)の中で拡張する方向を示すように、前記ブッシュ(26)と前記拡張可能スリーブ(1)上に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
ドライブヘッド(37)を有するロッド状要素(34)であって、前記ブッシュ(26)の前記軸方向の穴(27)を通るように延び、前記ロッド状要素(34)のねじ部分(35)により、前記アンカ装置の前記拡張可能スリーブ(1)の中で摺動するようになされた前記拡張体(9)の前記雌ねじ穴(10)と係合するようになされたロッド状要素(34)を備えており、
前記ロッド状部材(34)は、さらに、前記ドライブヘッド(37)近傍に配置された所定の軸方向の長さの円筒部(36)を有しており、
前記円筒形部分(36)の直径寸法は、前記ブッシュ(26)の前記軸方向の貫通穴(27)よりも大きいことを特徴とする、請求項4または5に記載の器具。
【請求項7】
前記アンカ装置を最終的にロックする前に、前記スリーブ(1)を前記穴の中において前記スリーブ(1)の方向付けられた位置に安定させることができるように、前記ロッド状要素(35)の前記ドライブヘッド(37)近傍に設けられた前記円筒部(36)の前記軸方向の範囲は、前記スリーブ(1)の前記軸方向の空洞(4)の中で前記ロッド状要素の前記ねじ部分(35)を締めることによって前記拡張体(9)が前記軸方向に移動する長さに実質的に相当することを特徴とする、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記スリーブ(1)を形成する前記ハーフスリーブ(5、6)は、前記穴(F)の中に収容されるように設計された前記先端(3)において、前記スリーブの前記空洞(4)の前記長手方向軸(X−X)を横切るリブ(22、23)を有し、
前記リブ(22、23)は、前記空洞(4)を半径方向に狭め、かつ、前記拡張体(9)のための軸方向の肩部を形成することを特徴とする、請求項4〜7の何れか一項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を構造支持部材に固定するために使用される拡張アンカ装置の設置方法と、この方法を実行するための装置と、に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野で知られている前記アンカ装置は、拡張可能なスリーブを備えており、スリーブは主に縦方向に長く伸びており、この方向に基端と先端とを有し、構造支持部材に形成された穴であって、その中にアンカが嵌め込まれるように設計された穴の中に設置される。このようなスリーブは、少なくとも1対の凹状ハーフスリーブを対向させて結合することによって形成される軸方向の空洞を有し、前記ハーフスリーブのそれぞれは、その中に、拡張体のための平坦摺動面を有する。
【0003】
ハーフスリーブの摺動面は、空洞の軸に向かってその基端の方向に収束する。
【0004】
スリーブの軸方向の空洞内に配置される拡張体は、雌ねじ穴と、スリーブの空洞の平坦摺動面に沿って軸方向に摺動できるが、軸の周りでは回転できないようにする輪郭形状と、を有する。
【0005】
上記のタイプのアンカ装置は、特にビルおよび鉄道建設において、周知であり広く用いられている。
【0006】
このアンカ装置の一例が、欧州特許出願公開第1 464 850−A1号明細書に詳しく記載されている。
【0007】
アンカ装置の設置は、アンカ装置の拡張可能スリーブが設置されるための穴を、事前に構造支持部材に形成する必要があることが知られている。
【0008】
その結果、穴の円筒形垂直壁に対する圧縮が加わる方向によって、アンカ装置のスリーブを収容するための穴が形成される構造支持部材の圧縮抵抗値が異なる場合、穴の中にアンカ装置のスリーブをランダムに配置すると、構造支持部材の破壊につながりやすく、ハーフスリーブが構造支持部材のより抵抗の低い方向に拡張すると、ひいては装置の固定力が失われることが分かっている。
【0009】
このような方向は低い抵抗力のため、穴の周囲の領域に亀裂および割裂が発生し、それによってアンカ装置の把持力が失われることがある。
【0010】
このような状況は、鉄道レールを支持するための枕木の場合など、構造支持部材が主に縦方向に長く、横方向の長さが限られている形状を有する場合に、特に発生する。
【0011】
鉄道建設の分野では、これらのアンカ装置は、特にレールのタイプレートを、その下の木製またはおそらくは鉄筋コンクリート製であってもよい枕木に固定するために使用されるが、これに限定されない。
【0012】
アンカ装置の使用は、構造支持部材に形成される穴の中において、応力を受けた場合にハーフスリーブが開き、コンクリート製枕木の場合には枕木の縦軸に平行な方向である構造部材の最大抵抗方向に拡張するように装置のスリーブを方向付けるという問題を示唆する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明によるアンカ装置の設置方法は、上記の問題を防止する。
【0014】
本発明の目的は、例えば、特に鉄道分野においては枕木により支持されるべきレールのタイプレートのように、固定対象部品を支持するように設計された構造部材の穴の中に、位置決め制御を一切行わずに挿入されたアンカ装置のスリーブの拡張に起因し得る故障の危険性を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、部品を構造支持部材の表面に固定するために使用される拡張アンカ装置の設置方法によって達成される。装置は、拡張可能なスリーブと、拡張体と、を備えている。拡張可能スリーブは、主に縦方向に延在し、この方向に基端と先端とを有し、構造部材に形成された穴であって、アンカが嵌め込まれるように設計された穴の中に設置される。スリーブは、少なくとも1対の凹状のハーフスリーブを対向する状態で結合することにより画定される軸方向の空洞を有し、ハーフスリーブの平坦摺動面は、その基端の方向において、空洞の軸に向かって収束する。拡張体は、スリーブの軸方向の空洞の中に設置されており、雌ねじ穴と、拡張体がスリーブの空洞の平坦摺動面に沿って軸方向に移動できるが、軸(X−X)の周りを回転できないようにする輪郭形状と、を有している。本方法は、穴が支持部材に形成され、スリーブが穴の中に設置されると、スリーブ空洞内での拡張体の移動によって、構造支持部材の最大抵抗方向に沿ってスリーブが半径方向に拡張する、スリーブを方向付けるステップが実行されることを特徴とする。
【0016】
ここで、説明のために提示され、以下の添付の図面に示される1つの例示的実施形態に関して、本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のアンカ装置の側面図であって、閉位置にあり、拡張前に穴の中に設置され、ボルトが中に入っている状態の側面図を示す。
【
図1A】
図1の位置にあるアンカ装置の長手方向断面図である。
【
図2】穴の中に配置されているアンカ装置の拡張後の側面図であって、ボルトがその中に配置されている状態の側面示す。
【
図2A】
図2の位置にあるアンカ装置の長手方向断面図である。
【
図3】
図1および2のアンカ装置のハーフスリーブの斜視図を示す。
【
図4】
図1および2のアンカ装置の雌ハーフスリーブの斜視図を示す。
【
図5】
図1および2のアンカ装置のスリーブの円錐拡張ナットの斜視図を示す。
【
図6】アンカ装置の雄ハーフスリーブの拡大長手方向断面図を示す。
【
図7】アンカ装置の雌ハーフスリーブの拡大長手方向断面図を示す。
【
図8】上記の図面に示されるアンカ装置の設置のために、本発明の器具のハンドルに結合されたブッシュの斜視図を示す。
【
図9】設置対象のアンカ装置のスリーブに適用されている
図8の器具の斜視図を示す。
【
図10】
図9の器具のプレロードボルトの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
上記の図面を参照すると、本発明の設置装置に関連するアンカ装置は、概して1で示される拡張可能スリーブを有している。拡張可能スリーブは、主にX−X軸に沿って縦方向に延びており、この方向に基端2と先端3とを有し、
図1および2において概してMで示される構造部材に形成された穴Fに設置される。
【0019】
スリーブ1は、それぞれ5および6で示される少なくとも1対の凹状ハーフスリーブを対向させて結合することによって形成される軸方向の空洞4を有する。これらのハーフスリーブ5および6のそれぞれは、その中に平坦摺動面7および8を有し(
図3および4参照)、これらは、空洞4のX−X軸に向かって、その基端2の方向に収束する。
【0020】
スリーブ1の軸方向の空洞4は拡張体を収容し、拡張体は、図の例示的実施形態においては、雌ねじ貫通穴10を有するナット9である。
【0021】
ナット9の輪郭形状は、少なくとも2つの対向平坦壁11および12を有しており、これはねじ穴10の中心に向かって収束し、他の2つの対向する平坦壁13および14と共に、ナットに円錐形状を付与する。
【0022】
1対の対向壁11および12は、ナット9はスリーブ1の空洞4の平坦摺動面7および8に沿った軸方向の移動を許容するが、空洞のX−X軸の周囲での回転を許容しない。
【0023】
ナット9のねじ穴10は、ヘッド17と、ヘッド17に直接的に隣接するねじ山のない部分18と、を有するボルト16のねじ切りシャンク15と係合する。
【0024】
アンカ装置がその台座に設置されている状態において、ヘッド17に適用される従来の工具により付与されるボルト16の回転により、スリーブ1のチャンバ4の中で、ナット9が傾斜面7および8上で軸方向に移動し、ハーフスリーブ5および6がX−X軸に対して横方向に開いて、これらが収容される穴Fの内壁のそれぞれの部分と係合する。
【0025】
ハーフスリーブの外面は高い摩擦力を有するように、例えば複数の窪みと半径方向の突起を有するように形成されているため、ハーフスリーブ5および6がX−X軸から離れるように移動すると、半径方向に対向する1対の穴19が形成され、装置は穴Fの中に堅固かつ安定に固定される。
【0026】
ハーフスリーブ5および6は、ハーフスリーブの外面に形成されたそれぞれの円周溝20および21の中に収容される図示されていないゴムバンドによって、通常、相互に当接した状態に保持される。
【0027】
さらに、スリーブ1の先端3、すなわち、構造支持部材Mの穴Fの中に保持される方の端において、ハーフスリーブ5および6の両方は、軸方向の空洞4のX−X軸に向かって突出するそれぞれの半径方向のリブ22および23を有し、これはナット9のための肩部を画定し、ナット9が先端3を通じて空洞4から出るのを防止する。
【0028】
空洞4の基端2において、ハーフスリーブ5は1対の歯24を有し、一対の歯24は、ハーフスリーブが相互に対して取り付けられた時に、対応するノッチ25と係合する。
【0029】
歯24およびノッチ25は雄雌嵌合型結合手段を形成し、一旦結合されると、ハーフスリーブ5および6がそれぞれに対して、X−X軸の方向に摺動するのを防止する作用をもたらす。
【0030】
また、ハーフスリーブ5および6は硬質材料、例えば鋼鉄製であるため、これらが相互に離れるように移動してもこれらは依然としてX−X軸に平行であり、対向する穴19の大きさはその軸方向の範囲全体に沿って均一である。
【0031】
歯24の長さおよびノッチ25の深さは、拡張が完了し、ハーフスリーブ5および6が相互に離れた後であっても、連結が確実に有効であるようになっている。
【0032】
上記からわかるように、アンカ装置をロックする推力は、装置が収容された穴Fの円形壁に、ハーフスリーブ5および6が相互から離れるように自由に移動できる方向に加わる。
【0033】
本発明によれば、アンカ装置のスリーブ1は、空洞4の中でのナット9の摺動運動の結果としてハーフスリーブ5および6が空洞4のX−X軸から離れるように移動する方向が、構造支持部材Mが穴Fの垂直壁に対して加えられる推力に対して最も高い抵抗を有する方向と実質的に一致するように、穴Fの中にハーフスリーブ5および6を方向付けることによって、構造支持部材Mの穴Fの中に設置される。
【0034】
さらに、本発明によれば、ハーフスリーブ5および6が穴Fの中で方向付けられると、それらの方位は、ナット9が引っ張られてアンカ装置が緊張状態になった時、すなわち最終的にそれがその台座に固定された時にも損なわれない。
【0035】
この目的のために、アンカ装置の設置方法には、軸方向貫通穴27と、動作時にアンカ装置のスリーブ1に面するブッシュの端29に設置された前方連結手段28と、を有する円筒形ブッシュ26を有する器具の使用が関わる。
【0036】
前方連結手段は、実際には円筒形ブッシュ26の端29の外に軸方向に突出する歯であり、アンカ装置のスリーブ1の基端2において前方相手方連結手段を画定する、ハーフスリーブ5および6の端に形成された対応するノッチ30と係合するようになされている。
【0037】
前記前方連結手段28および相手方連結手段30は、スリーブ1が拡張する方向、すなわちハーフスリーブ5および6が穴FのX−X軸から離れるように移動する方向を示すように、ブッシュ26および拡張可能スリーブ1上に配置される。
【0038】
レバー31は円筒形ブッシュに接続され、使用者が器具を、それが方向付けられたスリーブ1と係合する時に支えるためのハンドルとして機能する。
【0039】
レバー31は、1つのフォーク形の端32とピボット33とによってブッシュ26に接続される。
【0040】
アンカ装置のスリーブ1を設置し、方向付ける器具は、プレロードボルト34によって完成する。プレロードボルト34は、ねじ山が拡張ナット9の穴10のそれらと係合するようになされているねじ部35と、所定の軸方向の長さを有し、ドライブヘッド37近傍に位置付けられた円筒形部分36と、を有する。
【0041】
円筒形部分36の直径寸法は、ブッシュ26の軸方向の貫通穴27よりも大きく、それによって、ねじ部35がナット9に完全にねじ込まれた時、ナット9の軸方向の空洞4の中での上方への運動は、円筒形部分36の端38が円筒形ブッシュ26の面39に当たると停止する。
【0042】
上記の器具を用いて、アンカ装置の設置は以下のように実行される。
【0043】
アンカ装置を受けるための穴Fを構造支持部材M、例えば枕木の中の適切な位置に形成し、アンカ装置のスリーブ1を穴の中に挿入すると、ブッシュ26はスリーブ1の基端2と接触し、ハーフスリーブ5および6の歯28とノッチ30とが対向した状態で連結される。
【0044】
ブッシュ26をレバー31によって所定の位置に保持しながら、スリーブ1を、ハーフスリーブ5および6が、穴が形成された構造支持部材Mの最大抵抗方向と整合するそのそれぞれの位置へと移動し、ハーフスリーブ5および6がX−X軸からそのような方向に移動するまで角変位させる。
【0045】
ここで、アンカ装置にプレロードかけて、それがハーフスリーブ5および6に割り当てられた方向性を失うのを防止する。
【0046】
このようなプレロードはボルト34を使って得られ、これをブッシュ29の貫通穴27に挿入して、拡張ナット9の穴10のねじ部35と係合させる。
【0047】
ボルト34を、その円筒形部分36の端38がブッシュ26の端39に当たるまで締める。
【0048】
ここで、
図11も参照すると、ナット9は、空洞4の中でハーフスリーブ5および6を最初に拡張させるのに十分な程度に移動しており、これらが穴Fの円形壁に適当に接着し、それによって装置がその後拡張する間にスリーブ1の角変位が完全に防止される。
【0049】
ボルト34を緩め、スリーブ1およびブッシュ26から外したら、従来の負荷ボルト16を挿入し、そのねじ部15を拡張ナット9の穴10と係合させることにより、アンカ装置を従来の方法で拡張させる。
【0050】
チャンバ4内で十分な負荷が得られるまでナット9が移動することにより、アンカ装置の安定性が最大となる。
【0051】
上述した本発明には、以下の特許請求の範囲において定義される範囲から逸脱することなく、構成および寸法の変更を加えることができる。
【国際調査報告】