(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-538514(P2016-538514A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(54)【発明の名称】肯定および否定状態インジケータを備えたバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20161111BHJP
A61M 39/22 20060101ALI20161111BHJP
【FI】
F16K37/00 C
A61M39/22 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-554303(P2016-554303)
(86)(22)【出願日】2014年11月12日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月8日
(86)【国際出願番号】US2014000210
(87)【国際公開番号】WO2015073052
(87)【国際公開日】20150521
(31)【優先権主張番号】61/904,080
(32)【優先日】2013年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516140742
【氏名又は名称】ダンカン,デイビッド,アール.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン,デイビッド,アール.
【テーマコード(参考)】
3H065
4C066
【Fターム(参考)】
3H065AA06
3H065BA01
3H065BA05
3H065BC04
3H065BC06
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL07
4C066QQ14
(57)【要約】
流体源と流体送達先との間を通る複数の流体導管を結合する複数のポートを有するバルブを提供する。中央ハブ多岐管または他の制御要素は、当該ポートを支持するバルブ本体内に存在し、本体に対して回転することができる。中央ハブまたは他の制御要素内の流体流路は、当該ポートに選択的に位置合わせされるか位置合わせされない。本バルブは、開放または閉鎖状態に対応する当該ポートに隣接する固有のマークを提供することにより、どのポートが開放または閉鎖されているかを示す。中央ハブまたは他の制御要素に固定された回転構造内の窓などを通して肯定マークを見ることができる場合、対応するポートは開放されている。回転構造内の他の窓などを通して否定マークを見ることができる場合、対応するポートは閉鎖されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活栓を通る流れを識別する直感的な肯定および否定機能状態表示を有する活栓であって、
バルブ本体と、
前記バルブ本体に結合された少なくとも2つの流体経路と、
前記バルブ本体の内外に流体を送るように構成された各流体経路と、
前記バルブ本体内に位置する中央多岐管であって、前記中央多岐管は
前記バルブ本体に対して回転されるように構成されており、
その中に少なくとも1つの複数端を有する流路を有し、かつ
前記バルブ本体の前記少なくとも2つの流路のうちの様々な流路と選択的に位置合わせ可能な前記少なくとも1つの複数端を有する流路の端部を有する、
中央多岐管と、
前記バルブ本体に対して固定され、かつその上に開放された流れを示す肯定マークおよび閉鎖された流れを示す否定マークを含むマークを有する第1のインジケータ部と、
前記中央多岐管に連結され、かつ前記第1のインジケータ部に重なっている第2のインジケータ部と、
の組み合わせを含み、
前記第2のインジケータ部は、前記中央多岐管の回転に伴って回転するように構成されており、
前記第1のインジケータ部および前記第2のインジケータ部は相互作用して、開放された流体経路に隣接する前記肯定マークおよび閉鎖された流体経路に隣接する前記否定マークを表示し、かつ
前記第1のインジケータ部および前記第2のインジケータ部は相互作用して、閉鎖された流体経路に隣接する前記肯定マークを表示せず、かつ開放された流体経路に隣接する前記否定マークを表示しないことを特徴とする活栓。
【請求項2】
前記第1のインジケータ部は、各流体経路に隣接する前記肯定マークのうちの少なくとも1つおよび前記否定マークのうちの1つを含み、かつ
前記第2のインジケータ部は、前記中央多岐管により開放された前記バルブ本体の流体経路に隣接する肯定マークを除く前記第1のインジケータの前記肯定マークの全てを遮断し、かつ閉鎖された流体経路に隣接する否定マークを除く前記第1のインジケータの前記否定マークの全てを遮断するように構成された物体を含む、請求項1に記載の活栓。
【請求項3】
前記第2のインジケータ部は、その中に肯定窓を有する表面を含み、前記肯定窓は、前記中央多岐管の前記少なくとも1つの複数端を有する流路の前記端部に隣接して位置するため、前記中央多岐管の前記流路の前記端部が前記バルブ本体の前記流体経路と位置合わせされると、前記第1のインジケータ部の前記肯定マークが前記第2のインジケータ部の前記肯定窓と位置合わせされ、かつ前記第2のインジケータ部の前記表面を通して可視化することができる、請求項2に記載の活栓。
【請求項4】
前記第2のインジケータ部の前記表面はその中に否定窓を含み、前記否定窓は、前記中央多岐管の前記少なくとも1つの複数端を有する流路の前記端部間の空間に隣接して位置するため、前記中央多岐管の前記流路の前記端部間の前記空間が、前記バルブ本体の前記流体経路と位置合わせされると、前記第1のインジケータ部の前記否定マークは前記第2の部分の前記否定窓と位置合わせられ、かつ前記第2のインジケータ部の前記表面を通して可視化することができる、請求項3に記載の活栓。
【請求項5】
前記第1のインジケータ部は、その上に前記マークを有するプレートを備え、前記プレートは、前記第2のインジケータ部の前記表面に隣接して位置する、請求項3に記載の活栓。
【請求項6】
前記第1のインジケータ部の前記プレートおよび前記第2のインジケータ部の前記表面はそれぞれ、そこから延在するノブを有する前記バルブ本体の側面とは反対側の前記バルブ本体の側面に位置し、前記ノブは、前記中央多岐管を前記バルブ本体に対して回転させるように使用者の手によって操作されるように構成されている、請求項5に記載の活栓。
【請求項7】
前記第1のインジケータ部の前記プレートおよび前記第2のインジケータ部の前記表面はどちらも、前記中央多岐管に連結されたノブを有する前記バルブ本体の側面に位置し、前記ノブは、前記中央多岐管を回転させるように使用者によって操作されるように構成されている、請求項5に記載の活栓。
【請求項8】
前記肯定マークは前記否定マークとは明らかに異なる外観を有する、請求項1に記載の活栓。
【請求項9】
前記肯定マークは前記否定マークとは明らかに異なる色である、請求項8に記載の活栓。
【請求項10】
前記中央多岐管は、少なくとも部分的に前記中央多岐管の回転軸に沿って延在する軸方向流路を含み、前記軸方向流路は、前記中央多岐管の前記端部まで延在する前記中央多岐管内の前記複数端を有する流路の少なくとも1つと交差しているため、前記活栓を軸方向に通るさらなる流路が容易になる、請求項1に記載の活栓。
【請求項11】
肯定および否定流れ状態インジケータを有する多ポートバルブであって、
バルブ本体と、
前記バルブ本体の内外に流体を送るように構成された、前記バルブ本体に固定された少なくとも2つの流体経路と、
前記バルブ本体内に位置する中央多岐管であって、前記中央多岐管は、
前記バルブ本体に対して回転するように構成されており、
その中に少なくとも1つの流路を有し、
前記少なくとも1つの流路は、前記バルブ本体を通る流体の流れを制御するために、前記少なくとも2つの流体経路と選択的に位置合わせされるように構成されている、
中央多岐管と、
の組み合わせを含み、
第1のインジケータ部は、その上に前記バルブ本体に対して固定された肯定マークおよび否定マークを含み、第2のインジケータ部は、前記中央多岐管に連結され、かつ前記中央多岐管の回転に伴って回転するように構成されており、前記第1のインジケータ部および前記第2のインジケータ部は相互作用して、前記バルブ本体の前記少なくとも2つの流体経路のどちらが前記中央多岐管を通る流れのために開放されているかを示す前記肯定マーク表示し、かつ前記バルブ本体の前記少なくとも2つの流体経路のどちらが前記中央多岐管を通る流れに対して閉鎖されているかを示す否定マークを表示することを特徴とするバルブ。
【請求項12】
前記少なくとも2つの流体経路は、前記中央多岐管の前記回転軸に実質的に垂直に延在している、請求項11に記載のバルブ。
【請求項13】
前記バルブ本体は少なくとも3つの流体経路を含み、前記少なくとも3つの流体経路はそれぞれ、前記中央多岐管の回転軸に実質的に垂直な共通の平面において方向づけられており、前記少なくとも3つの流体経路のうちの2つは、互いに実質的に180°で方向づけられており、かつ前記流体経路のうちの1つはそれ以外の流体経路のそれぞれに対して実質的に垂直に方向づけられており、
前記中央多岐管内の前記少なくとも1つの流路の前記端部は少なくとも3つの端部を含み、前記端部のうちの2つは、互いに実質的に180°で方向づけられており、かつ前記端部のうちの1つは、前記端部のそれ以外のそれぞれから実質的に90°で方向づけられており、前記中央多岐管の前記少なくとも3つの端部は、前記流体経路のうちの複数の異なる経路を互いに対して選択的に連結するために、前記少なくとも3つの流体経路のうちの様々な経路と選択的に位置合わせ可能である、請求項12に記載のバルブ。
【請求項14】
前記第2のインジケータ部は、前記中央多岐管により開放された前記バルブ本体の流体経路に隣接する肯定マーク以外の前記第1のインジケータ部の前記マークの全てを遮断し、かつ前記中央多岐管により閉鎖された前記バルブ本体の流体経路に隣接する否定マーク以外の前記第1のインジケータ部の前記否定マークの全てを遮断するように構成された物体を含む、請求項11に記載のバルブ。
【請求項15】
前記第2のインジケータ部は、その中に肯定および否定窓を有する表面を含み、前記肯定窓は、前記中央多岐管の前記少なくとも1つの複数端を有する流路の端部に隣接して位置しているため、前記中央多岐管の前記流路の前記端部が前記バルブ本体の前記流体経路と位置合わせされると、前記第1のインジケータ部の前記肯定マークが前記第2のインジケータ部の前記肯定窓と位置合わせされ、かつ前記第2のインジケータ部の前記表面を通して可視化することができ、かつ
前記否定窓は、前記中央多岐管の前記少なくとも1つの複数端を有する流路の端部間の空間に隣接して位置しているため、前記中央多岐管の前記流路の端部間の前記空間が前記バルブ本体の前記流体経路と位置合わせされると、前記第1のインジケータ部の前記否定マークが前記第2のインジケータ部の前記否定窓と位置合わせされ、かつ前記第2のインジケータ部の前記表面を通して可視化することができる、請求項14に記載のバルブ。
【請求項16】
前記肯定マークは少なくとも部分的に矢印の形状であり、前記肯定窓を通して見た場合、前記バルブを通る流れの方向を指している、請求項11に記載のバルブ。
【請求項17】
前記肯定マークは緑色である、請求項16に記載のバルブ。
【請求項18】
前記否定マークは、前記否定窓を通して見た場合、隣接する前記流体経路を通る流れとは反対方向に細長い、請求項11に記載のバルブ。
【請求項19】
前記否定マークは赤色である、請求項18に記載のバルブ。
【請求項20】
前記肯定マークおよび前記否定マークは、前記中央多岐管の回転軸から異なる距離で半径方向に離間されており、前記肯定窓および前記否定窓はそれぞれ位置合わせ可能であるように配置されており、肯定窓は肯定マークを有し、かつ否定窓は否定マークを有する、請求項11に記載のバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の発明は、流体経路を開閉するためのバルブに関する。より詳細には、本発明は、管、装置、複数の装置、患者またはそれらの任意の組み合わせに流体または薬剤(薬物)を送るために医療分野で使用されるような活栓を備えたバルブに関する。これらのバルブにより、所与のシステム内で各種異なる流体源と送達先との間で流体の流れを制御することができる。
【背景技術】
【0002】
科学分野では、各種流体源からの各種流体を輸送または混合するために流体の流れを開放、閉鎖および方向転換することにより、導管を通る流体の流れを操作しなければならないことが多い。この最も一般的な例は医療で見られ、そこでは、必要に応じて各種注入液を許可するか許可しないように操作することができる方法で、静脈もしくは中心ラインを介して患者の体内に注入している薬物(薬剤または流体)を別の注入薬と混合しなければならない。これらの同じ流体システムにより、所与の薬剤または流体を直接注入し、圧力を直接監視し、あるいは試料採取のために体液を直接採取することができるように、医療従事者が直接無菌でアクセスできるようにする必要がある。
【0003】
これを達成するための一般的な方法は、最も一般的には「三方型」またはあまり一般的でない「四方型」(これらの活栓は
図1に示されている)の医療用活栓を使用することである。これらの発明により、必要に応じてポートを開閉して、所与の薬物の流れを可能または不可能にしたり、あるいは上に述べた理由のために流体システムへの直接アクセスを可能にしたりすることができる。
【0004】
これらの医療用三方および四方活栓の使用に関する一般的な問題は、人の目視評価に基づくそれらの流れパターン(動作可能状態または機能状態)の操作または設定である。使用者は、活栓の機能を理解および解釈する自身の能力に基づいて、中央ハブを回転させて所望のポートを通る流れを位置合わせしなければならない。この機能は最も一般的には、閉鎖ポートを指し示す単一のノブによって表されており、開放ポートがどれであるかを解釈するのが難しい。このように肯定的な表示が欠如していることで、流れパターンの誤解が生じると共に、危害や死亡に繋がり得る設定ミスやそれに伴う投薬ミスが生じる。
【0005】
また、所与の設定で可能となる流れを解釈しづらいため、組み合わせの数も制限される(すなわち四方に制限される)。4つの組み合わせ(すなわち四方)を超える組み合わせを提供する活栓の場合に解釈や操作が非常に複雑になり、ミスの確率が指数関数的に増加するため、このような制限が生じる。これにより現在の技術は制限されており、より多くの選択肢が必要な場合に、2つ以上の標準的な活栓を直列に組み立てること(「多岐管」と知られている構成)が必要になる。これによりコストや複雑性が増し、かつ一連の各活栓の数だけ投薬ミスの確率が高まる。
【0006】
関連する先行技術:
米国特許第3,957,082号(1976年5月18日、Fuson)
米国特許第4,593,717号(1986年6月10日、Levasseur)
米国特許第4,566,480号(1986年1月28日、Parham)
米国特許第5,144,972号(1992年9月8日、Dryden)
米国特許第5,156,186号(1992年10月20日、Manska)
米国特許第4,219,021号(1980年8月26日、Fink)
米国特許第6,158,467号(2000年12月12日、Loo)
米国特許第6,230,744号(2001年5月15日、Ahrweiler)
米国特許第6,418,966号(2002年7月6日、Loo)
米国特許第6,457,488号(2002年10月1日、Loo)
米国特許第6,953,450号(2005年10月11日、Baldwin)
米国特許第7,232,428号(2007年6月19日、Inukai)
【0007】
上に列挙されているものを含む先行技術活栓は全て、所与のポートが開放または閉鎖位置にあるか否かの境界画定または表示が不十分である。この問題のため、先行技術活栓ではどの「設定」になっていてもその機能を判断しづらく、判断ミスが生じてしまう。
【0008】
Levasseurの活栓(米国特許第4,593,717号)は、開放ポートの境界画定が改良された活栓を示しているが、どのポートが閉鎖されているかの区別が明確でなく、この設計では3つのポートの様々なポートが閉鎖されている数多くの位置が存在するため、この解釈は「消去法」により使用者に委ねられている。ポート構成すなわち動作可能状態および動作可能構成も先行技術では一貫していないため、あまり直感的なものではない。
【0009】
Manskaの活栓(米国特許第5,156,186号)は、「オン(on)」または「オフ(off)」の中の「オ(o)」を2つの言葉の間で行き来させて、それにより「オ(o)」が重なっているポートの状態を「オン(on)」または「オフ(off)」として表示することにより所与のポートがオン(on)またはオフ(off)であるか否かをより良く表示することを試みてはいるが、「フ(ff)」のような残りの言葉が他のポートの上に残ったままである。これは先行技術よりは改良されているが、全体的な機能状態を判断する前に、各ポートを読み取り、解釈および評価することがなお必要である。この様式では、どのポートが開放されている(使用中である)かを一目で解釈できず、やはり本発明よりも高い程度でミスが生じる。これらの制限のために、この様式では「三方」までの複雑性しか許容されない。
【0010】
Looの活栓(米国特許第6,158,467号、第6,418,966号および第6,457,488号)は、ハブ内の(ノブ側)に片側のみの中央流体経路を含む。この片側のみの中央ポートは外部ポートとのみ連通し、流体がハブを完全に貫通して流れないようにしている。Looの活栓の機能は非常に解釈が難しく、どのポートが開放され、どれが閉鎖されているかを判断するのが非常に難しい。彼の設計には、混合しない2つの別個の流体経路が含まれており、特に適切な流れ指定システムが欠如しているために、複雑性および投薬ミスの確率が高まってしまう。この設計等と比べて、本発明の任意の中央流体流路は、送液ポート(Looの設計で必要とされる)に対するハブの回転位置とは無関係に、点滴その他の流体源からの流体を中央ハブを通して流せるようにして全体的機能を高め、有用なポート数を増やし、かつ機能状態をより解釈しやすくして、強く求められている利点をもたらす。本発明では、例えば、全ての他のポートがオフの間に中央ポートを通して流体を流し続けることができる(Looの設計にはこれを達成する手段がない)。Looの設計は中央ポートから周辺ポートへの流れのみを可能にする。
【0011】
灌漑用二方ボールバルブなどの他の種類のバルブは、特にそのようなバルブの使用経験の少ない使用者により誤った解釈がされる可能性がある。従って、バルブ上により明確な状態インジケータを設けることにより、バルブの有用性が高まり、かつミスの確率が低下する。
【発明の概要】
【0012】
本発明では、別個のポート間に所望の流れを形成するために容易に操作することができると共に、バルブの現在の機能もしくは動作状態およびそこを通る相対的な流れを一目で判断するために容易に分析することができるバルブが提供される。本バルブは一般に、バルブ本体に結合された送液ポートなどの複数の流体経路を有するバルブ本体を備える。中央ハブは、本バルブ本体内に存在する中央多岐管の好ましい形態を画定する。この中央ハブは本バルブ本体内で回転させることができる。中央ハブ内に埋め込まれた流体流路により、流体はそこを通って流れることができる。流体流路の端部を異なる向きで送液ポートと位置合わせすることにより、当該ポートのうちの様々な異なるポートを開放または閉鎖させて、本バルブの内外への流体の流れを許可または遮断することができる。また、この中央ハブは、灌漑で使用されるような典型的な二方ボールバルブまたはいくつかの他の特定の種類のバルブ内では標準的なボールの形態であってもよい。
【0013】
本発明では独特であるが、バルブ動作状態に関する第1のインジケータ部および第2のインジケータ部を含む一対のインジケータ部が提供される。これらの第1および第2のインジケータ部は互いに相互作用してこの動作状態情報を提供する。インジケータ部のうちの1つは、本バルブ本体に結合された送液ポートとほぼ位置合わせされた肯定マークと、同様に当該ポートに位置合わせされた否定マークとを含む。第2のインジケータ部は、第2のインジケータ部が中央ハブと共に回転するように中央ハブに連結された視覚的障壁を含む。この視覚的障壁は、正しくない第1のインジケータのマークを遮断し、かつ開放および閉鎖されたポートに対応する第1のインジケータ上のマークを遮断しないように構成されている。本発明の好ましい形態では、第2のインジケータ部はその中に窓を有するプレートの形態である。肯定窓は中央ハブ内の流体流路の端部とほぼ位置合わせされており、否定窓は中央ハブ内のこれらの流体流路の間で離間されている。従って、中央ハブの流路のこれらの端部が当該ポートに位置合わせされると、回転プレート内の肯定窓が第1のインジケータ部の肯定マークと位置合わせされるため、肯定マークが使用者に見える状態になる。使用者には、開放された各ポートに隣接する肯定マークが見える。また、否定窓は第1のインジケータ部の否定マークと位置合わせされるため、使用者には閉鎖された各ポートに隣接する否定マークが見える。従って、使用者はどのポートが開放され、どのポートが閉鎖されているか、従って、本バルブが位置している本システム内のどのポートが流体を送り、または受け取っているかを容易に判断することができる。
【0014】
様々な異なる数のポートを本バルブ本体に関連づけることができる。また、中央ハブと共に流体経路の様々な異なる数の端部を設けることができる。本バルブ本体に関連づけられたポートの数を変更し、かつ中央ハブ内の流路の端部の位置を変更することにより、活栓の様々な異なる数の動作状態を提供することができる。
【0015】
中央ハブは、好ましくは実質的に軸方向に延在し、中央ハブ内の埋め込み流路に垂直に、かつ/またはそこを通り、かつ本バルブ本体から延在するポートに垂直に延在する、「貫流」中央流体経路を任意に備えることができる。この中央流体輸送経路は、流体をハブの中心を完全に貫通して流すことができ、中央ハブ内に位置する埋め込み流体流路に接続されている。
【0016】
この中央流体輸送経路は、中央ハブ内のこの接続された流路により開放された送液ポートに接続する、区別可能な貫流路として機能する。この中央経路により、流体がこの目的のために送液ポートを使用しなくても本バルブの中心を通って流れることが可能となり、これらのポートを他の用途のために確保できるという追加機能が得られる。中央流体輸送経路は、本バルブ本体に結合されたポートとは異なり、中央ハブの回転によって開閉されない。それどころか、この中央経路により、流体はそこを通って流れ続けることができ、中央ハブの回転により、本バルブ本体に結合されたどの送液ポートが中央流路に接続されるかが決まる。そのような中央流体輸送経路により、バルブは複雑性の増加を最小限に抑えながら追加の機能を提供することができる。この中央流体経路の設計により、コストおよび混乱を最小限に抑えながらも高い機能を有するより複雑なバルブが可能になる。8つの組み合わせを得るためには、かつては「多岐管」の活栓として3つの先行技術活栓を直列に接続させることが必要であったが、中央流体経路を有する外観が四方活栓型の典型的なバルブを、8つの組み合わせに対応するように容易に設計することができた。中央流体経路を含む活栓の好ましい実施形態では、上述した第1および第2のインジケータ部も存在する。
【0017】
また、本開示は米国特許第8,584,701号の内容全体を参照により組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】標準的な先行技術活栓型バルブの上平面図である。
【
図2】
図1に示されている図に類似した全断面図であり、先行技術活栓の中央ハブの4つの異なる向きを示し、矢印は、そこを通る流体の流れのために活栓のどのポートが開放されているかを示す。
【
図3】
図1に示されている図に類似した全断面図であり、先行技術活栓の中央ハブの4つの異なる向きを示し、矢印は、そこを通る流体の流れのために活栓のどのポートが開放されているかを示す。
【
図4】
図1に示されている図に類似した全断面図であり、先行技術活栓の中央ハブの4つの異なる向きを示し、矢印は、そこを通る流体の流れのために活栓のどのポートが開放されているかを示す。
【
図5】
図1に示されている図に類似した全断面図であり、先行技術活栓の中央ハブの4つの異なる向きを示し、矢印は、そこを通る流体の流れのために活栓のどのポートが開放されているかを示す。
【
図6】完全に分解された状態の本発明に係る三方もしくは四方活栓バルブの斜視図であり、どのように2つのインジケータプレートが協働してバルブポート状態の肯定および否定インジケータの両方を提供するかを示す。
【
図7】部分的に分解された状態の本発明に係る三方もしくは四方活栓バルブの斜視図であり、どのように2つのインジケータプレートが協働してバルブポート状態の肯定および否定インジケータの両方を提供するかを示す。
【
図8】
図6および
図7に示されている図の斜視図であり、活栓が完全に組み立てられた状態で示されている。
【
図9】その回転軸に沿って軸方向に延在する中央流体輸送経路をさらに備える、
図6〜
図8に示されている活栓の代替形態の斜視図である。
【
図10】どのように活栓の2つのインジケータプレートを中央制御ノブに対向して、中央制御ノブとは反対側の活栓の側面に位置づけることができるかを示すこと以外は、
図6〜
図9に対応する。
【
図11】どのように活栓の2つのインジケータプレートを中央制御ノブに対向して、中央制御ノブとは反対側の活栓の側面に位置づけることができるかを示すこと以外は、
図6〜
図9に対応する。
【
図12】どのように活栓の2つのインジケータプレートを中央制御ノブに対向して、中央制御ノブとは反対側の活栓の側面に位置づけることができるかを示すこと以外は、
図6〜
図9に対応する。
【
図13】どのように活栓の2つのインジケータプレートを中央制御ノブに対向して、中央制御ノブとは反対側の活栓の側面に位置づけることができるかを示すこと以外は、
図6〜
図9に対応する。
【
図14】本発明に係る様々な機能状態にある二方活栓の断面図である。
【
図15】本発明に係る様々な機能状態にある二方活栓の上平面図である。
【
図16】本発明に係る様々な機能状態にある二方活栓の断面図である。
【
図17】本発明に係る様々な機能状態にある二方活栓の上平面図である。
【
図18】本発明に係る様々な機能状態にある三方活栓の断面図である。
【
図19】本発明に係る様々な機能状態にある三方活栓の上平面図である。
【
図20】本発明に係る様々な機能状態にある三方活栓の断面図である。
【
図21】本発明に係る様々な機能状態にある三方活栓の上平面図である。
【
図22】本発明に係る様々な機能状態にある三方活栓の断面図である。
【
図23】本発明に係る様々な機能状態にある三方活栓の上平面図である。
【
図24】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の全断面図である。
【
図25】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の上平面図である。
【
図26】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の全断面図である。
【
図27】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の上平面図である。
【
図28】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の全断面図である。
【
図29】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の上平面図である。
【
図30】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の全断面図である。
【
図31】本発明に係る様々な機能状態にある四方活栓の上平面図である。
【
図32】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の全断面図である。
【
図33】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の上平面図である。
【
図34】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の全断面図である。
【
図35】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の上平面図である。
【
図36】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の全断面図である。
【
図37】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の上平面図である。
【
図38】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の全断面図である。
【
図39】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の上平面図である。
【
図40】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の全断面図である。
【
図41】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の上平面図である。
【
図42】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の全断面図である。
【
図43】本発明に係る様々な機能状態にある六方活栓の上平面図である。
【
図44】例えば薬剤バイアルのための針状スパイクの界面に固定された1つのポートを有する活栓型バルブの上平面図である。
【
図45】どのように本発明のインジケータを活栓以外のバルブ上に配置することができるかを示す、灌漑もしくは産業用バルブの2種類の変形形態の斜視図である。
【
図46】どのように本発明のインジケータを活栓以外のバルブ上に配置することができるかを示す、灌漑もしくは産業用バルブの2種類の変形形態の斜視図である。
【
図47】どのように本発明のインジケータを活栓以外のバルブ上に配置することができるかを示す、灌漑もしくは産業用バルブの2種類の変形形態の斜視図である。
【
図48】どのように本発明のインジケータを活栓以外のバルブ上に配置することができるかを示す、灌漑もしくは産業用バルブの2種類の変形形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
各種図面を通して同様の符号は対応する関連部分を表している図面を参照すると、符号1は、先行技術活栓型バルブに関する(
図1〜
図5)。この先行技術活栓1ならびに本発明の各種活栓20、30、40、50、110(
図6〜
図44)および他の特定のバルブ実施形態130、140(
図45〜
図48)は、多くの一般的な属性を共有すると共に重要な相違点も有し、本明細書に示されている例示的な実施形態を参照することによりそれらについて本明細書に説明する。本発明は米国特許第8,584,701号にも関し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらのバルブの操作により、異なる実施形態に関連する図面に流れ矢印によって示すように、そこを通る流体の流れのために、バルブ本体2に結合された様々な異なる送液ポート4を開放または閉鎖することができる。各実施形態のために異なる図が提供されており、そこには、バルブ本体2に対する中央ハブ12の様々な異なる位置ならびにどの送液ポート4が本バルブにより開放されているかを素早くかつ容易に示す回転プレート18、21、31、41、51、111、131、141または他の構造に対する固定プレート6の相対位置が示されている。
【0020】
特に
図1〜
図9を参照すると、先行技術活栓1および本発明の活栓20、30、40、50、110の両方に共通する基本的な詳細が記載されている。バルブ本体2は、その中に中央ハブ12を収容するハウジングとして機能する。このバルブ本体2は、実質的に円筒状の凹部を有する。この凹部の形態に一致する実質的に円筒状の形態を有する中央ハブ12は、バルブ本体2内の凹部内に存在する。バルブ本体2および中央ハブ12は、シールで装着するか十分に厳密な許容差で適当な材料で製造して実質的に自己気密性にすることができる。
【0021】
バルブ本体2は、バルブ本体2から半径方向に延在する複数の送液ポート4を備える。これらの各ポート4は、バルブ本体2から最も離れた終端部3で終端している。各ポート4の終端部3は典型的に、医療用チューブなどの他の流体導管に、あるいは本システム内の流体源または送達先に直接連結することができるように構成されている。これらの流体源または送達先は、センサ、薬剤バイアル、注射器、患者インタフェース(例えば、静脈内カテーテル)、注入ポンプまたは他の流体取扱もしくは処理装置を含むことができる。終端部3において利用されるコネクタは、ルアーフィッティング、ねじ込み継手または、スリーブおよびクランプコネクタおよびプレスフィットコネクタなどの管状コネクタに一般的な他の形態の継手であってもよい。開放ポート4は符号10で識別されている。
【0022】
閉鎖ポート4には符号11が付されている。さらに、開放ポートには矢印が付されており、流体が活栓1を通って流れることができることを示している(
図1〜
図45)。中央ハブ12を通る中央流体輸送経路9(
図9および
図13)を任意に設けることができる。この中央流体輸送経路9は、中央ハブ12内の埋め込み流体流路14と交差している(
図18、
図20および
図22)。
【0023】
典型的には、この中央ハブ12は中央制御ノブ16と共に形成されているか、中央制御ノブ16をそこに取り付けることができるように構成されている。ノブ16がバルブ本体2の後方にある場合(
図10〜
図13)には、ピンコネクタ17がそのような取り付けに対応することができる。埋め込み流路14は、穴あけによって、あるいは射出成形プロセスの一部などの他の成形技術によって形成することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態に係る活栓30(
図6〜
図13)の動作の機能状態の表示を与えるために、固定プレート6および回転プレート18を含む一対のプレートがインジケータ部として設けられている。固定プレート6は、バルブ本体2および送液ポート4に対して固定されている。この固定プレート6は、一般に送液ポート4と位置合わせされた肯定マーク22、23と、選択的表示のために同様に提供されている否定マーク26とを含む各種マークを含む。回転プレート18は、プレート18内の窓24、25、28がバルブ動作状態を適切に示している場合、すなわち肯定マーク22、23が中央ハブ12内の埋め込み流体流路14と位置合わせされた肯定窓24、25と位置合わせされている場合、および否定マーク26が経路14から離間されている否定窓28と位置合わせされている場合以外は、固定プレート6およびそのマークを遮断するように構成されている。これらの位置では、その下にある固定プレート6上のマーク22、23、26を窓25、26、28のうちの適当な窓を通して現すか見せることができる窓24、25、28が回転プレート18内に形成されている。特に、回転プレート18の中心回転軸および固定プレート6の中心点からの窓24とマーク22、窓25とマーク23、窓28とマーク26までの半径方向距離は一致している。
【0025】
常に、肯定窓24、25が中央ハブ12内の埋め込み流体流路14と位置合わせされたままであり、かつ否定窓28が経路14から離間されたままであるように、回転プレート18は中央ハブ12と共に回転する。埋め込み流体流路14がバルブ本体2内の送液ポート4と位置合わせされると、肯定窓24、25は固定プレート6上の肯定マーク22、23と自動的に位置合わせされるため、肯定窓24、25を通してこれらのマークを見ることができる。経路14がポート4と位置合わせされていない場合、否定窓28は否定マーク26と位置合わせされる。肯定マーク22、23および否定マーク26をハブ12の回転軸から異なる半径方向距離に配置し、かつ肯定窓24、25および否定窓28を回転軸から同様の半径方向距離に設けることにより、否定マーク26が現れる場合に肯定マーク22、23は常に覆われ、その逆も同様である。これらのマークを明るい色または蛍光材料で形成して、活栓30(
図6〜
図13)の動作可能状態、従って、どのポート4が現在開放され、どのポート4が閉鎖されているかを使用者がさらに容易に見ることができるようにしてもよい。例えば、肯定マークを緑色(図の中では点描の陰影で示されている)にしてもよく、否定マークを赤色(図の中では無地の陰影で示されている)にしてもよい。
【0026】
そのような構成では、活栓30は、開放ポート4を肯定的に識別し、かつ閉鎖ポート4を否定に識別する明確なインジケータを有し、それにより混乱または誤用を最小限に抑えること以外は、先行技術活栓1と一貫した方法で機能する。その使用では中央制御ノブ16を回転させ、これにより中央ハブ12を回転させて、送液ポート4間に開放された流体接続を形成する。中央ハブ12に固定された回転プレート18をさらに配置し、かつ固定されたポート識別マークに重ねることにより、窓24、25、28を通して可視化されるポート4の状態のさらに明確な境界画定が得られる。
図8および
図12に示すように、プレート6、18はポート4の片側にあってもよい。あるいは、活栓30の各側に1組ずつ2組のプレート6、18を設けてもよい。また、各側に1つの2つのノブ16を設けてもよい。図示していないが、使用者が一方の手でノブを回しながら反対の手で活栓を保持することができるように、ノブ16とは反対の活栓の側面に固定された把持領域を配置してもよい。そのような把持領域は、高摩擦材料からなる表面であっても、把持の向上を促進するリブ、帯、プレートなどであってもよい。
【0027】
中央ハブ12の回転により窓24、25、28がマーク22、23、26と位置合わせされると共に、中央ハブ12の回転により、その中に含まれる埋め込み流体流路14がバルブ本体2の周囲に取り付けられた所望の送液ポート4と位置合わせされた状態にもなる。従って、中央ハブ12の位置によって決定される所望の開放ポート10および閉鎖ポート11の構成は、バルブ本体2およびその送液ポート4に対してなされる。
【0028】
任意であるが、中央ハブ12とバルブ本体2との間に、例えば30°、45°または90°の中央ハブ12の回転ごとに、あるいは流路14の端部がバルブ本体2内でポート4と位置合わせされる場所全てに戻り止めを設けて、バルブ本体2に対する中央ハブ12の位置決めの正確性を高めてもよい。中央ハブ12およびバルブ本体2内の凹部内に形成される歯およびスロットとして、あるいは先行技術に一貫した他の方法で、そのような戻り止めを形成してもよい。より多くの複雑な活栓の組み合わせを使用する場合、そのような戻り止めは特に望ましい。
【0029】
特に
図14〜
図17を参照すると、二方活栓20の詳細が記載されている。この二方活栓は、二方型20の最も単純な活栓においてインジケータ盤6、21を使用した場合に利点が得られる。埋め込み流体流路14がポート4に位置合わせされた場合にのみ、流体が二方活栓20を通って流れることができる(
図16および
図17)ことを示すマークが適当な窓と位置合わせされる。そうでなければ、肯定マーク22、23はプレート21によって遮断され(
図14および
図15)、この「オフ」位置にある間は否定マーク26が現れる。
【0030】
特に
図18〜
図23を参照すると、三方活栓30の詳細が記載されている。この三方活栓30では、図示のように3つのポート4が設けられている(全ての図において、様々な異なる種類のコネクタは、当該ポートのうちの2つは互いに180°離間され、当該ポートのうちの1つはそれ以外の2つのポートのそれぞれから90°離間されている状態で終端している(終端部は様々な構成で存在していてもよい)ものと仮定していることに留意されたい)。それに応じて、流体流路14は、ポート4のパターンに一致するパターンで互いに90°離間された3つの端部を有する。この三方活栓30では、中央ハブ12は180°のみ回転することができる。バルブ本体2に対するこの中央ハブ12の3つの「開放された流れ」の動作可能位置(任意の2つのポートが開放)は、プレート31内の窓を通して見ることができるマークによりどのポート4が開放されている(または閉鎖されている)かを示すマークと共に示されている。この改良された境界画定システムにより、全ての3つのポートが閉鎖されている場合に示されるそれらの合間のさらなる動作可能位置も可能になり、それにより先行技術と比較してさらなる安全性が得られる。
【0031】
特に
図24〜
図31を参照すると、四方活栓40の詳細が記載されている。四方活栓40は、三方活栓30の構成に類似している。但し、中央ハブ12は360°回転することができる。従って、三方向の流れオプション(
図30および
図31に示されている)は、
図24〜
図31の四方活栓40によって容易になる。その上に窓を有するプレート41は、先の実施形態のプレート31に類似している。中央ハブ12および関連する埋め込み流路14をバルブ本体2および関連する送液ポート4に対して360°回転可能にすることにより、全ての3つの送液ポート4が互いに対して同時に開放される位置、ならびに
図18〜
図23の三方活栓30に関する上記位置が容易になる。上記三方活栓のように、この四方活栓によって全てのポートを閉鎖させることができる中間位置が可能になる。
【0032】
特に
図32〜
図43を参照すると、六方活栓50の詳細が第1の実施形態に従って記載されている。六方活栓50では、4つの送液ポート4が六方活栓50に関連づけられている。これらの4つのポート4は、隣接するポート4からの角度が実質的に90°になるように、共通の平面上でそれぞれ互いに同様の距離だけ離間されている。中央ハブ12は、少なくとも6つの異なる構成で様々なポート4の選択的開閉を可能にするために特定の構成で埋め込み流体流路14を含むように構成されている。
【0033】
特に、六方活栓50のこの好ましい実施形態の流路14では、流体流路14は大文字「K」にやや類似したパターンをなしている。但し、いくつかの他の流路設計構成、例えば、参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許第8,584,701号の構成が可能である。流路14のために4つの端部が設けられており、この流路は全て中央ハブ12内の中心で互いに結合されている。流路14のこれらの4つの端部は、中央ハブ12の中心から放射状に広がる流路部分の端部にある。これらの流路部分のうちの2つは互いに180°反対側に位置する。2つのさらなる流路部分は互いに90°離間され、かつ互いに180°反対側に位置する流路部分から45°離間されている。
【0034】
そのような構成では、いかにして六方活栓50で6つの異なる状態が得られるかは、中央ハブ12をそれぞれが45°間隔で配置された6つの異なる位置を通して回転させると分かる。第1の位置が、開放された互いに対向する2つのポート4(12時および6時の位置)および閉鎖された互いに対向するそれ以外の2つのポートを示す
図32および
図33に示されている。
図34および
図35は、開放されたそれ以外の2つのポート4(3時および9時の位置)を有する六方活栓50を示す。
【0035】
第3の状態では、六方活栓50は、2つの隣接するポート4が12時の位置および3時の位置で開放され、他の位置では閉鎖された状態で
図36および
図37に示されている。
図38および
図39では、六方活栓50は、ポート4が3時および6時の位置で開放された状態で示されている。
図40および
図41では、ポート4が6時および9時の位置で開放された六方活栓50の状態が示されている。
図42および
図43では、六方活栓50は、ポート4が9時および12時の位置で開放された状態で示されている。第1のプレートは、第4のポート4の位置にさらなる肯定マーク22、23を有し、第2のプレート51は、ハブ12内のさらなる流路に隣接する予備の肯定窓を有する。
【0036】
他の実施形態と同様に、中央制御ノブ16は、中央ハブ12の中心を通って延在し、かつ中央ハブ12内の埋め込み流路14と流体連通する軸方向の中央流体経路を任意に有していてもよい。
【0037】
使用者が、患者治療環境内に医療用チューブなどの複数の流体輸送ラインを有するシステムを設計する場合、使用者は、必要な異なるチューブの数および流体源の数および流体送達先の数を最初に確認するであろう。流体源および送達先のこの総数は、どの活栓を利用するかを決定する際の第1の因子である。第2に、使用者は、流体のどの別個の流体源または送達先を互いに直接連通させる必要があるかを確認することができる。次いで使用者は、所望の程度の操作性を有する活栓のうちの1つを選択し、選択した活栓と流体源または送達先のそれぞれとの間に医療用チューブを接続する。また使用者は、先行技術で行われるように、必要に応じてより多くの接続のための多岐管として本発明をその流れ指定システムと直列に接続してもよい。また本発明は、先行技術でも見られるように、単一ユニットの多岐管として一緒に成形された複数の活栓を備えていてもよい。
【0038】
その後、使用者が、流体源と流体送達先との間で活栓を通して異なる方法で流体を輸送しなければならない場合、使用者は、システム全体の動作のために、固定プレート6および回転プレート18(
図6〜
図13)が位置合わせされて所望の開放および閉鎖に対応してポート4の開放および「閉鎖」を示すまで、中央ハブ12を回転させる。その後、使用者は、固定プレート6上のマークがまだ見え、かつ回転プレート18の窓を通して見える適切な位置にあることを確認することにより、活栓を素早く監視して、それがなお適切に配置されていることを保証することができる。万が一適所を外れていたとしても、使用者は適当な調節を行うことができる。本システムの異なる動作状態が求められる場合には、適当なポート4が開放または閉鎖されるまで中央ハブ12を適宜回転させて、新しい動作状態のために本システムを構成する。
【0039】
図44は、六方活栓50(
図32〜
図43)のさらなる変形として針状スパイク120が組み込まれた活栓110を示す。この活栓110では、針状スパイク120を当該ポート位置のうちの1つに組み込む。この例示的な実施形態では、3つの他のポート112、114、116をルアーロック型継手で装着する。肩部122は、針120の中心線から半径方向に延在しており、図示していないが、薬剤の瓶を保持するための機能を用いることができる。針120を薬剤の瓶の中のセプタムなどの構造を好都合に穿刺することができるような場所に装着し、肩部122は、その組立のための停止部として機能することができる。例えば液体の送達および囲いの外へのガスの戻りの両方を可能にするために、所望であれば、針120を2つの導管と共に装着することができる。活栓110を有するインジケータプレートの詳細は、
図32〜
図43の六方活栓50に関連して記載されているものと同様である。
【0040】
図45および
図46は、灌漑または産業および様々な他の液体または他の流体取扱システムで利用されるような、一般にボールバルブの形態である他のバルブ130を示す。この例示的な実施形態では、ポート132、134は互いにほぼ対向している。バルブボールなどの制御要素は、制御ハンドル136に連結されており、先に述べた設計の中央ハブに類似している。制御ハンドル136を回転させて、ポート132、134間の経路を開閉することができる。互いに平行な第1の固定プレート135および第2の回転プレート131を含む一対のインジケータプレートが設けられている。ポート132、134に位置合わせされた場所には、第1のプレート135上に肯定マーク122、123および否定マーク126が設けられている。ハンドル136に関連づけられたボールまたは他の制御要素の開口部と位置合わせされた肯定窓124、125が設けられている。ボールまたは他の制御要素内のこれらの開口部から離間された場所には否定窓128が設けられている。
【0041】
図45および
図46から分かるように、本バルブが開放または閉鎖されているかに応じて、適当な肯定マーク122、123または否定マーク126を見ることができる。使用者は、本バルブの状態に関して肯定であるか否定であるかの連絡を常に受ける。この表示は、ウィンドウ内の開口部の形状またはマークの形状などにより、本バルブが開放されているか閉鎖されているかに相関している。例えば、開放マークは一般に矢印として現れてもよく、閉鎖マークは一般に遮断壁として現れてもよい。同様に、例えば、赤色が閉鎖を示し、かつ緑色が開放を示すように、本バルブの状態に相関させるためにマークの色を選択することができる。複数の肯定マーク122、123および複数の肯定窓124、125を設けることにより、より細長い矢印の画像を見せることができ、本バルブが開放されているという明確な表示を与えることができる。これらのマーク122、123間の空間は、肯定マーク122、123間に位置する否定マーク126を覆うための肯定窓124、125間の橋状部によって閉鎖される。
【0042】
図47および
図48には、インジケータ構造が独特に記載されていること以外は
図45および
図46のバルブ130と同様に構成されている他のバルブ140が開示されている。バルブ140は、対向端にポート142、144と、本バルブ内のボールまたは他の制御要素に連結された制御アーム146とを備える。当該インジケータは、平坦なプレートの形態ではなく、同心の円筒体の形態である。第1の円筒体の形態である第1の固定インジケータ部は、第2の円筒体の形態である第2の回転インジケータ部の内部にある。第1の円筒体はバルブ140の本体に固定されており、バルブ140はポート142、144にも固定されている。第2の部分は、制御アーム146ならびにバルブ140内の関連するボールまたは他の制御要素に固定されている。
図47および
図48に示すように本バルブの動作状態に応じて、肯定マーク152または否定マーク156のいずれかを肯定窓154または否定窓158を通して見ることができる。
図45〜
図48には2つの位置のバルブ130、140のみが示されているが、これらの流れ境界画定設計の特徴と共に先に示した三方および四方バルブに類似した他のより複雑なバルブも利用することができる。
【0043】
本開示は、本発明の好ましい実施形態および本発明を実施するための最良の形態を明らかにするために提供するものである。従って、本発明について以上のとおり説明してきたが、当然のことながら、本発明の開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、好ましい実施形態に対して様々な異なる修正をなすことができる。機能を行うための手段として構造を特定している場合、その特定は、指定されている機能を行うことができる全ての構造を含むものとする。本発明の構造を互いに連結するものとして特定している場合、そのような言葉は、互いに直接連結されているか、介在構造を介して互いに連結されている構造を含むように広く解釈されるべきである。そのような連結は、特に制限がない限り、永久的なものであっても一時的なものであってもよく、固定された状態であっても、何らかの取り付けの形態を与えながらも回動、摺動または他の相対運動を可能にする状態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、バルブおよびその付属品の機能状態を評価する迅速な手段を提供するという点で産業上の利用可能性を示す。
【0045】
本発明の別の目的は、その設定状態に関して容易に評価することができると共に、先行技術のバルブの使用について既に訓練を受けたものに精通した方法でなお使用されるバルブを提供することにある。
【0046】
本発明の別の目的は、投薬ミスなどの、活栓を利用する際にミスが生じる確率を最小限に抑えるために、その機能および動作状態に関して簡単に評価することができる活栓型バルブを提供することにある。
【0047】
本発明の別の目的は、直感的な動作状態指定システムを有するバルブを提供することにある。
【0048】
本発明の別の目的は、複数の異なる流体の流れの組み合わせを可能にすると共に、使いやすさおよび安全性をなお維持するバルブを提供することにある。
【0049】
本発明の別の目的は、複雑な流体流構成システムを単純化するために、多岐管状に配列された複数の別個のバルブの代わりとして使用することができるバルブを提供することにある。
【0050】
本発明の別の目的は、本バルブ状態に関して肯定および否定マークの両方を設けることにより、その動作状態に関して容易に解釈することができるバルブを提供することにある。
【0051】
本発明の別の目的は、例えば射出成形プラスチックの利用により、単純に製造することができ、かつ低コスト材料で形成することができるバルブを提供することにある。
【0052】
本発明の別の目的は、本バルブが含まれる様々な異なる流体流システムにおける高い可視性のために、活栓上の様々な異なる位置に構成することができる本バルブの状態を示すためのインジケータを提供することにある。
【0053】
その産業上の利用可能性を示す本発明の他のさらなる目的は、含まれている詳細な説明を注意深く読み、添付の図面を参照し、かつ本明細書に含まれる特許請求の範囲を検討することで、明らかになるであろう。
【国際調査報告】