(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539046(P2016-539046A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】車両シート用前方旋回機構、及び車両シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/20 20060101AFI20161118BHJP
B60N 2/22 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
B60N2/20
B60N2/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-535655(P2016-535655)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】EP2014076160
(87)【国際公開番号】WO2015082426
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】102013224689.7
(32)【優先日】2013年12月2日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014207606.4
(32)【優先日】2014年4月23日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】プルタ、 ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ、 クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ディル、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クリストフェル、 トーマス
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD01
3B087BD03
(57)【要約】
本発明は、車両シート(1)の背もたれ(1.1)を少なくとも1つの前方位置(D、E)に配置するため及び前方位置(D、E)を超えた背もたれ(1.1)を少なくとも1つの更なる前方位置(L)に配置するための前方旋回機構(V)であって、背もたれ(1.1)を少なくとも1つのシート位置(A〜C)に配置及びロックするための快適ロックを含み、背もたれ(1.1)を少なくとも1つの前方位置(D、E)に配置するためのイージーエントリーラッチ(5)を含み、前方位置(D、E)の1つへの背もたれ(1.1)の旋回範囲をイージーエントリーラッチ(5)によって制限することができ、イージーエントリーラッチ(5)は、シート位置(A〜C)の1つから前方位置(D、E)の1つへの背もたれ(1.1)の移動中の前方制限止め具を形成するように設計されている前方旋回機構(V)に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(1)の背もたれ(1.1)を少なくとも1つの前方位置(D、E)に配置するため及び前記前方位置(D、E)を超えた前記背もたれ(1.1)を少なくとも1つの更なる前方位置(L)に配置するための前方旋回機構(V)であって、
前記背もたれ(1.1)を少なくとも1つのシート位置(A〜C)に配置及びロックするための快適ロックと、
前記背もたれ(1.1)を前記少なくとも1つの前方位置(D、E)に配置するためのイージーエントリー移動止め(5)と
を有し、
前記前方位置(D、E)の1つへの前記背もたれ(1.1)の旋回範囲が前記イージーエントリー移動止め(5)によって制限可能であり、前記イージーエントリー移動止め(5)は、前記シート位置(A〜C)の1つから前記前方位置(D、E)の1つへの前記背もたれ(1.1)の調節の間、前記イージーエントリー移動止めが前方への止め具を形成するように設計されている、前方旋回機構(V)。
【請求項2】
前記イージーエントリー移動止め(5)の止め具に対応するように前記背もたれ側に末端止め具(7)が設けられ、前記末端止め具は、前記背もたれ(1.1)の前方位置(D、E)の1つにおいて前記イージーエントリー移動止め(5)の止め具と自動ロック式に相互作用する、請求項1に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項3】
前記イージーエントリー移動止め(5)は旋回可能に且つばね付勢されるようにフィッティング下部(2.2)に連結されている、請求項1又は2に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項4】
前記背もたれ(1.1)を前記前方位置(D、E)の1つから快適範囲内の前記シート位置(A〜C)の1つへ持ち上げるとき、前記末端止め具(7)は、ソフトロック力が車両シート(1)の前後方向調節力よりも大きいようにソフトロック(4)と係合している、請求項2又は3に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項5】
前記ソフトロック(4)は前記末端止め具(7)と相互作用する少なくとも1つの制御カム(4.2)を備えた少なくとも1つの外側輪郭を有するL字形状として設計されている、請求項4に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項6】
前記ソフトロック(4)は旋回可能に且つばね付勢されるようにフィッティング下部(2.2)に連結されている、請求項4又は5に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの前方位置(D、E)への前記背もたれ(1.1)の旋回の間、前記末端止め具(7)は前記ソフトロック(4)の外側輪郭に沿ってスライドし、前記ソフトロック力は前記制御カム(4.2)の成形及び/又は前記ソフトロック(4)の復帰ばね(4.1)のばね力によって決定される、請求項5又は6に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項8】
前記背もたれ(1.1)の前方位置の更なる1つ(L)において、前記末端止め具(7)と前記ソフトロック(4)の自動ロック式の相互作用によって前記背もたれ(1.1)が保持されるように、前記ソフトロック(4)は延長されている、請求項4から7のいずれか1項に記載の前方旋回機構(V)。
【請求項9】
傾き調節可能且つ自由に旋回可能な背もたれ(1.1)と前後方向アジャスタとを備えた車両シート(1)であって、傾きを調節するため及び前記背もたれ(1.1)の自由な旋回のための請求項1から8のいずれか1項に記載の前方旋回機構(V)によって特徴付けられる、車両シート(1)。
【請求項10】
前記背もたれ(1.1)が前記前方位置(D、E)の1つに前方へ旋回されたとき、前記背もたれ(1.1)が旋回して前記シート位置(A〜C)に戻る前に前記車両シート(1)が最初に後方へ移動可能であるように、前記前後方向アジャスタと前記前方旋回機構(V)は相互作用する、請求項9に記載の車両シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シート用の前方旋回機構に(特にイージーエントリーシステムに)、及びこのような前方旋回機構を備えた(特にイージーエントリーシステムを備えた)車両シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術は、車両シートの一部であり且つ車両の第2シート列への容易な乗り込みを可能にする、様々なイージーエントリーシステムを開示してきた。イージーエントリーシステムは、車両シートの背もたれ上縁に従来の方式で配置された解除レバーによって作動可能であり、その結果、車両シートの背もたれは入り口領域の外へ旋回する。車両シートがレール上に配置されている場合、解除レバーを作動させると、車両シートは加えて又は代わりに進行方向に移動可能である。また、車両シートは、背もたれの乗り心地調節機能及び積載床機能を有する。これらの2つの機能は、快適レバーによって作動可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術に対して改良された車両シート用の前方旋回機構(特に簡略化されたイージーエントリーシステム)と、このような改良された前方旋回機構(特にイージーエントリーシステム)を備えた車両シートとを特定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、前方旋回機構に関して、請求項1の特徴によって達成される。車両シートに関して、本発明は請求項9に記載された特徴によって達成される。
【0005】
車両シートの背もたれを少なくとも1つの前方位置に(特にイージーエントリー位置に)配置するため及び前方位置を越えた背もたれを少なくとも1つの更なる前方位置(特に積載床位置)に配置するための本発明に係る前方旋回機構は、背もたれを少なくとも1つのシート位置に配置及びロックするための快適ロックと、背もたれを少なくとも1つの前方位置に配置するためのイージーエントリー移動止めとを含み、少なくとも1つの前方位置への背もたれの旋回範囲がイージーエントリー移動止めによって制限可能であり、イージーエントリー移動止めは、シート位置の1つから前方位置の1つへの背もたれの調節の間、前記イージーエントリー移動止めが前方への止め具を形成するように設計されている。
【0006】
背もたれの旋回範囲の制限を達成するために、イージーエントリー移動止めは、切り替え可能であり、特にイージーエントリー移動止めのロックフック又はロック移動止めが末端止め具と係合する位置に至らせることができる。
【0007】
本発明の可能な実施形態において、末端止め具は、イージーエントリー移動止めの止め具に対応するように背もたれ側に設けられ、前記末端止め具は、背もたれの前方位置においてイージーエントリー移動止めの止め具と(特にロックフック又はロック移動止めと)自動ロック式に相互作用する。
【0008】
発展形態によれば、イージーエントリー移動止めは旋回可能に且つばね付勢されるようにフィッティング下部に連結されている。イージーエントリー移動止めの回転軸の領域に配置されたばね要素、特に可撓性ばね、例えば渦巻きばねによって、シート位置の1つからの背もたれの解放後及び背もたれの前方への旋回中に、イージーエントリー移動止めは、背もたれの前方への更なる旋回を制限するためにロックフック又はロック移動止めが止め具として作用する位置に至らせることができ、特に旋回可能である。
【0009】
背もたれを前方位置(特にイージーエントリー位置又は積載床位置)から快適範囲内のシート位置の1つへ再び持ち上げる間、末端止め具は、ソフトロック力が車両シートの前後方向/レール調節力よりも大きいようにソフトロックと係合している。このことは、背もたれが快適範囲内のシート位置に旋回させられる前に、車両シートが最初に、前後方向調節によって後方又は最後方位置に配置される(特に移動させられる)ことができることを確実にする。
【0010】
可能な実施形態において、ソフトロックは、末端止め具と相互作用する(特に突起の形態の)少なくとも1つの制御カム又は切り替えカムを備えた少なくとも1つの外側輪郭を有する、L字形状として設計されている。一実施形態によれば、ソフトロックは、旋回可能に且つばね付勢されるように、特に弾性的にプレストレストをかけられるように、フィッティング下部に連結されている。
【0011】
ソフトロックの外側輪郭上での末端止め具の(特に末端止め具上に配置された転動体の)スライド中に、切り替えカム及びばね力(特に、例えば復帰ばねの形態のソフトロックばね)に打ち勝たなければならず、その結果、ソフトロック力が定義又は決定される。ここで、ソフトロック力が背もたれの前方又は後方への旋回中に事実上異なるように、切り替えカムは異なる傾きを有することができる。代わりに、切り替えカムの傾斜は前方及び後方の旋回方向において同一設計のものであることができ、従って、背もたれの両方の旋回方向において前記ソフトロック力に打ち勝たなければならない。ソフトロックばね/復帰ばねは、特に一端がソフトロックに、多端がフィッティング下部に連結されている。
【0012】
代替的な実施形態において、背もたれの前方位置の1つにおいて、末端止め具とソフトロックの自動ロック式の相互作用によって背もたれが保持されるように、ソフトロックは延長されることができる。特に、延長されたソフトロックは、延長部分の領域における外側輪郭にロックカム(特にロック突起)を有する。代わりに、ロックカムはソフトロックの内側輪郭に配置されることができる。
【0013】
傾き調節可能且つ自由に旋回可能な背もたれと前後方向アジャスタとを備えた本発明に係る車両シートは、傾きを調節するため及び切り替え可能なイージーエントリー移動止めを用いた背もたれの自由な旋回のために、及びソフトロックによる統合されたソフトロック機能と共に、前述の前方旋回機構を有する。ここで、背もたれが前方位置の1つに前方へ旋回させられたとき、背もたれが旋回させられてシート位置に戻される前に車両シートが最初に後方へ移動可能であるように、前後方向調節力よりも大きいソフトロック力によって、前後方向アジャスタと前方旋回機構は相互作用する。
【0014】
上記目的はまた、車両シートの背もたれを少なくとも1つの前方位置に(特にイージーエントリー位置及び/又は積載位置に)配置するための前方旋回機構(特にイージーエントリーシステム及び/又は積載システム)と、背もたれを少なくとも1つのシート位置に配置するための快適ロックと、前方位置(特にイージーエントリー位置及び/又は積載位置)を越えた背もたれを積載床位置に配置するための拡張された快適機能と相互作用するフィッティングを備え、背もたれの旋回範囲が、少なくとも1つのフィッティング部分と係合するイージーエントリー移動止めによって、前方位置において(特にイージーエントリー位置及び/又は積載位置において)限定され、イージーエントリー移動止めは、イージーエントリー位置においてイージーエントリー移動止めが前方への止め具を形成するように、快適範囲から前方位置への(特にイージーエントリー位置及び/又は積載位置への)背もたれの調節の間、前記イージーエントリー移動止めが旋回させられるように設計され、背もたれが前記前方位置から(特にイージーエントリー位置及び/又は積載位置から)快適範囲内のシート位置の1つに持ち上げられるとき、ソフトロック力が前後方向調節力よりも大きいようにイージーエントリー移動止めがソフトロックと係合している本発明によって達成される。
【0015】
本発明は、車両シートの背もたれがイージーエントリー位置又は積載位置などの前方位置から快適範囲内のシート位置の1つに配置又は旋回させられる前に、車両シートが前方の前後方向位置から後方又は最後方の前後方向位置に移動することを可能にする。このことは、車両シートの適切な、特にロック可能な移動又は前後方向位置に到達するため、ユーザーの安全性を高める。また、背もたれの前方位置において止め具として構成されるイージーエントリー移動止めによって、背もたれが更に前方へ旋回するのを防ぐことが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の概略図を参照して、本発明の例示的な実施形態を以下でより詳細に説明する。
【
図1】本発明によるフィッティングを備えた車両シートを示す。
【
図2】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図3】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図4】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図5】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図6】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図7】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図8】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図9】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図10】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図11】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【
図12】本発明によるフィッティングを様々な状態で模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
相互に対応する部分は、図面のすべてにおいて同じ符号を備えている。
【0018】
図1は、背もたれ1.1とシートクッション1.2とを備えた車両シート1のフィッティング2の領域の一部を側面図で示しており、背もたれ1.1はフィッティング2によって回転可能にシートクッション1.2上に配置されている。
【0019】
フィッティング2は、少なくとも1つの機能、特にエントリー補助手段(イージーエントリーシステム)又は積載補助手段を動作させるように構成された、前方旋回機構Vを有する。機能に応じて、フィッティング2は、エントリー補助手段としてのイージーエントリー移動止め5又は積載補助手段としてのロックレバーを含む。ここで、2つの機能は、背もたれ1.1を前方へ旋回させるときの傾斜角のみが異なる。イージーエントリー移動止め5又はロックレバーは、それぞれ統合された機能に対応するように、内側又は外側のガイド輪郭、ロック輪郭及び/又は制御輪郭を有して設計される。
【0020】
本発明は、前方位置としてイージーエントリー位置Dを有する、イージーエントリーシステムEEとして設計された前方旋回機構Vに関して、以下で説明されている。本発明は、イージーエントリー移動止め5の代わりにそれに応じて設計され且つ構成されたロックレバーが設けられている、積載システムとして設計された前方旋回機構V(特に図示せず)に同様に適用可能である。
【0021】
車両シート1は、例えば、車両用のフロントシート又はリアシート列(例えば第2シート列)の車両シートであり、且つレールシステム上に配置され、その結果、車両シート1は、前後方向アジャスタ(特に図示せず)を用いて車両の前後方向LRに移動可能である。
【0022】
車両の後部領域又はリアシート列への乗り込みを簡単にするために、車両シート1は、フィッティング2のイージーエントリーシステムEEによって実現可能なイージーエントリー機能を有する。
【0023】
イージーエントリー機能は、特に2ドア車両の後部領域、又はマルチドア車のリアシート列への拡張されたアクセス、従ってより快適なアクセスを可能にする、エントリー補助手段である。イージーエントリーシステムEEによって、車両シート1は、入り口領域を拡大するために前後方向LRにおいて(特に進行方向において)レールシステム上で前方へ移動させられ、同時に車両シート1の背もたれは1.1は、イージーエントリー位置Dへと前方に折り畳まれる。ここで、背もたれ1.1の旋回範囲は、イージーエントリー機能を始動させたとき、前方へ、例えば35°までに制限される。
【0024】
また、背もたれ1.1は、拡張された快適機能によって、更なる快適位置へ(特に積載位置E及び/又は積載床位置Lへ)旋回させることができる。
【0025】
背もたれ1.1は、車両の横の長さの方向に延びる旋回軸の周りで旋回可能である。背もたれ1.1の旋回は、解除レバー3に連結点3.1で連結された作動レバー(特に図示せず)の作動によって始動可能であり、解除レバー3はイージーエントリーシステムEEの復帰ばね3.2によってボーデンケーブル(図示せず)又は他の適切な張力要素を介してばね付勢されている。作動レバーは、車両シート1の片側のみに設けられている。
【0026】
フィッティング上部2.1及びフィッティング下部2.2から形成されたフィッティング2が、車両シート1のそれぞれの側に配置されている。代わりに、1つのフィッティング2のみが設けられ、伝動ロッド用の回転軸受が車両シート1の反対側に設けられてもよい。
【0027】
フィッティング上部2.1は、背もたれ1.1に固定されるように留められ、フィッティング下部2.2は、例えば車両床に又はシートクッション1.2に留められた下部構造に固定配置されている。フィッティング2(特に回転及び/又はラッチフィッティング)は、フィッティング上部2.1とフィッティング下部2.2との間で相対的に回転運動が行われるように、ギア付き結合部として設計されている。
【0028】
背もたれ1.1のそれぞれの側に配置されたフィッティング2は、背もたれ1.1を旋回させることができるように背もたれ1.1のロックを両側で解除することができるように、角のある伝動ロッド又は管の形態の伝動要素(特に図示せず)を介して互いに接続されている。ここで、フィッティング2は、伝動要素の一端に形状嵌めで留められている。代わりに、フィッティング2は車両シート1の片側のみに配置され、車両シート1の反対側に伝動要素を収容するための回転軸受を設けることができる。
【0029】
伝動要素は、詳細にはフィッティング部品を存在し得る更なるフィッティング部品に接続するロッド又は管であり、独国特許出願第102004008599号明細書から知られるように、伝動要素はその縦軸の周りで回転可能である。
【0030】
前方旋回機構Vは、イージーエントリーシステムEEと、積載位置E及び/又は積載床位置Lのための拡張された快適機能とを含み、これらはフィッティング2において統合され、
図1により詳細に示されている。
【0031】
イージーエントリーシステムEEは、フィッティング2に回転可能に配置され且つ結合された復帰ばね4.1でばね付勢されたソフトロック4と、同様にフィッティング2に回転可能に配置された解除レバー3と、更にイージーエントリー移動止め5とを含む。また、イージーエントリーシステムEEは、背もたれ側の末端止め具7を含む。
【0032】
図示の例示的な実施形態において、ソフトロック4と解除レバー3は別個の回転及び旋回軸の周りで回転可能であり、ソフトロック4とイージーエントリー移動止め5は共通の回転及び旋回軸の周りで回転可能である。ソフトロック4はレバー又はL字形状の形で設計されている。
【0033】
イージーエントリー作動レバー(図示せず)を作動させることによって、解除レバー3はシート位置A〜Cにおいて快適範囲内で調節機能を始動させるために作動され、その結果、背もたれ1.1はシート位置Aからシート位置B及びC(快適位置、使用位置、又は背もたれ位置とも称される)を通して、又はその逆に旋回させることができる。
【0034】
ここで、背もたれ1.1の後方への従ってシート位置Aへの調節及び配置は、背もたれ側にあり(特に背もたれに固定され)且つフィッティング下部2.2の止め具2.2.1に当たって停止する、末端止め具7によって制限される。
【0035】
背もたれ側にあり且つ背もたれに固定された末端止め具7は、転動体7.2のための容器7.1を含む。快適範囲内で、従ってシート位置A〜C(後方快適位置、中央快適位置、前方快適位置)の間の背もたれ1.1の調節範囲内で、末端止め具7の転動体7.2とソフトロック4は互いに切り離され、接触していない。また、車両シート1のレールシステムのレールとフィッティング2は閉鎖されている。
【0036】
シート位置A〜Cを有する背もたれ1.1の快適シート範囲において、シート位置Aは最後方の快適なシート位置を表し、シート位置Bは中間の快適なシート位置或いは開始又は設計シート位置を表し、シート位置Cは最前方の快適なシート位置を表し、イージーエントリー移動止め5は、外側輪郭5.2として設計された停止輪郭で、フィッティング上部2.1の末端止め具7に、特に転動体7.2に当接する。背もたれに固定された末端止め具7の転動体7.2は、フィッティング上部2.1の表面から突出する停止面として、特にストップローラ又はストップピンとして形成されている。代わりに、末端止め具7は、形状要素として、特にL字形状として別個に形成され、フィッティング上部2.1に留められ、特に溶接されることができる。
【0037】
図2及び3は、快適範囲内の中間快適位置又は通常位置であるシート位置Bにある背もたれ1.1を示す。この背もたれ又はシート位置Bでは、レールとフィッティング2は閉鎖されている。ソフトロック4と末端止め具7は切り離されている。転動体7.2は、イージーエントリー移動止め5の外側輪郭5.2に当接している。
【0038】
図4は、快適範囲内の後方快適位置である後方シート位置Aにある背もたれ1.1を示す。この背もたれ又はシート位置Aでは、レールとフィッティング2は閉鎖されている。ソフトロック4と末端止め具7は切り離されている。末端止め具7は、フィッティング下部2.2の(床又座部側にある/床又は座部に固定された)止め具2.2.1に衝突し、従って背もたれ1.1の後方への調節を制限する。
【0039】
図5は、快適範囲内の前方快適位置である前方シート位置Cにある背もたれ1.1を示す。この背もたれ又はシート位置Cでは、レールとフィッティング2は閉鎖されている。ソフトロック4と末端止め具7は、少なくとも一部の領域で切り離されており、詳細には末端止め具7から突出する転動体7.2がソフトロック4の制御輪郭4.2(切り替え輪郭とも称される)、特に外側輪郭から突出する突起に衝突するまで切り離されている。
【0040】
図6及び7は、快適範囲からイージーエントリー位置D又は積載位置E又は積載床位置Lへの背もたれ1.1の自由な旋回運動のための前方シート位置Cから開始位置C1までのソフトロック4及び制御輪郭4.2に対する末端止め具7の位置及び移動を示す。例示的な実施形態において、制御輪郭4.2は、転動体7.2がそれに沿って導かれる、賦形された外側輪郭として設計されている。代わりに、転動体7.2は、ソフトロック4の内側輪郭にあるピンのように導かれることができる。
【0041】
背もたれ1.1をイージーエントリー位置Dへと前方に、特に前方約35°に配置するために、プレストレスをかけたソフトロック4の復帰ばね4.1(ソフトロックばねとも称される)のばね力に打ち勝たなければならない。この目的のために、解除レバー3が作動され、背もたれ1.1は前方シート位置Cから前方に快適範囲の外へフィッティング2が開放されている開始位置C1の方向に旋回させられる。車両シート1を更に前方へ移動させることができるように、レール(図示せず)は同時にボーデンケーブル(図示せず)によってロック解除される。
【0042】
背もたれ1.1を最前方快適位置又はシート位置Cからイージーエントリー位置Dへ移動又は旋回させる場合のみ、ソフトロック4のソフトロック機能は、
図8に示されるように、連結によって、特に末端止め具7とソフトロック4が相互に作用することによって作動される。
【0043】
イージーエントリー移動止め5に及び/又はソフトロック4に連結されたばね要素5.1によって、イージーエントリー移動止め5は、
図8から10に示されるように、矢印P1に沿って上方に回転させられ、前方への止め具として働く(=自動ロック作用)。このために、イージーエントリー移動止め5はロック移動止め5.3を含む。イージーエントリー位置Dに到達する。
【0044】
背もたれ1.1を旋回させて再びシート位置A〜Cに、従って快適範囲に戻すために、制御輪郭4.2とそれによって得られるソフトロック力、特に末端止め具7とソフトロック4の連結に起因する力は、後方への旋回中に乗り越えられる。このために解除レバー3の作動は全く必要ない(
図10)。
【0045】
可能な実施形態において、ソフトロック力はレール調節力よりも大きい。それにより、背もたれ1.1が前方シート位置Cに配置され又は到達する前に、車両シート1が最初にレールに沿って移動して後方/最後方位置に戻ることが保証される。このことは、車両シート1のレール内での適切な移動又は前後方向位置が保証される(ロックされる)ため、ユーザーを保護するのに役立つ。
【0046】
積載位置E又は積載床位置L(折り畳み位置とも称される)に到達するために、解除レバー3を再び作動しなければならない。結果として、イージーエントリー移動止め5は下降させられ、従って背もたれ1.1は、
図11に示されるように、更に前方に折り畳むことができる。フィッティング下部2.2、特に突起が、その後、再び止め具として機能する。
【0047】
代わりに、フィッティング2にラッチ機能を用いることができ、その結果、より大きな力が可能である。
【0048】
積載位置E又は積載床面位置L(フラップ位置)を離れるのには、解除レバー3を作動させてもさせなくても(ラッチ機能があってもなくても)よい。フィッティング2におけるラッチ機能の代替案として、
図12に示されるように、積載床位置Lにおける保持機能(イージーエントリー位置と同じ原理)を達成するためにソフトロック4を変更、特に延長することができる。ソフトロック4は、延長部の領域における外側輪郭にロックカム4.3を有し、その結果、末端止め具7とソフトロック4は自動ロック式に相互作用する。ソフトロック4の外側輪郭へのロックカム4.3の成形の代替案として、ロックカム4.3はソフトロック4の内部輪郭に形成することもできる。
【0049】
要するに、後部に位置するシート列への乗り込みがイージーエントリー位置Dにおいて容易になる。このために、背もたれ1.1は、シート位置A〜Cから前方位置、イージーエントリー位置D(例えば前方約35°)へ旋回させられ、同時に前後方向調節レールが開放され、その結果、車両シート1は、最大入り口領域を可能にするように前方へ移動させることができる。
【0050】
「折り畳み位置」において、自動車の積載量は最大化される。このために、背もたれ1.1は、平坦な積載領域を生じるために積載床位置Lへと前方に折り畳まれ又は旋回させられる。
【0051】
自由な旋回位置又は運動(自由な揺動)は、特に、解除レバー3を作動することなくフィッティング2が開放され且つ背もたれ1.1が旋回することができる背もたれ1.1の状態を意味すると理解される。
【符号の説明】
【0052】
1 車両シート
1.1 背もたれ
1.2 シートクッション
2 フィッティング
2.1 フィッティング上部
2.2 フィッティング下部
2.2.1 止め具
3 解除レバー
3.1 連結点
3.2 復帰ばね
4 ソフトロック
4.1 復帰ばね
4.2 制御輪郭
4.3 ロックカム
5 イージーエントリー移動止め
5.1 ばね要素
5.2 外側輪郭
5.3 ロック移動止め
7 末端止め具
7.1 容器
7.2 転動体
EE イージーエントリーシステム
A〜C シート位置
C1 開始位置
D イージーエントリー位置
E 積載位置
L 積載床位置
LR 前後方向
P1 矢印
V 前方旋回機構
【国際調査報告】