特表2016-539061(P2016-539061A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-539061構造物に人搬送装置を支持するための支持体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539061(P2016-539061A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】構造物に人搬送装置を支持するための支持体
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/00 20060101AFI20161118BHJP
【FI】
   B66B23/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-536597(P2016-536597)
(86)(22)【出願日】2014年11月14日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2014074637
(87)【国際公開番号】WO2015082195
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】13196071.8
(32)【優先日】2013年12月6日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラムプル,ダーフィット
(72)【発明者】
【氏名】ビンクラー,ゲラルト
(72)【発明者】
【氏名】ホルバート,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ニーデルマイヤー,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】マタイスル,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321CD20
(57)【要約】
本発明は、構築構造物に乗客輸送装置1の2つの端部10、11を支持するための支持システム6に関する。第1の端部10に設けられるが、支持システム6は、旋回支点20を有し、その取り付け位置に関するその旋回軸線21は、垂直に配置される。第2の端部11に設けられるが、旋回軸線21に垂直に生じる水平方向の移動12を吸収するように、支持システム6は、フローティング支点30をさらに含む。フローティング支点(30)は、少なくとも1つの転動体(37)を有し、それによって、水平方向の移動12の発生によってフローティング支点30に生じる滑り摩擦は、複合された滑り−および−転がり摩擦、あるいは転がり摩擦に変換され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その取り付け位置に関するその旋回軸線(21)が垂直に配置される旋回支点(20)を乗客輸送装置(1)の第1の端部(10)に設けており、かつ、旋回軸線(21)に垂直に生じる水平方向の移動(12)を吸収するように、フローティング支点(30)を乗客輸送装置(1)の第2の端部(11)に設けている、構築構造物に乗客輸送装置(1)の2つの端部(10、11)を支持するための支持システム(6)であって、フローティング支点(30)が、少なくとも1つの転動体(37)を有し、その転動体(37)を通して、水平方向に生じる移動(12)によってフローティング支点(30)に生じる滑り摩擦が、複合された滑り−および−転がり摩擦、あるいは転がり摩擦に変換されることを特徴とする、支持システム(6)。
【請求項2】
フローティング支点(30)が、少なくとも1つの滑り軸受(33)を有し、転動体(37)が、エスカレータまたは動く歩道の長手方向範囲に平行に延在する少なくとも1つの滑り軸受(33)の2つの側縁部(38)に平行に配置される、請求項1に記載の支持システム(6)。
【請求項3】
少なくとも1つの滑り軸受(33)が、上部摺動要素(34)および下部摺動要素(35)を有する、請求項2に記載の支持システム(6)。
【請求項4】
乗り上げ傾斜面(34)が、転動体(37)に面する上部摺動要素(34)の各側縁部(38)に具体化され、第2の端部(11)の横方向の、水平方向の移動(12)の後に、上部摺動要素(34)が下部摺動要素(35)から少なくとも部分的に上昇されるように、その乗り上げ傾斜面(39)が、転動体(37)の上へ上部摺動要素(39)の乗り上げするように働く、請求項3に記載の支持システム(6)。
【請求項5】
フローティング支点(30)が、構築構造物に固定され得る支持キャリア(32)を有する、請求項3または4に記載の支持システム(6)。
【請求項6】
上部摺動要素(34)が、第2の端部(11)に連結され、下部摺動要素(35)が、支持キャリア(32)に連結される、請求項5に記載の支持システム(6)。
【請求項7】
機械的に剥離可能な接着剤(40)、温度安定潤滑グリース、取り付けグリース、または粘着性グリースによって、乗り上げ傾斜面(39)の側に配置される少なくとも1つの転動体(37)が、支持キャリア(32)に連結される、請求項5または6に記載の支持システム(6)。
【請求項8】
少なくとも1つの転動体(37)の転動距離を制限するように、支持キャリア(32)が、少なくとも1つのリミットストップ(41)を有する、請求項5から7のいずれか一項に記載の支持システム(6)。
【請求項9】
下部摺動要素(35)が、減衰要素(35.2)を有する、請求項5から8のいずれか一項に記載の支持システム(6)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の支持システム(6)によって、エスカレータまたは動く歩道として具体化される、乗客輸送装置(1)。
【請求項11】
現存する乗客輸送装置(1)の2つの端部(10、11)が、上昇されるステップと、
現存する乗客輸送装置(1)の2つの端部(10、11)および構築構造物のその支点(13、14)が、請求項1から9のいずれか一項に記載の支持システム(6)の収容に備えるステップと、
支持システム(6)の旋回支点(20)が、乗客輸送装置(1)の第1の端部(10)と構築構造物のその支点(13)との間に配置されるステップ、および支持システム(6)のフローティング支点(30)が、乗客輸送装置(1)の第2の端部(11)と構築構造物のその支点(14)との間に配置されるステップと
を有する、現存する乗客輸送装置(1)を現代化するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構築構造物に乗客輸送装置、特にエスカレータまたは動く歩道の2つの端部を支持するための支持システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エスカレータおよび/または動く歩道は、それらの2つの端部において、各々が鋼板および弾性中間層から成る弾性支持要素に支持される。
【0003】
この支持システムの欠点は、過度の移動の場合には、横方向力が生じる場合があり、その効果によって、乗客輸送装置のトラスまたはフレームが変形され得る。
【0004】
これらの過度の移動は、たとえば、地震による振動および衝撃の構築構造物への作用を通して生じる。横方向力は、乗客輸送装置自体の質量慣性の結果として、および水平方向に互いに対して移動する構築構造物の階層の移動を通して生じる。2つの階層を連結する乗客輸送装置は、階層の水平方向の移動によって、支持システムから飛び出させられる場合があり、または構築構造物の損傷、ならびに/またはエスカレータおよび/または動く歩道の損傷が起こり得る。
【0005】
この種の損傷を防止するために、欧州特許第0963941号明細書は、構築構造物に乗客輸送装置の2つの端部を支持するための支持システムを提案している。乗客輸送装置の第1の端部に設けられるが、支持システムは、その取り付け位置に関するその旋回軸線が垂直に配置される、旋回支点を有する。乗客輸送装置の第2の端部に設けられるが、支持システムは、フローティング支点をさらに有し、このフローティング支点は、旋回軸線に垂直に生じる水平方向の移動を吸収するように具体化される。横方向の移動の後に再び乗客輸送装置を中心に置くばね要素が、フローティング支点の側に配置される。
【0006】
欧州特許第0963941号明細書において提案されている解決策は、構造依存の許容速度および/または横方向移動の周波数の限度を超えないことを条件として、損傷の防止を可能にしている。非常に急速な水平方向の移動、およびしたがって構築構造物に作用する振動および衝撃が高い周波数の場合は、中心に置くように設けられるばね要素が、準剛体として働き、フローティング支点内での水平方向の移動の吸収を妨げる。さらに、ばねを使った解決策は、起こり得る最大変位がばねによって非常に制限されるので、強い地震のある地域には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0963941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、支持システムの領域で急速な水平方向の移動を分断することもできる支持システムを与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、構築構造物に乗客輸送装置の2つの端部を支持するための支持システムによって解決される。乗客輸送装置の第1の端部に設けられるが、この支持システムは、その取り付け位置に関するその旋回軸線が垂直に配置される、旋回支点を有する。乗客輸送装置の第2の端部に設けられるが、支持システムは、旋回軸線に垂直に生じる水平方向の移動を吸収するように、フローティング支点をさらに有する。それらの速度と無関係に水平方向の移動を吸収することができるように、フローティング支点は、少なくとも1つの転動体を有する。この少なくとも1つの転動体を通して、水平方向に生じる移動によってフローティング支点にもたらされる滑り摩擦は、複合された滑り−および−転がり摩擦、あるいは転がり摩擦に変換され得る。
【0010】
非常に遅い、およびしたがって低い周波数、振動の場合は、乗客輸送装置の第2の端部は、本質的に、隣接する階層の動きに追従する。滑り摩擦係数、フローティング荷重点の支持荷重、および乗客輸送装置の質量慣性に本質的に依存するある一定の閾値速度から、乗客輸送装置の第2の端部は隣接する階層に対して移動するという点で、水平方向の移動はフローティング支点に部分的に吸収される。これらの振動が小さな振幅を有する場合は、乗客輸送装置の構造、特にそのトラスは、弾性範囲内で応力を加えられるのみであり、したがって、いかなる塑性変形もその中に生じない。しかしながら、これらの振動が大きな振幅を有する場合は、短い摺動距離の後に、少なくとも1つの転動体を通して、フローティング支点の摩擦抵抗が大幅に低減され、したがって、摩擦抵抗の結果として第2の端部に作用する横方向力の力は、事実上除去され、トラスは解放される。
【0011】
本発明は、フローティング支点の静止摩擦がユーザの搭乗によって克服され得ないので、中立動作位置において、第2の端部が横方向に揺れることをさらに防止する。加えて、中立動作位置においては、少なくとも1つの転動体は、除荷され、したがって、時間が経過するにつれて高い静的荷重によって塑性変形されない。
【0012】
できる限り規定される摺動摩擦特性が存在するために、フローティング支点は、滑り軸受を有する。転動体は、エスカレータまたは動く歩道の長手方向範囲に平行に延在する少なくとも1つの滑り軸受の2つの側縁部に平行に配置されることが好ましい。それによって、水平方向の移動の場合に移動の両方向に生じる滑り摩擦は、複合された滑り−および−転がり摩擦、あるいは転がり摩擦に変換され得る。
【0013】
少なくとも1つの滑り軸受は、上部摺動要素および下部摺動要素を有することができる。上部および下部摺動要素は各々が他のもの面する摺動面を有する。摺動面は、滑り軸受の所望の滑り摩擦係数をもたらす適切な表面構造を有することができる。また、フローティング支点を通して、乗客輸送装置の長手方向伸長が吸収され得る。しかしながら、十分に広く設計された滑り軸受の場合は、フローティング支点はまた、乗客輸送装置の長手方向範囲の方向に生じる、互いに対する2つの階層の変位を吸収することができる。
【0014】
滑り摩擦を、複合された滑り−および−転がり摩擦、あるいは転がり摩擦に変換するのを容易にするように、転動体に向かって面する上部摺動要素の各側縁部に、乗り上げ傾斜面が具体化され得る。この乗り上げ傾斜面は、転動体上への上部摺動要素の乗り上げするように働く。乗り上げの場合は、上部摺動要素は、下部摺動要素を少なくとも部分的に離昇し、少なくとも1つの転動体上にさらに転動することができる。
【0015】
転動体のための適切な移動経路を提供するように、フローティング支点は、構築構造物に固定され得る支持キャリアを有することができる。支持キャリアの存在により、支持キャリアによる下部摺動要素の連結が可能になる。上部摺動要素は、適切な方法で乗客輸送装置の第2の端部と連結される。さらに、上部摺動要素と第2の端部との間に、レベル出し装置が配置され得る。このレベル出し装置は、歪みフリーおよび階床と同一平面配置を提供する。たとえば、設定ねじ、ディスタンスプレート、ディスタンスディスク、ディスタンススリーブ、他の同様なものが、レベル出し装置として使用され得る。
【0016】
乗り上げ傾斜面の側部に配置されると、少なくとも1つの転動体は、機械的に剥離可能な接着剤によって支持キャリアに連結され得る。次いで、水平方向の移動を通して、上部摺動要素が乗り上がると自在に転動体を壊すまで、転動体は、フローティング支点内でその位置に留まる。自明に、接着剤の代わりに、また温度安定潤滑グリース、取り付けグリース、または粘着性グリースが使用され得る。
【0017】
少なくとも1つの転動体の転動距離を制限するように、支持キャリアはまた、少なくとも1つのリミットストップを有することができる。これは、少なくとも1つの転動体が、画定された領域に常に位置しており、利用できるという利点を有する。
【0018】
乗客輸送装置の動作を通して生じる振動が建築物に伝達することができないように、下部摺動要素は、減衰要素および/または遮音性を有することが好ましい。
【0019】
既に上記でさらに詳しく説明したように、乗客輸送装置は、エスカレータまたは動く歩道として具体化され得る。乗客輸送装置には、工場渡し条件ばかりでなく本発明による支持システムが設けられ得る。また、現存する乗客輸送装置は、本発明による支持システムによって改装され得る。この種の現代化は、
現存する乗客輸送装置の2つの端部が、一緒にお互いに、または相次いで上昇されるステップと、
現存する乗客輸送装置の2つの端部および構築構造物のその支点が、本発明による支持システムの収容に備えるステップと、
支持システムの旋回支点が、乗客輸送装置の第1の端部と構築構造物のその支点との間に配置されるステップと、
支持システムのフローティング支点が、乗客輸送装置の第2の端部と構築構造物のその支点との間に配置されるステップと、
を含むことができる。
【0020】
構築構造物に乗客輸送装置の2つの端部を支持するための支持システムは、実施例に対して、および図面を参照して下記により詳細に詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】概略的な描写による乗客輸送装置の側面図である。
図2】概略的な描写による図1による乗客輸送装置の平面図である。
図3】乗客輸送装置の第1の端部に配置される支持システムの旋回支点を示す、図1のBで示される細部のより大きな描写の図である。
図4】線D−Dに沿った図3に示される旋回支点を通る断面図である。
図5】乗客輸送装置の第2の端部に配置される支持システムのフローティング支点を示す、図1のAで示される細部のより大きな断面描写の図である。
図6】その中立の、または位置合わせされた動作位置における図5に示されるフローティング支点の正面図である。
図7図6においてCで示される細部のより大きな図である。
図8】水平方向の移動の発生に起因するその変位された位置における図6に示されるフローティング支点の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
乗客輸送装置1が、図1に概略的に側面図で示されている。図2は、図1による乗客輸送装置1の概略的な描写を平面図で示している。下記に続いて、2つの図1および図2が、一緒に説明される。
【0023】
乗客輸送装置1は、エスカレータならびに動く歩道であってもよい。これは、第1の階層EAを第2の階層EBと連結する。乗客輸送装置1は、2つの逆転ゾーン7、8を持つトラス5またはフレーム5を有し、その間で、輪郭だけでのみで示されるステップバンド4またはパレットバンド4が、循環案内される。手すり3が、欄干2に配置される。その下方先端において、欄干スカート9によって、欄干2は、トラス5に連結される。
【0024】
乗客輸送装置1またはそのトラス5はそれぞれ、第1の端部10および第2の端部11を有し、これらは、支持システム6によって、構築構造物のそれぞれ第1の階層EAのおよび第2の階層EBの支点13、14に支持される。第1の端部10に配置されるが、支持システム6は、旋回支点20と、第2の端部11に配置されるが、フローティング支点30とを有する。旋回支点20は、その取り付け位置に関して垂直に配置される旋回軸線21を有する。フローティング支点30は、旋回軸線21に垂直に生じる水平方向の移動12を吸収することができる。
【0025】
下記に説明される旋回支点20の最も重要な構成要素が、図3および図4に示されており、図3は、図1のBで示される細部のより大きな図を示している。図4は、線D−Dに沿った図3に示される旋回支点20を通る断面図を示している。
【0026】
支持キャリア22は、トラス5に配置されるが、乗客輸送装置1の中央長手方向軸線Y(図2を参照されたい)に配置されるボアホール23が設けられる。ピン24が、このボアホール23の中に突出しており、乗客輸送装置1のための旋回点または旋回軸線21として役立っており、これは、締付板25によって、構築構造物の支点13と連結される。旋回支点20は、構築構造物の支点13と支持キャリア22との間に配置されるが支持アセンブリ26、27をさらに含み、現在の例示的な実施形態においては、これらは各々が支持プレート26および減衰要素27を備える。減衰要素27は、たとえば、プラスチック挿入物、ゴム接合金属アセンブリ、または他の同様なものであってもよい。少なくとも1つのレベル出し装置28が、支持プレート26と支持キャリア22との間に配置され、このレベル出し装置28は、現在の例示的な実施形態において示されるように、設定ねじ28であってもよい。旋回支点20は、床カバー29によって架け渡され、これは、輪郭だけで示されている。
【0027】
図5は、フローティング支点30の切抜きのより大きな描写を示しており、これは、図1において詳細Aで示されている。図6は、構築構造物の支点14においてその中立のまたは位置合わせされた動作位置Xにおける図5に示されるフローティング支点30の正面図を示している。また、これらの2つの図は、下に一緒に説明される。既に上記でさらに進んで説明したように、フローティング支点30は、乗客輸送装置1の第2の端部11に配置される。フローティング支点30は、乗客輸送装置1の第2の端部11において乗客輸送装置1のトラス5に強固に連結される例外的に堅固に具体化される箱形ビームを有することが、ここにはっきりと見える。フローティング支点30は、支持キャリア32をさらに有し、この支持キャリア32は、構築構造物の支点14に強固に連結され、2つの滑り軸受33のための基礎を形成する。2つの滑り軸受33は各々が、上部摺動要素34および下部摺動要素35を有し、その下部摺動要素35は、摺動プレート35.1および摺動要素35.2を含む。減衰要素35.2は、たとえば、プラスチック挿入物、ゴム接合金属アセンブリ、または他の同様なものであってもよい。中立動作位置Xにおいては、上部摺動要素34は、上部摺動面34.1によって下部摺動面35.3のある下部摺動要素35に載っている。摺動面34.1、35.3は、滑り軸受の所望の滑り摩擦係数をもたらす適切な表面構造を有することができる。
【0028】
乗客輸送装置1の第2の端部11はまた構築構造物の支点14と位置合わせされなければならないので、また、レベル出し装置36は、上部摺動要素34と剛性の箱形ビーム31との間に設けられる。
【0029】
転動体37は、滑り軸受33の両側に支持キャリア32上に浮動的に配置される。示された例示的な実施形態の転動体37は、中空円筒の形で具体化される。図5で解るように、それらの中央長手方向軸線は、乗客輸送装置1の中央長手方向軸線Y(図2を参照されたい)に平行に延在し、したがってまた、エスカレータ1または動く歩道1の長手方向範囲に延在する少なくとも1つの滑り軸受33の側縁部38に平行である。
【0030】
図7は、図6においてCで示される細部のより大きな図を示している。図7で解るように、転動体37の直径は、下部摺動要素35の厚さよりもやや大きい。この高さの差が、Zで示されているが、上部摺動要素34が転動体37上に乗り上がる場合に、下部摺動面35.3から上部摺動面34.1が少なくとも部分的に上昇すること、または離れることを可能にする。安全な乗り上げが保証されるように、高さの差Zは、大きすぎるべきではなく、0.1mmから3.0mmの範囲に、好ましくは0.4mmから2mmの、特に好ましくは0.5mmから1mmの範囲にあってもよい。このことから、また、箱形ビーム31が特に堅固に具体化されなければならない理由が理解できる。箱形ビームが非常に弾性があるとしたら、箱形ビームは転動体37のより高い輪郭に適応することになるので、下部摺動面35.3から上部摺動面34.1が上昇することは起こり得ない。乗り上げを容易にするように、乗り上げ傾斜面39は、転動体37に面し転動体37に平行である上部摺動要素34の各側縁部38に具体化される。乗り上げ傾斜面39は、急峻すぎず、5°と30°との間の傾斜角度αを有するべきである。
【0031】
水平方向の移動が生じるまで転動体37がフローティング支点30内で規定された位置に保たれるように、転動体37は、機械的に剥離可能な接着剤40、温度安定潤滑グリース、取り付けグリース、または粘着性グリースによって支持キャリアに連結され得る。それによって、極めてわずかな振動が発生するともはや転動体37がフローティング支点30の内側で転動しないことが防止される。接着剤40として、たとえば気硬性シリコンゴムが使用され得る。上部摺動要素34が水平方向の移動の発生の結果として転動体37に達するとすぐ、転動体37は、支持キャリア32から分離され、支障なく転動することができる。その転動距離を制限するように、少なくとも1つのリミットストップ41が、各転動体37のための支持キャリア32上に設けられ得る。
【0032】
また、フローティング支点30の機能は、図8から視認できる。これは、水平方向の移動12の発生に起因する変位された位置Xにおけるフローティング支点30を示している。中立動作位置Xから変位された位置X、Xへの下部摺動要素35に対する上部摺動要素34の水平方向の移動12の推移が、下記に説明される。
【0033】
急速な水平方向の移動12が生じる場合は、それによって、滑り軸受33の摺動面34.1、35.3の間の静止摩擦が克服され、相対変位が、上部摺動要素34と下部摺動要素35との間に生じる。この場合、滑り摩擦が、上部摺動要素34が転動体37の上に乗り上がるまで生じる。上部摺動要素34の乗り上げ側が上昇され、それによって、フローティング支点30内で、滑り摩擦は、複合された滑り−および−転がり摩擦(滑り摩擦および転がり摩擦)に変換される。転動体37上の上部摺動要素34の転動距離に応じて、フローティング支点30内で、実質的に純粋な転がり摩擦が優勢となるという結果となり、滑り軸受の2つの摺動面34.1、35.3の完全な分離が生じ得る。地震などの自然発生は、通常、個々の衝撃によって特徴づけられるのではなく、大きく振幅が減少する震動によってであるので、支持キャリア32に対する箱形ビーム31の水平方向の移動12の移動の方向は、転動体37が割り当てられたリミットストップ41に達する前に反対の方向に変化し得る。反対の方向のその後の移動12においては、フローティング支点30において、第1の転がり摩擦ならびに転がり−および−滑りの合成摩擦は、上部摺動要素34が転動体37を離れ、下部摺動要素35の上を摺動するまで、優勢となる。次いで、上記で説明した移動の推移は、他の側に向かって繰り返す。
【0034】
偶発的事象または地震の後に、図2に示される乗客輸送装置1は、必要なら、検査され、解体され、保守されなければならない。これが行われる場合に、また、フローティング支点30は、検査されることができ、必要ならば、乗客輸送装置1の第2の端部11は、変位された位置XまたはXから引き出され、中立動作位置Xの方へ位置合わせされ得る。複合された滑り−および−転がり摩擦あるいは転がり摩擦への滑り摩擦の変換を通して、階層EA、EBが互いに対して移動し得るトラス5の曲げ荷重は、十分低減されるが、その質量慣性の結果として、乗客輸送装置1自体は、わずかに移動するのみである。
【0035】
本発明が特定の例示的な実施形態の描写によって説明されているが、本発明の知識によって、たとえば、支持キャリア32に対して、転動体37の代わりに、ローリング取付けローラ、ボール、ボールレース、または他の同様なものが配置され得るという点で、非常に多くのさらなる異なる実施形態が与えられ得ることは自明である。さらに、乗り上げ傾斜面39はまた、下部摺動要素35、および箱形ビーム31のローリング取付けローラに配置され得る。自明に、筒状の円筒形の転動体37の代わりに、同様に、ボアホールなしの中実円柱転動体が使用され得る。支持キャリア32は、滑り軸受33に対してわずかに傾斜される転動体37用のローリングトラックをさらに有することができ、したがって、偶発的事象の後に、重力を受けて、乗客輸送装置1の第2の端部11は、再び、少なくとも部分的に中立動作位置Xの方へそれ自体整列する。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】