(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539139(P2016-539139A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】水性媒体を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20161118BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20161118BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20161118BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20161118BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20161118BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/44
A61K8/02
A61Q1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-536156(P2016-536156)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2014076191
(87)【国際公開番号】WO2015082443
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】1361975
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セリーヌ・フィリポン
(72)【発明者】
【氏名】ジュラルディーヌ・レルブール
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ・マリヨン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC532
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC852
4C083AC902
4C083AD042
4C083AD201
4C083AD211
4C083AD221
4C083AD222
4C083AD352
4C083CC03
4C083CC23
4C083DD12
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE09
4C083EE10
(57)【要約】
本発明は、生理学的に許容される水性媒体中に、少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない前記組成物に関する。本発明の好ましい実施形態によると、組成物はショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含み、前記組成物はソルビン酸カリウムを含まない。本発明はまた、かかる組成物を含む物品にも関し、並びにかかる組成物及び/又はかかる物品を施用することによりケラチン物質をトリートメントする美容方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される水性媒体中に、少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール、及びベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物。
【請求項2】
単糖は、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-フルクトース、D-キシロース、D-リキソース、L-フコース、L-アラビノース、L-ラムノース、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-イズロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン及びN-アセチル-D-ガラクトサミンから選択され、多糖は、D-グルコース、D-キシロース、N-アセチル-D-グルコサミン又はL-フコース、D-マルトース、D-ラクトース、D-セロビオース及びショ糖から選択され、好ましくはショ糖であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリオールは、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、D-マンニトール及びソルビトールから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
ベタインは、(C8〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C8〜C20)アルキルスルホベタイン、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン、及び(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルスルホベタインから選択され、好ましくはココイルベタインであることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物の総質量に対して、60質量%から95質量%の間の含量で、好ましくは65質量%から90質量%の間の含量で、優先的には70質量%から85質量%の間の含量で存在する水を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記単糖又は多糖、好ましくはショ糖が、組成物の総質量に対して3質量%から20質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して5.5質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオール、好ましくは1,3-プロパンジオールが、組成物の総質量に対して2質量%から35質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して2.5質量%から10質量%の間の含量でし、特に組成物の総質量に対して5質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ベタイン、好ましくはココイルベタインが、組成物の総質量に対して0.01質量%から5質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して0.05質量%から1質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して0.5質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の総質量に対して、0質量%から1質量%の間の含量の1種又は複数の油、及び/又は0質量%から8質量%の間の含量の1種又は複数のさらなる界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
好ましくは局所投与に適した化粧用組成物であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
溶液、水性ゲル又は水性アルコール性ゲルの形態であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
a/ 水不溶性基質、及び
b/ 前記基質a/に添加したか又はそれの上に含浸させた、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物
を含む物品。
【請求項14】
長方形ワイプ又は円形状圧定布の形態であることを特徴とする、請求項14に記載の物品。
【請求項15】
ケラチン物質、好ましくは皮膚をトリートメントするための美容方法であって、前記ケラチン物質の上、好ましくは皮膚の上に、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を施用するか、又は請求項13又は14に記載の物品を当てる美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的に許容される水性媒体中に、少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物に関する。
【0002】
本発明はまた、かかる組成物を含む物品にも関し、及びかかる組成物を施用することによりケラチン物質をトリートメントする美容方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
このような組成物には水が存在するので、微生物の成長及び増殖に対して組成物を防護することが必要である。なぜなら、微生物のかかる成長により、組成物及び/又は組成物を含有する物品が急速に使用に適さない状態になることがあるからである。このような成長を防止するため、組成物の内部で成長することができる微生物に対して、またユーザーが取扱中に組成物中に導入するおそれのある微生物に対して、組成物を防護することが特に必要である。
【0004】
水性媒体及び微生物に対して組成物を防護するための種々の化合物、例えばソルビン酸カリウムなどの有機酸を含む組成物が公知である。
【0005】
しかし、本出願人は、ソルビン酸カリウムを含むかかる組成物は、最適安定特性を有さないことを実証した。具体的には、ソルビン酸カリウム0.2%を含有するクレンジングゲルの形態にある組成物は、40℃を超える温度で数週間費やした後、組成物に黄変が出現することで証明される、安定性の好ましくない変化を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO-A-99/13861
【特許文献2】WO-A-99/25318
【特許文献3】WO-A-98/18441
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Riedel、「Nonwoven Bonding Methods & Materials」、Nonwoven World (1987)
【非特許文献2】International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、良好な安定性、特に良好な微生物学的安定性を有する、水を含む組成物であって、美的外観(例えば色)を伴って極めて優れた忍容性を示し、消費者にとって依然として快適であり、したがって従来技術の欠点を有さない組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタインを組み合わせることにより、より特定すると、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを組み合わせることにより、かかる組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物を得ることができることを発見した。
【0010】
本発明者らは、水性媒体中に、少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタインを含む、より特定すると、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを組み合わせることによる組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物は、特に40℃を超える温度で数週間貯蔵した後に、美的外観を伴って、良好な安定性、特に良好な微生物学的安定性を有し、この組成物の色は消費者にとって依然として快適であり、並びに同時に極めて優れた忍容性を示すことを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
したがって、本発明の一主題は、生理学的に許容される水性媒体中に、少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物である。
【0012】
本発明のある主題は、より特定すると、生理学的に許容される水性媒体中に、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物である。
【0013】
本発明では、含量は、特に表示のない限り、組成物の総質量に対する出発材料の質量百分率で表されている。
【0014】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0質量%から0.05質量%まで、特に0質量%から0.01質量%まで、より特定すると0質量%から0.001質量%までのソルビン酸カリウムを含む。本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.05質量%未満、特に0.01質量%未満、より特定すると0.001質量%未満のソルビン酸カリウムを含む。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、組成物はソルビン酸カリウムを含まない(0含量又は0質量%に等しい含量)。
【0016】
本発明による単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖は、L系列及び/又はD系列のピラノース形態及び/又はフラノース形態であって、前記単糖又は多糖は、強制的に遊離している少なくとも1つのヒドロキシ官能基及び/又は任意に強制的に保護されている1つ又は複数のアミン官能基を有する。
【0017】
好ましい単糖は、D-グルコース、D-フルクトース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-キシロース、D-リキソース、L-フコース、L-アラビノース、L-ラムノース、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-イズロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン及びN-アセチル-D-ガラクトサミンから選択され、有利にはD-グルコース、D-キシロース、N-アセチル-D-グルコサミン又はL-フコースを示す。
【0018】
6個までの糖単位を含有する好ましい多糖は、ショ糖、D-マルトース、D-ラクトース、D-セロビオース、D-マルトトリオース、D-イズロン酸及びD-グルクロン酸から選択されるウロン酸とD-ガラクトサミン、D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン及びN-アセチル-D-グルコサミンから選択されるヘキソサミンとの組み合わせである二糖、有利にはキシロビオース、メチル-β-キシロビオシド、キシロトリオース、キシロテトロース、キシロペントース及びキシロヘキソースから選択される少なくとも1つのキシロースを、優先的にはキシロビオース(1-4結合を介して連結している2つのキシロース分子で構成されている)を含有するオリゴ糖から選択される。
【0019】
有利には、組成物はショ糖(サッカロースとしても公知)である多糖を含む。例えば、ショ糖は、Gebana社によりCT Organic Sugar Golden Light(登録商標)という名称又はTereos社によりSucre Cristal Numero 1 Pure Canne 1500(登録商標)という名称で販売されている。
【0020】
単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、好ましくはショ糖は、組成物の総質量に対して3質量%から20質量%の間の含量で、好ましくは組成物の総質量に対して4質量%から15質量%の間の含量で、特に組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%の間の含量で組成物中に存在することができ、特に組成物の総質量に対して5.5質量%の含量で存在する。
【0021】
本発明によれば、用語「ポリオール」とは、少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2から50個までの炭素原子、好ましくは4から20個までの炭素原子を含む、好ましくは2から10個までの炭素原子を含有する、優先的には2から6個までの炭素原子を含有し、且つ少なくとも2つのヒドロキシル基を有する、炭化水素をベースとする鎖を意味する。本発明で使用するポリオールは、1000以下の及び好ましくは90から500の間の平均分子質量を有してもよい。
【0022】
より特定すると、本発明によるポリオールは、単独での或いはモノ、ジ若しくはトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル又はモノ、ジ若しくはトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテルなどの他のポリオールグリコールエーテル(特に3から16個までの炭素原子を含有する)との混合物としての、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、D-マンニトール(又は、1,2,3,4,5,6-ヘキサンヘキソール)及びソルビトール(又はD-グルシトール)から選択することができる。
【0023】
有利には、ポリオールは1,3-プロパンジオールである。例えば、1,3-プロパンジオールは、Dupont Tate and Lyle Bio Products社によりZemea Propanediol(登録商標)という名称で販売されている。
【0024】
ポリオール、好ましくは1,3-プロパンジオールは、組成物の総質量に対して2質量%から35質量%の間の含量で、特に組成物の総質量に対して5質量%から30質量%の間の含量で、特に組成物の総質量に対して1質量%から20質量%の間の含量で、より特定すると、組成物の総質量に対して2質量%から15質量%の間の含量で、特に組成物の総質量に対して2.5質量%から10質量%の間の含量で組成物中に存在することができ、優先的には組成物の総質量に対して5質量%の含量で存在する。
【0025】
本発明によるベタインは、(C8〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C8〜C20)アルキルスルホベタイン、(C8〜C20)アミドアルキル(C1〜C6)アルキルベタイン及び(C8〜C20)アミドアルキル(C1〜C6)アルキルスルホベタインから選択され、好ましくはココイルベタイン単独又は他のベタインとの混合物である。
【0026】
特に挙げることができるベタインには、アルキルベタイン、例えばCognis社によりDehyton AB-30(登録商標)の名称で販売されている製品などのココイルベタイン、Shin Nihon Rica社によりLauryl Ether (10 OE) Betaine(登録商標)の名称で販売されている製品などのラウリルベタイン、オキシエチル化(10 OE)ラウリルベタイン、又はShin Nihon Rica社によりStearyl Ether (10 OE) Betaine(登録商標)の名称で販売されている製品などのオキシエチレン化(10 OE)ステアリルベタインが含まれる。
【0027】
N-アルキルアミドベタイン及びそれらの誘導体のうちで、挙げることができる例には、Sanyo社によりLebon 2000 HG(登録商標)の名称で販売されている若しくはAlbright & Wilson社によりEmpigen BB(登録商標)の名称で販売されているコカミドプロピルベタイン、又はWitco社によりRewoteric AMB12P(登録商標)の名称で販売されているラウララミドプロピルベタインが含まれる。
【0028】
スルタインとしては、例えばGoldschmidt-Degussa社によりRewoteric AM CASの名称で販売されている製品又はCroda社によりCrosultaine C-50(登録商標)の名称で販売されている製品など、コカミドプロピルヒドロキシスルタインなどの、ヒドロキシスルタインが挙げられる。
【0029】
ベタインは、セチルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン及びココイルベタインから選択することができる。
【0030】
好ましくは、ベタインは、ココイルベタイン、又はラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(CAS No.: 68424-94-2)である。例えば、ココイルベタインは、Cognis (BASF)社によりDehyton AB 30(登録商標)の名称で、Clariant社によりGenagen KB(登録商標)の名称で、Huntsman社によりEmpigen BB/FL(登録商標)の名称で、Rhodia社によりMirataine BB/FLA(登録商標)の名称で、Galaxy Surfactants社によりGalaxy Coco Betaine(登録商標)の名称で、及びEvonik Goldschmidt社によりTego Betaine AB1214(登録商標)の名称で販売されているが、これらではココイルベタインは水及び塩化ナトリウム中に活性物質含量30%で存在する。
【0031】
本発明によるベタイン、好ましくはココイルベタインは、組成物の総質量に対して0.01質量%から5質量%の間の含量で、特に組成物の総質量に対して0.05質量%から1質量%の間の含量で、特に組成物の総質量に対して0.5質量%の含量で組成物中に存在することができる。
【0032】
有利には、上で規定の本発明による組成物は、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含む。
【0033】
本発明によるベタイン、好ましくはココイルベタインは、組成物の総質量に対して0.003質量%から1.5質量%の間の活性物質の含量で、特に組成物の総質量に対して0.015質量%から0.33質量%の間の活性物質の含量で、特に組成物の総質量に対して0.15質量%の活性物質の含量で組成物中に存在することができる。
【0034】
有利には、上で規定の本発明による組成物は、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含むが、ソルビン酸カリウムは含まない。
【0035】
好ましくは、本発明による組成物は、ソルビン酸カリウムを含まず、水性媒体中に、組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%までの範囲の含量のショ糖、組成物の総質量に対して、2.5質量%から10質量%までの範囲の含量の1,3-プロパンジオール、及び組成物の総質量に対して0.05質量%から1質量%までの範囲の含量のココイルベタインを含む。
【0036】
好ましくは、本発明による組成物は、ソルビン酸カリウムを含まず、水性媒体中に、組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%までの範囲の含量のショ糖、組成物の総質量に対して、2.5質量%から10質量%までの範囲の含量の1,3-プロパンジオール、及び0.015質量%から0.3質量%までの範囲の含量の活性物質のココイルベタインを含む。
【0037】
より特定すると、本発明による組成物は、ソルビン酸カリウムを含まず、水性媒体中に、組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%までの範囲の含量のショ糖、組成物の総質量に対して2.5質量%から10質量%までの範囲の含量の1,3-プロパンジオール、及び0.5質量%の含量のココイルベタインを含む。
【0038】
より特定すると、本発明による組成物は、ソルビン酸カリウムを含まず、水性媒体中に、組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%までの範囲の含量のショ糖、組成物の総質量に対して2.5質量%から10質量%までの範囲の含量の1,3-プロパンジオールを、及び0.15質量%の含量の活性物質のココイルベタインを含む。
【0039】
本発明による組成物は、水性媒体を含む。
【0040】
組成物は、組成物の総質量に対して、60質量%から95質量%の間の含量で、好ましくは65質量%から90質量%の間の含量で、優先的には70質量%から85質量%の間の含量で存在する水を含むことができる。
【0041】
本発明による組成物は、好ましくは3から9までの、優先的には4から8までの、及び優先的には4から6.5までの範囲のpHを一般に有する。
【0042】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0質量%から1質量%までの油、及び/又は0質量%から8質量%の間の含量、好ましくは0質量%から5質量%の間の含量、特に0.05質量%から3質量%までの含量の1種又は複数のさらなる界面活性剤を含むことができる。
【0043】
本発明の好ましい実施形態によると、組成物は油を含まず(0含量)及び/又はさらなる界面活性剤を含まない。用語「さらなる界面活性剤」とは、上で規定の本発明による単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタイン以外の界面活性剤を意味する。
【0044】
メイクアップ及び汚れの除去を促進し、組成物を起泡性とすることができる非イオン性、アニオン性、両性又は双性イオン性界面活性剤を本発明の組成物に添加することもできる。これらは特に起泡性界面活性剤であることができる。挙げることできるこのような種類の界面活性剤の例には、以下が含まれる:
(1)非イオン性界面活性剤については、オキシエチレン化オキシプロピレン化ブロックポリマー、例えばPoloxamer 184(CTFA社の名称);アルキルポリグリコシド、特に6から30個までの炭素原子(C6〜C30アルキルポリグルコシド)、好ましく8から16個までの炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルポリグルコシド(APG)、例えばデシルグルコシド[アルキル-C9/C11-ポリグルコシド(1.4)]、例えばKao Chemicals社によりMydol 10の名称で販売されている製品、Henkel社によりPlantaren 2000 UP又はPlantacare 2000 UPの名称で販売されている製品、及びSEPPIC社によりOramix NS 10の名称で販売されている製品;カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSEPPIC社によりOramix CG 110の名称で販売されている製品;ラウリルグルコシド、例えばHenkel社によりPlantaren 1200 N及びPlantacare 1200の名称で販売されている製品;並びに、ココイルグルコシド、例えばHenkel社によりPlantacare 818/UPの名称で販売されている製品;
(2)アニオン性界面活性剤については、アルキル硫酸エステル、アルキルエーテル硫酸エステル及びそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、例えばHenkel社によりTexapon ASVの名称で販売されている、ラウレス硫酸ナトリウム/ラウレス硫酸マグネシウム/ラウレス-8硫酸ナトリウム/ラウレス-8硫酸マグネシウムの混合物;Henkel社によりSipon AOS 225又はTexapon N702 Pateの名称で販売されているラウリルエーテル硫酸ナトリウム(70/30 C12〜14) (2.2 OE)、Henkel社によりSipon LEA 370の名称で販売されているラウリルエーテル硫酸アンモニウム(70/30 C12〜14) (3 OE);Rhodia Chimie社によりRhodapex AB/20の名称で販売されている (C12〜C14)アルキルエーテル(9 OE)硫酸アンモニウム;
(3)両性又は双性イオン性界面活性剤については、アルキルアミドアルキルアミン誘導体、例えばRhodia Chimie社によりMiranol C2M Conc NPの名称で水性塩溶液として販売されているN-二ナトリウムN-ココイル-N-カルボキシメトキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン(CTFA社の名称:ココアンホジ酢酸二ナトリウム);N-ナトリウムN-ココイル-N-ヒドロキシエチル-N-カルボキシメチルエチレンジアミン(CTFA社の名称:ココアンホ酢酸ナトリウム)及びココナッツ酸エタノールアミド(CTFA社の名称:コカミドDEA)の混合物。
【0045】
組成物はこれらの界面活性剤の混合物を含んでいてもよい。
【0046】
油は、特に揮発性シリコーン油及び揮発性非シリコーン油から選択される揮発性油であってもよい。
【0047】
用語「揮発性油」とは、1時間未満で皮膚又は唇から蒸発することができ、且つ室温及び大気圧にて10
-3mmHgから300mmHg(0.13Pa〜40 000 Pa)までの範囲の蒸気圧を特に有することができる任意の非水性媒体を意味する。
【0048】
本発明において使用することのできる揮発性油として、揮発性非シリコーン油、特にC
8〜C
16イソパラフィン、例えば、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン並びに例えば、Isopar及びPermethylの商標名で販売されている油、特にイソドデカン(Permethyl 99 A)を使用することができる。
【0049】
本発明において使用することのできる揮発性シリコーン油として、2から7個までのシリコーン原子を含有する直鎖状又は環状シリコーンが挙げられるが、これらのシリコーンは、1から10個までの炭素原子を含有するアルキル基又はアルコキシ基を任意に含む。特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン及びデカメチルテトラシロキサン、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0051】
用語「不揮発性油」とは、室温(25℃)及び大気圧で少なくとも1時間皮膚上に留まることができ、且つ室温(25℃)及び大気圧で、0.01mmHg(1.33Pa)未満の非ゼロ蒸気圧を特に有する油を意味する。
【0052】
本発明において使用することのできる不揮発性油として、以下を挙げることができる:
【0053】
- 不揮発性非シリコーン及び特に炭化水素ベースの油、例えば流動パラフィン(若しくは石油ゼリー)、スクワラン、水素添加ポリイソブチレン(Parleam油)、ペルヒドロスクワレン、ミンク油、タートル油、大豆油、スイートアーモンド油、ビューティーリーフ油、パーム油、ブドウ種油、ゴマ油、トウモロキシ油、アララ油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油、又は穀物胚芽油;ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸又はステアリン酸のエステル;長鎖の酸又は長鎖のアルコール(つまり6から20個の炭素原子を含有する)から誘導されたエステル、特にRが7から19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R'が3から20個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を表す式RCOOR'のエステル、特にC12〜C36のエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸又は乳酸2-オクチルドデシル、コハク酸ビス(2-エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、及びトリイソスアテリン酸グリセリル又はジグリセリル;高級脂肪酸、特に、C14〜C22のもの、例えば、ミリスチン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はイソステアリン酸;高級脂肪アルコール、特に、C16〜C22のもの、例えば、セタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、又はリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール又はオクチルドデカノール;並びにこれらの混合物。
【0054】
- 不揮発性シリコーン油、例えば不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);シリコーン鎖のペンダント又は末端にアルキル基、アルコキシ基若しくはフェニル基を含み、これらの基は2から24個の炭素原子を含有している、ポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン及びジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン;脂肪酸(特にC8〜C20)、脂肪アルコール(特にC8〜C20)又はポリオキシアルキレン(特にポリオキシエチレン及び/若しくはポリオキシプロピレン)で修飾したポリシロキサン;アミノシリコーン;ヒドロキシル基含有シリコーン;シリコーン鎖のペンダント又は末端にフルオロ基を含み、1から12個の炭素原子を含有するフルオロシリコーンであって、これらの水素の一部又は全部がフッ素原子で置き換えられているフルオロシリコーン;並びにそれらの混合物。
【0055】
本発明による組成物は捕捉剤を含むこともできる。かかる捕捉剤は、フィチン酸ナトリウム、EDTA、アスコルビン酸、酒石酸、ガラクタル酸、グルコノラクトン及びヘキサメタリン酸ナトリウムから選択することができる。捕捉剤は、組成物の総質量に対して0.01質量%から0.5質量%までの範囲、好ましくは組成物の総質量に対して0.1質量%から0.2質量%までの範囲の含量であることが特にできる。
【0056】
組成物は、組成物の総質量に対して、3質量%以下の含量で、特に0.1質量%から3質量%までの範囲の含量で、フィラーを含むことができる。本発明の一実施形態によると、組成物はフィラーを含まない(ゼロ含量)。
【0057】
用語「フィラー」とは、層状構造の、球状の若しくは長方形のミネラルフィラー又は有機フィラーから選択される無色又は有色の任意の粒子を意味し、この粒子は組成物中で化学的に不活性である。
【0058】
タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ラポナイト、Nylon(登録商標)などのポリアミド粉末、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーマイクロスフィア、例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリルポリマー粒子、特にアクリル酸コポリマーのもの、例えばPolytrap(登録商標)(Dow Corning社)、ポリウレタン粉末、シリコーン樹脂のマイクロビーズ[例えば、Toshiba社のTospeals(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカマイクロスフィア[Maprecos社のSilica Beads(登録商標)]、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、並びに、8から22個の炭素原子、好ましくは12から18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えば、亜鉛、マグネシウム若しくはリチウムのステアリン酸塩、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0059】
本発明による組成物は、親水性又は親油性ゲル化剤を、特に組成物の総質量に対して優先的には0.01質量%から0.5質量%までの質量含量で含むことができる。
【0060】
本発明において使用することのできる親水性ゲル化剤として、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、アクリルコポリマー、例えばアクリレート/アルキルアクリレートコポリマー、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖、天然ガム及びクレイを挙げることができ、親油性ゲル化剤として、改変されたクレイ、例えばベントン、脂肪酸の金属塩、例えばアルミニウムステアレート、及び疎水性シリカ、エチルセルロース及びポリエチレンを挙げることができる。
【0061】
有利には、組成物は化粧用又は皮膚科学的活性剤、好ましくは親水性美容活性剤を含む。親水性活性剤は、化粧用又は皮膚科学的活性を有する任意の水溶性分子であることができ、これは室温(25℃)おける水に対する溶解度が少なくとも0.25質量%である。
【0062】
親水性活性剤は、保湿剤、鎮静剤、抗老化剤、マット剤、筋弛緩剤、充血除去剤、シミ除去剤、脱色剤及び美白剤から特に選択することができる。
【0063】
親水性活性剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%から10質量%までの範囲、好ましくは0.01質量%から5質量%までの範囲、優先的には0.05質量%から1質量%までの範囲の含量で、本発明による組成物中に存在することができる。
【0064】
本発明よる組成物はまた、化粧品又は皮膚科学に一般的であるアジュバント、例えば、酸化防止剤、香料、染料、UV遮蔽剤、消臭剤、ダイスタッフ、コンディショニング剤、プロペラント及び乳白剤を含むこともできる。このような種々のアジュバントの量は、この分野において従来使用されてきたものを考慮し、例えば組成物の総質量の0.01%から20%まである。
【0065】
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物と本質的に関連している有利な特性が想定される追加によって有害な影響を受けないように、又は実質的に受けないように、本発明による組成物への任意の追加の化合物及びそれらの濃度を注意深く選択するであろう。
【0066】
好ましくは、本発明の組成物は、溶液の形態、ローションの形態、水性若しくは水性アルコール性ゲルの形態、水性ベースの2相配合の形態又は噴射可能エアゾール組成物の形態である。
【0067】
組成物は、特にケラチン物質のケア製品、例えば皮膚、皮膚又は頭皮のケアベース、顔又は頭皮ローション、ケアゲル(デイ、ナイト又は抗シワケア)、メイクアップ若しくはメイクアップ除去又はトリートメントベース、リップケア組成物(リップクリーム);抗日焼け組成物又はセルフタニング組成物;クレンジングボディ衛生用組成物、例えばシャワーゲル、シャンプー又はデオドラント;アフターシェービングゲル又はローション、乳液又は好ましくはワイプ用液体であることができる。
【0068】
本発明の組成物は化粧用又は皮膚科学的組成物であることができる。優先的に、本発明によれば、組成物は化粧用組成物であり、さらにより優先的には局所施用用の化粧用組成物である。
【0069】
用語「化粧用組成物」とは、人体の種々の表層部、特に表皮、体毛及び毛髪系、爪、唇及び口粘膜を、排他的に又は主として、これらをクレンジングするために、これらをより魅惑的なものにするために、これらをかぐわしくするために、これらの外観を改善するために、これらを保護するために、これらを良好な状態に保つために、又は体臭を修正するために、接触させることを意図した物質又は調製物を意味することを意図する。
【0070】
本発明の目的上、用語「生理学的に許容される媒体」とは、組成物を局所に施用するのに適切であり、ヒトケラチン物質、例えば皮膚、唇、爪、粘膜、まつげ、眉毛、頭皮及び/若しくは毛髪、又は体の皮膚の任意の他の領域と適合性がある媒体を意味することを意図する。
【0071】
本発明によれば、生理学的に許容される媒体は、優先的に美容上許容される媒体であり、すなわち、不快な臭気又は外観を示さず、且つ局所施用経路と全体的に適合する媒体である。
【0072】
より特定すると、本発明による組成物は、局所的に投与することを、すなわち問題のケラチン物質の表面に、例えば問題の皮膚に施用することにより投与することを意図する。
【0073】
本発明による用語「ケラチン物質」とは、体、顔及び/若しくは目の周囲領域、唇、爪、粘膜、まつげ、眉毛、体毛、頭皮及び/若しくは毛髪、又は体の皮膚の任意の他の領域を意味することを意図する。より特定すると、本発明によるケラチン物質は、頭皮、毛及び/又は皮膚である。
【0074】
好ましくは、本発明によるケラチン物質は、頭皮及び/又は毛髪である。
【0075】
好ましくは、本発明によるケラチン物質は、皮膚である。
【0076】
用語「皮膚」とは、体の皮膚全て、特定の実施形態では、顔、襟足、首、腕及び前腕の皮膚、さらにより好ましくはまた顔の皮膚、特に額、鼻、頬、顎及び目の周囲領域の皮膚を意味することを意図する。
【0077】
本発明の別の主題は、
a/ 水不溶性基質、及び
b/ 前記基質a/に添加したか又はそれの上に含浸させた、上に規定の本発明による組成物
を含む製品である。
【0078】
好ましくは、本発明は、
a/ 水不溶性基質、及び
b/ 前記基質a/に添加したか又はそれの上に含浸させた、生理学的に許容される水性媒体中に、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない前記組成物、
を含む物品に関する。
【0079】
本物品は、皮膚などのケラチン物質をケアし、ケラチン物質からメイクアップをクレンジングし及び/又は除去するのに適した物品、特に顔の皮膚及び/又は体の皮膚からメイクアップをクレンジングし又は除去する物品、並びに/又は目からメイクアップをクレンジングし又は除去する物品を、特に構成することができる。
【0080】
本物品は、特にパッチ、ワイプ、パッド、マスク、又は任意の種類の織布若しくは不織布支持物であってもよい。
【0081】
本発明による組成物は、上に規定の織布若しくは不織布製品に、含浸させるか又はそれに添加してもよい。
【0082】
水不溶性基質(a/)は、シート、ボール若しくはフィルムとして織布材、不織布材、発泡体、スポンジ又はワッディングからなる群から選択することができる。水不溶性基質(a/)は、天然起源の繊維(リンネル、羊毛、綿若しくは絹)又は合成起源の繊維(セルロース誘導体、ビスコース、ポリビニル誘導体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン若しくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ナイロンなどのポリアミド、若しくはアクリル誘導体)に基づいた、特に不織布基質である。不織布については、RiedelのNonwoven Bonding Methods & Materials, Nonwoven World (1987)に一般に記載されている。このような基質は、不織布を調製する、当業界の通常の方法に従って得られる。
【0083】
本発明の特定の実施形態によると、不溶性基質は、単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、ポリオール及びベタインから選択される、本発明による化合物の少なくとも1つを含有することができ、任意に、殺生剤を繊維上にグラフトするための公知の手段により支持物に付着させることもできる。
【0084】
このような基質は、同一の若しくは異なる特性を備え且つ弾力特性及び柔軟特性並びに所望の使用に適切な他の特性を有する1つ又は複数の層を含むことができる。基質は、例えば、文献WO-A-99/13861に記載の様々な弾力特性を有する2つの部分を含むことができるか、又は文献WO-A-99/25318に記載の様々な密度を備える単一層のみを含むことができるか、又は文献WO-A-98/18441に記載の様々なテクスチャーを備える2つの層を含むことができる。
【0085】
基質は、所望の目的に適切な任意のサイズ及び任意の形状を有することができる。それは0.005m
2から0.1m
2の間、好ましくは0.01m
2から0.05m
2の間の表面積を一般に有する。それは好ましくは長方形のワイプ形態又は円形圧定布の形態である。
【0086】
基質及び含浸組成物を含む最終物品は、一般に、組成物による含浸の程度で、基質の質量に対して、例えば200質量%から1000質量%まで、好ましくは250質量%から350質量%までの範囲の組成物で湿っている。基質を組成物で含浸させる手法は、当分野で周知であり、且つ本発明に全く適用可能である。一般に、含浸組成物は、浸漬、被覆、気化等を含む1つ又は複数の手法により基質に添加される。
【0087】
組成物を基質上へ含浸させた後に水分を組成物から除去するか、又は熱経路若しくは超音波経路により多層を溶結する及びボンディングするなどの公知の任意の調製手段によって、粉末、顆粒又はフィルムとして乾燥形態で組成物を基質に含浸させるかいずれかにより、乾燥形態で提供する物品(特にワイプ)を製造することも可能である。後者の実施形態では、組成物は公知の任意の手段:噴霧法、凍結乾燥法又は別の類似の方法により乾燥される。
【0088】
モイストワイプ又は乾燥ワイプは、所期の用途に従ってかくのように得ることができる。モイストワイプは入手したままで使用することができ、一方、乾燥ワイプは使用前に湿潤させる。
【0089】
本発明の主題はまた、上の組成物を美容的に使用することでもあり、ケラチン物質をケアするため、ケラチン物質からメイクアップをクレンジングする及び/又は除去するために、前記組成物を前記ケラチン物質に、例えば皮膚及び/又は毛に施用することを特徴とする。
【0090】
本発明の主題はまた、上に規定の物品を美容的に使用することでもあり、上に規定の本発明による組成物が含浸されるか又は添加されている、前記物品をケラチン物質上に当てることを特徴とする。
【0091】
本発明の主題はまた、ケラチン物質をトリートメントするための美容方法であって、上に規定の組成物を施用する美容方法か、又は、上に規定の物品を前記ケラチン物質の上に当てる美容方法である。
【0092】
美容トリートメント方法は、より具体的には、ケラチン物質をケアするための、ケラチン物質からメイクアップをクレンジングする及び/又は除去するための美容トリートメント方法である。
【0093】
好ましくは、本発明によるケラチン物質は皮膚である。
【0094】
以下の本文全体を通して、百分率は、特に記載のない限り、質量基準で与えられる。
【0095】
次に続く実施例は本発明を説明するものであり、非限定的な説明として単に与えられているものである。
【0096】
用語「〜と〜の間」及び「〜から〜までの範囲」とは、特に明記のない限り、両端が含まれると、理解すべきである。
【0097】
次に続く実施例及び図は、本発明の非限定的説明として示されているものである。場合に応じて、化合物は、化学名として又はCTFA名として引用されている(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)。
【0098】
これらの実施例では、組成成分の量は組成物の総質量に対して質量百分率で与えられている。
【実施例1】
【0099】
局所施用により、皮膚をケアするための/又は皮膚からメイクアップをクレンジングするための/若しくはこれを除去するためのローション形態での本発明による組成物
百分率は、組成物の総質量に対する質量百分率で表されている。
【0100】
ローション形態で調製されるこれら組成物を得る方法は、様々な工程:
A) 1,3-プロパンジオールを完全に拡散するために1,3-プロパンジオールにキサンタンガムを混合する工程。
この調製物を、ゲル化のために解膠機中の水の一部分に添加する工程。
B) 出発材料が溶解するまで、マグネティックスターラーで、残りの水、ショ糖、フィチン酸ナトリウム及びグリセロールを混合する工程。
C) A相及びB相を、マグネティックスターラーで混合する工程。
D) ココイルベタインを添加する工程。
E) 水に溶解したクエン酸の調製物でpHを調整する工程
を含む。
【0101】
【表1】
【実施例2】
【0102】
本発明による組成物の安定性評価、及び微生物学的防護に関する安定性の測定
以下の試験により、微生物に関する本発明による組み合わせの活性が実証されている。
【0103】
チャレンジ試験の方法は、採取試料に由来する微生物株(細菌、酵母及びカビ)によるサンプルの人工的な汚染と播種の7日後の再生可能微生物数の評価とからなる。
【0104】
試験(チャレンジ試験)は化粧用配合で実施する。
【0105】
ソルビン酸カリウムを含まず、様々な含量でココイルベタイン(組成物の総質量に対して0.5質量%又は1質量%)、様々な含量でショ糖(5質量%、5.5質量%又は10質量%)及び様々な含量で1,3-プロパンジオール(2.6質量%、5質量%又は10質量%)をそれぞれ含有している、本発明による化粧用配合物の抗微生物活性について、化粧料1g当たり約10
6cfu(コロニー形成単位)で播種後、同一配合物のみ(対照)と比較した。
【0106】
微生物の5つの純粋培養物を使用する。
【0107】
【表2】
【0108】
グラム陰性菌株[大腸菌(Escherichia coli)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)]、グラム陽性菌株[エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)]、酵母株[カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)]及びカビ株[アスぺルギルス・ニガー(Aspergillus niger)]を、それぞれ細菌及び酵母については播種の前日、及びカビについては播種の5日前に継代培地に播種する。
【0109】
播種の当日:
- 細菌及び酵母については、透過光544nmにて35%と45%の間の光学的密度を有する懸濁液を分光光学的に得るように、トリプトン塩希釈液中の懸濁液をそれぞれ調製し;
- カビについては、寒天を6〜7mlの採集溶液で洗浄することにより胞子を採取し、懸濁液を滅菌チューブ又はフラスコに回収する。
【0110】
微生物懸濁液をホモジナイズした後、0.2mlの接種菌液[使用懸濁液はピュアである:1ml当たり1x10
8から3x10
8の間のコロニー形成ユニット(cfu)]を各ピルボトルに入れて、微生物懸濁液をスパーテルを使用して20gの生成物(本発明による3つの化合物を示された濃度にて含有する水性溶液)中に完全にホモジナイズする。
【0111】
生成物中に存在する微生物含量は、均質化の後、生成物1g当たり10
6の微生物の濃度に相当し、すなわち、播種については1ml当たり10
8の微生物を含有する接種菌液となる1%に相当する。
【0112】
暗所22℃±2℃にて微生物と生成物とを接触させて7日の時間の後、10倍希釈を行い、生成物中に残存する再生可能微生物の数をカウントする。
【0113】
7日後、14日後及び28日後の微生物数の対数減少を次いで算出する。
【0114】
百分率は、配合物の総質量に対する質量百分率で表されている。
【0115】
【表3】
【0116】
前表に示されている研究結果は、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含み且つソルビン酸カリウムを含まない本発明による組成物は、シンプルベース(配合物A)で、美的色彩を含め美的外観を伴って良好な微生物防護を示し、及び40℃で数週間安定であり、並びに同一シンプルベース中にソルビン酸カリウムとこれら3つの成分の組み合わせを含む配合物(配合物B)と違い、40℃で数週間後黄変という欠点を有さないということを、驚くべきことに示している。
【0117】
【表4】
【0118】
この第2の研究は、その結果が前表に示してあり、水性媒体中に、ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含み、且つソルビン酸カリウムを含まない本発明による組成物(組成物1、2及び3)は、経時的に良好な微生物学的安定性を示し、美的色彩を含め美的外観を有し、且つ40℃で数週間安定であることを実証している。ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインの組み合わせは、この組み合わせの抗細菌活性及び抗カビ活性により、非常に広い抗微生物スペクトルを有する。
【手続補正書】
【提出日】2016年8月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される水性媒体中に、組成物の総質量に対して3質量%から20質量%の含量の少なくとも1つの単糖又は6個までの糖単位を含有する多糖、1,3-プロパンジオール、及び、組成物の総質量に対して0.015質量%から1.5質量%の含量のベタインを含む組成物であって、ソルビン酸カリウムを含まない組成物。
【請求項2】
単糖は、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース、D-フルクトース、D-キシロース、D-リキソース、L-フコース、L-アラビノース、L-ラムノース、D-グルクロン酸、D-ガラクツロン酸、D-イズロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン及びN-アセチル-D-ガラクトサミンから選択され、多糖は、D-グルコース、D-キシロース、N-アセチル-D-グルコサミン又はL-フコース、D-マルトース、D-ラクトース、D-セロビオース及びショ糖から選択され、好ましくはショ糖であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ベタインは、(C8〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C8〜C20)アルキルスルホベタイン、(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルベタイン、例えばコカミドプロピルベタイン、及び(C8〜C20)アルキルアミド(C1〜C6)アルキルスルホベタインから選択され、好ましくはココイルベタインであることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ショ糖、1,3-プロパンジオール及びココイルベタインを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物の総質量に対して、60質量%から95質量%の間の含量で、好ましくは65質量%から90質量%の間の含量で、優先的には70質量%から85質量%の間の含量で存在する水を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記単糖又は多糖、好ましくはショ糖が、組成物の総質量に対して5質量%から10.5質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して5.5質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記1,3-プロパンジオールが、組成物の総質量に対して2質量%から35質量%の間の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して2.5質量%から10質量%の間の含量でし、特に組成物の総質量に対して5質量%の含量で存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ベタイン、好ましくはココイルベタインが、組成物の総質量に対して0.015質量%から0.33質量%の間の活性物質の含量で存在し、特に組成物の総質量に対して0.15質量%の活性物質の含量で存在することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の総質量に対して、0質量%から1質量%の間の含量の1種又は複数の油、及び/又は0質量%から8質量%の間の含量の1種又は複数のさらなる界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
好ましくは局所投与に適した化粧用組成物であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
溶液、水性ゲル又は水性アルコール性ゲルの形態であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
a/ 水不溶性基質、及び
b/ 前記基質a/に添加したか又はそれの上に含浸させた、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物
を含む物品。
【請求項13】
長方形ワイプ又は円形状圧定布の形態であることを特徴とする、請求項12に記載の物品。
【請求項14】
ケラチン物質、好ましくは皮膚をトリートメントするための美容方法であって、前記ケラチン物質の上、好ましくは皮膚の上に、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物を施用するか、又は請求項12又は13に記載の物品を当てる美容方法。
【国際調査報告】