特表2016-539162(P2016-539162A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-539162ベースコーティングとしての光架橋性ワニス組成物及び塗布方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539162(P2016-539162A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(54)【発明の名称】ベースコーティングとしての光架橋性ワニス組成物及び塗布方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20161118BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20161118BHJP
   A61Q 3/02 20060101ALI20161118BHJP
   A61K 8/90 20060101ALI20161118BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/81
   A61Q3/02
   A61K8/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】48
(21)【出願番号】特願2016-536641(P2016-536641)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2014075919
(87)【国際公開番号】WO2015082335
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】1362082
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・ケルゴシアン
(72)【発明者】
【氏名】カール・リアシ
(72)【発明者】
【氏名】マリーナ・ル・パープ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC211
4C083AC342
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC472
4C083AC512
4C083AC842
4C083AC891
4C083AC892
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB14
4C083CC28
4C083DD01
4C083DD23
4C083DD28
4C083EE01
4C083EE07
(57)【要約】
本発明は、特に爪を被覆するための、より特定すると爪をメーキャップするための、光架橋性化粧用組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、- 少なくとも2つの(ALK)アクリレート官能基及び少なくとも1つのカルボン酸官能基を含む少なくとも1種の光架橋性化合物a)、- 少なくとも1種の(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはポリウレタンジ(メタ)アクリレート化合物、より優先的にはポリウレタンジメタクリレート化合物を含む少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、好ましくは(ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に(ポリ)オキシエチレン単位を含む、好ましくは1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む光架橋性化合物b)、- 組成物の全固体の質量に対して厳密に30質量%未満の総含有率で存在する、少なくとも1種の成膜性ポリマーを含む、光架橋性化粧用組成物に関する。本発明はまた、このような組成物を塗布するための特定の方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に爪を被覆するための、より特定すると爪をメーキャップするための、光架橋性化粧用組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、
- 少なくとも2つの(ALK)アクリレート官能基及び少なくとも1つのカルボン酸官能基を含む少なくとも1種の光架橋性化合物a)、
- 少なくとも1種の(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはポリウレタンジ(メタ)アクリレート化合物、より優先的にはポリウレタンジメタクリレート化合物を含む少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、(ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に(ポリ)オキシエチレン単位を含む、好ましくは1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む光架橋性化合物b)、
- 組成物の固体の総質量に対して厳密に30質量%未満の総含有率で存在する、少なくとも1種の成膜性ポリマー
を含む、光架橋性化粧用組成物。
【請求項2】
前記化合物a)が、次式(I):
【化1】
[式(I)中、
- R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、又はメチル基、又は次式(II)の基を表し:
【化2】
R5は、水素原子又はメチル基を表し、
- R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、
- Xは、次式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)のうちの1つに対応する基を表し:
【化3】
m、n及びoは、同一又は異なっていてもよく、0から10の間の整数を表し、
【化4】
p、q、r及びsは、同一又は異なっていてもよく、0から10の間の整数を表し、
【化5】
R6、R7及びR8は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はヒドロキシル基を表す]
に対応する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物a)が、次式(I-1):
【化6】
[式(I-1)中、R1、R2、R3及びR4は、請求項2に規定の通りである]
に対応する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
式(I-1)のR3及びR4が、メチル基である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
式(I-1)のR1及びR2が、水素原子を表す、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)に対応する、好ましくは式(I-1)に対応する、前記化合物a)が、組成物の固体の総質量に対して10質量%以上の含有率、好ましくは組成物の固体の総質量に対して10質量%から25質量%の範囲、より特定すると15質量%から20質量%の間の含有率で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物b)が、次式(XI):
【化7】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]
に対応する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
特に式(XI)に対応する、前記化合物b)が、組成物の固体の総質量に対して20質量%以上、特に組成物の固体の総質量に対して25質量%から50質量%の間、より特定すると30質量%から50質量%の間の総含有率で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記成膜性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリレート、多糖及び誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはこれらの混合物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記成膜性ポリマーが、次式(XII)に対応する少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレート:
【化8】
[式(XII)中、
- R1、R2及びR3は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル基を表し、R1は、好ましくはC4〜C10アルキル基を表し、R2及びR3は、好ましくは、水素原子又はメチル基を表し、
- x及びyは、同一又は異なっていてもよく、1から100の間の整数を表し、
- zは、0から100の間の整数を表し、
- nは、1から1000の間の整数を表す]
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記成膜性ポリマーが、ニトロセルロース並びに多糖の特にC2〜C4のエーテル及びエステルから、具体的にはセルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、エチルセルロース、エチルグアー、及びこれらの混合物から選択される、より優先的にはニトロセルロースから選択される、少なくとも1種の多糖又は多糖誘導体を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記成膜性ポリマーが、組成物の固体の総質量に対して20質量%以上、好ましくは組成物の固体の総質量に対して25質量%から30質量%の範囲の総含有率で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の揮発性溶媒、好ましくは、C3〜C6エステル及びケトン並びにこれらの混合物からなる群から有利には選択される少なくとも1種の極性揮発性溶媒を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記揮発性溶媒が、組成物の総質量に対して30質量%以上、特に組成物の総質量に対して50%から70%の範囲の総含有率で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種の光開始剤を含み、前記光開始剤が、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
好ましくは組成物の固体の総質量に対して10質量%以下の含有率で、少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーも含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
透明であることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなるコーティングが付着する工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む、方法。
【請求項19】
爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 請求項1から17のいずれか一項に記載の第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着し、この第1のコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着する工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む、方法。
【請求項20】
爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 請求項1から17のいずれか一項に記載の第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着し、この第1のコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着する工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
E) 工程C)及びD)から得られる第2のコーティングに、第1の組成物及び第2の組成物とは異なる第3の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第3の組成物のコートからなる第3のコーティングが付着する工程と、
F) 工程E)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む、方法。
【請求項21】
爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 請求項1から17のいずれか一項に記載の第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着する工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着し、第2の組成物が、
- 好ましくは次式(XIII)に対応する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)タイプの少なくとも1種のジイソシアネートとの反応によって得られる、少なくとも2つのカルバメート単位を含む、少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート化合物:
【化9】
[式(XIII)中、
- R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- jは、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- Aは、C1〜C10アルキル基、又は2〜20個のカルバメート単位を含むポリウレタンを表す]、
- (ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に少なくとも1つの(ポリ)オキシエチレン単位を含む、より特定すると1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む、少なくとも1種のウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物を含む、少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、次式(XI)に対応する化合物b):
【化10】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]、
- α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、少なくとも1種の光開始剤、
- 好ましくは少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)、
- 任意選択により少なくとも1種の着色剤、特に少なくとも1種の顔料
を含む、工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
E) 任意選択により、工程C)及びD)から得られる第2のコーティングに、第3の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第3の組成物のコートからなる第3のコーティングが付着し、第3の組成物が、
- 好ましくは次式(XIII)に対応する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)タイプの少なくとも1種のジイソシアネートとの反応によって得られる、少なくとも2つのカルバメート単位を含む、少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート化合物:
【化11】
[式(XIII)中、
- R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- jは、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- Aは、C1〜C10アルキル基、又は2〜20個のカルバメート単位を含むポリウレタンを表す]、
- (ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に少なくとも1つの(ポリ)オキシエチレン単位を含む、より特定すると1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む、少なくとも1種のウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物を含む、少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、次式(XI)に対応する化合物b):
【化12】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]、
- α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、少なくとも1種の光開始剤、
- 好ましくは少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)
を含む、工程と、
F) 工程E)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む、方法。
【請求項22】
第3の組成物の第3のコーティングを塗布する場合、第2のコーティングとして塗布された第2の組成物が、少なくとも1種の着色剤を含む、請求項20又は21に記載の爪及び/又は付け爪を被覆するための方法。
【請求項23】
工程C)及びD)が合計2回繰り返され、前記第2の組成物は1回目に塗布して、紫外線又は可視光線照射に曝露し、次いで2回目に塗布して、紫外線又は可視光線照射に曝露し、工程A)及びB)が、E)及びF)と同様に、好ましくはそれぞれ1回だけ行われる、請求項20、21又は22に記載の爪及び/又は付け爪を被覆するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、新規な光架橋性ワニス組成物である。このタイプの組成物は、好ましくは、爪及び/又は付け爪に直接接触して塗布するベースコーティングに対応する。このベースコーティングは、別個の組成物からなる複数のコーティングを使用した構造の場合に第1のコーティングとも称することができる。したがって、このコーティングは、少なくとも1種の第2のコーティングで被覆されてもよい。特に、この第2のコーティングは、トップコーティング又は着色コーティングとすることができる。より具体的には、第1のコーティングは、第2のコーティングとしての着色コーティングで被覆することができ、第2のコーティング自体は、第3のコーティングとしてのトップコーティングで被覆される。本発明の主題は、このような組成物を爪及び/又は付け爪に塗布するための方法でもあり、また、爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための前記組成物の使用でもある。
【背景技術】
【0002】
マニキュア組成物は、爪をメーキャップする製品として、ワニスベース若しくはベースコートとして用いることができる、又は爪をメーキャップする製品に塗布される、トップコートとしても知られる仕上げ組成物として、又はその他に爪の美容ケア用の製品として用いることができる。これらの組成物は、天然の爪及び付け爪の両方に塗布することができる。
【0003】
マニキュア分野では、先ず爪上にコーティングを付着させ、次いで前記コーティングを光照射の作用に供して、前記コーティング中にインサイチュ重合及び/又は架橋反応を起こし、結果、通常架橋された重合ネットワークを得ることによって使用される、液体化粧用組成物が知られている。通常「UVゲル」として知られ、一般に(メタ)アクリレートモノマータイプの架橋性化合物をベースとする、このような光架橋性組成物によって、爪に付着したコーティングの摩耗特性が良好となり得、例えば、CA1306954、US5456905、US7375144及びFR2823105に記載されている。
【0004】
しかし、従来の「ソークオフ」UVゲルは、一般に、専門のネイルアーティストによって塗布されないと、摩耗特性の問題を呈す。これは、一般に、膜形態の光架橋性組成物の摩耗特性を促進するために爪に紙やすりをかけることを目的とする爪の粗面化工程も必要とし、したがって爪をかなり痛めることがある。その上、このような組成物の除去は、困難であることが判明することが多く、金属道具、電気サンダー、又は研磨ファイルで爪をこする工程を要することがあり、爪の保全性に有害である。
【0005】
これらの問題の解決を目的とした従来の特許のうち、文献US2011/0081306、US2011/0082228、US2011/0274633、及びUS2012/0083547を挙げることができる。
【0006】
本発明は、光架橋性組成物の塗布前に、爪に紙やすりをかけて粗面化しない、又は爪に紙やすりをかける粗面化を若干に抑えた、爪上の摩耗特性が競合製品よりも優れた組成物の開発により、この従来技術とは異なる。
【0007】
更に、一部の製品は、特にメーキャップ結果の品質面で性能上に問題を示すことがある。
【0008】
その上、従来技術の組成物を除去する工程は、先に塗布した組成物の光架橋性膜を除去するように爪の表面をこするための道具を通常使用し、爪を痛める恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】CA1306954
【特許文献2】US5456905
【特許文献3】US7375144
【特許文献4】FR2823105
【特許文献5】US2011/0081306
【特許文献6】US2011/0082228
【特許文献7】US2011/0274633
【特許文献8】US2012/0083547
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】C.M. Hansen:「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol. 39、105頁(1967)
【非特許文献2】「Les photoinitiateurs dans la reticulation des revetements」、[「Photoinitiators in the crosslinking of coatings」]、G. Li Bassi、Double Liaison - Chimie des Peintures、361巻、1985年11月、34〜41頁
【非特許文献3】「Applications industrielles de la polymerisation photoinduite」、[「Industrial applications of photoinduced polymerisation」]、Henri Strub、L'Actualite Chimique、2000年2月、5〜13頁
【非特許文献4】「Photopolymeres: considerations theoriques et reaction de prise」、[「Photopolymers: theoretical considerations and setting reaction」]、Marc、J.M. Abadie、Double Liaison - Chimie des Peintures、435〜436巻、1992年、28〜34頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
最終的には、本発明は、膜の光架橋後に、反応性(メタ)アクリレート官能基を含む抽出可能な化合物を低含有率で有する、新規な光架橋性組成物を提供することを目的とする。
【0012】
したがって、本発明は、上記の組成物の欠点のうち少なくとも1つも示さない、新規な光架橋性組成物を提供することを目的とする。
【0013】
具体的には、本発明は、爪に研磨をかける道具を必要とせずに、アセトン等の通常の有機溶媒によって除去できる光架橋性組成物を提供することを目的とする。
【0014】
具体的には、本発明は、従来技術に記載される、又は既存の光架橋性組成物と比べて、摩耗特性とメーキャップ除去とを良好に両立させた光架橋性組成物を提供することを目的とする。
【0015】
本発明はまた、特に結果の、適切な場合には、色の均一性の面で、爪のメーキャップ結果の品質に対処する光架橋性組成物を提供することも目的とする。
【0016】
本発明は、例えば使用者自身による、使用が容易で、そのため時間及び費用の節約を可能にする光架橋性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、特に爪を被覆するための、より特定すると爪をメーキャップするための、光架橋性化粧用組成物であって、生理学的に許容される媒体中に、
- 少なくとも2つの(ALK)アクリレート官能基及び少なくとも1つのカルボン酸官能基を含む少なくとも1種の光架橋性化合物a)、
- 少なくとも1種の(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはポリウレタンジ(メタ)アクリレート化合物、より優先的にはポリウレタンジメタクリレート化合物を含む少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、(ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に(ポリ)オキシエチレン単位を含む、好ましくは1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む光架橋性化合物b)、
- 組成物の固体の総質量に対して厳密に30質量%未満の総含有率で存在する、少なくとも1種の成膜性ポリマー
を含む、光架橋性化粧用組成物に関する。
【0018】
上記の問題のうちの少なくとも1つに対応する2つの好ましい実施形態によれば、
- 光架橋性化合物a)は、次式(I)に対応し:
【0019】
【化1】
【0020】
[式(I)中、
- R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、又はメチル基、又は次式(II)の基を表し:
【0021】
【化2】
【0022】
R5は、水素原子又はメチル基を表し、R1及びR2は、好ましくは、水素原子を表し、
- R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、
- Xは、次式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)のうちの1つに対応する基を表し:
【0023】
【化3】
【0024】
m、n及びoは、同一又は異なっていてもよく、0から10の間の整数を表し、
【0025】
【化4】
【0026】
p、q、r及びsは、同一又は異なっていてもよく、0から10の間の整数を表し、
【0027】
【化5】
【0028】
R6、R7及びR8は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はヒドロキシル基を表す]、
- 光架橋性化合物a)は、次式(I-1)に対応し:
【0029】
【化6】
【0030】
[式(I-1)中、R1、R2、R3及びR4は、請求項2に規定の通りであり、
- 式(I-1)のR3及びR4は、メチル基であり、
- 式(I-1)のR1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、メチル基又は次式(II-1)の基を表し:
【0031】
【化7】
【0032】
R1及びR2は、好ましくは水素原子を表す]、
- 特に式(I)に対応する、光架橋性化合物a)は、組成物の固体の総質量に対して10質量%以上、好ましくは、組成物の固体の総質量に対して10質量%から25質量%の範囲、より特定すると15質量%から20質量%の間の総含有率で存在し、
- 光架橋性化合物b)は、次式(XI)に対応し:
【0033】
【化8】
【0034】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]、
- 特に式(XI)に対応する、化合物b)は、組成物の固体の総質量に対して20質量%以上、特に組成物の固体の総質量に対して25質量%から50質量%の間、より特定すると30質量%から50質量%の間の総含有率で存在し、成膜性ポリマーは、組成物の固体の総質量に対して20質量%以上、好ましくは組成物の固体の総質量に対して25質量%から30質量%の範囲の総含有率で存在し、
- 組成物は、ポリ(メタ)アクリレート、多糖及び誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種の成膜性ポリマー、好ましくはこれらの混合物を含み、
- 成膜性ポリマーは、次式(XII)に対応する少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレートを含み:
【0035】
【化9】
【0036】
[式(XII)中、
- R1、R2及びR3は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル基を表し、R1は、好ましくはC4〜C10アルキル基を表し、R2及びR3は、好ましくは、水素原子又はメチル基を表し、
- x及びyは、同一又は異なっていてもよく、1から100の間の整数を表し、
- zは、0から100の間の整数を表し、
- nは、1から1000の間の整数を表す]、
- 特に式(XII)に対応する、特にポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される成膜性ポリマーは、組成物の固体の総質量に対して10質量%以上の総含有率、特に組成物の固体の総質量に対して13質量%から20質量%の範囲の含有率で存在し、
- 成膜性ポリマーは、ニトロセルロース並びに多糖の特にC2〜C4のエーテル及びエステルから、具体的にはセルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、エチルセルロース、エチルグアー、及びこれらの混合物から選択される、より優先的にはニトロセルロースから選択される、少なくとも1種の多糖又は多糖誘導体を含み、
- 特に多糖又は多糖誘導体からなる群から選択される成膜性ポリマーは、組成物の固体の総質量に対して5質量%以上の総含有率、特に組成物の全固体に対して10質量%から15質量%の範囲の含有率で存在し、
- 組成物は、好ましくは組成物の総質量に対して30質量%以上の総含有率で、特に組成物の総質量に対して50%から70%の範囲で存在する、少なくとも1種の揮発性溶媒、好ましくは、C3〜C6エステル及びケトン並びにこれらの混合物からなる群から有利には選択される少なくとも1種の極性揮発性溶媒を含み、
- 組成物は、少なくとも1種の光開始剤を含み、この光開始剤は、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択され、
- 組成物は、好ましくは、組成物の固体の総質量に対して10質量%以下、更に良好には、組成物の固体の総質量に対して5質量%以下の含有率で、好ましくは化合物a)、b)とは異なる、少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマーも含み、
- 組成物は、透明である。
【0037】
本発明はまた、本発明の第2の態様に従って、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 前述の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなるコーティングが付着し、このコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む方法にも関する。
【0038】
本発明は、より具体的には、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 前述の第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着し、この第1のコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着する工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む方法に関する。
【0039】
このような方法において、第2のコーティングは、好ましくは、任意選択により着色剤を含まない、トップコートである。
【0040】
本発明はまた、より具体的には、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 前述の第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着し、この第1のコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着する工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
E) 工程C)及びD)から得られる第2のコーティングに、第1の組成物及び第2の組成物とは異なる第3の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第3の組成物のコートからなる第3のコーティングが付着する工程と、
F) 工程E)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む方法にも関する。
【0041】
本発明は、より具体的には、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 前述の第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着する工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着し、第2の組成物が、
- 好ましくは次式(XIII)に対応する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)タイプの少なくとも1種のジイソシアネートとの反応によって得られる、少なくとも2つのカルバメート単位を含む、少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート化合物:
【0042】
【化10】
【0043】
[式(XIII)中、
- R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- jは、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- Aは、C1〜C10アルキル基、又は2〜20個のカルバメート単位を含むポリウレタンを表す]、
- (ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に少なくとも1つの(ポリ)オキシエチレン単位を含む、より特定すると1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む、少なくとも1種のウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物を含む、少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、次式(XI)に対応する化合物b):
【0044】
【化11】
【0045】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]、
- α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、少なくとも1種の光開始剤、
- 好ましくは少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)、
- 好ましくは少なくとも1種の成膜性ポリマー、
- 任意選択により少なくとも1種の着色剤、特に少なくとも1種の顔料
を含む、工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
E) 任意選択により、工程C)及びD)から得られる第2のコーティングに、第3の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第3の組成物のコートからなる第3のコーティングが付着し、第3の組成物が、
- 好ましくは次式(XIII)に対応する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)タイプの少なくとも1種のジイソシアネートとの反応によって得られる、少なくとも2つのカルバメート単位を含む、少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート化合物:
【0046】
【化12】
【0047】
[式(XIII)中、
- R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- jは、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- Aは、C1〜C10アルキル基、又は2〜20個のカルバメート単位を含むポリウレタンを表す]、
- (ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に少なくとも1つの(ポリ)オキシエチレン単位を含む、より特定すると1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む、少なくとも1種のウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物を含む、少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、次式(XI)に対応する化合物b):
【0048】
【化13】
【0049】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]
- α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、少なくとも1種の光開始剤、
- 好ましくは少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)
を含む、工程と、
F) 工程E)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む方法に関する。
【0050】
本発明は、より具体的には、爪及び/又は付け爪を被覆するための方法であって、第3の組成物の第3のコーティングを塗布する場合、第2のコーティングとして塗布された第2の組成物が、少なくとも1種の着色剤を含む、方法に関する。
【0051】
本発明は、より具体的には、爪及び/又は付け爪を被覆するための方法であって、工程C)及びD)が合計2回繰り返され、第2の組成物は1回目に塗布して、紫外線又は可視光線照射に曝露し、次いで2回目に塗布して、紫外線又は可視光線照射に曝露し、工程A)及びB)は、E)及びF)と同様に、好ましくはそれぞれ1回だけ行われる、方法に関する。
【0052】
このような方法において、第2のコーティングは、少なくとも1種の着色剤を含む、好ましくは1種の又は優先的には複数の着色コートであり、第3のコーティングは、好ましくは、着色剤を含まないトップコートである。
【発明を実施するための形態】
【0053】
固体
本発明による組成物の固体含有率は、有利には、30%以上、特に40%以上、有利には60%以下、特に50%以下を占める。
【0054】
本発明の解釈上、「固体含有率」は、不揮発物の含有率を示す。
【0055】
本発明による組成物の固体含有率(SCと略される)は、Mettler Toledo製の市販のハロゲンデシケーター「Halogen Moisture Analyzer HR 73」を使用して測定される。測定は、ハロゲン加熱によって乾燥される試料の質量損失に基づいて実施され、したがって、揮発物が蒸発した時点での残留物の百分率を表す。
【0056】
測定プロトコルは以下の通りである:
約2gの組成物(以下、試料)を金属るつぼ上に広げる。試料を窒素気流下で光架橋する(大気中の酸素が、試料の表面における架橋を阻害するのを防ぐため)。次いで、金属るつぼを、上記のハロゲン湿度計中に置く。試料を次いで、恒量が得られるまで105℃の温度にかける。架橋前の試料の初期の質量に相当する試料の湿質量、及び架橋及びハロゲン加熱の後の試料の質量に相当する試料の乾質量を、精密天秤を用いて測定する。
【0057】
測定に伴う実験エラーは、プラス又はマイナス約2%程度である。
【0058】
固体含有率は、以下の方式において算出される。
固体含有率(質量百分率で表す)=100×(乾質量/湿質量)
【0059】
生理学的に許容される媒体
本発明による化粧用組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。
【0060】
用語「生理学的に許容される媒体」は、ケラチン物質に本発明の組成物を塗布するのに特に適した媒体を示すことが意図される。
【0061】
生理学的に許容される媒体は、組成物を塗布しなければならない支持体の性質、更には組成物が包装されるべき外観に適応していることが一般的である。
【0062】
光架橋性化合物
本発明による組成物は、少なくとも光架橋性化合物a)及びb)を含む。
【0063】
本発明の趣旨において、用語「光架橋性化合物」は、光照射の作用下で架橋して、架橋重合ネットワークを生成できる有機化合物を意味する。
【0064】
光架橋性化合物は、好ましくは、少なくとも1つの(ALK)アクリレート官能基、すなわち少なくとも1つのH2C=C(R)-C(O)-O-官能基(式中、Rは好ましくは、H又はALKに等しく、ALKは、C1〜C6、好ましくはC1〜C2、より好ましくはC1アルキル基、例えばCH3を表すものと理解され、Rは好ましくは、CH3に等しい)を含む。
【0065】
光架橋性化合物a)
本発明による組成物は、少なくとも1種の光架橋性化合物a)を含む。したがって、これは、単一の光架橋性化合物又はいくつかの光架橋性化合物の混合物を含むことができる。
【0066】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、下記の単一の光架橋性化合物を含む。
【0067】
本発明の趣旨において、用語「光架橋性化合物」は、光照射の作用下で架橋して、架橋重合ネットワークを生成できる有機化合物を意味する。
【0068】
化合物a)は、少なくとも1つのカルボン酸官能基、すなわち-COOH官能基、及び少なくとも2つの(ALK)アクリレート官能基、すなわちH2C=C(R)-C(O)-O-官能基(式中、Rは、好ましくは、H又はALKに等しく、ALKは、C1〜C6、好ましくはC1〜C2、より好ましくはC1アルキル基、例えばCH3を表すものと理解され、Rは好ましくはCH3に等しい)の存在によって定義される。
【0069】
有利には、光架橋性化合物a)は、少なくとも1つのカルボン酸官能基及び少なくとも2つの(メタ)アクリレート官能基を含む。
【0070】
好ましくは、光架橋性化合物a)は、少なくとも2つのカルボン酸官能基及び少なくとも2つの(メタ)アクリレート、好ましくはメタクリレート官能基を含む。
【0071】
一実施形態によれば、化合物a)は、少なくとも2つのカルボン酸官能基及び少なくとも2つの(メタ)アクリレート、好ましくはメタクリレート官能基を含む。
【0072】
一実施形態によれば、化合物a)は、2つのカルボン酸官能基及び4つの(メタ)アクリレート官能基、好ましくは4つのメタクリレート官能基を含む。
【0073】
一実施形態によれば、光架橋性化合物a)は、次式(I)に対応する:
【0074】
【化14】
【0075】
[式中、
- R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、又はメチル基、又は次式(II)の基を表し:
【0076】
【化15】
【0077】
R5は、水素原子又はメチル基を表し、
- R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はメチル基を表し、
- Xは、次式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)のうちの1つに対応する基を表す:
【0078】
【化16】
【0079】
m、n及びoは、同一又は異なっていてもよく、0から10の間、好ましくは0から1の間の整数を表し、
【0080】
【化17】
【0081】
p、q、r及びsは、同一又は異なっていてもよく、0から10の間、好ましくは0から1の間の整数を表し、
【0082】
【化18】
【0083】
R6、R7及びR8は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はヒドロキシル基を表す]。
【0084】
上式中、記号*は、-X-基の結合点を示す。
【0085】
一実施形態によれば、光架橋性化合物a)は、X基が、芳香族基、具体的にはアリーレン基、好ましくはフェニレン基である、上記の式(I)に対応する。
【0086】
好ましくは、光架橋性化合物a)は、次式(I-1)に対応する:
【0087】
【化19】
【0088】
R1、R2、R3及びR4は、式(I)において上に規定の通りである。
【0089】
一実施形態によれば、化合物a)は、R3及びR4がメチル基である、上式(I)又は(I-1)に対応する。
【0090】
一実施形態によれば、化合物a)は、R1及びR2が、同一又は異なっていてもよく、水素原子、メチル基又は次式(II-1)の基:
【0091】
【化20】
【0092】
(R1及びR2は、好ましくは水素原子を表す)
を表す、上式(I)又は(I-1)に対応する。
【0093】
優先的には、光架橋性化合物a)は、次式(I-2)に対応する:
【0094】
【化21】
【0095】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して10質量%以上、特に組成物の固体の総質量に対して10質量%から25質量%の範囲、より特定すると15質量%から20質量%の間の総含有率の化合物a)を有する。
【0096】
光架橋性化合物b)
本発明による組成物は、少なくとも1種の光架橋性化合物b)を含む。
【0097】
これらは、単一の光架橋性化合物b)又はいくつかの光架橋性化合物b)の混合物、好ましくは単一の光架橋性化合物b)を含むことができる。
【0098】
光架橋性化合物b)は、(ポリ)オキシアルキレン単位を含む少なくとも1種の(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物を含む。
【0099】
一般に、用語「(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物」は、少なくとも1つのウレタン官能基-O-C(O)-NH-を含み、及び式H2C=C(R)-C(O)-O-(式中、Rは好ましくは、H又はALKに等しく、ALKは、C1〜C6、好ましくはC1〜C2、より好ましくはC1アルキル基、例えばCH3を表すものと理解され、Rは好ましくは、CH3に等しい)のいくつかの(ALK)アクリレート官能基を含む任意の化合物を意味することが意図される。
【0100】
「ウレタン」官能基は、「カルバメート」官能基とも称される。好ましくは、光架橋性化合物b)は、いくつかのウレタン又はカルバメート官能基を含む。
【0101】
(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物として、ポリウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、とりわけポリウレタンジ(ALK)アクリレート化合物、特にポリウレタンジ(メタ)アクリレート化合物、より具体的にはポリウレタンジメタクリレート化合物が好ましい。
【0102】
したがって、用語「ポリ(メタ)アクリレート」は、少なくとも2つのメタクリレート官能基、又は少なくとも2つのアクリレート官能基、或いは少なくとも1つのメタクリレート官能基及び少なくとも1つのアクリレート官能基、好ましくは少なくとも2つのメタクリレート官能基を含む化合物を意味する。
【0103】
有利には、架橋後に架橋重合ネットワークを形成することが意図される光架橋性(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物が保有する(メタ)アクリレート官能基の平均数は、2以上、例えば2から6の間、更に良好には2から4の間、より優先的には2に等しい。
【0104】
したがって、好ましくは、光架橋性化合物b)は、複数のウレタン官能基-O-C(O)-NH-、具体的には少なくとも2つのウレタン官能基、及び式H2C=C(CH3)-C(O)-O-の複数のメタクリレート官能基、具体的には少なくとも2つのメタクリレート官能基を含む少なくとも1種のポリウレタンジメタクリレート化合物を含む。
【0105】
用語「(ポリ)オキシアルキレン」は、アルキレン基が直鎖状又は分枝状であり、1〜6個の炭素原子を含有し、アルキレン基が任意選択により1つ以上のヒドロキシル基で置換され、好ましくは非置換であり、-[CH2]2-O-又は-O-[CH2]2-に対応する、(ポリ)アルキレン-オキシ二価基を意味することが意図される。
【0106】
したがって、用語「(ポリ)オキシアルキレン単位を含む(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物」は、光架橋性化合物b)が、1〜100個のアルキレン-オキシ単位、具体的には5〜50個のアルキレン-オキシ単位、より具体的には約8〜10個のアルキレン-オキシ単位を含む、少なくとも1種の(ポリ)(C1〜C6、好ましくはC2)オキシアルキレン化二価基を含むことを意味するものと考えられる。好ましくは、これらの(ポリ)オキシアルキレン化基は、ポリオキシエチレン基である。
【0107】
光架橋性化合物b)は、好ましくは、次式(XI)に対応する:
【0108】
【化22】
【0109】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]。
【0110】
この(これらの)、特に式(XI)の光架橋性化合物b)は、有利には、1000g/mol以上、具体的には1000から5000g/mol、好ましくは1000から3000g/molの範囲の分子量を有する。
【0111】
特に式(XI)の、光架橋性化合物b)は、好ましくは、組成物の固体の総質量に対して20質量%以上、特に組成物の固体の総質量に対して25質量%から50質量%の間、より特定すると30質量%から50質量%の間の総含有率で存在する。
【0112】
式(I)の、特に式(I-1)の光架橋性化合物a)、及び特に式(XI)の光架橋性化合物b)は、好ましくは、それぞれ総含有率が、特に式(I)の、特に式(I-1)の光架橋性化合物a)と、特に式(XI)の光架橋性化合物b)との質量比が、0.1〜2、具体的には0.25〜1の範囲であるように存在する。
【0113】
成膜性ポリマー
本発明による組成物は、有利には、少なくとも1種の成膜性ポリマーも含む。
【0114】
これらは、単一の成膜性ポリマー又はいくつかの成膜性ポリマーの混合物、好ましくはいくつかの成膜性ポリマーの混合物を含むことができる。
【0115】
成膜性ポリマーの機能は、光架橋性組成物に摩耗特性を与え、更にはメーキャップの除去を促進することである。
【0116】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも2種の成膜性ポリマーを含む。
【0117】
成膜性ポリマーの総含有率は、好ましくは、組成物の固体の総質量に対して5質量%以上、特に組成物の固体の総質量に対して10質量%〜25質量%の範囲である。
【0118】
本発明の解釈上、用語「成膜性ポリマー」は、それ自体で(すなわち、補助成膜剤又は外的刺激、例えばUVタイプの非存在下で)、単離可能な、具体的には連続的かつ粘着性の膜を、支持体、具体的には爪上に形成することが可能なポリマーを意味する。
【0119】
この成膜性ポリマーは、ラジカルタイプ又は重縮合体タイプの合成ポリマー、及び天然起源のポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択してよい。
【0120】
本発明に好適な成膜性ポリマーは、少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレート化合物、具体的には(メタ)アクリレートホモポリマー及びコポリマー、好ましくは(メタ)アクリレートコポリマーから選択することができる。
【0121】
組成物中に存在するポリ(メタ)アクリレート化合物、具体的には(メタ)アクリレートコポリマーは、有利には、
i) 少なくとも1種のメチルメタクリレート(MMA)モノマーと少なくとも1種のアクリル酸若しくはメタクリル酸(AA若しくはMAA)モノマーとの重合、又は
ii) 少なくとも1種のメチルメタクリレート(MMA)モノマーと、ガラス転移温度が30℃未満の少なくとも1種のモノマー、例えばブチルメタクリレート(BMA)、ブチルアクリレート(BA)若しくは2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)と、任意選択の少なくとも1種のアクリル酸(AA)若しくはメタクリル酸(MAA)モノマーとの重合
から得ることが可能である。
【0122】
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種のメチルメタクリレート(MMA)モノマーと、ガラス転移温度が30℃未満の少なくとも1種のモノマー、例えばブチルメタクリレート(BMA)、ブチルアクリレート(BA)又は2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)と、任意選択の少なくとも1種のアクリル酸(AA)又はメタクリル酸(MAA)モノマーとの重合によって得られるタイプii)の少なくとも1種のポリ(メタ)アクリレート成膜性ポリマーを含む。
【0123】
このようなタイプii)のポリ(メタ)アクリレート成膜性ポリマーは、好ましくは次式(XII)に対応する:
【0124】
【化23】
【0125】
[式(XII)中、
- R1、R2及びR3は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル基を表し、R1は、好ましくはC4〜C10アルキル基を表し、R2及びR3は、好ましくは、水素原子又はメチル基を表し、
- x及びyは、同一又は異なっていてもよく、1から100の間の整数を表し、
- zは、0から100の間の整数を表し、
- nは、1から1000の間の整数を表す]。
【0126】
好ましくは、本発明による組成物は、式(XII)の少なくとも1種のポリアクリレート化合物から選択される少なくとも1種の成膜性ポリマーc)を含む。
【0127】
変形形態として、又は好ましくは追加として、本発明に好適な成膜性ポリマーは、多糖及び多糖誘導体、例えばセルロース又はグアーガムの誘導体から選択することができる。本発明に適した、優先的な多糖誘導体は、ニトロセルロース又は多糖エステル又はアルキルエーテルでもよい。
【0128】
用語「多糖エステル又はアルキルエーテル」は、少なくとも2つの同一又は異なる環を含む反復単位で構成され、単糖単位当たりの置換度が1.9から3の間、好ましくは2.2から2.9の間、より具体的には2.4から2.8の間である多糖を意味する。用語「置換」は、エステル及び/若しくはアルキルエーテル官能基をもたらすためのヒドロキシル基の官能基化並びに/又はエステル官能基をもたらすためのカルボキシル基の官能基化を意味する。
【0129】
言い換えると、エステル基及び/又はアルキルエーテル基と部分的に又は全体的に置換された多糖でもよい。好ましくは、ヒドロキシル基は、C2〜C4のエステル及び/又はアルキルエーテル官能基で置換され得る。
【0130】
具体的には、セルロースエステル(セルロースアセトブチレート又はセルロースアセトプロピオネート等)、セルロースアルキルエーテル(例えばエチルセルロース)、及びエチルグアーを挙げることができる。
【0131】
本発明に適した成膜性ポリマーは、合成ポリマー、例えばポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリビニルブチラール、アルキド樹脂及びケトン/アルデヒド樹脂、アルデヒド縮合生成物に由来する樹脂、例えばアリールスルホンアミド-ホルムアルデヒド樹脂、例えばトルエンスルホンアミド-ホルムアルデヒド樹脂、アリールスルホンアミド-エポキシ樹脂又はエチルトシルアミド樹脂から選択することができる。
【0132】
本発明に適した成膜性ポリマーは、天然起源のポリマー、例えば植物樹脂、例えばダマール樹脂、エレミ樹脂、コーパル樹脂、及びベンゾイン;ガム、例えばシェラック、サンダラックゴム、及び乳香から選択することもできる。
【0133】
具体的には、成膜性ポリマーとして、トルエンスルホンアミド/ホルムアルデヒド樹脂Akzo社製のKetjentflex MS80又はFaconnier社製のSantolite MHP若しくはSantolite MS 80又はPan Americana社製のResimpol 80、アルキド樹脂Dainippon社製のBeckosol ODE 230-70-E、アクリル樹脂Rohm & Haas社製のAcryloid B66、ポリウレタン樹脂Baxenden社製のTrixene PR 4127又はDegussa社から参照名Synthetic Resin SKで販売されているアセトフェノン/ホルムアルデヒド樹脂を使用することができる。
【0134】
特に好ましい一実施形態によれば、成膜性ポリマーは、多糖及び多糖誘導体からなる群から選択され、好ましくはニトロセルロース及び具体的にはC2〜C4の多糖エーテル及びエステルから、より優先的にはセルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、エチルセルロース、エチルグアー、及びこれらの混合物から選択される。
【0135】
有利な一実施形態によれば、成膜性ポリマーは、ニトロセルロース、セルロースアセトプロピオネート、セルロースアセトブチレート、並びに(メタ)アクリレートホモポリマー及びコポリマー、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0136】
有利な一実施形態によれば、本発明の組成物は、ニトロセルロースから選択される少なくとも1種の成膜性ポリマーを含む。
【0137】
特に式(XII)に対応する、特にポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される成膜性ポリマーは、組成物の固体の総質量に対して10質量%以上の総含有率、特に組成物の固体の総質量に対して13質量%から20質量%の範囲の含有率で存在する。
【0138】
特に多糖又は多糖誘導体からなる群から選択される成膜性ポリマーは、組成物の固体の総質量に対して5質量%以上の総含有率、特に組成物の全固体に対して10質量%から15質量%の範囲の含有率で存在する。
【0139】
この特定の実施形態によれば、多糖及び多糖誘導体からなる群から選択される成膜性ポリマーの質量比、具体的にはニトロセルロースの質量と、光架橋性化合物の質量、特に光架橋性化合物a)及びb)それぞれの質量の合計との比は、1以下、優先的には0.5から1の間である。
【0140】
有利な一実施形態によれば、具体的には、ポリ(メタ)アクリレート化合物、具体的には式(XII)のポリ(メタ)アクリレート化合物、並びに多糖及び多糖誘導体、具体的にはニトロセルロースからなる群から選択される成膜性ポリマーの総質量と、光架橋性化合物の質量、具体的には光架橋性化合物a)及びb)、並びに任意選択で1種以上の(メタ)アクリレートモノマー、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート化合物それぞれの質量の合計との比は、1以下、優先的には0.5から1の間である。
【0141】
揮発性溶媒
本発明による組成物は、有利には、少なくとも1種の揮発性溶媒も含む。したがって、これらは、単一の溶媒又はいくつかの揮発性溶媒の混合物、好ましくはいくつかの揮発性溶媒の混合物を含むことができる。
【0142】
揮発性溶媒の質量含有率は、好ましくは、組成物の総質量に対して、40質量%から80質量%の間、好ましくは50質量%から70質量%の間である。
【0143】
本発明の解釈上、用語「揮発性溶媒」は、室温及び大気圧においてケラチン物質との接触時に1時間未満で蒸発し得る溶媒を意味することが意図される。
【0144】
本発明の揮発性溶媒は、室温で液体であり、室温及び大気圧で、特に50Pa〜40000Pa(0.375〜300mmHg)、具体的には100Pa〜266624Pa(0.75〜200mmHg)、より具体的には1000Pa〜13332Pa(7.5〜100mmHg)の範囲で、ゼロ以外の蒸気圧を有する溶媒である。
【0145】
このような溶媒は、具体的には、流動化及び組成物の固体の減少を目的とする。
【0146】
好ましくは、溶媒は、極性溶媒から選択される。
【0147】
本発明の解釈上、用語「極性溶媒」は、その融点を超える、算出される溶解度パラメータδaが、0(J/cm3)1/2ではない溶媒又は油を意味すると理解される。
【0148】
ハンセン3次元溶解度空間の溶解度パラメータの定義及び計算は、論文C.M. Hansen:「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol. 39、105頁(1967)に記載されている。
【0149】
このハンセン空間によれば、
- δDは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴とし;
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及び誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴とし;
- δhは、特定の相互作用力(水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴とし;
- δaは、式δa=(δp2h2)1/2によって求められる。
【0150】
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表される。
【0151】
特に、用語「極性溶媒」は、化学構造が炭素原子及び水素原子から実質的に形成される、又は炭素原子及び水素原子からなりさえする溶媒であって、少なくとも1個の電気陰性度の高いヘテロ原子、例えば酸素原子、窒素原子、ケイ素原子又はリン原子を含む溶媒を意味すると理解される。
【0152】
好ましくは、この極性揮発性溶媒は、C3〜C6エステル及びケトン並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0153】
極性揮発性溶媒として、特に、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びアルキル基が2〜5個の炭素原子を含む酢酸アルキル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル及び酢酸tert-ブチル等)を挙げることができる。
【0154】
好ましくは、極性揮発性溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル(酢酸n-プロピル又は酢酸イソプロピル)、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル又は酢酸tert-ブチル、イソプロパノール、及びこれらの1種以上の混合物からなる群から選択される。
【0155】
好ましい一実施形態によれば、溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル及びイソプロパノールの混合物である。
【0156】
酢酸ブチル、酢酸エチル及びイソプロパノールは、好ましくは、組成物の総質量に対して、それぞれ25質量%〜35質量%、20質量%〜30質量%、及び1質量%〜5質量%の範囲の含有率で存在する。
【0157】
別の好ましい実施形態によれば、溶媒は、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びイソプロパノールの混合物である。
【0158】
酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びイソプロパノールは、好ましくは、組成物の総質量に対して、それぞれ20質量%〜30質量%、15質量%〜25質量%、5質量%〜15質量%、及び1質量%〜5質量%の範囲の含有率で存在する。
【0159】
光開始剤
本発明による組成物は、有利には、少なくとも1種の光開始剤も含む。
【0160】
これは、単独の光開始剤又はいくつかの光開始剤の混合物、好ましくは単独の光開始剤を含むことができる。
【0161】
本発明に従って使用することができる光開始剤は、当技術分野において知られており、例えば、「Les photoinitiateurs dans la reticulation des revetements」、[「Photoinitiators in the crosslinking of coatings」]、G. Li Bassi、Double Liaison - Chimie des Peintures、361巻、1985年11月、34〜41頁;「Applications industrielles de la polymerisation photoinduite」、[「Industrial applications of photoinduced polymerisation」]、Henri Strub、L'Actualite Chimique、2000年2月、5〜13頁;及び「Photopolymeres: considerations theoriques et reaction de prise」、[「Photopolymers: theoretical considerations and setting reaction」]、Marc、J.M. Abadie、Double Liaison - Chimie des Peintures、435〜436巻、1992年、28〜34頁に記載されている。
【0162】
これらの光開始剤は、
- 例えば、BASF社によってDarocur(登録商標)1173及び4265、Irgacure(登録商標)184、2959及び500の各名称で販売されている、並びにCytec社によってAdditol(登録商標)CPKの名称で販売されている、α-ヒドロキシケトン、
- 例えば、BASF社によってIrgacure(登録商標)907及び369の各名称で販売されている、α-アミノケトン、
- 例えば、Lamberti社によってEsacure(登録商標)TZTの名称で販売されている、芳香族ケトン(また、例えば、Lamberti社によってEsacure(登録商標)ITXの名称で販売されているチオキサントン、及びキノンも挙げることができる。これらの芳香族ケトンは、通常、第3級アミン、具体的にはアルカノールアミン等の水素供与化合物の存在を必要とする。具体的には、Lamberti社によって販売されている第3級アミンEsacure(登録商標)EDBを挙げることができる。)、
- α-ジカルボニル誘導体(最も一般的な代表例は、BASF社によってIrgacure(登録商標)651の名称で販売されているベンジルジメチルケタールである。他の市販品は、Lamberti社によってEsacure(登録商標)KB1の名称で販売されている。)、
- 例えば、BASF社によってIrgacure(登録商標)819、1700及び1800、Darocur(登録商標)4265、Lucirin(登録商標)TPO及びLucirin(登録商標)TPO-Lの各名称で販売されている、アシルホスフィンオキシド、例えば、ビス-アシルホスフィンオキシド(BAPO)等
を包含する。
【0163】
好ましくは、光開始剤は、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0164】
アシルホスフィンオキシドは、好ましくは、本発明の光架橋性組成物中に使用される。
【0165】
光開始剤として、Lucirin(登録商標)TPO-L(BASF社)を挙げることができる。
【0166】
光開始剤の総含有率は、例えば、混合物の様々な成分の反応性、1種以上の着色剤の存在、光源の強度、又は曝露時間等、多くの因子によって決まる。
【0167】
所望の特性を得るために、光開始剤は、好ましくは、光架橋性組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは、光架橋性組成物の総質量に対して、0.2質量%から5質量%の範囲の総含有率で存在する。
【0168】
他の成分
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、1種以上の(メタ)アクリレートモノマー、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート化合物も含んでよい。具体的には、この(これらの)(メタ)アクリレートモノマーは、摩耗特性及び機械的性質を改善するために、ベースコートに塗布された第2のコート中に存在してよい。しかし、このようなモノマーは、本発明によるベースコート中に存在することができる。この(これらの)モノマーは、好ましくは、組成物の固体の総質量に対して、10質量%以下の含有率で存在し、更に良好には、組成物の固体の総質量に対して、5質量%以下の含有率で存在する。
【0169】
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、ポリオキシアルキレン単位を含まない、少なくとも1種の光架橋性(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物も含んでよい。
【0170】
本発明による組成物は、1種以上の安定剤も含んでよい。
【0171】
本発明による組成物は、具体的には顔料等の着色剤、可塑剤、コアレッサー、保存料、増粘剤、香料、美容ネイルケア有効成分、展着剤、消泡剤及び分散剤から選択される、アジュバント又は添加剤も含有することができる。
【0172】
言うまでもなく、当業者は、予定した添加によって本発明による組成物の有利な特性が有害な影響を受けない又は実質的に受けないように、これら任意選択の補助剤及び添加剤の選択に対して注意を払うであろう。
【0173】
組成物が着色剤を含む場合、使用する着色剤の吸収スペクトルは、特に光開始剤のそれに適合させるべきであり、又は逆に、光開始剤の吸収スペクトルを使用する着色剤のそれに適合させて、これら2種の化合物が同じ波長で光を吸収することを回避する必要がある。これは、着色剤による光の吸収が、コーティングのある種の深さを超えて存在する光開始剤をほとんど完全に無効にすると思われるためである。
【0174】
好ましくは、本発明の組成物は、透明である。
【0175】
本明細書では、用語「透明」は、組成物が、KYKHAZEGLOSS輝度計で測定した場合に5未満のHAZEBYK指数を有することを意味する。
【0176】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、可溶性染料、顔料、真珠光沢剤及び光輝材からなる群から選択される着色剤も含む。
【0177】
着色剤は、コートの総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは組成物の総質量に対して、0.1質量%から5質量%、有利には0.2質量%から1質量%の範囲の総含有率で存在してよい。
【0178】
用語「可溶性染料」は、本発明の組成物に溶解し、前記組成物を着色することを意図する有機、無機又は有機金属化合物を意味するものと理解されるべきである。
【0179】
染料は、例えば、スーダンレッド、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、ダイズ油、スーダンブラウン、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5及びキノリンイエローである。
【0180】
用語「顔料」は、本発明の組成物に不溶性であり、前記組成物を着色することを意図する、白色の又は着色された、無機又は有機の、任意の形の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0181】
用語「真珠光沢剤」は、特にある種の軟体動物によりその殻で生成されるか、そうでなければ合成される、任意の形状の虹色の粒子を意味するとして理解されるべきである。
【0182】
顔料は、白色でも有色でもよく、無機及び/又は有機であることができる。挙げることができる無機顔料の中には、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、及び更に酸化亜鉛、酸化鉄(黒色、黄色若しくは赤色)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物及びフェリックブルー、並びに金属粉末、例えばアルミニウム粉末及び銅粉末がある。
【0183】
挙げることができる有機顔料の中には、カーボンブラック、D & Cタイプの顔料、及びコチニールカーマイン系の又はバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウム系のレーキがある。
【0184】
更に、効果を有する顔料、例えば、天然又は合成の、有機又は無機基材、例えば、ガラス、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート樹脂、セラミック又はアルミナを含む粒子を挙げることができ、前記基材は、金属材料(例えば、アルミニウム、金、銅若しくは青銅)又は金属酸化物(例えば、二酸化チタン、酸化鉄若しくは酸化クロム)又は無機若しくは有機顔料、及びこれらの混合物で被覆されていてもいなくてもよい。
【0185】
真珠光沢顔料は、酸化チタンで又はオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカ等の白色真珠光沢顔料、酸化鉄で被覆された酸化チタン被覆マイカ、具体的にはフェリックブルー若しくは酸化クロムで被覆された酸化チタン被覆マイカ、又は上述のタイプの有機顔料で被覆された酸化チタン被覆マイカ等の着色された真珠光沢顔料、及びオキシ塩化ビスマスベースの真珠光沢顔料から選択することができる。
【0186】
角度依存性を有する、具体的には液晶を有する顔料又は多層顔料も使用してよい。
【0187】
光学的光沢剤又は任意選択により光学的光沢剤で被覆された繊維も使用することができる。
【0188】
本発明による組成物は、特に、組成物の総質量に対して、0.01質量%から50質量%の範囲の含有率、好ましくは0.01質量%から30質量%の範囲の含有率で1種以上のフィラーも含むことができる。
【0189】
用語「フィラー」とは、組成物が製造される温度にかかわりなく、組成物の媒体に不溶性である、任意の形の無色又は白色の無機又は合成粒子を意味すると理解されるべきである。これらのフィラーは、具体的には組成物のレオロジー又はテクスチャーを改変するのに役立つ。
【0190】
フィラーは、無機でも、有機物でもよく、結晶形(例えば、層状、立方晶、六方晶、斜方晶等)にかかわりなく、任意の形状、血小板形状、球状又は長方形とすることができる。挙げることができるのは、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド[Nylon(登録商標)]粉末[Atochem社からのOrgasol(登録商標)]、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]粉末、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマー微小球、例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリル微小球、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル酸コポリマー微小球[Dow Corning社からのPolytrap(登録商標)]及びシリコーン樹脂ミクロビーズ[例えばToshiba社からのTospearls(登録商標)]、エラストマー性ポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカ微小球[Maprecos社からのSilica Beads(登録商標)]、ガラス若しくはセラミックのマイクロカプセル、並びに8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムである。
【0191】
使用
一実施形態によれば、本発明の組成物は、好ましくは爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするために、より優先的には爪及び/又は付け爪をメーキャップするために、爪及び/又は付け爪に塗布されることが意図される。
【0192】
具体的には、本発明による組成物は、光架橋性マニキュアとして使用されることが意図される。
【0193】
好ましくは、本発明による組成物は、ベースコート又はコーティングとして爪及び/又は付け爪に直接塗布されることが意図される。このようなベースコーティングは、任意選択により、1種以上の後続するコーティングのための第1のコーティングを構成してよい。
【0194】
本発明はまた、爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、本発明による光架橋性組成物を爪及び/又は付け爪に塗布するものである方法にも関する。
【0195】
特定の一実施形態によれば、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法は、少なくとも以下の工程:
A) 本発明による組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなるコーティングが付着し、このコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む。
【0196】
本発明の光架橋性組成物を架橋するのに適した放射線は、210から600nmの間、好ましくは250から420nmの間、好ましくは350から410nmの間の波長を有する。レーザーの使用も企図され得る。
【0197】
本発明の好ましい一実施形態において、LEDランプ又はUVランプ、具体的には、水銀が任意選択によりガリウム等の他の元素でドープされ、光源の発光スペクトルの変更を可能にする、水銀蒸気ランプが使用される。
【0198】
付着コーティングの放射線曝露時間は、反応性成分の化学的性質及び含有率又は所望の架橋密度等、様々な因子によって決まる。
【0199】
マニキュア液として、曝露時間10秒から10分の間、好ましくは30秒から5分の間で満足な結果を得ることが一般に求められている。
【0200】
このような方法は、約36Wの出力のUVランプを使用することができる。
【0201】
好ましくは、工程A)で付着した光架橋性組成物のコーティングを乾燥した後の厚さは、100μm以下、好ましくは75μm以下である。
【0202】
最後の架橋工程の終わりに、爪又は付け爪上に付着したコーティングは、その表面に粘着性のコートを呈し得、例えば、イソプロパノール等の溶媒を使用して架橋コーティングをきれいにする必要がある。
【0203】
一実施形態によれば、本発明の方法は、工程B)の前に、工程A)の終わりに付着したコーティングを乾燥する時間も含み、その継続時間は、10秒〜10分、典型的には30秒〜5分の範囲でよい。前記乾燥は、一般に、大気中及び室温で実施する。
【0204】
本発明による特定の方法は、排他的に、任意選択により上記の乾燥時間によって分けられる、上記の工程A)及び工程B)からなる。
【0205】
一実施形態によれば、架橋工程B)の後、爪に付着したコーティングは、少なくとも1種の着色組成物及び/又は「トップコート」としても知られるトップ組成物で被覆され、これらの組成物は光架橋性又は非光架橋性である。
【0206】
工程B)の架橋で得られる架橋コーティングは、チッピングに対する耐性及びツヤの面で、効果があり、具体的には少なくとも1週間のスケールで、経時的な持久性を示す。したがって、これは、水、摩擦、及び衝撃に対して耐性であることが証明され、この期間中に有意な摩耗又はチッピングは一切示さなかった。
【0207】
このコーティングは、普通のメーキャップ除光液に接触させると、溶解する又は容量を増加する、したがって質量を増加する能力も有する。架橋コーティングが示すこの溶解する又は膨潤する能力は、爪又は付け爪の表面に塗布したとき、その除去に全く有利である。実際、コーティングは、従来の溶解剤を使用する単純なメーキャップ除去で容易に除去できる。
【0208】
したがって、本発明の組成物は、マニキュアの分野で通例の溶解剤を使用して、具体的にはアセトン及び酢酸エチル、並びにこれらの混合物を使用して、有利に除去できる。
【0209】
本発明はまた、爪及び/又は付け爪からメーキャップを除去するための方法であって、上記の通例の溶解剤等のメーキャップ除去組成物を、本発明による組成物のコートを架橋することによって得られる少なくとも1種のコートで被覆された爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって前記架橋コートを除去する工程を含む、方法にも関する。
【0210】
第1のコーティング、又はベースコーティングは、好ましくは、第2のコーティングで被覆される。具体的には、この第2のコーティングは、トップコーティング又は着色コーティングから選択される。より具体的には、第1のコーティングは、第2のコーティングとしての着色コーティングで被覆されてよく、第2のコーティング自体は、第3のコーティングとしてのトップコーティングで被覆されてよい。好ましくは、各コーティングは、それぞれの光架橋性組成物からなり、上記の条件に従って光架橋を受ける。
【0211】
特定の一実施形態によれば、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法は、少なくとも以下の工程:
A) 本発明による第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着し、この第1のコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着する工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む。
【0212】
このような方法において、第2のコーティングは、好ましくは、任意選択により着色剤を含まない、トップコートである。
【0213】
特定の一実施形態によれば、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法は、少なくとも以下の工程:
A) 本発明による第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着し、この第1のコーティングが、爪又は付け爪に直接接触して塗布される工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線に曝露する工程と、
C) 工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布し、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着する工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線に曝露する工程と、
E) 工程C)及びD)から得られる第2のコーティングに、第1の組成物及び第2の組成物とは異なる第3の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第3の組成物のコートからなる第3のコーティングが付着する工程と、
F) 工程E)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む。
【0214】
このような方法において、第2のコーティングは、好ましくは、少なくとも1種の着色剤を含む着色コートであり、第3のコーティングは、好ましくは、着色剤を含まないトップコートである。
【0215】
したがって、好ましい一実施形態に従い、本発明は、爪及び/又は付け爪を被覆するための、特に爪及び/又は付け爪をメーキャップ及び/又はケアするための方法であって、少なくとも以下の工程:
A) 本発明による第1の組成物を爪又は付け爪に塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記光架橋性組成物のコートからなる第1のコーティングが付着する工程と、
B) 工程A)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
C )工程A)及びB)から得られる第1のコーティングに、第1の組成物とは異なる第2の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第2の組成物のコートからなる第2のコーティングが付着し、第2の組成物が、
- 好ましくは次式(XIII)に対応する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)タイプの少なくとも1種のジイソシアネートとの反応によって得られる、少なくとも2つのカルバメート単位を含む、少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート化合物:
【0216】
【化24】
【0217】
[式(XIII)中、
- R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- jは、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- Aは、C1〜C10アルキル基、又は2〜20個のカルバメート単位を含むポリウレタンを表す]、
- (ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に少なくとも1つの(ポリ)オキシエチレン単位を含む、より特定すると1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む、少なくとも1種のウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物を含む、少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、次式(XI)に対応する化合物b):
【0218】
【化25】
【0219】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]、
- α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、少なくとも1種の光開始剤、
- 好ましくは少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)、
- 任意選択により少なくとも1種の着色剤、特に少なくとも1種の顔料
を含む、工程と、
D) 工程C)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と、
E) 任意選択により、工程C)及びD)から得られる第2のコーティングに、第3の組成物を塗布する工程であって、これによって少なくとも1つの前記第3の組成物のコートからなる第3のコーティングが付着する工程であって、第3の組成物が、
- 好ましくは次式(XIII)に対応する、イソホロンジイソシアネート(IPDI)タイプの少なくとも1種のジイソシアネートとの反応によって得られる、少なくとも2つのカルバメート単位を含む、少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート化合物:
【0220】
【化26】
【0221】
[式(XIII)中、
- R1、R2、R3及びR4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- jは、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- Aは、C1〜C10アルキル基、又は2〜20個のカルバメート単位を含むポリウレタンを表す]、
- (ポリ)オキシアルキレン単位を含む、特に少なくとも1つの(ポリ)オキシエチレン単位を含む、より特定すると1〜100個のオキシアルキレン単位、好ましくは5〜50個のオキシアルキレン単位、優先的には約8〜10個のオキシアルキレン単位を含む、少なくとも1種のウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物、好ましくはウレタンポリ(メタ)アクリレート化合物を含む、少なくとも1種の光架橋性化合物b)であって、次式(XI)に対応する化合物b):
【0222】
【化27】
【0223】
[式(XI)中、
- R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C10アルキル鎖、好ましくは水素原子又はメチル基を表し、
- k及びlは、同一又は異なっていてもよく、1から10の間であり、好ましくは2に等しく、
- mは、1から100の間、好ましくは5から50の間、好ましくは約8から10の間であり、
- nは、1から10の間であり、好ましくは1に等しく、
- X及びYは、同一又は異なっていてもよく、C1〜C20アルキル基又はシクロアルキル基を表す]、
- α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、好ましくは水素供与化合物と合わせた芳香族ケトン、芳香族α-ジケトン及びアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの混合物からなる群から好ましくは選択され、有利にはアシルホスフィンオキシドからなる群から選択される、少なくとも1種の光開始剤、
- 好ましくは少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートモノマー、好ましくはテトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)
を含む、工程と、
F) 工程E)の終わりに得られる被覆された爪又は付け爪を紫外線又は可視光線照射に曝露する工程と
を含む、方法に関する。
【0224】
好ましい一実施形態によれば、第3の組成物の第3のコーティングを塗布する場合、第2のコーティングとして塗布される第2の組成物は、少なくとも1種の着色剤を含む。特に好ましい一実施形態によれば、第2のコーティングは、少なくとも1種の着色剤を含む、1種又は好ましくは複数の、例えば2種の、好ましくは同一の着色コートに対応し、第3のコーティングは、好ましくは、着色剤を含まないトップコートである。
【0225】
好ましい一実施形態によれば、工程C)及びD)は合計2回繰り返され、第2の組成物は1回目に塗布して、紫外線又は可視光線照射に曝露し、次いで2回目に塗布して、紫外線又は可視光線照射に曝露し、工程A)及びB)は、E)及びF)と同様に、好ましくはそれぞれ1回だけ行われる。
【0226】
本発明の主題は、
- 本発明による光架橋性化粧用組成物、
- 粒径が200以上、好ましくは300未満、有利には220から280の間である研磨材、及び
- LEDランプ又はUVランプ
を含むキットでもある。
【0227】
本発明の主題は、爪及び/又は付け爪を被覆するための方法であって、以下の工程:
i) 粒径が200以上、好ましくは300未満、有利には220から280の間である研磨材を用いて、爪又は付け爪の表面をこする工程と、
ii) 本発明による光架橋性化粧用組成物を、工程i)に従ってこすった爪又は付け爪の表面に塗布する工程であって、少なくとも1つの前記本発明による組成物のコートからなるコートが付着する工程と、
iii) 工程ii)に従って得られた被覆された爪又は付け爪をLEDランプ又はUVランプに曝露して、光架橋を実施し、架橋コートを得る工程と
を含む、方法でもある。
【0228】
こする工程は、10秒未満、好ましくは5秒未満、例えば約3秒間で実施する。
【0229】
本出願において提示される質量百分率は、別段明確な指定がない限り、使用する化合物の乾物の質量による百分率として分類できる。
【0230】
本発明は、単に例として挙げる以下の記述を読めば、よりよく理解されるであろう。
【実施例】
【0231】
本発明による組成物:
第1の例示的実施形態に従って、以下の第1の組成物を調製した:
【0232】
【表1】
【0233】
組成物の成分を不透明フラスコに入れ、均一な混合物が得られるまで、Rayneri商標の実験室用ミキサーを用いて暗所で攪拌する。溶媒の蒸発を防ぐために、予め容器をアルミニウムシートで覆っておく。
【0234】
予め粒径280のファイルで5秒間未満かけて粗面化しておいた爪に、上記の第1の組成物を塗布してベースコーティング又はベースコートを形成した。
【0235】
塗布後、爪を36WのUVランプ下に3分間置き、組成物を架橋させて膜を形成する。
【0236】
次いで、以下のトップ組成物を調製する:
【0237】
【表2】
【0238】
組成物の成分を不透明フラスコに入れ、均一な混合物が得られるまで、Rayneri商標の実験室用ミキサーを用いて暗所で攪拌する。溶媒の蒸発を防ぐために、予め容器をアルミニウムシートで覆っておく。
【0239】
この組成物を1種以上のコートの形態で第1のコーティング(ベースコーティング)に塗布し、トップコーティングを形成する。
【0240】
各コートの塗布後、1つのみの場合、爪を36WのUVランプ下に3分間置き、組成物を架橋させて、膜を形成し、この操作を塗布された各コート毎に繰り返す。
【0241】
最後のコートを架橋した後、イソプロパノールに浸した脱脂綿で表面を清浄にして、粘着性コートを除去する。
【0242】
別の例示的実施形態によれば、このトップコーティングに先立って、このトップ組成物に類似するが、1種以上の着色剤を追加で含むことを例外とする着色組成物を塗布する。この着色組成物は、以下の組成を有する:
【0243】
【表3】
【0244】
組成物の成分を不透明フラスコに入れ、均一な混合物が得られるまで、Rayneri商標の実験室用ミキサーを用いて暗所で攪拌する。溶媒の蒸発を防ぐために、予め容器をアルミニウムシートで覆っておく。
【0245】
ベースコーティングの塗布後、1種以上の着色組成物のコート、ここでは2種のコートを、ベースコーティングに塗布した。各コートの塗布後、爪を36WのUVランプ下に3分間置き、組成物を架橋させて膜形態の着色コーティングを形成する。
【0246】
着色コーティングを塗布し、このコーティングを膜形態で光架橋した後、前述のトップ組成物を次いで、この1種以上のコート形態の、ここでは単一コートの着色コーティングに塗布する。このコートの塗布後、爪を36WのUVランプ下に3分間置き、組成物を架橋させて膜形態のトップコーティングを形成する。
【0247】
最後のコートを架橋した後、イソプロパノールに浸した脱脂綿で表面を清浄にして、粘着性コートを除去する。
【0248】
比較組成物:
【0249】
【表4】
【0250】
予め粒径280のファイルで5秒間未満かけて粗面化しておいた爪に、上記の比較組成物を塗布してベースコートを形成した。
【0251】
ベースコーティングの塗布後、前述の1種以上の着色組成物のコート、ここでは2種のコートを、ベースコーティングに塗布した。各コートの塗布後、爪を36WのUVランプ下に3分間置き、組成物を架橋させて膜形態の着色コーティングを形成する。
【0252】
着色コーティングを塗布し、このコーティングを膜形態で光架橋した後、前述のトップ組成物を次いで、この1種以上のコート形態の、ここでは単一コートの着色コーティングに塗布する。このコートの塗布後、爪を36WのUVランプ下に3分間置き、組成物を架橋させて膜形態のトップコーティングを形成する。
【0253】
最後のコートを架橋した後、イソプロパノールに浸した脱脂綿で表面を清浄にして、粘着性コートを除去する。
【0254】
本発明による組成物及び比較組成物の、爪上での摩耗特性の性能レベルを評価する。ワニスのチッピング、ワニスの摩耗、及びワニスのツヤの損失が、比較組成物において観察される。
【0255】
それぞれ、本発明による光架橋性組成物を含むベースコーティングを含む、評価された本発明による2つの実施形態において、爪上に良好な摩耗特性を示すワニスが得られる。これを行うため、それを塗布してから14日後に肉眼での簡単な観察によって摩耗特性を評価した。
【0256】
したがって、(ポリ)オキシアルキレン単位を含む(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物を含む本発明による組成物の摩耗特性は、(ポリ)オキシアルキレン単位を含まない(ポリ)ウレタンポリ(ALK)アクリレート化合物を含む比較組成物と比較して、5日の期間、好ましくは10日の期間、更により優先的には14日の期間、より良好であることに留意されたい。
【0257】
この摩耗性能は、前記組成物の塗布前に爪をごく若干だけ粗面化することによりもたらされ、爪の表面を研くことによって光架橋性組成物を爪に付ける従来の侵襲的方法を回避することを可能にし、同時に現在の市場製品と同等又は更に良好な性能レベルが維持される。
【0258】
更に、本発明による組成物中に使用する成分は、膜を光架橋した後、潜在的に感作効果を有する反応性(メタ)アクリレート官能基を含む抽出可能な化合物を極めて低含有率に抑えることを可能にする。
【0259】
次いで、アセトンに15分間接触させた後、ワニスを完全に除去することができ、したがって、ここでも、金属道具、及び電気サンダー、又は研磨ファイルを使用する、メーキャップした爪の表面に対してこすり取るような従来の侵襲的方法なしで、組成物を除去することができる。
【0260】
本願の全体にわたって、「1つを含む(comprising one)」又は「1つを含む(including one)」なる語句は、別段の指定がない限り、「少なくとも1つを含む(comprising at least one)」又は「少なくとも1つを含む(including at least one)」を意味する。
【国際調査報告】