(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539626(P2016-539626A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】能動的および受動的に紙巻きタバコを消火するための装置
(51)【国際特許分類】
A24D 1/10 20060101AFI20161125BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20161125BHJP
A24F 13/18 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
A24D1/10
A24D3/04
A24F13/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-521630(P2016-521630)
(86)(22)【出願日】2014年11月9日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】IL2014050976
(87)【国際公開番号】WO2015068170
(87)【国際公開日】20150514
(31)【優先権主張番号】229341
(32)【優先日】2013年11月10日
(33)【優先権主張国】IL
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516103080
【氏名又は名称】デリ,ツヴィ
【氏名又は名称原語表記】DERI, Tzvi
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100115831
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】デリ,ツヴィ
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045AA26
4B045AB16
4B045BC14
(57)【要約】
紙巻きタバコ消火装置であって、紙巻きタバコのフィルタ内に設けられるように構成され、前記紙巻きタバコを消火するために十分な液体を有し、前記液体が管状液体レセプタクル内で圧縮空気の圧力下にある、前記管状液体レセプタクルと、前記管状液体レセプタクルの端部に設けられ、前記管状液体レセプタクルの側壁よりも圧力および熱の影響を受けやすく、圧力と熱の少なくとも一方によって破裂するように構成されているダイアフラムと、前記ダイアフラムに接続され、前記紙巻きタバコのタバコ領域を通って前記紙巻きタバコの先端部まで延びる中空チューブと、を備え、前記ダイアフラムが破裂すると、前記液体が前記管状液体レセプタクルから前記中空チューブを介して前記紙巻きタバコの燃焼領域まで流れることによって、前記紙巻きタバコを消火する、紙巻きタバコ消火装置。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙巻きタバコ消火装置であって、
紙巻きタバコのフィルタ内に設けられるように構成され、前記紙巻きタバコを消火するために十分な液体を有し、前記液体が管状液体レセプタクル内で圧縮空気の圧力下にある前記管状液体レセプタクルと、
前記管状液体レセプタクルの端部に設けられ、前記管状液体レセプタクルの側壁よりも圧力と熱の影響を受けやすく、圧力と熱の少なくとも一方によって破裂するように構成されているダイアフラムと、
前記ダイアフラムに接続され、前記紙巻きタバコのタバコ領域を通って前記紙巻きタバコの先端部まで延びる中空チューブと、
を備え、
前記ダイアフラムが破裂すると、前記液体が前記管状液体レセプタクルから前記中空チューブを介して前記紙巻きタバコの燃焼領域まで流れることによって前記紙巻きタバコを消火する紙巻きタバコ消火装置。
【請求項2】
請求項1に記載の紙巻きタバコ消火装置であって、
前記ダイアフラムは、喫煙者が能動的に前記フィルタに圧力をかけ前記管状液体レセプタクル内の圧力を増加させることによって破裂するように構成され、
前記ダイアフラムが破裂した結果および前記管状液体レセプタクル内の前記圧力によって、前記管状液体レセプタクル内の前記液体は、前記ダイアフラムの破裂時における前記紙巻きタバコの長さにかかわらず、前記ダイアフラムおよび前記中空チューブを通って、前記燃焼領域に注入される紙巻きタバコ消火装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の紙巻きタバコ消火装置であって、
前記ダイアフラムは、前記ダイアフラム付近の上昇した燃焼温度によって破裂し、
前記ダイアフラムが破裂した結果および前記管状液体レセプタクル内の前記圧力によって、前記管状液体レセプタクルが空になるように、前記管状液体レセプタクル内の前記液体は、受動的に前記ダイアフラムおよび前記中空チューブを通って、前記燃焼領域に注入される紙巻きタバコ消火装置。
【請求項4】
請求項1に記載の紙巻きタバコ消火装置であって、
前記管状液体レセプタクルは、前記管状液体レセプタクル内の前記液体によって印加される圧力に耐え、一端が前記ダイアフラムに接続されている圧縮ばねを含むシリンジを備え、
前記紙巻きタバコの前記フィルタに喫煙者によって印加される圧力によって前記圧縮ばねが解放され、前記ダイアフラムが破裂することによって前記破裂したダイアフラムおよび前記中空チューブを介して前記燃焼領域に前記液体が放出される紙巻きタバコ消火装置。
【請求項5】
請求項4に記載の紙巻きタバコ消火装置であって、
前記ダイアフラムは、前記ダイアフラム付近の上昇した燃焼温度によって破裂することによって前記圧縮ばねを解放するように構成され、
前記ダイアフラムが破裂した結果および前記圧縮ばねの解放によって、前記管状液体レセプタクル内の前記液体が前記ダイアフラムおよび前記中空チューブを通って、前記燃焼領域に注入される紙巻きタバコ消火装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の紙巻きタバコ消火装置であって、
前記管状液体レセプタクル内の前記圧縮空気の容量は、前記管状液体レセプタクルの容量の25%以下である紙巻きタバコ消火装置。
【請求項7】
紙巻きタバコを製造する方法であって、
管状液体レセプタクルを紙巻きタバコのフィルタ内の前記フィルタの中央に挿入する工程であって、前記管状液体レセプタクルが前記フィルタの近位領域から、前記フィルタの全長を通って前記紙巻きタバコのタバコ領域の部位の中まで延びるように挿入する工程と、
前記管状液体レセプタクルを、前記管状液体レセプタクル内の空気を圧縮しつつ液体で満たす工程であって、前記管状液体レセプタクル内で前記圧縮空気が前記液体に圧力をかけるように満たす工程と、
前記管状液体レセプタクルの先端部に、前記管状液体レセプタクルの側壁よりも圧力および熱の影響を受けやすく、圧力と熱の少なくとも一方で破裂するように構成されているダイアフラムを配置する工程と、
中空チューブを前記管状液体レセプタクルの遠位側の前記ダイアフラムに接続する工程であって、前記中空チューブが前記紙巻きタバコの前記タバコ領域を通って延び、前記ダイアフラムが破裂すると、前記管状液体レセプタクルから前記紙巻きタバコの燃焼領域まで前記液体が通ることを可能とし、前記紙巻きタバコを消火するように接続する工程とを備える方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記ダイアフラムを配置する工程は、前記フィルタへの加圧と燃焼に起因する温度上昇への暴露の少なくとも一方によって破裂するダイアフラムを配置する工程を含み、前記ダイアフラムが破裂すると、前記管状液体レセプタクル内の前記圧縮空気により前記液体に印加された圧力によって、前記液体が前記ダイアフラムと前記中空チューブとを通って前記燃焼領域に注入され、前記管状液体レセプタクルが空になるように構成されている工程を備える方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記方法は、前記液体に加え、さらに、前記管状液体レセプタクル内の前記液体によって印加される圧力に耐え、先端が前記ダイアフラムに接続されている圧縮ばねを前記管状液体レセプタクル内に挿入する工程を備え、
前記フィルタに印加される圧力は、結果的に前記圧縮ばねを解放して前記ダイアフラムを破裂させることによって、前記管状液体レセプタクル内の前記液体を放出し、前記ダイアフラムの破裂時における前記紙巻きタバコの長さにかかわらず、前記破裂したダイアフラムおよび前記中空チューブを介して前記燃焼領域に前記液体が流れる方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
ダイアフラムを配置する工程は、燃焼に起因する温度上昇に暴露されることで破裂するダイアフラムを配置する工程を含み、前記ダイアフラムが破裂すると、前記圧縮ばねが解放されることによって、前記液体が前記ダイアフラムと前記中空チューブとを通って、前記燃焼領域に注入されるように構成されている工程を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実施形態によっては、紙巻きタバコの技術分野に関し、より具体的には、喫煙者が火の点いた紙巻きタバコを廃棄することに起因する火害を防ぐための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年、人々が消火されていない紙巻きタバコまたは紙巻きタバコの吸い殻を廃棄することによって、何万もの火災が発生している。米国防火協会(NFPA)によって2007年に発行された「喫煙材料の火災問題」という表題の報告によると、廃棄された紙巻きタバコの吸い殻による火災は、その他の原因による火災よりも多くの死亡原因になっているという。この報告は、他にも、2001年、米国において、31,200件もの火災が廃棄された紙巻きタバコの吸い殻により発生し、結果として民間人の死亡830件、民間人の傷害1770件、そして3億8600万ドルの直接的な物的損害を引き起こしたと公表している。
【0003】
特許文献1は、低延焼性のコーティング材料を使用したタバコ用巻紙およびそのような巻紙を使用した耐火性紙巻きタバコを開示している。巻紙の所定領域が、タバコ用巻紙の多孔率を下げるコーティング材料でコーティングされており、巻紙の所定領域に燃焼領域が達すると結果的に紙巻きタバコが消火する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0132382号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのような紙巻きタバコは、巻紙の適切な領域に燃焼領域が達することのみによって消火され、喫煙者の任意で能動的に消火することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、実施形態によっては、紙巻きタバコの技術分野に関し、より具体的には、喫煙者が火の点いた紙巻きタバコを廃棄することに起因する火害を防ぐための方法および装置に関する。
【0007】
本明細書の教示によるいくつかの実施形態の態様によると、紙巻きタバコ消火装置が提供され、前記紙巻きタバコ消火装置は、
紙巻きタバコのフィルタ内に設けられるように構成され、前記紙巻きタバコを消火するために十分な液体を有し、前記液体が管状液体レセプタクル内で圧縮空気の圧力下にある、前記管状液体レセプタクルと、
前記管状液体レセプタクルの端部に設けられ、前記管状液体レセプタクルの側壁よりも圧力と熱の影響を受けやすく、圧力と熱の少なくとも一方によって破裂するように構成されているダイアフラムと、
前記ダイアフラムに接続され、前記紙巻きタバコのタバコ領域を通って前記紙巻きタバコの先端部まで延びる中空チューブとを備え、
前記ダイアフラムが破裂すると、前記液体が前記管状液体レセプタクルから前記中空チューブを介して前記紙巻きタバコの燃焼領域まで流れることによって、前記紙巻きタバコを消火する、紙巻きタバコ消火装置が提供される。
【0008】
実施形態によっては、前記ダイアフラムは、喫煙者が能動的に前記フィルタに圧力をかけ、前記管状液体レセプタクル内の圧力を増加させることによって破裂するように構成され、前記ダイアフラムが破裂した結果および前記管状液体レセプタクル内の前記圧力によって、前記管状液体レセプタクル内の前記液体は、前記ダイアフラムの破裂時における前記紙巻きタバコの長さにかかわらず、前記ダイアフラムおよび前記中空チューブを通って、前記燃焼領域に注入される。
【0009】
実施形態によっては、前記ダイアフラムは、前記ダイアフラム付近の上昇した燃焼温度によって破裂し、前記ダイアフラムが破裂した結果および前記管状液体レセプタクル内の前記圧力によって、前記管状液体レセプタクルが空になるように、前記管状液体レセプタクル内の前記液体は、受動的に前記ダイアフラムおよび前記中空チューブを通って、前記燃焼領域に注入される。
【0010】
実施形態によっては、前記管状液体レセプタクルは、前記管状液体レセプタクル内の前記液体によって印加される圧力に耐え、一端が前記ダイアフラムに接続されている圧縮ばねを含むシリンジを備え、前記紙巻きタバコの前記フィルタに喫煙者によって印加される圧力によって、前記圧縮ばねが解放され、前記ダイアフラムが破裂することによって、前記破裂したダイアフラムおよび前記中空チューブを介して前記燃焼領域に前記液体が放出される。
【0011】
実施形態によっては、前記ダイアフラムは、前記ダイアフラム付近の上昇した燃焼温度によって破裂することによって前記圧縮ばねを解放するように構成され、前記ダイアフラムが破裂した結果および前記圧縮ばねの解放によって、前記管状液体レセプタクル内の前記液体が前記ダイアフラムおよび前記中空チューブを通って、前記燃焼領域に注入される。
【0012】
実施形態によっては、前記管状液体レセプタクル内の前記圧縮空気の容量は、前記管状液体レセプタクルの容量の25%以下である。
【0013】
本明細書の教示による他の実施形態の態様によると、紙巻きタバコを製造する方法が提供されており、前記方法は、
紙巻きタバコを製造する方法であって、
管状液体レセプタクルを紙巻きタバコのフィルタ内の前記フィルタの中央に挿入する工程であって、前記管状液体レセプタクルが前記フィルタの近位領域から、前記フィルタの全長を通って前記紙巻きタバコのタバコ領域の部位の中まで延びるように挿入する工程と、
前記管状液体レセプタクルを、前記管状液体レセプタクル内の空気を圧縮しつつ、液体で満たす工程であって、前記管状液体レセプタクル内で前記圧縮空気が前記液体に圧力をかけるように満たす工程と、
前記管状液体レセプタクルの先端部に、前記管状液体レセプタクルの側壁よりも圧力および熱の影響を受けやすく、圧力と熱の少なくとも一方で破裂するように構成されているダイアフラムを配置する工程と、
中空チューブを前記管状液体レセプタクルの遠位側の前記ダイアフラムに接続する工程であって、前記中空チューブが前記紙巻きタバコの前記タバコ領域を通って延び、前記ダイアフラムが破裂すると、前記管状液体レセプタクルから前記紙巻きタバコの燃焼領域まで前記液体が通ることを可能とし、前記紙巻きタバコを消火するように接続する工程と、
を備える方法。
【0014】
実施形態によっては、前記ダイアフラムを配置する工程は、前記フィルタへの加圧と燃焼に起因する温度上昇への暴露の少なくとも一方によって破裂するダイアフラムを配置する工程であって、前記ダイアフラムが破裂すると、前記管状液体レセプタクル内の前記圧縮空気により前記液体に印加された圧力によって、前記液体が前記ダイアフラムと前記中空チューブとを通って前記燃焼領域に注入され、前記管状液体レセプタクルが空になるように構成されている工程を備える。
【0015】
実施形態によっては、前記方法は、前記液体に加え、さらに、前記管状液体レセプタクル内に、前記管状液体レセプタクル内の前記液体によって印加される圧力に耐え、先端が前記ダイアフラムに接続されている圧縮ばねを前記管状液体レセプタクル内に挿入する工程を備え、前記フィルタに印加される圧力は、結果的に前記圧縮ばねを解放して前記ダイアフラムを破裂させることによって、前記管状液体レセプタクル内の前記液体を放出し、前記ダイアフラムの破裂時における前記紙巻きタバコの長さにかかわらず、前記破裂したダイアフラムおよび前記中空チューブを介して前記燃焼領域に前記液体が流れる。
【0016】
実施形態によっては、前記ダイアフラムを配置する工程は、燃焼に起因する温度上昇に暴露されることで破裂するダイアフラムを配置する工程であって、前記ダイアフラムが破裂すると、前記圧縮ばねが解放されることによって、前記液体が前記ダイアフラムと前記中空チューブとを通って、前記燃焼領域に注入されるように構成されている工程を備える。
【0017】
特別に定義のない限り、本明細書中で使用される技術的および科学的な用語はすべて、本発明に関連する当業者に一般に理解されている意味と同一である。抵触の場合、定義をはじめとする仕様が優先される。
【0018】
本明細書中で使用されるように、「備える」、「含む」、「有する」という用語、そしてこれらの文法的変形型は、明言された特徴、整数、工程または構成要素を特定するものと見なされるが、1つ以上の追加的なそれらに関する特徴、整数、手順、構成要素またはグループの追加を除外するものではない。これらの用語は、「構成する」および「本質的に構成する」を包含する。
【0019】
本明細書中で使用されるように、不定冠詞「a」および「an」は、文脈によって明確に指示されない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という意味を持つ。
【0020】
本明細書中で使用されるように、数値の前に、「約」という用語が付いている場合、その「約」という用語は+/−10%を示すことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して本明細書中に説明される。本明細書は、図面と併せて、本発明の実施形態がいかに実施されうるか当業者に明らかにする。図面は例示的な考察を目的とし、実施形態の構造詳細を本発明の基本的理解のために必要である以上に詳細に示すことを企画しようとするものでない。明確にするため、図面に描写された対象物には正確な縮尺ではないものもある。
【0022】
【
図1A】本明細書内の教示の実施形態に係る紙巻きタバコを消火する装置の一実施形態の休止状態と消火状態をそれぞれ示す概略的な部分切り取り図である。
【
図1B】本明細書内の教示の実施形態に係る紙巻きタバコを消火する装置の一実施形態の休止状態と消火状態をそれぞれ示す概略的な部分切り取り図である。
【
図2A】本明細書内の教示の実施形態に係る紙巻きタバコを消火する装置の異なる一実施形態の休止状態と消火状態をそれぞれ示す概略的な部分切り取り図である。
【
図2B】本明細書内の教示の実施形態に係る紙巻きタバコを消火する装置の異なる一実施形態の休止状態と消火状態をそれぞれ示す概略的な部分切り取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、実施形態によっては、紙巻きタバコの技術分野に関し、より具体的には、喫煙者が火の点いた紙巻きタバコを廃棄することに起因する火害を防ぐための方法および装置に関する。
【0024】
本明細書内の教示の実施形態に係る紙巻きタバコを消火する装置の一実施形態の休止状態と消火状態をそれぞれ示す概略的な部分切り取り図である
図1Aおよび1Bを参照する。
図1Aおよび1Bの実施形態は、消火液(単に液体とも呼ばれる。)の加圧放出に基づいた紙巻きタバコの能動的および受動的な消火を提供する。
【0025】
図面に見られるように、フィルタ11およびタバコ領域12を有する紙巻きタバコ10は、フィルタ11内に設けられた管状液体レセプタクル14を有する。管状液体レセプタクル14は一般的に、直径が3mm未満で、特定の紙巻きタバコのフィルタ11の長さに合わせた長さである。一般的に、管状液体レセプタクル14は、フィルタ11の近位端部から約0.5cmのフィルタ11の中央部に管状液体レセプタクル14の近位端部がフィルタ11内に隠れるように配置され、先端部は約0.5cmだけタバコ領域12内まで延びている。
【0026】
管状液体レセプタクル14は、紙巻きタバコ10の製造中にフィルタ11に挿入されてもよいし、フィルタが作られてからフィルタ11に差し込まれてもよい。管状液体レセプタクル14は、喫煙者が燃焼している葉タバコを吸い込むことを妨げないように配置されている。管状液体レセプタクル14は、適切な厚みのある適切な材質によって形成されてよいが、実施形態によっては、約0.5mmの厚みのあるナイロンで作られる。管状液体レセプタクル14は、後述の通り、ダイアフラム15によって封止されている。
【0027】
管状液体レセプタクル14は、液体16をその中に有し、その容量は液体が紙巻きタバコの燃焼領域に入ると即時に紙巻きタバコを消火するのに十分で、例えば、0.05〜0.2ml、または約0.15ml等である。管状液体レセプタクル14内の液体16は適切な液体であればよく、例えば、水、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウムまたは任意の適切な液体であってよい。管状液体レセプタクル14内の圧力が気圧より高く、消火機構の作動に応じて、管状液体レセプタクル14から紙巻きタバコ10の先端部に液体16を押し出せるように、液体16は、管状液体レセプタクル14内の空気18を圧縮しながら、管状液体レセプタクル14内に注入されている。管状液体レセプタクル14内が達する圧力は、本技術において周知の理想気体の状態方程式に基づき、室温および気圧にて計算されている。実施形態によっては、管状液体レセプタクル14内の空気圧は、充填時に2〜3気圧の範囲内にある。実施形態によっては、圧縮空気18が液体16に圧力を加え、管状液体レセプタクル14内の圧が解放されると、圧縮空気18が液体16を紙巻きタバコ10の燃焼領域に向けて遠位に押し出すように、圧縮空気18は管状液体レセプタクル14内で液体16の近位に設けられる。実施形態によっては、圧縮空気18は液体16に十分な圧力を加えることができ、同時に管状液体レセプタクル14に過剰に圧力をかけず、また、管状液体レセプタクル14の壁、フィルタ11または紙巻きタバコ10の他の箇所から圧力が漏れないように、圧縮空気18は管状液体レセプタクル14の容量の約25%を占める。
【0028】
管状液体レセプタクル14の先端部に設けられ、そこを封止するダイアフラム15は通常、一般的な円錐形状で、ダイアフラム15に十分な圧力および/または熱が加えられると、ダイアフラム15は破裂し、管状液体レセプタクル14内の圧力を解放するように、圧力および熱に敏感である。実施形態によっては、ダイアフラム15は例えば、約0.1mmの厚さのナイロンのような非常に薄いナイロン製で、管状液体レセプタクル14よりも薄い材料で製造されている。ナイロンにより形成されているダイアフラム15の薄さによって、管状液体レセプタクル14またはダイアフラム15にかかる増加した圧力、または紙巻きタバコの燃焼領域内または隣接部の温度等のダイアフラム15付近の上昇した温度は、結果的にダイアフラム15を破裂させる。ダイアフラム15が管状液体レセプタクル14よりも薄い材料で製造されていることにより、管状液体レセプタクル14にかかる増加圧力は管状液体レセプタクル14に損傷を与えるより先にダイアフラム15を破裂させる結果となる。
【0029】
中空チューブ19は、遠位でダイアフラム15に設けられ、ダイアフラム15からタバコ領域12を通って紙巻きタバコ10の端部に向かって延びている。紙巻きタバコ10の先端部から中空チューブ19が見えないように、紙巻きタバコ10の先端部から短い距離、例えば、紙巻きタバコの端部から約0.5cmで、中空チューブ19は通常、終わっている。実施形態によっては、中空チューブ19は、管状液体レセプタクル14の先端部またはダイアフラム15の先端部に接続されている。一般的に、中空チューブ19は、液体16がその中を通って、タバコ領域12の葉タバコに吸収されずに流れることができるよう製造されている。このように、ダイアフラム15が破裂すると、管状液体レセプタクル14の液体がダイアフラム15を通り、中空チューブ19を通って紙巻きタバコの燃焼領域に流れて、その燃焼領域を消火する。
【0030】
実施形態によっては、中空チューブ19は、タバコ領域12内の中空チューブ19の存在が紙巻きタバコの風味または香りに影響を与えず、どの紙巻きタバコ製造者でも紙巻きタバコの製造に使用した葉タバコから中空チューブ19を製造できるように、タバコ領域12の葉タバコと同じ葉タバコによって形成されているが、別の箇所の葉タバコよりも高密度および/または高圧縮された葉タバコによって形成されている。実施形態によっては、中空チューブ19は、紙巻きタバコを巻くために使用されている紙と同様の紙によって形成されている。しかしながら、中空チューブ19は、タバコ領域12の葉タバコによって液体が吸収されることを防止できるいかなる無毒物質から形成されてもよい。
【0031】
使用にあたり、紙巻きタバコ10は喫煙者による動作で能動的に消火すること、または人が関与することもなく受動的に消火することができる。
【0032】
喫煙者が紙巻きタバコ10の能動的な消火を望み、灰皿等の消火ができる適切な場所を見つけられない場合、喫煙者は、
図1Bに示されているように、フィルタ11の中心に圧力をかけてもよい。フィルタ11にかけられた圧力は、管状液体レセプタクル14内の圧力を増加させ、結果的にダイアフラム15を破裂および管状液体レセプタクル14から中空チューブ19内に液体16を放出させる。圧縮空気18によってかけられた圧力下で、放出された液体は、紙巻きタバコ10の燃焼領域に達し、消火時の紙巻きタバコの長さにかかわらず、紙巻きタバコを消火する。このように、喫煙者は片手だけを使った動きで、直ちに紙巻きタバコ10を消火でき、紙巻きタバコが燃焼したままで火災の危険性をはらみながら廃棄されることを防止できる。
【0033】
紙巻きタバコが燃え尽き、燃焼領域がフィルタ11の領域に到達すると、ダイアフラム15の付近の過度の熱によってダイアフラムが破裂する。圧縮空気18が液体16にかける力によって、液体16は管状液体レセプタクル14から放出され、中空チューブ19に向かって注入され、そこから紙巻きタバコ10の燃焼領域まで流れ、結果として、喫煙者による能動的な紙巻きタバコの消火を必要とせずに、自動で自己要因的に紙巻きタバコを消火することとなる。
【0034】
本明細書内の教示の他の実施形態に係る紙巻きタバコを消火する装置の一実施形態の休止状態と消火状態をそれぞれ示す概略的な部分切り取り図である
図2Aおよび2Bを参照する。
図2Aおよび2Bの実施形態は、圧縮ばねに印加される力の下での液体の放出に基づいた紙巻きタバコの能動的および受動的な消火を提供する。
【0035】
図面に見られるように、フィルタ21およびタバコ領域22を有する紙巻きタバコ20は、フィルタ21内に設けられた管状液体レセプタクル24を有している。管状液体レセプタクル24は一般的に、直径が3mm未満で、特定の紙巻きタバコのフィルタ21の長さに合わせた長さである。一般的に、管状液体レセプタクル24は、フィルタ21の近位端部から約0.5cmのフィルタ21の中央部に、管状液体レセプタクル24の近位端部がフィルタ21内に隠れるように配置され、先端部は約0.5cmタバコ領域22内まで延びている。
【0036】
管状液体レセプタクル24は、紙巻きタバコ20の製造中にフィルタ21に挿入されてもよいし、フィルタが作られてからフィルタ21に差し込まれてもよい。管状液体レセプタクル24は、喫煙者が燃焼している葉タバコを吸い込むことを妨げないように配置されている。管状液体レセプタクル24は、適切な厚みのある適切な材質によって形成されてよいが、実施形態によっては、約0.5mmの厚みのあるナイロン、または適切なプラスチックで作られる。管状液体レセプタクル24は、後述の通り、ダイアフラム25によって封止されている。
【0037】
管状液体レセプタクル24は、液体26をその中に有し、その容量は液体が紙巻きタバコの燃焼領域に入ると即時に紙巻きタバコを消火するのに十分で、例えば、0.05〜0.2ml、または約0.15ml等である。管状液体レセプタクル24内の液体26は適切な液体であればよく、例えば、水、炭酸水素カリウム、重炭酸ナトリウムまたは任意の適切な液体であってよい。また、管状液体レセプタクル24内の液体26およびダイアフラム25の近位には、圧縮コイルばね27が設けられ、液体26の圧力によって圧縮された状態にある。実施形態によっては、圧縮コイルばね27の近位端部は、紙巻きタバコ20の近位端部から約1mmで管状液体レセプタクル24内に設けられている。ボタン28は圧縮コイルばね27の近位端部に接続されており、押圧されると、圧縮コイルばね27を解放する。実施形態によっては、管状液体レセプタクル24、圧縮コイルばね27およびダイアフラム25が共にインジェクタまたはシリンジを形成するように、圧縮コイルばね27の先端部が、ダイアフラム25の近位端部に接続されている。
【0038】
管状液体レセプタクル24の先端部に設けられ、そこを封止するダイアフラム25は通常、一般的な円錐形状で、ダイアフラム25に十分な圧力および/または熱が加えられると、ダイアフラムは破裂して、圧縮コイルばね27を解放し、その結果、管状液体レセプタクル24内から液体26を放出できるように、圧力および熱に対して敏感である。実施形態によっては、ダイアフラム25は、例えば、約0.1mmの厚さのナイロンのような非常に薄いナイロン製である。ナイロンにより形成されているダイアフラム25の薄さによって、圧縮コイルばね27の解放によりかかる圧力、または紙巻きタバコ20の燃焼領域内または隣接部の温度等のダイアフラム25付近の上昇した温度は、結果的にダイアフラム25を破裂させる。
【0039】
中空チューブ29は、遠位でダイアフラム25に設けられ、ダイアフラム25からタバコ領域22を通って紙巻きタバコ20の端部に向かって延びている。紙巻きタバコ20の先端部から中空チューブ29が見えないように、紙巻きタバコ20の先端部から短い距離、例えば、紙巻きタバコの端部から約0.5cmで、中空チューブ29は通常、終わっている。実施形態によっては、中空チューブ29は、管状液体レセプタクル24の先端部またはダイアフラム25の先端部に接続されている。一般的に、中空チューブ29は、液体26がその中を通って、タバコ領域22の葉タバコに吸収されずに流れることができるよう製造されている。このように、ダイアフラム25が破裂すると、管状液体レセプタクル24の液体がダイアフラム25を通り、中空チューブ29を通って紙巻きタバコの燃焼領域に流れて、その燃焼領域を消火する。
【0040】
実施形態によっては、中空チューブ29は、タバコ領域22内の中空チューブ29の存在が紙巻きタバコの風味または香りに影響を与えず、どの紙巻きタバコ製造者でも紙巻きタバコの製造に使用した葉タバコから中空チューブ29を製造できるように、タバコ領域22の葉タバコと同じ葉タバコによって形成されているが、別の箇所の葉タバコよりも高密度および/または高圧縮された葉タバコによって形成されている。実施形態によっては、中空チューブ29は、紙巻きタバコを巻くために使用されている紙と同様の紙によって形成されている。しかしながら、中空チューブ29は、タバコ領域22の葉タバコによって液体が吸収されることを防止できるいかなる無毒物質から形成されてもよい。
【0041】
使用にあたり、紙巻きタバコ20は喫煙者による動作で能動的に消火すること、または人が関与することもなく受動的に消火することができる。
【0042】
喫煙者が紙巻きタバコ20の能動的な消火を望み、灰皿等の消火ができる適切な場所を見つけられない場合、喫煙者は、
図2Bに示されているように、ボタン28を押圧してもよい。ボタン28にかけられた圧力は、圧縮コイルばね27を解放し、次にダイアフラム25を破裂させ、その結果、液体26が管状液体レセプタクル24から中空チューブ29内に放出される。解放された圧縮コイルばね27によってかけられた圧力下で、放出された液体は紙巻きタバコ20の燃焼領域に達し、消火時の紙巻きタバコの長さにかかわらず、紙巻きタバコを消火する。このように、喫煙者は片手だけを使った動きで、直ちに紙巻きタバコ20を消火でき、紙巻きタバコが燃焼したままで火災の危険性をはらみながら廃棄されることを防止できる。
【0043】
紙巻きタバコ20が燃え尽き、燃焼領域がフィルタの領域に到達すると、ダイアフラム25の付近の過度の熱によってダイアフラムが破裂し、圧縮コイルばね27が解放される。解放された圧縮コイルばね27によって液体26にかけられた力により、液体26は管状液体レセプタクル24から放出され、中空チューブ29に向かって注入され、そこから紙巻きタバコ20の燃焼領域まで流れ、結果として、喫煙者による能動的な紙巻きタバコの消火を必要とせずに、自動で自己要因的に紙巻きタバコを消火することとなる。
【0044】
図1Aおよび1Bの実施形態においても、
図2Aおよび2Bの実施形態においても、消火された紙巻きタバコは、灰皿の必要性、または紙巻きタバコの縁から灰を落とす必要性無く、いかなるごみ箱にも廃棄できると理解される。管状液体レセプタクル内の液体の容量は、紙巻きタバコの縁に大量の灰が残された状態でも完全に紙巻きタバコを消火できる十分な容量であり、紙巻きタバコが火災の危険性にならずに廃棄できる。
【0045】
本発明の特定の特徴は、明確にするため、分離した実施形態として説明されているが、単一の実施形態に組み合わせて提供されてもよいと理解される。一方、本発明の様々な特徴は、簡潔にするために、単一の実施形態として説明されているが、別々に、もしくは適切なサブコンビネーション内にて提供されてもよいし、または本発明の他に説明された実施形態内に適切なように提供されてもよい。様々な実施形態において説明されている特定の特徴は、それらの要素がないことで実施形態が動作不能にならなければ、それらの実施形態の必須の特徴として考えられるものではない。
【0046】
本発明は、その具体的な実施形態と共に説明されてきたが、多くの代替例、変形例および変更例が当業者にとって明らかになることは明白である。従って、添付の請求項の範囲内におさまるような代替例、変形例および変更例はすべて含まれると意図している。
【0047】
本出願内で引用または特定されたいかなる参照は、本発明の先行技術として、そのような参照が利用できるという承認として解釈されない。
【0048】
本明細書中で使用されたセクションの見出しは、仕様を容易に理解できるようにするもので、必ずしも限定するものと解釈されるべきではない。
【0049】
関連出願:本出願は、2013年11月10日に出願されたイスラエル国特許出願番号229341により優先権を得るものであり、参照することにより全体が本明細書に記載されているように本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0050】
10 タバコ
11 フィルタ
12 タバコ領域
14 管状液体レセプタクル
15 ダイアフラム
16 液体
18 圧縮空気
19 中空チューブ
【国際調査報告】