特表2016-539663(P2016-539663A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2016-539663農産物を移送するための装置および関連の農機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539663(P2016-539663A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】農産物を移送するための装置および関連の農機
(51)【国際特許分類】
   A01D 87/00 20060101AFI20161125BHJP
   A01D 89/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
   A01D87/00
   A01D89/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-558267(P2016-558267)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月26日
(86)【国際出願番号】EP2014076192
(87)【国際公開番号】WO2015086370
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】13425158.6
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516174138
【氏名又は名称】クベルネランド・グループ・ラベンナ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】KVERNELAND GROUP RAVENNA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラバグリア,パオロ
(57)【要約】
本発明は、梱の形成のために設計される農機のための、農産物を移送するための装置に関する。装置は、牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの種類の農産物のピックアップドラムと梱の形成のための農産物の圧縮のためのチャンバとの間に配置することができる少なくとも1つの羽根車回転体(2)を備える。さらに、回転体(2)は、デッキ(3)に面して、回転体(2)によってピックアップドラムからチャンバへと押される農産物を移送するためのチャネル(4)を少なくとも部分的に区切る。デッキ(3)は、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体(6,7)によって固定フレーム(5)に結合される。少なくとも1つの第1の支持体(6)は、デッキ(3)の第1の部分に結合され、かつ対応のアクチュエータ(10)によって対応のガイドスロット(9)中を移動される少なくとも1つの支持ピン(8)を備える。少なくとも1つの第2の支持体(7)は、デッキ(3)の第2の部分に結合されかつ前進方向に垂直な回転軸(A)の周りで回転可能である少なくとも1つのクランク(11)を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱の形成のために設計される農機のための、農産物を移送するための装置であって、牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの種類の農産物のピックアップドラムと梱の形成のために農産物を圧縮するためのチャンバとの間に配置することができる少なくとも1つの羽根車回転体(2)を備え、前記回転体(2)は、デッキ(3)に面して、前記回転体(2)によってピックアップドラムからチャンバへと押される農産物を移送するためのチャネル(4)を少なくとも部分的に区切り、
前記デッキ(3)は、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体(6,7)によって固定フレーム(5)に結合され、少なくとも1つの第1の支持体(6)は、前記デッキ(3)の第1の部分に結合されかつ対応のアクチュエータ(10)によって対応のガイドスロット(9)中を移動される少なくとも1つの支持ピン(8)を備え、少なくとも1つの第2の支持体(7)は、前記デッキ(3)の第2の部分に結合されかつ前進方向に対して垂直の回転軸(A)の周りで回転可能である少なくとも1つのクランク(11)を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記クランク(11)は、前記アクチュエータ(10)による前記少なくとも1つのピン(8)の移動の結果として、前進方向に垂直な前記回転軸(A)の周りでのその回転のためにそれぞれの支点(12)の周りで空転するように装着されることを特徴とする、請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記クランク(11)および前記支点(12)は、前記チャネル(4)の入口に近接して配置されてピックアップドラムに面し、前記ピン(8)、前記ガイドスロット(9)、および前記アクチュエータ(10)は、前記チャネル(4)の出口に近接して配置されて圧縮チャンバに面することを特徴とする、請求項1および2の一方または両方に従う移送装置。
【請求項4】
前記第2の部分を規定する前記デッキ(3)の前方フラップ(3a)は、前記クランク(11)と一体の管(11a)の周りに回転可能に巻き付けられることを特徴とする、請求項1から3の1項以上に記載の移送装置。
【請求項5】
前記デッキ(3)は通常、前記チャネル(4)の最小横断方向断面に対応する第1の構成に保たれ、前記デッキ(3)は、前記アクチュエータ(10)による前記少なくとも1つのピン(8)の移動および前記クランク(11)の結果的な回転の結果として、前記第1の構成から、前記チャネル(4)の最大横断方向断面に対応する第2の構成に、およびその逆に可動であることを特徴とする、請求項1から4の1項以上に記載の移送装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(10)は、前記第1の構成から前記第2の構成へおよびその逆への遷移のために作業者によって命令され得る油圧式シリンダ(13)によって構成されることを特徴とする、請求項1から5のうち1項以上に記載の移送装置。
【請求項7】
装置は、相互に離間されかつ前記回転軸(A)に平行なかつ前進方向に対して垂直の参照軸に沿って整列される前記ピン(8)のうち2つを備え、前記ピン(8)の各々1つはそれぞれのアクチュエータ(10)によって移動されることを特徴とする、請求項1から6のうち1項以上に記載の移送装置。
【請求項8】
装置は、前記デッキ(3)の両側上に、前進方向に対して垂直の前記回転軸(A)に沿って整列されるそれぞれの前記支点(12)の周りで空転するように装着される前記クランク(11)のうち2つを備えることを特徴とする、請求項1から7の1項以上に記載の移送装置。
【請求項9】
前記ガイドスロット(9)は、前記第1の構成から前記第2の構成への遷移のための前記少なくとも1つのアクチュエータ(10)の作動の結果として、前記デッキ(3)に対して前進方向に沿った後退と地面に向けた下降との対応の組合せられた移動を与えるために、かつ前記デッキ(3)について、産物自体を伴なうようにかつ梱を形成するために設計される圧縮チャンバのローラ(14)に同心の円弧状に実質的に形作られる経路を規定するために、実質的にS字状であることを特徴とする、請求項1から8の1項以上に記載の移送装置。
【請求項10】
前記固定フレーム(5)は、前記デッキ(3)および前記回転体(2)とともに、前記移送チャネル(4)の区切りのために前記デッキ(3)の側方に配置される、相互に面しかつ平行の2つの側壁(5a)を備えることを特徴とする、請求項1から9のうち1項以上に記載の移送装置。
【請求項11】
前記回転体(2)は、前記クランク(11)の前記回転軸(A)に平行にかつ前記デッキ(3)の上方で回転するシャフト(15)と、前記シャフト(15)の少なくとも1つの部分に沿って径方向に分散されて農産物をピックアップドラムから圧縮チャンバへ押す複数のプッシャ歯(16)とを備えることを特徴とする、請求項1から10の1項以上に記載の移送装置。
【請求項12】
装置は複数の径方向の刃を備え、複数の径方向の刃は、ピックアップドラムから圧縮チャンバへの移送の間に農産物を細断するように前記チャネル(4)の中に突出するまで、前記デッキ(3)に沿って設けられるそれぞれのスリットから周期的に出ていくことを特徴とする、請求項11に記載の移送装置。
【請求項13】
梱の形成のための農機であって、牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの種類の農産物のピックアップドラムと、梱の形成のために設計される、前記ピックアップドラムから圧縮チャンバへ受けられる農産物を移送するための装置(1)とを備え、前記移送装置(1)は、前記ピックアップドラムと前記圧縮チャンバとの間に配置され、かつデッキ(3)に面して前記回転体(2)によって前記ピックアップドラムから前記チャンバへと押される農産物を移送するためのチャネル(4)を少なくとも部分的に区切る少なくとも1つの羽根車回転体(2)を備え、
前記デッキ(3)は、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体(6,7)によって固定フレーム(5)に結合され、少なくとも1つの第1の支持体(6)は、前記デッキ(3)の第1の部分に結合されかつ対応のアクチュエータ(10)によって対応のガイドスロット(9)中を移動される少なくとも1つの支持ピン(8)を備え、少なくとも1つの第2の支持体(7)は、前記デッキ(3)の第2の部分に結合されかつ前進方向に対して垂直の回転軸(A)の周りで回転可能な少なくとも1つのクランク(11)を備えることを特徴とする、農機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物を移送するための装置および関連の農機に関する。
【背景技術】
【0002】
農業の分野では、ラウンドベーラー、すなわち、予め切断された予め定められた農産物(牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉など)からなる円筒形の梱を作ることができる農機、が現在広く普及している。そのような機械には、このように、まず、歯を設けた第1の回転するシャフトによって構成され、まず切断された後に予め配置された(「ウインドロー」とも呼ばれる)列に沿って地面上に積上げられもする農産物を回収することができるピックアップドラムが設けられる。
【0003】
ウインドローによって規定される経路を辿って移動しながら、ピックアップドラムは、それ自身が前方向に遭遇する産物を持上げ、当該産物を圧縮チャンバに向けて押す。圧縮チャンバは後方に配置され、圧縮チャンバには、(実質的に円筒形の)チャンバの内側空間の周に沿って配置されかつ産物自体を伴なって梱の形成を可能にする要素(ローラ、ベルト、または懸垂線)が設けられている。
【0004】
従来のラウンドベーラーでは通常、ピックアップドラムを地面から圧縮チャンバへの産物の移送のために独立して設けることができず、したがって、産物がチャンバに到達するように必要な推力を与えることができる別の中間装置が用いられる。
【0005】
より詳細には、切断された農産物を移動させるように設計される装置は通常、第2の回転するシャフトによって構成される回転体からなり、回転体には、交互の運動を有し、かつ下側デッキに向いて、2つの側壁とともに圧縮チャンバの空間に繋がるチャネルを基本的に区切る複数の歯が設けられる。
【0006】
このように、産物はデッキ上をゆっくりと進み、歯によって押される。歯は、この機能のために、産物の中を通り抜けて、これをデッキの上で圧縮チャンバに向けて押す。
【0007】
このように、回転体は、産物に対して上側の推力を加えることができ、さらに、特に刃を設けている場合は、これは、チャネルを通る間に産物をさらに切断しかつ細断することができる。
【0008】
しかしながら、そのような実現例の解決策には欠点がないわけではない。
実際に、集めるべき農産物の地面上での分散は常に均一であるわけではなく、ベーラーはしばしば、その前進の間に産物が少ないウインドローの部分と産物が大量に存在する他の部分とに遭遇することに留意しなければならない。
【0009】
ピックアップドラムが大きな局所化された産物の累積に遭遇してこれを持上げる場合、回転体に移送される大量の材料が詰まってしまう可能性がある(結果的に送りが中断する)。というのも、歯は産物の間を十分に通り抜けられないからであり、その結果、詰まって動かなくなり、したがって回転体は集められた材料を圧縮チャンバに移送することができなくなる。
【0010】
そのような事態においては、作業者は、手作業での妨害物の除去を試みることができるが、チャネル中で圧縮される産物は取出しにくいためそのような作業は非常に厄介であり(かつ時には危険であり)、当然ながら、好ましくない休止期間が長くならざるを得ないのが明らかである。
【0011】
これに代えて(または作業者の手作業での介入に対する助けとして)、ある従来のラウンドベーラーにはデッキが設けられる。デッキは、2つの横方向に隣接する油圧式シリンダによって作動されると、必要に応じて下ろされてチャネルの通路の開口を広げ、妨害物の除去を容易にすることができる。
【0012】
より詳細には、2つのシリンダは、前進方向を横断しかつピックアップドラムと回転体との間に配置される軸の周りでデッキを回転させる。したがって、(ピックアップドラムに面する)上流に配置されるデッキの端縁が実質的に固定されたままとなる一方で、反対側の端縁が下げられて通路の開口が確実に広がる。
【0013】
したがって、通路の開口の広げ方が均一でないことが明らかに思われる。入口の領域では、実際、デッキが回動されかつ前述の横断軸を見ると、断面の増大は実際にはゼロであり、こうして全体的な利点が限定されてしまう。
【0014】
したがって、上述の工夫により、詰まりを少しは解決することができるが、大量の産物の蓄積に対しては全く効果がない(このように、作業者の手作業での介入が必要になる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目標は、産物が大量に蓄積した場合でも圧縮チャンバに向けた農産物の移送を可能にする装置を工夫することによって上述の課題を解決することである。
【0016】
この目標の範囲内で、発明の目的は、それらの産物が大量に蓄積した場合ですら圧縮チャンバに向けて農産物を移送することができる装置を設けた農機を提供することである。
【0017】
発明の別の目的は、単純でかつ低コストの構造で産物の移送を行なうことができる装置を提供することである。
【0018】
発明の別の目的は、妨害物がある場合にはこれを迅速に除去することを可能にする装置を提供することである。
【0019】
発明のさらなる目的は、高い動作信頼性を確実にし、かつ妨害物がある場合にはその除去に作業者の手作業での介入を必要とせずに動作することができる装置を提供することである。
【0020】
発明の別の目的は、市場で容易に入手可能な要素および材料を用いて容易に実現可能な装置を提供することである。
【0021】
発明の別の目的は、低コストでかつ安全に適用される装置および農機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目標およびこれらの目的は、梱の形成のために設計される農機のための、農産物を移送するための装置によって達成され、装置は、牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの種類の農産物のピックアップドラムと梱の形成のための農産物の圧縮のためのチャンバとの間に配置することができる少なくとも1つの羽根車回転体を備え、当該回転体はデッキに面して、当該回転体によってピックアップドラムからチャンバへと押される農産物を移送するためのチャネルを少なくとも部分的に区切り、当該デッキは、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体によって固定フレームに結合され、少なくとも1つの第1の支持体は、当該デッキの第1の部分に結合され、かつ対応のアクチュエータによって対応のガイドスロットの中を移動される少なくとも1つの支持ピンを備え、少なくとも1つの第2の支持体は、当該デッキの第2の部分に結合されかつ前進方向に対して垂直の回転軸の周りで回転可能な少なくとも1つのクランクを備えることを特徴とする。
【0023】
この目標およびこれらの目的は、梱の形成のための農機によっても達成され、農機は、牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの種類の農産物のピックアップドラムと、梱の形成のために設計される、当該ピックアップドラムから圧縮チャンバへ受けられる農産物を移送するための装置とを備え、当該移送装置は、当該ピックアップドラムと当該圧縮チャンバとの間に配置されかつデッキに面して当該回転体によって当該ピックアップドラムから当該チャンバへと押される農産物を移送するためのチャネルを少なくとも部分的に区切る少なくとも1つの羽根車回転体を備え、当該デッキは、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体によって固定フレームに結合され、少なくとも1つの第1の支持体は、当該デッキの第1の部分に結合されかつ対応のアクチュエータによって対応のガイドスロットの中を移動される少なくとも1つの支持ピンを備え、少なくとも1つの第2の支持体は、当該デッキの第2の部分に結合されかつ前進方向に対して垂直の回転軸の周りで回転可能な少なくとも1つのクランクを備えることを特徴とする。
【0024】
発明のさらなる特性および利点は、添付の図面の非限定的例によって示される、発明に従う装置の(および機械の)好ましいがしかし排他的でない実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】動作の第1の構成における、発明に従う装置の右前方斜視概略図である。
図2図1中の装置の右側面立面図である。
図3図1中の装置の左前方斜視概略図である。
図4図1中の装置の左側面立面図である。
図5図1中の装置の正面立面図である。
図6】動作の第2の構成の発明に従う、装置の右前方斜視概略図である。
図7図6中の装置の右側面立面図である。
図8図6中の装置の左前方斜視概略図である。
図9図6中の装置の左側面立面図である。
図10図6中の装置の正面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図を特定的に参照して、参照番号1は一般的に梱の形成のために設計される農機のための、農産物を移送するための装置を表わす。
【0027】
移送装置1は、まず、農産物のピックアップドラムと、(たとえば、排他的にではないが円筒形の)梱の形成に適合されるその圧縮チャンバとの間に配置することができる羽根車回転体2を備える。
【0028】
これ以降、上述の種類の農機中の、発明に従う移送装置1の使用が発明の好ましい適用例を構成し、本論の中でこれを常に参照することに留意すべきである。それにも係わらず、本明細書中で請求される保護の範囲内に留まりつつ、異なる種類の農機中で移送装置1を用いる(任意に、これらをその他の機器と相互作用させる)可能性を排除しない。
【0029】
好ましいがしかし排他的でない適用例をさらに参照して、以上で言及される農産物は、牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの種類であり得ることに留意すべきである。農機(およびそれとともに、発明に従う移送装置1)は、農地に沿って移動しながら、ピックアップドラムを用いてかつ従来の方法に実質的に従って、(通常は既に切断されかつ、「ウインドロー」と呼ばれる予め配置された列に沿って積上げられた)以上で言及された農産物を持上げることができる。これは次に、梱の形成のために装置1によってチャンバに移送される。
【0030】
さらに、発明に従う装置1がその上に配置される農機は、それぞれのトラクター(もしくは他の運動の手段)によって引っ張られることが意図される種類のもの、または駆動ユニット(および作業者のための対応の駆動ステーション)を装備した種類のものであり得ることに留意すべきである。
【0031】
正確には、農産物の移送を可能にするために、回転体2は、(下側)デッキ3に面し、農産物が回転体2によって押されながら農産物がピックアップドラムからチャンバへ移送されるためのチャネル4を区切る。
【0032】
任意の材料からデッキ3を自在に作製することができ、単に平らな板でデッキを構成することができ、または具体的な要件に従ってデッキは他の形状構造を取ることができる。
【0033】
発明に従うと、デッキ3は、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体6および7によって固定フレーム5に結合される。少なくとも1つの第1の支持体6は、デッキ3の第1の部分に結合され、かつ対応のアクチュエータ10によって対応のガイドスロット9内を移動される少なくとも1つの支持ピン8を備える。
【0034】
さらに、少なくとも1つの第2の支持体7は、デッキ3の第2の部分に結合され(かつ好都合には第1の部分から離間され)、かつ前進方向に対して垂直の回転軸Aの周りで回転可能な少なくとも1つのクランク11を備える。
【0035】
特に、クランク11はそれぞれの支点12の周りで空転するように装着される。この態様では、クランクは、アクチュエータ10によるピン8の移動の結果、前進方向に対して垂直の回転軸Aの周りで回転することができる。
【0036】
そのため、実際、アクチュエータ10が作動されてガイドスロット9内部でピン8を移動させると、アクチュエータ10自体およびピン8は(自動的に)クランク11を支点12の周りで回転させ、こうして妨害物を除去する目的のためのデッキ3のより有効な移動を達成する。
【0037】
一方で、(アクチュエータ10によって移動が与えられていないために)ピン8が不動のままである限り、クランク11も不動のままである。図からもわかるように、発明に従う装置1の独自の構造は、実際、デッキ3について、アクチュエータによってピン8およびクランク11の両方においてデッキ3を下げるならびに/または上げることができたとしても、アクチュエータ10によって制御される単一の自由度を与えて、こうして以下のページで記載するような利点を達成するようなものである。
【0038】
発明の適用の非限定的例の目的のために添付の図に示される意義深い実際の対象である実施形態では、クランク11および支点12は、ピックアップドラムに面するチャネル4の入口に近接して配置される。鏡像の態様では、ピン8、対応のガイドスロット9、およびアクチュエータ10は、圧縮チャンバに面するチャネル4の出口に近接して配置される。
【0039】
このように、(作業者による)アクチュエータ10単独の作動に従い、ピン8およびクランク11は両者とも、基本的に移送チャネル4の端に配置されるデッキ3のそれぞれの部分に対して移動を加え、こうしてチャネル4の通路セクションの変化(広がり)が、従来の農機において起こるのとは異なってデッキ3の全長に影響することがわかる。
【0040】
さらにより具体的に、添付の図に提案される解決策では、非限定的例の目的のため、第2の部分を基本的に規定するデッキ3の前方フラップ3aがクランク11と一体の管11aの周りに回転可能に巻き付けられる。
【0041】
したがって、(ピン8の移動の駆動に加えて)アクチュエータ10の作動は、パネル3の前方フラップ3aの移動および前方フラップ3a内部で回転することができる管11aに固く結合されるクランク11の回転を生じさせる。
【0042】
好都合には、移送装置1は通常、図1図2図3図4、および図5に示されかつチャネル4の最小横断方向断面に対応する、第1の構成に保たれる。既に見てきたように、デッキ3に与えられる、アクチュエータ10によって支配される単一の自由度のおかげで(もっとも、デッキ3はクランク11および/または管11a上に静置されているだけであり、したがってさらなる自由度が与えられている装置1を設ける可能性を排除しないが)、(たとえば第1の構成において)デッキ3を不動のまま保つためには、そのようなアクチュエータ10がピン8に対して何ら移動を加えないことで十分である。
【0043】
さらに、デッキ3は、アクチュエータ10によるピン8の移動ならびに(ピン8およびアクチュエータ10による)クランク11の結果的な回転の結果として、第1の構成から、図6図7図8図9、および図10に示されかつチャネル4の最大横断方向断面に対応する第2の構成に、およびその逆に移動することができる。
【0044】
特に、可能な実施形態では、アクチュエータ10は、(たとえば、妨害物を判定するなど、チャネル4に沿って農産物が過剰に蓄積する場合に)第1の構成から第2の構成におよびその逆方向に遷移をさせるように作業者が命令することができる油圧式シリンダ13によって構成される。
【0045】
移送装置1は、相互に離間され、かつ回転軸Aに平行なかつ前進方向に対して垂直の参照軸に沿って整列される2つのピン8を備えることができる。そのような実施形態では、各々のピン8はこのように、(たとえば、対応の油圧式シリンダ13によって構成される)それぞれのアクチュエータ10によって移動される。
【0046】
しかしながら、異なる種類の1つ以上のアクチュエータを設けた具体的な適用の要件に従う装置1も、本明細書中で請求される保護の範囲によってカバーされることに依然として留意すべきである。
【0047】
さらに、発明に従う装置1は、前進方向に対して垂直の回転軸Aに沿って整列されるそれぞれの支点12の周りにおいて、デッキ3の両側に空転するように装着される2つのクランク11を備えることができる。
【0048】
好都合には、図からわかるように、ガイドスロット9は実質的にS字状である(または、少なくとも、少なくとも1つの屈曲部を形成するよう実質的に曲線状になっている)。このように、作業者がアクチュエータ10(または複数のアクチュエータ10)を作動させて第1の構成から第2の構成になると、前進方向に沿った後退と地面に向けた下降とを組合せた対応の移動がデッキ3に与えられて、デッキ3について、農産物自体を伴ないかつ梱を形成するように設計される圧縮チャンバのローラ14と同心の円弧状に実質的に形作られる経路を規定する。
【0049】
ピックアップドラムから取上げられた農産物が圧縮チャンバへの移送の間に地面に落ちるのを確実に防止するために、固定フレーム5は、デッキ3の側方に配置されてデッキ3自体および回転体2とともに移送チャネル4を区切る2つの相互に面する平行な側壁5aを備える。
【0050】
発明の適用の非限定的例の目的のために提案される好ましい実施形態では、回転体2は、クランク11の回転軸Aに平行に回転しかつデッキ3の上方にあるシャフト15を備える。複数のプッシャ歯16がシャフト15の少なくとも1つの部分に沿って(またはその全長にわたって)径方向に分散され、シャフトには、ピックアップドラムから圧縮チャンバへと農産物を押す役割が与えられる。
【0051】
さらに、好ましいがしかし排他的でない実施形態をさらに参照して、移送装置1は、デッキ3に沿って設けられるそれぞれのスリットから、それらがチャネル4の中に突出するまで周期的に出ていくことができる複数の径方向の刃を備えることができる。
【0052】
より具体的には、径方向の刃は、代替的に、持上げられ、そうしてチャネル4の中に突出(デッキ3中に設けられた特別なスリットを通過)し、(ここでもそれぞれのスリットを通って)デッキ3の下へ引下げられることができる。刃は、このように、チャネル4の中に突出している間に、ピックアップドラムから圧縮チャンバへのそれらの移送の間に農産物を細断して、その移動を容易に(かつ詰まりの可能性を低減)して梱の形成の活動を簡略化することができる。
【0053】
さらに、刃がシャフト15に沿って分散されかつプッシャ歯16と交互になった装置2を設ける可能性が排除されるわけではない。
【0054】
このように、本論は、梱の形成のために設計される農機にも関し、農機は、たとえば牧草、穀類、トウモロコシ、乾草、飼葉などの農産物のピックアップドラムと、梱の形成のために設計される、ピックアップドラムから圧縮チャンバに受けられる農産物の移送のための装置1とを備える。
【0055】
移送装置1は、ピックアップドラムと圧縮チャンバとの間に配置され、かつデッキ3に面して、回転体2によって押される農産物のピックアップドラムからチャンバへの移送のためのチャネル4を少なくとも部分的に区切る少なくとも1つの羽根車回転体2を備える。
【0056】
発明に従うと、デッキ3は、命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体6および7によって固定フレーム5に結合される。より詳細には、見てきたように、少なくとも1つの第1の支持体6は、デッキ3の第1の部分に結合されかつ対応のアクチュエータ10によって対応のガイドスロット9の中を移動される少なくとも1つの支持ピン8を備える。さらに、少なくとも1つの第2の支持体7は、デッキ3の第2の部分に結合されかつ前進方向に対して垂直の回転軸Aの周りで回転可能な少なくとも1つのクランク11を備える。
【0057】
発明に従う移送装置の(および農機の)動作は以下のとおりである。
見てきたように、発明に従う移送装置1を装備する農機は、基本的にはウインドローに従って農地に沿って移動され、それらのウインドローを構成する(任意の種類の)農産物をピックアップドラムによって地面から回収することができる。
【0058】
実際、(たとえば地面に平行にかつ前進方向に対して直角に回転する円筒形のドラムによって構成される)ピックアップドラムには、拾い上げのための径方向の歯が設けられ、これにより、ピックアップドラムは、実質的に移送チャネル4の入口にあるその肩部に農産物が持ってこられるまで農機が前進方向に遭遇する予め切断された農産物を持上げることができる。
【0059】
見てきたように、(上向きの領域では回転体2によって、下向きの領域ではデッキ3によって、かつ側方では壁5aによって区切られる)移送チャネル4中で、農産物は、シャフト15に設けられたプッシャ歯16によって圧縮チャンバに向けて押される(任意に、刃による切断行為を経て農産物をさらに細断し、移送およびその後の圧縮の両方を簡略化する)。
【0060】
通常の動作条件下では、デッキ3は第1の構成に保たれ、農産物が地面に落ちるのを防止し、こうして産物は、それらが(たとえば円筒形の)所望の梱を形成するまで圧縮されるチャンバに到達する。
【0061】
ピックアップドラムが大きな局所化された産物の蓄積に遭遇しかつこれを持上げる場合、短時間で移送チャネル4に移送された大量の材料によって回転体2の詰まりが生じる(結果的に送りが中断する)ことが既に分かっている。というのも、プッシャ歯16が産物の間を十分に通り抜けることができず、歯が詰まり、そのため、回転体2が集められた材料を圧縮チャンバに移送することができないからである。
【0062】
そのような欠点を克服しかつ発明に従う移送装置1(および農機)の正常な動作を回復させるために作業者が必要とするのは、(それぞれの制御パネルによって)油圧式シリンダ13(または任意に設けられることがある他のアクチュエータ10)を活性化させることのみである。
【0063】
実際に、油圧式シリンダ13は、それぞれのガイドスロット9内でのピン8の移動を強制的に生じさせ、まず、(スロット9の選ばれた形状によって予め設定される行程に従って)(すなわち、移送チャネル4の出口および圧縮チャンバに近接した)デッキ3の後方フラップ3bの下降を生じさせる。
【0064】
さらに、ピン8の移動により、支点12の周りに空転するように装着されるクランク11(または複数のクランク11)が回転し、こうして(すなわち、移送チャネル4の入口およびピックアップドラムに近接した)デッキ3の前方フラップ3aの下降が強制的に生じる。
【0065】
こうしてデッキ3は第2の構成にされ、(圧縮チャンバにおいてかつピックアップドラムに近接しての両方でデッキ3が下降されることによって)移送チャネル4の全長にわたって農産物に与えられる通路の断面が認め得るほどに広がり、こうして、妨害物の除去を確実にするとともに、それらの産物が大量に蓄積した場合ですら圧縮チャンバに向けた農産物の移送を確実にする。
【0066】
妨害物を解消した後に、作業者は、第1の構成の回復を命令し、かつ農産物の収集、移送、および圧縮の活動を正常に再開して梱を形成することができる。
【0067】
さらに、記載された結果が、構造が油圧式シリンダ13(または他のアクチュエータ10)を単に1つまたは2つと、先述の支持体6および7とを必要とするという点で、単純かつ低コストの構造を用いて達成されることに留意すべきである。
【0068】
さらに、詰まりが発生した際、作業者に必要なのは単に、他のより手のかかる活動(たとえば、従来の農機を用いる際にはしばしば必要となる妨害物の手作業での除去)を行なう必要なしにアクチュエータ10を作動させることであり、それだけで、非常に迅速かつ容易に妨害物の除去が確実になるのが明らかに思われる。
【0069】
さらに、第1の構成から第2の構成に遷移する際、支持体6および7(ならびに特にガイドスロット9について採用される形状)によって定められる下降と後退との移動の組合せによって、デッキ3についての、ローラ14に同心の円弧状に実質的に形作られる(図4および図9に破線で示される)経路が定められることに留意すべきである。
【0070】
そのような選択により、デッキ3と上述のローラ14との間の遊びを最適化することができ、シリンダ13の同じ行程について最大限可能な通路の断面を得ることができるようになる。
【0071】
実際に、発明に従う装置および機械は、デッキを用いることにより、農産物がひどく蓄積した場合ですら圧縮チャンバに向けて農産物を移送することができる装置を設けられるようにする点で、設定された目標および目的を完全に達成することがわかった。当該デッキは、羽根車回転体とともに農産物を移送するためのチャネルを区切り、かつ命令によって移動することができる少なくとも2つの支持体によって固定フレームに結合され、支持体のうち第1のものは、対応のアクチュエータによって対応のガイドスロットの中を移動される少なくとも1つの支持ピンを備える一方で、第2のものは、前進方向に対して垂直の回転軸の周りで回転可能な少なくとも1つのクランクを備える。
【0072】
このように考案された発明は数多くの変形例および修正例が可能であり、そのすべてが添付の請求項の範囲内に入る。さらに、すべての詳細を他の技術的に均等の要素で置換してもよい。
【0073】
示される実施形態において、具体的な例に関連して示される個々の特性は、実際、他の実施形態に存在する他の異なる特性と相互交換されてもよい。
【0074】
実際に、用いられる材料および寸法は、要件および現行技術に従う任意のものであってもよい。
【0075】
この出願が優先権を主張する欧州特許出願第13425158.6号における開示が本明細書中に引用により援用される。
図1
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【国際調査報告】