特表2016-539740(P2016-539740A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539740(P2016-539740A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】シャワーパッチ遮断装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/02 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   A61M25/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-538730(P2016-538730)
(86)(22)【出願日】2014年12月10日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2014077214
(87)【国際公開番号】WO2015086673
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】1322134.6
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516170934
【氏名又は名称】ベダル エヌヴィー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ビアーテン,フォーク
(72)【発明者】
【氏名】デ ムンター,デービッド
(72)【発明者】
【氏名】バン ダム,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C167
【Fターム(参考)】
4C167AA33
4C167BB13
4C167BB24
4C167BB31
4C167BB32
4C167BB40
4C167HH07
4C167HH08
(57)【要約】
生体のカテーテル装着領域の防水遮蔽に役立つ医療装置(100)が記述される。装置は、カテーテル装着領域近辺の身体領域にしっかりと配置できる基部構成要素(110)、および基部構成要素(110)と連結可能な頂部構成要素(120)を備える。基部構成要素(110)または頂部構成要素(120)のうちの一方は、カテーテルチューブまたは輸液ラインを保持するスリット(112)を備える構成要素であり、他方の構成要素は、構成要素が連結されるときスリットを閉じカテーテルのフィードスルーを形成する突起(122)を備える。しっかりと嵌合する第1の部分およびカテーテルの液体密閉構成要素を形成する第2の部分が使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部構成要素がカテーテル装着領域近辺の身体領域にしっかりと配置できるように変形可能な第1の面(111)、および前記第1の面(111)の反対側の第2の面(113)を有する基部構成要素(110)と、
前記基部構成要素(110)の前記第2の面(113)と連結可能で変形可能な第1の面(121)を有する頂部構成要素(120)と
を備え、
前記基部構成要素(110)または前記頂部構成要素(120)のうちの一方は、カテーテルチューブまたは輸液ラインを保持するスリット(112)を備える構成要素であり、他方の構成要素は、前記構成要素が連結されるとき前記スリットを閉じ前記カテーテルのフィードスルーを形成する突起(122)を備え、
前記スリット(112)および前記突起(122)を形成する前記構成要素の第1の部分は第1の素材で製造され、前記カテーテルが適切な位置にあるとき前記カテーテルをしっかりと嵌合するような形状であり、前記スリット(112)および/または前記突起(122)を形成する前記構成要素はまた、第2の素材で形成される第2の部分を備え、前記第2の素材は前記第1の素材より柔軟で変形可能であり、前記第2の部分は前記第1の部分に近接し、前記カテーテルのさらなる液体密閉構成要素を形成するよう配置された、
生体の前記カテーテル装着領域の防水遮蔽に役立つ医療装置(100)。
【請求項2】
前記構成要素の前記第1の部分が、前記構成要素の前記第2の部分内に埋め込まれた、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記カテーテル装着領域を覆うホイル(150)をさらに備え、前記ホイルは前記基部構成要素(110)と前記頂部構成要素(120)の間に配置可能なカテーテル出口部を備える、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第2の素材で製造された前記第2の部分が前記カテーテルチューブまたは輸液ラインの周辺で変形可能である、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記基部構成要素または前記頂部構成要素(110、120)のうちの一方が第2の突起(123)も備え、前記第1の突起(122)および前記第2の突起(123)が、前記第1の素材で製造され、前記他方の構成要素に着脱可能に連結可能である、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項6】
前記頂部構成要素(120)が、操作の間、前記頂部構成要素(120)を保持するための保持部(124)を備える、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項7】
前記頂部構成要素(120)が前記頂部構成要素(120)を保持するための第1の保持部(124)および第2の保持部(125)を備え、前記第1の保持部および前記第2の保持部が、前記保持部を互いに対して同時に押すとき前記着脱可能な連結部を開くよう構成された、請求項6に記載の医療装置(100)。
【請求項8】
防水密閉に役立つよう、前記基部構成要素(110)の前記第1の面(111)、前記基部構成要素(110)の前記第2の面(113)、前記頂部構成要素(120)の前記第1の面のうちの1つまたは複数において接着物質をさらに備える、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項9】
前記接着物質が両面接着層である、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項10】
前記接着物質が、前記カテーテル装着領域を覆うため少なくともホイル(150)の周囲に位置する、請求項8から請求項9のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項11】
カテーテルがない場合、前記スリットを閉じる閉鎖構成要素を備え、前記閉鎖構成要素は前記カテーテルまたは輸液ラインと同一の断面を有する完全置換部品である、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項12】
前記基部構成要素および前記頂部構成要素が防水素材で製造された、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項13】
カテーテルが置かれ、前記第1および第2の構成要素が連結された状態で、前記第1の部分が前記カテーテルを保持する場合、さらに密閉効果を生じるように、前記第2の部分が前記カテーテルに対して圧迫されるよう前記第1の部分が前記第2の部分に対して構成された、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項14】
前記基部構成要素が前記スリットを備え、前記頂部構成要素が前記突起を備える、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項15】
前記第2の素材がエチレンプロピレンジエンモノマーゴムである、前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項16】
前記ホイルが透明であり、よって視認可能な検査を可能にする、請求項3に従属する範囲内の前述のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項17】
前記基部構成要素および前記頂部構成要素が互いの中にカチッと嵌められたときに、前記医療装置のなめらかな上表面を形成するような形状に前記基部構成要素および前記頂部構成要素が適合された、請求項1または請求項2のいずれかの請求項に記載の医療装置(100)。
【請求項18】
前記医療装置(100)が、前記カテーテル領域および前記なめらかな上表面を覆って貼り付ける透明ホイル(150)を備える、請求項17に記載の医療装置(100)。
【請求項19】
生体のカテーテル装着領域の防水遮蔽のための請求項1から請求項18のいずれかの請求項による医療装置の使用。
【請求項20】
生体にカテーテルを固定するための請求項1から請求項18のいずれかの請求項による医療装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療の分野に関する。より具体的には、生体の傷を保護する装置、または例えば汚れおよび水から保護して生体に装着される医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療において、カテーテルは、医薬品、非経口栄養、血液または血液成分、または他の液体を送達する人体への経路を設けるのに使用される。後者は通常、病気または外科的処置の実行中の患者に対して使用される。送達する必要がある液体の種類によって、また時々患者または患者の症状によって、種々のカテーテルおよびそれらを適用する種々の方法が選択可能である。
【0003】
第1のタイプのカテーテルは、末梢静脈カテーテルである。このカテーテルは、末梢静脈内に挿入される。第2のタイプのカテーテルは、正中カテーテルである。そのようなカテーテルは通常8から25cmの間の長さであり、しばしば上腕静脈内に取り付けられる。第3のタイプのカテーテルは、大静脈内に取り付けられる中心静脈カテーテルである。
【0004】
さらに他のタイプのカテーテルは、末梢挿入中心カテーテル、トンネルカテーテルおよびポートカテーテルである。これらのカテーテルを、例えば患者の胸部領域のように人体のいくつかの位置に装着することが可能である。
【0005】
多数の患者は、例えば中心カテーテル、トンネルカテーテルまたはポートカテーテルといったカテーテルを、例えば週単位または月単位といった長期間使用する必要がある。カテーテルの正しい位置決めは時間がかかり、人体内のカテーテルの交換または再導入はさらなる感染症のリスクをもたらし、導入中、患者にさらなる痛みをもたらすので、同一のカテーテルを長期間使用するのがしばしば望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カテーテル使用の欠点は、患者が取ることが可能な動作をしばしば限定することである。例えばカテーテルまたはその一部が人体に装着された間には、体を洗うまたはシャワーを浴びることは、あらゆる状況で例えば汚れ、空気またはシャワー水がカテーテルに入り込むことは避けるべきであるので、困難または不可能でありうる。後者はカテーテルの適切な動作を妨げ、ある状況では、危険または生命を脅かす状態につながりかねない。
【0007】
そのような深刻な状態を避けるため、カテーテルが装着された患者はしばしばシャワーを禁止される。カテーテルの適切な密閉は、深刻な状態を防ぐことができ、例えばシャワーを可能にできる。それにもかかわらず、効率的および適切な密閉手段はいまだ広まっていない。しばしば、不適切なパッチ、プラスチックバッグの一部、クリングフィルム、プラスチック手袋の一部などのような不適切な密閉手段が適用される。これらの密閉手段は正確でない密閉をもたらし、付けるのが困難であり、標準の取扱によって付けることができない。全般的に、今日の実践で使用される多数の密閉手段は、優れた医療実施による動作を可能にしない。過去数年に市販されたいくつかの特殊化した密閉手段が、これらの問題の解消を試みている。
【0008】
第1のセットの例は、カテーテルが装着される身体部分を覆って取り付けられるバッグタイプの装置に関する。バッグタイプの装置の出口側は、通常、身体部分にバッグを接着する接着片が設けられる。米国特許第US5720713号で、システムにカテーテルのフィードスルーが設けられ、フィードスルーはPUフォームで製造される。代替物もまた市販されており、バッグをたたんで生じるひだにより密閉がもたらされる。
【0009】
第2のセットの例では、入浴中に使用するカテーテルを覆うパッチが使用されている。米国特許出願第US2008167626号に記載される例で、複数層のパッチが提供されており、層のうちの1つの中にカテーテルのフィードスルーが設けられ、パッチの接着部分により水密性がもたらされる。しばしば互いの頂部を装着するために2つの接着パッチが使用され、かなりの量の接着剤および素材を必要とする。さらに、どのようにしてもカテーテルに沿って流れる液体を、カテーテルを介して遮蔽された領域に入り込むことから防ぐのは困難でありうる。さらに他の例では、カテーテルに置き、液体がカテーテルを介して遮蔽された領域に入り込むことを防ぐ付加的なクリップが提供される。後者は例えば、米国特許第US6,267,115号に記載される。
【0010】
いくつかの密閉装置は、入浴するまたはシャワーを浴びる前にカテーテルを分離する必要がある欠点を有する。この分離は、それが医療スタッフにより行われるべきであるため、介護者にかかる時間が増え、患者の自主性を低下させるので、欠点である。また分離は、カテーテルの閉塞および感染症のリスクを増加する。
【0011】
適切な密閉を提供するのに、改善の余地がまだある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、人体に装着された輸液ライン、カテーテルまたはカテーテル出口部の安全な遮蔽を可能にする医療装置の提供を目的とする。
【0013】
カテーテルまたはカテーテル出口部の頑丈な防水バリアが得られることは、本発明による実施形態の利点である。
【0014】
例えばシャワーを浴びるまたは体を洗う間、さらなる人員または医療スタッフまたは介護者による補助なしに患者が使用可能な、容易に使用可能な医療装置が提供されることは、本発明による実施形態の利点である。多くの追加の実行すべき準備動作なしに、例えばシャワーを浴びるまたは体を洗う間、医療装置が使用可能であることは、本発明による実施形態の利点である。
【0015】
シャワーを浴びることまたは体を洗うことへの融通性を高めることで、患者に患者個人の衛生および安心感を増加させることは、本発明による実施形態の利点である。
【0016】
例えば血流感染のようなカテーテル関連の感染症といった感染症のリスクが任意選択的に低いまたは減少されることは、本発明の少なくともいくつかの実施形態の利点である。
【0017】
本発明の実施形態が、患者をより自立させることができ、その結果、医療スタッフまたは介護者にとって時間のかかる行動が減り、他の行動を実行するより多くの空き時間がもたらされることは、本発明の実施形態の利点である。
【0018】
前述の目的は、本発明による方法および装置により達成される。
【0019】
本発明は、基部構成要素がカテーテル装着領域近辺の身体領域にしっかりと配置できるように変形可能な第1の面、および第1の面の反対側の第2の面を有する基部構成要素と、基部構成要素の第2の面と連結可能な変形可能な第1の面を有する頂部構成要素を備え、基部構成要素または頂部構成要素のうちの一方は、カテーテルチューブまたは輸液ラインを保持するスリットを備える構成要素であり、他方の構成要素は、構成要素が連結されるときスリットを閉じカテーテルのフィードスルーを形成する突起を備え、スリットおよび突起を形成する構成要素の第1の部分は第1の素材で製造され、カテーテルが適切な位置にあるときカテーテルをしっかりと嵌合するような形状であり、スリットおよび/または突起を形成する構成要素はまた、第2の素材で形成される第2の部分を備え、第2の素材は第1の素材より柔軟で変形可能であり、第2の部分は第1の部分に近接し、カテーテルのさらなる液体密閉構成要素を形成するよう配置された、生体のカテーテル装着領域の防水遮蔽に役立つ医療装置に関する。
【0020】
医療装置はカテーテル領域の液密密閉に適切であるが、医療装置はその適用に限定されず、より一般的に例えばドレナージカテーテルのようなカテーテルの固定も、本発明の実施形態によりまた考えられる。
【0021】
カテーテルのフィードスルーに液密密閉が提供され、例えば入浴またはシャワーの間、カテーテルを取り付けたままにすることを可能にすることは、本発明による実施形態の利点である。
【0022】
硬質の部分が設けられてカテーテルを固定して位置決めることを可能にし、柔軟な部分が設けられて追加の密閉構成要素を提供することは、本発明による実施形態の利点である。
【0023】
硬質の素材でスリットおよび突起の少なくとも一部が製造されることは、本発明による実施形態の利点である。身体に取り付けられるとき、基部構成要素の変形可能な部分および頂部構成要素の変形可能な部分のみが変形し、身体との防水連結を確実にする。スリットおよび突起の硬質の部分は変形せず、カテーテルとのしっかりとした連結を確実にする。第1の部分は、カテーテルにしっかりと嵌合してもよく、特定のタイプおよびサイズのカテーテルとの動作のために特に開発してもよい。
【0024】
構成要素の第1の部分を、構成要素の第2の部分内に埋め込んでもよい。
【0025】
硬質の素材が柔軟な素材の中に埋め込まれることは、実施形態の利点である。これは、柔軟な素材が変形して身体とよく連結するが、硬質の素材は柔軟な素材と防水密着を保つことを確実にする。そのような構造は、オーバーモールドにより、または硬質および柔軟な素材を別々に生産し、それから硬質および柔軟な素材を密閉することにより実現可能である。
【0026】
装置はカテーテル装着領域を覆うホイルをさらに備えてもよく、ホイルは基部構成要素と頂部構成要素の間に配置可能なカテーテル出口部を備える。
【0027】
カテーテル装着領域全体の正確な密閉を実施可能であること、および入浴するまたはシャワーを浴びる間、カテーテルを取り付けたままにしてもよいことは、本発明による実施形態の利点である。
【0028】
第2の素材で製造された第2の部分は、カテーテルチューブまたは輸液ラインの周辺で変形可能であってもよい。
【0029】
基部構成要素または頂部構成要素のうちの1つが第2の突起を備えてもよく、第1の突起および第2の突起が、第1の素材で製造され、他の構成要素に着脱可能に連結可能である。
【0030】
頂部構成要素および基部構成要素を互いにしっかりと装着することができ、一方でなお例えばクリック機構、クリップ機構などの着脱可能な連結機構を開くことによりそれらを離すのが可能であることは、本発明の実施形態の利点である。着脱可能な連結は、装置の容易な取り付けならびに取り除きを可能にする。
【0031】
頂部構成要素は、操作の間、頂部構成要素を保持するための保持部を備えてもよい。
【0032】
頂部構成要素上の保持部、例えばフィンが、例えば頂部構成要素を取り付けるまたは取り除くといった操作時に、ユーザがしっかりと頂部構成要素を保持するのを可能にすることは、本発明による実施形態の利点である。
【0033】
頂部構成要素は頂部構成要素を保持するための第1の保持部および第2の保持部を備えてもよく、第1の保持部および第2の保持部が、保持部を互いに対して同時に押すとき着脱可能な連結部を開くよう構成される。
【0034】
両方のフィンを押すことがクリック機構を開くことを可能にし、それが基部構成要素から頂部構成要素を容易に取り除くことを可能にすることは、本発明の実施形態の利点である。
【0035】
別の実施形態では、保持部は単一の保持部であり、ユーザが例えばスナップの上側を持って操作することを可能にする。
【0036】
装置は、防水密閉に役立つよう、基部構成要素の第1の面、基部構成要素の第2の面、頂部構成要素の第1の面のうちの1つまたは複数において接着物質をさらに備えてもよい。
【0037】
両面接着層の存在は、装置の部品間、および基部構造と身体の間の防水連結に役立つ。
【0038】
接着物質は、両面接着層であってもよい。
【0039】
接着物質は、カテーテル装着領域を覆うため少なくともホイルの周囲の位置にあってもよい。
【0040】
装置はカテーテルがない場合スリットを閉じる閉鎖構成要素を備えてもよく、閉鎖構成要素はカテーテルまたは輸液ラインと同一の断面を有する完全置換部品である。
【0041】
装置を通るカテーテルチューブまたは輸液ラインがないときでも装置を閉じることが可能であることは、本発明の実施形態の利点である。スリットは通常、通す必要がある輸液ラインに適合するサイズで選択される。
【0042】
基部構成要素および頂部構成要素を、防水素材で製造してもよい。
【0043】
カテーテルが置かれ第1および第2の構成要素が連結された状態で、第1の部分がカテーテルを保持する場合、さらに密閉効果を生じるように、第2の部分がカテーテルに対して圧迫されるよう第1の部分を第2の部分に対して構成してもよい。
【0044】
基部構成要素がスリットを備えてもよく、頂部構成要素が突起を備えてもよい。
【0045】
第2の素材は、エチレンプロピレンジエンモノマーゴムまたはPVC素材であってもよい。
【0046】
ホイルが透明であり、よって視認可能な検査を可能にしてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、基部構成要素および頂部構成要素が互いの中にカチッと嵌められたときに、医療装置のなめらかな上表面を形成するような形状に基部構成要素および頂部構成要素が適合される。
【0048】
医療装置は、カテーテル領域およびなめらかな上表面を覆って貼り付ける透明ホイルを備えてもよい。
【0049】
本発明はまた、生体のカテーテル装着領域の防水遮蔽のための前述の医療装置の使用に関する。
【0050】
本発明の特定のおよび望ましい態様が、添付の独立請求項および従属請求項で述べられる。単に請求項に明確に記述されているだけでなく、従属請求項の特徴を独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴と必要に応じて組み合わせてもよい。
【0051】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して明らかになり解明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】本発明の実施形態による、医療装置内に含まれる種々の構成要素の概略3次元図である。
図2】本発明の実施形態による、ホイルおよび頂部構成要素の概略上面図である。
図3】本発明の実施形態による、ホイルおよび頂部構成要素の概略正面図である。
図4】本発明の実施形態による、基部構成要素の概略上面図である。
図5】本発明の実施形態による、基部構成要素の概略正面図である。
図6】本発明の実施形態による、装置を装着する例示的な方法の方法ステップである。
図7】本発明の実施形態による、装置を取り除く例示的な方法の方法ステップである。
図8】本発明の実施形態による、据付部および基部構成要素の概略3次元図である。
図9】本発明の実施形態による、基部構成要素上に据え付けられた頂部構成要素の概略3次元図である。
図10】本発明の実施形態による、基部構成要素の3次元線図である。
図11】本発明の実施形態による、頂部構成要素の3次元線図である。
図12】本発明の実施形態による、基部構成要素および頂部構成要素の3次元線図である。
図13】本発明の実施形態による、基部構成要素および頂部構成要素の3次元線図である。
図14】本発明の実施形態による、基部構成要素および頂部構成要素の3次元線図である。
図15】本発明の実施形態による、基部構成要素および頂部構成要素の3次元線図である。
図16】本発明の実施形態による、基部構成要素および頂部構成要素がカチッと嵌められた構成での、基部構成要素および頂部構成要素の概略図である。
図17】本発明の実施形態による、ホイル、基部構成要素、頂部構成要素およびカテーテルの部分の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図は単に概略であり、限定するものではない。例示の目的のため、図内でいくつかの構成要素のサイズは強調され、縮尺通りではないかもしれない。
【0054】
請求項内のいずれの引用符号も、範囲の限定として解釈されるべきではない。
【0055】
異なる図内の同一の引用符号は、同一または類似の構成要素を指す。
【0056】
本発明を特定の実施形態に関しておよび特定の図を参照して記載するが、本発明はこれらに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載された図は概略のみであり、限定するものではない。例示の目的のため、図内でいくつかの構成要素のサイズは強調され、縮尺通りではないかもしれない。寸法および相対寸法は、本発明の実施のための実際の縮小に対応しない。
【0057】
さらに、記載および請求項内の第1、第2などの用語は、同様の構成要素を識別するために使用されており、序列またはいずれの他の方法において必ずしも時間的、空間的な順序を記述するために使用されていない。そのように使用される用語は適切な状況下で置き替え可能であり、本明細書に記載された本発明の実施形態は本明細書に記載されまたは示された以外の順序で作動可能であることを理解すべきである。
【0058】
また、記載および請求項中の頂部、下部などの用語は記述的な目的で使用され、必ずしも相対的な位置の記載のためではない。そのように使用される用語は適切な状況下で置き替え可能であり、本明細書に記載された本発明の実施形態は本明細書に記載されまたは示された以外の方向で作動可能であることを理解すべきである。
【0059】
請求項で使用される用語「備える」は、その後に列挙される手段を制限するものと解釈されるべきではなく、他の構成要素またはステップを排除しないことに留意すべきである。よってそれは、述べられたように記述の特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を規定するものとして解釈されるべきであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。よって、「手段AおよびBを備える装置」の表現の範囲を、構成要素AおよびBのみを有する装置に限定すべきではない。本発明に関して、装置の最適の関連する構成要素がAおよびBであることを意味する。
【0060】
本明細書を通して、「1つの実施形態」または「実施形態」の記載は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書を通して種々の箇所での「1つの実施形態で」または「実施形態で」の語句の出現は、必ずしも全て同一の実施形態を述べていないが、そうでありうる。さらに、この開示から当業者に明らかであろうように、1つまたは複数の実施形態で、特定の特徴、構造または特性を任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
【0061】
同様に、開示を簡素化し種々の発明の態様の1つまたは複数の理解を補助するため、本発明の例示的な実施形態の記載で、本発明の種々の特徴は1つの実施形態、図、またはその記載内でときどきグループ分けされることを理解すべきである。しかしこの開示方法は、主張する発明がそれぞれの請求項に明示的に列挙されたより多くの特徴を必要とする意図の反映として解釈されるべきではない。むしろ、後述の請求項が反映するように、発明の態様は1つの前述の開示された実施形態の全ての特徴より少ない。よって詳細な記載に続く請求項は、これによって本発明の個々の実施形態として、それぞれの請求項が独立性を有して、この詳細な記載内に明示的に含まれる。
【0062】
当業者が理解するであろうように、さらに、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含み他の特徴は含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば後述の請求項で、主張する実施形態はあらゆる組み合わせで使用可能である。
【0063】
本明細書で提供される記載で、多数の特定の詳細を述べる。しかし、本発明の実施形態をこれらの特定の詳細なしに実施しうることが理解される。他の例で、この記載の理解を不明瞭にしないように、公知の方法、構造および技術は詳細に示されていない。
【0064】
本発明の実施形態で「基部構成要素」という場合、これは患者の皮膚に固定可能な(例えば接着された)装置の一部を指す。それは、皮膚と基部構成要素の間の優れた防水接合が可能なように、変形可能な第1の面を有する。
【0065】
本発明の実施形態で「頂部構成要素」という場合、これは基部構成要素の頂部に据付可能な装置の一部を指す。
【0066】
第1の態様で本発明は、生体のカテーテル装着領域の防水遮蔽に役立つ医療装置に関する。医療装置は、生体、例えば患者がカテーテルを取り付けた状態でシャワーを浴び、体を洗い、入浴することを可能にし、よって患者により多くの快適性をもたらす。いくつかの実施形態では、医療装置はカテーテルチューブまたは輸液ライン単独のフィールドスルーを備える密閉構成要素を含み、一方で他の実施形態では被覆ホイルもまた医療装置の一部である。医療装置はカテーテル装着領域の防水遮蔽のため有益に使用可能であるが、本発明の実施形態による医療装置はそれらに制限されず、単にカテーテル、例えばドレナージカテーテルの固定などのためにも適用可能である。医療装置は、いくつかの実施形態では1回の使用のための消耗品として考えられてもよい。本発明の実施形態によると、医療装置は、基部構成要素がカテーテル装着領域近辺の身体領域にしっかりと配置できるように変形可能な第1の面、および第1の面の反対側の第2の面を有する基部構成要素を備える。医療装置はまた、基部構成要素の第2の面と連結可能で変形可能な第1の面を有する頂部構成要素を備える。それによって医療装置内で基部構成要素または頂部構成要素のうちの一方は、カテーテルチューブまたは輸液ラインを保持するスリットを備える構成要素であり、他方の構成要素は、構成要素が連結されるときスリットを閉じカテーテルのフィードスルーを形成する突起を備える。スリットおよび突起を形成する構成要素の第1の部分は第1の素材で形成され、カテーテルが適切な位置にあるときしっかりと嵌合するような形状である。スリットおよび/または突起を形成する構成要素はまた、第2の素材で形成される第2の部分を備え、第2の素材は第1の素材より柔軟で変形可能であり、第2の部分は第1の部分に近接し、カテーテルのさらなる液体密閉構成要素を形成するよう配置される。第2の素材は、デュロメータで測定して25から65の間の岸を有してもよい。第1の素材の引張係数は、1000から2500MPaの間であってもよい。
【0067】
後述の特定の実施形態および例で、カテーテルチューブまたは輸液ラインを受け入れるスリット部は基部構成要素内にあり、突起は頂部構成要素内に示されている。当業者は、本発明が、スリットが頂部構成要素内に設けられ、突起が基部構成要素内にある装置もまた含むことを理解するだろう。それにもかかわらず、医療装置の装着の簡便性の観点で、カテーテルチューブまたは輸液ラインを基部構成要素内のスリット内に位置決めるのが望ましいように見える。
【0068】
例示の目的で、本発明の実施形態はそれらに限定されず、いくつかの例示的な実施形態をさらに述べ、本発明の実施形態の標準および任意の特徴を説明する。様々な図を参照する。
【0069】
図1は、本発明の第1の特定の実施形態による医療装置の分解図を示す。医療装置は、カテーテル装着領域の確実な防水バリアの形成を可能にする。医療装置は、カテーテルが装着される身体領域の密閉に使用されるホイル150、ならびにカテーテルチューブまたは輸液ラインのフィードスルーを密閉する構成要素に基づく。後者により、患者がシャワーを浴びるまたは入浴する間、カテーテルの機能が保たれる。接着ホイルのみの使用は概してカテーテルチューブまたは輸液ラインがホイルを離れる箇所では密閉が劣るが、フィードスルーを密閉する特定の構成要素の使用により適切に密閉される。そのような密閉が劣る箇所では、水、石鹸または入ってくる汚れに弱く、その位置で医療装置がゆるみやすい。
【0070】
第1の実施形態による装置100は、図1図4および図5に示された基部構成要素110を備える。基部構成要素110は、基部構成要素がホイルのカテーテル出口部近辺の身体領域にしっかりと配置できるように変形可能な第1の面111を有する。本実施形態で基部構成要素は両面接着層を用いて身体に接着されるが、実施形態はそれらに限定されず、他の接着剤または他の固定物質もまた適用してもよい。この接着層は基部構成要素の底部側、すなわち基部構成要素と皮膚の間にあることが可能である。接着層はまた基部構成要素周辺にあって、基部構成要素の端部および皮膚を覆うことが可能である。端部およびその周囲の皮膚を覆うテープ154を用いることにより、基部構成要素の端部が皮膚に固定される固定手段の例が、図1に示される。基部構成要素110は、第1の面111の反対側の第2の面113上にチューブを保持するスリット112を有する。基部構成要素110は、防水素材で製造される。基部構成要素110の少なくとも一部は、変形可能な素材111、113で製造される。本発明の実施形態で、下方の身体によく適合するように、型を選択してもよい。図5に示されるように、厚さ(H)は例えば、スリット112近辺で最も厚く、端部に向けて薄くなってもよい。これは、いわゆる変形可能な翼をもたらす。これらの翼は、厚い部分よりも身体形状により容易に適合する。図の例示的な実施形態は、翼形状の基部構成要素110を示す。しかし本発明の実施形態は、これらに限定されない。1つの例では、柔軟な素材は、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(EPDMゴム)である。使用しうる基部構成要素の形状および寸法の1つの例が、図4および図5で示される。本発明の実施形態で、基部構成要素の長さLは、例えば10mmから150mmの間、例えば50mmから100mmの間、例えば74.4mmであってもよい。本発明の実施形態で、基部構成要素の幅Wは、例えば20mmから200mmの間、例えば80mmから120mmの間、例えば101mmであってもよい。本発明の実施形態で、基部構成要素の最大高さHは、例えば4mmから20mmの間、例えば8mmから12mmの間、例えば8.9mmであってもよい。
【0071】
医療装置100はまた、頂部構成要素120を備える。頂部構成要素120は通常、変形可能な第1の面121を有してもよい。この変形可能な第1の面121は、基部構成要素110と頂部構成要素120の間で防水密閉が実現可能なように変形可能である。基部構成要素110が翼形状である本発明の実施形態による1つの例では、頂部構成要素120の変形可能な第1の面121は変形可能であり、翼形状の頂部構成要素110を防水密閉する。
【0072】
また頂部構成要素120は、例えばカテーテルチューブまたは輸液ラインがその中に存在するとき、頂部構成要素120が基部構成要素110に据え付けられたときにスリット112を閉じる突起122を有する。頂部構成要素120は、通常、防水素材で製造される。例示的な頂部構成要素の寸法および形状が、図2および図3で示される。本発明の実施形態で、頂部構成要素の長さLは、15mmから150mmの間、例えば25mmから30mmの間、例えば28.6mmであってもよい。本発明の実施形態で、頂部構成要素の幅Wは、例えば10mmから80mmの間、例えば25mmから35mmの間、例えば31.6mmであってもよい。本発明の実施形態で、突起を有する頂部構成要素の高さHは、例えば10mmから40mmの間、例えば15mmから20mmの間、例えば17.8mmであってもよい。
【0073】
据え付けられたとき、基部構成要素110は身体に対して固定され、ホイル150のカテーテル出口部は基部構成要素110と頂部構成要素120の間にあり、カテーテルチューブまたは輸液ラインは基部構成要素のスリット内にある。突起122はチューブを押し、それによってチューブに沿って入り込む水を防ぐ第1の密閉を実現する。スリット112の内径は、チューブの外径に適合しており、それにより、チューブがスリット112内でしっかりと嵌合し、カテーテルが注入される密閉された体積に水が入り込むことを防ぐ。本発明の実施形態で、スリット112を形成する構成要素の少なくとも第1の部分は、硬質の素材114で製造される。硬質の素材は、カテーテルチューブまたは輸液ラインがスリットとしっかりと嵌合するような形状である。また、突起122の少なくとも第1の部分は硬質の素材で製造され、据え付けられたときチューブの反対側としっかりと嵌合する。変形させて頂部構成要素110を身体に接着するときは、変形可能な第1の面111のみが変形する。硬質の素材で製造されたスリット112の部分は変形せず、従ってそれらの形状はチューブの形状と合致したままである。これは、スリット112およびカテーテルチューブまたは輸液ラインの間の密閉された体積に液体が入り込むことを防ぐ第1の密閉構成要素を提供する。硬質の素材は、チューブとスリット112の間の優れた嵌合を可能にし、基部構成要素110が変形しても確実に形状が変化しない。円筒状チューブに適合する代わりに、種々の形状のチューブを保持するようスリットを適合させてもよい。スリットの硬質の素材は、確実にスリット112の一定の圧力をチューブにかける。スリットの第1の部分および突起がより硬質の素材で製造されることで、カテーテルチューブまたは輸液ラインを正確に位置決めおよび嵌合することが可能になる。
【0074】
基部構成要素および頂部構成要素のうち少なくとも1つの第2の部分は、柔軟な変形可能な素材で製造される。柔軟な変形可能な素材は、カテーテルにさらなる密閉を提供する。さらにそれはまた、確実に身体と基部構成要素110の間、および基部構成要素110と頂部構成要素120の間を防水密閉する。いくつかの特定の実施形態で、硬質の素材で製造されたスリットの部分114は、柔軟な変形可能な素材内に埋め込まれる。これは、オーバーモールドにより実現可能である。硬質の素材を柔軟な変形可能な素材内に埋め込むことにより、硬質の素材と柔軟な素材の間の防水連結が確実になる。頂部構成要素120の実現について、オーバーモールドはまた硬質の/柔軟な組み合わせ構造を実現する処理としての1つの可能性である。
【0075】
スリット内および/または突起において、密閉リングによって密閉を提供してもよい。そのようなリングは、さらなる密閉を提供するのに適切な幅および厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、チューブの全ての側でさらなる密閉が生成されるように、基部構成要素、例えばスリット内、および頂部構成要素、例えば突起の両方に1つまたは複数の密閉リングが存在してもよい。
【0076】
カテーテル装着領域を密閉するホイル150もまた医療装置の一部と考えてもよいが、
実施形態はこれらに限定されず、カテーテルフィードスルーを提供する密閉構成要素にのみ関連しうる。
【0077】
ホイル150は、蒸気を密閉された体積から逃すことが可能なように、高い水蒸気透過率を有してもよい。後者は、発汗のため密閉された体積の湿度が高くなることを防ぐ。1つの例では、ホイル150は、約40μmの厚さのポリウレタンホイルである。異なる構成要素を扱うとき裂けるのを防ぐためホイルが充分に強力であるように、ホイルの厚さを選択してもよい。ホイルの領域は、出口部に装着された手当て用品を含む注入領域を覆うのに十分であるべきである。それによって、すでに装着された手当て用品が乾燥状態を保つことが可能で、従って体を洗う、入浴するまたはシャワーを浴びた後に交換する必要がないことは利点である。これは、時間および物質を節約する。1つの例では、ホイル150は、Smith and Nephew EU40である。このホイルは、36μmの厚さ、38g/mの重量、温度37°Cで24時間あたり1000g/cmの水蒸気透過率を有する。EU40ホイルの幅(図3のWfoil)は、50mmから1300mmの間である。最大幅の呼び長さ(図2のLfoil)は、1000mmである。いくつかの本発明の実施形態で、ホイル150の端部を皮膚に接着するのに両面テープ151が用いられる。本発明の実施形態で、両面テープの幅は例えば40mmから10mmの間であってもよく、望ましくは20mmから13mmの間であり、より望ましくは15mmに等しい。テープは例えば、3Mの両面テープ1577であることが可能である。創傷の治療に使用されるあらゆる他のホイルまたはテープもまた、本発明の実施形態で適用可能である。
【0078】
本例で、例えば図1に示されたような実装装置100は、ホイル150と防水連結の実現を可能にし、カテーテルチューブまたは輸液ラインの防水出口の実現を可能にするプラスチック装置である。ホイル150は、基部構成要素110と実装装置120の間に適合しており、ホイル150下の体積が密閉された体積内に入り込む外部の水から密閉される。
【0079】
示された特定の例で、実施形態はそれらに限定されず、頂部構成要素120は第1の突起122および第2の突起123を備える。第1の突起122および第2の突起123は硬質の素材で製造され、例えばクリップ留め可能、クリック留め可能に基部構成要素110に着脱可能に連結可能である。第1の突起122および第2の突起123が連結される基部構成要素110の部分もまた、硬質の素材で製造される。第1の突起122および第2の突起123は、図1で示される。両方の突起122、123は、基部構成要素110の狭小部に嵌合する肥厚部を備える。据え付けられたとき、基部構成要素110および頂部構成要素120は、硬質の素材で製造されたクリック機構を用いて互いに対して押される。互いに対して押される基部構成要素110および頂部構成要素120の部分が柔軟な変形可能な素材であるため、両方の間の優れた防水連結を確実にする。
【0080】
本発明の実施形態で、保持部124、例えばフィンが、頂部構成要素120の頂部に存在する。頂部構成要素120を基部構成要素110の頂部に位置決めるとき、または基部構成要素110から頂部構成要素120を取り除くときに、この保持部124を使用して頂部構成要素120を保持することが可能である。
【0081】
前述のように保持部は単一の保持部を備えてもよいが、しかし代わりに複数の保持部を備えてもよい。本発明の実施形態で、第1の保持部124、例えばフィン124、および第2の保持部125、例えばフィン125が、頂部構成要素120の頂部に存在する。両方の保持部を押すことで、それらを互いに対して移動させる。それによって、第1および第2の突起122、123の厚い部分が分離される。それによって、クリック機構が解放される。これは、基部構成要素110から頂部構成要素120を容易に取り除くことを可能にする。2つのフィンの頂部構成要素の例示的な実施形態が、図1で示される。
【0082】
いくつかの特定の本発明の実施形態で、接着層、例えば両面接着層または接着剤の層を、基部構成要素110の第1の面111と身体の間に使用してもよい。これは、基部構成要素110を患者の身体にしっかりと位置決めるのを可能にし、それが皮膚と基部構成要素の間の防水連結を確実にする。本発明の実施形態で、基部構成要素110を固定する接着層は基部構成要素の上方にあり、基部構成要素の端部および身体を覆う。これは図1で示され、そこでは両面接着層154が示されている。剥離紙155を除去した後、接着層を基部構成要素と身体に接着可能である。図1の例示的な実施形態で、パッチホイル153が接着層154の他の側を覆う。
【0083】
いくつかの特定の本発明の実施形態で、両面接着層151を基部構成要素110とホイル150の間に適用可能である。カテーテルチューブまたは輸液ラインがホイルを出るホイルの部分は、両面接着層を用いて基部構成要素上に接着される。チューブ体を、基部構成要素110のスリット112内に押すことが可能である。ホイル150および基部構成要素110の間の接着層151は、両方の間の防水連結を確実にする。両面接着層151はホイル150の円周部上のホイル150の縁を覆い、それが注入領域を取り囲むホイルの接着を可能にし、それによって注入領域周辺に密閉された体積を生成する。両面接着層151は、剥離紙152で保護される。剥離紙を除去した後、基部構成要素を身体に接着可能である。代わりに、接着剤の層を使用してもよい。
【0084】
いくつかの特定の本発明の実施形態で、両面接着層156は、ホイル150またはその一部と頂部構成要素120の間に存在する。この両面接着層156は、頂部構成要素120とホイル110の間の防水連結を得るのに役立ててもよい。ホイルと両面接着層の例示的な組み合わせが、図1で示される。代わりに、接着剤の層を使用してもよい。
【0085】
いくつかの特定の本発明の実施形態で、あらかじめ相互に連結可能な部分を接着剤により連結してもよいが、溶接、レーザ溶接、ホットメルトなどのような代替的な技術を使用してもよい。
【0086】
例えば、基部構成要素および頂部構成要素のような本発明の実施形態の構成要素を、例えばオーバーモールド、ポリジェット技術、注入モールドなどのような任意の適切な技術によって製造してもよい。
【0087】
図に示された例示的な実施形態で、1つのスリット112のみが示されている。しかし、本発明はこれらに限定されない。本発明の実施形態はまた、複数のスリットを備え、それによって複数のチューブまたは2つ以上の内腔を有するカテーテルに防水出口を提供してもよい。
【0088】
本発明の実施形態はまた、チューブが存在しない場合にも適用可能である。従っていくつかの実施形態では、医療装置はまた、原型のチューブと同一の断面を有する部品を備え、それをカテーテルチューブまたは輸液ラインの代わりにスリット内に取り付け可能である。それによってこの部品はスリットを密閉し、フィードスルーを閉じる。
【0089】
さらなる例示的な実施形態が、図10に示される。それは、硬質の素材で製造されたスリット部114を有する基部構成要素を示す。スリット部114は、チューブを保持するスリット112を備える。硬質の素材で製造されたスリット部114は、基部構成要素110の柔軟な部分に据え付け可能である。柔軟な部分は、変形可能な第1の面111および変形可能な第1の面の反対側の第2の面を有する。図10はまた、両面接着層154および剥離紙155を示す。本発明の実施形態で、硬質の素材で製造されたスリット部114は、オーバーモールドを通して柔軟な部分内に埋め込まれる。図10の例示的な実施形態で、これはそのケースではない。ここでは、柔軟な部分および硬質の部分は、共に据え付け可能な2つの部品である。
【0090】
図11は、本発明の例示的な実施形態による頂部構成要素120を示す。例示的な実施形態の頂部構成要素は2つの部品を備える。1つの硬質の部品および1つの柔軟な部品である。硬質の部品は、第1の突起122および第2の突起123を備える。柔軟な部品は、変形可能な第1の面121、第1のフィン124および第2のフィン125を備える。ホイル150を、両面接着層151(この図では視認不可能)を用いて皮膚に装着可能である。接着層は、剥離紙152を用いて保護される。
【0091】
図12図13図14および図15は、図10の基部構成要素110および図11の頂部構成要素120が共に据え付けられる方法を示す。両面接着層151が、点線を用いてホイル150上に示される。
【0092】
基部構成要素および/または頂部構成要素の構成要素の厚さおよび/または幅を、それらが取扱に対して頑強であるように選択可能であることに留意すべきである。
【0093】
別の実施形態で、前述の実施形態による医療装置が提供され、それによって頂部構成要素の上表面は保持部または他の伸長部を有さないが、それによって頂部構成要素の上表面ならびに基部構成要素は、互いの中にカチッと嵌められたときに、医療装置の上表面、すなわち患者の皮膚に面しない面がなめらかな面であるような形状になる。本実施形態によると、カテーテル領域を覆う透明ホイルは頂部構成要素または基部構成要素に予め固定されないが、むしろ最初これらの構成要素から分離されている。使用のため、カテーテル領域を覆う透明ホイルを頂部構成要素および基部構成要素の上方に設けてもよく、それによって医療装置の上表面がなめらかになることは好都合である。対照的に、例えば図14では、頂部構成要素の部分を通すことを可能にするために透明ホイル内に開口部を必要としない。よって透明ホイルは、例えば長方形の形状、丸い角を有する長方形の形状、円形の形状のような凸状の形状といった従来の形状を有してもよい。本実施形態による医療装置が限定されたコストで容易に製造可能であることは、医療装置の利点である。基部構成要素および頂部構成要素(スナップ)が身体上でより長く使用可能である、すなわちこれらが皮膚に不具合なく留まることができることは、本実施形態による医療装置の利点である。必要とされるとき、透明ホイルを、基部構成要素および頂部構成要素を取り除くことさえなく交換可能である。装着可能な場合、頂部構成要素および基部構成要素はさらに、前述の実施形態のような特徴および利点を有することができる。図16で、頂部構成要素および基部構成要素は、カチッと嵌められた位置で示されている。図16もまた、なめらかな表面を示す。図17では、医療装置は分解図で示され、それによって医療装置の両方の構成要素が固定される必要があるカテーテルの部分とともに示されている。
【0094】
1つの態様では、本発明の実施形態はまた、カテーテル装着領域を遮蔽する第1の態様による医療装置の使用に関する。そのような医療装置の使用は例示の目的であり、本発明の実施形態はそれらに限定されず、医療装置100を装着する例示的な方法600および同一の装置100を取り除く例示的な方法700により示される。
【0095】
例示的な方法で、装置100は1つのポーチ内にあらかじめ包装される。ポーチは、基部構成要素110、頂部構成要素120およびホイル150を備える。ポーチを開き種々の構成要素を取り出した後、装置100を装着する第1のステップは、基部構成要素110をチューブの下方の身体の部分に貼り付ける(610)ことである。本発明の実施形態で、これはカテーテルチューブまたは輸液ラインであってもよいが、あらゆるタイプのチューブ/ワイヤが可能である。本発明の実施形態で、基部構成要素110は、変形可能な第1の面111上に両面接着テープを有する。本発明の実施形態で、このテープは、剥離紙の除去後に基部構成要素110を皮膚に貼り付ける(610)のに使用される。基部構成要素は、注入箇所からさほど離れずチューブの下方に位置決めされる。
【0096】
第2のステップ620で、チューブは基部構成要素110内のスリット112内に取り付けられる。基部構成要素110内のスリット112は、チューブをスリット112内へカチッと嵌めるのを可能にする。
【0097】
第3のステップ630で、ホイル150が、基部構成要素610および穿刺部位を覆って接着される(630)。本発明の実施形態で、両面接着層151は、接着手段として機能する。
【0098】
第4のステップ640で、頂部構成要素120と基部構成要素110、および密閉部150が穿刺部位を覆って防水の体積を形成するよう、頂部構成要素120が基部構成要素110の上に固定される。この固定を、第1の突起122および第2の突起123により提供されるクリック機構を通して行ってもよい。クリック機構は、それによって基部構成要素110、頂部構成要素120およびチューブの間の防水密閉を確実にする。図8は、据え付けられる前の頂部構成要素120および基部構成要素110を示す。図9は、据え付けられた構成を示す。本発明の実施形態で、ホイル150は、頂部構成要素120を基部構成要素110にカチッと嵌めた後にのみ皮膚に接着される。従って、剥離紙152が除去され、ホイル150がカテーテル装着領域周辺の皮膚に接着される。ホイル150内のしわを防ぐため、ホイルは手をホイル150の上方で外側に動かすことにより接着される。
【0099】
カテーテル装着領域は現在密閉され、患者自身が体を洗うまたはシャワーを浴びることを可能にする。
【0100】
カテーテル装着領域の遮蔽を形成する装置100を取り除く例示的な方法700は、以下のようである。方法は、タオルを用いて装置100およびホイル150を乾燥させる第1のステップ710を有する。
【0101】
次のステップ720で、ホイル150の1つの角から始めてホイル150を引っぱることにより、ホイル150を取り除くことが可能である。望ましくは、ホイルは180°の角で引っぱる。
【0102】
次にステップ730で、頂部構成要素120が基部構成要素110から離す。本発明の実施形態で、フィン124が頂部構成要素120上に存在する。これは、ユーザがそれを握ることで頂部構成要素を取り除きやすくしている。本発明の実施形態で、第1のフィン124および第2のフィン125が頂部構成要素120の頂部に存在する。第1および第2のフィンを互いに対して動かすことにより(例えばそれらを互いの方へ押すことにより)、クリック機構が解放され、ユーザが基部構成要素110から頂部構成要素120を取り除くことを可能にする。
【0103】
分離されると、頂部構成要素およびホイル150の両方を取り除くことが可能である(ステップ740)。
【0104】
次のステップ750で、チューブが基部構成要素110のスリット112から分離する。これは、チューブをスリット112から持ち上げることによりなされる。
【0105】
最後のステップ760で、基部構成要素の1つの角をつかみその角を持ち上げることにより皮膚から取り除く。このステップの後、シャワー密閉物全体を取り除く。
【0106】
別の態様では、本発明はまた、第1の態様に記載の生体にカテーテルを固着する医療装置の使用に関する。言い換えれば、医療装置は防水遮蔽の適用に特に適切であるが、医療装置の適用はそれに限定されず、しかしより一般的に生体にカテーテルを固着することに拡大される。そのようなカテーテルは、例えば、静脈内カテーテルまたはドレナージカテーテルのようなあらゆるタイプのカテーテルであってもよい。使用について、方法は例えば第2の態様に記載のように適用可能であるが、実施形態はこれらに限定されない。
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【国際調査報告】