(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539784(P2016-539784A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】調節可能な超微破砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 2/04 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
B02C2/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-528264(P2016-528264)
(86)(22)【出願日】2014年7月22日
(85)【翻訳文提出日】2016年1月28日
(86)【国際出願番号】AU2014000746
(87)【国際公開番号】WO2015010157
(87)【国際公開日】20150129
(31)【優先権主張番号】2013902714
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2013904505
(32)【優先日】2013年11月21日
(33)【優先権主張国】AU
(31)【優先権主張番号】2014901812
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】AU
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515355099
【氏名又は名称】アイエムピー テクノロジーズ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ケルシー,クリストファー ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ケルシー,クリストファー サイモン
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063BB02
4D063BB17
4D063GA05
4D063GA07
4D063GA10
4D063GC21
(57)【要約】
超臨界速度で回転するシェル及び旋回マンドレルを含む衝突手段によって、粒子状物質を粉砕するミル。ミルに導入された物質は、シェルの内面に層を形成し、その後旋回マンドレルを衝突させて破砕される。シェルの回転軸は、ミルの隅々にまで物質を運ぶために、マンドレルの旋回軸から角変位状態にされる。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シェル及びマンドレルを備える粒子状物質を破砕するミルであって;前記シェルは、前記物質が前記シェルの内面に保持される層を形成するように、回転し;前記マンドレルは、前記物質の層に衝突して、それにより前記物質を破砕するミル。
【請求項2】
前記マンドレルは、前記物質の層に衝突するように旋回する、請求項1に記載のミル。
【請求項3】
前記シェルは、シェル軸を中心に回転し、前記マンドレルは、前記シェル軸から角変位されたマンドレル軸を中心に旋回する、請求項1に記載のミル。
【請求項4】
前記シェルの内面は、第1軸に対して第1角度で配設される第1側面を有する第1円錐台を備え、前記マンドレルは、第2軸に対して第2角度で配設される第2側面を有する第2円錐台を備える、請求項3に記載のミル。
【請求項5】
前記第2円錐台の前記第2角度は、前記第1円錐台の前記第1角度の2倍である、請求項4に記載のミル。
【請求項6】
前記第2円錐台の前記第2角度は、前記第1円錐台の前記第1角度の2倍未満である、請求項4に記載のミル。
【請求項7】
前記マンドレルは、円柱を更に備える、請求項4に記載のミル。
【請求項8】
前記シェル軸からの前記マンドレル軸の角変位は、前記第1円錐台の前記第1角度と等しい、請求項4に記載のミル。
【請求項9】
前記シェルは、前記シェル軸に沿って可動である、請求項4記載のミル。
【請求項10】
前記シェルの前記内面は、第1及び第2円錐台を備え、前記マンドレルは、円柱を備える、請求項3に記載のミル。
【請求項11】
前記マンドレルは、一連の歯列を備え、隣接する歯列は、互いに対してオフセットされる、請求項10に記載のミル。
【請求項12】
各歯列は、該歯が着脱可能に保持される円板を備える、請求項1に記載のミル。
【請求項13】
前記マンドレルは、滑らかな外面を含む、請求項1に記載のミル。
【請求項14】
前記マンドレルは、階段状の外面を含む、請求項1に記載のミル。
【請求項15】
前記マンドレルは、前記物質の層に衝突するよう振動する、請求項1に記載のミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、破砕ミルに関し、特に、マンドレルによって粒子状物質を粉砕して超微細物を製造する破砕ミルに関する。
【0002】
本発明は、鉱物を粉砕するために開発されたもので、以下の説明では、かかる使用について詳しく述べる。しかし、当然ながら、本発明は、セラミックや医薬品等様々な物質の粉砕にも適している。
【背景技術】
【0003】
粒子状物質のすり潰しは、通常回転式ミル内で行われ、回転式ミルは、亜臨界速度で回転することで、該物質がミルの内壁を上方に移動し、その後落下するような、該物質の転動作用を発生させて、他の物質と衝突させる又は他の物質とですり潰す。その結果、摩耗と衝突の組合せによって、粒子が小さくなる。こうしたミルは、大量のエネルギを消費する。
【0004】
また、超臨界速度で作動するミルも、(特許文献1)及び(特許文献2)で開示されたもの等が、知られている。これらのミルは、粒子を小さくするための剪断誘起部材を含み、従来の回転式ミルよりエネルギ効率が改善されている。しかしながら、これらのミルは、依然としてかなりの量のエネルギを消費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際特許出願第W099/11377号
【特許文献2】国際特許出願第WO2009/029982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現在のミルより大幅にエネルギ使用量が少ないミル、又は社会に有用な代替手段を少なくとも提供するミルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様において、本発明は、回転シェル及びマンドレルを備える粒子状物質を破砕するミルであって:シェルは、物質がシェルの内面に保持される層を形成するように、回転し;マンドレルは、物質の層に衝突して、それにより物質を破砕するミルを提供する。
【0008】
好適には、マンドレルは、物質の層に衝突するように旋回する。
【0009】
望ましくは、シェルは、シェル軸を中心に回転し、マンドレルは、シェル軸から角変位されたマンドレル軸を中心に旋回する。
【0010】
シェルの内面は、第1軸に対して第1角度で配設される第1側面を有する第1円錐台を備え、マンドレルは、第2軸に対して第2角度で配設される第2側面を有する第2円錐台を備える。
【0011】
望ましくは、第2円錐台の第2角度は、第1円錐台の第1角度の2倍である、或いは、第2円錐台の第2角度は、第1円錐台の第1角度の2倍未満である。
【0012】
好適には、マンドレルは、円柱を更に備え、シェル軸からのマンドレル軸の角変位は、第1円錐台の第1角度と等しい。
【0013】
好適には、シェルは、シェル軸に沿って可動である。
【0014】
本発明の更なる態様では、シェルの内面は、第1及び第2円錐台を備え、マンドレルは、円柱を備える。
【0015】
好適には、マンドレルは、一連の歯列を備え、隣接する歯列は、互いに対してオフセットされる。
【0016】
望ましくは、各歯列は、歯が着脱可能に保持される円板を備える。
【0017】
好適には、マンドレルは、滑らかな外面を含み、階段状の外面を含んでもよい。
【0018】
本発明の更なる態様では、マンドレルは、物質の層に衝突するよう振動する。
【0019】
上記態様のいずれか1つは、上記他の態様のいずれかに関するどの特徴を含んでもよく、以下に記載される実施形態のいずれかに関するどの特徴を含んでもよいことに、留意されたい。
【0020】
本発明の好適な特徴、実施形態及び変形例は、当業者が本発明を実行するのに十分な情報を提供する以下の詳細な説明から明察されることができる。詳細な説明は、その前の発明の概要に関する範囲を限定するものとは決して見なされない。詳細な説明では、以下の多数の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態によるミルを組み込んだ摩砕システムの斜視図を示している。
【
図3】外カバーが除去された状態のミルを示している。
【
図4】マンドレルを見えるようにしたミルの部分断面図を示している。
【
図5】マンドレルを内部が見えるように一部を切取った更なる断面図である。
【
図6】物質が破砕されるシェルの断面図を示している。
【
図8】固定歯を有するマンドレルを含むシャフト組立体を示している。
【
図10】ベアリングの取付け及び旋回シャフトのオフセットについて示す、マンドレルの更なる断面図である。
【
図12】取外可能な歯を含む第2実施形態の衝突円板を示している。
【
図14】滑らかな外面を有するマンドレルを組み込んだ第3実施形態のシャフト組立体を示している。
【
図16】ドライブシャフトと旋回シャフトとがフランジによって接合されている、第4実施形態のシャフト組立体の断面図である。
【
図17】シャフトが、複数のオフセットされたマンドレル円柱を含む、第4実施形態のシャフト組立体である。
【
図18】
図17のシャフト組立体を組み込んだミル組立体である。
【
図19】本発明の第6実施形態による調節可能な摩砕システムの斜視図である。
【
図20】
図19の調節可能な摩砕システムの部分断面図である。
【
図21】第1マンドレル幾何学形状をし、第1すり潰し分離位置に調節された、
図19の調節可能な摩砕システムのシェルハウジング及びシャフト組立体に関する詳細図である。
【
図22】第2すり潰し位置に調節された、
図21のシェルハウジング及びシャフト組立体を示している。
【
図23】第2マンドレル幾何学形状をした、
図19の調節可能な摩砕システムのシェルハウジング及びシャフト組立体の詳細図である。
【
図24】
図19乃至
図22のシステムと比べて、破砕シェルとマンドレルとが反転された第7実施形態による調節可能な摩砕システムである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に関する以下の詳細な説明では、添付図を参照する。可能な限り、同じ参照番号が、図面及び以下の説明を通じて、同様な部品を参照するのに、使用される。図面で示された特定の部品に関する寸法は、明確化する目的又は説明目的で変形及び/又は誇張されていることがある。絶対方位を示す用語(例えば、「上(top)」、「下(bottom)」、「前(front)」、「後(back)」等)は、説明に都合良くするために利用されており、特定の図面で示される方位を指す。しかしながら、かかる用語は、様々な構成要素が、記載された又は示されたのと同じ又は異なる方位で実際には使用される場合があることも想定されるため、限定の意味に解釈されるべきではない。当該技術分野で周知の様々なファスナ、シール等の使用については、記述されず、かかるアイテムは、より明確化するために、一部の図面では示されていない。
【0023】
本発明は、動作原理や、動作原理が如何にして達成されるか、また結果的に得られる効率や他の効果に関して、従来技術のミルと著しく対照的である。殆どの従来技術のミルは、物質を粉砕するための剪断に利用し、剪断を様々な回転ドラム及び剪断部材で行い、剪断時に大量のエネルギを消費する。特許文献1及び特許文献2で開示されたような最近の進展の中には、効率が改善されたものもあるが、依然として更なる改善の余地がある。対照的に、本発明では、物質を粉砕するのに、旋回部材の低速衝突を利用している。
【0024】
本発明は、粒子状物質を破砕するミルを提供し、該ミルは、内面を有する回転シェル、物質が内面に対して保持される層を形成するよう十分高速でシェルを回転させる手段、及び該層に衝突し、物質を破砕するマンドレルを備える。本発明は、ミル全体、シェル、及びマンドレルに対する様々な実施形態を包含する。簡潔にするために、これら構成要素に関する変形例(permutation)の中の一部についてのみ詳述するが、本発明の範囲は、全ての変形例を包含する。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態による旋回衝突式ミル30を組み込んだ摩砕システム20を示している。ミル30は、支持枠21に取付けられ、該支持枠21には、シャフトモータ22及びシェルモータ23も固定される。シャフトモータ22は、原動力をミルのドライブシャフト41(後述される)に、シャフトモータプーリ24、ベルト(図示せず)及びシャフトプーリ34(部分的に隠れて図示された)を介して提供する。同様に、シェルモータ23は、ミルのシェル50(後述される)を、シェルモータプーリ25、ベルト(図示せず)及びシェルプーリ33を介して、駆動する。これら2モータは、ドライブシャフト41とミルのシェル50とが互いに一定の角度で動作するように、互いに一定の角度で取付けられる。原料は、ミルの供給口31に、入口シュート26を介して供給され、ミルから排出シュート32を介して排出する。ミル30の外側から視認できる構成要素については、ミル30を摩砕システム20から分離して示した
図2を用いて、更に理解されることができる。
【0026】
ミル30の内部構成要素について、段階的な断面図を示す
図3乃至
図5で理解されることができる。主要構成要素は、被粉砕物質を保持するシェル50、及びシェル内で旋回して、衝突/破砕によって粉砕を達成するマンドレル65である。
【0027】
ミル30は、ドライブシャフト41を下シャフトベアリング61及び62を介して支持する傾斜したベース35を備える。ドライブシャフトは、プーリ34によって駆動され、シェル50内に着座するマンドレル65を回転させる。シェルベアリング51及び52を用いて、回転シェル50は、傾斜ベース35に固定される外側ハウジング36内で自在に回転する。傾斜ベースは、シェル50の回転軸とマンドレル65の回転軸との角変位を提供する。
【0028】
シェル50の先端には、シェル駆動プーリ33があり、該プーリ33から物質が供給口31を介してミルに入る。シェルの下部は、インペラ37に取着されており、該インペラ37は、破砕された物質を排出シュート32を介して出す。
【0029】
マンドレル65内には、旋回シャフト44が見られ、該旋回シャフト上に、マンドレルが、上シャフトベアリング63及び64を介して取付けられている。従って、マンドレルは、旋回シャフト44及びドライブシャフト41とは関係なく回転できる。旋回シャフト44は、マンドレルに旋回運動させるために、ドライブシャフト41に取着されるが、ドライブシャフト41から軸方向に変位される。軸方向に1mm変位させると、幅広い用途に適することが分かった。マンドレルの頂部には、物質の侵入から保護するために、エンドプレート66を着座させる。
【0030】
回転シェル50が、
図6では、分離されて示されており、
図7では、マンドレル65が配置された状態で示されている。外側では、シェルは、円筒形をしており、上部に、物質を入れるための供給口31を有し、下部に、破砕された物質を排出するための開口部を有している。シェルは、軸57を中心に回転し、該軸57は、マンドレルを回転させる軸42から、約5度だけ角変位(43として示された)している。この角変位は、物質がシェルを通り下降する動きを助長する。内側には、シェルは、シェルに入る物質のための通路とエンドプレート66のための間隙を提供する送込み室53、円錐台形状をしており、両室の狭い方の平面で、中央平面56に沿って接合される上室54及び下室55を備える。円錐台側面は、軸方向に変位した角度43に対応する角度にする。この角度とマンドレルの円筒形とで、結果的に、室最小部59及び室最大部58が生じる。シェルに入った物質は、大部分が室最大部58に落下する。シェルは、シェルに入る物質が、圧縮固形化層をシェルの内壁に形成するように、超臨界速度で回転する。シェルの方向60への回転は、物質を室最小部59周りに引き寄せ、室最小部59で、物質はマンドレルの旋回動作によって破砕される。各室は、室最小部が約1mmとなるように寸法決めされる。マンドレルは回転自在なため、シェルと一致して回転する傾向があり、結果的に両構成要素の速度差は、ゼロ又は最低速度になる。その結果、物質は、剪断動作を受け難いものの、マンドレルの旋回動作によって破砕される。旋回シャフト44(
図10で見られる)は、約1,500rpmで駆動し、その結果0.15m/sの低衝突速度を齎す。剪断動作の不足を伴う低衝突速度では、マンドレルの摩耗を抑制できるだけでなく、結果的に物質を破砕するのに必要なエネルギを低減することもできる。
【0031】
図8乃至
図10では、ドライブシャフト41、旋回シャフト44及びマンドレル65を1つに合わせたシャフト組立体40について詳述している。マンドレルの衝突円板70に関する詳細が、
図11に見られる。マンドレルは、円筒形のマンドレル65となるように、衝突円板70を積み重ねて形成される。円板70は、環状円板体71、六角形の取付口72及び衝突歯73を備える。異形の円板70’は、取付口に対して異なる角度でオフセットされた衝突歯を有する。両異形体70及び70’は、
図8及びと
図9で見られるように、交互に積み重ねられて、歯を交互にしたパターンを作成する。円板は、六角形の取付棒45に取付けられ、該取付棒45は、次に、上シャフトベアリング63及び64を介して旋回シャフト44に取付けられる。
図10で見られるように、シャフト接合平面46で、旋回シャフト44は、ドライブシャフト41に接続されるが、軸方向に変位させて接続されており、その結果、ドライブシャフトが回転するのに従い、マンドレルが旋回する。
【0032】
取付棒45は、積み重ねた衝突円板より下まで延伸して、延伸部47を形成する。ミルの別の実施形態(図示せず)では、ベース35は、マンドレルの回転を防ぎながらマンドレルを旋回可能にするように延伸部を受容するための、対応した形状だが、に若干大きな受け体を、組み込む。
【0033】
衝突円板の第2実施形態が、80として
図12に示されている。円板80は、環状体81と六角形の取付口82を有する点で円板70と同様であるが、取替可能な歯83を有する点で異なる。歯83について、
図13に更に詳細に示されており、歯83は、隅肉86によって接合された2本の円柱84及び85を備える。歯を対称的にするという特徴により、円柱84又は85のどちらも本体81に挿入可能になる。従って、歯が片端部で摩耗した後に、逆にして、取替えが必要な頻度を半減できる。図示された円板には、24本の歯があり、歯を15度間隔で角変位させている。歯は、歯自体の角変位の四分の一、即ち3.75度だけ、六角形の取付口の軸から変位されている。その結果、交互な歯の構成(
図8で見られるのと同様な)にするのに、マンドレル65を組付ける際に、全ての交互な円板を単に裏返すことによって、円板を一度変形させる必要があるだけである。好適には、歯は、炭化タングステン等の硬質材料で作製される。
【0034】
シャフト組立体の第3実施形態が、
図14及び
図15では、90として示されており、歯付マンドレル65でできるよりも微細な物質を生成するのに適する滑らかなマンドレル91を含んでいる。このマンドレルは、遥かに単純な構造を提供し、旋回シャフトのベアリングに直接取付けることができ、取付棒の必要がない。
【0035】
図16は、シャフト組立体100の第4実施形態を説明しており、該シャフト組立体では、旋回シャフト44は、ドライブシャフト41の端部にある対応するフランジ101に取着するためのフランジ102と嵌合される。この構成は、構成要素を容易に交換可能にし、例えば、大きさの異なる供給物質や最終砕製物の大きさに対して望ましい、異なる直径のマンドレル又は異なるオフセットの旋回シャフトを使用できるようになる。このフランジ組立体と共に記述されたいずれのマンドレルを組み込んだ更なる実施形態も、明らかに可能である。
【0036】
図17に示された、シャフト組立体110の第5実施形態では、マンドレルは、旋回シャフト44に嵌合された3つの円柱111、112及び113を備える。これら3円柱は、互いに対して軸方向にオフセットされ、その結果、各円柱の供給物質を破砕する部分は、互いから角度的にオフセットされる。これは、ミルにおける振動を大幅に軽減する。かかるシャフト組立体を組み込んだミルが、
図18に示されている。
【0037】
図示したものとは異なる、他の数のオフセット円柱だけでなく、高さや段差オフセットが異なる円柱を有するマンドレルを含む更なる実施形態も、本発明では予想される。
【0038】
これまで記述し、図示したミルは、炭酸カルシウム(モース硬度4.5の水晶を22%含有する大理石)等の物質を、1mmの供給物質から、粒径d50が9.5ミクロンの砕製物にまで微細化する処理を、開回路では、40kWh/tの比エネルギを使用して、毎時約50kg可能である。閉回路では、これは、9.5ミクロンになるまで100%通過させることを意味し、33kWh/tの比エネルギを使用する。4kWのシェルモータ及び0.75kWのシャフトモータが、設置される。各構成要素の大きさは、直径約95mm、厚さ10mmの衝突円板70から、求められる。
【0039】
処理量が異なるミルに対して、大部分の構成要素は、旋回シャフトのストローク及びマンドレルとシェルとの間隙を其々約1mm及び2mmで一定に保ちながら単に拡大縮小される必要があるだけである。また、衝突歯も、一定の大きさに保たれるべきであるが、衝突円板の直径に従って数を増やすべきである。
【0040】
500rpm〜2,500rpmのシャフトモータ速度は、様々な大きさのミルに適しており、その結果、1,500rpmで約0.15m/sの衝突速度が得られる。記述したミルに関しては、シェルが1,100rpmで駆動されると、被加工物に対する超臨界速度に達し、確実にシェルの内側に固められた層(bed)を形成する。大径のミルに関しては、このrpmは、シェル内部に対して同じ線速度を維持しながら、減速されることができる。
【0041】
これまで記述したミルは、シャフト組立体を変更又は再構成することに依存して、調節をできる限り最小限にしてきた。破砕隙間の調節は、異なる大きさの砕製物を製造するために、また外側シェル又はマンドレルにおいて摩耗に対応するためにも、望ましい。
【0042】
図19乃至
図23で示された摩砕システム500の第6実施形態では、外側シェル及びマンドレルは、円錐台形をしており、外側シェルは、該シェルとマンドレルとの破砕隙間を変えるのに、該シェルの軸に沿って可動である。
【0043】
図19は、摩砕システム500を示しており、該摩砕システム500は、スタンド510上に取付けられる調節可能なミル520を含む。ミルは、ベース521と上部523との間に延伸する柱524に取付けられる本体522を有する。本体は、破砕隙間を調節可能にするために、柱に沿って垂直に移動できる。当該技術分野で公知の様々なメカニズムが、本体の位置を調節するのに使用されてもよい。前述した実施形態と同様に、このミルは、シャフト組立体を駆動するモータ511及び外側シェルを駆動する第2モータ(視認できない)を含む。砕製物は、漏斗512を介してミルに入り、シュート513を介して出る。
【0044】
摩砕システムの更なる詳細について、
図20の断面図で見ることができる。本体522は、ベアリング532を収容して、プーリ531を介して駆動されるシェルハウジング530を拘持する。シャフト組立体540は、ベース521に下側ベアリング544によって保持され、上部523に、上側ベアリング545によって保持される。他の実施形態と同様に、シャフト組立体とシェルハウジングは、互いに対して一定の角度で取付けられるが、この実施形態では、シェルハウジングの代わりに、シャフト組立体が、垂直に対して、且つ大部分の構成要素に対して一定の角度で取付けられる。
【0045】
図21では、シャフト組立体及びシェルハウジングを、分離した状態で見ることができる。ここでも同様に、シャフト542は、ベアリング546を介してシャフトに取付けられるマンドレル541を旋回運動させるために、オフセット部分543を有する。これまでのように、マンドレルは、シャフトに対して自在に回転するが、被砕製物が、外側シェルとマンドレルとの間に捕捉されて、すり潰されるため、ゆっくりと回転されようになる。外側シェルは、マンドレルの円錐台外面を補完する円錐台内面を有する。シャフトが回転するのに従い、これら2面の隙間548は拡大及び縮小する。マンドレルの下半分は、筒状であり、外側シェルの下半分で第2破砕隙間549を形成する。
【0046】
隙間548及び549の大きさは、外側シェル530をマンドレル541に対して上下させることによって変更可能である。この変更は、生成される砕製物の大きさを選択する目的、或いは外側シェル又はマンドレルの摩耗を補償する目的で、行われる。
図22では、シェルハウジングは、
図21と比較して、該ハウジングの軸に沿って垂直方向に上昇されて、両隙間548及び549を大きくしている。
図21及び
図22の縮尺では、この増加は、図面から完全には分かり難いかも知れないが、約0.5mmである。
【0047】
図21及び
図22で示された実施形態では、外側シェルと関連したマンドレルの幾何学的形状及び外側シェルとマンドレルとの間のオフセット角は、隙間548と隙間549が互いに等しく、長さに沿って均一になるように、選択されている。隙間549を均一にするために、シャフトとシェル軸との間の角度は、シェルの内面の角度と等しくされる。隙間548を均一にするために、マンドレルの円錐台の角度は、シェルの内面の角度の2倍とする。更なる実施形態では、これら構成要素の幾何学的形状は、隙間548と隙間549が互いに同じ又は異なることができ、両隙間が、連続的に又は段階的にそれらの長さに沿って変化できるように、可変とする。その一例が、
図22で示されており、上部隙間548が直線的に減少している。
【0048】
図24の断面図で550として示されたミルの第7実施形態では、シェルハウジングとマンドレルは、
図19乃至
図23の摩砕システム500と比べて、上下反転されている。これには、本体522に対する上昇メカニズムが万一不良となった場合、シェルハウジングがマンドレルから脱落し(マンドレルに向かう代わりに)、その結果損傷を与える可能性があるミルの詰まりを回避できるという利点がある。また、ミル550は、上昇メカニズムの詳細も示している。本体522が、油圧シリンダ560及びピストン561を収容して、本体を柱524に沿って上下可能にするのが、見られる。
【0049】
また、ミルは、記述した個別の特徴を入れ替えたもの(permutation)を包含する更なる実施形態を取ることもできる。更なる実施形態では、マンドレルが、固定軸に沿って前後に動いて、旋回する代わりに振動する。別の更なる実施形態では、マンドレルとシェル室は、球形とする。さらに別の実施形態では、シェルとマンドレルは、共通の軸で回転する;この構成は、単純だが、ミルの隅々にまで物質を引き寄せる際にそれほど効果的ではないため、限定された用途にのみ適している。
【0050】
読者は、この時点で、物質を粉砕する旋回衝突ミルを提供する本発明が、既知のミルよりも優れたエネルギ使用特性を提供することが分かるであろう。ミルは、投入物質の種類や大きさ、所望する砕製物の大きさ及び要求される処理量に応じた様々な実施形態を取ることができる。様々な実施形態は全て、物質の粉砕に低速旋回マンドレルを使用するという同じ動作原理を採用する。
【0051】
更なる効果及び改善点は、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明に当然生じるであろう。本発明は、最も実用的で好適な実施形態と思われるものについて、図示及び説明されてきたが、本発明の範囲及び精神内で、逸脱が行われてもよく、本発明は、本明細書で開示された詳細に限定されないが、クレームの全範囲と合致して、任意及び全ての同等の装置及び機器を包含するものと、理解される。本明細書を通しての従来技術に関する記述は、かかる従来技術が周知であること、又は当該分野における技術常識の一部を成すことを認めるとは、決して見なすべきではない。
【0052】
本明細書及びクレームにおいて(存在した場合)、単語「comprising(備える)」及び「comprises(備える)」及び「comprise(備える)」を含むその変化形は、記載された整数を其々含むが、1つ又は複数の更なる整数を含むことを排除するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2016年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
各歯列は、該歯が着脱可能に保持される円板を備える、請求項11に記載のミル。
【国際調査報告】