(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539791(P2016-539791A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】冶金廃棄物細粒の浄化高度分粒装置および冶金廃棄物細粒の浄化高度分粒方法
(51)【国際特許分類】
B07B 7/02 20060101AFI20161125BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20161125BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20161125BHJP
B03C 1/30 20060101ALI20161125BHJP
B07B 7/04 20060101ALI20161125BHJP
B07B 7/08 20060101ALI20161125BHJP
B07B 9/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
B07B7/02
B09B5/00 ZZAB
B03C1/00 B
B03C1/30 Z
B07B7/04
B07B7/08
B07B9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-535143(P2016-535143)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月22日
(86)【国際出願番号】PL2014000136
(87)【国際公開番号】WO2015080608
(87)【国際公開日】20150604
(31)【優先権主張番号】P-406250
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】PL
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516156008
【氏名又は名称】プゼドシェビオルストウ オブロト スロヴカミ フトルネミ ヘルメクス
【氏名又は名称原語表記】Przedsiebiorstwo Obrotu Surowcami Wtornymi HERMEX
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】アダム ヂェフ
【テーマコード(参考)】
4D004
4D021
【Fターム(参考)】
4D004AA43
4D004AC05
4D004BA05
4D004CA04
4D004CA08
4D004CA09
4D004CA12
4D004CA15
4D004CB13
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4D004CB50
4D021FA15
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4D021GA16
4D021GA22
4D021GA30
4D021GB03
4D021HA01
4D021HA10
(57)【要約】
冶金廃棄物細粒の浄化高度分粒装置および冶金廃棄物細粒の浄化高度分粒方法である。
材料は供給タンク(1)から供給機構(2)によって微細な冶金廃棄物浄化装置に供給され、ファン(4)によって空気を吹き込まれる、最初の選別装置(3)に運ばれる。最初の選別装置(3)内で空を舞う、最も粉末状のフラクションは集塵器(6)に導かれる。しかし、冶金廃棄物の最大形状のフラクションは底部に落下してカスケード選別装置(8)まで上向きに導かれるカスケードパイプライン(7)で移される。カスケード選別装置(8)に集められた、より軽いフラクションは集塵器(6)に、そしてそのあと次のカスケード選別装置(15)に導かれ、そこから冶金廃棄物のより軽量でより微細なフラクションが拡大カスケード選別装置(16)に導かれ、廃棄物の最軽量フラクションが次にサイクロン集塵器(18)に導かれる。前述の工程の間に最軽量のダストフラクションが分離される。当該前述の工程は、協働して実行され、一連の選別装置に配置され、より多くの数の選別装置を含むように開発されうるアセンブリーを作り出す。このようなアセンブリーの末端にあるサイクロン集塵器において、最軽量フラクションが、サイクロン集塵器の中央部から吸引されて、フィルター、好ましくはジェットフィルターに導入される。そして清浄な空気が外部に放出される出口において、場合によりファンまたは吸引ポンプによってさらなる負圧が作り出される。残存するダストは、浄化された材料の最も分離された最軽量フラクションとして外部タンクに集められる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒のための装置であって、ばら材料供給機構に接続される供給タンクと、ファンによって空気を吹き込まれ、底部を上方に向かうパイプラインによってカスケード選別装置に接続される垂直方向を向いた最初の選別装置と、から成り、前記カスケード選別装置の中央部には、緩衝器と前記緩衝器の上方および下方に配置されたカスケードとがあり、前記カスケードは斜めに、互いに一定の距離をあけて配置され、一方前記カスケード選別装置の底部には調整ダンパーがあり、前記調整ダンパーを通って前記浄化された材料のより大径のフラクションが、磁気選別機に排出されてその後外部タンクに排出されるか、または直接外部タンクに排出され、それにより前記カスケード選別装置の上部はフィルターに接続され、浄化された微細な冶金材料の軽量で空を舞うフラクションが前記フィルターに導入され、前記装置の末端要素が任意選択によりファンまたは吸引ポンプに接続される出口である、浄化および高度分粒のための装置において、
前記上方に向かうパイプラインはカスケードパイプライン(7)であって、前記カスケードパイプライン(7)の各区画(9)は、異なる直径を持つか、同軸上に配置されていないか、カスケードを備えているか、またはらせん形状をしている、微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒のための装置。
【請求項2】
前記最初の選別装置(3)の上部および前記カスケード選別装置(8)の上部の両方がダクトによって前記集塵器(6)に接続され、前記最初の選別装置(3)内および前記カスケード選別装置(8)内で分離された最軽量で粉末状のフラクションが前記集塵器(6)内に導入され、それら最軽量フラクションはそれから次のカスケード選別装置(15)に導かれ、前記次のカスケード選別装置(15)の底部には調整ダンパー(13’)があり、前記調整ダンパー(13’)を通して前記空気が吸引されて最も微細なフラクションが持ち上げられ、次にこのダンパーによって、分離された冶金廃棄物のより粗大なフラクションが、前記磁気選別機そして次に前記外部タンク(14’)に、または場合によっては直接前記外部タンク(14’)に、導入され、好ましくは注がれる、請求項1に記載の微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒のための装置。
【請求項3】
前記次のカスケード選別装置(15)は前記拡大カスケード選別装置(16)に接続され、前記拡大カスケード選別装置(16)は調節可能な垂直カスケード(17)の領域を有してシャッターを作り、いわば、前記シャッターの角度が調節でき、前記次のカスケード選別装置(15)から前記拡大カスケード選別装置(16)に導入された、浄化された微細な冶金廃棄物の流れが前記シャッターに向かう、請求項2に記載の微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒のための装置。
【請求項4】
前記カスケード選別装置(16)が前記サイクロン集塵器(18)に接続され、前記サイクロン集塵器(18)に微細な廃棄物の流れが前記拡大カスケード選別装置(16)から導入され、前記サイクロン集塵器の底部に調節弁(13''')があり、前記調節弁(13''')を通して外部から追加の空気が吸引でき、前記調節弁(13''')を通してより大径のフラクションが前記磁気選別機そして前記外部タンク(14''')へ、または直接前記外部タンク(14''')へ移される、請求項3に記載の微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒のための装置。
【請求項5】
少なくとも1つの追加の選別装置、好ましくはカスケード選別装置(8)または追加のサイクロン集塵器(18)を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒のための装置。
【請求項6】
微細な冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒の方法であって、ばら廃棄物材料を前記供給タンクから供給機構によって前記垂直方向を向いた最初の選別装置、好ましくはカスケード選別装置に供給し、既知の原理で運転し、同時に前記最初の選別装置の内部にファンによって、好ましくは前記調整ダンパーを通して空気を吹付け、それにともなって前記最初の選別装置の内部に正圧(すなわち超過気圧)が生じて前記材料の前記粒子が加速し、その後前記ばら材料が「吹き飛ばされて」、その結果、最大形状のフラクションが前記最初の選別装置の底部に落下して、前記カスケード選別装置の内部、直接に緩衝器ならびに前記緩衝器の上方および下方に配置されたカスケードに導かれて、そこで前記最大の粒状物が選択され、落下した前記粒状物が調整ダンパーによって好ましくは前記磁気選別機または直接に前記外部タンクに移される間に、前記空気によって持ち上げられた最も微細な粒子が出口を通って移される、方法において、
前記最初の選別装置(3)の底部に堆積した前記事前に選択した材料が前記空気流で前記カスケードパイプライン(7)を通って前記カスケード選別装置(8)に輸送され、そこで前記清浄な準備された材料が砕けて壁面上で減量される、冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒の方法。
【請求項7】
前記最初の選別装置(3)内および前記カスケード選別装置(8)内で分離され、前記空気で持ち上げられた最も粉末状のフラクションが前記集塵器(6)、次いで次の選別装置(15)に導かれ、そこで前記材料は分散されてさらに砕け、前記材料の最軽量で望ましくないフラクションは前記選別装置の頂部に吸い上げられ、滑落する前記最大形状の浄化された粗粒フラクションは、好ましくは前記磁気選別機そして前記外部タンク(14’)に、または直接前記外部タンク(14’)に移される、請求項6に記載の冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒の方法。
【請求項8】
前記次の選別装置(15)内で分離され、前記空気で持ち上げられた前記最も粉末状のフラクションが、シャッターを作り出す前記調節可能なカスケード(17)の領域に前記流れが導かれる、前記拡大カスケード選別装置(16)に導かれ、前記シャッターの角度は適切に調整され、下方に運ばれた前記材料の最大形状の分離されたフラクションは類推によって前記調整弁13”を通って好ましくは前記磁気選別機または直接前記外部タンク14”に移される、請求項7に記載の冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒の方法。
【請求項9】
廃棄物の前記空を舞う、最軽量フラクションは前記拡大カスケード選別装置(16)から前記サイクロン集塵器(18)に導かれ、前記サイクロン集塵器から前記最軽量フラクションは調整ダンパー(13''')によって、分離された冶金廃棄物の別のフラクションとして、好ましくは磁気選別機または直接前記外部タンク(14''')に移され、前記サイクロン集塵器(18)の運転中、前記調整ダンパー(13''')は好ましくは閉じられている、請求項8に記載の冶金廃棄物細粒の浄化および高度分粒の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、微細な冶金廃棄物材料の浄化分粒装置である。本装置は、ダストおよび粉末中に含まれる微細なばら材料または小径のばら材料を選別および浄化しようとするものである。ダストまたは粉末形状の最も微細な冶金廃棄物材料、たとえば溶解損失物のボールミルでの処理後に生じるダストまたは粉末は、有価金属の細粒を含有しているが、その回収は技術的に困難である。
【0002】
本発明の主題は、微細な冶金廃棄物材料の浄化分粒方法でもある。
【背景技術】
【0003】
ばら材料の物理的特性の違いは、フロー分級工程における選別および浄化のために利用される。粒状物の寸法、質量、および密度のほかに硬度、粉砕性、および衝撃強度もまた非常に重要である。フロー装置内において、空気流の作用は異なる質量および粒径を有する材料に様々な動きを生じさせる。空気流が低速の場合、質量の大きい材料は自身の速度を下げて自身の粒子の落下および堆積を生じる一方、より小さい質量の材料は空気流中にとどまる。流れがより高速になるとともに、また流れ方向の変化によって、材料の粒子が互いに衝突するとともに装置の構成要素に作用し、材料の破砕および浄化がもたらされる。
【0004】
たとえば、特に種々の篩振とう機、カスケードフロー分級器など非特許文献1に記載されている多種多様な粒子状物選別装置が知られている。周知のカスケード分級器アセンブリーは、カスケード中に配列されたセグメント一式から構成され、セグメント内には仕切りが配置されている。供給材料の粒状物は、連結パイプから供給される空気流によって選別される。供給材料は、タンクから供給スクリュによって分級器へ供給される。選別生成物は、分級器の上部に配置されたサイクロン(微粒生成物)および出口下方に配置されたコンテナー内、選別装置下部(粗粒生成物)に集められる。サイクロンからの空気は、ダクトを通して、織布フィルターおよび排気ファンに排出される。
【0005】
「広範囲の粒径分布を有する、多くのフラクションからなる材料から粗粒フラクションを選択的に選別する装置(Apparatus for selective separation of coarse-grained fractions from polyfractional material with wide range of grain-size distribution)」は特許文献1(BUP番号15/1997内)によって知られている。この発明は、広範囲の粒径分布を有する、多くのフラクションからなる(polyfractional)材料から粗粒フラクションを選択的に選別する問題を解決する。装置は、先端を切り取った円錐形を基部で接続した形の外部セグメントから作られたフローダクトから構成される。移送(Pouring)インサートがセグメント内部に固定される。多くのフラクションからなる材料は選別用ガスに逆流して重力によって流れる。選別用ガス供給のための追加ダクトに加えてバルブが装置の上部に配置される。
【0006】
別の解決策が、「残渣を選別するための方法および装置(Method and apparatus for separating residues)」と題する特許文献2によって知られている。特許文献2には、熱処理からの残渣をいくつかのフラクションに選別する装置が示されている。この装置は、自己整合要素上に据付けられ、その内部に斜め向きで上下に配置された数個のプレートを装着されたケーシングで構成される。この装置には振動要素が装着されており、選別された材料を個々のプレートから落下させる。
【0007】
別の解決策が、「粒滓の分級回収方法並びに装置」と題する特許文献3に示されている。この装置においては、個々のフラクションはガスによって選別される。
【0008】
「微細冶金廃棄物材料の浄化選別装置および微細冶金廃棄物材料の浄化分粒方法(Apparatus for cleaning and separating fine metallurgical waste material and method for cleaning and grain classification of fine metallurgical waste material)」と題する特許文献4には、垂直に配置されたカスケード選別装置を備えた装置が示され、その内部には超過気圧が引き起こされる。選別された材料は、先端が下向きに絞られたノズルとノズル出口の反対側に位置する破砕緩衝器とで終端する気流輸送用パイプを通って、空気流によって選別装置の浄化選別コラムに運ばれる。浄化された粗粒材料は下部出口を通って磁気選別機に運ばれ、そこで複数のフラクションに選別されて磁性部出口または非磁性部出口へ導かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ポーランド特許出願第P−312403号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/023374号
【特許文献3】特開昭53−124192号公報
【特許文献4】ポーランド特許出願第P−395273号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】スクリプト大学(Skrypt uczelniany)、鋳造観察力学(Maszynoznawstwo odlewnicze)/大学教科書、「鋳造機の理論(Theory of Casting Machines)」、著:A.Fedoryszyn,K.Smykasy,E.Ziotkowski、出版元:科学教育大学出版(Uczelniane Wydawnictwo Naukowo-Dydaktyczne)、所在地:クラクフ(Krakow)、2008年版、P.36〜37
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の目的は、従来の解決策よりも効率的で、さらに材料を様々な粒径、重量、ならびにその他の物理的および化学的特性を有するいくつかのフラクション(fraction)に選別することを可能にするであろう、ばら材料の浄化選別装置を開発することである。発明の目的は、そのような複数の種類のフラクションを回収する方法を開発することでもある。
【0012】
開発された微細冶金廃棄物材料の浄化分粒用選別装置は、垂直に向けられた最初の選別装置にばら材料フィーダーで接続された供給タンクで構成されている。空気はファンによって最初の選別装置に吹き込まれる。最初の選別装置の下部は、上方に向かうパイプラインによって、カスケード選別装置に接続されている。緩衝器と緩衝器の上方および下方に配置されたカスケードが、カスケード選別装置の中央部に取り付けられている。これらのカスケードは斜めに、そして互いに一定の間隔をあけて配置されている。調整ダンパーがカスケード選別装置の下部に配置されて、浄化された材料の、堆積する、より重いフラクションが、調整ダンパーを通って磁気選別機に排出されてから外部タンクに排出されるか、または直接外部タンクに排出される。記載のカスケード選別装置の上部はフィルターに接続されており、浄化された微細冶金材料のより軽い、浮遊しているフラクションがフィルターに導入される。装置の末端部は出口であり、出口はファンまたは吸引ポンプに接続してよい。開発した解決策の要諦は、上方に向かうパイプラインがカスケードパイプラインであり、このカスケードパイプラインの個々の区画が異なる直径を有するか、一直線からずれて配列されるか、カスケードを備えているか、またはらせん形状をしていることにある。
【0013】
好ましくは、最初の選別装置の上部およびカスケード選別装置の上部の両方がダクトによって集塵器に接続されている。最初の選別装置およびカスケード選別装置で選別された最軽量の粉末状フラクションは、集塵器に導入され、そこから集塵器に接続されている次のカスケード選別装置に導かれる。次のカスケード選別装置の下部には調整ダンパーがあり、このダンパーから空気が吸引され、それによって材料の最も微細なフラクションが上方に引き上げられる。次の選別された冶金廃棄物材料のより大径のフラクションがこのダンパーを通して案内されて、好ましくは磁気選別機に排出されてから外部タンクに排出されるか、または直接外部タンクに排出される。
【0014】
好ましくは、次のカスケード選別装置は拡大カスケード選別装置に接続され、拡大カスケード選別装置の上部には調節可能な垂直カスケードの区域が存在する。これらの垂直カスケードは一種のシャッターを形成し、このシャッターの傾斜角度は適切に調節できる。浄化された、微細な冶金廃棄物材料の流れは、次のカスケード選別装置から拡大カスケード選別装置に案内され、このシャッター上に落ちる。
【0015】
好ましくは、サイクロン集塵器は拡大カスケード選別装置に接続される。拡大カスケード選別装置から、微細な冶金廃棄物材料の流れはサイクロン集塵器に案内される。調整ダンパーがサイクロン集塵器の下部にある。このダンパーを通して外部から追加の空気が吸引できるとともに、廃棄物材料のより重いフラクションが磁気選別機に排出されてから外部タンクに排出されるか、または直接外部タンクに排出される。
【0016】
好ましくは、微細な冶金廃棄物材料の浄化用選別装置は、少なくとも1つの追加の選別装置、好ましくはカスケード選別装置、または追加のサイクロン集塵器を備えている。
【0017】
微細な冶金廃棄物材料の浄化分粒のために開発された方法は、ばらの廃棄物材料が、フィーダーによって供給タンクから好ましくはカスケード型であって既知の原理に基づいて作動する、垂直方向を向いた最初の選別装置へ輸送され、同時に空気がファンで、好ましくは調整ダンパーを通して最初の選別装置に吹き込まれるものである。そして最初の選別装置の内部に超過気圧が生じ、材料の粒子に速度が与えられ、ばら材料は「吹き抜けられて」、最も大径のフラクションが最初の選別装置の底面上に落下し、そこからカスケード選別装置内、直接に緩衝器およびその上方および下方に配置されたカスケードに導かれ、そこで粒子が分離される。下方へ落下する最も重い粒子は調整ダンパーを通って好ましくは磁気選別機または直接外部タンクへ排出される一方、空気中に浮遊する微細な粒子は出口を通って運び去られる。この方法に特徴的なことは、最初の選別装置の底部に集められた最初に選別された材料が、空気流によってカスケードパイプラインを通ってカスケード選別装置に運ばれ、浄化および選別された材料がそこで砕かれ、その壁面に衝突して粉々にされることである。
【0018】
好ましくは、最初の選別装置やカスケード選別装置で選別された最も粉末状であるフラクションは空気とともに上昇し、集塵器、その後に次の選別装置内に導かれ、そこでこの材料は分散され、さらに砕かれ、その最軽量の不要フラクションは選別装置内で吸い上げられる。最も重い、浄化された粗粒フラクションは、滑り落ちて好ましくは磁気選別機に排出されてから外部タンクに排出されるか、または直接外部タンクに排出される。
【0019】
好ましくは、次の選別装置で選別された最も粉末状であるフラクションは空気とともに上昇し、拡大カスケード選別装置に導かれ、そこで流れは、シャッターを形成する、調整されたカスケードの区域に導かれる。このシャッターの傾斜角度は適切に調整できる。それから材料の選別された、より重いフラクションは、下方に移動し、同様に調整ダンパーを通って、好ましくは磁気選別機または直接外部タンクに排出される。
【0020】
好ましくは、廃棄物材料の浮遊している最軽量フラクションは拡大カスケード選別装置からサイクロン集塵器に導かれ、そこから調整ダンパーを通って、次の選別された冶金廃棄物材料フラクションとして、好ましくは磁気選別機または直接外部タンクに排出され、サイクロン集塵器運転中は調整ダンパーが閉じられているのが好ましい。
【0021】
金属アルミニウム、金属酸化物、および金属塩を含有する、微細アルミニウム溶解損失物フラクションなどの極微細廃棄物材料は開発した微細冶金廃棄物材料浄化用選別装置で処理できる。微細な、分離された冶金廃棄物材料が開発された装置に移されると、異なる粒径、質量、物理および化学的特性の材料は非常に効率的に選別される。廃棄物材料の分離および個々のフラクションへの分割もここで行われる。たとえば、本発明について記述した方法が適用される、実施した実験の結果によれば、開発した装置において、破砕された1トンのアルミニウム溶解損失物から150〜400kg(15〜40%)の材料が得られ、磁気選別後にこの材料はいわゆる「二次」アルミニウムとしてアルミニウム合金またはアルミニウムの溶解用に使用できる。得られた材料は、冶金工程で脱酸素剤としても使用できる。40%未満の金属を含む、記載した工程で得られるいくつかの材料フラクションは、鉄冶金工程および金属鋳造において脱酸剤および断熱または発熱鋳造用パウダーとしても使用できる。10%未満の金属アルミニウムを含有する、得られた材料は、鋼精錬用合成スラグの製造用および製鋼工程におけるスラグフラックス用添加剤として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
発明の主題は、微細な冶金廃棄物材料の浄化のための選別装置の計画を示す、実施形態、図面の中で明らかにされている。
【0023】
【
図1】本発明に係る微細な冶金廃棄物材料のための浄化選別装置
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面中に示すように、通常5mm未満の粒径のばら材料が供給タンク1から開発された微細冶金廃棄物材料浄化用選別装置に供給される。ばら材料フィーダ2(たとえばスクリュフィーダまたはバケットフィーダなど)によって、このばら材料は好ましくはカスケード型であって既知の原理に基づいて作動する、垂直方向を向いた最初の選別装置3へ運ばれる。ファン4によって、好ましくは調整ダンパー5を通って、空気が最初の選別装置3に吹き込まれて、最初の選別装置3の内部に超過気圧が生じ、最初に浄化および選別された材料の粒子に速度が与えられる。空気とともに最初の選別装置3内で上昇する最も粉末状であるフラクションは集塵器6に排出され、一方冶金廃棄物材料の最も大径のフラクションは、重力およびそれらの自重によって、その下部に落下し、そこから上方に向かうカスケードパイプライン7によってカスケード選別装置8へ運び去られる。しかし、カスケードパイプライン7の個々の区画9は異なる直径を持つか、カスケードを備えているか、同軸上に配置されていないか、またはらせん形状をしていてもよく、その結果、事前に選択した材料の輸送中に、その流れが攪拌されて一フラクション(通常は最も重いフラクション)は運動方向を変化させ、それによってさらに破砕および粒子表面の浄化が促進される。カスケードパイプライン7の動作原理は、好ましくはノズル10で終わる、二相流で空気輸送される粒子の移動軌跡の変化にあり、それによって事前に選択した材料の流速が増加し、さらなる技術的操作を受けることがある。カスケードパイプライン7の上流に運ばれた廃棄物はカスケード選別装置8内の緩衝器11に導かれ、次に緩衝器の上方および下方に配置されたカスケード12を横切り、その結果として材料はさらに純化および分散されて粒子選別および浄化の効率が増大する。そのためにカスケード12は互いに一定の距離をあけて斜めに配置され、下向きに傾斜して垂直にいわば重なり合う。浄化される材料はカスケード選別装置8に導入され、カスケード12上に下向きに注がれて吹き抜けられ、最大形状のフラクションは重力およびそれらの自重によってカスケード選別装置8の底部に落下し、一方軽量フラクションは上方へ移動する。いわば「上方への道中」に軽量フラクションはカスケード12を横切り、より重い粒子の上方への動きがさらに妨げられて、より大径のフラクションの選別が支援される。カスケード選別装置8の底部に堆積する、より大径のフラクションは調整ダンパー13によって取り除かれ、調整ダンパー13を通して空気が吸引されて材料の最小形状のフラクションは持ち上げられる。調整ダンパー13を経て、微粒材料は好ましくは磁気選別機または直接外部タンク14に排出される。一方、上方に移動してカスケード選別装置8に集められた、より軽量なフラクションは集塵器6、次いで浄化工程がカスケード選別装置8と類似である次のカスケード選別装置15に導かれる。カスケード選別装置8から、類推的に、調整ダンパー13”を経て、画定された粒径および重量の次のフラクションは、好ましくは磁気選別機または直接外部タンク14”に集められる。
【0025】
一方、上記のように分離された、冶金廃棄物のより軽量かつ微細なフラクションは拡大カスケード選別装置16に導かれ、そこで流れは、いわば、角度がさらに調整できるシャッターを形成する、調節可能で基本的に垂直なカスケード17の領域にぶつかる。調節可能なカスケード17は重なり合って基本的に垂直に配置され、調節可能なカスケードに導かれた材料は調節可能なカスケードにぶつかってカスケード上をより低いカスケードへと滑り落ち、最大形状のフラクションは最後に拡大カスケード選別装置16のメインカラムにたどり着く。類推的に、最大形状のフラクションは調整ダンパー13”を経て、好ましくは磁気選別機または直接外部タンク14”に移され、一方最軽量の空を舞うフラクションはサイクロン集塵器18に導かれる。
【0026】
サイクロン集塵器18に導かれた材料は、サイクロン集塵器18の円錐形ハウジングの内壁内部を接線に沿って進み、それによって材料の旋回を生じ、材料に遠心力をかける。その結果、より軽いフラクションが壁面上に集まって滑り落ち、そこでより軽いフラクションは類推的に調整ダンパー13”を経て材料の次のフラクションとして直接外部タンク14’に移され、一方サイクロン集塵器運転中の調整ダンパー13'''は閉じられるのが好ましい。前述の工程の間に最軽量のダストフラクションが分離される。当該前述の工程は、協働して実行され、一連の選別装置に配置され、(我々が得たいフラクションの数および材料の物理的および化学的特性に依存して)より多くの数の選別装置を含むように開発されうるアセンブリーを作り出す。このようなアセンブリーの末端にあるサイクロン集塵器18において、最軽量フラクションが、サイクロン集塵器18の中央部から吸引されて、フィルター19、好ましくはジェットフィルターに導入される。そして清浄な空気が外部に放出される出口20において、場合によりファンまたは吸引ポンプ21によってさらなる負圧が作り出される。残存するダストは、浄化された材料の最も分離された最軽量フラクションとして外部タンク14''''に集められる。
【符号の説明】
【0027】
1 供給タンク
2 供給機構
3 最初のカスケード選別装置
4 ファン
5 ダンパー
6 集塵器
7 カスケードパイプライン
8 カスケード選別装置
9 (パイプラインの)区画
10 ノズル
11 緩衝器
12 カスケード
13 調整弁/ダンパー
14 外部タンク
15 次のカスケード選別装置
16 拡大カスケード選別装置
17 調節可能なカスケード
18 サイクロン集塵器
19 フィルター
20 (空気の)出口
21 吸引ポンプ
【国際調査報告】