(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539832(P2016-539832A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙
(51)【国際特許分類】
B44C 1/17 20060101AFI20161125BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20161125BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20161125BHJP
C09D 11/02 20140101ALI20161125BHJP
【FI】
B44C1/17 A
C09D201/00
C09D7/12
C09D11/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-547817(P2016-547817)
(86)(22)【出願日】2013年10月31日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月10日
(86)【国際出願番号】KR2013009786
(87)【国際公開番号】WO2015053425
(87)【国際公開日】20150416
(31)【優先権主張番号】10-2013-0121292
(32)【優先日】2013年10月11日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516108122
【氏名又は名称】キム デヒョン
【氏名又は名称原語表記】KIM, Dai Hyun
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】キム デヒョン
【テーマコード(参考)】
3B005
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
本発明は印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙に関するもので、離型紙と熱転写層とで構成される熱転写紙において、前記熱転写層は、印刷またはデジタル実写出力機で使用されるインクが内部に吸収されて、カラーパターン層が形成される半透明または不透明コーティング層であることを特徴とする印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙で構成される。従って、印刷方式及び印刷方式によるインクの種類に関係なく使用することができ、従来の熱転写方式の温度(200〜280℃)に比べて低い温度(90〜180℃)で熱転写が可能であるので、被写体の変形が発生しないだけでなく、転写紙から有毒ガスが放出されなくて作業者に安全であり、印刷の発色度が優れ、インクのにじみ現象がなく、鮮明度が向上され、生地の汚染及びスクラッチを隠す効果があり、熱転写紙の印刷出力時にインクの速乾性により別途の乾燥装置や乾燥作業が不要な利点があり、生地の触感の調節及び光沢の調整が可能で、1回のコーティングによってコーティング作業を完了することにより、生産費用を削減することができ、不良率を減少することができる経済性のある非常に有用な発明である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型紙と熱転写層とで構成される熱転写紙において、
前記熱転写層は、印刷またはデジタル実写出力機で使用されるインクが内部に吸収されて、カラーパターン層が形成される半透明または不透明コーティング層であることを特徴とする印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項2】
前記熱転写層は、ラテックス、ゴム(Rubber)、水性ウレタン、ポリブタノール、尿素、ウレタン、アクリル、ビニル樹脂、酢酸ビニル、PVC樹脂、EVA(Ethylene−vinyl acetate copolymer)、TPU(Thermoplastic Polyurethane)からなる群から一つ以上が選択されてなるホットメルト系樹脂と、表面張力剤、分散剤、充填剤、消光剤、触感剤、水性ソルベント、油性ソルベント、可塑剤、増粘剤、増白剤、UV遮断剤及びUV吸収剤が混合されて構成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項3】
前記熱転写層はコンマナイフ(Comma knife)を利用して一定の厚さに離型紙にコーティングされた後、120℃〜150℃に温度が調節された乾燥窯で2分〜4分間乾燥されることを特徴とする請求項1に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項4】
前記インクは、水性インク、ソルベントインク、UVインクの中から選択される一つであることを特徴とする請求項1に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項5】
前記水性インクは、ソルベントとして脱イオン水、色調としてイオン性有機染料や顔料、有機染料及び顔料の混合物の中から選択される何れか一つと、分散剤、表面張力剤、保湿剤で構成されることを特徴とする請求項4に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項6】
前記ソルベントインクは、ソルベント(Solvent)、色調にイオン性有機染料や顔料、有機染料及び顔料の混合物の中から選択される何れか一つと、分散剤、表面張力剤で構成されることを特徴とする請求項4に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項7】
前記UVインクは、反応性希釈剤と光重合性樹脂、オリゴマー、イオン性有機染料や顔料、有機染料及び顔料の混合物の中から選択される何れか一つと、補助剤、重合禁止剤、増感剤で構成されることを特徴とする請求項4に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項8】
前記補助剤は、粘性改良剤、酸化防止剤、湿潤調節剤及び分散剤が混合されたことを特徴とする請求項7に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項9】
前記油性ソルベントは、IPA(Isopropyl alcohol)、エチルアルコール、メチルアルコール、水、トルエン、MEK(Methyl Ethyl Ketone)、キシレン(Xylene)、酢酸エチル、エチルセルソルブ、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトール、アノン(Anone)の中から選択されて一つ以上混合されることを特徴とする請求項2に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項10】
前記充填剤は、チタニウム、ニトロセルロース、アルミナゾル、シーラント、エアロゾル、炭酸カルシウムの中から選択されて一つ以上混合されることを特徴とする請求項2に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【請求項11】
前記触感剤は、シリコーンまたは変性シリコーンであることを特徴とする請求項2に記載の印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷及びデジタル実写出力熱転写紙に関するもので、より詳しくは、印刷方式及びインクの種類に関係なく使用することができ、被写体の変形が発生しなく、転写紙から有毒ガスが放出されなくて、作業者に安全であり、また、印刷の発色度が優れ、インクのにじみ現象がなくて、鮮明度が向上され、生地の汚染及びスクラッチを隠蔽する効果がある印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱転写紙は転写しようとする文字やデザインをスクリーン印刷した後、転写対象物や転写対象紙に密着させて熱転写紙に熱を加えることにより、熱転写紙に印刷された文字やパターンが転写されるようにするものである。
【0003】
この目的で用いられる従来の熱転写紙は、普通の紙の一側表面に転写するための文字やデザインをスクリーン印刷し、上記印刷で表現されたデザインの表面には、接着剤粉末を散布して接着層を形成した後転写準備をする。
【0004】
この状態で転写対象物をデザイン面に密着した後、熱転写紙に熱を加えることにより、接着層が転写対象物に接着されながら、スクリーン印刷されたデザインも一緒に剥離され、転写紙にデザインを印刷した後、接着剤粉末を塗布して接着層を形成する場合にも、接着剤粉末がデザインはもちろん、転写紙にも接着されて転写後のデザインの鮮明度を低下させる原因となる。
【0005】
上記熱転写紙が必要な作業に印刷及びデジタル実写出力などがあり、特に、上記印刷方式には、シルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷などがある。
【0006】
上記グラビア印刷は、凹版印刷における写真技術を応用して製版した凹版に印刷することで、写真凹版をグラビア(gravure)と呼ぶ。これはphoto−gravureの略語で、印刷するときは、画線の凹んだ部分に液体インクを詰め、その他の部分のインクをナイフで除去した後印刷をする。上記グラビアは版の深さによって階調を表すため、濃淡が豊富で、強い印象を与えることにより、各種書籍、商業印刷物、美術印刷物、切手印刷以外に、吸水性のないセロハン、プラスチックフィルム、アルミ箔などの包装印刷、建築材料の印刷、その他にも各種印刷に応用範囲が広い。オフセット印刷は印刷で凸版、凹版、平版の三版式の中の平版に属する印刷で、版で直接被印刷物に印刷をするのではなく、仲介役割をするゴムブランケットに転写印刷した後、用紙に印刷する方法である。金属平版印刷は大部分オフセット印刷によって印刷されるので、一般的にオフセット印刷は金属平版印刷と同じ意味で使われている。上記シルクスクリーン印刷(silk screen printing)は、スクリーン印刷・プロセス印刷とも呼ばれている。型を作る方法はいろいろあるが、簡単な文字や線画の場合には、絹にシェラックニスで直接描くか、または硫酸紙にシェラックニスを塗ったものを原図に頭油を塗った後ナイフで輪郭を切って、文字や画線部の硫酸紙を剥がしたものを絹にあてて、裏面からアイロンで加熱すれば型が絹に付着される。複雑な絵や小型文字の場合には、ゼラチンとダイクロム酸カリウムを混合した感光液を絹に塗って乾燥したものにポジティブをプリントし、お湯で現像して感光していないゼラチンを溶かして取り除いて型を作る。また、カーボンティッシュに感光性を与えたのにプリントしたものを絹に転写した後現像して型を作る方法もある。
【0007】
上述したように、多様な印刷方式があり、このような印刷方式によって多様な種類のインクが必要になって、その度に熱転写紙の種類は変わる。また、高温で熱転写をする必要があるため、被写体の変形がたくさん発生し、高温度で熱転写する必要があるため、熱転写紙から有毒ガスが放出されて、作業が困難な問題が発生した。
【0008】
一方、これまでのデジタル実写出力されたプリント紙は単純に布に樹脂をコーティングした後、オイル性インクを実写出力して、主に垂れ幕や捺染用に提供されているのが一般的であった。このように、布または製紙に水溶性インクで印刷した印刷物やPVC、合成紙、PETバナー、PPのバナーまたはシート紙にソルベントインクで印刷したプリント紙を様々な固定体に付着するためには、布や製紙またはプリント紙に必ず別途の接着剤を塗布して、上記接着剤の接着力で各種固定体に付着させることができるのが全部であった。
【0009】
また、このように印刷されたプリント紙のパターンを保護し、脱色を防止するためには、上記印刷されたパターンの上部に透明シートで積層または塗装処理をしてコーティング層を形成する別途のプロセスが必要である。
【0010】
さらに、接着層と印刷層、剥離層及びシートを含む従来の熱転写紙とは異なって、従来の実写出力ラミネート紙は接着層と印刷層が別途に区分されていなくて熱転写用実写出力カラープリント紙にすることができなくて、各種固定体の被写面に瞬間的に直接接着カラープリントされるのに不適合である。つまり、布や製紙またはプリント紙のような従来のラミネート紙は各種固定体の被写面に直接接着熱転写させることが不可能であるという問題点があった。
【0011】
これらの問題点を解決するために、デジタル実写出力機によって噴射されるソルベントインクを吸収するカラー透明窓が含まれる熱転写層と輸送シートとから成る熱転写紙が提案されたことがあるが、上記の印刷の問題のように、高温度で熱転写可能であるため、被写体の変形が発生し、転写紙から有毒ガスが放出されるだけでなく、インクのにじみ現象が発生して鮮明度が低下し、印刷の発色度が低下し、別途の乾燥装置が必要となり、生地の触感や光沢の調節が不可能であるという問題が発生した。
【0012】
従って、このような様々な問題点を解消するための熱転写紙の開発が切実に要求される実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の第一の目的は、印刷方式及び印刷方式によるインクの種類に関係なく使用することができ、従来の熱転写方式の温度(200〜280℃)に比べて低い温度(90〜180℃)で熱転写が可能であるので、被写体の変形が発生しないだけでなく、転写紙から有毒ガスが放出されなくて作業者に安全であり、環境にやさしい熱転写紙を提供することである。第二の目的は、印刷の発色度が優れ、インクのにじみ現象がなく、鮮明度が改善され、生地の汚染やスクラッチを隠す効果がある熱転写紙を提供することである。第三の目的は、インクの速乾性により、別途の乾燥装置や乾燥作業が不要な利点があり、生地の触感の調節及び光沢性の調節が可能で、1回のコーティングによりコーティング作業を完了することで、生産費用を削減することができ、不良率を減少することができる熱転写紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達するために、本発明は離型紙と熱転写層とで構成される熱転写紙において、上記熱転写層は、印刷またはデジタル実写出力機で使用されるインクが内部に吸収されて、カラーパターン層が形成される半透明または不透明コーティング層の構成によって達成される。
【発明の効果】
【0015】
上記のような本発明の構成によれば、印刷方式及び印刷方式によるインクの種類に関係なく使用することができ、従来の熱転写方式に比べて低い温度で熱転写が可能であるので、被写体の変形が発生しないだけでなく、転写紙から有毒ガスが放出されないので、作業者が安全である。
【0016】
また、印刷の発色度が優れ、インクのにじみ現象がなくて、鮮明度が向上され、生地の汚染やスクラッチを隠す効果があり、公害の原因となる廃生地及び廃革を被着物として再利用が可能で、生地の再利用性が高いだけでなく、美しいパターンや優れた色の高品質の生地に再加工して活用することができる環境に優しいという長所がある。
【0017】
さらに、熱転写紙の印刷出力時にインクの速乾性により、別途の乾燥装置や乾燥作業が不要な利点があり、生地の触感の調節及び光沢の調整が可能である。
【0018】
さらに、1回のコーティングでコーティング作業を完了することにより、生産費用を削減することができ、不良率を減少することができる経済性の良い非常に有用な発明である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施例を説明すれば次の通りである。
【0020】
本発明の実施形態による印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙は、離型紙と熱転写層とで構成される熱転写紙において、上記熱転写層は、印刷またはデジタル実写出力機で使用されるインクが内部に吸収されて、カラーパターン層が形成される半透明または不透明コーティング層であることを特徴とする。
【0021】
一般に、印刷及びデジタル実写出力による結果物の印刷の発色度や鮮明度などの優位性を決める際に熱転写紙を構成する熱転写層の透明度は非常に重要である。
【0022】
つまり、熱転写層が透明である場合、熱転写層に吸収されるインクの色パターンが熱転写時と印刷時に鮮明に見えなくなり、印刷の発色度も低下するという問題が発生するため、熱転写層が白色を保持する半透明状態であるか、または透明でない不透明状態を保持してこそ印刷発色性が優れ、鮮明度が向上し、熱転写された被写体つまり生地にスクラッチが発生しても隠蔽することができる効果がある。
【0023】
詳しくは、印刷及びデジタル実写出力時に、熱転写紙の熱転写層にインクが塗布された時、熱転写層は後述する充填剤と結合してインクをよく吸収し、吸収されたインクを内包してインクが持っている固有色を表現する際に、白色などの半透明や不透明に形成されているときにインクの固有色に対する印刷発色が一層濃くなり、印刷された文字やデザインに対するインクのにじみを白色などの半透明や不透明の特性により吸収して防ぐことにより、仕上げ線が鮮明に見えるようにする。
【0024】
また、印刷及びデジタル実写出力による熱転写紙の印刷出力時に、本発明の実施例による熱転写紙は、不透明または半透明の熱転写層によってインクが吸収されるによってインクが迅速に自然乾燥されるので、従来の印刷出力、特にソルベント装備による印刷出力時に必要としていた予熱板や熱風乾燥機などの乾燥装置が不要な利点がある。
【0025】
特に、上記熱転写層は、ラテックス(Latex)、ゴム(Rubber)、水性ウレタン、ポリブタノール、尿素(Urea)、ウレタン(Urethane)、アクリル、ビニル樹脂、酢酸ビニル、PVC樹脂、EVA(Ethylene−vinyl acetate copolymer)、TPU(Thermoplastic Polyurethane)からなる群から一つ以上が選択されてなるホットメルト(hot melt)系樹脂と、表面張力剤、分散剤、充填剤、消光剤、触感剤、水性ソルベント、油性ソルベント、可塑剤、増粘剤、増白剤、UV遮断剤とUV吸収剤が混合されて構成される。
【0026】
上記水性ソルベントは、脱イオン水が使用され、上記油性ソルベントはIPA(Isopropyl alcohol)、エチルアルコール、メチルアルコール、水、トルエン、MEK(Methyl Ethyl Ketone)、キシレン(Xylene)、酢酸エチル、エチルセルソルブ、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルカルビトール、アノン(Anone)の中から選択されて一つ以上混合されることを特徴とする。
【0027】
上記充填剤は、チタニウム、ニトロセルロース、アルミナゾル、シーラント、エアロゾル、炭酸カルシウムの中から選択されて一つ以上混合され、このような充填剤を使用することにより、熱転写層に含まれる樹脂の含有量との投入割合によって熱転写紙の光沢性、即ち有光、無光、中光を調節することができるという長所がある。
【0028】
上記触感剤は、シリコーンや変性シリコーンが使用され、このような触感剤を使用することにより、被着物に熱転写された転写物の表面、即ち生地の表面に対する触感を滑らかに或いは硬く調節することができるという長所がある。
【0029】
また、上記熱転写層はコンマナイフ(Comma knife)を利用して一定の厚さに離型紙にコーティングされた後、120℃〜150℃に温度が調節された乾燥窯で2分〜4分間乾燥されることを特徴とする。
【0030】
上記コンマナイフによって離型紙にコーティングされる熱転写層の厚さは約10〜70μであり、乾燥窯で完全に乾燥された熱転写紙はホルダーに巻いて保管する。
【0031】
上記ホルダーは熱転写紙が紙管に巻かれるもので、完全に乾燥された熱転写紙がジャンボロールサイズに巻かれる。
【0032】
特に、従来の離型紙上に熱転写層を形成して熱転写紙を製造するためには、グラビア銅板を腐食させてコーティング液を塗るため、コーティング時に腐食した凹凸のメッシュマーク(別名あばた)によりコーティング液を精巧にコーティングすることができないだけでなく、一度にたくさんの量を塗布することができなくて3回程度のコーティングでコーティング作業を完了したが、本発明は、コンマナイフによるコンマコーティングによって1回にたくさんの量をコーティングすることができて、精巧なコーティングが可能であり、品質が向上されて生産費用を削減し、不良率を減少することができて、市場競争力のある非常に有用な発明である。
【0033】
本発明の実施例による印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙に用いられるインクは、水性インク、ソルベントインク、UVインクの中の一つであり、上記水性インクは、ソルベントとして脱イオン水、色調としてイオン性有機染料や顔料、有機染料及び顔料の混合物の中から選択される何れか一つと、分散剤、表面張力剤、保湿剤で構成される。特に、上記水性インクは、デジタル水性実写出力熱転写紙に主に用いられる。
【0034】
また、上記UVインクは、反応性希釈剤と光重合性樹脂、オリゴマー、イオン性有機染料や顔料、有機染料及び顔料の混合物の中から選択される何れか一つと、補助剤、重合禁止剤、増感剤で構成され、上記補助剤としては、粘性改良剤、酸化防止剤、湿潤調節剤、及び分散剤が混合される。上記UVインクは、デジタルUV実写出力熱転写紙に用いられる。
【0035】
上記ソルベントインクは、ソルベント(Solvent)と色調としてイオン性有機染料や顔料、有機染料と顔料の混合物の中から選択される何れか一つと、分散剤、表面張力剤で構成され、上記ソルベントインクは、デジタルソルベント実写出力用熱転写紙に用いられるだけでなく、印刷用熱転写紙にも用いられる。
【0036】
即ち、上記ソルベントインクは、グラビア印刷と、シルクスクリーン印刷及びオフセット印刷用熱転写紙にも用いられる。
【0037】
特に、従来に用いられるインクは大部分が粒子の大きさが大きい顔料を使用するため、インクの色合い成分が熱転写層の透明接着層に浸透して入ることができないことにより、熱転写時に被着物に完璧に付着されず表面から脱着される欠点が発生したが、本発明の実施例による印刷及びデジタル実写出力用熱転写紙に用いられるインクには、粒子の大きさが小さいイオン性染料を用いたり、イオン性染料と有機顔料との混合物を用いることにより、熱転写層に完全に吸収されて、熱転写時に被着物に完全に接着されるという利点がある。
【0038】
さらに、従来には、印刷方式やインクの種類によって、その方式及びインクに合わせて熱転写紙を用いたが、本発明の実施例による熱転写紙は、上述したように、印刷方式が異なり、他の印刷方式によってインクの種類が変わっても関係なく用いることができるという長所がある。
【0039】
詳しくは、本発明の実施例による熱転写紙は、印刷方式であるグラビア印刷とオフセット印刷、シルクスクリーン印刷及び写真現像型LED印刷のすべての印刷方式に用いることができ、上記印刷方式によるそれぞれの印刷機、即ちオフセット印刷機、UVオフセット印刷機、グラビア印刷機、シルクスクリーン印刷機、インディゴ印刷機、デジタルプリント印刷機、デジタル実写水性印刷機、ソルベント印刷機、ラテックス印刷機、UVデジタル印刷機、実写用水性平版印刷機、実写用ソルベント平版機、中小型プリンター、一般プリンター、レーザープリンター、コピー機などに使用可能である。
【0040】
また、多様な印刷方式や印刷機によって用いるインクの種類が変わり、この時、インクの種類に関係なく使用可能な熱転写紙で、多様なインクとしては、デジタル実写出力用水性用ラテックス顔料インク、デジタル実写出力用水性顔料インク、デジタル実写出力用水性染料インク、デジタル実写出力用水性用染料及び顔料の混合インク、デジタル実写出力用ソルベント顔料インク、デジタル実写出力用ソルベント染料インク、デジタル実写出力用ソルベント染料と顔料の混合インク、デジタル実写出力用UV顔料インク、シルク印刷用水性エマルジョン顔料インク、シルク印刷用水性エマルジョン染料インク、オフセット印刷インク、UVオフセット印刷インク、インディゴ印刷インク、グラビア印刷インク、レーザー印刷トナーなどである。
【0041】
以上、本発明は従来の熱転写方式に比べて低い温度で熱転写が可能な特性があり、被写体の変形が発生しないだけでなく、転写紙から有毒ガスが放出されなくて作業者に安全な非常に有用な発明である。
【国際調査報告】