(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539934(P2016-539934A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】タダラフィル及びアムロジピンを含む複合製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4422 20060101AFI20161125BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20161125BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20161125BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20161125BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20161125BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20161125BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20161125BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20161125BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20161125BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20161125BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20161125BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
A61K31/4422
A61K31/4985
A61K9/16
A61K47/10
A61K47/36
A61K9/48
A61K9/20
A61P9/00
A61P15/10
A61K47/20
A61K47/38
A61K47/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-528844(P2016-528844)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月2日
(86)【国際出願番号】KR2014010641
(87)【国際公開番号】WO2015072700
(87)【国際公開日】20150521
(31)【優先権主張番号】10-2013-0139334
(32)【優先日】2013年11月15日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0096022
(32)【優先日】2014年7月28日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジン チュル
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェ ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、 カレブ ヒュンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジェ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、 ジョン ソ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC11
4C076CC17
4C076DD05
4C076DD38
4C076DD41C
4C076DD55F
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38B
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF33
4C076FF36
4C076FF37
4C076FF43
4C076FF56
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC26
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA08
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA81
4C086ZC75
(57)【要約】
タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;を活性成分として含み、該タダラフィル及び該アムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、6ないし14重量部で存在する複合製剤を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩と、
アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩と、を活性成分として含み、
前記タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、約6ないし約14重量部で存在する複合製剤。
【請求項2】
前記複合製剤は、タダラフィル及びアムロジピンそれぞれの溶出率が、USP37試験法による溶出試験時、15分以内に、約70%以上の溶出率を示すことを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項3】
前記複合製剤は、
タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むタダラフィル湿式顆粒部と、
アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むアムロジピン混合部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項4】
前記タダラフィル湿式顆粒部またはアムロジピン混合部は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、及び滑沢剤からなる群から選択される1種以上の、薬剤学的に許容可能な添加剤を含むことを特徴とする請求項3に記載の複合製剤。
【請求項5】
前記タダラフィル湿式顆粒部は、ラクトース、マンニトール、及びそれらの組み合わせからなる群のうちから選択される水溶性希釈剤を含むことを特徴とする請求項4に記載の複合製剤。
【請求項6】
前記水溶性希釈剤は、製剤総重量100重量部に対して、約20ないし約60重量部で存在することを特徴とする請求項5に記載の複合製剤。
【請求項7】
前記アムロジピン混合部は、崩壊剤として、澱粉グリコール酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項4に記載の複合製剤。
【請求項8】
前記アムロジピン混合部は、製剤総重量100重量部に対して、約4ないし約10重量部の澱粉グリコール酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項7に記載の複合製剤。
【請求項9】
前記タダラフィル湿式顆粒部は、ラクトース、マンニトール、及びそれらの組み合わせからなる群のうちから選択される水溶性希釈剤を、製剤総重量100重量部に対して、約20ないし約60重量部含み、前記アムロジピン混合部は、澱粉グリコール酸ナトリウムを、製剤総重量100重量部に対して、約4ないし約10重量部含むことを特徴とする請求項4に記載の複合製剤。
【請求項10】
前記タダラフィルの用量が、約5ないし約10mgあることを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項11】
前記アムロジピンの用量が、約5ないし約10mgであることを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項12】
1日1回投与することを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項13】
毎日服用可能であることを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項14】
前記複合製剤は、錠剤、カプセル剤、または多重粒子の形態である経口用であることを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項15】
前記複合製剤は、心血管系疾患、勃起不全、またはそれらの組み合わせの予防用または治療用であることを特徴とする請求項1に記載の複合製剤。
【請求項16】
タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むタダラフィル湿式顆粒部の製造段階と、
アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むアムロジピン混合部の製造段階と、
前記タダラフィル湿式顆粒部及びアムロジピン混合部を共に剤形化する段階と、を含む請求項1ないし15のうちいずれか1項に記載の複合製剤の製造方法。
【請求項17】
前記タダラフィル湿式顆粒部の、薬剤学的に許容可能な添加剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、前糊化澱粉及びマンニトールを含み、
前記アムロジピン混合部の、薬剤学的に許容可能な添加剤は、澱粉グリコール酸ナトリウム、希釈剤及び滑沢剤を含み、
前記剤形化する段階は、打錠段階を含むことを特徴とする請求項16に記載の複合製剤の製造方法。
【請求項18】
前記希釈剤は、微晶質セルロース、マンニトール、またはそれらの組み合わせであり、前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項17に記載の複合製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タダラフィル及びアムロジピンを含む複合製剤に係り、さらに詳細には、従来のタダラフィル及びアムロジピンそれぞれの単一製剤に含有された活性成分の含量を1つの製剤にそのまま含みながら、製剤の大きさは、従来の単一製剤に比べて大きくなく、患者の服用順応度が顕著に向上した複合製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
タダラフィルは、環式グアノシン一リン酸(cGMP)−特異的ホスホジエステラーゼ5型(以下、「PDE−5」とする)に対する選択的及び可逆的な抑制剤である。性的刺激が局所的に窒素酸化物の放出を起こすとき、タダラフィルによるPDE−5の抑制が、海綿体においてcGMPの数値を上昇させ、それは、平滑筋弛緩と、陰茎組織への血液流入をもたらすことによって勃起を起こす。タダラフィルは、「シアリス(Cialis(登録商標))錠”という商品名で販売中であり、勃起不全及び陽性前立腺肥大症の治療、または勃起不全と陽性前立腺肥大症との同伴患者の治療に使用されると知られている(WO2000/066099)。
【0003】
高血圧は、脳卒中、心筋梗塞症、鬱血性心不全、腎臓病または末梢血管疾患のような心血管疾患の主要危険要因である。血圧が上昇するほど、心血管疾患の危険は、直線的に増大する。血圧と脳卒中との関係は冠動脈疾患との関係よりさらに密接である。それによって、血圧は、間断なく調節することが重要であり、血圧薬は、長期間服用することが要求されるので、治療薬物の愼重な選択が要求される。血圧降下剤は、種類によって、利尿剤、ベータ遮断剤及びアルファベータ遮断剤、カルシウムチャネル拮抗剤、アンジオテンシン転換酵素抑制剤、アンジオテンシン受容体遮断剤などに分けることができる。
【0004】
アムロジピン(amlodipine)[3−エチル5−メチル2−[(2−アミノ−エトキシ)メチル]−4−(2−クロロフェニル)−6−メチル−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボキシレート]は、現在ファイザー社の「ノルバスク(登録商標)」などの製品として市販されており、カルシウムチャネル拮抗剤として、収縮期高血圧及び脳卒中を予防するのに効果的である。また、アムロジピンのようなカルシウムチャネル拮抗剤は、冠状動脈拡張作用があり、狭心症に効果的であり、特に、冠状動脈の攣縮が関与する変異型狭心症に非常に有用である。
【0005】
米国健康保険資料によれば、勃起不全患者の約41%が高血圧疾患を共に有していると知られており、韓国では、2008年、疾病管理本部国民健康栄養調査では、高血圧患者の54.3%が勃起不全を伴っているということを発表した。また、2009年、British society for sexual medicines勃起不全治療関連ガイドラインにおいては、勃起不全及び高血圧は、相互関連疾患であり、各疾患の前兆症状になりもするということに言及しており、2013大韓高血圧学会診療指針によれば、高血圧の一次薬剤として、アンジオテンシン転換酵素抑制剤、アンジオテンシン遮断剤、ベータ遮断剤、カルシウムチャネル拮抗剤または利尿剤を使用し、勃起不全を伴う場合には、勃起不全が順応度に影響を与えないように積極的に問診し、PDE5抑制剤(phosphodiesterase−5 inhibitors)は、高血圧薬と併用投与可能であると明示している。
【0006】
市販中であるPDE−5抑制剤系薬物のうち一つであるシルデナフィルは、ファイザー社の「バイアグラ(登録商標)」という製品で市販されているが、該薬物の場合は、必要な場合にのみ投与可能であり、血圧薬を毎日服用する患者が、毎日共に服用するには、安全性が立証されていない。一方、タダラフィル(シアリス(登録商標))の場合、5mg用量で、1日1回の療法可能であり、従って、毎日服用する高血圧薬剤と共に服用するのに適する。また、タダラフィルとカルシウム拮抗剤薬物との併用投与に対する研究において、タダラフィルの血管弛緩作用が、カルシウム拮抗剤の血圧降下効果を増大させ、低血圧に対する危険性は低いと報告されている。
【0007】
結論として、前記タダラフィル及びアムロジピンの2つの活性成分の組み合わせは、副作用は、ほとんどなく、同伴疾患の治療が可能であり、前記2つの疾患を同時に予防または治療することができるという長所がある。しかし、現在同伴疾患の治療のためには、それぞれの市販単一医薬品2種を毎日服用しなければならないので面倒であり、一度に2個の単位剤形を飲み込むのも容易ではなく、患者の順応度が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来のタダラフィル及びアムロジピンそれぞれの単一製剤に含有された活性成分の含量を1つの製剤にそのまま含みながら、製剤の大きさは、従来の単一製剤に比べて大きくない複合製剤を提供するものである。
【0009】
本発明の他の目的は、従来のタダラフィル及びアムロジピンそれぞれの単一製剤に含有された活性成分の含量を1つの製剤にそのまま含みながら、製剤の大きさは、従来の単一製剤に比べて大きくなくて、それぞれの単一製剤に比べ、活性成分の溶出率低下がなく、製剤の性状安定性が確保された複合製剤を提供するものである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、前記複合製剤の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一様相は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;を活性成分として含み、前記タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、6ないし14重量部で存在する複合製剤を提供する。
【0012】
本発明の他の一様相は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むタダラフィル湿式顆粒部;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むアムロジピン混合部;を含み、前記タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、6ないし14重量部で存在する複合製剤を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の一様相は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を含むタダラフィル湿式顆粒部の製造段階;アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩、及び薬剤学的に許容可能な添加剤を含むアムロジピン混合部の製造段階;並びに前記タダラフィル湿式顆粒部及びアムロジピン混合部を共に剤形化する段階;を含む前記本発明による複合製剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明による複合製剤は、2つの活性成分を1つの単位剤形に含むだけではなく、それぞれの既存単一製剤に比べて大きくないように製造することができ、2つの活性成分の投与が必要な患者の服薬順応度を上昇させることができる。特に、タダラフィル及びアムロジピンをいずれも毎日服用しなければならない患者においては、2つの薬物を1つの製剤として服用することができ、容易に飲み込むことができるので、患者の服用順応度を顕著に上昇させることができる。従って、PDE−5抑制剤であるタダラフィルの血管拡張作用と、アムロジピンの血圧降下作用とにより、高血圧、及びそれによる心血管系疾患の予防及び治療に有用であり、勃起不全疾患を伴った患者にも、有用に使用される。
【0015】
また、本発明による複合製剤は、製薬業界で一般的に使用する製造方法及び装備だけでも製造が可能であるので、複合製剤の製造費用節減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実試芸による複合製剤、比較例1の複合製剤、及び市販単一製剤であるノルバスク(登録商標)錠剤、シアリス(登録商標)錠剤写真であり、それぞれの単位剤形の大きさを比較したものである。
【
図2】本発明の一実施例による複合製剤、製造例1及び2の複合製剤、及びシアリス(登録商標)を対象として、USP37 tadalafil tabletsによって溶出試験を行い、経時的なタダラフィルの溶出率を示したグラフである。
【
図3】本発明の一実施例による複合製剤、製造例3の複合製剤、及びノルバスク(登録商標)を対象に、USP37amlodipine tabletsによって溶出試験を行い、経時的なアムロジピンの溶出率を示したグラフである。
【
図4】本発明の一実施例による複合製剤、製造例4の複合製剤、及びシアリス(登録商標)を対象に、USP37 tadalafil tabletsによって溶出試験を行い、経時的なタダラフィルの溶出率を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明で使用される全ての技術用語は、異なって定義されない以上、本発明の関連分野において、通常の当業者が一般的に理解するような意味に使用される。また、本明細書には、望ましい方法や試料が記載されるが、それと類似しているか、あるいは同等なものも、本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献で記載される全ての刊行物の内容は、全体が本明細書に参照として統合される。
【0019】
本発明者らは、タダラフィル及びアムロジピン2つの薬剤を1つの単位剤形に含む複合製剤として製剤化し、タダラフィル及びアムロジピン2つの薬剤の投与が必要な患者の服薬順応度を高めようとした。それぞれの市販単一製剤である錠剤の総量を含む複合製剤を製造することは容易であるが、かような複合製剤は、それぞれの市販単一製剤の含量を合わせた質量及び大きさを有することになる。従って、市販単一製剤である錠剤の総量を含む複合製剤は、2つの薬物をいずれも含む複合製剤に製剤化したという側面では、服薬順応度に有利ではあるが、錠剤のサイズ増大によって、服薬順応度が低くなり、結果として、複合製剤化が意味がなくなることにもなる。
【0020】
そのために、本発明者らは、タダラフィル及びアムロジピンそれぞれの市販単一製剤よりサイズが大きくない錠剤を作り、患者順応度を極大化するために、鋭意研究した結果、複合製剤総重量対比で活性成分の比率を高めた錠剤を開発した。
【0021】
従って、本発明の一様相は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;を活性成分として含み、前記タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、約6ないし14重量部で存在する複合製剤を提供する。
【0022】
前記複合製剤は、タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、6ないし14重量部であり、従来の単一製剤に比べ、活性成分の比率が高いので、従来の単一製剤の活性成分合の薬剤を含みながらも、従来の単一製剤のサイズより大きくならないようにすることができる。従って、タダラフィル及びアムロジピンを1つの製剤として服用可能でありながらも飲み込みやすく、患者の順応度が上昇する。
【0023】
前記複合製剤において、複合製剤の総質量対比で活性成分の比率が高い場合、それは、薬剤学的側面において、必然的に溶出率低下が生じる。複合製剤が従来の単一製剤と同一の効能及び効果を示すためには、従来の単一製剤の溶出率(15分以内に70%以上の溶出率)と同等以上であるタダラフィル及びアムロジピンの溶出率を示さなければならない。従って、本発明者らは、活性成分の比率上昇による溶出率低下を克服するための複合製剤を開発した。
【0024】
そのために、本発明の他の一様相は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;を活性成分として含み、前記タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、約6ないし14重量部で存在する複合製剤であり、前記複合製剤は、タダラフィル及びアムロジピンの溶出率がそれぞれUSP37試験法による溶出試験時、15分以内に、約70%以上の溶出率を示す複合製剤を提供する。
【0025】
前記USP37試験法による溶出試験は、米国薬典USP37の一般試験法の溶出試験法を意味し、前記溶出試験は、それぞれUSP37 tadalafil tabletsまたはUSP37 amlodipine tabletsの試験法によって行う。
【0026】
本発明の一具体例において、前記複合製剤は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むタダラフィル湿式顆粒部;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むアムロジピン混合部;を含み、前記タダラフィル及びアムロジピンの和が、製剤総重量100重量部に対して、約6ないし14重量部で存在する複合製剤を提供する。
【0027】
本発明において、「湿式顆粒部」は、湿式状態に製造された混合顆粒物を意味し、「混合部」は、非顆粒化状態に混合した混合物を意味する。
【0028】
本発明の一試験例によれば、前記複合製剤と共に、湿式顆粒部に、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩を含め、混合部に、アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩を含める場合、タダラフィル及びアムロジピンの溶出率が、それぞれUSP37試験法による溶出試験時、15分以内に約70%以上の溶出率を示すということが分かった。それと反対に、湿式顆粒部に、タダラフィルの代わりに、アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩を含め、混合部に、アムロジピンの代わりに、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩を含める場合、アムロジピンの溶出率が、USP37試験法による溶出試験時、15分以内に約60%以下であり、顕著に低いということが分かった(試験例3参照)。
【0029】
前記タダラフィル湿式顆粒部またはアムロジピン混合部は、希釈剤、崩壊剤、結合剤及び滑沢剤からなる群から選択される1種以上の薬剤学的に許容可能な添加剤を含んでもよい。前記賦形剤、結合剤、崩壊剤及び滑沢剤は、当該技術分野で一般的に使用されるものであると公知されている任意の添加剤が使用されもする。前記複合製剤は、複合製剤総重量100重量部に対して、希釈剤は、約20ないし60重量部、結合剤は、約1ないし10重量部、一具体例では、約2ないし6重量部、崩壊剤は、約2ないし16重量部、または一具体例では、約4ないし10重量部、滑沢剤は、約0.1ないし5重量部、または一具体例では、約0.5ないし2重量部の量で使用される。
【0030】
例えば、前記希釈剤は、ラクトース、リン酸二水素カルシウム、澱粉、マンニトール、微晶質セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではなく、前記結合剤は、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、前糊化澱粉、コポビドン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではなく、前記崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカメルロースナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではなく、前記滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩類、タルク、コロイドシリカ、ショ糖脂肪酸エステル、水素化植物性オイル、ワックス、グリセリル脂肪酸エステル類、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよいが、それらに限定されるものではない。
【0031】
一具体例によれば、具体的な添加剤の選択によって、活性成分の溶出率を向上させることができる(試験例2及び4参照)。
【0032】
本発明の一具体例によれば、前記タダラフィル湿式顆粒部は、水溶性希釈剤を含む。前記水溶性希釈剤は、ラクトース、マンニトール、及びそれらの任意の組み合わせからなる群のうちから選択される。かような水溶性希釈剤によって、前記タダラフィル湿式顆粒部は、顆粒の迅速になる。前記水溶性希釈剤は、複合製剤総重量100重量部に対して、約20ないし60重量部で存在することができる。前記タダラフィル湿式顆粒部の水溶性希釈剤の含量が、約20ないし60重量部である場合、タダラフィルの溶出率が、15分以内に約70%以上と、市販品であるシアリス(登録商標)より高いということが分かり、約20重量部に及ばない場合には、溶出率が、15分以内に約60%以下に顕著に落ちると確認された(試験例2参照)。
【0033】
本発明の一具体例によれば、アムロジピン混合部は、崩壊剤として、澱粉グリコール酸ナトリウムを含んでもよい。かような澱粉グリコール酸ナトリウムによって、錠剤の崩壊を容易にすることができる。前記澱粉グリコール酸ナトリウムは、複合製剤総重量100重量部に対して、約2ないし16重量部、一具体例においては、約4ないし10重量部で存在することができる。前記アムロジピン混合部の澱粉グリコール酸ナトリウムの含量が、約4ないし10重量部である場合、アムロジピンの溶出率が、15分以内で約70%以上と、市販品であるノルバスク(登録商標)より高いということが分かり、約4重量部に及ばない場合には、溶出率が15分以内に、約60%以下に顕著に落ちると確認され、約10重量部超過での使用市、加速露出条件において、錠剤の性状が維持され難いということが分かった(試験例4参照)。
【0034】
本発明の一具体例において、前記複合製剤は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むタダラフィル湿式顆粒部;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩を含むアムロジピン混合部;を含み、前記タダラフィル湿式顆粒部は、ラクトース、マンニトール、及びそれらの組み合わせからなる群のうちから選択される水溶性希釈剤を、製剤総重量100重量部に対して、20ないし60重量部含み、前記アムロジピン混合部は、澱粉グリコール酸ナトリウムを、製剤総重量100重量部に対して、4ないし10重量部含む。
【0035】
前記タダラフィルの薬学的に許容可能な塩の例としては、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、マレート、フマレート、ラクテート、タルトレート、シトレート、ベシレート、カムシレート、グルコネートなどを挙げることができるが、それらに制限されるものではない。一具体例において、前記タダリピルは、タダラフィル遊離型である。
【0036】
前記複合製剤は、タダラフィル、または薬学的に許容可能なその塩を、公知の1日投与量を考慮するとき、単位剤形を基準に、タダラフィル遊離型として、約5mgないし約20mg、望ましくは、約5mgないし約10mgの量で含んでもよい。
【0037】
前記アムロジピンの薬学的に許容可能な塩の例としては、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩酸塩、マレート、フマレート、ラクテート、タルトレート、シトレート、ベシレート、カムシレート、グルコネートなどを挙げることができるが、それらに制限されるものではない。例えば、前記アムロジピンの薬学的に許容可能な塩は、カムシレートまたはベシレートである。
【0038】
前記複合製剤は、アムロジピン、または薬学的に許容可能なその塩を、公知の1日投与量を考慮するとき、単位剤形を基準に、アムロジピン遊離型として、約1.25mgないし20mg、望ましくは、約2.5mgないし約10mg、さらに望ましくは、約5mgないし約10mgの量で含んでもよい。
【0039】
前記複合製剤は、1日1回投与することができ、毎日服用可能である。
【0040】
本発明の一具体例において、前記複合製剤は、錠剤、カプセル剤、または多重粒子の経口複合製剤でもあるが、それらに限定されるものではない。前記錠剤は、単層錠または二層錠の形態でもある。前記複合製剤がカプセル剤である場合、前記カプセル剤は、内部にタダラフィル湿式顆粒部及びアムロジピン混合部を含む形態でもある。前記複合製剤は、経口、舌下などを含んだ投与方法によって投与されてもよく、例えば、経口によって投与される。
【0041】
前記複合製剤は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及びアムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;を活性成分として含むので、心血管系疾患、勃起不全、またはそれらの組み合わせの予防用または治療用に使用される。具体的には、PDE−5抑制剤であるタダラフィルの血管拡張作用、及びカルシウムチャネル拮抗剤として使用されるアムロジピンの血圧降下作用として、高血圧患者の治療に有用であり、勃起不全疾患を伴った患者にも有用に使用される。
【0042】
前記心血管系疾患は、アムロジピンの適応症として公知の任意心血管系疾患でもあり、例えば、狭心症、高血圧、動脈攣縮、深部静脈、心肥大、脳梗塞、鬱血心不全及び心筋梗塞からなる群のうちから選択される。特に、前記複合製剤は、1つの単位剤形に、タダラフィル及びアムロジピンの1日投与量をいずれも含み、1日1回の投与で、心血管系疾患及び勃起不全いずれの予防または治療も可能であるので、2つの疾患いずれの危険性もあるか、あるいは治療が必要な患者の服薬順応度を顕著に向上させることができる。
【0043】
本発明のさらに他の一様相は、タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むタダラフィル湿式顆粒部の製造段階:アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むアムロジピン混合部の製造段階:並びに前記タダラフィル湿式顆粒部及びアムロジピン混合部を共に剤形化する段階:を含む前記本発明の全ての様相による複合製剤の製造方法を提供する。
【0044】
前記製造方法の詳細は、前記本発明の全ての様相による複合製剤に係わる説明がそのまま適用される。
【0045】
前記製造方法において、タダラフィル湿式顆粒部は、湿式顆粒法によって製造される。湿式顆粒法は、特別に限定されるものではなく、当該技術分野に公知の任意の方法が使用される。
【0046】
前記複合製剤の製造方法において、前記湿式顆粒部の製造段階は、一具体例によれば、
(a)タダラフィル、またはその薬学的に許容可能な塩を水溶性希釈剤とブレンディングする段階と、
(b)前記段階(a)で得られた混合物をブレンディングしながら、結合液を添加する段階と、
(c)前記段階(b)で得られた結果物を乾燥させる段階と、
(d)前記段階(c)で得られた結果物を粉砕するか、あるいはシービングする段階と、を含んでもよい。
【0047】
前記段階(a)での水溶性希釈剤は、マンニトール、ラクトース、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0048】
前記段階(b)において、結合液を製造するための溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、またはそれらの任意の組み合わせでもある。前記結合液は、前記溶媒に、製薬分野で一般的に使用可能な添加剤、例えば、結合剤、界面活性剤、緩衝剤、またはそれらの組み合わせを添加することよって製造される。一具体例によれば、前記水溶性希釈剤は、マンニトールを含み、前記結合液は、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース及び前糊化澱粉を含む。
【0049】
前記段階(c)での乾燥工程は、薬物の安定性を考慮し、約60℃を超えない温度、望ましくは、約50℃を超えない温度、さらに望ましくは、約40℃を超えない温度、最も望ましくは、20℃ないし40℃の温度で、空気乾燥、流動層乾燥、オーブン乾燥またはマイクロウエーブ乾燥を通じて遂行される。
【0050】
前記段階(d)において、粉砕またはシービングは、20ないし30メッシュシーブを使用して行うことができる。
【0051】
前記複合製剤の製造方法において、アムロジピン混合部の製造段階は、前記タダラフィル湿式顆粒部に、直接アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を加えて混合することもできる。
【0052】
前記アムロジピン混合部の製造段階において、薬剤学的に許容可能な添加剤は、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、及びそれらの任意の組み合わせを、必要によって適切に選択して使用することができる。一具体例によれば、前記薬剤学的に許容可能な添加剤は、澱粉グリコール酸ナトリウム、希釈剤及び滑沢剤を含む。一具体例において、前記希釈剤は、微晶質セルロース、マンニトール、またはそれらの組み合わせを含み、前記滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムを含んでもよい。
【0053】
前記混合は、薬剤学分野で一般的に使用される混合器を利用して行うことができ、例えば、タンブルビン、Vミキサ、またはその他の適切な混合器を利用することができる。
【0054】
前記本発明の複合製剤の製造方法において、前記剤形化する段階は、カプセル、多重粒子または錠剤として剤形化することができる。一具体例によれば、前記剤形化段階は、打錠段階である。打錠のためには、前記タダラフィル湿式顆粒部及びアムロジピン混合部の混合物を、一般的に使用される打錠機、例えば、ロータリー打錠機を利用して打錠することにより、複合製剤を製造することができる。
【0055】
前記本発明の複合製剤の製造方法の一具体例において、前記タダラフィル湿式顆粒部の薬剤学的に許容可能な添加剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、前糊化澱粉及びマンニトールを含み、前記アムロジピン混合部の薬剤学的に許容可能な添加剤は、澱粉グリコール酸ナトリウム、希釈剤及び滑沢剤を含み、前記剤形化する段階は、打錠段階である。
【0056】
一具体例において、前記本発明の複合製剤の製造方法は、前記打錠された錠剤をフィルムコーティングする段階を追加して含んでもよい。
【0057】
前記フィルムコーティング段階を介して、高分子フィルムコーティング層を形成させることにより、錠剤の適切な硬度、例えば、約5kpないし20kp範囲の硬度、望ましくは、6kpないし13kpの硬度を付与することができる。前記フィルムコーティング層に使用される高分子としては、フィルムコーティングを形成することができる薬学的に許容可能な通常の高分子が使用され、前記高分子は、例えば、複合製剤の総重量100重量部を基準に、約1ないし10重量部、一具体例においては、3ないし5重量部の量で使用される。
【0058】
前記本発明の複合製剤の製造方法の一具体例は、(i)タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むタダラフィル湿式顆粒部の製造段階、(ii)アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むアムロジピン混合部の製造段階、及び(iii)前記段階(i)で製造された湿式顆粒部と、段階(ii)で製造された混合部と、を混合した後、一般的な錠剤の製造方法によって、単層錠剤を製造する段階を含んでもよい。
【0059】
前記本発明の製造方法の他の一具体例は、(i)タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むタダラフィル湿式顆粒部の製造段階、(ii)アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むアムロジピン混合部の製造段階、並びに(iii)二層錠打錠機を利用して、前記段階(i)で製造された湿式顆粒部を1層にし、段階(ii)で製造された混合部を2層にし、一般的な錠剤の製造方法によって、二層錠剤を製造する段階を含んでもよい。
【0060】
前記本発明の製造方法のさらに他の一具体例は、(i)タダラフィル、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むタダラフィル湿式顆粒部の製造段階、(ii)アムロジピン、または薬剤学的に許容可能なその塩;及び薬剤学的に許容可能な添加剤;を含むアムロジピン混合部の製造段階、並びに(iii)前記段階(i)で製造された湿式顆粒部と、段階(ii)で製造された混合部と、を混合した混合物を、一般的なカプセル剤の製造方法によってカプセルに充填し、カプセル剤を製造する段階を含んでもよい。
【0061】
以下、本発明について、下記実施例に基づいて詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためであるのみ、本発明の範囲は、それらに限定されるものではない。
【実施例】
【0062】
実施例1ないし6
下記表1に記載された組成によって、実施例1ないし6の複合固形製剤を製造した。
【0063】
湿式顆粒化方法を使用して、錠剤として製造した。まず、タダラフィルを、水溶性希釈剤であるマンニトール、前糊化澱粉及びヒドロキシプロピルセルロースと共に混合した。得られた粉末混合物を、ヒドロキシプロピルセルロース及びラウリル硫酸ナトリウムを含む水溶液(結合液)を使用して、湿式顆粒化させた。得られた湿式顆粒混合物を、流動層乾燥器または乾燥オーブンなどを使用して乾燥させた。獲得されたタダラフィル湿式顆粒に、アムロジピンベシル酸塩、微晶質セルロース、マンニトール、澱粉グリコール酸ナトリウムを添加し、Vミキサを使用して、30分間40rpmの速度で混合した(一次混合)。混合された一次混合物を、ステアリン酸マグネシウムと5分間40rpmの速度で二次混合した。得られた混合物を打錠機を利用して錠剤化した。
【0064】
【表1】
【0065】
製造例1ないし3
前記実施例1と同一の方法で製造するが、下記表2に示されているように、アムロジピンをタダラフィルと共に湿式顆粒の製造時に混入して複合固形製剤を製造した。
【0066】
【表2】
【0067】
製造例4,5及び比較例1
前記実施例1と同一の方法で製造するが、下記表3に示されているような組成を利用して、複合固形製剤を製造した。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例1ないし6、及び製造例1ないし5、並びに比較例1の錠剤全体重量対比の各成分の相対的比率(重量%)は、次の通りである。
【0070】
【表4】
【0071】
試験例1:錠剤サイズ比較
前記実施例1,2及び比較例1、並びに市販品であるノルバスク(登録商標)、シアリス(登録商標)の錠剤サイズを、ノギス(Vernier callipers)を使用して測定した。また、秤を使用して、それぞれの重量を測定した。その結果を下記表5に示した。
【0072】
【表5】
【0073】
前記表5及び
図1に示されているように、比較例1は、錠剤サイズが異なる錠剤に比べて顕著に大きい。従って、比較例1は、複合剤に製造され、1錠だけ服用するという長所はあるが、錠剤のサイズにより、服用が容易ではなく、市販されるそれぞれの単一制を別途に服用することと比較し、患者の順応度を有意的に上昇させることができない。
【0074】
一方、実施例1及び実施例2の錠剤は、タダラフィル及びアムロジピンの2種活性成分をいずれも含んでいるにもかかわらず、それぞれの市販単一剤より、錠剤サイズ及び質量値が小さいということが分かった。従って、実施例1及び2の錠剤は、複合剤に製造されて1錠だけ服用することができ、かつ飲み込みやすいので、患者の服薬順応度が有意的に高い。
【0075】
試験例2:湿式顆粒部の水溶性希釈剤の比率によるタダラフィル溶出率
前記実施例1,3及び4、並びに製造例1及び2で製造された複合固形製剤を対象に、下記条件下で、USP37 tadalafil tabletsによって、タダラフィル溶出試験を行った。
【0076】
<溶出条件>
溶出液:0.5%ラウリル硫酸ナトリウム液、1,000mL
装置:Apparatus II(パドル法)、50rpm
温度:37℃
<分析条件>
カラム:内部直径約4.6mm、長さ15cmであるステンレス管に、粒径3.5μmの液体クロマトグラフィ用オクタデシルシリル化されたシリカゲルを充填したカラム
移動相:メタノール及び錠剤数の50:50混合液
検出器:紫外部吸光光度計(測定波長225nm)
流速:2.0mL/分
注入量:50μl
【0077】
前記タダラフィルの溶出率結果を、下記表6及び
図2に示した。
【0078】
【表6】
【0079】
前記表6及び
図2に示されているように、実施例1,3及び4の固形製剤は、試験開始15分後、タダラフィルの溶出率が、約70%以上と非常に高い一方、製造例1及び2の固形製剤は、15分後、タダラフィルの溶出率が、約70%未満と低く示された。
【0080】
前記結果は、タダラフィル及びアムロジピンの複合組成物において、湿式顆粒部を構成する水溶性充填剤であるマンニトールが、約0ないし12重量%含まれた場合より、マンニトールが約20ないし60重量%ほど含まれることが、タダラフィルの溶出率改善に効果的であるということを示している。
【0081】
試験例3:アムロジピンの投入方法によるアムロジピン溶出比較
前記実施例1及び製造例3で製造した複合固形製剤を対象に、USP37 amlodipine besylate tabletsによって、アムロジピン溶出試験を行った。その結果を下記表7及び
図3に示した。
【0082】
【表7】
【0083】
前記表7及び
図3に示されているように、実施例1の固形製剤、及び市販品であるノルバスク(登録商標)は、試験開始15分後、アムロジピンの溶出率が、約70%以上と非常に高い一方、製造例3の固形製剤は、15分後、アムロジピンの溶出率が、約60%以下と低く示された。
【0084】
前記結果は、アムロジピンが、後混合部に投入され、タダラフィルと分離顆粒を形成する場合、錠剤の崩壊と同時に迅速に溶出され、市販品であるノルバスク(登録商標)と類似した溶出率を示すということが分かる。それに反し、製造例3とように、アムロジピンとタダラフィルとが同じ湿式顆粒部に存在する場合には、アムロジピンの溶出が遅延されるということが分かった。従って、前記結果によれば、アムロジピンは、タダラフィル顆粒と分離された形態で、後混合部に存在することが、アムロジピンの溶出側面において望ましい。
【0085】
試験例4:崩壊剤使用量によるタダラフィル溶出比較、及び加速露出条件での錠剤性状比較
前記実施例1及び5、並びに製造例4及び5で製造した複合固形製剤を対象に、前記試験例2と同一方法で、タダラフィル溶出試験を行った。その結果を、下記表8及び
図4に示した。
【0086】
また、加速条件(40℃、75%RH(relative humidity))に露出させ、経時的な錠剤厚及び硬度を測定し、錠剤がどの程度膨張して硬度が変わるかということを比較評価した。その結果を、下記表9及び表10に示した。加速露出条件での錠剤性状変化の評価は、夏季の高温度及び高湿度での保管時の性状安定性を予測するのに一助となる。
【0087】
【表8】
【0088】
【表9】
【0089】
【表10】
【0090】
前記表8,9及び10の結果によれば、崩壊剤が、錠剤重量対比で、約4%ないし10%で使用される場合、溶出及び錠剤性状の側面で良好な結果を示すが、4%未満の使用時、溶出が遅く、市販品と溶出プロファイルが異なるので、同一効果を期待し難い。また、10%超過の使用時、加速露出条件で急激に錠剤が膨張し、硬度が低くなり、性状が維持され難いという短所がある。従って、本複合製剤の一具体例は、溶出中及び保管中での性状維持のために、製剤総重量100重量部に対して、4ないし10重量部の澱粉グリコール酸ナトリウムを使用する。
【0091】
以上、本発明について、その望ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野で当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されるということを理解することができるであろう。従って、前記開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【国際調査報告】