(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-539956(P2016-539956A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】ゲムシタビン誘導体、該誘導体を含む組成物及び該誘導体の製薬用途
(51)【国際特許分類】
C07H 19/073 20060101AFI20161125BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20161125BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20161125BHJP
【FI】
C07H19/073CSP
A61K31/7068
A61P35/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2016-536956(P2016-536956)
(86)(22)【出願日】2014年12月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年7月1日
(86)【国際出願番号】CN2014093005
(87)【国際公開番号】WO2015081867
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】201310646358.7
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516164472
【氏名又は名称】杭州民生▲薬▼物研究院有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】509081528
【氏名又は名称】杭州民生薬業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼耀▲東▼
(72)【発明者】
【氏名】▲単▼佳▲祺▼
(72)【発明者】
【氏名】沈▲錫▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼春霞
(72)【発明者】
【氏名】黄▲濱▼南
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057BB02
4C057CC02
4C057DD01
4C057LL17
4C057LL19
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086EA17
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
【解決課題】本発明は下記式(I)ゲムシタビン誘導体及びその製造方法を提供する。本発明はまた、薬物有効量の前記ゲムシタビン誘導体及び薬学上許容される賦形剤は添加剤を含む薬物組成物にも関する。本発明はさらに抗腫瘍剤の製造における前記ゲムシタビン誘導体の応用を提供する。
【解決手段】本発明により設計される化合物は構造が新規であって、顕著な抗腫瘍活性を有する。本発明に関する化合物の製造原料の供給源は幅広く、かつ容易に入手可能であり、製造方法は簡便で容易な操作であり、生成物が高収率であり、工業規模の生産に適している。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般構造式Iを有する化合物:
【化1】
式中、
R
1は、非置換もしくは置換されたC
1-10アルキル基、非置換もしくは置換されたC
2-10アルケニル基、非置換もしくは置換されたC
2-10アルキニル基、非置換もしくは置換されたC
3-7シクロアルキル基、非置換もしくは置換されたC
3-7アルコキシ基の中から選択され;ここで、前記置換基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
2-6アルキニル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルコキシカルボニル基、及び、-NH-の中から選択された一つ又は複数であり;
または、R
1は、任意に置換されたアリール基であり、ここで前記置換基は水素、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基の中から選択された一つまたは複数である。
【請求項2】
前記任意に置換されたアリール基はフェニル基、ベンジル基またはナフチル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1は非置換もしくは置換されたC3-10アルキル基、非置換もしくは置換されたC3-10アルケニル基、非置換もしくは置換されたC3-10アルキニル基、非置換もしくは置換されたC3-7シクロアルキル基、非置換もしくは置換されたC3-7シクロアルコキシ基、または任意に置換されたフェニル基、ベンジル基もしくはナフチル基であり;ここで、前記置換基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルコキシカルボニル基、-NH-の中から選択された一つ又は複数である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記ハロゲン原子がF、Cl、BrまたはIである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1が非置換もしくは置換されたC4-9アルキル基、非置換もしくは置換されたC4-9アルケニル基、非置換もしくは置換されたC4-9アルキニル基、非置換もしくは置換されたC3-7シクロアルキル基、非置換もしくは置換されたアルコキシ基であり;前記置換基はF及びClである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
以下の群から選択される、請求項1に記載の化合物:
N-(5-(((5-(t-ブチル)オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)オキサミド;
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾリル-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)マロンアミド;
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)スクシンアミド;
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)グルタルアミド
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)アジパミド
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ヘプタンジアミド
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)オクタンジアミド
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ノナンジアミド
N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)デカンジアミド。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であり、以下の工程:
(1)縮合剤の存在の下で、以下の式IV化合物と、
【化2】
式Vまたは式VIIの化合物を混合し、
【化3】
アミド化反応を経た後、式IIIの中間産物を得る工程、
【化4】
ここで、R
1、YとZは請求項1〜5のいずれかで定義されたものと同一であり、条件は、該式IV化合物と式VII化合物を反応させる場合、得られた式III化合物中のZはOHであり:及び、
(2)縮合剤の存在下で、工程(1)で得られた中間産物IIIと下記式II化合物を混合し、
【化5】
アミド化反応を経た後に請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を得る工程、を含む該化合物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物の製造方法であり、以下の工程:
(1)縮合剤の存在下で、式II化合物と、
【化6】
式Vまたは式VIIの化合物を混合し、
【化7】
アミド化反応を経た後に式VI中間産物を得る工程、、ただし、当該式II化合物と式VI
I化合物を反応させる場合、得られた式VI化合物中ZはOHであり;
【化8】
ここで、R
1、YおよびZは請求項1〜5のいずれかに記載の定義と同一であり、及び、
(2)縮合剤の存在下で、工程(1)で得られた中間産物VIと式IV化合物を混合し、
【化9】
アミド化反応を経た後、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物を得る工程、を含む該化合物の製造方法。
【請求項9】
前記工程(1)と(2)が0℃-150℃で、好ましくは20℃-120℃で反応を進行させる請求項7または請求項8に記載の化合物の調製方法。
【請求項10】
前記縮合剤が1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾール、3-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、1-(3-ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-ジイソプロビルカルボジイミドの中から選択された一つ又は複数である請求項7または請求項8に記載の化合物の調製方法。
【請求項11】
前記工程(1)および(2)は、ベンゼン、トルエン、トリクロロメタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、1,2-ジクロルエタン、メチルt-ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの中から選択された一つ又は複数の反応溶媒の中で反応を進行させる請求項7または請求項8に記載の化合物の調製方法。
【請求項12】
前記縮合剤が1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドの中から選択された一つまたはこれらの組合せであり;工程(1)における反応をN,N-ジメチルホルムアミド中で進行させ、工程(2)の反応をN,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのうち一つまたはこれらの組合せの溶剤中で進行させる請求項10に記載の化合物の調製方法。
【請求項13】
薬物有効量の請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、及び薬学上許容される賦形剤または添加剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項14】
請求項1-6のいずれかに記載の化合物の抗腫瘍剤の製造における使用。
【請求項15】
請求項14に記載の使用であり、ここで前記腫瘍が薬剤耐性腫瘍である使用。
【請求項16】
請求項1-6のいずれかに記載の化合物の、細胞毒薬物、標的小分子薬物、高分子抗体系及び免疫調節剤系の抗腫瘍剤に適応した腫瘍細胞が酸性する腫瘍剤耐性疾患を治療するための薬物の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬分野に属し、具体的にゲムシタビン誘導体、それに類する化合物を含む組成物及びその製剤用途、特に抗腫瘍剤の製造での応用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は人間の健康に深刻な脅威を与える疾患の一つであり、三十年近くを経て生命科学研究技術の進歩及び腫瘍病理学への理解が深まったおかげで、抗腫瘍剤の開発は目覚しい進歩を得た。種々の新規な分子標的抗腫瘍剤の開発に成功できたことは、腫瘍治療のレベルを高める上で重要な役割を果たした。現段階で、腫瘍治療の難点は腫瘍の薬剤耐性にあり、腫瘍の薬剤耐性が生じる主な原因は、腫瘍の異質性及び突然異変しやすいことである。従って、腫瘍剤耐性のメカニズムに対する薬物の研究と開発は臨床的に重要な意味がある。
【0003】
抗腫瘍剤の重要な構成成分としての代謝拮抗薬は、2010年には、抗腫瘍剤の医薬市場で15.75%のシェアを占めており、第三位になった。抗代謝類の抗腫瘍剤は主にヌクレオシド類薬物からなっており、その中には、ゲムシタビン、シタラビン、デシタビン、アザシチジン、クラドリビン、フルダラビン、ネララビンなどが最も常用されている。
【0004】
ゲムシタビン(Gemcitabine)はフルオロシチジン類似物であり、細胞周期特異性抗腫瘍剤に属し、主にDNA合成期に作用させて、腫瘍細胞周期がDNA合成前期からDNA合成期へ進むのを遮断することもできる。デスオキシシチジンキナーゼの作用により、ゲムシタビンが活性を有するゲムシタビン二リン酸塩と三リン酸塩に転化され、DNAの合成と修復に影響を与えることにより、腫瘍細胞の分裂を抑制し、腫瘍細胞にアポトーシスを誘導することとなる。末期非小細胞肺癌の治療にも、局所末期あるいは転移性の膵臓癌の治療にも有用である。
【0005】
ゲムシタビンはタキソール及びアントラキノン系薬剤耐性の乳癌の治療に用いることができる。ある研究結果には、薬剤耐性遺伝子P-gp及びMRPの過剰発見が、薬剤耐性腫瘍細胞がゲムシタビンに敏感であることの重要な原因と関係していると発表されていた。そのあり得るメカニズムは、次の通りである:多剤耐性がデスオキシシチジンキナーゼの発現増加を引き起こすため、腫瘍細胞内にゲムシタビン三リン酸塩(dFdCTP)の蓄積が増加し、ゲムシタビンが腫瘍細胞DNA鎖に結合することを促進させることができ、このようにして、薬剤耐性腫瘍細胞の薬物感受性を高める。
【0006】
目下、ゲムシタビン及びその誘導体に対する研究は、主としてシトシン環のアミノ基への修飾、改変により、高抗腫瘍活性を有する化合物を合成することにあるが、その不足している点は:腫瘍細胞のDNA合成を抑制するといった単一の標的作用を目的に、客観的な技術的難さによる制限から、多標的に作用するメカニズムの方式で、高抗腫瘍活性を有する化合物を合成することを考えなかったことにある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、従来のゲムシタビンに対する修飾或いは改変の構想と異なり、ゲムシタビンを前駆体化合物とし、多標的多作用のメカニズムを導入しながらゲムシタビンの活性薬効基を守るという合成構想を提供し、また、本発明は、構造を最適化することにより、新しい特定の分子標的作用を有する活性基を導入し、構造が新規で、CDK抑制及びDNA合成抑制という二標的作用のゲムシタビン系化合物を製造して得ること、特に、ゲムシタビン系化合物の薬剤耐性腫瘍細胞に対する増殖抑制活性のさらなる向上を可能とすることを目的とする。
【0008】
本発明は、以下のような技術的手段によって実現される。
【0009】
本発明は、ゲムシタビン誘導体を提供し、以下のような一般式構造Iで表される:
【0011】
式中、
R
1は、非置換若しくは置換されたC
1-10アルキル基、非置換若しくは置換されたC
2-10アルケニル基、非置換若しくは置換されたC
2-10アルキニル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルキル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルコキシ基の中から選択され、前述の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
2-6アルキニル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルコキシカルボニル基、-NH-基の中から選択された一つ又は複数であるか、
又は、
R
1は、置換されていてもよいアリール基である;前述の置換基は、水素、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基の中から選択された一つ又は複数である。
【0012】
好ましくは、置換されていてもよいアリール基は、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基である。
【0013】
一実施形態において、R
1は、好ましく非置換若しくは置換されたC
3-10アルキル基、非置換若しくは置換されたC
3-10アルケニル基、非置換若しくは置換されたC
3-10アルキニル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルキル基、非置換若しくは置換されたシクロアルコキシ基、又は置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基又はナフチル基であり;前述の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
2-6アルキニル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルコキシカルボニル基、-NH-の中から選択された一つ又は複数である。
【0014】
好ましくは、ハロゲン原子は、F、Cl、Br又はIである。
【0015】
別の実施形態において、R
1は好ましくは非置換若しくは置換されたC
4-9アルキル基、非置換若しくは置換されたC
4-9アルケニル基、非置換若しくは置換されたC
4-9アルキニル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルキル基、非置換若しくは置換されたシクロアルコキシ基である;前述の置換基はFとClである。
【0016】
本発明における最も好ましい化合物は番号GI-01からGI-09までの番号で順次命名されている。
【0017】
番号GI-01:N-(5-(((5-(t-ブチル)オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)オキサミド;
番号GI-02:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)マロンアミド;
番号GI-03:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)スクシンアミド;
番号GI-04:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)グルタルアミド;
番号GI-05:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)アジパミド;
番号GI-06: N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ヘプタンジアミド;
番号GI-07:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)オクタンジアミド;
番号GI-08:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)ノナンジアミド;
番号GI-09:N-(5-(((5-(t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-イル)-N'-(1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)デカンジアミド。
【0018】
更に、本発明はゲムシタビン誘導体の製法をも提供するものであり、以下のような工程を含む:
(1)縮合剤の存在下で、以下の式IVの化合物と式Vの化合物又は式VIIの化合物とを混合して、アミド化反応を経た後、式IIIの中間体が得られる;条件は、該式IVの化合物と式VIIの化合物を反応させる場合、得られる式IIIの化合物中ZはOHである。反応式は以下の通りである:
【0020】
(2)縮合剤の存在下で、中間体IIIと式IIで表される化合物を混合し、アミド化反応を経た後、式Iで表される目標生成物が得られる。反応式は以下のように示される:
【0022】
ここで、Y、Zは、それぞれ独立して-OH、-F、-Cl、-Br又は-Iを表す;
R
1は、非置換若しくは置換されたC
1-10アルキル基、非置換若しくは置換されたC
2-10アルケニル基、非置換若しくは置換されたC
2-10アルキニル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルキル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルコキシ基の中から選択され;ここで、前述の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
2-6アルキニル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルコキシカルボニル基、-NH-の中から選択された一つ又は複数か、
又は、
R
1は、置換されていてもよいアリールである;ここで、前述の置換基は、水素、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基の中から選択された一つ又は複数である;
工程(1)及び工程(2)の反応温度は0℃-150℃であり、好ましくは20℃-120℃である。
【0023】
工程(1)及び工程(2)の縮合剤としては、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、3-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、1- (3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-ジイソプロビルカルボジイミドの中から選択された一つ又は複数である;好ましくは、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-(3-ジメチルアミノプロピル) -3-エチルカルボジイミド塩酸塩の中から選択された一つ又は複数である。
【0024】
工程(1)及び工程(2)の反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、トリクロロメタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、1,2-ジクロルエタン、メチルt-ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの中から選択された一つ又は複数である。
【0025】
更に、本発明は、別の一つはゲムシタビン誘導体の製法を提供し、以下のような工程を含む:
(1)縮合剤の存在下で、式IIの化合物と式Vの化合物又は式VIIの化合物を混合させ、アミド化反応を経た後、式VIの中間体が得られる;条件は、式II化合物と式VIIで表される化合物を反応させる場合、得られた式VIで表される化合物の中のZはOHである。反応式は以下の通りである:
【0027】
(2)縮合剤の存在下で、中間体VIと式IVの化合物を混合させ、アミド化反応を経た後、式Iの目標生成物が得られ、反応式は以下の通りである:
【0029】
ここで、
Y、Zのそれぞれは独立して-OH、-F、-Cl、-Br又は-Iを表す;
R
1は、非置換若しくは置換されたC
1-10アルキル基、非置換若しくは置換されたC
2-10アルケニル基、非置換若しくは置換されたC
2-10アルキニル基、非置換若しくは置換されたC
3-7シクロアルキル基、非置換若しくは置換されたC
3-7基シクロアルコキシ基の中から選択される;ここで、前述の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、トリフルオロメチル基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
2-6アルキニル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルコキシカルボニル基、-NH-の中から選択された一つ又は複数であるか;又は、R
1は、置換されていてもよいアリールであり、ここで、前述の置換基は、水素、ヒドロキシ、カルボキシル、ニトロ、ハロゲン原子、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基の中から選択された一つ又は複数である;
工程(1)及び工程(2)の反応温度は0℃-150℃であり;好ましくは20℃-120℃である。
【0030】
工程(1)及び工程(2)において用いられる縮合剤としては、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシ-7-アゾベンゾトリアゾール、3-ヒドロキシ-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド塩酸塩、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N-ジイソプロビルカルボジイミドの中から選択された一つ又は複数である;好ましくは、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1- (3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩の中から選択された一つ又は複数である。
【0031】
工程(1)及び工程(2)の反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、トリクロロメタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、1,2-ジクロルエタン、メチルt-ブチルエーテル、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの中から選択された一つ又は複数である。
【0032】
一実施形態において、工程(1)及び工程(2)の縮合剤としては、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチル-カルボジイミド塩酸塩の中から選択された一つ又は複数である;工程(1)における反応溶媒としてはN,N-ジメチルホルムアミドである;工程(2)における反応溶媒としては、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの中から選択された一つ又は複数である。
【0033】
上記二つの製造方法に関する式VII化合物は、市販のもの入手することができ、例えば、アルファエーサー(Alfa Aesar)社から購入することができる。上記式VII化合物は自ら製造して得ることもできる。製造方法は以下の通りである:
適量のビスC
1-6アルコキシカルボニル基系化合物を無水酢酸に溶解し、4時間加熱還流し、反応液を濃縮した後、濃縮液に適量のキシレンを加え、濃縮乾燥して得られる。
【0034】
更に、本発明は薬物有効量の一般式Iで表されるゲムシタビン誘導体及び医薬的に許容される賦形剤又は添加剤を含む薬物組成物をも提供することである。薬物組成物の形態は慣用の製剤形態であってもよい。
【0035】
本発明は式I化合物の、抗腫瘍剤の製造における応用をも提供する。
【0036】
一実施形態において、前述の腫瘍は薬剤耐性腫瘍である。用語"腫瘍薬剤耐性"とは、抗腫瘍剤で直接的に又は間接的に治療することが無効であること、又は当初有効の薬物を腫瘍再発又は転移疾患の治療に用いても無効であることである。
【0037】
具体的に言えば、本発明の式I化合物は主に、細胞毒薬物、標的小分子薬物、高分子抗体系及び免疫調節剤系の抗腫瘍剤に適応した腫瘍細胞が産生する腫瘍薬剤耐性疾患を治療する薬剤の製造に用いられる。
【0038】
更に、本発明は、プロドラッグとしての一般構造式Iのゲムシタビン誘導体の抗腫瘍剤の製造における応用をも提供する。即ち、本発明における提供されるゲムシタビン誘導体は、プロドラッグの方式により経口で服用してゲムシタビン適応症に係る腫瘍治療に用いることができる。
【0039】
本発明は
需要の対象に本発明の式(I)化合物を与える工程を含む腫瘍を治療する方法をも提供する。
【0040】
一実施形態において、前述の腫瘍が薬剤耐性の腫瘍である。
【0041】
更に、本発明は、腫瘍細胞が細胞毒薬物、標的小分子薬物、高分子抗体系及び免疫調節剤系の抗腫瘍剤に適合して生じた腫瘍薬剤耐性疾患を治療する方法を提供するものであり、需要の対象に本発明における式(I)化合物を与える工程を含む。
【0042】
本発明は、ゲムシタビンを先導化合物とし、その構造を修飾することで、一連の構造が新規である化合物が得られ、これらの化合物の活性を選別し、多数の化合物が抗腫瘍活性を著しく有することを発見した。しかも、ゲムシタビンよりも、これらの化合物は薬剤耐性腫瘍細胞の活性を抑制する作用が遥かに優れており、毒性も極めて低く、効果が目覚しい。
【0043】
要するに、本発明における化合物の構造は合理的にデザインされ、最適化により選別された化合物はCDK抑制及びDNA合成抑制という2標的のメカニズムを兼ね備え、その製造原料は幅広く得やすく、その製造方法は簡易且つ扱いやすく、反応条件は穏やかであり、生成物の収率は高く、工業規模の生産に適している。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下具体的な実施例に関し更に本発明の説明がなされるが、本発明の保護範囲は公開された実施例の範囲に制限されるものではない。なお、以下の実施例は本発明の保護範囲を制限するものではない。本発明に基づいて行われるいかなる改良も、本発明の要旨を逸脱するものではない。
【0045】
製造例:式VII化合物の製造(例えば、ピメリン酸無水物)
【0047】
ピメリン酸3.2gを無水酢酸65mLに溶解し、4時間加熱環流し、反応液を濃縮し、得られた濃縮液にキシレン20mLを加え、ドライな状態まで濃縮し、定量のピンク色の固体を得た。
【0048】
本発明において、番号GI-01からGI-03までの化合物は、以下のような反応経路により合成することができる。
【0054】
実施例1:番号GI-01の化合物の製造
工程1:
5-(((5-(t-ブチル)オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-アミン(1.35g,9.5ミリモル,1.1当量)、シュウ酸(0.774g,8.6ミリモル、1当量)、
1-ヒドロキシ基ベンゾトリアゾール一水化物(1.46g,9.5ミリモル)とN-メチルモルフォリン(0.961g,9.5ミリモル)をN,N-ジメチルホルムアミド15mLに溶解し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.154g, 11.2ミリモル, 1.3当量)を加え、窒素で保護し、室温2時間攪拌した。反応液に飽和食塩水40mLを加えて反応を停止させ、ジクロルメタン(50mL×5)で抽出し、有機層を併合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1-2:1)で白色固体7-((5-(((2-t-ブチル) オキサゾール-5-イル)メチル)チオ) チアゾール-2-イル)アミノ-7-グリオキシル酸1.41gを得た。収率は82%であった。
【0055】
1H NMR (CDCl
3, 300MHz): 7.27(s, 1H), 6.61(s, 1H), 3.89(s, 2H), 1.26(s, 9H). HRMS (ESI) [C
13H
15N
3O
4S
2-H]
+の計算値:342.4133, 測定値:342.4129。
【0056】
工程2:7-((5-(((2-t-ブチル) オキサゾール-5-イル)メチル)チオ) チアゾール-2-イル)アミノ-7-グリオキシル酸(1.50g, 4.4ミリモル, 1当量)、ゲムシタビン(1.32g, 4.4ミリモル, 1当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水化物(0.674g, 4.4ミリモル)とN-メチルモルフォリン(0.445g, 4.4ミリモル)をN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド(3:1) の混合溶媒6mLに溶解し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.096g, 5.7ミリモル, 1.3当量)を加え、窒素で保護し、55℃まで加熱し、19時間攪拌した。反応液に飽和食塩水20mLを加えて反応を停止させ、ジクロルメタン(50mL×5)で抽出し、有機層を併合し、順次飽和炭酸ナトリウム水溶液、水と飽和食塩水を用いて洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロルメタン:メタノール=50:1-10:1)で白色固体である、GI-01化合物712mgを得た。収率は27%であった。
【0057】
1H NMR (DMSO-d6, 300MHz): 12.29(s, 1H), 10.88(s, 1H), 8.23(d, J=7.6 Hz, 1H), 7.34(s, 1H), 7.26(d, J=7.6 Hz, 1H), 6.70(s, 1H), 6.31(d, J=6.4 Hz, 1H), 6.19(t, J=7.3, 1H), 5.31(t, J=5.2, 1H), 4.18(m, 1H), 4.09(s, 2H), 3.91(d, J=8.2, 1H), 3.82(d, br, 1H), 3.65(m, 1H), 1.33(s, 9H). HRMS (ESI) [C
22H
24F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:587.5962, 測定値:587.5960。
【0058】
実施例2:番号GI-02の化合物の製造
実施例1と同一の方法により表題化合物を製造した、但し工程1におけるシュウ酸をマロン酸に取り替え、TLCで反応を終点まで追跡して、淡黄色固体である番号GI-02の化合物を得た。
【0059】
1H NMR (DMSO-d6, 300MHz): 12.24(s, 1H), 10.93(s, 1H), 8.25(d, J=7.6 Hz, 1H), 7.36(s, 1H), 7.23(d, J=7.6 Hz, 1H), 6.77(s, 1H), 6.33(d, J=6.4 Hz, 1H), 6.16(t, J=7.3, 1H), 5.31(t, J=5.2, 1H), 4.13(m, 1H), 4.02(s, 2H), 3.91(d, J=8.2, 1H), 3.84(d, br, 1H), 3.66(m, 1H), 1.28(s, 2H), 1.34(s, 9H). HRMS (ESI) [C
23H
26F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:601.6227, 測定値: 601.6230。
【0060】
実施例3:番号GI-03の化合物の製造
実施例1と同一の方法により表題化合物を製造した、但し工程1におけるシュウ酸を琥珀酸に取り替え、TLCで反応を終点まで追跡して、淡黄色固体で番号GI-03の化合物を得た。
【0061】
1H NMR (DMSO-d6, 300MHz): 12.25(s, 1H), 10.91(s, 1H), 8.22(d, J=7.6 Hz, 1H), 7.33(s, 1H), 7.21(d, J=7.6 Hz, 1H), 6.79(s, 1H), 6.32(d, J=6.4 Hz, 1H), 6.15(t, J=7.3, 1H), 5.38(t, J=5.2, 1H), 4.12(m, 1H), 4.12 (s, 2H), 3.81(d, J=8.2, 1H), 3.85(d, br, 1H), 3.69(m, 1H), 1.28(m, 4H), 1.34(s, 9H). HRMS (ESI) [C
24H
28F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:615.6493, 測定値:615.6499。
【0062】
本発明において、番号GI-04からGI-05までの化合物は、以下のような反応
経路により合成することができる。
【0067】
式中、nは3又は4を表す。
実施例4:番号GI-04の化合物の製造
工程1:グルタル酸(0.32g, 2.42ミリモル, 1.1当量)、ゲムシタビン(0.66g, 2.2ミリモル, 1当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水化物(0.337g, 2.2ミリモル)とN-メチルモルフォリン(0.223g, 2.2ミリモル)をN,N-ジメチルホルムアミド4mLに溶解し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(0.548g, 2.8ミリモル, 1.3当量)を加え、窒素で保護し、室温3時間攪拌した。反応液に飽和食塩水20mLを加えて反応を停止させ、ジクロルメタン(10mL×5)で抽出し、有機層を併合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1-2:1)で分離させて、0.89gの白固体である5-((1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリシジン-4-イル)アミノ)-5-オキソ吉草酸が得られた。収率は94%であった。
【0068】
HRMS (ESI) [C
14H
17F
2N
3O
7-H]
+ の計算値:378.3049, 測定値:378.3055。
【0069】
工程2:5-((1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリシジン-4-イル)アミノ)-5-オキソ吉草酸(1.51g, 4ミリモル, 1当量)、5-((((5-t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ) チアゾール-2-アミン(1.08g, 4ミリモル, 1.0当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水化物(0.613g, 4.0ミリモル)とN-メチルモルフォリン(0.404g, 4.0ミリモル)をN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド(3:1) の混合溶媒6mLに溶解し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.00g,5.2ミリモル,1.3当量)を加え、窒素で保護し、55℃まで昇温し、16時間攪拌した。反応液に飽和食塩水20mLを加えて反応を停止させ、ジクロルメタン(50mL×5)で抽出し、有機層を併合し、順次飽和炭酸ナトリウム水溶液、水と飽和食塩水を用いて洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロルメタン:メタノール=50:1-10:1)で分離させて、白色固体として、標記化合物811mgが得られ、収率は32%であった。
【0070】
HRMS (ESI) [C
25H
30F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:629.6759, 測定値:629.6762。
【0071】
実施例5:番号GI-05の化合物の製造
実施例4の方法により製造した、但し工程1におけるグルタル酸をアジピン酸に取り替え、TLCで反応を終点まで追跡して、淡黄色固体である番号GI-05の化合物を得た。
【0072】
HRMS (ESI) [C
26H
32F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:643.7025, 測定値:643.7030。
【0073】
本発明において、番号GI-06からGI-07までの化合物は、以下のような反応経路により合成することができる。
【0079】
実施例6:番号GI-06で命名される化合物の製造
工程1:ピメリン酸無水物(2.33g,8.6ミリモル,1当量)と5-((((5-t-ブチル) オキサゾール-2-イル)メチル)チオ)チアゾール-2-アミン(1.35g, 9.5ミリモル, 1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド15mLに溶解し、100℃まで昇温し、16時間後反応液に水30mLを加えて反応を停止させ、酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機層を併合し、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1-2:1)で分離させて、淡黄色固体である7-((5-(((2-t-ブチル) オキサゾール-5-イル)メチル)チオ) チアゾール-2-イル)アミノ-7-オキソヘプタン酸1.8gが得られ、収率は51%であった。
【0080】
1H NMR (CDCl
3, 300MHz): 7.25(s, 1H), 6.60(s, 1H), 3.96(s, 2H), 2.50(五重ピーク, J= 7.2 Hz, 2H), 2.38(t, J=7.2Hz, 1H), 2.09(s, 2H), 1.79(五重ピーク, J=7.1 Hz, 2H), 1.69(五重ピーク, J=8.1 Hz, 1H), 1.46(五重ピーク, J= 7.0 Hz, 2H), 1.26(s, 9H)。HRMS (ESI) [C
18H
25N
3O
4S
2-H]
- の計算値:410.1214, 測定値:410.1219。
【0081】
工程2:7-((5-(((2-t-ブチル) オキサゾール-5-イル)メチル)チオ) チアゾール-2-イル)アミノ-7-オキソヘプタン酸(1.815g, 4.4ミリモル, 1当量)、ゲムシタビン(1.32g,4.4ミリモル,1当量)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水化物(0.674g,4.4ミリモル)とN-メチルモルフォリン(0.445g, 4.4ミリモル)をN,N-ジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド(3:1) の混合溶媒6mLに溶解し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.096g, 5.7ミリモル,1.3当量)を加え、窒素で保護し、55℃まで昇温し、19時間攪拌し、反応液に飽和食塩水20mLを加えて反応を停止させ、ジクロルメタン(50mL×5)で抽出し、有機層を併合し、順次飽和炭酸ナトリウム水溶液、水と飽和食塩水を用いて洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロルメタン:メタノール=50:1-10:1)で分離させて、白色固体として、標記化合物608mgが得られ、収率は21%であった。
【0082】
1H NMR (DMSO-d6, 300MHz): 12.20(s, 1H), 10.98(s, 1H), 8.25(d, J=7.6 Hz, 1H), 7.38(s, 1H), 7.29(d, J=7.6 Hz, 1H), 6.71(s, 1H), 6.32(d, J=6.4 Hz, 1H), 6.18(t, J=7.3, 1H), 5.30(t, J=5.2, 1H), 4.17(m, 1H), 4.06(s, 2H), 3.90(d, J=8.2, 1H), 3.82(d, br, 1H), 3.66(m, 1H), 2.42(t, J=7.1 Hz, 4H), 1.58(m, 4H), 1.28(m, 2H), 1.3(s, 9H).
13C NMR (DMSO-d6, 75MHz): 174.42, 171.98, 163.33, 161.67, 161.32, 159.17, 154.68, 145.48, 145.16, 123.45, 120.51, 118.97, 96.40, 81.54, 69.17, 68.89, 68.56, 59.27, 36.69, 35.06, 34.44, 31.36, 28.74, 28.36, 24.84, 24.48。LC-MS(Q-TOF, 100μg/mL) m/z [M+ H
+]
の測定値:657.19635。
【0083】
実施例7:番号GI-07で命名される化合物の製造
実施例6と同一の方法により製造した、但し、工程1におけるピメリン酸をスベリン酸に取り替え、TLCで反応を終点まで追跡して、白色固体である番号GI-07の化合物を得た。
【0084】
HRMS (ESI) [C
28H
36F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:671.7556, 測定値:671.7560。
【0085】
本発明において、番号GI-08からGI-09までの化合物は、以下のような反応経路により合成することができる。
【0090】
式中、nは7又は8を表す。
実施例8:番号GI-08の化合物の製造
工程1:アゼライン酸無水物(0.376g, 2.0ミリモル, 1当量)とゲムシタビン(0.66g, 2.2ミリモル, 1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド15mLに溶解し、100℃まで昇温し、19時間後反応液に水30mLを加えて反応を停止させ、酢酸エチル(50mL×4)で抽出し、有機層を併合し、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=10:1-2:1)で分離させて、淡黄色固体である5-((1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)アミノ)-5-オキソノナン酸796mgが得られ。収率は91%であった。
【0091】
HRMS (ESI) [C
18H
25F
2N
3O
7-H]
+ の計算値:434.4112, 測定値:434.4120。
【0092】
工程2:製造方法は実施例4における工程2と同一であり、5-((1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリシジン-4-イル)アミノ)-5-オキソ吉草酸を5-((1-((2R,4R,5R)-3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル)アミノ)-5-オキソノナン酸に取り替え、TLCで反応を終点まで追跡して、白色固体である番号GI-08の化合物が得られた。
【0093】
HRMS (ESI) [C
29H
38F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:685.7822, 測定値:685.7830。
【0094】
実施例9:番号GI-09で表される化合物の製造
本実施例における製造方法は実施例8と同一であり、工程1におけるアゼライン酸をセバシン酸に取り替え、TLCで反応を終点まで追跡して、淡黄色固体である番号GI-09の化合物が得られた。
【0095】
HRMS (ESI) [C
30H
40F
2N
6O
7S
2-H]
+ の計算値:699.8088, 測定値:699.8090。
【0096】
実施例10:ゲムシタビン及びその誘導体の腫瘍剤耐性の細胞株に対する細胞毒性影響実験
実験目的:ゲムシタビン誘導体(本発明実施例1-9の化合物)とゲムシタビン(公知の化合物、下表において"対比例"で表す)の腫瘍剤耐性細胞株に対する細胞毒性の違いを対比すること。
【0097】
材料及び方法:ヒト乳癌アドリアマイシン薬剤耐性の細胞株MCF-7-ADRを5%ウシ胎児血清を含む1640培地で培養する;ゲムシタビン及びその誘導体GI-06をDMSOに溶解し、-20℃で冷凍して保存し、使用の寸前に5%ウシ胎児血清を含む1640培地で対応濃度まで希釈し、DMSO終濃度は0.5%とした;活性試験:対数増殖期にいるMCF-7-ADR細胞を取り、3×10
3/ウェルで96ウェル培養プレートに接種し、24時間インキュベートした後培養液を取り替え、濃度が異なるサンプル溶液を加える;対照グループに0.5%DMSOを含む培養液を加え、48時間インキュベートし続けた後、MTT法を用いて細胞の活性を測定した。抑制率(%)=(1-(ブランクの対照グループの吸光度-薬剤投与グループの吸光度)/ブランク対照グループの吸光度)×100%;IC50の計算方法:Bliss法を採用した。
【0100】
表1から分かるように、ゲムシタビンに対して、本発明における提供された番号GI-01からGI-09までのゲムシタビン誘導体は人間の乳癌薬剤耐性の細胞株MCF-7-ADRに対する増殖抑制活性は著しく増強し;特に番号GI-06の化合物は抗腫瘍活性が最も強い。
【0101】
実施例11:試験化合物のHCT-116結腸癌ヌードマウスの皮下移植腫瘍の生長に与える影響の実験研究
実験の目的:四つの化合物がHCT-116結腸癌ヌードマウスの皮下移植腫瘍の生長に与える影響
材料及び方法:
試験サンプル:GI-04、GI-05、GI-06、GI-09;
陽性対照:塩酸ゲムシタビン
実験動物:ヌードマウス、雌性、週齢4-5、60匹
細胞株:HCT-116結腸癌細胞
モデル作成:実験前に細胞懸濁液接種法を用いてマウス5匹に接種し、ヌードマウスの体内で4回継代した後、腫瘍塊挿法を用いて、皮下に接種してモデルを作成した。
【0102】
グループ分け:腫瘍体積が100mm
3くらいに生長するまでモデル作成し、標準に当てはまるヌードマウスを選んで、溶媒対照グループ、塩酸ゲムシタビングループ、GI-04、GI-05、GI-06およびGI-09という6つのグループにランダムに分ける。
【0103】
薬剤投与量:対照薬としての塩酸ゲムシタビンの投与量は160mg/kgであり;GI-04、GI-05、GI-09グループの投与量はそれぞれ15mg/kgであり;高投与量グループGI-06の投与量は15mg/kgであり、中投与量グループGI-06の投与量は10mg/kgであり、低投与量グループGI-06の投与量は5mg/kgであった。「溶媒対照」はGI-06の対応溶媒(0.1%tween80、0.9%ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液)。
【0104】
投与経路:塩酸ゲムシタビンは腹腔内注射で投薬し、残りの各グループは内服で強制的に胃に投薬した。
【0105】
投与容量:0.1ml/10g
投薬頻度:塩酸ゲムシタビンは、一週間目に2回(D1とD4)投薬し、合わせて2回投薬した;GI-04、GI-05及びGI-09グループのそれぞれは、毎週五日間投薬し続け、二日間投薬を停止し、合わせて10回投与した;高投与量グループGI-06では、毎週五日間投薬し続け、二日間投薬を停止し、合わせて10回投薬した;中投与量グループGI-06では、一週間目は七日間投薬し、動物の状態に由来する原因のために二週間目は五日間投薬し、合わせて12回投薬した。低投与量グループGI-06の投薬頻度は中投与量グループGI-06と同一である。
【0106】
観察時間:投薬開始後十五日間観察し続け、毎週2回腫瘍の体積を測った。十五日目に投薬を停止した。
【0107】
統計方法:Excel統計ソフトウェア、一元配置分散分析。
【0110】
実験結果は4つの化合物中GI-06が5mg/kg、10mg/kg、15mg/kgでHCT-116結腸癌ヌードマウスの移植腫瘍に対し腫瘍生長抑制作用を顕著に有することを明示しており、T/Cはそれぞれ27%、13%と12%であり、一方、対照薬の塩酸ゲムシタビンは腹腔内注射で160mg/kg、2回投薬後、顕著な生長抑制作用を示し、T/Cは5.8%であった。
【0111】
本実験結果は、たとえ低薬剤投与量グループ5mg/kgであっても、連続投薬で望ましい腫瘍生長抑制作用を得ることもできることを明示しており、以下のバッチ試験は投薬量を更に下げられることも示しており、最低有効投薬量が得られる。
【0112】
実施例12:GI-06化合物がA2780卵巣癌ヌードマウスの皮下移植腫瘍の生長に与える影響の実験研究
実験の目的:GI-06化合物がA2780卵巣癌ヌードマウスの皮下移植腫瘍の生長に与える影響。
材料及び方法:
試験サンプル:GI-06;陽性対照:塩酸ゲムシタビン
実験用の動物:ヌードマウス、雌性、週齢4-5、40匹。
【0113】
細胞株:シャンハイ細胞所から購入したA2780卵巣癌細胞。
【0114】
モデル作成:実験前に細胞懸濁液接種法を採用してマウスを5匹接種し、ヌードマウスの体内で2回継代した後、腫瘍塊挿法で、皮下に接種してモデル作成を行った。
【0115】
グループ分け:腫瘍体積が100mm
3くらいに生長するまでモデル作成し、標準的なヌードマウスを選んで、溶媒対照グループ(溶媒対照)、塩酸ゲムシタビングループ、GI-06の高、中、低の3つの薬量グループ、の5つのグループにランダムに分け、グループごとに動物を6匹とした。
【0116】
投薬量:対照薬 塩酸ゲムシタビンの投与量は160mg/kgであり、高薬量グループのGI-06投薬量は12mg/kgであり、中薬量グループとしてのGI-06の投薬量は8mg/kgであり、低薬量グループのGI-06の投薬量は4mg/kgである。「溶媒対照」はGI-06の対応溶媒(0.1%tween80、0.9%ヒドロキシプロピルメチルセルロースの水溶液)。
投与経路:塩酸ゲムシタビンは腹腔内注射によって投与し、残りの各グループでは内服で強制的に胃に投薬した。
【0117】
投与容量:0.1ml/10g
投薬頻度:塩酸ゲムシタビンは第一週目と第三週目に、それぞれ2回(D1、D4、D15、D18)投薬し、合わせて4回投与し;GI-06の各薬量グループでは1日に1回投薬し、合わせて21日間投薬した。
【0118】
観察時間:投薬開始から21日間の観察し続け、毎週2回腫瘍体積を測定した。第22日目に動物を殺し、腫瘍を剥離して重さを測った。
【0119】
統計方法:Excel統計ソフトウェア、一元配置分散分析。
【0122】
実験に採用されたモデルはA2780卵巣癌ヌードマウス移植腫瘍モデルである。本実験結果は、GI-06の投薬が4mg/kg、8mg/kg及び12mg/kgであるときA2780腫瘍生長の抑制作用が顕著であることを示し、しかも薬量依存性であることを示し、T/Cはそれぞれ39.55%、2.11%と0.46%であった。一方、対照グループである塩酸ゲムシタビンを腹腔内注射したグループでは、T/Cは1.32%であった。本実験における3つの薬量グループは、投薬し続けても顕著な毒性が出現せず、動物体重に対して影響はない。
【国際調査報告】