(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-540025(P2016-540025A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】持続性を持つヒアルロン酸ゲル組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/06 20060101AFI20161125BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20161125BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20161125BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20161125BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20161125BHJP
【FI】
A61K9/06
A61K47/28
A61K47/36
A61K31/167
A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-539202(P2016-539202)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月8日
(86)【国際出願番号】KR2014011912
(87)【国際公開番号】WO2015088198
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】10-2013-0152585
(32)【優先日】2013年12月9日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】516170853
【氏名又は名称】ニューメディク株式会社
【氏名又は名称原語表記】New medic Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヒドン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ジョンム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB11
4C076CC01
4C076DD70P
4C076EE37P
4C076FF35
4C206AA10
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4C206GA31
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4C206MA05
4C206MA48
4C206MA86
4C206MA87
4C206NA12
4C206ZA08
4C206ZA20
(57)【要約】
本発明は化粧品及び医薬分野で使われる架橋結合されたヒアルロン酸ゲル組成物において、架橋結合された多糖類ゲルに多糖類分解抑制及び坑酸化作用を持つ物質を含ませて架橋結合率を高めずとも生体内で長い間の持続性を維持する長期持続性を持つ架橋結合された多糖類ゲル組成物に関することで、架橋されなかった又は、架橋結合された多糖類にウルソル酸が含まれたハイドロゲル複合体であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されなかったまたは、架橋結合されたヒアルロン酸にウルソル酸が含まれていることを特徴とする持続性を持つヒアルロン酸ゲル組成物。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸の分子量が20,000ダルトン(Da)ないし5,000,000ダルトン(Da)であることを特徴とする請求項1に記載の持続性を持つヒアルロン酸ゲル組成物。
【請求項3】
前記ウルソル酸の濃度が0.001mMないし1Mであることを特徴とする請求項1に記載の持続性を持つヒアルロン酸ゲル組成物。
【請求項4】
リドカイン(lidocaine)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の持続性を持つヒアルロン酸ゲル組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧品及び医薬分野で使われる架橋結合された多糖類ゲル組成物に関し、より詳しくは架橋結合された多糖類ゲルに多糖類分解抑制及び坑酸化作用を持つ物質を含ませて架橋結合率を高めず生体内で長い間の持続性を維持する持続性を持つヒアルロン酸ゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多糖類は、糖の複合体でグリコシド結合によって単糖類が結合された形態で、特にヒアルロン酸ナトリウムは化粧品及び医薬分野に幅広く使われている。
【0003】
ヒアルロン酸ナトリウムは、真皮層に存在するムコ多糖類としてN-アセチル-D-グルコサミンとD-クルクロン酸がbeta-1、3グリコシド結合(glycosidic bond)に連結されていて前記反復単位が線形に連結されている生体高分子物質である。
【0004】
また、体液、牛の眼球、鶏冠、動物の緩衝組織、胎盤などで発見される生体構成物質で、特に結合組織および皮膚に高濃度で存在する。
【0005】
また、ヒアルロン酸ナトリウムは、自分の重さの1000倍程度の水を含有できる能力があるので皮膚の乾燥を防止させる化粧品の保湿剤として広く使われており、皮膚美容分野では特定部位に挿入されて軟組織を拡張させることによってしわ改善や輪郭校正などに使われる皮膚充填剤(dermal filler)等として使われている。
【0006】
またヒアルロン酸ナトリウムは、点弾性+++、生体適合性、生分解性が卓越して使用範囲が皮膚の美容だけでなく退行性骨関節炎治療剤、傷治療剤、眼球手術補助制、手術後に組織間の癒着を防止するための癒着防止制などとして広く使われている。
【0007】
しかし、天然(native)ヒアルロン酸(hyaluronic acid:HA)は生体内でヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)とフリーラジカル(free radicals)によって迅速に分解されるため半減期が一日程度と非常に短いので、このようなヒアルロン酸の優秀性にもかかわらず、しわ治療制のように長い間の半減期を必要とする分野には天然ヒアルロン酸を製品に直接的に適用させることはできない。
【0008】
このような短所を克服するために色々な種類の橋架け結合技術(Cross-linking technology)が開発され、これを利用した橋架け結合されたヒアルロン酸フィラー(Cross-linked hyaluronic acid filler)がヨーロッパとアメリカでたくさん開発されて最近何年間国内でもいくつかの製品が発売された。
【0009】
(従来技術の特許文献)
US特許第4、582、865、US特許第5、827、937
【0010】
US特許第4、582、865号は、ジビニル スルホン(DVS)を架橋剤を使って架橋したヒアルロン誘導体を開示しており、これのハイドロゲル形態がハイラフォーム(Hylaform)の商品名で市販されている。アメリカ特許第5、827、937号は多機能エポキシ化合物を架橋剤を使ってヒアルロン酸誘導体架橋物を製造する方法が開示しており、この中で多機能エポキシ化合物として1、4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を架橋剤を使って製造したヒアルロン酸架橋物のハイドロゲル形態であるレスティルレン(Restylane)はアメリカFDAの承認を受けて組織増強用充填剤として世界的に市販されている。
【0011】
これら製品は全部ヒアルロン酸のヒドロキシ基と架橋剤が結合して生成されることで、未架橋ヒアルロン酸に比較すればその生体内持続性が増大したとは言うけれど、あい変わらず6〜12ヶ月以内に分解されるなど生体持続性が低い問題がある。
【0012】
このように多くの架橋結合されたヒアルロン酸フィラーは持続性が1年以内なので持続性を増やすために架橋結合率を高めようとする試みがあるが、高い保存弾性率によってかたい異物感を感じられるためにこの方法には限界がある。
【0013】
従って持続性を伸ばすためには架橋結合率を高めること代わりに皮膚の感触と類似の保存弾性率を持って同時に持続性を伸ばすことができる多糖類ゲル組成物開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記した背景下で創出されたことで、本発明の目的は架橋結合された多糖類ゲルに多糖類分解抑制及び坑酸化作用を持つ物質を含ませて架橋結合率を高めずとも生体内で長期持続性を持つようにした架橋結合されたヒアルロン酸ゲル組成物を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は化粧品及び医薬分野で使われる架橋結合された多糖類ゲル組成物において、架橋結合された多糖類ゲルに架橋結合率を高めずとも多糖類分解抑制及び抗酸化作用を持つウルソル酸(ursolic acid)を含んで造成される長期持続性を持つ架橋結合されたヒアルロン酸ゲル組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような目的を果たすための本発明は架橋されてないまたは、架橋結合されたヒアルロン酸にウルソル酸が含まれたハイドロゲル複合体であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に従おうとするなら前記ハイドロゲル組成物はヒアルロン酸(hyaluronic acid)、セルローズ(cellulose)、キトサン(chitosan)、デキストラン(dextran)、デキストラン硫酸(dextran sulfate)、コンドロイチナーゼ(chondroitin)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、ヘパリン(heparin)、ヘパリン硫酸(heparin sulfate)、アルジネート(alginate)中の少なくとも一つまたは、一つ以上の多糖類を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明によると前記多糖類の分子量が20,000ダルトン(Da)ないし5,000,000ダルトン(Da)であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明によると前記ウルソル酸の濃度が0.001mMないし1Mであることを特徴とする。また、本発明によるとリドカインをさらに含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
このように本発明はウルソル酸を含んだ架橋結合された多糖類ゲル組成物は生体適合性が優秀で保存弾性率を高めないで生体内に組成物を注入したときに最も皮膚と類似した感触がする保存弾性率を維持して生体内で長期持続性が卓越した長所を提供する。
【0021】
また、本発明による局所麻酔剤であるリドカインを添加した組成物は施術時の患者の痛みを緩和させる利点がある。
【0022】
また、本発明による組成物は皮膚のしわを除去または、改善させて、鼻、頬、唇、胸、お尻、深い傷のような部位に組織を修復させる効果を提供する。
【0023】
また、本発明は泌尿器科的に男性のシンボルを拡大させるための用途と、手術後、長期の癒着を防止するために使う癒着防止制として使われて、退行性関節の改善及び治療のために潤滑剤として、退行性関節炎治療剤として使われる長所を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明に伴う架橋結合されたヒアルロン酸とウルソル酸の複合体構造に関する概略図であり、
【
図2】
図2は本発明によるヒアルロニダーゼと遊離基によるヒアルロン酸-ウルソル酸複合体の分解率を表した図表であり、
【
図3】
図3は本発明によるヒアルロン酸-ウルソル酸複合体に対するレオロジー(rheology)的特性を表した図表であり、
【
図4】
図4は本発明によるヒアルロン酸-ウルソル酸複合体に対する押出力を表した図表である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を添付された図面を参照してより詳しく説明する。
図1は本発明の一実施例による架橋結合されたヒアルロン酸とウルソル酸の複合体構造に関する概略図である。
【0026】
図示されたように本発明による長期持続性を持つ架橋結合された多糖類ゲル組成物は架橋されてないまたは、架橋結合された多糖類にウルソル酸が含まれたハイドロゲル組成物で構成される。
【0027】
より具体的に本発明組成物はヒアルロン酸(hyaluronic acid)、セルローズ(cellulose)、キトサン(chitosan)、デキストラン (dextran)、デキストラン硫酸(dextran sulfate)、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、ヘパリン(heparin)、ヘパリン硫酸(heparin sulfate)、アルジネート(alginate)の中に少なくとも一つの多糖類と、多糖類分解抑制及び坑酸化作用をする物質であるウルソル酸(ursolic acid)が含まれるハイドロゲル組成物で構成される。
【0028】
前記多糖類はヒアルロン酸(hyaluronic acid)、セルローズ(cellulose)、キトサン(chitosan)、デキストラン(dextran)、デキストラン硫酸(dextran sulfate)、コンドロイチン(chondroitin)、コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)、ヘパリン(heparin)、ヘパリン硫酸(heparin sulfate)、アルジネート(alginate)の中に少なくとも一つ又は、一つ以上の多糖類を使って、望ましくヒアルロン酸を使う。
【0029】
本発明に使われる前記多糖類の分子量は20,000ダルトンないし5,000,000ダルトンであり、望ましく500,000ダルトンないし3,000,000ダルトンである。
【0030】
本発明に使われるウルソル酸(ursolic acid)はウルソン(urson)、プルノール(prunol)、ミクロメロール(micromerol)、マロール(malol)などで知られている五環性トリテルペノイド(pentacyclic triterpenoid)系化合物であり、薬用植物と薬草などに広く分布している。
【0031】
前記ウルソル酸は長い間薬品学的に非活性を持つと考えてウルソル酸とウルソル酸塩(例えばウルソル酸カリウム又はナトリウム(potassium or sodium ursolates))は全面的に製薬、化粧品、そして食品、界面活性剤として使用されてきた。
【0032】
しかし、より綿密な研究を通じてウルソル酸が局所的でも服用したときに二つとも薬学的に活性を持つということが明らかになった。
【0033】
ウルソル酸は抗炎症作用、坑癌作用(皮膚癌)、坑菌作用において効能を現わす。多くのトリテルペノイド(triterpenoids)系化合物のようにウルソル酸は植物界にとてもよく見いだされる化合物であり、系統発生起源と分類位置を多角化させてきた多くの植物の成分である。
【0034】
ウルソル酸はリンゴ、梨、グリーンベリー、スモモなどと同じ果物皮から分離した。また、海草類にもウルソル酸誘導体が豊富に存在する。
【0035】
本発明に使われるウルソル酸(ursolic acid)は多糖類分解を抑制させて同時に坑酸化作用をすることで多糖類分解抑制剤と抗酸化剤の二種類の役割を同時に持っていて多糖類ゲルの生体内持続性を増加させるための最高の物質になる。
【0036】
本発明に使われるウルソル酸の濃度は0.01mMないし1Mであり、望ましく0.05mMないし100mMで、より望ましく0.1mMないし10mMである。
【0037】
また、本発明によると施術時に患者の痛みを減少させるためにウルソル酸を含んだ架橋結合された多糖類ゲル組成物に局所麻酔剤であるリドカイン(lidocaine)を添加することができる。
【0038】
本発明の組成物は医学的または、美容的に皮膚のシワを除去または改善し、鼻、頬、唇、胸、お尻、深い傷のような部位において組織を修復させるために使われることができる。
【0039】
また、医学的に男性のシンボルを拡大させ、手術後、臓器の癒着を防止するために使う癒着防止剤、退行性関節の改善及び治療のための潤滑剤として、退行性関節炎治療剤として使われることができる。
【0040】
下記、本発明の実施例により詳しく説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれらだけで限定されるのではない。
【0041】
<比較例1:既に開発された架橋結合されたヒアルロン酸フィラー準備>
HA濃度が24mg/mLで保存弾性率(G‘)が130Pa程度である架橋結合されたヒアルロン酸フィラー(REVOLAX(登録商標)、(株)アクロス)1gにPBS(pH7.0)溶液100uLを添加した後、完全に混ざるように攪拌する。
【0042】
<実施例1:本発明のヒアルロン酸-ウルソル酸(0.1mM)複合体ハイドロゲル製造>
HA濃度が24mg/mLで保存弾性率(G‘)が130Pa程度である架橋結合されたヒアルロン酸フィラー(REVOLAXTM、(株)アクロス)1gにウルソル酸0.1mMが添加されたPBS(pH7.0)溶液100uLを添加した後、完全に混ざるように攪拌する。
【0043】
<実施例2:本発明のヒアルロン酸-ウルソル酸(0.5mM)複合体ハイドロゲル製造>
HA濃度が24mg/mLで保存弾性率(G‘)が130Pa程度である架橋結合されたヒアルロン酸フィラー(REVOLAXTM、(株)アクロス)1gにウルソル酸0.5mMが添加されたPBS(pH7.0)溶液100uLを添加した後、完全に混ざるように攪拌する。
【0044】
<実施例3:本発明のヒアルロン酸-ウルソル酸(1mM)複合体ハイドロゲル製造>
HA濃度が24mg/mLで保存弾性率(G‘)が130Pa程度である架橋結合されたヒアルロン酸フィラー(REVOLAXTM、(株)アクロス)1gにウルソル酸1mMが添加されたPBS(pH7.0)溶液100uLを添加した後、完全に混ざるように攪拌する。
【0045】
<実施例4:本発明のヒアルロン酸-ウルソル酸(5mM)複合体ハイドロゲル製造>
HA濃度が24mg/mLで保存弾性率(G‘)が130Pa程度である架橋結合されたヒアルロン酸フィラー(REVOLAXTM、(株)アクロス)1gにウルソル酸5mMが添加されたPBS(pH7.0)溶液100uLを添加した後、完全に混ざるように攪拌する。
【0046】
<実施例5:本発明のヒアルロン酸-ウルソル酸(10mM)複合体ハイドロゲル製造>
HA濃度が24mg/mLで保存弾性率(G‘)が130Pa程度である架橋結合されたヒアルロン酸フィラー(REVOLAXTM、(株)アクロス)1gにウルソル酸10mMが添加されたPBS(pH7.0)溶液100uLを添加した後、完全に混ざるように 攪拌する。
【0047】
<実験例1: ヒアルロニダーゼ(hyaluronidase)分解試験>
本発明によるヒアルロン酸-ウルソル酸複合体の生体内持続性を予測するために、前記比較例1と実施例1〜5までのヒアルロン酸-ウルソル酸複合体に対してヒアルロン酸分解酵素による分解試験を行った。
【0048】
前記比較例1と実施例1〜5までのヒアルロン酸ハイドロゲルを凍結乾燥して、凍結乾燥された試料を同じ質量で50mLチューブに入れた。ヒアルロン酸分解酵素(hyaluronidase from Streptomyces hyalurolyticus, Sigma-Aldrich)200ユニット(Units)を含んだPBS溶液(pH7.0)6mLを添加した。
【0049】
この混合物を37℃で24時間の間反応させた後、ヒアルロン酸分解酵素を非活性化させるために90℃で10分間加熱した。
【0050】
精製水18mLを添加してボルテックス(vortexing)した後、遠心分離(4,000rpm、15分)した。そして相当額1mLを取ってチューブに入れて遠心分離(12,000rpm、5分)した。遠心分離した上層液で分解されて出たN-アセチルグルコサミン(NAG)の量を測定するためにカルバゾール(Carbozle)の方法により分析した。
【0051】
架橋物の分解程度を下記の表1に示す。
【表1】
【0052】
<表1>に示すように、ウルソル酸濃度により架橋結合されたヒアルロン酸の分解に影響を及ぼすことが分かった。ウルソル酸の濃度が増加するにつれヒアルロン酸分解酵素(hyaluronidase)による架橋結合されたヒアルロン酸の分解が顕著に減ることが観察された。
【0053】
またウルソル酸の濃度が10mMであるとき、ヒアルロン酸分解酵素(hyaluronidase)による架橋結合されたヒアルロン酸の分解がほとんど起きなかった。これを基にウルソル酸の濃度を調整すれば望む持続性を持つヒアルロン酸ハイドロゲルフィラーを製造することができた。
【0054】
<実験例2:遊離基(free radicals)分解試験>
本発明によるヒアルロン酸-ウルソル酸複合体の生体内持続性を予測するために、前記比較例1と実施例1〜5までのヒアルロン酸-ウルソル酸複合体に対して遊離基による分解試験を行った。
【0055】
前記比較例1と実施例1〜5までのヒアルロン酸ハイドロゲルを凍結乾燥して、凍結乾燥された試料を同じ質量で50mLチューブに入れた。
【0056】
遊離基(0.2mM ascorbic acidと0.2mM hydrogen peroxideの混合物)を含んだPBS溶液(pH7.0)6mLを添加した。
【0057】
精製水18mLを添加してボルテックス(vortexing)した後、遠心分離(4,000rpm、15分)した。1mL相当量を取ってチューブに入れて遠心分離(12,000 rpm、5分)した。
【0058】
遠心分離された上層液で分解されて出たN-アセチルグルコサミン(NAG)の量を測定するためにカルバゾール(Carbozle)の方法により分析した。
【0059】
架橋物の分解程度を下記表2に表した。
【表2】
【0060】
<表2>及び
図2のように、ウルソル酸濃度により架橋結合されたヒアルロン酸の分解に影響を及ぼすことが分かった。ウルソル酸の濃度が増加するにつれ遊離基(free radicals)による架橋結合されたヒアルロン酸の分解が顕著に減ることが観察された。
【0061】
またウルソル酸の濃度が10mMであるとき、遊離基(free radicals)による架橋結合されたヒアルロン酸の分解がほとんど起きなかった。これを基にウルソル酸の濃度を調整すれば望む持続性を持つヒアルロン酸ハイドロゲルフィラーを製造することができる。
【0062】
<実験例3:レオロジー(rheology)的特性試験>
本発明のレオロジー的特性を評価するために、前記比較例1と実施例1〜5までのヒアルロン酸-ウルソル酸複合体に対して貯蔵弾性率(G‘)、損失弾性率(G“)と%弾性度をレオメーター (T.A. Instruments Ltd.、USA)を利用して測定した。25℃で40mm2°コーンプレートジーアミダ(cone-plate geometer)を使って0.01〜10Hz範囲で実験を行ったし、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)は1.0Hzで測定した。弾性度(%)は下のような式を使って計算して結果値を下記表3に示す。
【0063】
パーセンテージ弾性値(Percentage elasticity(%))=(G‘/G’+G“)×100
【表3】
【0064】
<表3>及び
図3のように、ウルソル酸の添加はレオロジー(rheology)的特性に変化を与えなかった。ウルソル酸が添加されなかった架橋結合されたヒアルロン酸フィラーと0.1〜10mM濃度でウルソル酸が添加された架橋結合されたヒアルロン酸フィラーは保存弾性率(G‘)、損失弾性率(G“)と弾性度%にほとんど影響を及ぼさなかった。
【0065】
これを基にウルソル酸の濃度を調節すれば保存弾性率(G‘)が増加しないで持続性を増やすことができるヒアルロン酸ハイドロゲルフィラーを製造することができる。
【0066】
<実験例4:押出力試験>
本発明の押出力を評価するために、前記比較例1と実施例1〜5までのヒアルロン酸-ウルソル酸複合体に対して押出力試験機で押出力実験を実施した。
【0067】
測定しようとする検液が入れられたガラス注射器をジグに挿入した後、圧縮版にガラス注射器の棒が中央に位置するように調整した。
【0068】
検液がジグに尋ねないように受け台(ペトリ皿(petri dish))を設置した後、12mm/minの速度で押出力測定を行った。
【0069】
測定された結果で力が加えられた以後5mm地点をボトムマーカー ポジション(bottom marker position)で測定が終わる地点で5mm以前の地点をトップマーカーポジション(top marker position)で指定してその間の平均値を取った。
【0070】
押出力は下記<表4>に表した。
【表4】
【0071】
<表4>及び
図4のように、ウルソル酸の添加は押出力に変化を与えなかった。ウルソル酸が添加されなかったか架橋結合されたヒアルロン酸フィラーと0.1〜10mM濃度でウルソル酸が添加された架橋結合されたヒアルロン酸フィラーは押出力にほとんど影響を及ぼさなかった。
【0072】
これを基にウルソル酸(ウルソルリク酸)の濃度を調節すれば適切な押出力を維持して持続性を増やすことができるヒアルロン酸ハイドロゲルフィラーを製造することができた。
【国際調査報告】