特表2016-540217(P2016-540217A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-540217(P2016-540217A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(54)【発明の名称】2種材料の時計用耐衝撃システム
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/04 20060101AFI20161125BHJP
【FI】
   G04B31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-537496(P2016-537496)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2014076783
(87)【国際公開番号】WO2015086472
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】13196736.6
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ボルン,ジャン−ジャック
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ジャン−クロード
(57)【要約】
本発明は時計用歯車のアーバ(120)のための衝撃吸収軸受に関し;前記アーバは軸シャンク(121)を含み、前記軸受は吊り回転手段(126、126’)を受け入れるように配置されたハウジングを備えた支持体(120、130)を含み、前記回転手段(126、126’)を時計用歯車が受けた衝撃を少なくとも一部吸収するように配置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計可動部のアーバ(120)のための衝撃吸収軸受であって、前記アーバは軸シャンク(121)を含み、前記軸受は吊り回転手段(126、126’)を受け入れるように配置されたハウジングを備えた支持体(102、103)を含み、前記回転手段(126、126’)を時計用歯車が受けた衝撃を少なくとも一部吸収するように配置する、衝撃吸収軸受であって、
前記回転手段(126、1260)は金属材料で作製され、合成材料で作製したインサート(1260)が挿入される前記軸シャンクと協働する凹部(126e)を含むことを特徴とする、衝撃吸収軸受。
【請求項2】
前記インサートはポリマー材料で作製されることを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収軸受。
【請求項3】
前記インサート材料は充填された材料であることを特徴とする、請求項2に記載の衝撃吸収軸受。
【請求項4】
前記インサートの前記ポリマーは、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィドを含む群から選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の衝撃吸収軸受。
【請求項5】
前記回転手段(126、126’)は、環状部分(126a)、中心部分(126b)及び前記環状部分に前記中心部分を接続する弾性アーム(126d)を含むディスクであり、前記中心部分は、自由回転のために前記ピボットが共に作用することができるインサート(1260)を挿入するための凹部(126e)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の衝撃吸収軸受。
【請求項6】
前記回転手段(126、126’)は、120°の角度でずらされた3本の弾性アーム(126d)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の衝撃吸収軸受。
【請求項7】
前記インサートは前記ピボットを挿入するための孔(1261)を含み、前記孔は最初の直線部分または長方形部分、続いて台形部分を有する開口部からなることを特徴とする、請求項5に記載の衝撃吸収軸受。
【請求項8】
時計可動部のアーバのための衝撃吸収軸受の製造方法であって、前記アーバ(120)は軸シャンク(121)及びピボット(122)を含み、前記軸受は吊り回転手段(126、126’)受け入れるように配置されたハウジングを備えた支持体(102、103)を含む、製造方法であって、以下の工程:
a)前記支持体(102、103)、及び凹部(126e)を含む前記回転手段(126、126’)を得た後、前記支持体(102、103)の前記ハウジング内に前記回転手段(126、126’)を置くことと、
b)前記アーバ(120)、及び前記ピボット(122)を挿入するための孔(1261)を含む前記インサート(1260)を得ることと、
c)前記アーバピボット(122)を前記インサート(1260)の前記孔(1261)内に挿入するように、前記アーバ(120)上に前記インサート(1260)を置くことと、
d)前記アーバ(120)上に取り付けた前記インサート(1260)が前記凹部(126e)に入り込むように、前記アーバ(120)を操作することにより前記衝撃吸収軸受を取り付けることと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
時計可動部のアーバのための衝撃吸収軸受の製造方法であって、前記アーバ(120)は軸シャンク(121)及びピボット(122)を含み、前記軸受は吊り回転手段(126、126’)を受け入れるように配置されたハウジングを備えた支持体(102、103)を含む、製造方法であって、以下の工程:
A)前記支持体(102、103)、及び凹部(126e)を含む前記回転手段(126、126’)を得た後、前記支持体(102、103)の前記ハウジング内に前記回転手段(126、126’)を置くことと、
B)前記アーバ(120)を得、インサート(1260)を形成する材料で前記ピボット(122)をオーバーモールドすることと、
C)前記アーバ(120)上の前記インサート(1260)が前記凹部(126e)に入り込むように、前記アーバ(120)を操作することにより前記衝撃吸収軸受を取り付けることと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記回転手段(126、126’)は金属材料で作製されること、前記インサート(1260)は合成材料で作製されることを特徴とする、請求項8または9に記載の衝撃吸収軸受の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は時計の回転アーバのための衝撃吸収軸受に関する。アーバは支持体を含む軸シャンクを含み、前記支持体は軸シャンクを挿入する吊り回転システムを受け入れるためのハウジングを備える。
【0002】
本発明の技術分野は微細機構の技術分野である。
【背景技術】
【0003】
本発明は時計のための軸受に関し、より詳細には衝撃を吸収する種類の軸受に関する。機械式時計の設計者は長く、アーバが通過するベースブロックの孔壁に対して、回転アーバが衝突することにより生じる衝撃エネルギーを吸収し、またバネの作動下でその静止位置に戻る前に、軸シャンクが一時的に変位することができる多くの装置を考案してきた。
【0004】
図1は衝撃吸収装置、または支持体2を含む衝撃吸収軸受1を説明する。この支持体は、回転システム4が配置されたハウジング3を有し、その目的は、テン真5が受けた衝撃を、少なくとも一部吸収することである。
【0005】
回転システム4は弾性手段4a及び回転モジュール4bを含む。弾性手段は、この例においては、膜の形状をとる。これらの弾性手段は下面及び上面を含み、中央開口を有するディスク型ベースの形状である。下面は支持体の底面、すなわち軸シャンク5aの末端であるテン真が通る孔6と対向する。回転モジュールはこのディスクの中心に固定される。このディスクは周囲に、軸方向、すなわち上面から離れる方向に延伸する周囲リム4cを含む。好ましくは、このリムはリムの高さが増すほど、ディスクに水平である平面の表面が増すように延伸する。
【0006】
図1に示すように、回転システム4は支持体の底面に置かれ、弾性手段のリムは、例えば支持体の突起部2aに存在する。
【0007】
射出成形技術を用いて製造することができるように、この回転システムはプラスチック材料で作製する。
【0008】
しかしながら、このような衝撃吸収システムの欠点は、耐衝撃性でないことである。実際には、ピボットが壊れなければ、ピボットはプラスチックに傷をつける。回転システムを形成するプラスチックのマーキングは弾性部分に起因し、この弾性部分のヤング率は衝撃で高くなる。ヤング率は、弾性係数(一般にGPaで表す)としても知られ、材料の変形耐性の特性を示す。
【0009】
このように、ヤング率が高くなるほど、変形に必要な応力が増す。結果、ピボットと対向する回転システムの弾性手段の抵抗が増し、ピボットと軸受間の力が増す。この極短期間の力の増加は、部分的な塑性変形を引き起こす場合がある。その後、この変形により衝撃吸収軸受の不良が起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、一定の減衰及び摩擦特性を有する時計のための耐衝撃システムを提供することを提案することで、先行技術の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的に向けて、本発明は時計可動部のアーバのための衝撃吸収軸受であって、前記アーバは軸シャンクを含み、前記軸受は吊り回転手段を受け入れるように配置されたハウジングを備えた支持体を含み、前記回転手段を時計用歯車が受けた衝撃を少なくとも一部吸収するように配置する、衝撃吸収軸受であって、回転手段は金属材料で作製され、軸シャンクと共に作用する合成材料で作製したインサートを挿入する凹部を含むことを特徴とする衝撃吸収軸受に関する。
【0012】
本発明の第1の有利な実施形態において、インサートはポリマー材料で作られる。
【0013】
本発明の第2の有利な実施形態において、インサートの材料は充填された材料である。
【0014】
本発明の第3の有利な実施形態において、インサートのポリマーは、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィドを含む群から選択される。
【0015】
本発明の第4の有利な実施形態において、回転手段は環状部分、中心部分及び環状部分に中心部分を接続する弾性アームを含むディスクであり、中心部分はピボットが共に作用することができるインサートが自由に回転することができるように凹部を含む。
【0016】
本発明の別の有利な実施形態において、回転手段は120°の角度でずらされた3本の弾性アームを含む。
【0017】
本発明の別の有利な実施形態において、インサートはピボットを挿入する孔を含み、この孔は最初の直線部分または長方形部分、続いて台形部分を有する開口部からなる。
【0018】
また、本発明は有利には、アーバを含む時計可動部のための衝撃吸収軸受の製造方法であって、上記アーバは軸シャンク及びピボットを含み、上記軸受は吊り回転手段を受け入れるように配置されたハウジングを備えた支持体を含む、方法であって、以下の工程:
a)支持体、及び凹部を含む回転手段を得た後、支持体のハウジング内に回転手段を置くことと、
b)アーバ、及び上記ピボットを挿入するための孔を含むインサートを得ることと、
c)アーバピボットをインサートの孔内に挿入するように、アーバ上にインサートを置くことと、
d)アーバに取り付けたインサートが凹部に入り込むように、アーバを操作することにより衝撃吸収軸受を取り付けることと、を含むことを特徴とする方法に関する。
【0019】
本発明に係る変形体において、上記方法は以下の工程:
A)支持体、及び凹部を含む回転手段を得た後、支持体のハウジング内に回転手段を置くことと、
B)アーバを得、インサートを形成する材料でピボットをオーバーモールドすることと、
C)アーバ上のインサートが凹部に入り込むように、アーバを操作することにより衝撃吸収軸受を取り付けることと、を含む。
【0020】
本発明による耐衝撃システムの目的、利点及び特徴は、非限定な例の目的でのみ示され、付属の図面により説明される少なくとも1つの本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明で、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は先行技術の時計用耐衝撃システムの概略図である。
図2図2は本発明による時計耐衝撃システムの概略図である。
図3図3は本発明による時計耐衝撃システムの概略図である。
図4図4は本発明の変形体による時計耐衝撃システムの概略図である。
図5図5は本発明の変形体による時計耐衝撃システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、改善された位置調整を行う信頼性のより高い衝撃吸収システムまたは耐衝撃システムを提供することにある一般的発明概念に由来する。
【0023】
衝撃吸収軸受または耐衝撃システム100を図2に示す。図2は本発明による軸受を備えた時計の一部を例示する。
【0024】
図2に示す衝撃吸収軸受100は、下部軸受101及び上部軸受102を取り付ける支持体103を含むフレームを含む。これらの軸受101、102を上記支持体103に作製した孔に取り付ける。テンプであってよい可動部105を軸受で回転するように、アーバ120に取り付ける。このアーバ120は、ピボット122を有する軸シャンク121を両末端に備える。
【0025】
上部軸受102は、周内壁128を有しディスクの形状をとる環状部分127を含む。また、この環状部分はディスクの表面に位置し、壁に隣接するリム129を含む。環状部分127を中心孔130が貫通する。軸受102はさらに、周壁128及びリム129で形成した凹部に配置された回転手段126’を含む。吊り下げるため、回転手段126’をリム129の周縁部に置く。この回転手段126’を、例えば圧入、ボンディング、スナップフィット、またはリングにより保持することで、環状部分127に取り付ける。したがって、回転手段126’と周壁128及びリム129で形成するハウジングの底面間に空間が存在する。したがって、回転手段は接続点で支持体101と接触するのみである。吊り下げることによって、衝撃に起因する変位後、回転手段126’を再度完全に中心に位置させる。
【0026】
下部軸受101は上部軸受102と同一の設計であり、すなわち周壁を有するディスクの形状をとる環状部分124を含む。また、この環状部分はディスクの表面に位置し、壁に隣接するリムを含む。環状部分124を中心孔125が貫通する。軸受102はさらに、周壁及びリムで形成したハウジングに吊り下げるように配置された回転手段126を含む。この回転手段126を、例えば圧入、ボンディング、スナップフィット、またはリングにより保持することで、環状部分124に取り付ける。この例において、軸受の大きさが調節しやすく、小さくできることを説明するため、下部軸受101の寸法は上部軸受102よりも小さい。当然、上部軸受102及び下部軸受101の寸法は同一でもよい。
【0027】
しかしながら、第一の変形体(図示せず)において、回転手段126、126’を圧入、またはボンディングもしくは溶接もしくははんだ付けにより、支持体103に直接固定するように、下部軸受101または上部軸受102を配置してもよい。上記軸受101、102は、回転手段126、126’を保持するのに用いられるリング形状の部品200、及び周囲リムを有し、中心を孔が貫通するディスク形状の部品201を含んでもよい。この貫通したディスク型部品201を停止部材として機能するように用い、リムを吊りシステムを提供するために用る。このように、支持体に作製した孔壁により径方向に、環状部分及び貫通したディスク型部品により軸方向に回転手段126、126’を保持する。
【0028】
図3に示された回転手段126、126’は、硬性環状部分126a、中心部分126b及び弾性アーム126dを含むディスク形状をとる。アーム126dは、実質的にらせん状に巻かれ、中心部分126bを環状部分126aに接続する。好ましくは、回転手段126、126’は、3本のアーム126dを有する。上部軸受102の回転手段126’を上記上部軸受102の環状部分127に取り付ける。下部軸受101の回転手段126を支持体103の孔に挿入された環状部分124に取り付ける。
【0029】
本発明によれば、回転手段126、126’の中心部分は、インサート1260を挿入する凹部126eを有するのが有利である。アーバの軸シャンクを挿入する孔1261を備えるように、このインサート1260を用いる。この構造により、硬性環状部分126a、中心部分126b、及び第一材料で作製した弾性アーム126d、及び第二材料で作製したインサート1260を含むディスク形状の回転手段126、126’を得ることができる。このように、インサート1260の有底円筒孔1261におけるピボット122と、支持体103の孔における軸シャンク121とのかみ合いにより、ホイールを枢動可能に取り付ける。
【0030】
この構造によって、回転手段126、126’のための特定の材料、すなわち減衰機能に適した材料、及びインサートのための特定の材料、すなわち低摩擦係数を有する回転機能に適当な材料を使用することができる。
【0031】
本発明によれば、回転手段126、126’に用いる第一材料は金属材料であり、インサート1260に用いる第二材料はプラスチックなどの合成材料である。このプラスチック材料は、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィドを含む群から選択されるポリマーでよい。
【0032】
弾性手段、すなわち回転手段126、126’に金属材料を用いることにより、ヤング率が速度で変化しない弾性手段を得ることができる。その結果、ピボットと対向する回転システムの弾性手段の抵抗は増えず、ピボット及び軸受間の力が安定したままである。
【0033】
さらに、金属はプラスチック材料よりも高いヤング率を有する(例えば、フィノックス(コバルトCo+クロムCr+ニッケルNi+モリブデンMo)のヤング率は203GPa、チタン114GPa、プレキシグラス2.38GPa、ポリアミド3〜5GPaである)。このヤング率値の相違は、金属の変形にはより高い応力を加える必要があることを意味する。このように、ピボットに同じ応力をかけると、金属の回転手段126、126’はプラスチックの回転手段126、126’よりも移動しない。また、金属はポリマーには適合しない信頼性の高い組立方法、特に圧入(有意なクリープがない)、溶接、またははんだ付け(温度)を可能にする。
【0034】
この材料選択の別の利点は、より有利な材料を回転機能に使用できるようにすることである。さらに、一金属部品の別の金属部品との摩擦は、ピボットの発熱と急速な摩耗を引き起こすため、発熱を低減する潤滑が必要である。
【0035】
プラスチックのインサート1260を用いると、金属ピボットとの摩擦は少ない。さらに、自己潤滑性プラスチックがある。こうしたプラスチックは特に有利な摩擦関連特性を有することが知られており、油を用いた追加の潤滑が不要となる。
【0036】
変形体において、インサート1260のプラスチック材料は充填されたポリマーである。「充填剤」という総称は、ポリマー基材に加えた場合に、その機械的、電気的または熱的性質、あるいはその外観を大幅に修飾することができる任意の不活性、鉱物または植物性物質を意味する。
【0037】
軸方向の衝撃の場合には、ホイール105は受けた加速に比例した力を受け、ピボット122がこの力を軸受に伝達する。この力の効果は、軸シャンク121によって、ホイールのアーバ120が孔1261の壁に支えられるまで、回転手段126、126’の弾性アーム126dを変形させることである。このような場合、その後ホイールは、停止部材として作用する支持体127、124に接触するアーバ120により停止する。アーバ120の寸法がピボット122よりはるかに大きいため、停止部材に対する衝突で生成されたエネルギーがアーバ120に伝達され、ピボット122の損傷を防ぐ。
【0038】
好ましくは、加速度500gに達するとすぐに、軸シャンク121が環状部分に接触するように、弾性アーム126dの大きさを決める。
【0039】
好ましくは、回転手段126、126’を3本のベントアーム126dで形成し、それぞれ環状部分126a及び中心部分126bへの接続点を120度の角度でずらす。異なる数のアーム、または異なる形状を用いて弾性機能を確保できることは明らかである。
【0040】
軸シャンクの末端を挿入できるように、インサート1260が円錐孔1261を含むこともでき、時計の異なる位置間の振幅差を最小まで低減する。欧州特許第2142965号で知られる、この円錐孔1261は最初の直線部分または長方形部分(すなわち、直線または長方形の断面)、続いて台形部分(すなわち、台形の断面)を有する開口部からなる。ピボット122の丸先端の大きさは、その曲面が台形断面部分の傾斜端に接触できるように決める。
【0041】
また、本発明は、図4及び図5に示す本発明の変形体において、このような衝撃吸収軸受100を取り付ける方法に関する。本方法は、回転手段126、126’及びインサート1260を別々に作ることにある。
【0042】
その後、ピボット122を有する2つの軸シャンク端121で、アーバ120上にインサート1260を置く。インサート1260をこのように配置することによりピボット122を保護し、ピボット122が衝撃力を受けないようにする。
【0043】
最後に、このシステムを組み立てる。例えば、回転手段126、126’を支持体103に取り付ける。その後、アーバ120を下部軸受101及び上部軸受102間に取り付ける。これを達成するため、ピボットを受け入れることを意図した回転手段126、126’の凹部126eに、ピボット122に取り付けた各インサート1260を強制的に挿入するように、アーバ120を操作する。
【0044】
要するに、本方法は:
a)支持体102、102、及び凹部126eを含む回転手段126、126’を得た後、支持体102、103のハウジング内に回転手段126、126’を置くことと、
b)アーバ120、及び前記ピボット122を挿入するための孔1261を含むインサート1260を得ることと、
c)アーバピボット122をインサート1260内に挿入するように、アーバ120上にインサート1260を置くことと、
d)アーバ120上に取り付けたインサート1260が凹部126eに入り込むように、アーバ120を操作することにより衝撃吸収軸受を取り付けることと、にある。
【0045】
変形体においては、インサート1260をアーバ120上に直接作製する。これを達成するため、アーバ120のピボット122をインサート1260を製造するために用いる金型に置く。その後、インサート1260に使用する合成材料を、インサート1260形成用金型に注入する。インサート1260及びアーバ120のピボット122間の完全な協働を確保するため、この変形体は有利である。したがって、本方法は:
A)支持体102、103、及び凹部126eを含む回転手段126、126’を得た後、支持体102、103のハウジング内に回転手段126、126’を置くことと、
B)アーバ120を得、インサート1260を形成する材料でピボット122をオーバーモールドすることと、
C)アーバ120上のインサート1260が凹部126eに入り込むように、アーバ120を操作することにより衝撃吸収軸受を取り付けることと、にある。
【0046】
付属の請求項により定義された本発明の範囲を逸脱しない限り、当業者に明らかな各種変更及び/または改良及び/または組み合わせを、上述した本発明の各種実施形態に対して行ってもよいことは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】