(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
接着促進性基及び金属リガンドを含む接着促進性付加体、並びに、この接着促進性付加体を含む組成物、例えば、航空宇宙用途に有用なシーラント組成物が、開示される。当該接着促進性付加体は、接着促進性添加物として、又はポリマー組成物中の共重合可能な反応物質として有用である。
金属キレート化剤が、ビス(スルホニル)アルカノール、キノン、アセチルアセトナート、ヒドロキシピリジノン、又はこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項4に記載の接着促進性付加体。
金属リガンドが、アルミニウム、Al(III)、酸化アルミニウム、チタン、酸化チタン、陽極酸化されたアルミニウム、Alodine(登録商標)、又はこれらのいずれかの組み合わせと共に、配位錯体を形成可能な基を含む、請求項1に記載の接着促進性付加体。
金属リガンドが、アルミニウム酸化物又はAl(III)リガンドを含み、かつ、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、5−ニトロサリチラート、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−ピリジノン、2−2’−ジヒドロキシアゾベンゼン、8−ヒドロキシキノリン、オキシラート、マロナート、シトラート、イニモ二酢酸(inimodiacetic acid)、ピコリン酸、マルトール、コウジ酸、N、N’−二酢酸(EDTA)、N−(2−ヒドロキシ)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン−N、N’−ビス(2−ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)及びN、N’−ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N、N’−二酢酸(HBED)、アセトアセタート、キノン、並びにこれらのいずれかの組合せから選択される、請求項1に記載の接着促進性付加体。
金属リガンドが、以下の式(12a)、式(12b)、式(12c)、式(12d)、式(12e)、及びこれらのいずれかの組合せから選択される構造を含む、請求項1に記載の接着促進性付加体:
−X−(CH2)n−CH(−OH)− (12a)
−X−(CH2)n−CH(−OH)−(CH2)n−X− (12b)
−CH(−OH)−(CH2)n−X−(CH2)n−CH(−OH)− (12c)
−CH(−OH)−R5−CH(−OH)− (12d)
−C(O)−R5−C(O)− (12e)
(式中、各Xは、独立に、−C(O)−及び−S(O)2−から選択され、nは、1〜3の整数であり、R5は、C1−4アルカンジイルである。)。
硫黄含有プレポリマーが、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、及びこれらのいずれかの組み合わせから選択されるチオール末端硫黄含有プレポリマーを含む、請求項29に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これから、組成物及び方法の特定の実施形態に言及する。開示する実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。逆に、特許請求の範囲は、すべての代替形態、変更形態及び等価形態を包含することを意図するものである。
【0014】
詳細な説明
定義
以下の説明のために、本開示により提供される実施形態は、明白な反対する指定がある場合を除き、様々な代替的な変形形態及びステップの順序を想定してもよいことが理解されるべきである。さらに、諸例におけるもの、又はその他の指示がある場合を除き、例えば、明細書及び特許請求の範囲で使用する成分の量を表すすべての数は、すべての場合において用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記述する数的パラメーターは、得られる所望の特性に応じて変動しうる近似値である。少なくとも、及び特許請求の範囲への均等論の適用を限定する試みとしてではなく、それぞれの数的パラメーターは、少なくとも、報告された有効数字の桁数を踏まえて、且つ通常の丸め法を適用することによって解釈されるべきである。
【0015】
本開示により提供される広範囲の実施形態を示す数的な範囲及びパラメーターは、近似値であるが、具体例に記述する数値は、できる限り正確に報告される。しかし、いかなる数値も、それらの各試験測定値で見られる標準偏差から必然的に生じるある程度の誤差を本来含む。
【0016】
また、本明細書に示す任意の数的範囲は、それに含まれるすべての部分範囲を含むことを意図するものであると理解されるべきである。例えば、「1〜10」という範囲は、示した約1という最小値から、示した約10という最大値の間の(及びそれを含む)、すなわち、約1以上の最小値から約10以下までの最大値を有する、すべての部分範囲を含むことを意図するものである。また、本出願において、「及び/又は」は場合により明示的に使用しうるが、「又は」の使用は、特に別段の断りがない限り、「及び/又は」を意味する。
【0017】
2つの文字又は記号の間にないダッシュ「−」は、置換基の結合点、又は2個の原子間の結合を示すために使用される。例えば、−CONH
2は、炭素原子を介して別の化学的部分に結合する。
【0018】
「アルカンジイル」は、例えば、1〜18個の炭素原子(C
1〜18)、1〜14個の炭素原子(C
1〜14)、1〜6個の炭素原子(C
1〜6)、1〜4個の炭素原子(C
1〜4)、又は1〜3個の炭化水素原子(C
1〜3)を有する、飽和型の分枝又は直鎖状非環式炭化水素基のジラジカルを指す。分枝状アルカンジイルは、最低でも3個の炭素原子を有すると理解することができる。特定の実施形態において、アルカンジイルは、C
2〜14アルカンジイル
、C
2〜10アルカンジイル、C
2〜8アルカンジイル、C
2〜6アルカンジイル、C
2〜4アルカンジイル、特定の実施形態において、C
2〜3アルカンジイルである。アルカンジイル基の例としては、メタンジイル(−CH
2−)、エタン−1,2−ジイル(−CH
2CH
2−)、プロパン−1,3−ジイル及びイソプロパン−1,2−ジイル(例えば、−CH
2CH
2CH
2−及び−CH(CH
3)CH
2−)、ブタン−1,4−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ペンタン−1,5−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘキサン−1,6−ジイル(−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−)、ヘプタン−1,7−ジイル、オクタン−1,8−ジイル、ノナン−1,9−ジイル、デカン−1,10−ジイル、ドデカン−1,12−ジイルなどが挙げられる。
【0019】
「アルカンシクロアルカン」は、1つ又は複数のシクロアルキル及び/又はシクロアルカンジイル基並びに1つ又は複数のアルキル及び/又はアルカンジイル基を有する、飽和炭化水素基を指し、ここで、シクロアルキル、シクロアルカンジイル、アルキル及びアルカンジイルは、本明細書で定義したものである。特定の実施形態において、各シクロアルキル及び/又はシクロアルカンジイル基(単数又は複数)は、C
3〜6、C
5〜6、特定の実施形態においてシクロヘキシル又はシクロヘキサンジイルである。特定の実施形態において、各アルキル及び/又はアルカンジイル基(単数又は複数)は、C
1〜6、C
1〜4、C
1〜3、特定の実施形態においてメチル、メタンジイル、エチル又はエタン−1,2−ジイルである。特定の実施形態において、アルカンシクロアルカン基は、C
4〜18アルカンシクロアルカン、C
4〜16アルカンシクロアルカン、C
4〜12アルカンシクロアルカン、C
4〜8アルカンシクロアルカン、C
6〜12アルカンシクロアルカン、C
6〜10アルカンシクロアルカン、特定の実施形態において、C
6〜9アルカンシクロアルカンである。アルカンシクロアルカン基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン、及びシクロヘキシルメタンが挙げられる。
【0020】
「アルカンシクロアルカンジイル」は、アルカンシクロアルカン基のジラジカルを指す。特定の実施形態において、アルカンシクロアルカンジイル基は、C
4〜18アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜16アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜8アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜12アルカンシクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、特定の実施形態においてC
6〜9アルカンシクロアルカンジイルである。アルカンシクロアルカンジイル基の例としては、1,1,3,3−テトラメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル、及びシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイルが挙げられる。
【0021】
「アルケニル」基は、基(R)
2C=C(R)
2、又は−RC=C(R)
2を指し、ここで、アルケニル基は、末端基であり、より大きな分子に結合する。そのような実施形態において、各Rは、例えば、水素及びC
1〜3アルキルから、選択することができる。特定の実施形態において、各Rは、水素であり、アルケニル基は、構造−CH=CH
2を有する。
【0022】
「アルコキシ」は、Rが本明細書で定義した通りのものである、−OR基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、及びn−ブトキシが挙げられる。特定の実施形態において、アルコキシ基は、C
1〜8アルコキシ、C
1〜6アルコキシ、C
1〜4アルコキシ、特定の実施形態においてC
1〜3アルコキシである。
【0023】
「アルキル」は、例えば、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する、飽和型の分枝又は直鎖状非環式炭化水素基のモノラジカルを指す。特定の実施形態において、アルキル基は、C
2〜6アルキル、C
2〜4アルキル、特定の実施形態においてC
2〜3アルキルである。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−デシル、テトラデシルなどが挙げられる。特定の実施形態において、アルキル基は、C
2〜6アルキル、C
2〜4アルキル、特定の実施形態においてC
2〜3アルキルである。分枝状アルキル基は、最低でも3個の炭素原子を有すると理解することができる。
【0024】
「シクロアルカンジイル」は、ジラジカルである飽和型単環式又は多環式炭化水素基を指す。特定の実施形態において、シクロアルカンジイル基は、C
3〜12シクロアルカンジイル、C
3〜8シクロアルカンジイル、C
3〜6シクロアルカンジイル、特定の実施形態においてC
5〜6シクロアルカンジイルである。シクロアルカンジイル基の例としては、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,3−ジイル、及びシクロヘキサン−1,2−ジイルが挙げられる。
【0025】
「シクロアルキル」は、飽和型単環式又は多環式炭化水素モノラジカル基を指す。特定の実施形態において、シクロアルキル基は、C
3〜12シクロアルキル、C
3〜8シクロアルキル、C
3〜6シクロアルキル、特定の実施形態においてC
5〜6シクロアルキルである。
【0026】
「ビス(スルホニル)アルカノール基」は、一般式(1)
−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2− (1)
[式中、各R
10は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されたC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される]
を有する基を指す。特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノール基は、構造−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−CH
2−CH
2−、特定の実施形態において、構造−R
9−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−R
9−を有し、そこでは、各R
9は、有機部分であり、各R
10は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されたC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される。
【0027】
特定の実施形態において、「ビス(スルホニル)アルカノール基」は、1価のビス(スルホニル)アルカノール基、又は2価のビス(スルホニル)アルカノール基でありうる。特定の実施形態において、1価のビス(スルホニル)アルカノールは、末端ビス(スルホニル)アルカノール基、例えば、「1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基」でありうる。末端ビス(スルホニル)アルカノール基は、ビス(スルホニル)アルカノールの反応に由来することができ、一般構造−R
9−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−R
8をもつ末端部分を有することができ、そこでは、R
9は、ビス(スルホニル)アルカノールと、ビス(スルホニル)アルカノールと反応する基を有する化合物との反応に由来する部分であり、各R
10は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されたC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される。特定の実施形態において、R
8は、−CH=CH
2である。特定の実施形態において、末端ビス(スルホニル)アルカノール基は、1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基、例えば、1−(エチレンスルホニル)−3−(ビニルスルホニル)プロパン−2−オール、すなわち、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH=CH
2である。特定の実施形態において、末端ビス(スルホニル)アルカノール基は、構造−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH=CH
2を有する。
【0028】
特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノール基はまた、例えば、その基が、米国出願第13/923,903号に開示されているポリチオエーテルなどのプレポリマーの主鎖に組み込まれる場合、2価でありうる。特定の実施形態において、2価のビス(スルホニル)アルカノール基は、一般構造−R
9−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−R
9−、特定の実施形態において、−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH
2−CH
2−、特定の実施形態において、−R
9−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−R
9−、特定の実施形態において、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH
2−を有することができ、ここで、R
9及びR
15は、本明細書で定義した通りのものである。ビス(スルホニル)アルカノールの特定の実施形態において、各R
9は、エタンジイル基である、及び/又は各R
15は、メタンジイルである。
【0029】
「ビス(スルホニル)アルカノール」は、一般式R
8−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−R
8[式中、各R
8は、末端反応性基を有する部分であり、各R
10は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されたC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される]の化合物を指す。特定の実施形態において、各R
8は、チオール基と反応する末端基、例えば、アルケニル基、エポキシ基、マイケル受容体基、又は、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基を含む。特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノールは、末端アルケニル基を含むビス(ビニルスルホニル)アルカノールであってもよい。特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノールは、R
8が末端アルケニル基を含む、ビス(ビニルスルホニル)アルカノール、例えば、式CH
2=CH−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH=CH
2を有する化合物であってもよい。特定の実施形態において、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールは、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールである。特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノールを含有する化合物は、ビス(スルホニル)アルカノールを、反応性末端官能基、及びビス(スルホニル)アルカノールの末端アルケニル基と反応する末端基(例えば、チオール基又はエポキシ基)を有する化合物と反応させることによって調製することができる。そのような実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノールは、構造R
9−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH
2−CH
2−R
9を有することができ、ここで、各R
9は、該化合物と、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールの末端アルケニル基との反応に由来する部分である。
【0030】
「ビス(スルホニル)アルカノール含有」ポリマー、プレポリマー又は付加体は、1つ又は複数の2価のビス(スルホニル)アルカノール基が、ポリマー、プレポリマー又は付加体の主鎖に組み込まれている、ポリマー、プレポリマー又は付加体を指す。
【0031】
2価のビス(スルホニル)アルカノール基は、例えば、式(2)のポリチオールモノマー又はプレポリマーと、式(3)のビス(スルホニル)アルカノールとを適切な比率で反応させることによって、プレポリマーに組み込むことができる:
R(−SH)
w (2)
R
8−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−R
8 (3)
[式中、Rは、有機部分であり、wは、少なくとも2の整数であり、各R
8は、チオール基と反応する末端基、例えば、アルケニル基及びエポキシ基、又は、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基を含む]。
特定の実施形態において、式(3)のビス(スルホニル)アルカノールは、式(4)
CH
2=CH−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−CH=CH
2 (4)
[式中、各R
10は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されたC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される]
の構造を有するビス(ビニルスルホニル)アルカノールであってもよい。特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノールは、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールであってもよい。或いは、ビス(スルホニル)アルカノール基は、式(5)のチオールでキャップされたビス(スルホニル)アルカノールと、式(6)の反応物とを適切な比率で反応させることによって、プレポリマー主鎖に組み込むことができる:
HS−R−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−R−SH (5)
R
21−R
20−R
21 (6)
[式中、各R
20は、2価の部分であり、各R
10は、本明細書で定義した通りのものであり、各R
21は、チオール基と反応する末端基、例えば、アルケニル基、エポキシ基、又は求核置換として周知の脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素からなる基を含む]。
【0032】
式(2)及び式(3)の反応物、又は式(5)及び式(6)の反応物の適切な比率を選択することによって、1つ又は複数のビス(スルホニル)アルカノール基は、鎖セグメントとして、反応性基を有する末端の一部として、又はその両方として、プレポリマーに組み込むことができる。例えば、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールを使用して、プレポリマー鎖の主鎖に1つ若しくは複数の1,n−ビス(エチレンスルホニル)アルカノール基を導入し、1つ若しくは複数の末端1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール基を導入し、又はその両方を導入することができる。
【0033】
特定の実施形態において、ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールをチオールでキャップされたモノマー/ポリマーと反応させて、1,3−ビス(エチレンスルホニル)−2−プロパノール基をポリマー鎖に組み込むことができる。
【0034】
特定の実施形態において、ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールをチオールでキャップされたモノマー/ポリマーと反応させて、1−(エチレンスルホニル)−3−(ビニルスルホニル)−2−プロパノール末端基を得ることができ、ここで、末端アルケニル基は、よく認識されているマイケル受容体である。
【0035】
ビス(スルホニル)アルカノールとチオール基との反応に由来する部分は、チオール基と、チオール基と反応する末端基を有する部分との反応生成物を指す。チオール基と反応する末端基の例としては、エポキシ基、アルケニル基、マイケル受容体基、及び、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基が挙げられる。特定の実施形態において、ビス(スルホニル)アルカノールとチオール基との反応に由来する部分は、以下の構造、すなわち、−CH
2−CH
2−R−、−CH(−OH)−CH
2−R−、−CH
2−CH(−OH)−R−、又は−CH
2−CH
2−SO
2−R−を有し、ここで、Rは、共有結合、又はスルホニル基に結合する有機部分を指す。
【0036】
ビス(スルホニル)アルカノールとチオール基との反応に由来する部分はまた、チオール基と反応する末端基を含むR
8基とチオール基との反応に由来する、部分R
9を指す。
【0037】
特定の実施形態において、R
9は、ビス(スルホニル)アルカノールと、チオール基と反応する末端基及びビス(スルホニル)アルカノールと反応する基を有する化合物との反応に由来する。特定の実施形態において、R
9は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールと、チオール基と反応する末端基及びアルケニル基と反応する基を有する化合物との反応に由来する。そのような実施形態において、R
9は、以下の構造、すなわち、−CH
2−CH
2−R’−CH
2−CH
2−、−CH(−OH)−CH
2−R’−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH(−OH)−R’−CH
2−CH
2−、又は−CH
2−CH
2−SO
2−R’−CH
2−CH
2−を有することができ、ここで、R’は、ビス(エチレンスルホニル)アルカノールをキャップするのに使用される化合物と、官能基、例えば、アルケニル基、エポキシ基、マイケル受容体基、又は、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基との反応に由来する有機部分である。
【0038】
特定の実施形態において、R
9は、C
2〜10アルカンジイル、置換されたC
2〜10アルカンジイル、C
2〜10ヘテロアルカンジイル、置換されたC
2〜10ヘテロアルカンジイル、C
4〜14アルカンシクロアルカンジイル、置換されたC
4〜14アルカンシクロアルカンジイル、C
4〜14ヘテロアルカンシクロアルカンジイル、置換されたC
4〜14ヘテロアルカンシクロアルカンジイル、C
4〜14アルカンアレーンジイル、置換されたC
4〜14アルカンアレーンジイル、C
4〜14ヘテロアルカンアレーンジイル、及び置換されたC
4〜14ヘテロアルカンアレーンジイルから選択される。特定の実施形態において、R
9は、エタンジイルである。
【0039】
特定の実施形態において、R
9は、C
2〜10アルキル、置換されたC
2〜10アルキル、C
2〜10ヘテロアルキル、置換されたC
2〜10ヘテロアルキル、C
4〜14アルカンシクロアルキル、置換されたC
4〜14アルカンシクロアルキル、C
4〜14ヘテロアルカンシクロアルキル、置換されたC
4〜14ヘテロアルカンシクロアルキル、C
4〜14アルカンアリール、置換されたC
4〜14アルカンアリール、C
4〜14ヘテロアルカンアリール、及び置換されたC
4〜14ヘテロアルカンアリールから選択される。特定の実施形態において、R
8は、エチレン、すなわち、−CH=CH
2である。
【0040】
「アセチルアセトナート基」は、式(1)の構造
【化1】
を有する基を指す。特定の実施形態において、アセチルアセトナートは、アセチルアセトナート基及び1つ又は複数の反応性官能基を含む金属キレート剤を指す。
【0041】
「ヒドロキシピリジノン基」は、それぞれ式(8a)又は式(8b)
【化2】
(式中、Rは、アルキル基などの有機基である)
の構造を有する、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン及び3−ヒドロキシ−2−ピリジノンなどの基を含む。ヒドロキシピリジノン金属キレート剤は、ヒドロキシピリジノン基、及び1つ又は複数の反応性官能基、例えば、末端チオール基を含む。
【0042】
「キノン」は、二重結合の必要ないずれかの転位を伴う、偶数個の−CH=基の−C(=O)基への変換により芳香族化合物から誘導される、完全に共役した環状ジオン構造を有する化合物を指す。キノンの例としては、1,2−ベンゾキノン、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフタロキノン、及び9,10−アントラキノンが挙げられる。キノン基は、金属リガンドでありうる。
【0043】
「金属リガンド」(“metal ligand”)は、金属原子及び潜在的に他の原子に結合して配位錯体を形成するイオン又は分子を指す。金属と原子との間の結合は、一般に、金属への1つ又は複数の電子対の供与を含み、結合の性質は、共有結合性、イオン結合性、又は水素結合性でありうる。本開示により提供される金属リガンドは、酸化されていてもよい、航空宇宙機の表面、例えば、アルミニウム及びチタン表面に配位錯体を形成することができる。酸化されている表面の場合、金属リガンドは、Al(III)などの金属及び酸素原子と共に、配位錯体を形成することができる。配位錯体は、金属又は酸化されている金属の表面への接着を高めることができる。
【0044】
金属リガンドは、本開示により提供されるプレポリマーの主鎖に組み込まれてもよい。配位錯体を形成することができる部分に加えて、プレポリマー主鎖への組み込みのために、金属リガンドは、プレポリマーの副単位(subunit)の基と反応する少なくとも2つの基を含む、又は含むように誘導体化される。そのような反応性金属リガンドは、市販されているものでもよいし、当業者に公知の方法を使用して、適切な反応性置換基を含むように誘導体化されているものでもよい。
【0045】
「ヘテロアルカンジイル」は、1つ又は複数の炭素原子がヘテロ原子、例えば、N、O、S又はPに置きかえられているアルカンジイル基を指す。ヘテロアルカンジイルの特定の実施形態において、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0046】
「ヘテロシクロアルカンジイル」は、1つ又は複数の炭素原子がヘテロ原子、例えば、N、O、S又はPに置きかえられているシクロアルカンジイル基を指す。ヘテロシクロアルカンジイルの特定の実施形態において、ヘテロ原子は、N及びOから選択される。
【0047】
「マイケル受容体」は、電子求引基、例えば、ケトン、ニトロ、ハロ、ニトリル、カルボニル又はニトロ基に近接している、アルケニル基などの活性化アルケンを指す。マイケル受容体は、当技術分野において周知である。「マイケル受容体基」は、活性化アルケニル基及び電子求引基を指す。特定の実施形態において、マイケル受容体基は、ビニルケトン、ビニルスルホン、キノン、エナミン、ケチミン、アルジミン、オキサゾリジン、及びアクリラートから選択される。マイケル受容体の他の例は、Matherら,Prog.Polym.Sci.2006、31、487〜531に開示されているものであり、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、アクリルアミド、マレイミド、アルキルメタクリラート、シアノアクリラートを含む。他のマイケル受容体としては、ビニルケトン、α,β−不飽和アルデヒド、ビニルホスホナート、アクリロニトリル、ビニルピリジン、特定のアゾ化合物、β−ケトアセチレン、及びアセチレンエステルが挙げられる。特定の実施形態において、マイケル受容体基は、ビニルケトンに由来し、式−S(O)
2−C(R)
2=CH
2の構造(式中、各Rは、独立に、水素、フッ素及びC
1〜3アルキルから選択される)を有する。特定の実施形態において、各Rは、水素である。特定の実施形態において、マイケル受容体又はマイケル受容体基は、アクリラートを包含しない。「マイケル受容体化合物」は、少なくとも1つのマイケル受容体を含む化合物を指す。特定の実施形態において、マイケル受容体化合物は、ジビニルスルホンであり、マイケル受容体基は、ビニルスルホニル、例えば、−S(O)
2−CH
2=CH
2である。
【0048】
「マイケル受容体」は、少なくとも1つのアルケン/アルキン基が、1つ又は複数の電子求引基、例えば、カルボニル(−CO)、ニトロ(−NO
2)、ニトリル(−CN)、アルコキシカルボニル(−COOR)、ホスホナート(−PO(OR)
2)、トリフルオロメチル(−CF
3)、スルホニル(−SO
2−)、トリフルオロメタンスルホニル(−SO
2CF
3)、p−トルエンスルホニル(−SO
2−C
6H
4−CH
3)などに直接結合する、置換されているアルケン/アルキン化合物を指す。マイケル受容体として機能する化合物の種類は、ビニルケトン、キノン、ニトロアルケン、アクリロニトリル、アクリラート、メタクリラート、シアノアクリラート、アクリルアミド、マレイミド、ジアルキルビニルホスホナート、及びビニルスルホンである。マイケル受容体の他の例は、Matherら,Prog.Polym.Sci.2006、31、487〜531に開示されている。2つ以上のマイケル受容体基を有するマイケル受容体化合物も周知である。例としては、エチレングリコールジアクリラート及びジエチレングリコールジアクリラートなどのジアクリラート、エチレングリコールメタクリラート及びジエチレングリコールメタクリラートなどのジメタクリラート、N,N’−(1,3−フェニレン)ジマレイミド及び1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミドなどのビスマレイミド、ジビニルスルホン及び1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールなどのビニルスルホンなどが挙げられる。特定の実施形態において、マイケル受容体基は、式(9a)又は(9b):
−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2−CH=CH
2 (9a)
−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH=CH
2 (9b)
[式中、各R
15は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されているC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される]
の構造を有する。
【0049】
「マイケル受容体化合物」は、少なくとも1つの末端マイケル受容体基を含む化合物を指す。特定の実施形態において、マイケル受容体化合物は、ジビニルスルホンであり、マイケル受容体基は、ビニルスルホニル、すなわち、−S(O)
2−CH=CH
2である。特定の実施形態において、マイケル受容体化合物は、ビス(ビニルスルホニル)アルカノールであり、マイケル受容体基は、1−(エチレンスルホニル)−n−(ビニルスルホニル)アルカノール、すなわち、−CH
2−CH
2−S(O)
2−R
10−CH(−OH)−R
10−S(O)
2−CH=CH
2、特定の実施形態において、1−(エチレンスルホニル)−3−(ビニルスルホニル)プロパン−2−オール(−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−CH=CH
2)である。
【0050】
「ポリアルコキシシリル基」は、式(10):
−Si(−R
7)
p(−OR
7)
3−p (10)
(式中、pは、0、1及び2から選択され、各R
7は、独立に、C
1〜4アルキルから選択される)
の構造を有する基を指す。ポリアルコキシシリル基の特定の実施形態において、pは0であり、pは1であり、特定の実施形態において、pは2である。ポリアルコキシシリル基の特定の実施形態において、各R
7は、独立に、エチル及びメチルから選択される。ポリアルコキシシリル基の特定の実施形態において、各R
7は、エチルであり、特定の実施形態において、各R
7は、メチルである。ポリアルコキシシリル基の特定の実施形態において、ポリアルコキシシリル基は、−Si(−OCH
2CH
3)
3、−Si(−OCH
3)
3、−Si(−CH
3)(−OCH
3)
2、−Si(−CH
3)
2(−OCH
3)、−Si(−CH
3)(−OCH
2CH
3)
2、−Si(−CH
3)
2(−OCH
2CH
3)、−Si(−CH
2CH
3)(−OCH
3)、及び−Si(−CH
2CH
3)
2(−OCH
3)から選択される。
【0051】
「ポリアルコキシシラン」は、ポリアルコキシシリル基を含む化合物を指す。ポリアルコキシシリル基は、接着促進性基であり、したがって、ポリアルコキシシランは、接着促進剤である。特定の実施形態において、ポリアルコキシシランは、式R
11−P−R
12(式中、Pは、ポリアルコキシシランのコアであり、R
11は、ポリアルコキシシリル基を含み、R
12は、反応性官能基を含む)を有する。
【0052】
本明細書で用いる場合、「ポリマー」は、オリゴマー、ホモポリマー及びコポリマーを指す。別段の断りがない限り、分子量は、例えば、当分野で認識されているようにポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される、ポリマー物質の数平均分子量であり、「Mn」で表示する。用語「プレポリマー」は、硬化された時に硬化ポリマーを形成する、組成物のポリマー成分を指すためにも使用する。
【0053】
「置換されている」は、1つ又は複数の水素原子が、それぞれ独立に、同じ又は異なる置換基(単数又は複数)に置きかえられている基を指す。特定の実施形態において、置換基は、ハロゲン、−S(O)
2OH、−S(O)
2、−SH、−SR(ここで、Rは、C
1〜6アルキルである)、−COOH、−NO
2、−NR
2(ここで、各Rは、独立に、水素及びC
1〜3アルキルから選択される)、−CN、−C=O、C
1〜6アルキル、−CF
3、−OH、フェニル、C
2〜6ヘテロアルキル、C
5〜6ヘテロアリール、C
1〜6アルコキシ、並びに−COR(ここで、Rは、C
1〜6アルキルである)から選択される。特定の実施形態において、置換基は、−OH、−NH
2及びC
1〜3アルキルから選択される。
【0054】
これから、接着促進性付加体、プレポリマー、組成物及び方法の特定の実施形態に言及する。開示する実施形態は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。逆に、特許請求の範囲は、すべての代替形態、変更形態及び等価形態を包含することを意図するものである。
【0055】
接着促進性付加体
本開示により提供される接着促進性付加体は、接着促進性基及び金属リガンドを含む。
【0056】
金属表面への接着を促進する基は、当技術分野において周知である。接着を促進する基の例としては、ポリアルコキシシリル基、ホスホナート基、第一級及び第二級アミンを含めたアミン基、カルボン酸基、及びホスホン酸基が挙げられる。
【0057】
特定の実施形態において、接着促進性基は、構造−Si(R
4)
y1(OR
5)
y2(ここで、y1は、0、1及び2から選択され、y2は、1、2及び3から選択され、y1とy2の合計が3であり、各R
4は、独立に、C
1〜4アルキルから選択され、各R
5は、独立に、C
1〜4アルキルである)を有することができる、ポリアルコキシシリル基であってもよい。
【0058】
特定の実施形態において、接着促進性基は、各R
6が、独立に、C
1〜4アルキルから選択される、構造−P(=O)(OR
6)
2を有することができる、ホスホナート基であってもよい。特定の実施形態において、接着促進性基は、各R
6が水素である、構造−P(=O)(OR
6)
2を有するホスホン酸基であってもよい。
【0059】
特定の実施形態において、接着促進性基は、第一級アミン、特定の実施形態において第二級アミンであってもよい。
【0060】
特定の実施形態において、接着促進性基は、カルボン酸基であってもよい。
【0061】
典型的な航空宇宙機表面としては、例えば、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、Al(III)、Alodine(登録商標)、及びチタンが挙げられる。したがって、航空宇宙シーラント用途に使用するために、金属キレート剤が、アルミニウム、酸化アルミニウム、Alodine(登録商標)、チタン、及び酸化チタンと配位することが望ましい。したがって、特定の実施形態において、金属リガンドは、これらの航空宇宙機表面の1つ又は複数に配位錯体を形成することができる部分を含む。金属と配位錯体を形成することに加えて、他の遷移金属、又は酸素などの元素も、共有結合性、イオン結合性、又は水素結合性相互作用のいずれかによって、配位錯体に含められてもよい。他の表面に適用するために、適切な金属リガンドを選択することができる。
【0062】
金属リガンド、特に、アルミニウム(III)金属リガンドは、金属又は酸化金属、例えば、アルミニウム(III)と配位することができる、−OH、−PO
4、−SO
4、−COOH、−C=O、及び−NH
2基などの硬いルイス塩基を含む。アルミニウム(III)と多座配位錯体を形成するのに有効な、塩基性の供与基としては、脂肪族モノヒドロキシ酸アニオン、カテコラート、芳香族ヒドロキシ酸アニオン、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン、ヒドロキサマート、及び3−ヒドロキシ−2−ピリジノンが挙げられる。適切なアルミニウム(III)錯体は、負の酸素電子供与体をもつ、多座リガンドを有するものである。金属リガンドは、金属と共に多座配位錯体、例えば、二座配位錯体又は三座配位錯体を形成することができる。
【0063】
特定の実施形態において、金属リガンド官能基は、ビス(スルホニル)アルカノール、ベンゾキノン、ヒドロキシピリジノン及びアセチルアセトナートから選択される金属キレート剤に由来する。
【0064】
アルミニウム、酸化アルミニウム及び/又はAl(III)リガンドの例としては、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、5−ニトロサリチラート、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン、3−ヒドロキシ−2−ピリジノン、2,2’−ヒドロキシアゾベンゼン、8−ヒドロキシキノリン、オキシラート、マロナート、シトラート、イミノ二酢酸、ピコリン酸、マルトール、コウジ酸、N,N’−二酢酸(EDTA)、N−(2−ヒドロキシ)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシフェニル)酢酸(EDDHA)及びN,N’−ビス(ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸(HBED)、アセトアセタート、並びにキノンが挙げられる。他のアルミニウム及び酸化アルミニウムキレート剤は、例えば、Yokel、Coordination Chemistry Reviews 2002、228、97〜113、及びMartellら、Coordination Chemistry Reviews 1996、149、311〜328に開示されている。
【0065】
チタン又は酸化チタンリガンドの例としては、H
2O
2、アセトアセトナート(CH
2(COCH
3)
2)、EDTA、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA、(CH
2OCH
2CH
2N(CH
2COOH)
2)
2)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA、HOOCH
2N(CH
2CH
2N(CH
2COOH)
2)
2)、ニトリル三酢酸(NTA、N(CH
2COOH)
3)、サリチル酸、乳酸、アセチルアセトナート、トリエタノールアミン、及び前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0066】
特定の実施形態において、金属リガンドは、アルミニウム(III)に配位することができる少なくとも2つのヘテロ原子基を含む。特定の実施形態において、金属リガンドは、−OH、−PO
4、−P(O)
2−、−SO
4、−S(O)
2−、−COOH、−C=O、−NH
2、−NH−、及び前述のもののいずれかの組み合わせから選択される、少なくとも2つのヘテロ原子基を含む。
【0067】
米国出願第13/923,903号及び第13/923,941号において、Caiらは、航空宇宙機表面への硬化された組成物の表面接着を向上させるための、硫黄含有ポリマーと組み合わせたビス(スルホニル)アルカノール基を開示している。ビス(スルホニル)アルカノール基は、式(11a)又は式(11b)
−S(O)
2−R
15−CH(−OH)−R
15−S(O)
2− (11a)
−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2− (11b)
[式中、各R
15は、独立に、C
1〜3アルカンジイル及び置換されているC
1〜3アルカンジイル(ここで、1つ又は複数の置換基は−OHである)から選択される]
の構造を有することができる。
【0068】
特定の実施形態において、金属リガンドは、式(12a)、式(12b)、式(12c)、式(12d)、式(12e)及び前述のもののいずれかの組み合わせの構造:
−X−(CH
2)
n−CH(−OH)− (12a)
−X−(CH
2)
n−CH(−OH)−(CH
2)
n−X− (12b)
−CH(−OH)−(CH
2)
n−X−(CH
2)
n−CH(−OH)− (12c)
−CH(−OH)−R
5−CH(−OH)− (12d)
−C(O)−R
5−C(O)− (12e)
(式中、各Xは、独立に、−C(O)−及び−S(O
2)−から選択され、nは、1〜3の整数であり、R
5は、C
1〜4アルカンジイルである)
を含む。
【0069】
特定の実施形態において、金属リガンドは、ビス(スルホニル)アルカノール、ヒドロキシピリジノン、キノン、アセチルアセトナート、又は前述のもののいずれかの組み合わせを含む。
【0070】
本開示により提供される接着促進性付加体はまた、多官能化剤(polyfunctionalizing agent)と又はプレポリマーの官能基と反応する、反応性基を含有することもできる。例えば、反応性基は、多官能化剤の末端基と反応することができ、本明細書に開示する多価の接着促進性付加体、共重合性の接着促進性付加体又は共重合性の硫黄含有接着促進性付加体を調製するために使用することができる。他の実施形態において、反応性基は、多官能価硫黄含有プレポリマー、例えば、ポリチオエーテル又はポリスルフィドの官能基と反応することができる、及び/又は硬化剤と反応することができる。どちらの場合でも、反応性基は、硬化されたポリマーの主鎖に接着促進性付加体をグラフトするために有用でありうる(それは組成物の接着強度を高めるのに有用である)。
【0071】
特定の実施形態において、接着促進性付加体は、接着促進性基及び官能基を含む接着促進剤、並びに、接着促進剤の官能基と反応する官能基及び金属リガンドを含む金属キレート剤を含む反応物の反応生成物を含む。例えば、特定の実施形態において、接着促進性付加体は、式R
11−P−R
12の接着促進剤と、式R
13−M−R
14の金属キレート剤(式中、R
11は、接着促進性基を含み、Pは、接着促進剤のコアを含み(コアを構成し)、Mは、金属リガンドを含み、R
12及びR
13は、相互反応性官能基を含み、R
14は、非反応性基、反応性官能基から選択される、又は存在しない)とを含む反応物の反応生成物を含む。
【0072】
特定の実施形態において、接着促進性付加体は、式(13)
R
11−P−R
12’−R
13’−M−R
14 (13)
[式中、
R
11は、接着促進性基を含み、
Pは、接着促進剤のコアを構成し、
Mは、金属リガンドを含み、
R
12’及びR
13’は、接着促進剤R
11−P−R
12及び金属キレート剤R
13−M−R
14(ここで、R
12及びR
13は、相互反応性官能基を含み、R
14は、非反応性基、反応性官能基から選択される、又は存在しない)のR
12及びR
13の反応に由来する部分を表す]
の構造を有する。接着促進剤と金属キレート剤とを反応させて接着促進性付加体を得るのに適した反応条件は、当業者によって決定することができる。
【0073】
特定の実施形態において、接着促進剤は、金属キレート剤の基と反応するアルケニル基、チオール基又はアミン基を含む。特定の実施形態において、接着促進剤は、チオール末端ポリアルコキシシランを含む。
【0074】
特定の実施形態において、接着促進剤は、メルカプトシラン、特定の実施形態において、アミノシランを含む。反応性アミン又はチオール基を有する、ポリアルコキシシリル含有接着促進剤の例としては、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A−1120)などのアミン官能性接着促進剤、及びγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Silquest(登録商標)A−189)などのチオール官能性接着促進剤が挙げられる。
【0075】
特定の実施形態において、接着促進剤は、式(14a)の構造、式(14b)の構造、式(14c)の構造、又は前述のもののいずれかの組み合わせ:
【化3】
(式中、各R
16は、独立に、C
1〜3アルキルから選択され、各R
17は、水素及びC
1〜3アルキルから選択される)
を有する。
【0076】
特定の実施形態において、金属キレート剤は、アルミニウム又は酸化アルミニウムキレート剤を含み、ビス(スルホニル)アルカノール、キノン、アセチルアセトナート、ヒドロキシピリジノン、及び前述のもののいずれかの組み合わせから選択される。アルミニウムキレート剤の具体例としては、2−(メチルアクリロイルオキシ)エチルアセトアセタート(2−MEAA)などのアセチルアセトナート、3−ヒドロキシ−4−ピリジノン及び3−ヒドロキシ−2−ピリジノンなどのヒドロキシピリジノン、並びに、ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールなどのビス(スルホニル)アルカノールが挙げられる。
【0077】
特定の実施形態において、チオール末端接着促進剤、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを、ビス(スルホニル)アルカノール、例えば、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールと反応させて、式(15)
【化4】
(式中、各R
16は、独立に、メチル及びエチルから選択される)
の接着促進性付加体を得ることができる。
【0078】
別の例として、アミン官能性の接着促進性付加体、例えば、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシ−シランを、アクリラート又はベンゾキノンを含有する金属キレート剤、例えば、2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセタート(2−MEAA)又はベンゾキノン(直接この構造を生成することはできない)と反応させて、式(16a)〜(16d)
【化5】
(式中、各R
16は、独立に、メチル及びエチルから選択される)
の構造を有する接着促進性付加体を得ることができる。
【0079】
これらの例から分かるように、接着促進剤及び金属キレート剤の相互反応性官能基は、接着促進剤又は金属キレート剤の末端官能基であってもよいし、コアを構成してもよい。したがって、特定の実施形態において、−P−及び−M−部分は、1つ又は複数の反応性官能基を含んでいてもよい。
【0080】
延長された接着促進性付加体
特定の実施形態において、接着促進性付加体は、1つ又は複数の反応性官能基を含む。これらの反応性官能基を、別の化合物と反応させて、延長された接着促進性付加体を形成することができる。例えば、特定の実施形態において、接着促進性付加体は、第1の反応性官能基を含む接着促進性付加体、例えば、式(13)の接着促進性付加体と、第1の反応性官能基と反応する第2の反応性官能基を有する化合物とを含む反応物の反応生成物を含む。
【0081】
特定の実施形態において、接着促進性付加体を、ジアミンなどのポリアミン、又はジチオールなどのポリチオールと反応させることができる。
【0082】
特定の実施形態において、接着促進性付加体と反応する官能基を有する化合物は、式(17)
R
31−R
30−R
31 (17)
[式中、
各R
31は、−NH
2、−SH又は−CH=CH
2などの、接着促進性付加体と反応する官能基から選択され、
各R
30は、独立に、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
6)
S−X−]
q−(CHR
6)
r−
(ここで、
各R
6は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NR−から選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)
から選択される]
の構造を有することができる。
【0083】
延長された接着促進性付加体の例としては、式(13)の接着促進性付加体と、3,3’−((オキシビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(オキシ))ビス(プロパン−1−アミン)、2,2’−チオジエタンチオール又は2,2’−オキシジエタンチオールである、式(17)の化合物との反応生成物が挙げられる。
【0084】
他の実施形態において、接着促進性付加体を、プレポリマーの反応性官能基と反応させて、接着促進性付加体官能性又は末端プレポリマーを得ることができる。特定の実施形態において、このプレポリマーは、ポリチオエーテルプレポリマーを含めた、本明細書に開示するもののいずれかのような硫黄含有プレポリマーであってもよい。
【0085】
多価の接着促進性付加体
特定の実施形態において、接着促進性付加体は、2つ以上の接着促進性付加体が多価の共通コアに結合する、多価のものである。
【0086】
多価の接着促進性付加体は、反応性基を有する接着促進性付加体を、多官能化剤の反応性基と反応させることによって形成されてもよい。
【0087】
したがって、特定の実施形態において、多価の接着促進性付加体は、接着促進性付加体の官能基と反応する末端官能基を含むz価の多官能化剤、並びに、接着促進性基、金属リガンド及び官能基を含む接着促進性付加体を含む反応物の反応生成物を含む。
【0088】
多官能化剤との反応に有用な反応性基を有する接着促進性付加体の一例としては、例えば、多官能化剤のチオール基と反応できる、末端アルケニル基を有する、式(13)の付加体のようなビス(スルホニル)アルカノール由来接着促進性付加体が挙げられる。
【0089】
そのような多価の接着促進性付加体の調製に使用するのに適した多官能化剤の例としては、三官能化剤、すなわち、zが3である化合物が挙げられる。適切な三官能化剤としては、例えば、参照により引用部分が本明細書に組み込まれる米国公開第2010/0010133号の段落[0102]〜[0105]に開示されている、トリアリルシアヌラート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌラート含有トリチオールが挙げられる。他の有用な多官能化剤としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、並びに、米国特許第4,366,307号、第4,609,762号及び第5,225,472号に記載されているポリチオールが挙げられる。多官能化剤の混合物も使用することができる。
【0090】
特定の実施形態において、多官能化剤は、構造B(−V)
z(ここで、Bは、z価の多官能化剤のコアを表し、zは、3〜6の整数であり、各−Vは、接着促進性付加体の官能基と反応する末端基を含む部分である)を有することができる。特定の実施形態において、zは3であり、zは4であり、zは5であり、特定の実施形態において、zは6である。特定の実施形態において、多官能価化合物は、三官能価である。特定の実施形態において、多官能価化合物は、Bが以下の構造
【化6】
を有し、各−Vが構造−O−CH
2−CH=CH
2を有する、トリアリルシアヌラート(TAC)である。
【0091】
特定の実施形態において、多官能価化合物B(−V)
zは、800ダルトン未満、600ダルトン未満、400ダルトン未満、特定の実施形態において200ダルトン未満の分子量を有する。zが少なくとも3である多官能価化合物B(−V)
zは、ポリマー化学において有用な多官能化剤のいずれかであってもよい。混合官能性を有する多官能化剤、すなわち、チオール基とビニル基の両方と反応する部分(典型的には別個の部分)を含むものも用いることができる。他の有用な多官能化剤としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、並びに、参照によりその全体がそれぞれ本明細書に組み込まれる米国特許第4,366,307号、第4,609,762号及び第5,225,472号に記載されているポリチオールが挙げられる。チオール基又はアリル基などの同じ末端基を有する多官能化剤の組み合わせも使用することができる。
【0092】
特定の実施形態において、多価の接着促進性付加体は、式(18):
B(−V’−R
14’−M−R
13’−R
12’−P−R
11)
z (18)
[式中、
R
11は、接着促進性基を含み、
Pは、接着促進剤のコアを構成し、
Mは、金属リガンドを含み、
R
12’及びR
13’は、接着促進剤R
11−P−R
12及び金属キレート剤R
13−M−R
14(ここで、R
12及びR
13は、相互反応性官能基を含み、R
14は、反応性官能基を含む)のR
12及びR
13の反応に由来する部分を表し、
R
14’は、R
14及びVの反応に由来する部分を表し、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)
z(ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各−Vは、R
14と反応する基を含む基である)
のコアを表し、
各−V’−は、−VとR
14との反応に由来する]
の構造を有する。
【0093】
特定の実施形態において、多価の接着促進性付加体は、−Vの官能基と反応するR
4などの官能基を含む、式(13)の接着促進性付加体を、多官能化剤B(−V)
zと反応させることによって形成されてもよい。
【0094】
特定の実施形態において、多価の接着促進性付加体は、式B(−V)
z(式中、Bは、z価の多官能化剤のコアを表し、zは、3〜6の整数であり、各−Vは、第1の反応性官能基を含む基である)の多官能化剤、並びに、接着促進性基、金属リガンド、及び多官能化剤の第1の反応性官能基と反応する第2の官能基を含む接着促進性付加体を含む反応物の反応生成物を含む。
【0095】
接着促進性付加体と多官能化剤との比率を調整して、ある範囲の官能価を与えることができる。
【0096】
多価の硫黄含有接着促進性付加体
特定の実施形態において、接着促進性付加体は、式(19):
B(−V’−S−R
1−S−R
14’−M−R
13’−R
12’−P−R
11)
z (19)
[式中、
zは、1〜6の整数であり、
各R
1は、独立に、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−
(ここで、
各R
3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NR−から選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)
から選択され、
R
11は、接着促進性基を含み、
Pは、接着促進剤のコアを含み、
Mは、金属リガンドを含み、
R
12’及びR
13’は、接着促進剤R
11−P−R
12及び金属キレート剤R
13−M−R
14(ここで、R
12及びR
13は、相互反応性官能基を含み、R
14は、反応性官能基を含む)のR
12及びR
13の反応に由来する部分を表し、
R
14’は、R
14及びチオール基の反応に由来する部分を表し、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)
z(ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各−Vは、チオール基と反応する基を含む基である)
のコアを表し、
各−V’−は、−Vとチオール基との反応に由来する]
の構造を有する多価の硫黄含有接着促進性付加体である。
【0097】
特定の実施形態において、多価の硫黄含有接着促進性付加体は、(a)チオール基と反応する末端基を有する多官能化剤と、(b)ジチオールと、(c)チオール基と反応する官能基を有する接着促進性付加体とを含む反応物の反応生成物を含む。反応の特定の実施形態において、反応生成物は、式(19)の1種又は複数の化合物を含む。多価の硫黄含有接着促進性付加体において、多官能化剤の手のそれぞれ又はいくつかは、接着促進性付加体において終端されうる。共重合性の接着促進性付加体においては、少なくとも1つの手が、コポリマー及び/又は硬化剤と反応する。
【0098】
特定の実施形態において、チオール基と反応する末端基を有する多官能価化合物は、構造B(−V)
z(ここで、zは、3〜6の整数であり、B及び−Vは、本明細書で定義した通りのものである)を有する。
【0099】
B(−V)
zの特定の実施形態において、各−Vは、末端アルケニル基を含む。
【0100】
特定の実施形態において、ジチオールは、式(20):
HS−R
1−SH (20)
[式中、
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−
(ここで、
各R
3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NR−から選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)
から選択される]
の構造を有する。
【0101】
特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である。
【0102】
式(20)の化合物の特定の実施形態において、Xは、−O−及び−S−から選択され、したがって、式(20)における−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−は、−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(CH
2)
r−、又は−[(−CH
2−)
p−S−]
q−(CH
2)
r−である。特定の実施形態において、pとrは、等しく、例えば、pとrは共に2である。
【0103】
特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0104】
特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態において、Xは、−O−であり、特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0105】
特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0106】
特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、各R
3は、水素であり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
3は、メチルである。
【0107】
式(20)の化合物の特定の実施形態において、各R
1は、同じであり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
1は、異なる。
【0108】
適切なジチオールの例としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。ポリチオールは、低級(例えば、C
1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数のペンダント基を有することができる。適切なアルキルペンダント基としては、例えば、C
1〜6線状アルキル、C
3〜6分枝状アルキル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0109】
適切なジチオールの他の例としては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(20)において、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−S−である);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(20)において、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pが2であり、qが2であり、rが2であり、Xが−O−である);及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(20)において、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−O−である)が挙げられる。炭素主鎖とペンダントアルキル基(例えば、メチル基)との両方にヘテロ原子を含むジチオールを使用することも可能である。そのような化合物としては、例えば、メチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SH並びにジメチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SH及びHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHが挙げられる。
【0110】
多価の硫黄含有接着促進性付加体は、表面接着を高める多価の接着促進性基にさらなる柔軟性を与えることができる。特定の実施形態において、多価の硫黄含有接着促進性付加体は、まず、多官能化剤を硫黄含有化合物と反応させて、硫黄含有基を有する多官能化剤を得ることによって調製することができる。次いで、この中間体を、硫黄含有基と反応する官能基を有する、式(13)の付加体のような接着促進性付加体と反応させることができる。硫黄含有多官能化剤、及び接着促進性付加体を、多官能化剤のすべて又は一部の手が接着促進性付加体で終端されるような比率で反応させることができる。
【0111】
共重合性の接着促進性付加体
硫黄含有ポリマー主鎖へ直接重合できる接着促進性付加体は、組成物、例えば、シーラント組成物の接着を向上させることができる。共重合性の接着促進性付加体は、表面接着をもたらす接着促進性基及び金属リガンド、並びに、コポリマー及び/又は硬化剤の末端基と反応する反応性基を含む。硬化反応の間、コポリマーの末端基及び共重合性の接着促進性付加体の反応性末端基の少なくともいくつかが、コポリマー及び/又は硬化剤と反応することができ、それにより、共重合性の接着促進性付加体をポリマーネットワークに直接結合させることができる。他の実施形態において、共重合性の接着促進性付加体は、コポリマーと反応する基を含むことができる。
【0112】
したがって、特定の実施形態において、共重合性の接着促進性付加体は、接着促進基、金属リガンド及び反応性官能基を含む接着促進性付加体、並びに、接着促進性付加体の官能基と反応する官能基を含むz価の多官能化剤を含む反応物の反応生成物を含み、ここで、共重合性の接着促進性付加体は、1〜z−1個の末端接着促進性付加体を含む。
【0113】
特定の実施形態において、共重合性の接着促進性付加体は、式(21):
B(−V
1’−R
14’−M−R
13’−R
12’−P−R
11)
z1(−V
2)
z−z1 (21)
[式中、
R
11は、接着促進性基を含み、
Pは、接着促進剤のコアを含み、
Mは、金属リガンドを含み、
R
12’及びR
13’は、接着促進剤R
11−P−R
12及び金属キレート剤R
13−M−R
14(ここで、R
12及びR
13は、相互反応性官能基を含み、R
14は、反応性官能基を含む)のR
12及びR
13の反応に由来する部分を表し、
Bは、式(22):
B(−V
1)
z1(−V
2)
z−z1 (22)
(式中、
zは、3〜6の整数であり、
z1は、1〜z−1の整数であり、
各−V
1は、第1の反応性官能基を含む基であり、
少なくとも1つの−V
2は、第2の反応性官能基を含む基である)
のz価の多官能化剤のコアを表し、
各R
14’は、R
14及び−V
1の反応に由来する部分を表し、
各−V
1’−は、−V
1とR
14との反応に由来する部分を表す]
の構造を有する。
【0114】
特定の実施形態において、共重合性の接着促進性付加体は、
式(22):
B(−V
1)
z1(−V
2)
z−z1 (22)
[式中、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)
z(ここで、
zは、3〜6の整数であり、
z1は、1〜z−1の整数である)
のコアを表し、
各−V
1は、第1の反応性官能基を含む基であり、
少なくとも1つの−V
2は、第2の反応性官能基を含む]
の多官能化剤、並びに、
接着促進性基、金属リガンド、及び第1の反応性官能基と反応する第3の官能基を含む接着促進性付加体と
を含む反応物の反応生成物を含む。
【0115】
特定の実施形態において、V
1及びV
2は、同じであり、特定の実施形態において、V
1及びV
2は、異なる。特定の実施形態において、V
1及びV
2は、同じ反応性官能基を含み、特定の実施形態において、V
1及びV
2は、異なる反応性官能基を含む。特定の実施形態において、各V
2は、硬化剤、プレポリマー、又はそれらの組み合わせと反応するように選択される。特定の実施形態において、各V
2は、組成物を形成するプレポリマーと同じ反応性基を含む。
【0116】
共重合性の接着促進性付加体は、硬化剤又はコポリマーと反応する少なくともいくつかの基、例えば、硬化剤及び/又はコポリマーと反応する2〜5つの基を含む。
【0117】
共重合性の硫黄含有接着促進性付加体
特定の実施形態において、共重合性の接着促進性付加体は、共重合性の硫黄含有接着促進性付加体でありうる。共重合性の硫黄含有接着促進性付加体は、米国出願第13/529,183号に開示されている。これらの共重合性の硫黄含有接着促進性付加体は、多官能コアに結合した硫黄含有基を含み、ここで、硫黄含有基の少なくともいくつかは、硬化剤又はプレポリマーと反応する基で終端され、その他の基は、接着促進性付加体で終端される。
【0118】
本開示の実施形態は、米国出願第13/529,183号に開示されているものと類似した共重合性接着促進剤を含み、ここで、本開示の接着促進性付加体が、米国出願第13/529,183号に開示されている接着促進剤の少なくとも一部又はすべてに取って代わる。
【0119】
したがって、特定の実施形態において、共重合性の硫黄含有接着促進性付加体は、ジチオール、チオール基と反応する官能基を含む多官能化剤、並びに、接着促進性基、金属リガンド、及びチオール基と反応する基を含む接着促進性付加体を含む反応物の反応生成物を含む。特定の実施形態において、ジチオール以外の化合物を使用して、硫黄含有基を付加体に導入することができる。
【0120】
特定の実施形態において、共重合性の硫黄含有接着促進性付加体は、式(23):
B(−V’−S−R
1−S−R
14’−M−R
13’−R
12’−P−R
11)
z1(−V’−S−R
1−SH)
z−z1 (23)
[式中、
各R
1は、独立に、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−
(ここで、
各R
3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NR−から選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)
から選択され、
R
11は、接着促進性基を含み、
Pは、接着促進剤のコアを含み、
Mは、金属リガンドを含み、
R
12’及びR
13’は、接着促進剤R
11−P−R
12及び金属キレート剤R
13−M−R
14(ここで、R
12及びR
13は、相互反応性官能基を含み、R
14は、反応性官能基を含む)のR
12及びR
13の反応に由来する部分を表し、
R
14’は、R
14及びチオール基の反応に由来する部分を表し、
Bは、z価の多官能化剤B(−V)
z(ここで、
zは、3〜6の整数であり、
z1は、1〜z−1の整数であり、
各−Vは、チオール基と反応する基を含む基である)
のコアを表し、
各−V’−は、−Vとチオール基との反応に由来する]
の構造を有する。
【0121】
特定の実施形態において、共重合性の硫黄含有接着促進性付加体は、ジチオール、チオール基と反応する官能基を含む多官能化剤、並びに、チオール基と反応する官能基を含む請求項1に記載の接着促進性付加体を含む反応物の反応生成物を含む。
【0122】
特定の実施形態において、本開示により提供される共重合性の接着促進性付加体を、例えば、チオール末端ポリチオエーテル及びチオール末端ポリスルフィドを含めた、チオール末端硫黄含有ポリマーなどの硫黄含有ポリマーの主鎖に共重合させることができる。
【0123】
特定の実施形態において、接着促進性付加体を、チオール末端ポリチオエーテルポリマーに共重合させることができる。チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示されている。特定の実施形態において、チオール官能性ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから入手可能である、Permapol(登録商標)P3.1Eを含む。
【0124】
特定の実施形態において、接着促進性付加体を、ポリスルフィドポリマーに共重合させることができる。特定の実施形態において、ポリスルフィドポリマーは、例えば、米国特許第4,623,711号に開示されている、ポリマーのいずれかでありうる。
【0125】
式(21)及び(23)の化合物は、少なくとも1つの末端接着促進性付加体、及び少なくとも2つの末端チオール基を含む。少なくとも1つの末端接着促進性付加体は、表面、及び/又は配合物の一部である他の構成要素への付着をもたらし、末端チオール基は、硬化剤と反応して、ポリマーネットワークを形成する。したがって、式(21)及び(23)の化合物において、z2は、少なくとも2であり、特定の実施形態において、z2は、2、3、4であり、特定の実施形態において、z2は、5である。式(21)及び(23)の特定の実施形態において、z1は、1、2、3であり、特定の実施形態において、z1は、4である。特定の実施形態において、式(21)及び(17)の化合物は、zが3であるような3価であり、特定の実施形態において、式(21)及び(23)の化合物は、zが4であるような4価であり、特定の実施形態において、zは、5であり、特定の実施形態において、zは、6である。
【0126】
式(21)及び(23)の特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0127】
式(21)及び(23)の特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態において、Xは、−O−であり、特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0128】
式(21)及び(23)の特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0129】
式(21)及び(23)の特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、各R
3は、水素であり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
3は、メチルである。
【0130】
式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、各R
1は、同じであり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
1は、異なる。
【0131】
式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、化合物Aにおけるチオール基と反応する末端基は、アルケニル基、イソシアナート基、エポキシ基、マイケル受容体基、及び、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基から選択される。式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、化合物Aにおけるチオール基と反応する末端基は、アルケニル基、イソシアナート基、エポキシ基、マイケル受容体基、特定の実施形態において、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基である。
【0132】
式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、接着を促進する末端基は、ポリアルコキシシリル、ホスホナート、アミン、カルボン酸、及びホスホン酸から選択される。式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、接着を促進する末端基は、ポリアルコキシシリル基、ホスホナート基、アミン基、カルボン酸基、特定の実施形態において、ホスホン酸基である。
【0133】
式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、金属リガンドは、本明細書に開示するもののいずれかから選択される。
【0134】
特定の実施形態において、−Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分である。例えば、特定の実施形態において、−Vは、−R
10−CH=CH
2(ここで、R
10は、C
1〜6アルカンジイル、置換されているC
1〜6アルカンジイル、C
1〜6ヘテロアルカンジイル、及び置換されているC
1〜6ヘテロアルカンジイルから選択される。しかし、−Vの構造は、限定されない。特定の実施形態において、各−Vは、同じであってもよく、特定の実施形態において、少なくとも1つの−Vは、異なってもよい。
【0135】
式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、各接着促進性付加体基は、同じであり、式(24a)、式(24b)、式(24c)及び式(24d):
−(CH
2)
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
10−Si(R
5)
y1(OR
6)
y2 (24a)
−(CH
2)
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
10−P(=O)(OR
8)
2 (24b)
−(CH
2)
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
10−NH
2 (24c)
−(CH
2)
2−S(O)
2−CH
2−CH(−OH)−CH
2−S(O)
2−(CH
2)
2−S−R
10−COOH (24d)
(式中、各R
10は、C
2〜8アルカンジイルであり、y1は、0、1、及び2から選択され、y2は、1、2、及び3から選択され、y1とy2の合計は3であり、各R
5及びR
6は、独立に、C
1〜4アルキルから選択され、R
8は、水素及びC
1〜4アルキルから選択される)
から選択される。
【0136】
式(21)及び(23)の化合物の特定の実施形態において、各−A’は、同じであり、式(24a)の部分、式(24b)の部分、式(24c)の部分、特定の実施形態において、式(24d)の部分である。
【0137】
式(21)及び式(23)の共重合性の硫黄含有接着促進性付加体において、Bは、z価の多官能価化合物B(−V)
Z(ここで、zは、3〜6の整数である)のコアを表す。特定の実施形態において、zは3であり、zは4であり、zは5であり、特定の実施形態において、zは6である。特定の実施形態において、多官能価化合物は、三官能価である。特定の実施形態において、多官能価化合物は、Bが以下の構造:
【化7】
を有し、各−Vが構造−O−CH
2−CH=CH
2を有する、トリアリルシアヌラート(TAC)である。
【0138】
特定の実施形態において、多官能価化合物B(−V)
zは、800ダルトン未満、600ダルトン未満、400ダルトン未満、特定の実施形態において200ダルトン未満の分子量を有する。zが少なくとも3である多官能価化合物B(−V)
zは、ポリマー化学において有用な多官能化剤のいずれかであってもよい。混合官能性を有する多官能化剤、すなわち、チオール基とビニル基の両方と反応する部分(典型的には別個の部分)を含むものも用いることができる。他の有用な多官能化剤としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、並びに、参照によりその全体がそれぞれ本明細書に組み込まれる米国特許第4,366,307号、米国特許第4,609,762号及び米国特許第5,225,472号に記載されているポリチオールが挙げられる。チオール基又はアリル基などの同じ末端基を有する多官能化剤の組み合わせも使用することができる。
【0139】
特定の実施形態において、各−Vは、チオール基と反応する末端基、例えば、アルケニル基、エポキシ基、マイケル受容体基、又は、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基を含む部分である。特定の実施形態において、各−Vは、同じであり、特定の実施形態において、少なくとも1つの−Vは、異なる。特定の実施形態において、−Vは、C
3〜8アルケン−1−イル及びC
3〜8ヘテロアルケン−1−イル(ここで、1つ又は複数のヘテロ基は、−O−及び−S−から選択される)から選択される。
【0140】
各−V’−は、部分−Vとチオール基との反応により形成される部分を表す。特定の実施形態において、−Vは、C
3〜8アルケン−1−イル及びC
3〜8ヘテロアルケン−1−イルから選択される末端アルケニル基を含み、V’は、C
3〜8アルカンジイル及びC
3〜8ヘテロアルカンジイルから選択される。
【0141】
特定の実施形態において、チオール基と反応する末端基を有する多官能化剤は、構造B(−V)
z(ここで、zは、3〜6の整数であり、B及び−Vは、本明細書で定義した通りのものである)を有する。
【0142】
B(−V)
zの特定の実施形態において、各−Vは、末端アルケニル基を含む。
【0143】
特定の実施形態において、式(23)の共重合性の硫黄含有接着促進剤は、(a)チオール基と反応する末端基を有する多官能化剤、(b)ジチオール、及び(c)チオール基と反応する官能基を有する接着促進性付加体の反応生成物を含む。反応の特定の実施形態において、反応生成物は、式(23)の1種又は複数の化合物を含む。多官能化剤及び接着促進性付加体は、例えば、本明細書に開示するもののいずれかであってもよく、ジチオールは、式(20)のジチオールであってもよい。
【0144】
特定の実施形態において、ジチオールは、式(20):
HS−R
1−SH (20)
[式中、
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−
(ここで、
各R
3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NR−から選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)
から選択される]
の構造を有する。
【0145】
特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である。
【0146】
式(20)の化合物の特定の実施形態において、Xは、−O−及び−S−から選択され、したがって、式(20)における−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−は、−[(−CH
2−)
p−O−]
q−(CH
2)
r−、又は−[(−CH
2−)
p−S−]
q−(CH
2)
r−である。特定の実施形態において、pとrは、等しく、例えば、pとrは共に2である。
【0147】
特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0148】
特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態において、Xは、−O−であり、特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0149】
特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0150】
特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、各R
3は、水素であり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
3は、メチルである。
【0151】
式(20)の化合物の特定の実施形態において、各R
1は、同じであり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
1は、異なる。
【0152】
適切なジチオールの例としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,3−ペンタンジチオール、1,5−ペンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,3−ジメルカプト−3−メチルブタン、ジペンテンジメルカプタン、エチルシクロヘキシルジチオール(ECHDT)、ジメルカプトジエチルスルフィド、メチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメチル置換ジメルカプトジエチルスルフィド、ジメルカプトジオキサオクタン、1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン、及び前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。ポリチオールは、低級(例えば、C
1〜6)アルキル基、低級アルコキシ基及びヒドロキシル基から選択される1つ又は複数のペンダント基を有することができる。適切なアルキルペンダント基としては、例えば、C
1〜6線状アルキル、C
3〜6分枝状アルキル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0153】
適切なジチオールの他の例としては、ジメルカプトジエチルスルフィド(DMDS)(式(20)において、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−S−である);ジメルカプトジオキサオクタン(DMDO)(式(20)において、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pが2であり、qが2であり、rが2であり、Xが−O−である);及び1,5−ジメルカプト−3−オキサペンタン(式(20)において、R
1が−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−であり、ここで、pが2であり、rが2であり、qが1であり、Xが−O−である)が挙げられる。炭素主鎖とペンダントアルキル基(例えば、メチル基)の両方にヘテロ原子を含むジチオールを使用することも可能である。そのような化合物としては、例えば、メチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CH
2CH
2−SH、HS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH
2−SH並びにジメチル置換DMDS、例えば、HS−CH
2CH(CH
3)−S−CHCH
3CH
2−SH及びHS−CH(CH
3)CH
2−S−CH
2CH(CH
3)−SHが挙げられる。
【0154】
共重合性の硫黄含有接着促進性付加体を形成するための反応の特定の実施形態では、多官能化剤とジチオールとを反応させて、チオール末端中間体を形成することができる。そのような場合、反応物のモル比は、適切に選択される。例えば、TACなどの三官能価化合物1モルを、DMDOなどのジチオール3モルと反応させて、三官能価のチオール末端中間体を得ることができる。その後、三官能価のチオール末端中間体を、チオール基と反応する基及び接着を促進する基を含む化合物と反応させることができる。チオール基と反応する基及び接着を促進する基を含む化合物に対する中間体のモル比は、硫黄含有接着促進性付加体の望ましい平均官能価を有する多官能価化合物を得るように選択することができる。例えば、約1という平均の接着促進剤官能性を得るために、約1モルの多官能価中間体を、チオール基と反応する末端基及び接着を促進する末端基を含む化合物約1モルと反応させる。
【0155】
本開示により提供される共重合性の硫黄含有接着促進性付加体において、化合物は、接着を促進する少なくとも1つの末端基、及び、硬化剤と反応できる少なくとも2つの末端基、例えば、末端チオール基を含み、それにより、ポリマーネットワークの主鎖に組み込まれる、例えば、共重合されることが意図される。特定の実施形態において、硫黄含有化合物は、1分子あたり平均1つの接着促進性基、特定の実施形態において、1分子あたり平均2つの接着促進性基を含む。
【0156】
特定の実施形態において、共重合性の硫黄含有接着促進性付加体は、トリアリルシアヌラート、DMDO、及び、本開示により提供される接着促進性付加体を含む反応物の反応生成物を含む。
【0157】
組成物
本開示により提供される接着促進性付加体は、ポリマー組成物、例えば、航空宇宙産業において有用なシーラントとして製剤化される組成物において使用されてもよい。
【0158】
例えば、式(13)、式(18)、式(19)、式(21)、式(23)又は前述の式のいずれかの組み合わせにより表される接着促進性付加体などの接着促進性付加体が、組成物中に接着促進性添加剤として使用されてもよい。特定の実施形態において、接着促進性付加体は、例えば、組成物の1重量%〜50重量%、5重量%〜30重量%、又は1重量%〜10重量%を占める。
【0159】
接着促進性付加体が、式(21)及び(23)により表されるもののように共重合性である他の実施形態において、共重合性の接着促進性付加体は、硬化されたポリマーに共重合性の接着促進性付加体を組み込むのに適した化学を有するコポリマー及び/又は硬化剤と共に含められる。
【0160】
組成物はまた、本開示により提供される1種又は複数の接着促進性付加体及び/又は共重合性の接着促進性付加体の組み合わせを含有することもできる。
【0161】
航空宇宙シーラント用途の場合、組成物は、硫黄含有ポリマーを含むことができる。特定の実施形態において、硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマー、チオール末端ポリスルフィドプレポリマー、チオール末端硫黄含有ポリホルマールプレポリマー、及び前述のもののいずれかの組み合わせから選択されるチオール末端硫黄含有プレポリマーを含む。特定の実施形態において、硫黄含有プレポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルプレポリマーを含む。
【0162】
特定の実施形態において、チオール末端硫黄含有ポリマーは、チオール末端ポリチオエーテルを含む。チオール末端ポリチオエーテルは、異なるポリチオエーテルの混合物を含むことができ、ポリチオエーテルは、同じ又は異なる官能価のチオール基を有することができる。特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、平均官能価が2〜6、2〜4、2〜3、特定の実施形態において、2.05〜2.8である。例えば、チオール末端ポリチオエーテルは、二官能価硫黄含有ポリマー、三官能価硫黄含有ポリマー、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0163】
チオール官能性ポリチオエーテルの例は、例えば、米国特許第6,172,179号に開示されている。特定の実施形態において、チオール官能性ポリチオエーテルは、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから入手可能である、Permapol(登録商標)P3.1Eを含む。
【0164】
特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、式(25):
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n− (25)
(式中、(i)各R
1は、独立に、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝状アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、複素環基、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基、及び、少なくとも1つの−CH
2−単位がメチル基で置換されている−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基から選択され、(ii)各R
2は、独立に、C
2〜10n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝状アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル基、複素環基、及び−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−基から選択され、(iii)各Xは、独立に、O、S、並びに、Rが水素及びメチル基から選択される−NR−基から選択され、(iv)mは、0〜50の範囲にあり、(v)nは、1〜60の整数であり、(vi)pは、2〜6の整数であり、(vii)qは、1〜5の整数であり、(viii)rは、2〜10の整数である)
を有する構造を含む主鎖(a)を含む。
【0165】
特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、式(26a)のチオール末端ポリチオエーテル、式(26b)のチオール末端ポリチオエーテル、及びそれらの組み合わせ:
HS−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n−SH (26a)
{HS−R
1−[−S−(CH
2)
p−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1]
n−S−V’−}
zB (26b)
[式中、
各R
1は、独立に、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−
(ここで、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数であり、
各R
3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、O、S、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NHR−から選択される)
から選択され、
各R
2は、独立に、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−(ここで、s、q、r、R
3及びXは、先に定義した通りのものである)から選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数であり、
Bは、z価の多官能価化合物B(−V)
z(ここで、
zは、3〜6の整数であり、
各−Vは、チオール基と反応する末端基を含む部分である)
のコアを表し、
各−V’−は、各−Vとチオール基との反応により形成される部分を表す]
から選択される。
【0166】
特定の実施形態において、式(26a)及び式(26b)におけるR
1は、−[(−CH
2−)
p−X−]
q−(CH
2)
r−(ここで、pは2であり、Xは−O−であり、qは2であり、rは2である)であり、R
2は、エタンジイルであり、mは、2であり、nは、9である。
【0167】
式(26a)及び式(26b)の特定の実施形態において、R
1は、C
2〜6アルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−から選択される。
【0168】
式(26a)及び式(26b)の特定の実施形態において、R
1は、−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−であり、特定の実施形態において、Xは、−O−であり、特定の実施形態において、Xは、−S−である。
【0169】
式(26a)及び式(26b)の特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−S−であり、特定の実施形態において、pは2であり、qは2であり、rは2であり、Xは−O−であり、特定の実施形態において、pは2であり、rは2であり、qは1であり、Xは−O−である。
【0170】
式(26a)及び式(26b)の特定の実施形態において、R
1が−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−である場合、各R
3は、水素であり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
3は、メチルである。
【0171】
式(26a)及び式(26b)の化合物の特定の実施形態において、各R
1は、同じであり、特定の実施形態において、少なくとも1つのR
1は、異なる。
【0172】
様々な方法を使用して、そのようなポリチオエーテルを調製することができる。本明細書に開示する組成物における使用に適している、適切なチオール官能性ポリチオエーテル及びそれらの製造方法の例は、参照により引用部分が本明細書に組み込まれる米国特許第6,172,179号の第2欄29行目から第4欄22行目、第6欄39行目から第10欄50行目、第11欄65行目から第12欄22行目に記載されている。そのようなチオール官能性ポリチオエーテルは、二官能価、すなわち、2つのチオール末端基を有する線状ポリマー、又は多官能価、すなわち、3つ以上のチオール末端基を有する分枝状ポリマーであってもよい。適切なチオール官能性ポリチオエーテルは、例えば、PRC−DeSoto International Inc.、Sylmar、CAから、Permapol(登録商標)P3.1Eとして市販されている。
【0173】
適切なチオール官能性ポリチオエーテルは、ジビニルエーテル又はジビニルエーテルの混合物を、過剰なジチオール又はジチオールの混合物と反応させることによって生成されてもよい。例えば、そのようなチオール官能性ポリチオエーテルの調製における使用に適したジチオールとしては、式(20)を有するもの、本明細書に開示する他のジチオール、又は本明細書に開示するジチオールのいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0174】
適切なジビニルエーテルとしては、例えば、式(27):
CH
2=CH−O−(−R
2−O−)
m−CH=CH
2 (27)
[ここで、式(27)におけるR
2は、C
2〜6n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝状アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、及び−[−(CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−(ここで、pは、2〜6の範囲の整数であり、qは、1〜5の整数であり、rは、2〜10の整数である)から選択される]を有するジビニルエーテルが挙げられる。式(27)のジビニルエーテルの特定の実施形態において、R
2は、C
2〜6n−アルカンジイル基、C
3〜6分枝状アルカンジイル基、C
6〜8シクロアルカンジイル基、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル基、特定の実施形態において、−[−(CH
2−)
p−O−]
q−(−CH
2−)
r−である。
【0175】
適切なジビニルエーテルとしては、例えば、少なくとも1つのオキシアルカンジイル基、例えば、1〜4個のオキシアルカンジイル基を有する化合物、すなわち、式(27)におけるmが1〜4の範囲の整数である化合物が挙げられる。特定の実施形態において、式(27)におけるmは、2〜4の範囲の整数である。1分子あたりのオキシアルカンジイル単位の数について非整数平均値を特徴とする、市販のジビニルエーテル混合物を用いることも可能である。したがって、式(27)におけるmは、0〜10.0、例えば、1.0〜10.0、1.0〜4.0、又は2.0〜4.0の範囲の有理数値をとることもできる。
【0176】
適切なジビニルエーテルの例としては、例えば、ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル(EG−DVE)(式(27)におけるR
2がエタンジイルであり、mが1である)、ブタンジオールジビニルエーテル(BD−DVE)(式(27)におけるR
2がブタンジイルであり、mが1である)、ヘキサンジオールジビニルエーテル(HD−DVE)(式(27)におけるR
2がヘキサンジイルであり、mが1である)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEG−DVE)(式(27)におけるR
2がエタンジイルであり、mが2である)、トリエチレングリコールジビニルエーテル(式(27)におけるR
2がエタンジイルであり、mが3である)、テトラエチレングリコールジビニルエーテル(式(27)におけるR
2がエタンジイルであり、mが4である)、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ポリテトラヒドロフリルジビニルエーテル;トリビニルエーテルモノマー、例えば、トリメチロールプロパントリビニルエーテル;四官能価エーテルモノマー、例えば、ペンタエリトリトールテトラビニルエーテル;及び2種以上のそのようなポリビニルエーテルモノマーの組み合わせが挙げられる。ポリビニルエーテルは、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基及びアミン基から選択される1つ又は複数のペンダント基を有することができる。
【0177】
特定の実施形態において、式(27)におけるR
2がC
3〜6分枝状アルカンジイルである、ジビニルエーテルは、ポリヒドロキシ化合物をアセチレンと反応させることによって調製されてもよい。このタイプのジビニルエーテルの例としては、式(27)におけるR
2がアルキル置換メタンジイル基、例えば、−CH(CH
3)−(例えば、Pluriol(登録商標)ブレンド、例えば、式(27)におけるR
2がエタンジイルであり、mが3.8であるPluriol(登録商標)E−200ジビニルエーテル(BASF Corp.、Parsippany、NJ)、又はアルキル置換エタンジイル(例えば、−CH
2CH(CH
3)−、例えば、DPE−2及びDPE−3(International Specialty Products、Wayne、NJ)を含めたDPEポリマーブレンド)である化合物群が挙げられる。
【0178】
他の有用なジビニルエーテルとしては、式(27)におけるR
2がポリテトラヒドロフリル(ポリTHF)又はポリオキシアルカンジイルである化合物群、例えば、平均で約3モノマー単位を有するものが挙げられる。
【0179】
式(27)で表される2つ以上のタイプのポリビニルエーテルモノマーが使用されてもよい。したがって、特定の実施形態において、式(20)の2種のジチオールと式(27)の1種のポリビニルエーテルモノマー、式(20)の1種のジチオールと式(27)の2種のポリビニルエーテルモノマー、式(20)の2種のジチオールと式(27)の2種のジビニルエーテルモノマー、及び一方又は両方の式で表される3種以上の化合物を使用して、様々なチオール官能性ポリチオエーテルを製造することができる。
【0180】
特定の実施形態において、ポリビニルエーテルモノマーは、チオール官能性ポリチオエーテルの調製に使用される反応物の20〜50モルパーセント未満、特定の実施形態において30〜50モルパーセント未満を占める。
【0181】
本開示により提供される特定の実施形態において、ジチオールとジビニルエーテルの相対量は、末端チオール基が得られるように選択される。したがって、式(20)のジチオール又は式(20)の少なくとも2種の異なるジチオールの混合物を、式(27)のジビニルエーテル又は式(27)の少なくとも2種の異なるジビニルエーテルの混合物と、チオール基対ビニル基のモル比が1:1超、例えば、1.1〜2.0:1.0となるような相対量で反応させる。
【0182】
ジチオール化合物とジビニルエーテル化合物との反応は、フリーラジカル触媒によって触媒されてもよい。適切なフリーラジカル触媒としては、例えば、アゾ化合物、例えば、アゾビスニトリル、例えば、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN);有機過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル及び過酸化t−ブチル;並びに無機過酸化物、例えば、過酸化水素が挙げられる。触媒は、フリーラジカル触媒、イオン触媒、又は紫外線照射であってもよい。特定の実施形態において、触媒は、酸性又は塩基性の化合物を含まず、分解時に酸性又は塩基性の化合物を生成しない。フリーラジカル触媒の例としては、Vazo(登録商標)−57(Du Pont)、Vazo(登録商標)−64(Du Pont)、Vazo(登録商標)−67(Du Pont)、V−70(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)及びV−65B(登録商標)(Wako Specialty Chemicals)などの、アゾ系触媒が挙げられる。他のフリーラジカル触媒の例は、過酸化t−ブチルなどのアルキル過酸化物である。反応は、カチオン光開始部分の存在下あるいは非存在下で、紫外光の照射により行われてもよい。
【0183】
本開示により提供されるチオール官能性ポリチオエーテルは、式(20)の少なくとも1種の化合物と、式(27)の少なくとも1種の化合物とを組み合わせて、その後、適切な触媒を添加し、30℃〜120℃、例えば、70℃〜90℃の温度で、2〜24時間、例えば、2〜6時間反応を行うことによって調製されてもよい。
【0184】
本明細書に開示するように、チオール末端ポリチオエーテルは、多官能価ポリチオエーテルを含むことができる、すなわち、2.0超の平均官能価を有することができる。適切な多官能価のチオール末端ポリチオエーテルとしては、例えば、式(28):
B(−A−SH)
z (28)
(式中、(i)Aは、式(28)の構造を含み、(ii)Bは、z価の多官能化剤残基を示し、(iii)zは、2.0超の平均値、特定の実施形態において2〜3の間の値、2〜4の間の値、3〜6の間の値を有し、特定の実施形態において、3〜6の整数である)
の構造を有するものが挙げられる。
【0185】
そのような多官能価のチオール官能性ポリマーの調製に使用するのに適した多官能化剤としては、三官能化剤、すなわち、zが3である化合物が挙げられる。適切な三官能化剤としては、例えば、参照により引用部分が本明細書に組み込まれる米国公開第2010/0010133号の段落[0102]〜[0105]に開示されている、トリアリルシアヌラート(TAC)、1,2,3−プロパントリチオール、イソシアヌラート含有トリチオール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。他の有用な多官能化剤としては、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、並びに、米国特許第4,366,307号、第4,609,762号及び第5,225,472号に記載されているポリチオールが挙げられる。多官能化剤の混合物も使用することができる。
【0186】
結果として、本開示により提供される実施形態での使用に適したチオール官能性ポリチオエーテルは、広い範囲の平均官能価を有することができる。例えば、三官能化剤は、2.05〜3.0、例えば、2.1〜2.6の平均官能価をもたらすことができる。より広い範囲の平均官能価は、四官能価又はより高い官能価の多官能化剤を使用して実現することができる。官能性はまた、当業者が理解する通り、化学量論などの要因にも影響されうる。
【0187】
2.0超の官能価を有するチオール官能性ポリチオエーテルは、米国公開第2010/0010133号に記載されている二官能価のチオール官能性ポリチオエーテルと同じように調製されてもよい。特定の実施形態において、ポリチオエーテルは、(i)本明細書に記述する1種又は複数のジチオールを、(ii)本明細書に記述する1種又は複数のジビニルエーテル、及び(iii)1種又は複数の多官能化剤と組み合わせることによって調製されてもよい。次いで、場合により適切な触媒の存在下で、混合物を反応させて、2.0超の官能価を有するチオール官能性ポリチオエーテルを得てもよい。
【0188】
したがって、特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルは、
(a)式(20):
HS−R
1−SH (20)
[式中、
R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10アルカンシクロアルカンジイル、C
5〜8ヘテロシクロアルカンジイル、及び−[−(CHR
3)
S−X−]
q−(CHR
3)
r−
(ここで、
各R
3は、独立に、水素及びメチルから選択され、
各Xは、独立に、−O−、−S−、−NH−、並びに、Rが水素及びメチルから選択される−NR−から選択され、
sは、2〜6の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
rは、2〜10の整数である)
から選択される]
のジチオール、並びに
(b)式(27):
CH
2=CH−O−(−R
2−O−)
m−CH=CH
2 (27)
[式中、
各R
2は、独立に、C
1〜10アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜14アルカンシクロアルカンジイル、及び−[(−CHR
3)
S−X−]
q−(−CHR
3−)
r−(ここで、s、q、R
3及びXは、先に定義した通りのものである)から選択され、
mは、0〜50の整数であり、
nは、1〜60の整数であり、
pは、2〜6の整数である]
のジビニルエーテル
を含む反応物の反応生成物を含む。特定の実施形態において、反応物は、(c)多官能価化合物、例えば、多官能価化合物B(−V)
z(ここで、B、−V及びzは、本明細書で定義した通りのものである)を含む。
【0189】
本開示により提供されるチオール末端ポリチオエーテルは、ある分子量分布を有するチオール末端ポリチオエーテルである。特定の実施形態において、組成物において有用なチオール末端ポリチオエーテルは、500ダルトン〜20,000ダルトン、特定の実施形態において2,000ダルトン〜5,000ダルトン、特定の実施形態において3,000ダルトン〜4,000ダルトンの範囲の数平均分子量を示すことができる。特定の実施形態において、本開示により提供される組成物において有用なチオール末端ポリチオエーテルは、1〜20、特定の実施形態において1〜5の範囲の多分散性(M
w/M
n;重量平均分子量/数平均分子量)を示す。チオール末端ポリチオエーテルの分子量分布を、ゲル浸透クロマトグラフィーによって特性評価することができる。
【0190】
硬化性組成物は、硬化剤をさらに含むことができる。組成物は、添加剤、触媒、充填剤、及び/又は硫黄含有プレポリマー(例えば、ポリチオエーテル、硫黄含有ポリホルマール、及び/又はポリスルフィドを含む)をさらに含むことができる。
【0191】
適切な硬化剤は、ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル及び任意選択の硫黄含有プレポリマーの末端基と反応するように選択される。
【0192】
ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はそれらのプレポリマーがチオール基で終端されている、特定の実施形態において、適切な硬化剤は、ポリエポキシドである。適切なポリエポキシドの例としては、例えば、ポリエポキシド樹脂、例えば、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Fのジグリシジルエーテル、Novolac(登録商標)系エポキシド、例えば、DEN(商標)438(Dow Chemical Company)、ある種のエポキシ化不飽和樹脂、及び前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。ポリエポキシドとは、2つ以上の反応性エポキシ基を有する化合物を指す。特定の実施形態において、エポキシ硬化剤は、EPON(商標)828(Momentive Specialty Chemicals,Inc)、DEN(商標)431(Dow Chemical Company)、及びそれらの組み合わせから選択される。チオール基と反応する有用な硬化剤の例としては、ジエポキシドが挙げられる。
【0193】
末端エポキシ基と反応する有用な硬化剤の他の例としては、アミン、例えば、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、イソホロンジアミン(IPDA)、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS);芳香族アミン、ケチミン;ポリアミン;ポリアミド;フェノール樹脂;無水物、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリタート、グリセロールトリストリメリタート、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物;ポリメルカプタン;ポリスルフィド;及び当業者に公知の他の硬化剤が挙げられる。
【0194】
特定の実施形態において、ポリエポキシ硬化剤は、エポキシ官能性ポリマーを含む。適切なエポキシ官能性ポリマーの例としては、米国特許出願第13/050,988号に開示されているエポキシ官能性硫黄含有ポリホルマールポリマー、及び米国特許第7,671,145号に開示されているエポキシ官能性ポリチオエーテルポリマーが挙げられる。概して、エポキシ官能性ポリマーは、硬化剤として使用される場合、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、特定の実施形態において約500ダルトン未満の分子量を有する。
【0195】
特定の実施形態において、ポリエポキシは、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、特定の実施形態において約3重量%〜約5重量%(ここで、重量%は、組成物の総固体重量に対するものである)を占めてもよい。
【0196】
ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はプレポリマーがチオール基で終端されている、特定の実施形態において、適切な硬化剤は、不飽和化合物、例えば、ポリオールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル、不飽和の合成又は天然樹脂化合物、トリアリルシアヌラート、及び、ポリチオエーテルなどの硫黄含有化合物のオレフィン末端誘導体である。
【0197】
アミン及び/又はヒドロキシル末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はそれらのプレポリマーが使用される場合のような、特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、イソシアナート硬化剤、例えば、ジイソシアナート及び/又はトリイソシアナート硬化剤を含むことができる。適切なイソシアナート硬化剤の例としては、トルエンジイソシアナート、及び前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。イソシアナート硬化剤は、市販されており、例えば、商品名Baydur(登録商標)(Bayer MaterialScience)、Desmodur(登録商標) (Bayer MaterialScience)、Solubond(登録商標)(DSM)、ECCO(ECCO)、Vestanat(登録商標)(Evonik)、Irodur(登録商標)(Huntsman)、Rhodocoat(商標)(Perstorp)及びVanchem(登録商標)(V.T.Vanderbilt)の製品を含む。特定の実施形態において、ポリイソシアナート硬化剤は、チオール基と反応し、マイケル受容体基とそれほど反応しないイソシアナート基を含む。アミン基と反応する有用な硬化剤の例としては、高分子ポリイソシアナートが挙げられ、その非限定的な例としては、ウレタン結合(−NH−C(O)−O−)、チオウレタン結合(−NH−C(O)−S−)、チオカルバマート結合(−NH−C(S)−O−)、ジチオウレタン結合(−NH−C(S)−S−)及び前述のもののいずれかの組み合わせから選択される主鎖結合を有するポリイソシアナートが挙げられる。
【0198】
特定の実施形態において、イソシアナート硬化剤は、イソシアナート官能性ポリマーを含む。適切なイソシアナート官能性ポリマーの例としては、米国特許出願第13/051,002号に開示されている、イソシアナート官能性硫黄含有ポリホルマールポリマーが挙げられる。概して、イソシアナート官能性ポリマーは、硬化剤として使用される場合、約2,000ダルトン未満、約1,500ダルトン未満、約1,000ダルトン未満、特定の実施形態において約500ダルトン未満の分子量を有する。
【0199】
そのような組成物において、イソシアナート硬化剤は、組成物の約0.5重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、約2重量%〜約8重量%、約2重量%〜約6重量%、特定の実施形態において約3重量%〜約5重量%(ここで、重量%は、組成物の総固体重量に対するものである)を占めてもよい。
【0200】
イソシアナート末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はそれらのプレポリマーが使用される場合のような、特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、アミン硬化剤を含む。イソシアナート基と反応する有用な硬化剤の例としては、本明細書に開示するものを含めた、ジアミン、ポリアミン、ポリチオール及びポリオールが挙げられる。
【0201】
マイケル受容体末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はそれらのプレポリマーが使用される場合のような、特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、モノマー性チオール、ポリチオール、ポリアミン及びブロック化アミンから選択される硬化剤を含む。
【0202】
本開示により提供される組成物において有用な硬化剤としては、ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルの末端基と反応する化合物、例えば、ヒドロキシル基、アルケニル基、エポキシ基、チオール基、アミン基又はイソシアナート基と反応する化合物が挙げられる。
【0203】
ヒドロキシル基と反応する有用な硬化剤の例としては、ジイソシアナート及びポリイソシアナートが挙げられ、それらの例は、本明細書に開示されている。
【0204】
アルケニル基と反応する有用な硬化剤の例としては、ジチオール及びポリチオールが挙げられ、それらの例は、本明細書に開示されている。
【0205】
本開示により提供される、ポリアルコキシシリル末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルは、水の存在下で加水分解することができ、縮合による自己重合が誘導される。ポリアルコキシシリル末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルと共に使用される触媒としては、有機チタン化合物、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、チタンジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセタート)、及びチタンジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトアセタート);有機スズ化合物である、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズビスアセチルアセトアセタート、及びオクチル酸スズ;ジカルボン酸金属塩、例えば、ジオクチル酸鉛;有機ジルコニウム化合物、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート;並びに有機アルミニウム化合物、例えば、アルミニウムトリアセチルアセトナートが挙げられる。湿気硬化に適した触媒の他の例としては、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトアセトナート)チタン、及びジブトキシビス(メチルアセトアセトナート)チタンが挙げられる。ポリアルコキシシリル末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルに対する硬化剤は、大気水分でありうるので、ポリアルコキシシリル末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルを含有する硬化性組成物に対する硬化剤を含む必要がないことを理解することができる。したがって、ポリアルコキシシリル末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテルと、ポリアルコキシシリル基に対する硬化剤とを含む組成物は、大気水分を指す。
【0206】
本開示により提供される組成物は、約90%〜約150%、約95%〜約125%、特定の実施形態において、約95%〜約105%の化学量論量の選択された硬化剤(単数又は複数)を含有することができる。
【0207】
追加の硫黄含有ポリマー
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル若しくはそれらのプレポリマー、又は本明細書に開示する反応のいずれか1つの反応生成物、又は前述のもののうちのいずれかの組み合わせに加えて、1種又は複数の追加の硫黄含有ポリマーを含む。硫黄含有ポリマーは、繰り返し単位中に少なくとも1つの硫黄原子を有する任意のポリマーである可能性があり、それらとしては、ポリマー性チオール、ポリチオール、チオエーテル、ポリチオエーテル、硫黄含有ポリホルマール、及びポリスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用する「チオール」は、例えば、チオグリセロールの場合と同様に、唯一の官能基として又は他の官能基、例えば、ヒドロキシル基と組み合わせて、チオール又はメルカプタン基、すなわち、「SH」基を含む化合物を指す。ポリチオールは、ジチオール又はより高い官能性のチオールなどの、2つ以上のSH基を有するこのような化合物を指す。そのような基は、典型的には末端及び/又はペンダントであり、それらが、他の官能基と反応する活性水素を有するようになっている。ポリチオールは、末端及び/又はペンダント硫黄(−SH)と非反応性硫黄原子(−S−又は−S−S−)の両方を含むことができる。したがって、ポリチオールという用語は、概して、ポリチオエーテル及びポリスルフィドを包含する。
【0208】
本開示により提供される組成物において有用な追加の硫黄含有ポリマーの例としては、例えば、米国特許第6,172,179号、第6,509,418号及び第7,009,032号に開示されているものが挙げられる。特定の実施形態において、本発明により提供される組成物は、式(29):
−R
1−[−S−(CH
2)
2−O−[−R
2−O−]
m−(CH
2)
2−S−R
1−]
n− (29)
(式中、R
1は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10シクロアルカンアルカンジイル、−[(−CH
2−)
s−X−]
q−(−CH
2−)
r−、及び、少なくとも1つの−CH
2−単位がメチル基で置換されている−[(−CH
2−)
s−X−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され、R
2は、C
2〜6アルカンジイル、C
6〜8シクロアルカンジイル、C
6〜10シクロアルカンアルカンジイル、及び−[(−CH
2−)
s−X−]
q−(−CH
2−)
r−から選択され、Xは、O、S、及び、R
5が水素及びメチルから選択される−NR
5−から選択され、mは、0〜10の整数であり、nは、1〜60の整数であり、pは、2〜6の整数であり、qは、1〜5の整数であり、rは、2〜10の整数である)
の構造を有するポリチオエーテルを含む。そのようなポリチオエーテルは、米国特許第6,172,179号の第2欄29行目から第4欄34行目に記載されている。
【0209】
1種又は複数の追加の硫黄含有ポリマーは、二官能価若しくは多官能価(例えば、3〜6つの末端基を有する)のもの、又はそれらの混合物であってもよい。
【0210】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、約10重量%〜約90重量%、約20重量%〜約80重量%、約30重量%〜約70重量%、特定の実施形態において約40重量%〜約60重量%(ここで、重量%は、組成物のすべての非揮発性成分の総重量(すなわち、乾燥重量)に対するものである)の本開示により提供される硫黄含有ポリマーを含む。
【0211】
本明細書で使用する場合、ポリスルフィドという用語は、ポリマー主鎖及び/又はポリマー鎖上のペンダント位に1つ又は複数のスルフィド結合、すなわち、−S
x−結合(ここで、xは、2〜4である)を含むポリマーを指す。特定の実施形態において、ポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄結合を有する。適切なポリスルフィドは、例えば、Akzo Nobel及び東レ・ファインケミカルズ株式会社から、商品名Thiokol−LP及びThioplast(登録商標)で市販されているものである。Thioplast(登録商標)製品は、例えば、1,100未満から8,000超の範囲の、広い範囲の分子量のものが入手可能であり、ここで、分子量は、平均分子量(1モルあたりのグラム数で表される)である。いくつかの場合において、ポリスルフィドは、1,000ダルトン〜4,000ダルトンの数平均分子量を有する。これらの製品の架橋密度も、使用される架橋剤の量に応じて変動する。これらの製品の−SH含有量、すなわち、チオール又はメルカプタン含有量も変動しうる。ポリスルフィドのメルカプタン含有量及び分子量は、ポリマーの硬化速度に影響を与えることができ、硬化速度は、分子量と共に増加する。
【0212】
航空宇宙シーラント用途において有用な硫黄含有ポリホルマールプレポリマーは、例えば、米国出願公開第2012/0234205号及び米国出願公開第2012/0238707号に開示されている。
【0213】
特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテル及びポリスルフィド、並びにそれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリチオエーテルを含み、特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、ポリスルフィドを含む。硫黄含有ポリマーは、異なるポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドの混合物を含むことができ、ポリチオエーテル及び/又はポリスルフィドは、同じ又は異なる官能価を有することができる。特定の実施形態において、硫黄含有ポリマーは、平均官能価が2〜6、2〜4、2〜3、特定の実施形態において2.05〜2.5である。例えば、硫黄含有ポリマーは、二官能価硫黄含有ポリマー、三官能価硫黄含有ポリマー、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0214】
硫黄含有ポリマー及び硫黄含有化合物の末端基と反応する硬化剤は、選択することができる。特定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマー及び硫黄含有化合物は、硬化剤と反応する同じ基を含む。例えば、特定の実施形態において、本開示により提供される硫黄含有ポリマーと硫黄含有化合物の両方が、反応性チオール基を含み、硬化剤は、反応性アルケニル基、エポキシ基、イソシアナート基、マイケル受容体基、又は、求核置換によく適した脱離基(例えば、−Cl、−Br、−I、−OSO
2CH
3(メシラート)、−OSO
2−C
6H
4−CH
3(トシラート)など)を有する飽和炭素を含む基を含む。
【0215】
特定の実施形態において、本開示により提供される共重合性の接着促進性付加体は、組成物の0.1重量%〜15重量%、組成物の総乾燥重量に対して5重量%未満、2重量%未満、特定の実施形態において1重量%未満の量で存在することができる。
【0216】
本開示により提供される組成物は、1種又は複数の触媒を含むことができる。触媒は、用いられる硬化化学に応じて選択することができる。特定の実施形態において、例えば、チオール末端ビス(スルホニル)アルカノール含有ポリチオエーテル又はプレポリマー、及びポリエポキシドを硬化する場合、触媒は、アミン触媒である。硬化触媒は、組成物の総重量に対して0.1〜5重量パーセントの量で存在することができる。適切な触媒の例としては、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(Air Products、Chemical Additives Division、Allentown、Pa.から市販されている、DABCO(登録商標))及びDMP−30(登録商標)(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含む反応促進剤組成物)が挙げられる。
【0217】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、1種又は2種以上の接着促進剤を含む。1種又は複数の追加の接着促進剤は、組成物の0.1重量%〜15重量%、組成物の総乾燥重量に対して、5重量%未満、2重量%未満、特定の実施形態において1重量%未満の量で存在することができる。接着促進剤の例としては、フェノール樹脂、例えば、Methylon(登録商標)フェノール樹脂、並びに有機シラン、例えば、エポキシ、メルカプト又はアミノ官能性シラン、例えば、Silquest(登録商標)A−187及びSilquest(登録商標)A−1100が挙げられる。他の有用な接着促進剤は、当技術分野において公知のものである。
【0218】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、金属基材への硬化されたシーラントの接着を向上させることができる、エチレン性不飽和シラン、例えば、硫黄含有エチレン性不飽和シランを含む。本明細書で使用する場合、硫黄含有エチレン性不飽和シランという用語は、分子内で、(i)少なくとも1つの硫黄(S)原子と、(ii)少なくとも1つ、いくつかの場合においては少なくとも2つのエチレン性不飽和炭素−炭素結合、例えば、炭素−炭素二重結合(C=C)と、(iii)少なくとも1つのシラン基、例えば、−Si(−R)
m(−OR)
3−m(ここで、各Rは、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール及びその他のものから選択され、mは、0、1及び2から選択される)とを含む分子化合物を指す。エチレン性不飽和シランの例は、参照によりその全体が組み込まれる米国公開第2012/0040104号に開示されている。
【0219】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、化学線を使用して硬化されてもよい。化学線を使用して硬化できる、ポリチオールを含む組成物の例は、米国公開第2012/0040104号に開示されている。そのような組成物は、本開示により提供される接着促進性付加体、及び1種又は複数の硫黄含有ポリマー、例えば、チオール末端硫黄含有ポリマーに加えて、例えば、式(27)のポリビニルエーテルを含めた、ポリビニルエーテルなどのポリエンを含むことができる。
【0220】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、エポキシ、イソシアナート及びそれらの組み合わせなどの、1種又は複数の硬化剤を含む。
【0221】
本開示により提供される組成物は、1種又は複数の触媒を含むことができる。
【0222】
本開示により提供される組成物は、1種又は複数の異なるタイプの充填剤を含むことができる。適切な充填剤としては、無機充填剤、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム(CaCO
3)、シリカ、ポリマー粉末、及び軽量充填剤を含めた、当技術分野において一般に知られているものが挙げられる。適切な軽量充填剤としては、例えば、米国特許第6,525,168号に記載されているものが挙げられる。特定の実施形態において、組成物は、組成物の総乾燥重量に対して5重量%〜60重量%、10重量%〜50重量%、特定の実施形態において20重量%〜40重量%の充填剤又は充填剤の組み合わせを含む。本開示により提供される組成物は、1種又は複数の着色剤、チキソトロープ剤、反応促進剤、難燃剤、接着促進剤、溶剤、マスキング剤、又は前述のもののいずれかの組み合わせをさらに含むことができる。理解できる通り、組成物において用いられる充填剤及び添加剤は、ポリマー成分、硬化剤及び/又は触媒とだけでなく、互いに適合するように選択することができる。
【0223】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は低密度充填剤粒子を含む。本明細書で使用する場合、低密度とは、そのような粒子の言及に使用する場合は、粒子が、0.7を超えない、特定の実施形態において、0.25を超えない、特定の実施形態において、0.1を超えない比重しか有しないことを意味する。適切な軽量充填剤粒子は、ミクロスフェアと非晶質粒子の2つに分類されることが多い。ミクロスフェアの比重は、0.1〜0.7の範囲であってもよく、ミクロスフェアとしては、例えば、ポリスチレンフォーム、ポリアクリラート及びポリオレフィンのミクロスフェア、並びに、5〜100ミクロンの範囲の粒子径及び0.25の比重を有するシリカミクロスフェア(Eccospheres(登録商標))が挙げられる。他の例としては、5〜300ミクロンの範囲の粒子径及び0.7の比重を有するアルミナ/シリカミクロスフェア(Fillite(登録商標))、約0.45〜約0.7の比重を有するケイ酸アルミニウムミクロスフェア(Z−Light(登録商標)、0.13の比重を有する、炭酸カルシウム被覆ポリビニリデンコポリマーミクロスフェア(Dualite(登録商標)6001AE)、並びに、約40μmの平均粒子径及び0.135g/ccの密度を有する、Dualite(登録商標)E135などの炭酸カルシウム被覆アクリロニトリルコポリマーミクロスフェア(Henkel)が挙げられる。組成物の比重を下げるのに適した充填剤としては、例えば、中空ミクロスフェア、例えば、Expancel(登録商標)ミクロスフェア(AkzoNobelから入手可能である)、又はDualite(登録商標)低密度ポリマーミクロスフェア(Henkelから入手可能である)が挙げられる。特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、薄いコーティングで被覆された外部表面を含む軽量充填剤粒子、例えば、参照によりその引用部分が本明細書に組み込まれる米国公開第2010/0041839号の段落[0016]〜[0052]に記載されているものを含む。
【0224】
特定の実施形態において、低密度充填剤は、組成物の2重量%未満、1.5重量%未満、1.0重量%未満、0.8重量%未満、0.75重量%未満、0.7重量%未満、特定の実施形態において0.5重量%未満(ここで、重量%は、組成物の総乾燥固体重量に対するものである)を占める。
【0225】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、組成物の比重を下げるのに有効な少なくとも1種の充填剤を含む。特定の実施形態において、組成物の比重は、0.8〜1、0.7〜0.9、0.75〜0.85、特定の実施形態において0.8である。特定の実施形態において、組成物の比重は、約0.9未満、約0.8未満、約0.75未満、約0.7未満、約0.65未満、約0.6未満、特定の実施形態において約0.55未満である。
【0226】
特定の実施形態において、チオール末端硫黄含有ポリマーの組み合わせを含めたチオール末端硫黄含有ポリマーは、組成物の約50重量%〜約90重量%、約60重量%〜約90重量%、約70重量%〜約90重量%、特定の実施形態において約80重量%〜約90重量%(ここで、重量%は、組成物の総乾燥固体重量に対するものである)を占める。
【0227】
特定の実施形態において、チオール末端ポリチオエーテルの組み合わせを含めたチオール末端ポリチオエーテルは、組成物の約50重量%〜約90重量%、約60重量%〜約90重量%、約70重量%〜約90重量%、特定の実施形態において約80重量%〜約90重量%(ここで、重量%は、組成物の総乾燥固体重量に対するものである)を占める。
【0228】
組成物はまた、所望により、任意の数の添加剤を含むことができる。適切な添加剤の例としては、可塑剤、顔料、界面活性剤、接着促進剤、チキソトロープ剤、難燃剤、マスキング剤、及び反応促進剤(1,4−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO(登録商標))を含めた、アミンなどの)、並びに前述のもののいずれかの組み合わせが挙げられる。添加剤は、使用される場合、例えば、約0重量%〜60重量%の範囲の量で、組成物に存在することができる。特定の実施形態において、添加剤は、約25重量%〜60重量%の範囲の量で、組成物に存在することができる。
【0229】
使用
本開示により提供される組成物は、例えば、シーラント、コーティング、封入剤、及び注封用組成物(potting composition)において使用されてもよい。シーラントは、湿気及び温度などの作業条件に耐え、水、燃料、並びに他の液体及び気体などの材料の伝播を少なくとも部分的に阻止する能力を有する膜を生成することができる組成物を含む。コーティング組成物は、例えば、基材の特性、例えば、外観、接着、濡れ性、耐食性、耐摩耗性、耐燃料性及び/又は耐摩擦性を向上させるために基材の表面に適用される被覆剤を含む。注封用組成物は、電子組立品において、衝撃及び振動への耐性を与える並びに湿気及び腐食性物質を排除するのに有用な、材料を含む。特定の実施形態において、本開示により提供されるシーラント組成物は、例えば、航空宇宙シーラントとして、及び燃料タンクのライニング材として有用である。
【0230】
特定の実施形態において、組成物、例えば、シーラントは、複液型組成物、例えば、2液型組成物として与えられてもよく、ここでは、1つのパッケージが、本開示により提供される1種又は複数のチオール末端ポリチオエーテルを含み、第2のパッケージが、本開示により提供される1種又は複数の多官能価硫黄含有エポキシを含む。添加剤及び/又は他の材料は、所望により又は必要に応じて、いずれかのパッケージに添加されてもよい。2つのパッケージは、使用前に組み合わされて、混合されてもよい。特定の実施形態において、1種又は複数の混合されたチオール末端ポリチオエーテル及びエポキシのポットライフは、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、特定の実施形態において2時間超であり、ここでは、ポットライフとは、混合組成物が、混合後、シーラントとしての使用に適したままの状態である期間を指す。
【0231】
本開示により提供される組成物(シーラントを含む)は、様々な基材のいずれかに適用されてもよい。組成物が適用されてもよい基材の例としては、陽極酸化処理、プライマー処理、有機被覆処理又はクロマート被覆処理されていてもよい、チタン、ステンレス鋼及びアルミニウムなどの金属;エポキシ;ウレタン;グラファイト;ガラス繊維複合材料;Kevlar(登録商標);アクリル樹脂;及びポリカーボナートが挙げられる。特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、基材上のコーティング、例えば、ポリウレタンコーティングに適用されてもよい。
【0232】
本開示により提供される組成物は、当業者に公知の任意の適切なコーティング法によって、基材の表面又は下層上に直接適用されてもよい。
【0233】
さらに、本開示により提供される組成物を利用して隙間(aperture)をシールするための方法が提供される。これらの方法は、例えば、本開示により提供される組成物を、隙間をシールするために表面に適用すること、及び組成物を硬化することを含む。特定の実施形態において、隙間をシールするための方法は、シールされた隙間を与えるために、本開示により提供されるシーラント組成物を隙間の規定表面に適用すること、及びシーラントを硬化することを含む。
【0234】
特定の実施形態において、組成物は、周囲条件下で硬化されてもよく、ここでは、周囲条件とは、20℃〜25℃の温度、及び大気湿度を指す。特定の実施形態において、組成物は、0℃〜100℃の温度及び0%の相対湿度から100%の相対湿度の湿度を包含する条件下で硬化されてもよい。特定の実施形態において、組成物は、より高い温度、少なくとも30℃、少なくとも40℃、特定の実施形態において、少なくとも50℃で硬化されてもよい。特定の実施形態において、組成物は、室温、例えば、25℃で硬化されてもよい。特定の実施形態において、組成物は、化学線、例えば、紫外線への曝露時に硬化されてもよい。また、理解される通り、これらの方法は、航空機及び航空宇宙機を含めた、航空宇宙機上の隙間をシールするために使用されてもよい。
【0235】
特定の実施形態において、組成物は、約200°F未満で、約2時間未満、約4時間未満、約6時間未満、約8時間未満、特定の実施形態において約10時間未満でタックフリー硬化(tack−free cure)を達成する。
【0236】
本開示の硬化性組成物を使用して有効なシールを形成する時間は、当業者が理解できる、並びに、適用可能な基準及び規格の要件により規定されている、いくつかの要因に左右されうる。概して、本開示の硬化性組成物は、混合及び表面への適用後、24時間〜30時間以内に接着強度を発現し、十分な接着強度の90%が、2日〜3日で発現する。概して、本開示の硬化された組成物の十分な接着強度及び他の特性は、混合及び表面への硬化性組成物の適用後、7日以内に十分に発現した状態になる。
【0237】
本明細書に開示する硬化された組成物、例えば、硬化されたシーラントは、航空宇宙用途での使用に許容される特性を示す。一般に、航空及び航空宇宙用途で使用されるシーラントは、以下の特性を示すことが望ましい。航空宇宙材料規格(AMS:Aerospace Material Specification)3265Bの試験規格に従って、JRFタイプI中に7日間浸漬され、3%NaCl溶液中に浸漬された後、乾燥条件下で決定される、AMS3265Bの基板上での20ポンド/リニアインチ(pli)超の剥離強度;300ポンド/平方インチ(psi)〜400psiの間の引張強度;50ポンド/リニアインチ(pli)超の引裂強度;250%〜300%の間の伸び;並びに40超のデュロメーターA硬度。航空及び航空宇宙用途に適した、これらの及び他の硬化されたシーラントの特性は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるAMS3265Bに開示されている。航空及び航空宇宙用途で使用される本開示の組成物は、硬化された場合、JRFタイプI中で、60℃(140°F)及び周囲圧力で1週間浸漬された後、25%以下の体積膨潤率を示すことも望ましい。他のシーラント用途には、他の特性、範囲、及び/又は閾値が適している可能性がある。
【0238】
したがって、特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、耐燃料性である。本明細書で使用する場合、用語「耐燃料性」は、組成物が、基材に適用され硬化された場合、ASTM D792(米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials))又はAMS3269(航空宇宙材料規格)に記載されている方法と同様の方法に従って、ジェット参照流体(JRF:Jet Reference Fluid)タイプI中で、140°F(60℃)及び周囲圧力で1週間浸漬された後、40%以下、いくつかの場合において25%以下、いくつかの場合において20%以下、さらに他の場合において10%以下の体積膨潤率を示す硬化された製品、例えば、シーラントをもたらすことができることを意味する。耐燃料性の決定に用いられる、ジェット参照流体(JRF)タイプIは、以下の組成、すなわち、トルエン:28±1体積%;シクロヘキサン(工業用):34±1体積%;イソオクタン:38±1体積%;及びtert−ジブチルジスルフィド:1±0.005体積%を有する(SAE(自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)から入手可能である、1989年7月1日に発行されたAMS2629、§3.1.1などを参照されたい)。
【0239】
特定の実施形態において、本明細書で提供される組成物は、AMS3279、§3.3.17.1、試験手順AS5127/1,§7.7に記載されている手順に従って測定された場合、少なくとも100%の引張伸び、及び少なくとも400psiの引張強度を示す硬化された製品、例えば、シーラントをもたらす。
【0240】
特定の実施形態において、組成物は、SAE AS5127/1の段落7.8に記載されている手順に従って測定された場合、200psi超、例えば、少なくとも220psi、少なくとも250psi、いくつかの場合において、少なくとも400psiのラップせん断強度を示す硬化された製品、例えば、シーラントをもたらす。
【0241】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物を含む硬化されたシーラントは、AMS3277に記載されている航空宇宙シーラントの要件を満たす、又は超える。
【0242】
本開示により提供される組成物でシールされる、航空宇宙機の隙間も含めた隙間も開示される。
【0243】
特定の実施形態において、本開示により提供される硬化されたシーラントは、室温で2日間、140°Fで1日間、及び200°Fで1日間硬化された場合、以下の特性、すなわち、49の乾燥硬度、428psiの引張強度、及び266%の伸びを示し、JRFタイプI中で7日後、36の硬度、312psiの引張強度、及び247%の伸びを示す。
【0244】
特定の実施形態において、本開示により提供される組成物は、10超、20超、30超、特定の実施形態において40超のショアA硬度(7日間の硬化後);10psi超、100psi超、200psi超、特定の実施形態において500psi超の引張強度;100%超、200%超、500%超、特定の実施形態において1,000%超の伸び;及びJRFタイプIへの曝露(7日間)後に20%未満の膨潤を示す。
【実施例】
【0245】
本開示により提供される実施形態は、以下の諸例を参照することによって、更に例証され、それにより、特定の接着促進性付加体及び接着促進性付加体を含む組成物の合成、特性及び使用を説明する。本開示の範囲を逸脱することなく、材料及び方法の両方について、多くの変更形態が実施され得ることは、当業者にとって明らかであろう。以下の諸例において、Permapol(登録商標)P3.1Eはチオール末端ポリマーであり、促進剤S−5304はエポキシ化合物であり、それらの両方はPRC−DeSoto、International社(Sylmar、CA)から市販されている。DABCO(登録商標)33−LVは、アミン触媒であり、Air Products and Chemicals社から市販されている。
【0246】
例1
Silquest(登録商標)A−1120及び2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセタート(2−MEAA)の接着促進性付加体
Silquest(登録商標)A−1120(1モル、222.36g)及びエタノールを、50mlの3口丸底フラスコに投入した。このフラスコを窒素でフラッシュし、添加漏斗及び温度計を装着した。2−(メタクリロイルオキシ)エチルアセトアセタート(2−MEAA、1モル、214.11g)及びエタノールを50mlの添加漏斗に投入した。1,8− ジアザビシクロウンデカ−7−エン(DBU)(0.027g;正規プラスチックピペットから1滴)をシラン中に添加した。この2−MEAA溶液を2.75時間に亘って滴下で添加し、混合物を3日間攪拌した。生成物を50%エタノール溶液として用いた。この反応を
図1に概説する。
【0247】
表1の組成を有するシーラント(シーラント1)を調製した。
【表1】
【0248】
Permapol(登録商標)P3.1E及びアミノシラン接着促進性付加体(0.4gの50%溶液)を混合カップ中で秤量し、30秒間ハウシルトミキサー内で混合した。CaCO
3を添加し、30秒間混合した。内容物を手動で混合し、次いで再度30秒間ハウシルトミキサーを用いて混合した。促進剤S−5304を添加し、手動で混合し、次いで再度30秒間ハウシルトミキサーを用いて混合した。触媒としてDABCO(登録商標)33−LV(プラスチックピペットから3滴)を添加し、内容物を混合した。硬化済みのシーラント(140°Fで24時間硬化)は、硬度35(ショアA)を有していた。また、試験を行った表面についての凝集破壊のパーセント確率を、表2に示す。
【表2】
【0249】
例2
Silquest(登録商標)A−1120及びベンゾキノン(BQ)の接着促進性付加体
ベンゾキノン(6.49g)及びエタノール(150g)を250mlの三角フラスコに投入した。攪拌しつつ、内容物を加熱しベンゾキノンを溶解させた。室温に冷却後、Silquest(登録商標)A−1120(13.34g)及びエタノール(20g)を500mlの3口丸底フラスコに投入し、内容物を窒素でフラッシュし、次いで、Polycat(登録商標)DBU(アミン触媒、約0.081g、細口ピペットから3滴)を添加した。内容物を攪拌しつつ室温にて約4時間反応させた。生成物を、13.7重量%のエタノール溶液として得た。この反応を
図2に概説する。
【0250】
表3の組成を有する第1のシーラント(シーラント1)を調製した。
【表3】
【0251】
Permapol(登録商標)3.1Eプレポリマー及びアミノ−ヒドロキノン接着促進性付加体(約14%溶液、1.46g)を混合カップ中で秤量し、30秒間ハウシルトミキサー内で混合した。CaCO
3を添加し、手動で混合し、次いでハウシルトミキサーを用いて混合した。促進剤S−5304を添加し、混合した。触媒としてDABCO(登録商標)33−LV(プラスチックピペットから3滴)を添加し、混合した。
【0252】
表4の組成を有する第2のシーラント(シーラント2)を調製した。
【表4】
【0253】
Permapol(登録商標)P3.1Eポリマー、例1の付加体(50%溶液、0.4g)及び例2の付加体(約14%溶液、1.46g)を混合カップ中で秤量し、手動で混合し、次いで30秒間ハウシルトミキサー内で混合した。続いて、CaCO
3、促進剤S−5304、及び触媒としてDABCO(登録商標)33−LV(プラスチックピペットから3滴)を添加し、混合した。
【0254】
2つの硬化済みシーラント組成物(140°Fで24時間硬化)についての数種の表面上の凝集破壊の%確率を、表5に示す。硬化済みシーラントの硬度(ショアA)は、それぞれ39及び25であった。
【表5】
【0255】
例3
Silquest(登録商標)A−189及び1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールの付加体
【化8】
Silquest(登録商標)A−189及び1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノールをDBUの存在下で反応させ、対応する接着促進性付加体を得た。
【0256】
表6の組成を有するシーラントを調製した。
【表6】
【0257】
接着剤試料を室温で5日間硬化させ、続いて140°Fで27時間硬化させた。硬化済みのシーラント試料の凝集破壊の%確率を、表7に示す。
【表7】
【0258】
比較例1
Permapol(登録商標)P3.1Eポリマー(10g、チオール末端ポリマー、PRC−DeSoto、International社(Sylmar、CA)から市販)、カルシウムカーボナート(5.0g)を、2300rpmで30秒間ハウシルトミキサー内で混合した。続いて、促進剤S−5304(2.6g、エポキシペースト、PRC−DeSoto、International社(Sylmar、CA)から市販)及び触媒としてのトリエチレンジアミン(0.08g)を添加し、混合した。試料を、種々の基材上に塗布し、室温で24時間硬化させ、次いで140°Fで480時間硬化させた。基材から試料を引き剥がすことによって、凝集破壊のパーセント確率を測定した。結果を表8に示す。
【表8】
【0259】
例4
密度関数理論の計算
代表的な航空宇宙用基材のアルミニウム表面酸化物を構成するAl
4O
6クラスタと種々の官能基との相互作用のギブスの自由エネルギー(Li et al.,“Structural determination of (Al
2O
3)
n(n=1−7)clusters based on density functional calculation,”(「密度関数計算に基づく(Al
2O
3)
n(n=1−7)クラスターの構造決定」)Computational and Theoretical Chemistry 2012,996,125−131参照)を、密度関数理論(density functional theory:DFT)に基づく方法を用いて算出した。Gaussian09/B3LYP/6−31g(d)を用いて全ての構造を最適化し、それらの構造が極小値にて存在することを確認するために同じレベルの理論にて振動周波数を算出した。CPCM救出スキームによる単一点のエネルギー計算を用いて、水環境中でのエネルギーを算出した。上記相互作用のギブスの自由エネルギーを、補正せずに、圧力及び温度の標準条件(1気圧及び25℃)下で算出した。
【0260】
HOMO(最高被占分子軌道)、LUMO(最低空分子軌道)のエネルギー、及び、HOMOとLUMOとのエネルギーギャップを含む、種々の官能基の固有の特性について、これらの官能基を分析した。典型的に、より高いHOMOエネルギーを有する官能基は、より電子供与性であり、より低いLUMOエネルギーを有する官能基は、より電子受容性である。表9に示した種々の官能基を比較すると、3−ヒドロキシ−1,2−ジメチルピリジン−4(1H)−オン(HOPO)が最も高いHOMOエネルギーを有し、これは、HOPOが最も大きな電子供与性であることを意味する。他方、官能基ビス(スルホニル)−2−プロパノール(BSP)が最も低いHOMOエネルギーを有し、これは、その官能基が最も小さい電子供与性であることを意味する。
【表9】
【0261】
種々の官能基とアルミニウム酸化物クラスターとの相互作用を測定した。気相中での相互作用のギブスの自由エネルギー(ΔG
g)及び水中での相互作用のギブスの自由エネルギー(ΔG
w)を算出し、その結果を反応のエンタルピー(ΔH)からの寄与とともに
図3に示す。
図3では、より大きな負のΔGが、より安定な錯体、又は、官能基とアルミニウム酸化物との間のより強い相互作用に対応している。BSP及びHOPOは、気相中において及びシミュレートした水環境中においても、アルミニウム酸化物に対して、アセトアセタートよりも強い相互作用を有する。アセトアセタートは、(Al
4O
6における)電子欠乏性アルミニウムに対する(アセトアセタートにおける)電子リッチなカルボニル酸素の配位を通じてAl
4O
6に結合する。HOPOは二座配位子としてAl
4O
6と相互作用する。すなわち、(HOPOにおける)カルボニル酸素は、(Al
4O
6における)アルミニウムに結合し、(HOPOにおける)ヒドロキシル基は、(Al
4O
6における)酸素と水素結合する。BSPとAl
4O
6との三座結合様式が同定されたが、ここでは、(BSPにおける)ヒドロキシル基と(Al
4O
6における)酸素原子との間の水素結合に加えて、(BSPにおける)2つのスルホニル基が(Al
4O
6における)2つのアルミニウム原子に結合する。BSPは、(表9中の低いHOMOエネルギーによって示されているように)電子供与性があまり大きくないにもかかわらず、3つの配位箇所でのAl
4O
6との強い結合が観察される。
【0262】
結論として、BSPの官能基は、三座配位様式によりアルミニウム酸化物と結合し、非常に強い相互作用(接着)を与える結果になることが示された。HOPOのような他の強い結合リガンドと異なり、BSPは酸化され難く、良好な安定性を有すると期待される。BSPに類似する結合モチーフを有する構造もまた、アルミニウム酸化物への強い結合をもたらし得る。
【0263】
特定の金属表面に対する接着性を増進するのに適しており、かつ、本開示中で述べられたプレポリマーの主鎖中に組み込まれてよい、及び/又はプレポリマーの末端基として提供されてよい他の金属リガンドを同定するために、類似の方法を用いることができる。
【0264】
最後に、本明細書に開示された実施形態を実施するための代替的方法群が存在することに注目すべきである。従って、本実施形態は、例証として把握されるべきであり、限定的なものとして把握されるべきではない。さらに、本特許請求の範囲は、本明細書に記載された詳細な事項に限定されるべきではなく、その範囲の全体及びその等価物に権利が与えられるべきである。