(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
様々な態様において、2つ以上の直列タービンを作動することによって電気を発生させる方法が提供される。この方法は、上流タービンからの排出物の少なくとも一部分を、下流タービンの燃焼チャンバーに導入するステップを含むことができる。一態様において、上流タービンからの排出物は、下流タービンの圧縮チャンバーを通して、下流タービンの燃焼チャンバーに導入される。
前記第2の燃焼タービンへの前記排出物ガスの少なくとも一部分の前記導入ステップの前に、前記第1の排出物ガスを熱回収および蒸気発生器に導入するステップをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
前記第1の燃焼燃料流、前記第2の燃焼燃料流、改質可能な燃料を含んでなる前記アノード燃料流、またはそれらの組み合わせの少なくとも約90体積%をメタンが構成する、請求項8〜12のいずれかに記載の方法。
前記アノード、前記アノードと関連する前記内部改質要素、またはそれらの組み合わせに導入される前記改質可能な燃料の量が、電気を発生させるために前記溶融炭酸塩形燃料電池で反応する水素の量よりも少なくとも約75%多い、例えば、少なくとも約100%多い、請求項8〜14のいずれかに記載の方法。
前記燃料電池の電気効率が約10%〜約40%であり、かつ前記燃料電池の全燃料電池効率が、少なくとも約55%、例えば、少なくとも約65%、または少なくとも約75%である、請求項8〜16のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概要
一態様において、2つ以上の直列燃焼タービンを作動させることによる発電方法が提供される。この方法は、上流タービンからの排出物の少なくとも一部分を、下流タービンの燃焼チャンバーに導入するステップを含む。一態様において、上流タービンからの排出物は、下流タービンの圧縮チャンバーを通して、下流タービンの燃焼チャンバーに導入される。2つ以上の直列タービンを作動させることによって、上流タービンからの排出物が、下流タービンにおける燃焼のための酸素の供給源となることが可能となる。2つ以上の直列タービンを作動させることによって、燃焼タービンの個々または並列の作動によって発生するよりも、より高濃度のCO
2およびより低濃度のO
2を有する最終排出物流を発生させることができる。一般には、より高濃度のCO
2によって、CO
2が排出物からより効率的に除去されることが可能となる。
【0016】
燃焼タービンの直列作動
様々な態様において、2つ以上の燃焼タービンは直列に作動されて、電気を発生する。本明細書で使用される場合、直列作動は、上流タービンの排出物からのCO
2の実質的な部分を、下流タービンの燃焼チャンバーに導入するステップを含んでなる。排出物は、下流タービンの圧縮チャンバーを通って、下流タービンの燃焼チャンバーに導入されてもよい。一態様において、上流タービンの排出物中のCO
2の約50%より多くが、下流タービンの燃焼チャンバーに導入される。例えば、上流タービン排出物から下流タービンの燃焼チャンバーに導入されるCO
2の量は、上流タービン排出物中のCO
2の約50%より多いか、または約60%より多いか、または約70%より多いか、または約80%より多いか、または約90%より多いか、または約95%より多いか、または約99%より多いか、または約99.5%より多いか、または約100%であることが可能である。
【0017】
一態様において、上流タービンの排出物中のO
2の約50%より多くが、下流タービンの燃焼チャンバーに導入される。例えば、上流タービン排出物から下流タービンの燃焼チャンバーに導入されるO
2の量は、上流タービン排出物中のO
2の約50%より多いか、または約60%より多いか、または約70%より多いか、または約80%より多いか、または約90%より多いか、または約95%より多いか、または約99%より多いか、または約99.5%より多いことが可能である。
【0018】
一態様において、排出物が下流タービンの燃焼チャンバーに導入される前に、上流タービンの排出物に酸素を添加することができる。酸素は、空気を排出物に導入することによって添加されてもよい。空気は、所望のタービン性能を促進するため、例えば、燃焼チャンバーに導入される燃料のほぼ完全な燃焼、またはNOx生成の減少を可能にさせるために添加されてもよい。一態様において、排出物ガスと空気との比率は、約1:1〜約100:1である。例えば、排出物ガスと空気との比率は、約10:1、または約25:1、または約50:1、または約75:1、または約90:1であることが可能である。一態様において、排出物によって下流の燃焼チャンバーに提供される酸素と空気によって提供される量との比率は、約1:1〜約50:1である。例えば、排出物によって下流の燃焼チャンバーに提供される酸素と空気によって提供される量との比率は、約5:1、または約15:1、または約25:1、または約35:1、または約45:1であることが可能である。そのようなものとして、上流タービンの排出物からの酸素は、下流タービンの燃焼チャンバーに供給される酸素の約50%より多くを含んでなることができる。例えば、上流タービンの排出物からの酸素は、下流タービンの燃焼チャンバーに供給される酸素の少なくとも約50%、または少なくとも約60%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または約100%までを含んでなることができる。
【0019】
一態様において、2つ以上の直列燃焼タービンを作動させることによって発生する排出物または燃焼ガスは、単一の燃焼タービン、または並列に作動する複数の燃焼タービンの作動によって達成されるものよりも高いCO
2濃度を有することができる。例えば、第2の直列タービンからの排出物ガスは、少なくとも約6.0モル%、例えば、または少なくとも約6.5モル%、または少なくとも約7.0モル%、または少なくとも約7.5モル%、または少なくとも約8モル%、または少なくとも約8.5モル%、または少なくとも約9.0モル%、または少なくとも約9.5モル%、または少なくとも約10モル%、または少なくとも約11モル%、または少なくとも約12モル%、または少なくとも約15モル%のCO
2濃度を有してもよい。これは、約7.5モル%以下、または約6.5モル%以下、または約5.5モル%以下、または約4.5モル%以下であることが可能である上流の(第1の)タービンからの排出物におけるCO
2濃度とは対照的であることができる。増加したCO
2濃度は、いくつかのCO
2除去プロセス、例えば、アミンスクラバーの使用の改善された効率を含む複数の利益を有することができる。より高いCO
2濃度は、捕捉されるCO
2の1モルあたりの作動費用の低下およびより低い資本費用をもたらし得る。追加的に、または代わりとして、上流または第1のタービンからの排出物におけるCO
2の量は、下流または第2のタービンから排出物におけるCO
2の量と比較した比率として表すことができる。様々な態様において、下流の(第2の)排出物におけるCO
2の量と上流の(第1の)排出物におけるCO
2の量は、少なくとも約1.3:1、または少なくとも約1.4:1、または少なくとも約1.5:1、または少なくとも約1.6:1、または少なくとも約1.7:1、または少なくとも約1.8:1であることが可能である。(例えば同様の燃料に基づく)同様の種類の燃焼反応を作動するタービンに関して、第2の排出物におけるCO
2と第1の排出物におけるCO
2との比率は、典型的に2.0:1以下である。
【0020】
一態様において、2つ以上の直列燃焼タービンを作動させることによって発生する排出物または燃焼ガスは、単一の燃焼タービン、または並列に作動する複数の燃焼タービンの作動によって達成されるものよりも低いO
2濃度を有することができる。例えば、第2の直列タービンからの排出物ガスは、約8.0モル%未満、例えば、約7.0モル%未満、または約6モル%未満、または約5モル%未満、または約4モル%未満、または約3.0モル%未満、または約2.0モル%未満、または約1.5モル%未満または約1モル%未満、または約0.5モル%未満のO
2濃度を有してもよい。低減された酸素流は、不活性ガスを使用するプロセス、例えば、地下ガス形成の圧力保持への有益な有価インプットであることができる。一態様において、所望のO
2濃度は、多少の新しい空気を下流タービンへのタービン排出物供給物と混合することによって達成することができる。一態様において、所望のO
2濃度は、O
2欠乏ガスを使用するプロセスに排出物ガスを供給する前に、空気を下流タービンの排出物と混合することによって達成することができる。O
2濃度を調節するために添加される追加の空気の温度は、下流プロセスに好ましい温度まで排出物ガスを加熱するか、または冷却するために選択することができる。
【0021】
態様において、排出物が下流タービンに導入される前に、上流タービンの排出物から水を任意に除去してもよい。したがって、一態様において、第2の直列タービンに導入される排出物ガスは、約6.0モル%未満、例えば、約5.0モル%未満、または約4モル%未満、または約3モル%未満、または約2モル%未満、または約1.0モル%未満、または約0.5モル%未満であるH
2O濃度を有してもよい。
【0022】
図5は、直列配置で作動される2つの燃焼タービンを含む集積化された発電システム500の実施例を概略的に示す。本発明の態様は、2つの直列タービンの使用に限定されない。様々な態様において、3つ以上のタービンを直列に使用することができるであろうが、単純さのため、このシステム500においては2つのタービンが記載される。様々な態様において、同一または異なる能力のタービンが直列に配置されてもよい。例えば、上流タービンは下流タービンより大きい能力を有することが可能であるか、上流タービンは下流タービンより小さい能力を有することが可能であるか、またはタービンは同一の能力を有することが可能であろう。
図5中、第1のタービン501からの排出物592は、燃料の燃焼のために酸素の供給源として第2のタービン541に導入される。
【0023】
第1のタービン501は、圧縮器502、シャフト504、膨張器506および燃焼領域515を含むことができる。酸素供給源511(例えば空気および/または酸素富化空気)は、燃焼領域515に入る(513)前に、圧縮器502で圧縮および加熱されることができる。CH
4などの燃料512を燃焼領域515に送達することができる。燃料および酸化剤は領域515において反応することができ、かつ任意であるが、好ましくは、回転シャフト504まで膨張器506を通過することができ(516)、これは電力を発生させるために発電機に連結される。排出物ガス592を、熱回収および蒸気発生器システム590のためのインプットとして使用することができ、これは、例えば、追加的な電気を生じる蒸気タービン595のための蒸気594を生じることができる。
【0024】
流れ520は、第2のタービンへの導入の前に、第1のタービンの排出物から除去される水を含んでなる。
【0025】
第2のタービン541は、圧縮器542、シャフト544、膨張器546および燃焼領域545を含むことができる。酸素供給源541(例えば空気および/または酸素富化空気)は、燃焼領域545に入る(553)前に、圧縮器545で圧縮および加熱されることができる。CH
4などの燃料552を燃焼領域545に送達することができる。燃料および酸化剤は領域545において反応することができ、かつ任意であるが、好ましくは、回転シャフト544まで膨張器546を通過することができ(556)、これは電力を発生させるために発電機に連結される。排出物ガス558を、熱回収および蒸気発生器システム560のためのインプットとして使用することができ、これは、例えば、追加的な電気を生じる蒸気タービン595のための蒸気562を生じることができる。任意に、各HRSG 560および590は、示される単一の蒸気タービン595の代わりに、別々の蒸気タービンを供給することができる。
【0026】
燃焼ガス570は、雰囲気に放出する前に、アミンスクラバーなどのCO
2を除去するシステムに導入されてもよい。一態様において、燃焼ガス570は、
図4に示すように、燃料電池カソードに導入される。
【0027】
一例として、
図5に示されるシステムと同様の構成を使用してシミュレーションを実行した。シミュレーションからの質量バランス結果を
図6に示す。シミュレーションの基礎として、General Electric’s Frame 9Fb.05タービンを使用した。
図6に示されるシミュレーション結果には、毎時ポンドモルおよびモル分率パーセントとしての濃度が示される。分かりやすくするため、シミュレーションはモル分率パーセントに関して記載される。
【0028】
空気511は、実質的にCO
2を伴わずに圧縮器502に入る。このシミュレーションにおける空気511は、約20.8%の酸素を含有した。このシミュレーションにおけるタービンの燃焼チャンバーに入る燃料512は、約93%のメタンを含有した。燃焼の間、このシミュレーションにおいて、メタンをO
2と組み合わせて、CO
2および水が生成した。メタンの完全な燃焼をもたらすために、このシミュレーションを実行した。このシミュレーションにおける空気とメタンとの比率は、約24.6:1であった。
【0029】
このシミュレーションの第1のタービンの排出物592は、HRSG 590に入る時、約4.2%のCO
2濃度および約11.7%のO
2濃度を有した。したがって、このシミュレーションにおけるCO
2濃度は、約0%から4.2%まで増加し、そしてO
2濃度は、約20.8%から約11.7%まで減少した。燃焼チャンバーを通過したほとんどの窒素は、このシミュレーションにおいて未反応であったが、少量のNO
Xガスが生成した。
【0030】
このシミュレーションにおけるHRSG 590は、排出物592を1052°Fから134°Fに冷却したが、その他には排出物の組成を変化させず、これによって冷却燃焼ガス514が得られる。水の除去520によって、水の濃度が約8.7%から約0.5%まで低下し、排出物ガス517が得られる。この場合ではシミュレーションされないが、HRSG 590におけるダクトバーナーの存在は、CO
2の濃度をさらに増加することができ、かつ酸素の濃度をさらに低下させることができるであろう。
【0031】
このシミュレーションにおける第2のタービン541への排出物インプット519は、排出物ガス517を追加的な空気540と組み合わせることによって生じた。排出物インプット519は、約4.4%のCO
2および約13.1%のO
2を含んでなる。このシミュレーションにおいてタービンの燃焼チャンバーに入る燃料552は、約93%のメタンであった。燃焼の間、メタンはO
2と組み合わせられて、CO
2および水が生成した。シミュレーションを実行し、メタンを完全燃焼させた。このシミュレーションにおいて、空気とメタンとの比率は約24.6:1であった。
【0032】
このシミュレーションの第2のタービンの排出物558は、HRSG 560に入る時、約8.3%のCO
2濃度および約4.4%のO
2濃度を有した。したがって、このシミュレーションにおいて、CO
2濃度は、約4.4%から8.32%まで増加し、そしてO
2濃度は、約13.1%から約4.4%まで減少した。このシミュレーションにおいて燃焼チャンバーを通過したほとんどの窒素は未反応であったが、少量のNO
Xガスが生成した。このシミュレーションにおけるHRSG 560は、排出物558を1052°Fから134°Fに冷却したが、その他には排出物の組成を変化させなかった。
【0033】
このシミュレーションに基づき、2つの直列燃焼タービンを作動することによって、単一燃焼タービンのほぼ2倍のCO
2濃度を有する燃焼排出物流が可能となった。より高いCO
2含有量は、その後の溶融炭酸塩形燃料電池の作動に関して有利となることが可能である。例えば、所望の作動状況で燃料電池を作動するために少なくとも約0.3モル%、または少なくとも約0.5モル%、または少なくとも約0.8モル%、または少なくとも約1モル%、または少なくとも約1.2モル%、または少なくとも約1.5モル%のCO
2濃度が必要とされる可能性があるため、溶融炭酸塩形燃料電池は、カソード流からのCO
2の除去に関して典型的に制限される可能性がある。カソードインレット流が約4.5モル%のインプット濃度を有する場合、約1.5モル%までCO
2濃度を低下させることは、カソード中のCO
2の約66%をアノードに輸送することに相当する。対照的に、カソードインレット流が約7.5モル%のインプット濃度を有する場合、CO
2濃度を約1.5モル%まで低下させることは、カソード中のCO
2の約80%をアノードに輸送することに相当する。したがって、2つの直列燃焼タービンからの排出物を使用することによって、2つの個々の燃焼排出物流からCO
2を除去することと比較して、CO
2の実質的に向上した除去の機会を提供することが可能である。
【0034】
熱回収蒸気発生器を備えた燃焼タービン発電機
図7は、燃焼タービン、熱回収および蒸気発生器システム、ならびに蒸気タービンを含む、集積化された発電システム700の実施例を概略的に示す。
図7に示されるシステム700は、「1×1」システムと記載されてもよく、これは、1つの燃焼タービン発電機が電気を発生させるために使用され、1つのHRSGが蒸気を発生させるために使用され、そしてその蒸気が、1つの蒸気タービン発生器を駆動することを意味する。システム700は、単一タービンからのシステム排出物の典型的な特性を例示するために、本明細書に含まれる。これらの特性は、
図8に示されるシミュレーション結果に関して、さらに詳細に説明される。
【0035】
図7中、タービンは、圧縮器702、シャフト704、膨張器706および燃焼領域715を含むことができる。酸素供給源711(例えば空気および/または酸素富化空気)は、燃焼領域715に入る(713)前に、圧縮器702で圧縮および加熱されることができる。CH
4などの燃料712を燃焼領域715に送達することができる。燃料および酸化剤は領域715において反応することができ、かつ任意であるが、好ましくは、回転シャフト717まで膨張器706を通過することができ(716)、これは電力を発生させるために発電機に連結される。排出物ガス792を、熱回収および蒸気発生器システム790のためのインプットとして使用することができ、これは、例えば、追加的な電気を生じる蒸気タービン795のための蒸気794を生じることができる。燃焼ガス796は、HRSG 790を出る。
【0036】
一例として、
図7に示されるシステムと同様の構成を使用してシミュレーションを実行した。シミュレーションからの結果を
図8に示す。シミュレーションの基礎として、General Electric’s Frame 9Fb.05タービンを使用した。
図8に示されるシミュレーション結果には、毎時ポンドモルおよびモル分率パーセントとしての濃度が示される。分かりやすくするため、シミュレーションはモル分率パーセントに関して記載される。
【0037】
このシミュレーションにおいて、空気711は、実質的にCO
2を伴わずに圧縮器702に入った。空気711は、約20.8%の酸素を含有した。このシミュレーションにおけるタービンの燃焼チャンバーに入る燃料は、約93%のメタンであった。燃焼の間、このシミュレーションにおいて、メタンをO
2と組み合わせて、CO
2および水が生成した。メタンを完全燃焼するために、このシミュレーションを実行した。示されたこのシミュレーションにおける空気とメタンとの比率は、約24.6:1であった。
【0038】
このシミュレーションのタービンの排出物792は、HRSGに入る時、約4.2%のCO
2濃度および約11.7%のO
2濃度を有した。したがって、CO
2濃度は、約0%から4.2%まで増加し、そしてO
2濃度は、約20.8%から約11.7%まで減少した。燃焼チャンバーを通過したほとんどの窒素は、このシミュレーションにおいて未反応であったが、少量のNO
Xガスが生成した。
【0039】
このシミュレーションにおいて、HRSGは排出物を1052°Fから134°Fに冷却したが、その他には排出物の組成を変化させず、これによって冷却燃焼ガス796が残る。水はこのシミュレーションにおいて除去されないが、他の配列において、HRSGは水を排出物から凝縮することができ、かつ除去することができた。この場合ではシミュレーションされないが、HRSGにおけるダクトバーナーの存在は、CO
2の濃度をさらに増加することができ、かつ酸素の濃度をさらに低下させることができるであろう。
【0040】
2つの燃焼タービン発電機の並列作動
図9は、並列配置で作動される2つの燃焼タービンを含む集積化された発電システム900の実施例を概略的に示す。システム900は、電気を発生させる2つの燃焼タービン発電機を含む。2つのガスタービンは同一サイズおよびモデルであってもよく、あるいは異なるサイズまたはモデルであってもよい。実際には、最も多くの装置は、同一のCTGトレインを使用することができる。それぞれのタービンは、蒸気発生のために専用のHRSGを有するが、2つの蒸気タービン発生器を駆動する代わりに、蒸気が組み合わせられて、1つのみの蒸気タービン発生器が使用される。単一の蒸気タービンを使用することによって、信頼性の増加、より良好なメンテナンススケジューリングおよび経済規模を蒸気タービンにおいてもたらすことができる。このシステムは、「2×1」構成と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、システム900は、2(p)×1作動として記載されるが、ここで「p」は、並列作動を示す。システム900は、複数タービンの並列作動からのシステム排出物の典型的な特性を例示するための別のベース事例として本明細書に含まれる。これらの特性は、
図10に示されるシミュレーション結果に関して、さらに詳細に説明される。
【0041】
図9中、第1のタービン901は、圧縮器902、シャフト904、膨張器906および燃焼領域915を含むことができる。酸素供給源911(例えば空気および/または酸素富化空気)は、燃焼領域915に入る(913)前に、圧縮器902で圧縮および加熱されることができる。CH
4などの燃料912を燃焼領域915に送達することができる。燃料および酸化剤は領域915において反応することができ、かつ任意であるが、好ましくは、回転シャフト917まで膨張器906を通過することができ(916)、これは電力を発生させるために発電機に連結される。排出物ガス918を、熱回収および蒸気発生器システム920のためのインプットとして使用することができ、これは、例えば、追加的な電気を生じる蒸気タービン995のための蒸気994を生じることができる。排出物ガス918は、燃焼ガス997としてHRSG 920を出る。
【0042】
第2のタービン930は、圧縮器932、シャフト934、膨張器936および燃焼領域945を含むことができる。酸素供給源941(例えば空気および/または酸素富化空気)は、燃焼領域945に入る(943)前に、圧縮器932で圧縮および加熱されることができる。CH
4などの燃料942を燃焼領域945に送達することができる。燃料および酸化剤は領域945において反応することができ、かつ任意であるが、好ましくは、回転シャフト947まで膨張器936を通過することができ(946)、これは電力を発生させるために発電機に連結される。排出物ガス948を、熱回収および蒸気発生器システム950のためのインプットとして使用することができ、これは、例えば、追加的な電気を生じる蒸気タービン995のための蒸気993を生じることができる。任意に、各HRSG 990および950は、示される単一の蒸気タービン995の代わりに、別々の蒸気タービンを供給することができる。排出物ガス948は、燃焼ガス998としてHRSG 990を出る。
【0043】
一例として、
図9に示されるシステムと同様の構成を使用してシミュレーションを実行した。シミュレーションからの結果を
図10に示す。シミュレーションの基礎として、General Electric’s Frame 9Fb.05タービンを使用した。
図10に示されるシミュレーション結果には、毎時ポンドモルおよびモル分率パーセントとしての濃度が示される。分かりやすくするため、シミュレーションはモル分率パーセントに関して記載される。
【0044】
このシミュレーションにおいて、空気911および941は、実質的にCO
2を伴わずにそれぞれの圧縮器902および932に入った。空気911および941は、約20.8%の酸素を含有した。このシミュレーションにおけるタービンの燃焼チャンバーに入る燃料は、約93%のメタンであった。燃焼の間、メタンをO
2と組み合わせて、CO
2および水が生成した。メタンを完全燃焼するために、このシミュレーションを実行した。示されたこのシミュレーションにおける空気とメタンとの比率は、約24.6:1であった。
【0045】
このシミュレーションにおいて、タービンの排出物918および948は、HRSGに入る時、約4.2%のCO
2濃度および約11.7%のO
2濃度を有した。したがって、CO
2濃度は、約0%から4.2%まで増加し、そしてO
2濃度は、約20.8%から約11.7%まで減少した。燃焼チャンバーを通過したほとんどの窒素は、このシミュレーションにおいて未反応であったが、少量のNO
Xガスが生成する。
【0046】
このシミュレーションにおいて、HRSG 920および950は排出物を1052°Fから134°Fに冷却したが、その他には排出物の組成を変化させなかった。水はこのシミュレーションにおいて排出物から除去されないが、他の配列において、HRSGは水を排出物から凝縮することができ、かつ除去することができた。この場合ではシミュレーションされないが、HRSGにおけるダクトバーナーの存在は、CO
2の濃度をさらに増加することができ、かつ酸素の濃度をさらに低下させることができるであろう。それぞれのタービンが同一性能を有するようにシミュレーションされる場合、組み合わせられたタービン排出物は、それぞれのタービンによって発生した個々の排出物と正確に同一濃度を有するように思われる。
【0047】
燃焼タービン発電機による排出物ガスリサイクル
図11および12は、排出物ガスリサイクルを含む集積化された発電システム1100の実施例を概略的に示す。
図11中、タービン1101は、圧縮器1102、シャフト1104、膨張器1106および燃焼領域1115を含むことができる。酸素供給源1111(例えば空気および/または酸素富化空気)を乾燥EGRリサイクル1151と混合して、混合酸素供給源1152を形成することができる。混合酸素供給源1152は、燃焼領域1115に入る(1113)前に、圧縮器1102で圧縮および加熱されることができる。CH
4などの燃料1112を燃焼領域1115に送達することができる。燃料および酸化剤は領域1115において反応することができ、かつ任意であるが、好ましくは、回転シャフト1117まで膨張器1106を通過することができ(1116)、これは電力を発生させるために発電機に連結される。排出物ガス1118を、熱回収および蒸気発生器システム1120のためのインプットとして使用することができ、これは、例えば、追加的な電気を生じる蒸気タービン1195のための蒸気1194を生じることができる。燃焼ガス1156は、雰囲気へ、またはCO
2除去のためのアミンスクラバーなどの別のプロセス(図示せず)に供給されてもよい。HRSG 1190排出物の一部分は、タービン1101にリサイクル(1198)される。一態様において、排出物ガスの35%がリサイクルされる。流れ1150は、リサイクルループ1198からのウォーターノックアウトであることができる。
【0048】
図12は、
図11において上記されたものと同一構成要素の多くを含む。しかしながら、タービンの排出物ガスの実質的に全てをHRSG 1190に供給する代わりに、排出物ガスはHRSG 1190の前に分割され、その代わりにHRSG 1290に導入され、これによって排出物ガスは冷却されて、タービン1101にリサイクル(1198)する前に、水を除去することができる。
【0049】
一例として、
図11および12に示されるシステムと同様の構成を使用してシミュレーションを実行した。シミュレーションからの結果を
図13に示す。シミュレーションの基礎として、General Electric’s Frame 9Fb.05タービンを使用した。
図13に示されるシミュレーション結果には、毎時ポンドモルおよびモル分率パーセントとしての濃度が示される。分かりやすくするため、シミュレーションはモル分率パーセントに関して記載される。
【0050】
このシミュレーションにおいて、空気1111は、実質的にCO
2を伴わずに圧縮器1102に入った。空気1111は、約20.8%の酸素を含有した。このシミュレーションにおいてEEGリサイクルと組み合わせられる場合、CO
2濃度は約2.4%まで増加し、そして酸素は約16.7%まで減少した。ウォーターノックアウト1150は、このシミュレーションにおいて、約8.7%から約0.5%まで未加工のタービン排出物における水濃度を低下させた。
【0051】
このシミュレーションにおけるタービンの燃焼チャンバーに入る燃料は、約93%のメタンであった。燃焼の間、メタンをO
2と組み合わせて、CO
2および水が生成した。メタンを完全燃焼するために、このシミュレーションを実行した。示されたこのシミュレーションにおける空気とメタンとの比率は、約24.6:1であった。
【0052】
このシミュレーションにおいて、タービン排出物1192は、HRSGに入る時、約6.4%のCO
2濃度および約7.8%のO
2濃度を有した。したがって、CO
2濃度は、約2.4%から6.4%まで増加し、そしてO
2濃度は、約16.7%から約6.4%まで減少した。燃焼チャンバーを通過したほとんどの窒素は、このシミュレーションにおいて未反応であったが、少量のNO
Xガスが生成した。
【0053】
このシミュレーションにおいて、HRSG 1190は排出物を冷却したが、その他には排出物の組成を変化させなかった。水はこのシミュレーションにおいて排出物から除去されないが、他の配列において、HRSGは水を排出物から凝縮することができ、かつ除去することができた。この場合ではシミュレーションされないが、HRSGにおけるダクトバーナーの存在は、CO
2の濃度をさらに増加することができ、かつ酸素の濃度をさらに低下させることができるであろう。
【0054】
CO
2除去の比較
様々な態様において、燃焼ガスからCO
2を除去することが望ましくてもよい。燃焼タービンからの燃焼ガス(または燃焼排出物)からのCO
2の分離は、従来は、アミンスクラバーを使用して実行されたが、これは、比較のために都合のよい方法を提供することができる。アミンスクラバーを使用する代わりに、MCFCのためのカソードインレット流の少なくとも一部として燃焼ガスを使用することによって、カソードからアノードへのCO
2の輸送が可能であり、ここでは、CO
2が、アノード排出物における非常により高いCO
2濃度のため、より容易に分離されることができる。
【0055】
直列燃焼タービンを作動することからもたらされるCO
2濃度の増加によって、一般に、CO
2を分離するためのプロセスの効率を増加させることができる。上記
図5〜13のそれぞれのシミュレーションは、それぞれの配置において、例えば、アミンスクラバーによって全部でどの程度多くのガスが処理される必要があるか、そして90%除去を仮定して、どの程度多くのCO
2が質量基準で捕捉されるかを示す。表1は、
図5および6に関して上記された2(s)×1シミュレーション、
図7および8に関して上記された1×1シミュレーション、
図9および10に関して上記された2(p)×1シミュレーション、ならびに
図11〜13に関して上記された35%EGRシミュレーションのCO
2捕捉結果を示す。表1は、排出物ガスのCO
2濃度とともに、発生した全排出物ガスを示す。また表1は、アミンスクラバーにおける90%捕捉率において除去されたCO
2の量およびそれぞれのシミュレーションにおけるCO
2捕捉比率を示す。
【0057】
図6のシミュレーション結果は、90%捕捉率において、1つのアミンスクラブタワーは、全ガス流の211,319lbmol/時間を処理し、そしてCO
2の約15,835lbmol/時間を捕捉すること、または13.3:1の比率を示す。これは、2つの別々に作動された燃焼タービンが使用される実施例と比較して、実質的により低い全ガス体積が、同様の量のCO
2を捕捉するために処理されることができることを示す。
図6に示される8.3モル%の排出物CO
2濃度は、カソードにおいて、望ましい作動状況におけるMCFCの作動のためになお十分なCO
2濃度を維持しながら、排出物のCO
2の少なくとも約80%が、MCFCにおいて、カソード流からアノード流へ移送されることができることを意味するため、これは、MCFCに関するさらなる利益を有することができる。
【0058】
図8のシミュレーション結果は、ベース事例の単一タービン構成に関して、90%捕捉率を有する1つのアミンスクラブタワーは、全ガス流の211,779lbmol/時間を処理し、そしてCO
2の約7,946lbmol/時間を捕捉すること、または26.7:1の比率を示す。留意すべきは、
図8でシミュレーションされる単一タービンからの排出物は4.2%のCO
2濃度を生じた。
【0059】
図10のシミュレーション結果は、ベース事例の並列タービン構成に関して、90%捕捉率を有する1つのアミンスクラブタワーは、全ガス流の423,559lbmol/時間を処理し、そしてCO
2の約15,892lbmol/時間を捕捉すること、または26.7:1の比率を示す。留意すべきは、
図10でシミュレーションされる並列タービンからの排出物は4.2%のCO
2濃度を生じた。
【0060】
タービンが35%EGRとともに作動されるベース事例を示す
図13のシミュレーション結果は、90%捕捉率において、1つのアミンスクラブタワーは、全ガス流の137,667lbmol/時間を処理し、そしてCO
2の約7,925lbmol/時間を捕捉すること、または17.4:1の比率を示す。
【0061】
したがって、一態様において、2つの直列タービンを作動することによって、単一のタービンによる約26.7:1(または35%のEGRによる約17.4:1)から約13.3:1まで、処理された燃焼ガスと捕捉されたCO
2との比率を改善することができる。より一般に、2つの直列タービンを作動することによって、少なくとも約15:1または少なくとも約17:1または少なくとも約20:1の比率から、約14.5:1以下または約14:1以下または約13.5:1以下の比率まで、処理された燃焼ガスと捕捉されたCO
2との比率を改善することができる。改善された比率は、作動費用の低下および捕捉されるCO
2の1モルあたりの低下された資本費用をもたらすことができる。
【0062】
直列で複数のタービン排出物を処理するための燃料電池作動戦略
図4に示すように、直列に作動される燃焼タービンのトレインからの排出物を、さらなる処理のために燃料電池カソードに導入することができる。それに続いて、CO
2を処理するための溶融炭酸塩形燃料電池の作動に関する様々な戦略が説明される。
【0063】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、燃料電池のために所望の熱比率を達成するために、酸化の量と比較して改質の量を選択することができるように、溶融炭酸塩形燃料電池を作動させることができる。本明細書で使用される場合、「熱比率」は、燃料電池アセンブリで生じる改質反応の吸熱性熱需要で割られた燃料電池アセンブリでの発熱性反応によって発生した熱として定義される。数学的に表すと、熱比率(TH)=Q
EX/Q
ENであり、Q
EXは発熱性反応によって発生する熱の合計であり、そしてQ
ENは、燃料電池内で生じる吸熱性反応によって消費される熱の合計である。なお、発熱性反応によって発生する熱は、改質反応、水性ガスシフト反応および電池内での電気化学反応によるいずれかの熱に相当する。電気化学反応によって発生する熱は、燃料電池の実際の出力電圧を差し引いた、電解質全体での燃料電池反応の理想電気化学ポテンシャルをベースとして算出することができる。例えば、MCFCの反応の理想電気化学ポテンシャルは、電池で生じる正味の反応をベースとし、約1.04Vであると考えられている。MCFCの作動の間、電池は様々な損失のため、1.04V未満の出力電圧を典型的に有する。例えば、共通の出力/作動電圧は、約0.7Vであることができる。発生する熱は、電池の電気化学ポテンシャル(すなわち約1.04V)から作動電圧を引いたものに等しい。例えば、電池において電気化学反応によって発生する熱は、約0.7Vの出力電圧の場合、約0.34Vである。したがって、このシナリオで、電気化学反応は、約0.7Vの電気および約0.34Vの熱エネルギーを生じる。そのような実施例において、約0.7Vの電気エネルギーは、Q
EXの一部として含まれない。言い換えると、熱エネルギーは電気エネルギーではない。
【0064】
様々な態様において、熱比率は、燃料電池積層、燃料電池積層内の個々の燃料電池、集積化された改質段階を有する燃料電池積層、集積化された吸熱性反応段階を有する燃料電池積層、またはそれらの組み合わせなどのいずれの都合のよい燃料電池構造のためにでも決定することができる。熱比率は、燃料電池または燃料電池積層のアセンブリなどの燃料電池積層内で、異なるユニットに関して算出されてもよい。例えば、熱比率は、単一燃料電池内の単一アノード、燃料電池積層内のアノード部分、あるいは熱集積化の観点から集積化されるアノード部分に十分に近い、集積化された改質段階および/または集積化された吸熱性反応段階要素とともに燃料電池積層内のアノード部分に関して算出されてもよい。本明細書で使用される場合、「アノード部分」は、共通のインレットまたはアウトレットマニホールドを共有する燃料電池積層内でのアノードを含んでなる。
【0065】
本発明の様々な態様において、燃料電池の作動は、熱比率をベースとして特徴づけることができる。燃料電池が所望の熱比率を有するように作動される場合、溶融炭酸塩形燃料電池は、約1.5以下、例えば約1.3以下、または約1.15以下、または約1.0以下、または約0.95以下、または約0.90以下、または約0.85以下、または約0.80以下、または約0.75以下の熱比率を有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、熱比率が、少なくとも約0.25、または少なくとも約0.35、または少なくとも約0.45、または少なくとも約0.50であることができる。追加的に、または、代わりとして、いくつかの態様において、燃料電池は、約40℃以下、例えば約20℃以下または約10℃以下のアノードインプットとアノードアウトプットとの間での温度上昇を有するように作動させることができる。さらに追加的に、または代わりとして、燃料電池は、アノードインレットの温度より約10℃低温から約10℃高温までのアノードアウトレット温度を有するように作動させることができる。なおさらに追加的に、または代わりとして、燃料電池は、アノードアウトレット温度より高い、例えば、少なくとも約5℃高いか、または少なくとも約10℃高いか、または少なくとも約20℃高いか、または少なくとも約25℃高いアノードアウトレット温度を有するように作動させることができる。なおさらに追加的に、または代わりとして、燃料電池は、アノードアウトレット温度より約100℃以下まで、例えば、約80℃以下まで、または約60℃以下まで、または約50℃以下まで、または約40℃以下まで、または約30℃以下まで、または約20℃以下まで高いアノードアウトレット温度を有するように作動させることができる。
【0066】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、カソード排出流において燃料電池を出るCO
2の量を減少または最小化させながらも、合成ガス(または水素)の生成を増加させて、溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。合成ガスは、様々なプロセスの間の有用なインプットであることができる。燃料価を有することに加えて、例えば、フィッシャー−トロプシュ合成および/またはメタノール合成プロセスのためのインプットとして合成ガスを使用することにより、他のより高い値の生成物を形成するための原材料として、合成ガスを使用することができる。合成ガスを製造するための1つの選択肢は、炭化水素または炭化水素様燃料、例えば、メタンまたは天然ガスを改質することであることが可能である。工業プロセスの多くの種類に関して、2:1に近い(またはより低い)H
2とCOとの比率を有する合成ガスは、しばしば望ましくなることが可能である。水性ガスシフト反応は、アノードで生じるものなどの追加的なCO
2が利用可能である場合、合成ガス中のH
2とCOとの比率を低下させるために使用されることができる。
【0067】
溶融炭酸塩形燃料電池を使用して合成ガス発生を集積化することによって提供される全体的な利点を特徴づけることの1つの方法は、カソード排出物中で燃料電池から出るCO
2の量に関する、アノード排出物中で燃料電池から出る合成ガスの正味の量の比率をベースとすることができる。この特徴は、低排出および高効率(電気および化学の両方)を有する動力発生の有効性を測定する。本記載において、アノードインレットにおいて存在するH
2およびCOの量が差し引かれた、アノード排出物中の合成ガスの正味の量は、アノード排出物において存在する組み合わせられたH
2のモル数およびCOのモル数として定義される。比率はアノード排出物における合成ガスの正味の量をベースとするため、単なるアノード中への過剰量のH
2の通過では比率の値は変化しない。しかしながら、アノードおよび/またはアノードと関連する内部改質段階における改質によって発生するH
2および/またはCOは、比率のより高い値を導くことができる。アノードで酸化される水素は、比率を下げることができる。なお、水性ガスシフト反応は、COに関してH
2を交換することができるため、合成ガス中のH
2とCOとの最終的な所望の比率に関係なく、H
2およびCOの組み合わせられたモルは、アノード排出物における全体の潜在的合成ガスを表す。次いで、アノード排出物(H
2+CO)の合成ガス含有量を、カソード排出物のCO
2含有量と比較することができる。これによって、炭素捕捉の量を説明することができる一種の効率価値を提供することができる。これは、以下の等式と同等に表されることができる。
アノード排出物中の正味の合成ガスとカソードCO
2との比率=(H
2+CO)
ANODEの正味のモル/(CO
2)
CATHODEのモル
【0068】
様々な態様において、アノード排出物中の正味の合成ガスのモルとカソード排出物中のCO
2のモルとの比率は、少なくとも約2.0、例えば、少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0、または少なくとも約5.0であることができる。いくつかの態様において、アノード排出物中の正味の合成ガスとカソード排出物中のCO
2の量との比率は、なお高く、例えば、少なくとも約10.0、または少なくとも約15.0、または少なくとも約20.0であることができる。約40.0以下、例えば約30.0以下、または約20.0以下の比率値を、追加的に、または代わりとして達成することができる。カソードインレットにおけるCO
2の量が約6.0体積%以下、例えば、約5.0体積%以下である態様において、少なくとも約1.5の比率値は十分/現実的であり得る。アノード排出物中の正味の合成ガスとカソード排出物中のCO
2の量とのそのようなモル比値は、従来の作動された燃料電池に関する値より大きくなることができる。
【0069】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、高いCO
2利用値、例えば、少なくとも約60%を有しながらも、減少された燃料利用値、例えば、約50%以下の燃料利用で、溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。この種類の構成において、溶融炭酸塩形燃料電池は、CO
2利用が有利に十分に高いことが可能であるため、炭素捕捉のために有効であることが可能である。電気効率を最大にすることを試みるよりはむしろ、この種類の構成においては、燃料電池の全体の効率を、組み合わせられた電気および化学効率をベースとして改善することができるか、または増加させることができる。化学効率は、他のプロセスで使用されるためのアウトプットとしてのアノード排出物から水素および/または合成ガス流を引き抜くことをベースとすることができる。電気効率が、いくつかの従来の構成と比較して低下し得るとしても、アノード排出物における化学エネルギーアウトプットを利用することは、燃料電池に関して望ましい全体効率を可能にすることができる。
【0070】
様々な態様において、燃料電池アノードにおける燃料利用は、約50%以下、例えば、約40%以下、または約30%以下、または約25%以下、または約20%以下であることができる。様々な態様において、少なくともいくらかの電力を発生させるため、燃料電池における燃料利用は、少なくとも約5%、例えば、少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%であることができる。追加的に、または代わりに、CO
2利用は、少なくとも約60%、例えば、少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%であることができる。
【0071】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、おそらく電気生成および電気効率を損失して、合成ガス生成を増加させるか、または最大にする条件で溶融炭酸塩形燃料電池を作動させることができる。燃料電池の電気効率を改善するか、または最大にするために燃料電池の作動条件を選択する代わりに、おそらくアノードに通過される改質可能燃料の量を含む動作条件を、燃料電池の化学エネルギーアウトプットを増加させるために確立することができる。これらの作動条件は、燃料電池のより低い電気効率をもたらす可能性がある。電気効率の低下にもかかわらず、任意ではあるが、好ましくは、作動条件は、燃料電池の組み合わせられた電気効率および化学効率をベースとして、燃料電池の全効率の増加を導くことができる。アノード中に導入される改質可能燃料と実際にアノードにおいて電気化学的に酸化される燃料との比率を増加させることによって、アノードアウトプットにおける化学エネルギー含有量を増加させることができる。
【0072】
いくつかの態様において、アノードおよび/またはアノードに関連する改質段階に送達されるインプット流中の改質可能燃料の改質可能水素含有量は、アノードにおいて反応する水素の正味の量より少なくとも約50%多く、例えば、少なくとも約75%多く、または少なくとも約100%多くなることができる。追加的に、または代わりとして、アノードおよび/またはアノードに関連する改質段階に送達されるインプット流中の燃料の改質可能水素含有量は、アノードにおいて反応する水素の正味の量より少なくとも約50%多く、例えば、少なくとも約75%多く、または少なくとも約100%多くなることができる。様々な態様において、燃料流中の改質可能燃料の改質可能水素含有量とアノードにおいて反応する水素の量との比率は、少なくとも約1.5:1、または少なくとも約2.0:1、または少なくとも約2.5:1、または少なくとも約3.0:1であることができる。追加的に、または代わりとして、燃料流中の改質可能燃料の改質可能水素含有量とアノードにおいて反応する水素の量との比率は、約20:1以下、例えば、約15:1以下、または約10:1以下であることができる。一態様において、アノードインレット流の改質可能水素含有量の100%未満を水素に変換することができると考えられる。例えば、アノードインレット流の改質可能水素含有量の少なくとも約80%、例えば、少なくとも約85%、または少なくとも約90%を、アノードおよび/または関連する改質段階で水素に変換することができる。追加的に、または代わりとして、アノードに送達される改質可能燃料の量は、アノードで酸化された水素のLHVと比較して、改質可能燃料の低位発熱量(LHV)をベースとして特徴づけることができる。これを、改質可能燃料過剰比率と呼ぶことができる。様々な態様において、改質可能燃料過剰比率は、少なくとも約2.0、例えば、少なくとも約2.5、または少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0であることができる。追加的に、または代わりとして、改質可能燃料過剰比率は、約25.0以下、例えば、約20.0以下、または約15.0以下、または約10.0以下であることができる。
【0073】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、燃料電池の組み合わせられた電気効率および化学効率を改善することができるか、または最適化することができる条件でも溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。燃料電池の電気効率を最大にするための従来の条件を選択する代わりに、作動条件は、燃料電池のアノード排出物における過剰量の合成ガスおよび/または水素のアウトプットを可能にすることができる。合成ガスおよび/または水素は、化学合成プロセスおよび「クリーン」燃料として使用するための水素の回収を含む様々な用途で使用することができる。本発明の態様において、燃料電池のための燃料インプットのエネルギー値と比較して、生成される合成ガスおよび/または水素の化学エネルギー値をベースとする化学効率を含む高い全体効率を達成するために、電気効率を低下させることができる。
【0074】
いくつかの態様において、燃料電池の作動は、電気効率をベースとして特徴づけることができる。燃料電池を低い電気効率(EE)を有するように作動させる場合、溶融炭酸塩形燃料電池を、約40%以下の電気効率、例えば、約35%以下のEE、約30%以下のEE、約25%以下のEE、または約20%以下のEE、約15%以下のEE、または約10%以下のEEを有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、EEは、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%であることができる。さらに追加的に、または代わりとして、燃料電池の作動は、燃料電池の組み合わせられた電気効率および化学効率などの全燃料電池効率(TFCE)をベースとして特徴づけることができる。燃料電池を高い全燃料電池効率を有するように作動させる場合、溶融炭酸塩形燃料電池は、約55%以上、例えば、約60%以上、または約65%以上、または約70%以上、または約75%以上、または約80%以上、または約85%以上のTFCE(および/または組み合わせられた電気効率および化学効率)を有するように作動させることができる。なお、全体燃料電池効率ならびに/または組み合わせられた電気効率および化学効率に関して、燃料電池によって発生する過剰量の熱の使用から発生するいずれの追加的な電気も効率計算から排除することができる。
【0075】
本発明の様々な態様において、燃料電池の作動は、約40%以下の所望の電気効率および約55%以上の所望の全体燃料電池効率をベースとして特徴づけることができる。燃料電池が、所望の電気効率および所望の全体燃料電池効率を有するように作動される場合、溶融炭酸塩形燃料電池は、約55%以上のTFCEとともに約40%以下の電気効率、例えば、60%以上のTFCEとともに約35%以下のEE、約65%以上のTFCEとともに約30%以下のEE、約70%以上のTFCEとともに約25%以下のEE、あるいは75%以上のTFCEとともに約20%以下のEE、80%以上のTFCEとともに約15%以下のEE、あるいは約85%以上のTFCEとともに約10%以下のEEを有するように作動されることができる。
【0076】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、増加した電力密度を提供することができる条件で溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。燃料電池の電力密度は、実際の作動電圧V
Aに電流密度Iを乗算した値に相当する。電圧V
Aで作動される溶融炭酸塩燃料電池に関して、燃料電池は、電流密度Iを提供する燃料電池に関するV
Aと理想電圧V
0との間の差異をベースとして(V
0−V
A)
*Iとして定義される廃熱も発生させる傾向があることができる。この廃熱の一部分は、燃料電池のアノード内での改質可能燃料の改質によって消費されることができる。この廃熱の残りの部分は、包囲する燃料電池構造およびガスフローによって吸収されることができ、燃料電池全体で温度差がもたらされる。従来の作動条件で、燃料電池の電力密度は、燃料電池が燃料電池の完全性を悪化させることなく耐えることができる廃熱の量をベースとして、制限される可能性がある。
【0077】
様々な態様において、燃料電池が耐えることができる廃熱の量は、燃料電池内で吸熱性反応の有効な量を実行することによって増加させることができる。吸熱性反応の一例には、燃料電池アノード内および/または関連する改質段階、例えば、燃料電池積層における集積化された改質段階において改質可能燃料の蒸気改質が含まれる。追加的な改質可能燃料を燃料電池のアノード(または集積化された/関連する改質段階)に提供することによって、追加的な廃熱を消費することができるように、追加的な改質を実行することができる。これによって、燃料電池全体での温度差の量を低下させることができ、したがって、廃熱の量を増加させた作動条件で燃料電池を作動させることが可能となる。電気効率の損失は、合成ガスおよび/またはH
2などの追加的な生成物流の生成によって相殺されることが可能であり、これを、システムの動力範囲をさらに延在させる追加的な発電を含む様々な目的のために使用することができる。
【0078】
様々な態様において、燃料電池によって発生する廃熱の量、上記で定義された(V
0−V
A)
*Iは、少なくとも約30mW/cm
2、例えば、少なくとも約40mW/cm
2、または少なくとも約50mW/cm
2、または少なくとも約60mW/cm
2、または少なくとも約70mW/cm
2、または少なくとも約80mW/cm
2、または少なくとも約100mW/cm
2、または少なくとも約120mW/cm
2、または少なくとも約140mW/cm
2、または少なくとも約160mW/cm
2、または少なくとも約180mW/cm
2であることができる。追加的に、または代わりとして、燃料電池によって発生する廃熱の量は、約250mW/cm
2未満、例えば、約200mW/cm
2未満、または約180mW/cm
2未満、または約165mW/cm
2未満、または約150mW/cm
2未満であることができる。
【0079】
発生する廃熱の量が比較的高くなることができるが、そのような廃熱が、低い効率で燃料電池を作動することを必ずしも表し得るというわけではない。その代わりに、廃熱は、増加した電力密度で燃料電池を作動することによって発生することができる。燃料電池の電力密度を改善することの一部分は、十分に高い電流密度で燃料電池を作動することを含むことができる。様々な態様において、燃料電池によって発生する電流密度は、少なくとも約150mA/cm
2、例えば、少なくとも約160mA/cm
2、または少なくとも約170mA/cm
2、または少なくとも約180mA/cm
2、または少なくとも約190mA/cm
2、または少なくとも約200mA/cm
2、または少なくとも約225mA/cm
2、または少なくとも約250mA/cm
2であることができる。追加的に、または代わりとして、燃料電池によって発生する電流密度は、約500mA/cm
2以下、例えば450mA/cm
2以下、または400mA/cm
2以下、または350mA/cm
2以下、または300mA/cm
2以下であることができる。
【0080】
様々な態様において、発電を増加させ、廃熱の発生を増加させて、燃料電池を作動させることを可能にするために、吸熱性反応(例えば、改質反応)の有効な量を実行することができる。あるいは、アノード作動とは無関係な他の吸熱性反応を使用して、流体連絡ではなく熱連絡にある燃料電池配列に「プレート」または段階を散在させることによって、廃熱を利用することができる。吸熱性反応の有効な量は、吸熱性反応を実行するための関連する改質段階、集積化された改質段階、集積化された積層要素、またはそれらの組み合わせにおいて実行することができる。吸熱性反応の有効な量は、燃料電池インレットから燃料電池アウトレットへの温度上昇を、約100℃以下、例えば、約90℃以下、または約80℃以下、または約70℃以下、または約60℃以下、または約50℃以下、または約40℃以下、または約30℃以下まで低下させるために十分な量に相当することができる。追加的に、または代わりとして、吸熱性反応の有効な量は、約100℃以下、例えば、約90℃以下、または約80℃以下、または約70℃以下、または約60℃以下、または約50℃以下、または約40℃以下、または約30℃以下、または約20℃以下、または約10℃以下の燃料電池インレットから燃料電池アウトレットまでの温度減少を生じるのに十分な量に相当することができる。燃料電池インレットから燃料電池アウトレットへの温度減少は、吸熱性反応の有効な量が、発生する廃熱より多い場合に生じることができる。追加的に、または代わりとして、これは、吸熱性反応(例えば、改質および別の吸熱性反応の組み合わせ)が、燃料電池によって発生する廃熱の少なくとも約40%を消費すること、例えば、廃熱の少なくとも約50%、または廃熱の少なくとも約60%、または廃熱の少なくとも約75%を消費することに相当することができる。さらに追加的に、または代わりとして、吸熱性反応は、約95%以下の廃熱、例えば、約90%以下の廃熱、または約85%以下の廃熱を消費することができる。
【0081】
本明細書に記載される燃料電池作動戦略の追加、補足、および/または代替として、減少された作動電圧および低い燃料利用に相当する条件で溶融炭酸塩形燃料電池(例えば、燃料電池アセンブリ)を作動させることができる。様々な態様において、燃料電池を、約0.7ボルト未満、例えば、約0.68V未満、約0.67V未満、約0.66V未満または約0.65V以下の電圧V
Aで作動させることができる。追加的に、または代わりに、燃料電池を、少なくとも約0.60、例えば、少なくとも約0.61、少なくとも約0.62、または少なくとも約0.63の電圧V
Aで作動させることができる。そのような場合、その他の場合には高電圧において電気エネルギーとして燃料電池から出るエネルギーは、電圧が低下されるため、熱として電池に残存することができる。この追加的な熱によって、吸熱性反応の増加が生じることが可能となり、例えば、合成ガスへのCH
4変換を増加させる。
【0082】
定義
燃焼タービン:この記載において、燃焼タービンは、燃焼の生成物(例えば、熱加圧蒸気流)が、タービンを回転させるために直接使用されるタービンと定義される。この定義は、燃焼の生成物が、タービンを回転させるために直接使用される蒸気を発生する水などの別々の流体を加熱するために使用される蒸気タービンを排除する。
【0083】
合成ガス:本記載において、合成ガスは、いずれかの比率でのH
2とCOとの混合物として定義される。任意に、H
2Oおよび/またはCO
2が合成ガスに存在してもよい。任意に、不活性化合物(例えば、窒素)および残留する改質可能燃料化合物が合成ガスに存在してもよい。H
2およびCO以外の成分が合成ガスに存在する場合、合成ガス中のH
2およびCOの組み合わせられた体積パーセントは、合成ガスの全体積と比較して、少なくとも25体積%、例えば、少なくとも40体積%、または少なくとも50体積%、または少なくとも60体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、合成ガス中のH
2およびCOの組み合わせられた体積パーセントは、100体積%以下、例えば、95体積%以下、または90体積%以下であることができる。
【0084】
改質可能燃料:改質可能燃料は、H
2を発生させるために改質可能炭素−水素結合を含有する燃料として定義される。アルコールなどの他の炭化水素化合物のように、炭化水素は改質可能燃料の例である。COおよびH
2Oは、水素を形成するための水性ガスシフト反応に関与することができるが、COはこの定義での改質可能燃料とは考えられない。
【0085】
改質可能水素含有量:燃料の改質可能水素含有量は、燃料を改質して、次いで、H
2生成を最大にするために水性ガスシフト反応を完了させることによって、燃料から誘導することができるH
2分子の数として定義される。なお、本明細書においては、H
2自体は改質可能燃料として定義されないが、定義によるH
2は1の改質可能水素含有量を有する。同様に、COは1の改質可能水素含有量を有する。COは厳密には改質可能ではないが、水性ガスシフト反応を完了させることによって、H
2に対するCOの交換がもたらされる。改質可能燃料に関する改質可能水素含有量の例として、メタンの改質可能水素含有量は4H
2分子であり、エタンの改質可能水素含有量は7H
2分子である。より一般に、燃料が組成CxHyOzを有する場合、100%の改質および水性ガスシフトにおける燃料の改質可能水素含有量は、n(H
2最大改質)=2x+y/2−zである。この定義をベースとして、電池内の燃料利用は、次いで、n(H
2ox)/n(H
2最大改質)として表することができる。もちろん、成分の混合物の改質可能水素含有量は、個々の成分の改質可能水素含有量をベースとして決定することができる。酸素、硫黄または窒素などの他のヘテロ原子を含有する化合物の改質可能水素含有量も同様の方法で算出することができる。
【0086】
酸化反応:本考察において、燃料電池のアノード内の酸化反応は、CO
32−との反応によってH
2OおよびCO
2を形成する、H
2の酸化に相当する反応として定義される。なお、炭素−水素結合を含有する化合物が、H
2およびCOまたはCO
2へと変換されるアノード内での改質反応は、アノードにおける酸化反応のこの定義から排除される。水性ガスシフト反応は、酸化反応のこの定義の他は同様である。さらになお、燃焼反応への参照は、燃焼発電機の燃焼領域などの非電気化学的バーナーにおいて、H
2または炭素−水素結合を含有する化合物がO
2と反応して、H
2Oおよび酸化炭素を形成する反応への参照として定義される。
【0087】
本発明の態様は、燃料電池のための所望の作動範囲を達成するために、アノード燃料パラメーターを調節することができる。アノード燃料パラメーターは、直接、および/または1つ以上の比率の形態で他の燃料電池プロセスに関して、特徴づけることができる。例えば、アノード燃料パラメーターは、燃料利用、燃料電池発熱量利用、燃料過剰比率、改質可能燃料過剰比率、改質可能水素含有量燃料比率、およびそれらの組み合わせを含む1つ以上の比率を達成するために、制御することができる。
【0088】
燃料利用:燃料利用は、燃料電池に関する燃料利用を定義するために使用することができるインプット流の改質可能水素含有量と比較して、酸化された燃料の量をベースとするアノードの作動を特徴づけるための選択である。本考察において、「燃料利用」は、(上記の通り)電気の発生のためにアノードで酸化された水素の量と、アノードインプットの改質可能水素含有量(いずれかの関連する改質段階も含む)との比率として定義される。改質可能水素含有量は、上記の通り、燃料を改質して、次いで、H
2生成を最大にするために水性ガスシフト反応を完了させることによって、燃料から誘導することができるH
2分子の数として定義される。例えば、アノードに導入され、そして蒸気改質条件に暴露されるそれぞれのメタンによって、最大生成で4H
2分子当量の発生をもたらされる(改質および/またはアノード条件次第で、改質生成物は、その代わりにH
2分子の1つ以上がCO分子の形態で存在する非水性ガスシフト生成物に相当することが可能である)。したがって、メタンは、4H
2分子の改質可能水素含有量を有するものとして定義される。他の例として、この定義において、エタンは7H
2分子の改質可能水素含有量を有する。
【0089】
アノードにおける燃料の利用は、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される全ての燃料の低位発熱量と比較して、燃料電池アノード反応によってアノードで酸化された水素の低位発熱量の比率をベースとする発熱量利用を定義することによっても特徴づけることができる。本明細書において使用される場合、「燃料電池発熱量利用」は、燃料電池アノードに出入りする燃料成分のフローレートおよび低位発熱量(LHV)を使用して計算することができる。そのようなものとして、(LHV(anode_in)−LHV(anode_out))/LHV(anode_in)として燃料電池発熱量利用を計算することができる。式中、LHV(anode_in)およびLHV(anode_out)は、それぞれ、アノードインレットおよびアウトレット流またはフローにおける燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)のLHVを指す。この定義において、流れまたはフローのLHVは、インプットおよび/またはアウトプット流の各燃料成分の値の合計として計算されてもよい。合計に対する各燃料成分の寄与は、燃料成分のLHV(例えば、ジュール/モル)を乗算した燃料成分のフローレート(例えば、モル/時間)に相当することができる。
【0090】
低位発熱量:低位発熱量は、気相の完全に酸化された生成物(例えば、気相のCO
2およびH
2O生成物)への燃料成分の燃焼のエンタルピーとして定義される。例えば、アノードインプット流に存在するいずれのCO
2も、CO
2はすでに完全に酸化されるため、アノードインプットの燃料含有量に寄付しない。この定義に関して、アノード燃料電池反応によってアノードにおいて生じる酸化の量は、上記で定義されるように、アノードの電気化学的反応の一部としてのアノードにおけるH
2の酸化として定義される。
【0091】
なお、アノードインプットフローにおける唯一の燃料がH
2である特別な場合に関して、アノードにおいて生じることができる燃料成分が関与する唯一の反応は、H
2からH
2Oへの変換を表す。このような特別な場合、燃料利用は、(H
2−レート−イン(rate−in)−H
2−レート−アウト(rate−out))/H
2−レート−インとして単純化される。そのような場合、H
2は唯一の燃料成分であり、そしてH
2のLHVは方程式から相殺される。より一般的な場合では、アノード供給は、例えば、様々な量でCH
4、H
2およびCOを含有してもよい。これらの種がアノードアウトレットにおいて異なる量で典型的に存在することができるため、要約は上記の通り、燃料利用を決定するために必要である。
【0092】
燃料利用の他に、または加えて、燃料電池内の他の反応物の利用を特徴づけることができる。例えば、燃料電池の作動は、追加的に、または代わりとして、「CO
2利用」および/または「酸化剤」利用に関して特徴づけることができる。CO
2利用および/または酸化剤利用のための値は、同様の方法で明示することができる。
【0093】
燃料過剰比率:溶融炭酸塩形燃料電池における反応を特徴づけるさらに別の方法は、燃料電池アノード反応によってアノードにおいて酸化された水素の低位発熱量と比較して、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される全ての燃料の低位発熱量の比率をベースとする利用を定義することによる。この量は、燃料過剰比率と呼ばれる。そのようなものとして、燃料過剰比率を、(LHV(anode_in)/(LHV(anode_in)−LHV(anode_out))として計算することができる。式中、LHV(anode_in)およびLHV(anode_out)は、それぞれ、アノードインレットおよびアウトレット流またはフローにおける燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)のLHVを指す。本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池を、少なくとも約1.0、例えば少なくとも約1.5、または少なくとも約2.0、または少なくとも約2.5、または少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0の燃料過剰比率を有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、燃料過剰比率は、約25.0の以下であることができる。
【0094】
なお、アノードのためのインプット流の改質可能燃料の全てが改質され得るというわけではない。好ましくは、アノード(および/または関連する改質段階)へのインプット流の改質可能燃料の少なくとも約90%、例えば、少なくとも約95%、または少なくとも約98%がアノードを出る前に改質可能である。いくつかの別の態様において、改質される改質可能燃料の量は、約75%〜約90%、例えば、少なくとも約80%であることができる。
【0095】
燃料過剰比率に関する上記の定義は、電力の発生のために燃料電池アノードにおいて消費される燃料の量と比較して、アノードおよび/または燃料電池と関連する改質段階の範囲内で生じる改質の量を特徴づける方法を提供する。
【0096】
任意に、燃料過剰比率は、燃料がアノードアウトプットからアノードインプットまでリサイクルされる状態を占めるように変更することができる。燃料(例えば、H
2、COおよび/または未改質もしくは部分的に改質された炭化水素)がアノードアウトプットからアノードインプットまでリサイクルされる場合、そのようなリサイクルされた燃料成分は、他の目的のために使用することができる改質可能または改質された燃料の過剰量を表さない。その代わりに、そのようなリサイクルされた燃料成分は、燃料電池における燃料利用を低下させることの希望を単に示すのみである。
【0097】
改質可能燃料過剰比率:改質可能燃料過剰比率を算出することは、そのようなリサイクルされた燃料成分が、改質可能燃料のLHVのみがアノードへのインプット流に含まれるように過剰燃料の定義を限定することを示す1つの選択である。本明細書で使用される場合、「改質可能燃料過剰比率」は、燃料電池アノード反応によってアノードにおいて酸化された水素の低位発熱量と比較して、アノードと関連するアノードおよび/またはアノードと関連する改質段階まで送達される改質可能燃料の低位発熱量として定義される。改質可能燃料過剰比率のための定義において、アノードインプットのいずれのH
2またはCOのLHVも排除される。改質可能燃料のそのようなLHVは、燃料電池アノードに入る実際の組成物を特徴づけることによって、なお測定することができ、リサイクルされた成分と新たな成分との間での区別は必要とされない。いくつかの未改質または部分的に改質された燃料もリサイクルされてもよいが、ほとんどの態様において、アノードにリサイクルされる大部分の燃料は改質された生成物(例えば、H
2またはCO)に相当することができる。数学的に表すと、改質可能燃料過剰比率(R
RFS)=LHV
RF/LHV
OHであり、式中、LHV
RFは、改質可能燃料の低位発熱量(LHV)であり、そしてLHV
OHは、アノードで酸化される水素の低位発熱量(LHV)である。アノードで酸化される水素のLHVは、アノードインレット流のLHVからアノードアウトレット流のLHVを差し引くことによって算出されてもよい(例えば、LHV(anode_in)−LHV(anode_out))。本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池は、少なくとも約0.25、例えば、少なくとも約0.5、または少なくとも約1.0、または少なくとも約1.5、または少なくとも約2.0、または少なくとも約2.5、または少なくとも約3.0、または少なくとも約4.0の改質可能燃料過剰比率を有するように作動させることができる。追加的に、または代わりとして、改質可能燃料過剰比率は約25.0以下であることができる。なお、アノードにおける酸化の量と比較してのアノードに送達される改質可能燃料の量をベースとするこのようなより狭い定義によって、低燃料利用を有する燃料電池作動方法の2つの種類を識別することができる。いくつかの燃料電池は、アノードアウトプットからアノードインプットへの実質的な部分をリサイクルすることによって、低燃料利用を達成する。このリサイクルによって、アノードインプットにおけるいずれかの水素を、アノードにインプットとして再び使用することが可能である。これによって改質の量を低下させることができ、燃料利用が燃料電池の単回通過に関して低い場合でさえも、その後の通過において、未使用の燃料の少なくとも一部分はリサイクルされる。したがって、広範囲の種々の燃料利用値を有する燃料電池は、アノード改質段階に送達される改質可能燃料とアノード反応において酸化される水素との同一比率を有してもよい。アノードにおける酸化の量に関するアノード改質段階に送達される改質可能燃料の比率を変化させるため、非改質可能燃料の本来の含有量を有するアノード供給が識別される必要があるか、またはアノードアウトプットにおける未使用の燃料が、他の用途のために回収される必要があるか、あるいは両方である。
【0098】
改質可能水素過剰比率:燃料電池の作動を特徴づけるためのさらにもう1つの選択肢は、「改質可能水素過剰比率」をベースとする。上記で定義される改質可能燃料過剰比率は、改質可能燃料成分の低位発熱量をベースとして定義される。改質可能水素過剰比率は、燃料電池アノード反応によってアノードで反応する水素と比較した、アノードおよび/またはアノードと関連する改質段階に送達される改質可能燃料の改質可能水素含有量として定義される。そのようなものとして、「改質可能水素過剰比率」は、(RFC(reformable_anode_in)/(RFC(reformable_anode_in)−RFC(anode_out))として計算することができ、式中、(RFC(reformable_anode_in)は、アノードインレット流またはフローの改質可能燃料の改質可能水素含有量を指し、RFC(anode_out)は、アノードインレットおよびアウトレット流またはフローの燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)の改質可能水素含有量を指す。RFCは、モル/秒、モル/時間などで表すことができる。アノード改質段階に送達される改質可能燃料とアノードの酸化の量との大きい比率を有する燃料電池を作動させる方法の例は、燃料電池における熱の発生および消費を釣り合わせるために、過剰の改質が実行される方法であることができる。H
2およびCOを形成するために改質可能燃料を改質することは、吸熱性プロセスである。この吸熱性反応は、燃料電池における電流の発生によって対抗することができ、これは、アノード酸化反応および炭酸塩形成反応によって発生する熱量と流の形態で燃料電池を出るエネルギーとの差異に(おおよそ)相当する過剰量の熱を生じることもできる。アノード酸化反応/炭酸塩形成反応に関与する水素のモルあたりの過剰量の熱は、改質によって水素のモルを発生されるために吸収した熱よりも大きくなることが可能である。その結果、従来条件で作動される燃料電池は、インレットからアウトレットまでの温度増加を示すことができる。この種類の従来の作動の代わりに、アノードと関連する改質段階において改質される燃料の量を増加させることができる。例えば、発熱性燃料電池反応によって発生する熱が、改質において消費される熱によって(おおよそ)釣り合うことができるように、あるいは改質によって消費される熱が、燃料酸化によって発生する過剰量の熱より大きくなることができ、燃料電池全体での温度低下がもたらされるように、追加的な燃料を改質することができる。これによって、電力発生のために必要とされる量と比較して、水素の実質的な過剰をもたらすことができる。一例として、燃料電池のアノードインレットまたは関連する改質段階への供給は、実質的に純粋なメタン供給などの改質可能燃料から実質的に構成されることができる。そのような燃料を使用する発電のための従来の作動の間、溶融炭酸塩形燃料電池は約75%の燃料利用で作動することができる。これは、次いで、アノードにおいて、炭酸塩イオンと反応して、H
2OおよびCO
2を形成する水素を形成するために、アノードに送達される燃料含有量の約75%(または3/4)が使用されることを意味する。従来の作動において、燃料含有量の残りの約25%は、燃料電池でH
2に改質されることができ(または、燃料のいずれのCOまたはH
2に関して未反応の燃料電池を通過することができ)、次いで、燃料電池の外側で燃焼され、H
2OおよびCO
2を形成し、燃料電池へとカソードインレットのための熱を提供する。この状態における改質可能水素過剰比率は、4/(4−1)=4/3であることができる。
【0099】
電気効率:本明細書で使用される場合、「電気効率」(EE」)という用語は、燃料電池への燃料インプットの低位発熱量(「LHV」)の率で割られる、燃料電池で生じる電気化学的動力として定義される。燃料電池への燃料インプットには、アノードに送達される燃料、ならびに燃料電池の温度を維持するために使用されるいずれの燃料、例えば、燃料電池と関連するバーナーに送達される燃料の両方が含まれる。本記載において、燃料によって生じる動力は、LHV(el)燃料率に関して記載されてもよい。
【0100】
電気化学的動力:本明細書で使用される場合、「電気化学的動力」またはLHV(el)という用語は、燃料電池でカソードをアノードに連結する回路および燃料電池の電解質を通る炭酸塩イオンの移動によって発生する動力である。電気化学的動力は、燃料電池から生じるか、上流または下流装置で消費される動力を排除する。例えば、燃料電池廃棄物流における熱から生じる電気は、電気化学的動力の一部分として考えられない。同様に、燃料電池の上流のガスタービンまたは他の装置で発生する動力は、発生する電気化学的動力の一部分でない。「電気化学的動力」は、燃料電池の作動の間に消費される電力、または直流から交流への変換によって生じるいずれの損失も考慮しない。言い換えると、燃料電池作動を供給するため、または他に燃料電池を作動するために使用される電力は、燃料電池によって生じる直流動力から差し引かれない。本明細書で使用される場合、電力密度は電圧を乗算した電流密度である。本明細書で使用される場合、全燃料電池動力は、燃料電池面積を乗算した電力密度である。
【0101】
燃料インプット:本明細書で使用される場合、LHV(anode_in)として示される「アノード燃料インプット」という用語は、アノードインレット流の中の燃料の量である。LHV(in)として示される「燃料インプット」という用語は、アノードインレット流内の燃料の量および燃料電池の温度を維持するために使用される燃料の量の両方を含む燃料電池に送達される燃料の全体の量である。燃料は、本明細書に提供される改質可能燃料の定義をベースとして、改質可能および非改質可能燃料を含んでもよい。燃料インプットは、燃料利用と同一ではない。
【0102】
全燃料電池効率:本明細書で使用される場合、「全燃料電池効率」(「TFCE」)という用語は、燃料電池によって発生する電気化学的動力に、燃料電池によって生じる合成ガスのLHVの率を足したものを、アノードへの燃料インプットのLHVの率で割ったものとして定義される。言い換えると、TFCE=(LHV(el)+LHV(sg net))/LHV(anode_in)であり、式中、LHV(anode_in)は、燃料成分(例えばH
2、CH
4および/またはCO)がアノードに送達される時のLHVを指し、かつLHV(sg net)は、合成ガス(H
2、CO)がアノードで生じる率を指し、これは、アノードへの合成ガスインプットとアノードからの合成ガスアウトプットとの間の差異である。LHV(el)は、燃料電池の電気化学的発電を記載する。全燃料電池効率は、燃料電池の外側で有利に使用される、燃料電池によって発生する熱を排除する。作動において、燃料電池によって発生する熱は、下流の装置において有利に使用されてもよい。例えば、熱は追加的な電気を発生させるか、または水を加熱するために使用されてもよい。これらの用途は、それらが燃料電池と離れて生じる場合、本出願で使用される用語のような全燃料電池効率の一部分でない。全燃料電池効率は、燃料電池作動のみに関し、動力発生または、上流もしくは下流での燃料電池の消費を含まない。
【0103】
化学効率:本明細書で使用される場合、「化学効率」という用語は、燃料インプットまたはLHV(in)で割られる、燃料電池のアノード排出物におけるH
2およびCOの低位発熱量、またはLHV(sg out)として定義される。
【0104】
電気効率も全システム効率も、上流または下流のプロセスの効率を考慮に入れない。例えば、燃料電池カソードのためのCO
2の供給源としてタービン排出物を使用することは有利であり得る。この配置では、タービンの効率は、電気効率または全燃料電池効率の計算の一部分として考慮されない。同様に、燃料電池からのアウトプットは、燃料電池へのインプットとしてリサイクルされてもよい。単回通過モードで電気効率または全燃料電池効率を算出する場合、リサイクルループは考慮されない。
【0105】
生成した合成ガス:本明細書で使用される場合、「生成した合成ガス」という用語は、アノードへの合成ガスインプットとアノードからの合成ガスアウトプットとの間の差異である。合成ガスは、少なくとも部分的に、アノードのためのインプットまたは燃料として使用されてもよい。例えば、システムは、天然ガスまたは他の適切な燃料で補足されて、アノード排出物からアノードインレットまで合成ガスを戻すアノードリサイクルループを含んでもよい。生成した合成ガスLHV(sg net)=(LHV(sg out)−LHV(sg in))であり、LHV(sg in)およびLHV(sg out)は、アノードインレットの合成ガスのLHVおよびアノードアウトレット流またはフローの合成ガスのLHVをそれぞれ指す。なお、アノード内での改質反応によって生じた合成ガスの少なくとも一部分は、典型的に、電気を生じるためにアノードで利用されることができる。電気を生じるために利用される水素は、アノードから出ないため、「生成した合成ガス」の定義に含まれない。本明細書で使用される場合、「合成ガス比率」という用語は、アノードへの燃料インプットのLHVで割られた、生成した正味の合成ガスのLHV、またはLHV(sg net)/LHV(anode in)である。合成ガスおよび燃料のモルフローレートは、LHVの代わりに、モルベースの合成ガス比率およびモルベースの生成した合成ガスを表すために使用することができる。
【0106】
蒸気と炭素との比率(S/C):本明細書で使用される場合、蒸気と炭素との比率(:スチーム/カーボン:S/C)は、フロー中の蒸気とフロー中の改質可能炭素とのモル比である。COおよびCO
2の形の炭素は、この定義における改質可能炭素として含まれない。蒸気と炭素との比率は、システムの異なる点で測定および/または制御することができる。例えば、アノードインレット流の組成は、アノードにおいて改質するために適切なS/Cを達成するように修正することができる。S/Cは、燃料、例えば、メタン中の炭素原子の数を乗算した燃料のモルフローレートの積で割られる、H
2Oのモルフローレートとして与えられることができる。したがって、S/C=f
H2O/(f
CH4×#C)であり、式中、f
H2Oは水のモルフローレートであり、f
CH4は、メタン(または他の燃料)のモルフローレートであり、かつ#Cは燃料中の炭素の数である。
【0107】
EGR比率:本発明の態様は、燃料電池と協力してタービンを使用することができる。組み合わせられた燃料電池およびタービンシステムは、排出物ガスリサイクル(「EGR」)を含んでもよい。EGRシステムでは、タービンで発生する少なくとも一部分の排出物ガスは、熱回収発電機に送られることができる。排出物ガスの別の部分は、燃料電池に送られることができる。EGR比率は、燃料電池に送られる排出物ガスと燃料電池または熱回収発電機に送られる全排出物ガスとの量を記載する。本明細書で使用される場合、「EGR比率」は、燃料電池結合部分および熱回収発電機に送られる回収結合部分に関する組み合わせられたフローレートで割られた、排出物ガスの燃料電池結合部分のためのフローレートである。
【0108】
本発明の様々な態様において、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を使用して、追加的な電力を発生させながら、CO
2含有流からのCO
2の分離を促進することができる。CO
2分離は、燃料電池のカソード部分にインプット供給の少なくとも一部分を提供することができる燃焼ベース発電機との相乗効果を利用することによって、さらに向上させることができる。
【0109】
燃料電池および燃料電池構成要素:本考察において、燃料電池は、電解質によって分離されるアノードおよびカソードを有する単電池に相当することができる。アノードおよびカソードは、電解質全体で電荷を輸送して、電気を発生させるために、それぞれのアノードおよびカソード反応を促進するためのインプットガスフローを受け取ることができる。燃料電池積層は、集積化されたユニットで複数の電池を表すことができる。燃料電池積層は複数の燃料電池を含むことができ、燃料電池は典型的に並列に連結されることができ、そして、それらが集合的により大きい径の単一燃料電池を表すように(ほぼ)機能することができる。インプットフローが燃料電池積層のアノードまたはカソードに送達される場合、燃料積層は、積層中のそれぞれの電池間のインプットフローを割るためのフローチャネルおよび個々の電池からのアウトプットフローを組み合わせるためのフローチャネルを含むことができる。本考察において、燃料電池アレイは、直列、並列、または他のいずれかの都合のよい方法(例えば、直列および並列の組み合わせで)で配置される複数の燃料電池(例えば、複数の燃料電池積層)を指すために使用することができる。燃料電池アレイは、第1の段階からのアノード/カソードアウトプットは、第2の段階のためのアノード/カソードインプットとして役立ち得る、燃料電池および/または燃料電池積層の1つ以上の段階を含むことができる。なお、燃料電池アレイのアノードは、アレイのカソードと同一の方法で連結されなくてもよい。便宜のために、燃料電池アレイの第1のアノード段階へのインプットは、アレイのためのアノードインプットと呼ばれてもよく、そして燃料電池アレイの第1のカソード段階へのインプットは、アレイへのカソードインプットと呼ばれてもよい。同様に、最終アノード/カソード段階からのアウトプットは、アレイからのアノード/カソードアウトプットと呼ばれてもよい。
【0110】
本明細書における燃料電池の使用の言及は、典型的に、個々の燃料電池から構成される「燃料電池積層」を示し、そしてより一般に、流体連絡における1つ以上の燃料電池積層の使用を指すことは理解されるべきである。個々の燃料電池要素(プレート)は、「燃料電池積層」と呼ばれる長方形アレイで一緒に典型的に「積層」されることができる。この燃料電池積層は、典型的に、全ての個々の燃料電池の間で流れを供給することができ、かつ反応物を分配することができ、次いで、これらの要素のそれぞれから生成物を収集することができる。ユニットとして見ると、作動中の燃料電池積層は、多くの(しばしば、十または何百)の個々の燃料電池要素から構成されるとしても、一体としてみなすことができる。これらの個々の燃料電池要素は、同様の電圧(反応物および生成物濃度が同様)を典型的に有することができ、そして全動力アウトプットは、要素が直列に電気的に連結される場合、電池要素の全部の電流の合計から生じることができる。積層は、高電圧を生じるために、直列で配置されることもできる。並列の配列は、電流を高めることができる。十分に大きい体積燃料電池積層が所与の排出物フローを処理するために利用可能であるならば、本明細書に記載されるステムおよび方法は単一の溶融炭酸塩形燃料電池積層で使用することができる。本発明の他の態様において、様々な理由のために、複数の燃料電池積層は望ましくあり得るか、または必要とされ得る。
【0111】
本発明の目的のために、他に明記しない限り、「燃料電池」という用語は、燃料電池が実際に典型的に利用される方法として単一のインプットおよびアウトプットがある、1つ以上の個々の燃料電池要素から構成される燃料電池積層を指すものとしても理解されるべきであり、および/またはそれを参照することを含むものとして定義される。同様に、燃料電池(複数)という用語は、特に明記しない限り、複数の個々の燃料電池積層を指すものとしても理解されるべきであり、および/またはそれを含むものとして定義される。言い換えると、本明細書の範囲内の全ての参照は、具体的に示されない限り、「燃料電池」としての燃料電池積層の作動に交換可能に適用することができる。例えば、商業的なスケールの燃焼発電機で発生する排出物の体積は、従来の径の燃料電池(例えば、単一積層)による処理に関して大きくなり得る。完全に排出物を処理するために、それぞれの燃料電池が燃焼排出物の(ほぼ)同等の部分を処理することができるように、複数の燃料電池(すなわち、2以上の個々の燃料電池または燃料電池積層)を並列に配置することができる。複数の燃料電池を使用することができるが、燃料電池は典型的に、一般に同様の方法で、燃焼排出物の所与のその(ほぼ)同等の部分で作動されることができる。
【0112】
「内部改質」および「外部改質」:燃料電池または燃料電池積層は、1つ以上の内部改質部分を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「内部改質」という用語は、燃料電池(燃料電池積層)の本体の範囲内で、または、その他の場合で燃料電池アセンブリ内で生じる燃料改質を指す。外部改質は、燃料電池とともにしばしば使用されるが、燃料電池積層の外側に位置する装置の個々において生じる。言い換えると、外部改質装置の本体は、燃料電池または燃料電池積層の本体との直接的な物理的接触がない。典型的な構成において、外部改質装置からのアウトプットを、燃料電池のアノードインレットに供給することができる。特に具体的に明記されない限り、本出願で記載される改質は内部改質である。
【0113】
内部改質は、燃料電池アノード内で生じてもよい。内部改質は、燃料電池アセンブリ内で集積化される内部改質要素内で、追加的に、または代わりとして生じることができる。集積化された改質要素は、燃料電池積層内の燃料電池要素の間に位置してもよい。言い換えると、積層のトレイの1つは、燃料電池要素の代わりに改質部分であることができる。一態様において、燃料電池積層内のフロー配列は、内部改質要素に、次いで、燃料電池のアノード部分に燃料を向ける。したがって、フローの観点から、内部改質要素および燃料電池要素は、燃料電池積層内で直列に配置されることができる。本明細書で使用される場合、「アノード改質」は、アノード内で生じる燃料改質である。本明細書で使用される場合、「内部改質」という用語は、アノード部分ではなくて、集積化された改質要素内で生じる改質である。
【0114】
いくつかの態様において、燃料電池アセンブリに対して内部である改質段階は、燃料電池アセンブリのアノードと関連するものとして考慮することができる。いくつかの別の態様において、アノードと関連する(例えば複数のアノードと関連する)ことができる燃料電池積層の改質段階に関して、改質段階からのアウトプットフローが少なくとも1つのアノードに通過されるように、フローパスは利用可能でありえる。これは、電解質と接触しておらず、代わりに改質触媒として役立つことができる燃料電池プレートの初期部分を有することに相当することができる。関連する改質段階の別の選択肢は、燃料電池積層の要素の1つとして、集積化された改質段階からのアウトプットを燃料電池積層の燃料電池の1つ以上のインプットサイドに戻すことができる、別々の集積化された改質段階を有することであることができる。
【0115】
熱集積化の観点から、燃料電池積層の特徴的な高さは、個々の燃料電池積層要素の高さであることができる。なお、別々の改質段階および/または別々の吸熱性反応段階は、燃料電池とは異なる積層の高さを有することができるであろう。そのようなシナリオでは、燃料電池要素の高さは、特徴的な高さとして使用されることができる。いくつかの態様において、集積化された吸熱性反応段階は、集積化された吸熱性反応段階が吸熱性反応のための熱供給源として燃料電池から熱を使用することができるように、1つ以上の燃料電池と熱集積化される段階として定義されることができる。そのような集積化された吸熱性反応段階は、集積化された段階に熱を提供するいずれの燃料電池からの積層要素の高さの5倍未満の高さで配置されるものとして定義されることができる。例えば、集積化された吸熱性反応段階(例えば改質段階)は、熱集積されたいずれの燃料電池からの積層要素の高さの5倍未満、例えば、積層要素の高さの3倍未満の高さで配置されることができる。本考察において、燃料電池要素に隣接する積層要素を表す集積化された改質段階および/または集積化された吸熱性反応段階は、隣接する燃料電池要素から約1つ分の積層要素高さ以下であるものとして定義することができる。
【0116】
いくつかの態様において、燃料電池要素と熱集積化される別々の改質段階は、燃料電池要素と関連する改質段階に相当することができる。そのような態様において、集積化された燃料電池要素は、熱の少なくとも一部分を関連する改質段階に提供することができ、そして関連する改質段階は、改質段階アウトプットの少なくとも一部分を燃料流として集積化された燃料電池に提供することができる。他の態様において、別々の改質段階は、燃料電池と関連することなく、熱伝達のために燃料電池と集積化することができる。この種類の状態において、別々の改質段階は、燃料電池から熱を受け取ることができるが、改質段階のアウトプットを燃料電池へのインプットとして使用しないことを決定することができる。その代わりに、アノード排出物流へのアウトプットの直接添加などの別の目的のため、および/または燃料電池アセンブリから別々のアウトプット流を形成するために、そのような改質段階のアウトプットを使用することを決定することができる。
【0117】
より一般に、集積化された燃料電池積層要素によって提供される廃熱を利用することができる吸熱性反応のいずれかの都合のよい種類を実行するために、燃料電池積層の別々の積層要素を使用することができる。炭化水素流において改質反応を実行するために適切なプレートの代わりに、別々の積層要素は、別の種類の吸熱性反応に触媒作用を及ぼすために適切なプレートを有することができる。マニホールドまたは燃料電池積層におけるインレットコンジットの他の配列は、適切なインプットフローをそれぞれの積層要素に提供するために使用することができる。同様のマニホールドまたはアウトレットコンジットの他の配列は、アウトプットフローをそれぞれの積層要素から回収するために、追加的に、または代わりとして使用することができる。任意に、積層の吸熱性反応段階からのアウトプットフローは、アウトプットフローを燃料電池アノードに通過させることなく、燃料電池積層から回収することができる。そのような任意の態様において、発熱性反応の生成物は、したがって、燃料電池アノードに通過させることなく、燃料電池積層から出ることができる。燃料電池積層の積層要素において実行することができる他の種類の吸熱性反応の例には、限定されないが、エチレンおよびエタンクラッキングを形成するエタノール脱水が含まれることができる。
【0118】
リサイクル:本明細書に定義されるように、燃料電池インレットへの燃料電池アウトプットの一部分(例えば、アノード排出物または、アノード排出物から分離されるか、もしくは回収される流れ)のリサイクルは、直接的または間接的なリサイクル流に相当することができる。燃料電池インレットへの流れの直接的なリサイクルは、中間プロセスを通過することのない流れのリサイクルとして定義され、間接的なリサイクルには、1つ以上の中間プロセスに流れを通過させた後のリサイクルが関与する。例えば、アノード排出物がリサイクルの前にCO
2分離段階を通過する場合、これはアノード排出物の間接的なリサイクルと考えられる。アノード排出物から回収されるアノード排出物の一部分、例えば、H
2流が、燃料電池への導入のために適切な燃料へと石炭を変換するためのガス化装置を通過する場合、これもまた間接的なリサイクルと考えられる。
【0119】
アノードインプットおよびアウトプット
本発明の様々な態様において、MCFCアレイには、例えば、水素および炭化水素、例えば、メタン(または代わりに、CおよびHとは異なるヘテロ原子を含有してもよい炭化水素もしくは炭化水素様化合物)を含んでなる、アノードインレットで受け取られる燃料が供給されることができる。アノードに供給される大部分のメタン(または他の炭化水素もしくは炭化水素様化合物)は、典型的に新しいメタンであることができる。本記載において、新しいメタンなどの新しい燃料は、別の燃料電池プロセスからリサイクルされない燃料を指す。例えば、アノードアウトレット流からアノードインレットにリサイクルされるメタンは、「新しい」メタンとは考えられず、その代わりに、回収されたメタンと記載することができる。使用された燃料供給源は、CO
2含有流をカソードインプットに提供するために燃料供給源の一部分を使用するタービンなどの他の構成要素と共有されることができる。燃料供給源インプットは、水素を発生させる改質部分において炭化水素(または炭化水素様)化合物を改質するために、燃料に対して適切な割合で、水を含むことができる。例えば、メタンがH
2を発生させるために改質するための燃料インプットである場合、水と燃料とのモル比は、約1:1〜約10:1、例えば少なくとも約2:1であることができる。4:1以上の比率は外部改質に関して典型的であるが、内部改質に関してはより低い値が典型的であることができる。H
2が燃料供給源の一部分である範囲まで、いくつかの任意の態様において、アノードにおけるH
2の酸化が、燃料を改質するために使用することができるH
2Oを生じる傾向があることが可能であるため、追加的な水は燃料に必要とされなくてもよい。燃料供給源は、燃料供給源に重要ではない成分を任意に含有することもできる(例えば、天然ガス供給は、追加的な成分としてCO
2のいくらかの含有量を含有することができる)。例えば、天然ガス供給は、追加的な成分として、CO
2、N
2および/または他の不活性(不活性)ガスを含有することができる。任意に、いくつかの態様において、燃料供給源は、アノード排出物のリサイクルされた部分からのCOなどのCOを含有してもよい。燃料電池アセンブリへの燃料におけるCOのための追加的、または代わりの潜在的供給源は、燃料電池アセンブリに入る前に燃料において実行される炭化水素燃料の蒸気改質によって発生するCOであることができる。
【0120】
より一般に、様々な種類の燃料流は、溶融炭酸塩形燃料電池のアノードのためのインプット流としての使用のために適切であり得る。いくつかの燃料流は、CおよびHとは異なるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素および/または炭化水素様化合物を含有する流れに相当することができる。本考察において、特に明記されない限り、MCFCアノードのための炭化水素を含有する燃料流の参照は、そのような炭化水素様化合物を含有する燃料流を含むように定義される。炭化水素(炭化水素様を含む)燃料流の例としては、天然ガス、C1〜C4炭素化合物(例えば、メタンまたはエタン)を含有する流れ、およびより重質のC5+炭化水素(炭化水素様化合物を含む)を含有する流れ、ならびにそれらの組み合わせを含むことができる。アノードインプットに用いられる潜在的燃料流のさらに他の追加的または代わりの例としては、生物ガス型の流れ、例えば、有機材料の天然(生物学的)分解から生じるメタンを含むことができる。
【0121】
いくつかの態様において、希釈剤化合物の存在のため、低エネルギー含有量で、天然ガスおよび/または炭化水素流などのインプット流を処理するために、溶融炭酸塩形燃料電池を使用することができる。例えば、メタンおよび/または天然ガスのいくつかの供給源は、O
2、または窒素、アルゴンもしくはヘリウムなどの他の不活性分子の実質的な量を含むことができる供給源である。CO
2および/または不活性物質の高められた量の存在のために、供給源をベースとする燃料流のエネルギー含有量を低下させることができる。(燃焼動力タービンに動力を供給するためなどの)燃焼反応に、低いエネルギー含有量燃料を使用することは、問題点を提起する可能性がある。しかしながら、溶融炭酸塩形燃料電池は、燃料電池の効率に対する影響が少ないか、または影響を及ぼすことなく、低エネルギー含有量燃料供給源をベースとする動力を発生させることができる。追加的なガス体積の存在は、改質および/またはアノード反応のための温度まで燃料温度を高めるために追加的な熱を必要とすることができる。追加的に、燃料電池アノード内の水性ガスシフト反応の平衡性質のために、追加的なCO
2の存在は、アノードアウトプットに存在するH
2およびCOの相対量に影響を有することができる。しかしながら、不活性化合物は、その他の場合には、改質およびアノード反応に対して最小限の直接的な影響のみを有することができる。溶融炭酸塩形燃料電池のための燃料流におけるCO
2および/または不活性化合物の量は、存在する場合、少なくとも約1体積%、例えば、少なくとも約2体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約10体積%、または少なくとも約15体積%、または少なくとも約20体積%、または少なくとも約25体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約35体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約45体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約75体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、溶融炭酸塩形燃料電池のための燃料流におけるCO
2および/または不活性化合物の量は、約90体積%以下、例えば約75体積%以下、または約60体積%以下、または約50体積%以下、または約40体積%以下、または約35体積%以下であることができる。
【0122】
アノードインプット流のための潜在的供給源のなお別の例は、精製装置および/または他の工業プロセスアウトプット流に相当することができる。例えば、コーキングは、より重質の化合物を、より低沸騰範囲に変換するための多くの精製装置の共通プロセスである。コーキングは、典型的に、COおよび様々なC1〜C4炭化水素を含む室温でガスである様々な化合物を含有するオフガスを生じる。このオフガスは、アノードインプット流の少なくとも一部分として使用することができる。他の精製装置オフガス流は、アノードインプット流での含有のために、追加的に、または代わりとして適切であることができ、例えば、クラッキングまたは他の精製装置プロセスの間に発生する軽質留分(C1〜C4)である。さらに他の適切な精製装置流は、H
2および/または改質可能燃料化合物も含有するCOまたはCO
2を含有する精製装置流を追加的に、または代わりとして含むことができる。
【0123】
アノードインプットのためのさらに他の潜在的供給源は、増加した含水量を有する流れを追加的に、または代わりとして含むことができる。例えば、エタノールプラント(または別の種類の発酵プロセス)からのエタノールアウトプット流は、最終的な蒸留の前にH
2Oの実質的な部分を含む。そのようなH
2Oは、典型的に、燃料電池の作動に対して最小限の影響のみを生じることができる。したがって、アルコール(または他の発酵生成物)と水との発酵混合物を、アノードインプット流の少なくとも一部分として使用することができる。
【0124】
生物ガスまたはダイジェスターガスは、アノードインプットのための別の追加的または代わりの潜在的供給源である。生物ガスは、メタンおよびCO
2を主として含んでなってもよく、典型的に有機物質の分解または消化によって生じる。有機物質を消化し、生物ガスを生じるために、嫌気性菌が使用されてもよい。アノードインプットとしての使用の前に、不純物(例えば硫黄含有化合物)は生物ガスから除去されてもよい。
【0125】
MCFCアノードからのアウトプット流は、H
2O、CO
2、COおよびH
2を含むことができる。任意に、アノードアウトプット流は、追加的なアウトプット成分として、供給に未反応燃料(例えば、H
2もしくはCH
4)または不活性化合物を有することもできるであろう。改質反応のための熱を提供するための燃料供給源として、または電池を加熱するための燃焼燃料として、このアウトプット流を使用する代わりに、別のプロセスへのインプットとして潜在的値を有する成分(例えばH
2またはCO)からCO
2を分離するために、1つ以上の分離をアノードアウトプット流において実行することができる。H
2および/またはCOは、化学合成のために合成ガスとして、化学反応のための水素の供給源として、および/または減少された温室効果ガス排出を有する燃料として使用することができる。
【0126】
様々な態様において、アノードからのアウトプット流の組成は、いくつかの因子によって影響されることができる。アノードアウトプット組成に影響することができる因子には、アノードへのインプット流の組成、燃料電池で発生する電流の量、および/またはアノードの出口の温度を含むことができる。アノード出口の温度は、水性ガスシフト反応の平衡性質のため、関連することができる。典型的なアノードにおいて、アノードの壁を形成するプレートの少なくとも1つは、水性ガスシフト反応に触媒作用を及ぼすために適切であることができる。その結果、a)アノードインプット流の組成は既知であり、b)アノードインプット流の改質可能燃料の改質の範囲は既知であり、かつc)(発生する電流の量に相当する)カソードからアノードまで輸送される炭酸塩の量は既知である場合、アノードアウトプットの組成は、水性ガスシフト反応に関する平衡定数をベースとして決定することができる。
K
eq=[CO
2][H
2]/[CO][H
2O]
【0127】
上記の方程式で、K
eqは、所与の温度および圧力における反応のための平衡定数であり、そして[X]は成分Xの分圧である。水性ガスシフト反応をベースとして、アノードインプットにおけるCO
2濃度の増加は、追加的なCO形成(H
2を犠牲にして)をもたらす傾向があることができ、そしてH
2O濃度の増加は、追加的なH
2形成(COを犠牲にして)をもたらす傾向があることができる。
【0128】
アノードアウトプットにおける組成を決定するために、アノードインプットの組成を出発点として使用することができる。この組成は、アノード内で生じることができるいずれの改質可能燃料の改質の範囲も反映するように、次いで変性することができる。そのような改質によって、水素およびCO
2の増加と引きかえに、アノードインプットの炭化水素含有量を低下させることができる。次に、発生する電流量をベースとして、アノードインプットにおけるH
2の量は、追加的なH
2OおよびCO
2と引きかえに低下することができる。この組成は、次いで、H
2、CO、CO
2およびH
2Oの出口濃度を決定するために、水性ガスシフト反応のための平衡定数をベースとして調節することができる。
【0129】
表1は、典型的な種類の燃料に関する異なる燃料利用におけるアノード排出物組成を示す。アノード排出物組成は、アノード改質反応、水性ガスシフト反応およびアノード酸化反応の組み合わせられた結果を反映することができる。表1のアウトプット組成値は、蒸気(H
2O)と炭素(改質可能燃料)との約2:1の比率のアノードインプット組成を仮定することによって算出された。改質可能燃料は、水素に100%改質されることが仮定されたメタンであると仮定された。アノードインプットの初期のCO
2およびH
2濃度は無視することができると仮定され、インプットN
2濃度は約0.5%であった。燃料利用U
f(本明細書に定義される通り)は、表に示すように、約35%〜約70%の間で変動可能であった。燃料電池アノードのための出口温度は、平衡定数のための正確な値を決定する目的のため、約650℃であることが仮定された。
【0131】
表2は、特定の組み合わせの条件およびアノードインプット組成のためのアノードアウトプット組成を示す。より一般に、様々な態様において、アノードアウトプットは、約10体積%〜約50体積%のH
2Oを含むことができる。アノードのH
2Oはアノード酸化反応によって生じることができるため、H
2Oの量は非常に変動することができる。改質のために必要とされるよりも多いH
2Oの過剰量がアノードに導入される場合、過剰量のH
2Oは、燃料改質および水性ガスシフト反応のために、消費される(または発生する)H
2Oを除き、主に未反応のまま典型的に通過することができる。アノードアウトプットにおけるCO
2濃度も広範囲に変動することができ、例えば、約20体積%〜約50体積%のCO
2であることができる。CO
2の量は、発生する電流の量、ならびにアノードインプットフローのCO
2の量の両方によって影響を受けることができる。アノードアウトプットのH
2の量は、追加的に、または代わりとして、アノードの燃料利用次第で、約10体積%のH
2〜約50体積%のH
2であることができる。アノードアウトプットにおいて、COの量は、約5体積%〜約20体積%であることができる。なお、所与の燃料電池のためのアノードアウトプットのH
2の量と比較してのCOの量は、燃料電池に存在する温度および圧力における水性ガスシフト反応のための平衡定数によって、部分的に決定可能である。アノードアウトプットは、さらに追加的に、または代わりとして、5体積%以下の様々な他の成分、例えば、N
2、CH
4(または他の未反応炭素含有燃料)、および/または他の成分を含むことができる。
【0132】
任意に、1つ以上の水性ガスシフト反応段階が、所望であれば、アノードアウトプットにおいてCOおよびH
2OをCO
2およびH
2へと変換するために、アノードアウトプットの後に含まれることができる。アノードアウトプットに存在するH
2の量は、例えば、より低い温度で水性ガスシフト反応器を使用することによって、アノードアウトプットに存在するH
2OおよびCOをH
2およびCO
2へと変換して、増加させることができる。あるいは、温度を増加させて、水性ガスシフト反応を逆にし、H
2およびCO
2からより多くのCOおよびH
2Oを生じることができる。水は、アノードで生じる反応のアウトプットであることが予想され、アノードアウトプットは、典型的に、アノードアウトプットに存在するCOの量と比較して、過剰量のH
2Oを有することができる。あるいはH
2Oを、アノード出口の後であるが、水性ガスシフト反応の前に、流れに添加されることができる。COは、改質条件またはアノード反応の間に存在するいずれかの条件下で、改質の間の不完全な炭素変換のため、および/またはH
2O、CO、H
2およびCO
2の間での反応の釣合いをとる平衡(すなわち、水性ガスシフト平衡)のために、アノードアウトプットに存在することができる。水性ガスシフト反応器は、COおよびH
2Oを犠牲にして、CO
2およびH
2を形成する方向に、さらに平衡を進める条件下で作動されることができる。より高い温度は、COおよびH
2Oの形成をもたらす傾向があることができる。したがって、水性ガスシフト反応器を作動するための1つの選択肢は、適切な温度、例えば、約190℃〜約210℃で、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化亜鉛上の銅などの適切な触媒にアノードアウトプット流を曝露させることであることができる。任意に、水性ガスシフト反応器は、アノードアウトプット流におけるCO濃度を低下させるために、2つの段階を含むことができ、第1の高温段階は、少なくとも約300℃〜約375℃の温度で作動され、そして第2の低温段階は、約225℃以下、例えば、約180℃〜約210℃の温度で作動される。アノードアウトプットに存在するH
2の量を増加させることに加えて、水性ガスシフト反応は、COを犠牲にして、CO
2の量を追加的に、または代わりとして増加させることができる。これによって、除去が困難な一酸化炭素(CO)を、縮合(例えば、低温除去)、化学反応(例えば、アミン除去)および/または他のCO
2除去方法によってより容易に除去することができる二酸化炭素と交換することができる。追加的に、または代わりとして、H
2とCOとの所望の比率を達成するために、アノード排出物において存在するCO含有量を増加させることが望ましくてもよい。
【0133】
任意の水性ガスシフト反応段階を通過した後、アノードアウトプットは、アノードアウトプット流からの水および/またはCO
2の除去のために、1つ以上の分離段階を通過することができる。例えば、1つ以上のCO
2アウトプット流は、個々に、または組み合わせで1つ以上の方法を使用して、アノードアウトプットにおいてCO
2分離を実行することによって形成されることができる。そのような方法を使用して、90体積%以上のCO
2含有量、例えば、少なくとも95%体積%のCO
2、または少なくとも98体積%のCO
2を有するCO
2アウトプット流を発生させることができる。そのような方法は、アノードアウトプットのCO
2含有量の少なくとも約70%、例えば、アノードアウトプットのCO
2含有量の少なくとも約80%、または少なくとも約90%を回収することができる。あるいは、いくつかの態様において、アノードアウトプット流のCO
2の一部分のみを回収することが望ましくあり得、CO
2の回収された部分は、アノードアウトプットのCO
2の約33%〜約90%、例えば、少なくとも約40%、または少なくとも約50%であり得る。例えば、所望の組成がその後の水性ガスシフト段階において達成されることができるように、アノードアウトプットフローにいくらかのCO
2を保持することが望ましくあり得る。適切な分離方法は、物理的溶媒(例えば、Selexol(商標)またはRectisol(商標))、アミンまたは他の塩基(例えば、MEAまたはMDEA)、冷凍(例えば、低温分離)、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、およびそれらの組み合わせの使用を含んでなってもよい。低温CO
2分離器は、適切な分離器の一例であることができる。アノードアウトプットが冷却されて、アノードアウトプットの水の大部分は、凝縮された(液)相として分離することができる。アノードアウトプットフローの他の残りの成分(例えば、H
2、N
2、CH
4)は、容易に凝縮された相を形成する傾向がないため、次いで、水欠乏アノードアウトプットフローのさらなる冷却および/または圧力負荷によって、高純度CO
2を分離することができる。低温CO
2分離器は、作動条件次第で、フローに存在するCO
2の約33%〜約90%を回収することができる。
【0134】
CO
2分離実行の前、間または後の1つ以上の水のアウトプット流を形成するアノード排出物からの水の除去は、有利であることができる。アノードアウトプットの水量は、選択される作動条件次第で変動することができる。例えば、アノードインレットで確立される蒸気対炭素の比率は、アノード排出物の含水量に影響を及ぼすことができ、高い蒸気と炭素との比率では典型的に大量の水が生じ、これは未反応のまま、および/またはアノードにおける水性ガスシフト平衡によってのみ反応して、アノードを通過することができる。態様次第で、アノード排出物の含水量は、アノード排出物の体積の約30%以上までに相当することができる。追加的に、または代わりとして、含水量はアノード排出物の体積の約80%以下であることができる。そのような水は圧縮および/または冷却することによって除去されて、凝縮が得られることができるが、このような水の除去は、追加の圧縮器動力および/または熱交換表面面積および過度の冷却水を必要とすることができる。この過剰量の水の一部分を除去する1つの有利な方法は、湿潤したアノード流出物から湿度をとることができる吸着剤ベッドの使用をベースとすることができ、次いで、追加的な水をアノード供給に提供するために、乾燥アノード供給ガスを使用して、「再生」することができる。HVACスタイル(加熱、換気および空気調節)吸着ホイールデザインは、アノード排出物およびインレットが圧力で同様であることができ、そして1つの流れから他への軽度の漏れが、全体的なプロセスに対して最小限の影響を有することができるため、適用可能であることができる。CO
2除去が低温プロセスを使用して実行される実施形態において、CO
2除去の間または前の、トリエチレングリコール(TEG)系および/または乾燥剤による除去を含む水の除去は望ましくあり得る。対照的に、CO
2除去のためにアミン洗浄が使用される場合、水は、CO
2除去段階の下流でアノード排出物から除去されることができる。
【0135】
CO
2アウトプット流および/または水アウトプット流の代わりとして、またはそれに加えて、アノードアウトプットは、所望の化学または燃料生成物を含有する1つ以上の生成物流を形成するために使用することができる。そのような生成物流は、合成ガス流、水素流または合成ガス生成物および水素生成物流の両方に相当することができる。例えば、少なくとも約70体積%のH
2、例えば、少なくとも約90体積%のH
2、または少なくとも約95体積%のH
2を含有する水素生成物流を形成することができる。追加的に、または代わりとして、組み合わせたH
2およびCOの少なくとも約70体積%、例えば、H
2およびCOの少なくとも約90体積%を含有する合成ガス流を形成することができる。1つ以上の生成物流は、アノードアウトプットにおいて組み合わせられたH
2およびCOガス体積の少なくとも約75%、例えば、組み合わせられたH
2およびCOガス体積の少なくとも約85%または少なくとも約90%に相当するガス体積を有することができる。なお、生成物流のH
2およびCOの相対的な量は、生成物間で変換する水性ガスシフト反応段階の使用をベースとするアノードアウトプットのH
2とCOとの比率とは異なってもよい。
【0136】
いくつかの態様において、アノードアウトプットに存在するH
2の一部分を除去するか、または分離することが望ましいことができる。例えば、いくつかの態様において、アノード排出物のH
2とCOとの比率は、少なくとも約3.0:1であることができる。対照的に、フィッシャー−トロプシュ合成などの合成ガスを利用するプロセスは、異なる比率(例えば2:1により近い比率)で、H
2およびCOを消費してもよい。1つの代替案は、アノードアウトプットの含有量を所望の合成ガス組成により近いCO比率にH
2を有するように変性するために、水性ガスシフト反応を使用することであることができる。別の代替案は、H
2およびCOの所望の比率を達成するために、アノードアウトプットに存在するH
2の一部分を除去するために膜分離を使用すること、またはなお代わりとして、膜分離および水性ガスシフト反応の組み合わせを使用することであることができる。アノードアウトプットのH
2の一部分のみを除去するために膜分離を使用する1つの利点は、所望の分離を比較的穏やかな条件で実行することができるということであることができる。1つの目標は、なお実質的なH
2含有量を有する残留物を生じることであることができるため、高純度の水素の透過が、過酷な条件を必要とすることなく、膜分離によって発生することができる。例えば、膜の透過サイドにおいて約100kPaa以下(例えば、周囲の圧力)の圧力を有することよりも、透過サイドが周囲と比較して、なお膜分離を実行するために十分な推進力を有しながら、高い圧力であることができる。追加的に、または代わりとして、メタンなどの掃去ガスを、推進力を膜分離に提供するために使用することができる。これによってH
2透過流の純度を低下させることができるが、透過流の所望の使用次第で有利であり得る。
【0137】
本発明の様々な態様において、アノード排出物流の少なくとも一部分(好ましくは、CO
2および/またはH
2Oの分離の後)を、燃料電池および関連する改質段階の外部のプロセスのための供給として使用することができる。様々な態様において、アノード排出物は、約1.5:1〜約10:1、例えば、少なくとも約3.0:1、または少なくとも約4.0:1、または少なくとも約5.0:1のH
2とCOとの比率を有することができる。合成ガス流は、アノード排出物から発生することができるか、または回収されることができる。アノード排出物ガスは、任意にCO
2および/またはH
2Oの分離の後、そして任意に、過剰量の水素を除去するために、水性ガスシフト反応および/または膜分離を実行した後、H
2および/またはCOの実質的な部分を含有している流れに相当することができる。COの比較的低い含有量を有する流れに関して、例えば、H
2とCOとの比率が少なくとも約3:1である流れにおいて、アノード排出物は、H
2供給として使用するために適切であることができる。H
2供給から利益を得ることができるプロセスの例としては、限定されないが、精製装置プロセス、アンモニア合成プラント、または(異なる)発電システムのタービン、あるいはそれらの組み合わせを含むことができる。用途次第で、なおより低いCO
2含有量が望ましくなることができる。約2.2:1未満の、および約1.9:1を超えるH
2とCOとの比率を有する流れに関して、流れは合成ガス供給として使用するために適切であることができる。合成ガス供給から利益を得ることができるプロセスの例としては、限定されないが、ガストゥーリキッド(gas−to−liquid)プラント(例えば、非シフティング触媒を用いるフィッシャートロプシュプロセスを使用するプラント)および/またはメタノール合成プラントを含むことができる。外部プロセスのための供給として使用されるアノード排出物の量は、いずれかの都合のよい量であることもできる。任意に、アノード排出物の一部分が外部プロセスのための供給として使用される場合、アノード排出物の第2の部分は、アノードインプットにリサイクルされることができ、および/または燃焼動力発電機のための燃焼領域にリサイクルされることができる。
【0138】
異なる種類のフィッシャー−トロプシュ合成プロセスのために有用なインプット流は、アノードアウトプットから発生させるために望ましくあり得る異なる種類の生成物流の例を提供することができる。鉄をベースとする触媒などのシフティング触媒を使用するフィッシャー−トロプシュ合成反応に関して、反応系への所望のインプット流は、H
2およびCOに加えてCO
2を含むことができる。CO
2の十分な量がインプット流に存在しない場合、水性ガスシフト活性を有するフィッシャー−トロプシュ触媒は、追加的なCO
2を発生させるためにCOを消費することができ、COのない合成ガスが生じる。MCFC燃料電池によるそのようなフィッシャートロプシュ法の集積化のために、アノードアウトプットのための分離段階は、合成ガス生成物におけるCO
2(および任意にH
2O)の所望の量を保持するように作動させることができる。対照的に、非シフティング触媒をベースとするフィッシャー−トロプシュ触媒に関して、生成物流に存在するいずれのCO
2も、フィッシャー−トロプシュ反応系において不活性成分として役立つことができる。
【0139】
メタン掃去ガスなどの掃去ガスによって膜が掃去される態様において、メタン掃去ガスは、アノード燃料として、または異なる低圧プロセス、例えば、煮沸器、炉、ガスタービン、もしくは他の燃料消費デバイスにおいて使用されるメタン流に相当することができる。そのような態様において、膜を通しての低濃度のCO
2透過は、最小限の結果を有することができる。膜を透過し得るそのようなCO
2は、アノード内での反応に対して最小限の影響を有することができ、そしてそのようなCO
2は、アノード生成物に含有されて残ることができる。したがって、透過によって膜を通して損失したCO
2は(存在する場合)、MCFC電解質を通って再び転送される必要はない。これは、水素透過膜の分離選択性必要条件を有意に低下させることができる。これによって、例えば、より低い選択性を有する、より高い透過性の膜の使用が可能となり、そしてこれによって、より低い圧力および/または減少した膜表面面積の使用が可能となる。本発明のそのような態様において、掃去ガスの体積は、アノード排出物の水素の体積の何倍も大きいことが可能であり、これによって、透過サイドにおける有効な水素濃度をゼロ付近に維持することが可能となる。そのようにして分離された水素は、タービン供給メタンに組み込まれることができ、それによって、上記の通り、タービン燃焼特徴を向上させることができる。
【0140】
なお、アノードで生じる過剰量のH
2は、温室効果ガスがすでに分離された燃料を表すことができる。アノードアウトプットにおけるいずれのCO
2も、アミン洗浄、低温CO
2分離器、および/または圧力もしくは真空スイング吸収プロセスなどによって、アノードアウトプットから容易に分離することができる。アノードアウトプットの成分のいくつか(H
2、CO、CH
4)は容易に除去されないが、CO
2およびH
2Oは通常容易に除去することができる。実施形態次第で、アノードアウトプットのCO
2の少なくとも約90体積%を分離して、比較的高純度のCO
2アウトプット流を形成することができる。したがって、アノードで発生するいずれのCO
2も効率的に分離することができ、高純度CO
2アウトプット流が形成される。分離後、アノードアウトプットの残りの部分は、主として、CO
2および/またはH
2Oの量が低下して、化学および/または燃料値を有する成分に相当することができる。最初の燃料(改質前)によって発生するCO
2の実質的な部分を分離することができるため、アノードアウトプットの残りの部分のその後の燃焼によって発生するCO
2の量を低下させることができる。特に、アノードアウトプットの残りの部分の燃料がH
2である範囲まで、追加的な温室効果ガスは、この燃料の燃焼によって、典型的に形成されることができない。
【0141】
アノード排出物は、水性ガスシフトおよび互いからの成分の分離を含む、様々なガス処理の選択肢を受けることができる。2つの一般的なアノード処理スキームを
図1および2に示す。
【0142】
図1は、化学合成プロセスに関連して溶融炭酸塩形燃料電池の燃料電池アレイを作動するための反応系の実施例を概略的に示す。
図1中、燃料流105は、燃料電池120、例えば、燃料電池アレイの燃料電池積層の一部分である燃料電池のアノード127と関連する改質段階110に提供される。燃料電池120と関連する改質段階110は、燃料電池アセンブリの内部であることができる。いくつかの任意の態様において、外部改質段階(図示せず)を、燃料電池アセンブリにインプット流を通過させる前に、インプット流において改質可能燃料の一部分を改質するために使用することもできる。燃料流105は、好ましくは、改質可能燃料、例えば、メタン、他の炭化水素、および/または他の炭化水素様化合物、例えば、炭素−水素結合を含有する有機化合物を含むことができる。燃料流105は、任意に、H
2および/またはCO、例えば、任意のアノードリサイクル流185によって提供されるH
2および/またはH
2を含有することもできる。なお、アノードリサイクル流185は任意であり、多くの態様において、リサイクル流は、直接的に、または燃料流105もしくは改質された燃料流115との組み合わせを通して間接的に、アノード排出物125からアノード127に提供されない。改質後、改質された燃料流115を、燃料電池120のアノード127に通過させることができる。CO
2およびO
2含有流119をカソード129に通過させることもできる。燃料電池のカソード部分129からの炭酸塩イオン122、CO
32−のフローは、アノード燃料電池反応のために必要とされる残りの反応物を提供する。アノード127における反応をベースとして、得られるアノード排出物125は、H
2O、CO
2、1つ以上の不完全に反応した燃料に相当する成分(H
2、CO、CH
4、または改質可能燃料に相当する他の成分)、ならびに任意に1つ以上の追加的な非反応性成分、例えば、N
2、および/または燃料流105の一部分である他の汚染物質を含むことができる。アノード排出物125を、次いで、1つ以上の分離段階に通過させることができる。例えば、CO
2除去段階140は、低温CO
2除去システム、CO
2などの酸性ガスの除去のためのアミン洗浄段階、またはCO
2アウトプット流143をアノード排出物から分離するためのCO
2分離段階の別の適切な種類に相当することができる。任意に、アノード排出物を水性ガスシフト反応器130に最初に通過させて、(いくらかのH
2Oに加えて)アノード排出物に存在するいずれのCOも、任意に水性ガスシフトされたアノード排出物13において、CO
2およびH
2に変換することができる。CO
2除去段階の性質次第で、水縮合または除去段階150は、アノード排出物からの水アウトプット流153を除去するために望ましくてもよい。CO
2分離段階140後の
図1に示されるが、それは、その代わりにCO
2分離段階140前に任意に位置してもよい。追加的に、H
2の高純度透過流163を発生させるために、H
2分離のための任意の膜分離段階160を使用することができる。得られた保留物流166は次いで、化学合成プロセスへのインプットとして使用することができる。流れ166は、H
2、COおよびCO
2含有量を異なる比率に調節するために、第2の水性ガスシフト反応器131において、追加的に、または代わりとしてシフトされることができ、化学合成プロセスにおけるさらなる使用のためのアウトプット流168を生じる。
図1中、アノードリサイクル流185は、保留物流166から回収されるように示されるが、アノードリサイクル流185は、追加的に、または代わりとして、様々な分離段階またはその間の他の有利な位置から回収されることができる。分離段階およびシフト反応器は、異なる順番で、および/または並列構成で、追加的に、または、代わりとして構成されることができる。最終的に、カソード129からのアウトプットとして、CO
2 139の低下した含有量を有する流れが発生することができる。単純さのために、本プロセスにおいて有用であり得る圧縮および熱添加/除去の様々な段階、ならびに蒸気添加または除去は示されない。
【0143】
上記の通り、アノード排出物において実行される様々な種類の分離は、いずれの都合のよい順番でも実行することができる。
図2は、アノード排出物において分離を実行するための別の順番の実施例を示す。
図2中、アノード排出物125を、最初に、アノード排出物125から水素含有量の一部分263を除去するための分離段階260に通過させることができる。これによって、例えば、2:1により近いH
2:COの比率で保留物266を提供するように、アノード排出物のH
2含有量の減少を可能にすることができる。次いで、H
2とCOとの比率は、水性ガスシフト段階230において所望の値を達成するために調節することができる。水性ガスシフトされたアウトプット235を、次いで、CO
2分離段階240および水除去段階250に通過させ、所望の化学合成プロセスへのインプットとしての使用のために適切な流れ275を生じることができる。任意に、アウトプット流275を、追加的な水性ガスシフト段階(図示せず)に暴露させることができる。アウトプット流275の一部分は、任意にアノードインプットへリサイクルされることができる(図示せず)。もちろん、分離段階のさらに他の組み合わせおよび配列は、所望の組成を有するアノードアウトプットをベースとする流れを発生させるために使用することができる。単純さのために、プロセスにおいて有用であり得る様々な段階の圧縮および熱添加/除去、ならびに蒸気添加または除去は示されない。
【0144】
カソードインレットおよびアウトプット
従来、溶融炭酸塩形燃料電池は、アノードに送達される燃料流における燃料のいくらかの部分を消費しながら、所望の負荷を引き出すことをベースとして作動されることができる。次いで、燃料電池の電圧は、負荷、アノードへの燃料インプット、カソードに提供される空気およびCO
2、ならびに燃料電池の内部抵抗によって決定することができる。カソードへのCO
2は、従来、カソードインプット流の少なくとも一部分としてアノード排出物を使用することによって、部分的に提供されることができる。対照的に、本発明はアノードインプットおよびカソードインプットのための別々の/異なる供給源を使用することができる。アノードインプットフローおよびカソードインプットフローの組成物のいずれの直接的な関連も除去することによって、追加的な選択肢は、燃料電池を作動するために利用可能になり、例えば、過剰量の合成ガスを発生させ、二酸化炭素の捕捉を改善し、および/または特に、燃料電池の全体効率(電気および化学動力)を改善する。
【0145】
溶融炭酸塩形燃料電池において、燃料電池における電解質を通る炭酸塩イオンの輸送は、第1のフローパスから第2のフローパスへCO
2を輸送し、より低い濃度(カソード)からより高い濃度(アノード)への輸送を可能にし、したがって、CO
2の捕捉を促進することができる方法を提供することができる。CO
2分離のための燃料電池の選択性の一部分は、電池が電力を発生させることを可能にする電気化学的反応をベースとすることができる。燃料電池内での電気化学的反応に効果的に関与しない非反応性種(例えば、N
2)に関して、反応およびカソードからアノードまでの輸送に重要ではない量が存在することができる。対照的に、カソードとアノードとの間のポテンシャル(電圧)差は、燃料電池を通って強い推進力を炭酸塩イオンの輸送に提供することができる。その結果、溶融炭酸塩形燃料電池中の炭酸塩イオンの輸送は、比較的高選択性で、CO
2が、カソード(より低いCO
2濃度)からアノード(より高いCO
2濃度)まで輸送されることを可能にする。しかしながら、二酸化炭素除去のために溶融炭酸塩形燃料電池を使用することにおける課題は、燃料電池が比較的希薄なカソード供給から二酸化炭素を除去するために限られた能力を有するということであることができる。約1モル%未満までCO
2濃度が低下すると、炭酸塩形燃料電池によって発生する電圧および/または動力は急速に低下を開始することができる。さらにCO
2濃度が、例えば、約0.3モル%未満まで低下すると、ある点で、燃料電池の電圧は、炭酸塩の輸送がほとんど生じないか、またはもはや生じず、燃料電池が機能を停止するほど十分に低くなることができる。したがって、少なくともいくらかのCO
2は、おそらく、商業的に実行可能な作動条件で燃料電池のカソード段階からの排出物ガスに存在する。
【0146】
燃料電池カソードに送達される二酸化炭素の量は、カソードインレットのための供給源のCO
2含有量をベースとして決定することができる。カソードインプットフローとしての使用のために適切なCO
2含有流の一例は、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローであることができる。燃焼供給源の例には、限定されないが、天然ガスの燃焼、石炭の燃焼、および/または他の炭化水素型燃料(生物学的に誘導された燃料を含む)の燃焼をベースとする供給源が含まれる。追加的、または代わりの供給源には、他の種類の煮沸器、燃焼された加熱器、炉、および/または別の物質(例えば、水または空気)を加熱するために炭素含有燃料を燃焼させる他の種類のデバイスを含むことができる。第1の概算に対して、燃焼供給源からのアウトプットフローのCO
2含有量は、フローの少数部分であることができる。より高いCO
2含有量排出物フロー、例えば、石炭燃焼供給源からのアウトプットに関して、ほとんどの商業的な石炭燃焼発電所からのCO
2含有量は、約15体積%以下であることができる。より一般に、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローのCO
2含有量は、少なくとも約1.5体積%、または少なくとも約1.6体積%、または少なくとも約1.7体積%、または少なくとも約1.8体積%、または少なくとも約1.9体積%、または少なくとも約2体積%、または少なくとも約4体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、燃焼供給源からのアウトプットまたは排出物フローのCO
2含有量は、約20体積%以下、例えば、約15体積%以下、または約12体積%以下、または約10体積%以下、または約9体積%以下、または約8体積%以下、または約7体積%以下、または約6.5体積%以下、または約6体積%以下、または約5.5体積%以下、または約5体積%以下、または約4.5体積%以下であることができる。上記で示される濃度は、乾燥基準である。なお、より低いCO
2含有量値は、いくつかの天然ガスまたはメタン燃焼供給源、例えば、排出物ガスリサイクルループを含んでもよいか、または含まなくてもよい発電システムの一部分である発電機からの排出物において存在することができる。
【0147】
カソードインプット流のための他の潜在的な供給源は、生物的に生じたCO
2の供給源を追加的に、または代わりとして含むことができる。これは、例えば、バイオ誘導化合物の処理の間に発生するCO
2、例えば、エタノール生成の間に発生するCO
2を含むことができる。追加的または代わりの例は、生物的に生じた燃料の燃焼、例えば、リグノセルロースの燃焼によって発生するCO
2を含むことができる。さらに他の追加的または代わりの潜在的なCO
2供給源は、様々な工業プロセスからのアウトプットまたは排気物流、例えば、鉄鋼、セメントおよび/または紙の製造のためにプラントによって発生するCO
2含有流に相当することができる。
【0148】
CO
2のさらに別の追加的または代わりの潜在的な供給源は、燃料電池からのCO
2含有流であることができる。燃料電池からのCO
2含有流は、異なる燃料電池からのカソードアウトプット流、異なる燃料電池からのアノードアウトプット流、カソードアウトプットから燃料電池のカソードインプットへのリサイクル流、および/またはアノードアウトプットから燃料電池のカソードインプットへのリサイクル流に相当することができる。例えば、従来の条件で独立モードで作動されたMCFCは、少なくとも約5体積%のCO
2濃度を有するカソード排出物を発生させることができる。そのようなCO
2含有カソード排出物は、本発明の態様によって作動されるMCFCのためのカソードインプットとして使用することができる。より一般に、カソード排出物からCO
2アウトプットを発生させる他の種類の燃料電池を、追加的に、または代わりとして使用することができ、ならびに他の種類のCO
2含有流が、「燃焼」反応によって、および/または燃焼発電機によって発生しない。任意に、しかし好ましくは、別の燃料電池からのCO
2含有流は、別の溶融炭酸塩形燃料電池からであることができる。例えば、カソードに関して直列に連結される溶融炭酸塩形燃料電池に関して、第1の溶融炭酸塩形燃料電池のカソードからのアウトプットを、第2の溶融炭酸塩形燃料電池のカソードへのインプットとして使用することができる。
【0149】
燃焼供給源以外の供給源からの様々な種類のCO
2含有流に関して、流れのCO
2含有量は広範囲に変動することができる。カソードへのインプット流のCO
2含有量は、少なくとも約2体積%、例えば、少なくとも約4体積%、または少なくとも約5体積%、または少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%のCO
2を含有することができる。追加的に、または代わりとして、カソードへのインプット流のCO
2含有量は、約30体積%以下、例えば、約25体積%以下、または約20体積%以下、または約15体積%以下、または約10体積%以下、または約8体積%以下、または約6体積%以下、または約4体積%以下であることができる。いくつかのさらにより高いCO
2含有量流に関して、CO
2含有量は、約30体積%より高いことができ、例えば、流れは、CO
2と、他の化合物の重要ではない量のみから実質的に構成される。一例として、排出物ガスリサイクルのないガス燃焼タービンは、約4.2体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。EGRによって、ガス燃焼タービンは、約6〜8体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。メタンの化学量論的な燃焼は、約11体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。石炭の燃焼は、約15〜20体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。精製装置オフガスを使用する燃焼加熱器は、約12〜15体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。いずれのEGRも用いない、低BTUガスにおいて作動されるガスタービンは、約12体積%のCO
2含有量を有する排出物流を生じることができる。
【0150】
CO
2に加えて、カソードインプット流は、カソード反応のために必要な成分を提供するために、O
2を含まなければならない。いくつかのカソードインプット流は、成分として空気を有することをベースとすることができる。例えば、燃焼排出物流は、空気の存在下で、炭化水素燃料を燃焼させることによって形成することができる。そのような燃焼排出物流、または別の種類の空気の含有をベースとする酸素含有量を有するカソードインプット流は、約20体積%以下、例えば約15体積%以下、または約10体積%以下の酸素含有量を有することができる。追加的に、または代わりとして、カソードインプット流の酸素含有量は、少なくとも約4体積%、例えば少なくとも約6体積%、または少なくとも約8体積%であることができる。より一般に、カソードインプット流は、カソード反応を実行するために適切な酸素の含有量を有することができる。いくつかの態様において、これは、約5体積%〜約15体積%、例えば、約7体積%〜約9体積%の酸素含有量に相当することができる。多くの種類のカソードインプット流に関して、CO
2およびO
2の組み合わせられた量は、インプット流の約21体積%未満、例えば、流れの約15体積%未満または流れの約10体積%未満に相当することができる。酸素を含有する空気流を、低酸素含有量を有するCO
2供給源と組み合わせることができる。例えば、石炭を燃焼させることによって発生する排出物流は、カソードインレット流を形成するために空気と混合することができる低酸素含有量を含んでもよい。
【0151】
CO
2およびO
2に加えて、カソードインプット流は、N
2、H
2Oおよび他の典型的な酸化剤(空気)成分などの不活性/非反応性な種から構成されることもできる。例えば、燃焼反応からの排出物から誘導されるカソードインプットに関して、燃焼反応のために酸化剤供給源の一部として空気が使用される場合、排出物ガスは、空気の典型的な成分、例えば、N
2、H
2Oおよび空気に存在する少量の他の化合物を含むことができる。燃焼反応のための燃料供給源の性質次第で、燃料供給源をベースとする燃焼の後に存在する追加的な種としては、H
2O、窒素(NOx)および/または硫黄(SOx)の酸化物、ならびに燃料に存在し、および/または燃料に存在する部分的もしくは完全燃焼生成物、例えば、COである他の化合物の1つ以上が含まれ得る。これらの種は、全体的なカソード活性を低下させ得るが、カソード触媒表面を損なわない量で存在し得る。そのような性能の低下は容認可能であり得、またはカソード触媒と相互作用する種は、既知の汚染物質除去技術によって容認可能な濃度まで低下され得る。
【0152】
カソードインプット流(例えば、燃焼排出物をベースとするインプットカソード流)に存在するO
2の量は、有利には、燃料電池においてカソード反応のために必要とされる酸素を提供するために十分であることができる。したがって、O
2の体積パーセントは、有利には、排出物のCO
2の量の少なくとも0.5倍であることができる。任意に、必要に応じて、追加的な空気は、カソード反応のために十分な酸化剤を提供するために、カソードインプットに添加されることができる。いくつかの形態の空気が酸化剤として使用される場合、カソード排出物中のN
2の量は、少なくとも約78体積%、例えば少なくとも約88体積%、および/または約95体積%以下であることができる。いくつかの態様において、カソードインプット流は、汚染物質として一般に見られる化合物、例えば、H
2SまたはNH
3を追加的に、または代わりとして含有することができる。他の態様において、カソードインプット流は、そのような汚染物質の含有量を低下させるか、または最小化するためにクリーン化されることができる。
【0153】
電解質を通る輸送のために炭酸塩イオンを形成する反応に加えて、カソードにおける条件は、酸化窒素から硝酸塩および/または硝酸塩イオンへの変換のために適切であることもできる。以下、便宜のために硝酸塩イオンのみが記載される。得られる硝酸塩イオンも、アノードにおける反応のために電解質を通って輸送されることができる。カソードインプット流のNOx濃度は、典型的にppmの規模であることができるため、この硝酸塩輸送反応は、電解質を通って輸送される炭酸塩の量に対して最小限の影響を有することができる。しかしながら、NOx除去のこの方法は、NOx排出を低下させる機構を提供することができるため、ガスタービンからの燃焼排出物をベースとするカソードインプット流に関して有利であることができる。カソードにおける条件は、(カソードインプット流のO
2と組み合わせて)未燃焼炭化水素から典型的な燃焼生成物、例えば、CO
2およびH
2Oへの変換のために、追加的に、または代わりとして適切であることができる。
【0154】
MCFCの作動のための適切な温度は、約450℃〜約750℃、例えば、少なくとも約500℃、例えば、約550℃のインレット温度および約625℃のアウトレット温度であることができる。カソードに入る前に、所望であれば、例えば、他のプロセス、例えば、アノードのために燃料インプットを改質するプロセスに熱を提供するため、熱を燃焼排出物に添加、または除去することができる。例えば、カソードインプット流のための供給源が燃焼排出物流である場合、燃焼排出物流は、カソードインレットのための所望の温度より高い温度を有してもよい。そのような態様において、カソードインプット流としての使用の前に、熱を燃焼排出物から除去することができる。あるいは、燃焼排出物は、例えば、石炭燃焼煮沸器の湿式ガススクラバーの後、非常に低温である可能性があり、そのような場合、燃焼排出物は約100℃未満であることができる。あるいは、燃焼排出物は、複合サイクルモードで作動されたガスタービンの排出物からであることが可能であり、その場合、追加的な発電のために蒸気を生じさせて、蒸気タービンを動作することによってガスを冷却することができる。この場合、ガスは約50℃未満であることができる。所望よりも冷たい燃焼排出物に熱を添加することができる。
【0155】
燃料電池配列
様々な態様において、燃料電池(例えば、複数の燃料電池積層を含有する燃料電池アレイ)のための構成選択肢は、複数の燃料電池間でCO
2含有流を分割することであることができる。CO
2含有流のいくつかの種類の供給源は、個々の燃料電池の能力と比較して、大きい体積フローレートを発生させることができる。例えば、工業用の燃焼供給源からのCO
2含有アウトプット流は、典型的に、適切な径の単一MCFCのために望ましい作動条件と比較して大きいフロー体積に相当することができる。単一MCFCで全フローを処理する代わりに、それぞれのユニットのフローレートが所望のフロー範囲内にあることができるように、通常そのなかの少なくともいくつかが並列であることができる複数のMCFCユニットの間にフローを分割することができる。
【0156】
第2の構成の選択肢は、フロー流からCO
2を連続的に除去するために、直列に燃料電池を利用することであることができる。CO
2含有流を並列に分配することができる初期の燃料電池の数に関係なく、それぞれの初期の燃料電池は、さらに追加的なCO
2を除去するために、直列の1つ以上の追加的な電池が続くことができる。カソードアウトプットにおけるCO
2の所望の量が十分に低い場合、単一燃料電池または燃料電池段階において所望の濃度までカソードインプット流からCO
2を除去することを試みることによって、燃料電池のための低いおよび/または予測不可能な電圧アウトプットが導かれることができるであろう。単一燃料電池または燃料電池段階において所望の濃度までCO
2を除去することを試みるよりも、CO
2は所望の濃度を達成することができるまで、連続した電池において除去されることができる。例えば、燃料電池の直列のそれぞれの電池を使用して、燃料流に存在するCO
2のいくらかのパーセント(例えば、約50%)を除去することができる。そのような例において、3つの燃料電池が直列に使用される場合、CO
2濃度を低下させることができる(例えば、存在する最初の量の約15%未満まで、これは、直列の3つの燃料電池のコース上で約6%から約1%未満までCO
2濃度を低下させることに相当することができる)。
【0157】
別の構成において、作動条件は、所望のアウトプット電圧を提供するために、直列のより早い燃料段階において選択されることができるが、段階のアレイは、炭素分離の所望の濃度を達成するために選択されることができる。一例として、燃料電池のアレイは、直列に3つの燃料電池で使用されることができる。直列の最初の2つの燃料電池は、所望のアウトプット電圧を維持しながら、CO
2を除去するために使用されることができる。次いで、最終的な燃料電池は、所望の濃度までであるが、より低い電圧で、CO
2を除去するために作動されることができる。
【0158】
なお別の構成において、燃料電池アレイにおいてアノードおよびカソードに関して別々の接続性があることができる。例えば、燃料電池アレイが直列に連結される燃料カソードを含む場合、相当するアノードは、いずれかの都合のよい方法で連結されることができ、例えば、それらの相当するカソードと同一の配列に必ずしも適合しない。これには、例えば、それぞれのアノードが同種類の燃料供給を受け取るように、並列にアノードを連結すること、および/またはアノードの最高燃料濃度が最低CO
2濃度を有するそれらのカソードに相当することができるように逆直列でアノードを連結することが含まれることができる。
【0159】
さらに別の構成において、1つ以上のアノード段階まで送達される燃料の量および/または1つ以上のカソード段階まで送達されるCO
2の量は、燃料電池アレイの性能を改善するために制御することができる。例えば、燃料電池アレイは、直列に連結される複数のカソード段階を有することができる。直列に3つのカソード段階を含むアレイにおいて、これは、第1のカソード段階からのアウトプットは、第2のカソード段階のためのインプットに相当することができ、そして第2のカソード段階からのアウトプットは、第3のカソード段階のためのインプットに相当することができることを意味する。この種類の構成において、CO
2濃度は、それぞれの連続したカソード段階で減少することができる。この低下したCO
2濃度の埋め合わせをするために、追加的な水素および/またはメタンを、その後のカソード段階に相当するアノード段階まで送達することができる。その後のカソード段階に相当するアノードの追加的な水素および/またはメタンは、低下したCO
2濃度によって生じる電圧および/または電流の損失を少なくとも部分的に相殺することができ、これによって燃料電池によって生じる電圧、したがって正味の動力を増加させることができる。別の実施例において、燃料電池アレイのカソードは、部分的に直列かつ部分的に並列に連結させることができる。この種類の実施例において、第1のカソード段階においてカソード中に全燃焼アウトプットを通過させる代わりに、燃焼排出物の少なくとも一部分は、その後のカソード段階中に通過させることができる。これによって、その後のカソード段階においてCO
2含有量の増加を提供することができる。アノード段階またはカソード段階のいずれかまで可変的な供給を使用するためのさらに他の選択肢は、所望であれば使用することができる。
【0160】
上記の通り、燃料電池のカソードは、燃料電池のアレイからの複数のカソードに相当することができる。いくつかの態様において、燃料電池アレイは、カソードからアノードまで転送される炭素の量を改善するか、または最大にするために作動させることができる。そのような態様において、(典型的に直列配列を少なくとも含むか、または最終的なカソードおよび初期のカソードが同一である)アレイ配列における最終的なカソードからのカソードアウトプットに関して、アウトプット組成物は、約2.0体積%以下のCO
2(例えば、約1.5体積%以下または約1.2体積%以下)、および/または少なくとも約0.5体積%のCO
2、または少なくとも約1.0体積%、または少なくとも約1.2体積%、または少なくとも約1.5体積%を含むことができる。この限定のために、溶融炭酸塩形燃料電池使用時のCO
2除去の正味の効率は、カソードインプットにおけるCO
2の量に依存することができる。約6体積%より高く、例えば、少なくとも約8体積%のCO
2含有量を有するカソードインプット流に関しては、除去することができるCO
2の量の限定は厳しくない。しかしながら、典型的にガスタービンで見られるような、過剰量の空気とともに燃料として天然ガスを使用する燃焼反応に関して、燃焼排出物のCO
2の量は、約5体積%未満のカソードインプットにおけるCO
2濃度に相当するのみであり得る。排出物ガスリサイクルの使用によって、カソードインプットにおけるCO
2の量を少なくとも約5体積%、例えば少なくとも約6体積%まで増加させることができる。約6体積%より高いCO
2濃度を生じるために燃料として天然ガスを使用する時にEGRが増加する場合、次いで、燃焼室における可燃性を減少させることができ、そしてガスタービンは不安定化し得る。しかしながら、H
2が燃料に添加される場合、可燃性ウィンドウは有意に増加することが可能であり、少なくとも約7.5体積%または少なくとも約8体積%のカソードインプットにおけるCO
2の濃度が達成可能となるように、排出物ガスリサイクルの量をさらに増加させることができる。一例として、カソード排出物における約1.5体積%の除去限界をベースとして、約5.5体積%から約7.5体積%までカソードインプットにおけるCO
2含有量を増加させることは、最終的なCO
2分離のために燃料電池を使用して捕捉することができ、かつアノードループへ輸送することができるCO
2の量の約10%増加に相当することができる。カソードアウトプットにおけるO
2の量は、典型的に除去されるCO
2の量と比例した量で、追加的に、または代わりとして低下させることができ、それによって、カソード出口におけるその他の(非カソード反応性)種の量の小さい相当する増加をもたらすことができる。
【0161】
他の態様において、燃料電池アレイは、燃料電池のエネルギーアウトプット、例えば、全エネルギーアウトプット、電気エネルギーアウトプット、合成ガス化学エネルギーアウトプットまたはそれらの組み合わせを改善するか、または最大にするために作動させることができる。例えば、溶融炭酸塩形燃料電池は、例えば、化学合成プラントに用いられる合成ガス流の発生のため、および/または高純度水素流の発生のために、様々な状態において過剰量の改質可能燃料を用いて作動させることができる。合成ガス流および/または水素流は、合成ガス供給源、水素供給源として、クリーンな燃料供給源として、および/または他のいずれかの都合のよい用途のために使用することができる。そのような態様において、カソード排出物のCO
2の量は、カソードインプット流におけるCO
2の量、および燃料電池エネルギーアウトプットを改善するか、または最大にするための所望の作動条件でのCO
2利用に関連することができる。
【0162】
追加的に、または代わりとして、作動条件次第で、MCFCは、約5.0体積%以下、例えば、約4.0体積%以下、または約2.0体積%以下、または約1.5体積%以下、または約1.2体積%以下までカソード排出物流のCO
2含有量を低下させることができる。追加的に、または代わりとして、カソード排出物流のCO
2含有量は、少なくとも約0.9体積%、例えば、少なくとも約1.0体積%、または少なくとも約1.2体積%、または少なくとも約1.5体積%であることができる。
【0163】
溶融炭酸塩形燃料電池の作動
いくつかの態様において、燃料電池は、単回通過または貫流モードで作動されてよい。単回通過モードにおいては、アノード排出物の改質された生成物はアノードインレットに戻されない。したがって、アノードアウトプットから直接、アノードインレットに合成ガス、水素またはいくつかの他の生成物をリサイクルすることは、単回通過作動では行われない。より一般に、単回通過作動において、アノード排出物の改質された生成物は、例えば、その後アノードインレットに導入された燃料流を処理するために改質された生成物を用いることによって、アノードインレットに間接的にも戻されない。任意に、アノードアウトレットからのCO
2は、単回通過モードのMCFCの作動の間、カソードインレットにリサイクルされることができる。より一般に、いくつかの別の態様において、アノードアウトレットからカソードインレットへのリサイクルは、単回通過モードで作動するMCFCに関して生じてもよい。アノード排出物またはアウトプットからの熱は、単回通過モードにおいて追加的に、または代わりとしてリサイクルされてもよい。例えば、アノードアウトプットフローは熱交換器を通過してもよく、そこでは、アノードアウトプットは冷却されて、そして別の流れ、例えばアノードおよび/またはカソードのためのインプット流が加温される。アノードから燃料電池まで熱をリサイクルすることは、単回通過または貫流モード作動における使用と調和する。任意に、しかし好ましくはないが、アノードアウトプットの成分は、単回通過モードの間、燃料電池に熱を提供するために燃焼されてもよい。
【0164】
図3は、電力の発生のためのMCFCの作動の概略的実施例を示す。
図3中、燃料電池のアノード部分は、インプットとして燃料および蒸気(H
2O)を受け取ることができ、水、CO
2、ならびに任意に過剰量のH
2、CH
4(または他の炭化水素)および/またはCOがアウトプットである。燃料電池のカソード部分は、インプットとしてCO
2およびいくつかの酸化剤(例えば、空気/O
2)を受け取ることができ、アウトプットはO
2欠乏酸化剤(空気)における減少した量のCO
2に相当する。燃料電池内で、カソードサイドで形成されるCO
32−イオンは電解質を通って輸送されることができ、アノードで生じる反応のために必要とされる炭酸塩イオンを提供することができる。
【0165】
図3に示される実施例の燃料電池などの溶融炭酸塩形燃料電池内で、いくつかの反応が生じることができる。改質反応は任意であることができ、十分なH
2がアノードに直接提供される場合、減少させるか、または排除することができる。以下の反応はCH
4をベースとするが、他の燃料が燃料電池で使用される場合、同様の反応が生じることができる。
(1)<アノード改質>CH
4+H
2O=>3H
2+CO
(2)<水性ガスシフト>CO+H
2O=>H
2+CO
2
(3)<組み合わせられた改質および水性ガスシフト>CH
4+2H
2O=>4H
2+CO
2
(4)<アノードH
2酸化>H
2+CO
32−=>H
2O+CO
2+2e
−
(5)<カソード>1/2O
2+CO
2+2e
−=>CO
32−
【0166】
反応(1)は、燃料電池のアノードにおける使用のためにH
2を発生させるための基本的な炭化水素改質反応を表す。反応(1)で形成されるCOは、水性ガスシフト反応(2)によって、H
2に変換されることができる。反応(1)および(2)の組み合わせは、反応(3)として示される。反応(1)および(2)は、燃料電池の外部で生じることができ、および/または改質はアノードの内部で実行することができる。
【0167】
反応(4)および(5)は、それぞれアノードおよびカソードにおいて、燃料電池内で電力発生をもたらすことができる反応を表す。反応(4)は、供給に存在するか、または反応(1)および/もしくは(2)によって任意に発生するH
2を炭酸塩イオンと組み合わせ、H
2O、CO
2および回路への電子を形成する。反応(5)は、O
2、CO
2および回路からの電子を組み合わせ、炭酸塩イオンを形成する。反応(5)によって発生する炭酸塩イオンは、反応(4)のために必要とされる炭酸塩イオンを提供するために、燃料電池の電解質を通って輸送されることができる。電解質を通る炭酸塩イオンの輸送と組み合わせて、閉じた電流ループが、アノードとカソードとの間の電気接続を提供することによって、次いで形成されることができる。
【0168】
様々な実施形態において、燃料電池を作動する目標は、燃料電池の全体の効率、および/または燃料電池と、集積化された化学合成プロセスの全体の効率を改善することであることができる。これは、目標が、電力の発生のために電池に提供される燃料を使用するための高電気効率を有する燃料電池を作動することであることができる、従来の燃料電池の作動とは典型的に対照的である。上記で定義されるように、全体の燃料電池効率は、燃料電池の電気アウトプットおよび燃料電池アウトプットの低位発熱量を、燃料電池のためのインプット成分の低位発熱量によって割ることによって決定され得る。言い換えると、TFCE=(LHV(el)+LHV(sg out))/LHV(in)であり、式中、LHV(in)およびLHV(sg out)は、燃料電池に送達された燃料成分(例えば、H
2、CH
4および/またはCO)、ならびにアノードアウトレット流またはフローの合成ガス(H
2、COおよび/またはCO
2)のLHVを指す。これは、燃料電池および/または集積化された化学プロセスによって発生する電気エネルギーおよび化学エネルギーの尺度を提供することができる。なお、全効率のこの定義の下、燃料電池内で使用され、かつ/または集積化された燃料電池/化学合成システム内で使用される熱エネルギーは、全効率に寄付することができる。しかしながら、交換されるか、あるいはその他の場合には燃料電池または集積化された燃料電池/化学合成システムから回収されるいずれの過剰量の熱も、この定義から排除される。したがって、燃料電池からの過剰量の熱が、例えば、蒸気タービンによる発電のために蒸気を発生させるために使用される場合、そのような過剰量の熱は全効率の定義から排除される。
【0169】
いくつかの操作パラメーターは、過剰量の改質可能燃料によって燃料電池を作動するために修正されてもよい。いくつかのパラメーターは、燃料電池作動に現在推奨されるものと同様であることができる。いくつかの態様において、燃料電池へのカソード条件および温度インプットは、文献で推奨されるものと同様であることができる。例えば、所望の電気効率および所望の全燃料電池効率は、溶融炭酸塩形燃料電池のために典型的な燃料電池動作温度の範囲で達成され得る。典型的な作動において、燃料電池を通って温度を増加させることができる。
【0170】
他の態様において、燃料電池が、アノードインレットからアノードアウトレットへ、および/またはカソードインレットからカソードアウトレットへの温度低下を可能にするように作動されるように、燃料電池の操作パラメーターは、典型的な条件から逸脱することができる。例えば、炭化水素をH
2およびCOに変換する改質反応は、吸熱性反応である。電流を発生させる水素の酸化の量と比較して、十分な量の改質が燃料電池アノードで実行される場合、燃料電池における正味の熱バランスは吸熱性であることができる。これは、燃料電池のインレットとアウトレットとの間での温度低下を生じることができる。吸熱性作動の間、燃料電池において電解質が溶融状態で残存するように、燃料電池の温度低下は制御されることができる。
【0171】
現在推奨されるものとは異なるようにする方法で修正することができるパラメーターには、アノードに提供される燃料の量、アノードに提供される燃料の組成、ならびに/あるいはアノード排出物からアノードインプットまたはカソードインプットのいずれかへの合成ガスの有意なリサイクルを伴わないアノードアウトプットの合成ガスの分離および捕捉を含むことができる。いくつかの態様において、アノード排出物からのアノードインプットまたはカソードインプットのいずれかへの合成ガスまたは水素のリサイクルは、直接的に、または間接的に生じさせないことが可能である。追加的または別の態様において、リサイクルの限定的な量を生じることができる。そのような態様において、アノード排出物からアノードインプットおよび/またはカソードインプットへのリサイクルの量は、アノード排出物の約10体積%未満、例えば、約5体積%未満、または約1体積%未満であることができる。
【0172】
追加的に、または代わりとして、燃料電池を作動する目標は、電力の発生を可能にすることに加えて、燃焼反応またはCO
2アウトプット流を生じる別のプロセスのアウトプット流からCO
2を分離することであることができる。そのような態様において、組み合わせられた発電機/燃料電池システムによって発生する大部分の動力を提供することができる、1つ以上の発電機またはタービンに動力を供給するために、燃焼反応を使用することができる。燃料電池による発電を最適化するために燃料電池を作動するよりも、このシステムはその代わりに、二酸化炭素を捕捉するために必要とされる燃料電池の数を減少させるか、または最小化しながら、燃焼動力発電機からの二酸化炭素の捕捉を改善するために作動されることができる。燃料電池のインプットおよびアウトプット動力フローのために適切な構成を選択すること、ならびに燃料電池のために適切な作動条件を選択することによって、全効率および炭素捕捉の望ましい組み合わせを可能にすることができる。
【0173】
いくつかの実施形態において、燃料電池アレイの燃料電池は、燃料電池(例えば、燃料電池積層)の単一段階のみが存在することができるように配置することができる。この種類の実施形態において、単一段階の間のアノード燃料利用は、アレイのアノード燃料利用を表すことができる。別の選択肢は、燃料電池アレイが、アノードの複数段階およびカソードの複数段階を含有することができることであり、それぞれのアノード段階は同範囲内の燃料利用を有し、例えば、それぞれのアノード段階は、明示された値の10%以内、例えば、明示された値の5%以内の燃料利用を有する。さらに別の選択肢は、それぞれのアノード段階が、明示された値と同等または明示された値未満の燃料利用を有することができることであり、例えば、それぞれのアノード段階は、5%以下、例えば、10%以下、明示された値より大きくない。実例となる実施例として、複数のアノード段階を有する燃料電池アレイは、50%燃料利用の約10%の範囲内であるそれぞれのアノード段階を有することができ、これは、約40%〜約60%の燃料利用を有するそれぞれのアノード段階に相当する。他の例として、複数の段階を有する燃料電池アレイは、最大偏差が約5%未満で、60%アノード燃料利用より高くないそれぞれのアノード段階を有することができ、これは、約55%〜約60%の燃料利用を有するそれぞれのアノード段階に相当する。さらに別の実施例において、燃料電池アレイの燃料電池の1つ以上の段階は、約30%〜約50%の燃料利用で作動されることができ、例えば、約30%〜約50%の燃料利用でアレイにおいて複数の燃料電池段階が作動される。より一般に、上記の種類の範囲のいずれも、本明細書に明示されるアノード燃料利用値のいずれとも組み合わせることができる。
【0174】
さらに別の追加的または代わりの選択肢は、全てではないアノード段階に関する燃料利用を明示することを含むことができる。例えば、本発明のいくつかの態様において、燃料電池/積層は、1つ以上の直列配列で少なくとも部分的に配置されることができ、アノード燃料利用は、直列の第1のアノード段階、直列の第2のアノード段階、直列の最終的なアノード段階、または直列の他のいずれかの都合のよいアノード段階のために明示されることができる。本明細書で使用される場合、直列の「第1の」段階は、インプットが燃料供給源から直接供給される段階(または配列が同様に並列の段階を含有する場合、段階の組み合わせ)に相当し、その後の(「第2の」、「第3の」、「最終的な」など)段階は、それぞれの燃料供給源から直接の代わりに、1つ以上の前の段階からのアウトプットが供給される段階を表す。前の段階からのアウトプットおよび燃料供給源からの直接インプットの両方が段階に同時供給される状況において、「第1の」(組み合わせの)段階および「最後の」(組み合わせの)段階が存在することができるが、他の段階(「第2の」、「第3の」など)は、その中で順番を確立するために、より慎重を要することができる(例えば、そのような場合、順番は、複合インプット供給組成物における1つ以上の成分、例えばCO
2の濃度によって、最も高い濃度「第1」から最も低い濃度「最後」まで決定されることができ、ほぼ同様の組成差が同様の順番を表す。)
【0175】
さらに別の追加的または代わりの選択肢は、特定のカソード段階に相当するアノード燃料利用を明示することであることができる(再び、燃料電池/積層が1つ以上の直列配列で少なくとも部分的に配置されることができる)。上記の通り、アノードおよびカソード内のフローの方向をベースとして、第1のカソード段階は、(同一燃料電池膜を通って)第1のアノード段階に相当しなくてもよい。したがって、本発明のいくつかの態様において、アノード燃料利用は、直列の第1のカソード段階、直列の第2のカソード段階、直列の最終的なカソード段階、または直列の他のいずれかの都合のよいカソード段階のために明示されることができる。
【0176】
なおさらに別の追加的または代わりの選択肢は、燃料電池アレイの全燃料電池における燃料利用の全平均を明示することであることができる。様々な態様において、燃料電池アレイのための燃料利用の全平均は、約65%以下、例えば、約60%以下、約55%以下、約50%以下または約45%の以下であることができる(追加的に、または代わりとして、燃料電池アレイのための全平均燃料利用は、少なくとも約25%、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約35%または少なくとも約40%であることができる)。そのような平均燃料利用は、燃料電池のアレイが所望の燃料利用を満たす限り、いずれかの単一段階における燃料利用を必ずしも限定する必要はない。
【0177】
捕捉後のCO
2アウトプットのための用途
本発明の様々な態様において、上記のシステムおよび方法によって、加圧流体としての二酸化炭素の生成を可能にすることができる。例えば、低温分離段階から発生するCO
2は、最初、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の純度を有する加圧されたCO
2液体に相当することができる。この加圧されたCO
2流は、例えば、二次石油採集においてなど、さらに油またはガス回収を向上させるためのウェルへの注入に使用されることができる。ガスタービンを包含する設備の付近で実行される場合、全体的なシステムは、電気/機械的動力の使用における追加的な相乗効果から、および/または全体システムとの熱集積化を通して利益を得てもよい。
【0178】
あるいは、強制石油回収(EOR)用途のためのシステムに関して(すなわち、厳密な成基準を有するパイプラインシステムにおいて混合されない)、CO
2分離必要条件は実質的に緩和されてもよい。EOR用途はO
2の存在に感応性である可能性があるため、いくつかの実施形態において、EORに関して意図されたCO
2流からO
2は不在であることができる。しかしながら、EOR用途は、溶解されたCO、H
2および/またはCH
4に対して低い感応性を有する傾向あることができる。また、CO
2を輸送するパイプラインは、これらの不純物に感応性である可能性がある。それらの溶性ガスは、典型的に、EORに使用されるCO
2の可溶化能力に対してわずかな影響のみを有することができる。CO、H
2および/またはCH
4などの注入ガスは、EORガスとして、燃料価回復のいくらかの損失をもたらすことができるが、そのようなガスは、その他の場合には、EOR用途と適合性であることができる。
【0179】
追加的に、または代わりとして、加圧された液体としてのCO
2の潜在的な用途は、藻類成長/収穫などの生物学的プロセスにおける養分としてであることができる。CO
2分離のためのMCFCの使用によって、確実に、生物学的に有意な汚染物質を容認できる低濃度まで低下させることができ、光合成有機体の成長に実質的に悪影響を及ぼさないような少量の他の「汚染物質」ガス(CO、H
2、N
2などおよびそれらの組み合わせ)のみを有するCO
2含有流をもたらす。これは、重金属などの潜在的に高度に毒性の材料をしばしば含有することができるほとんどの工業用供給源によって発生するアウトプット流とは際立った対比であることができる。
【0180】
本発明のこの種類の態様において、アノードループにおけるCO
2の分離によって発生するCO
2流は、生物燃料および/または化学製品、ならびにそれらの前駆体を製造するために使用することができる。さらに追加的に、または代わりとして、CO
2は高密度流体として生じられてもよく、例えば、光合成有機体の大きい領域への距離を通したより容易なポンプ輸送および輸送が可能となる。従来の排出供給源は、他のガスおよび汚染物質と混合された適度の量のCO
2(例えば、約4〜15%)を含有するホットガスを排出することができる。これらの材料は通常、藻類の池または生物燃料「ファーム」に希薄なガスとしてポンプ輸送される必要がある。対照的に、本発明によるMCFCシステムは、濃縮CO
2流(乾燥基準で約60〜70体積%)を生じることができ、これは、さらに95%+(例えば、96%+、97%+、98%+または99%+)まで濃縮可能であり、かつ容易に液化可能である。次いで、この流れを比較的低コストで長距離上で容易に、かつ効率的に輸送することができて、広い領域上で効果的に分配することができる。これらの実施形態において、燃焼供給源/MCFCから余熱は、同様に全システムに集積化されてもよい。
【0181】
CO
2供給源/MCFCおよび生物学的/化学的製造サイトが同位置に配置される別の実施形態は適用し得る。その場合、最小限の圧縮のみが必要とされてもよい(すなわち、生物学的生成において使用される十分なCO
2圧力、例えば、約15psig〜約150psigを提供する)。いくつかの新しい配列は、そのような場合、可能であることができる。二次改質は、任意に、CH
4含有量を低下させるためにアノード排出物に適用されてもよく、そして水性ガスシフトは、任意に、追加的に、または代わりとして、いずれかの残りのCOをCO
2およびH
2にするために存在してもよい。
【0182】
アノードアウトプット流および/またはカソードアウトプット流からの成分は、様々な目的のために使用することができる。1つの選択肢は、上記の通り、水素の供給源としてアノードアウトプットを使用することであることができる。精製装置と集積化されるか、または同位置に配置されるMCFCに関して、水素化などの様々な精製装置プロセスのための水素供給源として水素を使用することができる。別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、燃焼からのCO
2が既に「捕捉」された燃料供給減として水素を使用することであることができる。そのような水素は、精製装置または他の工業用装置において、煮沸器、炉、および/または燃焼された加熱器用の燃料として使用されることができ、および/またはタービンなどの発電機のための供給として水素を使用することができる。MCFC燃料電池からの水素は、さらに追加的に、または代わりとして、おそらく、燃料電池によって動力を供給される車両を含む、インプットとして水素を必要とする他の種類の燃料電池のためにインプット流として使用することができる。なお別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、MCFC燃料電池からのアウトプットとして発生する合成ガスを、発酵インプットとして使用することであることができる。
【0183】
別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、アノードアウトプットから発生する合成ガスを使用することであることができる。もちろん、燃料として燃焼させた時に合成ガスをベースとする燃料がいくらかのCO
2に生成をなお導くことができるが、合成ガスは燃料として使用することができる。他の態様において、合成ガスアウトプット流を、化学合成プロセスのためのインプットとして使用することができる。1つの選択肢は、追加的に、または代わりとして、フィッシャー−トロプシュ型プロセスおよび/またはより大きい炭化水素分子が合成ガスインプットから形成される別のプロセスのために合成ガスを使用することであることができる。別の選択肢は、追加的に、または代わりとして、メタノールなどの中間生成物を形成するために合成ガスを使用することであることができる。メタノールは、最終生成物として使用することができるが、他の態様において、合成ガスから発生するメタノールは、より大きい化合物、例えば、ガソリン、オレフィン、芳香族化合物および/または他の生成物を発生させるために使用することができる。なお、少量のCO
2は、メタノール合成プロセス、および/またはシフティング触媒を利用するフィッシャートロプシュプロセスへの合成ガス供給において容認可能とすることができる。ヒドロホルミル化は、合成ガスインプットを利用することができるさらに別の合成プロセスの追加的または代わりの例である。
【0184】
なお、合成ガスを発生させるMCFCの使用に関する1つの変形形態は、沖合石油採掘装置または最終的な市場からかなりの距離である他の製造システムによって回収されたメタンおよび/または天然ガスの処理のためのシステムの一部としてMCFC燃料電池を使用することであることができる。ウェルから気相アウトプットを輸送することを試みる代わりに、または長期間、気相生成物を貯蔵することを試みる代わりに、ウェルからの気相アウトプットを、MCFC燃料電池アレイへのインプットとして使用することができる。これは、様々な利点を導くことができる。第1に、燃料電池アレイによって発生する電力を、プラットホームのための動力供給源として使用することができる。追加的に、燃料電池アレイからの合成ガスアウトプットを、製造サイトにおいてフィッシャートロプシュプロセスのためのインプットとして使用することができる。これによって、製造サイトから、例えば、陸上設備まで、またはより大きいターミナルまで、パイプライン、船または鉄道車両によって、より容易に輸送される液体炭化水素生成物の形成が可能となる。
【0185】
さらに他の集積化の選択肢は、追加的に、または代わりとして、高純度の加熱された窒素の供給源としてカソードアウトプットを使用することを含むことができる。カソードインプットは空気の大部分をしばしば含むことができ、このことは、窒素の実質的な部分がカソードインプットに含まれる可能性があることを意味する。燃料電池は、電解質を通ってカソードからアノードまでCO
2およびO
2を輸送することができ、そしてカソードアウトレットは、CO
2およびO
2のより低い濃度、したがって、空気に見られるよりも高いN
2の濃度を有することができる。残留するO
2およびCO
2のその後の除去によって、この窒素アウトプットを、アンモニアまたは他の窒素含有化学製品、例えば、尿素、硝酸アンモニウムおよび/または硝酸の製造のためのインプットとして使用することができる。なお、尿素合成は、追加的に、または代わりとして、アノードアウトプットとは別のCO
2をインプット供給として使用することができるであろう。
【実施例】
【0186】
集積化実施例:燃焼タービンとの集積化のための用途
本発明のいくつかの態様において、動力を発生させるため、およびCO
2含有排気物を排気するための燃焼供給源は、溶融炭酸塩形燃料電池の作動と集積化させることができる。適切な燃焼供給源の一例は、ガスタービンである。好ましくは、ガスタービンは、追加的な効率のために蒸気発生および熱回収と集積化された複合サイクルモードにおいて、天然ガス、メタンガスまたは他の炭化水素ガスを燃焼させることができる。現代の天然ガス複合サイクル効率は、最大および最新のデザインに関して、約60%である。得られるCO
2含有排出物ガス流は、MCFC作動との適合性を有する高温、例えば、300℃〜700℃、好ましくは500℃〜650℃で生成することができる。ガス供給源は、任意であるが、好ましくは、タービンに入る前に、MCFCに悪影響を及ぼす可能性のある硫黄などの汚染物質をクリーニングすることができる。あるいは、ガス供給源は、排出物ガスが典型的に、排出物ガスの汚染物質のより高い濃度のため、燃焼後にクリーニングされる発電機であることができる。そのような代替案において、ガスへの/ガスからのいくらかの熱交換は、より低い温度でのクリーンアップを可能にするために必要とされてもよい。追加的または代わりの実施形態において、CO
2含有排出物ガスの供給源は、煮沸器、燃焼室、または炭素の豊富な燃料を燃焼させる熱供給源からのアウトプットであることができる。他の追加的または代わりの実施形態において、CO
2含有排出物ガスの供給源は、他の供給源と組み合わせた生物学的に生成されたCO
2であることができる。
【0187】
燃焼供給源との集積化のために、燃料電池アノードの処理のためのいくつかの他の構成が望ましくなることができる。例えば、他の構成が、燃料電池アノードからの排出物の少なくとも一部分を燃料電池アノードのインプットにリサイクルすることであることができる。MCFCアノードからのアウトプット流には、主なアウトプット成分として、H
2O、CO
2、任意にCO、そして任意であるが、典型的に未反応の燃料(例えば、H
2またはCH
4)が含まれることができる。別のプロセスとの集積化のための外部燃料流および/またはインプット流として、このアウトプット流を使用する代わりに、1つ以上の分離を、潜在的燃料価を有する成分、例えば、H
2またはCOからCO
2を分離するために、アノードアウトプット流において実行することができる。次いで、燃料価を有する成分は、アノードのインプットへとリサイクルすることができる。
【0188】
この種類の構成は、1つ以上の利点を提供することができる。第1に、低温CO
2分離器を使用することなどにより、CO
2をアノードアウトプットから分離することができる。アノードアウトプットの成分のいくつか(H
2、CO、CH
4)は容易に凝縮可能な成分ではないが、CO
2およびH
2Oは、凝縮された相として個々に分離することができる。実施形態次第で、アノードアウトプットのCO
2の少なくとも約90体積%を分離することができ、比較的高純度のCO
2アウトプット流を形成することができる。あるいは、いくつかの態様において、より少ないCO
2をアノードアウトプットから除去することができ、アノードアウトプットのCO
2の約50体積%〜約90体積%、例えば約80体積%以下、または約70体積%以下を分離することができる。分離後、アノードアウトプットの残りの部分は、主として燃料価を有する成分、ならびにCO
2および/またはH
2Oの減少した量に相当することができる。分離後のアノードアウトプットのこの部分は、追加的な燃料に加えて、アノードインプットの一部分として使用するためにリサイクルすることができる。この種類の構成において、MCFCを通る単回通過の燃料利用が低いとしても、未使用の燃料は、アノードを通る別の通過のために有利にリサイクルされることができる。その結果、単回通過燃料利用は減少されたレベルであることができるが、一方、環境への未燃焼燃料の損失(排出)を回避することができる。
【0189】
アノード排出物の一部分をアノードインプットへリサイクルすることの追加的に、または代わりに、別の構成の選択肢は、タービン、あるいは煮沸器、炉および/または燃焼加熱器などの他の燃焼デバイスの燃焼反応のためのインプットとして、アノード排出物の一部分を使用することであることができる。アノードインプットにリサイクルされ、および/または燃焼デバイスへのインプットとしてのアノード排出物の相対的な量は、いずれかの都合のよい、または望ましい量であることができる。アノード排出物がアノードインプットおよび燃焼デバイスの1つのみにリサイクルされる場合、リサイクルの量は、いずれかの都合のよい量であることもでき、例えば、CO
2および/またはH
2Oを除去するためのいずれかの分離の後に残留するアノード排出物の100%までの部分であることができる。アノード排出物の一部分が、アノードインプットおよび燃焼デバイスにリサイクルされる場合、定義による全体のリサイクルされた量は、アノード排出物の残留部分の100%以下であることができる。その他の場合はノード排出物のいずれの都合のよい分割も使用することができる。本発明の様々な実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、アノードインプットへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下または約10%以下であることができる。さらに追加的に、または代わりとして、本発明の様々な実施形態において、燃焼デバイスへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の少なくとも約10%、例えば、少なくとも約25%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、または少なくとも約90%であることができる。追加的に、または代わりとして、それらの実施形態において、燃焼デバイスへのリサイクルの量は、分離後に残留するアノード排出物の約90%以下、例えば、約75%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約25%以下、または約10%以下であることができる。
【0190】
本発明のさらに他の態様において、燃焼デバイスのための燃料は、追加的に、または代わりとして、不活性であり、かつ/またはその他の場合には、燃料中で希釈剤として作用する成分の高められた量を有する燃料であることができる。CO
2およびN
2は、燃焼反応の間、比較的不活性であることができる天然ガス供給の成分の一例である。燃料供給における不活性成分の量が十分なレベルに達する場合、タービンまたは他の燃焼供給源の性能に影響を与えることができる。この影響は、部分的に、燃焼反応をクエンチする傾向のある可能性がある熱を吸収する不活性成分の能力によるものであることができる。十分なレベルの不活性成分を有する燃料供給の例には、少なくとも約20体積%のCO
2を含有する燃料供給、または少なくとも約40体積%のN
2を含有する燃料供給、または同様のクエンチ能力を提供するために十分な不活性熱容量を有するCO
2およびN
2の組み合わせを含有する燃料供給を含むことができる。(なお、CO
2はN
2より大きい熱容量を有し、したがって、より低濃度のCO
2は、より高濃度のN
2と同様の影響を有することができる。CO
2は、N
2より容易に燃焼反応に関与することもでき、その際、燃焼からH
2を除去する。H
2のこのような消費は、火炎速度を低下させて、空気と燃料混合物の可燃性範囲を限定することによって、燃料の燃焼への大きい影響を有することができる)。より一般に、燃料供給の可燃性に影響を与える不活性成分を含有する燃料供給に関して、燃料供給の不活性成分は、少なくとも約20体積%、例えば、少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%であることができる。好ましくは、燃料供給の不活性成分の量は、約80体積%以下であることができる。
【0191】
不活性成分の十分な量が燃料供給に存在する場合、得られる燃料供給は、供給の燃料成分に関する可燃性領域の外にあることができる。この種類の状態において、アノード排出物のリサイクルされた部分から発電機のための燃焼領域へのH
2の添加は、燃料供給およびH
2の組み合わせに関する可燃性領域を拡張することができ、これによって、例えば、少なくとも約20体積%のCO
2または少なくとも約40体積%のN
2(またはCO
2およびN
2の他の組み合わせ)を含有する燃料供給が首尾よく燃焼されることが可能となる。
【0192】
燃焼領域に送達される燃料供給およびH
2の全容量と比較して、可燃性領域を拡張するためのH
2の量は、燃料供給およびH
2の全容量の少なくとも約5体積%、例えば、少なくとも約10体積%、および/または約25体積%以下であることができる。可燃性領域を拡張するために添加するH
2の量を特徴づけるための別の選択肢は、H
2添加前に燃料供給に存在する燃料成分の量をベースとすることができる。燃料成分は、メタン、天然ガス、他の炭化水素および/または従来から燃焼動力タービンもしくは他の発電機の燃料として見なされる他の成分に相当することができる。燃料供給に添加されるH
2の量は、燃料供給における燃料成分(1:3のH
2:燃料成分の比率)の体積の少なくとも約3分の1、例えば、燃料成分の体積の少なくとも約半分(1:2の比率)に相当することができる。追加的に、または代わりとして、燃料供給に添加されるH
2の量は、燃料供給における燃料成分の体積とほぼ同等(1:1の比率)以下である。例えば、約30体積%のCH
4、約10体積%のN
2および約60体積%のCO
2を含有する供給に関して、約1:2のH
2とCH
4との比率を達成するために、アノード排出物の十分な量を燃料供給に添加することができる。H
2のみを含有する理想的なアノード排出物に関して、1:2の比率を達成するためのH
2の添加によって、約26体積%のCH
4、13体積%のH
2、9体積%のN
2および52体積%のCO
2を含有する供給をもたらすことができる。
【0193】
集積化されたシステムの実施例
図4は、溶融炭酸塩形燃料電池と集積化された直列タービンシステムの実施例を概略的示す。このシステムは、燃料電池アノード排出物からタービンを動かすための燃焼反応への、CO
2を含有するリサイクルされた排出物ガスおよびH
2またはCOの導入を含む。直列タービンシステム402は、直列配置された2つ以上のタービンを含み、そこで、上流タービンからの排出物ガスが、任意ではあるが、好ましくは、下流タービンの圧縮領域を通して、下流タービンの燃焼チャンバーにおいて導入される。直列タービンシステムは、
図5に関して、本明細書にさらに詳細に記載される。直列タービンシステムは、少なくとも、CO
2を含んでなる最終排出物ガス422を生じる。
図5に示されるシステム500と対照的に、排出物の高温を利用するために、排出物422が燃料電池に導入される場合、HRSG 560はシステムから任意に除去されてもよい。あるいは、排出物422はHRSG 560を出た後、および燃料アレイ425に入る前に加熱されてもよい。
【0194】
CO
2含有流422は、溶融炭酸塩形燃料電池アレイ425のカソード部分(図示せず)を通過させることができる。燃料電池アレイ425内の反応をベースとして、CO
2を流れ422から分離することができて、燃料電池アレイ425のアノード部分(図示せず)に輸送することができる。これによって、CO
2の欠乏したカソードアウトプット流424をもたらすことができる。カソードアウトプット流424は、次いで、蒸気タービン454(前記の蒸気タービン494と任意に同一でもよい)を使用して、熱交換の発生および/または追加的な発電のために、熱回収(および任意の蒸気発生器)システム450を通過させることができる。熱回収および蒸気発生器システム450を通過した後、得られた燃焼ガス流456を周囲に排出することができ、および/またはアミンスクラバーなどの他の種類の炭素捕捉技術を通過させることができる。
【0195】
燃料電池アレイ425のカソードサイドからアノードサイドへのCO
2輸送の後、アノードアウトプット435を水性ガスシフト反応器470に任意に通過させることができる。水性ガスシフト反応器470を使用して、アノードアウトプット435に存在するCO(およびH
2O)を消費して、追加的なH
2およびCO
2を発生させることができる。任意の水性ガスシフト反応器470からのアウトプットを、次いで、1つ以上の分離段階440、例えば、コールドボックスまたは低温分離器に通過させることができる。これによって、アノードアウトプットの残りの部分から、H
2O流447およびCO
2流449を分離することができる。アノードアウトプット485の残りの部分は、改質によって発生するが、燃料電池アレイ425で消費されない未反応のH
2を含むことができる。H
2含有流485の第1の部分445は、燃料電池アレイ425においてアノードのためのインプットにリサイクルされることができる。流れ485の第2の部分487は、直列タービンシステム402の第1または第2のタービンのいずれかの燃焼領域415のためのインプットとして使用することができる。第3の部分465は、別の目的のためにそのままで使用されることができ、かつ/またはその後のさらなる使用のために処理されることができる。
図4および本明細書の記載には最大で3つの部分が概略的に記載されているが、本発明に従って、これらの3つの部分の1つのみを利用することができること、2のみを利用することができること、または3つ全てを利用することができることが考えられる。
【0196】
本発明の様々な実施形態において、本プロセスは、燃焼反応によって発生する熱および/または圧力を、力の別の形態に変換することができる、タービン、内燃機関または別のシステムに動力を供給するための燃焼反応によって始動するものとしてアプローチされる。燃焼反応のための燃料は、水素、炭化水素および/またはエネルギーを放出するために酸化(燃焼)されることができる炭素を含有する他のいずれかの化合物を含んでなることができるか、またはそれらであることができる。燃料が水素のみを含有する場合を除いて、燃焼反応からの排出物ガスの組成物は、反応の性質次第でCO
2含有量の範囲(例えば、少なくとも約2体積%〜約25体積%以下)を有することができる。したがって、燃料が炭素質である特定の実施形態において、排出物ガスのCO
2含有量は、少なくとも約2体積%、例えば、少なくとも約4体積%、少なくとも約5体積%、少なくとも約6体積%、少なくとも約8体積%、または少なくとも約10体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、そのような炭素質の燃料実施形態において、CO
2含有量は、約25体積%以下、例えば、約20体積%以下、約15体積%以下、約10体積%以下、約7体積%以下、または約5体積%以下であることができる。(炭素質燃料に関して)より低い相対的なCO
2含有量を有する排出物ガスは、リーン(lean)な(過剰空気)燃焼による天然ガスなどの燃料における燃焼反応からの排出物ガスに相当することができる。(炭素質燃料に関して)より高い相対的なCO
2含有量排出物ガスは、最適化された天然ガス燃焼反応、例えば、排出物ガスリサイクルを有するもの、および/または石炭などの燃料の燃焼に相当することができる。
【0197】
本発明のいくつかの態様において、燃焼反応のための燃料は、少なくとも約90体積%、例えば、少なくとも約95体積%の5個以下の炭素を含有する化合物を含有することができる。そのような態様において、排出物ガスのCO
2含有量は、少なくとも約4体積%、例えば、少なくとも約5体積%、少なくとも約6体積%、少なくとも約7体積%、または少なくとも約7.5体積%であることができる。追加的に、または代わりとして、排出物ガスのCO
2含有量は、約13体積%以下、例えば、約12体積%以下、約10体積%以下、約9体積%以下、約8体積%以下、約7体積%以下、または約6体積%以下であることができる。排出物ガスのCO
2含有量は、燃焼発電機の構成次第で、値の範囲を表すことができる。排出物ガスのリサイクルは、少なくとも約6体積%のCO
2含有量を達成するために有利であることができるが、燃焼反応への水素の添加によって、少なくとも約7.5体積%のCO
2含有量を達成するために、CO
2含有量のさらなる増加を可能にすることができる。
【0198】
追加的な実施形態
実施形態1.電気を発生させる方法であって、第1の酸素流および第1の燃焼燃料流を第1の燃焼タービンの燃焼チャンバーに導入するステップと;第1の燃焼タービンにおいて第1の燃焼燃料流を燃焼させることによって、電気と、O
2の第1の排出物濃度およびCO
2の第1の排出物濃度を有する第1の排出物ガスとを発生させるステップと;第1の排出物ガスから第2の燃焼タービンの燃焼チャンバーに、O
2の少なくとも約50モル%およびCO
2の少なくとも約50モル%を導入するステップと;第2の燃焼燃料流を第2の燃焼タービンの燃焼チャンバーに導入するステップと;第2の燃焼タービンにおいて第2の燃焼燃料流を燃焼させることによって、電気と、O
2の第2の排出物濃度およびCO
2の第2の排出物濃度を有する第2の排出物ガスとを発生させるステップであって、CO
2の第2の排出物濃度とCO
2の第1の排出物濃度との比率が少なくとも約1.3:1である、ステップと;第2の排出物ガスの少なくとも一部分からCO
2を分離するステップとを含んでなり、任意に、第1の排出物ガスから、O
2の少なくとも約60モル%、O
2の少なくとも約70モル%、またはO
2の少なくとも約80モル%を、第2の燃焼タービンの燃焼チャンバーに導入することができ、任意に、第1の排出物ガスから、CO
2の少なくとも約60モル%、CO
2の少なくとも約70モル%、またはCO
2の少なくとも約80モル%を、第2の燃焼タービンの燃焼チャンバーに導入することができる、方法。
【0199】
実施形態2.第1の排出物ガスが、少なくとも約3%、または少なくとも約4%、または少なくとも約5%、および任意に約10%未満のCO
2のモル分率を有する、実施形態1の方法。
【0200】
実施形態3.第2の排出物ガスが、少なくとも約6%、または少なくとも約7%、または少なくとも約8%、および任意に約20%未満のCO
2のモル分率を有する、実施形態1または2の方法。
【0201】
実施形態4.第2の燃焼タービンへの排出物ガスの少なくとも一部分の導入ステップの前に、第1の排出物ガスを熱回収および蒸気発生器に導入するステップをさらに含んでなる、上記実施形態のいずれか1つの方法。
【0202】
実施形態5.第1の排出物ガスから第2の燃焼タービンの燃焼チャンバーへのO
2の少なくとも約50モル%およびCO
2の少なくとも約50モル%の導入ステップの前に、第1の排出物ガスに空気を添加するステップをさらに含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0203】
実施形態6.CO
2の第2の排出物濃度とCO
2の第1の排出物濃度との比率が、少なくとも約1.4:1、例えば、少なくとも約1.5:1、少なくとも約1.6:1、少なくとも約1.7:1、または少なくとも約1.8:1、および/または任意に約2.0:1以下である、上記実施形態のいずれかの方法。
【0204】
実施形態7.O
2の第1の排出物濃度が、約15モル%以下、例えば、約14モル%以下、約12モル%以下、または約10モル%以下であり、かつO
2の第2の排出物濃度が、約7モル%以下、例えば、約6モル%以下、または約5モル%以下である、上記実施形態のいずれかの方法。
【0205】
実施形態8.第2の排出物ガスの少なくとも一部分からCO
2を分離するステップが、第2の排出物ガスの少なくとも一部分を溶融炭酸塩形燃料電池のカソードに導入するステップと;改質可能な燃料を含んでなるアノード燃料流を、溶融炭酸塩形燃料電池のアノード、アノードと関連する内部改質要素、またはそれらの組み合わせに導入するステップと;溶融炭酸塩形燃料電池内で電気を発生させるステップと;H
2、COおよびCO
2を含んでなる溶融炭酸塩形燃料電池からのアノード排出物を発生させるステップとを含んでなる、上記実施形態のいずれかの方法。
【0206】
実施形態9.アノード排出物の少なくとも一部分において水性ガスシフトプロセスを実行するステップをさらに含んでなる、実施形態8の方法。
【0207】
実施形態10.アノード排出物の少なくとも一部分からCO
2を分離するステップをさらに含んでなる、実施形態8または9の方法。
【0208】
実施形態11.第1の燃焼燃料流、第2の燃焼燃料流、改質可能な燃料を含んでなるアノード燃料流、またはそれらの組み合わせが、少なくとも約10体積%のCO
2を含んでなる、実施形態8〜10のいずれか1つの方法。
【0209】
実施形態12.アノード排出物の少なくとも一部分からH
2含有流を形成するステップをさらに含んでなる、実施形態8〜11のいずれか1つの方法。
【0210】
実施形態13.第1の燃焼燃料流、第2の燃焼燃料流、改質可能な燃料を含んでなるアノード燃料流、またはそれらの組み合わせの少なくとも約90体積%をメタンが構成する、実施形態8〜12のいずれか1つの方法。
【0211】
実施形態14.燃料電池が、約0.25〜約1.3、任意に約1.0以下、または約0.9以下の熱比率で作動される、実施形態8〜13のいずれか1つの方法。
【0212】
実施形態15.アノード、アノードと関連する内部改質要素、またはそれらの組み合わせに導入される改質可能な燃料の量が、電気を発生させるために溶融炭酸塩形燃料電池で反応する水素の量よりも少なくとも約75%多い、または少なくとも約100%多い、実施形態8〜14のいずれか1つの方法。
【0213】
実施形態16.燃料電池が、少なくとも約150mA/cm
2の電流密度の電力および少なくとも約40mW/cm
2の廃熱を発生させるために作動され、方法が、約100℃以下のアノードインレットとアノードアウトレットとの間の温度差を維持するために有効な量の吸熱性反応を実行するステップをさらに含んでなる、実施形態8〜15のいずれか1つの方法。
【0214】
実施形態17.燃料電池の電気効率が約10%〜約40%であり、かつ燃料電池の全燃料電池効率が、少なくとも約55%、例えば、少なくとも約65%、または少なくとも約75%である、実施形態8〜16のいずれかの方法。
【0215】
実施形態18.第1の排出物ガスからのCO
2の少なくとも約90モル%、例えば、少なくとも約95モル%、または少なくとも約99モル%が、第2の燃焼タービンの燃焼チャンバーに導入される、上記実施形態のいずれか1つの方法。
【0216】
実施形態19.第1の排出物ガスからのO
2およびCO
2の残りの部分が、第1の燃焼タービンの燃焼領域にリサイクルされる、上記実施形態のいずれか1つの方法。