(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-500503(P2017-500503A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(54)【発明の名称】遊星歯車機構の遊星軸受における軸方向の固定装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/08 20060101AFI20161209BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20161209BHJP
【FI】
F16H57/08
F16H1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-536189(P2016-536189)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】EP2014074823
(87)【国際公開番号】WO2015090785
(87)【国際公開日】20150625
(31)【優先権主張番号】102013226520.4
(32)【優先日】2013年12月18日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(71)【出願人】
【識別番号】514011413
【氏名又は名称】ツェットエフ ウィンド パワー アントワープ エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】ZF WIND POWER ANTWERPEN N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ディルク レイマン
【テーマコード(参考)】
3J027
3J063
【Fターム(参考)】
3J027FA37
3J027FB40
3J027GA01
3J027GC13
3J027GE01
3J027GE07
3J027GE14
3J027GE25
3J027GE30
3J063AA40
3J063AB12
3J063AC01
3J063BA04
3J063BB11
3J063CA01
3J063CB04
3J063CB06
3J063CB48
3J063CD02
(57)【要約】
本発明は、特に風力発電設備用の遊星歯車機構に関する。遊星歯車機構は、遊星歯車と、遊星軸と、遊星キャリアと、を備える。遊星歯車は、第1軸受および第2軸受により、回転可能な状態で遊星軸上に支持される。第1軸受は、遊星歯車を、軸方向である第1方向への移動に対して支承可能であり、第2軸受は、遊星歯車を、第1方向と反対の、軸方向である第2方向への移動に対して支承可能である。遊星歯車機構は、支承手段を備え、第1軸受の内輪を、内輪の第1方向の移動に対して、遊星キャリアに支承し、支承手段を備え、第2軸受の内輪を、内輪の第2方向への移動に対して、遊星軸に支承し、および支承手段を備え、遊星軸を、遊星軸の第1方向への移動に対して、遊星キャリアに支承する。本発明に従い、遊星軸を遊星キャリアに支承する支承手段は、第1軸受および第2軸受が遊星軸と遊星キャリアの間の負荷パスに位置できないよう、配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの遊星歯車(102)と、
少なくとも1つの遊星軸(108)と、
少なくとも1つの遊星キャリア(110)と、を備えた遊星歯車機構であって、
前記遊星歯車(102)は、少なくとも1列の第1軸受(104)および少なくとも1列の第2軸受(106)により、回転可能な状態で前記遊星軸(108)上に支持され、
前記第1軸受(104)は、前記遊星歯車(102)を、少なくとも、軸方向である第1方向(124)への移動に対して支承可能であり、および
前記第2軸受(106)は、前記遊星歯車(102)を、少なくとも、前記第1方向(124)と反対の、軸方向である第2方向(126)への移動に対して支承可能であり、
少なくとも1つの支承手段(128)を備え、前記第1軸受(104)の内輪を、該内輪の前記第1方向(124)への移動に対して、前記遊星キャリア(110)に支承し、
少なくとも1つの支承手段(130)を備え、前記第2軸受(106)の内輪を、該内輪の前記第2方向(126)への移動に対して、前記遊星軸(108)に支承し、および
少なくとも1つの支承手段(202、204)を備え、前記遊星軸(108)を、該遊星軸(108)の前記第1方向(124)への移動に対して、前記遊星キャリア(110)に支承する遊星歯車機構において、
前記遊星軸(108)を前記遊星キャリア(110)に支承する、前記支承手段(202、204)は、前記第1軸受(104)および前記第2軸受(106)が前記遊星軸(108)と前記遊星キャリア(110)の間の負荷パスに位置できないよう、配置されることを特徴とする遊星歯車機構。
【請求項2】
前記遊星キャリア(110)は開口(116)を備え、前記遊星軸(108)を、前記開口(116)を通して、前記遊星キャリア(110)に挿入可能であることを特徴とする、請求項1に記載の遊星歯車機構。
【請求項3】
前記遊星軸(108)は、前記第1方向(124)へ向かって前記遊星キャリア(110)に挿入されることを特徴とする、請求項1または2に記載の遊星歯車機構。
【請求項4】
少なくとも1つのスペーサ(204)は、前記遊星軸(108)を前記遊星キャリア(110)に支承する、支承手段としての役割を果たすことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の遊星歯車機構。
【請求項5】
前記遊星軸(108)は、少なくとも1つの第1部分(206)および少なくとも1つの第2部分(208)からなり、
前記第1部分(206)および前記第2部分(208)は、取り外し可能な状態で互いに接続され、
前記第1軸受(104)および前記第2軸受(106)は、前記第1部分(206)に取り付けられ、および
前記第2部分(208)の少なくとも1部分は、支承手段(204)を構成し、前記遊星軸(108)を前記遊星キャリア(110)に支承することを特徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の遊星歯車機構。
【請求項6】
前記遊星キャリア(110)および前記遊星軸(108)は、前記第1部分(206)を前記遊星キャリア(110)内に位置させたまま、前記第2部分(208)を前記第1部分(206)から取り外し可能であるよう構成されることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の遊星歯車機構。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の遊星歯車機構を備えた、風力発電設備のための歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に風力発電設備の歯車装置において、遊星歯車段として使用可能な遊星歯車機構に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、上述の種類の遊星歯車機構の遊星歯車102のための、従来技術から既知の軸受を示す。遊星歯車102は、第1軸受104および第2軸受106により、回転可能な状態で、遊星軸または遊星ボルト108上に支持される。遊星軸108は、遊星キャリア110に固定される。
【0003】
軸方向には、第1軸受104および第2軸受106の内輪が、遊星キャリア110と遊星軸108の間に留められる。しかしながら、第1軸受104および第2軸受106は円筒ころ軸受であるため、軸方向に一定の軸受の遊び112が必要である。この軸受の遊び112を確保するために、第1軸受104と第2軸受106の内輪の間には、スペーサ114が存在する。
【0004】
スペーサ114を使用することで、追加の費用が発生するのみでなく、取り付けの際に問題が発生する。歯車装置は通常、まず第1軸受104および第2軸受106を、各々異なる側から遊星歯車102にはめ込んで組立てる。遊星歯車102を、第1軸受104および第2軸受106と共に、遊星キャリア110において位置決めした後、遊星軸108を、開口116を通して遊星キャリア110に挿入する。スペーサ114を使用する場合、このスペーサ114も、遊星軸108の挿入に先立って、位置決めする必要がある。ただしスペーサ114は、遊星歯車102を通しても、第1軸受104または第2軸受106を通しても、径方向に挿入不能である。このため、スペーサ114の位置決めには、追加的な手段が必要になる。
【0005】
さらに、遊星軸108を遊星キャリア110に挿入した後に、軸受の遊び112を修正することもできない。軸受の遊び112を修正するには、スペーサ114を取り外して、幅の異なるスペーサ114に交換することになるであろう。
【0006】
米国特許出願公開第US 2012/0003096 A1号明細書は、2列の軸受を使用し、両軸受の内輪の間でスペーサを使用しない、遊星歯車の軸受を開示する。遊星軸は、シリンダ形状に構成される。従って両軸受が、遊星軸を通して軸方向に挿入されることはない。その代わり遊星キャリアは、周方向に回転軸に直交する2つの面を備える。両軸受の各内輪は、これらの面により、軸方向の移動に対して支承される。従って軸受の遊びは、これらの両面に画定される。
【0007】
上述の解決手段においては、内輪を支承可能な両面の間隔が、達成すべき軸受の遊びに規定される狭い許容限界の内部に位置するよう、遊星キャリアを構成する必要がある。これを実現するのは、極めて困難であろう。さらに遊星キャリアの剛性が、両方の側方半部のうち、一方への負荷に対して、軸方向に全く不十分である。さらに、米国特許出願公開第US 2012/0003096 A1号明細書に記載の形状の歯車装置は、遊星キャリアがワンピース型で構成されているように見受けられるため、取り付けが不可能である。しかしながら、ツーピース型で構成された遊星キャリアでは、上述の許容限界に関する問題の解決が更に困難となるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第US 2012/0003096 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来技術における上述の欠点を有さない、遊星歯車機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する、本発明に従う遊星歯車機構によって解決される。好適な発展形態は、従属請求項に記載される。
【0011】
遊星歯車機構は遊星歯車を備える。遊星歯車は、少なくとも1列の第1軸受、および少なくとも1列の第2軸受により、回転可能な状態で、遊星軸上に支持される。好適には遊星歯車が、まさに1つの回転軸を中心に、回転可能な状態で支持される。
【0012】
第1要素を、一方向への移動に対して、第2要素に支承する手段を、下記において、第1要素を、その方向への移動に対して、形状接合的に第2要素に固定する手段とする。第1要素を、第1要素の一方向への移動に対して、第2要素に支承するとは、対応して第1要素を第2要素に固定することを意味し、従って第1要素の、その方向への並進運動が阻止される。
【0013】
第1軸受は遊星歯車を、少なくとも、軸方向である第1方向、つまり風力発電設備のロータ方向への移動に対して、支承可能であるよう構成される。移動とは並進運動を意味する。従って軸方向への移動とは、遊星歯車の回転軸に平行する並進運動を意味する。
【0014】
第1軸受は、実施形態に応じ、遊星歯車を遊星キャリア、および/または遊星軸に支承する。これは以下を意味する。軸方向への移動を促すような力が遊星歯車に作用すると、第1軸受がこの力に対抗するため、遊星歯車の軸方向の位置は不変である。つまり遊星歯車は、遊星歯車に作用する軸方向の力に応じた場所に支承されるのである。
【0015】
類似して第2軸受は、遊星歯車を、少なくとも、第1方向と反対の、軸方向である第2方向、つまり風力発電設備の発電機方向への移動に対して支承可能である。この場合第1方向および第2方向は、互いに離れる方向を向く。対応して、第1軸受の内輪が第1方向へ、および/または第2軸受の内輪が第2方向へ移動すると、両内輪の間隔が増大する。第2軸受から見ると、第1軸受は第1方向にあり、第1軸受から見ると、第2軸受は第2方向にある。
【0016】
両軸受の内輪の支承手段は、第1軸受および第2軸受、ならびに遊星歯車を、軸方向において位置決めする役割を果たす。少なくとも1つの支承手段は、第1軸受の内輪を、内輪の第1方向への移動に対して、遊星キャリアに支承する役割を果たす。好適には遊星キャリアが、第1軸受の内輪の支承手段として、周方向に遊星歯車の回転軸に直交する面を備える。この面は、回転軸に直交する環状の輪を描く。第1軸受の内輪がこの面に接触すると、内輪の第1方向への移動が阻止される。この場合、直に接触するか、または第1軸受の内輪と面の間に存在する、例えば輪状のスペーサである、要素を介して接触する。
【0017】
類似して、遊星歯車機構は少なくとも1つの支承手段を備え、第2軸受の内輪を、第2方向への移動に対して、遊星軸に支承する。この支承手段は、第2軸受の内輪の第2方向への移動を阻止する。
【0018】
第2軸受の内輪の支承手段として、好適には遊星軸が、段部分、つまり周方向に遊星歯車の回転軸に直交する面を備える。この面は、遊星歯車の回転軸に直交する環状の輪を描く。この面は、第2軸受の内輪と接触可能であるよう構成される。この場合、直に接触するか、または輪状のスペーサとして構成可能な、更なる要素を介して接触する。
【0019】
第1軸受は、遊星歯車を、第1方向への移動に対して支承可能であり、および第2軸受は、遊星歯車を、第2方向への移動に対して支承可能であるため、第1軸受の内輪の支承手段および第2軸受の内輪の支承手段により、両軸受の遊びが画定される。第1軸受の内輪が遊星キャリアに支承され、および第2軸受の内輪が遊星軸に支承されるため、遊星軸の位置を、所望される軸受の遊びに応じて、遊星キャリアに対して固定する必要がある。このためには遊星軸を、第1方向への移動に対して、遊星キャリアに支承する。
【0020】
好適には、遊星軸および遊星キャリアの各々が、支承手段として、周方向に遊星歯車の回転軸に直交する面を備える。両面は、形状接合的に接触可能であるよう構成される。好適には、これらの面が対向する。両面は、直に接触するか、または、好適には輪状のスペーサである、更なる要素を介して接触する。本発明に従い、更なる要素は第1軸受および/または第2軸受でなく、特に第1軸受の内輪および/または第2軸受の内輪ではない。本発明に従い、第1軸受および/または第2軸受、または第1軸受の内輪および/または第2軸受の内輪は、遊星軸を遊星キャリアに支承する手段としては構成されない。その代わり、遊星軸を遊星キャリアに支承する、少なくとも1つの支承手段は、第1軸受および第2軸受が遊星軸と遊星キャリアの間の負荷パスに位置できず、特に遊星軸を遊星キャリアに支承する負荷パスに位置できないよう、配置される。これは、遊星軸を遊星キャリアに支承することで発生可能なパワーフローは、第1軸受、特に第1軸の内輪を通って流れない、および/または第2軸、特に第2軸受の内輪を通って流れないことを意味する。遊星軸を遊星キャリアに支承することで発生可能なパワーフローは、遊星軸と遊星キャリアの間で、第1軸受および第2軸受の周囲を走る必要がある。第1軸受および第2軸受は、遊星軸と遊星キャリアの間で力を導かず、特に、遊星軸を遊星キャリアに支承することで発生可能な力を導くことがない。
【0021】
これは、第1軸受と第2軸受の間に、遊星軸を遊星キャリアに支承する手段を配置しないこと、または、負荷パスが、第1軸受と第2軸受の間、特に第1軸受の内輪と第2軸受の内輪の間で、遊星軸を遊星キャリアに支承する手段を経て走るよう配置することで達成可能である。特に軸方向には、第1軸受と第2軸受の間に、遊星軸を遊星キャリアに支承する手段を経る負荷パスは走らない。その代わり、遊星軸を遊星キャリアに支承する手段は、第1軸受と第2軸受の間の中間スペースの外側、特に第1軸受の内輪と第2軸受の内輪の間の中間スペースの外側に配置される。
【0022】
本発明の好適な発展形態では、遊星キャリアは開口を備える。開口を通して、遊星軸を遊星キャリアに挿入可能である。これは、遊星歯車機構を取り付ける役割を果たす。開口は、好適には貫通型であり、および環状の基本形状を有する。遊星キャリアは、開口に対向するリセスを備える。リセスは、同様に環状の基本形状を有し、このリセスに遊星軸を挿入可能である。
【0023】
遊星軸は、第1方向へ向かって遊星キャリア(110)に挿入される、つまり遊星軸を第1方向へ移動させて、挿入する。
【0024】
好適には遊星歯車機構は固定手段を備え、遊星軸を、少なくとも、軸方向である第2方向への移動に対して固定する。この固定手段は、特に上述の開口およびリセスとする。この場合好適には、遊星キャリアおよび遊星軸は、開口および/またはリセスに圧力結合、特に収縮結合される。この場合、遊星キャリアは加熱され、そして遊星軸上で収縮する。
【0025】
圧力結合または収縮結合により、遊星軸を、第1方向への移動に対しても固定する。こうした背景から、遊星軸を、遊星軸の第1方向への移動に対して、遊星キャリアに支承する手段は、遊星キャリアに挿入された後の遊星軸を、圧力結合または収縮結合が形成されるまで正しい位置に保つ、という目的にも適う。
【0026】
取り付けに関しては、遊星歯車機構の実施形態が、少なくともツーピース型の遊星軸を備えることが特に好適である。この場合第1部分は、取り外し可能な状態で第2部分と、例えば、ねじ留めされる。第1軸受および第2軸受は、第1部分に取り付けられる。つまり、第1軸受の内輪および第2軸受の内輪は、第1部分に固定される。第2部分の少なくとも1部分は、支承手段を構成し、遊星軸を遊星キャリアに支承する。これにより、第1部分を遊星キャリア内に位置させたまま、第2部分を第1部分から取り外し可能である。
【0027】
上記で既述したように、取り付けのために、遊星軸を遊星キャリアに挿入する。軸受の遊びを許容不能に厳密に調整すべきである場合には、適切なスペーサを挿入するために、第2部分を取り外し可能である。
【0028】
本発明の好適な実施形態について、添付の図面を参照して以下に詳述する。この場合同一の符号は、同一または機能的に類似の部品を示す。従って、特に1つの図面の1つの部品に関する記載は、他の図面において同一の符号を付された部品の機能を決定するために関連可能であり、および逆の場合もまた同様とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】遊星軸受における、従来技術から既知の軸方向の固定装置の図である。
【
図2】遊星キャリアの発電機側に、遊星軸の支承手段を備える、本発明による遊星軸受の図である。
【
図3】遊星キャリアの発電機側リセスの底部に遊星軸の支承手段を備える、本発明による遊星軸受の図である。
【
図4】遊星キャリアのロータ側リセスの縁部に遊星軸の支承手段を備える、本発明による遊星軸受の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1乃至
図4は、発電機側で開口116に、およびロータ側で孔118に、固定された遊星軸108を示す。遊星歯車102は、第1軸受104および第2軸受106により、回転可能な状態で、遊星軸108上に支持される。遊星歯車102における2つの止めリング120、または代替的にステップ122は(
図1乃至
図4の各図は、両選択肢を示す)、遊星歯車102が第1軸受104に対して、第1方向124に移動すること、および遊星歯車102が第2軸受106に対して、第2方向126に移動すること、を阻止する。
【0031】
第1軸受104の内輪が遊星キャリア110と直に接触することで、第1軸受104が、遊星キャリア110に対して、および/または遊星軸108に対して、第1方向124に移動することを阻止する。この場合接触面128は、遊星歯車102の回転軸に直交する。類似して、遊星軸108の段部130が第2軸受106の内輪と直に接触することで、第2軸受106が、第2方向126へ移動することを阻止する。輪状のスペーサ114は、第1軸受104と第2軸受106の内輪の間を走る。
【0032】
図2乃至
図4の実施形態では、第1軸受104と第2軸受106の間に、スペーサ114は存在しない。その代わり各作用面対202は、遊星軸108が、遊星キャリア110に対して、第1方向124に移動することを阻止する。各作用面対202は、遊星キャリア110の面および遊星軸108の面により構成される。これらの面は互いに直に接触するか、または代替的に、スペーサ204を介して接触する(
図2乃至
図4の各図は、両選択肢を示す)。遊星キャリア110において作用面対202に属する面は第2方向126を示し、遊星軸108において作用面対202に属する面は第1方向124を示す。
【0033】
図2の実施形態では、作用面対202およびスペーサ204は(下部に示す)、発電機側で遊星キャリアの外側に位置する。これにより、第1部206および第2部208を備えたツーピース型の、遊星軸108の実施形態が可能となる。第1部206を遊星キャリア110内に位置させたまま、第2部208は、スペーサ114を所望の軸受の遊び112に対応して調節するために、取り外し可能である。
【0034】
代替的に、
図3に示すように、作用面対202およびスペーサ204を(下部に示す)、遊星キャリア110において、発電機側の孔118の内部に配置可能である。この場合、孔118の底部は径方向の面を備える。この面は、直接またはスペーサ204を介して、遊星軸108の基底面と接触するため、遊星軸を、第1方向124への径方向の移動に対して支承する。
【0035】
図4に示すように、作用面対202は、遊星軸108における更なる段部および遊星キャリア110における径方向の面により、更に構成可能である。これらの面は、直に、またはスペーサ204を介して(下部に示す)遊星軸108を支承するのみでなく、第1軸受104の内輪を、第1方向124への軸方向に移動に対して支承する。
【符号の説明】
【0036】
102 遊星歯車
104 第1軸受
106 第2軸受
108 遊星軸
110 遊星キャリア
112 軸受の遊び
114 スペーサ
116 開口
118 孔
120 止めリング
122 ステップ
124 第1方向
126 第2方向
128 接触面
130 段部分
202 作用面対
204 スペーサ
206 第1部分
208 第2部分
【国際調査報告】