(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-501073(P2017-501073A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】空中ケーブルによる輸送システム、特にチェア・リフト又はゴンドラ・リフト
(51)【国際特許分類】
B61B 12/06 20060101AFI20161216BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20161216BHJP
G01S 19/14 20100101ALI20161216BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
B61B12/06 Z
G01S5/02 Z
G01S19/14
B61D37/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-536535(P2016-536535)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月2日
(86)【国際出願番号】FR2014053137
(87)【国際公開番号】WO2015082834
(87)【国際公開日】20150611
(31)【優先権主張番号】1302836
(32)【優先日】2013年12月5日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515238552
【氏名又は名称】ポマ
【氏名又は名称原語表記】POMA
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド、ムーレ
(72)【発明者】
【氏名】オリビエ、ベルトラミ
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062CC07
5J062CC18
5J062FF01
5J062HH09
(57)【要約】
空中ケーブルによる輸送システム、特にチェア・リフト又はゴンドラ・リフトであって、空中ケーブルに接続され、空中ケーブルの線に沿って他とは互いに隔離された複数の運搬具(2から5)を備え、少なくとも1つの運搬具(2から5)は、運搬具のオンライン位置が特定されることを可能とする少なくとも1つの情報を含む信号を送信するように設計された無線周波数送信機(20)を備え、前記システムは、運搬具(2から5)のオンライン位置の監視装置(6)であって、無線周波数送信機(20)によって送信された信号を受信するように設計された少なくとも1つの無線周波数受信機(21)と、送信された信号に含まれた情報を検索する少なくとも1つの無線周波数受信機(21)に接続された処理ユニット(22)と、検索された情報から少なくとも1つの運搬具のオンライン位置を決定する計算モジュール(30)と、決定されたオンライン位置を少なくとも1つの参照位置と比較する比較モジュール(31)と、を備える。(
図1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空中ケーブルによる輸送システムであって、
特にチェア・リフト又はゴンドラ・リフトであって、空中ケーブルに接続され、前記空中ケーブルの線に沿って他とは互いに隔離された複数の運搬具 (2〜5)を備え、
少なくとも1つの前記運搬具 (2〜5) は、前記運搬具のオンライン位置が決定されることを可能とする少なくとも1つの情報を含む信号を送信するように設計された無線周波数送信機 (20)を有し、
前記システムは、前記運搬具 (2〜5)のオンライン位置の監視装置 (6) を備え、
前記監視装置 (6)は、
前記無線周波数送信機 (20)によって送信された前記信号を受信するように設計された少なくとも1つの無線周波数受信機 (21)と、
少なくとも1つの無線周波数受信機 (21)に接続され、前記送信された信号に含まれる情報を検索する処理ユニット (22)と、を有し、
前記処理ユニット (22)は、前記検索された情報から少なくとも1つの運搬具のオンライン位置を決定する計算モジュール (30) と、前記決定されたオンライン位置を少なくとも1つの参照位置と比較する比較モジュール (31)と、を有する、
ことを特徴とする空中ケーブルによる輸送システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記運搬具は、一群の衛星 (18)から前記運搬具の前記オンライン位置に関する情報を取得するように構成された取得モジュール (19) を備え、前記運搬具の前記無線周波数送信機 (20)は前記取得モジュール (19) に接続されており、前記取得したオンライン位置に関する情報を含む信号を送信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの運搬具は、タイムスタンプモジュール (32)であって、前記運搬具の前記無線周波数送信機 (20)によって送信される各信号上に、当該タイムスタンプモジュール (32)の内部時計から送信時刻を含めるように構成されている、タイムスタンプモジュール (32)を備え、前記計算モジュール(30)は、無線周波数受信機(21)による信号の受信時刻と前記信号の前記送信時刻との差から運搬具の距離を計算し、前記計算された距離から前記運搬具の前記位置を決定するように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記計算モジュール(30)は、無線周波数受信機(21)によって受信された信号のパワーから運搬具の距離を計算し、前記計算された距離から前記運搬具の前記位置を決定するように構成されている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項5】
前記無線周波数送信機及び受信機(20、21)を備えるアセンブリが、ポイント・ツー・ポイントネットワークを形成する、請求項1から4いずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記比較モジュール(31)は、前記空中ケーブル(7)の速度情報から、及び、前記運搬具の初期位置情報から、運搬具 (2〜5)の前記参照位置を決定する、請求項1から4いずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記各運搬具 (2〜5) は識別子を備え、前記システムは、識別子読取機 (24)であって、当該識別子読取機 (24)よって前記運搬具の前記識別子が検出されたときに確認位置を前記処理ユニット(22)に送信するように構成されている、識別子読取機 (24)を備え、前記比較モジュール(31)は、前記送信された確認位置から前記参照位置を決定する、請求項1から6いずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記無線周波数送信機(20)は、時間間隔に従って周期的に前記信号を送信するように構成されている、請求項1から7いずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中ケーブルによる輸送システム、特にチェア・リフト又はゴンドラ・リフトに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、空中ケーブルによる輸送システムは、運搬具(vehicle)に人を乗せるための乗客搭乗ターミナル、乗客降機ターミナル、及び可能であれば1つ以上の中間ターミナルを備えている。システムは、着脱可能あるいは不可であり、すなわち、着脱不可システムの場合であれば運搬用の空中ケーブルに運搬具が固定的に装着されており、着脱可能システムの場合であれば運搬空中ケーブルに運搬具が取り外し可能に装着されている。言い換えると、運搬具は、常設か否かにかかわらず運搬空中ケーブルに機械的に取り付けられている。いずれの場合においても、運搬具が搭乗ターミナルを出発する時に、降機ターミナルに運ぶ運搬ケーブルに運搬具が取り付けられる。2つのターミナルの間では、運搬具は"オンライン" と呼ばれ、運搬ケーブルによって定義される経路に沿って動く。多くの空中ケーブルによる輸送システムは、運搬具の経路を地形の特徴に適合させるための塔を備える。塔には、一般的に、運搬空中ケーブルをガイドするための滑車を備えるロッカーアームが設置されている。しかしながら、事故は、運搬具の動作中であるオンラインにおいて発生する。例えば、運搬具は塔のロッカーアーム上で妨げられる可能性があり、滑車が脱線することにより、運搬ケーブルは、妨げられた運搬具に対する他の運搬具の衝突を引き起こし続ける可能性がある。さらに、運搬具は、運搬空中ケーブル上に木が落下した時にも妨げられる可能性がある。
【0003】
運搬具の着脱可能なグリップのジョー(jaw)を検出する誘導型センサのような、運搬具の検出手段を備えた、ケーブルによる輸送設備における運搬具の運行の監視装置を開示するフランス特許出願FR2941206が引用可能である。しかし、この監視装置は搭乗及び降機ステーション内の運搬具の動作を検出するために設計されており、オンラインの運搬具の位置を監視することには適していない。実際、誘導型センサは、塔のように、固定された地点に設置されなければならず、装置はそのため、塔がない輸送システムには適していない。さらに、外部に設置されている誘導型センサは厳しい気象条件にさらされると、容易に故障してしまう。加えて、誘導型センサは、非金属性の被覆を有する金属ケーブルには適していない。
【0004】
従って、オンラインの運搬具の事故を防止するための手段を備えた空中ケーブルによる輸送システムを提供するという要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を解決することであり、特に、運搬具の位置を輸送中に監視するための手段が備えられた空中ケーブルによる輸送システムを提供すること、及び、特に、運搬具がオンラインの際に運搬具間の衝突を防止するために位置を監視することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの特徴によれば、空中ケーブルによる輸送システムが提案されており、特にチェア・リフト又はゴンドラ・リフトであり、空中ケーブルに結合された複数の運搬具で、空中ケーブルの線に沿って互いに分離された運搬具を備えている。
【0007】
少なくとも1つの運搬具は、運搬具のオンライン位置が決定されることを可能にする少なくとも1つの情報を含む信号を送信するように設計された無線周波数送信機を備え、運搬具のオンライン位置の監視装置を備えるシステムは、無線周波数送信機によって送信された信号を受信するように設計された少なくとも1つの無線周波数受信機と、送信された信号に含まれた情報を検索するための少なくとも1つの無線周波数受信機に接続された処理ユニットを備え、処理ユニットは、検索された情報から1つの運搬具のオンライン位置を決定するための計算モジュールと、決定されたオンライン位置を少なくとも1つの参照位置と比較するための比較モジュールを備える。
【0008】
効率的な装置は、これにより運行中に運搬具の位置を決定し、異常を表示することを可能とする目的で決定された位置の整合性を確認し、必要性があれば衝突を防止するために運搬空中ケーブルを停止するトリガとするために提供される。運行時の運搬具のリアルタイム位置は有利に恒久的に把握される。
【0009】
少なくとも1つの運搬具は、衛星のグループから運搬具のオンライン位置に関する情報を取得するように構成された取得モジュールを備えることができ、運搬具の無線周波数送信機は、取得したオンライン位置情報を含む信号を送信するための取得モジュールに接続されている。
【0010】
少なくとも1つの運搬具は、運搬具の無線周波数送信機によって送信される各信号上にタイムスタンプモジュールの内部時計からの送信時刻を含むように構成されたタイムスタンプモジュールを備えてもよく、計算モジュールは、無線周波数受信機による信号の受信時刻と信号の送信時刻との間の相違から、運搬具の距離を計算するように構成されており、計算された距離から運搬具の位置を決定する。
【0011】
計算モジュールは、無線周波数受信機によって受信された信号のパワーから運搬具の距離を計算するように構成してもよく、計算された距離から運搬具の位置を決定することができる。
【0012】
無線周波数送信機と受信機を備えるアセンブリは、ポイント・ツー・ポイントネットワークを形成することができる。
【0013】
ポイント・ツー・ポイントネットワークの手段によって、特に、簡易に達成するための監視装置が提供される。
【0014】
比較モジュールは、空中ケーブルの速度の情報から、及び、運搬具の初期位置の情報から運搬具の参照位置を決定することができる。
【0015】
各運搬具は識別子を備えることができ、システムは、運搬具の識別子が識別子読取機によって検出されたときに処理ユニットに確認位置を送信するように構成された識別子読取機を備え、比較モジュールは送信された確認位置から参照位置を決定する。
【0016】
無線周波数送信機は、時間間隔に従って周期的に信号を送信するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
他の利点及び特徴は、非限定的な例示の目的のみ、かつ、本発明による運搬具の位置の監視装置を備えた空中ケーブルによる輸送システムを
図1に概略的に示した添付の図面に代表される、特定の本発明の実施形態の以下の記述からより明確になるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、空中ケーブル7による、特にチェア・リフト又はゴンドラ・リフトである、輸送システム1が示されている。輸送システム1は、複数の運搬具2から5、搭乗ターミナル9、及び降機ターミナル10を備える。運搬具2から5は、椅子の態様においては開放型でよく、あるいは、キャビンのような閉鎖型でもよい。一般的な態様では、空中ケーブル7は、運搬具2から5が、システムが着脱不可な場合は永続的な態様で、その他の場合は着脱可能な態様で取り付けられた運搬ケーブルである。空中ケーブル7は、搭乗ターミナル9内に収容されたブルホイール(bull−wheel)8によって駆動され、簡易化の目的は有しない駆動モータによって動作が設定される。運搬具2から5は、搭乗ターミナル9から降機ターミナル10に、及び、その逆の閉ループを形成する軌道を示す運搬空中ケーブル7によって輸送される。運搬具2から5がオンラインの時は、それらは搭乗ターミナル9と降機ターミナル10との間に位置しており、とりわけ、それらは運搬空中ケーブル7に機械的に結合され、運搬空中ケーブル7の線に沿って互いに分離されている。降機ターミナル10は、空中ケーブル7が掛り、特に空中ケーブル7の動作及び張力を与える中継プーリ11を備える。輸送システム1は1つ以上の中間ターミナル12を含んでもよい。
図1では、運搬具2から5は参照13を有する矢印によって示される動きの方向に移動する。さらに、輸送システムは塔14から17を備えることができ、それぞれに空中ケーブル7をガイドするためのロッカーアームが設けられている。変形例として、輸送システム1はいかなる塔も備えない。
【0019】
一般的な態様では、少なくとも1つの運搬具2から5は、線上の運搬具2から5の位置を決定することを可能とする少なくとも1つの情報を含む信号20aを送信するように設計された無線周波数送信機20を備える。無線周波数送信機20は、空中ケーブル7上において着脱可能で、搭乗ターミナル9又は降機ターミナル10内の空中ケーブル7から取り外せるように設計された運搬具2から5に設置されることに特に適している。 好ましくは、複数の運搬具2から5は、それぞれ無線周波数送信機20を備える。例えば、輸送システム1の各運搬具2から5は、無線周波数送信機20を備える。送信された信号20aに含まれる情報は、例えば運搬具の位置、信号のパワー、信号の送信時刻、又はこれら3つの情報の組み合わせであってもよい。とりわけ、無線周波数送信機20は、電力消費を削減するために信号20aを時間間隔に従って周期的に送信してもよい。時間間隔は1及び5秒の間であってもよい。信号20aの送信は、同期あるいは非同期の態様でも実施されうる。
【0020】
輸送システム1は、さらに運搬具2から5のオンライン位置の監視装置6を備える。監視装置6は少なくとも1つの無線周波数受信機21と、少なくとも1つの処理ユニット22を備える。監視装置6は、1つ以上の無線周波数受信機21を備えることができる。無線周波数受信機21は、無線周波数送信機20によって送信された信号20aを受信するように設計されている。一般的な態様において、受信機21は処理ユニット22に接続され、すなわち、これらは、受信した信号を処理ユニット22に送信することができる。例えば、ある受信機21が、有線あるいは無線である接続23によって処理ユニット22に直接接続されており、受信した信号を処理ユニット22に直接送信する。変形例として、ある受信機21は、処理ユニット22に受信した信号を送信する中継機として振る舞う他の受信機に直接接続されている。とりわけ、受信機21が運搬具2から5によって送信された信号20aを受信するとすぐに、受信機21は受信した信号を、処理ユニット22に直接、接続23を介して、あるいは他の中継受信機に直接送信する。例えば、
図1に示すように、ある無線周波数受信機21は、搭乗ターミナル9及び降機ターミナル10、並びに第3の塔6上に設けられた受信機21のように、処理ユニット22に有線接続23によって電気的に接続されている。変形例として、他の受信機は、第1の塔14上に設けられた受信機21のように、無線接続によって処理ユニット22に接続されることができ、例えば電波による接続がある。好ましくは、信号受信機21は、搭乗9、降機10、又は中間12のターミナル、あるいは塔14から17上のような固定された構造物に設けられる。好ましくは、受信機21が固定された構造物に設けられる場合、有線タイプの接続23によって処理ユニット22に接続されている。他の変形例によれば、ある運搬具又は全ての運搬具は、それぞれ無線接続23によって処理ユニット22に接続される無線周波数受信機21を備えることができる。
【0021】
無線周波数送信機及び受信機20、21は、送信機20によって送信された信号20aが受信機21によって受信される共通の通信ゾーンを有する。受信機21から処理ユニット22に対して運搬具2から5によって送信された信号の送信は、運搬機の送信機20と受信機21との間の通信ゾーンに運搬具が位置すると即時に実行される。無線周波数送信機及び受信機20、21を備えるアセンブリは、ポイント・ツー・ポイントネットワーク、すなわち、運搬具2から5の受信機20と単独の受信機21との間に唯一の通信チャネルが存在するネットワークを形成する。このようなポイント・ツー・ポイントネットワークは、特に導入が容易である。
【0022】
処理ユニット22は、コンピュータに含まれたマイクロプロセッサ、又はプログラマブルコントローラのような電子制御ユニットであってもよい。監視装置6は、複数の処理ユニット22を備えてもよい。各処理ユニット22は、異なる運搬具2から5の無線周波数送信機20によって送信された信号20aを受信するための少なくとも1つの無線周波数受信機21に接続されている。さらに、各処理ユニット22は、送信された信号20aに含まれる情報を検索(retrieve)するように構成されている。各処理ユニット22は計算モジュール30及び比較モデル31を備える。計算モジュール30は、処理ユニット22によって検索された情報から少なくとも1つの運搬具のオンライン位置を決定する。比較モジュール31は、決定されたオンライン位置を、少なくとも1つの参照位置と、比較する。運搬具が通常の運用モードで使用するよう想定された参照位置に対応して決定された運搬具の位置の整合性が、従って確認される。
【0023】
処理ユニット22は、さらに、運搬具の少なくとも1つの決定された位置が、その運搬具に対応つけられた参照位置と異なる場合に、警告信号を生成するように構成される。例えば、処理ユニット22は、位置の相違が緊急停止閾値よりも大きい場合には空中ケーブル7の運行を停止する輸送システム1の他のプログラマブルコントローラに接続されることができる。輸送システム1のプログラマブルコントローラは、処理ユニット22から受信した警告信号をさらに表示することができる。例えば、比較モジュール31は、空中ケーブル7の速度情報から、及び、運搬具2から5の初期位置の情報から、運搬具の参照位置を決定することができる。運搬具2から5の初期位置情報は、例えば、搭乗ターミナル9からの出口であってもよい。計算モジュール30による運搬具2から5のオンライン位置の各決定に基づき、比較モジュールは、運搬具2から5の参照位置を再度決定する。変形例として、処理ユニット22がオンラインの各運搬具の位置を決定した時に、比較モジュール31は、線上の運搬具の間の距離を計算し、運搬具がケーブル7上の位置から逸脱していないかどうか把握するために、各計算された距離と安全距離とを比較する。計算された距離が安全距離より小さい場合は、処理ユニット22は警告信号を生成する。運搬具2から5のオンライン位置は、従って監視される。
【0024】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの運搬具2から5は、位置取得モジュール19を備える。位置取得モジュール19は、一群の衛星18から運搬具が位置する位置情報を取得するように構成されている。特に、一群の衛星18は、三角測量方式によって運搬具の位置を与えるための少なくとも3つの衛星を備える。取得モジュール19は、一群の衛星18で運搬具の位置情報を検索するために、無線タイプの信号19aを送受信できる。一般的な態様では、取得モジュール19は地理位置情報タイプ(geolocation type)のモジュールである。例えば、取得モジュール19はグローバル・ポジショニング・システム(global positioning system)を備える。さらに、運搬具の無線周波数送信機20は、少なくとも取得した運搬具のオンライン位置情報を含む信号20aを送信するように取得モジュール19に接続されている。さらに、運搬具2から5は、取得モジュール19及び送信機20に接続された簡易化の目的は有しないエネルギー貯蔵ユニットを備える。例えば、無線周波数送信機20は、取得モジュール19を起源とした信号を管理するための取得モジュール19に接続され、運搬具の位置情報を含んだ信号20aを送信するためのマイクロプロセッサを備える。好ましくは、各運搬具2から5は、位置取得モジュール19、無線周波数送信機20、及びエネルギー貯蔵ユニットを備える。本実施形態では、計算モジュール30は、運搬具のオンライン位置を、処理ユニット22で検索された取得位置情報からそれぞれ決定する。
【0025】
他の実施形態によれば、少なくとも1つの運搬具2から5は、送信時刻、及び可能であれば日付を、運搬具の送信機20によって送信される各信号20a上に含むように構成されたタイムスタンプモジュール32を備える。特に、送信時刻はタイムスタンプモジュール32の内部時計からの各信号に含まれる。信号に含まれる送信時刻は送信機20による信号の送信時刻に対応する。送信された信号20aは、従って「タイムスタンプされた」と呼ばれ、すなわち、それらは日付と時刻の情報を含む。本実施形態では、計算モジュール30は、受信機21による信号の受信時刻と信号に含まれた送信時刻との間の差から運搬具の距離を計算する。例えば、受信機21による信号の受信時刻は、受信機21の内部時計によって提供される。とりわけ、運搬具の距離は、計算された時間差から、及び、送信機20と受信機21との間の信号の送信速度からから計算される。 例えば、運搬具の距離は、以下の式によって計算される。
【0026】
Dcal = Vs ・ Dt
但し、
- Dcal :計算された運搬具の距離;
- Vs : 送信機20と受信機21の間の信号の送信速度;かつ
- Dt :受信機 21による信号の受信時刻と信号に含まれた送信時刻との間の差。
【0027】
計算された距離 Dcalは、運搬具の送信機20と、送信機20によって送信された信号20aを受信する無線周波数受信機21との間の距離に対応する。計算モジュール20は、計算された距離から、及び、特に受信機21の固定された位置から運搬具の位置を決定する。
【0028】
さらに他の実施形態によれば、計算モジュール30は、無線周波数受信機21によって受信した信号のパワーから運搬具の追加距離を計算するように構成される。さらに、受信機21によって受信した信号のパワーは、受信機21と運搬具の送信機20との間の距離に反比例する。計算された追加距離は、事前に計算された距離 Dcalのように、運搬具の送信機20と送信機20によって送信された信号20aを受信する無線周波数受信機21との間の距離に対応する。計算モジュール20は、計算された追加距離から、及び、特に受信機21の固定された位置から、運搬具の位置を決定する。
【0029】
変形例として、運搬具は取得モジュール19と、衛星によって取得した位置情報及び信号の送信時刻を含む信号を、運搬具の送信機20の手段によって送信するためのタイムスタンプモジュール32の両方をそれぞれ備えてもよい。いずれの場合でも、運搬具の送信機20によって送信された各信号は、送信機20の送信パワー特性を含んで送信される。有利には、無線周波数送信機20は、を含む信号を送信した運搬具を処理ユニット22が特定することを可能とするための運搬具の識別情報を含む信号20aを送信する。無線周波数送信機20によって送信された信号20aは、少なくとも1つのパワー情報を含み、情報衛星から取得した位置情報及び/又は信号送信時刻情報をさらに含むことができる。処理ユニット22は、さらに、運搬具から受信した信号に含まれたパワー、位置又は日付及び時刻情報から得られる少なくとも1つの情報から運搬具のオンライン位置を決定するように構成されている。処理ユニット22は、検索された情報の組み合わせから運搬具の位置決定をよく調整するために、線上の運搬具の位置を決定することもできる。
【0030】
さらに、各運搬具は、運搬具の取得モジュール19、タイムスタンプモジュール32及び、無線周波数送信機20に電力を供給するためのエネルギー貯蔵ユニットを備える。
【0031】
運搬具2から5の位置の整合性の確認を向上するために、少なくとも1つの運搬具は、例えば、無線周波数装置によって送信された信号を受信し、位置信号を送信するように構成された無線周波数識別タグといった識別子を備える。好ましくは、各運搬具2から5は、識別子を備える。監視装置6はさらに、識別子読取機24を備え、好ましくは、例えば
図1に示された第4の塔17のような固定された構造物に設けられている。識別子読取機24は、接続25によって処理ユニット22に接続され、運搬具2から5の識別子が識別子読取機24によって検出された時に処理ユニット22に確認位置(checking position)を送信するように構成されている。例えば、識別子読取機24は、運搬具の識別タグによって送信された信号位置を受信する無線周波数識別装置であってもよい。比較モジュール31は、さらに、識別子読取機24の検出ゾーンに運搬具が位置する時に、決定された各運搬具の位置を確認位置と比較することができる。これは、運搬具の位置の監視装置6の正確な運用を簡易かつ効果的な態様で確認することを可能にする。
【0032】
説明された本システムは、着脱可能なケーブルカーの高い乗客のスループットを保証すると同時にオンラインでの衝突のリスクを防止することに、特に適している。
【国際調査報告】