(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-501334(P2017-501334A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(54)【発明の名称】特に航空機ターボプロップまたはターボファンの、タービンエンジン圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/56 20060101AFI20161216BHJP
F02C 7/042 20060101ALI20161216BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20161216BHJP
F02K 3/06 20060101ALI20161216BHJP
F02K 3/02 20060101ALI20161216BHJP
【FI】
F04D29/56 C
F04D29/56 D
F02C7/042
F02C7/00 F
F02K3/06
F02K3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-541257(P2016-541257)
(86)(22)【出願日】2014年12月4日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月16日
(86)【国際出願番号】FR2014053163
(87)【国際公開番号】WO2015092197
(87)【国際公開日】20150625
(31)【優先権主張番号】1362972
(32)【優先日】2013年12月19日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】505277691
【氏名又は名称】スネクマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セブレヒト,ピエール−アラン・フランシス・クロード
(72)【発明者】
【氏名】コション,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ラングロワ,アルノー
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB27
3H130AB52
3H130AC17
3H130BA66B
3H130BA76B
3H130CA08
3H130CA22
3H130CA23
3H130DA02Z
3H130EA03B
3H130EB02B
(57)【要約】
本発明は、環状ケーシングと可変ピッチベーンの少なくとも1つの環状列とを特徴とするステータを備える、特に航空機ターボプロップまたはターボファンの、タービンエンジン圧縮機にして、各ベーンが、ケーシングのオリフィスに取り付けられ、かつケーシングに対して軸線方向に枢動することができる制御リング(38)に連結部材によって連結されるピボットを有する半径方向外部端部を備え、前記連結部材が、ベーンのピボットに固定される第1の端部と、制御リング(38)の穴(52、58)に挿入されるピンを有する第2の端部とを備える、タービンエンジン圧縮機であって、連結部材のピンの挿入に役立つ制御リング(38)の穴(52、58)のうちの少なくとも1つ(58)が、制御リング(38)の回転中に前記長穴(58)にピンの移動を可能にするように、長円形の形状であり、円周方向に延在することを特徴とする、タービンエンジン圧縮機に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ケーシング(34)と可変ピッチベーン(26)の少なくとも1つの環状列とを特徴とするステータを備える、特に航空機ターボプロップまたはターボファンの、タービンエンジン圧縮機(10)にして、各ベーン(26)が、ケーシング(34)のオリフィスに取り付けられ、かつケーシング(34)に対して軸線方向に枢動することができる制御リング(38)に連結部材(36)によって連結されるピボット(30)を有する半径方向外部端部を備え、前記連結部材(36)が、ベーン(26)のピボット(30)に固定される第1の端部と、制御リング(38)の穴(52、58)に挿入されるピン(48)を有する第2の端部とを備える、タービンエンジン圧縮機(10)であって、制御リング(38)が、少なくとも1つの円筒形穴(52)を備え、その中へ連結部材(36)の円筒形ピン(48)が挿入され、円筒形ピン(48)の、および穴(52)の直径が実質的に同一であり、少なくとも1つの長穴(58)が円周方向に延在し、その中へもう1つの連結部材(36)のもう1つの円筒形ピン(48)が、制御リング(38)の回転中に前記長穴(58)に前記ピン(48)の移動を可能にするように挿入されることを特徴とする、タービンエンジン圧縮機(10)。
【請求項2】
ピン(48)が、円筒形であることを特徴とする、請求項1に記載の圧縮機(10)。
【請求項3】
連結部材(36)のピン(48)の挿入に役立つ、制御リング(38)の穴(52、58)のうちの少なくとも1つ(52)が、前記穴(52)の中のピン(48)の移動を抑制するように形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧縮機(10)。
【請求項4】
制御リング(38)の前記長穴(58)が、制御リング(38)の第1の横方向縁部(62)の側面に位置する第1の端部(60)と、制御リング(38)の第2の横方向縁部(66)の側面に位置する第2の端部(64)とを備え、両端部(60、64)が、変曲点を特徴とする湾曲した接合領域(68)によって連結されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の圧縮機(10)。
【請求項5】
制御リング(38)の前記長穴(58)が、単に円周方向(C)に延在することを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の圧縮機(10)。
【請求項6】
制御リング(38)の前記長穴(58)が、軸線方向(A)に対して、および円周方向(C)に対して斜めに延在することを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の圧縮機(10)。
【請求項7】
制御リング(38)の前記長穴(58)が、円弧状を形成することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の圧縮機(10)。
【請求項8】
制御リング(38)の前記長穴(58)が、単に円周方向に延在し、かつ制御リング(38)の第1の横方向縁部(62)の側面に位置する第1の端部(74)と、制御リング(38)の他の横方向縁部(66)の側面に位置する単に円周方向に延在する第2の端部(76)と備え、前記端部(74、76)が、円周方向(C)に対して、および軸線方向(A)に対して斜めに延在する接合領域(78)によって連結されることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の圧縮機(10)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の少なくとも1つの圧縮機(10)を備える、たとえば航空機ターボプロップまたはターボファンなどの、タービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンエンジン圧縮機、特に航空機ターボプロップまたはターボファンの高圧圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
それ自体が知られている方法で、タービンエンジン圧縮機は、いくつかの圧縮機段を備え、各々は、ロータシャフトに取り付けられる可動ベーンの環状列と、実質的に円筒形の外部ケーシングにそれらの半径方向外部端部において取り付けられる可変ピッチステータベーンの環状列とを有する。
【0003】
タービンエンジンのステータベーンの角度設定の調整は、前記タービンエンジンの出力を最適化し、異なるフライト段階中にその燃料消費を低減することを目的としている。
【0004】
可変ピッチステータベーンはそれぞれ、それらの半径方向外部端部に半径方向ピボットを備え、これは、外部ケーシングのオリフィスに心出しされ、回転可能に案内される。各ベーンピボットは、圧縮機の外部ケーシングを取り囲む制御リングにクランクアームによって連結され、それらのピボットの軸線の周りの回転運動をベーンに伝達するために
作動手段によって圧縮機の長手方向軸線の周りに回転移動できる。
【0005】
各クランクアームは、ベーンピボットに固定され、制御リングの円筒形穴に挿入される円筒形ピンを備える。
【0006】
その軸線の周りの制御リングの回転中に、制御リングにより、クランクアームおよびベーンはベーンピボットの軸線の周りに枢動するようになっている。クランクアームの回転の全角度範囲は、従来、50°から90°程度である。また、リングは、ピンの通路に付随するように軸線方向に可動である。この場合は、ベーンはすべて、制御リングの所与の角度位置について同じ角度位置にある。
【0007】
次に、タービンエンジンの速度に応じて、特にそれらの方位位置、すなわち対応する段のステータベーンの円周方向位置に応じて、ベーンのピッチを適合させることができることが必要である。したがって、タービンエンジン出力の最大化を可能にするピッチ角は、所与の段においてステータベーンの方位位置に応じて異なる場合がある。
【0008】
実際、高圧圧縮機を通過する流れのガス流は、その全周にわたって一様でなく、前記流れは、性能の損失を生じるポケットを備える場合がある。そのうえ、タービンエンジンが高速で作動している場合は、高い力およびトルクがベーンに加えられ、これは、制御リングを僅かに変形させる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に、実質的にすべて同じ長さのクランクアームを有することを必要とする、システムのいかなるハイパースタティシズム(hyperstaticism)も回避しながら、この問題の簡単で効果的かつ経済的な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、環状ケーシングと可変ピッチベーンの少なくとも1つの環状列とを特徴とするステータを備える、特に航空機ターボプロップまたはターボファンの、タービンエンジン圧縮機であって、各ベーンが、ケーシングのオリフィスに取り付けられ、かつケーシングに対して軸線方向に枢動することができる制御リングに連結部材によって連結されるピボットを有する半径方向外部端部を備え、前記連結部材が、ベーンのピボットに固定される第1の端部と、連結部材のピンの挿入に役立ち、制御リングの回転中に前記長穴にピンの移動を可能にするように長円形の形状であり、円周方向に延在する制御リングの穴、に挿入されるピンを有する第2の端部とを備える、タービンエンジン圧縮機を提案する。
【0011】
したがって、穴の形状に応じて、同じ長さを有する連結部材(たとえば、クランクアーム)を保持しながら、個々にまたはベーンのグループによって、各ベーンのピッチ角を調整することができる。この調整は、ガス流の不均一に対する適応、および高いエンジン速度での任意の変形の補正を可能にする。
【0012】
円周方向に延在する長穴は、必ずしも単に円周方向に、すなわち制御リングの軸線に垂直な半径方向平面に沿って延在するとは限らない。実際、長穴は、軸線方向にも円周方向にも延在することができる。
【0013】
本発明の1つの特徴によれば、ピンは、円筒形である。
【0014】
そのうえ、連結部材のピンの挿入に役立つ、制御リングの穴のうちの少なくとも1つは、前記穴の中のピンの移動を阻止するように形成され得る。
【0015】
この場合は、制御リングは、連結部材の円筒形ピンが挿入される少なくとも1つの円筒形穴を備えることができ、もう1つの連結部材のもう1つの円筒形ピンが挿入される円周方向に延在する1つの長穴だけでなく、ピンの、および円筒形穴の直径は、ほぼ同一である。
【0016】
本発明の第1の実施形態によれば、制御リングの前記長穴は、制御リングの第1の横方向縁部の側面に位置する第1の端部と、制御リングの第2の横方向縁部の側面に位置する第2の端部とを備え、両端部は、変曲点を特徴とする湾曲した接合領域によって連結される。
【0017】
本発明の第2の実施形態によれば、制御リングの前記長穴は、単に円周方向に延在する。
【0018】
本発明の第3の実施形態によれば、制御リングの前記長穴は、軸線方向に対して、および円周方向に対して斜めに延在する。
【0019】
本発明の第4の実施形態によれば、制御リングの前記長穴は、円弧状を形成する。
【0020】
本発明の第5の実施形態によれば、制御リングの前記長穴は、単に円周方向に延在し、かつ制御リングの第1の横方向縁部の側面に位置する第1の端部と、制御リングの他の横方向縁部の側面に位置する単に円周方向に延在する第2の端部と備え、前記端部は、円周方向に対して、および軸線方向に対して斜めに延在する接合領域によって連結される。
【0021】
本発明は、さらに、前述のタイプの少なくとも1つの圧縮機を備える、たとえば航空機ターボプロップまたはターボファンなどの、タービンエンジンに関する。
【0022】
添付の図面を参照して非限定的な例示として与えられる次の説明を読むと、本発明は、よりよく理解されるであろうし、本発明の他の詳細、特徴、および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】先行技術による可変ピッチベーン制御システムを備えるターボファンの高圧圧縮機の一部断面軸線方向概略半図である。
【
図2】
図1の圧縮機の1段のピッチ角システムの大縮尺の断面軸線方向概略図である。
【
図4】
図3に示される制御リングの一領域の上からの概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態を示す、
図3に対応する図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【
図10】
図7、
図8、および
図9の実施形態の各々について、制御リングの角度位置に応じてステータベーンのピッチ角の変化を示す線図である。
【
図11】本発明の第5の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【
図12】本発明の第6の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【
図13】本発明の第7の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
初めに、タービンエンジンの回転軸線12を通過する平面に沿った断面に関して、先行技術による高圧圧縮機10の上流部分の概略半図を示す、
図1の参照が行われる。高圧圧縮機10は、互に軸線方向に組み立てられるディスク14、16、18、20から成るロータを備え、ロータは、トラニオン24によって軸受22に当接する。
【0025】
各ディスクは、可変ピッチステータベーン26の環状列から下流に配置される。各ステータベーンは、その半径方向内部および外部端部において同軸の円筒形ピボット28、30を備える。内部円筒形ピボット28は、ステータベーン26から内向きに延在し、ステータの環状要素の円筒形凹部に心出しされ、回転可能に案内され、外部円筒形ピボット30は、半径方向外向きに延在し、高圧圧縮機10の実質的に円筒形の外部ケーシング34の円筒形のシャフト32に心出しされ、回転可能に案内される。
【0026】
1段のステータベーン26のピッチ角の調整は、クランクアーム36によって行われ、これは、軸線12の周りにケーシング34に対して枢動可能に取り付けられる制御リング38によって回転される。制御リングの全変位は、たとえば、5°と20°との間に含まれる。油圧アクチュエータ40が、いくつかの制御リング38の同時の回転運動を可能にする。リング38は、たとえば、部分39の端部に固定されるサドル(図示せず)によって互に組み立てられる2つの前記部分39から成る。
【0027】
クランクアーム36は、可変ピッチベーン26の半径方向ピボット30に1つの端部で固定され、前記ピボット30は、ケーシング34のシャフト32に取り付けられるブッシング42に回転可能に案内される(
図2)。ベーンピボット30に固定されるクランクアームの端部は、ピボット30の端部に螺装されるナット46によってブッシング42の縁部44に半径方向に保持される。クランクアーム36の他の端部は、半径方向円筒形ピン48が回転可能に案内され、制御リング38の円筒形穴52に取り付けられる、オリフィスを備える。ピン48は、制御リング38に固定されるベントタブ50によって適切な位置に保持される。また、制御リング38は、ピン48の円形通路に付随するように軸線方向に並進で移動可能である。
【0028】
図3においてより明らかにお分かりのように、制御リング38の部分39は、連結部材38の両方の部分39の端部の相互連結を可能にする連結部材を固定するのにそれぞれ役立つか、またはケーシングの外面に配置されるトラックに使用されるセンタリングパッドを固定するのに役立つ他の穴54、56を備える。
【0029】
その軸線12の周りの制御リング38の回転中に、制御リングにより、クランクアーム36およびベーン26はベーン26のピボット28、30の軸線の周りに枢動するようになっている。この場合は、ベーン26はすべて、制御リング38の所与の角度位置について同じ角度位置にあり、クランクアーム36はすべて同じ長さから成る。
【0030】
次に、上で述べたように、タービンエンジンの速度に応じて、特にそれらの方位位置、すなわち対応する段のステータベーン26の円周方向位置に応じてベーン26のピッチを適合させることができることが必要である。
【0031】
本発明は、問題のベーン26または問題のベーン26のグループの方位位置に応じて、個々にまたはベーン26のグループによってベーン26のピッチ角の調整を可能にする制御リング38を提案することによってこの要求を満たす。
【0032】
図5および
図6は、本発明の第1の実施形態を示しており、その場合、円筒形ピン48が挿入される穴の1つのセットは、形状が長円形であり(穴58)、前記穴のもう1つのセットは、対応するピン48の直径と実質的に同一の直径を持つ円筒形である(穴52)。
【0033】
特に、長穴58は各々、制御リング38の第1の横方向縁部または上流縁部62の側面に位置する第1の端部60と、制御リング38の第2の横方向縁部または下流縁部66の側面に位置する第2の端部64とを備え、両端部60、64は、変曲点を特徴とする湾曲した接合領域68によって連結される。
【0034】
したがって、作動中に、ベーン26のピッチ角は、円筒形穴52と関連するベーン26について、または長穴58と関連するベーン26について、制御リング38の角度位置に応じて同じように変化しない。穴58の形状に応じて、ピッチ角の変化は、その結果、ベーン26の各々について(また下文にピッチ法則として知られる)制御リング38の角度位置に応じて調整され得る。
【0035】
この場合は、長穴58はすべて、実質的に同じ形状から成り、他の穴52は、円筒形である。したがって、このタイプの制御リング38は、タービンエンジンの異なる方位領域に位置する、ベーン26の2つのグループを特徴とし、1つのグループからもう1つのグループへ異なるピッチ法則に従う。
【0036】
穴52の中心は、長穴58の端部のうちの1つと円周方向に位置合わせされることに気付かれよう。
【0037】
図7は、制御リング38の各長穴58が単に円周方向に延在する、本発明の第2の実施形態を示している。
【0038】
図8は、制御リング38の各長穴58が軸線方向Aに対して、および円周方向Cに対して斜めに延在する、本発明の第3の実施形態を示している。より詳細には、各長穴58は、ベーン26の開放の方向である、矢印S1によって示される制御リングの第1の回転方向に、上流から下流に(すなわち、
図8の左から右に)直線的に延在する。
【0039】
図9は、制御リング38の各長穴58が円弧状、または略円弧状、より詳細には1/4円を形成する、本発明の第4の実施形態を示している。各長穴58の一方の端部70は、軸線方向上流に方向付けられるが、他方の端部72は、前述の方向S1と反対の方向S2に円周方向に方向付けられ、方向S2は、ベーン26の閉鎖方向である。
【0040】
図10は、円筒形穴52(曲線C1)と、
図7の長穴58(曲線C2)と、
図8の長穴58(曲線C3)と、および
図9の長穴58(曲線C4)とそれぞれ関連するベーン26についてベーンピッチ法則を示している。ピッチ法則は、制御リング38の角度位置(α制御リング)に応じてベーン26の角度位置(αベーン)の変化を反映する曲線である。
【0041】
これらのピッチ法則は、特に関連するベーン26の開放に対応する制御リング38の角度に関しては、互いに異なることに気付かれよう。角度αベーンは、ベーン26のピボット30の中心、およびリング38に挿入されるピン48の中心を通過する直線を描いた、タービンエンジンの軸線12に対するクランクアーム36の角度に対応する。定義によれば、開放位置は、正の方向が三角法方向であることを考えると、タービンエンジンの軸線12に対して負である角度αベーンに対応し、閉鎖位置は、タービンエンジンの軸線12に対して正である角度αベーンに対応する。角度αベーン=0は、クランクアーム36がタービンエンジンの軸線12と位置合わせされる位置に対応する。
【0042】
ベーン26の閉鎖に対応する角度についてピッチ法則を変えようとする場合は、長穴58が使用されることができ、その一般的形状は、上記で説明したそれらのもののタービンエンジンの対称形/軸線である。しかしながらこの場合は、穴52の中心は、長穴58の他の端部と位置合わせされるべきである。
【0043】
したがって、穴52、58の選択される形状(円筒形、斜め直線、円弧状、等、)に応じて、要求に適するように関連するベーン26のピッチ法則を適応させることができる。
【0044】
図11は、制御リング38の各長穴58が制御リング38の軸線方向中央域を通過する半径方向平面に対して、
図6の長穴58の形状と対称の形状から成る、本発明の第5の実施形態を示している。
【0045】
図12は、本発明の第6の実施形態を示しており、制御リング38の各長穴58は、単に円周方向に延在し、かつ制御リングの上流縁部62の側面に位置する第1の端部74と、制御リング38の下流縁部66の側面に位置する単に円周方向に延在する第2の端部76と備え、前記端部74、76は、円周方向Cに対して、および軸線方向Aに対して斜めに延在する接合領域78によって連結される。
【0046】
図13は、制御リング38の各長穴58が制御リング38の軸線方向中央域を通過する半径方向平面に対して、
図8の長穴58の形状と対称の形状から成る、本発明の第7の実施形態を示している。
【0047】
もちろん、制御リング38は、上記で説明したそれらのものの中で長穴58の少なくとも2つのタイプを備えてもよい。また、これらの長穴58が特に円周方向Cに延在するという条件で、長穴58の他の形態が使用され得る。
【国際調査報告】