(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-501910(P2017-501910A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】カラー又は多材料3Dプリンター
(51)【国際特許分類】
B29C 67/00 20170101AFI20161222BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20161222BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20161222BHJP
【FI】
B29C67/00
B33Y30/00
B33Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-553241(P2016-553241)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(85)【翻訳文提出日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】US2014064393
(87)【国際公開番号】WO2015073301
(87)【国際公開日】20150521
(31)【優先権主張番号】61/962,869
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/041,105
(32)【優先日】2014年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/534,998
(32)【優先日】2014年11月6日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516135483
【氏名又は名称】チャン、カイ−ジュイ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】チャン、カイ−ジュイ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL24
4F213WL32
4F213WL74
(57)【要約】
本発明が提供する3D連続カラープリンターは、少なくとも1つのカートリッジ、ミキサー及び単一のプリントヘッドを含み、前記カートリッジ内には造形材料が収容され、前記ミキサーは、前記カートリッジと接続され、前記単一のプリントヘッドは、前記ミキサーの出口と接続され、前記カートリッジに収容された造形材料が前記ミキサー及び前記単一のプリントヘッドへ搬送されて連続カラーオブジェクトが形成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形材料が収容される少なくとも1つのカートリッジと、
前記カートリッジに接続されたミキサーと、
前記ミキサーの出口に接続された単一のプリントヘッドと、を含み、
前記カートリッジに収容された造形材料が前記ミキサー及び前記単一のプリントヘッドへ搬送されて連続カラーオブジェクトが形成されることを特徴とする、
3D連続カラープリンター。
【請求項2】
前記カートリッジは、シリンジを含むことを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項3】
チューブとそれぞれ接続されてから前記ミキサーに接続され、前記プリントヘッドへ向かう経路上で異なる色の造形材料が混合される4つのカートリッジを含むことを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項4】
前記ミキサーに接続された多極コネクタ又は異なる数の開放端を有するコネクタを含むことを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項5】
異なる色の原料が流入する流量総和は所定の定数であり、流出する色は、異なる色の原料が流入する流量比により決定されることを特徴とする請求項4に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項6】
前記ミキサーは、スタティックミキサー、インラインミキサー及びアクティブミキサーからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項7】
前記ミキサーと前記プリントヘッドとの間に位置して色遷移間の間隔を短くする短経路を含み、前記短経路上の原料の混合時間が短いことを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項8】
前記ミキサーと前記プリントヘッドとの間の経路が大きめであるとき、色遷移の間隔が大きくて混合品質が好ましいことを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項9】
前記ミキサーは置換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項10】
前記プリントヘッドは、原料選択、解析度の必要性又は詰まり要因に応じて置換え可能であることを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項11】
前記プリントヘッドは、針、ノズル又はボールペンヘッドを含むことを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項12】
前記造形材料は、シリコン、シリコーンゴム、シリコナイズドアクリル系コーキング、ポリウレタン、光硬化性樹脂、固化可能な液体、固化可能な糊からなる群から選ばれる混色可能な液体を有することを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項13】
各モジュールに接続されたチューブを含み、各前記チューブは、色遷移間の遅延を少なくする所定の内径を有することを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項14】
前記造形材料は、照射、冷却又は乾燥により固化されることを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項15】
2種類以上の色を有する造形材料が混合されて所望の色の液体を形成し、前記造形材料は、これに溶ける色素で染色し、かつ、異なる性質を有する粒子、油、水又は物質を添加し、3D印刷オブジェクトの硬度、強度その他の物理的性質、化学的性質を変えることを特徴とする請求項1に記載の3D連続カラープリンター。
【請求項16】
複数のカートリッジ内に収容した複数の造形材料がミキサーへ押出され、
前記押出された原料を混合し、
前記混合した原料を単一のプリントヘッドを使用して分注する、ことを含むことを特徴とする、
連続カラー3Dオブジェクトの印刷方法。
【請求項17】
2種類以上の色を有する造形材料が混合されて所望の色の液体を形成し、前記造形材料は、これに溶ける色素で染色し、かつ、異なる性質を有する粒子、油、水又は物質を添加し、3D印刷オブジェクトの硬度、強度その他の物理的性質、化学的性質を変えることを特徴とする請求項16に記載の連続カラー3Dオブジェクトの印刷方法。
【請求項18】
4つのカートリッジ中に収容された異なる色の造形材料が混合され、前記4つのカートリッジが前記プリントヘッドへ向かう方向でチューブに接続されてから前記ミキサーに接続されることを含むことを特徴とする請求項16に記載の連続カラー3Dオブジェクトの印刷方法。
【請求項19】
異なる色の原料が流入する流量総和は所定の定数であり、流出する原料の色は、異なる色の原料が流入する流量比により決定されることを特徴とする請求項16に記載の連続カラー3Dオブジェクトの印刷方法。
【請求項20】
造形材料が収容される少なくとも1つのカートリッジと、
前記カートリッジに接続されたミキサーと、
前記ミキサーの出口に接続された単一のプリントヘッドと、を含み、
前記カートリッジに収容された造形材料が前記ミキサー及び前記単一のプリントヘッドへ搬送されて連続多材料オブジェクトが形成されることを特徴とする、
3Dプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2013年11月18日出願の米国仮特許出願第61/962869号及び2014年8月24日出願の米国仮特許出願第62/041105号の優先権を主張する。
【0003】
ラピッドプロトタイピング(Rapid prototyping)及び迅速製造工程(Rapid manufacturing processes)は、可能な限り手動介入及び金型使用が無い状況下で3Dコンピュータ支援設計(Computer aided design:CAD)のデータを直接かつ迅速にワークピースに変換する。大多数のプリンターは、単色プリンターであるが、印刷の潮流に伴い、高品質で価格が合理的なカラー印刷に対する消費者のニーズが高まっている。
【0004】
従来の3Dカラー印刷が直面している課題は使用する造形材料である。一般によく見かける低コスト熱可塑性3Dプリンターは、単一の加熱押出機のみ使用して熱溶融のエネルギを提供する。また、多数の熱押出機の3Dプリンターもあるが、実際的ではなく、溶融したプラスチックが支持台に接触されると直ちに固化されて冷却される。
このような多数の加熱押出機の3Dプリンターは、液滴が大きすぎるため(卓上型インクジェットプリンターと比べてインクの液滴が大きい)、固化した液滴を混合して連続フルカラーオブジェクトを得ることができなかった。一部のカラー3Dプリンターは、押出す前に異なる色の材料を混合するが、異なる色の熱可塑性プラスチック(一般によく見かける造形材料)の融点は200℃を超え、断熱されていない状態下で迅速に冷却されるため、これらを混合することは非常に困難である。
【0005】
従来のラピッドプロトタイピング工程は、レーザーを使用する行程とレーザーを使用しない工程の2種類に分けられる。そのうちの1種類は、放射線硬化型ポリマーの液体混合物をレーザーにより一層ずつ硬化させるステレオリソグラフィー(Stereolithography:SLA)であり、ステレオリソグラフィーにより製作したワークピース上を着色する場合、ワークピースの表面に染色を行うが、これは複雑で多くの時間がかかる。
もう一つの方法は、ステレオリソグラフィーと類似した選択的レーザー焼結法(Selective laser sintering:SLS)であり、これは粉状原料(例えば、熱可塑性プラスチック又は焼結金属)であり、レーザーにより選択的に一層ずつ焼結する。この方法では、単色又は色彩が不特定の3Dオブジェクトしか製造できない。3種類目のレーザー製造工程は、ラミネートオブジェクト製造(Laminated object manufacturing:LOM)であり、接着剤を有する多層のペーパーウェブ又はプラスチック箔が一緒に接着されてレーザーで切断される。その後の染色実施例は、例えば特許番号US6,713,125号で開示されている。
【0006】
UVインクジェットプロセスは、従来から知られるカラーオブジェクトを製造する3D印刷工程である。この三段階の製造工程では、粉状原料がフィルム上に施される。UV硬化液体は、フィルム上に印刷され、フィルムが積層されて立体生産物に形成され、最終的に印刷されたフィルムをUV光源により硬化し、これらのステップを各層のフィルム毎繰り返す。
【0007】
WO2008/077850号では、製造工程の上流で多色の液体と硬化剤とをチャンバ内で直接混合するため、選択的な色合いが可能である。しかし、チャンバであるため、鮮明な色遷移は不可能であった。このような製造工程は、硬化過程の制限により、鮮明度が不足し、表面の平滑度が下がり、色合いが不均一となり易かった。
WO2001/26023号では、2つの印刷プリントヘッドが異なる色の硬化剤混合物を有し、生産物に異なる弾性を提供するが、色は2種類を超えなかった。
【0008】
WO2009/139395号の製造工程は、3Dインクジェット印刷に類似し、着色された液体を一層ずつ施し、第1の液体と硬化反応する第2の液体がその上に印刷されるが、このような製造工程は、未硬化の液体層間に混合されるか、さもなければ製造される構造は各層の色が異なるだけである。
【0009】
US2004/0251574号では、熱可塑性プラスチックを印刷した後、顔料が選択的に印刷される。このような製造工程の長所は、選択性が高いところにあるが、このような製造工程の欠点は、顔料がセラミック粉末とバインダーとの混合物に均一に浸み込まないため、均一な色彩解析度又は鮮やかな発色を得ることはできない点である。
【0010】
米国特許US6401002号では、様々な液体が様々な染料及びバインダーと一緒に使用される。これらの液体は、別々に滴下するか、ノズルの連続線方式により混合してもよい。当業者であれば何れか1種類の方式により理想の色彩解析度を得ることができる。前者において、染料の混合は表面の粘性液体中で行われる。そのため、このような混合は、完全に完成させにくかった。第2の手順において、連続線の圧力差は、色に極端な違いをもたらす。
【0011】
多くの立体物の印刷工程において、材料上最も経済的で機械設計上好ましいのは熱融解積層法(Fused deposition modeling:FDM)である。それは、押出成形のデジタル製造システムに繋がる。これ以外の既知の製造工程には、これに類似するが僅かに異なるものとして、例えば、FFF(Fused filament fabrication)、MEM(Melted extrusion manufacturing)、SDM(Selective deposition modeling)がある。
熱融解積層法において、2種類の異なるポリマーフィラメントは、ノズル中で溶融されて選択的に印刷される。また、支持原料に繋がる、3Dオブジェクトの空中に吊り下げられた位置にのみ必要であり、支持原料は、その後、例えば、酸、アルカリ又は水で溶解されて除去されてもよい。その他の原料(造形材料)により実際の3Dオブジェクトを形成する。印刷は一層ずつ完成される。
FDM製造工程は、特許US5,121,329号で最初に開示された。
US2002/0111707号では、一般の冷却として説明されているが、その詳細については説明されていない。
US6,165,406号の3Dカラー印刷方法において、各染料は個別のノズルを使用するため、染料を混合することは略不可能であり、得られる色彩効果は非常に単純である。
US7,648,664号のFDM変化型では、粒状の異なる色の造形材料を使用し、それぞれ溶融されて着色の必要に応じて押出機で混合してから印刷するが、このような方法には複雑な設備が必要である上、FDMの多くの長所が失われた。
US6,129,872号が開示する製造工程は、造形材料がノズル中で溶融され、ノズルの末端にある多種類の染料の混合物が溶融物中に選択的に加えられるが、混合が不十分となり、綺麗に発色させることはできない。
【0012】
US2010/0327479号で開示する製造工程は、多種類の着色フィラメントが微小型押出機中で結合されて連続的に押出され、新たな着色フィラメントを提供し、新たな着色フィラメントがプリントヘッドに進入して印刷を行う。この方法には、非常に精巧で複雑な装置が必要である。他の実施例において、多種類の色の着色フィラメントは、プリントヘッド中に直接導入されてプリントヘッド中で混合される。
【0013】
米国特許出願第20140134334号では、マルチカラーの3Dオブジェクトを製造する3D押出印刷工程が開示される。この製造工程では、実際のオブジェクトを製造するポリマーストランドを塗布し(プリントヘッドの上流)、ポリマーストランドの塗布上流が印刷プリントヘッドの固定に進入し、プリントヘッド中の下流が押出ストランドの表面に主に留まる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
3D連続カラープリンターは、造形材料が収容される少なくとも1つのカートリッジと、前記カートリッジに接続されたミキサーと、前記ミキサーの出口に接続された単一のプリントヘッドと、を含み、前記カートリッジに収容された造形材料が前記ミキサー及び前記単一のプリントヘッドへ搬送されて連続カラーオブジェクトが形成される。
【0015】
実際の実施例には、以下で述べることが含まれてもよい。好ましくは、4つのカートリッジは、チューブと接続されてから前記ミキサーに接続され、前記プリントヘッドへ向かう経路上で異なる色の造形材料が適切に混合される。前記ミキサーは5ウェイコネクタ(又は異なる数の開放端を有するコネクタ)である。選択的に、スタティックミキサー(例えばインラインミキサー)又はアクティブミキサーは、前記ミキサーの核心部分として用いてもよい。前記コネクタの材料は、封止する液体の種類に応じてプラスチック、金属その他の材料でもよい。コネクタの一端から流出する液体の色は、流入する異なる色の液体の相対流量により決定され、混合液体の色に関わらず、流出する液体の流量はユーザが定義する定数である。即ち、流入する異なる色の原料の流量総和は、ユーザが定義する定数であり、流入する異なる色の原料の流量比は、流出する原料の色を決定する。ミキサーとプリントヘッドモジュールとの間の距離はコントロール可能因子である。距離が短い場合、色遷移の間隔は短めであるが、原料を混合する時間はあまりなかった。反対に、距離が長い場合、色遷移の間隔が長めであり、混合品質は好ましい。各モジュールを接続するチューブの内径が十分に小さいため、色遷移間の遅延をなるべく少なくし、十分に長くしてノズルの動作が制限されることを防ぐ。前記ミキサーは、印刷品質を維持するために使い捨てタイプにしてもよい。
【0016】
プリントヘッドモジュールは、造形材料を流入し、これを押出して3Dオブジェクトを印刷し、プリントヘッドの尖端のサイズは、印刷するオブジェクトの解析度を決定する。プリントヘッドは、針、ノズル又はボールペンヘッドでもよいがこれだけに限定されるわけではない。プリントヘッドは、原料選択、解析度の必要性又は詰まり防止に応じて置換え可能である。一部の実施例では、プリントヘッドは、造形材料を混合することができる。例えば、スタティックミキサーノズルをプリントヘッドとして用い、造形材料を混合して押出すことができる。スタティックミキサーは、負担できるコストの下、溶液を混合することができる上、ノズル先端の内径が大きめ(詰まりの可能性を減らすことができる)と小さめ(印刷の精度を高めることができる)との間で最適化させることができる。
【0017】
本発明が使用する造形材料は、シリコン、シリコーンゴム、シリコナイズドアクリル系コーキング、ポリウレタン、光硬化性樹脂、固化可能な液体、固化可能な糊などでもよい。固化ステップでは、照射、冷却又は乾燥を選択的に使用する。自然乾燥する原料も可能である。2種類以上の色の原料を使用して混合し、所望の色の液体を形成し、造形材料は、これに溶ける色素で染色を行う。これ以外に、異なる性質の粒子、油、水その他の物質(ここでは補助物質と称する)を添加し、印刷する3Dオブジェクトの硬度、強度その他物理的性質、化学的性質を変えてもよい。
【0018】
さらに、電気ヒーターにより熱量を提供する以外には、造形材料には、添加剤、接着促進剤、又は、マイクロ波、電場又は磁場で加熱されるか活性化される接着剤が含まれる。これらの添加物は、単一の混合物又は全部の混合物に添加されるか、分離フィードコンテナから添加される。最近の案件では、これらの混合物は無色である。例えば、少なくとも1つのシリンジが造形材料に接触されて架橋剤、開始剤又は促進剤を添加し、混合物中のその他の物質の化学反応又は押出しの下流で熱活性化により化学反応(例えば付加反応又は架橋)を行い、製造する3Dオブジェクトは、全部又は部分の弾性体又は熱硬化性体の性質を有する。
【発明の効果】
【0019】
本システムの長所は、以下で述べることを含む。本システムは、連続カラーを有する立体オブジェクトを製造することが可能である。単一のプリントヘッドを使用することによりコストを減らして信頼性を高めるとともに、高品質の演色性を提供する。本システムは、機械的に安定したマルチカラー立体オブジェクトを製造することができる。原料には、如何なる色料及び機能性添加物が含まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の3Dカラープリンターを示す図である。
【
図3】本発明の
図2のシリンジのピストンを支持するロッドの上面図である。
【
図4】
図1のシステムを使用する印刷工程を示す図である。
【
図5】本発明の3Dオブジェクトを形成する3D移動過程を示す図である。
【
図6】本発明の3Dカラープリンターの他の実施例である。
【
図7】本発明の3Dカラープリンターの製造工程図である。
【
図8】本発明のカラーオブジェクトの製造の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明は、硬化性物質を造形材料として使用するカラー3D印刷装置を提供する好適な実施例である。
図1に示すように、カラー3D印刷システムは、複数の造形材料のカートリッジ11と、ミキサー12と、単一の加熱押出機を有する単一のプリントヘッド13と、を含む。
カートリッジ11中に収容される硬化性の造形材料がプリントヘッド13へ搬送され、この過程で十分に混合され、最終的にプリントヘッドの尖端から押出され、押出された造形材料の液滴が固化される。
【0022】
各カートリッジ11は造形材料を収容し、複数のカートリッジを用いて異なる性質(例えば、色、硬度又は比重)を有する造形材料の液体を収容する。一実施例において、造形材料は、搬送に都合が良いようにシリンジ内に収容される。収容容器は、チューブ、ボトルその他液体を外方へ都合良く搬送できる液体容器でもよい。好ましくは、4つのカートリッジシステムである。各カートリッジには、赤色(又はマゼンタ)、黄色、青色(又はシアン)及び白色(又はクリア)の造形材料がそれぞれ収容され、白色原料は黒色原料で代替されてCMYK表色系(CMYK color system)に類似する。しかし、3つのカートリッジシステムその他の数のカートリッジも可能である。
【0023】
本システムは、単一の押出機のみを使用して溶融に必要な熱量を提供する。単一の押出機が混合液滴を押出して連続フルカラーオブジェクトを形成する。反対に、従来の多数の押出機を有するシステムは液滴が大きすぎて(デスクトップ型インクジェットプリンターのインク液滴より大きい)、溶融したプラスチックが支持台に接触されると冷却されて固化されるため、連続したフルカラーを提供することはできない。
本発明の単一の押出機は、溶融した熱可塑性プラスチック(融点が200℃より高いため、よく見かける異なる色の造形材料である)を制御することができる。
【0024】
図2及び
図3に示すように、押出過程でシリンジ21中の造形材料がプランジャで押出されると、シリンジの底部がロッド22に接触される。ロッド22は、螺杆23に接続される。
図3では、さらに詳細が開示され、プッシャ33が螺杆32上に固定され、螺杆32がステッピングモータ(stepper motor)31により駆動される。
図2に示すように、螺杆23がステッピングモータ25により回転されると、ロッド22及びプランジャがガイド24に沿って移動する。螺杆は小さな角度で回転するため、プランジャは徐々に移動し、造形材料を非常に小さな量で搬送することができる。
【0025】
4つのカートリッジは、チューブと接続されてからミキサーに接続され、異なる色の造形材料をプリントヘッドモジュール上の経路で十分に混合することができる。このミキサーは5ウェイコネクタ(又は異なる数の開放端を有するコネクタ)である。選択的に、インラインミキサー(in−line mixer)のようなスタティックミキサー(static mixer)又はアクティブミキサー(active mixer)は、ミキサーの核心部分として用いてもよい。
コネクタの材料は、収容する液体の種類に応じてプラスチック、金属その他の材料を選択してもよい。コネクタの一端から流出する液体の色は、流入する異なる色の液体の相対流量により決定され、混合液体の色に関わらず、流出する液体の流量はユーザが定義する定数である。即ち、流入する異なる色の原料の流量総和は、ユーザが定義する定数であり、流入する異なる色の原料の流量比は、流出する原料の色を決定する。
ミキサーとプリントヘッドモジュールとの間の距離はコントロール可能因子である。距離が短い場合、色遷移(color transitions)の間隔は短めであるが、原料を混合する時間はあまりない。反対に、距離が長い場合、色遷移の間隔が長めであり、混合品質上好ましい。各モジュールを接続するチューブの内径は十分に小さいため、色遷移間の遅延をなるべく少なくし、十分に長くしてノズルの動作が制限されることを防ぐ。ミキサーは、印刷品質を維持するために使い捨てタイプにしてもよい。
【0026】
プリントヘッドモジュールは、造形材料を収容し、これを押出して立体オブジェクトを印刷する。プリントヘッドの尖端のサイズは、印刷するオブジェクトの解析度を決定する。プリントヘッドは、針、ノズル又はボールペンヘッドでもよいがこれだけに限定されるわけではなく、原料選択、解析度の必要性又は詰まり防止に応じて置換え可能である。
一部の実施例では、プリントヘッドモジュールは、造形材料を混合する能力を有する。例えば、スタティックミキサーノズルを利用すれば、流入した造形材料を混合して押出し、コストを比較的負担できる上、ノズル先端の内径を大きめ(詰まりの可能性を減らすことができる)と小さめ(印刷の精度を高めることができる)との間で最適化させることができる。
【0027】
使用する造形材料は、シリコン、シリコーンゴム、シリコナイズドアクリル系コーキング、ポリウレタン、光硬化性樹脂、固化可能な液体、固化可能な糊などでもよい。固化ステップは、照射、冷却又は乾燥を選択的に使用する。自然乾燥する物質も可能である。2種類以上の色の原料を使用して混合し、所望の色の液体を形成する。造形材料は、これに溶ける色素で染色を行い、さらに、異なる性質を有する粒子、油、水その他の物質(ここでは補助物質と称する)を添加し、印刷する3Dオブジェクトの硬度、強度その他物理的性質、化学的性質を変えてもよい。
【0028】
温度変化による硬化以外には、造形材料に添加剤、接着促進剤、又は、マイクロ波、電場又は磁場で加熱されるか活性化される接着剤が含まれる。これらの添加物は、単一の混合物又は全部の混合物に添加されるか、分離フィードコンテナから添加される。
最近の案件では、これらの混合物は無色である。例えば、少なくとも1つのシリンジが造形材料に接触されて架橋剤、開始剤又は促進剤を添加し、混合物中のその他の物質の化学反応又は押出しの下流で熱活性化により化学反応(例えば付加反応又は架橋)を行い、製造する3Dオブジェクトは、全部又は一部の弾性体又は熱硬化性体の性質を有する。当業者であれば、組成及び使用する造形材料を理解した後、適切な添加物を選択することができる。
【0029】
図4に示すように、印刷工程は、プリントヘッド41のプリントヘッド、支持台及びノズルから出力された造形材料に関連する。造形材料(本実施例中では糊状である)がノズルから液滴44の方式により一滴ずつ出力されて固化が始まる。固化速度が制御され、液滴が支持台又はオブジェクト43にほとんど接触されて固化されるが、液滴がプリントヘッドから出力されるときは依然として液体に維持され、プリントヘッドに造形材料が詰まることを防ぐ。
【0030】
その後、表面コーティング又は化学反応を行う。より明確に述べると、マイクロ波、熱、プラズマ、UV光又は磁場により活性化された添加物をコーティング方式で表面に施し、正確な方式で活性化させる。特定で長所を有する化学反応を、押出した原料の表面に発生させ、特に、架橋反応(crosslinking)を実行するが、架橋反応は前期溶融、付加的な動力又は前述したスタティックミキサーで発生する。つまり溶融した造形材料がプリントヘッド中にあるときである。
【0031】
他の実施例において、各シリンジ中の添加物は、混合ステップを行った後に化学反応を行って化学架橋を達成して触媒固化し、かつ(又は)、造形材料の接着効果を増進させる。
【0032】
その他の実施例において、印刷工程の最後には、一種類又は多種類のコーティング成分が生産されたオブジェクトの表面にコーティングされる。
【0033】
本システムは単独で使用することができ、その他のシステムを結合して一体化する。例えば、手持ち式カラー3Dプリンターの実施例中で、ユーザは表面上に、空気中又は溶液中で立体オブジェクトを印刷する。また、本システムは、既に知られた3Dプリンターに取り付けてこれをマルチカラー3Dプリンターへ変換する。
【0034】
図5が示す他の実施例では、カートリッジモジュール及びミキサー51が3Dプリンターのフレームワークに固定され、プリントヘッドモジュール52は移動可能である。支持台53は、3Dプリンターを支持するために用いる。
【0035】
図6は、3Dカラープリンターの別の実施例を提供する。カラー3Dプリンターは、機械システム、光源システム及び押出システムを含む。機械システムは、押出ノズル105及び支持台104の相対位置を正確に定義する。
光源システム107は、ポリマーを硬化するために用いる。押出システムはオブジェクトを印刷する。カートリッジ106中に収容された硬化可能な造形材料がノズルへ搬送され、途中で十分に混合され、ノズルの尖端から押出される。押出す造形材料の液滴は、輻射照射された後に支持台上で固化される。ノズルが移動するに伴い、液滴が支持台の何れかの箇所に印刷されるため、印刷される原料構造が決定される。機械システムは、3つのモータによりノズル及び支持台の位置を制御する。支持台は、固化するオブジェクトを支持するためだけに提供される。支持台は、金属又はプラスチックにより製造され、かつ、その表面には一部のコーティングを有し、印刷されたオブジェクトとの間の連結が好ましい。
ノズルは、Y軸ベルトに固定される。Y軸ベルトはY軸モータにより制御される。Y軸モータが回転する際、ノズルがY軸に沿って移動する。Y軸ベルトは、Y軸に沿って螺杆により支持されるためその堅牢性が高まり、Y軸ベルトは回転ホイールに固定される。回転ホイールは、X軸ベルト上に位置する。このように、X軸モータによりY軸ベルトがX軸に沿って移動し、2つのモータにより制御されるベルトシステムの高さが維持固定され、ノズルのX、Y軸位置を決定する。支持台のZ軸位置は、Z軸モータにより操縦され、Z軸モータは、螺杆に同軸接続される。螺杆は支持台に接続され、これによりモータが回転すると、支持台は、螺杆(Z軸)に沿って移動する。機械システム中で使用するモータは、好ましくはステッピングモータ(stepped motor)でもよく、回転する際、増幅が小さめであるため、ノズルの位置が正確に定義される。
【0036】
上述の例示中では動力がモータ及びベルトにより発生されて伝達されるが、これは歯車システム又は機械アームと置き換えてもよい。また校正装置により部材の位置を正確に決定してもよく、この校正装置は、衝突センサ(collision sensor)、IRセンサ(IR sensor)、レーベルドトラック(labeled tracks)などを含むがこれらだけに限定されるわけではない。衝突センサを例にとると、ノズルがX軸とY軸との境界に沿ってセンサに衝突するまで移動し、その位置を初期点に定義し、ノズルの座標は、ステッピングモータの回転角度が記録されることにより追跡される。
【0037】
図6に示すように、実施例で使用する造形材料は、光硬化性樹脂その他照射により固化可能、冷却可能、乾燥可能な液体でもよい。3種類又はそれ以上の色の原料を使用して混合し、所望の色が均一な液体を形成する。原料は、カートリッジに充填される前に、原料に溶融可能な色素が添加されて染色を行う。よく見かける光硬化性物質がポリマーであるとき、色素は油溶性であることが好ましい。
光源システムは、ノズルから押出される造形材料を固化する照射源を含み、固化された液滴が支持台又は下方のオブジェクトに接触される。照射源は、光硬化性樹脂を固化するために用い、可能な選択には、UV光、可視光及びレーザーが含まれるがこれらだけに限定されるわけではない。光源と印刷オブジェクトとの幾何学的関係には様々なものがあり、例えば、光源は、単に液滴上に集中照射され、上から下方向にかけて支持台全体に照射されるか、下から上方向へかけて支持台に照射され、液体が支持台上で固化される。照射源は、スイッチのオン・オフを制御するか、印刷過程で移動することが可能である。
【0038】
図6の押出システムは、ミックスノズル及びカートリッジシステムを含む。ノズルは、Y軸ベルト上に固定され、X−Y平面上で移動することができる。チューブは、ノズルに接続されて造形材料がノズルに流入し、混合されて押出される。好ましくは、スタティックミキサーのノズルにより溶液を混合するコストは負担可能であり、ノズルの内径は好ましくは大きめ(詰まる可能性を下げる)と小さめ(印刷の精度を高める)との間に制御しなければならず、使用するチューブは、色遷移間の遅延を下げるために十分に細くしなければならず、ノズルの移動を妨げないように十分長くなければならない。
【0039】
カートリッジシステムの詳細に関しては、異なる色の液体を収容する複数のカートリッジを含み、これらのカートリッジは、シリンジ、ボトルその他液体を出力する液体容器でもよい。好ましくは、4つのカートリッジシステムを使用し、各カートリッジには、赤色、黄色、青色及び白色(クリア)の造形材料を有する。この実施例中では、都合良く造形材料を出力するシリンジを使用し、例えば、黒紙又は遮光箱などの遮光オブジェクトによりシリンジが覆われ、硬化させる放射に造形材料が曝されることを防ぐ。
3つのカートリッジは、ソフトチューブを介して複数対1のアダプター(例えば3対1アダプター)に接続され、異なる色の造形材料がノズルの途中で十分に混合されるようにする。アダプターの材料は、プラスチック又は金属でもよく、収容する液体に応じて決定してもよい。アダプターの単開放端の一端から流出される液体の色は、3色が流入する原料の相対流量により決定される。流出する液体の色が如何なるものであっても、単開放端の流量は、ユーザが決定する定数、即ち、3色の原料の流量総和は、ユーザが定義する定数であり、流出する原料の色は、3色の原料の流量比により決定される。
アダプターと押出ノズルとの間の距離はコントロール可能因子である。アダプターとノズルとの距離が短い場合、色遷移の間隔は短めであるが、原料を混合する時間は短い。反対に、距離が長い場合、色遷移の間隔が長めであり、混合品質上好ましい。押出す際、造形材料がシリンジのプランジャにより押動され、プランジャの底部がロッドに固定される。ロッドは、螺杆及び細杆に結合される。一実施例において、ロッドは、細杆を挿通する貫通孔と、螺杆に結合する六角ナットと、を有する。ロッドの材料強度は、細杆が移動するときに折り曲がらないように強度が十分でなければならず、ブッシュは、ロッドがより円滑に移動できるように貫通孔に固定可能に設けられる。螺杆がステッピングモータにより回転されると、ロッド及びプランジャが鉛直方向に移動し、ステッピングモータが非常に小さな角度で回転するため、プランジャが徐々に移動し、造形材料が少量で搬送される。
【0040】
印刷工程では、プリントヘッドのノズル、支持台及び放射源が使用される。造形材料(好ましくは光硬化性樹脂)は、ノズルから一滴ずつ出力され、放射に曝されると固化が開始され、固化速度が制御されて液滴が支持台又は下方のオブジェクトに接触するとほぼ固化するが、プリントヘッドから出力されるときに原料が液体に維持されて原料が詰まることを防ぐ。
オブジェクトは、一層ずつ印刷される。ノズルは、X−Y平面上で水平移動してオブジェクトを印刷した後、支持台はZ軸に沿って一層の厚さの距離で下方へ移動してから(ユーザが定義する要素)、新たなX−Y平面上で同じ印刷ステップを行う。
【0041】
図7は、3Dカラー印刷工程を示す例である。
図7は、上述した実施例によりカラーオブジェクトを製造する流れ図である。ユーザは、まず、入力を行い、入力のユーザインタフェイスは、コンピュータ上又はスマートフォン上の本発明と通信するソフトウェアインタフェイスでもよいし、携帯型記憶装置(SDカード又はフラッシュドライブ)からデータを読取るインタフェイスでもよい。ユーザエンドからデータを受信した後、電子システムは、カートリッジ及び機械システムを制御し、造形材料をカートリッジからノズルへ搬送し、プリントヘッドが支持台を越えるように移動してオブジェクトを印刷する。光源システムは放射源を含む。放射源は、支持台上の造形材料を硬化させる。
【0042】
図8は、上述のシステムを利用してカラーオブジェクトを製造する流れ図である。ユーザは、まず、入力を行い、入力のユーザインタフェイスは、コンピュータ、スマートフォン、タブレット型コンピュータその他本発明と通信可能な装置上のソフトウェアインタフェイスでもよいし、携帯型記憶装置(SDカード又はフラッシュドライブ)からデータを読取るインタフェイスでもよい。ユーザエンドからデータを受信した後、電子システムは、カートリッジモジュールを制御し、造形材料をカートリッジモジュールからプリントヘッドモジュールへ搬送し、造形材料は途中で十分に混合される。
【0043】
本発明の一応用は解剖学の模型印刷である。デジタルファイル(*.STL、CT画像その他)を3Dプリンターへロードし、解剖学上の模型が構築される。本システムが使用する原料は柔らかくて弾性を有するため、印刷される模型は触感、構造又は画像(例えば、超音波画像)が実際の器官に非常に似ている。印刷された模型は教材、手術シミュレーションその他医学上の応用に利用できる。
【0044】
本システムの他の応用は、多材料3Dプリンターである。各カートリッジは、異なる造形材料を有するため、プリンターは、単一材料又は混合材料のオブジェクトを印刷することができる。器官模型の印刷に用いる場合、多くの部分を有する器官に似た、様々な性質(例えば、密度、色又は硬さ)を有する原料を使用してもよい。
【0045】
好適な実施例で使用する造形材料は、シリコン、シリコーンゴム、シリコナイズドアクリル系コーキング、ポリウレタン、光硬化性樹脂、固化可能な液体、固化可能な糊などでもよい。ミキサー12は、適切な温度になるまで加熱され、造形材料は、溶融されて熱可塑性を持たせてからプリントヘッドへ搬送する。
他の実施例において、造形材料は、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene)、ポリカーボネート(polycarbonate:PC)、ポリ(メタ)アクリレート(poly(meth)acrylate)、PPSU(polyphenylene sulfone)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエーテルイミド(polyetherimide:PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone:PEEK)、ポリ乳酸(polylactic acid:PLA)又は上述した何れか2つ以上の混合物を含むか、重量比50%以上の上述した何れか一つを含む混合物でもよい。メタ(アクリレート)とは、メタクリレート、アクリレート又は両者の混合物を指し、メタクリレートは、例えば、メタクリル酸メチル(methyl methacrylate)、メタクリル酸エチル(ethyl methacrylate)などであり、アクリレートは、例えば、アクリル酸エチルヘキシル(ethylhexyl acrylate)、アクリル酸エチル(ethyl acrylate)などである。第3のノズルが出力するセカンダリで選択的な造形材料に関しては、好ましくはポリメタクリレート又はポリカーボネートである。第1のプリントヘッドから出力される支持原料に関しては、酸、アルカリ又は水に溶けるポリマーでもよい。
【0046】
他の実施例では、3D押出プリンターは、プリントヘッド、フィラメントストリーム(filament stream)、コーティングユニット、固定領域、複数の供給容器を有してもよい。プリントヘッドは、造形材料を提供するノズルを有し、フィラメントストリームは、溶融した造形材料をプリントヘッドに提供し、コーティングユニットは、プリントヘッドの上流に位置する。固定領域は、コーティングユニットとプリントヘッドとの間に位置し、供給容器に測定装置が取り付けられ、1種又は多種の添加物を有するコーティング混合物及び顔料を溶融したフィラメントへ提供し、混合ユニットは、ミキサー(溶融器)12とプリントヘッド13との間に位置し、溶融した混合物は、プリントヘッドに入力される前に混合される。プリントヘッドは、スタティックミキサー(static mixer)でもよく、ノズルの低めに位置し、造形材料は染色されない上、透明でない。
【0047】
供給容器内の色素には、黒色と、黒色以外の色素、原色の染料又は添加物が含まれる。色素は、金属色素又は蛍光色素でもよい。センサを使用してミキサーへ向かう原料の流量を測定し、カラーモニターの情報と印刷制御とを最適化する。
【0048】
他の実施例において、このシステムは、可動式カートリッジ(例えば、2Dカラーインクジェットプリンターに用いるもの)を使用するか、供給管中から液体を汲み取る方式で除去するか、往復ポンプに挟入されたカートリッジに関係する。これらの設計は、置換え可能で、簡単かつ個別に新しい物と交換することができる。
【0049】
押出3D印刷に使用する本システムはこのように設計される。各種色つやがCADプログラムに入力され、提供されるファイルには、座標、製造工程の色情報、原料及び色の配合制御の色情報が含まれる。適切なファイル書式の実例は、AMFファイル書式(Additive Manufacturing File Format)(ASTM F2915−12)である。各色つやを構築するには、測定装置を調整し、供給容器からシステム中の各原色及び黒色を測定する。
【0050】
他の実施例では、AutodeskのSparkプラットフォームと共同で作業し、Sparkプラットフォームはデジタル情報を3Dプリンターと流線的に接続し、試行錯誤が無い状況下で想像し、印刷オブジェクトを最適化し、印刷に使用する材料の範囲を広げることができる。
Sparkソフトウェアプラットフォームのシステムにより、ソフトウェア、ハードウェアと供給器間に相互操作性を持たせ、Sparkプラットフォームはオープンであるため、ハードウェアの製造者、アプリケーションプログラムの開発者、製品設計者は、それを利用してオブジェクトを製造し、3D印刷の極限に挑戦することができる。
【0051】
以上の実施例では好ましい制限条件が提供されたが、当業者であれば、本発明の教示に基づきさらなる制限条件を得ることができる。
【0052】
本発明の実施例では、データ処理によりパラメータを提供するが、これは単に適切な材料を変形させて各層と連結する一種類の方式のみ表されている。そのため、データ処理という言葉は、
本発明による教示、得た材料の変形、元のオブジェクトのパラメータ修正方法も含むものと解釈する。本発明は、オブジェクトのパラメータの解釈と、オブジェクトを一層ずつ複製して高精度の複製を達成することを教示する。本発明の方法及び装置は、以上開示した多層処理技術を使用して高精度な複製を得ることができる。
【0053】
そのため、多数の実施例が示されて説明されているが、本発明の主旨と領域を逸脱しない前提下で多くの変更や修正を加えることができることは容易に分かる。
【手続補正書】
【提出日】2016年5月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】