特表2017-501946(P2017-501946A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-501946(P2017-501946A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】紙袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/01 20060101AFI20161222BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20161222BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20161222BHJP
【FI】
   B65D33/01
   B65D30/10 A
   B65D33/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-545886(P2016-545886)
(86)(22)【出願日】2014年11月26日
(85)【翻訳文提出日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2014003162
(87)【国際公開番号】WO2015104038
(87)【国際公開日】20150716
(31)【優先権主張番号】202014000194.4
(32)【優先日】2014年1月10日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】515302613
【氏名又は名称】ダイパック フェアパックング グスタフ デッカーホフ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リセク エドゥアルト
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ ゲーアハルト
(72)【発明者】
【氏名】メルシュマン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】シュタム イェンス
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB03
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA55
3E064BB03
3E064BB04
3E064BC04
3E064BC15
3E064EA08
3E064EA18
3E064FA06
3E064GA02
3E064GA04
3E064HD02
3E064HD03
3E064HE03
3E064HN01
3E064HR02
(57)【要約】
セメント、石膏、粒状物、動物用飼料等のバルク資材のための紙袋に関する。この紙袋は、好ましくは船底型または角底型である基底部と、基底部に対向して設けられ、その内部に紙袋を充填するためのバルブ筒が任意で配置される上部とを備える。この紙袋は、紙袋の内部側で密封接着された重複部を有する少なくとも1つの紙層を有する。この紙層の紙袋の内部に面する層部は、重複部の領域において通気性領域を有する。通気性領域は、紙層の紙袋の外部に面する層部によって覆われている。少なくとも1つの紙層は、紙袋の外部に面する撥水/耐水コーティングを少なくとも局所的に有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは船底型または角底型である基底部(2)と、
上記基底部に対向して設けられ、その内部に紙袋(10)を充填するためのバルブ筒(4)が任意で配置される上部(3)とを備える
セメント、石膏、粒状物、動物用飼料等のバルク資材のための紙袋(10)であって、
上記紙袋(10)は、上記紙袋(10)の内部側で密封接着された重複部(22)を有する少なくとも1つの紙層(20)を有し、
上記紙層(20)の上記紙袋(10)の内部に面する層部(31)が、上記重複部(22)の領域において通気性領域(37)を有し、当該通気性領域(37)は、上記紙層(20)の上記紙袋(10)の外部に面する層部(32)によって覆われており、
上記少なくとも1つの紙層(20)は、上記紙袋(10)の外部に面する撥水/耐水コーティング(42a)を少なくとも局所的に有する
ことを特徴とする紙袋。
【請求項2】
好ましくは船底型または角底型である基底部(2)と、
上記基底部(2)に対向して設けられ、その内部に紙袋(10)を充填するためのバルブ筒(3)が任意で配置される上部(3)とを備える
セメント、石膏、粒状物、動物用飼料等のバルク資材のための紙袋(10)であって、
上記紙袋(10)は、上記紙袋(10)の内部に面する気密性コーティング(42)を有する少なくとも1つのコート紙層(20)を有し、
上記コート紙層(20)は、上記紙袋(10)の内部側で密封接着された重複部(22)を有し、
上記紙層(20)の上記紙袋(10)の内部に面する層部(31)が、上記重複部(22)の領域において通気性領域(37)を有し、当該通気性領域(37)は、上記紙層(20)の上記紙袋(10)の外部に面する層部(32)によって覆われており、
上記紙袋(10)は多層構造であり、特に紙層である従来層(18)が、充填資材と上記少なくとも1つの紙層(20)との間に設けられる
ことを特徴とする紙袋。
【請求項3】
請求項1または2に記載の紙袋(10)において、
上記コート紙層(20)は、特に、内面に配置される気密性コーティング(42)と、外面に配置される撥水/耐水コーティング(42a)とによって両側がコーティングされている
ことを特徴とする紙袋。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記紙層(20)における上記紙袋(10)の外部に面する上記撥水/耐水コーティング(42a)は、上記紙袋(10)の外側の表面を構成する
ことを特徴とする紙袋。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記紙袋(10)は、上記紙袋(10)の内部側に密封接着された重複部(22)を有するさらなる紙層(20)を有し、
上記紙層(20)の上記紙袋(10)の内部側に面する層部(31)が、上記重複部(20)の領域において通気性領域(37)を有し、当該通気性領域(37)は、上記紙層(20)の上記紙袋(10)の外部に面する層部(32)によって覆われており、
上記紙層(20)は、その内側が気密性を持つようにコーティングされ、および/またはその外側が撥水性あるいは耐水性を持つようにコーティングされる
ことを特徴とする紙袋。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記紙袋(10)は、特に紙層である1つ以上の従来の内側層および/または外側層(18、21)を備える
ことを特徴とする紙袋。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記コート紙層の上記通気性領域(37)は、未コーティング領域、および/またはきわめて多孔質な材料、および/または複数の穿孔(37)を備え、
上記穿孔は、好ましくは、穿刺および/または1つ以上のスリットによって形成される
ことを特徴とする紙袋。
【請求項8】
請求項7に記載の紙袋(10)において、
上記紙層(20)の上記重複部(22)は、上記紙袋(10)の周長の少なくとも3%、好ましくは当該周長の少なくとも10%、さらに好ましくは当該周長の少なくとも17%、最大で当該周長の25%である
ことを特徴とする紙袋。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記コート紙層の上記コーティング(42、42a)は、多層構造である
ことを特徴とする紙袋。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記コート紙層(20)のコーティング(42、42a)は、少なくとも1つの金属層(42)、および/または少なくとも1つのラッカー層(42a)、および/または少なくとも1つのオイル層、および/または少なくとも1つのワックス層、および/または少なくとも1つのプラスチック層を備える
ことを特徴とする紙袋。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記重複部(22)は、中央部領域および/または上記紙袋の外部側の縁部領域に、追加的な接着剤(33、34)を有し、
上記追加的な接着剤(33)の少なくとも1つは、好ましくは、上記紙袋の外部に対して透過性があり、例えば、上記紙袋(10)の長手方向に延びる破線状の接着剤ラインである
ことを特徴とする紙袋。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
上記コート紙層(20)の上記紙袋の外部に面する上記層部(32)は、上記重複部(22)の領域に通気性領域(36)を有し、
当該通気性領域(36)は、特に、コーティングの省略、および/またはきわめて多孔質な材料、および/または複数の穿孔によって形成され、
上記穿孔は、好ましくは、穿刺および/または1つ以上のスリットによって形成され、
上記通気性領域(36)は、紙袋の内部に面する層部(31)の上記通気性領域(37)と、好ましくは重ならない、あるいは部分的にのみ重なる
ことを特徴とする紙袋。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
前記少なくとも1つの紙層(20)は、複数の重複部(22)をさらに有し、
当該複数の重複部(22)は、請求項1から12のいずれか1つに従って構成され、好ましくは1つの重複部が上記紙袋の前面(5)に形成され、別の1つの重複部が上記紙袋の背面に形成される
ことを特徴とする紙袋。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載の紙袋(10)において、
1つ以上の物質層(21)が、前記コート紙層(20)のカバーとしてさらに設けられ、
当該物質層によって、上記紙袋(10)の充填時に空気を外部へ逃すことができ、
当該物質層は、上記紙袋(10)の製造に適した材料、好ましくは、紙、コート紙、フィルム、および/またはコートフィルムから構成されている
ことを特徴とする紙袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙袋に関し、好ましくは、セメントや石膏や粒状物や動物用飼料等のバルク資材のためのバルブ付紙袋に関する。この紙袋は、好ましくは船底型または角底型である基底部と、この基底部に対向して設けられ、紙袋への充填用のバルブホースが任意で配置される上部とを備える。
【0002】
このような紙袋は、例えば欧州特許第1858769号明細書から公知である。典型的な大きさである5kg用、10kg用、または25kg用の袋が、特に商業用に普及している。これらの紙袋は、紙または紙複合材料、および/またはコート紙から形成された紙の層を1層以上有する。
【0003】
このような袋への充填用に、バルブホースが任意で設けられる。バルブホースは、袋の上部に入れられて充填のための充填ノズルに取り付けられる。充填作業中に空気を素早く逃がすことは、スピーディーで経済的な充填にとって重要な意味がある。一方、充填後は、紙袋はできるだけ漏れのないものであるべきである。製品保護をより高める目的で、または、充填資材の製品安定性をより長く維持する目的で、欧州特許第1858769号明細書に記載のように、紙の内側層と外側層との間にバリア層が配置され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知の袋に繊細な資材を充填した場合には、十分な製品保護が保障されないことがわかっている。そのようなデリケートな資材としては、例えば、建築材料分野に属する凝固速度の速い製品や、芳香が失われることを防がなければならない食品がある。
【0005】
また、外面に配置された側が耐水性または耐候性の物質特性を持ついわゆる防水紙袋が、一定期間にわたって確実に耐候性を有することが求められている。本実施形態では、充填作業中の紙袋の排気を十分に行うことも必要である。
【0006】
したがって、本発明では、上述の要望を満たすことができるように、公知の紙袋を改良する。改良した紙袋を使用することによって、製品保護の向上、および/または充填資材の製品安定性の延長、および/または包装資材の耐候性の向上が特に保証されるはずであり、それに伴って、経済的生産と充填作業中の素早い排気が可能になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記目的は請求項1の特徴を持つ紙袋によって達成される。
【0008】
本発明の本実施形態によると、紙袋は、紙袋の内部側で密封接着された重複部を有する少なくとも1つの紙層を有する。この例では、紙層の紙袋の内部側に面する層部が、重複部の領域において通気性領域を有し、この重複部は、紙層の紙袋の外部に面する層部によって覆われている。この少なくとも1つの紙層は、紙袋の外部に面する防水コーティングを少なくとも局所的に有する。耐水性あるいは少なくとも撥水性を持つ材料コーティングは防水性があると考えられる。接着剤は耐水性および/または気密性があり得る。
【0009】
本実施形態では、紙袋の耐候性を著しく向上させるとともに、充填された充填資材を屋外貯蔵の状態で十分な期間にわたって外部の影響から守ることができる、いわゆる防水袋を提供する。充填資材を特に湿気や雨から効果的に守ることができる。
【0010】
防水コーティングは、耐水性/撥水性を持ち得るか、あるいは理想的には、紙袋を封水して空気または酸素または二酸化炭素(CO)または水蒸気が紙袋を通過しないようにするために、気密性をさらに持ち得る。コート紙層は、重複部をさらに備える。この重複部の縁部は、好ましくは、紙袋の側方縁部に平行に延びており、重複部は、重複した帯状に基底部から上部まで延びている。
【0011】
本発明の紙袋において、コート紙層の重複部は、紙袋の内部側で密封接着されている。すなわち、重複部の領域において、紙袋の内部に面する内側層の層部が、コート紙層において紙袋の外部に面する層部に密封接着されており、接着剤は、重複部の縁部領域において紙袋の内部側に配置されている。
【0012】
接着剤を重複部の縁に直接的に配置することが有利であることは明らかであるが、接着剤を重複部の縁において紙袋の内部側に直接的に配置しなくてもよい。むしろ、重複部の縁から離れていてもよいが、これは、この場合でも、本発明が意図する効果がもたらされるからである。
【0013】
重複部の領域において、紙袋の内部側に面するコート紙層の層部は、通気性領域、つまり紙層のその他の領域よりも高い通気性を持つ領域を有する。この通気性領域は、重複部における紙袋の外部に面する層部に覆われている。この構成では、空気流を妨げる接着剤が紙袋の内部側に配置されているので、紙袋に充填資材を充填する際に空気を放出することができるとともに、空気を重複部の外側に逃すことができる。したがって、紙袋の内部側の接着剤は、空気流を配向する効果と、重複部の領域においてコート紙層を安定させる効果とを有する。つまり、接着剤は、重複部の領域において各材料の端部を一緒に保持する役目を果たす。このように、充填時に通気性領域を通り抜ける空気が、重複部領域から外部に完全に排出される。さらに、重複部領域における安定性と、充填状態での耐漏洩性が向上する。
【0014】
また、重複部によって、充填材料がこぼれることが回避できる。通気性領域を適切に構成することにより、各充填資材が紙袋内に確実に保持されて、この通気性領域から空気だけ(あるいは主に空気)を逃すことができる。完全充填された紙袋では、この通気性領域は、重複部の領域における内側層の外側層で覆われているので、物質や液体の侵入が回避される。
【0015】
本発明の実施形態により、充填時に良好な排気を行うとともに、外部の影響から広く製品を保護することができる。外側コーティングは、湿気や水などの外部の影響から充填資材を十分に保護する。
【0016】
上記目的は、請求項2の特徴に係る紙袋によってさらに達成される。すなわち、紙袋は、紙袋の内部側に面する気密性コーティングを有する少なくとも1つのコート紙層を備える。また、コート紙層は紙袋の内部側に密封接着された重複部を備え、この重複部の領域において、コート紙層において紙袋の内部側に面する層部は、コート紙層において紙袋の外部側に面する層部に覆われる通気性領域を有する。結果として、重複部の構成は、本発明の請求項1に係る紙袋の前述の第1実施形態に相当する。第1実施形態との違いは、紙層の重複部が、外面に配置されたコーティングを必ずしも持たず、むしろ内側の気密性コーティングを持つことである。さらに、本発明によると、特に紙または紙複合材料から構成される少なくとも1つの公知の層部を備える。この公知の層は、充填スペースと、重複部を有する上記少なくとも1つの紙層との間に配置される。
【0017】
したがって、気密性コーティングは、必ずしも充填資材と直接的に触れるものではなく、むしろ中間層(特に紙層)を備え得る。この気密性コーティングによって、空気または酸素またはCOまたは水蒸気が外部から有意量で侵入して充填資材に損傷や破壊をもたらす可能性が避けられる。これらの気体は、すなわち、デリケートな製品の損傷や、そのような充填資材の貯蔵安定性の低下の主な原因である。
【0018】
請求項1および2に係る、上記2種類の発明性を有する紙袋の実施形態の有利な構成が、従属請求項の主題を構成する。
【0019】
有利な実施形態において、コーティングされた紙層は、両側をコーティングされるものとしてもよい。この点において、第1実施形態では、外側をコーティングされた紙層が、内面に配置される気密性コーティングをさらに備え得る。第2実施形態では、内面に配置される気密性コーティングに加えて、外面に配置される撥水コーティングまたは耐水コーティングを備える。この実施形態のように、少なくとも1つの紙層の両側をコーティングするものは、1つの紙層のみで構成される単層紙袋として特に適している。複数の紙層の2つの面をコーティングしたものは、もちろん多層紙袋とも考えられる。
【0020】
両側をコーティングする代わりに、外側をコーティングした紙層に加えて、通気性領域を有する上述の重複部を備えるとともに、内面に配置される上記1つのコーティングを備える紙層を、さらに備えるのもとしてもよい。本発明の第2実施形態の変形も同様である。つまり、内面に配置される気密性コーティングを有する少なくとも1つの紙層に加えて、上述の重複部と外面に配置されるコーティング(特に防水コーティングまたは耐水コーティング)とを有する紙層をさらに配置する。これらの有利な実施形態によって、気密性のある紙袋が提供される。この気密性のある紙袋は、酸素またはCOまたは水蒸気が外部から充填資材内へ有意量で侵入することを抑えるとともに、屋外貯蔵に対する一定の耐候性も備える。
【0021】
重複部を有するコート紙層に加えて、従来の内側層あるいは外側層(特に、紙層または紙複合材料で構成される層)を1層以上備えていても、もちろんよい。別の材料または複合材料で構成される層も当然考えられる。そのような層は、従来の層であり、重複部を持たない、もしくは区別された通気性領域のない重複部を持つものと理解される。
【0022】
コート紙層の通気性領域には、理想的には1つ以上の穿孔が設けられている。これらの穿孔は、好ましくは、穿刺および/または1つ以上のスリットを設けることで形成される。したがって、コート紙層を通じた十分な空気交換が保証される。他の変形例では、穿孔は、例えば電気的または化学的方法によって、タバコ用巻紙において公知の微細な穿孔として形成される。
【0023】
あるいは、コート紙層の通気性領域は、きわめて多孔質な材料によって形成され得る。つまり、紙層の通気性領域は、空気交換ができるように、あるいは通気性のない領域よりも高い空気交換ができるように材料特性を異ならせることを特徴とする。
【0024】
通気性領域のコート紙層において、部分的にコーティングを省略することで通気性をもたせるように設計することもさらに考えられる。
【0025】
重複部領域を広く設計することで、重複部領域の通気性領域の表面がより大きくなり、したがって、充填時の排気がより良好になる。重複部領域を広げるにあたり、内側層により多くの材料を使うことは不利である。この相反する課題について、内側層の重複部が、紙袋の周長の少なくとも3%、好ましくは紙袋の周長の少なくとも10%、さらに好ましくは紙袋の周長の少なくとも17%、最大で紙袋の周長の25%であることが効果的であることが分かった。
【0026】
別の好ましい実施形態では、内面に配置されるコーティングおよび/または外面に配置されるコーティング(つまり、気密性コーティングおよび/または耐水/防水コーティング)は、複数の層によって構成される。気密性コーティングは、好ましくは、金属化フィルムおよび/または金属フィルムを備える。このような金属化フィルムまたは金属フィルムによって、特に良好な気密性が実現され得る。金属材料として、アルミニウムは非常に好適である。金属製のガスバリアは、食品分野において特に良好に芳香を保護する。
【0027】
少なくとも1つのラッカー層、および/または少なくとも1つのワックス層、および/または少なくとも1つのプラスチック層、および/または少なくとも1つのオイル層、および/または金属層または金属フィルムをさらに使用することは、耐水コーティングあるいは撥水コーティングの構成として特に好適である。コート紙層のコーティングの多層形態において、耐水性または撥水性または気密性コーティングを介して、追加の層を適用し得ることが好ましい。この耐水性または撥水性または気密性コーティングには、下にあるコーティングの保護の役割を果たす目的がある。したがって、金属フィルムまたはラッカー層の破壊を防ぐことができる。
【0028】
気密性コーティングは、液体に対するバリアを形成して、水の侵入の封止を実現するという利点もある。
【0029】
他の好ましい実施形態では、紙袋の外部側の重複部の中央部領域および/または縁部領域に、追加的な複数の接着剤が設けられる。これらの接着剤が、重複部領域をさらに安定させる。好ましくは、紙袋の外部側において重複部の端部に沿って破線状の複数の接着剤ラインを形成することによって、これらの接着剤のうち少なくとも1つが、紙袋の外部側において少なくとも部分的に透過性(すなわち通気性)を持つように構成されることが考えられる。
【0030】
本発明の特に有利な実施形態では、紙袋の内部側に設けられた接着剤に加えて、中央の破線状の接着剤ラインを設けてもよい。その一方で、紙袋の外部側における重複部の縁部領域に設けられる接着剤は、連続する接着剤であるので、封止力がある。この場合、コート紙層において紙袋の外部側に面する層部は、重複部の領域において通気性領域を追加で有するのが都合よい。したがって、この通気性領域は、外側の縁部に設けられた接着剤と中央の接着剤との間の領域に設けられる。
【0031】
この通気性領域は、例えば、コーティングを省略すること、および/またはこの領域における紙層をきわめて多孔質な材料で構成することによって生成される。この領域は、1つ以上の穿孔を設けることよっても等しく実現できる。これらの穿孔は、紙袋の内部側に面する層の穿孔と類似の方法で設計されるのが理想的である。この有利な実施形態によって、追加的な保護が保証される。なぜなら、外側の重複部の密閉封止接着が外部に対しても保証されるからである。それでも外部との空気交換を可能にするために、外側の重複部は、同様の通気性領域を備えなくてはならない。内側の紙層における内面に配置される通気性を持つ形態と、外側において通気性を持つように構成された紙層との間での空気交換は、通気性のある中央の接着剤(つまり、非連続の帯状接着剤として設計された接着剤)を介して行われる。重複部の層部において、紙袋の内部側に面する通気性領域と紙袋の外部側に面する通気性領域とは、互いに重なり合わない、あるいは内部から外部への空気路に角度をつけるために若干もしくは部分的に互いに重複することが理想的である。
【0032】
さらに好ましい実施形態では、紙袋または各紙層は、本発明に係る重複部を複数備え、特に好ましくは、本発明に係る紙袋の前面と、本発明に係る紙袋のさらに背面とに重複部を備える。これにより、充填時の紙袋の排気が向上し、両面に分散できる。
【0033】
他の好ましい実施形態では、本発明の紙袋は、コート紙層の外側に、さらなる複数の紙層または紙袋の製造に適した材料でできたさらなる複数の層を備える。これらの層もまた、充填時に空気を外側に排出できるように構成されていなければならない。紙袋の製造に適した材料としては、紙、コート紙、フィルムおよび/またはコートフィルムが考えられる。これは、外側がコーティングされた紙袋に利用できるかもしれない。このカバーは、例えば、輸送時などの追加的な保護の役割を果たす。耐候性を得るためには、この追加的なカバーを取り除く。したがって、防水コーティングを外面に有する少なくとも1層の紙層が、紙袋の最も外側の面を形成する。
【0034】
以下の図面を参照して、本発明のさまざまな実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、基底部と上部とを備える、本発明にかかるバルブ付紙袋の概略平面図を示す。
図2a図2aは、本発明にかかる紙袋の、図1のA−A線における概略断面図を示す。
図2b図2bは、他の実施形態にかかるA−A線における断面図をさらに示す。
図2c図2cは、他の実施形態にかかるA−A線における断面図をさらに示す。
図3図3は、図2a、図2b、図2cにかかる実施形態のうちの1実施形態のコート紙層における、接着剤のついた重複部の拡大図を示す。
図4図4は、本発明にかかるコーティングの層構造の拡大図を示す。
図5図5は、図2aの実施形態にかかるバルブ付紙袋のコート紙層における筒部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明にかかる紙袋10を示す。この紙袋10は、船底型2と上部3とを有する。船底型2および上部3は、紙袋10の前面5側に折りたたまれている。前面5の下にある背面はここでは示されていない。バルブ筒4は、上部2に挿入される。
【0037】
図1に示す本発明の紙袋の基本的構造は、単層または多層であり得る。図1の場合、紙袋は2つの層を備える。このことは、A−A線における断面図を示した図2aから容易に理解できる。
【0038】
図2aは、本発明にかかる紙袋の多層紙袋として好ましい変形例を示す。この紙袋は、外面に配置されるコート紙層20を備える。このコート紙層20は、接着点24を持つ重複部22を有する。この例では、封止接着剤24が袋内部側に設けられる。紙層20は、外面に配置されるコーティングをさらに有する。このコーティングは防水材料特性を持つ。このコーティングは、特に耐水性または撥水性がある。また、図2aに示す実施形態は、内面に配置される層18をさらに備える。この層18は、例えば、紙または紙複合材料から構成される。この紙層も、接着点25を持つ重複部19を備えている。これら2つの重複部19、20を比べると、重複部22の方が非常に幅広である。2つの紙層20が図1の基底部2と上部3との間の紙袋の筒部を構成する。より幅広の重複部22は、充填時に、紙袋を十分に排気する役割を果たす。
【0039】
図2bは、挿入袋としての紙袋の別の変形例を示す。この例では、外側の紙層20は、図2aの実施形態と同様に設計される。
【0040】
図2cは、さらなる層18および21の間に埋め込まれるコート紙層20を備える変形例を示す。外面に配置される層21と内面に配置される層18の重複部もそれぞれ形成されるが、コート紙層20の重複部22よりも非常に幅が狭い。この例でも、紙層20は、図2aおよび図2bの紙層のように設計される。
【0041】
一般に、図2a、図2b、図2cの紙層20のコーティングは、耐水性/撥水性あるいは気密性を持つように、内面にだけ配置されるようにもコーティングし得る。両側をコーティングした紙層20も考えられる。このような紙層20は、例えば、内面に配置される気密性コーティングと、外面に配置される耐水/撥水コーティングとを備える。本実施形態は、図2bにかかる挿入袋として特に有用である。一般に、紙層20はコーティングなしで設計することもできる。その場合は、紙層20の重複していない領域に対して重複部22を拡大することによって、よりよい通気性を達成できる。例えば、紙袋の少なくとも両側で十分に排気できるように、図2a、図2b、図2cの例において、重複部を拡大させた紙層をさらに設けることも考えられる。従来層18、21の数を増やすことも、もちろん可能である。
【0042】
図3は、重複部22の詳細を拡大したコート紙層20を示す。コート紙層20において紙袋の内部側に面する層部31は、重複部22の領域において、外側に面したコート紙層20の層部32と重複する。重複部22は、紙袋の内部側に面する縁部に接着剤24によって密封接着される。
【0043】
接着剤24に加えて、重複部22は、接着点33、34をさらに備える。接着点33は、図1に示す紙袋の長手方向に延びる破線状の接着帯として設計される。接着剤34は、長手方向に延びる連続した接着帯である。これらの追加的な接着剤33、34の効果は、図5を参照しながら後で説明する。
【0044】
図4は、コート紙層20の層構造を例として示す。内面に配置されるコーティングの場合、紙層は、紙製のキャリア層41を外側に有する。キャリア層の内側には、好ましくはアルミニウムで構成される金属被膜42が、次の層として配置される。この金属被膜42は、プラスチックコーティングによって保護される。このプラスチックコーティングの芯部43は、PET(ポリエチレンテレフタレート)または類似のプラスチックで構成される。芯部43の両面には、表面層または表面処理部44が設けられている。金属被膜42と表面処理部44との間には、ラッカー層45が配置されている。外側の表面処理部44上には、コロナ下処理部44が配置され、このコロナ下処理部44が紙袋内部側の最内側層を構成する。金属製のガスバリアに塗布された上記プラスチックコーティングは、紙袋製造時に金属層を損傷から保護する。
【0045】
外面に配置されるコーティングの場合、紙層20は、紙製のキャリア層41を内側に有する。外側に続く層42aは、耐水あるいは撥水材料から構成される。ラッカー層、オイル層、ワックス層、プラスチック層、または特に好ましくはアルミニウムからなる金属層が好ましい。内側コーティングと同様に、層42aはプラスチックコーティングによって保護される。このプラスチックコーティングの芯部43は、PET(ポリエチレンテレフタレート)または類似のプラスチックで構成される。芯部43の両面には、表面層または表面処理部44が設けられている。金属被膜42と表面処理部44との間には、ラッカー層45が配置されている。外側の表面処理部44上には、コロナ下処理部44が配置され、このコロナ下処理部44が紙袋外部側の最外側層を構成する。この層は、耐水または撥水層42aに塗布されたプラスチックコーティングによって、紙袋製造時の損傷から保護される。上述の層構造は、キャリア材料41の両面に適用して両面コーティングとすることができる。
【0046】
次に、図5は、本発明にかかる紙層20の重複部領域22の具体的な実施形態を示す。紙袋の内部に面する層部31と紙袋の外部に面する層部32との重複部領域22の全体が、連続する接着帯24によって、密閉性および耐水性を持つように接着されている。既存の接着剤34に加えて、重複部22の中央部において延びる平行接着帯33がある。この接着帯33は破線状なので、気体が外部に(すなわち、紙袋の内部から外部へ)排出される。
【0047】
内側層31において、接着剤24と接着剤33との間に複数の針穴状の穿孔37が設けられており、重複部22の通気性領域を形成している。したがって、これらの穿孔37および破線状の接着剤33を介して、封止接着剤24および紙層20のコーティングがあるにも関わらず、充填作業時に空気を外部に逃すことができる。紙層20のこの領域にきわめて多孔質な材料を使用することによっても、もちろん通気性を持たせることができる。さらに、この領域に塗布される紙層20のコーティングを省略して、必要な通気性を持たせるという可能性もある。
【0048】
一般に、外側層32は、接着剤33より先を切り離すことができる。しかし、外側層32が(図5に示すように)接着剤33から先に突出し、縁部において、連続した接着帯34によって内側層31に接着されている方が、充填資材はより保護される結果となる。この接着剤34も封止力があるのが好ましい。それにもかかわらず空気を十分に放出するには、紙袋の外部側に面する層部32において紙袋の外部側に面する重複部領域36(図5の斜線部)も非通気性がなくてはならない。これは、内側層31と同様に、例えば領域35においてコーティングを省略することによって、あるいはきわめて多孔質な紙もしくは穿孔によって実現可能である。したがって、空気放出領域36および穿孔領域37は、互いに重なり合わない。むしろ、互いに横にずらした状態で配置される。
【0049】
そうすることで、紙袋10の充填時に発生して、紙袋の内部側に面する層部31の穿孔37から排出される空気を、紙袋の外部に面する重複部領域36を介して外部へ排出することができる。
【0050】
本発明により、多くの効果がもたらされる。本発明の紙袋は、重複部22の構成によって、特に充填時の排気が良好である。また、紙袋内側の気密性コーティング、あるいは紙袋外側の耐水コーティングによって、充填資材の製品保護力を高めたり、紙袋10が耐候性を持つように設計したりできる。
【0051】
重複部22の構造は、例えば、紙袋の複数のコート層について使用されるだけではない。同様のコーティングを内側にも外側にも備えず、概して通気特性を有する複数の層についても使用される。層の一般的な物質特性が十分な通気性を持たない場合は、通気性領域を有する同様の重複部の構成は特に好ましい。この場合、重複部によって、また、層におけるその他の材料領域よりも高い通気性を持つ通気性領域の形成によって、紙袋の充填時により良好な排気が可能となる。こうした背景の下、本発明の紙袋の実施形態は、少なくともいかなる構造の層(例えば、内側層、外側層、または中間層)でも同様の重複部を備えるため、好都合である。このような紙袋は、必ずしもコート紙層や重複部22を有するコート紙層を備える必要がない。
【0052】
さらに可能なケースでは、追加のバリア層として使用される層(紙製ではない層)が、対応して説明した重複部22をさらに備えるものとしてもよい。このようなバリア層は、例えばプラスチックフィルムであり、充填時に、液体や気体の侵入から充填物を保護するためのものである。紙袋の充填時に十分な排気を実現するために、このプラスチックフィルムあるいは他の気密層は、同様の重複部を備え得る。この紙袋は、必ずしもコート紙層や重複部22を有するコート紙層を備える必要がない。また、異なる構造を持つ穿孔や通気性領域を、プラスチックフィルムの材料領域における重複部22の外側にさらに設けてもよい。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
【国際調査報告】