特表2017-502517(P2017-502517A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-502517太陽電池モジュール用接着性封止フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-502517(P2017-502517A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール用接着性封止フィルム
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20161222BHJP
【FI】
   H01L31/04 560
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-542134(P2016-542134)
(86)(22)【出願日】2015年1月23日
(85)【翻訳文提出日】2016年6月20日
(86)【国際出願番号】CN2015071389
(87)【国際公開番号】WO2015113477
(87)【国際公開日】20150806
(31)【優先権主張番号】201410041585.1
(32)【優先日】2014年1月28日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516183299
【氏名又は名称】常州安迪新材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changzhou Andy New Materials Co., Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】林 金▲錫▼
(72)【発明者】
【氏名】丁 ▲懐▼欣
(72)【発明者】
【氏名】李 政
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151JA04
(57)【要約】
【課題】接着性封止フィルムを準備する工程の際に平均粒径が0.1μm〜50μmの透光性球状材料を混合することで得られる太陽電池モジュール用接着性封止フィルムを提供する。
【解決手段】透光性球状材料の重量は、接着性封止フィルムの総重量の0.01%〜10%である。透光性球状材料は、透光性ポリマー・マイクロスフェア、透光性球状ガラス・ビーズおよび透光性球状セラミック・ビーズのうちの少なくとも一を含む。透光性ポリマー・マイクロスフェアは、PMMAマイクロスフェア、PCマイクロスフェア、PSマイクロスフェア、およびPETマイクロスフェアの少なくとも一を含む。この接着性封止フィルムは、光が接着性封止フィルムにおいて反射し屈折する回数を増加させ、これにより太陽電池モジュールの光束がさらに改善されて、発電量を増加させることが可能な拡散反射特性を有する透光性球状材料を備える。
【選択図】(なし)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
前記接着性封止フィルムは、平均粒径が0.1μm〜50μmの透光性球状材料を有する太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
前記透光性球状材料は、透光性球状ポリマー・ビーズ、透光性球状ガラス・ビーズ及び透光性球状セラミック・ビーズのうちの少なくとも一を含んでいる太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項3】
請求項1に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
透光性球状材料の重量は、接着性封止フィルムの総重量の0.01%〜10%である太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項4】
請求項2に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
透光性球状材料の重量は、接着性封止フィルムの総重量の0.01%〜10%である太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
接着性封止フィルムの主材料は、POE、EVA、PVB、TPU、エポキシ樹脂及び有機ケイ素のうちの少なくとも一である太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
接着性封止フィルムの主材料が、POEである太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項7】
請求項5に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
接着性封止フィルムの主材料が、EVAである太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項8】
請求項5に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
接着性封止フィルムの主材料が、PVBである太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【請求項9】
請求項5に記載の太陽電池モジュール用接着性封止フィルムであって、
接着性封止フィルムの主材料が、POEとEVAである太陽電池モジュール用接着性封止フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、光起電性モジュール技術の分野に関し、特に太陽電池モジュール用接着性封止フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
経済及び社会の世界的な発展に伴い、エネルギーの供給危機はますます深刻になってきている。また、化石エネルギーの開発及び利用は、環境汚染、及び人間が生きるための自然環境の悪化の主な要因の一つになっている。したがって、新しいエネルギー源の開発及び利用が、人間社会の発展に対する要求に応える重要な課題となっている。
【0003】
様々な新しいエネルギー源の内、電気を発生するために太陽光の力を利用する光起電力電池は、無公害性、持続性、全量の大きさ、広範な分布、種々の使用形態等の多くの利点があるため、世界中で高く評価されている。中国においては、太陽光起電力産業の発展は、確実にエネルギーを供給するものであり、経済改革を促進する上で重要な手段となっている。「太陽光発電産業「第12次5カ年」計画」には、中国における太陽光発電量を、現在の0.8GWから2015年に10GWに、2020年に50GWに、それぞれ増加する計画であると明記されている。「戦略的新興産業の育成と発展の加速に関する国務院の決定」では、中国における戦略的新興産業の将来の発展の重要な方向として光起電力産業が含まれている。
【0004】
光起電力産業がさらに発展するにつれ、単位面積当りの発電(「発電出力」とも言う。)の増加が、光起電力技術の発展に関するテーマとなってきている。
【0005】
光起電性モジュール(「太陽電池モジュール」とも言う。)の主要構成要素には、強化ガラスと太陽電池層と背面(バックプレーン)が含まれ、これらの主要構成要素の接着のために、間に接着性封止フィルムが用いられる。強化ガラスと太陽電池層とを接合する接着性封止フィルムを、一般に上層接着性封止フィルムといい、太陽電池層とバックプレーンとを接合する接着性封止フィルムを、一般に下層接着性封止フィルムという。
【0006】
このような太陽電池モジュールの発電を向上させるための既知の方法には、主として、強化ガラスの透過率の増加、太陽電池層の変換効率の増加、及び背面の反射率の増加等が挙げられる。
【0007】
また近年、いくつかの文献において、下層接着性封止フィルムの改良により発電量が増加する可能性があることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】中国特許出願103762260号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上層接着性封止フィルムの改良により発電量が増加するとした報告や文献は未だ見当たらない。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものである。本開示に係る接着性封止フィルムを上層接着性封止フィルムとして用いることによって、太陽電池モジュールの発電量及び出力を増加させることのできる太陽電池モジュール用接着性封止フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の目的を達成するための技術的な解決策は、接着性封止フィルムを準備する工程に際して、平均粒径が0.1μm〜50μmの透光性球状材料を混合することで得られる太陽電池モジュール用接着性封止フィルムを提供することである。
【0011】
透光性球状材料は、透光性球状重合体(ポリマー)・ビーズ(「透光性ポリマー・マイクロスフェア」とも言う。)、透光性球状ガラス・ビーズ(「透明性ガラス・マイクロスフェア」とも言う。)、及び透光性球状セラミック・ビーズ(「透光性セラミック・マイクロスフェア」とも言う。)のうちの少なくとも一を含むことができ、好ましくは透光性球状ポリマー・ビーズ又は透光性球状ガラス・ビーズを含むことができる。
【0012】
透光性ポリマー・マイクロスフェアは、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)マイクロスフェア、PC(ポリカーボネート)マイクロスフェア、PS(ポリスチレン)マイクロスフェア、及びPET(ポリエチレン・テレフタレート)マイクロスフェアの少なくとも一を含むことができる。
【0013】
透光性球状材料の重量は、接着性封止フィルムの総重量の0.01%〜10%であり、好ましくは総重量の0.01%〜1%である。
【0014】
透光性球状材料の平均粒径は、好ましくは1μm〜5μmである。
【0015】
現在の接着性封止フィルムを用意する一般的な工程では、まず主材料と添加剤とを均一に混合し、その後、混合物を溶融し押し出すためのエクストルーダーへとその混合物を加え、次いで、冷却成形工程及び圧延工程を行うことができ、最終製品としての接着性封止フィルム製品が形成される。
【0016】
主材料は、POE(エチレン−オクテン共重合体(コポリマー))、EVA(エチレン−ビニル・アセテート・コポリマー)、PVB(ポリビニルブチラール)、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、エポキシ、シリコーン等とすることができる。これらの主材料のうちの一種類を用いて、又はこれらの主材料のうちの二つ以上の種類を用いて、接着性封止フィルムを用意することができる。
【0017】
添加物には、一般に、架橋剤、補助橋架剤、粘着性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、カップリング剤等を含めることができる。
【0018】
主材料と添加物とを均一に混合する混合工程の際に、本明細書で開示された透光性球状材料を、主材料及び補助材料へと混合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施例1)
本実施例に係る太陽電池モジュール用接着性封止フィルムは、主材料としてPOE(エチレン−オクテン・コポリマー)を用いることができる。この接着性封止フィルムは、以下の重量部で各成分を含むことができる。
【0020】
含まれる成分は、POE100g、ターシャリ・ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート(tert-Butylperoxy 2-ethylhexyl carbonate)0.7g、トリメチロールプロパン・トリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate)0.5g、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(3-methacryloyloxytrimethoxysilane)0.5g、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(2-hydroxy-4-n-octyloxybenzophenone)(UV−531)0.3g、及び平均粒径約5μmの透光性球状ガラス・ビーズ1gとできる。
【0021】
これらの成分を均一に混合した後、接着性封止フィルムを準備する上述の一般的な工程を用いて接着性封止フィルムを形成できる。
(実施例2〜実施例5)
【0022】
本節の実施例において説明する接着性封止フィルムの成分は、透光性球状材料の種類、粒径及び量を除いて、実施例1におけるものとほぼ同じである。実施例2〜5で用いられるそれぞれの透光性球状材料の詳細を、以下の表1に示す。
(比較例1)
【0023】
比較例1における接着性封止フィルムの成分は、透光性球状材料が比較例1における接着性封止フィルムでは混合されないことを除き、実施例1におけるものとほぼ同じである。比較例1の詳細な結果を、表1に示す。
(応用例1)
【0024】
六つの太陽電池モジュールを、共通の強化ガラス、太陽電池層及び背面を用いて太陽電池モジュール準備方法を用いて用意した。実施例1〜5及び比較例1で用意された接着性封止フィルムを、強化ガラスと太陽電池層とを接合するための上層接着性封止フィルムとしてそれぞれ用い、一方で比較例1において準備された接着性封止フィルムを、太陽電池層と背面とを接合するための下層接着性封止フィルムとして用いた。六つの太陽電池モジュールのそれぞれの発電出力を測定した結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1に示す通り、本発明の透光性球状材料を備える接着性封止フィルムでは、太陽電池モジュールの電力出力がある程度増加した。
(実施例6)
【0027】
本実施形態に係る太陽電池モジュール用接着性封止フィルムは、一の態様において、主材料としてEVA(エチレン−ビニル・アセテート・コポリマー)を用いることができる。この接着性封止フィルムは、以下の重量部で各成分を含むことができる。
【0028】
含まれる成分は、EVA100g、ターシャリ・アミルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート(tert-Amylperoxy 2-ethylhexyl carbonate)0.8g、酸化防止剤168(antioxidant 168)を0.1g、UV−622(コハク酸ジメチル・1−(2ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン重縮合物(Poly(4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethyl-1-piperidine ethanol-alt-1,4-butanedioic acid))0.5g、及び平均粒径約5μmのPMMAマイクロスフェア1gとできる。
【0029】
これらの成分を均一に混合した後、接着性封止フィルムを準備する上述の一般的な工程を用いて接着性封止フィルムを形成できる。
(実施例7〜実施例10)
【0030】
本節の実施例において説明する接着性封止フィルムの成分は、透光性マイクロスフェアの材料、粒径及び量を除いて、実施例6におけるものとほぼ同じである。表2に、実施例7〜10の詳細及び結果を示す。
(比較例2)
【0031】
比較例2における接着性封止フィルムの成分は、透光性マイクロスフェアが比較例2の接着性封止フィルムでは混合されないことを除き、実施例6におけるものとほぼ同じである。表2に、比較例2の詳細な結果を示す。
(応用例2)
【0032】
六つの太陽電池モジュールを、共通の強化ガラス、太陽電池層及び背面を用いて太陽電池モジュール準備方法を用いて用意した。実施例6〜10及び比較例2で用意された接着性封止フィルムを、強化ガラスと太陽電池層とを接合するための上層接着性封止フィルムとしてそれぞれ用い、一方で比較例2において準備された接着性封止フィルムを、太陽電池層と背面とを接合するための下層接着性封止フィルムとして六つの太陽電池モジュールのすべてで用いた。六つの太陽電池モジュールのそれぞれの発電出力を測定した結果を、表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示す通り、本発明の透光性球状材料を備える接着性封止フィルムでは、太陽電池モジュールの電力出力がある程度増加した。
(実施例11)
【0035】
本実施形態に係る太陽電池モジュール用接着性封止フィルムは、一の態様において、主材料としてPVB(ポリビニルブチラール)を用いることができる。この接着性封止フィルムは、以下の重量部で各成分を含むことができる。
【0036】
含まれる成分は、PVB100g、トリエチレングリコールビス(2‐エチルヘキサノアート)(triethylene glycol bis(2-ethylhexanoate)5g、EAA(エチレンアクリル酸コポリマー(ethylene-acrylic acid copolymer))5g、酸化防止剤1076を0.2g、酸化防止剤1010を0.2g、UV−770(セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(Bis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl)sebacate))0.3g、平均粒径約20μmの透光性球状ガラス・ビーズ0.5gとできる。
【0037】
これらの成分を均一に混合した後、接着性封止フィルムを準備する上述の一般的な工程を用いて接着性封止フィルムを形成できる。
(実施例12〜実施例15)
【0038】
本節の実施例において説明する接着性封止フィルムの成分は、透光性球状ビーズの種類、粒径及び量を除いて、実施例11におけるものとほぼ同じである。表3に、実施例12〜15の詳細及び結果を示す。
(比較例3)
【0039】
比較例3における接着性封止フィルムの成分は、透光性球状材料が比較例3の接着性封止フィルムでは混合されないことを除き、実施例11におけるものとほぼ同じである。表3に、比較例3の詳細な結果を示す。
(応用例3)
【0040】
六つの太陽電池モジュールを、共通の強化ガラス、太陽電池層及び背面を用いて太陽電池モジュール準備方法を用いて用意した。実施例11〜15及び比較例3で用意された接着性封止フィルムを、強化ガラスと太陽電池層とを接合するための上層接着性封止フィルムとしてそれぞれ用い、一方で比較例3で用意された接着性封止フィルムを、太陽電池層と背面とを接合するための下層接着性封止フィルムとして用いた。六つの太陽電池モジュールのそれぞれの発電出力を測定した結果を、表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3に示す通り、本発明の透光性球状材料を備える接着性封止フィルムでは、太陽電池モジュールの電力出力がある程度増加した。
(実施例16)
【0043】
本実施形態に係る太陽電池モジュール用接着性封止フィルムは、一の態様において、主材料としてPOE及びEVAの両方を用いることができる。この接着性封止フィルムは、以下の重量部で各成分を含むことができる。
【0044】
含まれる成分は、EVA80g、POE10g、PE(ポリエチレン)10g、ターシャリ・ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルカーボネート0.6g、ビニル・トリメトキシシラン(vinyl trimethoxysilane)0.5g、及び平均粒径約10μmのPMMAマイクロスフェア0.5gとできる。
【0045】
これらの成分を均一に混合した後、接着性封止フィルムを準備する上述の一般的な工程を用いて接着性封止フィルムを形成できる。
(実施例17〜実施例20)
【0046】
本節の実施例において説明する接着性封止フィルムの成分は、透光性球状材料の種類、粒径及び量を除いて、実施例16におけるものとほぼ同じである。表4に、実施例17〜20の詳細及び結果を示す。
(比較例4)
【0047】
比較例4における接着性封止フィルムの成分は、透光性マイクロスフェアが比較例4の接着性封止フィルムでは混合されないことを除き、実施例16におけるものとほぼ同じである。表4に、比較例4の詳細な結果を示す。
(応用例4)
【0048】
六つの太陽電池モジュールを、共通の強化ガラス、太陽電池層及び背面を用いて太陽電池モジュール準備方法を用いて用意した。実施例16〜20及び比較例4で用意された接着性封止フィルムを、強化ガラスと太陽電池層とを接合するための上層接着性封止フィルムとしてそれぞれ用い、一方で比較例4で用意された接着性封止フィルムを、太陽電池層と背面とを接合するための下層接着性封止フィルムとして六つの太陽電池モジュールのすべてで用いた。六つの太陽電池モジュールのそれぞれの発電出力を測定した結果を、表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
表4に示す通り、本発明の透光性球状材料を備える接着性封止フィルムでは、太陽電池モジュールの電力出力がある程度増加した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は種々の有用な効果を提供することができる。(1)本発明は、透光性球状材料を備える接着性封止フィルムを提供する。透光性球状材料の拡散反射特性を、光が接着性封止フィルムにおいて反射し屈折する回数を増加させるよう用いることができる。これにより、太陽電池モジュールの光束を改善することができ、したがって電力出力を増加させることができる。(2)本発明は、種々の使用条件に応じて異なるポリマー材料、ガラス又はセラミック材料を備えることができ、このため広範な応用可能性を期待できる太陽電池モジュール用接着性封止フィルムが提供される。
【国際調査報告】