特表2017-502857(P2017-502857A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-502857単一式巻取りロッド係止部に設置可能な延伸不能な裏当てを備えた印刷ブランケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-502857(P2017-502857A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(54)【発明の名称】単一式巻取りロッド係止部に設置可能な延伸不能な裏当てを備えた印刷ブランケット
(51)【国際特許分類】
   B41N 10/06 20060101AFI20170105BHJP
   B41N 10/04 20060101ALI20170105BHJP
【FI】
   B41N10/06
   B41N10/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-538702(P2016-538702)
(86)(22)【出願日】2014年8月20日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】US2014051800
(87)【国際公開番号】WO2015088595
(87)【国際公開日】20150618
(31)【優先権主張番号】14/105,365
(32)【優先日】2013年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG
(71)【出願人】
【識別番号】300078202
【氏名又は名称】デイ インターナショナル インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】メッサー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】スマトラック,トーマス
【テーマコード(参考)】
2H114
【Fターム(参考)】
2H114CA02
2H114CA03
2H114CA10
(57)【要約】
たとえば金属で裏当てされたブランケットのような延伸不能な裏当て層を有する印刷ブランケットであって、従来の単一式巻取りロッド係止機構を含む空隙を有するブランケットシリンダに取り付けられ得るように構成された構造を有する印刷ブランケットが提供される。そのブランケットは、ブランケットがブランケットシリンダに取り付けられたときに、ブランケットの先端および後端がブランケットシリンダ内の空隙内へと挿入される位置で逃げ領域が実質的に整列するように配置されて端部を係止機構内で固定する第1および第2の逃げ領域を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも印刷可能な表面層および延伸不能な裏当て層を含む印刷ブランケットであって、前記印刷ブランケットは、印刷ブランケットシリンダの空隙内へと挿入されるように構成された先端および後端を有し、
前記ブランケットの前記先端は、前記先端の内方に配置され且つ実質的に前記ブランケットの幅にわたって延びる、第1の逃げ領域を含み、前記第1の逃げ領域は、前記延伸不能な裏当て層の上に形成された前記ブランケットの少なくとも1つの層内の空隙によって画定され、且つ、ブランケットの壁によって両側で境界形成され、
前記延伸不能な裏当て層は、前記ブランケットの前記後端を越えて延び、
前記ブランケットの前記後端は、前記後端の内方に配置され且つ実質的に前記ブランケットの幅にわたって延びる、第2の逃げ領域を含み、前記第2の逃げ領域は、前記延伸不能な裏当て層の上に形成された前記ブランケットの少なくとも1つの層内の空隙によって画定され、且つ、ブランケットの壁によって両側で境界形成され、
前記第1および第2の逃げ領域は、前記ブランケットが前記ブランケットシリンダに取り付けられたときに、前記ブランケットの前記先端および前記後端が前記ブランケットシリンダ内の前記空隙内へと挿入される位置と前記第1及び第2の逃げ領域とが実質的に整列するように、配置される、印刷ブランケット。
【請求項2】
前記表面層の下に配置された圧縮可能な層を含む、請求項1に記載の印刷ブランケット。
【請求項3】
少なくとも1つの強化層を含む、請求項2に記載の印刷ブランケット。
【請求項4】
前記強化層が、織布、不織布材およびポリマーから成る群から選択された、請求項3に記載の印刷ブランケット。
【請求項5】
前記ブランケットの前記先端においてブランケットバーを含む、請求項1に記載の印刷ブランケット。
【請求項6】
前記ブランケットの前記後端においてブランケットバーを含む、請求項1に記載の印刷ブランケット。
【請求項7】
前記延伸不能な裏当て層が、金属または他の延伸不能な材料を含む、請求項1に記載の印刷ブランケット。
【請求項8】
組み合わせであって、印刷ブランケットが、空隙と前記空隙内の単一式巻取りロッド係止機構とを含むブランケットシリンダに取り付けられ、前記係止機構は、先端棚状部と、前記棚状部と反対の側に凹部を有する回転可能なロッドと、を含み、
前記印刷ブランケットは、少なくとも印刷可能な表面層および延伸不能な裏当て層を含み、前記印刷ブランケットは、印刷ブランケットシリンダの前記空隙内へと挿入されるように構成された先端および後端を有し、前記ブランケットの前記先端および後端のそれぞれに、ブランケットバーが取り付けられており、
前記ブランケットの前記先端は、前記先端の内方に配置され且つ実質的に前記ブランケットの幅にわたって延びる、第1の逃げ領域を含み、前記第1の逃げ領域は、前記延伸不能な裏当て層の上に形成された前記ブランケットの少なくとも1つの層内の空隙によって画定され、且つ、ブランケットの壁によって両側で境界形成され、
前記延伸不能な裏当て層は、前記ブランケットの前記後端を越えて延び、
前記ブランケットの前記後端は、前記後端の内方に配置され且つ実質的に前記ブランケットの幅にわたって延びる、第2の逃げ領域を含み、前記第2の逃げ領域は、前記延伸不能な裏当て層の上に形成された前記ブランケットの前記少なくとも1つの層内の空隙によって画定され、且つ、ブランケットの壁によって両側で境界形成され、
前記第1および第2の逃げ領域は、前記ブランケットが前記ブランケットシリンダに取り付けられたときに、前記ブランケットの前記先端および前記後端が前記ブランケットシリンダ内の前記空隙内へと挿入される位置と前記第1及び第2の逃げ領域とが実質的に整列するように、配置される、組み合わせ。
【請求項9】
前記ブランケットの前記先端における前記ブランケットバーの縁部が前記棚状部と係合する、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項10】
前記ブランケットの前記後端における前記ブランケットバーが、前記回転可能なロッド内の前記凹部内へと挿入され、前記ブランケットの前記先端及び後端を前記係止機構内へ係止するように前記ロッドが回転される、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項11】
前記ロッドの回転が、前記ブランケットの前記先端および前記後端の表面を、前記ブランケットシリンダ内の前記空隙内においてともに摩擦係合させる、請求項10に記載の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、「Printing Blanket With A Non−Extensible Backing Mountable In A Single Reel Rod Lock−Up」という名称で2013年12月13日に出願された米国特許出願第14/105,365号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0001]本明細書に記載される主題は、限定されるものではないが、金属のような延伸不能な裏当て層を有する印刷ブランケットに関し、より詳細には、従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いたブランケットシリンダに設置されるように構成された構造を有する、こうしたブランケットに関する。
【0003】
[0002]最もよく知られた商業的印刷プロセスの1つは、オフセットリソグラフィである。この印刷プロセスにおいて、インクは、紙のような基材へと移される前に、印刷板から、ブランケットシリンダに取り付けられたゴム表面を有する印刷ブランケットへとオフセット印刷される。概して、ブランケットシリンダは、長手方向開口部または「空隙(gap)」をそれに有するクロムニッケルメッキまたはステンレス鋼のシリンダを含む。包囲するゴムの印刷ブランケットは、ブランケットの対向する端部がシリンダの空隙内へと送り込まれ、空隙内の係止機構によって固定された状態で、取り外し可能にシリンダに取り付けられる。概して印刷ブランケットは、繊維、金属または他の延伸不能な裏当て部のいずれかとともに、多くの繊維および/またはゴム層で補強される。金属裏当ての使用は、ブランケットシリンダに取り付けられたときのブランケットの延伸を防ぐため、好ましいことが多い。金属裏当ては、ブランケットに対して寸法安定性も提供し、高い印刷品質となり、従来の繊維で裏当てされたブランケットで要したような、ブランケットに頻繁に張力を掛けなおす必要をなくし、ブランケットシリンダの空隙の縁部の印刷を向上させる。
【0004】
[0003]現在、印刷ブランケットをシリンダの空隙内へと固定するために印刷産業で用いられる係止機構の、多くの異なる形式が存在する。多くの従来の印刷機において、概してブランケットバーがブランケットのそれぞれの端部に固定され、端部はブランケットシリンダの空隙内へと挿入され、係止固定装置で固定される。
【0005】
[0004]近年、オフセット印刷機の製造業には、金属で裏当てされたまたは張力を掛けられないブランケットの使用を可能とするとともにかなり狭い印刷空隙を実現する、「板」形式の係止機構を備えたより新しい印刷機が導入された。金属で裏当てされたブランケットと組み合わせたより新しい印刷機の使用は、従来のバー係止装置とともに使用される標準の張力を掛けられたブランケットと比較し、より速い印刷速度、低減された印刷振動、より高い品質の印刷、より長いブランケットの寿命、および、低減された非印刷長を提供する。
【0006】
[0005]しかしながら、金属裏当てを含むブランケットは、単一式または二重式の巻取りロッドまたは「tバー」型係止のようなより多くの従来の設置機構を使用するブランケットシリンダに適切に設置および張力を掛けるのが難しい。これは、従来の繊維で裏当てされたブランケットと比較して比較的柔軟性がなく、シリンダの空隙内へと送るのが困難な、ブランケットの先端および後端の金属によるものである。くわえて、金属で裏当てされたブランケットの硬さは、小さな径の印刷シリンダの周りにブランケットを取り付けるのを困難にし、ブランケットの端部を係止機構内へと挿入するために曲げる必要があり、ブランケットの他の層からの金属層の破損を生じさせ得る。さらに、金属で裏当てされたブランケットの端部は、高速印刷操作の間、多くの係止機構から引き出されるまたは解放される傾向がある。
【0007】
[0006]Andrewらの米国特許第6,530,321号は、延伸不能な(金属またはポリマー)裏当てを有する印刷ブランケットの様々な実施形態を記載する。ブランケットは、より容易な係止を可能とするべくブランケットがより柔軟性を有するように繊維層の横糸および縦糸繊維が配向された強化繊維層を含む。ブランケットは、様々な係止機構に取り付けられることを可能とするために、様々な端部処理を含む。1つの実施形態において、単一式巻取りロッド機構における係止を可能とするため、ブランケットの端部は、そこにブランケットバーを含む。しかしながら、ブランケットの先端および後端における比較的柔軟性のない金属ベースは、操作者が係止のため端部をシリンダ内の空隙内へと送るのを困難にする。くわえて、金属で裏当てされたブランケットの硬さは、それらをより小さな径のブランケットシリンダ周りで取り付けるのをより困難とする。
【0008】
[0007]Czernerの米国特許出願公開第2007/0101884号は、比較的柔軟性のない金属で裏当てされたブランケットの使用で生じる設置困難性に対処するため、延伸不能なポリマーベース層を有する印刷ブランケットの実施形態を記載する。他のブランケット層がブランケットシリンダの空隙におけるブランケットのゲージの減少を生じ得る張力を受けないように、逃げ領域が、ブランケットの隣接しかつ対向する端部に設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0008]したがって、従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いるブランケットシリンダの空隙内へと容易かつ確実に取り付けられ得る構造を有する、金属裏当てのような延伸不能な裏当て層を有した印刷ブランケット、または、他の延伸不能に裏当てされたブランケットが当業界において依然として必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0009]これらの課題は、従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いたブランケットシリンダの空隙内へと容易かつ確実に取り付けることができるブランケット構造を提供する本発明に係る実施形態によって対処される。
【0011】
[0010]本発明に係る1つの実施形態によれば、印刷ブランケットが提供され、これは、少なくとも印刷可能な表面層および延伸不能な裏当て層を含む。「延伸不能な」とは、ブランケットの通常の取り付けおよび操作の間、従来の力が特にブランケットシリンダ周りの周方向に生じたときに、裏当て層の寸法が実質的に延伸に抗することを意味する。以下に記載されるように、印刷可能な表面層は、任意の他の付加的な選択的層とともに、「ブランケットカーカス」とも称され得る。
【0012】
[0011]印刷ブランケットは、印刷ブランケットシリンダの空隙内へと挿入されるように構成された、対向する先端および後端を有する。ブランケットの先端は、先端の内方に配置され、かつ、実質的にブランケットの幅にわたって延びる第1の逃げ領域を含む。第1の逃げ領域は、延伸不能な裏当て層の上に形成されたブランケットカーカス内の空隙によって画定され、かつ、ブランケットの壁によって両側で境界形成される。ブランケットの対向する端部において、延伸不能な裏当て層は、ブランケットの後端を越えて延びる。後端は、後端の内方に配置され、かつ、実質的にブランケットの幅にわたって延びる第2の逃げ領域を含む。第2の逃げ領域は、延伸不能な裏当て層の上に形成されたブランケットカーカス内の空隙によって画定され、かつ、ブランケットの壁によって両側で境界形成される。第1および第2の逃げ領域は、ブランケットがブランケットシリンダの空隙内へと挿入されブランケットシリンダに取り付けられたときに、ブランケットの先端および後端がブランケットシリンダ内の空隙内へと挿入される位置と2つの逃げ領域とが実質的に整列するように配置される。
【0013】
[0012]代替的に、ブランケットは、延伸不能な裏当て層がブランケットの先端および後端の両方でブランケットカーカスを越えて延びるように製造されてもよい。第1および第2の逃げ領域を形成するため、ブランケットカーカスのそれぞれの端部から離間されるように、分離した材料層が延伸不能な層に配置され、そこに接着または積層されてもよい。以下により詳細に説明されるように、これらの離間された層は、ブランケットの先端および後端を係止機構内で摩擦係合させるために機能する。分離した材料層は、ゴム、ポリマーまたは他の適した材料を含んでもよい。たとえば、ブランケットの構造における適した厚さを形成するため、接着フッ素重合体テープの1つまたは複数の層が使用されてもよい。
【0014】
[0013]ある実施形態において、印刷ブランケットは、印刷表面層の下に配置された1つまたは複数の圧縮可能な層と、その印刷表面層の下に配置された繊維、不織布または高分子材料から成る少なくとも1つの強化層とを含む。好適には、延伸不能な裏当て層は、比較的薄いシート形式の金属もしくは金属合金、ポリマー、または、他の適した延伸不能な材料を含む。
【0015】
[0014]本発明に係る別の実施形態において、印刷ブランケットは、空隙と空隙内の単一式巻取りロッド係止機構とを含むブランケットシリンダに取り付けられる。係止機構は、空隙内に形成された先端棚状部と、棚状部と反対の側で空隙内に配置されかつ凹部またはスロットを有する回転可能なロッドとを含む。印刷ブランケットは、少なくとも印刷可能な表面層および延伸不能な裏当て層、ならびに印刷ブランケットシリンダの空隙内へと挿入されるように構成された対向する先端および後端を含む、上述したのと同様な構造を含む。
【0016】
[0015]ブランケットの先端および後端は、そこに取り付けられたブランケットバーを含む。ブランケットの先端は、ブランケットの先端におけるブランケットバーの縁部がシリンダ内の空隙内の棚状部と係合するように、シリンダ内の空隙内へと挿入される。ブランケットの対向する後端のブランケットバーは、回転可能なロッド内の凹部内へと挿入され、ブランケットシリンダの周表面に対してブランケットを締め付けるように、かつ、ブランケットの後端を確実に係止機構へと係止するように、ロッドが回転される。
【0017】
[0016]さらにロッドの回転は、ブランケットの先端および後端の表面をともに空隙内で互いに摩擦係合させる。この摩擦係合は、係止の確実性を高め、ブランケットの先端および後端が係止機構から引き出されまたは解放されるのを防ぐ。
【0018】
[0017]したがって、本発明の特徴は、従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いたブランケットシリンダの空隙内へと容易かつ確実に取り付けることができるブランケット構造を提供することである。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付された図面および添付された特許請求の範囲から明らかとなる。
【0019】
[0018]本発明に係る詳細な実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面とともに読むと最も理解され、ここで、同等な構造は、同等な参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】[0019]従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いてブランケットシリンダに取り付けられる、先行技術である従来の柔軟性のある張力をかけられたブランケットの概略的側面図である。
図2】[0020]従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いてブランケットシリンダに張力を掛けられて取り付けられた先行技術である従来の柔軟性のある張力を掛けられたブランケットの概略的側面図である。
図3】[0021]本発明に係る1つの実施形態による、少なくとも表面印刷層と延伸不能な裏当て層とを含む、典型的な印刷ブランケットの側部断面図である。
図4】[0022]ブランケットの先端および後端と隣接したブランケットバーおよび逃げ領域の配置を示す、本発明に係る1つの実施形態による、印刷ブランケットの側部断面図である。
図5】[0023]従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いてブランケットシリンダに取り付けられる、本発明に係る1つの実施形態による印刷ブランケットの概略的側面図である。
図6】[0024]従来の単一式巻取りロッド係止機構を用いてブランケットシリンダに取り付けられた印刷ブランケットの概略的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0025]図1および2は、単一式巻取りロッド係止機構14を用いてそこに取り付けられる従来の繊維で裏当てされた印刷ブランケット12を有する従来のブランケットシリンダ10を示す。ブランケット12は、少なくとも印刷表面層および強化繊維裏当て層を含む。従来の印刷ブランケットは、当業界で周知の付加的な層(plies)または重なり(layers)(図示せず)を含んでもよい。先端ブランケットバー13および後端ブランケットバー15は、ブランケットの対向する端部に固定される。従来のように、ブランケットバーは、概して金属から形成され、印刷ブランケットの端部を補強するため、および、係止機構内のブランケット端部の挿入および固定の支援として用いられる。
【0022】
[0026]シリンダ内の空隙(換言すれば、開口部)16は、シリンダの表面から径方向に内方へと延び、カム作用の係止機構が配置される凹部18を形成する。空隙16および凹部18は、実質的にブランケットシリンダの全幅に延びる。単一式巻取り係止部は、スロットまたは凹部22をそこに有する回転可能なカム20を含む。凹部18は、先端ブランケットバー13の縁部がこれに対して取り付けられる、棚状部または切欠部21を含む。後端ブランケットバー15は、スロット22内へと挿入され、図2に最もよく示されるように、矢印の方向におけるカム20の回転は、ブランケットの後端をブランケットシリンダ10の表面に対して締め付けさせる。さらなる回転は、シリンダ10の外周の周りで係止されるように、ブランケットに張力を掛ける。
【0023】
[0027]従来技術に係る繊維で裏当てされたブランケットの課題は、印刷操作の間、ブランケットシリンダの高速回転を受けたときに、それらが延伸される傾向にあることにある。この延伸は、ブランケットに再度張力を掛けることができるように、かつ、印刷品質が維持されるために、たびたび印刷操作を停止することを操作者に要求する。印刷ブランケットにおける金属または他の延伸不能な裏当てのような、延伸不能な裏当ての使用は、この課題に対処し、金属裏当て層は、ブランケットシリンダに取り付け後および操作中の、ブランケットの延伸を防ぐ。金属裏当ては、ブランケットに寸法安定性も提供し、これにより高い印刷品質を実現し、従来の繊維で裏当てされたブランケットで要求されたような、ブランケットの頻繁な再度の張力付与の必要をなくす。
【0024】
[0028]図3は、本発明に係る印刷ブランケット構造30の1つの実施形態の断面図を示す。印刷ブランケット30は、少なくとも、インク付けされた像を印刷板から基材へと転写するために機能する外側の印刷表面層32と、延伸不能な裏当て層38とを含む。本実施形態に示されるように、ブランケット30は、任意に、1つまたは複数の圧縮可能な層34と、繊維層33および36のような1つまたは複数の強化層とを含んでもよい。示されるように、層32、34および36は、延伸不能な裏当て層38に対して接着剤40で接着される。層の延伸不能な裏当て層に対する接着に用いられる接着剤は、ホットメルト接着剤、感圧接着剤およびゴム、ウレタンおよびエポキシ等を含む硬化性ポリマーを含む、多くの従来の接着剤のうちのいずれを含んでもよい。代替的に、層は、延伸不能な裏当て層に直接形成されてもよい。好適には、ブランケットは、おおよそ1.75mmからおおよそ2.30mm(おおよそ0.070インチからおおよそ0.090インチ)の全体の厚さを有する。
【0025】
[0029]延伸不能な裏当て層38は、好適には、薄い金属もしくは金属合金シート、または、高分子材料のような他の延伸不能な材料のような、柔軟ではあるが延伸不能な材料を含む。裏当て層38として好適な材料は、おおよそ0.15mmからおおよそ0.25mm(おおよそ0.006インチからおおよそ0.010インチ)の間の厚さを有するステンレス鋼であり、この材料は、容易に市場で入手できる。通常操作状態における使用において実質的に延伸不能である限り、および、従来のブランケットシリンダに取り付けられるのに十分な柔軟性を有する限り、他の材料が使用されてもよい。
【0026】
[0030]好適には、接着材料40は、おおよそ0.025mmからおおよそ0.2mm(おおよそ0.001インチから0.008インチ)の厚さを有し、限定されるものではないが、その接着特性を活性化するために適用してから高温へと加熱され得る感圧接着剤またはホットメルトフィルムを含む、任意の適した接着剤を含んでもよい。適した接着剤は、多くのメーカーから市販されている。たとえば、1つの適した接着材料40は、ホットメルトフィルム形式のエチレンおよび酢酸ビニルの変性共重合体を含んでもよい。
【0027】
[0031]織布層36は部分的にまたは全体的にその厚さを調整するために研削されてもよい。繊維層33および36は、好適には、おおよそ0.20mmからおおよそ0.4mm(おおよそ0.008インチからおおよそ0.016インチ)の範囲の厚さ、最も好適には、おおよそ0.28mm(0.011インチ)の厚さをそれぞれ有する。強化層33および36は、縦糸および横糸ファイバーまたはヤーン(yarn)の両方を有するコットンまたは合成糸もしくはファイバーから織り込まれた繊維を含み得る。本発明で使用する1つの好適な繊維は、縦糸が(たとえばピーマ綿のような)コットンであり、かつ、横糸が(紡糸ポリエステルのような)ポリエステルである、四角形の織布である。繊維は、像転写ブランケットの製造で使用される際に縦糸の長さに沿った単一の方向にほとんど、または、全く残留延伸を有しないように、その方向にあらかじめ延伸される。
【0028】
[0032]Andrewらに対して付与された米国特許第6,530,321号に記載されるように、織布層33および36のいずれかまたは両方は、ブランケット構造において、ブランケットがブランケットシリンダ10に取り付けられたときに、横糸繊維がシリンダ周りに周方向に延びるように方向付けられてもよい。この方向は(ブランケットがシリンダに取り付けられたときの)ブランケット内の従来の繊維層の方向から90°であり、ブランケット12に追加の柔軟性を提供する。
【0029】
[0033]圧縮可能な層34に関し、本発明に係る実施形態にしたがって、他の層と両立可能な任意の公知な圧縮可能なまたは弾性を有した材料が使用されてよい。好適な圧縮可能な層34は、適した強度および圧縮性を提供するための孔密度を有したニトリルおよびクロロプレンベースのゴムの混合を含む。圧縮可能な層34は、オープンセル(連続気泡)またはクローズセル(独立気泡)フォームのいずれを含んでもよいが、クローズセルフォームが好適である。適した圧縮可能な層材料およびそれらの製造方法は、Meadowsらによる米国特許第4,548,858号に開示された材料を含み、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
[0034]代替的に、圧縮可能な層は、水和硫酸マグネシウムのような、適した塩をゴムのような高分子材料と混合し、ついで硬化させて塩を取り出し、ゴム内の孔を形成することによって、形成されてもよい。こうしたプロセスは、Harenらによる米国特許第3,928,521号に開示され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。緩衝層を形成するさらに別の方法は、Gaworoskiらの米国特許第4,770,928号に記載されたような、エラストマーマトリックス内へのマイクロカプセルの組み込みと、低温部分硫化工程におけるそれらのマイクロカプセルの凝固とを含み、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。好適には、圧縮可能な層34は、おおよそ0.56mmからおおよそ0.67mm(おおよそ0.022インチからおおよそ0.026インチ)の範囲の厚さ、最も好適には、おおよそ0.62mm(0.245インチ)の厚さを有する。
【0031】
[0035]エラストマーの像転写表面層32は、像転写ブランケット30の像転写面を提供する。層32の表面は、ブランケットの最終厚さ寸法を提供するように研削されてもよい。像転写表面層32の製造に用いられるのに適した材料は、ブチルゴム、EPDMゴム、ニトリルゴム、天然ゴム、ネオプレンゴム、ニトリルおよびポリ塩化ビニルの混合、ポリウレタン、および、合成ゴムのような多くの様々なポリマーを含む。
【0032】
[0036]当業者は、好適な材料およびそれらのそれぞれの厚さが、本発明の精神から逸脱することなく、変更されまたは置き換えられてもよいことを理解する。たとえば、付加的な接着剤、プライマー、アンカーおよび1つまたは複数の層は、必要に応じてかつ当業界における従来技術のようにブランケット構造内に設けられてもよい。
【0033】
[0037]延伸不能なベース層38に対して層を固定するための1つの方法は、接着フィルム材料を使用する。接着剤は、ホットメルト材料、感圧接着剤または両方を含んでもよい。たとえば、薄いフィルム支持の一方の側がホットメルト材料を含み、他方の側が感圧接着剤を含む接着剤の使用が可能である。方法は、まず、ベース層38の表面から任意の油または他の汚染物を取り除く工程を含む。ついで、表面汚染の再発生を防ぎ、接着フィルム材料40の結合機能を向上させるためにプライマーが適用される。上述したように、接着フィルム材料40は、ホットメルトフィルム、感圧接着剤または両方の組み合わせとすることができ、強化層36と延伸不能なベース層38との間に挟まれる。しかしながら、「下地(priming)」接着フィルム層を設けるべく、接着剤の初期層をベース層38が接着される強化層36の側に適用することができることを理解されたい。その後、ブランケット層およびベース層38は、接着フィルム材料40を固定するために加熱され、ついで冷却され、こうして層を接着的にベース層38に対して固定し、好適な像転写ブランケット構造となる。ブランケット層をともに接着する他の適した方法が当業界において知られており、使用されてもよい。
【0034】
[0038]図4は、ブランケットの逃げ(relief)領域の位置を示す、本発明に係る1つの実施形態の側部断面図を示す。示されるように、ブランケット30は、印刷可能な表面層32と、好適には金属もしくは金属合金または他の延伸不能な材料の、延伸不能な裏当て層38とを少なくとも含む。ブランケット30は、(以下により詳細に説明されるように、)印刷ブランケットシリンダの空隙内へと挿入されるようにともに構成された先端42と後端44とを有する。先端42は、そこに取り付けられたブランケットバー43を有し、後端44は、そこに取り付けられたブランケットバー45を有する。示されるように、ブランケットバー43は、ブランケットカーカスの分離された部分50および延伸不能な層38の周りに固定される。ブランケットバー45は、延伸不能な層38の互いに対向する表面に直接固定される。
【0035】
[0039]ブランケットの先端42は、先端の内方に配置されかつ実質的にブランケットの幅にわたって延びる第1の逃げ領域46を含む。第1の逃げ領域46は、ブランケットの表面印刷層32(および図示されない任意の他の層)の空隙によって画定され、空隙は、延伸不能な裏当て層38の上に有り、表面印刷層のブランケット壁によって両側で境界形成される。
【0036】
[0040]延伸不能な裏当て層38は、ブランケットの後端44を越えて延びる部分47を有する。後端44は、後端の内方に配置されかつ実質的にブランケットの幅にわたって延びる第2の逃げ領域48を含む。第2の逃げ領域48は、ブランケットの表面印刷層(および図示されない任意の付加的な層)内の、延伸不能な裏当て層38の上の空隙によって画定される。第2の逃げ領域48は、表面印刷層のブランケット壁によって両側で境界形成される。
【0037】
[0041]当技術分野で知られているように、ブランケット30の全長は、それが取り付けられるブランケットシリンダの外周によって決まる。概して、こうしたブランケットは、おおよそ400mmからおおよそ1500mmの全長を有する。さらに、概して第1の逃げ領域および第2の逃げ領域は、おおよそ0.25mmからおおよそ10mmの、好適にはおおよそ5mmの空隙を形成する。延伸不能な裏当て層の後端は、表面印刷層の端部を越えておおよそ0mmからおおよそ25mm、好適には、おおよそ22mm延びる。
【0038】
[0042]第1および第2の逃げ領域46および48は、実質的に逃げ領域がブランケットの全表面にわたって延びるように、ブランケットカーカスの部分を取り除くことによってそれぞれ形成されてもよい。適した除去方法は、レーザースクライビングまたはウォータージェットを含む。ブランケットは、延伸不能な層38の対向する端部がブランケットの印刷表面層32を越えて延びるように構成されてもよい。ついでゴムまたは他の高分子材料を含む、適した材料を用いて部分50および52がブランケット構造に付加されてもよい。たとえば、部分50および52は、必要に応じて、部分50および52の厚さを構成するのに用いられる、適したテープの層を備えたフッ素重合体接着テープを用いて製造されてもよい。
【0039】
[0043]図5および6に示されるように、第1および第2の逃げ領域46、48は、ブランケット30がブランケットシリンダに取り付けられたときに、ブランケットの先端および後端がブランケットシリンダ内の空隙内へと挿入される位置と2つの逃げ領域とが実質的に整列するように配置される。まず図5に戻ると、ブランケット30は、単一式巻取りロッド係止機構14を用いてブランケットシリンダ10に取り付けられる。ブランケット30は、少なくとも、表面印刷層32と、好適には薄い金属シートまたは他の延伸不能な材料である延伸不能な裏当て層38と、を含む。ブランケット30は、ブランケットの先端および後端のそれぞれに取り付けられたブランケットバー43および45を備える先端42と後端44とをさらに含む。
【0040】
[0044]ブランケットシリンダ10内の空隙16は、シリンダの表面から径方向に内側へと延び、カム操作の係止機構が配置される凹部18を形成する。空隙16および凹部18は、実質的にブランケットシリンダの全幅に延びる。単一式巻取りロッド係止部は、スロットまたは凹部22をそこに有する回転可能なカム20を含む。凹部18は、これに対して先端のブランケットバー43の縁部が取り付けられる棚状部または切欠部21を含む。後端ブランケットバー45は、スロット22内へと挿入される。ブランケットの対向する先端および後端の第1の逃げ領域46および第2の逃げ領域48は、ブランケットの端部が容易に曲げられて凹部18内へと挿入されるのを可能とする。
【0041】
[0045]図6に最もよく示されるように、矢印の方向のカム20の回転は、ブランケットの後端44をブランケットシリンダ10の外周に対して締め付けさせる。さらなる回転は、部分50および52が係合させられ、ブランケットが印刷操作可能となるように、ブランケットの端部を係止機構内で固定させる。図6に示されるように、逃げ領域46および48は、ブランケットの先端および後端がシリンダ内の空隙16内へと挿入される位置と実質的に整列し、印刷の目的のために狭い空隙を残す。さらに図6に示されるように、逃げ領域を越えて配置された表面印刷層の部分50および52のそれぞれは、ここで空隙内において互いに摩擦係合するように接触し、係止機構内のブランケットの端部の固定を支援する。
【0042】
[0046]「好適には」、「一般に」、および、「概して」のような語が、本明細書で特許請求された発明の範囲を限定するように使用されておらず、または特許請求された発明の構造または機能に対して、臨界的な、本質的な、または、重要であることでさえ示唆するようには使用されていないことに留意されたい。むしろ、これらの語は、単に、本発明に係る特定の実施形態において使用されまたは使用されなくてもよい代替的なまたは付加的な特徴を強調することを意図したものである。
【0043】
[0047]本発明を記載および定義する目的のため、「実質的に」という語は、本明細書で本来の程度を示すために使用され、任意の定量比較、値、計測または他の表現に帰してもよいことに留意されたい。「実質的に」という語は、本明細書で、注目する対象物の基本的機能を変化することなく、記述した参照値から定量的な代表値が変化し得る程度を示すのに使用されてもよい。
【0044】
[0048]本発明を詳細に、かつ、その詳細な実施形態を参照して説明したが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明に係る範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることは明らかである。より詳細には、本発明に係るいくつかの態様が好適または特に有利なものとして本明細書で示されたが、本発明は、本発明に係るこれらの好適な態様に必ずしも制限されるものではないことが想定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】